以下に、添付図面を参照して、本発明に係る貨幣処理装置及び貨幣処理方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例では、貨幣処理装置と、貨幣処理装置で取扱いのできない汚損、損傷、変形等した硬貨である損貨や汚損、損傷等した紙幣である損券を処理する装置とを含む現金処理装置に本発明を適用した場合を例に説明する。また、本発明は、銀行等の金融機関の他、大型店舗等の商業施設においても利用可能な技術であるが、以下の実施例では、銀行を例に説明を行う。
本実施例に係る現金処理装置では、表示操作部の待機画面に、各金種の在高を表示するとともに、入出金が適正に完了できない可能性のある金種については警告情報を表示する。なお、本実施例では待機画面が初期画面として表示される構成を例に説明するが、初期画面が認証画面である場合には、認証画面において正常に認証が行われた後に本実施例により開示する待機画面が表示されることとなる。図1は、実施例に係る現金処理装置の待機画面について説明するための説明図である。
図1に示すように、待機画面には、バラ紙幣の各金種の在高と、束紙幣の各金種の在高と、新券の各金種の在高と、バラ硬貨の各金種の在高と、包装硬貨の各金種の在高とをそれぞれ棒グラフで表示している。さらに、一万円の束紙幣はその収納量の上限まで収納された「フル」状態であり、一万円の新券はその在高が0である「エンプティ」状態である。
フル状態の収納部に入金を行おうとしても、収納しきれないためにエラーとなる。同様に、エンプティ状態の収納部から出金しようとしても、出金できる貨幣がないためエラーとなる。
そこで、このように入出金処理が適正に完了できない可能性のある金種については、他の金種と表示態様を異ならせることにより、操作者に警告を行う。具体的には、警告する金種については、表示色を変更したり、表示を点滅させればよい。また、警告を示す表示を付加したり、警告音を発することとしてもよい。
警告の対象となるのは、フル状態とエンプティ状態の他に、ニアフル状態、ニアエンプティ状態、在高異常、搬送エラー等がある。ニアフル状態は、当該金種の在高が多すぎ、入金された貨幣が収納しきれない可能性のある状態である。具体的には、在高に対してニアフル閾値を設定し、在高がニアフル閾値以上となった場合にニアフル状態と判定する。
ニアエンプティ状態は、当該金種の在高が少なすぎ、出金時に不足が生じる可能性のある状態である。具体的には、在高に対してニアエンプティ閾値を設定し、在高がニアエンプティ閾値以下となった場合にニアエンプティ状態と判定する。
在高異常は、当該金種の在高を示すデータと実際の在高とが一致していない可能性がある状態である。この在高異常は、搬送エラーが発生した場合等に発生しうる。搬送エラーは、当該金種の搬送中に搬送路上で貨幣や異物などが詰まって搬送ができない状態である。また、貨幣が二枚以上重なった状態で搬送されたり、斜行した状態で搬送されたりした状態も搬送エラーに含まれる。
待機画面に在高とともに警告情報が表示された状態において、その警告情報を選択する操作が行われると、警告情報の原因を解消する処理が開始される。例えば、フル状態やニアフル状態であるならば、収納された貨幣を取り出す回収処理を行うため、回収に必要な操作を報知する表示画面に移行させる。また、エンプティ状態やニアエンプティ状態であるならば、貨幣を装填する装填処理を行うため、装填に必要な操作を報知する表示画面に移行させる。
また、在高異常であるならば、収納部内の貨幣を計数して在高を示すデータを更新する精査処理を行うため、精査に必要な操作を報知する表示画面に移行させる。そして、搬送路上で貨幣や異物などが詰まった状態の搬送エラーであるならば、この搬送エラーを解消するための操作手順を説明する表示画面に移行させる。
一方、待機画面に在高とともに警告情報が表示された状態であっても、警告情報の付されていない金種については、その金種を選択することで入出金処理を開始することが可能である。
このように、現金処理装置の待機画面に在高と警告情報とを組み合わせて一緒に表示することにより、操作者は、入出金等の処理を開始する前に、入出金が適正に完了できるか否かを確認することができる。そして、必要に応じて警告情報を選択し、警告情報の原因を解消した上で入出金等の処理を行うことができるので、入出金等が中断する事態を防ぎ、円滑に作業を行うことができる。
次に、現金処理装置の外観について説明する。図2は、現金処理装置の外観図である。現金処理装置1では、バラ紙幣処理部100及び束紙幣処理部200から成る紙幣処理装置10と、バラ硬貨処理部300及び包装硬貨処理部400から成る硬貨処理装置20との間に、損券処理装置600が配置され、損券処理装置600の上面に損貨処理装置500が配置されている。紙幣処理装置10及び硬貨処理装置20の上面には、それぞれ表示操作部40及びプリンタ50が配置され、それぞれの装置で作業する操作員は、各装置の前から移動することなく表示操作部40の操作や表示情報の確認を行えるようになっている。
バラ紙幣処理部100は、筐体前面に、入金されるバラ紙幣を受け入れるためのバラ紙幣入金口110とリジェクトされたバラ紙幣を投出するための入金リジェクト部120を有し、筐体上面に、出金されるバラ紙幣を排出するためのバラ紙幣出金口152を有している。束紙幣処理部200は、筐体前面上部に、束紙幣を排出するための帯封紙幣出金口218を有し、筐体前面下部に、束紙幣を機外へ投出するための帯封紙幣投出口221を有している。
