JP5760500B2 - 防振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のエンジン等の加振源にマウントとして適用されて、真にエコロジーに資する運転等を可能にする防振装置に関するものである。
現在、環境問題から自動車業界では燃費改善が進められている。燃費改善策として、車両の軽量化、アイドリングの低回転化、ロックアップ領域の拡大、気筒休止エンジン、クリーンディーゼルエンジンや希薄燃焼等、様々な方面からの開発が進めているが、これらの対策は何れも車体振動を増大させることも知られている。
そこで、従来より、エンジン等の加振源のマウントとして防振装置が知られている。この種の防振装置は、液封部にアクチュエータを組み付けて構成されるものである。液封部は、対向配置されるゴム弾生体と可動膜との間に非圧縮性流体を封入した受圧室を有し、ゴム弾生体に加振源の振動を伝えるための入力端を接続する。一方アクチュエータは、機械室に配置したコイルからの駆動力で前記可動膜を作動させる。具体的には当該アクチュエータは入力端から液封部に入力される振動に応じた振動が発生するよう作動することにより、入力端からの振動を抑える防振動作を行うように構成されている(例えば特許文献1、2等参照)。
特許第3993559号公報 特開2004−293602号公報
しかしながら、このようなアクチュエータはその構造上、可動子が動く「動作しろ」としての作動空間がケース内に必要となる。そしてこの作動空間の温度変化による空気の圧縮・膨張量で動作空間を含み当該動作空間と連通しているケース内部の圧力変化が大きくなる。その結果、上記特許文献のようなものでは上述した作動空間内の空気の圧縮・膨張によって可動膜が上下動してしまう。
すなわち、製造時に例えば常温でオフセット位置を正確に設定したとしても、使用時の温度条件によって作動空間内の空気が膨張又は収縮すると、可動膜は常温時に比べて押し上げ又は押し下げされるため、常温で設定された位置から何れかの方向にオフセット位置がずれてしまう。そして可動子が正確なオフセット位置から押し上げ又は押し下げられた位置を基準にして作動する結果、オフセット位置を基準にして作動する所定のストローク量よりも実際の有効ストローク量が減ってしまい、ひいては防振装置自体の防振性能が低下するという不具合を引き起こすこととなる。またアクチュエータの作動空間は、アクチュエータの作動による温度上昇で空気が膨張することになる。そのためアクチュエータの作動自体も、可動膜を押し上げることによるアクチュエータのオフセットずれ、ストローク範囲の変動を招来する原因となる。
特に、この種の防振装置は、エンジンルーム内に置かれた場合等に厳しい温度条件となることをも考慮しなければならず、上記不具合に対する対策がことさら要求されるものとなっている。
本発明は、このような防振機能の低下につながる不具合を装置の大型化を招くことなく簡便に解消し、エンジン等の燃費改善の障害となる振動を精度良く取り除き、真にエコロジーに資するエンジン等の作動に寄与することを目的としている。
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明の防振装置は、対向配置されるゴム弾性体と可動膜との間に非圧縮性流体を封入した受圧室を有し、ゴム弾性体に加振源の振動を伝える入力端が接続された液封部と、作動空間に配置した可動子を進退動作させるアクチュエータとを、可動子の進退動作で可動膜を作動させるように組み付けて、入力端から液封部に入力される振動に対して防振を行うものであって、前記可動膜は、前記アクチュエータに接続する円環状の外周部と、当該外周部の内側で前記液封部に向けて深絞り状に隆起する中央部とを有し、当該中央部の下面側に上に向かって凸となる隆起空間を形成するものであり、前記可動膜が前記可動子とともに前記作動空間を塞ぐ状態で組み付けられ、前記可動子は前記液封部に向けて最も突出した位置で前記可動膜における前記中央部に組付けられており、当該組付け位置が前記中央部が隆起する寸法内で動作するものであって、前記作動空間及び前記隆起空間から形成される連通空間の何れかの箇所に、当該連通空間内における空気の存在量を低減する液状の押し除け部材を導入したことを特徴とする。
ここで、「作動空間に配置された可動子」は、可動子全体が作動空間内に収容されるのみならず、少なくとも可動子の一部が作動空間内に収容されることをも含む概念である。
