上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を回胴式遊技機に適用した実施例について説明する。
A.回胴式遊技機の装置構成 :
A−1.全体構成 :
図1は、本実施例の回胴式遊技機1(以下、「遊技機1」と略記)の外観を示す正面図である。図1に示すように、遊技機1には、箱状に形成された筐体3と、筐体3の前面側を覆うようにして設けられた前面扉2などが設けられている。前面扉2は、実際に遊技が行われる中段の領域(2ma,2mb)と、遊技の進行に応じて種々の演出が行われる上段の領域2uと、遊技メダルが払い出される下段の領域2dとの大きく3つの領域から構成され、更に中段の領域は、遊技の状態を表示するための遊技状態表示部2maと、遊技を行うための操作部2mbとから構成されている。
上段の領域2uには、中央に演出表示装置10が設けられ、演出表示装置10の左右にはスピーカー14が設けられ、演出表示装置10およびスピーカー14の上方には、各種のランプ類12が設けられている。演出表示装置10は、いわゆる液晶表示装置によって構成されており、遊技の進行状況に合わせて種々の図柄を表示して演出を行うことが可能となっている。
前面扉2の中段に設けられた遊技状態表示部2maの中央には、大きな表示窓20が設けられており、遊技機1の内部に回転可能に設けられた3つの回胴20a,20b,20cを視認可能となっている。後述するように各回胴の外周面には複数種類の図柄が描かれており、本実施例の表示窓20の大きさは、各回胴あたり図柄が3つずつ表示される大きさに設定されている。従って、3つの回胴20a,20b,20bが停止すると、表示窓20には、3行3列の合計9つの図柄が停止表示される。そして、表示窓20内には、これら9つの図柄が停止表示される位置に複数本の入賞ラインが設定されている。図1に示した例では、上段の入賞ラインL1と、中段の入賞ラインL2と、下段の入賞ラインL3と、右斜め上向きの入賞ラインL4と右斜め下向きの入賞ラインL5の合計5本の入賞ラインが設定されている。また、表示窓20の左右および下方には、遊技機1の種々の状態を表示する各種の表示パネル22が設けられている。
前面扉2の中段下部に設けられた操作部2mbは、手前に向かって突出した形状に形成されており、その上面には、遊技メダルを投入するための投入口30や、投入ボタン34などが設けられている。図示は省略するが遊技機1の内部には、投入口30から投入された遊技メダルの通路となるメダルセレクタ106や、遊技メダルを受け入れるホッパーが設けられている。メダルセレクタ106は、遊技メダルを主に寸法に基づいて選別する機能を有しており、規格寸法に適合した遊技メダルだけがホッパー内に受け入れられる。さらにメダルセレクタ106にはメダルセンサが内蔵されており、遊技メダルが通過するとメダルセンサによって検出される。また、遊技者は、投入ボタン34を押すことにより、クレジットとして貯留されている遊技メダルを、1ゲームに要する枚数だけ投入(ベット)することができる。尚、遊技メダルの貯留とは、投入口30から遊技機1に投入された遊技メダルの枚数が規定数(1ゲームに要する遊技メダル枚数の上限)を超えた場合に、その超えた分をデータとして記憶しておくこと、あるいは、遊技メダルを実際に払い出す代わりにメダルの払出枚数をデータとして記憶しておくことをいう。
また、操作部2mbの前面には、遊技メダルの投入後に回胴20a,20b,20cの回転を開始させるためのスタートレバー36や、3つの回胴20a,20b,20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38cなどが設けられている。
加えて、操作部2mbには、上面に精算ボタン40、および前面に返却ボタン42が設けられている。ここで、精算ボタン40とは、遊技機1の内部に貯留されている遊技メダルを外部に払い出す際に操作するボタンである。遊技メダルの投入後も、スタートレバー36を操作して回胴20a,20b,20cの回転を開始するまでの間であれば、投入済みの遊技メダルも精算ボタン40を操作することによって払い出すことが可能である。また、返却ボタン42とは、投入口30から投入された遊技メダルが遊技機1の内部で詰まった場合に、遊技メダルの詰まりを解消するために操作されるボタンである。
前面扉2の下段の領域2dには、遊技メダルが払い出される遊技メダル払出口50や、払い出された遊技メダルを受け止める受け皿52などが設けられている。
図2は、3つの回胴20a,20b,20cの外周面に描かれた図柄の配列を示す説明図である。各回胴には、何れも21個の図柄が外周面に描かれている。また、何れの回胴についても、描かれている図柄の種類は同じであるが、図柄の配列については回胴毎に異なる配列に設定されている。
A−2.電気的構成 :
図3は、本実施例に係る遊技機1の電気的構成を示す説明図である。図3に示すように、遊技機1には、主制御基板200を中心として、サブ制御基板220、扉基板240、回胴基板260、電源基板280、中継基板300等がデータを通信可能に接続されて構成されている。これら各種制御基板および基板は、遊技機1の内部に搭載されている。
主制御基板200は、遊技機1で行われる遊技全体の制御を司る基板である。この主制御基板200には、CPU201、ROM202、RAM203などがバスによって互いにデータを通信可能に接続されて搭載されており、扉基板240から、スタートレバー36が操作されたことを示す信号などを受け取って、後述する遊技制御処理を実行しながら、サブ制御基板220や、扉基板240、回胴基板260などに向かって制御コマンド(あるいは制御信号)を送信することにより、これら各種基板の動作を制御している。
サブ制御基板220は、演出の制御を司る基板であり、上述した主制御基板200と同様に、CPU221や、ROM222、RAM223などがバスによって互いにデータを通信可能に接続されて構成されている。また、サブ制御基板220には、各種のランプ類12や、スピーカー14、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどが接続されている。ここで、回胴バックライト20Lとは、各回胴20a,20b,20cの内部に設けられ、回胴の表面に描かれた図柄(図2参照)を裏側から照らすライトである。サブ制御基板220は、主制御基板200から受け取った制御コマンドに基づいて、各種ランプ類12、スピーカー14、演出表示装置10、回胴バックライト20Lにそれぞれ駆動信号を送信することにより、各種の演出を行っている。
扉基板240には、メダルセレクタ106や、投入ボタン34、スタートレバー36、回胴停止ボタン38a,38b,38c、精算ボタン40、各種の表示パネル22などが接続されている。また、この扉基板240は、前述した主制御基板200とデータを通信可能に接続されている。このため、スタートレバー36や、回胴停止ボタン38a,38b,38c、投入ボタン34、精算ボタン40などを操作すると、扉基板240を介して、その信号が主制御基板200に送られるようになっている。また、メダルセレクタ106に内蔵のメダルセンサによって遊技メダルの通過を検出した信号も、扉基板240を介して主制御基板200に送られる。
回胴基板260には、3つの回胴20a,20b,20cをそれぞれ回転させるための回胴モーター24a,24b,24cと、それぞれの回胴の回転位置を検出するための回胴センサ26a,26b,26cなどが接続されている。回胴基板260は、回胴センサ26a,26b,26cによって各回胴20a,20b,20cの回転位置を検出しながら、回胴モーター24a,24b,24cを駆動することにより、それぞれの回胴20a,20b,20cを所望の位置で停止させることが可能となっている。尚、本実施例の遊技機1では、回胴モーター24a,24b,24cとして、いわゆるステッピングモーターが使用されている。
また、メダル払出装置118は、中継基板300を介して、主制御基板200に接続されており、主制御基板200からの制御信号に基づいて、遊技メダルを払い出す動作を行う。
これら各種制御基板および基板で消費される電力は、電源基板280から供給されている。図3では、電源基板280から電力が供給される様子を破線の矢印で表している。図示されているように、主制御基板200およびサブ制御基板220には、電源基板280から直接電力が供給されており、各種基板(扉基板240、回胴基板260、中継基板300)には、主制御基板200を介して電力が供給されている。電源基板280には100Vの交流電圧が供給されており、この電力を規定電圧の直流電圧に変換した後、それぞれの制御基板および基板に供給している。また、電源基板280には、遊技機1の内部に設けられた電源スイッチ120sが接続されており、遊技ホールの管理者が前面扉2を開けて電源スイッチ120sを操作すると、遊技機1に電源が入る。
B.遊技の概要 :
以下では、上記の構成を有する遊技機1において、遊技を進行するために行われる制御の内容について説明するが、その準備として、遊技機1で行われる遊技の概要を説明しておく。
遊技を開始するにあたっては、投入口30に遊技メダルを入れて、遊技を開始するのに必要な枚数(規定数)の遊技メダルの投入(ベット)を行う。本実施例の遊技機1では、規定数が「3枚」に固定されており、遊技メダルを3枚ベットすれば、スタートレバー36の操作が有効化される。また、遊技メダルがクレジットとして予め内部に貯留(記憶)されている場合は、投入ボタン34を押すことによって3枚の遊技メダルをベットすることも可能である。
規定数の遊技メダルを投入して、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが回転を開始する。図2を用いて前述したように、各回胴には複数の図柄が描かれているため、回胴が回転すると、表示窓20では、これら図柄が変動表示されることになる。また、図1を用いて前述したように、各回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cが設けられている。回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されると、操作された回胴停止ボタンに対応する回胴が回転を停止する。そして、3つの回胴20a,20b,20cが停止すると、表示窓20に設定された入賞ライン(L1〜L5)上には、何らかの図柄組合せが得られる。このとき、入賞ライン上に揃った図柄組合せが、何れかの遊技役に対応する図柄組合せであった場合には、その遊技役が成立して、遊技役に応じた特典が遊技者に付与される。
図4は、本実施例の遊技機1に設定されている遊技役の種類を、その遊技役を成立させる図柄組合せ、および遊技役が成立したときに遊技者に付与される特典と対応付けて示した説明図である。図4では、左端の欄に遊技役の種類が表示され、中央の欄には遊技役を成立させる図柄組合せが表示され、右端の欄には遊技役が成立したときに遊技者に付与される特典が表示されている。例えば、最上部に示したボーナス役と呼ばれる遊技役には、「赤セブン」と呼ばれる図柄で揃った図柄組合せ、および「青セブン」と呼ばれる図柄で揃った図柄組合せが対応付けられており、これらの図柄組合せの何れかで揃うと、特典として、遊技者にとって有利なボーナス状態と呼ばれる遊技状態が開始される。詳しくは後述するが、本実施例のボーナス状態では、複数回の遊技に亘ってJAC遊技状態が実行可能となり、このJAC遊技状態では、特典として遊技メダルが付与される後述の遊技役(増加役)が高い確率で成立する。そして、ボーナス状態は、JAC遊技状態を繰り返しながら、ボーナス状態の開始後に所定数(例えば、400枚)の遊技メダルが付与されるまで継続されるので、ボーナス状態が開始されると、遊技者は多量の遊技メダルを獲得することができる。尚、以下では、「赤セブン」の図柄組合せが対応付けられたボーナス役を「赤7のボーナス役」、「青セブン」の図柄組合せが対応付けられたボーナス役を「青7のボーナス役」とも表記し、これらを特に区別しない場合は単に「ボーナス役」と表記する。
