JP4456034B2 - インク受理層を備えた光学情報記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、インク受理層を備えた光学情報記録媒体に関する。特に、インクジェット方式の印刷基材として適切なインクジェット受理層を備えた光学情報記録媒体に関する。
従来、インクジェット方式を用いて各種印刷基材上に印刷する際のインク受理性を向上させるために、各種インキが提案されてきた。しかしながら、その多くのは水性インキまたは溶剤型インキであって、これらから塗膜を形成するに際して、基材上に塗布した後に、溶媒としての水や溶剤を除去するのに多くの時間とエネルギーを費やしていた。
そこで、紫外線硬化型インキの硬化物からなるインク受理層を備えた光学情報記録媒体が提案されているものの、十分な印刷特性は未だ得られていなかった。
すなわち、紫外線硬化型インキを用いた場合、インク受理層の形成については容易かつ短時間で済むものの、水溶性ポリマーや水溶性アクリレートモノマー等を多く含んでいるために、乾燥性や耐水性が不十分であったり、あるいはインクジェット方式により水性インクを印刷した場合に、滲みが生じたりするなどの問題が見られた。
そのため、ポリカーボネート基材上に、複数層からなるインク受理層を形成し、そのうち一層に対して、水溶性アクリレートモノマーに由来したアクリルポリマーを含有した紫外線硬化型樹脂からなるインク受理層を備えた光学情報記録媒体が提案されている(特許文献1参照)。
また、ポリカーボネート基材上に、複数層からなるインク受理層を形成し、そのうち一層に対して、親水性ポリマーと、親水性モノマーと、ラジカル開始剤と、特殊フィラーと、を含有した紫外線硬化型樹脂からなるインク受理層を備えた光学情報記録媒体が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、ポリカーボネート基材上に、複数層からなるインク受理層を形成し、そのうち一層に対して、親水性ポリマー、親水性モノマー、カチオンモノマーと、共重合可能なモノマーと、ラジカル開始剤と、特殊フィラーと、を含有した紫外線硬化型樹脂からなるインク受理層を備えた光学情報記録媒体が提案されている(特許文献3参照)。
特開平11−58936号公報(特許請求の範囲) 特開平7−169100号公報(特許請求の範囲) 特開平10−188345号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1〜3に記載の紫外線硬化型インキからなるインク受理層は、いずれも均一な厚さに形成することが困難であったり、ポリカーボネート基材に対する接着性が不十分であったりするという問題が見られた。より具体的には、紫外線硬化型樹脂に含まれる親水性ポリマーと、親水性モノマーとの間の親和性が乏しく、均一に混合したり形成したりすることが困難であるばかりか、形成したインク受理層が、ポリカーボネート基材から容易に剥離したりするという問題が見られた。
また、特許文献1〜3に記載の紫外線硬化型樹脂からなるインク受理層は、紫外線硬化型樹脂の含水率を何ら考慮していないために、インクジェット方式により水性インクの特性がばらついた場合や、水性インクの種類が変わった場合に、滲みが生じやすいなどの問題が見られた。
さらに、特許文献1〜3に記載の紫外線硬化型樹脂は、保存安定性に乏しいばかりか、紫外線硬化型樹脂の複数のマスターバッチを予め作成しておき、それを混合して構成した場合、十分かつ均一に混合できないという問題も見られた。
そこで、本発明者は、紫外線硬化型インキとして、特定水溶性ポリマーと、特定オリゴマーと、特定水溶性モノマーとを使用するとともに、その含水率を特定することによって、親水性モノマーとの間の親和性が良好になって、インク受理層を均一に形成できるばかりか、ポリカーボネート基材との間の接着力を著しく向上させ、さらには、水性インクの特性がばらついた場合や、水性インクの種類が変わった場合であっても、印刷における滲みが少なくなることを見いだし、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、特定水溶性ポリマーと、特定オリゴマーと、特定水溶性モノマーとを使用するとともに、その含水率を特定した紫外線硬化型インキからなるインク受理層を形成することにより、インクジェット方式等の印刷基材として適切なインク受理層を備えた光学情報記録媒体を提供することを目的とする。
本発明によれば、少なくともポリカーボネート基材と、水溶性ポリマーを含むインク受理層と、を備えた光学情報記録媒体であって、インク受理層が、水溶性アクリレートモノマーと、水溶性ポリマーとしてのポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体と、ウレタンアクリレートオリゴマーとしての親水性ウレタンアクリレートオリゴマーおよび疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーの混合物と、を含むとともに、含水率を、全体量に対して5重量%以下の値とした紫外線硬化型インキの硬化物から構成してあることを特徴とするインク受理層を備えた光学情報記録媒体が提供され、上述した問題を解決することが出来る。
すなわち、このように構成することにより、特定の水溶性ポリマーの働きにより、親水性モノマーとの間の親和性が良好になって、インク受理層を均一に形成できるばかりか、ポリカーボネート基材との間の接着力を著しく向上させることができる。また、特定のウレタンオリゴマーの働きにより、特定の水溶性ポリマーと、親水性モノマーとの間の親和性がさらに良好になって、インク受理層を均一に形成できるばかりか、ポリカーボネート基材との間の接着力を著しく向上させることができる。
さらに、紫外線硬化型インキの含水率を制限していることにより、特定の水溶性ポリマーと、親水性モノマーとの親和性がさらに良好になるばかりか、水性インクの特性がばらついた場合や、水性インクの種類が変わった場合であっても、印刷における滲みを著しく少なくすることができる。
したがって、このようなインク受理層に対して、インクジェット方式を用いて、いずれの水性インクを印刷した場合であっても、乾燥性が十分であって、滲みが少なく、かつ耐水性に優れた印刷層を安定的かつ迅速に形成することができる。
また、本発明のインク受理層を備えた光学情報記録媒体を構成するにあたり、紫外線硬化型インキが、紫外線硬化性モノマーに対して、粉体状態のポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体を溶解して構成してあることが好ましい。
このように構成することにより、紫外線硬化型インキの含水率の調整が容易になって、特定の水溶性ポリマーと親水性モノマーとの間の親和性がさらに良好になるばかりか、水性インクの特性がばらついた場合や、水性インクの種類が変わった場合であっても、印刷における滲みを著しく少なくすることができる。
