JP4789736B2 - 油揚げ生地再生方法及び油揚げ生地の連続製造装置 - Google Patents

油揚げ生地再生方法及び油揚げ生地の連続製造装置 Download PDF

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Description

この発明は、うす揚げ、厚揚げ、生揚げ、がんもどきや、すし揚げ等の油揚げを製造する際に発生する油揚げの生地の破損物とか切屑、切断後の端部、スタート直後や終了直前での厚みのない生地など不良生地を再生せんとする油揚げ生地再生方法及び油揚げ生地の連続製造装置に関する。
うす揚げ、厚揚げ、生揚げ、がんもどきやすし揚げ等の油揚げを製造する際は、その破損物が出たり、生地の裁断時にその切屑が出たりする。油揚げを連続的に製造する油揚げの連続製造装置では、例えば油揚げの両端部を切断する切断装置により大量の切り屑が生じる。この不良生地をそのまま廃棄することは不経済である。このため、本願出願人は、特公平3−56710号公報(特許文献1)を既に開示している。
上記特許公報の油揚げの生地再生方法は、油揚げ製造工程において発生する油揚げの不良生地を先ず集めこれを摺り潰すようなことなく微裁断し、この微裁断した生地に揚げ生地を成型する時に排出される水を加えて分散攪拌し、もって豆乳状の溶液となし、これを油揚げ製造に当たって作った新しい生地の凝固工程時に、凝固剤とともにこれを凝固させる方法である。
特公平3−56710号公報
しかしながら、上記従来の方法では、再生処理工程によって不確定量の空気(生地に対して一定量ではなく、空気の含まれ方が不均一かつ不安定)が抱き込まれることによって、例えばがんもどきでは、内部が極端にスポンジ状になる問題、皮が時々固くなる問題、偶に不要に大きく伸びるなどの問題が生じていた。このため、再生処理した揚げ生地を限られた量しか利用できていないのが実情である(従来方法では、油揚げの生地に再生のために投入される不良生地の量は新しい生地の豆乳量に対して約3.5%から5%に過ぎない。)。また、従来再生処理液は、最終製品の保存性を維持することが出来ない問題を有していた。特に、バッチ処理では、菌の繁殖を抑え、最終製品の保存性が悪く成ることを防ぐことができない問題を有していた。一方、いなりずし用のすし揚げを製造する場合、揚げ皮を圧縮空気によって袋状に膨らます工程や、舎利を詰める作業を機械で行うなど、自動化、機械化が進んでいるが、このようないなりずし製造工程中で揚げ皮が破れて不良品が発生しないように、皮の弾力や強度が機械製造に耐え得るような耐久性のあるすし揚げが求められている。すなわち、すし揚げを作る際には伸ばしすぎて、皮が薄くなったり弱くなったりするようなムラを防止しなければならない。なお、従来方法では、不良生地に水を加えて分散攪拌するが、製造する油揚げによっては、必ずしも良い仕上がり状態になるとは限らない。
そこで本発明の目的は、従来の製造方法に比較して、本願発明では不良生地を加水なく微裁断するか、またはその微裁断する際に加水して豆乳状の溶液として、必要に応じて脱気し、豆乳に加えて分散攪拌し、必要に応じて加熱する工程を有するので、再生可能な不良生地処理量を大幅に向上させることができるとともに、最終製品の保存性を向上させることが可能であり、また、必要に応じて不確定に混入する空気を排除して、凝固前の豆乳に所定の空気を混合分散することが可能になり、油揚げの伸びを適度に抑え、弾力と強度が均一でかつ安定に制御することでき、いなりずし詰めロボット等の機械製造に適するすし揚げを製造することが可能になる、油揚げ生地再生方法及び油揚げ生地の連続製造装置を提供することにある。
