以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.回胴式遊技機の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.電気的構成:
B.遊技の概要:
C.制御の概要:
C−1.遊技制御処理:
C−2.遊技状態設定処理:
D.本実施例の遊技機によって得られる遊技性:
A.回胴式遊技機の装置構成 :
A−1.全体構成 :
図1は、回胴式遊技機1(以下、「遊技機1」と略記)の外観を示す正面図である。図1に示すように、遊技機1には、箱状に形成された筐体3と、筐体3の前面側を覆うようにして設けられた前面扉2などが設けられている。前面扉2は、実際に遊技が行われる中段の領域と、遊技の進行に応じて種々の演出が行われる上段の領域2uと、遊技メダルが払い出される下段の領域2dとの大きく3つの領域から構成され、更に中段の領域は、遊技の状態を表示するための遊技状態表示部2maと、遊技を行うための操作部2mbとから構成されている。
上段の領域2uには、中央に演出表示装置10が設けられ、演出表示装置10の左右にはスピーカ14が設けられ、演出表示装置10およびスピーカ14の上方には、各種のランプ類12が設けられている。演出表示装置10は、いわゆる液晶表示装置によって構成されており、遊技の進行状況に合わせて種々の図柄を表示して演出を行うことが可能となっている。
前面扉2の中段に設けられた遊技状態表示部2maの中央には、大きな表示窓20が設けられており、内部に設けられた3つの回胴20a、20b、20cが回転する様子を視認可能となっている。また、表示窓20の左右および下方には、遊技の状態を表示する各種の表示パネル類22が設けられている。
前面扉2の中段下方に設けられた操作部2mbは、手前に向かって突出した形状に形成されており、上面には、遊技メダルを投入するための遊技メダル投入口30と、クレジットとして貯留されている遊技メダルを1枚だけ投入するための一枚投入ボタン32と、貯留されている遊技メダルを3枚投入するための三枚投入ボタン34などが設けられている。尚、遊技メダルの貯留とは、遊技メダル投入口30に投入された遊技メダルの枚数が規定数(1ゲームに要する遊技メダル枚数の上限)を超えた場合にその超えた分をデータとして記憶しておく、あるいは、遊技メダルを実際に払い出す代わりにメダルの払い出し枚数をデータとして記憶しておくことをいう。また、操作部2mbの前面には、遊技メダルの投入後に回胴20a、20b、20cの回転を開始するためのスタートレバー36と、3つの回胴20a、20b、20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38cなどが設けられている。また、操作部2mbには、上面に精算ボタン40および返却ボタン42が設けられている。ここで、精算ボタン40とは、遊技機1の内部に貯留されている遊技メダルを外部に払い出す際に操作するボタンである。遊技メダルの投入後も、スタートレバー36を操作して回胴20a、20b、20cの回転を開始するまでの間であれば、投入済みの遊技メダルも精算ボタン40を操作することによって払い出すことが可能である。また、返却ボタン42とは、投入した遊技メダルが遊技機1の内部で詰まった場合に、メダルの詰まりを解消するために操作されるボタンである。
前面扉2の下段の領域2dには、遊技メダルが払い出される遊技メダル払出口50と、払い出された遊技メダルを受け止める受け皿52などが設けられている。
図2は、前面扉2を開いて遊技機1の内部の構成を示した斜視図である。前面扉2の裏面側上部には、サブ制御基板ユニット102が設けられており、その左右には一対のスピーカ14が取り付けられている。サブ制御基板ユニット102の内部には、後述するサブ制御基板220が格納されており、図1に示した演出表示装置10や、各種ランプ類12、スピーカ14などを用いて行われる各種演出の制御を司っている。
前面扉2のほぼ中央には表示窓20が設けられており、その下方には、後述する扉基板240が格納された扉基板ユニット104が設けられている。また、扉基板ユニット104の下方には、投入された遊技メダルの通路となるメダルセレクタ106や、遊技メダルを遊技メダル払出口50に導くためのコインシュータ108などが取り付けられている。メダルセレクタ106は、遊技メダル投入口30から投入された遊技メダルを主に寸法に基づいて選別し、規格寸法に適合した遊技メダルだけを受け入れる機能を有している。遊技者がスタートレバー36を操作する前に遊技メダルを投入すると、遊技メダルはメダルセレクタ106によって選別され、規格を満足しているものだけがホッパー116内に投入され、規格を満たしていないメダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却されるようになっている。
これに対して、スタートレバー36が操作された後に遊技メダルが投入された場合は、メダルセレクタ106内の通路が切り換わり、投入された遊技メダルはコインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却される。また、メダルセレクタ106の内部には、図示しないメダルセンサが設けられており、寸法規格を満たして受け入れられた遊技メダルが通過すると、メダルセンサによって検出されて、その信号が後述する主制御基板200に供給されるようになっている。
一方、筐体3のほぼ中央には、3つの回胴20a、20b、20cが設けられており、各回胴の外周面には、後述するように複数種類の図柄が表示されている。これら回胴の上方には、遊技全体の制御を司る後述する主制御基板200が格納された主制御基板ユニット110と、各回胴を駆動するための後述する回胴基板260が格納された回胴基板ユニット112などが設けられている。また、3つの回胴20a、20b、20cの下方には、リアスピーカ114が設けられ、更にその下方には、投入された遊技メダルが集められるホッパー116や、遊技メダルを払い出すメダル払出装置118、遊技機1全体に電源を供給するための後述する電源基板280が格納された電源ユニット120などが搭載されている。メダル払出装置118から払い出された遊技メダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50から払い出されるようになっている。また、電源ユニット120の前面には、遊技機1の電源を投入するための電源スイッチ120sも設けられている。
図3は、3つの回胴20a、20b、20cの外周面に表示された図柄の配列を示す説明図である。各回胴には、何れも21個の図柄が外周面に表示されている。また、何れの回胴についても、表示されている図柄の種類は同じであるが、図柄の配列については回胴毎に異なる配列に設定されている。
A−2.電気的構成 :
図4は、本実施例に係る遊技機1の電気的構成を示す説明図である。図4に示すように、遊技機1には、主制御基板200を中心として、サブ制御基板220、扉基板240、回胴基板260、電源基板280、中継基板300等がデータをやり取り可能に接続されて構成されている。
主制御基板200は、遊技機1で行われる遊技全体の進行や演出を司る基板である。この主制御基板200には、CPU201、ROM202、RAM203などがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて搭載されており、前面扉2に搭載された扉基板240から、スタートレバー36が操作されたことを示す信号を受け取って、後述する遊技制御処理を実行しながら、サブ制御基板220や、扉基板240、回胴基板260などに向かって制御コマンド(あるいは制御信号)を出力することにより、これら各種基板の動作を制御している。
サブ制御基板220も、上述した主制御基板200と同様に、CPUや、ROM、RAMなどがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて構成されている。また、サブ制御基板220には、各種のランプ類12や、各種のスピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどが接続されている。ここで回胴バックライト20Lとは、各回胴20a,20b,20cの内部に設けられて、回胴の表面に描かれた図柄(図3参照)を裏側から照らすライトである。サブ制御基板220は、主制御基板200から受け取った制御コマンドを解析して、各種ランプ類12、各種スピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lにそれぞれ駆動信号を出力することにより、各種の演出を行っている。
