JP5929255B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等における静電複写プロセスの画像形成に用いられる静電荷現像用のトナーに関する。
従来、複写機およびプリンター用のトナーにおいて、複写機の高速化、省エネルギー化が要望されている。これに対応すべく、低温定着性に優れたトナーの開発が進められている。低温定着を達成するために、トナーの軟化剤として結晶性樹脂を用いること、ならびに離型剤として低融点ワックスを用いたトナーが提案されている(特許文献1、2)。
しかしながら、上記低温定着性の改善策として、結晶性ポリエステルを含有させることによるトナーの低融点化により、高温離型性の悪化が懸念されるがこの点については上記特許文献には特に記載されていない。また、低融点ワックスを用いたトナーを使用した複写機において、連続印刷を行った際に、ワックスベーパーにより複写機内の光学系部品などが汚染され、画像欠陥が発生するという問題が発生している。
また、ワックスベーパー対策として、マイクロクリスタリンワックスを用いることも提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、ワックスベーパー抑制のための高い効果を得るためには、高度精製したマイクロクリスタリンワックスを使用する必要がある。その場合、樹脂との相溶性が悪く、トナーの粉体流動性や保存性に悪影響を及ぼし、画像欠陥が発生する危険性がある。
また、上記問題に対して、樹脂との相溶性が高いモノエステルワックスを用いることにより低温定着性と耐高温ホットオフセット性を改善する方法が提案されている(特許文献4、5)。しかしながら、これらの特許文献4、5には、モノエステルワックスと同様に樹脂と相溶性が高い結晶性樹脂を併用した際に懸念される、モノエステルワックスと結晶性樹脂の相溶、分離に関する不具合については言及されていない。
また、上記問題に対して、結晶性樹脂とワックスとの相溶、分離に関して吸熱量の制御により、制御する方法が提案されている(特許文献6参照)。しかしながら、特許文献6では具体的に結晶性樹脂とワックスをどのように制御することで、吸熱量を狙いの値に制御するかその方法については言及されておらず、またワックスベーパー抑制については言及されていない。
本発明は上記課題を鑑み、低温定着性、高温耐ホットオフセット性、高離型性、耐熱保存性に優れ、機内汚染性の少ないトナーの提供することを目的とする。
本発明者等が鋭意検討を進めた結果、トナーが結着樹脂として特定の結晶性のポリエステルを含有する結着樹脂を含有し、離型剤として特定のモノエスレルワックスを含有することにより上記課題を解決することができることを見いだして本発明を完成した。
すなわち、本件発明は以下に記載する通りの静電荷像現像用トナーに係るものである。
(1)少なくとも結着樹脂と離型剤とを含有し、前記結着樹脂が結晶性樹脂を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記結晶性樹脂が、最大の炭素数が12以下である脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮重合させて得られる結晶性ポリエステルであり、
前記離型剤が、下記式(I)、
−COO−R ・・・ (I)
(式中、R及びRはそれぞれ直鎖状アルキル基を示し、R及びRは同一であっても異なっていてもよい。)
で表され、炭素数が38以下であるものの含有量が4.0%以下であるモノエステルワックスであって、
示差走査熱量測定における、
1回目の昇温過程での、
低温側の吸熱ピークに基づく吸熱量をΔHl1、
高温側の吸熱ピークに基づく吸熱量をΔHh1、
2回目の昇温過程での、
低温側の吸熱ピークに基づく吸熱量をΔHl2、
高温側の吸熱ピークに基づく吸熱量をΔHh2
としたとき、
下記式(1)及び式(2)
ΔHl2/ΔHl1≦0.25・・・ 式(1)
0.95≦ΔHh2/ΔHh1・・・ 式(2)
の関係を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(2)前記モノエステルワックスにおける炭素数がC44であるものの含有率が45%〜55%であることを特徴とする(1)に記載の静電荷像現像用トナー。
(3)前記離型剤の示差熱・熱重量同時測定による165℃での質量減少率が3.5質量%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の静電荷現像用トナー。
(4)前記モノエステルワックスの[酸価+水酸基価]が15mgKOH/g以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
(5)前記結晶性樹脂の融点及び前記離型剤の融点が50℃以上90℃以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
(6)前記結晶性樹脂の融点と前記離型剤の融点が55℃以上85℃以下であることを特徴とする(5)に記載の静電荷現像用トナー。
(7)前記結晶性樹脂の融点と前記離型剤の融点が60℃以上80℃以下であることを特徴とする(6)に記載の静電荷現像用トナー。
(8)前記結晶性樹脂の融点をTmc[℃]とし、前記離型剤の融点をTmw[℃]としたとき、両者の差ΔTm[℃]が下記の関係を満たすことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
ΔTm=|Tmc−Tmw|<10℃
(9)前記モノエステルワックスが前記結着樹脂100質量部あたり4〜40質量部含有されていることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
(10)有機溶媒中に、少なくとも結晶性樹脂を含む結着樹脂及び/又は結着樹脂前駆体、離型剤、着色剤を溶解又は分散させ、前記溶解液又は分散液からなる油相を、水系媒体中に分散させて乳化分散液を得、トナー粒子を造粒することにより得られることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
本発明によれば、低温定着性、高温耐ホットオフセット性、高離型性、耐熱保存性に優れ、機内汚染性の少ないトナーを提供することができる。
以下に本発明において好適なトナーについて説明する。
本発明のトナーは少なくとも結着樹脂と結晶性樹脂と離型剤とを含有し、前記結晶性樹脂が、最大の炭素数が12以下である脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮重合させて得られる結晶性ポリエステルであり、前記離型剤が、下記式(I)
−COO−R ・・・ (I)
(式中、R及びRはそれぞれ直鎖状アルキル基を示し、R1及びR2は同一であっても異なっていてもよい。)
で表され、炭素数が38以下であるものの含有量が4.0%以下であるモノエステルワックスであって、
示差走査熱量測定における、
1回目の昇温過程での、
低温側の吸熱ピークに基づく吸熱量をΔHl1、
高温側の吸熱ピークに基づく吸熱量をΔHh1、
2回目の昇温過程での、
低温側の吸熱ピークに基づく吸熱量をΔHl2、
高温側の吸熱ピークに基づく吸熱量をΔHh2
としたとき、
下記式(1)及び式(2)
ΔHl2/ΔHl1≦0.25・・・ 式(1)
0.95≦ΔHh2/ΔHh1・・・ 式(2)
の関係を満たすことを特徴とする。
本発明においては、結晶性樹脂として最大の炭素数が12以下である脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮重合させて得られる結晶性ポリエステルを用いる。脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸の炭素数が12より大きくなると、モノエステルワックスとの構造類似性から、モノエステルワックスとの親和性が強まるため、トナー中のモノエステルワックスが結晶性ポリエステルの周囲へ偏在してしまい、非晶性ポリエステルとの相溶化を阻害して低温定着性を悪化させてしまう。さらには結晶性ポリエステルとモノエステルワックスとが相溶化し、非晶化し、トナーの耐熱保存性を悪化させるとともに、結着樹脂の非晶性ポリエステル樹脂と相溶されるべき結晶性ポリエステル量が減少することにより、低温定着性が悪化してしまう。
本発明の離型剤としてモノエステルワックスを用いるのは、ポリエステル樹脂との構造類似性から、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルと親和性が高いため、トナー中における分散が均一で、表面や内部に偏在しにくく、最適な配置を行うことが可能となるためである。
またモノエステルワックスは一般的に高級アルコール成分と同じく高級カルボン酸成分から合成される。このため天然由来のパラフィンワックスに比べ、分子量分布の制御が容易であり、分子量分布がシャープなものが作れる。分子量がシャープであれば、低粘性で不純物や低分子成分などの無いワックスが得られるためである。これら高級アルコールや高級カルボン酸成分は、通常天然物から得られることが多く一般的には、偶数の炭素数を有する混合物から構成されている。
これら混合物をそのままエステル化した場合、目的とするエステル化合物の他に各種の類似構造物を持つ副生成物を副生するために、トナーの各特性に悪影響を及ぼしやすい。
特にモノエステルワックスの炭素数38以下のものが副生成物として含まれ易くこれが、ワックスベーパーとして定着時に発生し、機内汚染の原因となることがある。モノエステルワックス由来のワックスベーパーは原材料や生成物を溶剤抽出や減圧蒸留操作を用いて精製することで、減らすことができ、炭素数38以下のものの含有量が4.0%以下であるときに、機内汚染性が低い理想的なエステルワックスを得ることができる。
また本トナーにはモノエステルワックスは結着樹脂100質量部に対して4〜40質量部添加されることが好ましい。4質量部より少ないと、高温オフセット性が悪化するし、40質量部より多いと、表面に露出するワックス量が相対的に増加するため、長期ランニングにおいて、帯電部材への付着、いわゆるスペントが生じやすくなるため、帯電不良による地汚れなどの異常画像やトナー飛散が発生する。
