JP5746463B2 - 電気めっき治具及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐久性に優れた電気めっき治具及びその製造方法に関する。
ニッケルめっき、金めっき、銀めっき、銅めっきなどの電気めっきを被処理部材に施す際に、被処理部材を挟む、載せる、吊す、付ける、入れる、締め付ける、絡ませるなどの支持・固定用の治具(電気めっき治具)が必要である。また、電気めっき治具は被処理部材の支持の他、被処理部材への電流の供給をも行うことが一般的である。被処理部材への電流の供給は特性に優れた銅又は銅合金にて形成された電極などの配線部材にて行うことが一般的である。ところで、電気めっき治具は電気めっきを行うめっき浴中に浸漬して使用するため、耐久性が問題になる。
従来、電気めっき治具はポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどで被膜を形成することにより、耐久性の向上を目指していた。しかしながら、銅及び銅合金で構成された電極の周りは、発熱が進行したり、めっき液が浸潤して被膜が膨潤するなどの理由により、被膜が損傷し充分な耐久性が実現できないことがあった。
めっき浴の組成は上記めっきにてめっきされる金属イオン以外に、緩衝剤としてのコハク酸、酢酸、クエン酸、乳酸などの有機酸或いはこれらの塩、エタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン化合物、ホウ酸などが添加されたり、導電剤としての塩化合物(ハロゲン化塩(アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムなどの塩。例えば塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウムなど)、硫酸塩、スルファミン酸塩、メタスルホン酸塩など)も添加されるなど非常に厳しい条件である。更に、めっき浴の温度も50〜80℃と高く、0.1〜10A/dmの電流密度とpHが2〜6の範囲であり、電極周りの発熱部分では従来のポリエチレンなどにて形成した被膜では耐久性に問題があった。従来から耐久性が高い材料としてポリテトラフルオロエチレン、ETFE、PFA、FEPなどの従来から知られるフッ素樹脂があるが、これらフッ素樹脂は耐蝕性には優れるが加工温度として300℃以上に上げなければならず、銅、銅合金を酸化させてしまい被覆材との密着性を損なう結果になる。
国際公開第98/58973号パンフレット
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、従来のポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどで被覆された電気めっき治具よりも優れた耐久性をもつ電気めっき治具及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する請求項1に係る電気めっき治具の特徴は、銅及び銅合金の少なくとも一方にて構成され、被処理部材に電気的に接続される通電部と前記通電部に電流を供給する配線部とをもつ配線部材と、
部が金属から形成され、他の部分がPEEK、PEI、及びPIの何れかで形成され、前記配線部材及び前記被処理部材を支持する支持体と、
融点が100℃〜220℃の範囲にありカーボネート末端が導入されているテトラフルオロエチレン共重合体(フッ化ビニリデンを単量体として含む物を除く)で厚み50μm〜1000μmになるように前記支持体の少なくとも金属部分及び前記配線部を被覆し、全体として一体化した保護被膜と、
を有することにある。
上記課題を解決する請求項に係る電気めっき治具の製造方法は、請求項1に記載の電気めっき治具を製造する方法であって、
前記テトラフルオロエチレン共重合体の粉末を浮遊させて流動体化する流動体化工程と、
表面温度を前記テトラフルオロエチレン共重合体の融点以上に調節した、前記配線部材を支持した前記支持体を前記流動体中に浸漬し、前記支持体を取り付けたまま、前記配線部材及び前記支持体の表面に前記保護被膜を形成する被覆工程と、
を有することにある。
請求項1に係る発明によると、この電気めっき治具は化学的・物理的な安定性に優れたテトラフルオロエチレン共重合体を被膜として用いているためにめっき液による電気めっき治具への影響を抑制することができる。また、このテトラフルオロエチレン共重合体は100℃〜220℃の範囲の融点をもつため、溶融させた状態にて保護被膜の形成を行うことが可能になり、優れた保護被膜を形成できる。特に融点が100℃以上であるため、電気めっきを行うめっき浴中で溶融するおそれが無くなることになる。また、融点が220℃以下であるため、保護被膜を形成する際に高温の条件を選択する必要が無く、銅又は銅合金の表面に酸化皮膜が形成されるおそれが無くなる。銅又は銅合金は大気中などの酸化雰囲気下で高温(例えば、250℃以上)に曝されることにより保護被膜との密着性を損なう絶縁体の酸化皮膜が表面に形成される。酸化皮膜の形成を抑制するためには無酸素状態などの不活性雰囲気にて加熱を行う方法があるが、工数の増加となって望ましくなかった。