扉基板240には、メダルセレクタ106や、貯留されている遊技メダルを投入するための各種投入ボタン32,34、回胴の回転を開始するためのスタートレバー36、回転している回胴を停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38c、貯留されている遊技メダルや投入された遊技メダルを払い出して遊技を終了するための精算ボタン40、遊技の状態を表示する各種の表示パネル22などが接続されている。また、扉基板240は、前述した主制御基板200と、データをやり取り可能に接続されている。このため、前面扉2に設けられたスタートレバー36や、回胴停止ボタン38a、38b、38c、各種の投入ボタン32,34、精算ボタン40などを操作すると、扉基板240を介して、その信号を主制御基板200に供給することが可能となっている。また、メダルセレクタ106が、内蔵するメダルセンサによって遊技メダルの通過を検出した信号も、扉基板240を介して主制御基板200に供給されるようになっている。
回胴基板260には、3つの回胴20a,20b,20cをそれぞれ回転させるための回胴モータ24a,24b,24cと、それぞれの回胴の回転位置を検出するための回胴センサ26a,26b,26cなどが設けられている。回胴基板260は、回胴センサ26a,26b,26cによって、各回胴20a,20b,20cの回転位置を検出しながら、回胴モータ24a,24b,24cを駆動することにより、それぞれの回胴20a,20b,20cを、所望の回転位置で停止させることが可能となっている。尚、本実施例の遊技機1では、回胴モータ24a,24b,24cには、いわゆるステッピングモータが使用されている。
また、メダル払出装置118は、中継基板300を介して、主制御基板200に接続されており、主制御基板200からの制御信号に基づいて、所定枚数の遊技メダルを払い出す動作を行う。
これら各種制御基板、および基板で消費される電力は、電源基板280から供給されている。図4では、電源基板280から電力が供給される様子を破線の矢印で表している。図示されているように、主制御基板200およびサブ制御基板220には、電源基板280から直接電力が供給されており、各種基板(扉基板240、回胴基板260、中継基板300)には、主制御基板200を介して電力が供給されている。電源基板280には100Vの交流電圧が供給されており、この電力を規定電圧の直流電圧に変換した後、それぞれの制御基板および基板に供給している。
B.遊技の概要 :
以下では、上記の構成を有する回胴式の遊技機1において、遊技を進行するために行われる制御の内容について説明するが、その準備として、回胴式遊技機で行われる遊技の概要を説明しておく。
遊技を開始するにあたっては、遊技メダル投入口30から遊技メダルを投入して、メダルのベットを行う。ベットする遊技メダル数は、通常、1枚または3枚に固定されている。尚、遊技メダルがクレジットとして予め内部に貯留されている場合は、一枚投入ボタン32、あるいは三枚投入ボタン34を押すことにより、それぞれ1枚または3枚の遊技メダルをベットすることも可能である。
遊技メダルをベットして、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが回転を開始する。図3を用いて前述したように、各回胴には、複数の図柄が描かれているため、回胴が回転すると、表示窓20では、これら図柄が変動表示されることになる。また、図1を用いて前述したように、前面扉2の前面側には、それぞれの回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cが設けられている。回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すと、押したボタンに対応する回胴が回転を停止し、これに伴って、変動表示されていた図柄が何れかの図柄で停止表示される。このようにして、3つの回胴20a,20b,20cの回転を停止させると、それぞれの回胴で何れかの図柄が停止表示される。本実施例の遊技機1では、表示窓20の大きさは、各回胴あたり3つずつ、図柄が表示されるような大きさに設定されている。結局、3つの回胴20a,20b,20cが停止表示されると、表示窓20には、縦横3列ずつ、合計9つの図柄が表示されるようになっている。また、これら9つの図柄が表示される位置には、複数本の入賞ラインが予め設定されている。
図5は、本実施例の遊技機1に設定されている入賞ラインを示した説明図である。図示されるように、本実施例の遊技機1では、上段の入賞ラインL1と、中段の入賞ラインL2と、下段の入賞ラインL3と、右斜め上方向きの入賞ラインL1と、右斜め下方向きの入賞ラインL5の、合計5本の入賞ラインが設定されている。遊技メダルを1枚だけベットした場合には、中段の入賞ラインL3だけが有効となり、遊技メダルを3枚ベットした場合には5本全ての入賞ラインが有効となる。そして、3つの回胴20a,20b,20cが停止すると、有効な入賞ライン上には、何某かの図柄組合せが得られることになる。尚、ここで、入賞ラインは図5に示した直線形状の5種類のみが設定されているものとしているが、これに限らず、例えば、左回胴20aの上段位置と、中回胴20bの中段位置と、右回胴20cの上段位置とを結ぶ入賞ラインや、あるいは、左回胴20aの下段位置と、中回胴20bの中段位置と、右回胴20cの下段位置とを結ぶ入賞ラインなどの、直線でない入賞ラインなどを加えて、より多種類の入賞ラインを設定しておくこととしても良い。
そして、有効な入賞ライン上に揃った図柄組合せが、何れかの遊技役を成立させる図柄組合せであった場合には、成立した遊技役に応じた特典が遊技者に付与されるようになっている。図6は、本実施例の遊技機1に設定されている遊技役の種類を、その遊技役を成立させる図柄組合せ、および遊技役が成立したときに遊技者に付与される特典と対応付けて示した説明図である。図6では、左端の欄に遊技役の種類が表示され、中央の欄には遊技役を成立させる図柄組合せが表示され、右端の欄には遊技役が成立したときに遊技者に付与される特典が表示されている。例えば、最上段に示したビッグボーナス役(以下、BB役)と呼ばれる遊技役には、「赤セブン」と呼ばれる図柄の揃った図柄組合せ、あるいは「青セブン」と呼ばれる図柄の揃った図柄組合せが対応付けられており、何れの図柄組合せで揃った場合でも、ビッグボーナス遊技の開始という特典が遊技者に付与される。ここで、ビッグボーナス遊技の詳細な内容については後述するが、ビッグボーナス遊技とは、複数回のゲームに亘って継続される特殊な遊技状態であり、多量の遊技メダルを獲得可能な、遊技者にとっては最も有利な特典である。尚、「赤セブン」の図柄で成立したBB役を特に「赤7のBB役」と呼び、「青セブン」の図柄で成立したBB役を特に「青7のBB役」と呼んで区別することがあるが、本実施例での遊技機1では、何れのBB役であっても得られる特典は同じであり、両者を区別する必要はない。
また、ベルの小役という遊技役には、左回胴20aの図柄が「赤セブン」、「青セブン」、「バー」の何れかであり、中回胴20bの図柄が「ベル」、右回胴20cの図柄も「ベル」の図柄組合せが設定され、これらベルの小役に対して遊技者に付与される特典は、15枚の遊技メダルが払い出される旨が設定されている。尚、本実施例の遊技機1では、ベルの小役については、左回胴20aの図柄が何れであるかによって区別しており、左回胴20aが「赤セブン」の場合は「ベルAの小役」と呼び、左回胴20aが「青セブン」の場合は「ベルBの小役」、そして左回胴20aが「バー」の場合は「ベルCの小役」と呼ぶ。
スイカの小役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「スイカ」の図柄で揃った図柄組合せが設定されており、スイカの小役に対しては、6枚の遊技メダルが遊技者に払い出される。また、チェリーの小役という遊技役には、左回胴20aの図柄が「チェリー」の図柄であれば、中回胴20bおよび右回胴20cにはどのような図柄であっても構わない図柄組合せが設定されており、チェリーの小役に対しては、2枚の遊技メダルが遊技者に払い出される。
更に、再遊技役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「再遊技」の図柄で揃った図柄組合せが設定されている。ここで、本実施例の遊技機1では、再遊技の図柄には、「Replay」と表示された図柄に加えて、左回胴20aについては、円形の上側半分を取り出した半円形状の図形も設定されているが、何れの図柄であっても再遊技の図柄が揃えば再遊技役を成立させることができる。そして、再遊技役に対して遊技者に付与される特典としては、新たな遊技メダルをベットすることなく、もう一度、遊技を行う権利が付与される。すなわち、再遊技役を成立させた時にベットしていた遊技メダルと、同じ枚数の遊技メダルがベットされたものとして、もう一度遊技を行うことが可能となる。
