JP5760121B2 - 現像剤及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、電子写真法、静電印刷法、及び磁気記録法等における静電荷像、磁気潜像を現像するための現像剤に関する。
多色画像を形成するトナーを構成する材料として、定着性、特に耐高温オフセットに優れた特性を持つエステルワックスや、耐低温オフセットに優れた特性を持つ結晶性ポリエステル樹脂が知られている。
例えば、エステルワックスを用いた場合、エステルワックスの直鎖が長いことから、耐低温オフセットに優れない問題がある。このエステルワックスに耐低温オフセットに優れる結晶性ポリエステル樹脂を組み合わせて使用した場合、トナーTgが大きく下がり、低温オフセットを改善できる。
しかしながら、エステルワックスと結晶性ポリエステルの融点の差が大きいと、ワックスの分散が悪化してしまい、現像剤中のキャリア表面をワックス成分で汚染し、ライフ中の帯電特性が悪化してしまうという問題があった。また逆にエステルワックスと結晶性ポリエステルの融点の差が小さいと、低温オフセットと高温オフセットの両立化が難しい。
特開2009−145572号公報 特許3287733号公報
本発明の実施形態は、低温定着、及びロングライフ化が可能な現像剤を得ることを目的とする。
実施形態によれば、着色剤、非結晶ポリエステル、示差走査熱量計における吸熱ピーク温度T2(℃)を有する結晶性ポリエステル、及び示差走査熱量計における吸熱ピーク温度T1(℃)を有するエステルワックスを含有するトナー粒子を含むトナーであって、
前記エステルワックスは、32ないし48の炭素数から選択される複数の炭素数を持つエステル化合物であって、各炭素数におけるイオン強度比を百分率で表わしたとき、その最大強度比を示す炭素数を持つエステル化合物の含有量は、前記エステルワックス全体の20ないし55重量%であり、かつ炭素数が38以下のエステル化合物の含有量が前記エステルワックス全体の10重量%以下であるとともに、15≦T2−T1≦50を満足し、前記トナー粒子表面に80ないし200nmの体積平均粒径を有する無機酸化物粒子が外添されていることを特徴とするトナーが提供される。
実施形態に係る画像形成装置である。
実施の形態によれば、着色材、非晶質ポリエステル、結晶性ポリエステル、及エステルワックスを含有するトナー粒子と、該トナー粒子表面に添加された無機酸化物粒子からなる添加剤とを含有するトナーを含む現像剤が提供される。
結晶性ポリエステルは、示差走査熱量計(DSC)測定における吸熱ピーク温度T2(℃)を有し、エステルワックスは、DSC測定における吸熱ピーク温度T1(℃)を有し、T1とT2は、下記式(1)を満足する。
15≦T2−T1≦50…(1)
無機酸化物粒子は、80ないし200nmの体積平均粒径を有する。
実施形態に用いられるポリエステル樹脂成分の原料モノマーとして、2価以上のアルコール成分と、2価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等のカルボン酸成分が用いられる。
2価アルコール成分としては、例えばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
2価のアルコール成分として、例えばビスフェノールA−アルキレン(炭素数2又は3)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜10)、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等があげられる。
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
好ましい3価以上のアルコール成分は、ソルビトール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等である。
実施形態においては、これらの2価のアルコール及び3価以上のアルコールから単独であるいは複数を併用して用いることができるが、特にビスフェノールA−アルキレン(炭素数2又は3)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜10)を主成分として使用することができる。
2価のカルボン酸成分としては、例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、もしくはn−ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸等のアルキルコハク酸、又はこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。
好ましい2価のカルボン酸成分としては、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸及び炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸である。
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸及びこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
好ましい3価以上のカルボン酸成分は、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)及びその酸無水物、アルキル(炭素数1〜12)エステル等である。
実施形態においては、これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸等から、単独であるいは複数を併用して用いることができる。特に2価のカルボン酸成分であるフマル酸、テレフタル酸、及び炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、3価以上のカルボン酸成分である1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)及びその酸無水物、アルキル(炭素数1〜12)エステル等を主成分として用いることができる。
