以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.第1実施例の回胴式遊技機:
A−1.装置構成
A−1−1.全体構成:
A−1−2.電気的構成:
A−2.制御の概要:
A−2−1.一般遊技状態における制御:
A−2−2.レギュラーボーナス遊技状態における制御:
A−2−3.ビッグボーナス遊技状態における制御:
B.第2実施例の回胴式遊技機:
A.第1実施例の回胴式遊技機 :
A−1.装置構成 :
A−1−1.全体構成 :
図1は、回胴式遊技機1(以下、「遊技機1」と記す。)の外観を示す斜視図である。図2は、遊技機1の前面構造を示す説明図である。この図1及び図2を参照しつつ、以下に、遊技機1の全体構成について説明する。図1及び図2に示すように、遊技機1の全体的形状は筐体3により構成されており、この筐体3の正面部には、表示窓5、操作パネル部7、遊技メダル払出口9などを備えた前面扉4が開閉可能に設けられている。
表示窓5は、遊技者に対して図柄を表示するための窓であり、遊技機1の前面扉4の上段部分に設けられている。この表示窓5は透明なパネルで覆われており、このため、この表示窓5を介して筐体3の内部を目視することが可能となっている。
表示窓5の内側(筐体1の内部)には、回転可能な複数個(本実施例では3個)の回胴(リール)13L,13C,13Rが横一列に設けられている。各回胴13L〜13Rの外周面には、複数種類の図柄からなる図柄列が回転方向に沿って描かれているが、表示窓5を通して観察することができるのは、外周面の一部のみである。そのため、これらの回動13L〜13Rを回転させれば、表示窓5内の複数の領域で図柄を変動表示させることができる。また、回動13L〜13Rの回転を停止させれば、各領域で図柄を停止表示させることができる。なお、以下では左端の回胴13Lを「第1回胴13L」と記し、中央の回胴13Cを「第2回胴13C」と記し、右端の回胴13Rを「第3回胴13R」と記すこととする。また、これらを総称するときは、単に「回胴13」と記すものとする。
表示窓5の左側には、1メダルラインランプ15a、2メダルラインランプ15b、3メダルラインランプ15c、遊技開始表示ランプ17が設けられている。1メダルラインランプ15bは、1枚の遊技メダルがベットされたことや、その後、入賞組合せの図柄が中央の入賞ラインL1の上で揃ったことを表示するランプである。次に、2メダルラインランプ15bは、2枚の遊技メダルがベットされたことや、その後、入賞組合せの図柄が上段または下段の入賞ラインL2の上で揃ったことを表示するランプである。また、3メダルラインランプ15cは、3枚の遊技メダルがベットされたことや、その後、入賞組合せの図柄が斜めの入賞ラインL3の上で揃ったことを表示するランプである。そして、遊技開始表示ランプ17は、回動13L〜13Rの回転が開始可能となったことを示すランプである。
表示窓5の右側には、打止め表示ランプ19、再遊技ランプ21、ビッグボーナス告知ランプ23a,23b,23c、遊技メダル投入ランプ25が設けられている。打止め表示ランプ19は、遊技機1がいわゆる打ち止め状態となったことを表示するランプである。次に、再遊技ランプ21は、遊技メダルを使用することなく実行可能な遊技(再遊技)が行われることを示すランプである。また、ビッグボーナス告知ランプ23a〜23cは、遊技機1がビッグボーナス遊技状態に移行したこと(すなわちビッグボーナス期間中であること)を示すランプである。そして、遊技メダル投入ランプ25は、遊技メダルのベットを受け入れ可能であることを示すランプである。
表示窓5の下側には、役物回数表示器27、払出枚数表示器29、貯留枚数表示器31が設けられている。役物回数表示器27は、レギュラーボーナス役の入賞可能回数などを表示するものである。また、払出枚数表示器29は、遊技機1から払い出される遊技メダルの枚数を表示するものである。また、貯留枚数表示器31は、遊技機1に貯留されている遊技メダルの枚数を表示するものである。
操作パネル部7は、遊技機1の前面扉4の中段部に設けられている。操作パネル部7は、手前に向かって突出した形状とされており、その上面部には、遊技メダル投入口33、1枚投入ボタン35、3枚投入ボタン37、精算ボタン39が設けられている。遊技メダル投入口33は、遊技メダルを遊技機1に投入するための投入口である。次に、1枚投入ボタン35は、遊技機1に貯留されている遊技メダルのうち1枚をベットするためのボタンであり、また、3枚投入ボタン37は、遊技機1に貯留されている遊技メダルのうち3枚をベットするためのボタンである。そして、精算ボタン39は、遊技機1に貯留されている遊技メダルを外部に払出すためのボタンである。なお、遊技メダルは、遊技において入賞が成立した場合や、1回の遊技に必要な枚数(規定数)を超えて余分な枚数の遊技メダルが遊技メダル投入口33から投入された場合などに、遊技機1の内部に貯留される。尚、この貯留とは、後述する主制御基板101のRAM115に遊技メダルの数を記憶することであり、いわゆるクレジットのことである。本実施例では、貯留可能な枚数の上限が、50枚となっている。
操作パネル7の前面部には、スタートレバー41、停止ボタン43L,43C,43R、返却ボタン45などが設けられている。スタートレバー41は、回胴13の回転を開始させるためのものである。停止ボタン43L〜43Rは、各回胴13に対応して複数個(本実施例では3個)設けられており、対応する回胴の回転を停止させるためのものである。返却ボタン45は、投入された遊技メダルが遊技機1内部で詰まった場合に、この詰まりを解消するためのものである。なお、以下では、第1回胴13Lに対応する停止ボタン43Lを「第1停止ボタン43L」と記し、第2回胴13Cに対応する停止ボタン43Cを「第2停止ボタン43C」と記し、第3回胴13Rに対応する停止ボタン43Rを「第3停止ボタン43R」と記すこととする。また、これらを総称するときは、単に「停止ボタン43」と記すこととする。
なお、遊技メダル払出口9は、遊技機1の前面扉4の下部に設けられている。前面扉4の下部には、遊技メダル払出口9のほか、遊技メダル払出口9から払い出される遊技メダルを受け止めるための受け皿部47が設けられている。
A―1−2.電気的構成 :
図3は、本実施例に係る遊技機1の電気的構成を示す説明図である。この図に示されているように、遊技機1には、主制御基板101を中心として、回胴基板103、副制御基板105、中央表示ランプ基板107、電源基板109等が設けられている。
主制御基板101は、遊技機1で行われる遊技の進行・演出を司る基板である。この主制御基板101には、CPU111、ROM113、RAM115などをバス117で互いに接続して構成される周知のコンピュータが搭載されている。こうしたCPU111を中心として構成されるコンピュータが作動することによって、遊技機1における遊技の進行・演出が制御される。
副制御基板105には、主制御基板101のほか、各種の照明用基板119、各種のスピーカ121などが接続されている。副制御基板105は、主制御基板101からの信号に基づき、各種のスピーカ121に音声信号を出力することによって、これらスピーカ121からの音声出力を制御する。また、副制御基板105からは、各種の照明用基板119に対しても信号が出力される。照明用基板119においては、この副制御基板105からの信号に基づいて、照明類123のOn/Offが行われる。
中央表示ランプ基板107には、主制御基板101のほか、前述の役物回数表示器27、払出枚数表示器29、貯留枚数表示器31、1枚投入ボタン35、3枚投入ボタン37、精算ボタン39、第1停止ボタン43L、第2停止ボタン43C、第3停止ボタン43Rなどが接続されている。これらの各ボタン35,37,39,43L〜43Rが遊技者によって操作されると、その操作結果を示す信号が、中央表示ランプ基板107を介して、主制御基板101に入力される。このような構成によって、主制御基板101上のコンピュータは、各ボタン35、37,39,43L〜43Rに対する操作状態を判断することができる。
中央表示ランプ基板107には、そのほか、左表示ランプ基板125、右表示ランプ基板127、スタートレバーユニット129、メダルセレクター131なども接続されている。
左表示ランプ基板125は、表示窓5の左側に設けられた1メダルラインランプ15a、2メダルラインランプ15b、3メダルラインランプ15c、遊技開始表示ランプ17のOn/Off制御などを行うための基板である。それらのOn/Off制御は、主制御基板101から、中央表示ランプ基板107を介し、左表示ランプ基板125に対して所定の信号を入力することによって行うことができる。
