JP5772561B2 - 箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法に関する。
画像支持体上に、金・銀・アルミ或いはホログラム等の転写箔を用いて箔転写により箔画像を作製する技術が知られている。箔転写は、通常、転写させる画像が凸部に浮き上がる金属金型を加熱し、この凸部をベースフィルム、離型層、着色層、接着層からなる転写箔を押し当てることで、転写箔の接着層を溶融して画像支持体に接着させ、冷却後に離型層よりベースフィルムをはがすことで画像支持体上に箔画像を作製するホットスタンピング法で行われる。しかし、このホットスタンピング法は、金属金型の作製に時間とコストがかかり、多品種小ロットの箔画像の製造には不向きであった。
この金型作製の時間とコストを削減する目的で、油相または油相と水相に微粒子状のホットメルト接着剤を分散させてなるホットメルト含有W/O型エマルジョンインクおよびこのホットメルト含有W/O型エマルジョンインクを用いて被転写画像支持体にインク層を作製した後、該インク層と転写箔を重ね合わせて加熱圧着する箔転写方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、ホットメルト含有W/O型エマルジョンインクおよびこのホットメルト含有W/O型エマルジョンインクを用いて画像支持体にインク層を作製した後、該インク層と転写箔を重ね合わせて加熱圧着する方法は、金型を使用しない点でホットスタンピング法の時間とコストを削減する効果があるが、原稿毎に孔版原紙を作製する必要があり、時間とコストを低減する効果は不十分であった。
又、画像支持体上に定着されたトナー像を作製した後、該トナー像に転写箔シートを重ね、さらに該転写箔シートの上に上記画像支持体よりも薄い可とう性シートをかさね合わせた後、これらの可とう性シート、転写箔シート及び画像支持体を1対のローラ間を通して加熱・加圧した後、前記トナー像が冷えてから、上記画像支持体から可とう性シート、転写箔シートの順に剥離するようにしたことを特徴とする箔画像の作製方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
又、被記録媒体および箔のいずれか一方に活性エネルギー線重合性化合物と重合開始剤とを含む液体を像様に吐出するオンデマンド式液滴送出ヘッドと、前記液体に活性エネルギー線を照射し、被記録媒体および箔のいずれか一方に粘着性を持つ感圧性接着剤の画像を形成する手段と、形成した接着剤の画像に被記録媒体および箔のいずれか一方を転写して、被記録媒体に箔の画像を形成する箔画像形成手段と、前記被記録媒体の搬送方向において、前記箔画像形成手段の下流に配置され、少なくとも色材を含んだインクを吐出して前記箔画像が形成された被記録媒体に画像を形成するインクジェットヘッドを有する画像形成手段とを有するインクジェット記録装置が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
最近、表現力の向上のためトナー像の上に転写箔を転写して作製した箔画像を有する画像支持体にさらに後印刷(以後、追い刷りとも云う)を行い、箔画像と追い刷りの画像を有するプリント物の要望が高まってきている。
追い刷りの方法としては、電子写真方式、オフセット印刷方式、インクジェット方式等が考えられるが、適用画像支持体の多さや手軽さを考慮すると電子写真方式による方法が好ましい。
特開平5−279608号公報 特開昭61−252190号公報 特開2009−226863号公報
しかし、トナー像の上に箔画像を作製した画像支持体上に電子写真画像作製方式によりトナー画像を作製(追い刷り)すると、トナー像を構成するトナーの樹脂が熱可塑性樹脂であるため、追い刷り時の加熱・加圧によりトナー像を構成する樹脂が溶融し、トナー像を構成する樹脂が収縮や膨張する。その結果、トナー像に融着している箔画像にすじ状欠陥が発生するという問題が有った。
本発明の目的は、トナー像の上に箔画像を作製した画像支持体上に電子写真画像作製方式によりトナー画像を作製(追い刷り)しても、トナー像と転写箔層の接着性が良好で、箔画像にすじ状欠陥がない箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法を提供することにある。
本発明の目的は、下記構成により達成される。
1.少なくとも電子写真画像作製装置にトナー像用トナーを装填して画像支持体上にトナー像を有するプリント物を作製する工程、プリント物のトナー像面と転写箔の転写箔層面を重ねて加熱加圧する工程、加熱加圧されたプリント物と転写箔を冷却したあと、転写箔のベースフィルムを剥がしてトナー像の上に転写箔層を有する箔画像を作製する工程、電子写真画像作製装置にトナー画像用トナーを装填して箔画像を作製した画像支持体上にトナー画像を作製する工程を経る箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法において、前記トナー像用トナーが少なくとも下記一般式(1)で示されるビニル系単量体を用いて得られる樹脂と多価金属化合物を含有することを特徴とする箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法。
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Lは構造中にエステル結合を有する2価の結合基を有する基を示す)
2.前記トナー像用トナーを構成する樹脂中の一般式(1)で示されるビニル系単量体成分の割合が、2質量%以上15質量%以下であることを特徴とする前記1に記載の箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法。
3.前記一般式(1)において、基Lが下記式(L1 )または式(L2 )で表わされるものであることを特徴とする前記1または2に記載の箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法。
4.前記トナー像用トナーを構成する多価金属化合物が、2価または3価のものであることを特徴とする前記1〜前記3のいずれかに記載の箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法。
5.前記トナー像用トナーを構成する多価金属化合物が、前記ビニル系単量体1モルに対して0.1〜10モルの割合で含有されることを特徴とする前記1〜前記4のいずれかに記載の箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法。
6.前記トナー像用トナーを構成する多価金属化合物が、金属元素がアルミニウムまたはマグネシウムのものであることを特徴とする前記1〜前記5のいずれかに記載の箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法。
7.前記転写箔が、ベースフィルムの上に離型層、着色層および接着層が順次積層されてなるものであることを特徴とする前記1〜前記6のいずれかに記載の箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法。
(式中、mは1〜14の整数、nは1〜10の整数を示す)
(式中、pは1〜14の整数、qは1〜10の整数を示す。)
本発明の箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法は、トナー像の上に箔画像を作製した画像支持体上に電子写真画像作製方式によりトナー画像を作製(追い刷り)しても、トナー像と転写箔層の接着性が良好で、箔画像にすじ状欠陥が発生しない優れた効果を有する。
箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法の一例を示す模式図である。 画像支持体上にトナー像を有するプリント物を作製する工程、及び、箔画像を作製した画像支持体上にトナー画像を作製する工程で用いる電子写真画像作製装置の一例を示す模式図である。 トナー像の上に箔画像を作製する工程で用いる転写箔転写装置の一例を示す模式図である。
本発明者らは、トナー像の上へ箔画像を作製した支持体上にトナー画像をさらに作製しても、トナー像と箔画像の接着性が良好で、箔画像の部分にすじ状欠陥がない箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法について検討を行った。
種々検討の結果、特定の樹脂と多価金属化合物を含有するトナー像用トナーを用いて作製したトナー像に転写箔層を転写して作製した箔画像では、さらにトナー画像を形成するときに再加熱されても、トナー像と箔画像の接着性が良好で、箔画像の部分にすじ状欠陥が発生しないことを見出した。
本発明では、トナー像用トナーを画像支持体に熱定着する際の熱エネルギーで樹脂の鎖状の分子相互の間に金属原子を介入させ、金属とのイオン結合作用による一種の架橋構造を作製し、その後、箔画像を作製するときの熱エネルギーでトナー像用トナーの樹脂の分極した部分を架橋させるという段階的に反応が進行することによりトナー像用トナー中の樹脂が高粘度化して、トナー画像を作製するときに再加熱されてもトナー像用トナーの加熱溶融の抑制及び熱収縮や熱膨張が防止できると推察している。
その結果、トナー像用トナーの樹脂の耐熱特性が向上し、トナー画像を作製するとき再加熱されても加熱溶融及び熱収縮や熱膨張が起こらず、すじ状欠陥がない箔画像とトナー画像を有するプリント物を作製することができると推察される。
本発明の箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法は、
1.少なくとも電子写真画像作製装置にトナー像用トナーを装填して画像支持体上にトナー像を有するプリント物を作製する工程、
2.トナー像を有するプリント物のトナー像面と転写箔の転写箔層面を重ねて加熱加圧する工程、
3.加熱加圧されたトナー像を有するプリント物と転写箔を冷却した後、転写箔のベースフィルムを剥がしてトナー像の上に箔画像を作製する工程、
4.電子写真画像作製装置を用いて、画像支持体上にトナー画像を作製する工程
を経る方法である。
トナー像用トナーと転写箔層を接着させるためには、トナー像用トナーを構成する樹脂を十分に溶融させることが必要である。
更に、箔画像を作製した後に、トナー画像を作製する熱定着で、箔画像下のトナー像用トナーの熱収縮や熱膨張により箔画像にすじ状欠陥の発生を防ぐ必要がある。
本発明では、一般式(1)で示すカルボキシル基を有するビニル系単量体を用いて作製した樹脂と多価金属化合物を含有するトナー像用トナーを用いることで、トナー像用トナーを構成する樹脂が十分に溶融してトナー像用トナーと転写箔の転写箔層との接着性が良好で、トナー画像を作製する時に再加熱されても樹脂の熱収縮や膨張が発生せず、箔画像とトナー像と転写箔の間の歪みによるすじ状欠陥の発生を防止することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
《トナー像用トナー》
本発明で用いられるトナー像用トナーは、下記一般式(1)で示されるビニル系単量体を用いて得られる樹脂と多価金属化合物を含有する。
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Lは構造中にエステル結合を有する2価の結合基を有する基を示す)
トナー像用トナーを構成する樹脂は、一般式(1)で示されるビニル系単量体成分を用いて得られる樹脂を全樹脂の2質量%以上15質量%以下有するものが好ましい。
一般式(1)で示されるビニル系単量体を用いることで、架橋反応を段階的に制御でき、転写箔層面とトナー像用トナーとの接着性を良好にすることができる。
トナー像用トナーを構成する樹脂中に一般式(1)で示されるビニル系単量体量が多いと、架橋構造が過剰となり転写箔層とトナー像用トナーとの接着性が低下する。
又、一般式(1)で示されるビニル系単量体が少ないと、十分な架橋構造が得られずトナー画像を作製する時の再加熱でトナー像が収縮や膨張して歪み、すじ状欠陥の発生を抑制しにくくなる。
画像支持体へトナー画像を定着する時には、一般式(1)で示すカルボキシル基のL部位の存在によりエステル結合は保護を受けるためカルボキシル基と多価金属イオンとの間で優先してアイオノマー化や酸縮合化が生じる。
しかしながら、L部位はある程度の長さを持つ構造のため架橋により結ばれた樹脂同士の動きは抑制され高粘度化する。これにより再加熱定着時に箔画像の歪みやすじ状欠陥の発生を抑制できるようになる。
本発明において、アイオノマー化とは、樹脂の鎖状の分子相互の間に金属原子を介入させ、金属イオン結合作用による一種の架橋構造を作製させることを云う。
多価金属化合物を添加することにより、アイオノマー化、酸縮合化が起こっているが、無機多価金属化合物ではアイオノマー化反応が進みやすく、有機多価金属化合物では酸縮合化の反応が進みやすいと考えられる。酸縮合化した樹脂はアイオノマー化した樹脂に比べ定着特性が悪くなる傾向があるので有機多価金属化合物の添加量は無機多価金属化合物より少量とすることが好ましい。
反応式1は、トナー像用トナーを画像支持体に熱定着する際の熱エネルギーで、樹脂の鎖状の分子相互の間に金属原子を介入させ、金属とのイオン結合作用による一種の架橋構造を作製させた状態の一例を示す。
反応式2は、箔画像を作製する際の熱エネルギーで、樹脂の分極した部分を架橋させ、段階的に反応が進んだときの状態の一例を示す。
トナー像用トナーはカラートナー、黒トナー等着色剤を含有した有色トナーでも良いが、転写箔がトナー像上に作製されるので、トナーが色を有している必要は無く、コストを考えると着色剤を含有しないクリアトナーを用いることが望ましい。
〈一般式(1)で示されるビニル系単量体〉
上記一般式(1)中のLは式(L1 )、または式(L2 )で表すことができる。
(式(L1 )中、mは1〜14の整数、nは1〜10の整数を示す)
(式(L2 )中、pは1〜14の整数、qは1〜10の整数を示す)
上記一般式(1)で示されるビニル系単量体は、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリル酸の誘導体と、コハク酸、マロン酸もしくはグルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸またはフタル酸等の芳香族ジカルボン酸とのエステル化反応により作製することができる。
尚、上記ジカルボン酸は、ハロゲン原子、低級アルキル基又はアルコキシ基等により水素原子が置換されても良く、或いは酸無水物であっても良い。
一般式(1)で示されるビニル系単量体の例としては、下記に示す「化合物1〜8」を挙げることができる。
〈トナー像用トナーを構成する樹脂〉
トナー像用トナーを構成する樹脂としては、上記で説明した一般式(1)で示されるビニル系単量体と他の重合性単量体を重合して得られたものが好ましい。
トナー像用トナーを構成する樹脂は、カルボキシル基を有するビニル系単量体を用い、乳化会合工程で多価金属化合物を添加することにより、樹脂中にカルボキシル基と多価金属化合物を内包させることができる。