もちろん、回胴20a,20b,20cが停止したときに、何れかの遊技役が成立するとは限らない。この場合は、再び1枚、または3枚の遊技メダルをベットした後、スタートレバー36を操作して回胴を回転させることによって、次のゲームを行う。本実施例の遊技機1では、こうした操作を繰り返し行うことによってゲームが進行するようになっている。
こうした遊技の進行は、主制御基板200によって制御されている。以下では、主制御基板200が遊技の進行を制御するために行っている処理内容について説明する。
C.制御の概要 :
図7は、本実施例の遊技機1において主制御基板200が遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図8は、本実施例の遊技機1において主制御基板200が行う遊技制御処理の後半部分を示すフローチャートである。この遊技制御処理は、遊技機1に電源が投入され、更に主制御基板200や、サブ制御基板220に搭載されたROMのサムチェックなどの初期化処理が行われた後に実行される処理である。尚、後述するように複数の遊技状態を切り換えながら遊技を実行する処理は、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201が、以下に説明する遊技制御処理を実行することによって実現されている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明の「遊技実行手段」に対応するものとなっている。
図7に示すように、遊技制御処理を開始すると、先ず初めに遊技状態設定処理(ステップ100。以下、ステップを「S」と略記する)を行う。遊技状態設定処理では、大まかには次のような処理を行う。上述したように、本実施例の遊技機1では、遊技メダルをベットして3つの回胴20a,20b,20cを回転させ、回胴の回転が停止したときに遊技役が成立していれば、所定の特典が得られるという遊技を繰り返し行う。この遊技の基本的な操作は共通であるが、前述したビッグボーナス遊技の他にも幾つかの遊技状態が設けられており、何れの遊技状態であるかに応じて、遊技役の成立し易さや成立する遊技役の種類を切り換えることによって、遊技の印象を大きく異ならせることができる。遊技状態設定処理では、こうした遊技状態を設定する処理を行う。遊技状態設定処理の詳細な内容を理解するためには、遊技制御処理の全体を理解しておくことが便利であるため、以下では遊技制御処理の全体を説明し、それを踏まえて、遊技状態設定処理の詳細について説明する。
遊技状態設定処理に続いて、主制御基板200は、メダル投入確認処理を行う(S102)。メダル投入確認処理では、遊技メダル投入口30から遊技メダルが投入されたか否か、あるいは遊技メダルがクレジットとして貯留されている場合に、一枚投入ボタン32または三枚投入ボタン34が操作されたか否かを確認する。前述したように、投入された遊技メダルは、メダルセレクタ106に内蔵されたメダルセンサによって検出され、その検出信号が主制御基板200に供給される。また、各種投入ボタン32,34を操作した場合には、その操作信号が主制御基板200に供給される。主制御基板200は、これらの信号に基づいて、遊技メダルが投入されたか否かを判断することができる。そして、遊技メダルが投入されたら、遊技を開始可能な状態になる。尚、各種投入ボタン32,34が操作された場合には、遊技メダルの貯留枚数から投入枚数を減算する処理も同時に行われる。
上述のようにして遊技メダルの投入が確認できたら、スタートレバー36を操作することによって何時でも遊技を開始することが可能となるが、その前に、精算ボタン40が操作されたか否かの確認を行う(S104)。すなわち、遊技メダルをベットした後であっても、スタートレバー36を操作して回胴20a,20b,20cを回転させる前であれば、ベットした遊技メダルも含めてメダルを精算することが可能となっている。そして、精算ボタン40が操作されていた場合には(S104:yes)、精算処理を行うことにより、クレジットとして貯留されている遊技メダルおよび投入した遊技メダルを払い出す処理を行う(S106)。遊技メダルの払い出しは、主制御基板200からメダル払出装置118に向けて、払い出すべき遊技メダルの枚数を指示する制御信号を出力することによって行われる。こうして遊技メダルを払い出したら、遊技の開始前の状態(S100)に戻って、以降の処理を行う。
一方、精算ボタン40が操作されていない場合には(S104:no)、スタートレバー36が操作されたか否かを判断する(S108)。前述したように遊技者がスタートレバー36を操作すると、その操作信号が主制御基板200に供給され、3つの回胴20a,20b,20cが一斉に回転して遊技が開始される。主制御基板200は、スタートレバー36の操作信号に基づいて、スタートレバー36が操作されたか否かを判断することができる。そして、スタートレバー36が操作されていない場合は(S108:no)、遊技者が未だ遊技を開始していないものと判断されるので、精算ボタン40の操作の有無を確認しながら(S106)、スタートレバー36が操作されるまで待機する。一方、スタートレバー36が操作されたら(S108:yes)、内部抽選処理を開始する(S110)。
内部抽選処理では、図6を用いて前述した遊技役の何れかの成立を許容するか否かを、抽選によって決定する処理を行う。尚、かかる抽選で何れかの遊技役に当選したとしても、直ちに遊技役が成立するわけではなく、回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作することにより、対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えなければ当選した遊技役を成立させることはできない。また逆に、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作したとしても、抽選で当選した遊技役でなければ、入賞ライン上に対応する図柄組合せを揃えることはできないようになっている。その意味で、かかる抽選は、図柄組合せを揃えて遊技役を成立させるための前提条件として、内部的に行われる抽選であることから、内部抽選と呼ばれている。また、内部抽選に当選した状態は、内部当選状態(あるいは単に、内部当選)と呼ばれている。
この内部抽選は、抽選テーブルと呼ばれる専用のテーブルを用いて行われる。図9は、最も一般的な遊技状態である通常遊技中に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、抽選テーブルには、遊技役毎に、その遊技役を当選させる乱数範囲が予め設定されている。例えば、図9(a)に示した通常遊技用の抽選テーブルでは、ベルAの小役に対しては乱数値0〜1333の範囲が設定されている。これは、取得した乱数値がこの範囲にあった場合には、ベルAの小役が内部当選することを表している。同様に、乱数値が1334〜2667の範囲にあった場合は、ベルBの小役が内部当選し、乱数値が2668〜4000の範囲にあった場合は、ベルCの小役が内部当選することを表している。このように、何れの遊技役に内部当選するかを決定するために用いられる乱数は、内部抽選用乱数と呼ばれており、遊技者がスタートレバー36を操作することによって出力されたスタートレバー操作信号を、主制御基板200が受け取ると、主制御基板200が取得する乱数である。尚、本実施例の遊技機1では、内部抽選用乱数は2バイトデータとなっており、0〜65535の範囲を取ることが可能となっている。この抽選用の乱数は、主制御基板200に搭載された専用の乱数発生回路を用いてハードウェア的に生成することもできるし、乱数発生用のプログラムを用いてソフトウェア的に生成することも可能である。尚、図9(b)には、通常遊技用の抽選テーブルに設定されている各遊技役と、内部抽選乱数の乱数範囲との対応関係が模式的に表されている。
内部抽選処理では、以上のようにして、スタートレバー36が操作されたことを検出して内部抽選用乱数を取得するとともに、抽選テーブルを参照することにより、何れの遊技役に内部当選したか、若しくは何れの遊技役にも内部当選しなかったかを判断する。そして、何れかの遊技役に内部当選したら、当選した遊技役を内部当選フラグにセットする。ここで内部当選フラグとは、内部抽選の結果を記憶しておくために用いられるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。
