JP5747372B2 - 油揚用の豆乳凝固熟成方法及び油揚用の豆乳凝固熟成装置 - Google Patents
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なお、本願出願人は、下方側から導入される生豆乳やゴ液に蒸気を供給する蒸気供給手段と、生豆乳やゴ液を蒸気により煮沸して連続的に送る煮沸用配管とを備え、煮沸用配管は、スパイラル状の斜め上方に傾斜する配管経路とされるとともに、この配管経路に排出バルブが設けられていることを特徴とする連続加熱式煮沸装置の特許を既に取得している(特許文献6)。
エアが分散した豆乳に凝固剤を混合した後、普通“浮きゴ”となるが、その凝固物を偏りなくバランスよく、成型工程まで搬送しにくいため、生地や油揚の品質が微妙に変動することがあり、安定して均等に分配することが難しかった。また一部分離する空気も同時に、層流的に搬送されることが望ましい。気液固混合物である“ゴ”(凝固物+ゆ+空気)を層流として搬送する必要があるので、熟成途中で“壊し”“崩し”等の弱く粗い攪拌を行い、ムラを少なくし、再凝固を促す必要もある。
また、従来公報においても、従来のバケットを用いるバッチ式凝固熟成の場合、沈みゴや浮きゴと呼ばれる、「ゆ」(湯)と豆乳凝固物とが分離する現象が生じる。この現象は、豆乳凝固物とゆとの関係やエアとの関係で様々に影響されるので、豆腐や油揚げの種類に応じて、これら沈みゴや浮きゴと言うような現象を調整できることが好ましい。例えば、「ゆ」(ホエー、しみず等ともいう)の中に豆乳凝固物が浮遊ないしは浸漬する状態が均等に維持され、そのまま熟成され、均一に成型されることが理想的な凝固熟成と成型方法と言える。
また、本発明は、所定長のパイプラインと、前記パイプラインに連結されて豆乳タンクから豆乳を連続的に送液する豆乳定量ポンプと、前記パイプラインに連結されて凝固剤タンクから凝固剤を連続的に送液する凝固剤定量ポンプとを備え、前記パイプラインに、曲管部、傾斜管部、水平管部、又は、垂直管部、ないしは、これらを組み合わせたスパイラル状の部分を設けるとともに、前記パイプラインの下方側から豆乳を供給し上方側から豆乳凝固物を取り出す構造であり、前記パイプラインの下方側にエアを供給するエア供給手段であって、前記豆乳定量ポンプから凝固剤定量ポンプ連結部までの豆乳配管上にエアを連続的に供給するエア供給手段を備え、豆乳凝固物や一部分離した空気の浮力の方向とを揃え、エアと凝固剤入り豆乳である流体をこのスパイラル状のパイプラインの中で連続式に凝固熟成することを特徴とする油揚用の豆乳凝固熟成装置である。
ここで、パイプラインの内径は2インチ〜6インチほどの太い配管で、あまりバルブやオリフィスや静止型ミキサーなどがあって送液上抵抗になったり、豆乳凝固物を壊し過ぎたりすることが少なく、鋭角な曲管部や分岐部などを設けないものが好ましい。曲管部はあっても良いが、曲管部には大きめの曲がり(アール)があるか、できるだけ滑らかな曲がり配管であることが好ましい。また、上記垂直管部や傾斜部の高低差は、できるだけ短いことが好ましい。長いパイプ部を多くして、折り返しを少なくした形態が好ましい。また、出口などのバルブなどで管径が絞られたりすることは好ましくない。また上下に折り返す形態やエア溜まりの生じる形態も好ましくない。できるだけ水平〜緩やかな傾斜を持たせた配管形状が好ましい。
スパイラル状の部分としては、円形軌道の螺旋状の構造や、楕円軌道、四角形軌道、多角形軌道などであってもよく、また複数のスパイラル状パイプを連結して構成してもよい。四角形軌道、多角形軌道の場合の角部ないしはUターン部は壊し機能・攪拌機能を有するので、豆乳凝固物の粗さ・細かさ、ゆとの混在状態などを適正範囲にするため、その角部(エルボ等)ないしはUターン部の数や曲がり具合(アール度合)や取り付ける間隔などを予め設計し、ないしは組み替えて調整してもよい。