また、本発明のトナーに用いるモノエステルワックスの融点は好ましくは50℃から90℃、より好ましくは55℃から85℃、さらにより好ましくは60℃〜80℃である。
モノエステルワックスの融点は例えば示差走査型熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線により決定することができる。なおDSC曲線は,TA−60WS及びDSC−60(島津製作所社製)を用いて測定することにより得られる。
なお、測定条件については後述する。
モノエステルワックスの融点が50℃から90℃とすることが好ましいのは、50℃以上であることにより高温保管でトナーが固化したり、高温下でのランニングで帯電低下などが発生したりすることがないからであり、一方90℃以下であることにより、高温離型性が悪くなることがなく、定着部材との分離性が悪化することがないからである。
また本発明のトナーに用いられるモノエステルワックスは炭素数分布C44が45%〜55%であることが好ましい。炭素数は、キャピラリーカラムを取り付けたガスクロマトグラフ装置(高感度TGAのティー・エイ・インスツルメント製TGA装置モデルQ5000IR型)により測定した。なお、炭素数分布はガスクロマトグラムチャート上のピーク面積の総和に対する炭素数44の、直鎖状モノエステルのピーク面積の百分率を計算して求めた。
なお、本発明でいう炭素数分布C44とは、モノエステルワックスを構成する分子のうち炭素数が44である分子の割合を示す。
本発明のワックスの炭素数分布C44の比率を45%以上とするのは、C44の比率が45%以上であることにより分布がブロードにならず、耐熱保存性やスペントに悪影響を与えたり、定着時の分離性が悪化したりすることがないからである。一方55%以下であることにより、分布がシャープにならず、ワックス固体の強度が弱くてやわらかくなることがないため、表面に存在するワックスの影響により帯電部材へのスペントが発生することがないからである。
さらに本発明に用いられるモノエステルワックスの炭素数分布C38は4.0%以下である。C38の炭素数百分率は上記同様に求められる。C38を4.0%以下とするのは、4.0%より大きいとトナー加熱時に揮発成分が揮発し、複写機内の汚染などが生じ、露光部や帯電部が汚染した場合、ベタムラなどの異常画像が発生するからである。
離型剤の示差熱・熱重量同時測定による165℃での質量減少率が3.5質量%以下であることが好ましい。
質量減少率とは、示差熱・熱重量同時測定装置(以下、TG−DTA)により大気下および窒素下、20℃〜400℃(昇温速度:4℃/分)まで温度を上げた時の165℃における離型剤の減量重量の全体に対する割合であり、以下のようにして測定する。
(質量減少率)
測定するサンプルを約10mg秤量し、アルミニウム製パンに入れ、60℃で24時間真空乾燥した後改めてサンプル重量を測定し、アルミニウム製パンを用いて、示差熱・熱重量同時測定計(セイコーインスツルメンツ社製 TG/DTA6200型)によって測定した。測定においては大気下または窒素下で20℃から400℃まで4℃/分の速度で昇温した時の165℃における減量重量の全体に対する割合を求め、質量減少率(%)とする。
また本発明に用いられる結着樹脂の重量平均分子量は3000から30000であることが好ましい。
本発明において,ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ,この温度におけるカラムに,溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し,試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては,試料の有する分子量分布を,数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては,Pressure Chemical co.製あるいは,東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10,2.1×10,4×10,1.75×10,5.1×10,1.1×10,3.9×10,8.6×10,2×10,4.48×10のものを用い,少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また,検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては,1×10〜2×10の分子量領域を適確に測定するために,市販のポリスチレンゲルカラムを複数組合せるのが良く,例えば,Waters社製のμ−StyraGel 500,103,104,105の組合せや,昭和電工社製のShOdexKA−801,802,803,804,805,806,807の組合せが好ましい。
重量平均分子量を3000から30000であることが好ましいのは、3000以上であることにより耐熱保存性が良く、高温高湿下での長期ランニングにおいて帯電部材へのスペントが発生することがないからである。一方、30000以下であることにより低温定着性が良好となり、定着時に低温オフセットが発生することがないからである。
本発明に用いられる結着樹脂としては,ポリエステル樹脂,ビニル系樹脂,エポキシ樹脂などが挙げられる。なかでも少なくともポリエステル系樹脂及びビニル系樹脂が帯電特性及び定着性でより好ましく、最も好ましいものが結晶性ポリエステルとモノエステルワックスと構造類似性を示す非晶性ポリエステル樹脂である。
本発明に用いられる非晶性および結晶性ポリエステル樹脂は顔料および離型剤の分散性の観点より、ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物をポリエステル樹脂を重合するときに用いるジオール成分に対して50モル%以上含有することが好ましい。更に好ましいのは70モル%以上、更に好ましいのは80モル%以上である。ジオール成分としてプロピレンオキサイド付加物が一定以上含有したポリエステル樹脂と所定の酸価、アミン価を有するポリエステル誘導体である高分子分散剤を組み合わせたときに顔料分散性が優れ、またトナーの色再現性が向上する。この理由は定かでないが、恐らくポリエステル樹脂と高分子分散剤の親和性が高まり顔料を安定化すると考えられる。
ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物以外のアルコール類、及び酸類は、ポリエステル樹脂のガラス転移点、分子量、軟化点等を考慮して任意に選択できる。水酸基価、酸価は3価以上のアルコール、酸を添加することで任意に調整が出来る。
ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物以外のジオール成分としては、エチレ
ングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン基を有するジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;脂環式ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ビスフェノール類に、エチレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。なお、アルキレングリコールの炭素数は、2〜12であることが好ましい。これらの中でも、炭素数が2〜12であるアルキレングリコール又はビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物又はビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物と炭素数が2〜12のアルキレングリコールの混合物が特に好ましい。
また、三価以上のアルコールも使用が出来、三価以上のアルコールとしては、三価以上の脂肪族アルコール、三価以上のポリフェノール類、三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物等を用いることができる。三価以上の脂肪族アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。三価以上のポリフェノール類の具体例としては、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物の具体例としては、三価以上のポリフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等が挙げられる。
酸成分としてはポリカルボン酸が挙げられる。ポリカルボン酸は、目的に応じて適宜選択することができ、ジカルボン酸、三価以上のカルボン酸、ジカルボン酸と三価以上のカルボン酸の混合物等を用いることができるが、ジカルボン酸又はジカルボン酸と少量の三価以上のポリカルボン酸の混合物が好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸の具体例としては、二価のアルカン酸、二価のアルケン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。二価のアルカン酸の具体例としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。二価のアルケン酸の炭素数は、4〜20であることが好ましく、具体的には、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸の炭素数は、8〜20であることが好ましく、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、炭素数が4〜20の二価のアルケン酸又は炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