本発明の油揚げ生地再生方法は、油揚げ製造工程で発生する油揚げの不良生地を集める収集工程と、当該不良生地を微粒子化する裁断工程と、当該微裁断した不良生地に水及び豆乳を加えて分散攪拌する分散攪拌工程と、当該微裁断生地を分散攪拌した豆乳に凝固剤を加えて凝固する凝固・熟成工程と、凝固物のゆを除く水取工程と、当該凝固物を圧密成型する成型工程とを連結し、前記分散攪拌工程で加える水が55℃未満の水であり、前記裁断工程では、加水しないで練り出し機を用いて摺り潰すようにして微裁断するか、又は、加水しながら液中で磨砕する液中磨砕で微裁断して、空気が抱き込まれないようにすることを特徴とする。これらはバッチシステムでも、連続システムでもよく、特に限定されない。
一方、本発明の油揚げ生地の連続製造装置は、油揚げ生地の端部を切断する切断装置と、当該切断した端部の不良生地を回収する搬送コンベヤと、当該切断した端部の不良生地を微裁断する裁断機と、当該微裁断した不良生地に水又は豆乳を加えて分散攪拌する分散攪拌機と、当該微裁断生地を分散攪拌した豆乳に凝固剤を加えて凝固する凝固機と、凝固物のゆを除く水取装置と、当該凝固物を圧密成型する成型装置とを連結し、前記分散攪拌工程で加える水が55℃未満の水であり、前記裁断機では、加水しないで練り出し機を用いて摺り潰すようにして微裁断するか、又は、加水しながら液中で磨砕する液中磨砕機で微裁断して、空気が抱き込まれないようにすることを特徴とする。
これらの本発明によれば、豆乳に加水せずに微粒子化した生地を加える場合は、不確定な混入空気量を排除することができ、また、豆乳に加水して微粒子化した生地を加える場合も、一旦、その微粒子化生地水溶液を脱気することによって油揚げの品質が調整される。
本発明としては、前記裁断工程で得られた微粒子化生地水溶液を脱気するか、又は、前記分散攪拌工程の後に脱気する脱気工程を備えることが好ましい。
本発明は、上記加水に用いる水や豆乳を脱気するが、この脱気には真空・減圧脱気や膜ろ過脱気、超音波脱気、加熱脱気でも良い。すなわち一旦沸騰させるなどした40〜100℃の脱気水を用いても良い。微粉砕工程や微粉砕工程後の加水に用いるか、又は、微粉砕後の加水量を調整し、上記攪拌した後に豆乳状の溶液を脱気することが好ましい。
再生処理によって不確定量の空気が抱き込まれることが防止できる上、微粒子化した生地を含む溶液の濃度を高めることができるので、再生生地の処理量を大幅に向上させることできる。また、再生処理によって不確定量の空気が抱き込まれることが防止されるので、油揚げ生地を再生して、揚げの伸びを適度に制御でき、弾力と強度がある油揚げを安定して製造することが出来る。
本発明としては、前記分散攪拌工程の後で、前記凝固する凝固工程の前に、前記微粒子化した不良生地を分散攪拌された豆乳を加熱する加熱工程を設けたり、加熱装置を設けることが好ましい。豆乳に微粒子化した生地を加えた後に加熱を行うと、その加熱温度と加熱時間を調整することによって、溶存する空気の量を調整でき、殺菌も兼ねることができるので、油揚げの品質を向上させることができる。
また、前記凝固機で凝固する前であって、前記微粒子化した不良生地を分散攪拌された豆乳に、所定量の空気を注入し分散するエアー注入工程やエアー注入装置を設けることが好ましい。凝固前に、微粒子化した生地を加えた豆乳に所定量のエアー(空気)を注入分散することによって、溶存する空気の量を正確に調整できるので、油揚げの品質をさらに向上させることができる。また、実験の結果、エアー(空気)を混入させたものは油揚のキメが細かく、伸びも良くなった。
本発明によれば、豆乳に微粒子化した生地を加えた後に加熱を行うので、従来の油揚げ生地再生方法に比べて、揚げの伸びを適度に抑え、弾力と強度がある油揚げを製造することが出来る揚げの皮の機械耐性(例えばすし詰めロボットに対して)を高め、弾力のある油揚げを製造することができる。また、豆乳に微粒子化した生地を加えた後に加熱を行うことにより、連続処理、バッチ処理どちらでも菌の繁殖が抑えられ、衛生的である利点がある。また、本発明の油揚げの連続製造装置によれば、上記効果に加えて、再生処理が連続して行われるために、菌の繁殖を抑え、最終製品の保存性が悪くることを防ぐことができる。