バラ硬貨処理部300は、筐体上面に、入金されるバラ硬貨を受け入れるためのバラ硬貨入金口310を有し、筐体前面に、出金されるバラ硬貨を排出するためのバラ硬貨出金口370、リジェクトされたバラ硬貨を投出するための入金リジェクト口322、硬貨袋を取り付けて該硬貨袋内にバラ硬貨を回収できるように形成された袋取シュート部324、入金処理途中に処理がキャンセルされたバラ硬貨を排出するための返却回収箱326を有している。包装硬貨処理部400は、筐体前面上部に、包装硬貨を排出するための包装硬貨出金口480を有し、その下に、大量の包装硬貨を一括回収するための包装硬貨一括箱460と包装硬貨を機外へ投出するための包装硬貨投出口470とを有している。
損貨処理装置500は、硬貨処理装置20では受け付けられない硬貨を受け入れるための損貨入金口510と、受け付けた硬貨を分類して収納するための流通硬貨収納部540及び記念硬貨収納部544と、返却する硬貨を収納するための返却硬貨収納部542とを有している。受け付けた硬貨のうち、流通硬貨の損貨が流通硬貨収納部540に収納され、記念硬貨の正貨及び損貨が記念硬貨収納部544に収納される。
損券処理装置600は、筐体上面前部に、紙幣処理装置10では受け付けられない損券や、小切手、手形等の紙葉類を受け入れるための紙葉類入金口610を有し、筐体前面に、損券等の紙葉類を排出するための紙葉類出金口680と損券等を投入して保管するポスト670とを有している。
次に、現金処理装置1の機能構成について説明する。図3は、現金処理装置1の機能構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、現金処理装置1は、バラ紙幣及び束紙幣を処理する紙幣処理装置10と、バラ硬貨及び包装硬貨を処理する硬貨処理装置20と、紙幣処理装置10による機械受付ができない損券を処理する損券処理装置600と、硬貨処理装置20による機械受付ができない損貨及び記念硬貨を処理する損貨処理装置500と、これらの装置に接続されて各装置の機能及び動作を制御する管理制御部30と、該管理制御部30を操作するための表示操作部40と、収納された貨幣の明細情報等を印刷するためのプリンタ50とを有する。
管理制御部30は、その内部に紙幣処理制御部31、硬貨処理制御部32、特殊媒体処理制御部33及び表示操作処理部34を有する。紙幣処理制御部31は、紙幣処理装置10の動作を制御する処理部であり、バラ入出金処理部31a、束入出金処理部31b、結束処理部31c及び精査処理部31dを有する。
バラ入出金処理部31aは、紙幣処理装置10によるバラ紙幣の入出金を制御する処理部である。束入出金処理部31bは、紙幣処理装置10による束紙幣の入出金を制御する処理部である。結束処理部31cは、バラ紙幣を結束し、束紙幣にする処理を制御する処理部である。精査処理部31dは、紙幣処理装置10の内部におけるバラ紙幣や束紙幣を計数し、その在高を確認して更新する処理部である。
硬貨処理制御部32は、硬貨処理装置20の動作を制御する処理部であり、バラ入出金処理部32a、棒金入出金処理部32b、包装処理部32c及び精査処理部32dを有する。
バラ入出金処理部32aは、硬貨処理装置20によるバラ硬貨の入出金を制御する処理部である。棒金入出金処理部32bは、硬貨処理装置20による包装硬貨(いわゆる棒金)の入出金を制御する処理部である。包装処理部32cは、バラ硬貨を包装し、包装硬貨にする処理を制御する処理部である。精査処理部32dは、硬貨処理装置20の内部におけるバラ硬貨や包装硬貨を計数し、その在高を確認して更新する処理部である。
特殊媒体処理制御部33は、損貨処理装置500及び損券処理装置600の動作を制御する処理部であり、受付処理部33a及び払出処理部33bを有する。
受付処理部33aは、汚損した貨幣、損傷した貨幣、発行年代が古い旧貨幣、記念硬貨などの特殊貨幣と、手形、小切手などの特殊媒体の受付を制御する処理部である。具体的には、受付処理部33aは、特殊媒体が投入された場合に、その両面の画像を撮像させてイメージを取り込み、表裏、金種及び券種等を識別する。そして、特殊媒体と識別結果の対応関係が確定したならば、確定した識別結果に対応する収納部に各特殊媒体を収納する。
払出処理部33bは、特殊媒体の払出を制御する処理部である。払出処理部33bは、収納された特殊貨幣の払出を求める操作を受け付けた場合に、対応する収納部から特殊媒体を払い出させる。
表示操作処理部34は、表示操作部40に対する表示制御と、表示操作部40に対する操作の受付とを行う処理部である。表示操作処理部34は、紙幣処理装置10、硬貨処理装置20、損貨処理装置500及び損券処理装置600の操作に関与する。
表示操作処理部34は、その内部に在高管理部34a、警告処理部34b、遷移制御部34c及び操作ガイド部34dを有する。在高管理部34aは、紙幣処理装置10、硬貨処理装置20、損貨処理装置500及び損券処理装置600が収納する各金種について、その在高を示す在高データを管理する処理部である。
警告処理部34bは、各金種について警告の要否を判定する処理部である。具体的には、各金種についてそれぞれ定められたニアフル閾値及びニアエンプティ閾値と在高とを比較し、ニアフル閾値以上であればニアフル状態と判定し、ニアエンプティ閾値以下であればニアエンプティ状態と判定する。また、在高が収納量の上限に達していればフル状態と判定し、在高が0であればエンプティ状態と判定する。また、各金種について、在高異常や搬送エラーの有無についても判定を行う。
遷移制御部34cは、表示操作部40が表示する画面の遷移を制御する処理部である。遷移制御部34cは、操作受付前の待機時、若しくは操作者の接近を検知した時に、待機画面を表示する。待機画面には、既に説明したように、在高及び警告情報が含まれる。この待機画面で警告情報を選択する操作が行われたならば、遷移制御部34cは、警告情報の原因を解消する操作を報知する表示画面に移行させる。また、警告情報以外を選択する操作が行われたならば、遷移制御部34cは、その操作に応じた画面に移行させる。