図10は、本実施例の遊技機1における内部当選フラグの構成を例示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1では、小役および再遊技役についての内部当選フラグ(小役内部当選フラグ)と、ビッグボーナス役についての内部当選フラグ(ボーナス役内部当選フラグ)とに分けて記憶されており、それぞれ1バイトずつのデータが割り当てられている。図10(a)は、小役内部当選フラグに割り当てられたデータのデータ構造を示した説明図である。図示されているように、小役内部当選フラグに割り当てられた1バイトデータは、下位側の6ビットが内部当選フラグとして用いられている。これら6ビット中の先頭のビットは、ベルAの小役に部当選したことを記憶しておくためのビットであり、次のビットはベルBの小役に内部当選したことを、更にその次のビットはベルCの小役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。以下の3つのビットも同様に、それぞれ、スイカの小役、チェリーの小役、再遊技役に内部当選したことを記憶しておくために用いられているビットである。
また、図10(b)は、ボーナス役内部当選フラグに割り当てられたデータのデータ構造を示した説明図である。図示されているように、ボーナス役内部当選フラグに割り当てられた1バイトデータは、下位側の2ビットが内部当選フラグとして用いられている。これら2ビット中の先頭のビットは、赤7のBB役に部当選したことを記憶しておくためのビットであり、次のビットは青7のBB役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。図7に示した内部抽選処理(S110)では、内部抽選用乱数を取得して、抽選テーブルを参照し、何れかの遊技役に内部当選しているか否かを判断し、何れかの遊技役に内部当選していれば、図10に示した内部当選フラグの対応するビットに「1」を設定する処理を行う。
内部抽選処理を行ったら、主制御基板200は、続いて回胴回転始動処理を開始する(S112)。回胴回転始動処理では、所定の条件が満足されているか否かを判断して、条件が満たされている場合は、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる処理を行う。本実施例の回胴回転始動処理では、スタートレバー36が操作され、且つ、前回に回胴20a,20b,20cの回転が開始されてから所定時間(例えば、4.1秒)経過した場合に回胴の回転を開始することとして、各回胴20a,20b,20cにそれぞれ設けられた回胴モータ24a,24b,24cに対して駆動信号を出力することにより、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる。
こうして3つの回胴20a,20b,20cを回転させたら、主制御基板200は、回胴の回転を停止させる処理(回胴回転停止処理)を行う(S114)。かかる処理では、すべての回胴の回転速度が所定速度で安定したことを確認した後、各回胴に対応する回胴停止ボタンの操作を有効化する。そして、回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されると、その操作信号が主制御基板200に供給される。主制御基板200は、各回転停止ボタンが操作された時に各回胴が何れの回転位置にあったかを、各回転停止ボタンからの操作信号を受け取ったかに基づいて検出する。そして、その結果に基づいて、各回胴についての停止位置を決定し、決定した位置で回胴を停止させる制御を行う。尚、各回胴の停止位置を決定するに際しては、先に行われた内部抽選の結果が参照され、何れの遊技役にも内部当選していない場合には、どのようなタイミングで回胴停止ボタンが操作されても、遊技役を成立させる図柄組合せが停止表示されないように、回胴の停止位置が決定される。一方、ある遊技役に内部当選している場合には、よほどタイミングが外れていない限り、内部当選した遊技役を成立させる図柄組合せが停止表示されるように、各回胴の停止位置が決定されるようになっている。
以上のようにして、3つの回胴20a,20b,20cを停止させたら、主制御基板200は、予め定めておいた特定図柄の組合せが、入賞ライン上に揃っているか否かを判断する(S116)。図11は、特定図柄の組合せを例示した説明図である。本実施例の遊技機1では、前述した「ベル」の小役を成立させる図柄組み合わせが停止表示されなかった場合(取りこぼしが発生した場合)に、特定図柄の組み合わせを停止表示することとしている。すなわち、「ベルA」ないし「ベルC」の遊技役の何れかに内部当選した状態で、左回胴20aの図柄が「ベルA」ないし「ベルC」のいずれかを成立させる図柄(「赤セブン」か「青セブン」か「バー」の何れか)が停止表示されなかった場合は、「再遊技」の図柄を左回胴20aに停止表示することとしている。そして、中回胴20b、右回胴20cについては、左回胴20aに停止表示された「再遊技」の図柄位置を含む入賞ライン上に「ベル」の図柄が停止表示されるように停止制御が行われる。したがって、「ベル」の小役を取りこぼした場合には、特定図柄の組み合わせを入賞ライン上に停止表示することができる。
そして、この特定図柄の組合せが、有効な入賞ライン上に揃っているものと判断された場合は(S116:yes)、特定通常遊技フラグをONに設定する(S118)。ここで、特定通常遊技フラグとは、遊技状態が、特定通常遊技と呼ばれる特殊な遊技状態に設定されていることを表すフラグである。前述したように、本実施例の遊技機1には、複数の遊技状態が設けられており、これら遊技状態を切り換えながら遊技が進行していく。そして、現在の遊技状態が何れであるかは、フラグの状態によって表示されている。主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスには、遊技状態を表すフラグ(遊技状態フラグ)を設定するための1バイト分の領域が確保されている。
尚、特定通常遊技中または後述するRT遊技中に特定図柄が停止表示されても、特定通常遊技フラグまたはRT遊技フラグがONとなっている場合には、上述したように特定通常遊技フラグをONに設定する処理は行わないこととしてもよい。これは、特定通常遊技中であれば、既に特定通常遊技フラグがONに設定されているため、重ねてフラグをONに設定する処理は不要なためである。また、後述するように、本実施例の遊技機1では、特定通常遊技という特殊な遊技状態を設けることで、特定通常遊技とRT遊技とを交互に切り換えることで特異な遊技性を発揮させようとするものであるところ、RT遊技中に特定図柄が停止表示されたために特定通常遊技フラグがセットされて、RT遊技が特定通常遊技に切り換わってしまうと、意図していないところで切り換わってしまい、意図した遊技性を効果的に発揮させることができなくなる場合も生じるためである。
図12は、遊技状態フラグが設定される1バイト分の領域のデータ構造を例示した説明図である。図示されているように、遊技状態フラグに割り当てられた1バイト分のデータは、下位側の4ビットが遊技状態フラグとして用いられている。これら4ビット中の最下位ビットは、再遊技役が成立したために遊技メダルを投入することなく遊技を再開可能な状態であることを示すフラグ(再遊技フラグ)に設定されている。また、特定通常遊技フラグは、最下位から2番目のビットに設定されており、このビットに「1」を設定すると、特定通常遊技フラグがONに設定された状態となる。図7に示した遊技制御処理の中のS118では、図12に示した遊技状態フラグの中の最下位から2番目のビットに「1」を設定する処理を行う。
ここで、説明の便宜から、特定通常遊技と呼ばれる遊技状態について若干説明しておく。特定通常遊技状態では、特定通常遊技用に設定された専用の抽選テーブルを用いて、前述した内部抽選処理が行われる。図13は、特定通常遊技用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図9に示した通常遊技用の抽選テーブルと同様に、特定通常遊技用の抽選テーブルにも、複数の遊技役毎に、その遊技役を当選させる乱数範囲が設定されている。また、図13(b)には、特定通常遊技用の抽選テーブルに設定されている各遊技役と、内部抽選乱数の乱数範囲との対応関係が模式的に表されている。図9と図13とを比較すれば明らかなように、図13に示した特定通常遊技用抽選テーブルは、図9の通常遊技用抽選テーブルに対して、再遊技役に対して設定された乱数範囲が拡大され、その分だけ、外れの乱数範囲が縮小されている。特定通常遊技では、このような抽選テーブルを用いて内部抽選処理が行われることから、特定通常遊技は通常遊技よりも再遊技役に内部当選し易い遊技状態となっている。