また、本発明によって製造されたすし揚げは、全般に伸びを押さえながら、キメの細かく見栄えがよく、揚げ皮は適度な強度であり、均質になり、いなりすし詰め製造装置においても、ロスなく安定して稼働させることができる高品質な味付油揚を製造することが可能になった。油揚げの伸びや皮の肌理をコントロールし、製品の調整を行うために、脱気したうえでエアー量を流量計などで管理しておくと、製品の質をコントロールし易く、生産工程を勘だけに頼らず、エアーの流量といった数字で管理できるメリットがある。また、大豆が新穀の場合と旧穀の場合や年度毎に銘柄が変更する場合、また同じ銘柄でも栽培された年度の天候によって大豆の質は異なり、揚げの品質を一定に保つために、脱気だけの場合やエアーの注入のみを行いたい場合、また、脱気では真空度等により、脱気する率を調整し、揚げの品質をきめ細かく管理できるといったメリットがある。
以下、本発明を適用した油揚げの生地再生方法及び油揚げの連続製造装置について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明を適用した油揚げの生地再生方法のフロー図であり、油揚げ製造工程において発生する油揚げの不良生地を集める収集工程S1と、これを微裁断する裁断工程S2と、微粒子化した生地を豆乳へ加えて加熱する加熱工程Skと、エアー(空気)注入工程Saと、凝固・熟成工程S4と、水取工程S5と、脱水・成型工程S6と、切断工程S7と、油煮(フライ)工程S8とを備える。
収集工程S1では、油揚げの不良生地を収集するが、ここでは、油揚げの端部を切断する工程S7で発生する油揚げの不良生地を収集する。なお、バッチ処理により、濾過布に表皮がくっついた不良生地を収集しても良い。図2は、本発明を適用した油揚げの連続製造(凝固成型)装置の概念図である。本実施の形態の油揚げを連続的に製造する油揚げの連続製造装置には、油揚げの生地の連続凝固成型工程において、生地はベルト状に成型され、適度な大きさにカットされ、油煮されて油揚げとなる。ベルト状の生地を切断後に、不良な生地(例えばスタート直後の0.5〜3m程、終了直前の0.5〜3m程、布付きを起こした部分、すなわちベルト状生地の先端と後端の数mの部分や、割れたり、欠けたり、薄すぎ、厚すぎの生地など)やベルト状の生地の両端など、未利用の生地を連続的に搬送コンベアC1により回収する。また、油揚げの連続製造装置には、搬送コンベアに油揚げ生地の端部を切断する切断装置Ckと、その生地端部をベルト上から除く案内板B1が配置されており、案内板B1によってベルト上から除かれた油揚げ生地の端部が自動的に不良生地回収用搬送コンベアC1より収集されるようになっている。また油揚げの生地の連続凝固成型工程の終端に、成型ベルトコンベア進行方向に対して横断する方向に配設された第2の不良生地回収用コンベア(傾斜コンベア)C2を備える場合もある。不良生地回収用コンベアC1によって、成型工程の先端部分の生地(スタート直後の数mの部分;大凡0.5〜5m、普通は0.5〜1m。生地厚が薄かったり、厚かったり、水切り不足で軟らかすぎる生地であったりする。)や、成型工程の後端部分の生地(終了直前の数mの部分;大凡0.5〜5m、普通は0.5〜1m。生地厚が薄かったり、厚かったり、水切り不足で軟らかすぎる生地であったりする。)を排除し、前記不良生地回収用搬送コンベアC1や回収容器に搬送する。
微裁断工程S2では、油揚げの不良生地を微粒子化処理する。裁断機としては、後述するポンプミルやミンチ機等を使用する。その他、様々な微裁断装置、微粉砕装置、磨砕装置が適用でき、特に限定されない。ただし、裁断機に加水装置を備え、加水しながらでも良いが(図4参照)、加水がなくてもよく、微粒子化の際に、できるだけ発熱しないか、発熱を押さえる冷却手段等を備える微裁断装置であることが望ましい。ここで、本実施の形態では、生地に水を加えずに微粒子化する。微裁断された生地は、そのまま豆乳に混合される。混合してさらに分散攪拌してしてもよく、またその後に加熱工程Skでの加熱(例えばサイレンサーを備えた直接蒸気噴射加熱など)による攪拌があるので、この加熱による攪拌によっても良い。