操作ガイド部34dは、操作手順等を表示制御する処理部である。操作手順の表示に際しては、操作者に合わせて手順の表示方法を変更することができるが、その詳細については後述する。
次に、待機画面の具体例について説明する。図4は、待機画面の具体例について説明するための説明図である。図4に示した例では、バラ紙幣、束紙幣及び新券の各金種(一万円、五千円、二千円、千円)について、その在高を棒グラフ及び数値で表示している。同様に、バラ硬貨及び包装硬貨の各金種(500円、100円、50円、10円、5円、1円)について、その在高を棒グラフ及び数値で表示している。なお、棒グラフの横には目盛りが付され、あとどれくらい収納可能であるかが容易に視認できるようになっている。また、この目盛りの単位は、適宜変更可能である。
また、バラ紙幣の一万円はニアフル状態であるために、棒グラフの表示色を変更し、「ニアフル」の文字を付している。束紙幣の一万円はフル状態であるために、棒グラフと金種の表示色を変更し、「フル」の文字と注意喚起の記号を付している。バラ硬貨の5円はエンプティ状態であるために、金種の表示色を変更し、「エンプティ」の文字と注意喚起の記号を付している。
包装硬貨の500円はニアフル状態であるために、棒グラフの表示色を変更し、「ニアフル」の文字を付している。包装硬貨の100円はフル状態であるために、棒グラフと金種の表示色を変更し、「フル」の文字と注意喚起の記号を付している。包装硬貨の10円はニアエンプティ状態であるために、棒グラフの表示色を変更し、「ニアエンプティ」の文字を付している。
この他、待機画面には、処理の通し番号、操作者の氏名、日時、他のページに遷移するためのボタン等が適宜配置されている。このボタンには、警告情報のうち、フル状態又はニアフル状態を解消するための操作ボタンと、エンプティ状態又はニアエンプティ状態を解消するための操作ボタンが含まれる。
次に、遷移制御部34cによる画面の遷移について説明する。図5は、遷移制御部34cによる画面の遷移について説明するための説明図である。まず、遷移制御部34cは、操作開始時の初期画面として、待機画面を表示する。待機画面には、既に説明したように、在高及び警告情報が含まれる。この待機画面で警告情報を選択する操作が行われたならば、遷移制御部34cは、警告情報の原因を解消する操作を報知する表示画面に移行させる。
図5では、フル状態又はニアフル状態を解消するための操作ボタンが選択された状態を示している。この場合には、回収を行う対象として、バラ紙幣回収、束紙幣回収、包装硬貨回収が選択可能である。このうちのバラ紙幣回収を選択すると、バラ紙幣回収の方法を選択する操作項目選択画面に遷移する。ただし、操作者の権限の認証が済んでいない場合には、操作項目選択画面に先立って、認証用のパス入力画面が表示される。なお、パスの入力による認証以外にもカード等の記録媒体による認証や生体認証を用いることが可能である。
バラ紙幣回収の方法を選択する操作項目選択画面では、「1.出金口回収」、「2.一括回収」、「3.一括収納庫回収」、「4.結束回収 → 束出金口」、「5.結束回収 → 帯封紙幣投出口」、「6.結束回収 → 束カセット」、「7.全回収」のいずれかの項目を選択可能である。項目の選択により、バラ紙幣をバラ紙幣出金口152から払い出して回収する、一括して払い出して回収する、回収対象のバラ紙幣を後述する一括紙幣収納庫140に集めて、一括紙幣収納庫140を装置から取り出して回収する、結束して帯封紙幣出金口218から払い出して回収する、結束して帯封紙幣投出口221から払い出して回収する、回収対象のバラ紙幣を結束して後述する帯封紙幣収納カセット230に集め、その帯封紙幣収納カセット230を装置から取り出して回収する、全てのバラ紙幣を回収する等の回収方法から、任意の回収方法を用いることができる。回収方法が選択された後は、当該回収方法の操作を誘導する画面に遷移し、操作者の操作を誘導する。
また、待機画面で画面中央が押下された場合には、メニュー画面に遷移し、メニュー画面で選択されたメニューに応じた画面に遷移する。ここでも操作者の権限の認証が済んでいない場合には、メニュー画面に先立って、認証用のパス入力画面が表示される。なお、メニュー画面で貨幣処理を示すメニューの選択が行われた場合には、一旦、待機画面と同様に在高を表示する画面に遷移し、その後選択されたメニューに対応する操作を誘導する画面に遷移することが好適である。
図5では、バラ紙幣回収が選択された場合を例示したが、他の操作を行う場合にはそれぞれ選択可能な方法が異なるため、操作項目選択画面上に表示される項目も選択可能な方法に応じて異ならせる。図6は、操作項目選択画面のバリエーションを示す図である。
図6に示した操作項目画面Ma1は、図5に示したバラ紙幣回収の操作項目を示すものである。操作項目画面Ma2は、束紙幣回収の操作項目を示すものであり、「1.束出金口回収」、「2.機外投出口回収」、「3.カセット回収」、「4.全回収」のいずれかを選択可能である。
束出金口回収は、回収対象の帯封紙幣を帯封紙幣出金口218へ払い出して回収する処理である。機外投出口回収は、回収対象の帯封紙幣を帯封紙幣投出口221へ払い出して回収する処理である。カセット回収は、回収対象の帯封紙幣を一つの帯封紙幣収納カセット230に集めて、その帯封紙幣収納カセット230を装置から取り出して回収する処理である。全回収は、全ての帯封紙幣を回収する処理である。
