以下、発明を実施するための形態について、図面を用いて詳細に説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.出納システムの全体構成]
まず第1の実施の形態について説明する。図1において、1は全体として例えば、金融機関の営業店において図示しない接客用カウンタの後方に設置され、金銭に関する入金や出金等の各種処理を総合的に実行可能なように構築された出納システムを示す。
この出納システム1は、紙幣を1枚単位で入出金する紙幣入出金機2、及び金種別の紙幣を所定枚数(例えば100枚)毎に施封して小束にした状態で収納し、また小束を出金する施封小束支払機3を有している。
また出納システム1は、例えば、小売店や公共施設等に設置される現金自動預払機(図示せず)に着脱可能で、当該現金自動預払機で行われる取引用の紙幣を収納する補充回収カセットに紙幣を補充し、また補充回収カセットから紙幣を回収する紙幣補充回収機4も有している。
さらに出納システム1は、各金種の新券(すなわち、新札)を出金する新券支払機5、金種別の一定枚数毎に棒状に重ねて包まれた硬貨(すなわち、棒金)を出金するための棒金支払機6、及び硬貨を1枚単位で入出金する硬貨入出金機7も有している。
さらに出納システム1は、紙幣入出金機2や施封小束支払機3、紙幣補充回収機4、新券支払機5、棒金支払機6及び硬貨入出金機7で行われる入金や出金等の処理内容を認証して所定の帳票等に印字し排出する認証プリンタ8、及び現金以外の小切手や定期預金証書等の有価証券を取り込んで入金処理する現金外ポスト9も有している。
さらに出納システム1は、入金や出金等の各種処理に関する種々の情報を表示するディスプレイ10、入金や出金等の各種処理に関する種々の情報や指示等を入力するためのキーボード11、及び出納システム1全体を統括制御する制御装置12も有している。
出納システム1は、これら各種装置の少なくとも一部については比較的自由に配置することができるものの、例えば、棒金支払機6、施封小束支払機3、紙幣補充回収機4、紙幣入出金機2、制御装置12及び硬貨入出金機7が、各々の正面を同一方向に向け順に隣接させるようにして横一列に並べて配置されている。
因みに、以下の説明では、出納システム1を、棒金支払機6、施封小束支払機3、紙幣補充回収機4、紙幣入出金機2、制御装置12及び硬貨入出金機7各々の同一方向を向く正面と対峙して見た場合の図中に矢印a1で示す方向を、左方向とし、当該左方向とは逆の方向を、右方向とする。
また、以下の説明では、出納システム1を、棒金支払機6、施封小束支払機3、紙幣補充回収機4、紙幣入出金機2、制御装置12及び硬貨入出金機7各々の同一方向を向く正面と対峙して見た場合の図中に矢印b1で示す方向を、上方向とし、当該上方向とは逆の方向を、下方向とする。
さらに、以下の説明では、出納システム1を、棒金支払機6、施封小束支払機3、紙幣補充回収機4、紙幣入出金機2、制御装置12及び硬貨入出金機7各々の同一方向を向く正面と対峙して見た場合の図中に矢印c1で示す方向(すなわち、各装置の正面が向く方向)を、前方向とし、当該前方向とは逆の方向を、後方向とする。
また出納システム1は、例えば、紙幣補充回収機4の前上側に新券支払機5が組み込まれて一体化されていると共に、当該紙幣補充回収機4に認証プリンタ8が載置されている。
さらに出納システム1は、紙幣入出金機2にディスプレイ10が正面を前方向に向けて載置されると共に、当該ディスプレイ10の前にキーボード11が載置されている。さらに出納システム1は、硬貨入出金機7に現金外ポスト9が載置されている。
そして出納システム1では、右方向に添って順次隣接させるようにして配置された施封小束支払機3、紙幣補充回収機4、及び紙幣入出金機2が、紙幣を左方向及び右方向に搬送する装置間搬送部(図示せず)によって接続されている。
これにより出納システム1は、施封小束支払機3、紙幣補充回収機4、及び紙幣入出金機2の間で、施封や補充、回収等の各種処理に用いる紙幣を適宜、装置間搬送部を介して搬送できるようになっている。
ここで、例えば、紙幣入出金機2から施封小束支払機3に紙幣を入金する場合、オペレータがキーボード11を操作して入力した金種及び枚数(例えば100枚単位の枚数)に基づいて、紙幣入出金機1の紙幣収納庫(図示せず)から紙幣が1枚ずつ繰り出され、この紙幣入出金機1に隣接する紙幣補充回収機4に搬送される。
さらにこの紙幣補充回収機4に搬送された紙幣は、この紙幣補充回収機4から1枚ずつ繰り出され、この紙幣補充回収機4に隣接する施封小束支払機3に搬送される。
このようにして、この出納システム1では、施封小束支払機3に紙幣が入金されるようになっている。
[1−2.施封小束支払機の内部構成]
次に、施封小束支払機3の内部構成について説明する。図2に示すように、施封小束支払機3は、主として、制御部20、施封部21、装置間搬送部22、エレベータ部23、小束ハンド部24、プッシャ部25、小束金庫26(26a〜26d)、オーバーフロー庫27により構成されている。
エレベータ部23は、施封小束支払機3内の前端に設けられた上下方向に延在する昇降路28内を上下方向に移動できるようになっている。
またこの昇降路28の上端側に出金口29が設けられ、この昇降路28の下端側にオーバーフロー庫27が設けられ、さらに出金口29とオーバーフロー庫27の間の中央部分に小束シュート口30が設けられている。
