JP5758116B2 - 分割方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発光デバイス用ウェーハを個々の発光デバイスに分割する分割方法に関し、特に、サファイアウェーハを分割する分割方法に関する。
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の発光デバイスとして、サファイア層の表面に発光層が積層されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この発光デバイスは、サファイア基板の表面に発光層を積層した一枚のサファイアウェーハを、分割予定ラインに沿って複数に分割することにより製造される。このサファイアウェーハ等の発光デバイスウェーハの分割方法として、レーザー加工を用いた分割方法が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
特許文献2に記載の分割方法は、パルスレーザービームによりウェーハ表面に分割予定ラインに沿うレーザー加工溝を形成し、レーザー加工溝に外力を加えることでウェーハを分割する。また、特許文献3に記載の分割方法は、透過性を有するパルスレーザービームによりウェーハ内部に分割予定ラインに沿う連続的な改質層を形成し、強度が低下した改質層に外力を加えることでウェーハを分割する。
特開平10−056203号公報 特開平10−305420号公報 特許第3408805号公報
ところで、上記した発光デバイスにおいては、発光層からサファイア層に放射された光線が、サファイア層から空気中に出射される。しかしながら、サファイアの屈折率が空気と比較してかなり大きいため、サファイア層から効率よく光線が出射されないという問題が生じていた。これは、サファイア層−空気界面に対する光線の入射角が、臨界角度(34.5°)よりも大きいと、当該界面において全反射が生じ、光線がサファイア層中に閉じ込められてしまうためである。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、サファイアウェーハの分割によって形成される発光デバイスの輝度を向上できる分割方法を提供することを目的とする。
本発明の分割方法は、分割予定ラインによって区画された領域の表面側に発光層が形成されたサファイアウェーハを前記分割予定ラインに沿って分割する分割方法であって、前記サファイアウェーハの裏面側から前記分割予定ラインに沿ってサファイアを透過する波長のレーザービームを照射することによって前記分割予定ラインに沿って改質層を形成する改質層形成工程と、前記改質層形成工程の後に、前記サファイアウェーハの裏面側から切削ブレードによって切削することによって前記分割予定ラインに沿って切削溝を形成して、前記サファイアウェーハの裏面に対して平行又は垂直とならない面を形成する面取り加工を施すと共に前記改質層を分割起点として前記サファアウェーハを前記分割予定ラインに沿って分割する面取り分割工程と、を含み、前記サファイアウェーハに対する前記切削溝の形成と分割とを同時に行うことを特徴とする。また、上記の分割方法において、前記切削ブレードは、前記改質層形成工程における改質層の形成時に前記分割予定ラインが分割されて隙間が生じる場合に、前記分割予定ラインの位置ズレを吸収可能なブレード幅を有している。
この構成によれば、面取り分割工程で分割予定ラインに沿ってサファイアウェーハに切削溝が形成されることで、サファイアウェーハを分割して形成された個々の発光デバイスの角部が面取りされる。この面取りによって発光デバイスの裏面側に多角形状の外形面が形成され、デバイス内で反射された光線が臨界角度以下で外形面に入射し易くなる。よって、発光層からの光線が外部に出射され易くなり、発光デバイスの輝度を向上できる。なお、ここでいう面取りは、発光デバイスの角部を斜面状に加工する場合に限らず、角度保存を抑制可能な形状、例えば、角部を曲面形状に加工してもよい。また、サファイアウェーハに改質層が形成された後に切削溝が形成されることで、切削溝の形成時に改質層に外力が加わり、サファイアウェーハが改質層を分割起点として分割される。このように、サファイアウェーハに対する切削溝の形成と分割とを同時に行うことができるため、工程数を減らして作業効率を向上させることができる。
本発明によれば、分割起点となる分割予定ライン上に切削溝を形成して、サファイアウェーハを個々の発光デバイスに分割することで、各デバイスの発光層からの光線を外部に出射し易くして輝度を向上させることができる。また、サファイアウェーハに改質層を形成した後に切削溝を形成することで、サファイアウェーハに切削溝の形成と同時に分割を行うことができる。