操作項目画面Ma3は、バラ硬貨回収の操作項目を示すものであり、「1.出金口回収」、「2.返却箱回収」、「3.袋取り回収」、「4.包装回収→包装硬貨出金口」、「5.包装回収→一括箱」、「6.包装回収→機外投出口」、「7.全回収」のいずれかを選択可能である。出金口回収は、回収対象のバラ硬貨を出金箱に払いだしてバラ硬貨出金口370から回収する処理である。返却箱回収は、回収対象のバラ硬貨を返却回収箱326に払い出して回収する処理である。袋取り回収は、回収対象のバラ硬貨を袋取シュート部324へ搬送し、袋取シュート部324に取り付けられた硬貨袋に回収する処理である。包装回収→包装硬貨出金口は、回収対象のバラ硬貨を後述する硬貨包装部420で包装し、包装硬貨出金口480から回収する処理である。包装回収→一括箱は、回収対象のバラ硬貨を硬貨包装部420で包装し、包装硬貨一括箱460から回収する処理である。包装回収→機外投出口は、回収対象のバラ硬貨を硬貨包装部420で包装し、包装硬貨投出口470から回収する処理である。全回収は、全てのバラ硬貨を回収する処理である。
操作項目画面Ma4は、包装硬貨回収の操作項目を示すものであり、「1.包装硬貨出金口回収」、「2.一括箱回収」、「3.機外投出口回収」、「4.手回収」、「5.全回収」のいずれかを選択可能である。包装硬貨出金口回収は、回収対象の包装硬貨を包装硬貨出金口480に払い出して回収する処理である。一括箱回収は、回収対象の包装硬貨を包装硬貨一括箱460に払い出して回収する処理である。機外投出口回収は、回収対象の包装硬貨を包装硬貨投出口470へ払い出して回収する処理である。手回収は、回収対象の包装硬貨が収納されている金種別包装硬貨収納庫450(後述)から直接、回収する処理である。全回収は、全ての包装硬貨を回収する処理である。
操作項目画面Mb1は、バラ紙幣装填の操作項目を示すものであり、「1.入金口装填」、「2.カセット装填」のいずれかを選択可能である。入金口装填は、バラ紙幣入金口110から取り込まれた紙幣を後述する入金識別部116で金種識別し、該当金種の金種別紙幣収納庫142(後述)に装填する処理である。カセット装填は、一括紙幣収納庫140に収納された装填用の紙幣を繰り出して、後述する出金識別部148で識別し、該当金種の金種別紙幣収納庫142に装填する処理である。
操作項目画面Mb2は、束紙幣装填の操作項目を示すものであり、「1.入金口装填」、「2.機内移動装填」、「3.一括カセット装填」、「4.機外装填」、「5.手装填」のいずれかを選択可能である。入金口装填は、帯封紙幣出金口218から取り込まれた装填用の帯封紙幣を後述する帯封紙幣判別部222で金種識別し、該当する帯封紙幣収納カセット230に収納する処理である。機内移動装填は、バラ紙幣入金口110から取り込まれた装填用の紙幣を後述する帯封部212で帯封し、該当する帯封紙幣収納カセット230に収納する処理である。一括カセット装填は、一括紙幣収納庫140から繰り出された装填用のバラ紙幣を帯封部212で帯封し、該当する帯封紙幣収納カセット230に収納する処理である。機外装填は、後述するリフト224に装填された装填用の帯封紙幣を帯封紙幣判別部222で金種識別し、該当する金種の帯封紙幣収納カセット230に収納する処理である。手装填は、帯封紙幣収納カセット230に直接、装填用の帯封紙幣を収納する処理である。
操作項目画面Mb3は、バラ硬貨装填の操作項目を示すものであり、「1.入金口装填」を選択可能である。入金口装填は、バラ硬貨入金口310から取り込まれたバラ硬貨を入金識別部116で金種識別し、該当する金種別硬貨収納庫342(後述)に収納する処理である。
操作項目画面Mb4は、包装硬貨装填の操作項目を示すものであり、「1.入金口装填」、「2.機内移動装填」のいずれかを選択可能である。入金口装填は、バラ硬貨入金口310から取り込まれた装填用のバラ硬貨を硬貨包装部420で包装し、該当する金種別包装硬貨収納庫450に収納する処理である。機内移動装填は、金種別硬貨収納庫342から繰り出された装填用のバラ硬貨を硬貨包装部420で包装し、該当する金種別包装硬貨収納庫450に収納する処理である。
操作項目画面Mcは、精査の操作項目を示すものであり、「1.指定精査」、「2.全精査」のいずれかを選択可能である。指定精査は、選択された各収納庫の貨幣を計数し、記憶されている在高と計数値とを照合する処理である。全精査は、全ての収納庫に収納されている貨幣を計数し、記憶されている在高と計数値とを照合する処理である。
このように、操作項目画面は、警告情報の原因を解消することのできる操作の種類によって、即ち警告情報の種類(フル状態、エンプティ状態等)と対象の種類(バラか否か、紙幣か硬貨か)によって異なるものである。図5では、フル状態又はニアフル状態を解消するための操作ボタンが操作された状態を示したが、待機画面において警告情報自体、または警告情報が表示されている棒グラフを選択する操作が行われたならば、当該警告情報を解消可能な操作項目画面(図6に示した操作項目画面のいずれか)に直接遷移するように構成してもよい。但し、操作項目画面に直接遷移する場合であっても、操作者の権限の認証が済んでいない場合には、操作項目画面に先立って、認証用のパス入力画面が表示される。
次に、操作を誘導する画面の具体例について説明する。図7は、操作を誘導する画面の具体例について説明するための説明図である。図7に示した画面は、操作ガイド部34dにより表示される。
図7(a)に示した画面では、押下遷移可能なプログレスバーを設けることで、操作手順(ステップ数)や、進捗状況を直感的に理解可能としている。また、操作の前にアニメーション表示によりその内容を確認することができる。
アニメーション表示には、再生、一時停止機能が設けられており、所望の操作状態を静止画で確認することが可能である。また、各ユニット単位に設けたセンサの検知結果を用い、その時点で必要な操作に対して1つのガイダンスを表示することで、操作の進捗に沿ったガイダンスができる。
なお、図7(a)に示したように操作の手順が理解しやすいアニメーションを表示するタイプと、図7(b)に示したように要点部分を静止画のコマで表示するタイプとを切替えることも可能である。図7(b)の静止画は、アニメーションから抽出すればよい。このように、操作の誘導に際して表示の態様を選択可能とすることにより、操作者の熟練度に応じて誘導を行い、操作性を向上することができる。