三価以上のカルボン酸としては、三価以上の芳香族カルボン酸等を用いることができる。三価以上の芳香族カルボン酸の炭素数は、9〜20であることが好ましく、具体的には、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸、三価以上のカルボン酸及びジカルボン酸と三価以上のカルボン酸の混合物のいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステルを用いることもできる。低級アルキルエステルの具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
ジカルボン酸と三価以上のカルボン酸を混合して用いる場合、ジカルボン酸に対する三価以上のカルボン酸の質量比は、0.01〜10%であることが好ましく、0.01〜1%がより好ましい。
ポリオールとポリカルボン酸を重縮合させる際の混合比は、ポリカルボン酸のカルボキシル基に対するポリオールの水酸基の当量比は、通常、1〜2であることが好ましく、1〜1.5がより好ましく、1.02〜1.3が特に好ましい。
また、本発明のトナーは好誼に結着樹脂前駆体を架橋反応及び/又は伸長反応させ、有機溶剤を除去することを特徴としている。
架橋反応及び/又は伸長反応には活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体は、活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂等が好適に用いられる。
活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂は、活性水素基に対する反応性を有する重合体としてのイソシアネート基を有するポリエステルが好ましい。なお、イソシアネート基含有ポリエステル樹脂と活性水素基を有する化合物を反応させる際にアルコール類を添加することにより、ウレタン結合を形成してもよい。このようにして生成するウレア結合に対するウレタン結合のモル比(イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーが有するウレタン結合と区別するため)は、0〜9であることが好ましく、1/4〜4であることがより好ましく、2/3〜7/3が特に好ましい。この比が9より大きいと、耐ホットオフセット性が低下することがある。
活性水素基を有する化合物は、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体が水系媒体中で伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。活性水素基の具体例としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられる。なお、活性水素基は、単独であってもよいし、二種以上の混合物であってもよい。
活性水素基を有する化合物は、目的に応じて適宜選択することができるが、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体がイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーである場合には、ポリエステルプレポリマーと伸長反応、架橋反応等により高分子量化できることから、アミン類が好適である。
アミン類は、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的には、ジアミン、三価以上のアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸及びこれらのアミノ基をブロックしたもの等が挙げられるが、ジアミン及びジアミンと少量の三価以上のアミンの混合物が好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
ジアミンとしては、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン等が挙げられる。芳香族ジアミンの具体例としては、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。脂環式ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。脂肪族ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。三価以上のアミンの具体例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。
アミノアルコールの具体例としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられる。アミノメルカプタンの具体例としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。アミノ酸の具体例としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。アミノ基をブロックしたものの具体例としては、アミノ基を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類でブロックすることにより得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物等が挙げられる。
なお、活性水素基を有する化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体の伸長反応、架橋反応等を停止させるには、反応停止剤を用いることができる。反応停止剤を用いると、接着性基材の分子量等を所望の範囲に制御することができる。反応停止剤の具体例としては、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等のモノアミン及びこれらのアミノ基をブロックしたケチミン化合物等が挙げられる。
アミン類のアミノ基の当量に対するポリエステルプレポリマーのイソシアネート基の当量の比は、1/3〜3であることが好ましく、1/2〜2がより好ましく、2/3〜1.5が特に好ましい。この比が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3を超えると、ウレア変性ポリエステル系樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が低下することがある。
活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体(以下「プレポリマー」と称することがある)は、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びこれらの誘導体等が挙げられる。中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
プレポリマーが有する活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、イソシアネート基、エポキシ基、カルボンキシル基、化学構造式 −COCl
で示される官能基等が挙げられるが、中でも、イソシアネート基が好ましい。プレポリマーは、このような官能基の一つを有してもよいし、二種以上を有してもよい。
プレポリマーとしては、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に、定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構の無い場合でも良好な離型性及び定着性を確保できることから、ウレア結合を生成することが可能なイソシアネート基等を有するポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
イソシアネート基を含有するポリエステルプレポリマーは、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、ポリオールとポリカルボン酸を重縮合することにより得られる活性水素基を有するポリエステル樹脂と、ポリイソシアネートの反応生成物等が挙げられる。
ポリオールは、目的に応じて適宜選択することができ、ジオール、三価以上のアルコール、ジオールと三価以上のアルコールの混合物等を用いることができるが、ジオール又はジオールと少量の三価以上のアルコールの混合物が好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン基を有するジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;脂環式ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ビスフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。なお、アルキレングリコールの炭素数は、2〜12であることが好ましい。これらの中でも、炭素数が2〜12であるアルキレングリコール又はビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物又はビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物と炭素数が2〜12のアルキレングリコールの混合物が特に好ましい。
三価以上のアルコールとしては、三価以上の脂肪族アルコール、三価以上のポリフェノール類、三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物等を用いることができる。三価以上の脂肪族アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。三価以上のポリフェノール類の具体例としては、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物の具体例としては、三価以上のポリフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等が挙げられる。