本発明に係る分割方法の実施の形態を示す図であり、レーザー加工装置の斜視図である。 本発明に係る分割方法の実施の形態を示す図であり、切削装置の斜視図である。 本発明に係る分割方法の実施の形態を示す図であり、発光デバイスの側面図である。 本発明に係る分割方法の実施の形態を示す図であり、分割方法の説明図である。 本発明に係る分割方法の変形例を示す図であり、分割方法の説明図である。
本実施の形態に係る分割方法を用いたサファイアウェーハの分割は、レーザー加工装置による改質層形成工程、切削装置による面取り分割工程を経て実施される。改質層形成工程では、サファイアウェーハの内部に分割予定ラインに沿った改質層が形成される。面取り分割工程では、表面に発光層が積層されたサファイアウェーハの裏面に、分割予定ラインに沿った切削溝が形成されると同時に、サファイアウェーハが個々の発光デバイスに分割される。
これらの工程を経て分割された発光デバイスは、面取り分割工程で形成された切削溝により裏面側の角部が面取りされ、表面側に設けられた発光層からの光線が外部に出射され易くなる。以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して、各工程で用いられる装置構成について説明する。
図1を参照して、サファイアウェーハの内部に改質層を形成するレーザー加工装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るレーザー加工装置の斜視図である。なお、本発明の分割方法に用いられるレーザー加工装置は、図1に示す構成に限定されない。レーザー加工装置は、サファイアウェーハに対して改質層を形成可能であれば、どのような構成を有していてもよい。
図1に示すように、レーザー加工装置201は、レーザービームを照射するレーザー加工ユニット206とサファイアウェーハWを保持したチャックテーブル208とを相対移動させて、サファイアウェーハWを加工するように構成されている。サファイアウェーハWは、略円板状に形成されており、サファイア(Al2O3)基板の表面に発光層が積層されている。サファイアウェーハWの裏面は、格子状に配列された分割予定ラインによって複数の領域に区画されている。
また、サファイアウェーハWは、発光層が形成された上面を下向きにして、環状フレーム131に張られたダイシングテープ132に貼着されている。なお、本実施の形態においては、発光デバイス用ウェーハとしてサファイアウェーハを例に挙げて説明するが、この構成に限定されるものではない。発光デバイス用ウェーハは、サファイア基板に発光層を積層したものに限らず、GaAs(ガリウム砒素)基板、SiC(炭化珪素)基板に発光層を積層したものでもよい。
レーザー加工装置201は、直方体状のベッド部203と、ベッド部203の上面後方に立設したコラム部204とを有している。コラム部204の前面には、前方に突出したアーム部205が設けられ、アーム部205の先端側にはレーザー加工ユニット206の加工ヘッド207が設けられている。
ベッド部203の上面には、チャックテーブル208をX軸方向に加工送りすると共に、Y軸方向に割出送りするチャックテーブル移動機構209が設けられている。チャックテーブル移動機構209は、チャックテーブル208をX軸方向に加工送りする加工送り機構211と、チャックテーブル208をY軸方向に割出送りする割出送り機構212とを備えている。加工送り機構211は、ベッド部203に対してX軸方向に移動するX軸テーブル216を有している。X軸テーブル216は、ベッド部203の上面に配置されたX軸方向に平行な一対のガイドレール215に支持され、ボールねじ式の移動機構によりX軸方向に移動される。
割出送り機構212は、X軸テーブル216に対してY軸方向に移動するY軸テーブル219を有している。Y軸テーブル219は、X軸テーブル216の上面に配置されたY軸方向に平行な一対のガイドレール218に支持され、ボールねじ式の移動機構によりY軸方向に移動される。Y軸テーブル219の上面には、チャックテーブル208が設けられている。
チャックテーブル208は、Y軸テーブル219の上面においてZ軸回りに回転可能なθテーブル231と、θテーブル231の上部に設けられ、サファイアウェーハWを吸着保持するワーク保持部232とを有している。ワーク保持部232は、所定の厚みを有する円板状であり、上面中央部分にはポーラスセラミック材により吸着面が形成されている。吸着面は、負圧によりダイシングテープ132を介してサファイアウェーハWを吸着する面であり、θテーブル231の内部の配管を介して吸引源に接続されている。
ワーク保持部232の周囲には、θテーブル231の四方から径方向外側に延びる一対の支持アームを介して4つのクランプ部234が設けられている。4つのクランプ部234は、エアーアクチュエータにより駆動し、サファイアウェーハWの周囲の環状フレーム131を四方から挟持固定する。