また、右表示ランプ基板127は、表示窓5の右側に設けられた打止め表示ランプ19、再遊技ランプ21、ビッグボーナス告知ランプ23a〜23c、遊技メダル投入ランプ25のOn/Off制御などを行うための基板である。それらのOn/Off制御は、主制御基板101から、中央表示ランプ基板107を介し、右表示ランプ基板127に所定の信号を入力することによって行うことができる。
スタートレバーユニット129は、前述のスタートレバー41と、このスタートレバー41の操作を検出するための回胴回転始動センサー基板(図示せず)と備えたものである。スタートレバー41が遊技者により操作されると、その操作が回胴回転始動センサー基板によって検出され、その検出結果を示す回胴回転始動信号が、中央表示ランプ基板107を介して主制御基板101に入力される。このような構成によって、主制御基板101上のコンピュータは、スタートレバー41に対する操作状態を判断することができる。
メダルセレクター131は、遊技メダル投入口33より投入された遊技メダルを寸法に基づいて選別し、規格寸法に適合した遊技メダルのみを受け付けるための装置構成である。メダルセレクター131には、こうした遊技メダルを選別する機能のほか、投入された遊技メダルの通過をメダルセンサー基板(図示せず)によって検出する機能や、電磁ソレノイド(図示せず)によって作動するブロッカー(図示せず)によって遊技メダルを受け付けずに返却する機能なども設けられている。遊技メダルの通過がメダルセンサー基板により検出されると、その検出結果を示すメダル検出信号が、中央表示ランプ基板107を介し、メダルセレクター131から主制御基板101に対して送信されることになる。このような構成によって、主制御基板101上のコンピュータは、遊技メダル投入口33から遊技メダルが投入されたか否かを判断することができる。
回胴基板103には、主制御基板101のほか、ステッピングモータ133L,133C,133Rや回胴センサー基板135L,135C,135Rなどが接続されている。
ステッピングモータ133L〜133Rは、各回胴13の回転・停止を行うためのモータである。これらのステッピングモータ133L〜133Rは各回胴13L〜13Rに対応する個数(本実施例では3個)設けられていると共に、各ステッピングモータ133L〜133Rの軸は、対応する各回胴13の回転軸として用いられている。そして、これらのステッピングモータ133L〜133Rの回転・停止動作は、回胴基板103を介し、主制御基板101からステッピングモータ133L〜133Rに信号を送ることにより制御することができる。したがって、主制御基板101からの制御信号でステッピングモータ133L〜133Rを回転・停止させることによって、各回胴13を回転・停止させることができる。
回胴センサー基板135L〜135Rは、各回胴13に設けられたインデックス部(図示せず)の通過を検出するためのものであり、各回胴13L〜13Rに対応する個数(本実施例では3個)設けられている。各回胴13のインデックス部が回胴センサー基板135L〜135Rを通過し、その通過が各回胴センサー基板135L〜135Rによって検出されると、この検出結果を示す回胴インデックス信号が、回胴基板103を介して、各回胴センサー基板135L〜135Rから主制御基板101に入力される。このため、各回胴13の回転角度(延いては、回胴13の外周面に描かれた図柄の位置)を、主制御基板101により管理することが可能となっている。なお、各回胴13のインデックス部は回胴13が1回転するたびに回胴センサー基板を通過するため、回胴インデックス信号は、回胴13が1回転するたびに、回胴センサー基板135L〜135Rから主制御基板101に向けて送信される。
電源基板109には、主制御基板101のほか、メダル払出装置137などが接続されている。電源基板109は、主制御基板101を介して、回胴基板103、副制御基板105、中央表示ランプ基板107などへの電力供給を行うほか、メダル払出装置137への電力供給も行っている。
また、電源基板109は、主制御基板101とメダル払出装置137との間で行われる信号の送受を中継する機能も担っている。遊技メダルを払い出す旨の信号が主制御基板101から出力されると、その信号は、電源基板109を介してメダル払出装置137に入力され、その結果、メダル払出装置137から前述の遊技メダル払出口9に遊技メダルが排出される。そして、払い出された遊技メダルの数はメダル払出装置137により計数され、その結果を示す遊技メダル払出信号が、電源基板109を介して主制御基板101に入力される。この様な構成によって、CPU111は、遊技機1に貯留されている遊技メダルの枚数や、遊技者に払い出される遊技メダルの枚数などを管理することができる。
A−2.制御の概要 :
上記の様に構成された遊技機1における遊技動作の基本的な流れは、以下の通りである。まず、遊技開始に先立って遊技メダルがベットされると、そのベット数に応じて、入賞ラインL1〜L3を有効化する。次に、遊技者によってスタートレバー41が操作されると、回胴13の回転を開始させることによって遊技を開始し、その後、遊技者によって停止ボタン43が操作されると、回胴13の回転を停止させることによって一回の遊技を終了する。こうした遊技が一回行われると、遊技機1は、有効な入賞ラインの上に、所定の入賞図柄組合せが揃ったか否かを判断する。その結果、有効な入賞ラインの上に所定の入賞図柄組合せが揃った(入賞が成立した)と判断すると、その入賞態様に応じて、遊技者への遊技メダルの払い出しなどが行われる。
上記の様に行われる遊技でビッグボーナス役の入賞が成立した場合、従来の回胴式遊技機においては、その後の所定期間(ビッグボーナス期間)、遊技者にとって有利な遊技条件が設定されてきた。そのため、ビッグボーナス期間は、一般遊技状態の場合よりも、遊技者にとって有利な条件で遊技を行うことができる期間であるとの認識が一般的に形成されてきた。その結果、ビッグボーナス期間において遊技者に有利な遊技条件を設定することはありきたりのこととなってしまっていると共に、それだけでは遊技者の興趣を高めることができなくなっている。
そこで、本実施例の遊技機1においては、遊技者にとって不利な期間(低確率期間)を、敢えてビッグボーナス期間の中に設けると共に、遊技者にとって有利な期間をビッグボーナス期間終了後に設けることによって、射幸性を損なうことなく、遊技に斬新性を与えることとしている。こうした斬新な遊技を実現するため、本実施例の遊技機1においては、前述のCPU111等からなるコンピュータが、以下の様な制御処理を実行する。
A−2−1.一般遊技状態における制御 :
図4は、本実施例の遊技機1において行われる一般遊技処理を示すフローチャートである。この一般遊技処理は、遊技機1に電源が投入され、さらにROMサムチェック、RAMクリアなどの処理が行われた後に実行される処理である。
図4に示すように、一般遊技処理においては、まず、遊技メダルがベットされているか否かを判断する(ステップ10。以下「ステップ」を「S」と略記する。)すなわち、遊技メダル投入口33からの遊技メダルの投入、1枚投入ボタン35や3枚投入ボタン37の操作、或いは再遊技役の入賞成立に基づく自動再投入によって、遊技メダルがベットされたか否かを判断する(S10)。
S10の処理において、遊技メダルがベットされていないものと判断した場合には(S10:NO)、当該判断処理(S10)を繰り返し行うことによって、遊技メダルがベットされるまで待機する。一方、遊技メダルがベットされると、以下に説明する一連の処理が開始される。まず、遊技メダルがベットされていると判断され(S10:YES)、その結果、図5に示す回胴回転始動処理が実行される(S20)。
図5は、本実施例の遊技機1において行われる回胴回転始動処理を示すフローチャートである。この回胴回転始動処理は、所定の条件が成立した場合に、回胴13の回転を始動させる処理である。
本実施例の回胴回転始動処理では、2つの条件が成立した場合に、回胴13の回転を開始する。2つの条件とは、スタートレバー41がONにされたこと、および前回の遊技での回胴13の回転開始から所定時間(本実施例では、4.1秒)以上経過していることである。
そこで回胴回転始動処理においては、図5に示すように、先ず、スタートレバー41がONになっているか否かを判断する(S210)。スタートレバー41がONになっていないと判断した場合には(S210:NO)、当該判断処理(S210)を繰り返すことによって、スタートレバー41がONされるまで待機する。一方、スタートレバー41がONになっていると判断した場合には(S210:YES)、前回の遊技における回胴13の回転開始から所定時間経過したか否かを判断する(S220)。