さらに、請求項に係る発明によると、保護被膜が一体化していることにより、配線部材及び支持体と保護被膜との間にめっき液が侵入する隙間の形成が少なくなって、保護被膜の耐久性が更に高くなる利点がある。
請求項に係る発明によると、流動体化させることにより、配線部材及び支持体の表面に満遍なく行き渡らせることが可能になって、均一に保護被膜を形成することが可能になるという利点がある。
実施例にて用いた電気めっき治具Aの概略図である。 実施例にて用いた電気めっき治具Bの概略図である。
本発明の電気めっき治具及びその製造方法について実施形態に基づき以下詳細に説明する。本実施形態における電気めっき治具は被処理部材に電気めっきを行う際に被処理部材に電流を供給すると共に被処理部材を支持する治具である。
(電気めっき治具)
本実施形態の電気めっき治具は配線部材と支持体とを有する。これらの部材の表面のうちの一部には保護被膜が形成されている。保護被膜の形成方法としては特に限定されず、後述する本発明の方法、一般的な静電粉体塗装などの方法が挙げられる。配線部材は通電部と配線部とをもつ。通電部は被処理部材に電気的に接続される部材であり、配線部はその通電部に電流を供給する部材である。配線部材は銅及び銅合金の少なくとも一方にて構成される。通電部と配線部とは一体化する場合もある。
支持体は配線部材及び被処理部材を支持する部材である。支持体の形状は特に限定されない。支持体の形状は被処理部材の形態に応じて適正に形成することができる。支持体の形状としてははしご状、棒状、板状、網状、そしてそれらの形状を組み合わせた形状などが挙げられる。支持体は少なくとも一部が金属から形成される。支持体は全体を金属にて形成する以外、一部を金属にて形成し他の部分を適正な材料から形成することもできる。例えば、PEEK、PEI、PIなどのエンジニアリングプラスチックから一部を形成することができる。
保護被膜は配線部材及び支持体の表面のうちの少なくとも一部を被覆する被膜である。保護被膜にて被覆することにより配線部材及び支持体の被覆した表面をめっき液から遮断でき、めっき液による影響を抑制できる。保護被膜の厚みは50μm〜1000μm、好ましくは100μm〜800μmである。この範囲にすることにより、形成された保護被膜にはピンホールなどの欠陥もなく、また、充分な効果を発揮できる。保護被膜は全体として一体化していることが望ましい。
保護被膜はテトラフルオロエチレン共重合体から形成される。テトラフルオロエチレン共重合体としてはテトラフルオロエチレンとその他のモノマーとの共重合体であり、融点が100℃以上、220℃以下である。特許文献1にて挙げられている重合体のうち、融点が100℃以上220℃以下のものを一例として挙げることができる。ダイキン工業株式会社よりネオフロンEFEP(グレードとしては、RP−4020(融点155〜170℃)、RP−4040、RP−5000(融点190〜200℃))として販売されているものが例示できる。特に後述する方法発明の製造方法や、静電塗装方法にて保護被膜を製造する場合には、粉体塗料として販売されているものを採用することが望ましい。粉体塗料としてはこれらネオフロンEFEP(RP−4020、RP−4040、RP−5000)のうちのいずれのグレードのものを粉体化したものであっても良い。
この共重合体の末端は配線部材及び支持体の表面への密着性向上の観点からはカーボネート末端が導入されていることが好ましい。カーボネート末端は共重合体を合成するときに用いる重合開始剤としてパーオキシカーボネートを用いることにより導入可能である。カーボネート末端の含有量としては、赤外線吸収スペクトルにおいて、主鎖のCH基に起因する2881cm−1での吸収ピークの高さに対する、カーボネート末端に起因する1808cm−1での吸収ピークの高さ(1808cm−1/2881cm−1)で表して0.7以上であることが望ましい。なお、この吸収ピークの高さはベースラインを補正したものである。この比の好ましい範囲としては0.7〜5.0であり、1.0〜3.0であることがより好ましい。共重合体における具体的なモノマーの比率としてはテトラフルオロエチレン(TFE)が40〜81モル%、エチレン(Et)が6〜43モル%、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)が10〜30モル%が挙げられる。
