JP6046452B2 - 光デバイスウエーハの加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基板の表面に発光層が積層され格子状に形成された複数のストリートによって区画された複数の領域に光デバイスが形成された光デバイスウエーハを、ストリートに沿って個々の光デバイスに分割する光デバイスウエーハの加工方法に関する。
光デバイス製造工程においては、略円板形状であるサファイア基板、炭化珪素基板、窒化ガリウム基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体からなる発光層が積層され格子状に形成された複数のストリートによって区画された複数の領域に発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスを形成して光デバイスウエーハを構成する。そして、光デバイスウエーハをストリートに沿って切断することにより光デバイスが形成された領域を分割して個々の光デバイスを製造している。
上述した光デバイスウエーハのストリートに沿った切断は、通常、ダイサーと呼ばれている切削装置によって行われている。この切削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削するための切削手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的に移動せしめる切削送り手段とを具備している。切削手段は、回転スピンドルと該スピンドルに装着された切削ブレードおよび回転スピンドルを回転駆動する駆動機構を含んでいる。切削ブレードは円盤状の基台と該基台の側面外周部に装着された環状の切れ刃からなっており、切れ刃は例えば粒径3μm程度のダイヤモンド砥粒を電鋳によって基台に固定し厚さ20μm程度に形成されている。
しかるに、光デバイスウエーハを構成するサファイア基板、炭化珪素基板、窒化ガリウム基板等はモース硬度が高いため、上記切削ブレードによる切断は必ずしも容易ではない。従って、切削ブレードの切り込み量を大きくすることができず、切削工程を複数回実施して光デバイスウエーハを切断するため、生産性が悪いという問題がある。
上述した問題を解消するために、光デバイスウエーハをストリートに沿って分割する方法として、ウエーハに対して吸収性を有する波長のパルスレーザー光線をストリートに沿って照射することにより破断の起点となるレーザー加工溝を形成し、この破断の起点となるレーザー加工溝が形成されたストリートに沿って外力を付与することにより割断する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
しかるに、光デバイスウエーハを構成するサファイア基板、炭化珪素基板、窒化ガリウム基板の表面に形成されたストリートに沿って基板に対して吸収性を有する波長のレーザー光線を照射してレーザー加工溝を形成すると、発光ダイオード等の光デバイスの側壁面にレーザー加工時に生成される変質物質が付着して光デバイスの輝度が低下し、光デバイスの品質が低下するという問題がある。
この問題を解消するために、光デバイスウエーハの基板に形成されたレーザー加工溝に沿って切削ブレードを回転しつつレーザー加工溝の壁面をナゾリながら移動することにより、レーザー加工溝形成時に生成された変質物質を除去した後に、光デバイスウエーハに外力を付与し、個々の光デバイスに分割する光デバイスウエーハの加工方法が下記特許文献2に記載されている。
特開平10−305420号公報 特開2011−199133号公報
而して、光デバイスウエーハを構成する基板に形成されたレーザー加工溝の壁面に付着した変質物質を除去すると、破断起点としての機能が減少するため、光デバイスウエーハに外力を付与して個々の光デバイスに分割する際に、必ずしも容易に破断することができないという問題がある。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、光デバイスの品質を低下させることなく、光デバイスウエーハを個々の光デバイスに容易に分割することができる光デバイスウエーハの加工方法を提供することにある。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、基板の表面に発光層が積層され格子状に形成された複数のストリートによって区画された複数の領域に光デバイスが形成された光デバイスウエーハを、ストリートに沿って個々の光デバイスに分割する光デバイスウエーハの加工方法であって、
光デバイスウエーハの基板に対して吸収性を有する波長のレーザー光線をストリートに対応する領域に照射し、破断基点となるレーザー加工溝を形成するレーザー加工溝形成工程と、
基板に形成されたレーザー加工溝に環状の切れ刃を備えた切削ブレードを位置付け、該切削ブレードを回転しつつレーザー加工溝に沿って相対移動することにより、レーザー加工溝形成時に生成された変質物質を除去するとともに加工溝を形成する溝加工工程と、
光デバイスウエーハに外力を付与し、光デバイスウエーハを加工溝に沿って破断し個々の光デバイスに分割するウエーハ分割工程と、を含み、
該溝加工工程は、該環状の切れ刃の外周縁を該レーザー加工溝の底から僅かに離間して位置付けて実施する、
ことを特徴とする光デバイスウエーハの加工方法が提供される。
上記レーザー加工溝形成工程は、光デバイスウエーハの表面または裏面に実施する。