ポリエステルの原料モノマーを重合させる際には、反応を促進させるため、酸化ジブチル錫、チタン化合物、ジアルコキシ錫(II)、酸化錫(II)、脂肪酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)等の通常使用されている触媒を適宜使用することができる。
実施形態に用いるエステルワックスとして、長鎖アルキルカルボン酸と長鎖アルキルアルコール成分から合成されるワックスを使用することができる。
エステルワックスとして、32ないし46の炭素数を持つアルキル基を有し、各炭素数におけるイオン強度比を百分率で表したとき、その最大強度比を示す炭素数を持つエステル化合物の含有量はワックス全体の20ないし55重量%であり、38以下の炭素数を有するエステル化合物の含有量がワックス全体の10重量%以下であるものを使用できる。
エステルワックスの添加量は、トナー粒子中に、例えば3〜17重量%にすることができる。
エステルワックスの添加量が3重量%未満であると、耐高温オフセットが悪化する傾向があり、17重量%を超えると、感光体へのトナー固着や高温環境下での保管性が悪化する傾向がある。
実施形態に用いる結晶性ポリエステル樹脂の酸成分としては、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びその酸無機物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中ではフマル酸が好ましい。アルコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレン、グリセリン、ペンタエリストール、トリメチロールプロパン等が挙げられ、これらの中では1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールがあげられる。
トナー粒子中に、結晶性ポリエステル樹脂は3〜35重量%添加することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の添加量が3重量%未満であると、耐低温オフセット性が悪化する傾向があり、35重量%を超えると、高温環境下での保管性が悪化する傾向がある。
実施形態において、軟化点と融解温度の比(軟化点/融解温度)が0.9から1.1であるポリエステル樹脂を、結晶性ポリエステル樹脂とする。
また、上記式(1)で表される、結晶性ポリエステルの示差走査熱量計(DSC)測定における吸熱ピーク温度T2(℃)と、エステルワックスのDSC測定における吸熱ピーク温度T1(℃)との差の絶対値が15℃未満であると、耐低温オフセットと耐高温オフセットの両立化が難しくオフセットしない温度領域が狭くなる傾向となり、50℃を超えると、ワックスの分散が悪化してしまい、現像剤中のキャリア表面をワックス成分で汚染し、ライフ中の帯電特性が悪化する傾向となる。
実施形態に用いる着色剤としては、カラートナー用途で用いられるカーボンブラックや有機もしくは無機の顔料や染料などが使用できる。実施形態において着色剤種に特別な制約は無いが、カーボンブラックではアセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラックなどを。また、顔染料としては、例えば、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、インドファストオレンジ、イルガジンレッド、カーミンFB、パーマネントボルドーFRR、ピグメントオレンジR、リソールレッド2G、レーキレッドC、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーンB、フタロシアニングリーン、キナクリドンなど。これらを単独で、あるいは混合して使用することもできる。また着色剤の添加量においても特別な制約は無いが、バインダー樹脂100重量部に対し、4〜15重量部にすることができる。
実施形態に用いる荷電制御剤は例えば含金属アゾ化合物があげられる。含金属アゾ化合物の金属元素として、鉄、コバルト、クロムの錯体、錯塩、あるいはその混合物が使用できる。また、含金属サリチル酸誘導体化合物、金属酸化物疎水化処理物も用いられ、金属元素として、ジルコニウム、亜鉛、クロム、ボロンの錯体、錯塩、あるいはその混合物を用いることができる。例えば、アルミニウムとマグネシウムを含むポリサッカライドの包接化合物を用いることができる。荷電制御剤の添加量においても特別な制約は無いが、バインダー樹脂100重量部に対し、0.5〜3重量部にすることができる。 荷電制御剤の添加量が0.5重量部未満であると、現像剤の帯電量が低下しロングライフ時に機体内のトナー飛散が悪化する傾向があり、3重量部を超えると、現像剤の帯電量が高くなり画像濃度不足や、現像剤中のキャリア表面への汚染が悪化し帯電性が不安定となる傾向がある。
原材料を混合、分散させる手段としては、例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられる。
また、混合物を粗粉砕する手段としては、例えば、ハンマーミル、カッターミル、ジェットミル、ローラーミル、ボールミルなどが使用可能である。また、粗粉砕物を微粉砕する手段としての粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製)が挙げられる。
また、微粉砕物を分級する分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日新エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられる。
実施形態においては、トナーの流動性や帯電性、保管特性を安定させるために、80ないし200nmの体積平均粒径を有する無機酸化物粒子からなる添加剤をトナー粒子表面に添加している。この無機酸化物粒子として、例えばシリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム、酸化錫等があげられる。少なくとも粒径の異なる2種以上の無機酸化物微粒子を混合して使用することができる。これら無機微粒子酸化物は環境安定性向上の観点から疎水化剤で表面処理されたものを使用することができる。
