JP5761897B2 - 紫外線硬化型コート組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、インク受容層、帯電防止コーティング剤として利用可能な、カチオン成分を溶解した紫外線硬化型コート組成物に関する。
従来、コンピューター用情報の他、音声データ、画像データなどの各種情報の保存手段として、コンパクトディスク(以後CDと表記する)、デジタルビデオディスク(以後DVDと表記する)等の光情報記録媒体が開発され、広く普及してきている。
前記の光情報記録媒体の表面には、記録された内容を示すタイトルやデザインなどがインクジェット印刷やスクリーン印刷などといった従来公知の印刷手段により実施されている。合成樹脂などの基材にインクジェット印刷などを施す場合、基材はインクを吸収しないため、基材の表面にインクを塗布、硬化させて受容層を形成させ、その上に印刷を実施している。
インク受容層の印刷適性としては、優れたインク吸収性、耐タック性、耐水性、印刷画像の乾燥性とともに、印刷画像の耐にじみ性も併せて要求されており、いくつか提案されている。
特許文献1記載のインク受容層は、水溶性モノマー、親水性重合体、天然繊維粉末から構成される紫外線硬化型インキの硬化物であり、そのインキには水溶性モノマーとして、ジメチルアクリルアミドが用いられている。しかしながら、ジメチルアクリルアミドは皮膚刺激性が高く、安全上の問題がある。また、染料固着剤を含まないためインクの耐にじみ性が不十分であった。
特許文献2記載のインク受容層は、水溶性単量体、親水性重合体および染料固着剤から構成される紫外線硬化型インキの硬化物であり、そのインキには皮膚刺激性が低い水溶性モノマーとして、アルキロキシメチルアクリルアミドおよびアクリロイルモルホリンが用いられている。しかしながら、アルキロキシメチルアクリルアミドはホルマリンを含むため、インク受容層に使用するには安全上の問題があると考えられる。
特開2005−38491号公報 特開2002−332431号公報
これらの諸事情を鑑みて、従来、安全性、インク吸収性、印刷画像の乾燥性が優れる紫外線硬化型モノマーとしてアクリロイルモルホリンが使用されてきたが、インクの耐にじみ性が不十分であった。そのため染料固着剤としてカチオン性重合体を溶解させることを検討してきた。一方で、カチオン性重合体を溶解した紫外線硬化型コート剤は、帯電防止コーティング剤としても有用であると考えられる。特にカチオン基含有重合性モノマーをコート剤に溶解させた場合、ブリード現象を抑えることができるため、帯電防止能を持続させることができるという利点がある。しかし、コート組成物にカチオン成分を含有させた場合、カチオン成分の溶解性が不十分なために不溶解物が析出する、相分離する、または紫外線硬化時に析出するという問題があった。
本発明は、インク受容層、帯電防止コーティング、およびその他用途にも有用である紫外線硬化型コート組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドに染料固着剤を溶解させたのち、アクリロイルモルホリンと混合させることから得られる紫外線硬化型インキ又は、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドにカチオン成分を溶解させた紫外線硬化型インキを基材表面に硬化されることにより上記課題をクリア―したコート塗膜を形成することを見出し、本発明に到達した。
つまり、本発明は、
(1)紫外線硬化型モノマー、カチオン性成分、光重合開始剤を含有する紫外線硬化型コート組成物であって、紫外線硬化型モノマーがN−ヒドロキシエチルアクリルアミド及びアクリロイルモルホリンの混合である紫外線硬化型コート組成物、
(2)紫外線硬化型モノマー、カチオン性成分、光重合開始剤を含有する紫外線硬化型コート組成物であって、紫外線硬化型モノマーがN−ヒドロキシエチルアクリルアミドである紫外線硬化型コート組成物、
(3)カチオン性成分が第1〜4級カチオン基含有重合性モノマー、またはそれらを単独重合、もしくは他の重合性モノマーと共重合してなるカチオン性重合体からなる、請求項1又は請求項2の紫外線硬化型コート組成物、
を提供するものである。
本発明によると、皮膚刺激性の小さいN-ヒドロキシエチルアクリルアミドを用いることで、安全性が高くなる。また、カチオン性ポリマー等を溶解することが可能であるため、さまざまな用途に用いることが可能な紫外線硬化型コート組成物を提供することができる。インク受容層として用いた場合は、インク吸収性、耐タック性、基材との密着性を向上させ、コーティング剤として使用した時には基材との密着性を向上させる帯電防止コーティングとして有用である。その他用途にも有用である紫外線硬化型コート組成物を提供することができる。