S220の処理において、前回の遊技における回胴13の回転始動から所定時間経過していないと判断した場合には(S220:NO)、当該判断処理(S220)を繰り返し実行することによって、その所定期間が経過するまで待機する。一方、前回の遊技における回胴13の回転開始から所定時間経過したと判断した場合には(S220:YES)、主制御基板101からステッピングモータ133L〜133Rに対して駆動信号を出力することによって回胴13の回転を開始し(S230)、その後、図4に示す一般遊技処理に戻る。
図4に示す様に、一般遊技処理では、回胴回転始動処理に続いて(S20)、図6に示す一般遊技中抽選処理を行う(S30)。図6は、本実施例の遊技機1において行われる一般遊技中抽選処理を示すフローチャートである。この一般遊技中抽選処理は、図7に示す抽選テーブルを用いることによって、内部的な抽選処理(以下、「内部抽選」という)を行う処理である。すなわち、[00001]〜[16000]の範囲までの値をとりうる乱数を1つ取得し、この取得した乱数の値に基づいて図7の抽選テーブルを参照することによって、各種の"入賞態様(役)"または"ハズレ"のうちの何れか一つを選択するのである。なお、抽選テーブルを用いた内部抽選によって所定の役に当選(以下「内部当選」という)しただけでは、当該役の入賞は成立(確定)しない。入賞が成立するためには、内部当選した役に対応する図柄組合せが有効ライン上で揃った状態で停止表示される必要がある。
図7は、一般遊技中抽選処理で用いられる抽選テーブルを示す説明図である。図7に示す様に、一般遊技中抽選処理で用いられる抽選テーブルには、「一般遊技中の通常確率テーブル」、「一般遊技中の高確率テーブル」、「内部当選状態中の通常確率テーブル」、「内部当選状態中の高確率テーブル」などがある。これらの抽選テーブルは、何れも、乱数値と役(または、ハズレ)との対応関係を記憶したテーブルである。例えば、「一般遊技中の通常確率テーブル」においては、"2521〜2574"の範囲の乱数値に、"スズの小役"が対応付けられている。
このように乱数値と役との対応関係が定められることによって、図7においてカッコにより囲んで示す様に、各抽選テーブルにおいて、それぞれの役の当選確率が定められている。ただし、乱数値と役との対応関係は抽選テーブルごとに異なるため、所定の役については、一の抽選テーブルを用いて内部抽選を行う場合と他の抽選テーブルを用いて内部抽選を行う場合とで、当選確率が異なっている。例えば、「一般遊技中の通常確率テーブル」においては、上記の通り、"2521〜2574"の範囲の乱数値に"スズの小役"が対応付けられているが、これに対して、「一般遊技中の高確率テーブル」においては、"3121〜5920"の範囲の乱数値に"スズの小役"が対応付けられている。このため、「一般遊技中の通常確率テーブル」を用いて内部抽選を行う場合には、"スズの小役"の当選確率が「50/16000」となるが、これに対して、「一般遊技中の高確率テーブル」を用いて内部抽選を行う場合には、"スズの小役"の当選確率が「2800/16000」となる。
抽選テーブルごとに役の当選確率を異ならせている理由は、抽選処理に用いる抽選テーブルを切り替えることにより、所定の役の当選確率を遊技機1の遊技状態に応じて変更するためである。本実施例では、以下に説明する様に、"BB期間の終了後の所定期間(高確率期間)内か否か"、および"BB役またはRB役に内部当選中(後述する)か否か"といった遊技状態の違いに応じて抽選テーブルを切り替え、これによって、所定の役の当選確率を変更する。
そこで一般遊技中抽選処理においては、図6に示すように、まず、ビッグボーナス期間(BB期間)の終了後の所定期間(高確率期間)内か否かを判断する(S310)。ここで、本実施例では、BB期間終了直後から高確率期間が開始することになっている。そのため、高確率期間内であるか否かについては、今回の遊技がBB期間終了後の所定回数以内の遊技であるか否かによって判断される。また、遊技機1に電源が投入された直後においては、「BB期間終了後の所定期間」は"0回"に設定されている。そのため、遊技機1に電源が投入された後、初めて一般遊技中抽選処理が実行されるときには、高確率期間内であると判断されないことになる(S310:NO)。
高確率期間内ではないと判断した場合には(S310:NO)、続いて、ビッグボーナス役(BB役)またはレギュラーボーナス役(RB役)に内部当選中か否かを判断する(S320)。「内部当選中」とは、過去の回に行われた遊技で内部当選したが、その内部当選した役に応じた図柄組合せが有効ライン上で未だ揃っていないため、その内部当選した状態が今回の遊技に持ち越された状態にあることをいう。例えば、前回の遊技においてBB役に内部当選したとしても、このBB役に対応する図柄組合せが有効ライン上で揃わなかった場合には、BB役に内部当選した状態が今回の遊技に持ち越されることとなる。
BB役またはRB役に内部当選した状態(内部当選中)でない場合には(S320:NO)、図7にした「一般遊技中の通常確率テーブル」に基づいて内部抽選を行う(S330)。すなわち、[00001]〜[16000]の値をとりうる乱数を一つ取得し、その取得した乱数の値に基づいて「一般遊技中の通常確率テーブル」を参照することによって、各種の入賞態様(役)、またはハズレのうちの何れか一つを選択する。この処理において、例えば[2550]の値の乱数を取得した場合、"スズの小役"が選択される(内部当選する)ことになる。
このように「一般遊技中の通常確率テーブル」に基づいて内部抽選を行うと(S330)、その後、図4に示す一般遊技処理に戻る。一方、S320の処理において、BB役またはRB役に内部当選した状態であると判断した場合には(S320:YES)、「内部当選中の通常確率テーブル」に基づいて抽選を行い(S340)、その後、図4に示す一般遊技処理に戻る。
S310の判断の結果、BB期間終了後の所定期間内であると判断された場合には(S310:YES)、まず、BB役またはRB役に内部当選中か否かを判断する(S350)。その結果、BB役またはRB役に内部当選した状態ではない場合には(S350:NO)、「一般遊技中の高確率テーブル」に基づいて抽選を行い(S360)、その後、図4に示す一般遊技処理に戻る。一方、BB役またはRB役に内部当選中である場合には(S350:YES)、「内部当選中の高確率テーブル」に基づいて抽選を行い(S370)、その後、図4に示す一般遊技処理に戻る。
以上の様にして一般遊技中抽選処理は行われるのであるが、図7に示す様に、本処理の中で用いられる「一般遊技中の高確率テーブル」においては、「一般遊技中の通常確率テーブル」と比較すると、小役、再遊技役、RB役の当選確率が高く設定されている。また、「内部当選中の高確率テーブル」においては、「内部当選中の通常確率テーブル」と比較すると、小役、再遊技役の当選確率が高く設定されている。つまり、BB期間終了後の高確率期間内においては(一般遊技状態でありながら)、通常の一般遊技状態よりも、小役、再遊技役、RB役などの当選確率が高くなっているのである。
前記の様に、ある役に内部当選しても、それだけでは、その内部当選した役の入賞は成立しない。本実施例の一般遊技において内部当選した役の入賞が成立するためには、その内部当選した役に応じて、図8に示す図柄組合せが有効ライン上で揃った状態で停止表示される必要がある。図8は、一般遊技状態における各入賞態様(役)に対応する入賞図柄組合せおよび遊技メダルの払出枚数を示す説明図である。
例えば"BB役"の入賞が成立するためには、この図8に示す様に、"7−7−7"または"火山−火山−火山"という図柄の組合せが有効ライン上で揃った状態となるように、第1回胴13L〜第3回胴13Rが停止する必要がある。また、"スズの小役"が成立するためには、"スズ−スズ−スズ"という図柄組合せが有効ライン上で揃った状態となるように、第1回胴13L〜第3回胴13Rが停止する必要がある。
そこで、図4に示す一般遊技処理では、一般遊技中抽選処理を終了すると、図9に示す回胴回転停止処理を実行する(S40)。図9は、本実施例の遊技機1において行われる回胴回転停止処理を示すフローチャートである。この回胴回転停止処理では、所定の条件が成立した場合に、回胴13の回転を停止させる。所定の条件とは、本実施例では、回胴13の回転が開始されて回転速度が一定となってから所定時間内(本実施例では、30秒)に停止ボタン43がONにされたこと、或いは、回胴13の回転が開始されて回転速度が一定となってから所定時間(本実施例では30秒)が経過したことである。