さらにこの昇降路28の後方上側に施封部21が配置され、さらにこの施封部21より後方に装置間搬送部22が配置されている。
さらに昇降路28より後方下側に、施封部21及び装置間搬送部22と所定の間隔を空けるようにして、複数(例えば4個)の小束金庫26(26a〜26d)が前後方向に並べて配置されている。尚、小束金庫26(26a〜26d)は、例えば金種毎に用意され、それぞれ指定された金種の小束を収納するようになっている。
さらに小束ハンド部24及びプッシャ部25は、施封部21及び装置間搬送部22と小束金庫26(26a〜26d)との間の通路31内を前後方向に移動できるようになっている。
尚、小束ハンド部24及びプッシャ部25は、小束ハンド部24が前、プッシャ部25が後ろとなる位置関係を維持しながら通路31内を移動するようになっている。
さらに空いたスペース(例えば装置間搬送部22の後方)に制御部20が配置されている。
この施封小束支払機3では、制御部20が上述の各部を制御して、小束の施封、小束の収納、小束の出金、小束が正常に施封されているか否かの判別等を行うようになっている。
実際、小束を施封する場合、まず紙幣入出金機2から紙幣補充回収機4を経由して搬送されてきた紙幣が装置間搬送部22を介して所定枚数(例えば100枚)ずつ施封部21に送られる。施封部21は、送られてきた所定枚数の紙幣の束を小束Tとして紙帯で施封する。
尚、図3に示すように、施封部21は、小束Tの長手方向の一端側寄り(すなわち紙幣を正面から見て左寄り)の所定箇所に、短手方向と平行に紙帯Sを巻回することで、小束Tを施封するようになっている。
このようにして、施封小束支払機3は、小束Tを施封するようになっている。
また小束Tを小束金庫26(26a〜26d)に収納する場合、まず、施封部21によって施封された小束Tが、施封部21から、施封部21の手前まで昇降路28内を昇ってきたエレベータ部23に渡される。
エレベータ部23は、小束Tを受け取ると、昇降路28内を、小束ハンド部24及びプッシャ部25の通路31の手前まで降りていく。
エレベータ部23が通路31の手前までくると、エレベータ部23によって運ばれてきた小束Tが、通路31の前端に移動してきた小束ハンド部24に渡される。
ここで、小束ハンド部24とプッシャ部25の構成について、詳しく説明しておく。
図4に示すように、小束ハンド部24は、略直方体形状の筐体40を有している。
この筐体40は、下端部の中央から後端までが小束Tのサイズに合わせて切り欠かれており、この切り欠かれた部分(これを切り欠き部と呼ぶ)41に小束Tが収まるようになっている。
この切り欠き部41の上端には、小束Tの上面の長手方向の両端部に当接する部分となる当接部42a及び42bが、小束Tの長手方向の長さよりも若干短い間隔を隔てて左右方向に対向して設けられている。
また筐体40には、当接部42a及び42bに近づく方向及び遠ざかる方向(すなわち上下方向)に移動可能で小束Tの下面に当接する部分となるクランプ43と、このクランプ43を駆動させるクランプモータ44とが設けられている。
この小束ハンド部24は、切り欠き部41に小束Tを収めるようにして、当接部42a及び42bとクランプ41との間に小束Tを挟み込み、さらにクランプ43を当接部42a及び42bに近づける方向に移動させることで、小束Tを当接部42a及び42bとクランプ43とで把持するようになっている。
さらに筐体40の内部には、切り欠き部41の上方に、プッシャ部25を収納できるプッシャ部収納領域45が設けられている。このプッシャ部収納領域45は、下方の切り欠き部41と繋がっていると共に、筐体40の後面に設けられたプッシャ部用入出口(図示せず)と繋がっている。
一方、プッシャ部25は、小束ハンド部24のプッシャ部収納領域45に収まるサイズの筐体50を有している。
この筐体50の下端部の前側には、小束の金種を判別するために小束Tの上面の画像を取得する例えばラインセンサでなる金種判別センサ51が左右方向に延在して設けられ、この金種判別センサ51の後方に、小束Tを押圧するプッシャ52が設けられている。
さらにこの筐体50には、プッシャ52を駆動するプッシャモータ53が設けられている。
このプッシャ部25は、図5に示すように、小束ハンド部24の後側に形成されているプッシャ部用入出口(図示せず)から、小束ハンド部24のプッシャ部収納領域45内に入ったりプッシャ部収納領域45外に出たりすることができるようになっている。
またこのプッシャ部25は、小束Tを把持している小束ハンド部24内に入ったり、小束ハンド部24外に出たりするときに、小束ハンド部24に把持されている小束Tの上方を、プッシャ部25の金種判別センサ51が通過することになる。
このとき、金種判別センサ51は、所定周期で動作することにより、小束Tの上方を通過しながら、小束Tの上面の画像を1ラインずつ取得して、最終的に小束Tの上面全体の画像を取得する。そして制御部20が、このようして取得された小束Tの上面の画像(これを上面画像とも呼ぶ)の特徴から、金種判別を行うようになっている。
また、プッシャ部25が、小束Tを把持している状態の小束ハンド部24内に完全に入ると、このとき小束ハンド部24に把持されている小束Tの上方にプッシャ52が位置することになる。