このように構成すれば、連通空間における空気の体積が減る分、可動膜に臨む空間に存する空気を含めた熱膨張又は収縮を少なくでき、可動子のオフセットずれを抑制することができる。また、液状の押し除け部材を入れることで押し除け部材自体が作動空間における熱媒体となって更に外部への熱の汲み出し効率を高めることが可能となる。これにより、空気の温度上昇を抑制する効果が見込めるものとなる。すなわち、可動膜に作用する、作動時の温度状況や空気温度変化に起因する空気の体積変化、圧力変動を抑えて、オフセットずれを防止し、適切な防振機能を発揮することが可能となる。
また、可動膜が外周部の内側で液封部に向けて深絞り状に隆起する中央部を有し、中央部の下面側に上に向かって凸となる隆起空間を形成していることから、この隆起空間を中央部の下がりしろとして利用することができる。
さらに、前記可動膜を前記可動子とともに前記作動空間を塞ぐ状態で組み付けているため、アクチュエータと液封部を渾然一体に作り込み、空気の押し除けをより大きなスペースを使って行うことが可能となる。加えて、前記可動子は前記液封部に向けて最も突出した位置で前記可動膜における前記中央部に組付けられており、当該組付け位置が前記中央部が隆起する寸法内で動作するため、押し除け部材を最大限に充填しても可動子や可動膜の動作しろを確保することができ、熱の汲み出し効率が更に向上するとともに、可動膜が作動中にアクチュエータに干渉すること無く安定して作動することが可能となる。
特に、アクチュエータ側の可動子を構成する可動子本体と液封部側の可動膜とがシールを介さずにシャフトで接続した状態に組み付けられ、液状の押し除け部材が少なくとも可動子の作動空間に導入されているように構成すれば、熱による圧力変動を抑制する効果を担保しつつ、アクチュエータと液封部との境界におけるシャフトと可動膜との接続構造を簡素化することができる。
空気量を低減するだけでなく、アクチュエータ作動時の発熱を直接的に抑制し、空気の圧力変化を有効に抑制するためには、液状の押し除け部材を絶縁性及び耐腐食性を備えたものとし、可動子を駆動するためのコイルの少なくとも一部を浸漬した状態で押し除け部材を充填することが望ましい。また、アクチュエータ作動時の発熱をさらに有効に抑制するためには、可動子を駆動する固定子側のコイルのほぼ全部を浸漬した状態で押し除け部材を充填しておくことが好ましい。
さらに、前記作動空間が上方側にのみ開放された液密な構造のケースの内部空間に設定されており、当該作動空間の略全てを前記液状の押し除け部材で満たすようにしていることが望ましい。
可動子が固定子間に作動方向に沿って磁極を異ならせて配置された永久磁石との磁気的バランスによって所定位置にオフセットされるレシプロタイプのアクチュエータに上述したような本発明を適用すれば、斯かるレシプロタイプのアクチュエータは、適切なオフセット調整ができるのが本来の機能であるため、温度変化によってその本来の機能が損なわれることを有効に防止することができる。
特にレシプロタイプのアクチュエータを適用した場合、所定位置にある可動子を板ばねを併用して支持するようにすれば、可動子をより理想的な形でオフセットおよび線形動作させることができる。
以上説明したように本発明によれば、連通空間における空気の体積が減る分、可動膜に臨む空間に存する空気を含めた熱膨張又は収縮を少なくでき、可動子のオフセットずれを抑制することができる。また、液状の押し除け部材が熱媒体となって更に外部への熱の汲み出し効率を高めることにより、空気の温度上昇を抑制する効果が見込める。すなわち、可動膜に作用する、作動時の温度状況や空気温度変化による上記の圧力変動作動時の温度上昇による空気の体積の変動を抑えて、オフセットずれを防止し、エンジンマウント等として使用した場合に高精度で作動してエコロジーに資する運転を可能にする、優れた防振装置を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る防振装置の正断面図。 同防振装置の動作説明図。 同上。 同防振装置の変形例を示す図。 同防振装置の上記以外の変形例を示す図。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示す本実施形態の防振装置1は、自動車等に適用され、エンジンなどの加振源のマウントとして用いられるもので、液封部2にアクチュエータ3を組み付けて構成される。