また、これらのモノマーに加えて(又は一部に代えて)式(1):CH=CFRfで表されるモノマーを用いても良い。ここで、Rfは炭素数2〜10のフルオロアルキル基である。得られる共重合体の耐熱性の点からは、Rf基はパーフルオロアルキル基、ω−ハイドロパーフルオロアルキル基、又はω−クロロパーフルオロアルキル基であることが好ましい。式(1)で表されるフルオロビニル化合物のうち、共重合性、モノマーの製造時の経済性、得られた共重合体の物性から、式(2):CH=CF(CF)H(式中、nは2〜10の数である。)で表されるフルオロビニル化合物が好ましく、とりわけnが3〜5の数であるフルオロビニル化合物が好ましい。
変性モノマーとして式(1)のフルオロビニル化合物を用いる場合のモノマー組成は、 TFEとEtのモル比が40:60〜90:10であり、フルオロビニル化合物の含有量が(共重合体全体に対して)0〜10モル%であ り、HPPの含有量が(共重合体全体に対して)10〜30モル%を採用できる。これらのテトラフルオロエチレン共重合体は、ETFEの重合に採用されている重合方法によって製造することができる。
カーボネート末端を導入するために用いられるパーオキシカーボネートとしては式(a):ROCOOOCOOR’、式(b):ROCOOOR’、式(c):
Figure 0005746463
、式(d):ROR”OCOOOCOOR”OR’に示す化合物を用いることが望ましい。ここで、式中のRおよびR'は、炭素数1〜15の直鎖状または分岐状の一価飽和炭化水素基、もしくは末端にアルコキシ基を含有する炭素数1〜15の直鎖状または 分岐状の一価飽和炭化水素基、R"は、炭素数1〜15の直鎖状または分岐状の二価飽和炭化水素基、もしくは末端にアルコキシ基を含有する炭素数1〜15の 直鎖状または分岐状の二価飽和炭化水素基を表す。
とりわけ、ジイソプロピルパーオキジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートが好ましい。
重合方法としては、工業的にはフッ素系溶媒を用い、重合開始剤としてパーオキシカーボネートを使用した水性媒体中での懸濁重合が好ましいが、他の重合方法、例えば溶液重合、塊状重合、なども採用できる。
フッ素系溶媒としては、ハイドロクロロフルオロアルカン類(例えば、CHCClF、CHCClFCFCFCClH、CFClCFCFHCl)、クロロフルオロアルカン類(例えば、CFClCFClCFCF、CFCFClCFClCF)、パーフルオロアルカン類(例えば、パーフルオロシクロブタン,CFCFCFCF,CFCFCFCFCF,CFCFCFCFCFCF)が使用でき、中でもパーフルオロアルカン類が好ましい。
溶媒の使用量は、懸濁性、経済性の面から、水に対し10〜100質量%とするのが好ましい。
重合温度は特に限定されないが、0〜100℃でよい。共重合体中のエチレン−エチレン連鎖生成による耐熱性の低下を避けるためには、一般に低温が好ましい。
重合圧力は、用いる溶媒の種類、量および蒸気圧、重合温度などの他の重合条件に応じて適宜定められるが、ゲージ圧で0〜4.9MPa(0〜50kgf/cm)の条件が例示できる。
テトラフルオロエチレン共重合体の製造に際しては、分子量調整のために、通常の連鎖移動剤、例えばイソペンタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、シ クロヘキサンなどの炭化水素;メタノール、エタノールなどのアルコール;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチルなどのハロゲン化炭化水素を用いることができる。
(電気めっき治具の製造方法)
本実施形態の電気めっき治具の製造方法は、前述した本実施形態の電気めっき治具を製造する方法である。
本製造方法は流動体化工程と被覆工程とを有する。これらの製造方法に供する前に配線部材は支持体に支持させておく。配線部材及び支持体の表面のうち保護被膜を形成する部分についてはアンカー効果を期待して粗面化することが望ましい。粗面化の方法はサンドブラスト加工、グリッドショット加工などが挙げられる。また、配線部材及び支持体の表面のうち保護被膜を形成しない部分には保護被膜が付着しないようにマスキングする。マスキングの方法としては特に限定されない。例えば、保護被膜の形成するにあたり、配線部材、支持体の表面に何らかのマスキング部材を付着させて、保護被膜形成後に剥離する。マスキング部材としてはテトラフルオロエチレン共重合体からなる保護被膜の形成条件においても安定的に存在可能な材料から形成される。例えば、耐熱性が高いマスキングテープによりマスキングを行い、保護被膜形成後にマスキングテープを剥離する方法が挙げられる。保護被膜を形成しない部分としては、被処理部材に直接接触して通電する通電部の他、配線部へ電流を供給する部分が挙げられる。また、支持体であってもめっき液に耐性をもつ材料にて形成された部材の表面に保護被膜を形成することは必ずしも必要ではない(もちろんめっき液に耐性をもつ材料から形成されていても保護被膜を形成しても良い)。