ところで、現金処理装置1には表示操作部40が2つ設けられており、2人の操作者が同時に操作することができるようになっている。2人の操作者が同時に操作する際に、操作を誘導する際には、誤操作を防止することが求められる。
図8は、同時操作時の誘導について説明するための説明図である。図8に示すように、2つの表示操作部40に表示する操作の内容について、その表示色を異ならせ、現金処理装置1の操作対象となる箇所には表示に対応する色でLEDを点滅させる。
具体的には、表示操作部40の一方では、バラ硬貨出金口370から硬貨を取り出すよう青色の表示で誘導し、バラ硬貨出金口370近傍に設けたLEDを青色で点滅させている。そして、表示操作部40の他方では、バラ紙幣入金口110に紙幣を投入するよう緑色の表示で誘導し、バラ紙幣入金口110近傍に設けたLEDを緑色で点滅させている。
このように、表示操作部40の表示とLEDの色とを連動させることで、操作者は自分の操作すべき箇所を簡易に見つけることができ、誤操作を防止することができる。なお、エラーの解除時等には、機内に戻す現金と機外に戻す現金に応じて色の切替や点滅速度の変更を行ってもよい。
次に、在高の表示のバリエーションについて説明する。図9は、在高の表示のバリーションについて説明するための説明図である。待機画面において在高を表示する際に、在高の変動が予測可能な状態であるならば、その在高の変化を待機画面にさらに表示することが好ましい。
図9は、バラ紙幣を機内で結束して束紙幣にする処理中である状態を示している。この場合、バラ紙幣が機内で自動的に収集され、結束後に束紙幣として収納されるので、バラ紙幣の在高が減り、束紙幣の在高が増えることが予測可能である。そのため、バラ紙幣を自動収集中であることを表示するとともに、自動収集による在高の増減を棒グラフ上に示している。
同様に、入金された貨幣が機内で一時保留されている場合には、一時保留された貨幣が対応する収納部に搬送された後に在高が増加することが予測可能である。また、出金時の伝票金額の入力を受け付けた場合には、出金により在高が減少することが予測可能である。これらの在高の増減についても、その変化を待機画面に反映させる。
次に、表示操作処理部34の処理手順について説明する。図10は、表示操作処理部34の処理手順を示すフローチャートである。まず、警告処理部34bは、在高管理部34aが管理する在高データを読み出し、各金種についてフル状態、ニアフル状態、ニアエンプティ状態及びエンプティ状態の判定を行う(ステップS101)。また、警告処理部34bは、各金種について、在高異常や搬送エラーの有無について判定する(ステップS102)
ステップS102の後、遷移制御部34cは、在高及び警告情報を含む待機画面を表示制御する(ステップS103)。その後、表示操作部40に対する操作が受け付けていなければ(ステップS104;No)、ステップS103に移行する。
表示操作部40に対する操作を受け付けたならば(ステップS104;Yes)、受け付けた操作が警告情報の選択であるか否かを判定する(ステップS105)。警告情報を選択する操作が行われたならば(ステップS105;Yes)、遷移制御部34cは、警告情報の原因を解消する操作を報知し(ステップS108)、警告を解消する処理を実行して(ステップS109)、処理を終了する。
一方、受け付けた操作が警告情報の選択でないならば(ステップS105;No)、遷移制御部34cは、メニュー画面を表示し(ステップS106)、メニュー画面から選択された処理を実行して(ステップS107)、処理を終了する。
次に、紙幣処理装置10を構成するバラ紙幣処理部100及び束紙幣処理部200について説明する。図11はバラ紙幣処理部100の構成を示すブロック図であり、図12は束紙幣処理部200の構成を示すブロック図である。図2に示したように、バラ紙幣処理部100及び束紙幣処理部200を左右に配置して紙幣処理装置10が構成されている。
図11に示すように、バラ紙幣処理部100には、外部から筐体102内に紙幣を投入するためのバラ紙幣入金口110及び筐体102内から外部にバラ紙幣を投出するためのバラ紙幣出金口152が設けられている。バラ紙幣入金口110の紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出され、入金搬送部114により搬送される。入金搬送部114に設けられた入金識別部116により、搬送される紙幣の金種、真偽、正損、新旧等が識別される。また、入金識別部116の紙幣搬送方向下流側には表裏反転部118が設けられ、入金識別部116により識別された紙幣の表裏が揃えられるようになっている。また、入金識別部116により、正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は入金リジェクト部120からリジェクトされる。
入金搬送部114には1つの一括一時保留部130と、複数の金種別一時保留部132とが接続されている。一括一時保留部130には複数金種の紙幣が混合状態で一時的に保留され、各金種別一時保留部132にはそれぞれ特定の金種の紙幣が一時的に保留される。また、一括一時保留部130に対応して1つの一括紙幣収納庫140が設けられ、各金種別一時保留部132に対応して金種別紙幣収納庫142が設けられている。一括紙幣収納庫140には一括一時保留部130から送られた紙幣が積層状態で収納され、金種別紙幣収納庫142には対応する金種別一時保留部132から送られた紙幣が積層状態で収納される。また、一括紙幣収納庫140及び各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ紙幣繰出部144が設けられており、一括紙幣収納庫140及び各金種別紙幣収納庫142の紙幣を1枚ずつ繰り出せるようになっている。なお、一括紙幣収納庫140には、例えば、市場での再利用に適さないと判定された損券や各金種別紙幣収納庫142が満杯となって収納できなかった紙幣等が、金種混合状態で収納される。