また、再遊技役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「リプレイ」の図柄で揃った図柄組合せが対応付けられている。再遊技役の成立(再遊技役に対応付けられた図柄組合せで揃うこと)に対する特典としては、新たな遊技メダルをベットすることなく、もう一度、遊技を行う権利が付与される。すなわち、再遊技役が成立した遊技の次の遊技では、遊技メダルがベットされたものとして、遊技を行うことが可能となる。また、詳しくは後述するが、本実施例の遊技機1には、リプレイタイム状態(RT状態)と呼ばれる遊技状態が設けられている。RT遊技中は、通常の遊技状態(以下、通常状態)に比べて非常に高い確率で再遊技役が成立するようになるため、遊技者は遊技メダルの消費を抑制しながら(遊技メダルあまり減らすことなく)遊技を継続することができる。さらに、本実施例のRT状態中は、RT状態の終了条件の成立を回避するための報知演出が行われるようになっており、報知演出が行われるRT状態は「ART状態」と呼ばれることがある。こうした報知演出は、RT状態の開始後に行われた遊技の回数が所定のART回数に達するまで行われる。
また、ベル役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「ベル」の図柄で揃った図柄組合せが対応付けられており、ベル役の成立に対する特典としては、15枚の遊技メダルが遊技者に付与されるように設定されている。次に、スイカ役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「スイカ」の図柄で揃った図柄組合せが対応付けられており、このスイカ役の成立に対する特典としては、10枚の遊技メダルが遊技者に付与される。さらに、チェリー役という遊技役には、左回胴20aが「チェリー」の図柄であれば、中回胴20bおよび右回胴20cの図柄はどのような図柄であっても構わない図柄組合せが対応付けられており、チェリー役の成立に対する特典としては、2枚の遊技メダルが付与される。
また、前述したボーナス状態中の一般遊技状態で成立するJAC役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「バー」の図柄で揃った図柄組合せが対応付けられており、JAC役が成立すると、前述したJAC遊技状態が開始される。JAC遊技状態は、後述する所定の終了条件が成立すると一旦終了して一般遊技状態に戻り、再びJAC役が成立すると、次のJAC遊技状態が開始される。尚、本実施例の一般遊技状態は、本発明の「第1遊技モード」に相当しており、本実施例のJAC遊技状態は、本発明の「第2遊技モード」に相当している。
また、前述したJAC遊技状態にて高い確率で成立する増加役という遊技役には、左回胴20aおよび右回胴20cが「リプレイ」の図柄であり、中回胴20bが「ベル」の図柄である図柄組合せ(以下では、「リプレイ」−「ベル」−「リプレイ」と表記する)と、左回胴20aおよび右回胴20cが「リプレイ」の図柄であり、中回胴20bが「7」の図柄(赤7、青7の何れでもよい)である図柄組合せ(以下では、「リプレイ」−「7」−「リプレイ」と表記する)とが対応付けられており、増加役の成立に対する特典としては、15枚の遊技メダルが付与されるように設定されている。尚、以下では、「ベル」の図柄で成立した増加役を「ベルの増加役」と表記し、「7」の図柄で成立した増加役を「7の増加役」と表記することがあるものとする。
もちろん、回胴20a,20b,20cが停止したときに、図4に示した何れかの遊技役が必ず成立するとは限らない。何れの遊技役も成立していない場合は、再び規定数の遊技メダルを投入した後、スタートレバー36を操作して回胴を回転させることによって、次の遊技を行う。
C.遊技機の制御内容 :
C−1.遊技制御処理 :
図5は、本実施例の遊技機1において主制御基板200のCPU201が遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図6は、本実施例の遊技機1において主制御基板200のCPU201が行う遊技制御処理の後半部分を示すフローチャートである。この遊技制御処理は、遊技機1に電源が入れられて、更に主制御基板200や、サブ制御基板220に搭載されたROMのチェックサムなどの初期化処理が行われた後に実行される処理である。
図5に示すように、遊技制御処理を開始すると、先ず初めに遊技状態設定処理(ステップ100。以下、ステップを「S」と略記する)を行う。遊技状態設定処理の詳細については後述するが、この処理では、大まかには次のような処理を行う。前述したように遊技状態には、通常の遊技状態(通常状態)の他にボーナス状態およびリプレイタイム状態(RT状態)が設けられており、遊技状態に応じて遊技役の成立し易さや、成立し得る遊技役の種類等が異なっている。遊技状態設定処理では、現在の遊技状態が何れであるかを検出するとともに、遊技状態の終了条件が満たされたか否かを判断し、終了条件が満たされた遊技状態を終了させて、遊技状態を切り換える処理を行う。こうして遊技状態を切り換えることで、遊技が単調になることを回避することが可能となる。
遊技状態設定処理に続いて、投入操作確認処理を行う(S102)。投入操作確認処理では、規定数の遊技メダルが投入(ベット)されたか否かを判断して、規定数の遊技メダルが投入された場合には、スタートレバー36の操作を有効化する処理を行う。前述したように、主制御基板200のCPU201は、メダルセレクタ106に内蔵されたメダルセンサの検出信号や、投入ボタン34の操作信号に基づいて、規定数の遊技メダルが投入されたか否かを判断することができる。尚、投入ボタン34を押すことによって規定数の遊技メダルを投入した場合には、遊技メダルの貯留数から規定数を減算する処理も同時に行われる。
投入操作確認処理でスタートレバー36の操作を有効化したら、次に、精算ボタン40が操作されたか否かの確認を行う(S104)。スタートレバー36の操作が検出される前であれば、投入した遊技メダルも含めてメダルを精算することが可能となっている。そして、精算ボタン40が操作された場合には(S104:yes)、精算処理を行うことにより、データとして貯留されている遊技メダルおよび投入した遊技メダルを払い出す(S106)。遊技メダルの払い出しは、主制御基板200のCPU201からメダル払出装置118に向けて、払い出すべき遊技メダルの枚数を指示する制御信号を送信することによって行われる。こうして遊技メダルを払い出したら、遊技の開始前の状態(S100)に戻って、以降の処理を行う。
一方、精算ボタン40が操作されていない場合は(S104:no)、スタートレバー36が操作されたか否かを判断する(S108)。前述したように、主制御基板200のCPU201は、スタートレバー36の操作信号に基づいて、スタートレバー36が操作されたか否かを判断することができる。スタートレバー36が操作されていない場合は(S108:no)、精算ボタン40の操作の有無を確認しながら(S104)、スタートレバー36が操作されるまで待機する。そして、スタートレバー36が操作された場合は(S108:yes)、内部抽選処理を開始する(S110)。
内部抽選処理では、図4を用いて前述した遊技役の中から成立を許容する遊技役(当選役)を、抽選によって決定する処理を行う。但し、この抽選で何れかの遊技役に当選した(成立が許容された)としても、直ちに遊技役が成立するわけではなく、回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作することにより、当選した遊技役に対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えなければ遊技役を成立させることはできない。また逆に、抽選で当選した遊技役でなければ、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作したとしても、対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えることはできないようになっている。そうした意味で、この抽選は、図柄組合せを揃えて遊技役を成立させるための前提条件として、内部的に行われる抽選であることから「内部抽選」と呼ばれている。また、内部抽選に当選した状態は、内部当選状態(あるいは単に、内部当選)と呼ばれている。
この内部抽選は、抽選テーブルと呼ばれる専用のテーブルを用いて行われており、抽選テーブルには、遊技役と内部抽選用乱数値との対応関係が設定されている。ここで、内部抽選用乱数値とは、主制御基板200のCPU201がスタートレバー36の操作信号を受け取った際に取得する乱数の値である。内部抽選用乱数を2バイトデータとすれば、0〜65535の範囲の乱数値を取ることが可能である。尚、この抽選用の乱数は、主制御基板200に搭載された専用の乱数発生回路を用いてハードウェア的に生成することもできるし、乱数発生用のプログラムを用いてソフトウェア的に生成することも可能である。
図7は、最も一般的な遊技状態である通常状態中に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図7(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数の範囲が示されている。また、図7(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が模式的に示されている。図示されているように、通常状態用の抽選テーブルでは、「ベル役」に対しては0〜11999の乱数値が設定されている。これは、取得した乱数値がこの範囲にあった場合には、ベル役に内部当選することを表している。
また、「スイカ役」に対しては12000〜14999の乱数値が設定され、「チェリー役」には15000〜17999の乱数値が設定され、「赤7のボーナス役」には18000〜18499の乱数値が設定され、「青7のボーナス役」には18500〜18999の乱数値が設定されている。さらに、「再遊技役」には19000〜30999の乱数値が設定されている。尚、31000〜65535の乱数値には、何れの遊技役も設定されておらず、従って、取得した乱数値がこの範囲にあった場合は「ハズレ」となる。
ここで、本実施例の遊技機1では、「ベル役」がベル役A〜ベル役Cの3種類で構成されており、対応付けられている図柄組合せ(3つの回胴20a,20b,20cが「ベル」の図柄で揃った図柄組合せ)は共通であるものの、内部当選は個別に判定される。
