JP5751712B2 - 電磁調理器とこれに用いる電磁誘導装置及び金属製発熱媒体 - Google Patents
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Description
茹で麺器の場合、金属容器の一方向に沿って麺を横に入れて茹でることが好ましい。麺は例えばバスタ、うどん、そば、ラーメン等を挙げることができる。とくにパスタは塩を入れて茹でることから、容器の腐食が激しい。このため従来の電磁誘導加熱を使用した茹で麺器の場合は、SUS304のような高価なステンレス鋼が必要であり、腐食した場合も修理にはかなりの時間と費用が掛かっていた。しかし、本発明では金属容器が腐食した場合、金属容器のみ換えれば済むことから製品コストも安くできる。例えばSUS430のような安価なステンレス鋼を使用できる。金属容器自体も直方体容器でよいことから安価に製造できる。
煮物調理器には煮物以外に汁もの(味噌汁、すまし汁、スープ、シチュー)やカレー、おでんなども広く含む。煮物調理器には茹で麺器と同様の金属容器を使用し、ふたも使用する。電力供給を制御して長時間、穏やかな加熱もできる。
揚げ物調理器には茹で麺器と同様の金属容器を使用し、食用オイルを加熱する。加熱面積が広いことから常に一定の温度制御も可能であり、加熱しすぎによるオイルの酸化も防止できる。
蒸し器の場合も茹で麺器と同様の金属容器を使用し、その上にせいろを置く。せいろは複数段重ねて置くこともできる。
焼き物・炒め物調理器の場合は金属板(プレート)を使用し、必要な場合はふたも使用できる。
1 使用機器
(1)インバータ
市販品のインバータ、電圧:200V、電力:5.0KW、周波数:20〜50kHzを使用した。交流電気の周波数を範囲で示すのは加熱対象物体によって出力が変化するからである。このインバータには温度検出比較回路装置が内蔵されている。
(2)電磁誘導装置
直径3mmのコイル線を使用し、2.5KWコイル×2本を直列結線して使用した。すなわち、電磁誘導加熱装置は図1に示すように2個使用した。
(3)金属容器
厚み0.7mmのステンレス鋼SUS430を使用し、奥行き80mm、高さ80mm、幅300mmの直方体容器2個を使用した。電磁誘導装置と金属容器との間隙(ギャップ)は9mmとした。また電磁誘導装置と金属容器との間には耐熱ガラス(日本電気硝子社製、商品名“ネオセラム”、厚み4mm)を配置した。金属容器内の水量は650mlとした。電磁調理器全体の形状は図1〜3に示すとおりである。
パスタはイタリア製商品名“ディ チェコ”、太さ1.4mmを使用し、1回分100g使用した。
電磁誘導装置の高周波コイルと金属容器のギャップを9mmとし、高周波コイル1本に対して1個の金属容器を置いた。まず温度25℃の水を約2分で沸騰させ、その後パスタを金属容器の長さ方向に沿って横向けに投入した。食塩5gも加えた。投入後一旦温度が下がり沸騰状態はなくなったが、約10秒後に再度沸騰した。その後は吹きこぼれが無い程度に電力の出力調整をした。パスタを投入してから6分間沸騰状態で茹であげた。この間、パスタは金属容器底の2列の沸騰領域でスパイラル状に回転しながら流動し、人の手の撹拌は不要であった。これによりパスタ同士のくっつきはなく、表面のぬめりも取れ、スパイラル状に捩れた状態で茹で上げられた。茹で具合の食感を確かめたところ、プロの職人が茹でたのと同等の食感であった。
パスタに換えて日本蕎麦(乾麺)を使用して実施例1と同様に実験した。食塩は加えなかった。茹で時間は3分とした。日本蕎麦においても、金属容器底の2列の沸騰領域でスパイラル状に回転しながら流動し、人の手の撹拌は不要であった。これにより麺同士のくっつきはなく、表面のぬめりも取れ、スパイラル状に捩れた状態で茹で上げられた。茹で具合の食感を確かめたところ、プロの職人が茹でたのと同等の食感であった。
パスタに換えてソーメン(乾麺)を使用して実施例1と同様に実験した。食塩は加えなかった。茹で時間は3分とした。ソーメンにおいても、金属容器底の2列の沸騰領域でスパイラル状に回転しながら流動し、人の手の撹拌は不要であった。これにより麺同士のくっつきはなく、表面のぬめりも取れ、スパイラル状に捩れた状態で茹で上げられた。茹で具合の食感を確かめたところ、プロの職人が茹でたのと同等の食感であった。