本発明による光デバイスウエーハの加工方法においては、レーザー加工溝形成工程が実施され光デバイスウエーハの基板に形成されたレーザー加工溝に環状の切れ刃の外周縁を該レーザー加工溝の底から僅かに離間して位置付け、該切削ブレードを回転しつつレーザー加工溝に沿って相対移動することにより、レーザー加工溝形成時に生成された変質物質を除去するとともに加工溝を形成するので、該加工溝の底の下側にはレーザー加工溝が残存されるため、レーザー加工溝が形成される際の歪が破断起点となって容易に破断される。また、レーザー加工溝形成工程において形成されたレーザー加工溝の壁面に付着した変質物質は溝加工工程を実施することによって大部分が除去されるので、光デバイスの輝度を向上させることができる。
本発明による光デバイスウエーハの加工方法に従って加工される光デバイスウエーハを示す斜視図および要部拡大断面図。 本発明による光デバイスウエーハの加工方法におけるウエーハ支持工程の説明図。 本発明による光デバイスウエーハの加工方法におけるレーザー加工溝形成工程を実施するためのレーザー加工装置の要部斜視図。 本発明による光デバイスウエーハの加工方法におけるレーザー加工溝形成工程の説明図。 本発明による光デバイスウエーハの加工方法における溝加工工程を実施するための切削装置の要部斜視図。 本発明による光デバイスウエーハの加工方法における溝加工工程の説明図。 本発明による光デバイスウエーハの加工方法におけるウエーハ分割工程を実施するためのウエーハ破断装置の斜視図。 本発明による光デバイスウエーハの加工方法におけるウエーハ分割工程の説明図。
以下、本発明による光デバイスウエーハの加工方法の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1の(a)および(b)には、本発明による光デバイスウエーハの加工方法に従って加工される光デバイスウエーハの斜視図および要部を拡大して示す断面図が示されている。図1の(a)および(b)に示す光デバイスウエーハ2は、例えば厚みが100μmのサファイア基板20の表面20aに窒化物半導体からなる発光層(エピ層)21が5μmの厚みで積層されている。そして、発光層(エピ層)21が格子状に形成された複数のストリート22によって区画された複数の領域に発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイス23が形成されている。以下、この光デバイスウエーハ2をストリート22に沿って個々の光デバイス23に分割する加工方法について説明する。
先ず、光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20の裏面20bを環状のフレームに装着されたダイシングテープの表面に貼着するウエーハ支持工程を実施する。即ち、図2に示すように、環状のフレーム3の内側開口部を覆うように外周部が装着されたダイシングテープ30の表面に光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20の裏面20bを貼着する。
上述したウエーハ支持工程を実施したならば、光デバイスウエーハ2のサファイア基板20に対して吸収性を有する波長のレーザー光線をストリート22に対応する領域に照射し、破断基点となるレーザー加工溝を形成するレーザー加工溝形成工程を実施する。このレーザー加工溝形成工程は、図3に示すレーザー加工装置4を用いて実施する。図3に示すレーザー加工装置4は、被加工物を保持するチャックテーブル41と、該チャックテーブル41上に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段42と、チャックテーブル41上に保持された被加工物を撮像する撮像手段43を具備している。チャックテーブル41は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない加工送り手段によって図3において矢印Xで示す加工送り方向に移動せしめられるとともに、図示しない割り出し送り手段によって図3において矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
上記レーザー光線照射手段42は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング421を含んでいる。ケーシング421内には図示しないパルスレーザー光線発振器や繰り返し周波数設定手段を備えたパルスレーザー光線発振手段が配設されている。上記ケーシング421の先端部には、パルスレーザー光線発振手段から発振されたパルスレーザー光線を集光するための集光器422が装着されている。なお、レーザー光線照射手段42は、集光器422によって集光されるパルスレーザー光線の集光点位置を調整するための集光点位置調整手段(図示せず)を備えている。
上記レーザー光線照射手段42を構成するケーシング421の先端部に装着された撮像手段43は、被加工物を照明する照明手段と、該照明手段によって照明された領域を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた像を撮像する撮像素子(CCD)等を備え、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