図8は、ベル役に対して設定された乱数値の詳細な割り当てを示した説明図である。前述したようにベル役に対しては0〜11999の乱数値が設定されており、このうち0〜3999の範囲の乱数値を取得した場合はベル役Aに内部当選する。同様に、4000〜7999の範囲の乱数値を取得した場合はベル役Bに内部当選し、8000〜11999の範囲の乱数値を取得した場合はベル役Cに内部当選する。
また、本実施例の遊技機1では、3種類のベル役(A〜C)に、それぞれ異なる押し順(回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作順序)が予め対応付けられており、3種類のベル役の何れかに内部当選したとしても、内部当選したベル役に対応する押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作しない限り、ベル役の図柄組合せが入賞ライン上に揃わないようになっている。図8には、3種類のベル役の各々に対応する押し順が合わせて示されており、ベル役Aに対しては、3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cの中で左側の回胴停止ボタン(左停止ボタン)38aを最初に操作する押し順が設定されている。同様に、ベル役Bに対しては、中央の回胴停止ボタン(中停止ボタン)38bを最初に操作する押し順が設定されており、ベル役Cに対しては、右側の回胴停止ボタン(右停止ボタン)38cを最初に操作する押し順が設定されている。
内部抽選処理(図5のS110)では、以上のように、スタートレバー36が操作された際に取得した内部抽選用乱数値と、抽選テーブルとを参照することによって、何れの遊技役に内部当選したか、若しくはハズレであるかを判断する。そして、何れかの遊技役に内部当選したら、内部当選した遊技役に対応する内部当選フラグをONに設定する。ここで、内部当選フラグとは、内部抽選の結果を記憶しておくために用いられるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスには、図4に示した遊技役の各々に対応する内部当選フラグが設定されている。尚、内部抽選の結果が「ハズレ」である場合には、何れの内部当選フラグもONに設定されることはない。
内部抽選処理(S110)を終了すると、主制御基板200のCPU201は、サブ制御基板220に対して内部抽選結果伝達コマンドを送信する(S112)。内部抽選結果伝達コマンドには、先の内部抽選処理(S110)で行われた内部抽選の結果を示す情報(何れかの遊技役に内部当選したか、若しくはハズレであるかの情報や、内部当選した遊技役の種類の情報など)が含まれている。
内部抽選結果伝達コマンドをサブ制御基板220に向けて送信すると(S112)、ART回数変更抽選処理を開始する(S114)。ART回数変更抽選処理の詳細については後述するが、この処理では、前述したRT状態の終了条件の成立を回避するための報知演出が行われる遊技の回数(ART回数)を変更するか否かの抽選(ART回数変更抽選)を行うようになっており、本実施例の遊技機1では、JAC遊技状態中にART回数変更抽選を実行可能となっている。そして、ART回数変更抽選処理を終了したら、回胴回転始動処理を行う(S116)。回胴回転始動処理では、所定の条件が満たされているか否かを判断して、条件が満たされている場合は、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる処理を行う。本実施例の遊技機1では、スタートレバー36が操作され、且つ、前回に回胴20a,20b,20cの回転が開始されてから所定時間(例えば、4.1秒)を経過した場合に回胴の回転を開始することとして、各回胴20a,20b,20cにそれぞれ設けられた回胴モーター24a,24b,24cに対して駆動信号を送信することにより、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる。
こうして3つの回胴20a,20b,20cの回転を開始したら、主制御基板200のCPU201は、回胴の回転を停止させる処理(回胴回転停止処理)を行う(S118)。回胴回転停止処理の詳細については後述するが、この処理では、先に行われた内部抽選の結果(内部当選した遊技役)や、ART回数変更抽選の結果や、遊技者によって回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたタイミングや操作順序などに基づいて、3つの回胴20a,20b,20cのそれぞれの回転を停止させる処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、3つの回胴20a,20b,20cを停止させると、その停止位置に基づいて何れかの遊技役が成立したか否かを判断する(S120)。ここで、「遊技役が成立する」とは、遊技役に対応する図柄組合せ(図4参照)が入賞ライン(L1〜L5)に揃って停止表示されることをいう。前述したように、内部抽選処理(S110)で何れかの遊技役に内部当選していても、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すタイミングによっては、その遊技役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃うとは限らない。そこで、主制御基板200のCPU201は、3つの回胴20a,20b,20cの回転を停止させた後、内部抽選で当選した遊技役が成立しているか否かを判断する。
S120の判断の結果、何れの遊技役も成立していない場合は(S120:no)、取りこぼし目確認処理を行う(S122)。本実施例の遊技機1では、前述したRT状態中に「取りこぼし目」と呼ばれる図柄組合せが入賞ライン(L1〜L5)上に停止表示されると、RT状態の終了条件が成立してRT状態が終了となる。本実施例の取りこぼし目は、左回胴20aおよび中回胴20bが「ベル」の図柄であって、右回胴20cが「リプレイ」の図柄である図柄組合せ(以下では、「ベル」−「ベル」−「リプレイ」と表記する)に設定されており、3種類のベル役(A〜C)の何れかに内部当選したにも拘らずベル役の図柄組合せが入賞ライン上に停止表示されない場合には、代わりに取りこぼし目が入賞ライン上に停止表示される。そこで、S122の取りこぼし目確認処理では、RT状態中であるか否かを検出すると共に、取りこぼし目が入賞ライン上に停止表示されたか否かを判断し、RT状態中に取りこぼし目が停止表示された場合は、RT状態を終了させる。そして、取りこぼし目確認処理を終了したら遊技制御処理の先頭に戻って、遊技状態設定処理(S100)以降の上述の処理を行う。
尚、本実施例の遊技機1では、S120の判断において何れの遊技役も成立していなくても、ボーナス役に内部当選している場合は、その内部当選が持ち越され、次回の遊技でも、そのボーナス役に対応する内部当選フラグがONに設定された状態のままとなる。これに対して、ボーナス役以外の遊技役に内部当選している場合は、その内部当選が次回の遊技に持ち越されることなくリセットされてしまう。
一方、S120の判断の結果、何れかの遊技役が成立したと判断された場合は(S120:yes)、先ず初めに、ボーナス役が成立したか否かを判断する(図6のS130)。図4を用いて前述したように、ボーナス役は、「赤セブン」、「青セブン」の何れかの図柄が入賞ライン上に揃った場合に成立する遊技役である。そして、ボーナス役が成立したと判断された場合は(S130:yes)、赤7のボーナス役が成立したか否かを判断する(S132)。ボーナス役には、赤7のボーナス役(「赤セブン」の図柄組合せに対応)と青7のボーナス役(「青セブン」の図柄組合せに対応)の2種類があり、このうち赤7のボーナス役が成立した場合は(S132:yes)、赤7のボーナスフラグをONに設定する(S134)。一方、青7のボーナス役が成立した場合は(S132:no)、青7のボーナスフラグをONに設定する(S136)。
ここで、ボーナスフラグとは、遊技状態をボーナス状態に設定することを示すフラグであり、現在の遊技状態を表す「遊技状態フラグ」と呼ばれるフラグの一種である。ボーナス状態やRT状態といった特殊な遊技状態には、対応する遊技状態フラグがそれぞれ設けられており、これら遊技状態フラグの設定(ON/OFF)に応じて遊技状態を切り換えながら遊技が進行する。本実施例の遊技機1では、赤7のボーナス役の成立で開始されるボーナス状態(以下、赤7のボーナス状態)と、青7のボーナス役の成立で開始されるボーナス状態(以下、青7のボーナス状態)とで別々にフラグが用意されている。そして、ボーナスフラグをONに設定する場合には、その他の遊技状態フラグ(ここではRTフラグ)をOFFに設定する。すなわち、RT状態中にボーナス役が成立した場合には、RT状態を終了してボーナス状態に設定する。こうした遊技状態フラグは、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。また、主制御基板200のCPU201は、S134またはS136でボーナスフラグをONに設定する際には、ボーナス状態が開始されることを示すボーナス開始コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する処理も行う。こうしてボーナスフラグがONに設定された状態で遊技制御処理の先頭に戻ると、遊技状態設定処理(S100)にて遊技状態がボーナス状態に設定されて、以降の一連の処理が行われる。
一方、S130の判断にてボーナス役が成立していない場合は(S130:no)、次に、JAC役が成立したか否かを判断する(S140)。前述したようにJAC役は、ボーナス状態中の一般遊技状態で成立する遊技役である。そして、JAC役が成立した場合は(S140:yes)、JAC態様当選フラグがONに設定されているか否かを判断する(S142)。本実施例の遊技機1には、JAC遊技状態の態様として、通常JAC遊技状態と、通常JAC遊技状態とは遊技者の利益が異なる特殊JAC遊技状態とが設けられており、JAC態様当選フラグは、JAC遊技状態の態様が特殊JAC遊技状態に決定されたことを示すフラグである。詳しくは後述するが、本実施例の遊技機1では、JAC遊技状態の態様をJAC遊技状態中に決定することが可能であり、先のJAC遊技状態中に決定された態様が、次に開始されるJAC遊技状態に反映されるようになっている。そして、JAC態様当選フラグがONに設定されていない場合は(S142:no)、JAC遊技状態の態様を通常JAC遊技状態にすることを示す通常JACフラグをONに設定する(S144)。これに対して、JAC態様当選フラグがONに設定されている場合は(S142:yes)、JAC態様当選フラグをOFFに設定した後(S146)、JAC遊技状態の態様を特殊JAC遊技状態にすることを示す特殊JACフラグをONに設定する(S148)。こうしてJACフラグがONに設定された状態で遊技制御処理の先頭に戻ると、遊技状態設定処理(S100)にてボーナス状態中のJAC遊技状態が設定されて、以降の一連の処理が行われる。尚、JAC態様当選フラグ、通常JACフラグ、特殊JACフラグは、それぞれ主制御基板200のRAM203の所定アドレスに設定されている。また、主制御基板200のCPU201がJACフラグをONに設定することでJAC遊技状態(第2遊技モード)が開始されることから、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明の「第2遊技モード実行手段」に相当している。
