JP5748385B2 - O/w型エマルション水性点眼剤 - Google Patents

O/w型エマルション水性点眼剤 Download PDF

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本発明は、水性点眼剤に関し、さらに詳しくは、涙液の蒸発亢進に伴うドライアイの予防又は改善に有効なO/W型エマルション水性点眼剤に関する。
パソコン等が普及した現代社会においては、眼を酷使する場面が多くなり、ドライアイ(乾燥眼)に罹患する人の数が急増している。
ドライアイとは、一般に、涙液の分泌量の低下又は涙液の質的変化により、眼球表面の角膜若しくは結膜が障害を受けた状態のことであり、具体的な症状としては、眼の疲れ、眼のかすみ、眼のかゆみ、眼の乾き、結膜充血及びコンタクトレンズ装着時の不快感等が挙げられる。
正常な眼の表面において、涙は、瞬きにより薄い膜となって、乾燥、ほこり、細菌から眼を保護している。しかしながら、ドライアイになると、涙液が眼の表面を十分に保護することができなくなり、角膜や結膜に障害が生じることになる。ドライアイは単に眼が乾くだけでなく、眼の表面を傷つけることから、様々な眼病に移行する可能性があり、よって、その予防及び早期の治療が重要である。殊に、コンタクトレンズ装用者においては、角結膜障害を伴うことが多く、その治療は急務である。また、眼精疲労患者の60%がドライアイ併発しているともいわれており、ドライアイは眼精疲労の主要原因の一つでもあると考えられている。よって、ドライアイを予防又は改善することは、眼精疲労の予防又は改善にも有効であると考えられる(非特許文献1参照)。
眼の表面は涙液に覆われることにより、外界から保護されている。涙液は油層、水層及びムチン層の三層より構成されており、この涙液の三層構造が破綻するとドライアイが惹起される。
ドライアイは大きく分類すると涙液(分泌)減少型ドライアイと蒸発亢進型ドライアイの二つに分類される。近年、コンピュータの急速な普及やコンタクトレンズ装用者の増加に伴い、涙液油層の障害が原因となって生じる蒸発亢進型ドライアイの割合が急増している。従来用いられてきたドライアイ用点眼剤は、ナトリウムイオンやカリウムイオンを主成分とした、主に水分の補給を目的とした人工涙液型点眼剤、または、コンドロイチン硫酸ナトリウムやヒアルロン酸ナトリウム等のムコ多糖を含有し、主に水分の保持を目的とした点眼剤であり、水分が減少することによって生じる涙液減少型ドライアイの治療には有効であったが、油層の障害によって惹起される蒸発亢進型ドライアイの治療には十分な効果があるとはいえない。
蒸発亢進型ドライアイに対しては、油分の補給を目的に油性点眼剤や眼軟膏剤が用いられることもあるが、油分を直接眼に投与すると、その特有の刺激又は粘性のため、痛みや視界の曇り、べとつき等を生じ、継続して使用することは困難である。特に、コンタクトレンズ装用者においては、油分はコンタクトレンズのくもりや汚れの原因になりやすいという問題があり、また、油分を可溶化するために配合される界面活性剤がソフトコンタクトレンズそのものに与える影響も懸念される。
従来から、脂溶性薬物や油分をポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類などの界面活性剤を使用して、水に可溶化若しくは乳化した点眼剤が知られている(特許文献2及び3参照)。しかしながら、界面活性剤は、角膜若しくは結膜に対して刺激性があることが指摘されており、殊に、ドライアイ患者では涙液の循環が悪化しているため、界面活性剤が眼表面に残留しやすく、界面活性剤の使用はあまり好ましくない。また、多量の界面活性剤を用いて油分を可溶化若しくは乳化した点眼剤は、点眼液中で油分が安定に存在するという利点があるものの、その界面活性剤の作用により、涙液油層やムチン層まで一緒に除去してしまうおそれがあり、特に油分を効率的に補給する必要がある蒸発亢進型ドライアイの予防又は改善には十分な効果を発揮できなかった。
そこで、コンタクトレンズ装用者にも使用可能であり、刺激が少なく、使用感が良い蒸発亢進型ドライアイに対して有効な点眼剤の開発が望まれていた。
蒸発亢進型ドライアイの治療薬としては、人工涙液からなる点眼薬に1〜10容量%の油を添加したドライアイ治療用の目薬が知られているが(特許文献1参照)、このような点眼剤では、点眼液中で油分が分離してしまうため、安定性、均一性を保持することが難しく、また、点眼前に容器を激しく振って内容物を均一にする必要があるが、ユニットドーズ型の容器に充填した場合には容器を激しく振っても内容物を均一にすることは難しい。
一方、レシチンはもともと涙液中に存在する成分であり眼に対して安全であるため、従来からレシチンを用いて油分を乳化した点眼剤が知られている(特許文献4及び5参照)。また、特定のリン脂質と無極性油を含有する水性水中油滴型エマルションが乾き眼に有効であることが知られている(特許文献6参照)。