また、本発明のインク受理層を備えた光学情報記録媒体を構成するにあたり、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の平均分子量を10,000〜500,000の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体を安定的に製造することが容易になるばかりか、親水性モノマーとの間の親和性がさらに良好になって、インク受理層を均一に形成できる一方、ポリカーボネート基材との間の接着力をさらに向上させることができる。
また、本発明のインクジェット受理層を備えた光学情報記録媒体を構成するにあたり、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体におけるビニルピロリドン:酢酸ビニルの共重合比(モル換算)を100:10〜100:75の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の製造が容易になるばかりか、親水性モノマーとの間の親和性がさらに良好になって、インク受理層を均一に形成できる一方、ポリカーボネート基材との間の接着力をさらに向上させることができる。
また、本発明の別の態様は、少なくともポリカーボネート基材上に、水溶性ポリマーを含むインク受理層を備えた光学情報記録媒体であって、インク受理層が、表面側の第1の受理層と、基材側の第2の受理層とを含む複数層から構成してあるとともに、当該第1の受理層が、水溶性アクリレートモノマーと、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体と、親水性ウレタンアクリレートオリゴマーと、を含むとともに、含水率を、全体量に対して5重量%以下の値とした紫外線硬化型インキから構成してあり、かつ、第2の受理層が、親水性ウレタンアクリレートオリゴマーと、疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーと、水溶性アクリレートモノマーと、を含むとともに、含水率を、全体量に対して5重量%以下の値とした紫外線硬化型インキから構成してあることを特徴とするインク受理層を備えた光学情報記録媒体である。
このように構成することにより、通常は、相反するインク受理性と、ポリカーボネート基材との間の接着力特性とのバランスを改善し、第1の受理層と、第2の受理層との接着力特性が改善されるばかりか、第1の受理層のインク受理性について、さらに良好なものとすることができる。
また、このように構成することにより、第1の受理層と、第2の受理層との間の接着力特性がさらに改善されるばかりか、第2の受理層と、ポリカーボネート基材との間の接着力をさらに向上させることができる。
また、本発明のインクジェット受理層を備えた光学情報記録媒体を構成するにあたり、第1の受理層が、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、親水性ウレタンアクリレートオリゴマーを20〜700重量部、水溶性アクリレートモノマーを200〜2,500重量部の割合で配合した紫外線硬化型インキから構成してあることが好ましい。
このように構成することにより、通常は、相反するインク受理性と、ポリカーボネート基材との間の接着力特性とのバランスを改善し、第1の受理層と、第2の受理層との間の接着力特性がさらに改善されるばかりか、第1の受理層のインク受理性について、さらに良好なものとすることができる。
また、本発明のインクジェット受理層を備えた光学情報記録媒体を構成するにあたり、第2の受理層が、親水性ウレタンアクリレートオリゴマー100重量部に対して、疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーを30〜200重量部、水溶性アクリレートモノマーを70〜700重量部の割合で含む紫外線硬化型インキから構成してあることが好ましい。
このように構成することにより、第1の受理層と、第2の受理層との間の接着力特性がさらに改善されるばかりか、第2の受理層と、ポリカーボネート基材との間の接着力をさらに向上させることができる。
[第1の実施形態]
本発明における第1の実施形態は、少なくともポリカーボネート基材上に、水溶性ポリマーを含むインク受理層を備えた光学情報記録媒体であって、インク受理層が、水溶性アクリレートモノマーと、水溶性ポリマーとしてのポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体と、ウレタンアクリレートオリゴマーと、を含むとともに、含水率を、全体量に対して5重量%以下の値とした紫外線硬化型インキの硬化物から構成してあることを特徴とするインク受理層を備えた光学情報記録媒体である。
すなわち、少なくともポリカーボネート基材と、水溶性ポリマーを含むインク受理層と、を備えた光学情報記録媒体であって、インク受理層が、水溶性アクリレートモノマーと、水溶性ポリマーとしてのポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体と、ウレタンアクリレートオリゴマーとしての親水性ウレタンアクリレートオリゴマーおよび疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーの混合物と、を含むとともに、含水率を、全体量に対して5重量%以下の値とした紫外線硬化型インキの硬化物から構成してあることを特徴とするインク受理層を備えた光学情報記録媒体である。
より具体的には、図1に示す記録媒体30の場合、基材としてのポリカーボネート基材10と、接着剤層14、18と、記録層16と、カバーフィルムとしてのポリカーボネート基材20と、インク受理層21と、を含むポリカーボネート光学情報記録媒体30とすることができる。
以下、インクジェット受理層を備えた光学情報記録媒体を構成要件ごとに、具体的に説明する。
1.ポリカーボネート基板
基材としてのポリカーボネート基板の形態は特に制限されるものではないが、例えば、ポリカーボネート基材の表面にプライマーやオーバーコート剤で処理されたものでもよい。
また、用途によるが、通常、ポリカーボネート基板の厚さを0.01〜10mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.05〜5mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
2.インク受理層
(1)ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物
まず、水溶性ポリマーとしてのポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物は、紫外線硬化型インキを構成した場合に、他の硬化成分の硬化特性を阻害することなく、親水性モノマーとの間の親和性を向上させ、インク受理層の特性改善の目的で添加する。