以下に、前述した一般式(1)で示されるビニル系単量体とともに使用が可能な重合性単量体としてビニル系単量体の例を示す。
(1)スチレンおよびその誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸エステルおよびその誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸エステルおよびその誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(8)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(9)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体等。
また、以下に示す多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂を作製することも可能である。
多官能性ビニル類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等を挙げることができる。
上記樹脂の分子量は、転写箔層との間に強固な接着力を発現させることが可能なトナーを作製することが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、数平均分子量Mnが10,000以上100,000以下のものが好ましい。
〈離型剤〉
本発明で用いられるトナー像用トナーには、離型剤を含有させることができる。離型剤としては特に限定されるものではなく公知のものを使用することができる。詳細には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、合成エステルワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物、石油系ワックス等、及び、これらの変性物を挙げることができる。
上記離型剤の中でも、融点が70℃以上95℃以下の合成エステルワックスはフィルミング防止の観点から特に好ましく用いられ、上記合成エステルワックスの例としては、ベヘン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、クエン酸トリベエニル等がある。また、ベヘン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、クエン酸トリベへニル等の合成エステルワックスと融点が75〜100℃のパラフィンワックスを併用することにより、耐フィルミング性を向上することができる。
さらに、パラフィンワックスの中でも、融点が75℃以上100℃以下のフィッシャートロプシュワックスを使用すると、低速領域から高速領域のいかなるプロセススピードでも高温領域でのオフセット性を向上できる。加えて、クリーニングブレードをクリーニング手段とする電子写真画像作製装置では良好なブレードクリーニング性能を発現することができる。
これら離型剤のトナー中の含有量は2質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上13質量%以上が好ましい。2質量%未満の場合は、高温領域でオフセット発生することがあり、また、20質量%を超える場合は、トナー内部に離型剤が取り込まれにくくなる傾向がある。したがって、トナーより離型剤が浮遊したり、取り込まれなかった離型剤がトナー表面に付着したりして、転写箔層との接着性に悪影響をおよぼす。
〈多価金属化合物〉
本発明で用いられる多価金属化合物としては、無機金属化合物或いは有機金属化合物を挙げることができる。
多価金属化合物は、一般式(1)で示されるビニル系単量体1モルに対して無機多価金属化合物の場合は1.0〜20モル、有機多価金属化合物の場合は0.1〜10モル含有することが好ましい。
多価金属化合物が多いと、架橋構造が過剰となり転写箔層とトナー画像との接着性が低下する。
又、多価金属化合物が少ないと、十分な架橋構造が得られず再加熱時に、すじ状欠陥の発生を抑制しにくくなる。
多価金属化合物としては、2価或いは3価の無機多価金属化合物或いは有機多価金属化合物が好ましく、これらを併用して用いることもできる。
2価或いは3価の多価金属化合物を用いることで、トナー像用トナーの作製をスムーズに行うことができ、且つ、トナー粒子中に含有する多価金属化合物の金属イオンによりイオン結合が進みやすくなり好ましい。
無機多価金属化合物としては、例えば、フッ化物、塩化物、塩素酸塩、臭化物、ヨウ化物、酸化物、水酸化物、硫化物、亜硫酸化物、硫酸塩、セレン化物、テルル化物、窒化物、硝酸塩、リン化物、ホスフィン酸塩、リン酸塩などが挙げられる。
有機多価金属化合物としては、炭酸塩、オルトケイ酸塩、酢酸塩、メチル化物やエチル化物などのアルキル金属化合物、アルキル酸塩、芳香族系酸塩、ジカルボン酸塩、アルコキシ金属化合物などが挙げられる。
アルキル金属化合物の例としては、酸化ジブチル錫、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリブトキシド等が挙げられる。
アルキル酸塩の例としては、ラウリル酸アルミニウム、ラウリル酸マグネシウム、オレイン酸アルミニウム、オレイン酸マグネシウム、ステアリル酸アルミニウム、ステアリル酸マグネシウム等が挙げられる。
トナー像用トナー中の多価金属元素の確認とその量の測定は、蛍光X線分析装置(WDX)「XRF−1700」((株)島津製作所製)を用いて行うことができる。測定方法としては、サンプルのトナー像用トナー2gを加圧してペレット化し、定性、定量分析にて測定を行う。
尚、本発明において、1価の金属化合物を用いたのでは、トナー像用トナーを作製することが困難である。
《箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法》
箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法は、
1.トナー像用トナーを電子写真画像作製装置に装填して画像支持体上にトナー像を作製する工程、
2.画像支持体上のトナー像面と転写箔の転写箔層とを重ね合わせて箔転写装置を通し加熱加圧する工程、
3.加熱された画像支持体を冷却後、転写箔のベースフィルムを剥がして箔画像を作製する工程、
4.箔画像が作製された画像支持体の上に電子写真画像作製装置を用いてトナー画像を作製してプリント物を作製する工程
を経る方法である。
図1は、箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法の一例を示す模式図である。
図1において、Aは画像支持体上にトナー像を作製する工程、Bは箔転写装置を通し加熱加圧する工程、Cは転写箔のベースフィルムを剥がして箔画像を作製する工程、Dは箔画像とトナー画像を有するプリント物を作製する工程、10は画像支持体上にトナー像を作製したプリント物、1は画像支持体、2はトナー像、20は転写箔、11はベースフィルム、12は離型層、13は着色層、14は接着層、15は転写箔層、30はトナー像上に転写箔を転写し箔画像を作製したプリント物、40は箔画像とトナー画像を作製したプリント物、3はトナー画像を示す。
トナー像を作製したプリント物10とは、画像支持体1の表面にトナー像を作製したものである。
転写箔20とは、ベースフィルム11の上に離型層12、着色層13、接着層14の順で設けた転写箔層15を有するものである。