加熱装置は必ずしも必要ではないが、加熱方法は間接加熱でも良く、直接加熱でも良く、加熱方法は問わない。微裁断された揚げ生地と混合した豆乳は、加熱工程Skで加熱され(例えば100℃以下であるが、60℃から80℃に加熱することが好ましく、低温殺菌条件である60℃で30分以上、ないしは80℃で10分以上であることが望ましい。)、その後凝固・熟成工程S4において凝固剤を加えて凝固し、熟成後は水取工程S5で濾過器(水取ドラム)で余分な水分を排出し、ベルトコンベア上にディストリビュータで均一に注がれて、連続的に脱水・成型される。水取工程S5は、凝固・熟成工程S4後に行うが、通常油揚げの豆乳は4〜6%brixと濃度が薄い豆乳を使用するため、凝固・熟成工程後固形物以外に余分な水が大量に排出される。この余分な水をそのまま、ベルトコンベア上に凝固物と一緒に流してしまうと、余分な水であふれてしまい、さらに脱水に長時間かかるため効率が非常に悪くなる。このため、脱水・成型工程S6で余分な水分を取り除く必要がある。成型されてベルトコンベア上で帯状に成型された揚げ生地は専用の切断装置Ckによって適当な大きさの生地に切断され(切断工程S7:図3参照)、切断後揚げ生地は専用フライヤーで油煮される(油煮工程S8)。なお、後述するように、前記凝固工程の前に、前記微粒子化した不良生地を分散攪拌された豆乳に所定量の空気を注入し分散するエアー注入工程Saを設けることが好ましい。また、凝固・熟成工程S4の前に前記微粒子化した不良生地を分散攪拌された豆乳を加熱する加熱工程Skを設けることが好ましい。
このような製造工程により作られたすし揚げは伸び過ぎることがないため、揚げ皮は強度と弾力を併せ持ち、いなりずし製造装置に適した性質を持つすし揚げを安定して製造することができる。すなわち、再生処理した揚げ生地等を豆乳に加えた後の加熱では、殺菌と共に、加熱温度と加熱時間を調整することによって、溶存する空気の量を調整し、油揚げの品質が調整される。
(第2の実施の形態)
図3は、本発明を適用した油揚げの生地再生方法のフロー図であり、油揚げ製造工程において発生する油揚げの不良生地を集める収集工程S11と、これを微裁断する裁断工程S12と、この微裁断した生地に水を加え加熱する加熱工程Skと、エアー(空気)注入工程Saと、これを油揚げ製造に当たって作った新しい生地の凝固工程時に、凝固剤とともにこれを凝固させる凝固・熟成工程S14と、水取工程S15と、生地成型(プレス成型)S16と、切断工程S17と、油煮(フライ)工程S18とを備える。なお、本実施の形態では、微裁断した生地を豆乳に加えて分散攪拌することにより豆乳状の溶液となす攪拌工程S13も備える。
収集工程S11では、油揚げの不良生地を収集するが、ここでは、油揚げの端部を切断する工程S17で発生する油揚げの不良生地を収集する。図4は、本発明を適用した油揚げの連続製造(凝固成型)装置の概念図である。本実施の形態の油揚げを連続的に製造する油揚げの連続製造装置11には、油揚げの生地の連続凝固成型工程において、生地はベルト状に成型され、適度な大きさにカットされ、油煮されて油揚げとなる。ベルト状の生地を切断後に不良な生地(例えばスタート直後の0.5〜3m程、終了直前の0.5〜3m程、布付きを起こした部分、すなわちベルト状生地の先端と後端の数mの部分や、割れたり、欠けたり、薄すぎ、厚すぎの生地など)やベルト状の生地の両端などは、未利用の生地を搬送する搬送コンベアC1と傾斜した搬送コンベアC2により連続的に回収する。
裁断工程S12では、油揚げの不良生地を粒子化処理する。不良生地は、空気を入れないようにする目的からは、摺り潰すようにすることが好ましいが、従来方法のように擂潰(らいかい)機などのように摺り潰すようなことなく微裁断しても良い。ここで、裁断工程S12は、液中で細かく磨砕する液中磨砕で行うようにすると良い。液中磨砕装置としては、大豆等の固体原料と液体原料とを磨砕部に供給して磨砕する装置が既に開発されており、そのような装置やポンプミル等を使用して、空気が入り込まないようにする(第1の脱気工程D1)。コロイドミル、高圧ホモジナイザー、真空式ジューサーミキサー、真空・減圧式フードカッター、ミンチ機(1軸式練り出し機)、2軸エキストルーダ(2軸練り出し機)なども利用可能である。
