以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.回胴式遊技機の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.電気的構成:
B.遊技の概要:
C.回胴式遊技機の制御内容:
C−1.遊技制御処理:
C−1−1.遊技状態設定処理:
C−1−2.遊技状態変更処理:
C−1−3.回胴回転停止処理:
D.変形例:
D−1.第1変形例:
D−2.第2変形例:
A.回胴式遊技機の装置構成 :
A−1.全体構成 :
図1は、回胴式遊技機1(以下、「遊技機1」と略記)の外観を示す正面図である。図1に示すように、遊技機1には、箱状に形成された筐体3と、筐体3の前面側を覆うようにして設けられた前面扉2などが設けられている。前面扉2は、実際に遊技が行われる中段の領域と、遊技の進行に応じて種々の演出が行われる上段の領域2uと、遊技メダルが払い出される下段の領域2dとの大きく3つの領域から構成され、更に中段の領域は、遊技の状態を表示するための遊技状態表示部2maと、遊技を行うための操作部2mbとから構成されている。
上段の領域2uには、中央に演出表示装置10が設けられ、演出表示装置10の左右にはスピーカ14が設けられ、演出表示装置10およびスピーカ14の上方には、各種のランプ類12が設けられている。演出表示装置10は、いわゆる液晶表示装置によって構成されており、遊技の進行状況に合わせて種々の図柄を表示して演出を行うことが可能となっている。
前面扉2の中段に設けられた遊技状態表示部2maの中央には、大きな表示窓20が設けられており、内部に設けられた3つの回胴20a,20b,20cが回転する様子を視認可能となっている。また、表示窓20の左右および下方には、遊技の状態を表示する各種の表示パネル類22が設けられている。
前面扉2の中段下方に設けられた操作部2mbは、手前に向かって突出した形状に形成されており、上面には、遊技メダルを投入するための遊技メダル投入口30と、クレジットとして貯留されている遊技メダルを1枚だけ投入するための一枚投入ボタン32と、貯留されている遊技メダルを3枚投入するための三枚投入ボタン34などが設けられている。尚、遊技メダルの貯留とは、遊技メダル投入口30に投入された遊技メダルの枚数が規定数(1ゲームに要する遊技メダル枚数の上限)を超えた場合にその超えた分をデータとして記憶しておく、あるいは、遊技メダルを実際に払い出す代わりにメダルの払い出し枚数をデータとして記憶しておくことをいう。また、操作部2mbの前面には、遊技メダルの投入後に回胴20a,20b,20cの回転を開始するためのスタートレバー36と、3つの回胴20a,20b,20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38cなどが設けられている。また、操作部2mbには、上面に精算ボタン40および返却ボタン42が設けられている。ここで、精算ボタン40とは、遊技機1の内部に貯留されている遊技メダルを外部に払い出す際に操作するボタンである。遊技メダルの投入後も、スタートレバー36を操作して回胴20a,20b,20cの回転を開始するまでの間であれば、投入済みの遊技メダルも精算ボタン40を操作することによって払い出すことが可能である。また、返却ボタン42とは、投入した遊技メダルが遊技機1の内部で詰まった場合に、メダルの詰まりを解消するために操作されるボタンである。尚、回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると回胴20a,20b,20cの回転が停止することから、本実施例の回胴停止ボタン38a,38b,38cは、本発明における「停止操作部」に相当している。
前面扉2の下段の領域2dには、遊技メダルが払い出される遊技メダル払出口50と、払い出された遊技メダルを受け止める受け皿52などが設けられている。
図2は、前面扉2を開いて遊技機1の内部の構成を示した斜視図である。前面扉2の裏面側上部には、サブ制御基板ユニット102が設けられており、その左右には一対のスピーカ14が取り付けられている。サブ制御基板ユニット102の内部には、後述するサブ制御基板220が格納されており、図1に示した演出表示装置10や、各種ランプ類12、スピーカ14などを用いて行われる各種演出の制御を司っている。
前面扉2のほぼ中央には表示窓20が設けられており、その下方には、後述する扉基板240が格納された扉基板ユニット104が設けられている。また、扉基板ユニット104の下方には、投入された遊技メダルの通路となるメダルセレクタ106や、遊技メダルを遊技メダル払出口50に導くためのコインシュータ108などが取り付けられている。メダルセレクタ106は、遊技メダル投入口30から投入された遊技メダルを主に寸法に基づいて選別し、規格寸法に適合した遊技メダルだけを受け入れる機能を有している。遊技者がスタートレバー36を操作する前に遊技メダルを投入すると、遊技メダルはメダルセレクタ106によって選別され、規格を満足しているものだけがホッパー116内に投入され、規格を満たしていないメダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却されるようになっている。
これに対して、スタートレバー36が操作された後に遊技メダルが投入された場合は、メダルセレクタ106内の通路が切り換わり、投入された遊技メダルはコインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却される。また、メダルセレクタ106の内部には、図示しないメダルセンサが設けられており、寸法規格を満たして受け入れられた遊技メダルが通過すると、メダルセンサによって検出されて、その信号が後述する主制御基板200に供給されるようになっている。
一方、筐体3のほぼ中央には、3つの回胴20a,20b,20cが設けられており、各回胴の外周面には、後述するように複数種類の図柄が表示されている。これら回胴の上方には、遊技全体の制御を司る後述する主制御基板200が格納された主制御基板ユニット110と、各回胴を駆動するための後述する回胴基板260が格納された回胴基板ユニット112などが設けられている。また、3つの回胴20a,20b,20cの下方には、リアスピーカ114が設けられ、更にその下方には、投入された遊技メダルが集められるホッパー116や、遊技メダルを払い出すメダル払出装置118、遊技機1全体に電源を供給するための後述する電源基板280が格納された電源ユニット120などが搭載されている。メダル払出装置118から払い出された遊技メダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50から払い出されるようになっている。また、電源ユニット120の前面には、遊技機1の電源を投入するための電源スイッチ120sも設けられている。
図3は、3つの回胴20a,20b,20cの外周面に表示された図柄の配列を示す説明図である。各回胴には、何れも21個の図柄が外周面に表示されている。また、何れの回胴についても、表示されている図柄の種類は同じであるが、図柄の配列については回胴毎に異なる配列に設定されている。
A−2.電気的構成 :
図4は、本実施例に係る遊技機1の電気的構成を示す説明図である。図4に示すように、遊技機1には、主制御基板200を中心として、サブ制御基板220、扉基板240、回胴基板260、電源基板280、中継基板300等がデータをやり取り可能に接続されて構成されている。
主制御基板200は、遊技機1で行われる遊技全体の進行や演出を司る基板である。この主制御基板200には、CPU201、ROM202、RAM203などがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて搭載されており、前面扉2に搭載された扉基板240から、スタートレバー36が操作されたことを示す信号を受け取って、後述する遊技制御処理を実行しながら、サブ制御基板220や、扉基板240、回胴基板260などに向かって制御コマンド(あるいは制御信号)を出力することにより、これら各種基板の動作を制御している。
サブ制御基板220も、上述した主制御基板200と同様に、CPUや、ROM、RAMなどがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて構成されている。また、サブ制御基板220には、各種のランプ類12や、各種のスピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどが接続されている。ここで回胴バックライト20Lとは、各回胴20a,20b,20cの内部に設けられ、回胴の表面に描かれた図柄(図3参照)を裏側から照らすライトである。サブ制御基板220は、主制御基板200から受け取った制御コマンドを解析して、各種ランプ類12、各種スピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lにそれぞれ駆動信号を出力することにより、各種の演出を行っている。
扉基板240には、メダルセレクタ106や、貯留されている遊技メダルを投入するための各種投入ボタン32,34、回胴の回転を開始するためのスタートレバー36、回転している回胴を停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38c、貯留されている遊技メダルや投入された遊技メダルを払い出して遊技を終了するための精算ボタン40、遊技の状態を表示する各種の表示パネル22などが接続されている。また、扉基板240は、前述した主制御基板200と、データをやり取り可能に接続されている。このため、前面扉2に設けられたスタートレバー36や、回胴停止ボタン38a,38b,38c、各種の投入ボタン32,34、精算ボタン40などを操作すると、扉基板240を介して、その信号を主制御基板200に供給することが可能となっている。また、メダルセレクタ106が、内蔵するメダルセンサによって遊技メダルの通過を検出した信号も、扉基板240を介して主制御基板200に供給されるようになっている。
回胴基板260には、3つの回胴20a,20b,20cをそれぞれ回転させるための回胴モータ24a,24b,24cと、それぞれの回胴の回転位置を検出するための回胴センサ26a,26b,26cなどが設けられている。回胴基板260は、回胴センサ26a,26b,26cによって、各回胴20a,20b,20cの回転位置を検出しながら、回胴モータ24a,24b,24cを駆動することにより、それぞれの回胴20a,20b,20cを、所望の位置で停止させることが可能となっている。尚、本実施例の遊技機1では、回胴モータ24a,24b,24cには、いわゆるステッピングモータが使用されている。
また、メダル払出装置118は、中継基板300を介して、主制御基板200に接続されており、主制御基板200からの制御信号に基づいて、所定枚数の遊技メダルを払い出す動作を行う。
これら各種制御基板、および基板で消費される電力は、電源基板280から供給されている。図4では、電源基板280から電力が供給される様子を破線の矢印で表している。図示されているように、主制御基板200およびサブ制御基板220には、電源基板280から直接電力が供給されており、各種基板(扉基板240、回胴基板260、中継基板300)には、主制御基板200を介して電力が供給されている。電源基板280には100Vの交流電圧が供給されており、この電力を規定電圧の直流電圧に変換した後、それぞれの制御基板および基板に供給している。
B.遊技の概要 :
以下では、上記の構成を有する回胴式の遊技機1において、遊技を進行するために行われる制御の内容について説明するが、その準備として、回胴式遊技機で行われる遊技の概要を説明しておく。
遊技を開始するにあたっては、遊技メダル投入口30から遊技メダルを投入して、メダルのベットを行う。ベットする遊技メダル数は、通常、1枚または3枚に固定されている。尚、遊技メダルがクレジットとして予め内部に貯留されている場合は、一枚投入ボタン32、あるいは三枚投入ボタン34を押すことにより、それぞれ1枚または3枚の遊技メダルをベットすることも可能である。