液封部2は、外壁たる下向きカップ状のダイヤフラム21の内側に、ゴム弾性体であるマウントラバー22と、可動膜23とを収容し、マウントラバー22と可動膜23との間に受圧室24を形成するものである。ダイヤフラム21は、頂部の外面に入力端たるエンジンへの取付部25を有し、前記頂部の内面に取付ブロック26を固定されたもので、マウントラバー22は取付ブロック26とダイヤフラム21の内壁の間に適宜の接着構造により取り付けられる。ダイヤフラム21の開口端は内向きに開口する断面コ字形のフランジ部27を構成している。このような液封部2の基本的な構造及び役割自体は、上記特許文献1等において一般に知られたものである。
可動膜23は、円環状の外周部231の内側に深絞り状に隆起する中央部232を有したゴム板からなるもので、中央部232は外周部231よりも厚肉に形成されており、外周部231が前記ダイヤフラム21のフランジ部27に差し込まれている。可動部の中央部232には円盤状に肉盗みした中空状の平衡室233が設けてあり、この平衡室233の上壁はフィルターオリフィス234を構成している。受圧室24および平衡室233には不凍液Fが密実に充填してあり、その充填量は、後述する防振機能の観点から適宜量に設定される。
そして、この可動膜23をリニアアクチュエータ3によって駆動すべく、中空部の下壁にリニアアクチュエータ3の出力部であるシャフト52を接続している。図示例では、シャフト52の上端部54が拡径させてあり、この上端部54を呑み込むように可動膜23を成形しているが、可動膜23とシャフト52の接続構造は図示例に限定されるものではない。
一方、アクチュエータ3は、ケース6内において外側に固定子4、内側に可動子5を配置したインナー型のものである。このアクチュエータ3は具体的には、上端を可動膜23に接続された可動子5が固定子4に対して往復上下動を行う、いわゆるレシプロタイプのものである。
ケース6は、上方側にのみ開放された液密な構造で、側壁61にも底壁62にも貫通孔等は存しておらず、底壁62の中央部232にシャフト52のストロークを確保するための凹み63が設けてある。また側壁61の上端には液封部2を取り付けるための鍔部64が拡開している。そして本実施形態では、このケース6の内部空間を、可動子5の一部を収容し当該可動子5を作動させるための作動空間S1に設定している。アクチュエータ3を単体で見れば、この作動空間S1は可動子5とともに上方に開放された構成、すなわち蓋のない構造のものである。そして、上記可動膜23にアクチュエータ3の蓋を兼ねさせるべく、液封部2のフランジ部27に可動膜23の外周部231とアクチュエータ3の鍔部64とを食わえ込ませるように接続し、可動膜23を可動子5であるシャフト52の上端部54とともに作動空間S1を塞ぐ状態でアクチュエータ3に組み付けている。
固定子4は、中心部に貫通孔を有した固定子コア41と、この固定子コア41の両端面に取り付けられたコイルボビン42と、コイルボビン42に巻回されたコイル44と、固定子4コアの内周部に、S極、N極の向きを内外に互いに異ならせて配列した二対の永久磁石45a、45bと、前記固定子4コアの外周部において端部を固定具により固定した一対の板ばね46とを主に有している。コイル44が巻かれる向きは固定子コア41の内部においてシャフト52の軸心と直交する方向に正逆交番する磁束を発生させる向きであり、図示しないコネクタを介して外部から交流電流が給電される。
一方可動子5は、前記永久磁石45a、45bの内周側の面に所定ギャップを介してそれぞれ対向配置された板状の可動子本体51と、可動子本体51に一体的に組付けられ上端を可動膜23に接続されるシャフト52と、これら可動子本体51とシャフト52の間の位置決めをなすスペーサ53とを主に有している。シャフト52は板ばね46の中心部を貫通しており、スペーサ53によってシャフト52を板ばね46に支持させて、板ばね46を弾性変形させつつ、シャフト52が軸心方向に変位可能とされている。そしてシャフト52の上端部54はアクチュエータ3において液封部2へ向けて最も突出した位置に位置付けられており、この上端部54が可動膜23の中央部232に覆われた状態で当該可動膜23に接続されている。
しかして斯かる構成を有する防振装置1は、給電を行わない状態では、図1に示すように、アクチュエータ3において可動子5と固定子4に作動方向に沿って磁極を異ならせて配置された永久磁石45a、45bとの磁気的バランスと板ばね46の作用とによって可動子5が所定位置にオフセットされる。