パスタに換えてうどん(乾麺)を使用して実施例1と同様に実験した。食塩は加えなかった。茹で時間は9分とした。うどんにおいても、金属容器底の2列の沸騰領域でスパイラル状に回転しながら流動し、人の手の撹拌は不要であった。これにより麺同士のくっつきはなく、表面のぬめりも取れ、スパイラル状に捩れた状態で茹で上げられた。茹で具合の食感を確かめたところ、プロの職人が茹でたのと同等の食感であった。
(1)図2の2列の沸騰領域11a,11bにおける水の沸騰により、金属容器内に強い対流が起こり、麺が金属容器内でスパイラル状に回転しながら茹でられる。これにより麺同士のくっつきは防止され、表面のぬめりも取れ、団子状態にもならず、スパイラル状に捩れた状態で茹で上げられる。
(2)従来の茹で麺器(ガス火、電気抵抗加熱、電磁誘導加熱等を問わない)は大量のお湯を沸かし続ける必要があったが、本発明の電磁調理器は茹でるのに必要なお湯をその都度沸かせば済むことから、電力エネルギーコストを下げることができる。前回分のお湯を再利用すれば、さらに電力エネルギーコストを下げることができる。
(3)従来の電磁誘導加熱方式のパスタ用茹で麺器は、茹でる時の塩分により水槽やその周辺機器が腐食するため、耐腐食性金属で作成する必要があり、それでも修理等が必要になることが多く、修理にかなりの時間と費用が掛かっていた。これに対して本発明の電磁調理器は破損したとしても金属容器のみ換えれば済み、コストは安い。また、金属容器の清掃は簡単であり、使い勝手もよい。
(4)本発明の電磁調理器は強制撹拌を必要とせず、沸騰水による自己撹拌が可能な電磁調理器とすることができる。自己撹拌が可能であると、麺カゴは不要で、人件費もかからず、調理コストも安くできる。
図5に示す装置を用いた。電磁誘導装置は実施例1と同一のものを使用し、電磁誘導装置と鉄板とのギャップは9mmとした。鉄板は厚み5mmの鉄板を使用し、奥行き80mm、幅300mm、周囲の縁の高さ20mmの長方形とした。この鉄板の上に食用オイルを引き、合計12個の餃子を1列に並べて加熱調理したところ、約6分で調理できた。焼き具合はこんがりと焼け、内部までよく焼けており、申し分ない焼き具合であった。
2,2a,2b 金属容器
3,3a,3b 水
4,4a,4b 耐熱ガラス
5 インバータ
6 温度検出比較回路装置
7 電源
8a,8b 空焚き防止用温度センサ
9 給電リード線
10 電磁誘導装置と金属容器との間隙
11,11a,11b 沸騰領域
12 E型磁心
13 コイル線
14 高周波コイル
15,16 電気絶縁樹脂
17 高周波コイル保護センサ挿入用スペース
18 ハウジング
19a,19b パスタ
20 鉄板
Claims (6)
- 磁心と前記磁心を巻回するコイル線を含む電磁誘導装置と、前記電磁誘導装置の上に金属製発熱媒体を配置した電磁調理器であって、
前記電磁誘導装置及び前記金属製発熱媒体はともに一方向に長く、前記磁心は断面がE型であり、前記E型磁心の内部にコイル線が巻回され、前記コイル線側が上部に向いており、
前記金属製媒体は前記一方向に沿った底の複数列が加熱源となり、
前記コイル線は電気絶縁樹脂によってモールド固定されており、
前記金属製発熱媒体は前記電磁誘導装置と分離可能に配置されていることを特徴とする電磁調理器。 - 前記電磁誘導装置と前記金属製媒体との間には耐熱ガラス又はセラミック板が配置されている請求項1に記載の電磁調理器。
- 前記電磁誘導装置は、周波数20〜100kHzの高周波交流電気を流すインダクションヒータであり、前記金属製発熱媒体との間に間隙を設ける請求項1又は2に記載の電磁調理器。
- 前記電磁調理器は茹で麺器、煮物調理器、揚げ物調理器、蒸し器、又は焼き物・炒め物調理器である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁調理器。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁調理器に使用するための電磁誘導装置であって、
磁心と前記磁心を巻回するコイル線を含む高周波コイルは上に向けて配置されていることを特徴とする電磁誘導装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁調理器に使用するための金属製発熱媒体であって、
少なくとも底の部分は電磁誘導装置から発生する磁束により発熱する金属で構成されていることを特徴とする金属製発熱媒体。
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