そこで回胴回転停止処理においては、図9に示す様に、まず、停止ボタン43がONにされたか否かを判断する(S410)。S410の処理において、停止ボタン43がONにされていないと判断した場合には(S410:NO)、回胴13の回転速度が一定となってから所定時間が経過したか否かを判断する(S420)。その結果、回胴13の回転速度が一定となってから所定時間が経過したと判断した場合には(S420:YES)、第1回胴13L、第2回胴13Cおよび第3回胴13Rの停止位置(停止角度)を決定する(S430)。そして、その決定した停止位置に、第1回胴13L、第2回胴13Cおよび第3回胴13Rを、順次停止させる(S440)。一方、S420の処理において、回胴13の回転速度が一定となってから所定時間が経過していないと判断した場合には(S420:NO)、S410の処理を再び実行することによって、所定時間が経過するまで待機する。
S410の処理において、停止ボタン43のうちの何れかがONにされたと判断した場合には(S410:YES)、ONにされた停止ボタン43に対応する回胴13の停止位置を決定する(S430)。停止位置の決定は、停止ボタン43の操作タイミングや内部抽選の結果に基づいて行われる。回胴13の停止位置を決定すると、その停止位置で回胴13を停止させる(S440)。
S440の処理において所定の回胴13を停止させると、次に、全ての回胴13の回転が停止したか否かを判断する(S450)。その結果、全ての回胴13の回転が停止したと判断した場合には(S450:YES)、図4に示す一般遊技処理に戻る。一方、S450の処理の結果、全ての回胴13の回転が停止したと判断しなかった場合には(S450:NO)、S410の処理に戻り、停止ボタン43がONにされたか否かを判断する。その後、全ての回胴13の回転が停止したと判断した場合には(S450:YES)、図4に示す一般遊技処理に戻る。
図4に示す様に、一般遊技処理では、回胴回転停止処理から復帰すると、次に、何れかの役への入賞が成立したか否かを判断する(S50)。入賞が成立したか否かについての判断は、内部当選した役に対応する図柄の組合せ(図8参照)が、有効ライン上で揃った状態で停止表示されたか否かを判断することによって行われる。その結果、何れの役への入賞も成立していないと判断した場合には(S50:NO)、S10の処理に戻って、再び遊技メダルがベットされるまで待機する。そして、ベットされたことが確認されると(S10:YES)、上述の一連の処理を再度実行する。一方、何れかの役への入賞が成立したと判断した場合には(S50:YES)、S60の処理を実行する。
S60の処理では、入賞の成立した役が再遊技役であるか否かを判断する。その結果、入賞の成立した役が再遊技役であると判断した場合には(S60:YES)、自動再投入(今回の遊技において使用された枚数と同じ枚数の遊技メダルを自動的にベットすること)を行った後(S70)、S10の処理に戻って、再び遊技メダルがベットされるまで待機する。そして、ベットされたことが確認されると(S10:YES)、上述の一連の処理を再度実行する。
一方、S60の処理の結果、入賞の成立した役が再遊技役ではないと判断した場合には(S60:NO)、メダル払出処理を実行する(S80)。メダル払出処理では、入賞の成立した役に対応する枚数の遊技メダル(図8参照)が、遊技者に払い出される。なお、本実施例の遊技機1では、入賞によって遊技者に払い出される遊技メダルは、遊技機1内に一旦貯留される。
メダル払出処理(S80)を行うと、次に、入賞の成立した役がRB役であるか否かを判断する(S90)。この処理において、入賞の成立した役がRB役であると判断した場合には(S90:YES)、図10に示すレギュラーボーナス遊技処理を実行し(S100)、その後、S10の処理に戻って、再び遊技メダルがベットされるまで待機する。そして、ベットされたことが確認されると(S10:YES)、上述の一連の処理を再度実行する。なお、レギュラーボーナス遊技処理については、図10を参照しつつ後述する。
入賞の成立した役がRB役ではない判断した場合には(S90:NO)、続いて、入賞の成立した役がBB役であるか否かを判断する(S110)。その結果、入賞の成立した役がBB役であると判断した場合には(S110:YES)、図12に示すビッグボーナス遊技処理を実行し(S120)、その後S10の処理に戻って、再び遊技メダルがベットされるまで待機する。そして、ベットされたことが確認されると(S10:YES)、上述の一連の処理を再度実行する。なお、ビッグボーナス遊技処理については、図12を参照しつつ後述する。一方、入賞の成立した役がBB役ではないと判断した場合には(S110:NO)、S120の処理には移行することなくS10の処理に戻り、再び遊技メダルがベットされるまで待機する。
A−2−2.レギュラーボーナス遊技状態における制御 :
図10は、本実施例の遊技機1において行われるレギュラーボーナス遊技処理(S100)を示すフローチャートである。前述の様に、RB役の入賞が成立すると、このレギュラーボーナス遊技処理(RB遊技処理)が実行される。なお、レギュラーボーナス遊技(RB遊技)とは、RB役の入賞成立によってRB遊技処理が開始された後、RB遊技処理が終了するまでに行われる遊技のことであり、このRB遊技においては、所定の役(例えば一般遊技中において入賞とはならない図柄の組合せが入賞となる役、あるいは、そのような図柄の組合せと一般遊技中において入賞となる図柄の組合せの両方が入賞となる役)に高確率で当選する。
図10に示す様に、RB遊技処理が開始されると、まず、遊技メダルがベットされたか否か判断する(S510)。この処理は、一般遊技処理におけるS10の処理と同様の処理である。この処理において、遊技メダルがベットされたと判断した場合には(S510)、回胴回転始動処理を実行する(S520)。この処理は、一般遊技処理で行う回胴回転始動処理(図5参照)と同様であるため、ここでは説明を省略する。
回胴回転始動処理を終了すると、次に、レギュラーボーナス抽選処理(RB抽選処理)を実行する(S530)。RB抽選処理では、RB遊技用の抽選テーブル(図示せず)を用いて内部抽選を行う。
RB抽選処理を終了すると、次に、回胴回転停止処理を実行する(S540)。この処理は、一般遊技処理で行う回胴回転停止処理(図9参照)と同様であるため、ここでは説明を省略する。
S540の回胴回転停止処理において全ての回胴13が停止されると、次に何れかの役の入賞が成立したか否かを判断する(S550)。入賞が成立したか否かの判断は、内部入賞した役に対応して、図11に示す図柄組合せが有効ライン上に揃った状態で停止表示されたか否か、を判断することによって行われる。S550の処理の結果、何れかの役の入賞が成立したと判断した場合には(S550:YES)、所定枚数(図11参照)の遊技メダルを遊技者に払い出し(S560)、その後、S570の処理に移行する。一方、何れの役への入賞も成立していないと判断した場合には(S550:NO)、遊技メダルの払い出しを行うことなく、S570の処理に移行する。なお、図11は、RB遊技状態における賞図柄組合せおよび遊技メダルの払出枚数を示す説明図である。
S570の処理においては、RB遊技処理を終了するか否かを判断する。例えば、現在実行中のRB遊技処理において行われた遊技の回数が所定回数(本実施例では、12回)に達した場合や、現在実行中のRB遊技処理において成立した入賞の回数が所定回数(本実施例では、8回)に達した場合などに、RB遊技処理を終了するものと判断する。こうした処理の結果、RB遊技処理を終了すると判断した場合には(S570:YES)、図4に示す一般遊技処理に戻る。一方、所定の終了条件が満たされておらず、RB遊技処理を終了しないと判断した場合には(S570:NO)、S510の処理に戻る。
A−2−3.ビッグボーナス遊技状態における制御 :
図12は、本実施例の遊技機1において行われるビッグボーナス遊技処理(S120)を示すフローチャートである。前述の様に、BB役の入賞が成立すると、このビッグボーナス遊技処理(BB遊技処理)が実行される。なお、ビッグボーナス遊技(BB遊技)とは、BB役の入賞成立によってBB遊技処理が開始された後、BB遊技処理が終了するまでに行われる遊技をいう。