上述したレーザー加工装置4を用いて、上記光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板20に対して吸収性を有する波長のレーザー光線をストリートに沿って照射し、破断基点となるレーザー加工溝を形成するレーザー加工溝形成工程について、図3および図4を参照して説明する。
先ず、上述した図3に示すレーザー加工装置4のチャックテーブル41上に光デバイスウエーハ2が貼着されたダイシングテープ30側を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、ダイシングテープ30を介して光デバイスウエーハ2をチャックテーブル41上に保持する(ウエーハ保持工程)。従って、チャックテーブル41に保持された光デバイスウエーハ2は、表面2aが上側となる。なお、図3においてはダイシングテープ30が装着された環状のフレーム3を省いて示しているが、環状のフレーム3はチャックテーブル41に配設された適宜のフレーム保持手段に保持される。このようにして、光デバイスウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル41は、図示しない加工送り手段によって撮像手段43の直下に位置付けられる。
チャックテーブル41が撮像手段43の直下に位置付けられると、撮像手段43および図示しない制御手段によって光デバイスウエーハ2のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段43および図示しない制御手段は、光デバイスウエーハ2の所定方向に形成されているストリート22と、該ストリート22に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段42の集光器422との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する(アライメント工程)。また、光デバイスウエーハ2に上記所定方向と直交する方向に形成されたストリート22に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。
以上のようにしてチャックテーブル41上に保持された光デバイスウエーハ2を構成する発光層(エピ層)21の表面に形成されているストリート22を検出し、レーザー光線照射位置のアライメントが行われたならば、図4の(a)で示すようにチャックテーブル41をレーザー光線照射手段42の集光器422が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定のストリート22の一端(図4の(a)において左端)をレーザー光線照射手段42の集光器422の直下に位置付ける。そして、集光器422から照射されるパルスレーザー光線の集光点Pを光デバイスウエーハ2の表面2a(上面)に合わせる。次に、集光器422からサファイア基板20に対して吸収性を有する波長のパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル41を図4の(a)において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる。そして、図4の(b)で示すようにレーザー光線照射手段42の集光器422の照射位置がストリート22の他端(図4の(b)において右端)の位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル41の移動を停止する。この結果、光デバイスウエーハ2の表面2a側には、図4の(b)および図4の(c)に示すようにストリート22に沿って連続したレーザー加工溝201が形成される(レーザー加工溝形成工程)。このようにして形成されたレーザー加工溝201の壁面には、図4の(c)に示すように上記レーザー加工溝形成時に生成された変質物質202が付着している。
上記レーザー加工溝形成工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
光源 :半導体励起固体レーザー(Nd:YAG)
波長 :355nmのパルスレーザー
平均出力 :3W
パルス幅 :180ns
繰り返し周波数 :100kHz
集光スポット径 :φ20μm
加工送り速度 :60mm/秒
溝深さ :40μm
なお、上記レーザー加工溝形成工程における加工条件においては、レーザー加工溝201の深さ(t1)は40μmとなる。
以上のようにして、光デバイスウエーハ2の所定方向に延在する全てのストリート22に沿って上記レーザー加工溝形成工程を実施したならば、チャックテーブル41を90度回動せしめて、上記所定方向に対して直交する方向に形成された各ストリート22に沿って上記レーザー加工溝形成工程を実施する。
上述したレーザー加工溝形成工程を実施したならば、サファイア基板20に形成されたレーザー加工溝201に環状の切れ刃を備えた切削ブレードを位置付け、該切削ブレードを回転しつつレーザー加工溝201に沿って相対移動することにより、レーザー加工溝形成時に生成された変質物質202を除去する溝加工工程を実施する。この溝加工工程は、図示の実施形態においては図5に示す切削装置5を用いて実施する。図5に示す切削装置5は、被加工物を保持するチャックテーブル51と、該チャックテーブル51に保持された被加工物を切削する切削手段52と、該チャックテーブル51に保持された被加工物を撮像する撮像手段53を具備している。チャックテーブル51は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない加工送り手段によって図5において矢印Xで示す加工送り方向に移動せしめられるとともに、図示しない割り出し送り手段によって矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