また左右に折り返した蛇管のように、水平状態ないしは緩やかな傾斜状態で構成したパイプラインの形態でもよく、前記スパイラル状の一種として好ましい。
また、所定長の複数のパイプラインを並列(縦横に並列でも良い。)に連結させても、この場合のパイプラインの前後でパイプラインを一つにするような構成でも良い。これにより、豆乳に凝固剤を連続的にインライン混合する混合工程の後、得られた凝固剤入り豆乳を所定長の複数のパイプラインの部分で静止状態で凝固熟成させて、順次、次工程へ搬送され、連続的に成型されるようになる。すなわちバッチ式の凝固熟成であっても、前後工程が連続式で対応できて、効率的な連続式製造を行うことが可能である。
本発明によれば、凝固剤入り豆乳を容器に凝固熟成された豆乳凝固物をバッチ式に移してもよいが、直接成型工程の連続成型装置に移して成型することが好ましい。即ちパイプラインの出口で、非常に軟らかい綿状(ぼた雪状、おぼろ状)の豆乳凝固物に大きな負荷がかかることを防止し、豆乳凝固物が細かく崩れすぎてしまわず、成型工程から均質な油揚生地や豆腐ができ、品質が変動しにくいので好ましい。すなわち、熟成した後であれば、後述する豆腐類によって粗く、弱く壊すと共に均一に攪拌することが好ましいものがあり、又、熟成後の出口側では既に凝集が十分起きて、「ゆ」と分離した状態になっているので、この段階で、(水切り前に)ある程度粗く均一に壊し混ぜることが可能である。壊し装置は駆動装置を伴う回転羽根や往復羽根、静止型ミキサー、配管の曲がりや折り返しだけでも十分効果が得られる。なお、上記パイプラインの部分に入る前であれば、凝固・凝集がまだ進んでいないので、攪拌装置やエア供給を配置したり、パイプラインを分岐させたり屈曲させても良い。
本発明によれば、パイプラインの出口部にも引き出し用のポンプ(定量ポンプ等)を取付けて、下から上への配管形状でかかる背圧を軽減し、凝固物をできるだけ崩さずに取り出すように、流量計や圧力計を配して、流量や内圧のバランスを見ながら、その引き出し用のポンプを制御することができる。なお、入口の豆乳供給ポンプや凝固剤ポンプとともに制御部で制御するようにしても良い。
排出口を下方にすることでサイホンの原理でパイプラインの下方側や出口側にかかる負荷を軽減することができる。同様にパイプラインの出口部に引き出し用のポンプ(定量ポンプ等)を取付ければ一層効果的である。また下から上への配管形状でかかる背圧を軽減することができる。
また、所定長の複数のパイプラインを並列(縦横に並列でも良い。)に連結させても、この場合のスパイラル状の部分の前後でパイプラインを一つにする構成で、所定長の複数のスパイラル状の部分で順次凝固熟成を行って効率的な製造を行うことも可能である。
図1は、本発明の第1の実施の形態の豆乳凝固熟成装置をその次工程の連続成型装置とともに示す正面図である。図2は、上記第1の実施の形態の豆乳凝固熟成装置の平面図である。図3は、上記第1の実施の形態の豆乳凝固熟成装置の模式図である。
本実施の形態の豆乳凝固熟成装置1は、図1、図2に示したように連続成型装置11の上方に組み付けられるもので、パイプライン1Aと、パイプライン1Aに連結されて豆乳タンク2から豆乳を連続的に送液する豆乳定量ポンプP2と、パイプライン1Aと連結される凝固剤タンク3から凝固剤を連続的に送液する凝固剤定量ポンプP1とを備える。豆乳と凝固剤はパイプライン1Aのスパイラル状部分1Sの凝固熟成工程に入る前に攪拌混合手段(攪拌混合装置)4で攪拌されてから、パイプライン1Aのスパイラル状部分1Sに送られる。すなわち、豆乳タンク2から引き出される供給ライン2aに定量供給ポンプが設けられ、この供給ラインからスパイラル状の部分1Sの一番下の水平管部1cに送られて、下から上方に向かって、一番上の傾斜管部1cから水取り機Ms上に移送される。本豆乳凝固熟成装置1が連続成型装置11の上方に配されるのは、スペースの有効利用を図るためである。連続成型装置11は、スパイラル状部分1Sの凝固熟成工程で凝固熟成された豆乳凝固物を圧搾成型していく連続ラインであり、上下のコンベヤと、上下の濾過布が配されて、回転駆動する。なお前記攪拌混合手段(攪拌混合装置)4で攪拌されていた後に、乱流を層流にする制流板などを設けても良い。