したがって、このようなポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物の重量平均分子量(Mw)を10,000〜500,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる重量平均分子量が10,000未満の値になると、インク受理層を均一に形成したり、インク受理特性が低下したり、耐水性やタック性についても低下したりする場合があるためである。一方、かかる重量平均分子量が500,000を超えると、水溶性アクリレートモノマーとの間やウレタンアクリレートオリゴマーとの間の相溶性が低下したり、粘度上昇によって印刷作業性が低下したりする場合があるためである。
したがって、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物の重量平均分子量を30,000〜300,000の範囲内の値にすることが好ましく、50,000〜200,000の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算の分子量として測定することができる。
また、このようなポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物の重合度を300〜700の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる重合度が300未満となると、十分なインク受理特性が低下したり、耐水性やタック性について低下したりする場合があるためである。
一方、かかる重合度が700を超えると、インク受理特性に低下は見られないが、水溶性アクリレートモノマーとの相溶性、ウレタンアクリレートオリゴマーとの親和性についても低下したり、粘度上昇によって印刷作業性が低下したりする場合があるためである。
したがって、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物の重合度を350〜650の範囲内の値にすることがより好ましく、400〜600の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、このようなポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物におけるビニルピロリドン(モノマー)と酢酸ビニル(モノマー)の共重合比(モル換算)を100:10〜100:75の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる共重合比が100:10未満になると、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物の凝集力が低下するばかりか、得られたインク受理層の凝集力も低下する場合があるためである。したがって水溶性アクリレートモノマーとの相溶性やウレタンアクリレートオリゴマーとの親和性についても低下したり、その影響による粘度上昇によって印刷作業性が低下したりする場合がある。
一方、かかる共重合比が100:75を超えると水溶性が著しく低下し、取り扱いが困難になったり、インク受理特性が低下したり、耐水性やタック性について低下したりする場合があるためである。
したがって、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物におけるビニルピロリドン(モノマー)と、酢酸ビニル(モノマー)の共重合比(モル換算)を100:15〜100:70の範囲内の値とすることがより好ましく、100:20〜100:67の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、このようなポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物として、粉体状態のポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体を使用することが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、紫外線硬化型インキの含水率の調整が容易になって、特定の水溶性ポリマーと、水溶性モノマーとの間の親和性がさらに良好になるばかりか、水性インクの特性がばらついた場合や、水性インクの種類が変わった場合であっても、印刷における滲みを著しく少なくすることができるためである。
なお、かかる粉体状態のポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の平均粒径を0.01〜5mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる粉体状態のポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の平均粒径が0.01mm未満となると、著しく吸湿性となって、取り扱いが困難となり、含水率の制御が困難となる場合があるためである。
一方、かかる粉体状態のポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の平均粒径が5mmを超えると、水溶性モノマーに対する溶解時間が著しく遅くなる場合があるためである。
したがって、粉体状態のポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の平均粒径を0.05〜4mmの範囲内とすることがより好ましく、0.1〜3mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
さらに、このような粉体状態のポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物の含水率を、当該ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物の全体量に対して、0.01〜10重量%以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる含水率が0.01重量%未満となると、安定的製造が困難になったり、著しく吸湿性となって、含水率の制御が困難となったりする場合があるためである。
一方、かかる含水率が10重量%を超えると、ウレタンアクリレートオリゴマーとの親和性が低下したり、紫外線硬化型インキの含水率の制御が困難となったりする場合があるためである。
したがって、粉体状態のポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の含水率を0.05〜7重量%以下の値とすることが好ましく、0.1〜5重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、このようなポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物の配合量を、全体量に対して、1〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物の配合量が1重量%未満になると、十分なインク受理特性を得ることができない場合があるためである。一方、かかるポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物の配合量が20重量%を超えると、耐水性やタック性が低下したり、印刷作業性についても低下したりする場合があるためである。