ジオールと三価以上のアルコールを混合して用いる場合、ジオールに対する三価以上のアルコールの質量比は、0.01〜10%であることが好ましく、0.01〜1%がより好ましい。
ポリカルボン酸は、目的に応じて適宜選択することができ、ジカルボン酸、三価以上のカルボン酸、ジカルボン酸と三価以上のカルボン酸の混合物等を用いることができるが、ジカルボン酸又はジカルボン酸と少量の三価以上のポリカルボン酸の混合物が好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸の具体例としては、二価のアルカン酸、二価のアルケン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。二価のアルカン酸の具体例としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。二価のアルケン酸の炭素数は、4〜20であることが好ましく、具体的には、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸の炭素数は、8〜20であることが好ましく、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、炭素数が4〜20の二価のアルケン酸又は炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
三価以上のカルボン酸としては、三価以上の芳香族カルボン酸等を用いることができる。三価以上の芳香族カルボン酸の炭素数は、9〜20であることが好ましく、具体的には、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。 ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸、三価以上のカルボン酸及びジカルボン酸と三価以上のカルボン酸の混合物のいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステルを用いることもできる。低級アルキルエステルの具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。ジカルボン酸と三価以上のカルボン酸を混合して用いる場合、ジカルボン酸に対する三価以上のカルボン酸の質量比は、0.01〜10%であることが好ましく、0.01〜1%がより好ましい。
ポリオールとポリカルボン酸を重縮合させる際の混合比は、ポリカルボン酸のカルボキシル基に対するポリオールの水酸基の当量比は、通常、1〜2であることが好ましく、1〜1.5がより好ましく、1.02〜1.3が特に好ましい。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー中のポリオール由来の構成単位の含有量は、0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が特に好ましい。この含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が低下し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が低下することがある。
ポリイソシアネートは、目的に応じて適宜選択することができるが、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトカプロン酸メチル、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。脂環式ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。芳香族ジイソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3−メチルジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−ジフェニルエーテル等が挙げられる。芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。イソシアヌレート類の具体例としては、トリス(イソシアナトアルキル)イソシアヌレート、トリス(イソシアナトシクロアルキル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネートと、水酸基を有するポリエステル樹脂を反応させる場合、ポリエステル樹脂の水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比は、通常、1〜5であることが好ましく、1.2〜4がより好ましく、1.5〜3が特に好ましい。当量比が5を超えると、低温定着性が低下することがあり、1未満であると、耐オフセット性が低下することがある。
イソシアネート基を含有するポリエステルプレポリマー中のポリイソシアネート由来の構成単位の含有量は、0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。この含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が低下することがあり、40質量%を超えると、低温定着性が低下することがある。
ポリエステルプレポリマーが一分子当たりに有するイソシアネート基の平均数は、1以上であることが好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい。この平均数が、1未満であると、ウレア変性ポリエステル系樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が低下することがある。
油相における前記ジオール成分中にビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物を50モル%以上含有し、特定の水酸基価と酸価を有するポリエステル樹脂に対するイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーの質量比は、5/95〜25/75であることが好ましく、10/90〜25/75がより好ましい。質量比が、5/95未満であると、耐ホットオフセット性が低下することがあり、25/75を超えると、低温定着性や画像の光沢性が低下することがある。
したがって、トナーに含有される接着性基材の具体例としては、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物(ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物混合比率が50モル%以上)及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物(ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物混合比率が50モル%以上)及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸/ドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物(ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物混合比率が50モル%以上)及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物:ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸、トリメリット酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをアミノ基をケトン類でブロックしたケチミン化合物でウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物(ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物混合比率が50モル%以上)及びテレフタル酸、アジピン酸、トリメリット酸の重縮合物との混合物等が挙げられる。
また、本発明のトナーには荷電制御剤を好誼に用いても良い。荷電制御剤としては,以下のものが挙げられる。
トナーを負荷電性に制御するものとして,例えば有機金属錯体,キレート化合物が有効である。モノアゾ金属錯体,芳香族ヒドロキシカルボン酸,金属錯体,芳香族ジカルボン酸系の金属錯体が挙げられる。他には,芳香族ハイドロキシカルボン酸,芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩,無水物,エステル類,ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙げられる。
本発明に用いられる着色剤としては,カーボンブラックチタンホワイトの如き無機顔料,有機顔料及び/又は染料を用いることができる。
例えば本発明のトナーをカラートナーとして使用する場合には,染料としては,C.I.ダイレクトレッド1,C.I.ダイレクトレッド4,C.I.アシッドレッド1,C.I.ベーシックレッド1,C.I.モーダンレッド30,C.I.ダイレクトブルー1,C.I.ダイレクトブルー2,C.I.アシッドブルー9,C.I.アシッドブルー15,C.I.ベーシックブルー3,C.I.ベージックブルー5,C.I.モーダントブルー7,C.I.ダイレクトグリーン6,C.I.ベーシックグリーン4,C.I.ベーシックグリーン6がある。顔料としては,黄鉛,カドミウムイエロー,ミネラルファストイエロー,ネーブルイエロー,ナフトールイエローS,ハンザイエローG,パーマネントイエローNCG,タートラジンレーキ,赤口黄鉛,モリブデンオレンジ,パーマネントオレンジGTR,ピラゾロンオレンジ,ベンジジンオレンジG,カドミウムレッド,パーマネントレッド4R,ウオッチングレッドカルシウム塩,エオシンレーキ,ブリリアントカーミン3B,マンガン紫,ファストバイオレットB,メチルバイオレットレーキ,紺青,オバルトブルー,アルカリブルーレーキ,ビクトリアブルーレーキ,フタロシアニンブルー,ファーストスカイブルー,インダンスレンブルーBC,クロムグリーン,酸化クロム,ピグメントグリーンB,マラカイトグリーンレーキ,ファイナルイエローグリーンGがある。