箔画像を作製したプリント物30とは、トナー像2の上に転写箔層15を融着して得られたものである。
箔画像とトナー画像を作製したプリント物40とは、箔画像を作製したプリント物30の画像支持体にトナー画像3をさらに作製して得られたものである。
図1のAの工程は、電子写真画像作製方法を採用した電子写真画像作製装置を用い、画像支持体1上にトナー像用トナーからなるトナー像2を有するプリント物を作製する工程である。
図1のBの工程は、加圧加熱ロールを有する転写箔転写装置を用い、画像支持体上のトナー像2の面と転写箔の転写箔層15の面とを重ね合わせ加熱加圧する工程である。この工程で、トナー像2と転写箔層15とが接着(融着)する。
図1のCの工程は、トナー像2と転写箔層15とが接着(融着)した後、画像支持体1と転写箔20を冷却し、画像支持体1からベースフィルム11を剥がし、トナー像2上に箔画像を有するプリント物30を作製する工程である。
図1のDの工程は、転写箔層15を有する画像支持体上に、さらに電子写真画像作製装置を用い、トナー画像3を作製し、箔画像とトナー画像を有するプリント物40を作製する工程である。
以下、各工程について説明する。
《トナー像を有するプリント物の作製》
本発明に係るトナー像を有するプリント物を作製する方法は、少なくとも以下の工程を有するものである。すなわち、
(1)感光体上に静電潜像を作製する静電潜像作製工程、
(2)トナー像用トナーを含有する現像剤を用いて感光体上に作製された静電潜像を現像してトナー像を作製する現像工程、
(3)トナー像を画像支持体上に転写する転写工程、
(4)転写されたトナー像を画像支持体に加熱定着する定着工程
である。
なお、上記4つの工程以外に、他の工程を有していてもよい。例えば、トナー像を転写した後、感光体表面に残留するトナー像用トナーを除去するクリーニング工程を有するものが好ましい。また、転写工程では、感光体より画像支持体上へのトナー像用トナーの転写を、中間転写体を介して行うものでもよい。
図2は、画像支持体上にトナー像を有するプリント物を作製する工程で用いる電子写真画像作製装置の一例を示す模式図である。
図2において、AAは電子写真画像形成装置、50は感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電器(帯電手段)で、感光体50周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像作製での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
感光体への一様帯電の後、像露光手段としての像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザーダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体上の走査がなされ、静電潜像が作製される。
帯電器52により感光体表面を一様に帯電し、像露光が行われた領域、即ち感光体の露光部電位(露光部領域)を現像工程(手段)により顕像化する。一方、未露光部電位は現像スリーブ541に印加される現像バイアス電位により現像されない。
次に、静電潜像は現像手段としての現像器54で現像される。感光体50周縁にはトナー像用トナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられ、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541により現像が行われる。現像器54内部は現像剤攪拌搬送部材544、543、搬送量規制部材等から構成され、現像剤は攪拌、搬送されて現像スリーブに供給されるが、その供給量は該搬送量規制部材により制御される。該現像剤の搬送量は適用される感光体の線速及び現像剤比重によっても異なるが、一般的には20〜200mg/cm2 の範囲である。
なお、図中の70は感光体、帯電器、転写器、分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。本発明に係るトナー像用トナーは、前述した範囲の径を有する小型の現像器で高速現像を行うことが可能なので、プロセスカートリッジ仕様の画像作製装置には特に好ましく使用される。
また、本発明に係るトナー像用トナーを用いる画像作製方法で実施可能な定着方法は、特に限定されるものではなく、公知の定着方式により対応が可能である。公知の定着方式としては、加熱ローラと加圧ローラからなるローラ定着方式、加熱ローラと加圧ベルトからなる定着方式、加熱ベルトと加圧ローラで構成される定着方式、加熱ベルトと加圧ベルトからなるベルト定着方式等がありいずれの方式でもよい。また加熱方式としてはハロゲンランプによる方式、IH定着方式など、公知のいずれの加熱方式を採用することができる。
《箔画像を有するプリント物の作製》
箔画像を有するプリント物は、加圧加熱ロールを有する転写箔転写装置を用い、画像支持体上のトナー像面と転写箔層とを重ね合わせ加熱加圧する工程と、冷却後転写箔のベースフィルムを剥離する工程を経て作製される。この工程で、トナー像用トナーと転写箔層の接着層とが接着され、接着された部分のみの転写箔層がベースフィルムから剥離され、トナー像の部分にのみ転写箔層が転写されることで箔画像を有するプリント物が作製される。
図3は、箔画像を有するプリント物を作製する工程で用いる転写箔転写装置の一例を示す模式図である。
図3において、BBは転写箔転写装置、1は画像支持体、2はトナー像、10はトナー像を有するプリント物、11はベースフィルム、15は転写箔層、20は転写箔、100は加熱ロール、101はアルミニウム製基体上にシリコーンゴム層を配置したもの、102は熱源、200は加圧ロール、201はアルミニウム製基体上にシリコーンゴム層を配置したもの、202は加圧スプリング、矢印はプリント物の搬送方向を示す。
先ず、トナー像を有するプリント物10のトナー像2の面と転写箔20の転写箔層15を対向させて重ね合わせて下記仕様の転写箔転写装置に挿入し、加熱ロールと加圧ロールで加熱圧着された状態で画像支持体と転写箔とが排出される。
転写箔転写装置の仕様
(加熱加圧ロールの仕様)
加熱ロール:外径100mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体上に厚さ3mmのシリコーンゴム層を配置したもの
加圧ロール:外径80mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体上厚さ3mmのシリコーンゴム層を配置したもの
熱源:加熱ロールの内部にハロゲンランプを配置(サーミスタにより温度制御)
加熱ロールと加圧ロールのニップ幅:7mm
(加熱ロールの温度設定)
加熱ロールの表面温度:130℃に設定
(搬送速度)
23mm〜80mm/sec
尚、転写箔転写装置としては、図3に示す装置を用いることができるが、電子写真画像作製装置の定着装置の温度、圧力条件等を変えることで用いることもできる。
《箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製》
箔画像とトナー画像を有するプリント物は、箔画像が作製されたプリント物に、さらにトナー画像を作製して作製することができる。
トナー画像を作製する装置としては、前記のトナー像の作製で用いた画像作製装置やカラー画像作製装置を用いることができる。
尚、トナー画像は、画像支持体の上や箔画像の上に作製することができる。