レーザー加工ユニット206は、アーム部205の先端に設けられた加工ヘッド207を有している。アーム部205および加工ヘッド207内には、レーザー加工ユニット206の光学系が設けられている。加工ヘッド207は、発振器242から発振されたレーザービームを集光レンズによって集光し、チャックテーブル208上に保持されたサファイアウェーハWをレーザー加工する。この場合、レーザービームは、透過性を有しており、光学系においてサファイアウェーハWの内部に集光するように調整される。
このようにして、サファイアウェーハWの内部に分割起点となる改質層402(図4参照)が形成される。改質層402は、レーザービームの照射によってサファイアウェーハW内部の密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲と異なる状態となり、周囲よりも強度が低下する領域のことをいう。改質層402は、例えば、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域等であり、これらが混在した領域でもよい。
ここで、レーザー加工装置201によるレーザー加工動作について説明する。まず、チャックテーブル208にサファイアウェーハWが載置されると、チャックテーブル208が加工ヘッド207に臨む加工位置に向けて移動される。次に、加工ヘッド207の射出口がサファイアウェーハWの分割予定ラインに位置合わせされると共に、レーザービームの焦点がサファイアウェーハWの内部に調整され、レーザー加工処理が開始される。
この場合、チャックテーブル208がサファイアウェーハWを保持した状態でX軸方向に加工送りされ、分割予定ラインに沿ってサファイアウェーハW内に1列の改質層402が形成される。続いて、チャックテーブル208が数ピッチ分だけY軸方向に割出送りされ、隣接する分割予定ラインに沿ってサファイアウェーハW内に改質層402が形成される。この動作が繰り返されてサファイアウェーハWのX軸方向の全ての分割予定ラインに沿って改質層が形成される。
次に、チャックテーブル208がθテーブル231により90度回転され、サファイアウェーハWのY軸方向の分割予定ラインに沿って改質層402が形成される。内部に改質層402が形成されたサファイアウェーハWは、チャックテーブル208から取り外されて切削装置101に搬入される。
図2を参照して、サファイアウェーハに切削溝を形成すると同時にサファイアウェーハを分割する切削装置について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る切削装置の斜視図である。なお、本発明の分割方法に用いられる切削装置は、図2に示す構成に限定されない。切削装置は、サファイアウェーハに対して切削溝を形成可能であれば、どのような構成を有していてもよい。
図2に示すように、切削装置101は、切削ブレード111を有する一対のブレードユニット106とサファイアウェーハWを保持したチャックテーブル103とを相対移動させて、サファイアウェーハWを切削するように構成されている。切削装置101は、基台102を有しており、基台102上にはチャックテーブル103をX軸方向に加工送りするチャックテーブル移動機構104が設けられている。また、基台102上には、チャックテーブル移動機構104を跨ぐように立設した門型の柱部105が設けられ、柱部105には、チャックテーブル103の上方において一対のブレードユニット106をY軸方向に割出送りするブレードユニット移動機構107が設けられている。
チャックテーブル移動機構104は、上部にチャックテーブル103を保持するX軸テーブル112を有している。X軸テーブル112は、基台102の上面に配置されたX軸方向に平行な一対のガイドレール113に支持され、ボールねじ式の移動機構によりX軸方向に移動される。
チャックテーブル103は、X軸テーブル112の上面に固定されたZ軸回りに回転可能なθテーブル114と、θテーブル114の上部に設けられ、サファイアウェーハWを吸着保持するワーク保持部116とを有している。ワーク保持部116は、所定の厚みを有する円盤状であり、上面中央部分にはポーラスセラミック材により吸着面が形成されている。吸着面は、負圧によりダイシングテープ132を介してサファイアウェーハWを吸着する面であり、θテーブル114の内部の配管を介して吸引源に接続されている。
ワーク保持部116の周囲には、θテーブル114の四方から径方向外側に延びる一対の支持アームを介して4つのクランプ部117が設けられている。4つのクランプ部117は、エアーアクチュエータにより駆動し、サファイアウェーハWの周囲の環状フレーム131を挟持固定する。