本発明のトナーを二成分フルカラー現像剤用トナーとして使用する場合には,次の様なものが挙げられる。マゼンダ用着色顔料としては,C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209,269,C.I.ピグメントバイオレット19,C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。
顔料を単独で使用しても構わないが,染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させても良い。マゼンタ用染料としては,C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121,C.I.ディスパースレッド9,C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27,C.I.ディスパースバイオレット1の如き油溶染料,C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40,C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28の如き塩基性染料が挙げられる。
その他の着色顔料として,シアン用着色顔料としては,C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17,C.I.バットブルー6,C.I.アシッドブルー45又は下記式で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
イエロー用着色顔料としては,C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,74,83,185,C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。
非磁性着色剤の使用量は結着樹脂100質量部に対して,3〜20質量部好ましくは4〜15質量部である。
本発明のトナーは,重量平均粒径が4〜7μmであることが好ましい。4μmより小さいと、未転写トナーのクリーニング性が著しく低下し、画像汚れなどが発生する。一方、7μより大きいと粒状性などの画質が低下する。
また本発明のトナーは、好ましくは体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.40以下である。1.40より大きいと分布が悪いため、添加剤の被覆率にむらがでるため、転写性や保存性が悪化する。なお本発明のトナーは、平均円形度が、0.93〜0.98であることが好ましく、より好ましくは0.95〜0.97である。0.93より小さいと円形度が低すぎるため、転写性が悪く粒状性の低いトナーとなることがあり、一方、0.98より大きいと、丸すぎるため転写残トナーのクリーニング性が悪く、クリーニング不良などの異常画像が発生することがある。
次にトナーの製造方法の一例として、接着性基材を生成しながら、トナー母粒子を形成する方法を以下に示す。このような方法においては、水系媒体相の調製、トナー材料を含有する油相の調製、トナー材料の乳化又は分散、接着性基材の生成、溶媒の除去、活性水素基に対する反応性を有する重合体の合成、活性水素基を有する化合物の合成等を行う。水系媒体の調製は、樹脂粒子を水系媒体に分散させることにより行うことができる。樹脂粒子の水系媒体中の添加量は、0.5〜10質量%が好ましい。
トナー材料を含有する油相の調製は、溶媒中に、活性水素基を有する化合物、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体、着色剤、離型剤、帯電制御剤、前記ポリエステル樹脂等のトナー材料を、溶解又は分散させることにより行うことができる。 なお、トナー材料の中で、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体、着色剤、ポリエステル樹脂以外の成分は、樹脂粒子を水系媒体に分散させる際に水系媒体中に添加混合してもよいし、トナー材料を含有する油相を水系媒体に添加する際に、水系媒体に添加してもよい。
トナー材料の乳化又は分散は、トナー材料を含有する油相を、水系媒体中に分散させることにより行うことができる。そして、トナー材料を乳化又は分散させる際に、活性水素基を有する化合物と活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより、接着性基材が生成する。
ウレア変性ポリエステル系樹脂等の接着性基材は、例えば、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー等の活性水素基に対する反応性を有する重合体を含有する油相を、アミン類等の活性水素基を含有する化合物と共に、水系媒体中で乳化又は分散させ、水系媒体中で両者を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより生成させてもよく、トナー材料を含有する油相を、予め活性水素基を有する化合物を添加した水系媒体中で乳化又は分散させ、水系媒体中で両者を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより生成させてもよく、トナー材料を含有する油相を水系媒体中で乳化又は分散させた後で、活性水素基を有する化合物を添加し、水系媒体中で粒子界面から両者を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより生成させてもよい。なお、粒子界面から両者を伸長反応及び/又は架橋反応させる場合、生成するトナーの表面に優先的にウレア変性ポリエステル樹脂が形成され、トナー中にウレア変性ポリエステル樹脂の濃度勾配を設けることもできる。
接着性基材を生成させるための反応条件は、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体と活性水素基を有する化合物の組み合わせに応じて適宜選択することができる。反応時間は、10分間〜40時間であることが好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。反応温度は、0〜150℃であることが好ましく、40〜98℃がより好ましい。
水系媒体中において、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー等の活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体を含有する分散液を安定に形成する方法としては、水系媒体相中に、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体、着色剤、離型剤、帯電制御剤、前記ポリエステル樹脂等のトナー材料を溶媒に溶解又は分散させて調製した油相を添加し、せん断力により分散させる方法等が挙げられる。
分散は、公知の分散機等を用いて行うことができ、分散機としては、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機等が挙げられるが、分散体の粒子径を2〜20μmに制御することができることから、高速せん断式分散機が好ましい。
高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度等の条件は、目的に応じて適宜選択することができる。回転数は、1000〜30000rpmであることが好ましく、5000〜20000rpmがより好ましい。分散時間は、バッチ方式の場合、0.1〜5分であることが好ましく、分散温度は、加圧下において、0〜150℃であることが好ましく、40〜98℃がより好ましい。なお、分散温度は、高温である方が一般に分散が容易である。
トナー材料を乳化又は分散させる際の、水系媒体の使用量は、トナー材料100質量部に対して、50〜2000質量部であることが好ましく、100〜1000質量部がより好ましい。この使用量が、50質量部未満であると、トナー材料の分散状態が悪くなって、所定の粒子径のトナー母粒子が得られないことがあり、2000質量部を超えると、生産コストが高くなることがある。
トナー材料を含有する油相を乳化又は分散する工程においては、油滴等の分散体を安定化させ、所望の形状にする共に粒度分布をシャープにする観点から、分散剤を用いることが好ましい。
分散剤は、目的に応じて適宜選択することができ、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド等が挙げられるが、界面活性剤が好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。 陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するものが好適に用いられる。フルオロアルキル基を有する陰イオン界面活性剤としては、炭素数が2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(以上、旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(以上、住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(以上、ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(以上、大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(以上、トーケムプロダクツ社製)、フタ
