JP4231256B2 - オーバープリントニスおよび印刷物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーバープリントニスおよびこれを用いた印刷物に関し、詳しくは基材の印刷面や熱転写される熱転写インキとの密着性がよく、耐薬品性、耐水性、耐摩耗性、透明性に優れた塗膜を形成できる無溶剤型のオーバープリントニスおよびこれからなるオーバープリント層を有する印刷物に関する。
【0002】
【従来の技術】
オーバープリントニス(以下、OPニスとも記す)は、紙、プラスチックフィルム、木材等の基材の印刷面を保護し、耐薬品性、耐水性、耐摩耗性、耐ブロッキング性等を向上させると同時に高光沢の印刷物を得る目的で、基材の印刷面上に塗布または印刷される透明なコーティング材であり、主に、化粧紙、雑誌、広告紙、木材の艶だしに用いられる。
【0003】
このようなOPニスとしては、不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等の活性エネルギー線硬化性樹脂を含有するものが知られている。しかしながら、これらOPニスからなる塗膜(オーパープリント層)は、活性エネルギー線硬化性樹脂固有の硬化時の収縮による歪み等により油性印刷インキおよび水性インキに対する密着性が悪いという欠点を有していた。そのため、密着性を向上させるためのプライマーを基材の印刷面上にあらかじめコートした後、このプライマー層上にOPニスを塗布または印刷する必要があった。
【0004】
油性印刷インキに対する密着性が改良されたOPニスとしては、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、アクリルオリゴマーあるいはアクリルモノマーとからなるものが、特開平3−166270号公報に開示され、油性インキおよび水性インキに対する密着性が改良されたOPニスとしては、スチレン、(メタ)アクリル酸エステルおよび親水性官能基を有する重合性単量体からなるスチレン−アクリル酸エステル系共重合体と、単官能あるいは多官能(メタ)アクリル酸エステルのモノマーとからなるOPニスが、特開平5−140500号公報に開示されている。
【0005】
しかしながら、特開平3−166270号公報および特開平5−140500号公報に記載のOPニスからなるオーバープリント層は、基材の印刷面との密着性がいまだ不十分であった。また、近年、オーバープリント層の表面に、低融点の樹脂インキ(トナー)やリボン上に塗布された固体インキなどの熱転写インキを、さらに熱転写する部分印刷が行われるようになってきた。しかしながら、特開平3−166270号公報および特開平5−140500号公報に記載のOPニスからなるオーバープリント層は、熱転写される熱転写インキとの密着性が悪く、印刷不良などのトラブルが発生することが多かった。特に、印刷物を折り曲げた際、オーバープリント層と基材の印刷面との間、およびオーバープリント層と熱転写インキとの間で剥離が起こるといった、折り曲げ密着性能の問題があった。
【0006】
また、特開平5−140500号公報に記載のOPニスは、スチレン−アクリル酸エステル系共重合体に親水性官能基を有する重合性単量体単位が含まれているため、モノマーに対する共重合体の溶解性が低く、溶剤を添加する必要があった。このような溶剤型のOPニスには、基材の印刷面上にOPニスを塗布または印刷した後、熱や設備を用いて溶剤を除去する必要があり、環境上好ましくないという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明の目的は、基材の印刷面や熱転写される熱転写インキとの密着性、特に折り曲げ密着性能がよく、耐薬品性、耐水性、耐摩耗性、透明性に優れた高光沢の塗膜を形成できる無溶剤型のオーバープリントニス、およびこれからなるオーバープリント層を有する高光沢の印刷物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明のオーバープリントニスは、活性エネルギー線硬化型モノマーと、この活性エネルギー線硬化型モノマー100質量部に対して25〜75質量部のポリマーとを含有し、前記活性エネルギー線硬化型モノマーが、モノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートおよびトリ(メタ)アクリレートを含むものであり、前記ポリマーが、スチレン類30〜86質量%、アクリル酸エステル5〜50質量%、メタクリル酸エステル5〜50質量%およびアクリルアミド類4〜20質量%からなる共重合体であることを特徴とするものである。
【0009】