図12に示す様に、BB遊技処理においては、先ず、低確率期間の長さを設定する(S610)。低確率期間はビッグボーナス期間内に設けられている期間であり、後述の様に、この低確率期間においては、小役やRB役の当選確率が一般遊技状態よりも低く設定される。従来の回胴式遊技機におけるビッグボーナス期間は、遊技者にとって有利な遊技条件が設定される期間であるが、本実施例の遊技機1におけるビッグボーナス期間は、必ずしも遊技者にとって有利であるとは限らず、それどころか、遊技者にとって不利な遊技条件が設定される期間(低確率期間)を含んでいることになる。
低確率期間の長さは、遊技回数によって規定されている。この低確率期間の長さを規定する遊技回数は、所定の低確率期間テーブル(図示せず)を用いた抽選によって決定される。低確率期間テーブルは、乱数の値と遊技回数とを対応付けて記憶したテーブルとしてROM113に格納されており、CPU111は、別途取得した乱数の値に基づいて低確率期間テーブルを参照することによって、低確率期間の長さを決定する。
低確率期間の長さを決定すると、次に、遊技メダルがベットされたか否かを判断する(S620)。この処理は、一般遊技処理におけるS10の処理と同様の処理である。この処理において、遊技メダルがベットされたと判断した場合には(S620:YES)、回胴回転始動処理を実行する(S630)。この処理は、一般遊技処理で行う回胴回転始動処理(図5参照)と同様であるため、ここでは説明を省略する。
S630の回胴回転始動処理を終了すると、次に、図13に示すBB遊技中抽選処理を実行する(S640)。図13は、本実施例の遊技機1におけるBB遊技中抽選処理を示すフローチャートである。このBB遊技中抽選処理は、図14に示すビッグボーナス遊技用の抽選テーブルを用いて内部抽選を行う処理である。
図14は、BB遊技中抽選処理で用いられる抽選テーブルを示す説明図である。図14に示す様に、BB遊技中抽選処理で用いられる抽選テーブルには、「BB遊技中の通常確率テーブル」および「BB遊技中の低確率テーブル」がある。これらの抽選テーブルは、何れも、乱数値と役(または、ハズレ)との対応関係を記憶したテーブルである。図14においてカッコ内に示している数値は、各抽選テーブルを用いた場合における夫々の役の当選確率である。
図13に示す様に、BB遊技中抽選処理においては、まず、現在、低確率期間中であるか否かを判断する(S810)。ここで、本実施例における低確率期間は、BB役の成立直後から開始するものとなっている。そのため、S810の処理では、今回の遊技が、BB期間の開始後、所定回数(低確率期間の長さに対応する遊技回数)以内の遊技であるか否かによって、低確率期間中か否かを判断する。
S810の処理の結果、低確率期間中でないと判断した場合には(S810:NO)、図14に示す「通常確率テーブル」に基づいて抽選を行い(S820)、その後、図12に示すBB遊技処理に戻る。一方、低確率期間中であると判断した場合には(S810:YES)、図14に示す「低確率テーブル」に基づいて抽選を行い(S820)、その後、図12に示すBB遊技処理に戻る。
以上の様にして、BB遊技中抽選処理が行われるのであるが、この処理で用いられる「低確率テーブル」(図14)は、一般遊技中抽選処理において用いられる「一般遊技中の通常確率テーブル」(図7参照)と比較すると、小役やRB役の当選確率が低く設定されている。すなわち、BB期間中の低確率期間においては、小役やRB役の当選確率が、一般遊技状態よりも低くなっているのである。
よって、この低確率期間においては、遊技者に対して遊技メダルが払い出されることは殆ど無く、遊技者の遊技メダルの消費量が多くなるので、遊技者にとって不利な状況となる。一方、BB遊技中抽選処理において用いられる「通常確率テーブル」(図14)は、一般遊技中抽選処理において用いられる「一般遊技中の通常確率テーブル」と比較すると、小役やRB役の当選確率が通常の一般遊技状態よりも高くなっている。尚、図14に示すBB遊技中抽選処理で用いられる抽選テーブルからも明らかな通り、BB遊技中は、再遊技役に当選することはない。
図12に示したBB遊技処理においては、上述のBB遊技中抽選処理(S640)から復帰すると、続いて回胴回転停止処理を行う(S650)。この処理は、図4の一般遊技処理において実行される回胴回転停止処理(図9参照)と同様であるため、ここでは説明を省略する。
S650の回胴回転停止処理において全ての回胴13を停止させると、次に、何れかの役の入賞が成立したか否かを判断する(S660)。入賞が成立したか否かの判断は、内部当選した役に対応して、図15に示す図柄組合せが有効ライン上に揃った状態で停止表示されたか否か、を判断することによって行われる。図15は、ビッグボーナス(BB)遊技状態における入賞図柄組合せおよび遊技メダルの払出枚数を示す説明図である。
S660の処理の結果、何れかの役の入賞が成立したと判断した場合には(S660:YES)、入賞の成立した役に対応する枚数(図15参照)の遊技メダルを遊技者に払い出し(S670)、その後、S680の処理に移行する。
S680の処理においては、入賞の成立した役がRB役であるか否かを判断する。この結果、入賞の成立した役がRB役である場合には(S680:YES)、RB遊技処理を実行し(S690)、その後、S700の処理に移行する。なお、BB遊技状態においてRB役に入賞することを、一般にジャックイン入賞またはジャックインという。このBB遊技状態におけるRB遊技処理の内容は、一般遊技処理から呼び出されるRB遊技処理(図10参照)と同様の処理であるため、ここでは、その説明を省略する。一方、S680の処理において、入賞の成立した役がRB役でないと判断した場合には(S680:NO)、RB遊技処理を実行することなくS700の処理に移行する。
なお、S660の処理の結果、何れの役への入賞も成立していないと判断した場合には(S660:NO)、S670〜S690の処理を行うことなく、S700に移行する。
S700の処理では、BB遊技処理の終了条件が成立しているか否かを判断する。この判断は、BB期間中に遊技者に対して払い出された遊技メダルの枚数や、BB期間中に実行したRB遊技処理の回数などに基づいて行われる。例えば、BB期間中に遊技者に対して払い出された遊技メダルの枚数が上限数(例えば、465枚)に達した場合や、BB期間中に行われたRB遊技処理の回数が所定回数(例えば、3回)に達した場合には、BB遊技処理の終了条件が成立しているものと判断する。
S700の処理の結果、BB遊技処理の終了条件が成立したと判断しなかった場合には(S700:NO)、S620の処理に戻る。一方、BB遊技処理の終了条件が成立していると判断した場合には(S700:YES)、前述の高確率期間の長さを決定する(S710)。
前述の様に、高確率期間の長さは遊技回数によって規定されるものである。そのため、S710の処理においては、この「遊技回数」を決定することになる。ここで、「遊技回数」は、BB期間中における遊技状況に基づいて、所定の高確率期間テーブル(図示せず)を参照することによって決定される。この決定に用いられる高確率期間テーブルは、「BB期間中における遊技状況」と「遊技回数」とを対応付けて格納したテーブルとして構成されている。この高確率期間テーブルに格納される「遊技状況」としては、BB期間中において遊技者が獲得した遊技メダルの枚数、BB中におけるRB役の入賞成立回数、低確率期間中における遊技回数、低確率期間の長さなどを設定しておくことができる。
以上に説明したように、本実施例の遊技機1においては、小役(一般役)、RB役の当選確率が一般遊技状態よりも低く設定される「低確率期間」がBB期間中に設けられていると共に、小役およびRB役の当選確率が通常の一般遊技状態よりも高く設定される「高確率期間」がBB期間終了後に設けられている。すなわち、従来の回胴式遊技機において、BB期間中には遊技者にとって有利な遊技条件が設定されると共に、BB期間終了後には遊技条件が通常の状態に戻る(通常の一般遊技状態に戻る)のに対して、本実施例の遊技機1においては、遊技者にとって不利な状況をBB期間中に発生させると共に、遊技者にとって有利な状況をBB期間から一般遊技状態に戻った後に発生させるのである。
つまり、BB期間中の低確率期間が長ければ長いほど、遊技者の遊技メダル消費量が多くなるので遊技者にとって不利な状況となり、この低確率期間が短い方がメダルの消費量は少なくなるので遊技者にとっては有利となる。また、BB期間終了後には高確率期間が発生するので、遊技者は、BB入賞成立後、低確率期間が少しでも早く終了し、BB期間終了後の高確率期間に少しでも早く移行することを望んで、BB期間中の遊技を行うこととなる。このように、本実施例の遊技機1によれば、意外性のある斬新な遊技性を実現することができ、遊技者の興趣を高めることができるという効果を奏する。