ージェント100、150(以上、ネオス社製)等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型界面活性剤等が挙げられる。中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。陽イオン界面活性剤の市販品としては、サーフロンS−121(旭硝子社製);フロラードFC−13
5(住友3M社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)等を用いることが好ましい。
非イオン界面活性剤としては、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
難水溶性の無機化合物分散剤の具体例としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等が挙げられる。
高分子系保護コロイドとしては、カルボキシル基を有するモノマー、水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキル、ビニルエーテル、カルボン酸ビニル、アミドモノマー、酸塩化物のモノマー、窒素原子又はその複素環を有するモノマー等を重合することにより得られるホモポリマー又はコポリマー、ポリオキシエチレン系樹脂、セルロース類等が挙げられる。なお、上記のモノマーを重合することにより得られるホモポリマー又はコポリマーは、ビニルアルコール由来の構成単位を有するものも含む。
カルボキシル基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、グリセリンモノアクリレート、グリセリンモノメタクリレート等が挙げられる。ビニルエーテルの具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。カルボン酸ビニルの具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。アミドモノマーの具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。酸塩化物のモノマーの具体例としては、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド等が挙げられる。窒素原子又はその複素環を有するモノマーの具体例としては、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。ポリオキシエチレン系樹脂の具体例としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリン酸フェニル、ポリオキシエチレンペラルゴン酸フェニル等が挙げられる。セルロース類の具体例としては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
分散剤の具体例としては、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能なもの等が挙げられる。分散剤として、リン酸カルシウムを用いた場合は、塩酸等でカルシウム塩を溶解させて、水洗する方法、酵素で分解する方法等を用いて、リン酸カルシウム塩を除去することができる。
接着性基材を生成させる際の伸長反応及び/又は架橋反応には、触媒を用いることができる。触媒の具体例としては、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート等が挙げられる。
乳化スラリー等の分散液から有機溶媒を除去する方法としては、反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶媒を蒸発させる方法、分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の有機溶媒を除去する方法等が挙げられる。 有機溶媒が除去されると、トナー母粒子が形成される。トナー母粒子に対しては、洗浄、乾燥等を行うことができ、さらに分級等を行うことができる。分級は、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行ってもよいし、乾燥後に分級操作を行ってもよい。
本発明のトナーは、上記母体粒子に対し、外添剤を外添して用いられる。外添剤としては、PMMAなどの有機微粒子や無機粒子を目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。向き粒子として具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
無機粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、無機粒子のBET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。
トナー中の無機粒子の含有量は、0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.01〜5.0質量%がより好ましい。
これら無機粒子は流動性やブロッキング性の向上や、耐保存性や耐水性の観点から表面処理をして用いられる。表面処理の具体例としては、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。
これらトナーと外添剤はヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合し,トナー粒子表面に外添剤を有する本発明の静電荷像現像用トナーを得ることができる。
これにより、二成分現像剤では、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。また、一成分現像剤では、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラへのトナーのフィルミングやトナーを薄層化するブレード等の部材へのトナーの融着を抑制し、現像装置の長期使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性が得られるため、高画質の画像を得ることができる。この比が1.25を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合に、トナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
体積平均粒子径及び個数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比は、粒度測定器マルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)を用いて、以下のようにして測定することができる。まず、約1質量%塩化ナトリウム水溶液等の電解質水溶液100〜150ml中に、分散剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤を0.1〜5ml添加する。次に、測定試料を約2〜20mg添加する。試料が懸濁した電解質水溶液に、超音波分散機を用いて約1〜3分間分散処理を行った後、100μmのアパーチャーを用いて、トナーの体積及び個数を測定し、体積分布及び個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒子径及び個数平均粒子径を求めることができる。
本発明のトナーは、長期にわたるトナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性及び画像が必要となる。
このためキャリアは、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有するものが好ましい。芯材の材料は、公知のものの中から適宜選択することができ、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム系材料、マンガン−マグネシウム系材料等が挙げられる。 芯材の体積平均粒子径は、10〜150μmであることが好ましく、40〜100μmがより好ましい。体積平均粒子径が10μm未満であると、キャリア中に微粉が多くなり、一粒子当たりの磁化が低下してキャリアの飛散が生じることがあり、150μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特に、ベタ部の再現が悪くなることがある。
二成分現像剤中のキャリアの含有量は、90〜98質量%であることが好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
以下に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、部は、質量部を意味する。
<樹脂合成例>
(非晶性ポリエステル樹脂の合成例1)
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物67部、ビスフェノールAのプロピオンオキシド3モル付加物84部、テレフタル酸270部、イソフタル酸120部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、270℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下、7時間反応させて、[非晶性ポリエステル1]を合成した。得られた[非晶性ポリエステル1]は、酸価が19.8mgKOH/g、重量平均分子量Mwは3100であった。
(非晶性ポリエステル樹脂の合成例2)