なお、パイプライン1Sを構成するパイプは豆乳流量にもよるが、内径が2インチ〜8インチほどの太いサニタリー配管が最適である。あまり太い場合は先入れ先出しが上手くいかない。細すぎると流速が速くなり乱流状態に近づいて、豆乳凝固物を壊すことになってしまう。
一般に、配管内を流れる流体はレイノルズ数Reによって、Re≦2000で層流、Re≧4000で乱流と分けられる。
レイノルズ数Re=duρ/μ・・・・(式1)
u : 流速 [m/s] 、d : 管径 [m]、μ : 粘度[Pa・s] 、ρ : 密度 [kg/m3]
本発明では、理想的な液体や水ではなく、前記の通り固液気混合物であるので、そのまま適用はできないが、Re≦2000〜4000が大凡の目安になる。豆乳凝固物とゆの混合流体の平均粘度を10mPa・s程度とした場合、下記の表1−aや表1−bが目安となる。
豆乳流量と凝固剤液流量の合計が、配管径2インチなら2000L/hまで、3インチなら3000L/hまで、4インチなら5000L/hまで、5.5インチなら7000L/hまでであれば、レイノルズ数が大凡2000以下であり、層流条件として最も好ましい。なお豆乳凝固物とゆの混合液の見かけの平均粘度は、凝固直後は数十〜数百mPa・sになり、凝固熟成中、ゆが分離して数mPa・s(1〜10mPa・s)に下がる。豆乳濃度が濃くなっても、凝固直後の粘度は高くはなるものの、その豆乳凝固物とゆについては、見かけの平均粘度は同じ程度と見積もってよい。なお、(式1)からも分かるように粘度が高くなれば、レイノルズ数は下がる関係で、層流状態に近づくことになるので、本発明上は、好ましい条件になる。
パイプ凝固の場合は、部分的要所ないしは全部を、適宜、透明なサニタリー配管(耐熱硬質ガラス製や、ポリフェニ−ルサルフォン(PPSU)樹脂製等のプラスチック製)を用いれば、凝固物や空気の状態を目視できるので好ましい(サイトグラス等の“のぞき窓”を設けても良い。)。なお、パイプラインで構成されているので、衛生的で洗浄も定置洗浄(CIP洗浄、インライン洗浄)や殺菌(SIP;インライン殺菌)も行い易い。のぞき窓としては、ガラス窓のような透明な窓になるが、その位置としては、上記水平な踊り場1bが好ましい。なお、前記サニタリー配管は断面が四角形など多角形でもよく、内面が衛生的に研磨されたり、内面の角部が丸められた形態であることが好ましい。また、パイプライン1Sには外周に保温材を設けたり、2重構造(単に空気層を外周に設ける)ないしは2重構造で温水を循環させたりすることも、気温変動に左右されず、品質が安定させやすい。
ここで、図4に示すように、一旦貯蔵タンク6で貯蔵してから、パイプライン1Aを経て水取り機MSを介するかまたは直接に連続成型装置11に送られる構成とすることも可能である。なお、符号9は逆流防止弁である。逆流防止弁9は豆乳定量ポンプ〜凝固剤混合部までの豆乳配管上や凝固剤定量ポンプから豆乳混合部までの凝固剤配管上に、各々設けるようにしてもよい。
凝固剤(凝固剤溶液)は、凝固剤タンク2に貯蔵されており、供給ラインに配された凝固剤定量供給ポンプP1によりパイプライン1Aに送り出される。上記供給ラインには、凝固剤の供給量を計測する流量計R1が取り付けられ、調節された流量の凝固剤がパイプライン1に送り出される。
豆乳にエア注入後、必ず出口を絞って(内圧を掛けて)遠心式ポンプを通すか、分散機を設けることが好ましい。予め微細な気泡を注入することで、分散機を不要としても良い。なお、凝固熟成中(初期)に“おか戻し”といって、更にびっくり水(戻し水)として、上記スパイラル状の部分1Sの豆乳と凝固剤混合部直後〜豆乳凝固物取り出し口の間に添加しても良い。