また、活性エネルギー線硬化型モノマーにおける、モノ(メタ)アクリレートの割合は50〜80質量%であり、ジ(メタ)アクリレートの割合は10〜40質量%であり、トリ(メタ)アクリレートの割合は10〜40質量%であることが望ましい。
また、本発明の印刷物は、本発明のオーバープリントニスからなるオーバープリント層を、基材の印刷面上に有することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
[活性エネルギー線硬化型モノマー]
本発明における活性エネルギー線硬化型モノマーは、紫外線、電子線などの活性エネルギー線で硬化可能なモノマーであり、モノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートおよびトリ(メタ)アクリレートの3種類のモノマーを含むものである。すなわち、モノ(メタ)アクリレートはポリマー溶解剤として作用し、ジ(メタ)アクリレートおよびトリ(メタ)アクリレートは、OPニスからなる塗膜の耐薬品性(耐溶剤性)、耐水性を向上させるものである。そして、トリ(メタ)アクリレートを必須成分とすることで、耐薬品性(耐溶剤性)、耐水性を維持しつつジ(メタ)アクリレートの割合を減らして、ポリマー溶解剤であるモノ(メタ)アクリレートを増やすことができ、これにより、ポリマー溶解性の良好な無溶剤型のOPニスを得ることが可能となる。
ここで、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
【0011】
モノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0012】
ジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
トリ(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0013】
活性エネルギー線硬化型モノマー中のモノ(メタ)アクリレートの割合は、好ましくは50〜80質量%である。モノ(メタ)アクリレートの割合が50質量%未満では、ポリマー溶解性が不十分となるおそれがあり、モノ(メタ)アクリレートの割合が80質量%を超えると、ジ(メタ)アクリレートおよびトリ(メタ)アクリレートの割合が減り、OPニスからなる塗膜の耐薬品性(耐溶剤性)、耐水性が不十分となるおそれがある。
【0014】
また、活性エネルギー線硬化型モノマー中のトリ(メタ)アクリレートの割合は、好ましくは10〜40質量%である。トリ(メタ)アクリレートの割合が10質量%未満では、ジ(メタ)アクリレートの割合を50質量%以上としないと目的とする耐薬品性(耐溶剤性)、耐水性を得ることができないおそれがあるが、トリ(メタ)アクリレートの割合を10質量%以上とすることにより、ジ(メタ)アクリレートの割合を10〜40質量%とすることができ、50質量%以上のモノ(メタ)アクリレートの割合を確保することができる。なお、トリ(メタ)アクリレートの割合が40質量%を超えると、OPニスからなる塗膜が脆くなるおそれがある。
【0015】
[ポリマー]
本発明におけるポリマーは、基材の印刷面にOPニスからなる塗膜(オーバーコート層)との密着性の良い樹脂を全面コートすることなしに、またOPニスからなる塗膜の表面に熱転写インキとの密着性の良い樹脂を全面コートすることなしに、OPニスからなる塗膜と、基材の印刷面や熱転写インキとの密着性を改善するものである。
【0016】
本発明におけるポリマーの単量体組成(ポリマー製造時の単量体の仕込み比)は、スチレン類/アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル/アクリルアミド類=30〜86/5〜50/5〜50/4〜20(質量%)である。
スチレン類の割合が30質量%未満では、OPニスからなる塗膜の光沢が不十分となり、スチレン類の割合が86質量%を超えると、OPニスからなる塗膜の耐摩耗性が不十分となる。
【0017】
OPニスからなる塗膜の耐摩耗性を向上させるためには、メタクリル酸エステルの割合を5〜50質量%とする必要がある。なお、メタクリル酸エステルによって耐摩耗性を向上させた場合、印刷物を折り曲げた際にOPニスからなる塗膜に折り傷(白化)が発生しやすくなる。したがって、OPニスからなる塗膜の折り傷(白化)を防止するために、アクリル酸エステル5〜50質量%を併用する必要がある。
【0018】
また、OPニスからなる塗膜と、基材の印刷面や熱転写インキとの密着性をよくするために、アクリルアミド類をさらに併用する。特に、十分な折り曲げ密着性能を維持するためには、アクリルアミド類の割合を4質量%とする必要がある。なお、アクリルアミド類の割合が20質量%を超えると、活性エネルギー線硬化型モノマーへのポリマーの溶解性が悪くなり、好ましくない。
【0019】