そして上記構成の防振装置1に交流電流が給電されると、コイル44に電流が給電され、例えば、図2に示すように固定子コア41中に図中右向きに磁束が生じる。すると、それによる磁力は固定子4側の一方の永久磁石45bの磁力と強め合い、他方の永久磁石45aの磁力と弱め合うので、強め合う方の永久磁石45bを通過した磁束が対向位置にある可動子5との間で最短の磁路を形成すべく、シャフト52は図中下向きの矢印で示す方向の推力を得て移動する。このとき、端部を支持され、中央でシャフト52を支持している板ばね46は図中想像線で示すように下方に撓んで可動子5を移動可能に支持する。
また、図3に示すように固定子コア41中に図中左向きに磁束が生じると、それによる磁力は一方の永久磁石45aの磁力と強め合い、他方の永久磁石45bの磁力と弱め合うので、強め合う方の永久磁石45aを通過した磁束が対向位置にある可動子5との間で最短の磁路を形成すべく、シャフト52は図中上向きの矢印で示す方向の推力を得て移動する。このとき、端部を支持され、中央でシャフト52を支持している板ばね46は図中想像線で示すように上方に撓んで可動子5を移動可能に支持する。磁束は交流電流の位相及び周波数に応じたタイミングで方向を切り替えるため、それに応じて可動子5が上下に往復動作をすることとなる。
したがって、アクチュエータ3を車体に取り付け、液封部2の入力端にエンジンをマウントして、この防振装置1を不図示の制御装置によって作動させる場合、マウントラバー22の緩衝作用に加え、入力される振動の周波数に対応させて適切な周波数の交流電流を制御装置からコイル44に通電制御することにより、入力部を介して液封部2に入力される振動に対し可動膜23を応動させて、受圧室24と平衡室233の間をフィルターオリフィス234を介して封入流体である不凍液Fが流動する動作を利用した受圧室24の液体共振によって、エンジンから車体に向かう振動を遮断する作用を営むようになっている。
ところで、エンジンマウントでは、エンジンの自重で軸が下がることは当初より想定済であり、常温で可動子本体51が永久磁石45a、45bの境界に位置するようにオフセット調整がなされる。しかしながら、温度変化によってケース6内の空気が膨張すると、可動膜23を付勢して変位させるので、アクチュエータ3のオフセット位置がずれ、ストローク範囲が狭まって防振装置1の機能が低下する原因となる。特に、車両の環境温度は110℃〜−45℃の間で使われる。空気の容積の変化は非常に大きいため、ゼロ点が移動すると、アクチュエータ3として本来の制御範囲を逸脱して、制御性能が低下することはもとより、故障や破損の原因にもなり、それを防ぐために更に大きな容器を要するなどの悪循環に陥る。
そこで、本実施形態はこのような不具合を解消するために、前記作動空間S1に、空気の存在量を低減する液状の押し除け部材として、絶縁性および耐腐食性を備えた油Lを充填している。油Lの充填量は、例えば図示例においてはコイル44の全てを浸漬する量、より具体的には空気の膨張を見込んでアクチュエータ3を構成するケース6の内容積の95%以上となるようにしている。
ここで、上述のようにアクチュエータ3のケース6は上蓋を有さないためにアクチュエータ3のコイル44や可動子5等が存する機械室はシールを介さずに可動膜23に接続されるとともに、可動膜23は、中央部232が外周部231に対して深絞り状に隆起し、その下面側に、上に向かって凸となる隆起空間S2が形成してある。このため、この隆起空間S2を上端部54並びに中央部232の下がりしろとして利用することができる。換言すれば、可動子5と可動膜23との組付け位置が、隆起空間S2すなわち中央部232が隆起する寸法内で動作することができる。外周部231と中央部232の間の立ち上がり部235はある程度腰が強いため、立ち上がり部235よりも上方に逆皿状をなしている中央部232が主に可撓変形して、油面との間に一定の距離を保って動作する。これらの結果、ケース6には極力多くの油L、例えば図4に示すようにケース6の鍔部64のぎりぎりの線まで油Lを充填することも可能である。一旦ケース6を可動膜23によって蓋封すれば、隆起空間S2も油Lの充填空間の一部となり、本実施形態では互いに連通した作動空間S1と隆起空間S2とで、押し除け部材たる油Lを導入し得る連通空間Sを形成している。なお油Lは長期間に酸化するが、空気の量を少なくすることで油Lの酸化防止にもつながる。
油Lは、先にケース6内を上方に開放した状態で充填し、シャフト52の上端部と可動膜23とを突き合わせ、マウントラバー22のフランジ部27にケース6の鍔部64と可動膜23の外周部231とを適宜のシール構造の下に挟み込んだ状態で液密に接続し、上の不凍液Fがケース6内に進入しないようにする。