上記切削手段52は、実質上水平に配置されたスピンドルハウジング521と、該スピンドルハウジング521に回転自在に支持された回転スピンドル522と、該回転スピンドル522の先端部に装着された切削ブレード523を含んでおり、回転スピンドル522がスピンドルハウジング521内に配設された図示しないサーボモータによって矢印523aで示す方向に回転せしめられるようになっている。切削ブレード523は、アルミニウムによって形成された円盤状の基台524と、該基台524の側面外周部に装着された環状の切れ刃525とからなっている。環状の切れ刃525は、基台524の側面外周部に粒径が3〜4μmのダイヤモンド砥粒をニッケルメッキで固めた電鋳ブレードからなっており、厚みが30μmで外径が52mmに形成されている。
上記撮像手段53は、スピンドルハウジング521の先端部に装着されており、被加工物を照明する照明手段と、該照明手段によって照明された領域を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた像を撮像する撮像素子(CCD)等を備え、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
上述した切削装置5を用いて溝加工工程を実施するには、図5に示すようにチャックテーブル51上に上記レーザー加工溝形成工程が実施された光デバイスウエーハ2が貼着されたダイシングテープ30側を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、ダイシングテープ30を介して光デバイスウエーハ2をチャックテーブル51上に保持する(ウエーハ保持工程)。従って、チャックテーブル51に保持された光デバイスウエーハ2は、表面2aが上側となる。なお、図5においてはダイシングテープ30が装着された環状のフレーム3を省いて示しているが、環状のフレーム3はチャックテーブル51に配設された適宜のフレーム保持手段に保持される。このようにして、光デバイスウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル51は、図示しない加工送り手段によって撮像手段53の直下に位置付けられる。
チャックテーブル51が撮像手段53の直下に位置付けられると、撮像手段53および図示しない制御手段によって光デバイスウエーハ2の加工すべき領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段53および図示しない制御手段は、光デバイスウエーハ2の表面2a側に所定方向に形成されているレーザー加工溝201と切削ブレード523との位置合わせを行うためのアライメントを遂行する(アライメント工程)。また、光デバイスウエーハ2の表面2a側に上記所定方向に対して直交する方向に形成されたレーザー加工溝201に対しても、同様に加工領域のアライメントが遂行される。
以上のようにしてチャックテーブル51上に保持されている光デバイスウエーハ2の加工領域を検出するアライメントが行われたならば、光デバイスウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル51を切削ブレード523の下方である加工領域の加工開始位置に移動する。そして、図6の(a)で示すように光デバイスウエーハ2の加工すべきレーザー加工溝201の一端(図6の(a)において左端)が切削ブレード523の直下より所定量右側に位置するように位置付ける(加工送り開始位置位置付け工程)。このようにして光デバイスウエーハ2を加工領域の加工開始位置に位置付けられたならば、切削ブレード523を矢印523aで示す方向に回転しつつ図6の(a)において2点鎖線で示す待機位置から下方に切り込み送りし、図6の(a)において実線で示すように所定の切り込み送り位置に位置付ける。この切り込み送り位置は、図6の(c)に示すように切削ブレード523を構成する環状の切れ刃525の外周縁の下端が光デバイスウエーハ2の表面2a(上面)から深さ(t2)(例えば35μm)の位置、即ち環状の切れ刃525の外周縁をレーザー加工溝201の底から僅かに(図示の実施形態においては5μm)離間した位置に設定されている。
次に、図6の(a)に示すように切削ブレード523を矢印523aで示す方向に回転しつつ所定の回転速度(例えば20000rpm)で回転せしめ、チャックテーブル51即ち光デバイスウエーハ2を図6の(a)において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度(例えば50mm/秒)で加工送りする(溝加工工程)。この溝加工工程においては、切削ブレード523を構成する環状の切れ刃525の外周端部がレーザー加工溝201をナゾリながら相対移動する。この結果、環状の切れ刃525の厚み(30μm)はレーザー加工溝201(集光スポット径がφ20μmのパルスレーザー光線によって形成されている)の幅より厚く設定されているので、上記図6の(d)に示すようにレーザー加工溝201の壁面に付着している変質物質202(図4の(c)参照)が除去されるとともに、図6の(d)に示すように加工溝203が形成される。