ブレードユニット移動機構107は、柱部105の前面に対してY軸方向に移動する一対のY軸テーブル121と、各Y軸テーブル121のそれぞれに対してZ軸方向に移動するZ軸テーブル122とを有している。各Z軸テーブル122には、それぞれブレードユニット106が延設されている。Y軸テーブル121は、柱部105の前面に配置されたY軸方向に平行な一対のガイドレール123に支持され、ボールねじ式の移動機構によりY軸方向に移動される。Z軸テーブル122は、Y軸テーブル121の前面に配置されたZ軸方向に平行な一対のガイドレール124に支持され、ボールねじ式の移動機構によりZ軸方向に移動される。
ブレードユニット106は、Y軸回りに回転するスピンドルの先端に設けられた円盤状の切削ブレード111と、切削部分に切削水を噴射する図示しない噴射ノズルとを有している。ブレードユニット106は、スピンドルにより切削ブレード111を高速回転させ、複数のノズルから切削部分に切削水を噴射しつつサファイアウェーハWを切削加工する。
ここで、切削装置101による切削加工動作について説明する。まず、チャックテーブル103にサファイアウェーハWが載置されると、チャックテーブル103が切削ブレード111に臨む加工位置に向けて移動される。次に、切削ブレード111の切削刃がサファイアウェーハWの分割予定ライン(改質層402)に位置合わせされる。そして、ブレードユニット106が下降されることで、高速回転した切削刃によりサファイアウェーハWの裏面が所定の深さだけ切り込まれる。
切削ブレード111によりサファイアウェーハWが切り込まれると、チャックテーブル103がX軸方向に加工送りされ、改質層402に合わせてサファイアウェーハWに1列の切削溝401(図4参照)が形成される。このとき、切削ブレード111のサファイアウェーハWに対する切り込みにより改質層402に外力が加わり、この改質層402が分割起点となってサファイアウェーハWが改質層402に沿って分割される。続いて、切削ブレード111がY軸方向に数ピッチ分だけ割出送りされ、切削ブレード111により隣接する改質層402に合わせて切削溝401が形成されることで、改質層402に沿ってサファイアウェーハWが分割される。この動作が繰り返されて、サファイアウェーハWのX軸方向の全ての改質層402に合わせて切削溝401が形成されつつ、サファイアウェーハWが分割される。
次に、チャックテーブル103がθテーブル114により90度回転され、サファイアウェーハWのY軸方向の改質層402に合わせて切削溝401が形成される。この場合も、サファイアウェーハWに対する切削溝401の形成時に、改質層402が分割起点となってサファイアウェーハWが改質層402に沿って分割される。なお、切削装置101は、切削ブレード111の切削刃に超音波振動を伝達して振動切削することで、サファイアウェーハWに対する加工負荷を低減する構成としてもよい。このようにして、サファイアウェーハWが改質層402を分割起点として個々の発光デバイスに分割される。個々の発光デバイス411は、ピックアップコレット(図4参照)により吸着され、ダイシングテープ132から剥離される。
この場合、図3に示すように、発光デバイス411は、直方体状を成すように破断され、裏面Wbと4側面Wc(破断面)との角部に面取り部Wdが形成されている。なお、図3において、破線が発光層412からの光線を示し、一点鎖線が発光デバイス411の界面に対する法線をそれぞれ示す。面取り部Wdは、サファイアウェーハWの切削溝401の分割により形成される。この面取り部Wdにより、発光層412からの光線が、サファイア層413から外部に出射され易くなり、発光デバイス411の輝度が向上される。側面Wcおよび裏面Wbで反射される光線が、面取り部Wdでは反射されずに透過され得るからである。
より具体的には、発光層412からの破線で示される光線が、サファイア層413内で側面Wcに入射した場合、側面Wcを透過可能な臨界角度θ1は、サファイアと空気との屈折率に基づき、一点鎖線で示される法線に対して34.5度である。この臨界角度θ1内で光線が側面Wcに入射すれば光線が側面Wcにて全反射することは無いが、臨界角度θ1外から光線が側面Wcに入射すれば光線が側面Wcに全反射される。面取りによって裏面Wb側が多面形状に形成された発光デバイス411では、角度保存が阻害され、臨界角度よりも大きな入射角度での反射の繰り返しが低減される。
図3(a)に示すように、面取りされていない直方体状の発光デバイス411の場合、臨界角度θ1外から光線が側面Wcに入射すると、反射角度が保存されてサファイア層413内で全反射が繰り返される場合がある。例えば、光線が臨界角度θ1外の入射角度θ2で側面に入射され、側面Wcにて全反射された光線が臨界角度θ1外の入射角度90−θ2で裏面に入射されて、さらに裏面Wbにて全反射される場合がある。この場合、発光デバイス411の界面に対して臨界角度θ1外の入射角度θ2および入射角度90−θ2で光線の入射が繰り返されるため、全反射が繰り返されてサファイア層413内で消光する事態が生じ得る。