一方、図7に示した遊技制御処理中で、有効な入賞ライン上に特定図柄が停止表示されていないと判断された場合には(S116:no)、特定通常遊技フラグをONに設定することなく、何れかの遊技役の入賞が成立したか否かを判断する(S120)。ここで、「遊技役の入賞が成立する」とは、内部当選した遊技役に対応する図柄組合せが、有効な入賞ライン上に揃って表示されることをいう。前述したように、本実施例の遊技機1では、内部抽選処理(S110)で何れかの遊技役に内部当選していても、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すタイミングによっては、その遊技役に対応する図柄組合せが有効な入賞ライン上に揃うとは限らない。そこで、主制御基板200は、回胴の回転を停止させた後、内部抽選で当選した遊技役の入賞が成立しているか否かを判断するのである。また、主制御基板200に搭載されたROM202には、図6に示したように、遊技役毎に、その遊技役を成立させるための図柄組合せが予め記憶されている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたROM202は、本発明の「遊技役記憶手段」に対応するものとなっている。
そして、何れの遊技役の入賞も成立していないと判断された場合は(S120:no)、その遊技は終了となり、図7の遊技制御処理の先頭に戻って、遊技状態設定処理が行われる(図7のS100)。詳細には後述するが、遊技状態設定処理では、遊技状態フラグの設定に応じて抽選テーブルを選択することにより、遊技状態を切り換える処理を行う。また、図11を用いて前述した特定遊技状態フラグがONに設定されていた場合には、図13に示した特定通常遊技用抽選テーブルが選択される。
一方、何れかの遊技役の入賞が成立したと判断された場合は(S120:yes)、先ず初めに、入賞の成立した遊技役が、再遊技役であるか否かを判断する(図8のS122)。そして、再遊技役に入賞していた場合は(S122:yes)、図12に示した遊技状態フラグの中の最下位ビットに設けられた再遊技役フラグをONにセットする(S124)。この再遊技役成立フラグがONにセットされていると、次回遊技のメダル投入確認処理(S102)において、再遊技役に入賞した遊技で投入されていた枚数の遊技メダルが自動的に再投入される。
次いで、主制御基板200は、入賞の成立した再遊技役が、特定通常遊技によって増加した再遊技役であるか否かを判断する(S126)。すなわち、特定通常遊技の場合には、図13に示した抽選テーブルを用いて内部抽選処理が行われ、更に、この特定通常遊技用の抽選テーブルは、通常遊技用の抽選テーブルに比べて、再遊技役に内部当選する乱数範囲が拡大されている(図13(b)中に斜線を付して示した範囲を参照)。換言すれば、通常遊技中であれば再遊技役の内部当選とはならないが、特定通常遊技中には再遊技役の内部当選となるような乱数範囲が存在している。そこで、再遊技役の入賞が成立した場合には(S122:yes)、その前提となった内部当選が、増加した乱数範囲での内部当選であったか否かを判断するのである。
そして、再遊技役の入賞が、増加した乱数範囲での内部当選に基づくものであった場合には(S126:yes)、RT遊技フラグをONに設定した後(S128)、遊技制御処理の先頭に戻って、新たな遊技を開始する。一方、再遊技役の入賞が、増加した乱数範囲での内部当選に基づくものでなかった場合は(S126:no)、RT遊技フラグをONにすることなく、遊技制御処理の先頭に戻って新たな遊技を開始する。ここで、RT遊技フラグとは、遊技状態がRT(リプレイタイム)遊技であることを示すフラグであり、図12に示した遊技状態フラグの下位側から3ビット目がRT遊技フラグに設定されている。S128では、このRT遊技フラグに「1」を設定する処理を行う。
また、詳細には後述するが、図7および図8に示した遊技制御処理の最初に行われる遊技状態設定処理では、RT遊技フラグがONに設定されている場合には、RT遊技用の抽選テーブルが選択されるようになっている。図14は、RT遊技用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。RT遊技用の抽選テーブルは、再遊技役に内部当選する乱数範囲が、図13に示した特定通常遊技用の抽選テーブルと比較しても更に拡大されており、全乱数範囲のほぼ半分が再遊技役に内部当選する乱数範囲に設定されている。また、その分だけ、外れの乱数範囲が縮小されている。RT遊技では、このような抽選テーブルを用いて内部抽選処理が行われることから、RT遊技は再遊技役の入賞を成立させ易い遊技状態となっている。
尚、RT遊技の発生によって再遊技役が増加することで、特定通常遊技の発生によって増加した再遊技役(図13(b)の斜線部)と重複する再遊技役が存在することになる。しかし、RT遊技中にこの重複部分の再遊技役が成立しても、既にRT遊技フラグがONとなっている場合は、再びRT遊技フラグをセットし直さないようにしても良い。こうすれば次のような効果を得ることができる。すなわち、後ほど詳しく説明するように、本実施例の遊技機1では、RT遊技が連続して長期間行われて遊技が単調になることを回避するために、RT遊技を所定ゲーム数消化すると特定通常遊技に切り換えて、特定通常遊技とRT遊技とを交互に切り換えながら遊技が行われるようになっている。ここで、RT遊技中にRT遊技フラグをセットし直して新たなRT遊技を開始したのでは、長期間に亘ってRT遊技が行われ、結果として遊技が単調になってしまう可能性がある。こうした点から、RT遊技中には、図13(b)の斜線部の再遊技役が成立してもRT遊技フラグをセットし直さないようにしておけば、長期間に亘ってRT遊技が行われることを、確実に回避することが可能となる。
以上では、入賞の成立した遊技役が再遊技役であった場合(S122:yes)に行われる処理について説明したが、入賞した遊技役が再遊技役でなかった場合には(S122:no)、入賞した遊技役がBB役か否かを判断する(S130)。図6を用いて前述したように、BB役は、有効な入賞ライン上に、赤セブンの図柄が揃うか、青セブンの図柄が揃った場合に入賞する遊技役である。そして、BB役に入賞したと判断された場合には(S130:yes)、BB遊技フラグをONに設定した後(S132)、遊技制御処理の先頭に戻って、新たな遊技を開始する。ここで、BB遊技フラグとは、遊技状態がBB(ビッグボーナス)遊技であることを示すフラグであり、図12に示した遊技状態フラグの下位側から4ビット目がBB遊技フラグに設定されている。S132では、このBB遊技フラグに「1」を設定する処理を行う。
また、BB遊技フラグがONに設定されている場合には、図7および図8に示した遊技制御処理の遊技状態設定処理において、BB遊技用の抽選テーブルが選択されるようになっている。図15は、BB遊技用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。BB遊技用の抽選テーブルは、図9に示した通常遊技用の抽選テーブルと比較して、BB役に対する乱数範囲が設定されていない点と、再遊技役の代わりに「JAC」と呼ばれる特殊な遊技役が設定されている点とが、大きく異なっている。このうち、BB役に対する乱数範囲が設定されていないのは、BB役に入賞して開始されたBB遊技でBB役が成立することにより、重ねてBB遊技が行われることを避けるためである。また、BB遊技中は、他の遊技状態にはなかった「JAC」と呼ばれる遊技役が追加されて、JACに入賞すると15枚の遊技メダルが払い出されるようになっており、通常遊技用の抽選テーブルで再遊技役に割り当てられている乱数範囲が、BB遊技用の抽選テーブルでは、JACと呼ばれる遊技役に割り当てられている。尚、JACを成立させる図柄組合せは、通常遊技中に再遊技役を成立させる図柄組合せと同じ図柄に設定されている。従って、BB遊技中に、図6に示した再遊技役の図柄組合せが揃った場合には、再遊技役ではなくJACが成立したことになって、遊技メダルの払出が行われる。
また、15枚の遊技メダルが払い出される点では、JACは前述したベルの小役と同じである。しかし、ベルの小役は、ベルA、ベルB、ベルCのそれぞれ別々の小役に分かれており、従って、ベルAの小役に内部当選した場合には「赤セブン」、「ベル」、「ベル」の図柄組合せを揃えなければならず、ベルBの小役に内部当選した場合には「青セブン」、「ベル」、「ベル」の図柄組合せを、ベルCの小役に内部当選した場合には「バー」、「ベル」、「ベル」の図柄組合せを揃えなければならない。これに対して、JACは、BB遊技中に何れかの再遊技役の図柄を揃えればよい。このため、JACはベルの小役に比べて大変に入賞させ易い遊技役となっている。