また、本実施例の遊技機1では、BB期間中においては遊技メダルの獲得を比較的難しくしているものの、BB期間の終了後においては遊技メダルの獲得を比較的容易としている。このため、遊技者が獲得可能な遊技メダルの数量を、従来の回胴式遊技機と同程度に維持することができる。従って、本実施例の遊技機1においては、上記の様に遊技性を高めつつ、射幸性を維持することが可能となっている。
また、本実施例の遊技機1においては、低確率期間中におけるRB役(通常ボーナス役)の当選確率についても一般遊技状態よりも低く設定することにより、低確率期間を遊技者にとって更に不利な期間としている。そのため、遊技の斬新性を更に高めることができる。
また、本実施例の遊技機1においては、BB期間の開始直後(BB役の入賞成立直後)に低確率期間を設けている。遊技者は「ビッグボーナス期間」に入れば多くの遊技メダルを獲得できると期待するのが通常であるから、この様に特別ボーナス役の入賞成立直後に低確率期間を設けることによって、意外性が強く、より斬新な遊技を実現することができる。
また、本実施例の遊技機1においては、低確率期間の長さを抽選によって設定するようにしていることから、低確率期間の長さをランダムに変更することができる。そのため、更に斬新な遊技性を実現することができる。
また、本実施例の遊技機1においては、BB期間中における遊技状況に基づいて高確率期間の長さを設定するようにしていることから、たとえば、BB期間中における遊技状況が遊技者にとって不利であった場合ほど、高確率期間を長くなるように設定することが可能となる。すなわち、BB期間中における遊技状況が遊技者にとって不利であった場合ほど、遊技者にとってより有利な遊技状況をBB期間後には発生させる、というように、遊技状況に更に大きな変化をつけることも可能となる。従って、本実施例の遊技機1においては、斬新な遊技性を実現すると共に遊技者の興趣を更に高めることができる。
また、本実施例の遊技機1の高確率期間においては、再遊技役の当選確率についても通常の一般遊技状態より高く設定することにより、遊技者にとって更に有利な状況を作り出している。そのため、より斬新な遊技性を実現すると共に遊技者の興趣を更に高めることができる。
B.第2実施例の回胴式遊技機 :
以上に説明した第1実施例では、専用のメダル貸出装置が遊技機1とは別体に設けられており、遊技の開始に際しては、メダル貸出装置から貸し出された遊技メダルを遊技者が遊技機1の受け皿部47に移してから、遊技を開始することになる。これに対して、以下に説明する第2実施例では、回胴式遊技機の隣にプリペイドカード式のメダル貸出ユニットが併設されている。このメダル貸出ユニットによれば、貸し出す遊技メダルを回胴式遊技機から遊技者に直接供給することができるので、遊技メダルを落としたり、あるいは落とした遊技メダルを紛失したりすることなく、遊技を開始することができる。以下、このような第2実施例の回胴式遊技機について説明する。
図16は、第2実施例の遊技機1の前面構造を示す説明図である。図示されているように第2実施例の遊技機1は、図2を用いて前述した第1実施例に対して、遊技機の左側面に、プリペイド式のカードユニット(CRユニット)151が接続されている点が大きく異なっている。このことに対応して、第2実施例の遊技機1の前面扉4には、CRユニット151に挿入されたプリペイドカードの残高を表示する残高表示部153と、CRユニット151から遊技メダルを貸し出すための貸出ボタン155と、CRユニット151に挿入されているプリペイドカードを返却するための返却ボタン157などが設けられている。
図17は、第2実施例の遊技機1の電気的な構成を示す説明図である。第2実施例の遊技機1にも、前述した第1実施例と同様に、主制御基板101を初めとして、副制御基板105、回動基板103、中央表示ランプ基板107、電源基板109などの各種基板が設けられている。また、第2実施例の遊技機1にはCRユニット151が設けられていることに対応して、CR接続基板161とCR表示基板162とが設けられており、図16を用いて前述したプリペイドカードユニット(CRユニット)151は、CR接続基板161を介して主制御基板101に接続されている。また、遊技機1の前面に搭載された貸出ボタン155や、返却ボタン157、残高表示部153は、CR表示基板162とCR接続基板161を介してCRユニット151に接続されている。
主制御基板101を初めとする各種基板の主な動作は、前述した第1実施例と同様であることから、ここではプリペイドカードユニット(CRユニット)151に関連した動作について説明する。
図18は、CR接続基板161を介して送受信される各種信号(PRDY信号、TDS信号、BRDY信号、BRQ信号、EXS信号)を示すと共に、貸出ボタン155の操作の受付状態を示すタイミングチャートである。図示されているように、まず、遊技機1の電源が投入されると、主制御基板101は、CPU111の初期設定を行った後、プリペイドカードユニット151に対して遊技機動作信号(PRDY信号)を出力する(出力レベルLow状態)。これにより、プリペイドカードユニット151は、遊技機1が正常に動作して遊技メダルを貸出可能な状態になったことを認識する。一方、プリペイドカードユニット151からは、電源信号(VL信号)が出力される。主制御基板101は、プリペイドカードユニット151から電源信号(VL信号)を受け取ることによって、プリペイドカードユニット151が接続されていることを認識する。
主制御基板101が電源信号(VL信号)を検出することができず、プリペイドカードユニット151が接続されていないと判断された場合は、エラー報知を行い、プリペイドカードユニット151の接続が確認されるまで、新たな遊技を開始することを中止する。すなわち、各回胴13の回転中に、プリペイドカードユニット151の接続コネクタが外れる等の何らかの理由で、プリペイドカードユニット151からの電源信号(VL信号)が検出できなくなった場合は、その遊技の終了後は、電源信号(VL信号)が再び検出されるまで、新たな遊技は開始されない。そして、プリペイドカードユニット151の接続が確認されたら、再び新たな遊技が開始されることになる。このため、接続が不完全な状態で遊技を行うことがないので、いわゆる不正行為を防止することができる。あるいは、プリペイドカードユニット151からの電源信号(VL信号)が検出できなくなった場合は、たとえ各回胴13の回転中であっても、直ちに遊技を中止することとしても良い。こうすれば、いわゆる不正行為をより確実に防止することが可能となるので好ましい。
遊技者がプリペイドカードをプリペイドカードユニット(CRユニット)151にセットして貸出ボタン155を押すと、この操作が行われたことを示す貸出ボタン信号(TDS信号)がプリペイドカードユニット151に出力される(信号出力レベルLow状態)。すると、プリペイドカードユニット(CRユニット)151は、カードユニットREADY信号(BRDY信号)をCR接続基板161に向かって出力する。出力されたBRDY信号は、CR接続基板161を介して主制御基板101に供給される。また、プリペイドカードユニット151は、BRDY信号を出力してから所定の遅延時間が経過した後に、貸出要求信号(BRQ信号)を出力する。
主制御基板101は、プリペイドカードユニット(CRユニット)151に出力する貸出完了信号(EXS信号)を立ち上げておき、BRQ信号の出力(立ち下がり)を検出するとEXS信号を立ち下げることによって、貸出要求を了解した旨をプリペイドカードユニット(CRユニット)151に伝達する。その後、主制御基板101は、BRQ信号の立ち上がりを検出すると、1度数分(例えば5枚)の遊技メダルの貸し出しを行う。すなわち、遊技メダルの払い出しを要求する信号が電源基板109を介してメダル払出装置137に供給され、その結果、貸し出す遊技メダルが、メダル払出装置137から受け皿部47に払い出される。このように1度数分の遊技メダルの貸し出しを行うと、主制御基板101は、EXS信号を立ち上げ、BRQ信号が再び立ち下がるまで待機する。なお、本実施例のプリペイドカードユニット151では、貸出ボタン155に対する1回の操作で10度数分(例えば50枚)の遊技メダルを貸し出す設定となっているため、図示されているように、BRQ信号及びEXS信号の送受は10回繰り返される。そして、10度数分の遊技メダルの貸し出しを終了すると、プリペイドカードユニット151は、BRDY信号を立ち上げることにより、その旨を主制御基板101に伝達する。