スチレン類としては、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられ、中でもスチレンが好適である。
アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸フェノキシエチルなどが挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンゼン、メタクリル酸フェノキシエチルなどが挙げられる。
【0020】
アクリルアミド類は、アミド基を有する共重合可能な単量体であり、アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジルメチル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジルブチル(メタ)アクリルアミド、N−(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、ジアセトン(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味する。
【0021】
なお、N−メチロールアクリルアミドなど、末端に水酸基を有するアクリルアミド類を含むポリマーは、活性エネルギー線硬化型モノマーに対する溶解性が悪いため、OPニスがゲル粘性を持ち、基材への塗布または印刷が困難となるおそれがあるため、本発明においては、N−メチロールアクリルアミドなどの末端に水酸基を有するアクリルアミド類は使用しないことが好ましい。
【0022】
本発明におけるポリマーの質量平均分子量は、1万〜15万の範囲が好ましい。ポリマーの質量平均分子量が1万未満では、活性エネルギー線硬化型モノマーに溶解したときの粘度が低く、塗工性が悪く、液だれで基材を汚すので好ましくなく、ポリマーの質量平均分子量が15万を超えると、活性エネルギー線硬化型モノマーへの溶解性が悪くなり、OPニスの粘度が極端に上がり、塗布または印刷時に糸引きが発生して、得られる塗膜の平滑性が不十分となり、基材の印刷面の画像が不鮮明となる。
【0023】
本発明におけるポリマーは、公知の重合法で得ることができる。中でも、得られるポリマーに溶剤が含まれない点で、本発明におけるポリマーを得るための重合法としては、懸濁重合法が好適である。
【0024】
[オーバープリントニス(OPニス)]
本発明のOPニスは、前記活性エネルギー線硬化型モノマー100質量部に、25〜75質量部、好ましくは35〜65質量部の前記ポリマーを溶解させたものである。ポリマーが25質量部未満では、OPニスからなる塗膜と、基材の印刷面や熱転写インキとの密着性が不十分であり、ポリマーが75質量部を超えると、活性エネルギー線硬化型モノマーへのポリマーの溶解性が悪くなり、OPニスの粘度が極端に上がり、塗布または印刷時に糸引きが発生して、得られる塗膜の平滑性が不十分となり、基材の印刷面の画像が不鮮明となる。
【0025】
本発明のOPニスを紫外線で硬化させる場合は、光重合開始剤が使用される。本発明のOPニスを電子線で硬化させる場合には、光重合開始剤は不要である。光重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、ベンゾインエチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビスアシルホスフィンオキサイド、チオキサンソンなどが挙げられる。光重合開始剤の使用量は、通常、OPニス中0.1〜10質量%の範囲である。
また、本発明のOPニスには、レベリング剤、消泡剤などの公知の添加剤を必要に応じて添加してもよい。
【0026】
[印刷物]
本発明の印刷物は、本発明のOPニスからなるオーバープリント層を、基材の印刷面上に有するものである。
本発明の印刷物は、具体的には、表面にあらかじめ印刷が施された基材の印刷面に、本発明のOPニスを公知の塗布方法で塗布、またはオフセット印刷などの公知の印刷方法で印刷し、このOPニスを紫外線、電子線等の活性エネルギー線で硬化することによって得ることができる。また、必要に応じて、オーバープリント層表面に、低融点の樹脂インキ(トナー)やリボン上に塗布された固体インキなどの熱転写インキを、さらに熱転写する部分印刷を行ってもよい。
基材としては、紙、合成樹脂シート、木材、金属などの種々の材料を使用することができる。
【0027】