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物47部、ビスフェノールAのプロピオンオキシド3モル付加物98部、テレフタル酸240部、イソフタル酸150部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、270℃で12時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下、7時間反応させて、[非晶性ポリエステル2]を合成した。得られた[非晶性ポリエステル2]の重量平均分子量Mwは4200であった。
(非晶性ポリエステル樹脂の合成例3)
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物245部、ビスフェノールAのプロピオンオキシド3モル付加物65部、テレフタル酸120部、イソフタル酸230部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、270℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下、7時間反応させて、[非晶性ポリエステル3]を合成した。得られた[非晶性ポリエステル3]の重量平均分子量Mwは27000であった。
上記で得られた非晶性ポリエステル1〜3の重量平均分子量を表1に示す。
Figure 0005929255
<イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、10mmHg〜15mmHgの減圧下で、5時間反応させて、[中間体ポリエステル]を合成した。
得られた[中間体ポリエステル]は、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,500、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5、水酸基価が51であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記[中間体ポリエステル]410部、イソホロンジイソシアネート89部、及び酢酸エチル500部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂(活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体:以下「ポリエステルプレポリマー」という)を合成した。
得られたイソシアネート基を含有するポリエステル樹脂の遊離イソシアネート含有量は、1.53質量%であった。
<ケチミン化合物(活性水素基含有化合物)の合成>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170質量部及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(活性水素基含有化合物)を合成した。
得られたケチミン化合物のアミン価は418であった。
<結晶性ポリエステル樹脂の合成例>
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法の一例を示すと、以下の通りである。
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族ジオール170部、脂肪族ジカルボン酸152部、無水トリメリット酸、及びハイドロキノンを仕込み、250℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させた。
次いで、8.3kPaの加圧下にて1時間反応させることにより、結晶性ポリエステルを合成した。
上記の結晶性ポリエステル樹脂の製造方法において脂肪族ジカルボン酸の種類及び量と、脂肪族ジオールの種類及び量とを変更することにより下記表2に示す特性の結晶性ポリエステル1〜7を調製した。
Figure 0005929255
〈ワックスの合成例〉
(モノエステルワックスの調製)
ジムロート還流器、Dean−Stark水分離器を備えた4つ口フラスコ反応装置にベンゼン1740部、長鎖アルキルカルボン酸成分1300部、長鎖アルキルアルコール成分1200部、さらにp−トルエンスルホン酸120部を加え十分攪拌し溶解後、5時間還流せしめた後、水分離器のバルブを開け、共沸留去を行った。共沸留去後炭酸水素ナトリウムで十分洗浄後、乾燥しベンゼンを留去した。得られた生成物を再結晶後、洗浄し精製してモノエステルワックスを得た。
上記のモノエステルワックス製造方法において、長鎖アルキルカルボン酸の種類及び量と、長鎖アルキルアルコールの種類及び量とを変更することにより表3に示す特性のモノエステルワックス1〜6を調製した。
Figure 0005929255
[実施例1]
ビーカー内に、[非晶性ポリエステル1]100部、[結晶性ポリエステル1]20部、[ポリエステルプレポリマー]10部、及び酢酸エチル150部を入れ、攪拌して溶解させた。次に、[モノエステルワックス1]を15部及びカーボンブラック9部を加えて、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスクの周速度6m/秒で、粒径0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスした。さらに、ケチミン化合物2.7部を加えて溶解させてトナー材料液を調製した。
容器に水系媒体250部を入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、12000rpmで攪拌しながら、トナー材料液100部を添加し、10分間混合して、乳化スラリーを調製した。
攪拌機及び温度計をセットしたコルベンに、乳化スラリー100部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら30℃で12時間脱溶剤し、分散スラリーを得た。
分散スラリー100部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液20部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで30分間混合した後、減圧濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。さらに、得られた濾過ケーキに10質量%塩酸20部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
得られた最終濾過ケーキを、循風乾燥機を用いて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母粒子を得た。 得られたトナー母粒子100部に対し、外添剤としての疎水性シリカ1.0部と、表1に示す酸化チタンとをヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合処理し、トナー1を作製した。
得られたトナー母体粒子100部に対し,外添剤を3.8部を添加し,ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製)にて周速33m/sの条件の下,3分間ずつ混合し,さらに酸化チタンを0.59部を同装置にて周速33m/sの条件の下,3分間混合した。混合後の粉体を目開き38μmのメッシュに通過させ,粗大粉を取り除き疎水性微粉末を外添した[トナー1]を作製した。
[実施例2]
実施例1の[モノエステルワックス1]を[モノエステルワックス2]に変更した以外は実施例1と同様にして、[トナー2]を得た。
[実施例3]
実施例1の[モノエステルワックス1]を[モノエステルワックス3]に変更した以外は実施例1と同様にして、[トナー3]を得た。
[実施例4]
実施例1の[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル2]に変更した以外は実施例1と同様にして、[トナー4]を得た。
[実施例5]
実施例1の[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル3]に変更した以外は実施例1と同様にして、[トナー5]を得た。
[実施例6]
実施例1の[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル4]に変更した以外は実施例1と同様にして、[トナー6]を得た。
[実施例7]
実施例4の[結晶性ポリエステル2]の部数を6部、[モノエステルワックス1]の部数を40部に変更した以外は実施例4と同様にして、[トナー7]を得た。
[実施例8]
実施例4の[結晶性ポリエステル2]の部数を40部、[モノエステルワックス1]の部数を3部に変更した以外は実施例4と同様にして、[トナー8]を得た。
[実施例9]
実施例4の[モノエステルワックス1]を[モノエステルワックス4]に変更した以外は実施例4と同様にして、[トナー9]を得た。
[実施例10]
実施例4の[非晶性ポリエステル1]を[非晶性ポリエステル2]に変更した以外は実施例4と同様にして、[トナー10]を得た。
[実施例11]
実施例4の[非晶性ポリエステル1]を[非晶性ポリエステル3]に変更した以外は実施例4と同様にして、[トナー11]を得た。
[実施例12]
実施例1の[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル5]に変更した以外は実施例1と同様にして、[トナー12]を得た。
[実施例13]
実施例11の結着樹脂前駆体を使用しない以外は実施例11と同様にして、[トナー13]を得た。
[比較例1]
実施例1の[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル6]に変更した以外は実施例1と同様にして、[トナー14]を得た。
[比較例2]
実施例1の[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル7]に変更した以外は実施例1と同様にして、[トナー15]を得た。
[比較例3]
実施例4の[モノエステルワックス1]を[モノエステルワックス5]に変更した以外は実施例4と同様にして、[トナー16を得た。
[比較例4]
実施例4の[モノエステルワックス1]を[モノエステルワックス6]に変更した以外は実施例4と同様にして、[トナー17]を得た。