攪拌工程S13では、攪拌タンクTで加水しながら、あるいは、加水せずに、均一になるよう攪拌する。水(精製水や軟水等)のほか、再生液での加水についてはプレスによる成型工程で脱水されて排出された湯(ゆ)を利用する方法も凝固剤成分が残っており次の新しい油揚げ生地を作る際には凝固剤量を軽減できるが、実験により、この湯(ゆ)よりも水(100℃以下のお湯でもよく、60℃から80℃のお湯が好ましく、低温殺菌条件である60℃30分以上、ないしは80℃10分以上の処理であることが望ましい。或いは比較的温かい水(約40〜50℃程度))の使用も製品的には好ましいことが判明した。そして、再生処理されてできた再生液(豆乳状の溶液)は、ポンプPで液送される。そして、攪拌工程S13の後には、加熱工程Skを供える。再生液は大豆に付着している耐熱性の芽胞を形成する菌が生存している可能性があり、揚げ生地を再生して使用する場合、最終製品の保存性が一つの問題となっていた。そこで、揚げ生地の再生液を加熱することにより胞子以外の栄養細胞の雑菌を殺菌し、再生液を使用した場合の最終製品の保存性を向上させることが可能となる。
上記凝固・熟成工程S14では、豆乳状の溶液と新しい豆乳が混合されて凝固される。豆乳状の溶液と新しい豆乳が混合されて凝固されると、水取工程S15、生地成型工程(プレス成型)S16、切断工程S17と、油煮(フライ)工程S18を経て油揚げが製造される。なお、切断工程S17で切断された油揚げの端部は、上記収集工程S11に戻される。
ここで、本実施の形態では、再生処理工程で空気が抱き込まれないようにしている。まず、裁断工程S12では、第1の脱気工程D1として、液中で磨砕される磨砕装置が使用され、加水の際にも、第2の脱気工程D2として、上記脱気装置が使用されて脱気され、攪拌工程S14では、第3の脱気工程D3として上記脱気装置が使用されて脱気される。これらの第1から第3の脱気D1〜D3は、すべて行われても良いが、いずれか一つ行われても良い。例えば、上記液中磨砕機により液中磨砕を行い、更に上記脱気装置により脱気する工程も行うものである。これにより、従来の製造方法に比較して再生処理量を大幅に向上させることができるとともに、揚げの伸びを適度に抑え、弾力と強度がある、機械製造に適する油揚げを製造することが可能になる。
次に、油揚げの生地の再生装置を連結した油揚げ生地の連続凝固成型装置(連続製造装置)について説明すると、図4に示すように、搬送コンベアC1上において、生地はベルト状に成型されて搬送され、そのコンベアC1上で左右の端部がカットされ、カットされた油揚げの不良生地は傾斜コンベアC2で微粒子化装置2へ搬送され、裁断機により裁断される。微粒子化後、再生液攪拌タンクTで加水しながら均一になるよう攪拌する(再生化処理)。攪拌タンクTには、水(あるいはお湯や熱水でもよい。)を加える配管(加水用)H1と、再生処理されてできた再生液が液送される配管H2が設けられ、凝固機Gで使用されるようになっている。配管H1には、温度調整する温調給水タンクQが連結されている。また、豆腐や揚げ生地を成型する時に排出される湯(ゆ)を供給する配管H3が備えられ、攪拌タンクTに上記湯(ゆ)が供給できるようになっている。