一方、S140の判断にてJAC役が成立していない場合は(S140:no)、今度は、再遊技役が成立したか否かを判断する(S150)。そして、再遊技役が成立していた場合は(S150:yes)、再遊技フラグをONに設定する(S152)。再遊技フラグとは、再遊技役が成立したことを記憶しておくためのフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。再遊技フラグがONに設定された状態で遊技制御処理の先頭に戻ると、次回の投入操作確認処理(図5のS102)では、遊技者によって遊技メダルが投入されなくてもスタートレバー36の操作が有効化される。尚、再遊技フラグは、次回の遊技でスタートレバー36の操作が有効化された際にOFFに設定される。
一方、S150の判断にて再遊技役が成立していない場合は(S150:no)、何れかの遊技役が成立したものの(S120:yes)、その遊技役は、ボーナス役、JAC役、再遊技役の何れでもないことから、遊技メダルが付与される遊技役(いわゆる小役)の何れかであると判断される。そこで、成立した小役に応じて遊技メダルを付与する処理(メダル付与処理)を行う(S154)。すなわち、成立した遊技役がベル役、増加役であれば15枚の遊技メダルを付与し、スイカ役であれば10枚の遊技メダルを付与し、チェリー役であれば2枚の遊技メダルを付与する処理を行う。この処理は、主制御基板200の内部で付与する遊技メダルの枚数を求めた後、メダル払出装置118に対して制御信号を送信することによって行われる。また、前述したようにボーナス状態は、所定数(例えば、400枚)の遊技メダルが付与されることで終了することから、S154では、ボーナス状態中に付与した遊技メダルの総数を計数する処理も行う。
こうして成立した遊技役(小役)に応じて遊技メダルを付与したら、ART回数設定処理を行う(S156)。ART回数設定処理の詳細については後述するが、本実施例の遊技機1では、先のART回数変更抽選処理(図5のS114)にてART回数変更抽選に当選したことに基づいて7の増加役が成立すると、ART回数を変更するようになっており、S156の処理では、成立した遊技役が7の増加役であれば、ART回数を増加あるいは減少させる。そして、ART回数設定処理を終了したら、遊技制御処理の先頭に戻り、遊技状態設定処理(図5のS100)以降の上述した処理を行う。
C−2.遊技状態設定処理 :
遊技状態設定処理を説明するに当たって、その準備として、本実施例の遊技機1に設けられている複数の遊技状態、およびこれらの遊技状態の切り換えについてまとめて説明しておく。図9は、本実施例の遊技機1で複数の遊技状態が切り換わる様子を概念的に示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1には、通常状態、ボーナス状態、RT状態の3種類の遊技状態が設けられている。
遊技を開始した直後の遊技状態は「通常状態」であるのが一般的である。そして、通常状態中に「赤7のボーナス役」あるいは「青7のボーナス役」が成立すると、遊技状態は遊技者にとって有利な「ボーナス状態」に切り換わる。本実施例のボーナス状態は、「一般遊技状態」と「JAC遊技状態」とで構成され、ボーナス状態の開始直後は一般遊技状態となり、この一般遊技状態では、前述した内部抽選処理(図5のS110)において、一般遊技状態用の抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。
図10は、一般遊技状態用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図10(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数の範囲が示されており、図10(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が模式的に示されている。図7に示した通常状態用抽選テーブルと比較すると、図10の一般遊技状態用抽選テーブルには、「ボーナス役」や「再遊技役」に対して乱数値が設定されていない代わりに、「JAC役」に対して広範囲の乱数値が設定されている。そのため、ボーナス状態中の一般遊技状態では、ボーナス役や再遊技役が成立することはないが、通常状態では成立し得ないJAC役が成立し得るようになる。そして、JAC役が成立すると、JAC遊技状態が開始される。JAC遊技状態では、JAC遊技状態用の抽選テーブルを用いて、内部抽選処理(図5のS110)が行われる。
図11は、JAC遊技状態用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図11(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数の範囲が示されており、図11(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が模式的に示されている。図7に示した通常状態用抽選テーブルと比較すると、図11のJAC遊技状態用抽選テーブルには、「ベル役」、「スイカ役」、「チェリー役」、「ボーナス役」、「再遊技役」の何れにも乱数値が設定されておらず、その代わりに、「増加役」に対して大部分の乱数値が設定されている。そのため、JAC遊技状態では非常に高い確率で増加役に内部当選し、増加役の成立の度に15枚の遊技メダルが付与される(図4参照)。そして、JAC遊技状態が開始されてから増加役が8回成立するか、あるいは遊技が12回行われると、JAC遊技状態の終了条件が成立してJAC遊技状態が終了となり、一般遊技状態へと戻る。その後、再びJAC役が成立すると、次のJAC遊技状態が開始される。尚、本実施例の遊技機1には、JAC遊技状態の態様として通常JAC遊技状態と特殊JAC遊技状態とが設けられており、参照する抽選テーブルは同じであるものの、遊技者の利益が異なっている。そして、後述するように、赤7のボーナス役の成立で開始されるボーナス状態では、通常JAC遊技状態よりも特殊JAC遊技状態が有利となっているのに対して、青7のボーナス役の成立で開始されるボーナス状態では、通常JAC遊技状態よりも特殊JAC遊技状態が不利となっている。
ボーナス状態は、JAC遊技状態を繰り返しながら、ボーナス状態の開始後に付与された遊技メダルの枚数が所定数(例えば、400枚)に達すると終了し、遊技状態が「RT状態」に切り換わる。RT状態中は、RT状態用の抽選テーブルを用いて、内部抽選処理(図5のS110)が行われる。
図12は、RT状態用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図12(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数の範囲が示されており、図12(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が模式的に示されている。図7に示した通常状態用抽選テーブルと比較すると明らかなように、図12のRT状態用抽選テーブルでは、「再遊技役」の乱数範囲が大幅に拡大されて、その分だけ「ハズレ」の乱数範囲が縮小されている。従って、RT状態中は通常状態中よりも高い確率で再遊技役が成立する。尚、RT状態用抽選テーブルについても、通常状態用抽選テーブルと同様に、ベル役を構成する3種類(A〜C)の各々に乱数値が割り当てられている(図8参照)。
RT状態においても、ボーナス役が成立した場合には、遊技状態が「ボーナス状態」に切り換わる。また、RT状態は、「取りこぼし目」(「ベル」−「ベル」−「リプレイ」)が入賞ライン(L1〜L5)上に停止表示されると終了し、「通常状態」へと戻る。前述したように「取りこぼし目」は、3種類のベル役(A〜C)の何れかに内部当選したにも拘らずベル役の図柄組合せが入賞ライン上に停止表示されない場合に、代わりに入賞ライン上に停止表示される図柄組合せである。本実施例のRT状態中は、ベル役の成立を補助(取りこぼし目の停止表示を回避)するために、内部当選したベル役に対応付けられた押し順(図8参照)を報知する報知演出がサブ制御基板220のCPU221の制御によって行われる。このようにベル役の報知演出が行われるART状態は、RT状態の開始後に行われた遊技の回数がART回数に達するまで継続可能であり、ART回数に達すると、ベル役の報知演出が行われなくなるので、ベル役の成立が困難となって取りこぼし目が入賞ライン上に停止表示されることによりRT状態が終了する。尚、ART回数は、ART回数設定処理(図6のS156)にて設定される。
図13は、本実施例の遊技状態設定処理を示すフローチャートである。遊技状態設定処理を開始すると、先ず初めに主制御基板200のCPU201は、ボーナスフラグがONに設定されているか否かを判断する(S200)。前述したようにボーナスフラグは、ボーナス状態中であることを示す遊技状態フラグであり、ボーナスフラグがONに設定されていない場合は(S200:no)、続いて、RTフラグがONに設定されているか否かを判断する(S202)。前述したようにRTフラグは、RT状態中であることを示す遊技状態フラグであり、RTフラグがONに設定されていない場合は(S202:no)、現在の遊技状態がボーナス状態でもRT状態でもなく、通常状態であると判断される。そこで、通常状態用抽選テーブル(図7)を選択したら(S204)、図13の遊技状態設定処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。
これに対して、S202の判断において、RTフラグがONに設定されている場合は(S202:yes)、RT状態中であると判断し、RT状態用抽選テーブル(図12)を選択すると(S206)、図13の遊技状態設定処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。
一方、S200の判断において、ボーナスフラグがONに設定されている場合は(S200:yes)、ボーナス状態中であると判断し、次に、ボーナス状態の終了条件が成立したか否かを判断する(S208)。前述したようにボーナス状態の開始後に所定数(例えば、400枚)の遊技メダルが付与されると、ボーナス状態の終了条件が成立する。そして、ボーナス状態の終了条件が成立したと判断した場合は(S208:yes)、ボーナス状態を終了するために、ボーナスフラグをOFFに設定し、さらにJAC遊技状態中であることを示すJACフラグ(通常JACフラグ,特殊JACフラグ)がONに設定されていれば、JACフラグもOFFに設定する(S210)。すなわち、ボーナス状態中のJAC遊技状態にてボーナス状態の終了条件が成立すると、その時点でJAC遊技状態も終了となる。また、本実施例の遊技機1では、ボーナス状態が終了すると、遊技状態がRT状態に切り換わるので、RTフラグをONに設定すると共に(S212)、RT状態用抽選テーブル(図12)を選択すると(S206)、図13の遊技状態設定処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。尚、主制御基板200のCPU201は、S212でRTフラグをONに設定する際には、RT状態が開始されることを示すRT開始コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する処理も行う。また、本実施例のRT状態は、本発明の「特別状態」に相当しており、主制御基板200のCPU201がRTフラグをONに設定することでRT状態が実行されることから、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明の「特別状態実行手段」に相当している。