しかしながら、油分をレシチンや少量の界面活性剤で乳化し、ムコ多糖を含有するO/W型エマルション水性点眼剤を蒸発亢進型ドライアイの予防又は改善に供したという報告はない。
特開平10−218760号公報 特開平11−29483号公報 特開2000−273061号公報 特開昭62−106018号公報 特開昭62−270521号公報 特開平4−279525号公報 ドライアイ研究会編「ドライアイ診療PPP」メジカルビュー社、230−231、2002
本発明は、眼表面において油分を均一に分散することができ、点眼剤中で油分やムコ多糖が安定に存在し、刺激が少なく、使用感の良い蒸発亢進型ドライアイに対して有効なO/W型エマルション水性点眼剤を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、油分、ムコ多糖及びレシチン及び/又は少量の非イオン界面活性剤を含有するO/W型エマルション水性点眼剤が、点眼剤中で油分を安定に保持でき、点眼後は速やかに油分を効率良く眼表面に分散させることができるため、眼表面からの水分の蒸散を有意に抑制することを見出した。また、かかる点眼剤はソフトコンタクトレンズ等のコンタクトレンズそのものにも影響を与えないことが確認された。
かかる知見に基づき完成した本発明は、油分、ムコ多糖及びレシチンを含有することを特徴とするO/W型エマルション水性点眼剤である。
また、本発明の他の態様は、油分、ムコ多糖及び非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とするO/W型エマルション水性点眼剤である。
本発明により、涙液油層の形成が促進され、涙液の蒸発亢進に伴うドライアイの予防又は改善に有効で、刺激が少なく、眼に対して安全性の高いO/W型エマルション水性点眼剤を提供することが可能となった。
本発明における「油分」は、涙液油層の形成を促進する油分であれば特に限定はないが、例えば、ヒマシ油、大豆油 、オリーブ油、小麦胚芽油、ペパーミント油、ヒマワリ油、ゴマ油、綿実油、コーン油、ヤシ油、ラッカセイ油、ピーナッツ油、アーモンド油、サフラワー油、ホホバ油、ツバキ油及び菜種油等の植物性油、スクワラン等の動物性油、並びに、流動パラフィン及び軽質流動パラフィン等の鉱物性油等が挙げられるが、涙液油層形成能に優れているヒマシ油等の極性を有する油分が好ましい。
油分の含有(配合)量は、点眼剤中0.001質量%〜10質量%であり、0.01質量%〜1質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がさらに好ましい。0.001質量%未満であると涙液油層の形成が不十分であり、水分蒸散を抑制する効果が十分に得られないので好ましくない。また、10質量%を超えると、べたつき、眼のかすみ、刺激等を惹起することがあるので好ましくない。
本発明における「ムコ多糖」としては、ヒアルロン酸、コンドロイチン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸等又はそれらの塩が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。これらの中では、ヒアルロン酸ナトリウムまたはコンドロイチン硫酸ナトリウムがより好ましい。
ムコ多糖の含有(配合)量は、水性点眼剤中0.001〜10質量%であり、0.01〜1質量%が好ましく、0.01〜0.1質量%がさらに好ましい。0.001質量%未満であると十分な涙液油層形成促進効果を発揮できず、好ましくない。また、10質量%を超えるとべたつき、眼のかすみ、刺激等を惹起することがあり、好ましくない。
本発明の水性点眼剤は、点眼液中に油分を安定に保持するため、O/W型エマルションであり、具体的には、油分をレシチン又は非イオン性界面活性剤によって乳化した、微細な油滴が水性の点眼液中に存在しているエマルションである。
本発明の「レシチン」としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等のジアシルエステル型グリセロリン脂質、大豆や卵黄等の動植物より得られる天然物由来レシチン等、又は、これらの水素添加物が挙げられるが、酸化安定性に優れている点で、水素添加レシチンが好ましく、水素添加大豆レシチンがより好ましい。これらのレシチンは1種を用いるだけでなく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