各紙幣繰出部144には下部搬送部146が接続されており、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣が下部搬送部146により1枚ずつ搬送される。下部搬送部146には出金識別部148が接続されており、下部搬送部146により搬送される紙幣の金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、出金識別部148には出金搬送部150が接続されている。出金搬送部150には、バラ紙幣出金口152、出金リジェクト部154、2つの整理一時保留部160がそれぞれ接続されており、出金識別部148により識別された紙幣のうち、筐体102の外部に投出される紙幣はバラ紙幣出金口152に送られて、バラ紙幣出金口152内部に集積される。また、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は、出金搬送部150により出金リジェクト部154に送られる。出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣は、バラ紙幣処理部100の筐体102に設けられた扉を開いて取り出せるようになっている。また、出金識別部148により識別された紙幣のうち、束紙幣処理部200により結束される紙幣は出金搬送部150により各整理一時保留部160に送られるようになっている。各整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積される。
入金搬送部114や出金搬送部150における分岐箇所にはそれぞれ分岐部材170が設けられており、これらの分岐部材170により、分岐箇所における紙幣の搬送先が制御されるようになっている。また、入金搬送部114、下部搬送部146、出金搬送部150には紙幣を検出する紙幣検出センサ180が複数設けられており分岐部材170による紙幣の搬送先制御のタイミングを決定するために利用されている。
図12に示すように、束紙幣処理部200には、バラ紙幣処理部100内の整理一時保留部160に集積された紙幣の束を取り出すためのアーム部210と、アーム部210によって取り出された紙幣の束を帯封(結束)するための帯封部212とが設けられている。アーム部210は、例えば、上下一対のアーム(上アーム及び下アーム)から構成されており、整理一時保留部160に集積された紙幣の束を、上下一対のアームで上下方向から挟んで整理一時保留部160から取り出すようになっている。帯封部212の近傍にはテープセット部214が設けられており、このテープセット部214から帯封部212に送られた帯封紙によって、帯封部212において、例えば100枚の紙幣の束が帯封される。帯封部212には帯封紙幣搬送部216が接続されており、帯封部212により帯封された束紙幣は帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣出金口218に搬送される。帯封紙幣出金口218は束紙幣処理部200の筐体202外部からアクセス可能となっており、操作員はこの帯封紙幣出金口218に送られた束紙幣を筐体202外から取り出せるようになっている。
また、帯封紙幣出金口218には帯封紙幣収納出金部220やリフト部224が接続されている。帯封紙幣収納出金部220には帯封紙幣判別部222が設けられており、帯封紙幣出金口218から帯封紙幣収納出金部220に送られた束紙幣の金種等の判別を行うようになっている。また、帯封紙幣収納出金部220には複数の帯封紙幣収納カセット230が接続されており、帯封紙幣出金口218により筐体202の外部に投出されない束紙幣が各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納される。各帯封紙幣収納カセット230にはカセット駆動部232が設けられており、各帯封紙幣収納カセット230に収納された束紙幣が帯封紙幣収納出金部220に戻されるようになっている。各帯封紙幣収納カセット230から帯封紙幣収納出金部220に戻された束紙幣は帯封紙幣出金口218に送られて、筐体202の外部に投出される。また、帯封紙幣出金口218に送られた束紙幣はリフト部224により上下方向に搬送可能となっている。リフト部224の下部には束紙幣回収用の帯封紙幣投出口221が設けられており、ここから束紙幣を筐体202の外部に投出することも可能である。
次に、硬貨処理装置20を構成するバラ硬貨処理部300及び包装硬貨処理部400について説明する。図13はバラ硬貨処理部300の構成を示すブロック図であり、図14は包装硬貨処理部400の構成を示すブロック図である。図2に示したように、バラ硬貨処理部300及び包装硬貨処理部400を左右に配置して硬貨処理装置20が構成されている。
図13に示すように、バラ硬貨処理部300の筐体302上部には、バラ硬貨を外部から受け入れるバラ硬貨入金口310と、このバラ硬貨入金口310から、装置内で硬貨を搬送する搬送路上に1枚ずつ硬貨を繰り出す硬貨繰出部312と、搬送路を搬送される硬貨の金種、真偽、正損、新旧等を識別する入金識別部314が配置されている。入金識別部314により識別された硬貨は、硬貨選別部320に搬送されて、ここで識別結果に基づいて選別される。正常な硬貨ではないと識別された硬貨、すなわちリジェクト硬貨は、入金リジェクト口322からリジェクトされる。