以上説明した本発明のOPニスにあっては、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体であるポリマー中にアクリルアミド類に由来する単位が特定量含まれているので、OPニスからなる塗膜と、基材の印刷面や熱転写インキとの密着性、特に折り曲げ密着性能に優れている。また、このポリマーにおいては、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルが併用されているので、OPニスからなる塗膜の耐摩耗性を向上させつつ、折り傷(白化)の発生を抑えることができる。また、活性エネルギー線硬化型モノマーとして、モノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートおよびトリ(メタ)アクリレートの3種類のモノマーを併用することにより、トリ(メタ)アクリレートによって耐薬品性(耐溶剤性)、耐水性を維持しつつジ(メタ)アクリレートの割合を減らして、ポリマー溶解剤であるモノ(メタ)アクリレートを増やすことができ、これによりポリマー溶解性が良好となり、透明性に優れた高光沢塗膜を形成できる無溶剤型のOPニスを得ることが可能となる。
【0028】
また、本発明の印刷物は、このようなOPニスからなるオーバープリント層を有しているので、オーバープリント層と、基材の印刷面や熱転写される熱転写インキとの密着性、特に折り曲げ密着性能がよく、耐薬品性、耐水性、耐摩耗性、および印刷面の鮮明性に優れ、高光沢を有する。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明を詳しく説明する。
[ポリマーの製造および特性]
(製造例1)
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた重合装置に、脱イオン水250質量部、ポリビニルアルコール(ケン化度80%、重合度1700)0.6質量部を加え、攪拌を行いポリビニルアルコールを完全溶解させた。これに、スチレン(以下STと略)60重量部、アクリル酸エチル(以下EAと略)20質量部、メタクリル酸メチル(以下MMAと略)10質量部、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド(以下n−BMAamと略)10質量部(ST/EA/MMA/n−BMAam=60/20/10/10質量%)、n−ドデシルメメルカプタン0.5質量部、アゾイソブチロニトリル1.1質量部を加えた。装置内を80℃に昇温し、この温度を5時間維持し、その後90℃に昇温し、この温度を1時間維持して単量体の重合を終了させた。その後、重合物を含む液を10μm目開の濾布にて濾過し、重合物を洗浄し、60℃循環熱風乾燥機で乾燥し、粒状重合物であるポリマー(A−1)を得た。
【0030】
このポリマー(A−1)の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を東ソー社製HLC−8120GPCを用い、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により、スチレン換算で求めた。溶剤には、テトラヒドロフラン(THF)を使用した。Mw=77,920、Mw/Mn=2.31であった。
また、ポリマー(A−1)重合物のトリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)溶液(ポリマー濃度=35質量%)の粘度をB型粘度計を用いていて測定した。結果を表1に示す。
【0031】
(製造例2〜4)
単量体組成を表1に示すものに変更した以外は、製造例1と同様にしてポリマー(A−2〜A−4)を得た。得られたポリマーの特性を表1に示す。
【0032】
(製造例5〜7)
単量体組成を表1に示すものに変更した以外は、製造例1と同様にしてポリマー(B−1〜B−3)を得た。得られたポリマーの特性を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表中、BAは、アクリル酸ブチル、DMAamは、N,N−ジメチルアクリルアミドを示す。
【0035】
[実施例1]
製造例1で得られたポリマー(A−1)45質量部を、フェノキシアクリレート50質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート40質量部、トリメチロールトリアクリレート10重量部の活性エネルギー線硬化型モノマー(モノ(メタ)アクリレート/ジ(メタ)アクリレート/トリ(メタ)アクリレート=50/40/10質量%、重合禁止剤:メトキノン500ppm含有)に添加し、攪拌しながら50〜60℃の熱をかけてポリマーを溶解してOPニスのベースを得た。これに光重合開始剤5質量部、レベリング剤2.5質量部、消泡剤1質量部を加えてOPニスを得た。このOPニスを、あらかじめ印刷が施された基材(合成紙)の印刷面にオフセット印刷し、印刷されたOPニスに紫外線を照射して硬化させ、厚さ25μmのオーバープリント層を形成した。次に、熱転写性カラープリンター(日本電気(株)製、2300N)を用い、熱転写インキをオーバープリント層表面に印刷して印刷物を得た。