レシチンの含有(配合)量は、油分の1質量部に対して0.001〜10質量部であり、0.01〜1質量部が好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等が挙げられるが、HLB値が10以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類が好ましく、製剤中でのO/W型エマルション構造の安定性及び涙液油層形成能に優れているポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類がさらに好ましい。
非イオン性界面活性剤の含有(配合)量は、油分の1質量部に対して、0.01〜1質量部であり、0.1〜0.8質量部が好ましい。0.01質量部未満であると、長期的に油分を製剤中で均一に分散させることが困難であり、1質量部を超えると油分が可溶化され、涙液油層への親和性が低下する。また界面活性剤自身が涙液油層の油分を可溶化して取り除いてしまうため、肝心の水分蒸散抑制作用が低下する。
また、レシチン及び非イオン性界面活性剤は、数種を組み合わせて使用してもよい。
本発明のO/W型エマルション水性点眼剤は、点眼時の刺激を緩和するため等張であることが好ましく、浸透圧調整剤を配合してもよい。浸透圧調整剤としては、例えば、多価アルコール又は糖が挙げられる。さらに、多価アルコールとしては、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、トレハロース、キシリトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。糖としては、ブドウ糖等が挙げられる。これら多価アルコール及び糖は1種を用いるだけでなく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多価アルコール又は糖の含有(配合)量は、点眼剤中、0.01〜4質量%であり、眼への刺激性を考慮すると点眼剤の浸透圧が228〜458mOsmになるように配合することが好ましく、グリセリンの使用がさらに好ましい。
O/W型エマルション水性点眼剤中におけるエマルションの平均粒子径は、点眼液の透明性、安定性を確保するため、200nm以下であることが好ましく、50nm〜150nmであることがより好ましい。50nm未満であると点眼後、涙液油層の形成効率が低下するため好ましくないからである。この粒子径は、レーザー回析・散乱式粒度分布測定装置などを用いて測定することができる。
本発明の水性点眼剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、アミノ酸、無機塩類、粘ちょう剤などの有効成分、安定化剤、抗酸化剤、キレート化剤、緩衝剤、pH調節剤及び増粘剤などの各種添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、アミノ酸としてはタウリン及びアスパラギン酸又はそれらの塩、無機塩類としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、粘ちょう剤としてはポリビニルアルコール、ポビドン、カルメロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ブドウ糖、グリセリン、ポリエチレングリコール、デキストラン等が挙げられる。
また、涙液油層の障害による蒸発亢進型ドライアイに罹患した人にとって、塩化ベンザルコニウム等の防腐剤入りの点眼剤は、眼に対する刺激が強すぎるため好ましくない。そこで、本発明にかかる水性点眼剤には防腐剤を配合しないことが好ましく、やむを得ず配合する場合であっても、できうる限り少量であることが好ましい。
本発明のO/W型エマルション水性点眼剤に使用する容器は、通常使用されているマルチドーズ型容器、フィルター付きマルチドーズ型容器、ユニットドーズ型容器を用いることができるが、防腐剤フリーの点眼剤とすることが可能なフィルター付きマルチドーズ型容器またはユニットドーズ型容器が好ましい。
以下に製造例、実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
製造例1
グリセリン(日本薬局方適合品)58.2gに精製水19.6gを加え均一にした後、70℃に加温し、撹拌しながら水素添加大豆レシチン(レシノールS−10M(商品名)、日光ケミカルズ社製)2.2gを添加し分散させた。70℃で加温しながら、ヒマシ油(日本薬局方適合品)20gを添加し、ホモジナイザー(ヒスコトロン(商品名)、日立製作所製)で攪拌し、予備乳化物を得た。この乳化物を高圧ホモジナイザー(ミニラボ830H(商品名)、ラニー社製)を用いて乳化し、微細な乳化物を得た。
製造例2