遊技メダルをベットして、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが回転を開始する。図3を用いて前述したように、各回胴には、複数の図柄が描かれているため、回胴が回転すると、表示窓20では、これら図柄が変動表示されることになる。また、図1を用いて前述したように、前面扉2の前面側には、それぞれの回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cが設けられている。回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すと、押したボタンに対応する回胴が回転を停止し、これに伴って、変動表示されていた図柄が何れかの図柄で停止表示される。このようにして、3つの回胴20a,20b,20cの回転を停止させると、それぞれの回胴で何れかの図柄が停止表示される。本実施例の遊技機1では、表示窓20の大きさは、各回胴あたり3つずつ、図柄が表示されるような大きさに設定されている。結局、3つの回胴20a,20b,20cが停止表示されると、表示窓20には、縦横3列ずつ、合計9つの図柄が表示されるようになっている。また、これら9つの図柄が表示される位置には、複数本の入賞ラインが予め設定されている。
図5は、本実施例の遊技機1に設定されている入賞ラインを示した説明図である。図示されるように、本実施例の遊技機1では、上段の入賞ラインL1と、中段の入賞ラインL2と、下段の入賞ラインL3と、右斜め上方向きの入賞ラインL4と、右斜め下方向きの入賞ラインL5の、合計5本の入賞ラインが設定されている。遊技メダルを1枚だけベットした場合には、中段の入賞ラインL2だけが有効となり、遊技メダルを3枚ベットした場合には5本全ての入賞ラインが有効となる。そして、3つの回胴20a,20b,20cが停止すると、有効な入賞ライン上には、何某かの図柄組合せが得られることになる。尚、ここでは、入賞ラインは図5に示した直線形状の5種類のみが設定されているものとしているが、これに限らず、例えば、左回胴20aの上段位置と、中回胴20bの中段位置と、右回胴20cの上段位置とを結ぶ入賞ラインや、あるいは、左回胴20aの下段位置と、中回胴20bの中段位置と、右回胴20cの下段位置とを結ぶ入賞ラインなどの、直線でない入賞ラインなどを加えて、より多種類の入賞ラインを設定しておくこととしても良い。
そして、有効な入賞ライン上に揃った図柄組合せが、何れかの遊技役に対応する図柄組合せであった場合には、その遊技役の入賞が成立し、遊技役に応じた特典が遊技者に付与されるようになっている。図6は、本実施例の遊技機1に設定されている遊技役の種類を、その遊技役の入賞を成立させる図柄組合せ、および遊技役の入賞が成立したときに遊技者に付与される特典と対応付けて示した説明図である。図6では、左端の欄に遊技役の種類が表示され、中央の欄には遊技役の入賞を成立させる図柄組合せが表示され、右端の欄には遊技役の入賞が成立したときに遊技者に付与される特典が表示されている。例えば、最上段に示したビッグボーナス役(以下、BB役)と呼ばれる遊技役には、「赤セブン」と呼ばれる図柄の揃った図柄組合せ、あるいは「青セブン」と呼ばれる図柄の揃った図柄組合せが対応付けられており、何れの図柄組合せで揃った場合でも、ビッグボーナス遊技(BB遊技)の開始という特典が遊技者に付与される。
ここで、BB遊技とは、通常遊技に比べて遊技役の種類(遊技メダルが払い出される図柄組合せの種類)が増加し、その増加した遊技役(増加役)に高い確率で入賞する遊技状態のことである。そのため、BB遊技が開始されると、遊技者は多量の遊技メダルを獲得することができる。このBB遊技は、所定枚数(例えば、465枚)の遊技メダルが払い出されるまで、複数回のゲームに亘って継続される。尚、「赤セブン」の図柄で入賞したBB役を特に「赤7のBB役」と呼び、「青セブン」の図柄で入賞したBB役を特に「青7のBB役」と呼んで区別することがあるが、本実施例の遊技機1では、何れのBB役であっても得られる特典は同じであり、両者を区別する必要はない。
また、いわゆる「小役」と呼ばれる遊技役も設けられている。先ず、ベルの小役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「ベル」の図柄で揃った図柄組合せが設定されており、このベルの小役に対して遊技者に付与される特典は、15枚の遊技メダルが払い出されるように設定されている。次いで、スイカの小役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「スイカ」の図柄で揃った図柄組合せが設定されており、スイカの小役に対しては、10枚の遊技メダルが遊技者に払い出される。そして、チェリーの小役という遊技役には、左回胴20aの図柄が「赤チェリー」または「青チェリー」の何れかであれば、中回胴20bおよび右回胴20cはどのような図柄であっても構わない図柄組合せが設定されており、チェリーの小役に対しては、2枚の遊技メダルが遊技者に払い出される。尚、本実施例の遊技機1では、チェリーの小役については、左回胴20aのチェリー図柄が何色であるかによって区別しており、左回胴20aが「赤チェリー」の場合は「赤チェリーの小役」と呼び、「青チェリー」の場合は「青チェリーの小役」と呼ぶ。
さらに、再遊技役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「再遊技」の図柄で揃った図柄組合せが設定されている。再遊技役に対して遊技者に付与される特典としては、新たな遊技メダルをベットすることなく、もう一度、遊技を行う権利が付与される。すなわち、再遊技役の入賞を成立させた時にベットしていた遊技メダルと、同じ枚数の遊技メダルがベットされたものとして、もう一度遊技を行うことが可能となる。尚、本実施例の遊技機1には、リプレイタイム遊技(RT遊技)と呼ばれる特殊な遊技状態が設けられており、RT遊技中は、通常遊技に比べて非常に高い確率で再遊技役の入賞が成立するように設定されている。そのため、RT遊技が開始されると、再遊技役の入賞が頻繁に成立するようになり、遊技者は遊技メダルあまり減らすことなく遊技を継続することができる。
もちろん、回胴20a,20b,20cが停止したときに、何れかの遊技役の入賞が成立するとは限らない。この場合は、再び1枚、または3枚の遊技メダルをベットした後、スタートレバー36を操作して回胴を回転させることによって、次のゲームを行う。本実施例の遊技機1では、こうした操作を繰り返し行うことによってゲームが進行するようになっている。
こうした遊技の進行は、主制御基板200によって制御されている。以下では、主制御基板200が遊技の進行を制御するために行っている処理内容について説明する。
C.回胴式遊技機の制御内容 :
C−1.遊技制御処理 :
図7は、本実施例の遊技機1において主制御基板200が遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図8は、本実施例の遊技機1において主制御基板200が行う遊技制御処理の後半部分を示すフローチャートである。この遊技制御処理は、遊技機1に電源が投入され、更に主制御基板200や、サブ制御基板220に搭載されたROMのチェックサムなどの初期化処理が行われた後に実行される処理である。
図7に示すように、遊技制御処理を開始すると、先ず初めに遊技状態設定処理(ステップ100。以下、ステップを「S」と略記する)を行う。遊技状態設定処理の詳細については後述するが、この処理では、大まかには次のような処理を行う。前述したように、本実施例の遊技機1では、ビックボーナス遊技(BB遊技)やリプレイタイム遊技(RT遊技)といった特殊な遊技状態が設けられており、遊技状態に応じて遊技役の入賞し易さや入賞する遊技役の種類が異なっている。遊技状態設定処理では、現在の遊技状態が何れであるかを検出するとともに終了条件が満たされたか否かを判断し、終了条件が満たされた場合には、その遊技状態を終了させて、遊技状態を切り換える処理を行う。こうして遊技状態を切り換えることによって、遊技の印象を大きく変化させながら遊技が進行していく。
遊技状態設定処理に続いて、主制御基板200は、メダル投入確認処理を行う(S102)。メダル投入確認処理では、遊技メダル投入口30から遊技メダルが投入されたか否か、あるいは遊技メダルがクレジットとして貯留されている場合に、一枚投入ボタン32または三枚投入ボタン34が操作されたか否かを確認する。前述したように、投入された遊技メダルは、メダルセレクタ106に内蔵されたメダルセンサによって検出され、その検出信号が主制御基板200に供給される。また、各種投入ボタン32,34を操作した場合には、その操作信号が主制御基板200に供給される。主制御基板200は、これらの信号に基づいて、遊技メダルが投入されたか否かを判断することができる。そして、遊技メダルが投入されたら、遊技を開始可能な状態になる。尚、各種投入ボタン32,34が操作された場合には、遊技メダルの貯留枚数から投入枚数を減算する処理も同時に行われる。
上述のようにして遊技メダルの投入が確認できたら、スタートレバー36を操作することによって何時でも遊技を開始することが可能となるが、その前に、精算ボタン40が操作されたか否かの確認を行う(S104)。すなわち、遊技メダルをベットした後であっても、スタートレバー36を操作して回胴20a,20b,20cを回転させる前であれば、ベットした遊技メダルも含めてメダルを精算することが可能となっている。そして、精算ボタン40が操作されていた場合には(S104:yes)、精算処理を行うことにより、クレジットとして貯留されている遊技メダルおよび投入した遊技メダルを払い出す処理を行う(S106)。遊技メダルの払い出しは、主制御基板200からメダル払出装置118に向けて、払い出すべき遊技メダルの枚数を指示する制御信号を出力することによって行われる。こうして遊技メダルを払い出したら、遊技の開始前の状態(S100)に戻って、以降の処理を行う。
一方、精算ボタン40が操作されていない場合には(S104:no)、スタートレバー36が操作されたか否かを判断する(S108)。前述したように遊技者がスタートレバー36を操作すると、その操作信号が主制御基板200に供給され、3つの回胴20a,20b,20cが回転して遊技が開始される。主制御基板200は、スタートレバー36の操作信号に基づいて、スタートレバー36が操作されたか否かを判断することができる。そして、スタートレバー36が操作されていない場合は(S108:no)、遊技者が未だ遊技を開始していないものと判断されるので、精算ボタン40の操作の有無を確認しながら(S104)、スタートレバー36が操作されるまで待機する。一方、スタートレバー36が操作されたら(S108:yes)、内部抽選処理を開始する(S110)。
内部抽選処理では、図6を用いて前述した遊技役の何れかの入賞を許容するか否かを、抽選によって決定する処理を行う。尚、かかる抽選で何れかの遊技役に当選したとしても、直ちに遊技役の入賞が成立するわけではなく、回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作することにより、当選した遊技役に対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えなければ遊技役の入賞を成立させることはできない。また逆に、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作したとしても、抽選で当選した遊技役でなければ、入賞ライン上に対応する図柄組合せを揃えることはできないようになっている。その意味で、かかる抽選は、図柄組合せを揃えて遊技役の入賞を成立させるための前提条件として、内部的に行われる抽選であることから、内部抽選と呼ばれている。また、内部抽選に当選した状態は、内部当選状態(あるいは単に、内部当選)と呼ばれている。さらに、内部抽選処理において何れの遊技役の入賞成立を許容するか(当選役)が決定され、この処理は、遊技制御処理の中で主制御基板200に搭載されたCPU201によって行われていることから、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本願発明における「当選役決定手段」の一態様を構成している。
この内部抽選は、抽選テーブルと呼ばれる専用のテーブルを用いて行われており、このテーブルには、遊技役と内部抽選用乱数との対応関係が設定されている。ここで内部抽選用乱数とは、主制御基板200がスタートレバー操作信号を受け取ったときに取得する乱数である。本実施例の遊技機1では、内部抽選用乱数は2バイトデータとなっており、0〜65535の範囲の乱数値を取ることが可能となっている。尚、この抽選用の乱数は、主制御基板200に搭載された専用の乱数発生回路を用いてハードウェア的に生成することもできるし、乱数発生用のプログラムを用いてソフトウェア的に生成することも可能である。