上記裁断工程D2で、ミンチ機(日本キャリア製C−051H)を使用して微粒子化された生地に加水量を調整して、生地が23.43kg/時間、加水量は磨砕時に加水される量を含め、全量で約26.6リットル/時間となるように調整した。再生処理される揚げ生地と加水量との比率は、1:1.13となった。再生液量は約50リットル/時間となった。豆乳濃度は約4.5%brix、豆乳量は2150リットル/時間で豆乳に対する再生液の割合は約2.3%とした。また、再生液は豆乳と混合する前に良く攪拌し、均一になるようにした。なお、均一になった再生液をデアレーターで脱気してもよい。豆乳に生地再生液、凝固剤を同時に加え、豆乳と生地再生液の混合液を凝固した。凝固剤量は165リットル/時間で揚げ生地再生液を使用しない場合の170リットル/時間より5リットル/時間、凝固剤が少なくなった。豆乳、再生液、凝固剤を混合した時の混合(凝固)温度は、63℃、凝固温度は61℃とした。揚げ生地の油煮温度は、120℃、185℃の2段階で行った。また、揚げ生地再生処理を行うことにより、豆乳約50リットル/時間を節約することができた。
上記のようにして、いなりずし用のすし揚げを製造(再生)したが、揚げの伸びを適度に抑え、弾力と強度がある油揚げを製造することが出来た。すなわち、すし詰め器械で作られるいなりずしは、ファーストフード用が中心であるが、ファーストフード用の揚げの品質の特性は、1.スープ(調味液)をあまり吸わないこと、2.皮が硬く破れにくいことである。これらの特性を持たせるために、油揚げの伸びを適度に抑えて揚げ皮の厚さを調整し、揚げ皮の質が均一になるようにし、さらに、伸びすぎて形が規格をはずれないように注意する必要があるが、本実施の形態により、再生処理した揚げ生地等を豆乳に加えた後の加熱では、加熱温度と加熱時間を調整することによって、溶存する空気の量を調整し、油揚げの品質が調整される。
(低温の水を生地再生に使用した場合)
水温20℃、揚げ生地再生液26℃、凝固温度63℃で揚げを製造した。豆乳流量3800L/h、豆乳温度69.4℃、凝固剤流量250L/h、再生生地と加水の比率は1:1.27の割合とした。豆乳と再生液、凝固剤を同時に加え、凝固する。熟成後水取装置で余分な水を排出した後、ベルトコンベア上で脱水・成型した。最終製品は家庭用のいなりずし揚げ、薄揚げ、家庭用いなり揚げなどで揚げはよく伸び、皮は均一でかつ弾力があり、比較的丈夫であり、かつソフトである。
高温の水を使用した揚げ生地再生液では、油揚げの伸びすぎをコントロールすることができる。いなりずし製造装置で使用するすし揚げをつくる場合は比較的高温の水を使用し、揚げの伸びを重要視する製品(薄揚げなど)の場合は低温の水を用いる。
油揚げの自動連続凝固成型装置において、不良な生地を移送コンベアによって微裁断装置へ収集し、微裁断するが、微裁断された生地をそのまま豆乳に混合した。このとき豆乳に対する微裁断された生地の割合は、2〜3%であった。不良生地の発生は一定量ではない。また、この時の豆乳濃度は4.5%brixである。
微裁断された揚げ生地と混合した豆乳は75℃まで加熱され、凝固剤を加えて凝固し、熟成後水取装置、水取ドラム等で余分な水分を排出し、ディストリビュータによってベルトコンベア上に均一に注がれる。その後ベルトコンベア状で連続的に脱水・成型した。成型されてベルトコンベア上で帯状に成型された揚げ生地は専用の切断装置Ckによって適当な大きさの生地に切断される。切断後揚げ生地は専用フライヤーで120℃と180℃と二段階の温度で油煮される。このように製造されたすし揚げは伸び過ぎることないため、揚げ皮は強度と弾力を併せ持ち、いなりすし製造装置に適した性質を持つすし揚げを安定して製造することができた。
上記裁断工程D2で、ミンチ機(日本キャリア製C−051H)を使用して、加水せずに微粒子化された生地に、80℃のお湯(一旦、100℃まで沸騰させて脱気し、冷却したお湯)の加水量を調整して、生地が23.43kg/時間のときに、加水量約26.6リットル/時間となるように調整した。再生処理される揚げ生地と加水量との比率は、1:1.13となった。再生液量は約50リットル/時間となった。豆乳濃度は約4.5%brix、豆乳量は2150リットル/時間で豆乳に対する再生液の割合は約2.3%とした。(この生地再生液を加えた豆乳を豆乳Aとした。)