図3に示すように、豆乳タンク3からの豆乳と凝固剤タンク2からの凝固剤とが混合されて、それから空気コンプレッサ5でエアが供給される。これにより、液体(豆乳、ゆ)と固体(豆乳凝固物)と気体(エア)との混合物がパイプライン1Aのスパイラル状の部分1Sに向かって行く。傾斜した部分1aは、その傾斜角度が緩やかであるために、時間をかけて熟成されて行く。木綿豆腐の場合はエアや陸戻しは入れないことが多い。油揚や絹生揚げ生地などには、豆乳へのエアの混合や陸戻しにより、表面のキメが細かく、油揚なら伸び(生地寸法の1.6倍程度に広がる)ことを助ける。
ここで、豆乳にエアを分散しないと、沈みゴ(「ゆ」は上)になり、エアを分散させると、浮きゴ(「ゆ」は下)になるので、スパイラル状の部分1S中で、上下に性質の異なる流体が存在している。余分な空気や浮きゴの凝固物は自然に上に向かう動きがあり(逆に「ゆ」は下に動く)、油揚では実際は少ないものの沈みゴのとき凝固物は下に向かう動きがあり(逆に「ゆ」は上に動く)複雑であるが、気体(エア)は上に行くので、液体(豆乳、ゆ)と固体(豆乳凝固物)との固液混合物と気体との層状態で流す制御も可能である。また、油揚の場合、おぼろ状(綿状の凝固物と「ゆ」が混在した状態)に凝固させる。その綿状の凝固物はできるだけ細かく砕かないように静置して熟成させて成長させる必要がある。細かい凝固物が多いと、生地の水切りが不十分になり、また水取機や濾布から漏れやすくロスが増すなどデメリットとなる。なお、「おか戻し」と言って、凝固直後に水を混合して冷やす方法があり、この水を注入する場合は、凝固直後が良く、この場合も注入後、弱い攪拌(流速による弱い乱流でも可)で凝固物と混ざることが好ましい。
凝固熟成時間としては、絹ごし豆腐以外で、堅豆腐(大豆に対する収率が1.5〜2.5倍程の硬い木綿豆腐)や木綿豆腐(それに焼き付けした焼き豆腐)や木綿豆腐をフライする生揚げ生地や、寿司揚げ・薄揚げ・厚揚げ油揚生地やガンモドキ生地では、2分から30分間、好ましくは5〜15分間程度である。絹ごし豆腐の場合、10〜120分間、好ましくは20〜60分間程度である。ただし絹ごし豆腐も2分から30分間、好ましくは5〜15分間程度の短時間熟成の場合圧損が少なくなるので好ましく、軟らかいままパッキングして、更に、ボイル殺菌工程があり、そこでもまた凝固熟成を行うようにしても良い。
パイプライン1Aの残留液を回収するときは、パイプラインは傾斜しているので回収し易く、又、洗浄後、排水しやすい。上記パイプラインがあまり配管抵抗の少ないスパイラル状であることにより、定置洗浄(CIP洗浄)の際に洗剤液の流速を大きくしやすく、また洗剤を細部含めて内部全域に行き渡らせることができ、洗浄効果・洗浄効率も良い。
また、スパイラル状パイプラインであることから、もし凝固熟成時間を調整する場合、取り出し位置を違えるが、1往復した位置で、スイングベンド等によって配管を組み替えるか、バルブ切替できる配管構成を組みやすくなる。
連続成型装置11の下布ないしは上布の上に均一に供給され、成型機プレス部11pで圧搾され、ブロック状の豆腐類(油揚用を含む)が製造される。
図4と図5は、本発明の第2の実施の形態の豆乳凝固熟成装置であり、図6は、第2の実施の形態の他の例であり、パイプライン1Bがその上方側から豆乳を供給し下方側から豆乳凝固物を取り出す構造であり、前記パイプライン1Bの下方側にエアを供給するエア供給手段5を備えている、エアを使わないか僅かに使う油揚や木綿豆腐を製造する場合に適した形態である。特に木綿豆腐の場合、豆乳に空気を混合する必要がないので、エア供給手段5は未使用とする。なお、上記水平直感部は設けられていない。本実施の形態では、パイプライン1Bの当初から空気(気泡)が存在しないので問題ない。エアが混在しない状態で豆乳タンク3から豆乳が送られ、攪拌混合手段4で混合されて、そして凝固剤タンク1からの凝固剤が加えられる。また、ポンプ付近には逆流防止弁7が取り付けられている。制御部10は、上記エア供給手段5や上記ポンプP1〜P4や上記流量計R1〜R3や、上記攪拌混合手段4や上記壊し手段Mk等と連結されて、供給量や流量、豆乳凝固物の凝固状態を調整する。