図9は、最も一般的な遊技状態である通常遊技中に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図9(a)に示した通常遊技用の抽選テーブルでは、「ベルの小役」に対しては0〜7000の乱数値が設定されている。これは、取得した乱数値がこの範囲にあった場合には、ベルの小役に内部当選することを表している。同様に、「スイカの小役」に対しては7001〜7200の乱数値が設定され、「赤チェリーの小役」には7201〜8600の乱数値が、「青チェリーの小役」には7901〜8300の乱数値が設定されている。また、「赤7のBB役」に対しては9301〜9400の乱数値が設定され、「青7のBB役」には9401〜9500の乱数値が設定されている。さらに、「再遊技役」に対しては9501〜18500の乱数値が設定されている。尚、18501〜65535の乱数値には、何れの遊技役も設定されておらず、従って、取得した乱数値がこの範囲にあった場合は「ハズレ」となる。また、図9(b)には、通常遊技用の抽選テーブルに設定されている各遊技役と、内部抽選用乱数の乱数範囲との対応関係が模式的に表されている。
ここで、乱数範囲7901〜8600に注目すると、「赤チェリーの小役」および「青チェリーの小役」の2つの遊技役が設定されている。これは、取得した乱数値がこの範囲にあった場合には、2つの遊技役に重複して内部当選することを表している。このように同じ範囲の乱数値に対して複数の遊技役が設定されている場合、これらの遊技役は「重複役」と呼ばれる。
内部抽選処理では、以上のようにして、スタートレバー36が操作されたことを検出して内部抽選用乱数を取得するとともに、抽選テーブルを参照することにより、何れの遊技役に内部当選したか、若しくは何れの遊技役にも内部当選しなかったかを判断する。そして、何れかの遊技役に内部当選したら、当選した遊技役を内部当選フラグにセットする。ここで内部当選フラグとは、内部抽選の結果を記憶しておくために用いられるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。
図10は、本実施例の遊技機1における内部当選フラグの構成を例示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1では、RAM203上の所定アドレスに設けられた1バイト(8ビット)データのうち、下位側の7ビットが内部当選フラグとして用いられている。これら7ビット中の先頭のビットは、赤セブンのBB役に内部当選したことを記憶しておくためのビットであり、次のビットは青セブンのBB役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。以下の5つのビットも同様に、それぞれ、ベルの小役、スイカの小役、赤チェリーの小役、青チェリーの小役、再遊技役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。図7に示した内部抽選処理(S110)では、内部抽選用乱数を取得して、抽選テーブルを参照しながら、何れかの遊技役に内部当選しているか否かを判断し、何れかの遊技役に内部当選していれば、図10に示した内部当選フラグの対応するビットに「1」を設定する処理を行う。尚、前述したように本実施例の遊技機1では、赤チェリーの小役と青チェリーの小役とに重複して当選することがあり、重複役に当選した場合には、赤チェリーの小役および青チェリーの小役に対応するそれぞれのビットに「1」を設定する。
内部抽選処理を終了すると、主制御基板200は、続いて回胴回転始動処理を開始する(S112)。回胴回転始動処理では、所定の条件が満足されているか否かを判断して、条件が満たされている場合は、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる処理を行う。本実施例の回胴回転始動処理では、スタートレバー36が操作され、且つ、前回に回胴20a,20b,20cの回転が開始されてから所定時間(例えば、4.1秒)経過した場合に回胴の回転を開始することとして、各回胴20a,20b,20cにそれぞれ設けられた回胴モータ24a,24b,24cに対して駆動信号を出力することにより、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる。
こうして3つの回胴20a,20b,20cを回転させたら、主制御基板200は、回胴の回転を停止させる処理(回胴回転停止処理)を行う(S114)。回胴回転停止処理の詳細については後述するが、この処理では、先に行われた内部抽選の結果(何れの遊技役に内部当選したか否か)と、遊技者によって回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたタイミングや操作された順番(押し順)とに基づいて、3つの回胴20a,20b,20cのそれぞれの停止位置を決定し、決定した位置で停止させる処理を行う。
3つの回胴20a,20b,20cを停止させたら、主制御基板200は、予め定めておいた特定図柄組合せが、有効な入賞ライン(図5)上に揃っているか否かを判断する(S116)。図11は、本実施例の遊技機1に設定されている特定図柄組合せを例示した説明図である。図示されているように、本実施例の特定図柄組合せには、左回胴20aの図柄が「チャンス」であり、中回胴20bおよび右回胴20cの図柄が「再遊技」である図柄組合せと、左回胴20aおよび中回胴20bの図柄が「チャンス」であり、右回胴20cの図柄が「再遊技」である図柄組合せとが設定されている。また、本実施例の遊技機1では、前者を「特定図柄A」と呼び、後者を「特定図柄B」と呼んで区別する。そして、何れかの特定図柄組合せが、有効な入賞ライン上に揃っていると判断された場合は(S116:yes)、遊技状態を変更するための処理(遊技状態変更処理)を行う(S118)。前述したように、本実施例の遊技機1には、複数種類の遊技状態が設けられている。遊技状態変更処理の詳細については後述するが、この処理では、現在の遊技状態を確認し、所定の遊技状態であった場合には、別の遊技状態に変更するための処理を行う。
これに対して、有効な入賞ライン上に特定図柄組合せが揃っていないと判断された場合には(S116:no)、遊技状態変更処理をスキップして、何れかの遊技役の入賞が成立したか否かを判断する(S120)。ここで、「遊技役の入賞が成立する」とは、内部当選した遊技役に対応する図柄組合せが、有効な入賞ライン上に揃って表示されることをいう。前述したように、本実施例の遊技機1では、内部抽選処理(S110)で何れかの遊技役に内部当選していても、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すタイミングによっては、その遊技役に対応する図柄組合せが有効な入賞ライン上に揃うとは限らない。そこで、主制御基板200は、回胴の回転を停止させた後、内部抽選で当選した遊技役の入賞が成立しているか否かを判断するのである。
そして、何れの遊技役の入賞も成立していないと判断された場合は(S120:no)、その遊技は終了となり、図7の遊技制御処理の先頭に戻って、遊技状態設定処理が行われる(S100)。尚、本実施例の遊技機1では、前述した内部抽選処理(S110)で「BB役」に当選した場合において、有効な入賞ライン上にBB役に対応する図柄組合せが停止表示されず、BB役の入賞が成立しなかったときに限り、BB役の内部当選が持ち越され、次回の遊技以降も「BB役」の内部当選フラグがセットされている状態で遊技が行われる。これに対して、他の遊技役(「小役」や「再遊技役」)に内部当選した場合は、有効な入賞ライン上に当選役に対応する図柄組合せを停止表示させることができなければ、その内部当選は次遊技以降に持ち越されることなくリセットされてしまう。
一方、何れかの遊技役の入賞が成立したと判断された場合は(S120:yes)、先ず初めに、入賞の成立した遊技役が、再遊技役であるか否かを判断する(図8のS122)。そして、再遊技役の入賞が成立していた場合は(S122:yes)、再遊技フラグをONに設定する(S124)。ここで、再遊技フラグとは、再遊技役の入賞が成立したことを記憶しておくためのフラグである。この再遊技フラグがONにセットされていると、次回の遊技のメダル投入確認処理(図7のS102)において、再遊技役の入賞が成立した遊技で投入されていた枚数の遊技メダルが自動的に再投入される。こうして再遊技フラグをONにすると、主制御基板200は、図7の遊技制御処理の先頭に戻って、新たな遊技を開始する。
以上では、入賞の成立した遊技役が再遊技役であった場合(S122:yes)に行われる処理について説明したが、入賞した遊技役が再遊技役でなかった場合には(S122:no)、次いで、入賞の成立した遊技役がBB役か否かを判断する(S126)。図6を用いて前述したように、BB役は、有効な入賞ライン上に、赤セブンの図柄が揃うか、青セブンの図柄が揃った場合に入賞が成立する遊技役である。そして、BB役の入賞が成立したと判断された場合には(S126:yes)、BB遊技フラグをONに設定するとともに(S128)、BB遊技フラグ以外の全ての遊技状態フラグをOFFに設定する(S130)。ここで、BB遊技フラグとは、遊技状態を、前述したビッグボーナス遊技(BB遊技)と呼ばれる遊技者にとって有利な遊技状態とするか否かを示すフラグである。また、前述したように、本実施例の遊技機1には、BB遊技やRT遊技といった複数の遊技状態が設けられており、これらの遊技状態を切り換えながら遊技が進行していく。そして、現在の遊技状態が何れであるかは、遊技状態フラグと呼ばれる専用のフラグの状態によって表されている。主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスには、遊技状態フラグを設定するための1バイト分の領域が確保されている。
図12は、遊技状態フラグが設定される1バイト分の領域のデータ構造を例示した説明図である。本実施例の遊技機1では、RAM203上の所定アドレスの1バイトデータのうち、下位側の3ビットが遊技状態フラグとして用いられている。これら3ビットの先頭のビットがBB遊技フラグに設定されており、BB遊技フラグをONにする場合には(S128)、このビットに「1」を設定する。尚、上述した再遊技フラグも遊技状態フラグと同様に、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。本実施例の遊技機1では、遊技状態フラグとして用いられる3ビットの1つ上位のビットが再遊技フラグとして用いられており、S124では、このビットに「1」を設定する処理を行う。
また、本実施例の遊技機1では、BB役の入賞が成立すると、現在の遊技状態が何れの遊技状態であっても、前述したBB遊技に遊技状態を切り換えるようになっている。そのため、BB遊技フラグをONに設定すると同時に、BB遊技フラグ以外の全ての遊技状態フラグをOFFに設定(BB遊技フラグを除く全ての遊技状態フラグのビットに「0」を設定)するのである。こうしてBB遊技フラグがONにセットされた状態で遊技制御処理の先頭に戻って遊技状態設定処理(S100)を開始すると、BB遊技フラグがONになっていることが検出され、遊技状態がBB遊技に切り換わって、以降の上述した一連の処理が行われる。S100において、BB遊技フラグに基づいて遊技状態をBB遊技に切り換える処理の詳細については後述する。
一方、入賞の成立した遊技役が再遊技役でもなく(S122:no)、BB役でもなかった場合は(S126:no)、何れかの小役の入賞が成立したものと判断される。そこで、入賞の成立した遊技役に応じた枚数の遊技メダルを払い出す処理を行う(S132)。すなわち、入賞の成立した遊技役がベルの小役であれば、15枚の遊技メダルを払い出し、スイカの小役であれば10枚の遊技メダルを、チェリーの小役(赤チェリー小役または青チェリー小役)であれば2枚の遊技メダルを払い出す処理を行う。かかる処理は、主制御基板200の内部で払い出すべき遊技メダルの枚数を求めた後、主制御基板200からメダル払出装置118に対して制御信号を出力することによって行われる。こうして遊技メダルを払い出したら、図7および図8に示した遊技制御処理の先頭に戻って、新たな遊技を開始する。