表4に[トナー1]〜[トナー17]の処方表を示す。
Figure 0005929255
(評価方法及び評価結果)
(分子量の測定)
分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ,この温度におけるカラムに,溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し,試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては,試料の有する分子量分布を,数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては,Pressure Chemical co.製あるいは,東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10,2.1×10,4×10,1.75×10,5.1×10,1.1×10,3.9×10,8.6×10,2×10,4.48×10のものを用い,少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また,検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
(融点、吸熱ピーク温度、ガラス転移温度の測定)
離型剤の融点(Tmw)、結晶性樹脂の吸熱ピーク温度及び非晶性樹脂のガラス転移温度は,示差走査型熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線により決定することができる。なおDSC曲線は,TA−60WS及びDSC−60(島津製作所社製)を用いて,以下に示す測定条件で測定することにより得られる。また、吸熱ピークの極小値での温度を融点とする。
<測定条件>
サンプル容器 : アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量 : 5mg
リファレンス : アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気 : 窒素(流量:50ml/分)
温度条件:
開始温度 : 20℃
昇温速度 : 10℃/分
終了温度 : 150℃
保持時間 : なし
降温速度 : 10℃/分
終了温度 : 20℃
保持時間 : なし
昇温速度 : 10℃/分
終了温度 : 150℃
測定結果はデータ解析ソフトTA−60,バージョン1.52(島津製作所社製)を用いて解析することが可能である。
測定結果を解析する際には,2度目の昇温のDSC微分曲線であるDrDSC曲線の最大ピークを中心として±5℃の範囲を指定し,データ解析ソフトのピーク解析機能を用いてピーク温度を求めることが可能である。次に,DSC曲線のピーク温度+5℃及び−5℃の範囲でデータ解析ソフトのピーク解析機能を用いて,DSC曲線の最大吸熱温度を求めることができる。この温度が離型剤の融点及び結晶性樹脂の吸熱ピーク温度に相当する。
昇温過程で得られる温度40〜100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークにおいて、このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけるガラス転移温度Tgとした。
−低温定着性評価
上記で得られた二成分現像剤を(株)リコー社製複写機(Imagio Neo C355)で付着量4.0g/m、未定着画像を作成し、次に(株)リコー社製複写機(Imagio Neo C355)の定着装置(オイルレス方式)を改造したローラ温度を自由に設定できる外部定着機を用い、紙送りを120mm/secに固定し、100℃〜140℃まで温度を5℃ずつ変更した。この時、十分に溶融しきれずに未画像部に画像が再転写するオフセット現象について定着ローラ上および紙上を観察し、画像が再転写しない温度を低温側の非オフセット温度とした。このとき、非オフセットの温度が115℃未満ものを◎、115℃以上125℃未満を○、125℃以上×として、判定した。
−高温オフセット性評価
上記同様に未定着画像を作製し、同条件で外部定着機を用い170℃から5℃ずつ温度を上昇した。この時、十分に溶融しきれずに未画像部に画像が再転写するオフセット現象について定着ローラ上および紙上を観察し、画像が再転写しない温度を高温側の非オフセット温度とした。このとき、非オフセットの温度が200℃以上を◎、185℃以上195℃未満を○、175℃以上185℃未満を△、170℃以下を×として、判定した。
−分離性評価
(株)リコー社製複写機(Imagio Neo C355)の定着装置(オイルレス方式)を改造したローラ温度を自由に設定できる外部定着機を用い定着ニップ直後、定着ローラ側に剥離用の爪が設けられており、定着終了後用紙を定着ローラから一定の力で剥離するのが、このときの画像評価で、爪あとが付いないものを◎、爪あとが色ムラとなってわかるものを○、爪で剥離できないものを×として、判定した。
−耐熱保存性評価
トナーを50℃で8時間保管した後,42メッシュの篩で2分間篩い,金網上の残存率を測定した。
このとき,耐熱保存性が良好なトナー程,残存率は小さい。なお耐熱保存性は,残存率が20%未満である場合を◎、30%未満である場合○、40%未満を×として,判定した。
−機内汚染性評価
機内汚染性は上記で得られた二成分現像剤を(株)リコー社製複写機(Imagio Neo C355)で付着量5.0g/m2、となる画像を定着温度180℃で連続出力・定着した際に排気孔からでる粉塵量をダストトラック MODEL8520(TSI社)
をもちいて測定した際に、1 mg/m3未満を◎、1 mg/m3以上、4mg/m3未満を○、4mg/m3以上を×として、判定した。
評価結果より、比較例1、2は結晶性ポリエステルの最大の炭素数が12より大きいため、結晶性ポリエステルとモノエステルワックスとの相溶が大きいため、耐ホットオフセット性と耐熱保存性が悪化する結果となった。また比較例3、4はモノエステルワックスの炭素数38以下であるものの含有量が4%より多いため、揮発成分量が増加し、機内汚染が悪化した。
一方、実施例1から14は、本発明の範囲内であるため、その程度には差はあるがそれぞれ良好な結果が得られた。
特許第4347174号 特開平11−327193号公報 特開2007−206178号公報 特許第3287733号 特開2011−048315号公報 特開2009−237098号公報

Claims (10)

  1. 少なくとも結着樹脂と離型剤とを含有し、前記結着樹脂が結晶性樹脂を含有する静電荷像現像用トナーであって、
    前記結晶性樹脂が、最大の炭素数が12以下である脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮重合させて得られる結晶性ポリエステルであり、
    前記離型剤が、下記式(I)、
    −COO−R ・・・ (I)
    (式中、R及びRはそれぞれ直鎖状アルキル基を示し、R及びRは同一であっても異なっていてもよい。)
    で表され、炭素数が38以下であるものの含有量が4.0%以下であるモノエステルワックスであって、
    示差走査熱量測定における、
    1回目の昇温過程での、
    低温側の吸熱ピークに基づく吸熱量をΔHl1、
    高温側の吸熱ピークに基づく吸熱量をΔHh1、
    2回目の昇温過程での、
    低温側の吸熱ピークに基づく吸熱量をΔHl2、
    高温側の吸熱ピークに基づく吸熱量をΔHh2
    としたとき、
    下記式(1)及び式(2)
    ΔHl2/ΔHl1≦0.25・・・ 式(1)
    0.95≦ΔHh2/ΔHh1・・・ 式(2)
    の関係を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記モノエステルワックスにおける炭素数がC44であるものの含有率が45%〜55%であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記離型剤の示差熱・熱重量同時測定による165℃での質量減少率が3.5質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷現像用トナー。
  4. 前記モノエステルワックスの[酸価+水酸基価]が15mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
  5. 前記結晶性樹脂の融点及び前記離型剤の融点が50℃以上90℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
  6. 前記結晶性樹脂の融点と前記離型剤の融点が55℃以上85℃以下であることを特徴とする請求項5に記載の静電荷現像用トナー。
  7. 前記結晶性樹脂の融点と前記離型剤の融点が60℃以上80℃以下であることを特徴とする請求項6に記載の静電荷現像用トナー。
  8. 前記結晶性樹脂の融点をTmc[℃]とし、前記離型剤の融点をTmw[℃]としたとき、両者の差ΔTm[℃]が下記の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
    ΔTm=|Tmc−Tmw|<10℃
  9. 前記モノエステルワックスが前記結着樹脂100質量部あたり4〜40質量部含有されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
  10. 有機溶媒中に、少なくとも結晶性樹脂を含む結着樹脂及び/又は結着樹脂前駆体、離型剤、着色剤を溶解又は分散させ、前記溶解液又は分散液からなる油相を、水系媒体中に分散させて乳化分散液を得、トナー粒子を造粒することにより得られることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
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