転写箔とトナー画像を有するプリント物は、画像の装飾性が要求される用途の他に、偽造防止、セキュリティ用途としても用いることができる。
次に、本発明で用いられる部材について説明する。
《画像支持体》
画像支持体としては、電子写真画像作製方法に用いることができるものであれば特に制限はなく、例えば紙、プラスチック、金属、木材、布、天然または合成の皮革等が用いられる。
《転写箔》
転写箔の種類としては、金属箔、カラー顔料箔、ホログラム箔等、種々のものがあるが、本発明ではその種類は限定されるものではない。
本発明で用いる転写箔としては、市販のホットメルトタイプの転写箔を挙げることができる。中でも軟式ビニルまたはプラスチックに転写することを目的とした転写箔が好適に用いられる。
転写箔の一例としては、ベースフィルムの上に離型層、着色層、必要に応じ接着層を順次積層した層構成のものを挙げることができる。
転写箔の層構成の一例を、図1に記載する。
図1において、20は転写箔、11はベースフィルム、12は離型層、13は着色層、14は接着層、15は転写箔層を示している。
〈ベースフィルム〉
ベースフィルムとしては、転写箔層転写装置の加熱加圧に耐え、ベースフィルムの上に転写箔層を設けることができるものが用いられる。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂シートが用いられる。ベースフィルムの厚みは7〜75μmが好ましく、強度と作業性の兼ね合いから10〜20μmがより好ましい。
〈転写箔層〉
転写箔層は、少なくとも、(1)離型層、(2)着色層あるいは反射層、及び(3)接着層で構成される。
(離型層)
離型層は、箔転写時にベースフィルムから転写箔層が離れやすくするために設けるものである。離型層としては、例えば、シリコーン樹脂やオレフィン系樹脂、ワックス等が使用される。
(着色層)
着色層は、トナー像の上に作製されたときに着色像或いは反射像を作製する層である。
本発明において、着色層とは、着色剤を含有する着色剤層、金属等を蒸着した反射層、或いは着色剤層と反射層の両方からなる層の総称を云う。
着色剤層
着色剤層は、少なくとも着色剤とバインダー樹脂から構成される。着色剤は有機顔料、無機顔料、染料等特に限定されない。バインダー樹脂は特に限定されないが、耐熱性の観点からユリア樹脂、メラミン系樹脂等のアミノ系硬化樹脂、セルロース樹脂、アクリル系樹脂等が好ましく用いられる。
反射層
反射層は、メタリックな光沢を有する仕上がりの箔画像を作製するために用いるもので、金属等を用いて公知の方法で反射層を設けることにより作製されたものである。反射層を作製する金属材料としては、例えばアルミニウム、スズ、銀、クロム、ニッケル、金等の単体のほかに、ニッケル−クロム−鉄合金や青銅、アルミ青銅等の合金をしようすることも可能である。反射層を作製する手段としては、例えば蒸着方やスパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法が挙げられる。また、反射層には、例えば水性シーラント加工、エッチング加工、レーザー加工等の公知の加工方法を利用して規則的な模様を付与するパターンニング処理を施すことも可能である。
(接着層)
接着層は、加熱加圧後、冷却されたときトナー像の箔転写面と接着する特性を有する主に樹脂を構成材料とする層である。
接着層を構成する樹脂としては、加熱により軟化し、トナー像の箔転写面と密着した状態で冷却することにより固化して接着力が生じるホットメルト接着剤が用いられる。ホットメルト接着剤としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、塩化ビニル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリエステル系接着剤、アクリル樹脂系接着剤など、任意の熱可塑性樹脂系接着剤が挙げられる。
次に、本発明に係るトナーを用いて箔画像とトナー画像を有するプリント物を得る方法について説明する。
箔画像とトナー画像を有するプリント物の構成は、図1の箔画像とトナー画像を有するプリント物40に記載されている。
図1において、1は画像支持体、2はトナー像、3はトナー画像、15は転写箔層を示す。
次に、本発明で用いられるトナー像用トナーの製造方法について説明する。
《トナー像用トナーの製造方法》
本発明で用いられるトナー像用トナーは、例えば、以下のような工程を経て作製することができる。
(1)離型剤をラジカル重合性単量体に溶解或いは分散する溶解/分散工程
(2)ラジカル重合性単量体を重合して離型剤を含有した樹脂微粒子の分散液を調製する重合工程
(3)水系媒体中で樹脂微粒子の分散液中に、塩析剤(多価金属化合物)を添加して凝集、融着してー母体粒子を得る凝集、融着工程
(4)必要に応じ多価金属化合物又はその水溶液を添加して、トナー母体粒子中に多価金属化合物を含有させる工程
(5)トナー母体粒子を熱エネルギーにより熟成して形状を調整する熟成工程
(6)トナー母体粒子分散液を冷却した後、固液分離し、当該トナー母体粒子から界面活性剤などを洗浄して除去する洗浄工程
(7)洗浄処理されたトナー母体粒子を乾燥する乾燥工程
また、必要に応じて乾燥工程の後に、
(8)乾燥処理されたトナー母体粒子に外添剤を添加する工程を有する場合もある。
本発明で用いられるトナー像用トナーの各製造工程について説明する。
(1)溶解/分散工程
この工程では、ラジカル重合性単量体に離型剤化合物を溶解させて、離型剤化合物を混合したラジカル重合性単量体溶液を調製する工程である。
(2)重合工程
この重合工程では、界面活性剤を含有した水系媒体中に、離型剤化合物を混合したラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を作製させ、次いで水溶性のラジカル重合開始剤を添加し、当該液滴中において重合反応を進行させる。尚、前記液滴中に油溶性重合開始剤が含有されていてもよい。
重合工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の作製)処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌又は超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
この重合工程により、離型剤と樹脂とを含有する樹脂微粒子が得られる。かかる樹脂微粒子は、着色された微粒子であってもよく、着色されていない微粒子であってもよい。着色された樹脂微粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。又、着色されていない樹脂微粒子を使用する場合には、後述する凝集、融着工程において、樹脂微粒子の分散液に、着色剤微粒子の分散液を添加し、樹脂微粒子と着色剤微粒子とを融着させることでトナー母体粒子とすることができる。
(3)凝集、融着工程
凝集、融着工程では、重合工程により得られた樹脂微粒子を水系媒体中で塩析/融着してトナー母体粒子を作製する。また、当該凝集、融着工程では、樹脂微粒子とともに、離型剤微粒子や荷電制御剤などの内添剤微粒子を凝集、融着させることができる。
なお、ここでいう「塩析/融着」とは、凝集と融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うことをいう。
前記凝集、融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