パイプライン1Bから凝固した豆乳凝固物とゆを取り出して、貯蔵タンクTないしは水取り装置MSに移す場合、パイプライン上の水平にした取り出し口から取り出したり、又、第1の実施の形態のようなスパイラル状の部分1Sが出口手前で上方側から下方側に向かう配管経路を経由させてから取り出しても良いその方がサイホン効果によって、豆乳凝固物に大きな圧力や剪断力などをかけずに無理なく排出させることができる。
本実施の形態の豆乳凝固熟成装置は、図7に示すように、バランスタンクBsで豆乳と凝固剤とを混合させる場合と、インライン切替バルブVで凝固剤流路を切り替えて、搬送ポンプP3でパイプライン1Cに送られる豆乳に凝固剤を供給する場合と両用できる形態である。すなわち、バランスタンクBsに、豆乳タンク2から豆乳が送られるとともに、凝固剤タンク3からの凝固剤が供給ラインを介して送られるようになっており、これらをバランスタンクBsで攪拌モータM1によって攪拌混合され、バランスタンクBsから凝固熟成を行うパイプライン1Cに送られる構成である。
一方、凝固剤の供給ラインには、切り替え弁(インライン切り替え)Vが配され、パイプライン1Cの下方側に凝固剤を供給する構成にした場合、バランスタンクBsに、豆乳タンク2から豆乳が送られ、豆乳がバランスタンクBsから凝固熟成を行うパイプライン1Cに送られ、その搬送ポンプP3の直後に、凝固剤タンク3からの凝固剤が供給ラインを介して送られ、インラインで注入される形態である。また、両形態においてスパイラル状の部分1Sには、崩しモータ(或いは、壊し装置:壊し攪拌工程)Mkが取り付けられている。崩しモータ(或いは、壊し装置)Mkは、凝固熟成中に豆乳凝固物を粗く砕く装置であり、内部の羽根が回ることで、熟成中の豆乳凝固物が壊される。なお、本実施の形態は、パイプライン1Cの下方側から上方側に送るものであるが、上方側から下方側に流すものにも適用可能である。また、特に油揚の場合に使えるように、豆乳供給ポンプP1にエア供給手段5が連結されている。
本実施の形態の豆乳凝固熟成装置は、図8に示すように、独立したパイプライン1dが並列(水平な並列)しており、複数の各々のパイプライン1d1〜1d4は、垂直管部1eと曲管部1cを有してスパイラル状の部分1Sが形成されている。凝固剤が混合された豆乳を供給し豆乳凝固物を、各々一定時間静止して熟成した豆乳凝固物を取り出すバッチ式機構を有するパイプ式豆乳凝固熟成構造の別の形態である。豆乳凝固物を完全に静止させて熟成させることができ、かつ省スペースを実現できる。
前記第1の実施形態と同様に、特に油揚の場合、エアを豆乳に細かく分散混合させて、製品の伸びやキメ等の品質を安定させることは有効で、更に、エア供給はバッチ式よりも連続式の方が、エア供給・混合量は安定しやすく調整しやすいので好ましい。そのため、本実施形態では豆乳凝固物の熟成工程はバッチ式であっても、豆乳とエアの混合は連続的であることが好ましい。また豆乳と凝固剤液の混合も連続的である方が、豆乳凝固物を均等にして製品のバラツキを少なくし安定させる効果があり、好ましい。
その後熟成工程はバッチ式になる。すなわち、パイプ入口側の豆乳凝固物の供給バルブBv1を順次切り替えて、各熟成パイプ(スパイラル状の部分)1d〜1d4に注入されて熟成装置を構成すると共に、一定時間静置して熟成した後のパイプ1dから順次、自動排出バルブBv2を開き、エア抜き弁(図示しない)を開放にして、連続成型機11上の水取装置MSに移送して分配機Bpを介して連続成型機11の布上に移送するか、直接分配機Bpに移送して連続成型機11の布上に移送し、圧搾工程へ移行する。なお、分配機Bpには均し装置Mkが設けられている。