このとき、プッシャ部25は、プッシャ52により小束Tの上面を押圧することができ、これにより、小束Tを下方に押し出すことができるようになっている。尚、このとき、小束ハンド部24のクランプ43は、プッシャ52の妨げとならないように退避するようになっている。
小束ハンド部24及びプッシャ部25はこのような構成となっている。
このような構成でなる小束ハンド部24は、図5(A)に示すように、エレベータ部23から受け取った小束Tを把持したまま、通路31内を指定された金種に対応する小束金庫26(26a〜26d)の上まで移動する。
このとき、指定された金種に対応する小束金庫26の上には、プッシャ25が位置していて、小束ハンド部24が指定された金種に対応する小束金庫26(26a〜26d)の上までくると、小束ハンド部24内にプッシャ部25が入る。
そして、図5(B)に示すように、小束ハンド部24内に入ったプッシャ部25が、小束ハンド部24が把持している小束Tを下方の小束金庫26(26a〜26)dへと押し出す。
この結果、この小束Tが小束金庫26(26a〜26d)内のステージ(図示せず)上に積み重なるようにして収納される。
尚、小束金庫26(26a〜26d)のステージは、バネ等の付勢部材により上方に付勢されていて、このステージと、小束金庫26(26a〜26d)の上端の入出口付近に設けられたストッパとで、ステージ上に積み重ねられた小束Tを上下方向に挟み込んで保持するようになっている。
このようにして、施封小束支払機3は、施封された小束Tを収納するようになっている。
尚、指定された金種に対応する小束金庫26(26a〜26d)が例えば満杯の場合、エレベータ部23は、昇降路28の下端側に設けられたオーバーフロー庫27まで小束Tを運び、このオーバーフロー庫27に小束Tを収納するようになっている。
また制御部20は、プッシャ部25が小束ハンド部24内に入るときに、金種判別センサ51により取得された小束Tの上面画像をもとに、小束Tの金種を判別する。
そして例えば、収納しようとしている小束Tが、指定された金種の小束ではないと制御部20によって判別されると、この小束Tは、小束ハンド部24からエレベータ部23へと戻され、エレベータ部23によりオーバーフロー庫27へと運ばれるようになっている。
次に、小束を小束シュート口30から出金する場合について説明する。図2に示すように、昇降路28の前側壁面28aの小束シュート口30近傍には、左右方向に延材する回転軸が設けられ、この回転軸に板状のシュート板32の一端部が枢支されている。
このシュート板32は、例えば、小束Tを小束金庫26(26a〜26d)に収納するときには、エレベータ部23の移動の妨げとならないよう、昇降路28の前側壁面28aと平行になる位置まで回転して保持されるようになっている。
一方で、小束シュート口30から小束Tを出金するときには、小束シュート口30へと続く下り坂となるように、水平面に対して30度〜45度程度の斜面となる位置まで回転して保持されるようになっている。
尚、このときシュート板32の他端側(坂の上となる側)が、少なくとも小束ハンド部24及びプッシャ部25の通路31より下方に位置するように、小束シュート口30やシュート板32の位置が決められている。
実際、小束を小束シュート口30から出金する場合、まず、エレベータ部23が昇降路28内を、小束シュート口30より下方の所定位置まで降りていく。
シュート板32は、エレベータ部33の動きに連動する仕組みとなっていて、エレベータ部23が所定位置まで降りていくと、この動きに連動して、小束シュート口30へと続く下り坂となるように、水平面に対して30度〜45度程度の斜面となる位置まで回転する。
ここで、図5(A)に示すように、小束ハンド部24及びプッシャ部25が指定された金種の小束金庫26(26a〜26d)の上まで移動する。このときプッシャ部25は、小束ハンド部24内に入るようになっている。
小束ハンド部24及びプッシャ部25が指定された金種に対応する小束金庫26(26a〜26d)の上までくると、プッシャ部25が、プッシャ52を小束ハンド部24の切り欠き部41より下方まで伸ばして、下方の小束金庫26(26a〜26)dのステージ上に積み重ねられている小束Tを押し下げる。
小束金庫26(26a〜26d)は、プッシャ部25により小束Tが下方に押し下げられると、入出口付近に設けられたストッパが外れる仕組みになっている。
ストッパが外れると、ステージ上に積み重ねられている小束Tは、ステージとプッシャ部25のプッシャ52との間で保持されながらステージと共に上昇する。
そしてステージ上に積み重ねられている小束Tのうち1番上の小束Tが小束金庫26(26a〜26d)の入出口の外まで上昇すると、図5(C)に示すように、このとき小束ハンド部24がこの1番上の小束Tを把持する。
そして小束ハンド部24は、図5(A)に示すように、小束金庫26(26a〜26d)から受け取った小束Tを把持したまま、通路31内をエレベータ部23の昇降路28まで移動する。このとき、プッシャ部25は、小束ハンド部24外に出るようになっている。
小束ハンド部24は、昇降路28までくると、このとき把持している小束を離す。すると、このときちょうど小束ハンド部24の下方に位置しているシュート板32の上に小束が落とされ、そのままこのシュート板32を下って小束シュート口30へと送られる。