好ましい凝集、融着方法である塩析/融着法は、樹脂微粒子が存在している水中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩及び3価の塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、且つ融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。
ここで、塩析剤としては、本発明に係る多価金属化合物、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を挙げることができる。
アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。
(4)多価金属化合物を含有させる工程
この工程は、塩析/融着後、必要に応じ多価金属化合物やその水溶液を添加して、トナー母体粒子中に多価金属化合物を含有させる工程である。
多価金属化合物の添加量は、塩析剤として用いた多価金属化合物の量や、新たに添加する多価金属化合物の種類や、この後の工程で行う洗浄工程での洗浄状態に合わせて決められる。
(5)熟成工程
熟成工程では、トナー母体粒子の表面が平滑で均一な形状を有するものになるように制御する。好ましくは、凝集、融着工程で加熱温度を低めにしてトナー母体粒子同士の融着の進行を抑制させて均一化を促進させ、熟成工程で加熱温度を低めに、かつ、時間を長くしてトナー母体粒子の表面が平滑で均一な形状のものに制御する。
(6)冷却工程・固液分離・洗浄工程
冷却工程では、前記トナー母体粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
固液分離・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却されたトナー母体粒子の分散液から当該トナー母体粒子を固液分離する固液分離処理と、固液分離されたトナーケーキ(ウエット状態にあるトナー母体粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。固液分離方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
(7)乾燥工程
乾燥工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥処理し、乾燥されたトナー母体粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥されたトナー母体粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理されたトナー母体粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサ、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(8)外添処理工程
外添処理工程は、乾燥されたトナー母体粒子に必要に応じ外添剤を混合し、トナーを作製する工程である。
外添剤の添加により、トナー像用トナーの流動性や帯電性が改良され、また、クリーニング性の向上等が実現される。外添剤の種類は特に限定されるものではなく、たとえば、以下に挙げる無機微粒子や有機微粒子、滑剤が挙げられる。
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することが可能で、たとえば、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等が好ましいものとして挙げられる。また、必要に応じてこれらの無機微粒子を疎水化処理したものも使用可能である。
シリカ微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
チタニア微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
アルミナ微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
また、有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。好ましくは、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を挙げることができる。
また、クリーニング性や転写性をさらに向上させるために滑剤を使用することも可能であり、たとえば、以下の様な高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。すなわち、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩が挙げられる。
これら外添剤や滑剤の添加量は、トナー像用トナー全質量に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。また、外添剤や滑剤の添加方法としては、タービュラーミキサ、ヘンシェルミキサ、ナウターミキサ、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用して添加する方法が挙げられる。
《現像剤》
トナー像用トナーを現像剤として用いる場合、トナー像用トナーを単独で用いる一成分系現像剤でも、また、トナー像用トナーとキャリアからなる二成分系現像剤であっても、いずれも本発明の効果を発現する良好な画像作製を実現することができる。
また、二成分現像剤として用いる場合に使用されるキャリアは、特に制限されるものではなく、公知のキャリアや樹脂被覆キャリアを使用することができる。
《トナー画像を作製するトナー》
トナー画像を作製するトナーは、公知のトナーを用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。
《トナー像用トナーの作製》
トナー像用トナーは以下のようにして作製した。
(一般式(1)で示されるビニル系単量体の準備)
一般式(1)で示されるビニル系単量体として前記「化合物1〜6」を準備した。
(樹脂微粒子分散液1の作製)
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム1.5質量部をイオン交換水1300質量部に溶解させた溶液を仕込み、80℃に加熱後、下記重合性単量体を含む混合液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CREARMIX(エム・テクニック社製)」により30分間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
混合液
スチレン 125質量部
n−ブチルアクリレート 45質量部
メタクリル酸 8.5質量部
化合物1 11.4質量部
n−オクチルメルカプタン(NOM) 0.77質量部
エレクトールWEP−3(離型剤) 77質量部
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム(KPS)6.3質量部をイオン交換水120質量部溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて1時間にわたって加熱撹拌して重合を行い、樹脂微粒子分散液を調製した。
(第2段重合)
上記の樹脂微粒子分散液に過硫酸カリウム10.7質量部をイオン交換水203質量部に溶解した溶液を添加し、82℃の温度条件下に、下記重合性単量体を含む混合液を1.5時間かけて滴下した。
混合液