以上のように、本実施例の遊技機1は、貸出ボタン155の操作に応じて、遊技メダルを受け皿部47に直接貸し出すよう構成されている。そのため、遊技メダルを落としたり、あるいは落とした遊技メダルを紛失したりすることなく遊技を開始することができる。
なお、貸出ボタン155が押されてから貸し出しが終了するまでの間は、BRDY信号が「貸出中(Low)」となっており、この期間中に貸出ボタン155が操作されても、図18の最下段に示されているように、その操作は無効(受付不可)となる。また、スタートレバー41の操作を契機として遊技が開始されるが、本実施例の遊技機1では、遊技を終了するまでの間(すなわち遊技中)においても、図18に示されているように、貸出ボタン155の操作を無効(受付不可)とする設定となっている。ここで、「遊技中」とは、スタートレバー41が操作された後、停止図柄に応じた枚数の遊技メダルの払い出しが完了するまでの期間である。このような遊技中における貸出ボタン155の操作を無効とするため、本実施例の遊技機1では、次のような構成が採用されている。
先ず、主制御基板101は、スタートレバー41が操作されたことを検出して、CR表示基板162に向かって遊技中信号を出力する。CR表示基板162には、貸出ボタン155から入力される信号線上にスイッチ素子が設けられている。そして、貸出ボタン155が操作されても、主制御基板101から遊技中信号が入力された場合(出力レベルHigh状態)には、スイッチ素子が働いて、貸出ボタン155からの貸出ボタン信号(TDS信号)がプリペイドカードユニット(CRユニット)151には入力されない構成となっている。ここで、スイッチ素子としては、以下に説明するように、例えばトランジスタを用いることができる。
図19は、遊技中の貸出ボタン155の操作を無効とするためのスイッチ素子としてトランジスタを用いた回路構成を示す説明図である。図示されているように、貸出ボタン155からプリペイドカードユニット151に至る信号線の上には、スイッチ素子としてのPNPトランジスタ162aが設けられており、このPNPトランジスタ162aをOFFに切り替えることによって、貸出ボタン155の操作に基づく貸出ボタン信号(TDS信号)を遮断することが可能となっている。すなわち、遊技中信号が入力されていない場合(信号出力レベルLow状態)はPNPトランジスタ162aがON状態になるため、貸出ボタン155の操作に基づく貸出ボタン信号(TDS信号)は、CR接続基板161を介してプリペイドカードユニット151に入力され、フォトカプラ151aで受信される。これに対して、主制御基板101から遊技中信号を出力すれば(信号出力レベルHigh状態)、PNPトランジスタ162aのエミッタ−ベース間電圧が小さくなるため、PNPトランジスタ162aをOFF状態にすることができる。これにより、TDS信号を遮断して、貸出ボタン155の操作を無効(受付不可)にすることが可能となる。
尚、以上の説明では、遊技中信号が出力されない場合は信号出力レベルがLow状態となっており、遊技中信号が出力されると信号出力レベルがHigh状態になるものとして説明した。もちろん、遊技中信号の出力形態はこのような形態に限られるものではなく、例えば、遊技中信号が出力されない場合は信号出力レベルがHigh状態となっており、遊技中信号が出力されると信号出力レベルがLow状態になるものとしてもよい。このような出力形態の場合は、PNPトランジスタ162を、NPN型のトランジスタに変更すれば、同様な態様を実現することができる。
図20は、スタートレバー41が操作された後、貸出ボタン155が無効となる様子を示すタイミングチャートである。前述のように、遊技が開始されておらず遊技中信号が入力されていない場合には、PNPトランジスタ162aはON状態となっている。そのため、本図において矢印で示されているように、貸出ボタン155が押下される度に、TDS信号(信号出力レベルLow状態)がプリペイドカードユニット151に入力される。これに対して、スタートレバー41がONにされて遊技が開始されると、遊技が終了するまでの間は、主制御基板101からCR表示基板162に遊技中信号が出力されるため、PNPトランジスタ162aはOFF状態となる。したがって、遊技中はTDS信号が遮断されるため、貸出ボタン155の操作は無効となる。
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、遊技中における貸出ボタン155の操作を無効としているので、各回胴13の回転制御や、入賞成立に応じた遊技メダルの払出し制御を行っているときには遊技メダルを貸し出す必要がない。このように、遊技を進行するための各種制御と並行してメダルの貸出しを行う必要が無いため、制御が複雑化することを回避することが可能となる。また、CPU111の判断処理によって貸出ボタン155の操作を無効とすることも可能ではあるが、本実施例のようにスイッチ素子やリレー素子などのハードウェアを用いれば、貸出ボタン155の操作を無効とするための構成を比較的簡単に実現することができるので好ましい。
また、本実施例では、貸出ボタン155の操作を無効化するために、遊技機1の主制御基板101からCR表示基板162に出力される遊技中信号(遊技機1の内部でやり取りされる信号)を用いることとし、遊技機1とプリペイドカードユニット151との間でやり取りされる信号(例えば、PRDY信号)を用いない構成とした。これにより、遊技機1が誤ってプリペイドカードユニット151との通信エラーを認識して動作を停止するといった不具合を発生することがない。
例えば、遊技機1とプリペイドカードユニット151との間でやり取りされるPRDY信号の出力レベルに基づいて、遊技中における貸出ボタン155の操作の無効化(メダル貸出を禁止)を行う場合、PRDY信号の出力レベルを、遊技機1が正常動作不可能な状態(メダル貸出不可の状態)を示すレベル(出力レベルHigh状態)にする必要がある。ところが、遊技中であるにもかかわらず、PRDY信号の出力レベルが正常動作不可能な状態を示すレベル(High状態)となり、この状態が一定時間継続されると、遊技機1はプリペイドカードユニット151との間で通信エラーがあったと認識して動作を停止してしまう。
これは、本来、PRDY信号は、遊技機1が正常動作可能な状態にあるか否かを示す信号であり、遊技機1の動作中に何らかの異常が発生して遊技機1が正常な動作をできなくなったとき(例えば、遊技機1とプリペイドカードユニット151との通信エラーが発生したとき)に、出力レベルが変化するのが通常だからである。
これに対して、本実施例では、遊技機1の内部で処理される遊技中信号を用いて遊技中における貸出ボタン155の操作の無効化を行うので、上述したように遊技機1が遊技中(正常動作中)に動作を停止するといった不具合は発生しない。
なお、スイッチ素子としては、いわゆるORゲートを利用して、遊技中信号が入力されている間(High入力状態)は、出力が常にHigh状態となるように構成してもよい。あるいは、以下に説明するように、いわゆるリレー回路を利用することにより、遊技中信号が入力されている間は電気的な接続が切断されるように構成しても良い。
図21は、遊技中の貸出ボタン操作を無効とするために機械式リレーを用いた回路構成を示す説明図である。図示されているように、貸出ボタン155からプリペイドカードユニット(CRユニット)151に至る信号線の上には機械式リレー162bが設けられており、この機械式リレー162bを遊技中信号によってONまたはOFFに切り替えることにより、信号線を断続することが可能となっている。すなわち、遊技中信号が入力されていない場合(信号出力レベルLow状態)には、リレーコイルが励磁される結果、機械式リレー162bがON状態になる。そのため、貸出ボタン155の操作に基づくTDS信号が、CR接続基板161を介してプリペイドカードユニット151に入力可能となる。逆に、遊技中信号を入力すれば、機械式リレー162bをOFF状態に切り替えて、貸出ボタン155の操作を無効とすることができる。