無機酸化物粒子の体積平均粒径が80nm未満であると、転写ベルト、又は紙へのトナー転写効率が悪化となり、200nmを超えると、感光体へキズの発生原因となる。
また、このような無機微粒子酸化物以外に1μm以下の樹脂微粒子をさらに添加することが出来る。
無機酸化物粒子は、0.1ないし3.0重量%添加することができる。
添加剤を混合する手段としては、前記混合機が用いられる。
粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製); ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
トナー粒子の形成は、例えばトナー粒子材料を溶融混練して混練物を形成し、
混練物を粉砕して粗く粒状化された混合物を形成し、
粗く粒状化された混合物を水系媒体と混合して分散液を作成し、
分散液を機械的せん断に供することにより、粗く粒状化された混合物の微粒子を形成し、
微粒子を分散液中で凝集させることにより行うことができる。
図1に、実施形態に係る現像剤を適用可能な画像形成装置の一例を表す概略図を示す、
図示するように、4連タンデム方式のカラー複写機MFP(e−studio 4520c)1は上方にスキャナ部2及び排紙部3を備える。
カラー複写機1は、中間転写ベルト(中間転写媒体)10の下側に沿って並列に配置されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4組の画像形成ステーション11Y、11M、11C及び11Kを有する。
各画像形成ステーション11Y、11M、11C及び11Kは、それぞれ感光体ドラム(像担持体)12Y、12M、12C及び12Kを有している。感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kの周囲には、その矢印S方向の回転方向に沿って帯電チャージャ13Y、13M、13C及び13K、現像装置14Y、14M、14C及び14K、及び感光体クリーニング装置16Y、16M、16C及び16Kを配置している。感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kの周囲の帯電チャージャ13Y、13M、13C及び13Kから現像装置14Y、14M、14C及び14Kに至る間には、レーザ露光装置(潜像形成装置)17による露光光が照射され、感光体ドラム12Y、12M、12C及び12K上に静電潜像を形成する。
現像装置14Y、14M、14C及び14Kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー及びキャリアからなる二成分現像剤を有し、感光体ドラム12Y、12M、12C及び12K上の静電潜像にトナーを供給する。
中間転写ベルト10は、バックアップローラ21、従動ローラ20及び第1〜第3のテンションローラ22〜24により張架される。中間転写ベルト10は、感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kに対向し接触する。中間転写ベルト10の感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kに対向する位置には、感光体ドラム12Y、12M、12C及び12K上のトナー像を中間転写ベルト10に1次転写するための、一次転写ローラ18Y、18M、18C及び18Kが設けられる。この一次転写ローラ18Y、18M、18C及び18Kはそれぞれ導電ローラであり、これら各一次転写部に一次転写バイアス電圧を印加する。
中間転写ベルト10のバックアップローラ21により支持される転写位置である二次転写部には、二次転写ローラ27が配置される。二次転写部では、バックアップローラ21が導電ローラであり、所定の二次転写バイアスが印加されている。印刷対象物のシート紙(最終転写媒体)が、中間転写ベルト10と二次転写ローラ27間を通過すると、シート紙上に、中間転写ベルト10上のトナー像が二次転写される。二次転写終了後、中間転写ベルト10はベルトクリーナ10aによりクリーニングされる。
レーザ露光装置17の下方には二次転写ローラ27方向にシート紙P1を供給する給紙カセット4を備えている。カラー複写機1の右側には手差しによりシート紙P2を給紙する手差し機構31を備える。
給紙カセット4から二次転写ローラ27に到る間には、ピックアップローラ4a、分離ローラ28a、搬送ローラ28b及びレジストローラ対36が設けられ、これらにより給紙機構を構成している。手差し機構31の手差しトレイ31aからレジストローラ対36に到る間には、手差しピックアップローラ31b、手差し分離ローラ31cが設けられる。
更に、給紙カセット4或いは手差しトレイ31aから二次転写ローラ27方向にシート紙を搬送する縦搬送路35上には、シート紙の種類を検知するメディアセンサ39が配置される。カラー複写機1は、メディアセンサ39による検知結果から、シート紙の搬送速度、転写条件、定着条件等を制御可能となっている。又、縦搬送路35方向に沿って、2次転写部の下流には定着装置30が設けられる。
給紙カセット4から取り出され、あるいは手差し機構31から給紙されるシート紙は、縦搬送路35に沿って、レジストローラ対36、二次転写ローラ27を経て、定着装置30に搬送される。定着装置30は、一対の加熱ローラ51及び駆動ローラ52に巻かれた定着ベルト53と、定着ベルト53を介して、加熱ローラ51に対向して配置された対向ローラ54とを有する。定着ベルト53及び対向ローラ54間に、二次転写部にて転写されたトナー像をもつシート紙を導入し、加熱ローラ51にて加熱を行うことにより、シート紙に転写されたトナー像を熱処理して定着する。定着装置30の下流には、ゲート33が設けられ、排紙ローラ41方向或いは、再搬送ユニット32方向に振り分ける。排紙ローラ41に導かれたシート紙は、排紙部3に排紙される。又再搬送ユニット32に導かれたシート紙は、再度二次転写ローラ27方向に導かれる。