スチレン 390質量部
n−ブチルアクリレート 139質量部
メタクリル酸 26.6質量部
化合物1 35.5質量部
n−オクチルメルカプタン(NOM) 13.2質量部
滴下終了後、1時間にわたって加熱撹拌して重合を行った後、28℃まで冷却し「樹脂微粒子分散液1」を作製した。
(樹脂微粒子分散液2〜10の作製)
樹脂微粒子分散液1の作製で用いた重合性単量体、化合物1とその質量%、離型剤、重合開始剤、連鎖移動剤の質量部等を、表1のように変更した以外は同様にして「樹脂微粒子分散液2〜10」を作製した。
表1は、樹脂微粒子分散液1〜10の作製で用いた重合性単量体、一般式(1)で表される化合物とその質量%、離型剤、重合開始剤、連鎖移動剤の質量部等を示す。
〈トナー像用トナー1の作製〉
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、「樹脂微粒子分散液1」を固形分換算で462質量部と、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2.0質量部とイオン交換水1200質量部とを仕込み、液温を25℃に調整した後、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム75質量部をイオン交換水75質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、20分間かけて添加し、3分間保持した後に昇温を開始し、この系を粒径が3μmに達する温度まで昇温し、その温度を保持したまま回転数を下げ粒子成長反応(凝集)を継続した。
この状態で、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、5.8μmの粒子径になった時点で、回転数を上げ、塩化ナトリウム215質量部をイオン交換水860質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。
さらに、熟成工程として円形度が増加する温度まで加熱し、その温度を保持することにより、「FPIA−2100」(シスメックス社製)による測定で平均円形度0.935になるまで、粒子間の融着を進行させつつ、トナー母体粒子を作製し、その後、液温30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。
上記の工程にて生成したトナー母体粒子をバスケット型遠心分離機「MARKIII型式番号60×40」(松本機械(株)製)で固液分離し、トナー母体粒子のトナーケーキを作製し、このトナーケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が1.0質量%となるまで乾燥して「トナー母体粒1」を作製した。
次いで、上記で作製した「トナー母体粒子1」に疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)を1質量%添加し、「ヘンシェルミキサ」(三井三池化工機社製)により混合した。その後、45μmの目開きのフルイを用いて粗大粒子を除去し「トナー像用トナー1」を作製した。
尚、トナー像用トナー1中に塩化マグネシウムが含有していることは、WDXを用い、マグネシウム元素量で確認した。
〈トナー像用トナー2〜10の作製〉
トナー像用トナー1の作製で用いた樹脂微粒子分散液1を、「樹脂微粒子分散液2〜10」に変更した以外は同様にして「トナー像用トナー2〜10」を作製した。
〈トナー像用トナー11の作製〉
トナー像用トナー1の作製で用いた塩化マグネシウム75質量部を、「塩化マグネシウム」55質量部と「塩化アルミニウム」10質量部に変更した以外は同様にして「トナー像用トナー11」を作製した。
〈トナー像用トナー12の作製〉
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、「樹脂微粒子分散液1」を固形分換算で462質量部と、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2.0質量部とイオン交換水1200質量部とを仕込み、液温を25℃に調整した後、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム75質量部をイオン交換水75質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、20分間かけて添加し、3分間保持した後に昇温を開始し、この系を粒径が3μmに達する温度まで昇温し、その温度を保持したまま回転数を下げ粒子成長反応(凝集)を継続した。
この状態で、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、5.8μmの粒子径になった時点で、回転数を上げ、塩化ナトリウム215質量部をイオン交換水860質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止した。
その後、「ラウリル酸マグネシウム」30質量部を添加し、混合撹拌を行った。
さらに、熟成工程として円形度が増加する温度まで加熱し、その温度を保持することにより、「FPIA−2100」(シスメックス社製)による測定で平均円形度0.935になるまで粒子間の融着を進行させつつトナー母体粒子を作製し、その後、液温30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。
上記の工程にて生成したトナー母体粒子をバスケット型遠心分離機「MARKIII型式番号60×40」(松本機械(株)製)で固液分離してトナー母体粒子のトナーケーキを作製し、このトナーケーキを前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が1.0質量%となるまで乾燥して「トナー母体粒12」を作製した。
次いで、上記で作製した「トナー母体粒子12」に疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)を1質量%添加し、「ヘンシェルミキサ」(三井三池化工機社製)により混合した。その後、45μmの目開きのフルイを用いて粗大粒子を除去し「トナー像用トナー12」を作製した。
〈トナー像用トナー13の作製〉
トナー像用トナー1の作製で用いた塩化マグネシウムを、「塩化ナトリウム」に変更してトナー母体粒子の作製を試みたが、トナー母体粒子を得ることができなかった。
〈トナー像用トナー14の作製〉
トナー像用トナー1の作製で用いた塩化マグネシウムを用いないで、トナー母体粒子の作製を試みたが、トナー母体粒子を得ることができなかった。
表2に、トナー像用トナー1〜14の作製で用いた、樹脂微粒子分散液、多価金属化合物を示す。
〈現像剤の調製〉
フェライトコア粒子100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子5質量部を攪拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間攪拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコア粒子の表面に樹脂コート層を作製し、体積基準のメディアン径(D50)が60μmのフェライトキャリアを得た。
上記で作製した「トナー像用トナー1〜12」の各々に対し、上記キャリアをトナー濃度が4質量%になるようにV型混合機にて混合し、「トナー像用現像剤1〜12」を調製した。
《転写箔の準備》