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、遊技メダルを投入し、スタートレバー36を操作すると、回胴20a,20b,20cの回転が開始され、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押して回胴が停止したときに遊技役の入賞が成立しているか否かによって遊技メダルが払い出されるという遊技を繰り返し行う。この遊技の基本的な操作は共通であるが、本実施例の遊技機1では、複数の遊技状態が設けられており、何れの遊技状態であるかに応じて、遊技役の入賞し易さや入賞する遊技役の種類を切り換えることによって、遊技の印象を大きく異ならせることができる。この遊技状態を切り換えるための処理は、図7および図8に示した遊技制御処理の先頭で行われる遊技状態設定処理(S100)において行われている。以下では、遊技状態設定処理の内容について詳しく説明する。
C−1−1.遊技状態設定処理 :
遊技状態設定処理の内容を説明するにあたって、理解を容易にするために、先ず、本実施例の遊技機1に設けられている複数の遊技状態、およびこれらの遊技状態を切り換える様子について簡単に説明する。図13は、本実施例の遊技機1が複数の遊技状態を切り換えながら遊技を行う様子を概念的に示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1には、遊技状態として「通常遊技」、「特定遊技」、「RT遊技」、「BB遊技」の4種類の遊技状態が設けられている。
本実施例の遊技機1では、多くの遊技が「通常遊技」で行われる。そして、「通常遊技」中に赤7のBB役または青7のBB役の何れかのBB役の入賞が成立すると、遊技状態が「BB遊技」に切り換わる。もっとも、図9に示されているように、BB役に内部当選する確率は決して高いものではない。そこで、「通常遊技」の状態で、「BB遊技」に切り換わらないまま、所定回数(本実施例では100回)の遊技が行われると、遊技状態が「特定遊技」に切り換わる。
「BB遊技」に切り換わると、前述した内部抽選処理(図7のS110)において、BB遊技用に設定された専用の抽選テーブルを用いて抽選が行われる。図14は、BB遊技用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。BB遊技用の抽選テーブルは、図9に示した通常遊技用の抽選テーブルと比較すると、BB役に対して乱数範囲が設定されておらず、BB遊技中は、BB役の入賞成立によって重ねてBB遊技が開始されることを避けるようになっている。また、再遊技役に対して乱数範囲が設定される代わりに、「JAC」と呼ばれる特殊な遊技役に対して広範囲の乱数値が設定されている。本実施例の遊技機1では、JACの入賞を成立させる図柄組合せは、「通常遊技」中に再遊技役の入賞を成立させる図柄組合せ(図6参照)と同じ図柄組合せに設定されている。従って、「BB遊技」中に、再遊技役の入賞を成立させる図柄が揃った場合には、JACの入賞が成立して、所定枚数(例えば、15枚)の遊技メダルが払い出されるようになっている。このように「BB遊技」中は、各種の小役よりも当選し易い遊技役であるJACが追加され、JACの入賞が成立する度に15枚ずつ遊技メダルが払い出されるため、遊技者は多量の遊技メダルを獲得することができる。前述したように、「BB遊技」は、所定枚数(例えば、465枚)の遊技メダルが払い出されるまで継続されるようになっており、BB遊技中に払い出された遊技メダルの枚数が所定枚数に達すると、「BB遊技」を終了して「特定遊技」に切り換わる。
「特定遊技」に切り換わると、特定遊技用に設定された抽選テーブルを用いて内部抽選が行われる。図15は、特定遊技用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。特定遊技用の抽選テーブルは、図9に示した通常遊技用の抽選テーブルと比較すると、再遊技役に対して設定された乱数範囲が少し拡大され、その分だけ、ハズレの乱数範囲が縮小されている。従って、「特定遊技」は、「通常遊技」よりも再遊技役の入賞がわずかに成立し易い遊技状態となっている。そして、「特定遊技」中に特定図柄Bの組合せ(図11)が有効な入賞ライン上に揃うと、遊技状態が「RT遊技」に切り換わる。一方、特定図柄Aの組合せが入賞ライン上に揃うと、遊技状態が「通常遊技」に切り換わる。さらに、BB役(赤7のBB役、青7のBB役の何れか)の入賞が成立した場合には、上述した「BB遊技」へと遊技状態が切り換わる。すなわち、「特定遊技」からは、「BB遊技」、「RT遊技」、「通常遊技」の何れかの遊技状態に切り換わるようになっている。
「RT遊技」に切り換わると、RT遊技用に設定された抽選テーブルを用いて内部抽選が行われる。図15は、RT遊技用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。RT遊技用の抽選テーブルは、図9に示した通常遊技用の抽選テーブルと比較すると明らかなように、再遊技役に対して設定された乱数範囲が大幅に拡大され、その分だけ、ハズレの乱数範囲が縮小されている。このため、「RT遊技」は、非常に高い確率で再遊技役の入賞が成立する遊技状態となっている。前述したように、再遊技役の入賞が成立すると、遊技メダルを投入することなく次回の遊技を行うことができるので、「RT遊技」中は、遊技者はあまり遊技メダルを減らすことなく、BB役の入賞を狙って遊技を継続することができる。そして、「RT遊技」中にBB役(赤7のBB役、青7のBB役の何れか)の入賞が成立すると、遊技状態が「BB遊技」に切り換わる。また、「RT遊技」の状態で、「BB遊技」に切り換わることのないまま、所定回数(本実施例では30回)の遊技が行われた場合には、遊技状態が「特定遊技」に切り換わる。
以上のようにして遊技状態を切り換える処理は、図7および図8に示した遊技制御処理の中の遊技状態設定処理(S100)によって行われている。以下では、遊技状態設定処理の詳細な内容について説明する。
図17は、本実施例の遊技機1が行う遊技状態設定処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図18は、本実施例の遊技機1が行う遊技状態設定処理の後半部分を示すフローチャートである。遊技状態設定処理を開始すると、先ず初めに主制御基板200のCPU201は、図12に示した遊技状態フラグを参照して、BB遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(S200)。前述したように、BB遊技フラグは、遊技状態をBB遊技とするか否かを示すフラグであり、有効な入賞ライン上にBB役に対応する図柄組合せが揃って、BB役の入賞が成立したと判断された場合に(図8のS126:yes)、ONの状態に設定されるフラグである(S128)。
そして、BB遊技フラグがONに設定されていた場合は(S200:yes)、次いで、BB遊技の終了条件が成立したか否かを判断する(S202)。前述したように本実施例の遊技機1では、BB遊技中に払い出された遊技メダルの枚数が所定枚数(例えば、465枚)に達すると、そのBB遊技が終了するように設定されている。従って、S202では、BB遊技中に払い出された遊技メダルの枚数が所定枚数に達したか否かを判断する。当然ながら、BB遊技フラグがONに設定されてBB遊技が開始された直後の遊技では、BB遊技の終了条件が成立することはない。そこで、S202では「no」と判断され、図14に示したBB遊技用の抽選テーブルを選択する(S204)。前述したように、BB遊技用の抽選テーブルを用いて遊技を行うと、高い確率でJACに内部当選し、JACの入賞成立の度に15枚ずつの遊技メダルが払い出されるので、遊技者は効率よく遊技メダルを獲得することができる。
また、主制御基板200のCPU201は、BB遊技用抽選テーブルの選択に続いて(S204)、BB遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S206)。図4を用いて前述したように、サブ制御基板220には、各種ランプ類12や、各種スピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどが接続されている。また、サブ制御基板220にはCPUが搭載されており、主制御基板200からBB遊技用の演出コマンドを受け取ると、そのコマンドの内容を解釈して、各種ランプ類12や、各種スピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどを制御することにより、現在の遊技状態がBB遊技中であることを、遊技者に印象付けるような演出が行われる。
以上に説明したように、BB遊技フラグがONに設定されている間は(S200:yes)、BB遊技の終了条件が成立するまで(S202:no)、BB遊技用の抽選テーブルを選択し(S204)、BB遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に出力したら(S206)、図17および図18に示す遊技状態設定処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰する。
一方、BB遊技の終了条件が成立したと判断された場合は(S202:yes)、BB遊技を終了するべくBB遊技フラグをOFFにする(S208)。前述したように、BB遊技フラグをONに設定する際にはBB遊技フラグ以外の遊技状態フラグを全てOFFに設定していることから(図8のS130)、BB遊技フラグをOFFにすると、図12に示した遊技状態フラグは何れもOFFに設定された状態になり、本実施例の遊技機1では、遊技状態が「特定遊技」であることを示す状態となる。
以上では、BB遊技フラグがONに設定されている場合に行われる処理について説明したが、BB遊技フラグがOFFに設定されている場合は(S200:no)、今度は、通常遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(S210)。ここで、通常遊技フラグとは、遊技状態を、最も一般的な遊技状態である通常遊技とするか否かを示すフラグである。図12に示した遊技状態フラグの3ビットのうち、最下位のビットが通常遊技フラグに設定されており、通常遊技フラグがONに設定されている場合には、このビットに「1」が設定されている。詳しくは後述するが、この通常遊技フラグは、遊技状態変更処理(図7のS118)においてONに設定されるようになっている。
そして、通常遊技フラグがONに設定されていた場合は(S210:yes)、次いで、通常遊技の終了条件が満たされたか否かを判断する(S212)。本実施例の遊技機1では、通常遊技の終了条件としては、BB役の入賞が成立してBB遊技に切り換わるか、BB遊技に切り換わらないまま所定回数(本実施例では100回)の遊技を消化した場合に設定されている。このうち、BB役の入賞成立によって通常遊技が終了する場合は、前述したS200において「yes」と判断されて、続く処理が行われる。従って、S212では、所定回数の遊技を消化したか否かを判断すればよい。もちろん、通常遊技が開始されて間もない遊技では、通常遊技の終了条件が成立することはないので(S212:no)、図9に示した通常遊技用の抽選テーブルを選択した後(S214)、通常遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向かって出力すると(S216)、図17および図18に示した遊技状態設定処理を終了して、図7および図8の遊技制御処理に復帰する。これにより、遊技状態は通常遊技となり、通常遊技用の演出が行われる。
このような処理を繰り返しながら通常遊技を継続しているうちに、通常遊技の終了条件が成立した(すなわち、BB遊技に切り換わらないまま所定回数の遊技を消化した)と判断された場合は(S212:yes)、通常遊技を終了するべく通常遊技フラグをOFFにする(S218)。こうして通常遊技フラグをOFFにすると、図12に示した遊技状態フラグは全てOFFになり、遊技状態が「特定遊技」であることを示す状態となる。
以上、通常遊技フラグがONに設定されている場合について説明したが、通常遊技フラグがOFFに設定されている場合は(S210:no)、RT遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(図18のS220)。ここで、RT遊技フラグとは、遊技状態を、前述した「RT遊技」とするか否かを示すフラグであり、図12に示した遊技状態フラグの3ビットのうち、下位側から2番目のビットがRT遊技フラグに設定されている。従って、RT遊技フラグがONに設定されている場合には、このビットに「1」が設定されている。このRT遊技フラグも、上述した通常遊技フラグと同様に、遊技状態変更処理(図7のS118)の中でONに設定されるようになっている。S118において、RT遊技フラグをONに設定する処理の詳細については後述する。