このようにして、施封小束支払機3は、小束を小束シュート口30から出金するようになっている。
尚、制御部20は、プッシャ部25が小束ハンド部24外に出るときに、金種判別センサ51により取得された小束Tの上面画像をもとに、小束Tの金種を判別するようになっている。
そして例えば、出金しようとしている小束Tが、指定された金種の小束ではないと制御部20によって判別されると、この小束Tは、小束ハンド部24から、このとき通路31の手前に移動してきたエレベータ部23に渡され、エレベータ部23によりオーバーフロー庫27へと運ばれるようになっている。
またこの施封小束支払機3では、小束Tを出金口29から出金できるようにもなっている。この場合、エレベータ部23は、小束ハンド部24及びプッシャ部25の通路31の手前に移動する。
またこのとき、小束Tを小束シュート口30から出金する場合と同様にして、小束ハンド部24が、指定された金種に対応する小束金庫26(26a〜26d)から受け取った小束Tを把持したまま、通路31内をエレベータ部23の昇降路28まで移動する。
そして、この小束ハンド部24に把持されて運ばれてきた小束Tが、通路31の手前に移動してきたエレベータ部23に渡される。
エレベータ部23は、小束Tを受け取ると、昇降路28内を上昇して、この小束Tを出金口29へと運ぶ。
このようにして、施封小束支払機3は、小束Tを出金口29から出金できるようになっている。
この場合も、出金しようとしている小束Tが、指定された金種の小束ではないと制御部20によって判別されると、この小束Tは、小束ハンド部24からエレベータ部23に渡され、エレベータ部23によりオーバーフロー庫27へと運ばれるようになっている。
さらにこの施封小束支払機3では、施封部21で施封した小束Tを収納せずにそのまま小束シュート口30から出金できるようにもなっている。この場合、まず、エレベータ部23が昇降路28内を、小束シュート口30より下方の所定位置まで降りていく。
シュート板32は、エレベータ部23が所定位置まで降りていくと、この動きに連動して、小束シュート口30へと続く下り坂となるように、水平面に対して30度〜45度程度の斜面となる位置まで回転する。
この状態で、施封部21によって施封された小束Tを、昇降路28内に繰り出す。すると、この小束Tは、昇降路28内を落下していき、シュート板32の上に落ちる。そしてこの小束Tが、そのままこのシュート板32を下って小束シュート口30へと送られる。
このようにして、施封小束支払機3は、施封部21で施封した小束Tをそのまま小束シュート口30から出金することもできるようになっている。
さらにこの施封小束支払機3では、施封部21で施封した小束Tを収納せずにそのまま出金口29から出金できるようにもなっている。この場合、施封部21によって施封された小束Tが、施封部21から、施封部21の手前まで昇降路28内を昇ってきたエレベータ部23に渡され、このエレベータ部23によって出金口29へと運ばれる。
このようにして、施封小束支払機3は、施封部21で施封した小束Tをそのまま出金口29から出金することもできるようになっている。
くわえて、この施封小束支払機3では、小束Tが正常に施封されているか否かを判別できるようにもなっている。この場合、施封小束支払機3は、小束Tの収納時に、プッシャ部25の金種判別センサ51により取得した小束Tの上面画像を利用して、小束Tが正常に施封されているか否かを判別するようになっている。
上述したように、プッシャ部25の金種判別センサ51は、小束Tの金種を判別するために、小束Tの上面画像を取得する。
ここで、図3に示したように、施封部21は、小束Tの長手方向の一端側寄りの所定箇所に、短手方向と平行に紙帯Sを巻回することで、小束Tを施封するようになっている。
つまり、正常に施封されている小束Tならば、長手方向の一端側寄り(例えば小束Tを真上から見て左寄り)の所定箇所に、短手方向と平行に紙帯Sが巻回されていることになる。
ゆえに、施封小束支払機3では、小束Tの上面画像をもとに、小束Tの短手方向の一端から他端に架けて紙帯Sが巻回されているか否かを検出することで、小束Tが正常に施封されているか否か判別するようになっている。
実際、プッシャ部25の金種判別センサ51は、図6に示すように、小束Tの上面画像として、例えば、縦nピクセル×横mピクセルの画像データ(これを上面画像データとも呼ぶ)Pdを取得するようになっている。尚、この場合の縦は小束Tの短手方向、横は小束Tの長手方向を意味する。
ここで、施封小束支払機3の制御部20は、この縦nピクセル×横mピクセルの上面画像データPdから、例えば、横5ライン分の画像データを抽出する。
具体的には、図7(A)に示すように、上面画像データPdの縦方向の一端側の長辺近傍のラインL1、縦方向の他端側の長辺近傍のラインL5、これら2つのラインL1とL5の中間(すなわち縦方向の中間)に位置するラインL3、ラインL1とL3の中間に位置するラインL2、ラインL5とL3の中間に位置するラインL4の計5ライン分の画像データを抽出する。
ところで、小束Tを施封する紙帯Sは、一般的に紙幣の色より明るい白系の色であることから、紙幣と紙帯Sとの境界部分で明度の変化量が他の部分と比して大きくなる。
よって、この明度の変化量が大きくなる箇所を検出できれば、紙幣と紙帯Sとの境界部分を検出することができ、結果として、紙帯Sの有無を検出することができる。