画像形成ステーション11Yは、感光体ドラム12Yとプロセス手段を一体的に有し、画像形成装置本体に対して着脱自在に設けられている。プロセス手段とは、帯電チャージャ13Yと現像装置14Yと感光体クリーニング装置16Yの少なくとも1つを言う。画像形成ステーション11M、11C及び11Kも画像形成ステーション11Yと同様な構成である。各画像形成ステーション11Y、11M、11C及び11Kは、画像形成装置に対して各々着脱自在であっても良いし、一体の画像形成ユニット11として画像形成装置に対して着脱自在であっても良い。
以下、実施例を示し、実施形態をより具体的に説明する。
実施形態に用いた各種評価方法を下記に記す。
エステルワックスの調製例
攪拌器、熱電対、窒素導入管を取り付けた4つ口フラスコに長鎖アルキルカルボン酸成分80重量部、長鎖アルキルアルコール成分20重量部を入れ、窒素気流下、220℃でエステル化反応を行い、得られた反応物をトルエン、エタノール混合溶媒に希釈した後、水酸化ナトリウム水溶液を加え70℃で30分間撹拌した。その後、30分間静置して水層部を除去した。さらに、イオン交換水を加え70℃で30分間撹拌した後、30分間静置して水層部を除去する操作を5回繰り返し、得られたエステル層を減圧条件下で溶媒を留去し、酸価が0.1mgKOH/g、水酸基価が0.5mgKOH/gのエステルワックスAを得た。エステルワックスの構造式を下記式(1)に示す。
CH3(CH2)nCOO(CH2)mCH3(n、mは定数)…(1)
各エステルワックスは、長鎖アルキルカルボン酸の種類及び量と、長鎖アルキルアルコールの種類及び量とを変更することにより調製した。特に分布を広げる場合、長鎖アルキルカルボン酸成分、長鎖アルキルアルコール成分共に複数の種類を使用することで調整を行なった。
各エステルワックスのデータを表1に示す。
Figure 0005760121
長鎖アルキルカルボン酸成分
パルミチン酸 (C16322
ステアリン酸 (C18362
アラキデン酸 (C20402
ベヘニン酸 (C22442
リグノセリン酸 (C24482
長鎖アルキルアルコール成分
パルミチルアルコール (C1634O)
ステアリルアルコール (C1838O)
アラキデルアルコール (C2042O)
ベヘニルアルコール (C2246O)
リグノセリルアルコール(C2448O)
また、得られたエステルワックスの融点の測定にはDSC「DSC Q2000(ティー・エイ・インスツルメント製)」を使用する。試料:5mg、蓋及びパン:アルミナ、昇温速度:10℃/min、測定温度:20〜200℃の条件で行い、200℃まで加熱した試料を20℃以下まで冷却し、もう一度加熱して測定したものをデータとし、60℃付近から80℃付近までに発生する最大吸熱ピークをワックスの融点とする。
また、80℃付近から120℃付近までに発生する最大吸熱ピークを結晶性ポリエステル樹脂の融点とする。
得られたエステルワックスの質量分析はFD/MS「JMS−T100GC(日本電子製)」を使用する。試料:1mg(クロロホルム1mlに溶解)、カソード電圧:−10kv、スペクトル記録間隔:0.4s、測定質量範囲:m/z10−2000の条件で行い、エステル化合物の各炭素数の強度を合わせて100とし、各炭素数の相対強度を算出し、最大強度を確認した。
なお、ライスワックスを使用したエステルワックス(H)はC54を最大強度とした。
得られたエステルワックスの酸価、水酸基価の測定はJISK0070に沿って測定を行なった。
比較エステルワックス(D)の調製
ベヘニン酸及びベヘニルアルコールの配合量を増やし、C32からC46までの炭素数のうち、最大頻度となる炭素数のエステル化合物がワックス全体の60%以上の比較エステルワックス(D)を調製した。比較エステルワックス(D)のデータを表2に示す。
比較エステルワックス(E)の調製
ステアリン酸及びステアリルアルコールの配合量を増やし、炭素数38以下のエステル化合物がワックス全体の10%以上の比較エステルワックス(E)を調製した。比較エステルワックス(E)のデータを表2に示す。
比較エステルワックス(F)の調製
ステアリン酸及びステアリルアルコールの配合量を増やし、炭素数40のエステル化合物がワックス全体の20%未満の比較エステルワックス(F)を調製した。比較エステルワックス(F)のデータを表2に示す。
比較エステルワックス(G)の調製
酸成分としてパルチミン酸を、アルコール成分としてパルチミンアルコールのみを使用して比較エステルワックス(G)を調製した。比較エステルワックス(G)のデータを表2に示す。
比較エステルワックス(H)
ライスワックスを使用する。データを表3に示す。
Figure 0005760121
Figure 0005760121
定着オフセット評価
市販されているe−studio6530c(東芝テック製)の定着システム改造する事で、定着温度を130℃に設定し、ベタ画像を10枚取得する。その10枚にわずかでもオフセットや未定着による画像剥がれが発生しない場合を○、発生する場合を×とした。
ロングライフ化,トナー飛散
市販されているe−studio6530c(東芝テック製)を使用し印字率8.0%の原稿をA4連続で300000枚コピーしたとき、トナー飛散が原因で画像にトナー落ち等の汚れが確認されなかったものを○、確認されたものを×とした。
フィルミング
市販されているe−studio6530c(東芝テック製)を使用し印字率8.0%の原稿をA4連続で300000枚コピーしたとき、感光体上にトナー固着が原因で画像に白スジ等の画像不具合が確認されなかったものを○、確認されたものを×とした。
実施例1
ポリエステル樹脂(バインダー) 80重量部
結晶性ポリエステル樹脂 10重量部
エステルワックス(A) 3重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 1重量部
上記材料をヘンシェルミキサーにて混合した後、二軸押し出し機により溶融混練をした。得られた溶融混練物を冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、次いでジェット粉砕機で微粉砕、分級を行い、体積平均径7μm、トナーTg 38.9℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が24℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が82nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 0.8重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