一方、入賞した遊技役が再遊技役でもなく(S122:no)、BB役でもなかった場合は(S130:no)、何れかの小役に入賞したものと判断される。そこで、入賞した遊技役に応じた枚数の遊技メダルを払い出す処理を行う(S134)。すなわち、入賞した遊技役がベルの小役であれば、15枚の遊技メダルを払い出し、スイカの小役であれば6枚の遊技メダルを、そしてチェリーの小役であれば、2枚の遊技メダルを払い出す処理を行う。尚、BB遊技中でJACに入賞した場合であれば、15枚の遊技メダルを払い出す処理が行われる。かかる処理は、主制御基板200の内部で払い出すべき遊技メダルの枚数を求めた後、主制御基板200からメダル払出装置118に対して制御信号を出力することによって行われる。こうして遊技メダルを払い出したら、図7および図8に示した遊技制御処理の先頭に戻って、新たな遊技を開始する。
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、遊技メダルを投入し、スタートレバー36を操作すると、回胴20a,20b,20cの回転が開始され、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押して回胴が停止したときに遊技役が成立しているか否かによって遊技メダルが払い出され、また、遊技状態フラグの設定に応じて遊技状態が切り換わりながら遊技が進行していく。そして、この遊技状態を切り換えるための処理は、図7に示した遊技制御処理の最初に行われる遊技状態設定処理(S100)で行われている。以下では、遊技状態設定処理の内容について詳しく説明する。
C−2.遊技状態設定処理 :
遊技状態設定処理についての理解を容易にするために、本実施例の遊技機1が複数の遊技状態を切り換える様子について簡単に説明しておく。図16は、本実施例の遊技機1が、遊技状態を切り換えながら遊技を行う様子を概念的に示した説明図である。図7および図8に示した遊技制御処理の中で説明したように、本実施例の遊技機1には、遊技状態として「通常遊技」、「特定通常遊技」、「RT遊技」、および「BB遊技」の4つの遊技状態が設けられている。
遊技を開始した直後は、「通常遊技」の状態から遊技が開始される。「通常遊技」からは、「特定通常遊技」または「ビッグボーナス(BB)遊技」の何れかの遊技状態に切り換わる。すなわち、BB役の入賞が成立すると遊技状態が「ビッグボーナス遊技」に切り換わり、また、図11に示した特定図柄が、有効な入賞ライン上に揃うと「特定通常遊技」に切り換わる。
図13を用いて前述したように「特定通常遊技」は、再遊技役に内部当選する乱数範囲が拡大されており、再遊技役が成立し易くなっている遊技状態である。そして、「特定通常遊技」中に、この拡大された乱数範囲の再遊技役に入賞すると、遊技状態が「RT遊技」に切り換わる。また、「特定通常遊技」中にBB役に入賞した場合には、遊技状態が「ビッグボーナス遊技」に切り換わる。一方、「特定通常遊技」の状態で、「RT遊技」または「ビッグボーナス遊技」の何れかに切り換わらないまま、所定回数(本実施例では50回)の遊技が行われた場合には、「特定通常遊技」から「通常遊技」に戻ってしまう。すなわち、「特定通常遊技」の状態からは、「RT遊技」、「ビッグボーナス遊技」、または「通常遊技」の何れかの遊技状態に切り換わるようになっている。
図14を用いて説明したように「RT遊技」は、「特定通常遊技」よりも更に高い確率で再遊技役に入賞する遊技状態である。前述したように、再遊技役の入賞が成立すると遊技メダルを投入することなく1回分の遊技を行うことができ、また、ベルの小役を初めとする各種の小役が入賞すれば、遊技メダルの払い出しも受けることができるので、「RT遊技」中は、遊技者はほとんど遊技メダルを減らすことなく、BB役の入賞を狙って遊技を続けることが可能である。そして、BB役に入賞した場合には「ビッグボーナス遊技」が開始される。一方、BB役に入賞させることができないまま所定回数(本実施例では20回)の遊技が終了した場合には、「RT遊技」から「特定通常遊技」に戻ってしまう。結局、「RT遊技」の状態からは、「ビッグボーナス遊技」または「特定通常遊技」の何れかの遊技状態に切り換わることになる。
また、「ビッグボーナス遊技」は、各種の小役に比べて入賞し易い遊技役であるJACが追加されており、JACに入賞する度に15枚ずつ遊技メダルが払い出されるため、遊技者は、「ビッグボーナス遊技」中は効率よく遊技メダルを獲得することができる。そして、「ビッグボーナス遊技」は、所定枚数の遊技メダルが払い出されるまで継続され、払い出し枚数が所定枚数に達したら、「ビッグボーナス遊技」を終了して「通常遊技」に切り換わるようになっている。このようにして遊技状態を切り換える処理は、図7および図8に示した遊技制御処理の中の遊技状態設定処理によって行われている。以下では、遊技状態設定処理の詳細な内容について説明する。
図17は、本実施例の遊技機1が行う遊技状態設定処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図18は、本実施例の遊技機1が行う遊技状態設定処理の後半部分を示すフローチャートである。主制御基板200に搭載されたCPU201が、かかる処理を行って、ROM202に記憶されている抽選テーブルを選択することによって、複数の遊技状態を切り換えている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「遊技状態切換手段」に対応するものとなっている。
遊技状態設定処理を開始すると、先ず初めに主制御基板200のCPU201は、図12に示した遊技状態フラグを参照して、BB遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(S200)。図8を用いて前述したように、BB遊技フラグは、有効な入賞ライン上にBB役を成立させる図柄組合せが揃うことにより、BB役の入賞が成立したと判断された場合に(図8のS130:yes)、ONの状態に設定されるフラグである。
そして、BB遊技フラグがONに設定されていた場合は(S200:yes)、特定通常遊技フラグおよびRT遊技フラグをOFFに設定する(S202)。これは、図16を用いて前述したように、BB役は通常遊技、特定通常遊技、RT遊技の何れの遊技状態からも成立し得るが、何れの遊技状態から成立した場合でも、ビッグボーナス(BB)遊技の終了後は通常遊技に戻ることから、念のために、特定通常遊技フラグおよびRT遊技フラグをOFFにしておくものである。
次いで、BB遊技の終了条件が成立したか否かを判断する(S204)。前述したように本実施例の遊技機1では、BB遊技中に払い出された遊技メダルの枚数が所定枚数に達すると、そのBB遊技が終了するように設定されている。従って、S204では、BB遊技中に払い出された遊技メダルの枚数が所定枚数に達したか否かを判断する。当然ながら、BB遊技フラグがONに設定されてBB遊技が開始された直後の遊技では、BB遊技の終了条件が成立することはない。そこで、S204では「no」と判断され、図15に示したBB遊技用の抽選テーブルを選択する(S206)。前述したように、BB遊技用の抽選テーブルを用いて遊技を行うと、高い確率でJACに入賞させることができ、JAC入賞の度に15枚ずつの遊技メダルが払い出されるので、遊技者は効率よく遊技メダルを獲得することができる。この遊技状態が、いわゆるBB(ビッグボーナス)遊技と呼ばれる状態である。
また、主制御基板200のCPU201は、BB遊技用抽選テーブルの選択に続いて(S206)、BB遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S208)。図4を用いて前述したように、サブ制御基板220には、各種ランプ類12や、各種スピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどが接続されている。また、サブ制御基板220にはCPUが搭載されており、主制御基板200からBB遊技用の演出コマンドを受け取ると、そのコマンドの内容を解釈して、現在の遊技状態がBB遊技中であることを、遊技者に印象付けるような演出が行われる。
以上に説明したように、BB遊技フラグがONに設定されている間は(S200:yes)、BB遊技の終了条件が成立するまで(S204:no)、BB遊技用の抽選テーブルを選択し(S206)、BB遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に出力したら(S208)、図17および図18に示す遊技状態設定処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰する。