そこで、この実施の形態では、制御部20が、上面画像データPdから、5ライン分の画像データとして、各ラインL1〜L5を構成するピクセル毎の明度を示す明度データを抽出するようになっている。
ここで、小束Tが正常に施封されているとすると、図7(B)に示すように、明度の変化量の大きい箇所が、全てのラインL1〜L5でほぼ同じ2箇所に現れることになる。
そこで、制御部20は、明度の変化量の大きい箇所が、全てのラインL1〜L5でほぼ同じ2箇所に現れた場合に、この上面画像データPdが得られた小束Tが正常に施封されていると判別するようになっている。
因みに、紙幣には、一般的に、人物や建物、模様などの図柄が描かれており、このような図柄についても、その色によっては、輪郭部分で明度の変化量が大きくなる。
しかしながら、このような図柄は、紙幣の短手方向の一端から他端に架けて描かれることはないため、ラインL1〜L5のうちの2又は3ラインで、この図柄による明度の変化量の大きい箇所が現れることはあっても、全てのラインL1〜L5でほぼ同じ箇所に現れることはない。
ゆえに、上述した判別方法によれば、このような図柄を紙帯Sと誤認識してしまうことを防ぎ、小束Tが正常に施封されているか否かを正確に判別することができる。
このようにして、施封小束支払機3は、小束Tが正常に施封されているか否かを判別できるようになっている。
ところで、上述したように、施封部21により施封された小束Tならば、長手方向の一端側寄りの所定箇所に、短手方向と平行に所定幅の紙帯Sが巻回されていることになる。
つまり、施封部21により施封された小束Tならば、上面画像上の紙帯Sの位置が大体決まっていて、全てのラインL1〜L5に現れる、紙帯Sによる明度の変化量の大きい2箇所の位置(すなわち紙幣と紙帯Sの境界の位置)も大体決まっている。
このことから、全てのラインL1〜L5に現れる、紙帯Sによる明度の変化量の大きい2箇所の大体の位置(すなわち紙幣と紙帯Sの境界の位置)を予測することができる。
そこで、図8(A)に示すように、各ラインL1〜L5において、明度の変化量の大きい箇所を検出する範囲を、紙帯Sによる明度の変化量の大きい2箇所が現れると予測できる一端側寄りの2つの検出範囲Ar1及びAr2内に限定し、図8(B)に示すように、全てのラインL1〜L5でこの2つの検出範囲Ar1及びAr2の両方に変化量の大きい箇所が現れた場合に、小束Tが正常に施封されていると判別するようにしてもよい。
このようにすれば、ラインL1〜L5全体のうち、明度の変化量の大きい箇所を検出する範囲を検出範囲Ar1及びAr2内に限定することができるので、制御部20の処理負荷を軽減させることができる。
また、このように、明度の変化量の大きい箇所を検出する範囲を限定することで、紙幣に描かれている図柄を紙帯Sと誤認識してしまうことを一段と確実に防ぐことができる。
さらに、紙帯Sに文字等が印刷されている場合もあるが、このような場合でも、図8(A)に示したように、明度の変化量の大きい箇所を検出する検出範囲Ar1及びAr2を、紙幣と紙帯Sとの境界付近に設定しているので、紙帯Sに印刷されている文字等に関係なく、小束Tが正常に施封されているか否かを正確に判別することができる。
さらに、紙帯Sが途中で折れ曲がっていたり、切れていたりすることもあるが、このような場合、ラインL1〜L5のうちの少なくとも1ラインで2つの検出範囲Ar1及びAr2のうちの少なくともどちらか一方には変化量の大きい箇所が現れなくなるので、このような小束Tについても、異常な小束Tとして検出することができる。
そして、ここまで説明した判別方法により、小束Tが正常に施封されていると判別されれば、制御部20は、引き続き、小束の施封、収納、出金等の処理を継続する。
これに対して、小束Tが正常に施封されていないと判別されると、制御部20は、直ちに、施封小束支払機3をエラーで停止させ、例えば、出納システム1のディスプレイ10を介して、施封されていない小束が検出されたのでその小束を確認して除去するよう作業員へ通知するようになっている。
[1−3.第1の実施の形態における動作及び効果]
以上の構成において、施封小束支払機3は、小束Tの収納時、小束ハンド部24内にプッシャ部25が入るときに、小束ハンド部24が把持している小束Tの上面画像を、プッシャ部25の金種判別センサ51により取得して、この上面画像をもとに、小束Tの金種を判別する。
さらに、このとき、施封小束支払機3は、この上面画像を利用して、小束Tが正常に施封されているか否かを判別する。
すなわち、施封小束支払機3は、小束Tを小束金庫26(26a〜26d)に収納するときに、小束Tの金種を判別するために取得した小束Tの上面画像を利用して、小束Tが正常に施封されているか否かを判別するようになっている。
こうすることで、従来のように、小束金庫26(26a〜26d)に収納されている全ての小束を精査する小束精査を別途行わずとも、小束Tの収納時に、異常な小束Tを検出することができる。
また、異常な小束Tが検出された場合には、施封小束支払機3をエラーで停止させて、異常な小束Tが検出された旨を作業員に通知するようにしたことにより、正常に施封されていない小束Tを出金してしまう等の現金トラブルを未然に防ぐこともできる。