そして、RT遊技フラグがONに設定されていた場合は(S220:yes)、続いて、RT遊技の終了条件が満たされたか否かを判断する(S222)。前述したように、本実施例のRT遊技の終了条件としては、BB役の入賞が成立してBB遊技に切り換わるか、BB遊技に切り換わることなく所定回数(本実施例では30回)の遊技を消化した場合に設定されている。このうち、BB遊技に切り換わる場合はS200において「yes」と判断されて、続く処理が行われる。結局、S222では、所定回数の遊技を消化したか否かを判断すればよく、RT遊技フラグがONに設定されてからの遊技回数が所定回数に達するまでの間は、終了条件が成立しないので(S222:no)、図16に示したRT遊技用の抽選テーブルを選択する(S224)。前述したように、RT遊技用の抽選テーブルを用いて遊技を行うと、非常に高い確率で再遊技役の入賞を成立させることができるので、遊技者は遊技メダルをあまり減らすことなく遊技を続けながら、BB役の入賞を狙うことが可能となる。
RT遊技用抽選テーブルの選択に次いで、主制御基板200のCPU201は、RT遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向かって出力した後(S226)、図17および図18に示した遊技状態設定処理を終了して、図7および図8の遊技制御処理に復帰する。サブ制御基板220は、RT遊技用の演出コマンドを受け取ると、再遊技役の入賞が成立し易いRT遊技中であることを印象付けるような演出を行う。
これに対して、所定回数の遊技を消化してRT遊技の終了条件が成立したと判断された場合は(S222:yes)、RT遊技を終了するべくRT遊技フラグをOFFに設定する(S228)。こうしてRT遊技フラグをOFFにすると、遊技状態が「特定遊技」であることを示す状態となる。
以上では、RT遊技フラグがONに設定されている場合について説明したが、RT遊技フラグがOFFに設定されている場合は(S220:no)、図12に示した遊技状態フラグ(BB遊技フラグ、RT遊技フラグ、通常遊技フラグ)は、何れもOFFに設定されていることになるので、遊技状態は「特定遊技」であると判断される。従って、図15に示した特定遊技用の抽選テーブルを選択した後(S230)、特定遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向かって出力すると(S232)、図17および図18の遊技状態設定処理を終了して、図7および図8を用いて前述した遊技制御処理に復帰する。これにより、通常遊技に比べて再遊技役の入賞がわずかに成立し易くなるとともに、RT遊技に移行可能な特定遊技中であることを印象付ける演出が行われる。尚、上述したように、BB遊技の終了条件の成立によってBB遊技フラグがOFFにされた場合や(図17のS208)、通常遊技の終了条件成立によって通常遊技フラグがOFFにされた場合(S218)、あるいは、RT遊技の終了条件成立によってRT遊技フラグがOFFにされた場合(図18のS228)にも遊技状態は「特定遊技」となるので、当然ながら、特定遊技用の抽選テーブルを選択することになる(S230)。
ここで、本実施例の遊技機1では、「特定遊技」に対応する遊技状態フラグが設けられておらず(図12参照)、すべての遊技状態フラグがOFFに設定されている状態が「特定遊技」中であることを示す状態となっている。このように設定しておくことによって得られる効果について簡単に説明する。
一般的に、遊技状態フラグが設定されていない遊技状態は「基底遊技状態」とされており、この基底遊技状態は、設定変更処理(例えば、遊技機1の設けられた6段階の遊技機能の設定を、図示しない設定変更スイッチを操作することによって変更する処理)を行った場合や、RAMクリア処理(図示しないRAMクリアボタンを押下することにより、全てのフラグをOFFの状態に戻す処理)を行った場合に設定される遊技状態である。本実施の遊技機1では、「特定遊技」が基底遊技状態に相当し、設定変更処理やRAMクリア処理を行った後は「特定遊技」で遊技が再開されることになる。そして、前述したように、本実施例の特定遊技は、RT遊技に切り換わり易い遊技状態であるので、設定変更処理後あるいはRAMクリア処理後には、遊技者にとって有利な遊技状態から遊技を開始することができる。従って、このような構成によれば、設定変更処理やRAMクリア処理が実行された直後に遊技を行った遊技者に対して有利な条件を付与すること(いわゆるモーニング機能)を、特別な処理や操作を行うことなく、簡便に実現することが可能となる。
以上に説明したように、遊技制御処理では、処理を開始すると先ず初めに遊技状態設定処理を行って、遊技状態フラグの設定に応じた適切な抽選テーブルを選択することにより、遊技状態を切り換えながら遊技が進行する。そして、遊技状態設定処理において参照される通常遊技フラグ(図17のS210)およびRT遊技フラグ(図18のS220)については、遊技制御処理の中で特定図柄組合せが入賞ライン上に揃った場合に行われる遊技状態変更処理(図7のS118)においてONに設定される。以下では、遊技状態変更処理の内容について説明する。
C−1−2.遊技状態変更処理 :
図19は、本実施例の遊技機1で行われる遊技状態変更処理の流れを示すフローチャートである。前述したように、この処理は、図7および図8に示した遊技制御処理の中で、有効な入賞ライン上に特定図柄組合せ(特定図柄Aまたは特定図柄B)が揃った場合に、主制御基板200のCPU201によって実行される処理である(図8のS134)。
遊技状態変更処理を開始すると、先ず初めに、図12に示した遊技状態フラグを参照して、何れかの遊技状態フラグがONに設定されているか否かを判断する(S300)。そして、何れかの遊技状態フラグがONに設定されていた場合には(S300:yes)、現在の遊技状態は、「BB遊技」、「RT遊技」、「通常遊技」の何れかであると判断される。図13を用いて前述したように、これらの遊技状態中に特定図柄組合せ(特定図柄Aあるいは特定図柄B)が入賞ライン上に揃っても、遊技状態が別の遊技状態に切り換わらないように設定されている。従って、S300において「yes」と判断されたら、そのまま図19の遊技状態変更処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰する。
これに対して、何れの遊技状態フラグもOFFに設定されていた場合は(S300:no)、「特定遊技」中に、特定図柄Aあるいは特定図柄Bの何れかの組合せが有効な入賞ライン上に揃ったものと判断される。図13を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では、「特定遊技」中に特定図柄Aの組合せが揃うと遊技状態が「通常遊技」に切り換わり、特定図柄Bの組合せが揃うと遊技状態が「RT遊技」に切り換わるようになっている。そこで、S300で「no」と判断された場合は、次いで、入賞ライン上に揃った特定図柄組合せが特定図柄Aであるか否かを判断する(S302)。そして、特定図柄Aの組合せが揃った場合は(S302:yes)、通常遊技フラグをONに設定して(S304)、図19の遊技状態変更処理を終了する。こうして、通常遊技フラグがONの状態で遊技制御処理(図7および図8)に復帰すると、前述した遊技状態設定処理(S100)において通常遊技用の抽選テーブルが選択され(図17のS214)、遊技状態が「通常遊技」に切り換わって、S212の判断で終了条件が成立するまで「通常遊技」が継続される。
一方、入賞ライン上に揃った特定図柄組合せが特定図柄Aではなかった場合、すなわち、特定図柄Bの組合せが揃ったと判断された場合には(S302:no)、RT遊技フラグをONに設定した後(S306)、図19の遊技状態変更処理を終了して、図7および図8の遊技制御処理に復帰する。こうしてRT遊技フラグがONの状態で遊技制御処理に復帰すると、遊技状態設定処理(S100)では、終了条件が成立するまでRT遊技用の抽選テーブルが選択され(図18のS224)、非常に高い確率で再遊技役の入賞が成立する「RT遊技」で遊技が行われる。尚、本実施例の特定遊技は、本発明の「第1遊技状態」に相当しており、通常遊技は本発明の「低利益第2遊技状態」に相当し、RT遊技は本発明の「高利益第2遊技状態」に相当している。本実施例では、主制御基板200に搭載されたCPU201が通常遊技フラグあるいはRT遊技フラグをONに設定することによって、それぞれ遊技状態が通常遊技あるいはRT遊技に切り換わることから、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明の「遊技状態切換手段」の一態様を構成している。
以上に説明したように、遊技状態変更処理において通常遊技フラグやRT遊技フラグをONに設定する処理を行い、遊技状態設定処理では、遊技状態フラグ(BB遊技フラグ、RT遊技フラグ、通常遊技フラグ)の現在の設定に基づいて、4種類の抽選テーブル(図9、図14〜16)の中から適切な抽選テーブルを選択する。図7および図8に示した遊技制御処理では、こうして選択した抽選テーブルを用いて内部抽選処理以降の一連の処理を行うことにより遊技が進行する。そして、遊技状態設定処理で何れの抽選テーブルが選択されたかによって、内部抽選で当選可能な遊技役の種類や遊技役の当選し易さが切り換わるようになっている。
ここで、前述したように、内部抽選で何れかの遊技役に当選したとしても、当選した遊技役の入賞が直ちに成立するわけではない。実際に遊技役の入賞が成立するためには、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作により、当選した遊技役に対応する図柄組合せが有効な入賞ライン上に揃うように、回胴20a,20b,20cが適切な位置で停止する必要がある。逆に、何れの遊技役にも当選していないにも拘らず、遊技役に対応する図柄組合せが揃う位置で偶然に回胴20a,20b,20cが停止するようなことがあってはならない。このように回胴20a,20b,20cは、回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたら単純に停止させればよいというわけではなく、内部抽選の結果および回胴停止ボタンが操作されたタイミングに応じて適切な位置で回胴を停止させる処理が必要となる。以下では、回胴を適切な位置で停止させる処理(回胴回転停止処理)の内容について詳しく説明する。
C−1−3.回胴回転停止処理 :
図20は、本実施例の遊技機1で行われる回胴回転停止処理の流れを示すフローチャートである。前述したように、この処理は、図7および図8に示した遊技制御処理の中で、主制御基板200によって実行される処理である(図7のS114)。
回胴回転停止処理を開始すると、先ず初めに、回胴20a,20b,20cの回転速度が所定値に達したか否かを判断する(S400)。回胴20a,20b,20cの回転を開始した直後で、未だ回転速度が所定値に達していない場合は(S400:no)、回転速度が所定値に達するまで待機する。そして、回転速度が所定値に達したら(S400:yes)、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作を有効化する(S402)。
次いで、有効となった回胴停止ボタン38a,38b,38cの何れかが操作されたか否かを判断する(S404)。前述したように、遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、その操作信号が主制御基板200に供給されるようになっている。主制御基板200は、この操作信号に基づいて、回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたか否かを判断することができる。そして、何れの回胴停止ボタンも操作されていない場合は(S404:no)、操作されるまで待機する。