一方、図3(b)に示すように、面取りされた直方体状の発光デバイス411では、直交する側面Wcおよび裏面Wbの他に面取り部Wdが形成されるため、発光層412からの光線が界面に対して臨界角度θ1内で入射し易くなる。例えば、光線が臨界角度θ1外の入射角度θ3で側面Wcに入射され、側面Wcにて全反射された光線が臨界角度θ1内の入射角度θ4で面取り部Wdに入射される。また、光線が面取り部Wdにて臨界角度θ1外で反射される場合には、側面Wcや裏面Wbにて臨界角度θ1内の入射角度で入射され易くなる。このように、側面Wcや裏面Wbにて臨界角度θ1外の角度保存される入射角度で光線が入射しても、反射された光線が面取り部Wdにて角度保存が阻害される。
このように、面取り部Wdによって、サファイア層413内の全反射の繰り返しが減少されることで、サファイア層413から出射する光線の量が多くなる。言い換えれば、発光デバイス411のエスケープコーン(任意の発光点から光線がサファイア層413と空気との界面を透過可能な範囲)を広げることができる。このように、本実施の形態に係る発光デバイス411は、裏面Wbの面取りにより輝度が向上される。
図4を参照して、本発明の実施の形態に係る分割方法の流れについて説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る分割方法の説明図である。なお、ここで示すレーザー加工装置201および切削装置101の加工条件は、一例に過ぎず適宜変更可能である。
最初に、図4(a)に示すように、レーザー加工装置201において改質層形成工程が実施される。ここでは、例えば、レーザービームとして、波長が1064[nm]、出力が0.3[W]、繰り返し周波数が100[kHz]のパルスレーザービームを用いる。改質層形成工程では、サファイアウェーハWの裏面Wbから所定の深さに焦点を合わせて、分割予定ラインに沿って改質層402を形成する。ここでは、サファイアウェーハWの裏面Wbからの焦点深さを約40[μm]に設定することで、サファイアウェーハW内に焦点位置から上方に向かって約25[μm]程度の改質層402が形成される。
次に、図4(b)に示すように、切削装置101において面取り分割工程が実施される。ここでは、例えば、ブレード回転数20000[rpm]、加工送り速度100[mm/s]で加工される。面取り分割工程では、サファイアウェーハWの裏面Wbから所定の深さまで切り込まれ、改質層402に合わせて切削溝401が形成される。このとき、切削溝401の形成時に、切削ブレード111によってサファイアウェーハWに加わる外力により、サファイアウェーハWが改質層402を分割起点として分割予定ラインに沿って分割される。サファイアウェーハWに形成された切削溝401は、改質層402の上方に形成され、改質層402を境として左右に分割される。このため、発光デバイス411の裏面側の角部が、面取り分割工程において形成された切削溝401により面取りされた状態となる。
このように面取り分割工程では、サファイアウェーハWに対し切削溝401の形成によって面取りを施すと共に、改質層402を分割起点として分割が行われる。ここでは、サファイアウェーハWの裏面Wbからの切削深さを約20[μm]に設定することで、サファイアウェーハWが改質層402を分割起点として分割される。また、切削ブレード111としては、摩耗し難いニッケルメッキにダイヤモンド砥粒を使用したブレードが好ましい。これにより、切削ブレード111の先端形状の変化が抑制され、サファイアウェーハWに良好な形状の面取り部Wdを形成できる。
また、切削ブレード111は、ニッケルメッキにより様々な先端形状および幅寸法で成形可能である。特に、切削ブレード111の先端形状は、例えば、曲面形状のように、サファイアウェーハWの裏面Wbに対して平行又は垂直とならない面(裏面Wbに対する傾斜面)を有することが好ましい。これにより、発光デバイス411の面取り部Wdに角度保存を起こし難い反射面を形成することができ、発光デバイス411の輝度が向上される。
また、切削ブレード111の砥粒は、粒径が大きすぎると面が荒くなるため、改質層形成工程でレーザービームが錯乱され精度のよい改質層402が形成できない。一方、切削ブレード111の粒径が小さすぎると、角度保存となる反射になり易いため好ましくない。したがって、切削ブレード111の粒径は、1000番〜4000番(粒径約2〜17[μm])が好ましく、1500番〜3000番(粒径約3〜9[μm])がより好ましく、1800番〜2500番(粒径約3〜8[μm])がさらに好ましい。
また、本実施の形態では、切削ブレード111がダイヤモンド砥粒を使用したニッケルメッキブレードである構成としたが、この構成に限定されるものではない。切削ブレード111は、サファイアウェーハWを加工であれば、どのような構成でもよい。