得られたトナーを平均粒径40μmのシリコーン樹脂を表面コートしたフェライトキャリア100重量部に対し、6重量部の割合でターブラミキサーにて撹拌し、現像剤を得た。
得られた現像剤をフルカラー複写機の改造機にセットし、定着温度を130℃に設定し、トナー付着量:1.6mg/cm2となるベタ画像を10枚通紙し、オフセットが発生しているかどうかを確認した。その結果、オフセットが発生していない事が確認できた。さらに上記記載のロングライフ化、保存特性の品質特性を確認し、評価結果を表4にまとめた。尚、トナーTgは下記の装置、測定条件で求めた。
得られたトナーを0.5g秤量し、三角フラスコに入れた。その三角フラスコに塩化メチレン2mlを添加し、トナーを溶解させた。さらにヘキサン4mlを添加し、不溶物のろ過を行い、窒素気流下にて溶媒を留去し、析出物をワックス単体時と同様にFD/MS測定を行い、測定結果も表4にまとめた。
トナーTg
DSC「DSC Q2000(ティー・エイ・インスツルメント製)」を使用し、試料:5mg、蓋及びパン:アルミナ、昇温速度:10℃/min、測定温度:20〜200℃の条件で行い、200℃まで加熱した試料を20℃以下まで冷却し、もう一度加熱して測定したものをデータとして使用する。30〜60℃付近で発生する曲線の低温側と高温側の接線を引き、その延長線上の交点をTgとする。
実施例2
ポリエステル樹脂(バインダー) 84.5重量部
結晶性ポリエステル樹脂 3重量部
エステルワックス(A) 6重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 0.5重量部
上記材料を実施例1と同様に処理し、体積平均径7μm、トナーTg 43.4℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が32℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が82nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 1.5重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に、実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
実施例3
ポリエステル樹脂(バインダー) 62重量部
結晶性ポリエステル樹脂 20重量部
エステルワックス(A) 10重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 2重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 34.1℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が42℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が82nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 3重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
実施例4
ポリエステル樹脂(バインダー) 73重量部
結晶性ポリエステル樹脂 10重量部
エステルワックス(A) 10重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 1重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 35.6℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が24℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が155nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 0.8重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
実施例5
ポリエステル樹脂(バインダー) 84.5重量部
結晶性ポリエステル樹脂 3重量部
エステルワックス(B) 6重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 0.5重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 43.1℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が18℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が198nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 0.8重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
実施例6
ポリエステル樹脂(バインダー) 76重量部
結晶性ポリエステル樹脂 6重量部
エステルワックス(B) 10重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 2重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 40.2℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が26℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が198nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 1.5重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
実施例7
ポリエステル樹脂(バインダー) 87重量部