一方、何れかの回胴停止ボタンが操作された場合は(S404:yes)、操作された回胴停止ボタンを無効化するとともに(S406)、回胴停止ボタンが操作されたときに、そのボタンに対応する回胴が何れの回転位置にあったかを検出する(S408)。前述したように、回胴20a,20b,20cのそれぞれに対応して回胴センサ26a,26b,26cが設けられており(図4参照)、回胴の回転位置を検出可能となっている。そして、回胴停止ボタンが操作された回胴の回転位置を検出したら、その回胴を適切な位置で停止させるための処理(回胴停止制御処理)を開始する(S410)。この回胴停止制御処理の詳細な内容については後述する。
回胴停止制御処理を行って、回胴停止ボタンが操作された回胴を停止させると、次いで、全ての回胴20a,20b,20cを停止させたか否かを判断する(S412)。そして、未だ回胴停止ボタンが操作されずに回転中の回胴がある場合は(S412:no)、S404の処理に戻って、有効な回胴停止ボタンが操作されるまで待機し、操作されたら続く上述した一連の処理を実行する。こうした処理を繰り返すうちに、全ての回胴が停止したと判断されたら(S412:yes)、図20の回胴回転停止処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰する。
ここで、上述した回胴回転停止処理(図20)の中で回胴停止ボタンが操作された場合に、対応する回胴を適切な位置で停止させるために行われる回胴停止制御処理(S410)の内容について詳しく説明する。
図21は、回胴回転停止処理の中で実行される回胴停止制御処理の流れを示したフローチャートである。回胴停止制御処理を開始すると、先ず初めに、何れかの遊技役に内部当選しているか否かを判断する(S500)。前述したように、各回胴を停止させるに際しては、何れかの遊技役に内部当選している場合には、適切なタイミングで回胴停止ボタンを操作することによって、当選した遊技役の入賞を成立させる図柄組合せが揃うように、逆に、内部当選していない遊技役については、どのようなタイミングで回胴停止ボタンを操作しても、入賞を成立させる図柄組合せが揃わないように、各回胴を停止させる必要がある。そのため、回胴停止制御処理を開始した直後に、何れかの遊技役に内部当選しているか否かを判断するのである。また、内部抽選の結果は内部当選フラグに設定されるので(図10)、内部当選フラグを参照することによって、内部当選しているか否かを容易に判断することができる。
そして、何れの遊技役にも内部当選していないと判断された場合は(S500:no)、何れの遊技役の入賞も成立させないように回胴の停止位置を決定する(S502)。ここで、回胴の停止位置は、先に検出した回胴停止ボタン操作時の回胴の回転位置(図20のS406)に基づいて、この回転位置から190ms以内(回胴上に描かれた図柄にして4コマ分回転する間に相当)の遅延範囲で決定するようになっている。図3に示されているように、各回胴上には同じ図柄同士が必ず間隔をおいて描かれているので、190ms以内の遅延範囲で回胴の停止位置を適切に決定すれば、遊技役の入賞を成立させる図柄組合せが入賞ライン上に揃うことを回避することができる。こうして回胴の停止位置を決定したら、決定した位置で回胴を停止させた後(S504)、回胴停止制御処理を終了して、図20の回胴回転停止処理に復帰する。
これに対して、何れかの遊技役に内部当選していると判断された場合は(S500:yes)、次いで、内部当選した遊技役がチェリー小役であるか否かを判断する(S506)。そして、チェリー小役以外の遊技役に内部当選していた場合は(S506:no)、当選した遊技役の種類と、回胴停止ボタン操作時の回胴の回転位置とに基づいて、回胴の停止位置を決定する(S508)。すなわち、回胴停止ボタン操作時の回胴の回転位置から190ms以内(図柄にして4コマ分回転する間)の遅延範囲で、当選した遊技役に対応する図柄組合せを入賞ライン上に停止表示することが可能であれば、その遊技役の入賞が成立するように回胴の回転位置を決定する。一方、190ms以内の遅延範囲では、当選した遊技役に対応する図柄組合せを停止表示することができないのであれば、何れの遊技役の入賞も成立しないように回胴の停止位置を決定する。図3に示されているように、各回胴上には複数種類の図柄が描かれており、図柄の種類によって描かれている個数が異なっているので、多く描かれている図柄は比較的容易に停止表示させることができるのに対して、少ない図柄を停止表示させるのは容易なことではない。そして、回胴の停止位置を決定したら、決定した位置で回胴を停止させて(S504)、回胴停止制御処理を終了する。尚、本実施例の遊技機1では、チェリー小役に内部当選していない場合には、前述した特定図柄組合せ(特定図柄Aまたは特定図柄B)が何れの入賞ライン上にも揃わないように回胴の停止位置を決定するようになっている。
以上では、チェリー小役以外の遊技役に内部当選していた場合に行われる処理について説明したが、チェリー小役に内部当選していた場合には(S506:yes)、続いて、チェリー小役の当選態様に対応する押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたか否かを判断する(S510)。前述したように、本実施例の遊技機1では、赤チェリー小役および青チェリー小役の2種類のチェリー小役が設けられており、チェリー小役の当選態様としては、赤チェリー小役に単独で当選、青チェリー小役に単独で当選、赤チェリー小役と青チェリー小役との重複役に当選の3種類の態様が設定されている(図9参照)。また、本実施例の遊技機1では、3種類の当選態様のそれぞれに対して、回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作する順序(いわゆる押し順)が予め対応付けられている。尚、3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cはどのような順序で操作してもよいことから、押し順は全部で6通りになる。
図22は、本実施例の遊技機1におけるチェリー小役の当選態様と押し順との対応関係を示した説明図である。図示されているように、赤チェリー小役の単独当選に対しては、3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cの中で最初に操作する回胴停止ボタン(以下では、第1停止という)が左側の回胴停止ボタン(左停止ボタン)38aである押し順が設定されている。同様に、青チェリー小役の単独当選に対しては、第1停止が中央の回胴停止ボタン(中停止ボタン)38bである押し順が設定され、赤チェリー小役と青チェリー小役との重複当選に対しては、第1停止が右側の回胴停止ボタン(右停止ボタン)38cである押し順が設定されている。尚、このような対応関係に従って、チェリー小役の当選態様に応じて押し順を決定する処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201によって行われていることから、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明の「特別操作順序決定手段」の一態様を構成している。
そして、チェリー小役の当選態様に対応する押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されなかった場合、例えば、赤チェリー小役に単独当選しているときに中停止ボタン38bまたは右停止ボタン38cが最初に操作された場合は(S510:no)、特定図柄Aの組合せが入賞ライン上に揃うように回胴の停止位置を決定する処理を行う(S512)。かかる処理においても、基本的には前述したS508での処理と同様に、回胴停止ボタン操作時の回胴の回転位置から190ms以内の遅延範囲で、回胴の停止位置を決定する。ただし、図3に示されているように、特定図柄Aの組合せに対応する「チャンス」の図柄は左回胴20a上にほぼ等間隔で多数描かれており、「再遊技」の図柄についても中回胴20bおよび右回胴20c上に多数が等間隔で描かれているので、特定図柄Aの組合せは、190ms以内の遅延範囲で確実に揃えることが可能となっている。また、何れかのチェリー小役(赤チェリー、青チェリー、あるいは両方)に内部当選しているので、当選したチェリー小役の図柄を左回胴20aに停止表示することが可能であれば、特定図柄Aの組合せが揃うのと同時に、チェリー小役の入賞も成立するように回胴の停止位置を決定する。こうして回胴の停止位置を決定したら、決定した位置で回胴を停止させた後(S504)、回胴停止制御処理を終了する。尚、本実施例の遊技機1では、主制御基板200に搭載されたCPU201が回胴の停止位置を制御していることから、本実施例の主制御基板200搭載されたCPU201は、本発明の「停止制御手段」の一態様を構成している。
これに対して、チェリー小役の当選態様に対応する押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作された場合、例えば、赤チェリー小役に単独当選しているときに左停止ボタン38aが最初に操作された場合は(S510:yes)、特定図柄Bの組合せが入賞ライン上に揃うように回胴の停止位置を決定し(S514)、決定した位置で回胴を停止させると(S504)、回胴停止制御処理を終了して、図20に示した回胴回転停止処理に復帰する。尚、特定図柄Bの組合せも、前述した特定図柄Aの組合せと同様に、対応する図柄が各回胴20a,20b,20c上に等間隔で多数描かれているため、回胴停止ボタン操作時の回胴の回転位置から190ms以内の遅延範囲で確実に揃えることができる。
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、チェリー小役に内部当選する態様として3種類の当選態様(赤チェリー単独、青チェリー単独、赤チェリーと青チェリーの重複)が設けられており、それぞれの当選態様毎に予め対応する押し順が定められている(図22)。そして、何れかのチェリー小役に内部当選したときに、遊技者が、その当選態様に対応する押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると特定図柄Bの組合せが入賞ライン上に揃うようになっており、「特定遊技」中は、特定図柄Bの組合せが揃うことによって、遊技者に有利な「RT遊技」へと遊技状態が切り換わるように設定されている。もっとも、チェリー小役の当選態様が何れであるかは遊技者に伏せられており、遊技者が当選態様を認識することは困難である。このため、遊技者は、有利な「RT遊技」へと遊技状態が切り換わるように、特定図柄Bの組合せが揃う押し順(本実施例では第1停止)を予想しながら、回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作するようになる。このように、本実施例の遊技機1では、RT遊技が開始される押し順を遊技者に予想させるという新たな遊技性を付与することによって、より積極的な遊技を行わせることができ、その結果、遊技者の遊技興趣を効果的に盛り上げることが可能となる。
また、前述したように、チェリー小役の当選態様に対応する押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると特定図柄Bの組合せが入賞ライン上に揃うのに対して、当選態様に対応する押し順とは異なる順番で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると特定図柄Aの組合せが揃うようになっており、「特定遊技」中に特定図柄Aの組合せが揃った場合には、遊技状態が「通常遊技」に戻ってしまう。このように、本実施例の遊技機1では、遊技者の選択した押し順が、チェリー小役の当選態様に対応する押し順であるか否かによって、遊技者の受ける利益が大きく異なっているので、「特定遊技」中は緊張感のある遊技が行われることになり、結果として、遊技者の遊技興趣を一層効果的に盛り上げることが可能となる。加えて、「特定遊技」中は、何れかのチェリー小役に内部当選することによって、「RT遊技」あるいは「通常遊技」のどちらかの遊技状態に切り換わるので、「特定遊技」のまま長く停滞することを防止でき、その結果、遊技状態をテンポ良く切り換えることが可能となる。
さらに、本実施例の遊技機1では、チェリー小役の当選態様毎に、特定図柄Bの組合せが揃う(すなわちRT遊技が開始される)押し順が定められている。これにより、内部抽選の結果に基づいて、RT遊技が開始される押し順、および通常遊技に切り換わる押し順が同時に決定されることになるので、別途抽選等によって押し順を決定する処理を設ける必要はなく、制御が複雑化することを回避できる。その結果、前述したような、遊技者の選択した押し順によって、RT遊技が開始される場合と通常遊技に切り換わる場合とを設ける制御を簡便に実現することが可能となる。