次に、図4(c)に示すように、分割された発光デバイス411は、ピックアップコレット301により吸着され、ダイシングテープ132から剥離される。発光デバイス411は、上述したように裏面側の角部の面取りにより、発光層412からの光線がサファイア層413から外部に出射され易くなる。このように、本実施の形態に係る分割方法でサファイアウェーハWが分割されることにより、分割後の発光デバイス411の輝度が向上される。
なお、改質層形成工程では、改質層402の形成時にサファイアウェーハWの一部の分割予定ラインが分割される場合がある。一部の分割予定ラインが分割されると、サファイアウェーハWの搬送時等に分割部分に隙間が生じて、分割予定ラインが全体的に位置ズレする可能性がある。このような場合には、面取り分割工程において切削ブレード111としてブレード幅が厚いものを使用することで、分割予定ラインの位置ズレを吸収させてもよい。ブレード幅は、チップサイズやウェーハの厚みに応じて適宜選定されるが、切削ブレードの製造歩留まりを考慮して、50〜300[μm]が好ましく、80〜300[μm]がより好ましい。また、面取り分割工程では、ブレード幅を厚くする代わりに、切削装置101の不図示のアライメント装置によるアライメント処理の頻度を多くして、位置ズレした分割予定ラインに対する切削ブレード111の位置合わせ精度を高めてもよい。
以上のように、本実施の形態に係る分割方法によれば、面取り分割工程で分割予定ラインに沿ってサファイアウェーハWに切削溝401が形成されることで、サファイアウェーハを分割して形成された個々の発光デバイス411の角部が面取りされる。この面取りによって発光デバイス411の裏面側に多角形状の外形面が形成され、デバイス内で反射された光線が臨界角度以下で外形面に入射し易くなる。よって、発光層412からの光線が外部に出射され易くなり、発光デバイス411の輝度を向上できる。また、サファイアウェーハに改質層が形成された後に切削溝が形成されることで、切削溝の形成時に改質層に外力が加わり、サファイアウェーハが改質層を分割起点として分割される。このように、サファイアウェーハに対する切削溝の形成と同時に分割を行うことができるため、工程数を減らして作業効率を向上させることができる。
なお、上記した実施の形態および変形例においては、切削ブレード111の先端形状が、特に限定されるものではなく、例えば、図5に示すようなベベルブレードを用いてもよい。この場合、図5(a)に示すように、サファイアウェーハWの裏面WbにV字状の切削溝401が形成される。そして、図5(b)に示すように、サファイアウェーハWが分割されると、発光デバイス411の角部がV字状の切削溝401により斜めに面取りされた状態となる。このように、切削溝401は、角度保存にならない反射面であれば、どのように形成されてもよい。
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
以上説明したように、本発明は、サファイアウェーハの分割によって形成される発光デバイスの輝度を向上できるという効果を有し、特に、サファイアウェーハを個々の発光デバイスに分割する分割方法に有用である。
101 切削装置
103 チャックテーブル
111 切削ブレード
131 環状フレーム
132 ダイシングテープ
201 レーザー加工装置
206 レーザー加工ユニット
208 チャックテーブル
401 切削溝
402 改質層
411 発光デバイス
412 発光層
413 サファイア層
Wa 表面
Wb 裏面
Wd 面取り部
W サファイアウェーハ

Claims (2)

  1. 分割予定ラインによって区画された領域の表面側に発光層が形成されたサファイアウェーハを前記分割予定ラインに沿って分割する分割方法であって、
    前記サファイアウェーハの裏面側から前記分割予定ラインに沿ってサファイアを透過する波長のレーザービームを照射することによって前記分割予定ラインに沿って改質層を形成する改質層形成工程と、
    前記改質層形成工程の後に、前記サファイアウェーハの裏面側から切削ブレードによって切削することによって前記分割予定ラインに沿って切削溝を形成して、前記サファイアウェーハの裏面に対して平行又は垂直とならない面を形成する面取り加工を施すと共に前記改質層を分割起点として前記サファアウェーハを前記分割予定ラインに沿って分割する面取り分割工程と、
    を含み、前記サファイアウェーハに対する前記切削溝の形成と分割とを同時に行うことを特徴とする分割方法。
  2. 前記切削ブレードは、前記改質層形成工程における改質層の形成時に前記分割予定ラインが分割されて隙間が生じる場合に、前記分割予定ラインの位置ズレを吸収可能なブレード幅を有することを特徴とする請求項1に記載の分割方法。
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