さらに、金種判別センサ51が小束Tの金種を判別するために取得した小束Tの上面画像を利用して、小束Tが正常に施封されているか否かを判別するようにしたことで、別途、小束Tが正常に施封されているか否かを判別するための画像を取得するセンサを設ける必要がなく、施封小束支払機3を簡易な構成とすることができる。
またこの場合、金種の判別と、小束Tが正常に施封されているか否かの判別とで、同じ上面画像を使うことになるので、例えば、金種判別センサ51による上面画像の取得が1回で済み、別々の上面画像を使う場合と比して、処理時間を短縮することができる。
以上の構成によれば、施封小束支払機3は、従来のように、小束金庫26(26a〜26d)に収納されている全ての小束を精査する小束精査を別途行わずとも、小束Tの収納時に、異常な小束Tを検出することができ、かくして異常な小束を容易に検出することができる。
[2.第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態では、小束が正常に施封されているか否かを判別するタイミングが、第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。
尚、小束が正常に施封されているか否かを判別するタイミングが異なる点以外、第1の実施の形態と同様であるので、施封小束支払機3の構成等については、第1の実施の形態を参照とする。ゆえに、ここでは、主に、小束が正常に施封されているか否かを判別するタイミングについて説明する。
第1の実施の形態では、小束Tを収納するときに、収納する小束Tが正常に施封されているか否かを判別するようにしたが、この第2の実施の形態では、小束金庫26(26a〜26d)から小束Tを出金するときに、出金する小束Tが正常に施封されているか否かを判別するようになっている。
第1の実施の形態でも説明したように、小束金庫26(26a〜26d)に収納されている小束Tを小束シュート口30から出金する場合、図5(A)に示したように、小束ハンド部24及びプッシャ部25が指定された金種の小束金庫26(26a〜26d)の上まで移動する。このときプッシャ部25は、小束ハンド部24内に入る。
小束ハンド部24及びプッシャ部25が指定された金種の小束金庫26(26a〜26d)の上までくると、プッシャ部25が、プッシャ52を小束ハンド部24の切り欠き部41より下方まで伸ばして、下方の小束金庫26(26a〜26)dのステージ上に積み重ねられている小束を押し下げる。
すると、小束金庫26(26a〜26d)のストッパが外れて、ステージ上に積み重ねられている小束が、ステージとプッシャ部25のプッシャ52との間で保持されながらステージと共に上昇する。
そしてステージ上に積み重ねられている小束のうち1番上の小束が小束金庫26(26a〜26d)の入出口の外まで上昇すると、図5(C)に示したように、このとき小束ハンド部24がこの1番上の小束を把持する。
そして小束ハンド部24は、図5(A)に示したように、小束金庫26(26a〜26d)から受け取った小束を把持したまま、通路31内をエレベータ部23の昇降路28まで移動する。このとき、プッシャ部25は、小束ハンド部24外に出る。
ここで、プッシャ部25が、小束Tを把持している状態の小束ハンド部24外に出るときに、小束ハンド部24に把持されている小束Tの上方を、プッシャ部25の金種判別センサ51が通過することになる。
このとき、プッシャ部25は、この金種判別センサ51で、小束Tの上面の画像を取得して、小束Tの金種を判別する。
さらに、施封小束支払機3の制御部20は、この金種判別センサ51により取得した小束Tの上面の画像を利用して、小束Tが正常に施封されているか否かを判別するようになっている。
この場合の判別方法については、第1の実施の形態と同様なので、第1の実施の形態を参照とする。
そして、第1の実施の形態と同様の判別方法により、小束Tが正常に施封されていると判別されれば、その小束Tは、そのまま小束ハンド部24により昇降路28まで運ばれ、シュート板32の上に落とされて、小束シュート口30へと送られる。
これに対して、小束Tが正常に施封されていないと判別されると、制御部20は、直ちに、施封小束支払機3をエラーで停止させ、例えば、出納システム1のディスプレイ10を介して、施封されていない小束が検出されたのでその小束を確認して除去するよう作業員へ通知するようになっている。
尚、ここでは、小束Tを小束シュート口30から出金するときに、その小束Tが正常に施封されているか否か判別するようにしたが、施封小束支払機3では、小束Tを出金口29から出金するときにも、その小束Tが正常に施封されているか否か判別するようになっている。
以上の構成において、施封小束支払機3は、小束Tの出金時、小束ハンド部24外にプッシャ部25が出るときに、小束ハンド部24が把持している小束Tの上面画像を、プッシャ部25の金種判別センサ51により取得して、この上面画像をもとに、小束の金種を判別する。
さらに、このとき、施封小束支払機3は、この上面画像を利用して、小束Tが正常に施封されているか否かを判別する。
すなわち、施封小束支払機3は、小束Tを出金するときに、小束Tの金種を判別するために取得した小束Tの上面画像を利用して、小束Tが正常に施封されているか否かを判別するようになっている。