結晶性ポリエステル樹脂 3重量部
エステルワックス(B) 3重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 1重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 45.6℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が36℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が198nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 3重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
実施例8
ポリエステル樹脂(バインダー) 81.5重量部
結晶性ポリエステル樹脂 6重量部
エステルワックス(C) 6重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 0.5重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 41.6℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が31℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が155nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 1.5重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
実施例9
ポリエステル樹脂(バインダー) 72重量部
結晶性ポリエステル樹脂 10重量部
エステルワックス(C) 10重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 2重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 35.4℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が39℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が155nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 3.0重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
実施例10
ポリエステル樹脂(バインダー) 75重量部
結晶性ポリエステル樹脂 15重量部
エステルワックス(C) 3重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 1重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 35.9℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が49℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が82nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 0.8重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
実施例11
ポリエステル樹脂(バインダー) 63重量部
結晶性ポリエステル樹脂 20重量部
エステルワックス(C) 10重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 1重量部
上記材料をヘンシェルミキサーにて混合した後、二軸押し出し機により溶融混練をした。得られた溶融混練物を冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、次いでホソカワミクロン社製パルベライザを用いて更に粉砕し、平均体積粒径58μmの中砕粒子を得た。得られた中砕粒子30重量部、アニオン性界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックスG−15)1重量部、アミン化合物としてトリエチルアミン1重量部、イオン交換水68重量部をIKA社製ホモジナイザーにて攪拌し、混合液1を得た。
次に得られた混合液1を、加熱システム温度を120℃に設定したナノマイザー(吉田機械興業社製、YSNM−2000ARに加熱システムを追加)に投入し、処理圧力150MPaにて3回繰り返し処理を行った。冷却後得られた着色微粒子の体積平均粒径をSALD7000(島津製作所社製)にて測定した結果、0.7μmであった。微粒子分散液のpHは8.2であった。
次に、着色微粒子の固形分濃度が18%になるように希釈後、0.1Mの塩酸を滴下し、pHを調整した。分散液の温度は、30℃になるように制御した。pHが7.0になって時点で、粒径を測定した結果、0.85μmであった。さらに0.1M塩酸を滴下し、微粒子のζ電位が−30mVになった時点で滴下を終了した。この時のpHは3.9であった。
次に、上記分散液をパドル翼(500rpm)にて攪拌させながら、10℃/minの速度で80℃まで昇温し、80℃で1時間保持した。冷却後、分散液を一晩放置して上澄み液の状態を観察した結果、上澄み液は透明で、未凝集粒子は観測されなかった。また体積平均径を測定した結果、6μmであり、20μm以上の粗粒は観察されなかった。その後、真空乾燥機にて含水率が0.8重量%以下になるまで乾燥させ、体積平均径6μm、トナーTg 33.4℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が31℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が198nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 0.3重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