一方、BB遊技の終了条件が成立したと判断された場合は(S204:yes)、BB遊技を終了するべく、BB遊技フラグをOFFにする(S210)。前述したように、BB遊技中は、特定通常遊技フラグやRT遊技フラグはOFFに設定されることから(S202)、BB遊技フラグをOFFにすると、図12に示した遊技状態フラグは、BB遊技フラグ、RT遊技フラグ、特定通常遊技フラグが何れもOFFに設定された状態、すなわち、遊技状態が通常遊技であることを示す状態となる。これに合わせて、通常遊技用の抽選テーブルを選択するとともに(S212)、通常遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向かって出力した後(S214)、図17および図18に示した遊技状態設定処理を終了する。
以上では、BB遊技フラグがONに設定されている場合に行われる処理について説明したが、BB遊技フラグがOFFに設定されている場合は(S200:no)、今度は、RT遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(S216)。そして、RT遊技フラグがONに設定されていた場合は(S216:yes)、そのRT遊技の終了条件が成立したか否かを判断する(S218)。図16を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では、RT遊技の終了条件としては、BB役に入賞するか、BB役に入賞させることができないまま所定回数(ここでは20回)の遊技を消化した場合に設定されている。このうち、BB役の入賞によってRT遊技が終了する場合は、前述したS200において「yes」と判断されて、RT遊技フラグがOFFに戻された後、続く処理が行われる。従って、S218において判断すべきRT遊技の終了条件は、所定回数の遊技を終了したか否かを判断すればよい。もちろん、RT遊技が開始されて間もない遊技では、RT遊技の終了条件が成立することはないから(S218:no)、図14に示したRT遊技用の抽選テーブルを選択する(S220)。前述したように、RT遊技用の抽選テーブルを用いて遊技を行うと、高い確率で再遊技役に入賞させることができるので、遊技者は遊技メダルをあまり減らすことなく遊技を続けながら、BB役の入賞を狙うことが可能となる。
次いで、主制御基板200のCPU201は、RT遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向かって出力した後(S222)、図17および図18に示した遊技状態設定処理を終了して、図7および図8の遊技制御処理に復帰する。サブ制御基板220は、RT遊技用の演出コマンドを受け取ると、コマンドの内容に応じて各種ランプ類12や、各種スピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどを制御することにより、現在の遊技状態がRT遊技中であることを印象付けるような演出を行う。
このような処理を繰り返しながらRT遊技を継続しているうちに、RT遊技の終了条件が成立した(すなわち、BB役に入賞させることができないまま所定回数の遊技を消化した)と判断された場合は(S218:yes)、RT遊技を終了するべくRT遊技フラグをOFFにして(S224)、特定通常遊技フラグをONに設定する(S226)。
以上、RT遊技フラグがONに設定されている場合について説明したが、RT遊技フラグがOFFに設定されている場合は(S216:no)、特定通常遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(図18のS228)。そして、特定通常遊技フラグがONに設定されていた場合は(S228:yes)、その特定通常遊技の終了条件が成立したか否かを判断する(S230)。尚、上述したようにRT遊技の終了条件が成立して(図17のS218:yes)、特定通常遊技フラグがONに設定された場合には(S226)、当然、S228の判断においては「yes」と判断されるので、この場合も、特定通常遊技の終了条件が成立したか否かが判断される(S230)。
また、図16を用いて前述したように、特定通常遊技の終了条件としては、BB役に入賞してBB遊技に切り換わるか、特定通常遊技によって増加した再遊技役に入賞してRT遊技に切り換わるか、BB遊技やRT遊技に切り換わることなく所定回数(ここでは50回)の遊技を消化して、通常遊技に戻ってしまう3つの場合が存在する。このうち、BB役の入賞によって特定通常遊技が終了する場合は、前述したS200において「yes」と判断されて、上述した続く処理が行われ、増加した再遊技役に入賞して特定通常遊技が終了する場合は、前述したS216において「yes」と判断されて、上述の続く処理が行われる。従って、S230において判断すべき特定通常遊技の終了条件は、所定回数の遊技を終了したか否かを判断すればよい。従って、特定通常遊技が開始された後、所定回数の遊技を終了するまでの間は、終了条件が成立することはないから(S230:no)、図13に示した特定通常遊技用の抽選テーブルを選択し(S232)、通常遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向かって出力した後(S238)、図17および図18に示した遊技状態設定処理を終了する。この結果、遊技状態は通常遊技ではなく特定通常遊技でありながら、演出は通常遊技用の演出が行われることになる。
これに対して、所定回数の遊技を消化して特定通常遊技の終了条件が成立したと判断された場合は(S230:yes)、特定通常遊技フラグをOFFにする(S234)。この結果、図12に示した遊技状態フラグの設定は、BB遊技フラグも、RT遊技フラグも、特定通常遊技フラグも、何れもOFFに設定された状態(すなわち遊技状態が通常遊技であることを表す状態)となる。これに対応して、通常遊技用の抽選テーブルを選択し(S236)、通常遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向かって出力した後(S238)、図17および図18に示した遊技状態設定処理を終了する。
一方、S228の判断において、特定通常遊技フラグもONに設定されていないと判断された場合は(S228:no)、BB遊技フラグも、RT遊技フラグも、特定通常遊技フラグもOFFに設定されていることになるから、遊技状態は通常遊技に対応する。従って、通常遊技用の抽選テーブルを選択する(S236)。尚、通常遊技中にBB役に内部当選した場合、有効な入賞ライン上にBB役に対応する図柄組合せを揃えることができなかったとしても、BB役が入賞するまでは、BB役に内部当選した状態を維持したまま次の遊技を行うことが可能となっている。尚、このように内部当選フラグの設定を維持したまま次の遊技を行うことは、「内部当選フラグの持ち越し(あるいは単に、フラグの持ち越し)」と呼ばれている。また、本実施例の遊技機1では、BB役の内部当選フラグのみ、フラグの持ち越しが可能となっている。そして、フラグが持ち越されて内部当選状態となっている場合には、内部当選状態用の抽選テーブルが選択される。
図19には、通常遊技中に内部当選状態となった場合に用いられる抽選テーブルが概念的に示されている。図示した抽選テーブルは、BB役に対して乱数範囲が設定されていないこと以外は、図9に示した通常遊技用の抽選テーブルと同様となっている。これは、本実施例の遊技機1では、BB役の内部当選フラグのみが持ち越し可能であり、BB役の内部当選フラグがONに設定されている状態で重ねてBB役に内部当選することを避けるためである。このようにBB役に対して乱数範囲が割り当てられていない分だけ、外れに対して割り当てられた乱数範囲が増加している。
以上のようにして、通常遊技用の抽選テーブル(内部当選している場合は内部当選時用の抽選テーブル)を選択したら(図18のS236)、通常遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向かって出力した後(S238)、図17および図18の遊技状態設定処理を終了して、図7および図8を用いて前述した遊技制御処理に復帰する。
遊技制御処理では、処理を開始すると先ず初めに、上述した遊技状態設定処理を行って、遊技状態フラグの設定に応じた適切な抽選テーブルを選択するとともに、サブ制御基板220に対して演出コマンドを出力する。こうして選択した抽選テーブルを用いて内部抽選処理以降の一連の処理を行うことにより遊技が進行する。そして、遊技状態設定処理で何れの抽選テーブルが選択されるかによって遊技状態が切り換わり、また、遊技状態設定処理でサブ制御基板220に向かって出力する演出コマンドによって、遊技中の演出態様が切り換わる。