したがって、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物の配合量を、全体量に対して、2〜18重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、3〜15重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)水溶性アクリレートモノマー
水溶性アクリレートモノマーとしては、ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、変性トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミドなどの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、水溶性アクリレートモノマーの主成分としては、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリンのうち少なくとも一種もしくは二種以上を含有することが好ましい。
また、このような水溶性アクリレートモノマーの添加量を、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、200〜2,500重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる水溶性アクリレートモノマーの添加量が200重量部未満になると、インクジェットインクの受理層として十分な受理性を得ることができない場合があるためである。一方、かかる水溶性アクリレートモノマーの添加量が2,500重量部を超えると、タック性、耐水性、下層部との接着性が十分得られない場合があるためである。
したがって、水溶性アクリレートモノマーの添加量を、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、230〜2,300重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、270〜2,100重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)ウレタンアクリレートオリゴマー
ウレタンアクリレートオリゴマーは、紫外線硬化後のインキ受理層としての硬化皮膜内に架橋構造を導入するとともに、紫外線硬化の際の硬化収縮を低減し、基材との接着性を維持する目的で添加する。そして、インク受理層が単層型受理層の場合、ウレタンアクリレートオリゴマーとして、親水性ウレタンアクリレートオリゴマーおよび疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーの混合物を用いることを特徴としている。
ここで、一般に、ウレタンアクリレートオリゴマーは疎水性のものを指すが、水との親和性を向上させるため、水酸基、エーテル基、アミン基、カルボン酸基等の極性基を導入することが好ましい。すなわち、このような極性基を導入することによって、親水性ウレタンアクリレートオリゴマーとし、水との任意混合を可能にすることができる。したがって、このような親水性ウレタンアクリレートオリゴマーを使用した場合、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物や水溶性アクリレートオリゴマーとの親和性が良好になって、インクジェット受理特性を向上させることができる。
なお、具体的に、親水性ウレタンアクリレートオリゴマーの水(25℃)に対する溶解度は100g/リットル以上とすることが好ましく、300g/リットル以上とすることがより好ましく、1000g/リットルとすることがさらに好ましい。
また、このようなウレタンアクリレートオリゴマー、特に親水性ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量を、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、20〜700重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる親水性ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量が20重量部未満になると、十分な塗膜強度を持つ架橋構造を取ることができず、タック性、耐水性、下層部の接着性が十分得られない場合があるためである。一方、かかる親水性ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量が700重量部を超えると、インクジェットインクの受理層として十分な受理性を得ることができない場合があるためである。
したがって、親水性ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量を、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、30〜600重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜500重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)他の配合成分
また、上述した主成分の他の配合成分として、紫外線硬化後の受理層の硬化収縮を緩和する目的で、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも一種もしくは二種以上を含有することが好ましい。また、ウレタンアクリレートの他に、同様な効果を目的としてポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化性オリゴマーの添加することも好ましい。
すなわち、これら紫外線硬化性オリゴマーのうち少なくとも一種もしくは二種以上を含有することを特徴とする紫外線硬化型インキとすることが好ましい。
ここで、紫外線硬化性オリゴマーの含有量が少なすぎる場合、十分な塗膜強度を有する架橋構造を形成することが困難となったり、基材への接着性が十分得られなったりする場合がある。また、紫外線硬化性オリゴマー等の添加量が多すぎると、インクジェットの受理層として、インク受理性が低下する場合がある。
したがって、紫外線硬化性オリゴマー等の配合成分を添加する場合、その合計添加量を、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、70〜1,000重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(5)光重合開始剤