本発明において、紫外線硬化型モノマーとしては、アクリルアミド誘導体が挙げられる。具体的にはN-ヒドロキシエチルアクリルアミド、およびアクリロイルモルホリンが挙げられ、これらを混合又はN-ヒドロキシエチルアクリルアミド単体で使用することを特徴とする。
本発明の紫外線硬化型モノマーは、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、およびアクリロイルモルホリンを混合する場合はそれぞれN-ヒドロキシエチルアクリルアミドを10〜60重量%(さらに好ましくは15〜40重量%)、アクリロイルモルホリンを30〜65重量%(さらに好ましくは35〜60重量%)を含有することが好ましい。N-ヒドロキシエチルアクリルアミド単体の場合は、85重量%未満を含有することが好ましい。
特に本発明に使用するN-ヒドロキシエチルアクリルアミドは皮膚刺激性が小さいため、安全に使用できる。例えばジメチルアクリルアミドは、皮膚刺激性の指標であるPII値は、8であるのに対して、N-ヒドロキシエチルアクリルアミドのPII値は、0である。またホルマリンを全く含有しない。
また、従来、安全性、インク吸収性、印刷画像の乾燥性が優れる水溶性モノマーとしてアクリロイルモルホリンが使用されてきたが、インクの耐にじみ性が不十分であった。そのため染料固着剤であるカチオン性重合体を溶解させることを検討してきたが、溶解性が不十分なため不溶解物が析出する、または相分離するという問題があったが、N-ヒドロキシエチルアクリルアミドは第1〜4級カチオン基含有重合性モノマー、または種々のカチオン性重合体の溶解性に優れるという特徴も有する。
すなわち、N-ヒドロキシエチルアクリルアミドにカチオン性重合体を溶解させたのち、アクリロイルモルホリンと混合させることから得られる紫外線硬化型インキは安全であるとともに、優れたインク吸収性、耐タック性、耐水性、印刷画像の乾燥性、耐にじみ性も良好なインク受容層を形成する。
第1〜4級カチオン基含有重合性モノマーは具体的には、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート
等が挙げられ、またカチオン性重合体はそれら第1〜4級カチオン基含有重合性モノマーを単独重合、もしくは他の重合性モノマーと共重合したものであり、市販で入手可能なものとしては、ポリアリルアミン樹脂(日東紡社製)、NS-600X(高松油脂社製)、SumirezResin(田岡化学社製)、ジシアンジアミド系カチオン樹脂・商品名サンフィックス70(三洋化成)を例示するがこれらに限るものではない。
またアクリルアミド系重合体を含有させることによって、インク受容層のインク吸収性、耐タック性を向上させ、コーティング使用時には基材との密着性を向上させる。具体的には、アクリルアミド、アクロイルモルフォリン、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどの単重合体、共重合体が挙げられる。
親水性重合体の重量平均分子量は、5000以上、200000以下が望ましく、5000以上、70000以下がより望ましい。5000以下であると親水性重合体の添加によるインク吸収性の向上効果が得られにくく、200000以上であると粘度の増加により、膜が塗りにくくなり、また耐タック性の低下が観察される。本発明の紫外線硬化型インキは、親水性重合体を1〜40質量%含有することが望ましい。
紫外線硬化後の塗膜の表面の耐傷性、硬度を向上させる目的で、分子内に2個以上の二重結合を持つ多官能モノマー、具体的には1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジアクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、イソシアヌレートジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、また市販されているウレタンアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1.4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1.6−ヘキサンジオールジメタクレート、1.9−ノナンジオールジメタクリレート、1.10−デカンジオールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートやエトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレートを、1種以上を混合して使用してもよい。