ここで、前述したように本実施例の遊技機1では、遊技状態としては「通常遊技」、「特定通常遊技」、「RT遊技」、「ビッグボーナス(BB)遊技」の4つの状態が設けられている。そして、通常遊技中には通常遊技用の演出が行われ、RT遊技中にはRT遊技用の演出が、BB遊技中にはBB遊技用の演出というように、それぞれの遊技状態に対応した演出が行われるが、特定通常遊技については特定通常遊技用の演出が行われるのではなく、通常遊技用の演出が行われる。このことに加えて、各遊技状態間での移行のし易さを適切に設定しておくことにより、本実施例の遊技機1では、従来の遊技機では得られなかった特異な遊技性を、遊技者に印象付けることが可能となっている。以下、この点について詳しく説明する。
D.本実施例の遊技機によって得られる遊技性 :
図20は、本実施例の遊技機1が遊技状態を切り換えながら、演出態様を変化させる様子を示した説明図である。図中では、本実施例の遊技機1に設けられた4つの遊技状態を、破線で囲って表している。また、各遊技状態間の間に表示された斜線を付した矢印は、遊技状態が切り換わる方向を表しており、矢印の太さは遊技状態の切り換わり易さを模式的に表したものである。矢印が太くなるほど、その矢印が示す方向に遊技状態が切り換わり易いことを表し、矢印が細くなるほど、その方向には遊技状態が切り換わり難いことを表している。更に、図中に実線で囲った矩形は、遊技の演出態様を表している。すなわち、本実施例の遊技機1では、通常遊技用の演出態様(通常遊技演出)と、RT遊技用の演出態様(RT遊技演出)と、BB遊技用の演出態様(BB遊技演出)の3つの演出態様が設けられている。以下では、これら遊技状態および演出態様が切り換わる様子を、図20を参照しながら遊技の進行に沿って説明する。
遊技を開始した直後は、遊技状態は「通常遊技」となっている。前述したように、通常遊技中に特定図柄が揃うと、遊技状態が「特定通常遊技」に切り換わる。図11に示すように、この特定図柄は、ベルAないしベルCの何れかの小役を取りこぼした図柄になっており、BB役に入賞する確率に比べれば比較的高い確率で発生し、その結果、「通常遊技」は比較的容易に「特定通常遊技」に切り換わる。もっとも、特定図柄は、ベルの小役を取りこぼした図柄に設定されているため、特定図柄が揃っても遊技者の注意を引くことはなく、加えて、「通常遊技」から「特定通常遊技」に遊技状態が切り換わっても、演出態様は通常遊技演出のままで変わらないので、遊技者は、遊技状態が切り換わったことに気付くことはない。
図13を用いて前述したように、「特定通常遊技」に切り換わると「通常遊技」に比べて、再遊技役に内部当選し易くなり、その結果として再遊技役に入賞し易くなる。従って「特定通常遊技」は、その分だけ「通常遊技」よりも遊技者にとって有利な遊技状態となっている。そして、「特定通常遊技」中に、増加した分の再遊技役に入賞すると、遊技状態が「RT遊技」に切り換わるとともに、演出の態様もRT遊技演出に切り換わる。本実施例の遊技機1では、このようにして遊技状態と演出態様とを切り換えることにより、遊技者に次のような印象を与えることができる。すなわち、「通常遊技」の状態から遊技を続けていると、いつの間にか、再遊技役に入賞し易くなった様に感じられ、更にそのまま遊技を続けていると、再遊技役に入賞後、突然に「RT遊技」に切り換わる。もっとも、「特定通常遊技」から必ず「RT遊技」に切り換わるわけではなく、「特定通常遊技」のまま所定回数の遊技を消化すると「通常遊技」に戻るようになっている。従って、遊技者にとっては、遊技をしていると再遊技役に入賞し易い時間帯が必ず発生し、その時間帯では比較的高い確率で「RT遊技」に切り換わるように感じられることになる。
また、図14を用いて前述したように、「RT遊技」中は高い確率で再遊技役に入賞すると同時に、小役も他の遊技状態と同様に入賞するため、遊技者にとっては遊技メダルをほとんど減らすことなくBB役の入賞を狙える大変に有利な遊技状態となっている。とは言うものの、図14の抽選テーブルに示されているように、BB役の内部当選確率は高いものではなく、BB役を入賞させることができないまま遊技が進行することが通常である。そして、「RT遊技」の状態で所定回数の遊技を消化すると、遊技状態が「特定通常遊技」に戻ってしまう。この「RT遊技」から「特定通常遊技」に切り換わる回数は、比較的少ない回数(本実施例では20回)に設定されているため、「RT遊技」から「特定通常遊技」への切り換わりは比較的高い確率で(ここでは、短い時間で)発生する。しかし、上述したように「特定通常遊技」からは比較的容易に「RT遊技」に切り換わるので、結局、「特定通常遊技」と「RT遊技」との間を行ったり来たりしながら、比較的短い時間の「RT遊技」が何度も発生することになる。また、「特定通常遊技」中の演出態様は「通常遊技」中と同じになっているので、この様子は、遊技者にとっては、「通常遊技」中に短時間の「RT遊技」が何度も発生するような、特異な遊技状態が開始されたように感じられる。そして、このような特異な遊技状態を繰り返すうちにBB役に入賞すると、遊技状態が「BB遊技」に切り換わった後、「通常遊技」に復帰する。
もちろん、「特定通常遊技」と「RT遊技」とを頻繁に繰り返すうちに、BB役に入賞させることができないまま「通常遊技」に戻ってしまう場合も起こり得る。しかし、「特定通常遊技」から「通常遊技」に切り換わるためには、「特定通常遊技」のままで所定回数の遊技を消化する必要があり、この所定回数は比較的多い回数(本実施例では50回)に設定されている。このため、「特定通常遊技」から「通常遊技」に戻る確率よりも「RT遊技」に移行する確率の方が高く、多くの場合は「特定通常遊技」と「RT遊技」との間で遊技状態が頻繁に切り換わることになる。
図20には、以上に説明したように、「通常遊技」からやがて「特定通常遊技」に切り換わり、ほとんどの場合が「特定通常遊技」から「RT遊技」に移行した後、「特定通常遊技」と「RT遊技」との間で遊技状態が何度も切り換わりながら遊技が進行する様子が表されている。そして、こうした遊技を続けているうちに、やがてBB役に入賞すると「BB遊技」を経て「通常遊技」に戻り、再び、以上のような遊技を切り返す様子が表されている。
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、「通常遊技」および「特定通常遊技」の何れの遊技状態でも通常遊技演出を行うようになっており、少なくとも「特定通常遊技」からは「通常遊技」よりも「RT遊技」の方に切り換わり易いように設定されているとともに、「RT遊技」からは「通常遊技」よりも「特定通常遊技」の方に切り換わり易いように設定されている。このようにしておくことで、通常遊技演出を行う「特定通常遊技」と、RT遊技演出を行う「RT遊技」との間で、遊技状態が交互に切り換わりながら遊技が行われるような、特殊な遊技状態が発生したかのような印象を遊技者に与えることが可能となる。
また、前述したように「RT遊技」は、遊技者にとっては遊技メダルをほとんど減らすことなくBB役の入賞を狙える有利な遊技状態である。従って、何度も「RT遊技」に切り換わりながら遊技が行われるようにしておき、しかも「RT遊技」に切り換わるたびに演出態様が通常遊技演出からRT遊技演出に切り換わるようにしておくことで、何度もチャンスが発生していることを遊技者に強く印象づけて、その結果、遊技者の遊技に対する興趣を大きく盛り上げることが可能となる。
また、前述したように「特定通常遊技」は、通常遊技中よりも高い確率で再遊技役が成立するようにすることで特定通常遊技状態であることを示唆させることもできる。こうすれば、演出態様の変化はしないものの遊技状態が変化したことを遊技者に示唆することが可能となり、「もう少しでリプレイタイム遊技が発生するかもしれない」と期待感を抱かせることができる。その結果、「遊技者が得るべき利益」を放棄させずに遊技を続けさせることも可能となる。
更に加えて、「特定通常遊技」から「RT遊技」に切り換わる条件、および「RT遊技」から「特定通常遊技」に切り換わる条件を、何れも比較的容易に成立する条件に設定しておけば、比較的短い期間の「RT遊技」を何度も発生させることができる。「RT遊技」は遊技者にとって有利な遊技状態であるものの、再遊技役ばかりに入賞するので遊技が単調になり易い傾向にあるが、比較的短い期間の「RT遊技」を何度も発生させることにより、全体としては「RT遊技」を長時間行ったとしても、遊技が単調な印象を遊技者に与えることを回避することが可能となる。
また、このとき、「RT遊技」から「特定通常遊技」に切り換わるための条件を、所定回数の遊技を消化することとしておけば、個々の「RT遊技」についてもある程度の期間を確保することができるので、全体としては十分な「RT遊技」の期間を確保することが可能となる。加えて、毎回、同じ期間の「RT遊技」が繰り返されるようにしておくことで、リズム良く遊技を進行させることも可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。