流動体化工程はテトラフルオロエチレン共重合体の粉末を浮遊させて流動体化する工程である。テトラフルオロエチレン共重合体の粉末の粒径は特に限定しないが15μm〜200μmとすることが望ましく、20μm〜80μmとすることがより望ましい。粉末は見かけ密度が0.3g/mL〜1.0g/mLが望ましく、0.4g/mL〜0.8g/mLがより望ましい。この粉末に流体(空気などの気体が望ましい)を供給することで流動体化できる。流動体化の程度としては粉体の見かけ体積を基準として2〜4倍程度になるように行うことが好ましい。流動体化に際し、流体の導入に加えて(又は代えて)粉末に振動を与えることもできる。振動を与えることにより円滑に流動体化することができる。振動の付与方法としてはバイブレーションモータ、超音波、音波などを用いることもできる。
被覆工程は、配線部材を支持した支持体を流動体中に浸漬する工程である。配線部材及び支持体の表面のうち、少なくとも保護被膜を形成を行う部分についてテトラフルオロエチレン共重合体の融点以上の温度に加熱する。なお、加熱温度は250℃以下にすることが望ましい。250℃を超えて加熱すると銅、銅合金の表面に酸化皮膜が形成されるからである。加熱の方法は特に限定しない。融点以上の温度に加熱された配線部材及び支持体が流動体中に浸漬されることにより、付着した粉末がの少なくとも一部が溶融して被膜を形成する。付着した粉末は、その融点以上に加熱することにより溶融させることもできる。形成した被膜は冷却・固化することで一体化し、保護被膜になる。付着した粉末のうち、余分に付着したもの、溶融して一体化していないものについては吹き飛ばすなどの方法により除去することが望ましい。
配線部材及び支持体を加熱する温度、粉末を流動体化する程度、粉末の量などを制御することにより形成される保護被膜の厚みを制御できる。加熱する温度を高くすると粉末の付着の程度が多くなり、粉末の流動体化の程度(流動体の体積)を大きくすると粉末の付着の程度が少なくなり、粉末の量を多くすると粉末の付着の程度を多くできる。また、流動体中に浸漬させる回数を増やすことにより保護被膜の厚みが大きくなる。
流動体中に浸漬する本方法によると、従来の静電粉体塗装に比べ、塗装効率が3〜5倍にできると共に、塗装時間も1/1.5〜1/3に短縮される。
本発明の電気めっき治具について実施例に基づき以下具体的に説明する。本実施例の電気めっき治具は、図1に示すように、支持体1と配線部材2とを組み合わせた部材の表面に保護被膜(図略)が形成されている(電気めっき治具A)。支持体1は、縦枠11及び12と、縦枠11及び12に両端が溶接固定された横枠13〜15とから構成される。横枠13〜15は縦枠11及び12の長さ方向に間隔を開けて固定される。配線部材2は通電部21及び22と配線部23とをもつ。配線部23は縦枠11及び12の端部近傍に両端にて固定される。通電部21及び22は配線部23に一端が溶接・固定されている。通電部21及び22の他端は被処理部材に接続される。この電気めっき治具は被処理部材の形状やめっき槽の形状などを考慮した上で任意の向きに配置して使用される。図2に示すように、横枠13〜15にはPEEK製の止め具16及び17を備えることができる(電気めっき治具B)。止め具16は横枠13に間隔を開けて2個配設され、止め具17は横枠15に間隔を開けて2個配設される。
(試験1)
電気めっき治具Aを製造した。縦枠11及び12のサイズとして20mm×500mm×2mm、横枠13〜15のサイズとして20mm×200mm×2mm、縦枠11及び12並びに横枠13〜15の素材としてSUS304を用い、これらの接合は溶接にて行った。配線部23のサイズとして20mm×200mm×2mm、素材が銅とした。通電部21及び22のサイズとして5mmφ×100mmとした。
電気めっき治具Aにおける保護被膜形成方法について以下に説明する。