比較例1
ポリエステル樹脂(バインダー) 76重量部
結晶性ポリエステル樹脂 10重量部
エステルワックス(D) 6重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 2重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 40.1℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が11℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が155nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 1.5重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
比較例2
ポリエステル樹脂(バインダー) 80重量部
結晶性ポリエステル樹脂 2重量部
エステルワックス(D) 10重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(含金属サリチル酸誘導体) 2重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 50.5℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が24℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が75nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 1.5重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
比較例3
ポリエステル樹脂(バインダー) 60重量部
結晶性ポリエステル樹脂 25重量部
エステルワックス(E) 6重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 3重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 30.4℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が50℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。の粉体を得た。
平均一次粒子径が155nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 1.5重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
比較例4
ポリエステル樹脂(バインダー) 90.5重量部
結晶性ポリエステル樹脂 0重量部
エステルワックス(E) 2重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(含金属サリチル酸誘導体) 1.5重量部
結晶性ポリエステル樹脂を添加せずに、上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 57.4℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が82nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 0.7重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
比較例5
ポリエステル樹脂(バインダー) 66.5重量部
結晶性ポリエステル樹脂 20重量部
エステルワックス(F) 6重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 1.5重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 31.1℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が29℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が210nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 1.5重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
比較例6
ポリエステル樹脂(バインダー) 57重量部
結晶性ポリエステル樹脂 20重量部
エステルワックス(G) 15重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(含金属アゾ化合物) 2重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 30.1℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が57℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が155nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 1.5重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
比較例7
ポリエステル樹脂(バインダー) 76重量部
結晶性ポリエステル樹脂 10重量部
エステルワックス(H) 6重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(含金属アゾ化合物+ Al+Mgを含むポリサッカライド化合物)2重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 40.6℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が13℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が155nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 1.5重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