グリセリン(日本薬局方適合品)29.8gに精製水43.2gを加え均一にした後、70℃に加温して、撹拌しながらポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(ニッコールHCO−60、日光ケミカルズ社製)7.0gを添加した。70℃で加温しながら、ヒマシ油(日本薬局方適合品)20gを添加し、ホモジナイザー(ヒスコトロン(商品名)、日立製作所製)で攪拌し、予備乳化物を得た。この乳化物を高圧ホモジナイザー(PANDA 2K型、Niro Soavi S.p.A)を用いて、微細な乳化物を得た。
実施例1
製造例1で調製した乳化物を精製水で200倍に希釈する過程において、ヒアルロン酸ナトリウムを0.05%添加し、さらに浸透圧調整のためにグリセリンを適量加え、ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を全量100mL調製し、ユニットドーズ型容器に充填した。このときの浸透圧は286mOsm、平均粒子径は124nmであった。
実施例2
製造例2で調製した乳化物を精製水で200倍に希釈する過程において、ヒアルロン酸ナトリウムを0.05%添加し、さらに浸透圧調整のためにグリセリンを適量加え、ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を全量100mL調製し、ユニットドーズ型容器に充填した。このときの浸透圧は286mOsm、平均粒子径は129nmであった。
実施例3、6
ヒマシ油をそれぞれ、大豆油、流動パラフィンに変更して製造例1と同様の方法で微細な乳化物を調製し、精製水で希釈する過程において、表1に示す各成分を溶解させ、浸透圧調整のためグリセリンを加え、表1記載の点眼剤を各々100mLずつ調製した。
実施例4
ヒマシ油をオリーブ油に変更し、さらにポリソルベート80を加え、製造例1と同様の方法で微細な乳化物を調製し、精製水で希釈する過程において、表1に示す各成分を溶解させ、浸透圧調整のためグリセリンを加え、表1記載の点眼剤を100mL調製した。
実施例5
ヒマシ油をスクワランに変更して製造例2と同様の方法で微細な乳化物を調製し、精製水で希釈する過程において、表1に示す各成分を溶解させ、浸透圧調整のためグリセリンを加え、表1記載の点眼剤を100mL調製した。
Figure 0005748385
比較例1
グリセリン58.8gに精製水39.0gを加えて均一にした後、70℃に加温し、撹拌しながら水素添加大豆レシチン2.2gを添加し分散させた。70℃で加温しながら、ホモジナイザーで攪拌し、予備分散物を得た。この分散物を高圧ホモジナイザーを用いて処理し、微細な分散物を得た。得られた分散物を精製水で200倍に希釈する過程において、ヒアルロン酸ナトリウムを0.1%になるよう添加し、さらに浸透圧調整のためにグリセリンを適量加え、ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を全量100mL調製し、ユニットドーズ型容器に充填した。このときの浸透圧は286mOsmであった。
比較例2
製造例1で調製した乳化物を精製水での200倍に希釈する過程において、浸透圧調整のためにグリセリンを適量加え、ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を全量100mL調製し、ユニットドーズ型容器に充填した。このときの浸透圧は286mOsm、平均粒子径は124nmであった。
比較例3
製造例1で調製した乳化物を精製水で20倍に希釈する過程において、ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を全量100mL調製し、ユニットドーズに充填した。このときの浸透圧は304mOsm、平均粒子径は124nmであった。
比較例4
グリセリン14.9gに精製水25.1gを加えて均一にした後、70℃に加温し、撹拌しながらポリソルベート80を50.0g添加し分散させた。70℃で加温しながら、ヒマシ油10gを添加し、ホモジナイザーで攪拌し、予備乳化物を得た。この乳化物を高圧ホモジナイザーで乳化し、微細な乳化物を得た。得られた乳化物を精製水で100倍に希釈する過程において、浸透圧調整のためにグリセリンを適量加え、ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を全量100mL調製し、ユニットドーズ型容器に充填した。このときの浸透圧は286mOsmであった。
試験例1 水分蒸散測定試験
眼表面からの水分蒸散量は、TEWAMETER TM300(COURAGE+KHAZAKA electronic GmbH社製)を用いて測定した。体重約2.5kgの雄性日本白色ウサギ(北山ラベス)を固定器にて固定後、ベノキシール0.4質量%点眼液(商品名、参天製薬)を50μL点眼し、眼表面麻酔を施した。5分後、角結膜表面の涙液を拭き取り、被験点眼サンプルを50μL点眼し、10分後、20分後、30分後の眼表面からの水分蒸散量を測定した。水分蒸散量は、点眼直前の値を100%とし、下記の計算式より、変化率を算出した。なお各群の例数は4とした。