これに対して、S208の判断において、ボーナス状態の終了条件が成立してないと判断した場合は(S208:no)、JACフラグ(通常JACフラグ,特殊JACフラグ)がONに設定されているか否かを判断する(S214)。JACフラグがONに設定されていない場合は(S214:no)、ボーナス状態中の一般遊技状態であると判断し、一般遊技状態用抽選テーブル(図10)を選択すると(S216)、図13の遊技状態設定処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。
一方、JACフラグがONに設定されている場合は(S214:yes)、ボーナス状態中のJAC遊技状態であると判断し、次に、JAC遊技状態の終了条件が成立したか否かを判断する(S218)。前述したようにJAC遊技状態が開始されてから増加役が8回成立するか、あるいは遊技が12回行われると、JAC遊技状態の終了条件が成立する。そして、JAC遊技状態の終了条件が成立したと判断した場合は(S218:yes)、JAC遊技状態を終了するために、JACフラグをOFFに設定する(S220)。また、JAC遊技状態が終了すると一般遊技状態に戻るので、一般遊技状態用抽選テーブル(図10)を選択すると(S216)、図13の遊技状態設定処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。尚、主制御基板200のCPU201がJACフラグをOFFに設定することでJAC遊技状態(第2遊技モード)が終了することから、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明の「第2遊技モード終了手段」に相当している。
これに対して、S218の判断において、JAC遊技状態の終了条件が成立していないと判断した場合は(S218:no)、JAC遊技状態を継続するために、JAC遊技状態用抽選テーブル(図11)を選択する(S222)。尚、本実施例の遊技機1では、JAC遊技状態の態様として通常JAC遊技状態と特殊JAC遊技状態とが設けられているが、何れのJAC遊技状態でも選択する抽選テーブルは同じである。
こうしてJAC遊技状態用抽選テーブルを選択したら、JAC態様当選フラグがONに設定されているか否かを判断する(S224)。本実施例の遊技機1では、JAC遊技状態中にJAC遊技状態の態様を決定可能となっており、前述したようにJAC態様当選フラグは、JAC遊技状態の態様が特殊JAC遊技状態に決定されたことを示すフラグである。そして、JAC態様当選フラグがONに設定されている場合は(S224:yes)、JAC遊技状態の態様が既に特殊JAC遊技状態に決定されていることになるので、そのまま図13の遊技状態設定処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。
一方、JAC態様当選フラグがOFFに設定されている場合は(S224:no)、JAC遊技状態の態様を通常JAC遊技状態または特殊JAC遊技状態に決定するための抽選(JAC態様抽選)を行う(S226)。この抽選は、JAC態様抽選テーブルと呼ばれる専用のテーブルを参照して行われる。尚、JAC態様抽選テーブルは、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。また、JAC態様抽選を実行する本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明の「態様決定手段」に相当している。
図14は、本実施例の遊技機1で用いられるJAC態様抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、JAC態様抽選テーブルには、JAC態様抽選用乱数値とJAC態様抽選の結果との対応関係が設定されている。ここで、JAC態様抽選用乱数値とは、S224でJAC態様当選フラグがONに設定されていないと判断した際に主制御基板200のCPU201が取得する乱数値である。図14に例示したJAC態様抽選テーブルでは、「0〜99」のJAC態様抽選用乱数値のうち、「0〜49」に対して「当選(特殊JAC遊技状態にする)」の抽選結果が設定され、「50〜99」に対して「非当選(特殊JAC遊技状態にしない)」の抽選結果が設定されている。つまり、JAC態様抽選の当選確率は「50%」となっている。
このようなJAC態様抽選テーブルを参照してJAC態様抽選を行うと、抽選に当選したか否かを判断する(S228)。そして、JAC態様抽選に当選した場合、すなわち、取得したJAC態様抽選用乱数値が「当選」に対応する値である場合は(S228:yes)、JAC態様当選フラグをONに設定する(S230)。一方、JAC態様抽選に当選しなかった場合、すなわち、取得したJAC態様抽選用乱数値が「非当選」に対応する値であった場合は(S228:no)、JAC態様当選フラグをONに設定することなく、図13の遊技状態設定処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。尚、本実施例のJAC遊技状態中は、JAC態様抽選に当選するまでの各遊技でJAC態様抽選を行い、抽選に当選することなくJAC遊技状態が終了すると、次に開始されるJAC遊技状態の態様は通常JAC遊技状態となる(図6のS142:no)。一方、JAC態様抽選に当選すると、次に開始されるJAC遊技状態の態様は特殊JAC遊技状態となる(図6のS142:yes)。また、JAC態様抽選は、通常JAC遊技状態中だけでなく特殊JAC遊技状態中にも実行するようになっている。
本実施例の主制御基板200のCPU201は、遊技状態設定処理(S100)を終了して図5および図6の遊技制御処理に復帰すると、遊技メダルの投入やスタートレバー36の操作を確認して内部抽選処理などを行った後(S102〜S112)、以下に説明するART回数変更抽選処理(S114)を実行する。
C−3.ART回数変更抽選処理 :
図15は、本実施例のART回数変更抽選処理を示すフローチャートである。ART回数変更抽選処理を開始すると、先ず初めに、JACフラグ(通常JACフラグ,特殊JACフラグ)がONに設定されているか否かを判断する(S300)。前述したようにJACフラグは、ボーナス状態中のJAC遊技状態であることを示すフラグであり、本実施例の遊技機1では、JAC遊技状態中にART回数を変更(増加あるいは減少)することが可能となっている。JACフラグがONに設定されていない場合は(S300:no)、JAC遊技状態中ではないと判断されるので、そのまま図15のART回数変更抽選処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。
一方、JACフラグがONに設定されている場合は(S300:yes)、次に、増加役に内部当選しているか否かを判断する(S302)。前述したように増加役は、JAC遊技状態中に非常に高い確率で内部当選する遊技役であり、本実施例の遊技機1では、増加役に内部当選する毎にART回数変更抽選(ART回数を変更するか否かの抽選)を行うようになっている。そのため、増加役に内部当選していない場合は(S302:no)、ART回数変更抽選を行うことなく、図15のART回数変更抽選処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。
これに対して、増加役に内部当選している場合は(S302:yes)、続いて、特殊JACフラグがONに設定されているか否かを判断する(S304)。特殊JACフラグがONに設定されている場合は(S304:yes)、特殊JAC遊技状態であると判断し、高確率変更抽選テーブルを選択する(S306)。ここで、変更抽選テーブルとは、ART回数変更抽選で参照する専用のテーブルである。本実施例の遊技機1では、高確率変更抽選テーブルと低確率変更抽選テーブルの2種類の変更抽選テーブルが設けられており、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
一方、特殊JACフラグがONに設定されていない場合は(S304:no)、通常JAC遊技状態であると判断し、JAC態様当選フラグがONに設定されているか否かを判断する(S308)。前述したようにJAC態様当選フラグは、JAC遊技状態の態様が特殊JAC遊技状態に決定されたことを示すフラグであり、JAC態様抽選で当選するとONに設定される(図13のS226〜S230)。そして、JAC態様当選フラグがONに設定されている場合は(S308:yes)、通常JAC遊技状態にてJAC態様抽選に当選した後であると判断し、高確率変更抽選テーブルを選択する(S306)。これに対して、JAC態様当選フラグがONに設定されていない場合は(S308:no)、通常JAC遊技状態にてJAC態様抽選に当選する前であると判断し、低確率変更抽選テーブルを選択する(S310)。尚、JAC態様抽選に当選後の通常JAC遊技状態である場合に高確率変更抽選テーブルを選択する本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明の「態様設定手段」に相当している。
図16は、本実施例の遊技機1で用いられる変更抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図16(a)には高確率変更抽選テーブルが例示されており、図16(b)には低確率変更抽選テーブルが例示されている。図示されるように変更抽選テーブルには、ART回数変更抽選用乱数値とART回数変更抽選の結果との対応関係が設定されている。ここで、ART回数変更抽選用乱数値とは、S302で増加役に内部当選したと判断した際に主制御基板200のCPU201が取得する乱数値である。図16(a)の高確率変更抽選テーブルでは、「0〜99」のART回数変更抽選用乱数値のうち「0〜69」に対して「当選(ART回数を変更)」の抽選結果が設定され、「70〜99」に対して「非当選(ART回数を変更せず)」の抽選結果が設定されている。一方、図16(b)の低確率変更抽選テーブルでは、「0〜99」のART回数変更抽選用乱数値のうち「0」に対してのみ「当選」の抽選結果が設定され、「1〜99」に対して「非当選」の抽選結果が設定されている。図16(a)と図16(b)とを比較すれば明らかなように、図16(a)の高確率変更抽選テーブルは、図16(b)の低確率変更抽選テーブルよりも多くの乱数値に「当選」の抽選結果が設定されている。従って、高確率変更抽選テーブルを参照した場合には、低確率変更抽選テーブルを参照した場合に比べて、高い確率でART回数変更抽選に当選する。
図15のART回数変更抽選処理では、高確率変更抽選テーブルまたは低確率変更抽選テーブルを選択すると、選択した変更抽選テーブルを参照してART回数変更抽選に当選したか否かを判断する(S312)。そして、ART回数変更抽選に当選した場合、すなわち、取得したART回数変更抽選用乱数値が「当選」に対応する値である場合は(S312:yes)、ART回数変更当選フラグをONに設定する(S314)。ここで、ART回数変更当選フラグとは、ART回数変更抽選に当選したことを示すフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。このART回数変更当選フラグは、後述する回胴回転停止処理の中で参照するようになっている。