図8では、複数本並ぶ熟成パイプ1d1〜1d4を水平方向で示したが、水平方向、垂直方向、斜め方向であってもよく、直管状や螺旋状(スパイラル状)やU字状であってもよく、エア溜まりができたり、豆乳凝固物の熟成や排出時に障害にならない形状であればよい。
本実施の形態では、パイプラインd1〜1d4の当初からエアコンプレサ5でエアがエアフィルターを介して送られ、次にエア分散機(図示せず)で分散され、エアが混在した状態で豆乳タンク3から豆乳が送られ、攪拌混合手段4で混合されて、そして凝固剤タンク1からの凝固剤が加えられる。また、ポンプ付近には逆流防止弁7が取り付けられている。凝固剤入り豆乳は、例えば、出口部の排出バルブBv2が閉じ入口部の供給バルブBv1が開いた空のパイプライン1d1から1d4の順番で充填して行き、静止状態で所定時間熟成を終えたパイプライン1d1から1d4の順番で排出バルブBv2が開き、ゆと豆乳凝固物の混合物をその後合流する合流ラインから取り出す。
第1の実施の形態の装置(スパイラル状パイプは内径2.5インチで全配管長約40m)を使用して、2008年度カナダ産の白目大豆を使用して豆乳製造プラント(4分15秒100℃、戻し温度74℃、約3俵/h、高井製作所製Σ3000)によって定法通り得られた、豆乳濃度5%brixの油揚用豆乳を使って、ナカキン製ロータリーポンプを用いて豆乳流量2400L/hで流して、凝固剤は塩化マグネシウムと塩化カルシウム1対1の割合で、水に溶かした濃度5%brixのものを、ヘイシン製モーノポンプを用いて凝固剤流量200L/hで流した。豆乳と凝固剤混合直後に、小型の回転羽根式のエア分散装置を設けて弱く凝固攪拌を行った。凝固温度は約71℃であり熟成時間は約3分とした。エアは300cc/minとし、豆乳配管途中に注入して、直ちにイワヤポンプ(遠心式ポンプ)を経由して、凝固剤混合するようにした。そして、豆乳凝固物が分離して混ざった状態までスパイラル状の部分1S中で約3分間凝固熟成して、成型は従来通り、ベルト式水取り装置MSで水切りして、高井製作所製連続成型装置11で圧搾成型した。生地厚10mmであり、縦横が85mm×56mmの大きさの生地(約50g)を約300kg/hで製造した。そして、この生地を定法通り連続フライヤ(高井製作所製浮かし揚げ式手揚げ風フライヤ)で、低温120℃、高温160℃で揚げて、縦横が約120mm×80mmの大きさの薄揚げ(手揚げ)を約6000枚/hで製造した。
その結果、凝固状態は浮きゴで、流量も安定して、豆乳凝固物は“ぼた雪状”(おぼろ状)であり、水切りのよい弾力のある生地が得られ、フライをすると、製品肌もきめ細かく、延びも十分で、実が多く食感と風味のある手揚げ製品ができ、終始、安定した品質で、ロスが少なく量産することができた。
第2の実施の形態の装置を使用して、実施例1と同様の条件で油揚を製造した。その結果、凝固状態は良く、製品肌や延びも十分な油揚が製造された。
図3に示した実施の形態の装置(スパイラル状パイプは内径3インチで全配管長約50m)を使用して、2006年度ブラジル産大豆を使用して豆乳製造プラント(5分105℃、戻し水なし、約2俵/h、高井製作所製Σ2000)によって定法通り得られた、豆乳濃度9.5%brixの木綿豆腐用豆乳を使って、ナカキン製ロータリーポンプを用いて豆乳流量800L/hで流して、凝固剤は塩化マグネシウムを水に溶かし濃度10%brixのものをヘイシン製モーノポンプを用いて凝固剤流量32L/hで流した。豆乳と凝固剤混合直後に、3インチの静止型ミキサーを設けて粗く弱く凝固攪拌を行った。