こうすることで、従来のように、小束金庫26(26a〜26d)に収納されている全ての小束を精査する小束精査を別途行わずとも、小束Tの出金時に、異常な小束Tを検出することができる。
さらに、異常な小束Tが検出された場合には、施封小束支払機3をエラーで停止させて、異常な小束Tが検出された旨を作業員に通知するようにしたことにより、正常に施封されていない小束Tを出金してしまう等の現金トラブルを防ぐこともできる。
またこの第2の実施の形態では、小束Tの出金時に、異常な小束Tを検出するようにしたことで、例えば、小束金庫26(26a〜26d)に収納された後に、この小束金庫26(26a〜26d)内で紙帯Sが外れてしまった小束Tも異常な小束Tとして検出することができる。
また施封小束支払機3では、小束金庫26(26a〜26d)に作業員が手動で小束Tを収納させることができるようになっているが、このとき正常に施封されていない小束Tを収納してしまったとしても、この小束Tを出金するときに、異常な小束Tとして検出することができる。
以上の構成によれば、施封小束支払機3は、従来のように、小束金庫26(26a〜26d)に収納されている全ての小束を精査する小束精査を別途行わずとも、小束Tの出金時に、異常な小束Tを検出することができ、かくして、異常な小束を容易に検出することができる。
[3.他の実施の形態]
[3−1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1及び第2の実施の形態では、プッシャ部25の金種判別センサ51により小束Tの上面画像データPdを取得するようにした。
これに限らず、金種判別センサ51としてより撮像範囲の広いラインセンサを用いることで、例えば、図9に示すように、小束Tの上面とその上面より外側の背景部分とを含んだ上面画像データPdxを取得するようにしてもよい。
このとき、制御部20は、上面画像データPdxから、図10に示すように、ラインL1〜L5の明度データにくわえて、縦方向の一端側の長辺より外側の背景部分を通るラインL0と、縦方向の他端側の長辺より外側の背景部分を通るラインL6の明度データも抽出するようにする。
ここで、小束Tが正常に施封されているとすると、小束Tの上面より外側の背景部分は、全体的に暗くなっていることから、明度の変化量の大きい箇所は存在しない。
しかしながら、図11に示すように、例えば小束Tの側面で紙帯Sが切れてしまっている場合、紙帯Sが小束Tの側面から突出することになり、この結果、小束Tの上面の外側の背景部分に、紙帯Sの突出した部分による、明度の変化量の大きい箇所が現れる。
そこで、制御部20が、背景部分を通るラインL0又はラインL6で明度の変化量の大きい箇所が現れた場合には、明度の変化量の大きい箇所がラインL1〜L5でほぼ同じ2箇所に現れていたとしても、小束が正常に施封されていないと判別するようにする。
このようにすれば、小束Tの上面に紙帯Sが正常に巻回されているか否かだけでなく、小束Tの側面に紙帯Sが正常に巻回されているか否かも検出することができるようになり、結果として、より正確に、異常な小束Tを検出することができるようになる。
尚、この場合も、第1の実施の形態と同様、明度の変化量の大きい箇所を検出する範囲を検出範囲Ar1とAr2に限定するようにしても構わない。
[3−2.他の実施の形態2]
また、上述した第1及び第2の実施の形態では、小束Tの上面画像データPdから5ライン分の明度データを抽出するようにした。
これに限らず、例えば、さらに多くのラインの明度データを抽出するようにしてもよいし、例えば、ラインL1、L3、L5の計3ライン分の明度データを抽出するようにしてもよい。
このように、明度データを抽出するラインの数は、適宜変更するようにしてもよい。またラインの位置についても、適宜変更するようにしてもよい。
[3−3.他の実施の形態3]
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、小束Tの上面画像データPdから5ライン分の明度データを抽出して、この明度データから各ラインL1〜L5での明度変化を検出し、この検出結果をもとに、小束Tが正常に施封されているか否かを判別するようにした。
これに限らず、小束Tの上面画像を画像解析することで、小束Tが正常に施封されているか否かを判別するようにしてもよい。
この場合、例えば、予め正常に施封されている小束の上面画像データを用意して、これを、制御部20の記憶部(図示せず)に記憶させておく。
そして制御部20が、例えば、小束Tの収納時に、この予め用意した小束の上面画像データと、今回取得した小束Tの上面画像データPdとの類似度を求め、この類似度が所定の閾値を下回った場合に、収納しようとしている小束Tが異常な小束Tであると判別するようにすればよい。
またこれに限らず、この他種々の既知の画像解析技術を用いて、小束Tの上面画像から小束Tが正常に施封されているか否かを判別するようにしてもよい。
[3−4.他の実施の形態4]
さらに、上述した第1の実施の形態では、小束Tの収納時に、小束Tが正常に施封されていないと判別されると、直ちに、施封小束支払機3をエラーで停止させるようにした。
これに限らず、例えば、正常に施封されていると判別された小束Tについては、そのまま小束金庫26(26a〜26d)に収納するようにし、正常に施封されていないと判別された小束Tについては、小束金庫26(26a〜26d)には収納せずに、オーバーフロー庫27へ送って、このオーバーフロー庫27に収納するようにしてもよい。