そして、加工溝203の底の下側には深さ5μmのレーザー加工溝201が残存される。上述した溝加工工程においては、切削ブレード523を構成する環状の切れ刃525はレーザー加工溝201の壁面に付着している変質物質202をナゾリながら加工するので、変質物質202を容易に除去することができるとともに、レーザー加工溝201の壁面を容易に研削して加工溝203に形成することができる。なお、チャックテーブル51に保持された光デバイスウエーハ2の他端(図6の(b)において右端)が切削ブレード523の直下より所定量左側に位置するまで達したら、チャックテーブル51の移動を停止する。そして、切削ブレード523を上昇させ2点鎖線で示す退避位置に位置付ける。
以上のようにして、光デバイスウエーハ2の所定方向に延在する全てのストリート22に沿って上記溝加工工程を実施したならば、チャックテーブル51を90度回動せしめて、上記所定方向に対して直交する方向に形成された各レーザー加工溝201に沿って上記溝加工工程を実施する。
上述したように溝加工工程を実施したならば、光デバイスウエーハ2に外力を付与し、加工溝203に沿って破断し、個々の光デバイス23に分割するウエーハ分割工程を実施する。このウエーハ分割工程は、図7に示すウエーハ破断装置6は、基台61と、該基台61上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された移動テーブル62を具備している。基台61は矩形状に形成され、その両側部上面には矢印Yで示す方向に2本の案内レール611、612が互いに平行に配設されている。この2本の案内レール611、612上に移動テーブル62が移動可能に配設されている。移動テーブル62は、移動手段63によって矢印Yで示す方向に移動せしめられる。移動テーブル62上には、上記環状のフレーム3を保持するフレーム保持手段64が配設されている。フレーム保持手段64は、円筒状の本体641と、該本体641の上端に設けられた環状のフレーム保持部材642と、該フレーム保持部材642の外周に配設された固定手段としての複数のクランプ643とからなっている。このように構成されたフレーム保持手段64は、フレーム保持部材642上に載置された環状のフレーム3をクランプ643によって固定する。また、図7に示すウエーハ破断装置6は、上記フレーム保持手段64を回動せしめる回動手段65を具備している。この回動手段65は、上記移動テーブル62に配設されたパルスモータ651と、該パルスモータ651の回転軸に装着されたプーリ652と、該プーリ652と円筒状の本体641に捲回された無端ベルト653とからなっている。このように構成された回動手段65は、パルスモータ651を駆動することにより、プーリ652および無端ベルト653を介してフレーム保持手段64を回動せしめる。
図7に示すウエーハ破断装置6は、上記環状のフレーム保持部材642に保持された環状のフレーム3にダイシングテープ30を介して支持されている光デバイスウエーハ2にストリート22と直交する方向に引張力を作用せしめる張力付与手段66を具備している。張力付与手段66は、環状のフレーム保持手段64内に配置されている。この張力付与手段66は、矢印Y方向と直交する方向に長い長方形の保持面を備えた第1の吸引保持部材661と第2の吸引保持部材662を備えている。第1の吸引保持部材661には複数の吸引孔661aが形成されており、第2の吸引保持部材662には複数の吸引孔662aが形成されている。複数の吸引孔661aおよび662aは、図示しない吸引手段に連通されている。また、第1の吸引保持部材661と第2の吸引保持部材662は、図示しない移動手段によって矢印Y方向にそれぞれ移動せしめられるようになっている。
図7に示すウエーハ破断装置6は、上記環状のフレーム保持部材642に保持された環状のフレーム3にダイシングテープ30を介して支持されている光デバイスウエーハ2のストリート22を検出するための検出手段67を具備している。検出手段67は、基台61に配設されたL字状の支持柱671に取り付けられている。この検出手段67は、光学系および撮像素子(CCD)等で構成されており、上記張力付与手段66の上方位置に配置されている。このように構成された検出手段67は、上記環状のフレーム保持部材642に保持された環状のフレーム3にダイシングテープ30を介して支持されている光デバイスウエーハ2のストリート22を撮像し、これを電気信号に変換して図示しない制御手段に送る。
上述したウエーハ破断装置6を用いて実施するウエーハ分割工程について、図8を参照して説明する。
上述した溝加工工程が実施された光デバイスウエーハ2が貼着されているダイシングテープ30が装着された環状のフレーム3を、図8の(a)に示すようにフレーム保持部材642上に載置し、クランプ643によってフレーム保持部材642に固定する。次に、移動手段63を作動して移動テーブル62を矢印Yで示す方向(図7参照)に移動し、図8の(a)に示すようにデバイスウエーハ2に形成された1本のストリート22(図示の実施形態においては最左端のストリート)が張力付与手段66を構成する第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面との間に位置するように位置付ける。このとき、検出手段67によってストリート22を撮像し、第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面との位置合わせを行う。このようにして、1本のストリート22が第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面との間に位置付けられたならば、図示しない吸引手段を作動し吸引孔661aおよび662aに負圧を作用せしめることにより、第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面上にダイシングテープ30を介して光デバイスウエーハ2を吸引保持する(保持工程)。