凝固温度は約85℃であり、豆乳凝固物が分離して混ざった状態までスパイラル状の部分1S中で約16分間凝固熟成したあと、成型の下布に直接分配供給して水切りして、高井製作所製連続成型装置11で圧搾成型した。豆腐厚30mmであり、縦横高さが60mm×90mm×45mmで豆腐重量約250gの「Firm Tofu」(日本で言われる“堅豆腐”に相当)を225kg/h、900丁/hで製造した。そして、この豆腐を真空パックして、蒸し庫に入れて85〜90℃90分間、蒸気殺菌した。蒸し庫から取り出した製品を放冷して、冷蔵庫で一夜冷却した。凝固状態は沈みゴで、流量も安定して、豆乳凝固物は大きめの“ぼた雪状”(おぼろ状)であり、製品は「Firm Tofu」として十分な硬さと弾力を有して、ドリップも少なく、チーズやソーセージの代用食品として、欧米のベジタリアンに好まれる良好な品質であった。
1a 傾斜する部分(傾斜管部)、1b 水平管部、1c 曲管部、1e 垂直管部、
1S,1d,1d1〜1d4 スパイラル状の部分(熟成装置)、
2 豆乳タンク、2a 供給ライン、
3 凝固剤タンク、3a 供給ライン
4 攪拌混合手段(攪拌混合装置)、
5 エア供給手段(エアコンプレッサ)、
10 制御部、
11 連続成型装置、
P1〜P4 供給ポンプ(定量ポンプ)、
R1〜R3 流量計、
MS 水取機、
Mk 壊し装置、Mj 均し装置、Mi 撹拌装置
Bs バランスタンク、
Bp 分配機、
Bv1 供給バルブ、Bv2 排出バルブ
Claims (13)
- 所定長のパイプラインと、前記パイプラインに連結されて豆乳タンクから豆乳を連続的に送液する豆乳定量ポンプと、前記パイプラインに連結されて凝固剤タンクから凝固剤を連続的に送液する凝固剤定量ポンプとを備えた豆乳凝固熟成方法において、
前記パイプラインに、曲管部、傾斜管部、水平管部、又は、垂直管部、ないしは、これらを組み合わせたスパイラル状の部分を設けるとともに、前記パイプラインの下方側から豆乳を供給し上方側から豆乳凝固物とゆが分離して混ざった状態で取り出す構造であり、前記パイプラインの下方側にエアを供給するエア供給手段を備え、エアを抱き込んだ豆乳凝固物や一部分離した空気の浮力の方向とを揃え、
前記豆乳に前記エアと前記凝固剤をインラインで混合して得たエアと凝固剤入り豆乳を流体としてこのスパイラル状のパイプラインの中で連続式に凝固熟成することを特徴とする油揚用の豆乳凝固熟成方法。 - 所定長のパイプラインと、前記パイプラインに連結されて豆乳タンクから豆乳を連続的に送液する豆乳定量ポンプと、前記パイプラインに連結されて凝固剤タンクから凝固剤を連続的に送液する凝固剤定量ポンプとを備えた豆乳凝固熟成方法において、
前記パイプラインに、曲管部、傾斜管部、水平管部、又は、垂直管部、ないしは、これらを組み合わせたスパイラル状の部分を設け、
前記豆乳に前記凝固剤をインラインで混合して得た凝固剤入り豆乳を流体としてこのスパイラル状のパイプラインの中で連続式に凝固熟成するものであり、
前記豆乳タンクから凝固剤混合直前までの前記豆乳にエアを予め連続的に供給して混合するか、又は、前記豆乳タンクからの前記豆乳に前記凝固剤タンクからの前記凝固剤が混合された前記流体に凝固剤混合と同時ないしは凝固剤混合後10秒以内にエアを連続的に供給して混合し、エアを抱き込んだ豆乳凝固物とゆが分離して混ざった状態まで前記パイプライン中で所定時間凝固熟成することを特徴とする油揚用の豆乳凝固熟成方法。 - 前記豆乳タンクからの前記豆乳に前記凝固剤タンクからの前記凝固剤が混合された前記流体に凝固剤混合と同時ないしは凝固剤混合後10秒以内に前記エアを連続的に供給して混合し、エアを抱き込んだ豆乳凝固物とゆが分離して混ざった状態までパイプライン中で所定時間凝固熟成することを特徴とする請求項1記載の油揚用の豆乳凝固熟成方法。