電気めっき治具Aの配線部材及び支持体をアセトンで溶剤脱脂し、#240のサンドブラストで粗面化した。その後、通電部を耐熱テープにてマスキングした状態で250℃に加温された電気炉内に60分間放置し加温した。200mm×300mm×1200mmのSUS304製の流動浸漬槽を用い、その槽内にテトラフルオロエチレン共重合体粉末としてのダイキン工業社製ネオフロンEFEP RC−4520(粒径25μm〜50μm(レーザー回折法);見かけ密度0.45〜0.95g/mL(JIS K6891 に準拠);融点155℃〜170℃(DSC))を15Kg投入した。振動板で振動しながら1000mmの高さまで粉末を浮遊させて流動体化させた。その流動体中に加熱された治具Aを通電部21及び22側から侵入させて30秒間浸漬した。余分に付着した粉末をエアーで除去し、再度250℃の電気炉内に20分間加熱させた。250℃に加熱した後、流動体中に30秒間浸漬することを計4回繰り返した。結果、平均膜厚550μmの保護被膜が形成された。使用した粉体は82gであった。厚みむらは±50μmであった。
(試験2)
電気めっき治具Bをした。電気めっき治具Bは電気めっき治具Aにおける配線部材及び支持体に止め具16及び17を設けた以外は同様の構成である。止め具16及び17はPEEK製であり、サイズが1.5mmφ×20mmである。試験例1と同様の操作を行うことにより平均膜厚580μmの電気めっき治具Bを得た。使用した粉体は95gであった。厚みむらは±40μmであった。
(試験3)
電気めっき治具Aを製造した。保護被膜の形成方法として静電塗装を採用した。試験1と同様に加熱を行い、その後、静電塗装機で塗装を行った。加熱及び塗装のサイクルを計9回行い、最終的に加熱して保護被膜とした。保護被膜は平均膜厚510μmのめっき治具Aを得た。使用した粉体塗料は145gであった。厚みむらは±60μmであった。
(試験4)
流動体中に浸漬する方向を反対(通電部21及び22とは反対方向から侵入させた)にした以外は試験1と同様の方法にて電気めっき治具Aを製造した。保護被膜は平均膜厚450μm、使用した粉体は70g、厚みむらは±150μmであった。
(考察)
試験1〜4より明らかなように、本発明の流動体を用いた保護被膜の製造方法を採用すると、従来の静電塗装を用いた保護被膜の製造方法よりも塗装回数が少なくなると共に、厚みむらも小さくなった。すなわち、加工工数が大幅に低減されると共に厚みむらも小さく精度の高い保護被膜の製造が可能になった。
(耐久試験)
めっき槽(600mm×400mm×1200mm)内に、硫酸ニッケル300g/L、塩化ニッケル55g/L、ホウ酸40g/Lになるように調製しためっき液を250L入れ温度を60℃に調整した。試験2で作成した電気めっき治具Bにて100dmの被処理部材を支持した状態で、1A/dmの条件で20分間電流を供給した。この工程を1サイクルとし、40サイクル毎にめっき浴を新たに調製した。1日あたり60サイクルのめっき操作を行い、電気めっき治具Bの外観などを観察した。試験2の電気めっき治具Bは1200サイクル後にも大きな変化が認められなかったのでそこで試験を中止した。比較試験として電気めっき治具Bにおける保護被膜に代えて従来の保護被膜(ポリエチレン:膜厚800μm、塩ビゾル(塩化ビニル):膜厚1000μm)を形成した電気めっき治具についても耐久性を検討した。
Figure 0005746463
表1より明らかなように、テトラフルオロエチレン共重合体から形成される保護被膜を採用することにより、従来の保護被膜に比べて膜厚が薄いにもかかわらず優れた耐久性を示すことが分かった。
1…支持体 11、12…縦枠 13〜15…横枠 16、17…止め具
2…配線部材 21、22…通電部 23…配線部

Claims (2)

  1. 銅及び銅合金の少なくとも一方にて構成され、被処理部材に電気的に接続される通電部と前記通電部に電流を供給する配線部とをもつ配線部材と、
    部が金属から形成され、他の部分がPEEK、PEI、及びPIの何れかで形成され、前記配線部材及び前記被処理部材を支持する支持体と、
    融点が100℃〜220℃の範囲にありカーボネート末端が導入されているテトラフルオロエチレン共重合体(フッ化ビニリデンを単量体として含む物を除く)で厚み50μm〜1000μmになるように前記支持体の少なくとも金属部分及び前記配線部を被覆し、全体として一体化した保護被膜と、
    を有することを特徴とする電気めっき治具。
  2. 請求項1に記載の電気めっき治具を製造する方法であって、
    前記テトラフルオロエチレン共重合体の粉末を浮遊させて流動体化する流動体化工程と、
    表面温度を前記テトラフルオロエチレン共重合体の融点以上に調節した、前記配線部材を支持した前記支持体を前記流動体中に浸漬し、前記支持体を取り付けたまま、前記配線部材及び前記支持体の表面に前記保護被膜を形成する被覆工程と、
    を有することを特徴とする電気めっき治具の製造方法。
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