上述した保持工程を実施したならば、張力付与手段66を構成する図示しない移動手段を作動し、第1の吸引保持部材661と第2の吸引保持部材662を図8の(b)に示すように互いに離反する方向に移動せしめる。この結果、第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面との間に位置付けられたストリート22には、ストリート22と直交する方向に引張力が作用し、光デバイスウエーハ2は加工溝203が破断の起点となってストリート22に沿って破断される(破断工程)。そして、加工溝203の底の下側には深さ5μmのレーザー加工溝201が残存されているので、レーザー加工溝201が形成される際の歪が破断起点となって容易に破断される。この破断工程を実施することにより、ダイシングテープ30は僅かに伸びる。この破断工程においては、光デバイスウエーハ2はストリート22に沿って加工溝203が形成されるとともに、加工溝203の底の下側にレーザー加工溝201が残存され強度が低下せしめられているので、第1の吸引保持部材661と第2の吸引保持部材662を互いに離反する方向に0.5mm程度移動することにより、光デバイスウエーハ2に形成された加工溝203および加工溝203の底の下側に残存されたレーザー加工溝201が破断の起点となってストリート22に沿って破断することができる。
以上のようにして、所定方向に形成された全てのストリート22に対して上記保持工程および破断工程を実施したならば、回動手段65を作動してフレーム保持手段64を90度回動せしめる。この結果、フレーム保持手段64のフレーム保持部材642に保持された光デバイスウエーハ2も90度回動することになり、所定方向に形成され上記破断工程が実施されたストリート22と直交する方向に形成されたストリート22が第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面と平行な状態に位置付けられる。次に、上記破断工程が実施されたストリート22と直交する方向に形成された全てのストリート22に対して上述した保持工程および破断工程を実施することにより、光デバイスウエーハ2はストリート22に沿って個々のデバイス23に分割される(ウエーハ分割工程)。
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で種々の変形は可能である。例えば、上述した実施形態においては光デバイスウエーハの基板としてサファイア基板を用いた例を示したが、光デバイスウエーハの基板としては炭化珪素基板、窒化ガリウム基板等を用いることができる。また、上述した実施形態においてはレーザー加工溝形成工程を光デバイスウエーハの表面に実施した例を示すたが、レーザー加工溝形成工程は光デバイスウエーハを構成する基板の裏面側に実施してもよい。
2:光デバイスウエーハ
20:サファイア基板
21:発光層(エピ層)
3:環状のフレーム
30:ダイシングテープ
4:レーザー加工装置
41:レーザー加工装置のチャックテーブル
42:レーザー光線照射手段
422:集光器
5:切削装置
51:切削装置のチャックテーブル
52:切削手段
523:切削ブレード
525:環状の切れ刃
6:ウエーハ破断装置
61:基台
62:移動テーブル
64:フレーム保持手段
65:回動手段
66:張力付与手段
67:検出手段

Claims (2)

  1. 基板の表面に発光層が積層され格子状に形成された複数のストリートによって区画された複数の領域に光デバイスが形成された光デバイスウエーハを、ストリートに沿って個々の光デバイスに分割する光デバイスウエーハの加工方法であって、
    光デバイスウエーハの基板に対して吸収性を有する波長のレーザー光線をストリートに対応する領域に照射し、破断基点となるレーザー加工溝を形成するレーザー加工溝形成工程と、
    基板に形成されたレーザー加工溝に環状の切れ刃を備えた切削ブレードを位置付け、該切削ブレードを回転しつつレーザー加工溝に沿って相対移動することにより、レーザー加工溝形成時に生成された変質物質を除去するとともに加工溝を形成する溝加工工程と、
    光デバイスウエーハに外力を付与し、光デバイスウエーハを加工溝に沿って破断し個々の光デバイスに分割するウエーハ分割工程と、を含み、
    該溝加工工程は、該環状の切れ刃の外周縁を該レーザー加工溝の底から僅かに離間して位置付けて実施する、
    ことを特徴とする光デバイスウエーハの加工方法。
  2. 該レーザー加工溝形成工程は、光デバイスウエーハの表面または裏面に実施する、請求項1の光デバイスウエーハの加工方法。
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