また、光重合開始剤としては、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2- ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロへキシル-フェニル-ケトン、ベンゾフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、オリゴ〔2-ヒドロキシ-2-メチル1-[4-(メチルビニル)フェニル]プロパノン〕等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、このような光重合開始剤の添加量を、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、15〜350重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる光重合開始剤の添加量が15重量部未満の値となると、紫外線硬化時に十分な硬化反応が得られず、硬化不良となって、インク受理層を均一に形成できない場合があるためである。一方、かかる光重合開始剤の添加量が350重量部を超えると、紫外線硬化後に未反応物の残存や経時による架橋の過度な進行により、形成されたインク受理層において、経時劣化を起こす場合があるためである。
したがって、光重合開始剤の添加量を、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、20〜270重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜240重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(6)膜厚
また、インク受理層の膜厚を5〜25μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、このような範囲内の値であれば、十分なインク受理性能が得られるとともに、均一な厚さに形成することができるためである。
したがって、インク受理層の膜厚を7〜23μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜20μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかるインク受理層の膜厚は、紫外線硬化型インキをスクリーン印刷、スピンコート法などを用いて印刷する際の印刷条件によって、適宣調整することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、積層型インク受理層を備えた光学情報記録媒体であって、当該積層型インク受理層が、表面側の第1の受理層と、基材側の第2の受理層とを含む複数層から構成してあるとともに、当該第1の受理層が、水溶性アクリレートモノマーと、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体と、親水性ウレタンアクリレートオリゴマーと、を含むとともに、含水率を、全体量に対して5重量%以下の値とした紫外線硬化型インキから構成してあり、かつ、第2の受理層が、親水性ウレタンアクリレートオリゴマーと、疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーと、水溶性アクリレートモノマーと、を含むとともに、含水率を、全体量に対して5重量%以下の値とした紫外線硬化型インキから構成してあるインクジェット受理層を備えた光学情報記録媒体である。
より具体的には、図2に示す記録媒体40の場合、基材としてのポリカーボネート基材10と、接着剤層14、18と、記録層12、16と、カバーフィルムとしてのポリカーボネート基材20と、第1の受理層21´、第2の受理層22とからなるインク受理層23と、を含むポリカーボネート積層体40とすることができる。
以下、ポリカーボネート基材の表面側に設けてある第1の受理層と、ポリカーボネート基材の基材側に設けてある第2の受理層とに分けて説明する。
1.第1の受理層
第1の実施形態のインク受理層と同様の紫外線硬化型インキから構成できるため、ここでの説明を省略する。
但し、インク受理層が、複数層から構成してあることにより、第1の受理層の膜厚を5〜30μmの範囲内の値とすることが好ましく、10〜20μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
2.第2の受理層
第2の受理層を構成する紫外線硬化型インキは、第1の実施形態で説明した紫外線硬化型インキに対して、優れた親和性を示す紫外線硬化型インキであることが好ましい。また、ポリカーボネート基材に対しても、良好な密着性を示す必要がある。
そこで、かかる紫外線硬化型インキとしては、親水性ウレタンアクリレートオリゴマーと、疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーと、水溶性アクリレートモノマーと、を主成分とすることが好ましい。
すなわち、第2の受理層においては、水溶性樹脂としてのポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の添加を省略することができる。
(1)親水性ウレタンアクリレートオリゴマー
親水性ウレタンアクリレートオリゴマーは、所定の架橋構造を形成するとともに、十分な塗膜強度と、耐水性を高めるため、及びインク受理性の備えるために添加する。
すなわち、親水性ウレタンアクリレートオリゴマーを添加することにより、十分な架橋構造を形成し、硬化収縮の緩和、及び所定の耐水性、耐スクラッチ性とある程度のインクジェットの受理特性が得られるためである。
したがって、このような親水性ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量をポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、70〜1,000重量部の範囲内の値となることが好ましい。
この理由は、かかる親水性ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量が70重量部未満の値になると、十分な塗膜強度を持つ架橋構造を形成することができず、耐水性や耐スクラッチ性が低下する場合があるためである。一方、かかる親水性ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量が1,000重量部を超えると、インクジェットインクの受理層として十分な受理性を得ることができない場合があるためである。