また、図22は、遊技中の貸出ボタン操作を無効とするためにフォトMOSリレーを利用した回路構成を示す説明図である。図示されているように、貸出ボタン155からプリペイドカードユニット(CRユニット)151に至る信号線の上にはフォトMOSリレー162cが設けられており、フォトMOSリレー162cを遊技中信号によってONまたはOFFに切り替えることにより、信号線を断続することが可能となっている。すなわち、遊技中信号が入力されていない場合(信号出力レベルLow状態)には、フォトMOSリレー162c内の発光ダイオードが発光する結果、フォトMOSリレー162cはON状態になる。そのため、貸出ボタン155の操作に基づくTDS信号は、CR接続基板161を介してプリペイドカードユニット151に入力可能となる。これに対して、遊技中信号が入力すれば、フォトMOSリレー162cをOFF状態に切り替えて、貸出ボタン155の操作を無効とすることができる。
また、上記実施例では、遊技中に貸出ボタン155の操作を無効化するものとして説明したが、加えて、前面扉4が開放中であるときにも、貸出ボタン155の操作を無効化するための信号(遊技中信号もしくは別の信号。以下、「貸出操作無効化信号」という)をCR表示基板162に入力して、貸出ボタン155の操作を無効化しても良い。前面扉4の開放中は、メダル払出装置(ホッパー)137のメダル排出部と前面扉4にある遊技メダル払出口9とが離れてしまうため、この状態でメダル払出装置が作動すると遊技メダルが遊技機1から落下してしまうが、このような前面扉4の開放中においても貸出ボタン155の操作を無効化しておけば、そうした不都合の発生を防ぐことができる。
また、以上の説明では、貸出ボタンの操作を無効化するための手段(スイッチ素子やリレーなど。以下「貸出操作無効化手段」という。)をCR表示基板162に設けるものとして説明した。このように、貸出操作無効化手段をCR表示基板162に設け、貸出操作無効化信号をCR接続基板161に入力しない構成とすれば、CR接続基板161を介して送受信されるメダル貸出に関する信号(PRDY信号、BRDY信号、BRQ信号、EXS信号など)にノイズ等の影響を与え難くなるため、メダル貸出を正常に行うことができる。
また、以上の説明では、貸出操作無効化手段をCR表示基板162に設けるものとして説明したが、これに限られず、例えばCR接続基板161に設けても良い。貸出操作無効化手段をCR接続基板161に設けることにすれば、貸出操作無効化信号を主制御基板101から入力するためのコネクタやハーネス(信号ケーブル)をCR表示基板162に新設する必要がないので、遊技機1の製造コスト抑制を図ることができるほか、CR表示基板162を弾球遊技機との間で共用化することも可能となる。
また、前述のように、前面扉4には貸出ボタン155や残高表示部153などが設けられることから、こうした貸出ボタン155や残高表示部153に直接接続されるCR表示基板162についても前面扉4に設けることが適切である。一方、主制御基板101については、遊技機1全体を制御する必要性から筐体3の内部に設けることが好ましい。こうした場合に、主制御基板101とCR表示基板162とを接続するハーネスを新設しようとすれば、ハーネスを長くする必要が生じるため、新設したハーネスが前面扉4の開閉時に筐体3と前面扉4との間に挟まったり、前面扉4の開閉の繰り返しによって断線したりするおそれもある。しかし、貸出操作無効化手段をCR接続基板161に設けることにすれば、貸出操作無効化信号を主制御基板101からCR表示基板162に入力するためのハーネスを新設する必要がないので、そうした問題も生じない。
また、CR接続基板161は、メダル貸出に係る信号(PRDY信号、BRDY信号、BRQ信号、EXS信号など)を主制御基板101との間でやり取りする機能を有する基板であることから、CR接続基板161には、こうしたメダル貸出に係る信号を送受信するための入出力部(コネクタ)が設けられている。そのため、貸出操作無効化手段をCR接続基板161に設ける際には、こうした既存のコネクタのピンを増やすだけでよいので、効率的に貸出ボタン155の操作の無効化を図ることができる。
また、以上の説明では、貸し出す遊技メダルを受け皿部47に払い出すものとしたが、これに限られず、次のようにして、プリペイドカードユニット151を用いた遊技メダルの貸し出しを行うこととしても良い。先ず、1枚投入ボタン35あるいは3枚投入ボタン37が押されたら、貯留されている遊技メダル数を検出する。そして、貯留メダルがあれば、このメダルを投入して遊技を行う。一方、貯留メダルがない場合、あるいはベット数に満たない場合は、プリペイドカードユニット151に挿入されたプリペイドカードから、不足分またはベット数のメダルを投入して遊技を行う。このとき、プリペイドカードの残高(度数)が遊技メダル数でカウントされている場合は、投入したメダル数ずつカード残高を減少させる。一方、プリペイドカードの残高が金額でカウントされている場合は、遊技メダル一枚あたりの金額(例えば、1枚あたり20円)に投入したメダル数を乗算した金額ずつ、カード残高を減少させていけばよい。
こうすれば、プリペイドカードに記憶されている残高を、あたかも貯留されている遊技メダルのように使用して遊技を行うことができるので、遊技者が違和感を感じることなく遊技を行うことができる。加えて、こうすれば、貸し出す遊技メダルを、メダル払出装置137により実際に払い出さなくても、遊技を進めることができる。このため、メダル切れやメダルつまりの発生など、遊技メダルを実際に払い出すことに伴って生じる種々のトラブルを未然に防止することが可能となる。また、遊技者による遊技メダルの投入動作を簡略化できる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上記実施例の遊技機1においては、低確率期間中であるか否かの判断や高確率期間中であるか否かの判断を遊技回数に基づいて判断しているが、この態様に限られるものではない。例えば、経過時間に基づいて、これらの判断を行ってもよい。
また、上記実施例の遊技機1においては、BB期間の開始直後に低確率期間を設けているが、この態様に限られるものではない。例えば、BB期間の開始後、さらに所定の期間が経過した後に、低確率期間を設けても良い。
また、上記実施例の遊技機1においては、BB期間の終了直後に高確率期間を設けているが、この態様に限られるものではない。例えば、BB期間の終了後、さらに所定の期間が経過した後に、高確率期間を設けても良い。
また、上記実施例の低確率期間における小役やRB役の当選確率は、図7に示した通りであるが、これに限られるものではなく、低確率期間中において遊技者が獲得可能な遊技メダルの枚数の期待値が、一般遊技状態の場合よりも低くなっていればよい。例えば、低確率期間における小役やRB役の当選確率を全て"0"に設定しても良い。また、低確率期間における小役の当選確率の全てを一般遊技状態よりも低くする必要はなく、一部の小役の当選確率のみを一般遊技状態の場合より低く設定してもよい。
また、上記実施例の高確率期間における小役やRB役の当選確率は、図14に示した通りであるが、これに限られるものではなく、高確率期間中において遊技者が獲得可能な遊技メダルの枚数の期待値が、通常の一般遊技状態の場合よりも高くなっていればよい。例えば、高確率期間における小役やRB役の当選確率の全てを通常の一般遊技状態よりも高くする必要はなく、小役やRB役のうち、一部の役の当選確率のみを通常の一般遊技状態より高く設定してもよい。
また、上記実施例の低確率期間中においては、図13に示したように、内部抽選に用いる抽選テーブルを「低確率テーブル」に切り替えることによって、小役やRB役の当選確率を一般遊技状態よりも低くしているが、この態様に限られるものではない。例えば、低確率期間中は、一般遊技状態の場合よりも入賞図柄組合せが揃い難いように(或いは、揃わないように)、回胴13の停止制御を行うようにしてもよい。このようにしても、小役やRB役の当選確率を一般遊技状態の場合よりも低くすることができる。
また、上記実施例の高確率期間中においては、図6のフローチャートに示したように、内部抽選に用いる抽選テーブルを「高確率テーブル」を切り替えることによって、小役、RB役、再遊技役の当選確率を通常の一般遊技状態よりも高くしているが、この態様に限られるものではない。例えば、高確率期間中は、通常の一般遊技状態よりも入賞図柄組合せが揃い易いように、回胴13の停止制御を行ってもよい。このようにしても、小役、RB役、再遊技役の当選確率を通常の一般遊技状態の場合よりも高くすることができる。
また、BB期間中のRB遊技回数は、予め定められた所定の回数(例えば、3回)としたり、あるいは、BB内部当選時に、抽選により1回、2回、3回の中から選択して決定するようにしても良い。
また、上記実施例では、遊技媒体として遊技メダルを用いるものと説明したが、これに限られるものではない。例えば、遊技球を、遊技媒体として用いても良い。