また、前述したように、本実施例の遊技機1では、チェリー小役の当選態様として、赤チェリー小役あるいは青チェリー小役のそれぞれへの単独当選と、赤チェリー小役および青チェリー小役への重複当選とが設けられており、それぞれの当選態様毎に、特定図柄Bの組合せが揃う押し順(第1停止)が設定されている。このため、第1停止で最初の回胴が停止した時点では、その押し順がRT遊技の開始される押し順であるか否かを、遊技者が判断できないようにすることが可能となっている。以下、この点について補足して説明する。
仮に、前述した実施例とは異なり、チェリー小役の当選態様として、赤チェリー小役および青チェリー小役への重複当選が設けられていない場合を考える。前述したように、チェリー小役は、内部当選したチェリー小役に対応する図柄(赤チェリーまたは青チェリー)が左回胴20a上に停止表示された時点で(全ての回胴が停止する前であっても)入賞成立が確定する点において、他の遊技役とは異なっている。このため、例えば、第1停止に左停止ボタン38aを操作して左回胴20a上に「赤チェリー」の図柄が停止表示されると、その時点で、赤チェリー小役に当選していたことが分かってしまう。そして、この当選態様に対応する押し順(第1停止)は左停止ボタン38aに設定されていることから、最初の回胴が停止した時点で、RT遊技の開始される押し順であったことが遊技者に分かってしまい、残り2つの回胴を停止する際の緊張感が大きく低下してしまう傾向がある。
これに対して、本実施例の遊技機1では、チェリー小役の当選態様に赤チェリー小役および青チェリー小役への重複当選も含まれており、上述した例では、当選態様が「赤チェリーへの単独当選」のときだけでなく「重複当選」のときにも、第1停止で左回胴20a上に「赤チェリー」の図柄が停止表示され得る。そして、当選態様が「重複当選」であれば、対応する押し順(第1停止)は右停止ボタン38cに設定されているので、特定図柄Bの組合せは揃わない(すなわちRT遊技は開始されない)。このように、本実施例の遊技機1では、第1停止で最初の回胴が停止しただけでは、RT遊技の開始される押し順であるか否か遊技者に分からないようにすることができ、その結果、全ての回胴が停止するまで遊技者の緊張感を高めておくことが可能となる。
D.変形例 :
D−1.第1変形例 :
以上に説明した実施例では、特定遊技において特定図柄Aあるいは特定図柄Bの何れかの組合せが揃うと、遊技状態が切り換わるものとして説明した。しかし、特定遊技中に限定されるわけではなく、特定遊技以外の遊技状態において特定図柄Aあるいは特定図柄Bの組合せが揃った場合にも、遊技状態が切り換わるようにしてもよい。以下では、このような構成を採用した第1変形例について説明する。
図23は、第1変形例の遊技機1が複数の遊技状態を切り換えながら遊技を行う様子を概念的に示した説明図である。第1変形例の遊技機1にも、前述した実施例と同様に(図13)、遊技状態として「通常遊技」、「特定遊技」、「RT遊技」、「BB遊技」の4種類の遊技状態が設けられている。
第1変形例の遊技機1においても、多くの遊技が「通常遊技」で行われる。そして、「通常遊技」中にBB役(赤7のBB役または青7のBB役)の入賞が成立すると、遊技状態が「BB遊技」に切り換わる。前述した実施例では、BB遊技に切り換わらないまま所定回数(100回)の遊技を消化すると、「通常遊技」から「特定遊技」に切り換わるようになっていたが、第1変形例の遊技機1では、所定回数の遊技の消化ではなく、特定図柄Aの組合せ(図11)が入賞ライン上に揃うと、遊技状態が「特定遊技」に切り換わるようになっている。
「BB遊技」に切り換わると、前述した実施例と同様に、非常に高い確率で「JAC」と呼ばれる遊技役に内部当選するようになり(図14)、JACの入賞成立の度に所定枚数(例えば、15枚)の遊技メダルが払い出される。そして、BB遊技中に払い出された遊技メダルの枚数が所定枚数(例えば、465枚)に達すると、「BB遊技」を終了して「特定遊技」に切り換わる。
「特定遊技」に切り換わると、前述した実施例と同様に、「通常遊技」に比べてわずかに再遊技役の入賞が成立し易くなる(図15)。そして、「特定遊技」中にBB役の入賞が成立すると、遊技状態が「BB遊技」へと切り換わる。また、特定図柄Aの組合せが入賞ライン上に揃うと、遊技状態が「通常遊技」に切り換わる。一方、特定図柄Bの組合せ(図11)が入賞ライン上に揃うと、遊技状態が「RT遊技」に切り換わる。
第1変形例の遊技機1においても、「RT遊技」に切り換わると、前述した実施例と同様に、非常に高い確率で再遊技役の入賞が成立するようになるため(図16)、遊技者は、あまり遊技メダルを減らすことなく、BB役の入賞を狙って遊技を継続することができる。そして、BB役の入賞が成立すると、遊技状態が「BB遊技」へと切り換わる。前述した実施例では、BB遊技に切り換わらないまま所定回数(30回)の遊技を消化すると、「RT遊技」を終了して「特定遊技」に切り換わるようになっていたが、第1変形例の遊技機1では、「RT遊技」での遊技回数に制限が設けられておらず、その代わりに、特定図柄Aの組合せが入賞ライン上に揃うと、遊技状態が「特定遊技」に切り換わるようになっている。
図24は、第1変形例における遊技状態変更処理の流れを示すフローチャートである。第1変形例の遊技状態変更処理も、前述した実施例と同様に(図19)、遊技制御処理(図7および図8)の中で入賞ライン上に特定図柄組合せ(特定図柄Aまたは特定図柄B)が揃った場合に、主制御基板200のCPU201によって実行される(図8のS134)。
第1変形例の遊技状態変更処理を開始すると、先ず初めに、入賞ライン上に揃った特定図柄組合せが特定図柄Aであるか否かを判断する(S600)。そして、特定図柄Aの組合せが揃ったと判断された場合は(S600:yes)、遊技状態フラグ(図12)を参照して、何れかの遊技状態フラグがONに設定されているか否かを判断する(S602)。前述した実施例と同様に、第1変形例においても「特定遊技」に対応する遊技状態フラグは設けられていないので、すべての遊技状態フラグがOFFに設定されている場合は(S602:no)、「特定遊技」中に特定図柄Aの組合せが入賞ライン上に揃ったものと判断され、図23に示されているように、この場合は、遊技状態が「通常遊技」に切り換わるようになっている。従って、S602で「no」と判断されたら、通常遊技フラグをONに設定して(S604)、図24の遊技状態変更処理を終了する。
これに対して、何れかの遊技状態フラグがONに設定されていた場合は(S602:yes)、次いで、ONに設定されているフラグが通常遊技フラグであるか否かを判断する(S606)。図23を用いて前述したように、第1変形例の遊技機1では、「通常遊技」中に特定図柄Aの組合せが揃うと、遊技状態が「特定遊技」に切り換わるようになっている。そこで、通常遊技フラグがONに設定されていた場合には(S606:yes)、通常遊技フラグをOFFに設定して(S608)、図24の遊技状態変更処理を終了する。
一方、通常遊技フラグがOFFに設定されていた場合は(S606:no)、次いで、RT遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(S610)。図23を用いて前述したように、第1変形例における特定図柄Aの組合せは、RT遊技を終了させる契機となる図柄組合せに設定されており、「RT遊技」中に特定図柄Aの組合せが揃うと、遊技状態が「特定遊技」に切り換わるようになっている。そのため、RT遊技フラグがONに設定されていた場合は(S610:yes)、RT遊技を終了するべくRT遊技フラグをOFFに設定して(S612)、図24の遊技状態変更処理を終了する。尚、第1変形例の特定遊技は、本発明の「第2遊技状態」に相当しており、RT遊技は本発明の「高利益第1遊技状態」に相当し、通常遊技は本発明の「低利益第1遊技状態」に相当している。第1変形例では、主制御基板200に搭載されたCPU201がRT遊技フラグあるいは通常遊技フラグをOFFに設定することによって、遊技状態が特定遊技に切り換わることから、第1変形例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明の「遊技状態切換手段」の一態様を構成している。
これに対して、ONに設定されている遊技状態フラグが通常遊技フラグでもなく(S606:no)、RT遊技フラグでもなかった場合は(S610:no)、現在の遊技状態は「BB遊技」であると判断される。図23に示されているように、BB遊技中に特定図柄Aの組合せが揃っても、遊技状態が切り換わることはない。そのため、S610で「no」と判断されたら、そのまま図24の遊技状態変更処理を終了して、遊技制御処理(図7および図8)に復帰する。
以上では、特定図柄Aの組合せが入賞ライン上に揃っていた場合に行われる処理について説明したが、入賞ライン上に特定図柄Bの組合せが揃っていた場合にも(S600:no)、何れかの遊技状態フラグがONに設定されているか否かを判断する(S614)。そして、すべての遊技状態フラグがOFFに設定されている場合は(S614:no)、「特定遊技」中であると判断され、図23に示されているように、「特定遊技」中に特定図柄Bの組合せが入賞ライン上に揃うと、遊技状態が「RT遊技」に切り換わる。従って、S614で「no」と判断された場合は、RT遊技フラグをONに設定して(S616)、図24の遊技状態変更処理を終了する。
一方、何れかの遊技状態フラグがONに設定されていた場合は(S614:yes)、「BB遊技」、「RT遊技」、「通常遊技」の何れかの遊技状態中に特定図柄Bの組合せが揃ったものと判断され、図23に示されているように、これらの場合は、遊技状態が切り換わらないように設定されている。そこで、S614で「yes」と判断されたら、そのまま図24の遊技状態変更処理を終了して、遊技制御処理(図7および図8)に復帰する。
図25は、第1変形例の遊技機1が行う遊技状態設定処理の流れを示すフローチャートである。図17および図18を用いて前述した実施例と同様に、第1変形例の遊技状態設定処理においても、遊技状態フラグ(図12)を参照して、何れの遊技状態フラグがONに設定されているかに応じて処理を実行する。先ず、BB遊技フラグがONであった場合には(S800:yes)、そのBB遊技の終了条件が満たされたか否か(BB遊技中に払い出された遊技メダルの枚数が所定枚数に達したか否か)を判断し(S802)、まだ満たされていなければ(S802:no)、BB遊技用の抽選テーブル(図14)を選択するとともに(S804)、BB遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向けて出力する(S806)。一方、所定枚数の遊技メダルを払い出してBB遊技の終了条件が満たされたら(S802:yes)、BB遊技フラグをOFFにする(S808)。
また、通常遊技フラグがONであった場合は(S810:yes)、通常遊技用の抽選テーブル(図9)を選択するとともに(S812)、通常遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向けて出力する(S814)。ここで、図17および図18を用いて前述した実施例では、通常遊技状態フラグがONであると、次いで、終了条件が満たされたか否かを判断するようになっていたが、第1変形例の遊技機1では、通常遊技の終了条件が満たされたか否かの判断を行うことなく、抽選テーブルの選択を行っている。図23を用いて前述したように、第1変形例の通常遊技の終了条件としては、BB遊技に切り換わるか、あるいは特定図柄Aの組合せが揃って特定遊技に切り換わる場合に設定されており、遊技回数の制限は設けられていない。そして、BB遊技に切り換わる場合は、S800で「yes」と判断されて続く処理が行われる。また、特定図柄Aの組合せが揃った場合は、前述した遊技状態変更処理の中で通常遊技フラグがOFFに設定される(図24のS608)。従って、ここでは終了条件が満たされたか否かを判断する必要はない。