またこのとき、施封小束支払機3が、例えば、出納システム1のディスプレイ10を介して、施封されていない小束Tをオーバーフロー庫27に収納した旨を作業員へ通知するようにしてもよい。
さらに、上述した第2の実施の形態では、小束Tの出金時に、小束Tが正常に施封されていないと判別されると、直ちに、施封小束支払機3をエラーで停止させるようにした。
これに限らず、例えば、正常に施封されていると判別された小束Tについては、そのまま小束シュート口30又は出金口29から出金するようにし、正常に施封されていないと判別された小束Tについては、出金せずに、オーバーフロー庫27へ送って、このオーバーフロー庫27に収納するようにしてもよい。
またこのとき、施封小束支払機3が、例えば、出納システム1のディスプレイ10を介して、施封されていない小束Tをオーバーフロー庫27に収納した旨を作業員へ通知するようにしてもよい。
[3−5.他の実施の形態5]
さらに上述した第1の実施の形態では、小束Tの収納時に、小束Tが正常に施封されているか否かを判別するようにし、第2の実施の形態では、小束Tの出金時に、小束Tが正常に施封されているか否かを判別するようにした。
これに限らず、これら第1の実施の形態と第2の形態とを組み合わせて、小束Tの収納時と出金時の両方で、小束Tが正常に施封されているか否かを判別するようにしてもよい。
このようにすれば、一段と確実に、正常に施封されていない小束Tを出金してしまう等の現金トラブルを防ぐことができる。
また、小束Tの収納時は、必ず施封部21により施封された小束の判別を行うのに対して、小束Tの出金時は、施封部21により施封された小束Tだけでなく、外部で施封された小束Tの判別を行う可能性がある。
これは、作業員が手動で、施封部21により施封された小束T以外の小束Tを小束金庫26(26a〜26d)に収納させることができるからである。
そこで、例えば、小束Tの収納時は、施封部21により施封された小束T、すなわち紙帯Sの位置が大体決まっている小束Tの判別を行うことから、小束Tの判別を行うときに、ラインL1〜L5全体のうち、明度の変化量の大きい箇所を検出する範囲を検出範囲Ar1及びAr2内に限定するようにする。
一方で、小束Tの出金時は、施封部21により施封された小束T以外の小束T、すなわち紙帯Sの位置が決まっているとは限らない小束Tの判別を行う可能性があることから、変化量の大きい箇所を検出する範囲を限定せずに、ラインL1〜L5の全体から、明度の変化量の大きい箇所を検出するようにする。
このようにすれば、小束Tの収納時は、より迅速に施封判別を行い、一方で小束Tの出金時は、より確実に施封判別を行うことができる。
尚、一般的に、紙帯Sは小束Tの長手方向の一端側寄りの所定箇所、もしくはその反対側となる長手方向の他端側寄りの所定箇所に巻回されるので、例えば、小束Tの出金時には、変化量の大きい箇所を検出する範囲を、図12に示すように、小束の長手方向の一端側寄りの検出範囲Ar1及びAr2内と、小束の長手方向の他端側寄りの検出範囲Ar3及びAr4内に限定するようにしてもよい。
[3−6.他の実施の形態6]
さらに、上述した第1の実施の形態では、小束Tの収納時と入金時の両方で、小束Tの金種を判別するようにした。
これに限らず、収納時のみ、もしくは出金時のみ小束Tの金種を判別するようにしてもよい。
実際、作業員が手動で、小束Tを小束金庫26(26a〜26d)に収納させることができることを考えれば、少なくとも出金時には、小束Tの金種を判別するようにすることが望ましい。
[3−7.他の実施の形態7]
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、金種判別センサ51としてラインセンサを用いるようにした。
これに限らず、小束の上面画像を取得できるセンサであれば、ラインセンサ以外のセンサを用いるようにしてもよい。例えば1度に縦nピクセル×横mピクセルの上面画像データPdを取得できるエリアセンサを用いるようにしてもよい。
[3−8.他の実施の形態8]
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、プッシャ部25に金種判別センサ51を設けるようにした。
これに限らず、例えば、小束ハンド部24に金種判別センサ51を設けて、この小束ハンド部24が把持している小束Tを、その上方から撮像して、上面画像を取得するようにしてもよい。
[3−9.他の実施の形態9]
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、本発明を、出納システム1に組み込まれた現金処理装置としての施封小束支払機3に適用したが、本発明は、これに限らず、施封された小束を収納、出金できる現金処理装置であれば、施封小束支払機3以外の装置に適用することができる。
[3−10.他の実施の形態10]
さらに、本発明は、上述した第1及び第2の実施の形態と、上述した他の実施の形態とに限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した第1及び第2の実施の形態と上述した他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。