以上に述べた本実施形態に係る防振装置1は、連通空間S内における空気の存在量を低減する液状の押し除け部材である油Lを導入したことにより、連通空間Sにおける空気の体積が減る分、可動膜23に臨む空間に存する空気を含めた熱膨張又は収縮を少なくでき、可動子5のオフセットずれを適切に抑制できるものとなる。すなわち従来では、アクチュエータ3の内部には空気、上の液封部2内には不凍液Fを充填していたところ、本実施形態ではアクチュエータ3に耐絶縁性、耐腐食性を備えた油Lを充填し、上の室内に不凍液Fを充填している。このように、油Lを入れることで油L自体が作動空間S1における熱媒体となって更に外部への熱の汲み出し効率を有効に向上せしめるものとなる。つまり、連通空間S内の空気の温度上昇を抑制する効果も奏している。その結果、可動膜23に作用する、作動時の温度状況や空気温度変化による空気の体積変化に起因した上記の圧力変動を抑えて、可動子5のオフセットずれを有効に防止し、適正な防振機能を発揮することができる。
また本実施形態では、アクチュエータ3側の可動子5と液封部2側の可動膜23とがシールを介さずにシャフト52で接続した状態に組み付けているので、アクチュエータ3と液封部2との境界におけるシャフト52と可動膜23との接続の便が向上するとともに油Lの充填容積も有効に拡大されたものとなっている。また、可動膜23の外壁面に臨む空間の圧力変化も有効に抑制できるものである。すなわち、このような作動空間S1と隆起空間S2がシールレスの構造の場合、接続構造が簡素になる反面、何らの手当てもしなければ可動子5の周辺の熱が空間的に連通する可動膜23側に回り込んで可動膜23の外壁面に臨む空間の圧力変化に影響を及ぼすところが大きくなるところ、本実施形態では液状の押し除け部材である油Lを充填して熱の汲み出し効果を高めているため、接続構造を簡素にしても圧力変動を適切に抑制することができるものとなっている。
さらに本実施形態では、作動空間S1の略全てを油Lで満たすことによって可動子5を駆動する固定子4側のコイル44のほぼ全部を浸漬した状態で油Lを充填している。これにより、アクチュエータ3の作動中に発熱するコイル44の熱を空気に比べて熱伝導が高い油Lを介してケーシング外、並びに可動膜23を介して液封部2外へ排出する構造が実現され、熱源であるコイル44からの熱の汲み出しを防振装置1の略全面から行わせることになるため、アクチュエータ3作動時の発熱をさらに有効に抑制することが可能になる。
特に本実施形態では、ケース6に上蓋を設けずに作動空間S1を可動子5とともに開放し、可動膜23を前記可動子5とともに前記作動空間S1を塞ぐ状態で組み付けることにより、アクチュエータ3と液封部2を渾然一体に作り込むようにしているため、空気の押し除けを、作動空間S1よりもより大きなスペース、つまり作動空間S1と隆起空間S2とによって構成される連通空間S全体を使って行わせることができる。
加えて本実施形態では、可動子5における液封部2に向けて最も突出した位置で可動膜23における突出方向に深絞り状つまり上に凸なる膨出形状に隆起する中央部232に組付け、この組付け位置が前記中央部232が隆起する寸法内で動作するようにしているため、より有効に油Lの充填容積を拡大せしめるとともに、可動膜23の動作が作動空間S1側に干渉することを回避できるものである。
さらにまた、本実施形態ではアクチュエータ3にレシプロタイプのリニアアクチュエータ3を採用しているので、斯かるアクチュエータ3が本来備えた機能である優れたオフセット調整機能をそのまま損なわずに有効に発揮できるものとなる。またこのレシプロタイプのアクチュエータ3を採用することで、ソレノイドタイプのものと比べ、幅広い周波数帯域、特に高い周波数をなす交流電流が印加されても正確に動作し得る特性も担保される。そのため、エンジンに起こるあらゆる振動に対し好適に応動し得る高性能のエンジンマウントとしての利用が可能になるものである。
特にレシプロタイプのアクチュエータ3を適用した場合、所定位置にある可動子5を磁気バネ作用とともに板ばね46により支持しているため、可動子5をより理想的な形でオフセットおよび線形動作させることができる。そして、この板ばね46もコイル44同様油Lに浸漬された状態で作動するため、板ばね46の接続箇所に起こる摩耗、いわゆるフレッティング摩耗が起こることも有効に回避することができるものであり、くわえて、板ばね46自体の動作により油Lの攪拌が促されるため、アクチュエータ3の熱の汲み出し効果は尚一層有効に高められるものである。