- 前記流体の流量の合計が、前記パイプラインの配管径が2インチの場合は2000L/hまで、3インチの場合は3000L/hまで、4インチの場合は5000L/hまで、5.5インチの場合は7000L/hまでであって、レイノルズ数Re4000未満で表される層流条件であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載の油揚用の豆乳凝固熟成方法。
- 所定長のパイプラインと、前記パイプラインに連結されて豆乳タンクから豆乳を連続的に送液する豆乳定量ポンプと、前記パイプラインに連結されて凝固剤タンクから凝固剤を連続的に送液する凝固剤定量ポンプとを備え、
前記パイプラインに、曲管部、傾斜管部、水平管部、又は、垂直管部、ないしは、これらを組み合わせたスパイラル状の部分を設けるとともに、前記パイプラインの下方側から豆乳を供給し上方側から豆乳凝固物とゆが分離して混ざった状態で取り出す構造であり、前記パイプラインの下方側にエアを供給するエア供給手段であって、前記豆乳定量ポンプから凝固剤定量ポンプ連結部までの豆乳配管上にエアを連続的に供給するエア供給手段を備え、豆乳凝固物や一部分離した空気の浮力の方向とを揃え、エアと凝固剤入り豆乳である流体をこのスパイラル状のパイプラインの中で連続式に凝固熟成することを特徴とする油揚用の豆乳凝固熟成装置。 - 前記パイプラインの内径が1.0インチ〜6.5インチのサニタリー配管で、前記配管径か許容される前記流体の流量が2,000〜17,000L/hrで、前記流体の見かけの平均粘度として、凝固熟成中にゆが分離した後の1〜10mPa・sを用い、その配管内を流れる前記流体のレイノルズ数Reが4000未満で表される層流条件であることを特徴とする請求項5記載の油揚用の豆乳凝固熟成装置。
- 前記パイプラインの排出口が下方にあって、出口手前で上方側から下方側に向かう配管経路を経由させてサイホンの原理を備えることを特徴とする請求項6記載の油揚用の豆乳凝固熟成装置。
- 前記パイプラインの入口側に前記流体を連続的に供給し、前記パイプラインの出口側から豆乳凝固物を連続的に取り出す構造であって、
前記豆乳定量ポンプから凝固剤定量ポンプ連結部までの豆乳配管上にエアを連続的に供給するエア供給手段と、エア流量を調節するエア流量計と、エアを細かく分散するエア分散手段を備えることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一項記載の油揚用の豆乳凝固熟成装置。 - 前記パイプラインが所定長の複数のパイプラインが並列に分岐して連結されており、前記流体を各パイプライン中でバッチ式に所定時間凝固熟成させて、前記パイプラインの下方側から前記豆乳凝固物をバッチ式に取り出す構造であって、
前記流体は、出口部の排出バルブが閉じ入口部の供給バルブが開いた空の前記パイプラインから順に充填して、静止状態で所定時間熟成を終えたパイプラインから順に排出バルブが開き、ゆと豆乳凝固物の混合物として取り出されることを特徴とする請求項5ないし8のいずれか一項記載の油揚用の豆乳凝固熟成装置。 - 前記豆乳凝固熟成装置の下方側に、前記豆乳凝固物を連続的に所定の形状に連続的に成型する成型装置を備えることを特徴とする請求項5ないし9のいずれか一項記載の油揚用の豆乳凝固熟成装置。
- 前記パイプラインから供給される豆乳凝固物を、前記成型装置の上布ないしは下布に均等に直接分配供給することを特徴とする請求項10記載の油揚用の豆乳凝固熟成装置。
- 前記パイプラインの豆乳凝固物の取り出し口付近に引き出し用のポンプが配されていることを特徴とする請求項5ないし11のいずれか一項記載の油揚用の豆乳凝固熟成装置。
- 前記パイプラインで熟成中の豆乳凝固物を粗く砕く壊し装置が配されていることを特徴とする請求項5ないし12のいずれか一項記載の油揚用の豆乳凝固熟成装置。
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