一方、ART回数変更抽選に当選しなかった場合、すなわち、取得したART回数変更抽選用乱数値が「非当選」に対応する値であった場合は(S312:no)、ART回数変更当選フラグをONに設定することなく、図15のART回数変更抽選処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。尚、ART回数変更抽選を行う本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明の「短縮決定手段」に相当している。
本実施例の主制御基板200のCPU201は、ART回数変更抽選処理(S114)を終了して図5および図6の遊技制御処理に復帰すると、回胴回転始動処理を行って3つの回胴20a,20b,20cの回転を開始させた後(S116)、以下に説明する回胴回転停止処理(S118)を実行する。
C−4.回胴回転停止処理 :
図17は、本実施例の回胴回転停止処理を示すフローチャートである。回胴回転停止処理を開始すると、先ず初めに、回胴20a,20b,20cの回転速度が所定値に達したか否かを判断する(S400)。回胴20a,20b,20cが回転を開始した直後で未だ回転速度が所定値に達していない場合は(S400:no)、回転速度が所定値に達するまで、判断を繰り返しながら待機状態となる。そして、回転速度が所定値に達した場合は(S400:yes)、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作を有効化する(S402)。
続いて、回胴停止ボタン38a,38b,38cの何れかが操作されたか否かを判断する(S404)。前述したように遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、その操作信号が主制御基板200に供給されるので、主制御基板200のCPU201は、この操作信号に基づいて、回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたか否かを判断する。そして、何れの回胴停止ボタンも操作されていない場合は(S404:no)、操作されるまで待機する。
一方、回胴停止ボタン38a,38b,38cの何れかが操作された場合は(S404:yes)、操作された回胴停止ボタンの操作を無効化するとともに(S406)、操作された回胴停止ボタンに対応する回胴が操作時に何れの回転位置にあったかを検出する(S408)。前述したように回胴20a,20b,20cのそれぞれに対応して回胴センサ26a,26b,26cが設けられており(図3参照)、回胴20a,20b,20cの回転位置を検出可能である。そして、その検出結果に基づいて、回胴停止ボタンが操作された回胴を適切な位置で停止させるための処理(回胴停止制御処理)を実行する(S410)。この回胴停止制御処理の詳細については後述するが、本実施例の遊技機1では、回胴の停止位置を、回胴停止ボタンの操作時の回転位置から図柄にして最大で4コマ分回胴が回転する範囲(回胴停止ボタンが操作されてから190msecの間に回胴が回転する範囲)以内で決定し、決定した位置で回胴を停止させるようになっている。
回胴停止制御処理を行って、回胴停止ボタンが操作された回胴を停止させると、3つの回胴20a,20b,20cの全てを停止させたか否かを判断する(S412)。そして、未だ回胴停止ボタンが操作されずに回転中の回胴がある場合は(S412:no)、S404の処理に戻って、操作されていない回胴停止ボタンが操作されるまで待機し、操作されたら続く上述した一連の処理を実行する。こうした処理を繰り返すうちに、全ての回胴20a,20b,20cを停止させた場合は(S412:yes)、図17の回胴回転停止処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。
図18は、回胴回転停止処理の中で実行される回胴停止制御処理を示すフローチャートである。尚、回胴停止制御処理を実行する本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明の「停止制御手段」に相当している。回胴停止制御処理を開始すると、先ず初めに、何れかの遊技役に内部当選しているか否かを判断する(S420)。何れの遊技役にも内部当選していない場合は(S420:no)、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたとしても、遊技役に対応する図柄組合せ(図4参照)が入賞ライン上に揃わないように回胴20a,20b,20cを停止させる(S422)。そして、回胴停止ボタンが操作された回胴を停止させると、図18の回胴停止制御処理を終了して、図17に示した回胴回転停止処理に復帰する。
一方、何れかの遊技役に内部当選している場合は(S420:yes)、ベル役に内部当選しているか否かを判断する(S424)。ベル役に内部当選している場合は(S424:yes)、続いて、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作順序(押し順)が正解であるか否かを判断する(S426)。前述したように3種類のベル役(A〜C)については、予め回胴停止ボタン38a,38b,38cの押し順が対応付けられており(図8参照)、内部当選しているベル役(A〜C)に対応付けられた押し順(正解押し順)で回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作された場合は(S426:yes)、ベル役の図柄組合せ(「ベル」の図柄で揃った図柄組合せ)が入賞ライン上に揃うように回胴20a,20b,20cを停止させる(S428)。尚、前述したようにRT状態の開始後に行われた遊技の回数がART回数に達するまでのART状態では、内部当選したベル役(A〜C)に対応付けられた押し順(図8参照)を報知する報知演出がサブ制御基板220のCPU221の制御によって行われるので、報知された押し順に従って回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すれば、ベル役の図柄組合せを入賞ライン上に揃えることができる。この報知演出は、内部当選したベル役(A〜C)に対応する押し順を演出表示装置10等に表示することで行われる。
これに対して、内部当選しているベル役(A〜C)に対応付けられた押し順とは異なる順序で回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作された場合は(S426:no)、取りこぼし目(「ベル」−「ベル」−「リプレイ」)が入賞ライン上に揃うように回胴20a,20b,20cを停止させる(S430)。尚、前述したようにRT状態中に取りこぼし目が入賞ライン上に揃うと、RT状態が終了となる。こうして回胴停止ボタン38a,38b,38cの押し順に応じて、回胴停止ボタンが操作された回胴を停止させると、図18の回胴停止制御処理を終了して、図17に示した回胴回転停止処理に復帰する。
一方、S424の判断において、ベル役に内部当選していない場合は(S424:no)、次に、増加役に内部当選しているか否かを判断する(S432)。増加役に内部当選している場合は(S432:yes)、続いて、ART回数変更当選フラグがONに設定されているか否かを判断する(S434)。前述したようにART回数変更当選フラグは、ART回数変更抽選に当選したことを示すフラグであり、本実施例の遊技機1では、増加役に内部当選する毎にART回数変更抽選を行うようになっている。そして、ART回数変更当選フラグがONに設定されていない場合は(S434:no)、ベルの増加役の図柄組合せ(「リプレイ」−「ベル」−「リプレイ」)が入賞ライン上に揃うように回胴20a,20b,20cを停止させる(S436)。
これに対して、ART回数変更当選フラグがONに設定されている場合は(S434:yes)、7の増加役の図柄組合せ(「リプレイ」−「7」−「リプレイ」)が入賞ライン上に揃うように回胴20a,20b,20cを停止させる(S438)。こうしてART回数変更当選フラグの設定(ON/OFF)に応じて、回胴停止ボタンが操作された回胴を停止させると、図18の回胴停止制御処理を終了して、図17に示した回胴回転停止処理に復帰する。尚、本実施例における7の増加役の図柄組合せは、本発明の「短縮図柄組合せ」に相当している。
一方、S432の判断において、増加役に内部当選していない場合は(S432:no)、ベル役および増加役以外の遊技役に内部当選していると判断されるので、内部当選した遊技役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃うように、回胴停止ボタンが操作された回胴を停止させると(S440)、図18の回胴停止制御処理を終了して、図17に示した回胴回転停止処理に復帰する。
尚、前述したように回胴20a,20b,20cは、対応する回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されてから図柄にして4コマ分回転する範囲以内で停止しなければならない。また、図2に示したように回胴20a,20b,20cの外周面に配置された複数種類の図柄には、配置数の多い図柄と配置数の少ない図柄とがあるので、内部当選している遊技役の種類によって、いわゆる目押し(対応する図柄を表示窓20内に狙って回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すること)の難易度が異なる。すなわち、「リプレイ」の図柄や「ベル」の図柄は、ほぼ等間隔に多数配置されており、その間隔は3コマから5コマ程度となっているので、再遊技役やベル役や増加役に内部当選すれば、目押しを必要とせずに、当選役に対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えることが可能である。これに対して、「赤7」の図柄、「青7」の図柄、「スイカ」の図柄、「チェリー」の図柄、「バー」の図柄については、配置数が少なかったり、配置に偏りがあったりするので、赤7のボーナス役、青7のボーナス役、スイカ役、チェリー役、JAC役の何れかに内部当選していても、目押しを正確に行わなければ、当選役に対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えることができず、いわゆる「取りこぼし」が発生する。
本実施例の主制御基板200のCPU201は、回胴回転停止処理(S118)を終了して図5および図6の遊技制御処理に復帰すると、遊技役が成立したか否かを判断して、成立した遊技役に応じた特典を付与する(S120〜S154)。そして、特典として遊技メダルを付与する処理(メダル付与処理)を行うと、以下に説明するART回数設定処理(S156)を実行する。
C−5.ART回数設定処理 :