したがって、このような親水性ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量を、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、85〜900重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、100〜800重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、このような親水性ウレタンアクリレートオリゴマーの他に、同様な効果を目的として、親水性を示すポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー等の紫外線硬化性オリゴマーと併用することも好ましい様態である。
(2)疎水性ウレタンアクリレートオリゴマー
また、疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーは、所定の架橋構造を形成するとともに、ポリカーボネート基材との接着性を高めるために添加する。すなわち、疎水性のウレタンアクリレートオリゴマーを添加することにより、十分な架橋構造とるとともに、基材への接着性、硬化収縮の緩和、及び耐水性、耐スクラッチ性を備えることができるためである。
したがって、このような疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量を、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、70〜1,000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量が70重量部未満の値となると、十分な塗膜強度を持つ架橋構造を形成することができず、ポリカーボネート基材への接着性が十分得られない場合があるためである。一方、かかる疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量が1,000重量部を超えると、インクジェットインクの受理層の受理特性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量を、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、85〜900重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、100〜800重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、具体的に、疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーの水(25℃)に対する溶解度は100g/リットル未満とすることが好ましく、50g/リットル未満とすることがより好ましく、10g/リットル未満とすることがさらに好ましい。
その他、このような疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーの他に、同様な効果を目的として、疎水性の性質を示すポリエステルアクリレートオリゴマーやエポキシアクリレートオリゴマー等の紫外線硬化性オリゴマーと併用することも好ましい様態である。
また、水溶性アクリレートモノマーとしては、ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、変性トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミドなどの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、水溶性アクリレートモノマーの主成分としては、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリンのうち少なくとも一種もしくは二種以上を含有することが好ましい。これらの成分の含有量が少なすぎると、インクジェットインクの受理層として十分な受理性を得ることができない場合がある一方、多すぎると、タック性、耐水性、下層部との接着性が十分得られない場合がある。
なお、このような主成分の他に、紫外線硬化後の受理層の硬化収縮を緩和する目的で、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも一種もしくは二種以上を含有することが好ましい。
(4)光重合開始剤
また、光重合開始剤の種類については、第1の実施形態と同様の内容とすることができるため、ここでの説明を省略する。
(5)他の配合成分
インキ塗膜としてのインク受理層の架橋性を向上させるために、非水溶性アクリレートモノマーを添加することが好ましい。
このような非水溶性アクリレートモノマーとしては、フェノキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、1,6-ヘキサンジオールアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
また、インクジェットインクの受理特性を向上のために、充填剤、着色剤、レベリング剤や消泡剤を添加することが好ましい。このような充填剤や着色剤としては、シリカ、タルク、クレー、ゼオライト、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、雲母、合成雲母、珪藻土、水酸化アルミニウム、アルミナ、酸化チタン、セルロースパウダー、プロテインパウダー等の一種単独もしくは二種以上の組み合わせが挙げられる。
さらに、インクジェットインクの定着及び耐水性の向上と滲みを押さえるために、カチオン性の定着剤を添加することも好ましい。
いずれにしても、このような紫外線硬化型インキから構成された積層受理層は、印刷後に、電子線やγ線のような放射線や紫外線を照射することによって、短時間で硬化することができる。また、このようにして得られた積層受理層は、優れたインクジェット受理性を有する一方、所定の耐水性に富み、好ましいインク受理層を提供するものである。
なお、光学情報記録媒体の用途や第1の受理層の厚さにもよるが、第2の受理層の厚さを5〜30μmの範囲内の値とすることが好ましく、10〜20μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
以下、本発明の実施例について比較例とともに具体的に説明する。
[紫外線硬化型インキの作成]
まず、下記のポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体と、ウレタンアクリレートと、水溶性アクリレートモノマーとを、表1、2、3に示す配合割合(重量部基準)となるように混合分散して、紫外線硬化型インキを作成した。
すなわち、表1及び3に示す紫外線硬化型インキは、水溶性アクリレートモノマーに対して、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体を溶解させた後、攪拌機を用いて十分に混合分散して、調製した。また、表2に示す紫外線硬化型インキについては、水溶性アクリレートモノマーに対して、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体を溶解させた後、攪拌機を用いて混合分散し、さらに三本ロールを用いて混合分散して、調製した。