結果を表2に示す。
計算式:%X=(x/y)×100
%X:水分蒸散量の変化率、x:各測定時間の水分蒸散量、y:点眼直前の蒸散量
Figure 0005748385
表2より明らかなように、油分、ムコ多糖及びレシチンを含有する実施例1で調製した水性点眼剤を点眼した際には、同量の油分を配合し、ムコ多糖を配合していない比較例2で調製した点眼剤の約2倍の水分蒸散量抑制効果を示した。さらに10倍量の油分を配合し、ムコ多糖を配合していない比較例3で調製した点眼剤と比較しても高い水分蒸散量抑制効果を示した。また、油分を配合せず、ムコ多糖及びレシチンを含有する比較例1で調製した水性点眼剤においては水分蒸散量抑制効果は認められなかった。
試験例2 涙液油層観察試験
涙液油層の観察には、ドライアイ観察装置DR−1(興和株式会社製)を用いた。DR−1は、角膜に白色光を照射し、その反射光をビデオカメラにより測定する装置である。涙液層は角膜表面から、粘液層、水層及び油層の三層構造からなっている。本装置は油層表面と油層裏面(水層との境界面)で反射される光の干渉像を測定している。すなわち、本装置により得られる干渉像は、涙液油層の状態を示している。一般に、本装置により得られる干渉像は、健常眼では、均一な灰色又は白色が観察され、ドライアイでは、油層が不均一になるため、赤や青の色が混ざった像が観察される。さらに重度なドライアイでは、油層が存在しないため干渉像が消失し、角膜が露出した状態になる(「あたらしい眼科」14(11)、1605−1612、1997、Am.J.Ophthalmol.、122、818−824、1996 参照)。
体重約2.5kgの雄性日本白色ウサギを固定器にて固定後、被験点眼液を50μL点眼し、5分後、涙液油層の状態を観察した。
結果を表3に示す。
なお、表における記号は、以下のとおりである。
◎:比較例より均一な油層
○:均一な油層
×:油層の消失
−:変化なし
↑:増大
Figure 0005748385
表3より明らかなように、多量の界面活性剤を用いて調製した比較例4の点眼剤では、点眼することにより涙液油層が消失し、水分蒸散量が増大した。比較例2及び3のレシチンを用いて調製した点眼剤では点眼後も正常な涙液油層の状態を維持したが、実施例1で調製した点眼剤を点眼することにより、比較例2及び3と比較して、より均一で良好な涙液油層の状態を示した。
試験例3 コンタクトレンズ浸漬試験
ソフトコンタクトレンズは、FDA(米国食品医薬品局)によるソフトコンタクトレンズ分類グループIからIVまでの各グループから選ばれる材質のコンタクトレンズ各1種類以上、ハードコンタクトレンズは、フッ素含有メタクリレート系化合物、ケイ素含有メタクリレート系化合物、メタクリル酸、アルキルメタクリレート化合物、ケイ素含有アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物等の組合せからなる10種類のコンタクトレンズを選択し、試験に用いた。コンタクトレンズ各1枚を共栓付遠心沈殿管中で、試験液5mL中に浸漬し、35℃にて1ヶ月間静置保存した。対照として生理食塩液を用いた。浸漬試験後のコンタクトレンズについて、外観、直径、度数の変化を評価した。その結果、実施例1で調製した点眼剤に浸漬した全てのコンタクトレンズにおいて、生理食塩水と同等の良好な結果が得られ、コンタクトレンズへの影響が無いことが確認された。
試験例4 点眼剤安定性試験
各温度での製剤の安定性を目視にて評価した。
結果を表4に示す。
なお、表4中の○は変化なしを示す。
Figure 0005748385
以上の結果より、油分、ムコ多糖及びレシチン又は少量の非イオン性界面活性剤を含有するO/W型エマルション水性点眼剤が、コンタクトレンズに影響を与えることなく、さらに涙液油層の形成を促進し、水分蒸散量を顕著に抑制することが明らかとなった。
本発明により、涙液の蒸発亢進に伴うドライアイの予防又は改善に有効なO/W型エマルション水性点眼剤の開発が期待される。

Claims (2)

  1. 油分、ヒアルロン酸ナトリウム及び水素添加レシチンを含有することを特徴とする蒸発亢進型ドライアイの予防又は改善用O/W型エマルション水性点眼剤。
  2. 水性点眼剤中油分を0.001〜10質量%含有し、該油分の1質量部に対して、水素添加レシチンを0.001〜10質量部含有することを特徴とする請求項1記載の蒸発亢進型ドライアイの予防又は改善用O/W型エマルション水性点眼剤。
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