光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインまたはそのエーテル、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、ベンジル、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタールなどのベンジル系化合物、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンなどのヒドロキシアルキルフェニルケトン系化合物などが挙げられる。市販されているダロキュア1173(チバ・ジャパン株式会社製)、ダロキュア2959が好適である。光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化型インキの1〜10質量%、好ましくは2〜7質量%となるようにする。少なすぎると十分な硬化性が得られず、多すぎると被膜強度低下や黄変してしまう可能性がある。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
(試料の調製)
(親水性重合体の合成)
紫外線硬化型コート剤の材料として、以下に示す各種のアクリルアミド系重合体を調製した。
・アクリルアミド系重合体
上述したセパラブルフラスコに、ジメチルアクリルアミド60gと、メタノール(和光純薬工業株式会社製)510gとを加え、上述したように、撹拝下しつつ反応フラスコ内を窒素ガスで置換した。この後、アゾビスソプチロニトリル1.00gをメタノール30gに溶解した溶液を加え、75℃に昇温して8時間重合反応を実施した。この重合反応後、反応溶液を減圧下で30℃にて溶媒を留去し、黄褐色の固体58gを得た。この黄褐色の固体は、上記と同様にGPC分析を実施した結果、重量平均分子量は63800であった。
以上の表1に示す配合割合で所定量の原料を計量し、混合した。
(インク受容層の形成)
上述で作製した試料を、100μm厚PET(Polyethylene
Terephthalate)フイルムに、膜厚が15〜25μmとなるようにバーコ一夕(RKPrint Coat Instruments社 商品名:K−202)で塗布した。
そして、紫外線照射装置((株)オーク製作所 商品名:OHD−320M)にて積算放射量350mJ/cmで塗膜を硬化させ、インク受容層を形成した。
(印刷適性の評価)
上述のインク受容層の形成により形成したインクジェット方式のカラープリンタ(セイコーエプソン株式会社製 商品名:PM−850A)により、黒・青・黄・赤のべ夕画像を隣接して印刷した。そして、印刷状況を比較評価した。印刷状況としては、以下に示す乾燥性、にじみ性、耐タック性、耐水性について・4段階評価した。すなわち、非常に良好であったものを「◎」、良好であったものを「○」、やや劣ものを「△」、非常に劣るものを「×」とした。その評価結果を表1および表2に併せて示す。
・乾燥性
印刷5分後に、印刷面に紙(アスクル社製,商品名:マルチペーパースパーエコノミー)を押し当て、紙にインクが転写される程度を評価した。
・にじみ性
塗膜の印刷画像が、滲んでいる程度を評価した。
・耐タック性
塗膜の印刷画像の指への粘着性を評価した。
(表)
Figure 0005761897
(結果)
実施例1、実施例2、ないし実施例3は、比較例1ないし比較例2では得られない、総合的に良好な印刷特性が得られることが認められた。一方比較例3では染料固着剤を溶解させることができなかった。
本発明の紫外線硬化型コート組成物はインク受容層、帯電防止コーティング剤として利用可能な、カチオン成分を溶解した紫外線硬化型コート組成物である

Claims (1)

  1. 紫外線硬化型モノマー、カチオン性成分、光重合開始剤を含有する紫外線硬化型コート組成物であって、紫外線硬化型モノマーがN−ヒドロキシエチルアクリルアミド及びアクリロイルモルホリンの混合物、カチオン性成分が第1〜4級カチオン基含有重合性モノマー、またはそれらを単独重合もしくは他の重合性モノマーと共重合してなるカチオン性重合体であり、N-ヒドロキシエチルアクリルアミドにカチオン性重合体を溶解させたのち、アクリロイルモルホリンと混合することにより得られる紫外線硬化型コート組成物。
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