転写箔として金箔「BL 2号金2.8」、ホログラム箔「KP015YPP」(いずれも(株)村田金箔製)を準備した。
《箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製》
〈トナー像を有するプリント物の作製〉
(トナー像を有するプリント物1の作製)
トナー像を有するプリント物を作製する画像作製装置としては、「Bizhub Pro6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)」を用いた。
トナー像は、上記で作製した「トナー像用トナー1」と「トナー像用現像剤1」を上記画像作製装置に装填し、A4サイズの「OKトップコート紙(坪量157g/m)」(王子製紙社製)へのトナー付着量を4g/mに調整して、縦15cm、横15cmの範囲に幅2mmの格子画像と2×5cmのべた画像を形成し、「トナー像を有するプリント物1」を作製した。
(トナー像を有するプリント物2〜12の作製)
トナー像を有するプリント物1の作製で用いた「トナー像用トナー1」と「トナー像用現像剤1」を「トナー像用トナー2〜12」と「トナー像用現像剤2〜12」に変更した以外は同様にして「トナー像を有するプリント物2〜12」を作製した。
〈箔画像を有するプリント物の作製〉
(箔画像を有するプリント物1の作製)
箔画像を有するプリント物1の作製は以下のようにして作製した。
上記で作製した「トナー像を有するプリント物1」のトナー像面と転写箔「金箔BL 2号金2.8」の転写箔層が接するように重ね合わせ、下位条件に設定した図3に示す転写箔転写装置を用い、加熱加圧ロール間を通した。室温まで冷却した後、画像支持体から転写箔のベースフィルムを剥がし、トナー像面へ転写箔層の転写を行い、2mm幅の格子と2×5cmのベタの「箔画像を有するプリント物1」を作製した。
転写箔転写装置の設定条件
加熱ロール表面の温度を130℃に設定
画像支持体搬送速度:73mm/sec
画像支持体搬送方向:A4サイズの上記画像支持体を縦方向に搬送
環境:常温常湿環境(温度20℃、相対湿度50%RH)
(箔画像を有するプリント物2〜12の作製)
箔画像を有するプリント物1の作製で用いたトナー像用トナー1とトナー像用現像剤1を、「トナー像用トナー2〜12」と「トナー像用現像剤2〜12」へ変更した以外は同様にして「箔画像を有するプリント物2〜12」を作製した。
(箔画像を有するプリント物13の作製)
「箔画像を有するプリント物13」は、上記箔画像を有するプリント物1の作製で用いた、金箔をホログラム箔「KP015YPP」に変更した以外は同様にして作製した。
〈箔画像とトナー画像を有するプリント物1〜13の作製〉
「箔画像とトナー画像を有するプリント物1〜13」は、市販の画像作製装置「Bizhub Pro C500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)」を用い、「OKトップコート紙」上と箔画像上にトナー画像を作製した。
《評価》
〈転写箔層の接着性の評価〉
転写箔層の接着性は、テープ剥離試験法で評価した。
トナー像の上に転写箔層を転写して作製した2mm幅の格子箔画像上に「メンディングテープ」(住友3M製)を貼りつけた後、剥した部分の格子箔画像を目視にて観察し評価した。尚、◎、○を合格とする。
テープ剥離試験法
(1)「メンディングテープ」(住友3M社製:No.810−3−12相当)を軽く張り付ける
(2)1kPaの圧力でテープを3.5回往復擦り付ける
(3)180°の角度、200gの力でテープを剥がす
(4)剥離後の箔画像を目視で観察する
評価基準
◎:格子箔画像に、剥離された部分が無く良好
○:格子箔画像に、剥離された部分が見られるが、実用上問題なし
×:格子箔画像に、剥離された部分が多く、実用上問題有り
〈すじ状欠陥の評価〉
すじ状欠陥は、上記で作製した2×5cmのベタ箔画像をマイクロスコープで10倍に拡大し、すじ状欠陥(箔画像がすじ状に盛り上がっていたり、箔画像に亀裂がすじ状に入っていたりする欠陥)の発生状態を目視で観察し評価した。尚、◎、○を合格とする。
評価基準
◎:ベタ箔画像に、すじ状欠陥の発生がない
○:ベタ箔画像に、すじ状欠陥の発生が見られるが、実用上問題なし
×:ベタ箔画像に、すじ状欠陥の発生が多く見られ、実用上問題有り
表3に、評価結果を示す。
表3に示す様に、本発明の構成を満たす「トナー像用トナー1〜5、7〜12」を用いると、転写箔層の接着性が良好で、すじ状欠陥のない良好な箔画像とトナー画像を有するプリント物が得られることが確認された。
一方、本発明の構成を満たさない「トナー像用トナー6」を用いると、上記評価項目中のいずれかで評価基準を満たしていないことが確認された。

Claims (7)

  1. 少なくとも電子写真画像作製装置にトナー像用トナーを装填して画像支持体上にトナー像を有するプリント物を作製する工程、プリント物のトナー像面と転写箔の転写箔層面を重ねて加熱加圧する工程、加熱加圧されたプリント物と転写箔を冷却したあと、転写箔のベースフィルムを剥がしてトナー像の上に転写箔層を有する箔画像を作製する工程、電子写真画像作製装置にトナー画像用トナーを装填して箔画像を作製した画像支持体上にトナー画像を作製する工程を経る箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法において、前記トナー像用トナーが少なくとも下記一般式(1)で示されるビニル系単量体を用いて得られる樹脂と多価金属化合物を含有することを特徴とする箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法。

    (式中、Rは水素原子又はメチル基、Lは構造中にエステル結合を有する2価の結合基を有する基を示す)
  2. 前記トナー像用トナーを構成する樹脂中の一般式(1)で示されるビニル系単量体成分の割合が、2質量%以上15質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法。
  3. 前記一般式(1)において、基Lが下記式(L1 )または式(L2 )で表わされるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法。

    (式中、mは1〜14の整数、nは1〜10の整数を示す)

    (式中、pは1〜14の整数、qは1〜10の整数を示す。)
  4. 前記トナー像用トナーを構成する多価金属化合物が、2価または3価のものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法。
  5. 前記トナー像用トナーを構成する多価金属化合物が、前記ビニル系単量体1モルに対して0.1〜10モルの割合で含有されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法。
  6. 前記トナー像用トナーを構成する多価金属化合物が、金属元素がアルミニウムまたはマグネシウムのものであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法。
  7. 前記転写箔が、ベースフィルムの上に離型層、着色層および接着層が順次積層されてなるものであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の箔画像とトナー画像を有するプリント物の作製方法。
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