【0036】
基材の印刷面とオーバープリント層との密着性(a)、オーバープリント層と熱転写インキとの密着性(b)、鮮明度(基材の印刷面の画像の鮮明度)を判定した。その結果を表2に示す。
密着性については、セロハンテープ剥離試験を行い、剥離するものを×、わずかに剥離するものを△、全く剥離しないものを○と評価した。また、鮮明度については、オーバープリント層が透明で、基材の印刷面の画像が鮮明なものを○、基材の印刷面の画像が曇り、白濁したものを×と評価した。
【0037】
[実施例2〜4、比較例1〜3]
ポリマー(A−1)をポリマー(A−2〜A−4、B−1〜B−3)に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷物を得て、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0038】
[比較例4]
ポリマーA(実施例1のA−1と同品)を用いて活性エネルギー線硬化型モノマーを、トリプロピレングリコールジアクリレート50質量部、トリメチロールトリアクリレート50重量部(モノ(メタ)アクリレート/ジ(メタ)アクリレート/トリ(メタ)アクリレート=0/50/50質量%、重合禁止剤:メトキノン500ppm含有)に変更し、実施例1と同様にしてOPニスを調製しようとしたが、ポリマーが活性エネルギー線硬化型モノマーに完全に溶解せず、基材の印刷面への印刷ができなかった。
【0039】
【表2】
【0040】
アクリルアミド類を全く含まないポリマー(B−1)を用いた比較例1では、基材の印刷面とオーバープリント層との密着性が悪く、オーバープリント層と熱転写インキとの密着性も不十分であった。
アクリルアミド類を含むが、その量が少ないポリマー(B−2)を用いた比較例2では、オーバープリント層と熱転写インキとの密着性は良好であったものの、基材の印刷面とオーバープリント層との密着性は悪かった。
アクリルアミド類の量が多すぎるポリマー(B−3)を用いた比較例3では、OPニスの粘度が高く、OPニスの粘性が悪いため、オフセット印刷時にオーバープリント層に筋が入り、密着性と鮮明性が悪くなった。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のオーバープリントニスは、活性エネルギー線硬化型モノマーと、この活性エネルギー線硬化型モノマー100質量部に対して25〜75質量部のポリマーとを含有し、前記活性エネルギー線硬化型モノマーが、モノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートおよびトリ(メタ)アクリレートを含むものであり、前記ポリマーが、スチレン類30〜86質量%、アクリル酸エステル5〜50質量%、メタクリル酸エステル5〜50質量%およびアクリルアミド類4〜20質量%からなる共重合体であるので、基材の印刷面や熱転写される熱転写インキとの密着性、特に折り曲げ密着性能がよく、耐薬品性、耐水性、耐摩耗性、透明性に優れた高光沢の塗膜を形成できる。また、本発明のオーバープリントニスは、粘度が低く、溶剤が不要であり、環境上好ましい。
【0042】
また、本発明の印刷物は、本発明のオーバープリントニスからなるオーバープリント層を、基材の印刷面上に有するものであるので、オーバープリント層と、基材の印刷面や熱転写される熱転写インキとの密着性、特に折り曲げ密着性能がよく、耐薬品性、耐水性、耐摩耗性、および印刷面の鮮明性に優れ、高光沢を有する。
Claims (3)
- 活性エネルギー線硬化型モノマーと、この活性エネルギー線硬化型モノマー100質量部に対して25〜75質量部のポリマーとを含有し、
前記活性エネルギー線硬化型モノマーが、モノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートおよびトリ(メタ)アクリレートを含むものであり、
前記ポリマーが、スチレン類30〜86質量%、アクリル酸エステル5〜50質量%、メタクリル酸エステル5〜50質量%およびアクリルアミド類4〜20質量%からなる共重合体であることを特徴とするオーバープリントニス。 - 活性エネルギー線硬化型モノマーにおける、モノ(メタ)アクリレートの割合が50〜80質量%であり、ジ(メタ)アクリレートの割合が10〜40質量%であり、トリ(メタ)アクリレートの割合が10〜40質量%であることを特徴とする請求項1記載のオーバープリントニス。
- 請求項1または請求項2記載のオーバープリントニスからなるオーバープリント層を、基材の印刷面上に有することを特徴とする印刷物。
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