図19は、本実施例のART回数設定処理を示すフローチャートである。ART回数設定処理を開始すると、先ず初めに、成立した遊技役が増加役であるか否かを判断し(S500)、増加役が成立した場合は(S500:yes)、その成立した増加役が7の増加役であるか否かを判断する(S502)。前述したようにボーナス状態中のJAC遊技状態にて高い確率で内部当選する増加役は、「リプレイ」−「ベル」−「リプレイ」の図柄組合せが入賞ライン上に揃って成立する場合(ベルの増加役)と、「リプレイ」−「7」−「リプレイ」の図柄組合せが入賞ライン上に揃って成立する場合(7の増加役)とがあり、増加役に内部当選する毎に行われるART回数変更抽選に当選すると、7の増加役が成立するようになっている。そして、本実施例の遊技機1では、7の増加役が成立した場合にART回数を変更(増加あるいは減少)することが可能となっている。そのため、増加役以外の小役が成立した場合や(S500:no)、ベルの増加役が成立した場合は(S502:no)、そのまま図19のART回数設定処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。
これに対して、7の増加役が成立した場合は(S502:yes)、赤7のボーナスフラグがONに設定されているか否かを判断する(S504)。前述したようにボーナスフラグはボーナス状態中であることを示すフラグであり、赤7のボーナス役の成立で開始されるボーナス状態(赤7のボーナス状態)と、青7のボーナス役の成立で開始されるボーナス状態(青7のボーナス状態)とで別々にフラグが用意されている。そして、赤7のボーナスフラグがONに設定されている場合は(S504:yes)、ART回数に「5」を加算する(S506)。すなわち、赤7のボーナス状態中は、7の増加役が成立する毎にART回数が増加する。また、前述したように特殊JAC遊技状態では通常JAC遊技状態よりも高い確率でART回数変更抽選に当選して7の増加役が成立し易いので、赤7のボーナス状態における特殊JAC遊技状態は通常JAC遊技状態よりも有利である。尚、ART回数は、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに記憶されている。また、本実施例のART回数の初期値は「50」に設定されており、ボーナス状態を開始する際にリセットされる。
一方、赤7のボーナスフラグがONに設定されていない場合は(S504:no)、青7のボーナスフラグがONに設定されていると判断されるので、ART回数から「5」を減算する(S508)。すなわち、青7のボーナス状態中は、7の増加役が成立する毎にART回数が減少する。また、特殊JAC遊技状態では通常JAC遊技状態よりも高い確率でART回数変更抽選に当選して7の増加役が成立し易いので、青7のボーナス状態における特殊JAC遊技状態は通常JAC遊技状態よりも不利である。
こうしてボーナス状態の種類に応じてART回数を増加あるいは減少させると、変更されたART回数を伝達するためのコマンド(ART回数伝達コマンド)をサブ制御基板220に向けて送信する(S510)。このため、サブ制御基板220のCPU221は、ART回数伝達コマンドを受信することによって、変更後のART回数を把握することが可能である。そして、RT状態が開始されると(RT開始コマンドを受信すると)、ART回数の遊技が行われるまでベル役の報知演出を実行する。主制御基板200のCPU201は、ART回数伝達コマンドを送信すると、図19のART回数設定処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、遊技機1で行われる遊技全体を制御している。ここで、前述したように複数回のJAC遊技状態を含んで構成される本実施例のボーナス状態では、JAC遊技状態の態様を通常JAC遊技状態または特殊JAC遊技状態に決定するための抽選(JAC態様抽選)をJAC遊技状態中に行うようになっている。そして、JAC遊技状態中にJAC態様抽選に当選する前と後とでは、ART回数変更抽選に当選する確率が異なり、遊技者の利益が変化する。以下では、このような本実施例のボーナス状態で得られる遊技性について説明する。尚、本実施例の遊技機1では、赤7のボーナス役の成立で開始されるボーナス状態(赤7のボーナス状態)と、青7のボーナス役の成立で開始されるボーナス状態(青7のボーナス状態)とで遊技性が大きく異なっており、先ず初めに、赤7のボーナス状態で得られる遊技性について説明する。
D.本実施例のボーナス状態で得られる遊技性 :
D−1.赤7のボーナス状態における遊技性 :
図20は、赤7のボーナス状態が実行される様子を示したタイムチャートである。前述したように通常状態にて赤7のボーナス役が成立すると、赤7のボーナス状態が開始される。ボーナス状態の開始直後は一般遊技状態に設定され、JAC役が成立可能となる。そして、JAC役が成立すると、増加役が高い確率で成立するJAC遊技状態が開始される。本実施例の遊技機1では、JAC遊技状態の態様として通常JAC遊技状態と特殊JAC遊技状態とが設けられており、ボーナス状態が開始されて最初のJAC遊技状態の態様は通常JAC遊技状態に設定される。図20に示した例では、JAC遊技状態の開始後に増加役が8回連続で成立することで終了条件が成立してJAC遊技状態が終了となり、一般遊技状態に戻る。その後、再びJAC役が成立すると、次のJAC遊技状態が開始される。このとき開始されるJAC遊技状態の態様については、先のJAC遊技状態にて決定された態様が反映される。
前述したようにJAC遊技状態では、JAC遊技状態の態様を通常JAC遊技状態または特殊JAC遊技状態に決定するための抽選(JAC態様抽選)を、その抽選に当選するまでの各遊技で行っており、図20(a)に示した例では、通常JAC遊技状態の3回目の遊技でJAC態様抽選に当選しているので、次に開始されるJAC遊技状態の態様は特殊JAC遊技状態に設定される。特殊JAC遊技状態では、増加役に内部当選する毎に行われるART回数変更抽選の当選確率が通常JAC遊技状態よりも高くなる。また、赤7のボーナス状態中は、ART回数変更抽選での当選に基づいて7の増加役が成立する毎にART回数が増加するので、通常JAC遊技状態よりも特殊JAC遊技状態が有利である。尚、JAC態様抽選に当選することなくJAC遊技状態が終了した場合は、次のJAC遊技状態の態様は通常JAC遊技状態に設定される。
また、本実施例の遊技機1では、通常JAC遊技状態にてJAC態様抽選に当選すると、その通常JAC遊技状態が終了するまでの間は、JAC態様抽選に当選する前に比べてART回数変更(増加)抽選の当選確率が高くなるので、ART回数が増加し易く遊技者に有利となる。例えば、図20(a)に示したように、通常JAC遊技状態の3回目の遊技でJAC態様抽選に当選すると、通常JAC遊技状態が終了するまでの残り6回の遊技では、ART回数変更抽選での当選に基づいて7の増加役が成立する可能性が高いので、通常JAC遊技状態においてもART回数を大きく増加させることが可能となる。
これに対して、図20(b)に示した例のように、通常JAC遊技状態の7回目の遊技でJAC態様抽選に当選すると、通常JAC遊技状態が終了するまでに残り2回の遊技しかないので、図20(a)に示した例に比べて、通常JAC遊技状態にてART回数を増加させることは困難である。
以上に説明したように本実施例の赤7のボーナス状態では、JAC遊技状態の態様を決定するJAC態様抽選をJAC遊技状態中に行い、JAC遊技状態にてJAC態様抽選に当選した後の残り期間は当選前よりもART回数変更(増加)抽選の当選確率が高まり遊技者に有利となるので、一回のJAC遊技状態の途中で遊技性に変化を付けることができる。そして、JAC遊技状態の開始直後にJAC態様抽選に当選した場合は、JAC遊技状態の終了間際にJAC態様抽選に当選した場合に比べて、より多くART回数を増加させることができる。このようにJAC遊技状態中のどのタイミングでJAC態様抽選に当選するかによって遊技者の利益に差が生じるので、JAC態様抽選に当選することへの期待に加えて、JAC遊技状態が開始されたら早い段階でJAC態様抽選に当選することを遊技者に期待させて、JAC遊技状態における遊技興趣の向上を図ることができる。
また、本実施例の赤7のボーナス状態では、先のJAC遊技状態中にJAC態様抽選に当選すると、次に開始されるJAC遊技状態の態様が特殊JAC遊技状態となることから、JAC遊技状態の途中でART回数変更抽選の当選確率が高まる(7の増加役の成立頻度が高まる)ことにより、次のJAC遊技状態の態様が特殊JAC遊技状態となることを予告して、JAC遊技状態における遊技興趣を一層向上させることができる。さらに、特殊JAC遊技状態中にもJAC態様抽選を行い、JAC態様抽選に当選することなく特殊JAC遊技状態が終了すると、次に開始されるJAC遊技状態の態様は通常JAC遊技状態に戻ってしまうことから、特殊JAC遊技状態中もJAC態様抽選に当選すること(次のJAC遊技状態の態様も特殊JAC遊技状態が維持されること)を遊技者に期待させて、JAC遊技状態における遊技興趣を高めることができる。
尚、上述した本実施例の遊技機1では、赤7のボーナス状態が開始されて最初のJAC遊技状態の態様は通常JAC遊技状態に設定されるものとして説明したが、これに限られるわけではない。例えば、赤7のボーナス状態が開始されて最初のJAC遊技状態の態様を通常JAC遊技状態および特殊JAC遊技状態の何れに設定するかを決定する「設定抽選」を赤7のボーナス役に内部当選した際に行ってもよいし、赤7のボーナス役Aと赤7のボーナス役Bとを予め設けておき、赤7のボーナス役Aが成立した場合は、赤7のボーナス状態が開始されて最初のJAC遊技状態の態様を通常JAC遊技状態に設定し、赤7のボーナス役Bが成立した場合は、赤7のボーナス状態が開始されて最初のJAC遊技状態の態様を特殊JAC遊技状態に設定してもよい。このようにすることで、赤7のボーナス状態が開始されて最初のJAC遊技状態における遊技興趣の向上に貢献することができる。
また、上述した本実施例の遊技機1では、先のJAC遊技状態中に行われたJAC態様抽選での当選が反映されるのは、次のJAC遊技状態のみとしたが、これに限られるわけではなく、JAC態様抽選に当選してから現在の赤7のボーナス状態が終了するまでに開始されるJAC遊技状態については特殊JAC遊技状態に設定してもよい。この場合は、JAC態様抽選に当選した際にONに設定するJAC態様当選フラグ(図13のS230)を、次のJAC遊技状態を開始する際にOFFに設定(図6のS146)することなくONに設定したままにしておき、赤7のボーナス状態を終了する際(図13のS210)にOFFに設定するようにすればよい。このようにすれば、赤7のボーナス状態の開始直後のJAC遊技状態にてJAC態様抽選に当選した場合は、赤7のボーナス状態の終了間際のJAC遊技状態にてJAC態様抽選に当選した場合に比べて、多くのJAC遊技状態の態様が特殊JAC遊技状態となって遊技者に有利となる。つまり、赤7のボーナス状態のどの段階のJAC遊技状態でJAC態様抽選に当選するかによって遊技者の利益に差が生じるので、赤7のボーナス状態が開始されると、早い段階のJAC遊技状態でJAC態様抽選に当選することを遊技者に期待させて、JAC遊技状態における遊技興趣を高めることができる。
D−2.青7のボーナス状態における遊技性 :