硬貨選別部320には1つの一括一時保留部330と、複数の金種別一時保留部332とがそれぞれ接続されている。一括一時保留部330には複数金種の硬貨が混合状態で一時的に保留され、各金種別一時保留部332にはそれぞれ特定の金種の硬貨が一時的に保留される。また、一括一時保留部330に対応して1つの一括硬貨収納庫340が設けられ、各金種別一時保留部332に対応して金種別硬貨収納庫342が設けられている。
入金処理時に、入金硬貨を識別して一時保留した状態で入金が確定されると、一括一時保留部330内の硬貨は一括硬貨収納庫340へ収納され、金種別一時保留部332内の硬貨は金種別硬貨収納庫342へ収納される。入金処理がキャンセルされた場合には、一括一時保留部330及び金種別一時保留部332内の硬貨は、返却回収箱326から返却される。なお、一括硬貨収納庫340は、例えば、市場での再利用に適さないと判定された損貨や各金種別硬貨収納庫342が満杯となって収納できなかった硬貨等が、金種混合状態で収納される。
一括硬貨収納庫340及び各金種別硬貨収納庫342にはそれぞれ硬貨繰出部344が設けられており、一括硬貨収納庫340及び各金種別硬貨収納庫342の硬貨を1枚ずつ繰り出せるようになっている。各硬貨繰出部344にはバラ硬貨搬送部350が接続されており、一括硬貨収納庫340及び各金種別硬貨収納庫342から繰り出された硬貨がバラ硬貨搬送部350により搬送される。
バラ硬貨搬送部350に繰り出された硬貨を袋取シュート部324から回収する場合には、バラ硬貨搬送部350から入金識別部314へ向けて硬貨が搬送される。袋取シュート部324には硬貨袋を取り付けられるようになっており、入金識別部314により枚数計数された硬貨が、硬貨選別部320から袋取シュート部324へ送られて、硬貨袋内へ回収される。
一方、バラ硬貨搬送部350に繰り出された硬貨をバラ硬貨出金口370から出金する場合には、バラ硬貨搬送部350から出金識別部352へ向けて硬貨が搬送される。出金識別部352では、バラ硬貨搬送部350から搬送される硬貨の金種、真偽、正損、新旧等が識別される。出金識別部352には出金一時保留部354が接続されており、出金識別部352により識別された硬貨は出金一時保留部354に搬送される。出金一時保留部354には出金リジェクト箱356及び出金箱360が接続されており、出金識別部352による識別結果に基づいて、出金対象となる硬貨は出金箱360へ収納され、リジェクト硬貨は出金リジェクト箱356へ収納される。出金箱360は上下に移動可能に設けられており、出金対象となる全ての硬貨が収納された後、上方へ移動してバラ硬貨出金口370から硬貨を出金する。出金リジェクト箱356内のリジェクト硬貨は、筐体302に設けられた扉を開いて取り出せるようになっている。
金種別硬貨収納庫342に収納された硬貨により包装硬貨を作成する場合には、硬貨繰出部344によって金種別硬貨収納庫342から繰り出された硬貨が、受渡バラ硬貨収納部380に収納される。
図14に示すように、包装硬貨処理部400では、受渡バラ硬貨収納部380に収納された硬貨が硬貨繰出部410によって繰り出されて硬貨包装部420へ搬送され、ここで所定枚数(例えば50枚)の硬貨を包装した包装硬貨が作成される。硬貨包装部420では、硬貨繰出部410によって繰り出された硬貨が所定枚数に達しなかった場合、作成した包装硬貨の長さが所定値を超えるために異常であると判断された場合に、これらが端数箱430へ収納される。端数箱430に収納された硬貨は、筐体402に設けられた扉を開いて取り出せるようになっている。
所定枚数の硬貨を包装して正常に包装硬貨が作成された場合には、この包装硬貨が硬貨包装部420から包装硬貨搬送部440へと送られる。そして、包装硬貨は、包装硬貨搬送部440により、包装硬貨の金種に対応する金種別包装硬貨収納庫450へ収納される。また、硬貨包装部420によって作成した包装硬貨を、包装硬貨搬送部440によって搬送し、包装硬貨一括箱460、包装硬貨出金口480又は包装硬貨投出口470を利用して外部に排出することもできる。
また、金種別包装硬貨収納庫450に収納された包装硬貨は包装硬貨搬送部440へ繰り出せるようになっており、金種別包装硬貨収納庫450から繰り出された包装硬貨を、包装硬貨搬送部440によって搬送し、包装硬貨一括箱460、包装硬貨出金口480又は包装硬貨投出口470から外部に排出することもできる。
次に、損貨処理装置500及び損券処理装置600について説明する。図15は損貨処理装置500の構成を示すブロック図であり、図16は損券処理装置600の構成を示すブロック図である。
図15に示す損貨処理装置500では、損貨入金口510から硬貨(損貨又は記念硬貨)が入金されると、画像取得部520により硬貨の画像が取得され、この画像が現金処理装置1の表示操作部40に表示される。画像取得部520によって画像が取得された硬貨は、損貨搬送部530により一時保留部535へ搬送されて一時的に収納される。
硬貨が一時保留部535内に収納された状態で、操作員が、表示操作部40に表示された画像を確認しながら表示操作部40を操作して、硬貨の種類等の情報を入力する。具体的には、この硬貨が、流通硬貨の損貨、記念硬貨の正貨又は損貨のいずれであるかを示す情報と、金種等の硬貨の価値を示す情報とを入力する。こうして硬貨の種類が決定されると、一時保留部535内の硬貨が繰り出され、損貨搬送部530によって搬送されて、硬貨の種類に応じて、流通硬貨収納部540又は記念硬貨収納部544へ収納される。流通硬貨収納部540には流通硬貨の損貨が収納され、記念硬貨収納部544には記念硬貨の正貨及び損貨が収納される。