さらに、RT遊技フラグがONであった場合は(S816:yes)、RT遊技用の抽選テーブル(図16)を選択するとともに(S818)、RT遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向けて出力する(S820)。前述した実施例(図17および図18)では、RT遊技フラグがONの場合にも、終了条件が満たされたか否かの判断を行っていた。しかし、第1変形例のRT遊技の終了条件としては、BB遊技に切り換わるか、あるいは特定図柄Aの組合せが揃って特定遊技に切り換わる場合に設定されており(図23)、BB遊技に切り換わる場合はS800で「yes」と判断されて続く処理が行われ、特定図柄Aの組合せが揃った場合は遊技状態変更処理の中でRT遊技フラグがOFFに設定されるので(図24のS612)、第1変形例の遊技機1では、終了条件が満たされたか否かを判断せずに、抽選テーブルを選択する。
以上では、何れかの遊技状態フラグがONであった場合について説明したが、何れのフラグもOFFであった場合には(S816:no)、遊技状態は特定遊技であると判断されるので、特定遊技用の抽選テーブル(図15)を選択するとともに(S822)、特定遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向けて出力したら(S632)、図25の遊技状態設定処理を終了して、遊技制御処理(図7および図8)に復帰する。
以上に説明したように、第1変形例の遊技機1では、「特定遊技」中に特定図柄Bの組合せが入賞ライン上に揃うと、遊技者にとって有利な「RT遊技」へと切り換わる一方で、「RT遊技」中に特定図柄Aの組合せが揃うと「特定遊技」に戻ってしまう。また、「特定遊技」中に特定図柄Aの組合せが揃うと「通常遊技」に切り換わるものの、「通常遊技」中に特定図柄Aの組合せが揃うと「特定遊技」に復帰するようになっている。このため、遊技者は、「特定遊技」中は有利な「RT遊技」に切り換わるように特定図柄Bの組合せが揃う押し順を予想しながら回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作を行って、特定図柄Aの組合せが揃うことを避けようとする。また、「RT遊技」中は特定図柄Aの組合せが揃わない押し順(すなわち、特定図柄Bの組合せが揃う押し順)で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作することによって、RT遊技を長く継続させることが可能である。これに対して、「通常遊技」中は「特定遊技」に切り換わるように特定図柄Aの組合せが揃う押し順(すなわち、特定図柄Bの組合せが揃う押し順以外の押し順)で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作する。このように、第1変形例の遊技機1では、同じ特定図柄Aの組合せが揃うのであっても、遊技状態が何れであるかによって効果(遊技者にとっての価値)は大きく異なり、それに伴って、遊技者の選択する回胴停止ボタン38a,38b,38cの押し順も異なってくるので、遊技者の遊技興趣を効果的に盛り上げることが可能となる。
D−2.第2変形例 :
前述した実施例では、チェリー小役の当選態様に対応する押し順として、第1停止(3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cの中で最初に操作する回胴停止ボタン)が設定されており、遊技者が当選態様に対応する第1停止を最初に操作すると、特定図柄Bの組合せが入賞ライン上に揃うものとして説明した。しかし、これに限られるものではなく、当選態様に対応する押し順として、3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cの全ての操作順序を定めておいてもよい。以下では、このような構成を採用した第2変形例について説明する。
図26は、第2変形例において抽選テーブルに設定されている各遊技役と、内部抽選用乱数の乱数範囲との対応関係を模式的に示した説明図である。図示されているように、第2変形例の遊技機1にも、前述した実施例と同様に、チェリー小役として「赤チェリー小役」および「青チェリー小役」が設けられているが、第2変形例の遊技機1では、さらに「白チェリー小役」が設けられている。そして、赤チェリー小役に内部当選する態様としては、赤チェリー小役に単独当選、青チェリー小役との重複当選、白チェリー小役との重複当選の3態様が設けられている。同様に、青チェリー小役および白チェリー小役についても、単独当選、他のチェリー小役の何れかとの重複当選が設けられており、何れかのチェリー小役に内部当選する態様は全部で6態様設定されている。
図27は、第2変形例の遊技機1におけるチェリー小役の当選態様と押し順(3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作する順序)との対応関係を示した説明図である。図示されているように、赤チェリー小役の単独当選に対しては、3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cの中で1番目に左側の回胴停止ボタン38a(左)、2番目に中央の回胴停止ボタン38b(中)、3番目に右側の回胴停止ボタン38c(右)の順番で操作する押し順(以下では、このような押し順を「左・中・右」と表記する)が設定されている。同様に、青チェリー小役の単独当選に対しては「中・左・右」の押し順が設定され、白チェリー小役の単独当選には「右・左・中」の押し順が設定されている。また、赤チェリー小役と青チェリー小役との重複当選には「右・中・左」の押し順が設定され、青チェリー小役と白チェリー小役との重複当選には「左・右・中」の押し順が、赤チェリー小役と白チェリー小役との重複当選には「中・右・左」の押し順が設定されている。
そして、図20および図21を用いて前述した実施例と同様に、第2変形例の遊技機1においても、チェリー小役の当選態様に対応する押し順で遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作した場合には、特定図柄Bの組合せが何れかの入賞ライン上に揃うように、各回胴20a,20b,20cを停止させるようになっている。一方、当選態様に対応する押し順以外の押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作した場合には、何れの入賞ライン上にも特定図柄Bの組合せは揃わないように、各回胴20a,20b,20cを停止させる。
以上に説明したように、第2変形例の遊技機1では、チェリー小役の当選態様として6種類の態様が設けられており、当選態様のそれぞれに、3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作する6種類の押し順の中から、異なる押し順が対応付けられている。従って、遊技者は、特定図柄Bの組合せが入賞ライン上に揃うように、最初に操作する回胴停止ボタンだけでなく、全ての回胴停止ボタン38a,38b,38cについて押し順を予想しながら停止操作を行うことになる。このように、押し順選択のバリエーションが増えるので、遊技者の興趣を一層効果的に盛り上げることが可能となる。
また、前述したように、チェリー小役は、対応する「チェリー」の図柄が左回胴20a上に停止表示された時点で入賞が確定する遊技役であるが、第2変形例の遊技機1では、各チェリー小役(赤チェリー、青チェリー、白チェリー)の単独当選、および他のチェリー小役の何れかとの重複当選に対して、それぞれ異なる押し順が設定されているので、左回胴20a上に何れかのチェリー図柄が停止表示されても、全ての回胴を停止させるまでは特定図柄Bの組合せが揃う押し順であるか否かを遊技者に分からなくすることができる。以下、例を挙げて説明する。
例えば、最初に左停止ボタン38aを操作して、左回胴20a上に「青チェリー」の図柄が停止表示されたとすると、青チェリー小役に内部当選している必要があるので、チェリー小役の当選態様は、青チェリー小役の単独当選、赤チェリー小役と青チェリー小役との重複当選、青チェリー小役と白チェリー小役との重複当選の何れかであると考えられる。このうち、図27に示したように、青チェリー小役の単独当選、または赤チェリー小役と青チェリー小役との重複当選であれば、どちらも最初に操作した回胴停止ボタン(第1停止)が一致していないので特定図柄Bの組合せは揃わない。また、青チェリー小役と白チェリー小役との重複当選であれば、第1停止は一致しているが、2番目に操作する回胴停止ボタンのいかんによって特定図柄Bの組合せが揃うか否か分からない。このように、何れかのチェリー図柄が左回胴20a上に停止表示されても、その時点で特定図柄Bの組合せが揃う押し順であるか否かが分かってしまうことはなく、その結果、3つの回胴20a,20b,20cの全てを停止するまで遊技者の緊張感を高めておくことが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例および変形例では、特定図柄組合せ(特定図柄Aまたは特定図柄B)によっては何れの遊技役の入賞も成立しないものとして説明したが、もちろん、特定図柄組合せが入賞ライン上に揃うことによって入賞が成立する遊技役を設定しておくことも可能である。一例として、特定図柄Aの組合せによって特定役Aの入賞が成立するとともに、特定図柄Bの組合せによって特定役Bの入賞が成立することとして、特定役Aあるいは特定役Bの入賞が成立したら所定枚数(例えば5枚)の遊技メダルを払い出すこととしてもよい。尚、この場合には、入賞が成立する前提として、内部抽選で当選している必要があるため、図28に示すように抽選テーブルにおいて、特定役Aおよび特定役Bが何れのチェリー小役とも重複して当選するように設定しておけばよい。このような構成によれば、何れかのチェリー小役に当選すれば必ず特定役Aおよび特定役Bも同時に当選しているので、特定図柄Aあるいは特定図柄Bの組合せを停止表示させることが可能となり、特定役Aあるいは特定役Bの入賞が成立する。また、重複して当選させるとともに、特定図柄Aあるいは特定図柄Bの何れかの組合せが必ず停止表示されるように設定しておけば、内部当選した遊技役の何れの入賞も成立しないこと(いわゆる取りこぼし)の発生を回避することができる。
また、前述した実施例および変形例では、チェリー小役の当選態様に応じて特定図柄組合せが揃う押し順が定まるものとして説明した。しかし、チェリー小役に限定されるわけではなく、他の遊技役(例えば、色違いのベル小役を複数設けておく)の当選態様に応じて特定図柄組合せが揃う押し順が定まるようにすることも可能である。もちろん、前述したチェリー小役のように同種の遊技役の当選態様に限られるわけではなく、異なる種類の遊技役(例えば、チェリー小役、ベル小役、スイカ小役)の何れに内部当選したかに応じて押し順が定まるようにしてもよい。
加えて、前述した実施例および変形例では、内部抽選の結果(何れかの遊技役に内部当選したか否か)は遊技者に伏せられているものとして説明した。しかし、所定の条件が満たされた場合には、内部抽選の結果を遊技者に報知することとしてもよい。例えば、特定遊技中に何れかのチェリー小役に内部当選(赤チェリー小役の単独当選、青チェリー小役の単独当選、赤チェリー小役と青チェリー小役との重複当選の何れか)したら、チェリー小役に内部当選した旨だけ(チェリー小役の当選態様は伏せたまま)を遊技者に報知するようにしてもよい。こうすることで、特定図柄Bの組合せが揃う押し順(RT遊技が開始される押し順)を選択する機会を遊技者に確実に付与することができ、結果として、遊技興趣をより一層効果的に盛り上げることが可能となる。
また、前述した第1変形例において、RT遊技が開始されてから所定回数(例えば30回)の遊技を消化するまでは、チェリー小役に内部当選した旨を、その当選態様を含めて遊技者に報知するようにしてもよい。こうすれば、RT遊技で所定回数の遊技を消化するまでは、報知された当選態様に対応する押し順以外の押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作することによって、特定図柄Bの組合せ(RT終了図柄組合せ)が揃うことを確実に回避することができる。また、RT遊技で所定回数の遊技を消化した後は、当選態様は報知されないので、遊技者は、特定図柄Bの組合せが揃わない押し順を予想しながら回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作するようになる。このため、遊技者がRT遊技の利益を受ける十分な期間を確保できるとともに、RT遊技が単調な遊技になってしまうことを回避することが可能となる。
さらに、前述した実施例および変形例では、遊技媒体として遊技メダルを用いて遊技を行うものとして説明したが、これに限られるものではなく、例えば、遊技媒体として遊技球などを用いる遊技機に対しても本発明を好適に適用することが可能である。