図21は、青7のボーナス状態が実行される様子を示したタイムチャートである。前述したように通常状態にて青7のボーナス役が成立すると、青7のボーナス状態が開始される。ボーナス状態の開始直後は一般遊技状態に設定され、JAC役が成立可能となる。そして、JAC役が成立すると、増加役が高い確率で成立するJAC遊技状態が開始される。本実施例の遊技機1では、JAC遊技状態の態様として通常JAC遊技状態と特殊JAC遊技状態とが設けられており、ボーナス状態が開始されて最初のJAC遊技状態の態様は通常JAC遊技状態に設定される。図21に示した例では、JAC遊技状態の開始後に増加役が8回連続で成立することで終了条件が成立してJAC遊技状態が終了となり、一般遊技状態に戻る。その後、再びJAC役が成立すると、次のJAC遊技状態が開始される。このとき開始されるJAC遊技状態の態様については、先のJAC遊技状態にて決定された態様が反映される。
前述したようにJAC遊技状態では、JAC遊技状態の態様を通常JAC遊技状態または特殊JAC遊技状態に決定するための抽選(JAC態様抽選)を、その抽選に当選するまでの各遊技で行っており、図21(a)に示した例では、通常JAC遊技状態の3回目の遊技でJAC態様抽選に当選しているので、次に開始されるJAC遊技状態の態様は特殊JAC遊技状態に設定される。特殊JAC遊技状態では、増加役に内部当選する毎に行われるART回数変更抽選の当選確率が通常JAC遊技状態よりも高くなる。また、青7のボーナス状態中は、ART回数変更抽選での当選に基づいて7の増加役が成立する毎にART回数が減少するので、通常JAC遊技状態よりも特殊JAC遊技状態が不利である。尚、JAC態様抽選に当選することなくJAC遊技状態が終了した場合は、次のJAC遊技状態の態様は通常JAC遊技状態に設定される。
また、本実施例の遊技機1では、通常JAC遊技状態にてJAC態様抽選に当選すると、その通常JAC遊技状態が終了するまでの間は、JAC態様抽選に当選する前に比べてART回数変更(減少)抽選の当選確率が高くなるので、ART回数が減少する傾向にあり遊技者に不利となる。例えば、図21(a)に示したように、通常JAC遊技状態の3回目の遊技でJAC態様抽選に当選すると、通常JAC遊技状態が終了するまでの残り6回の遊技では、ART回数変更抽選での当選に基づいて7の増加役が成立し易いので、通常JAC遊技状態においてもART回数が大幅に減少する可能性がある。
これに対して、図21(b)に示した例のように、通常JAC遊技状態の7回目の遊技でJAC態様抽選に当選すると、通常JAC遊技状態が終了するまで遊技は残り2回だけであるので、図21(a)に示した例に比べて、通常JAC遊技状態におけるART回数の減少を抑えることができる。
以上に説明したように本実施例の青7のボーナス状態では、JAC遊技状態の態様を決定するJAC態様抽選をJAC遊技状態中に行い、JAC遊技状態にてJAC態様抽選に当選した後の残り期間は当選前よりもART回数変更(減少)抽選の当選確率が高まり遊技者に不利となるので、一回のJAC遊技状態の途中で遊技性に変化を付けることができる。そして、JAC遊技状態の開始直後にJAC態様抽選に当選した場合は、JAC遊技状態の終了間際にJAC態様抽選に当選した場合に比べて、より多くART回数が減少する可能性が高くなる。このようにJAC遊技状態中のどのタイミングでJAC態様抽選に当選するかによって遊技者の利益に差が生じるので、JAC遊技状態が開始されると、JAC態様抽選に当選してART回数が減少するのではないかと緊張感を高めたり、JAC態様抽選に当選しないことを遊技者に期待させて、JAC遊技状態における遊技興趣の向上を図ることができる。
また、本実施例の青7のボーナス状態では、先のJAC遊技状態中にJAC態様抽選に当選すると、次に開始されるJAC遊技状態の態様が特殊JAC遊技状態となることから、JAC遊技状態の途中でART回数変更抽選の当選確率が高まる(7の増加役の成立頻度が高まる)ことにより、次のJAC遊技状態の態様が特殊JAC遊技状態となることを予告することができる。さらに、特殊JAC遊技状態中にもJAC態様抽選を行い、JAC態様抽選に当選することなく特殊JAC遊技状態が終了すると、次に開始されるJAC遊技状態の態様は通常JAC遊技状態に戻ることから、特殊JAC遊技状態中はJAC態様抽選に当選しないこと(次のJAC遊技状態の態様が通常JAC遊技状態になること)を遊技者に期待させて、JAC遊技状態における遊技興趣を高めることができる。
尚、上述した本実施例の遊技機1では、青7のボーナス状態が開始されて最初のJAC遊技状態の態様は通常JAC遊技状態に設定されるものとして説明したが、これに限られるわけではない。例えば、青7のボーナス状態が開始されて最初のJAC遊技状態の態様を通常JAC遊技状態および特殊JAC遊技状態の何れに設定するかを決定する「設定抽選」を青7のボーナス役に内部当選した際に行ってもよいし、青7のボーナス役Aと青7のボーナス役Bとを予め設けておき、青7のボーナス役Aが成立した場合は、青7のボーナス状態が開始されて最初のJAC遊技状態の態様を通常JAC遊技状態に設定し、青7のボーナス役Bが成立した場合は、青7のボーナス状態が開始されて最初のJAC遊技状態の態様を特殊JAC遊技状態に設定してもよい。このようにすることで、青7のボーナス状態が開始されて最初のJAC遊技状態における遊技興趣の向上に貢献することができる。
また、上述した本実施例の遊技機1では、先のJAC遊技状態中に行われたJAC態様抽選での当選が反映されるのは、次のJAC遊技状態のみとしたが、これに限られるわけではなく、JAC態様抽選に当選してから現在の青7のボーナス状態が終了するまでに開始されるJAC遊技状態については特殊JAC遊技状態に設定してもよい。この場合は、JAC態様抽選に当選した際にONに設定するJAC態様当選フラグ(図13のS230)を、次のJAC遊技状態を開始する際にOFFに設定(図6のS146)することなくONに設定したままにしておき、青7のボーナス状態を終了する際(図13のS210)にOFFに設定するようにすればよい。このようにすれば、青7のボーナス状態の開始直後のJAC遊技状態にてJAC態様抽選に当選した場合は、青7のボーナス状態の終了間際のJAC遊技状態にてJAC態様抽選に当選した場合に比べて、多くのJAC遊技状態の態様が特殊JAC遊技状態となって遊技者に不利となる。つまり、青7のボーナス状態のどの段階のJAC遊技状態でJAC態様抽選に当選するかによって遊技者の利益に差が生じるので、青7のボーナス状態が開始されると、早い段階のJAC遊技状態でJAC態様抽選に当選して不利になるのではないかと緊張感を高めたり、JAC態様抽選に当選しないことを遊技者に期待させて、JAC遊技状態における遊技興趣を高めることができる。
以上、本発明について実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、前述した実施例では、増加役に内部当選する毎に行われるART回数変更抽選に当選すると、回胴20a,20b,20cの停止制御によって7の増加役を成立させることでART回数を変更(増加あるいは減少)するようになっていたが、ART回数変更抽選に当選したら直ちにART回数を変更してもよい。尚、前述した実施例のように、7の増加役の成立を介してART回数を変更すれば、ART回数の変更を遊技者に印象付けることができる。
また、特殊JAC遊技状態や、JAC態様抽選に当選後の通常JAC遊技状態では、増加役に内部当選すると、ART回数変更抽選を行うことなく、回胴20a,20b,20cの停止制御によって7の増加役を成立させることとしてもよい。この場合は、ART回数変更抽選処理(図5のS114)を省略し、図18の回胴停止制御処理にて増加役に内部当選していると判断した場合は(S432:yes)、特殊JACフラグまたはJAC態様当選フラグがONに設定されているか否かを判断して、何れのフラグもONに設定されていない場合は、ベルの増加役の図柄組合せが入賞ライン上に揃うように回胴20a,20b,20cを停止させ(S436)、何れかのフラグがONに設定されている場合は、7の増加役の図柄組合せが入賞ライン上に揃うように回胴20a,20b,20cを停止させる(S438)ようにすればよい。このようにしても、JAC遊技状態にてJAC態様抽選に当選する前と後とで、成立する増加役(ベルの増加役、7の増加役)が異なるので、遊技者の利益を変化させることができる。
また、前述した実施例では、特殊JAC遊技状態と、JAC態様抽選に当選後の通常JAC遊技状態とで、ART回数変更抽選に当選する確率や、ART回数変更抽選での当選に基づくART回数の変更量を同じに設定していたが、異ならせてもよい。例えば、JAC態様抽選に当選後の通常JAC遊技状態では、特殊JAC遊技状態よりもART回数変更抽選の当選確率を高くすると共に、ART回数の変更量を大きくしてもよい。このようにすれば、赤7のボーナス状態では、通常JAC遊技状態にて次JA態様変更抽選の当選に対する期待感をさらに高めることができる。また、青7のボーナス状態では、通常JAC遊技状態にてJAC態様変更抽選の当選に対する緊張感をさらに高めることができる。
また、前述した実施例では、JAC遊技状態にてJAC態様抽選に当選する前と後とで、ART回数変更抽選の当選確率を異ならせていたが、遊技者の利益を異ならせることができれば、これに限られるわけではない。例えば、遊技役が成立する確率を異ならせたり、遊技役の成立に対して付与される遊技メダルの数量を異ならせたり、特別な演出の発生確率を異ならせたりしてもよい。
また、前述した実施例では、JAC態様抽選(JAC遊技状態の態様を特殊JAC遊技状態とするか否かの決定)を、内部抽選とは独立して行っていたが、内部抽選と同時に行うこととしてもよい。例えば、通常JAC遊技状態を発生させる通常JAC役と、特殊JAC遊技状態を発生させる特殊JAC役とを設けて、これらJAC役をJAC遊技状態中に内部当選可能(JAC遊技状態用の抽選テーブルに通常JAC役と特殊JAC役とを設定する)としてもよい。そして、JAC遊技状態中は内部当選したJAC役を成立させずに持ち越すこととして、特殊JAC役に内部当選後は内部当選前に比べてART回数変更抽選の当選確率を高くしてもよい。このようにJAC遊技状態の態様を決定する抽選を内部抽選と同時に行うことで、別々に行う場合に比べて遊技制御の負担を軽減することができる。
また、前述した実施例では、ART回数の初期値が「50回」に固定されていたが、変動させることとしてもよい。例えば、青7のボーナス状態の開始時にART回数の初期値を抽選で決定してもよい。仮に、青7のボーナス状態の開始時にART回数が「10回」とされ、当該青7のボーナス状態中にART回数変更抽選に3回当選したとすると、当選1回につき5回減算されて、当該青7のボーナス状態の終了時における残りのART回数は0回となる。また、青7のボーナス状態の開始時にART回数が「100回」とされ、当該青7のボーナス状態中にART回数変更抽選に10回当選したとすると、当該青7のボーナス状態の終了時における残りのART回数は50回となる。このように青7のボーナス状態の開始時のART回数に基づいて有利または不利な遊技進行を遊技者に行わせることができるので、遊技興趣の向上に貢献することができる。
また、前述した本実施例の遊技機1では、JAC態様抽選に当選する前と後とで、「ART回数変更抽選」の当選確率を異ならせるものとして説明したが、この態様に限られるものではない。例えば、上述の複数のベル役の何れかが内部当選したことを報知する報知演出をRT状態とは切り離して発生させることとして、その発生回数(AT回数)を変更するか否かの抽選(AT回数変更抽選)の当選確率を、JAC態様抽選に当選する前と後とで異ならせるものとしてもよい。