a−1:親水性ウレタンアクリレート(分子量Mw11,000)
a−2:疎水性ウレタンアクリレート
b−1:N−メトキシメチルアクリルアミド(水溶性アクリレートモノマー)
b−2:N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(水溶性アクリレートモノマー)
b−3:アクリロイルモルフォリン(水溶性アクリレートモノマー)
b−4:エトキシジエチレングリコールアクリレート(水溶性アクリレートモノマー)
b−5:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(非水溶性アクリレートモノマー)
b−6:トリプロピレングリコールジアクリレート(非水溶性アクリレートモノマー)
c−1:ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(分子量Mw50,000、重合度 495、ポリビニルピロリドン:酢酸ビニル共重合モル比率=6:4、含水率:5%以下)
d−1:光重合開始剤(2- ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン)
d−2:光重合開始剤(1-ヒドロキシ-シクロへキシル-フェニル-ケトン)
d−3:光重合開始剤(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)
e−1:酸化チタン
e−2:シリカ
e−3:タルク
e−4:炭酸カルシウム
f−1:消泡剤
g−1:定着剤(カチオン性ポリマー、含水率:50%)
Figure 0004456034
Figure 0004456034
Figure 0004456034
[実施例1]
表1に組成Aで示される紫外線硬化型インキと、組成Bで示される紫外線硬化型インキとを、3:7の混合比率(重量換算)で混合し、実施例1の単層型受理層の紫外線硬化型インキとした。この段階で、紫外線硬化型インキ中の含水率(重量%)をカールフッィシャー法により測定し、5重量%以下であることを確認した。
次いで、得られた紫外線硬化型インキを、厚さ0.5mmのポリカーボネートシート上に塗工した。次いで、ポリカーボネートシート上に350メッシュのシルクスクリーン版を用い、メタルハライドランプ(80W/cm)を用いて、露光量200mJ/cm2の条件で紫外線硬化させ、膜厚が10〜15μmの単層型受理層を形成した。得られた単層型受理層を、以下の評価方法によって評価した。得られた結果を表4に示す。
(1)タック性
単層型のインク受理層を備えた光学情報記録媒体に対して、10秒間指を押しつけベタ付きの程度を調べ、以下の基準に沿って、タック性を評価した。
○:べたつきがなく、指には全く貼り付かない。
△:若干べたつきはあるものの、指にはほどんど貼り付かない。
×:非常にべたつき、指に貼り付く。
(2)耐スクラッチ性
単層型のインク受理層を備えた光学情報記録媒体の表面を爪で擦り、以下の基準に沿って、耐スクラッチ性を評価した。
○:爪で擦っても、インク受理層は全く剥離しない。
△:爪で擦ると、インク受理層の一部が基材から剥離する。
×:爪で擦ると、インク受理層が基材から容易に剥離する。
(3)接着性
単層型のインク受理層を備えた光学情報記録媒体に対して、JIS K5400に準拠して接着性を評価した。すなわち、カッターナイフを用いてインク受理層を碁盤目状に傷を付け、その上から粘着テープを貼り付けた。次いで、90度の方向に粘着テープを引っ張り、インク受理層の基材からの剥離程度から、以下の基準に沿って接着性を評価した。
○:インク受理層の剥離が、全く見られない。
△:インク受理層の剥離が、全体面積の20%未満程度見られる。
×:インク受理層の剥離が、全体面積の20%以上見られる。
(4)乾燥性
単層型のインク受理層を備えた光学情報記録媒体の受理層上におけるインクジェットインクの乾燥性を評価した。インクジェットプリンター(PRIMERA社製 Signature Pro)を用いて、室温(22℃、湿度55%)にて所定画像を印刷し、その画像上に上質紙を重ねて、1分間、荷重1Kg/cm2での負荷をかけた後、紙へのインクの転写状態を測定し、以下の基準に沿って乾燥性を評価した。
◎:インクが乾燥して、紙への転写がなくなるまでの時間が3分以内。
○:インクが乾燥して、紙への転写がなくなるまでの時間が3分以上5分未満。
△:インクが乾燥して、紙への転写がなくなるまでの時間が5分以上10分未満。
×:インクが乾燥して、紙への転写がなくなるまでの時間が10分以上。
(5)画像の滲み
単層型のインク受理層を備えた光学情報記録媒体の受理層上に、インクジェットプリンター(PRIMERA社製 Signature Pro)を用いて、室温(22℃、湿度55%)にて所定画像を印刷し、所定画像の絵や文字の鮮明さを目視にて観察し、以下の基準に沿って画像の滲み性を評価した。
○:滲みが少なく、鮮明な画像が観察される。
△:少々滲みのある画像が観察される。
×:滲みが多く、不鮮明な画像が観察されるか、画像形成が全くできない。
(6)画像のべたつき
単層型のインク受理上に、インクジェットプリンター(PRIMERA社製 Signature Pro)を用いて、室温(22℃、湿度55%)にて所定画像を印刷し、印字30分後に指触にて印字部分のべたつき具合を調べ、以下の基準に沿って画像のべたつきを評価した。
○:印字部分にべたつきが全くない。
△:印字部分にべたつきが若干あり、指に僅かに貼り付く。
×:印字部分に顕著なべたつきがあり、指に貼り付く。
(7)画像の耐湿性
単層型のインク受理層を備えた光学情報記録媒体の受理層上に、インクジェットプリンター(PRIMERA社製 Signature Pro)を用いて、室温(22℃、湿度55%)にて画像を印刷した。この印字を施した状態のインク受理層を備えた光学情報記録媒体を、30℃、湿度90%の条件下に24時間放置した後の画像の滲み、退色、及びインクの定着性など印字画像の変化を目視にて観察し、以下の基準に沿って画像の耐湿性を評価した。
○:インクの定着性が良く、印字画像の変化がほとんどない。
△:インクの定着性がやや劣り、印字画像が僅かに滲んでいるが、画像の判別は問題ない。
×:インクの定着性が劣り、印字画像の滲みが多く、画像の判別は難しい。
(8)画像の耐水性
単層型のインク受理層を備えた光学情報記録媒体の受理層上に、インクジェットプリンター(PRIMERA社製 Signature Pro)を用いて、室温(22℃、湿度55%)にて所定画像を印刷した。この印字部分に水を滴下し、一分間放置後水を拭き取った。この際、水に溶出したインクジェットインクが拭き取られることによる印字画像部分の退色の程度を目視にて観察し、以下の基準に沿って画像の耐水性を評価した。
○:退色が非常に少なく、良好な耐水性を示す。
△:退色が少なく、やや良好な耐水性を示す。
×:退色が多く、または画像が流出してしまう。
[実施例2〜4及び比較例1]