比較例8
ポリエステル樹脂(バインダー) 82重量部
結晶性ポリエステル樹脂 0重量部
エステルワックス(H) 10重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(含金属サリチル酸誘導体+ Al+Mgを含むポリサッカライド化合物)2重量部
結晶性ポリエステル樹脂を添加せずに、上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 54.1℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が155nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 1.5重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
比較例9
ポリエステル樹脂(バインダー) 82重量部
結晶性ポリエステル樹脂 0重量部
エステルワックス(A) 10重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 2重量部
結晶性ポリエステル樹脂を添加せずに、上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 38.5℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が155nmの単分散無機微粒子化合物
疎水性シリカ 1.5重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
比較例10
ポリエステル樹脂(バインダー) 69重量部
結晶性ポリエステル樹脂 20重量部
エステルワックス(B) 3重量部
着色剤(MA−100) 6重量部
帯電制御剤(Al+Mgを含むポリサッカライド化合物) 2重量部
上記材料を実施例1と同様に作成し、体積平均径7μm、トナーTg 32.4℃、結晶性ポリエステル融点とエステルワックス融点の差が13℃の粉体を得た。この粉体100重量部に対し、下記添加剤をヘンシェルミキサーにより添加混合してトナーを製造した。
平均一次粒子径が198nmの単分散無機微粒子化合物 3.2重量部
平均一次粒子径が30nmの疎水性シリカ 1重量部
平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン 0.5重量部
更に実施例1と同様に現像剤を作成し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。またトナーからワックスを抽出し、測定した結果も表4に示す。
Figure 0005760121
これらの実施形態又は実施例によれば、高温放置時にワックスが析出しにくく、且つ高温オフセットが良好なエステルワックスと低温オフセットが良好な結晶性ポリエステル樹脂を組み合わせたトナー粒子に特定の大きさの添加剤を組み合わせることにより、従来よりも低温定着化を実現でき、ロングライフ化を全て両立できるトナーが得られることがわかる。実施形態にかかる現像剤は、結晶性ポリエステル由来の融点温度とエステルワックス由来の融点温度との2つの融点温度を有する。またこの融点温度の差は15℃〜50℃と大きい方が低温定着化に対しては有効である。また、使用されるエステルワックスは、直鎖の短いアルキル基を持つエステルワックスを使用することで、トナー中のWax分散が良好となり、トナーのTgを通常のエステルワックスよりも下げることが可能である。これにより低温でも定着性が良好となる。
結晶性ポリエステル樹脂とエステルワックスを同時に使用することの弊害として、トナーがキャリア表面を汚染してしまい、ライフ中の帯電特性が悪化する傾向があることがあげられる。これに対し、実施形態に係る現像剤は、トナー粒子表面に、比較的粒子径の大きい添加剤が添加されているので、トナー表面とキャリア表面の接触確率を下げることが可能となり、低温定着、ロングライフ化の両立ができるという知見が得られた。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…カラー複写機、10…中間転写ベルト、11Y、11M、11C…画像形成ステーション、12Y、12M、12C及び12K…感光体ドラム、14Y、14M、14C及び14K…現像装置。

Claims (5)

  1. 着色剤、非結晶ポリエステル、示差走査熱量計における吸熱ピーク温度T2(℃)を有する結晶性ポリエステル、及び示差走査熱量計における吸熱ピーク温度T1(℃)を有するエステルワックスを含有するトナー粒子を含むトナーであって、
    前記エステルワックスは、32ないし48の炭素数から選択される複数の炭素数を持つエステル化合物であって、各炭素数におけるイオン強度比を百分率で表わしたとき、その最大強度比を示す炭素数を持つエステル化合物の含有量は、前記エステルワックス全体の20ないし55重量%であり、かつ炭素数が38以下のエステル化合物の含有量が前記エステルワックス全体の10重量%以下であるとともに、15≦T2−T1≦50を満足し、前記トナー粒子表面に80ないし200nmの体積平均粒径を有する無機酸化物粒子が外添されていることを特徴とするトナー。
  2. 前記各炭素数におけるイオン強度比は、FD/MS測定を行って得られる請求項1に記載のトナー。
  3. 前記エステルワックスは、トナー粒子中に3ないし17重量%含まれる請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記結晶性ポリエステルは、トナー粒子中に3ないし35重量%含まれる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のトナーを使用することを特徴とする画像形成装置。
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