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば上記実施形態ではレシプロタイプのリニアアクチュエータを適用したが、リニアアクチュエータとしてソレノイドタイプのアクチュエータを適用してもよい。また勿論、油は上記実施形態のように作動空間の大部分に導入する態様でなくとも、少しでも油が導入されていれば、温度が変わってもオフセットずれが生じにくくなり、本発明の基本的効果を奏することができる。この場合にも、コイルの少なくとも一部を浸漬した状態で油が充填されていれば熱源を直接冷却することになるため、アクチュエータの発熱自体を抑える上で奏効するものとなる。
そのほか、上記実施形態ではシャフトと可動膜とのカップリングの部分を単なる嵌め合わせによるものとしたが、図5に示すように当該カップリング部分を、可動膜23の下面に取り付けた磁性材製の板材230とシャフト52の上端部54との間の磁力を利用して行うようにしてもよい。このようにすると、組み付け時に視認しづらい上に精密な作業を余儀なくされるカップリングの位置決め作業が、磁石の吸着を利用して速やかに且つ正確に実現されるものとなる。この場合、一旦吸着した後にシャフト52の上端部54と板材230との一体性を保つための適宜の手段や、長期使用により板材230が可動膜23を劣化させないための適宜の手段を、必要に応じて講じればよい。
さらに、押し除け部材は、耐絶縁、耐腐食を兼ね備えていれば勿論、油でなく他の液体であってもよい。また油に浸漬する態様であれば、板バネの代わりにすべり軸受にしても良い。
その他、各部の具体的な構成や適用対象等も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…防振装置
2…液封部
22…ゴム弾性体(マウントラバー)
23…可動膜
232…中央部
24…受圧室
25…入力端(取付部)
3…アクチュエータ
4…固定子
44…コイル
45a、45b…永久磁石
46…板ばね
5…可動子
52…シャフト
F…非圧縮性流体(不凍液)
L…押し除け部材(油)
S…連通空間
S1…作動空間

Claims (7)

  1. 対向配置されるゴム弾性体と可動膜との間に非圧縮性流体を封入した受圧室を有し、ゴム弾性体に加振源の振動を伝える入力端が接続された液封部と、作動空間に配置した可動子を進退動作させるアクチュエータとを、可動子の進退動作で可動膜を作動させるように組み付けて、入力端から液封部に入力される振動に対して防振を行うものであって、
    前記可動膜は、前記アクチュエータに接続する円環状の外周部と、当該外周部の内側で前記液封部に向けて深絞り状に隆起する中央部とを有し、当該中央部の下面側に上に向かって凸となる隆起空間を形成するものであり、
    前記可動膜が前記可動子とともに前記作動空間を塞ぐ状態で組み付けられ、前記可動子は前記液封部に向けて最も突出した位置で前記可動膜における前記中央部に組付けられており、当該組付け位置が前記中央部が隆起する寸法内で動作するものであって、
    前記作動空間及び前記隆起空間から形成される連通空間の何れかの箇所に、当該連通空間内における空気の存在量を低減する液状の押し除け部材を導入したことを特徴とする防振装置。
  2. アクチュエータ側の可動子を構成する可動子本体と液封部側の可動膜とがシールを介さずにシャフトで接続した状態に組み付けられ、液状の押し除け部材が少なくとも可動子の作動空間に導入されている請求項1記載の防振装置。
  3. 液状の押し除け部材が絶縁性及び耐腐食性を備え、少なくとも可動子を駆動するためのコイルの一部を浸漬した状態で充填されている請求項2記載の防振装置。
  4. 液状の押し除け部材が絶縁性及び耐腐食性を備え、可動子を駆動する固定子側のコイル
    のほぼ全部を浸漬した状態で充填されている請求項2記載の防振装置。
  5. 前記作動空間が上方側にのみ開放された液密な構造のケースの内部空間に設定されており、当該作動空間の略全てを前記液状の押し除け部材で満たすようにしていることを特徴とする請求項2記載の防振装置。
  6. アクチュエータがレシプロタイプであり、可動子と固定子に作動方向に沿って磁極を異ならせて配置された永久磁石との磁気的バランスによって前記可動子が所定位置にオフセットされるものである請求項1〜の何れかに記載の防振装置。
  7. 前記可動子が前記所定位置に板ばねとの協働作用によって支持されている請求項記載の防振装置。
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