実施例2〜4及び比較例1においては、表1に組成Aで示される紫外線硬化型インキと、組成Bで示される紫外線硬化型インキとの混合比率(重量換算)を、それぞれ1:9(実施例2)、5:5(実施例3)、7:3(実施例4)及び10:0(比較例1)となるように変え、実施例1と同様に評価した。
Figure 0004456034
[実施例5及び比較例2〜4]
実施例5及び比較例2〜4においては、実施例1における紫外線インキ中の含水率を2.5重量%(実施例5)、4重量%(実施例6)、5.5重量%(比較例2)、10重量%(比較例3)、15重量%(比較例4)とした以外は、実施例1と同様にタック性等を評価した。
Figure 0004456034
[実施例7〜8、参考例9〜10及び比較例5〜8]
実施例7〜8、参考例9〜10及び比較例5〜8では、第1の受理層及び第2の受理層を含む積層型受理層を備えた光学情報記録媒体を作成した以外、実施例1と同様にタック性等を評価した。
すなわち、表2及び3に示す各紫外線硬化型インキを、350メッシュのシルクスクリーン版を用い、厚さ0.5mmポリカーボネート板上に塗工した。次いで、メタルハライドランプ(80W/cm)を用いて、露光量200mJ/cmの条件で紫外線硬化させ、膜厚が10〜15μmである下層受理層としての第2の受理層を形成した。
次いで、下層受理層の上に、表2及び表3に示す各紫外線硬化型インキを、350メッシュのシルクスクリーン版を用いて塗工した後、メタルハライドランプ(80W/cm)を用いて、露光量200mJ/cmの条件で紫外線硬化させ、膜厚が10〜15μmの上層受理層としての第1の受理層を形成し、膜厚が20〜30μmの積層型受理層を形成した。
得られた第1の受理層及び第2の受理層を含む積層型受理層を備えたポリカーボネート板に対して、実施例1と同様の評価を行った。
Figure 0004456034
本発明によれば、特定水溶性ポリマーと、特定オリゴマーと、特定水溶性モノマーとを使用するとともに、その含水率を特定した所定構成の紫外線硬化型インキを用いて、ポリカーボネート基材上に単層型受理層及び積層受理層を形成することにより、インクジェット方式のインクの受理性に優れるともに、ポリカーボネート基板に対する接着性等に優れたインク受理層を備えた光学情報記録媒体が提供できるようになった。
すなわち、インクジェット方式のインク受理層として用いた場合、インクの吸収性に優れ、乾燥性が良好で鮮明、かつ滲みの少ない画像を与え、さらにポリカーボネート基材に対する接着性が向上した。
したがって、本発明の光学情報記録媒体は、インクジェット方式のインク受理層をさらに備えたコンパクトディスクやレーザーディスク等の光記録媒体におけるディスクレーベル印刷体として、好適に使用することができる。
光学情報記録媒体用接着剤フィルムを用いた光情報記録媒体における断面図である(その1)。 光学情報記録媒体用接着剤フィルムを用いた光情報記録媒体における断面図である(その2)。
符号の説明
10:ポリカーボネート基材
12、16:記録層
14、18:接着剤層
19、19′、19′′:剥離フィルム
20 :ポリカーボネート基材
21 :インク受理層
21′:第1インク受理層
22 :第2インク受理層
23 :インク受理層
24 :印刷層
30 :単層型インク受理層を備えた光情報記録媒体
40 :積層型インク受理層を備えた光情報記録媒体

Claims (7)

  1. 少なくともポリカーボネート基材上に、水溶性ポリマーを含むインク受理層を備えた光学情報記録媒体であって、前記インク受理層が、水溶性アクリレートモノマーと、水溶性ポリマーとしてのポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体と、ウレタンアクリレートオリゴマーとしての親水性ウレタンアクリレートオリゴマーおよび疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーの混合物と、を含むともに、含水率を、全体量に対して5重量%以下の値とした紫外線硬化型インキの硬化物から構成してあることを特徴とするインク受理層を備えた光学情報記録媒体。
  2. 前記紫外線硬化型インキが、前記紫外線硬化性モノマーに対して、粉体状態のポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体を溶解して構成してあることを特徴とするインク受理層を備えた請求項1に記載のインク受理層を備えた光学情報記録媒体。
  3. 前記ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の平均分子量を10,000〜500,000の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク受理層を備えた光学情報記録媒体。
  4. 前記ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体におけるビニルピロリドン:酢酸ビニルの共重合比(モル換算)を100:10〜100:75の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク受理層を備えた光学情報記録媒体。
  5. 少なくともポリカーボネート基材上に、水溶性ポリマーを含むインク受理層を備えた光学情報記録媒体であって、
    前記インク受理層が、表面側の第1の受理層と、基材側の第2の受理層とを含む複数層から構成してあるとともに、
    前記第1の受理層が、水溶性アクリレートモノマーと、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体と、親水性ウレタンアクリレートオリゴマーと、を含むとともに、含水率を全体量に対して5重量%以下の値とした紫外線硬化型インキから構成してあり、
    かつ、前記第2の受理層が、親水性ウレタンアクリレートオリゴマーと、疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーと、水溶性アクリレートモノマーと、を含むとともに、含水率を、全体量に対して5重量%以下の値とした紫外線硬化型インキから構成してあることを特徴とするインク受理層を備えた光学情報記録媒体。
  6. 前記第1の受理層が、前記ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、前記親水性ウレタンアクリレートを20〜700重量部、前記水溶性アクリレートモノマーを200〜2,500重量部の割合で配合した紫外線硬化型インキから構成してあることを特徴とする請求項5に記載のインク受理層を備えた光学情報記録媒体。
  7. 前記第2の受理層が、前記親水性ウレタンアクリレートオリゴマー100重量部に対して、前記疎水性ウレタンアクリレートオリゴマーを30〜200重量部、前記水溶性アクリレートモノマーを70〜700重量部の割合で含む紫外線硬化型インキから構成してあることを特徴とする請求項5又は6に記載のインク受理層を備えた光学情報記録媒体。
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