硬貨(損貨又は記念硬貨)の出金時には、流通硬貨収納部540又は記念硬貨収納部544から出金対象となる硬貨が繰り出されて、損貨搬送部530によって搬送されて、返却硬貨収納部542へ収納される。図2に示した流通硬貨収納部540、返却硬貨収納部542及び記念硬貨収納部544はそれぞれが独立した箱形形状を有しており、筐体502前部から手前へ引き出せるように構成されている。これにより、返却硬貨収納部542に出金された硬貨を、手前に引き出した返却硬貨収納部542から取り出すことができる。ただし、流通硬貨収納部540及び記念硬貨収納部544から硬貨を出金する方法が、これに限定されるものではない。流通硬貨収納部540及び記念硬貨収納部544は、筐体から手前に引き出して内部に収納された硬貨を取り出し可能な構造を有しているので、これらの収納部を引き出して硬貨の出金や回収を行う態様であっても構わない。
図16に示す損券処理装置600では、紙葉類入金口610から損券が入金されると、この損券は紙葉類繰出部612によって装置内に繰り出される。そして、画像取得部620により損券の画像が取得され、この画像が現金処理装置1の表示操作部40に表示される。画像取得部620によって画像が取得された損券は、紙葉類搬送部630により一時保留部640へ搬送され、一時保留部640内に一時的に収納される。
なお、損券処理装置600に、損券を入金する際には、損券の損傷度合いによって、専用のキャリアシートを利用する。キャリアシートは、一部が接合された一対の透明シートから構成されており、この一対の透明シートの間に損券を挟み込めるようになっている。損券を挟み込んだキャリアシートを紙葉類入金口610から装置内に繰り出すことにより、そのままでは正常に搬送できないほど損傷した損券であっても、キャリアシートに挟んだ状態で装置内を搬送して、画像を取得したり収納したりすることが可能となる。
損券が一時保留部640内に収納された状態で、操作員が、表示操作部40に表示された画像を確認しながら表示操作部40を操作して、損券の種類等の情報を入力する。具体的には、損券の券種を示す情報と、損券の価値を示す情報とを入力する。券種とは、紙幣の金種及び新旧に関する種類を特定するもので、例えば、金種が同じ一万円の紙幣が、券種では、紙幣の新旧によってD一万円券やE一万円券というように区別される。また、価値とは、損券の貨幣価値を示すもので、例えば、日本銀行では、損券が、一部が破れて欠損した紙幣である場合には、紙幣全体の面積に対する損券の残存面積の割合が2/3以上の場合は金種の全額の価値、2/5以上かつ2/3未満の場合は当該紙幣の金種の半額の価値、2/5未満の場合は価値がないと規定されている。表示操作部40には、損券の券種や価値を判断するための参考となる券種のサンプル画像等の補助情報が表示され、操作員は、損券画像と補助情報とを確認しながら損券の券種及び価値を判断して入力できるようになっている。
こうして損券の種類が決定されると、一時保留部640内の損券が繰り出され、紙葉類搬送部630によって搬送されて、損券収納部(第1収納部)652又は損券収納繰出部(第2収納部)654に収納される。損券収納部652は損券を集積して収納する集積方式の収納部であり、キャリアシートを利用して装置内に繰り出された損券は損券収納部652へ収納される。一方、キャリアシートを利用することなく装置内に繰り出された損券はテープ式の損券収納繰出部654へ収納される。損券収納繰出部654は、ドラムによって巻き取られる2枚のテープの間に損券を挟み込んで収納するテープ式の収納部である。損券収納繰出部654では、損券をドラムに巻き取って収納することに加えて、ドラムを逆回転させてテープの間に挟み込んだ損券を紙葉類搬送部630に繰り出せるようになっている。
損券収納部652に集積された損券を出金して回収する際には、筐体602の扉を開いて損券収納部652内の損券をキャリアシートごと取り出して回収する。損券収納繰出部654に収納された損券を回収する際には、損券収納繰出部654から紙葉類搬送部630に繰り出して、紙葉類出金口680へ排出してから回収する。
なお、ここでは、損券の入出金についてのみ説明するが、損券処理装置600は、損券以外に小切手等の紙葉類の入金処理と新券(市場流通していない完封券)の出金処理とを行えるようになっている。具体的には、小切手入金時には、損券の場合と同様に、紙葉類入金口610から入金された小切手は、画像取得部620によって画像が取得された後、紙葉類搬送部630によって搬送されて小切手収納部650に収納される。また、新券出金時には、新券収納部660に収納されている新券が繰り出されて新券判別部662により金種のみを識別する簡易識別が行われた後、紙葉類搬送部630によって搬送されて紙葉類出金口680から出金される。
現金処理装置1では、管理制御部30が、上述した紙幣処理装置10、硬貨処理装置20、損貨処理装置500及び損券処理装置600で行われる各処理を監視して、各装置内部に収納されている貨幣の金額、枚数、正損の状態、形態等を管理している。
上述してきたように、本実施例にかかる現金処理装置1は、操作開始時の待機画面に在高と警告情報とを表示するので、操作者は、入出金等の処理を開始する前に、入出金が適正に完了できるか否かを確認することができる。そして、必要に応じて警告情報を選択し、警告情報の原因を解消した上で入出金等の処理を行うことができるので、入出金等が中断する事態を防ぎ、円滑に作業を行うことができる。
なお、本実施例では、待機画面において在高自体を表示する構成を例に説明を行ったが、残りの収容可能数を表示するように構成してもよい。この場合には、具体的にどのくらい貨幣を入金可能であるかを明確に確認できる。
また、ニアエンプティ閾値やニアフル閾値等の閾値は、金種毎に適宜設定可能であるが、この閾値を変更可能としてもよい。閾値の変更のついては、一定以上の権限を持つ操作者の認証を条件とすることが望ましい。
また、本実施例に開示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部または一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。