また、再生液は豆乳と混合する前に、TKホモミクサー(プライミッス社MarkII20型、流通型)を用いて空気を抱き込ませないよう連続的に均一に分散攪拌した。この再生生地の分散液を加えた豆乳を豆乳Bとした。またこの再生生地の分散液を更にデアレーター(高井製作所製、ゲージ圧0.04MPa)で連続的に脱気したものを加えた豆乳を豆乳Cとした。更に豆乳A〜Cに圧縮空気(0.3MPa)を、500ml/minで注入し、その直後に、遠心式ポンプ(岩谷電機製)を通過させて、豆乳中に空気を細かく均一に分散させた。これら豆乳A〜Cに生地再生液、凝固剤液を上記のとおり同じ条件で同時に加え、豆乳と生地再生液の混合液を凝固した。
なお、凝固剤量は165リットル/時間で生地再生液を使用しない場合の170リットル/時間より5リットル/時間、凝固剤が少なくなった。豆乳、再生液、凝固剤を混合した時の混合(凝固)温度は、63℃、凝固温度は61℃とした。揚げ生地の油煮温度は、120℃、185℃の2段階で行った。また、揚げ生地再生処理を行うことにより、豆乳約50リットル/時間を節約することができた。
前記同様、凝固剤を加えて凝固し、熟成後水取装置や水取ドラム等で余分な水分を排出し、ディストリビュータによってベルトコンベア上に均一に注いだ。その後ベルトコンベア状で連続的に脱水・成型した。ベルトコンベア上で帯状に成型された揚げ生地は専用の切断装置によって75mm×45mmのサイズに切断した。切断後揚げ生地は専用フライヤーで120℃と、180℃と二段階の温度で油煮した。
油揚は、キメ等を観察した後、寸法計測した。別途、数枚を味付液にて煮込み、一晩放置した後、一定の形にくり抜き、レオメータ(不動工業製)にて引張試験を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0004789736
A、B、Cのそれぞれにおいてエアー(空気)を混入させたものは油揚のキメが細かく、伸びも良くなった。Aに比べて、B、Cは皮の強度も増加し、更に、そのバラツキも少なく均質な油揚になっていることが分かった。したがって、凝固工程S4の前に、エアー注入工程Saを設けることが好ましいことがわかる。このように本発明によって製造されたすし揚げは、全般に伸びを押さえながら、キメの細かく見栄えがよく、揚げ皮は適度な強度であり、均質になり、いなりすし詰め製造装置においても、ロスなく安定して稼働させることができる高品質な味付油揚を製造することが可能になった。油揚げの伸びや皮の肌理をコントロールし、製品の調整を行うために、脱気したうえでエアー量を流量計などで管理しておくと、製品の質をコントロールし易く、生産工程を勘だけに頼らず、エアーの流量といった数字で管理できるメリットがある。また、大豆が新穀の場合と旧穀の場合や年度毎に銘柄が変更する場合、また同じ銘柄でも栽培された年度の天候によって大豆の質は異なり、揚げの品質を一定に保つために、脱気だけの場合やエアーの注入のみを行いたい場合、また、脱気では真空度等により、脱気する率を調整し、揚げの品質をきめ細かく管理できるといったメリットがある。
比較例1
(従来のようにサイレントカッターで、空気を沢山、噛みこんだ再生液を使用した場合)
豆腐や揚げ生地などの再生にサイレントカッターを使用した場合、再生工程で空気をかみこんでしまう。噛み込んだ空気は揚げ生地の微細な気泡となる。生地は気泡が多く、油煮工程において非常に良く伸びるため、揚げは規格外のサイズとなった。また、フライヤーの枠内に収まりきれずに変形や色の不均一な状態となった。油煮において、揚げの伸びすぎによる変形によって、揚げ皮を高温の油にさらして表面を乾燥させ、保形性を向上させる工程において、部分的乾燥が早く進行してしまい、色や皮の仕上がりが不均一になってしまった。このようにして製造した油揚げは、皮の厚みや強度などが不均一な状態となり、すし詰め装置には適さない油揚げとなった(ファーストフード用には向かない揚げとなった)。
比較例2
(湯“ゆ”を使用した場合)
豆腐や揚げ生地を成型する際に排出される上記湯“ゆ”を使用した場合は、再生工程で微裁断した揚げ生地が再凝固してしまい、脱水・成型前の水取装置において凝固粒子が排水と共に排出されてしまった。再生生地は豆乳と共に凝固させないと、成型前の水取工程で濾布を通過して、排水(“ゆ”)とともに流されてしまい、揚げ生地再生しても収率の向上にはならなかった。
一方、高温の水(55℃以上)を使用した場合、微裁断した再生液で再凝固してしまう。豆乳に混ぜる前に再凝固した揚げ生地は、脱水・成型工程前の水取工程において濾布を通過してしまい、排水と共に流出してしまう。つまり、微粒子化された再生生地は豆乳と共に凝固させないと、水取工程において濾布を通過してしまい、再生する意義が失われる。水取装置で再凝固した凝固物が排水に混じって排出されてしまう。このため、揚げ生地の再生工程に用いる水の温度は60℃以下、好ましくは55℃未満である。再生液の凝固粒子は細かく水取装置を通過したり、脱水成型装置の濾布の目詰まりを起こしてしまう。このため豆乳に混合し豆乳と共に凝固させることにより、比較的大きな凝固物となり、水取装置での流出を防ぎ、脱水成型工程での濾布の目詰まりを抑制することが出来る。
本発明の第1の実施の形態の油揚げの生地再生方法のフロー図である。 上記実施の形態の油揚げの連続製造装装置の構成を示す図である。 本発明の第2の実施の形態の油揚げの生地再生方法のフロー図である。 上記実施の形態の油揚げの連続製造装装置の構成を示す図である。
1 油揚げ生地の連続製造装置、
H1〜H3 配管、
H3 湯(ゆ)を供給する配管、
D1〜D3 脱気工程、
T 攪拌タンク
S1,S11 収集工程、
S2,S12 裁断工程、
S4,S14 凝固・熟成工程、
S5,S15 水取工程、
S6,S16 生地成型(プレス成型)、
Sk 加熱工程、
Sa エアー注入工程

Claims (6)

  1. 油揚げ製造工程で発生する油揚げの不良生地を集める収集工程と、当該不良生地を微粒子化する裁断工程と、当該微裁断した不良生地に水及び豆乳を加えて分散攪拌する分散攪拌工程と、当該微裁断生地を分散攪拌した豆乳に凝固剤を加えて凝固する凝固・熟成工程と、凝固物のゆを除く水取工程と、当該凝固物を圧密成型する成型工程とを連結し、
    前記分散攪拌工程で加える水が55℃未満の水であり、
    前記裁断工程では、加水しないで練り出し機を用いて摺り潰すようにして微裁断するか、又は、加水しながら液中で磨砕する液中磨砕で微裁断して、空気が抱き込まれないようにすることを特徴とする油揚げ生地再生方法。
  2. 前記裁断工程で得られた微粒子化生地水溶液を脱気するか、又は、前記分散攪拌工程の後に脱気する脱気工程を備えることを特徴とする請求項1記載の油揚げ生地再生方法。
  3. 前記凝固・熟成工程の前に、圧縮空気を注入して遠心ポンプで分散するエアー注入工程を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の油揚げ生地再生方法。
  4. 油揚げ生地の端部を切断する切断装置と、当該切断した端部の不良生地を回収する搬送コンベヤと、当該切断した端部の不良生地を微裁断する裁断機と、当該微裁断した不良生地に水及び豆乳を加えて分散攪拌する分散攪拌機と、当該微裁断生地を分散攪拌した豆乳に凝固剤を加えて凝固する凝固機と、凝固物のゆを除く水取装置と、当該凝固物を圧密成型する成型装置とを連結し、
    前記分散攪拌工程で加える水が55℃未満の水であり、
    前記裁断機では、加水しないで練り出し機を用いて摺り潰すようにして微裁断するか、又は、加水しながら液中で磨砕する液中磨砕機で微裁断して、空気が抱き込まれないようにすることを特徴とする油揚げ生地の連続製造装置。
  5. 前記裁断機で得られた微粒子化生地水溶液を脱気するか、又は、前記分散攪拌機の後に脱気する脱気装置を備えることを特徴とする請求項記載の油揚げ生地の連続製造装置。
  6. 前記凝固機の前に、圧縮空気を注入して遠心ポンプで分散するエアー注入装置を備えることを特徴とする請求項4又は5記載の油揚げ生地の連続製造装置。
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