JP5743139B2 - 樹脂微粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
コピー機やプリンタ等の電子デバイスにより、紙面に印刷された画像や文字の解像度を向上させるためには、印刷に使用するトナーとして、微細で且つ粒子径分布の狭い樹脂微粒子を用いる必要がある。
従来、トナーとして使用する樹脂微粒子を製造するための装置は、主に(1)樹脂に着色剤、顔料、帯電制御剤、離型剤、その他添加剤等を添加し混練する手段、(2)混練した樹脂を粉砕する手段、(3)粉砕した樹脂を分級する手段を備えていた。
実際に、従来の樹脂微粒子の平均粒子径はトナー用で約5〜8μmであるが、上記のような装置では、良好な歩留まりで粒子径分布の狭い樹脂微粒子を得ることは困難であった。
特許文献1の装置は、トナー原料となる樹脂を混練機中で混練および加熱し、溶融状態となった樹脂を、ダイを介して押し出すことにより紐状にし、次いでこの紐状になった樹脂を、ローラを用いて繊維状に引き伸ばした後に凝固させ、最後に生成した繊維状樹脂の切断を行って、粒子径分布の狭い樹脂粉末を得ようとするものである。
特許文献2の製造方法は、ガスを繊維化する前に樹脂と混合することで内部に空隙を有する前駆体繊維を得ることができ、その空隙が均一に形成されることで、各部がマクロに均質になり、粉砕され難い部位を有する前駆体繊維の生成を抑制するものである。
特許文献3の高分子フィルムの製造方法は、高分子フィルムを規定の温度で延伸処理または圧延処理した後、その高分子フィルムにクレーズを形成することで、より規則的に安定性よくクレーズを形成させるものである。
特許文献4の光制御フィルムの製造方法は、高分子樹脂フィルムにクレーズを形成する曲げ変形を加えるステップにおいて、高分子樹脂フィルムに直線に直交する方向の張力と周期的な振動を付与することで、クレーズ間隔を制御でき、その結果、透過・散乱等の光学特性が高度に制御されるものである。
(1)樹脂もしくは樹脂混合物を繊維状に成形加工した後に、該繊維状物に張力を加えながら、折り曲げ変形させて、該繊維状物に規則的なクレーズを連続的に形成させ、該クレーズを粉砕部として粉砕することを特徴とする樹脂微粒子の製造方法。
(2)前記粉砕が攪拌によって行なわれることを特徴とする前記(1)項に記載の樹脂微粒子の製造方法。
(3)前記樹脂微粒子が、電子写真用トナー粒子であることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の樹脂微粒子の製造方法。
(4)樹脂もしくは樹脂混合物を繊維状に成形加工する手段、該繊維状物に張力を加えながら、折り曲げ変形させて、該繊維状物に規則的なクレーズを連続的に形成する手段、及び該クレーズを粉砕部として粉砕する手段を少なくとも有することを特徴とする樹脂微粒子の製造装置。
(5)前記樹脂微粒子が、電子写真用トナー粒子であることを特徴とする前記(4)項に記載の樹脂微粒子の製造装置。
(6)前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載の樹脂微粒子の製造方法又は前記(4)項若しくは(5)項に記載の樹脂微粒子の製造装置によって製造されたことを特徴とする樹脂微粒子。
(7)前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載の樹脂微粒子の製造方法又は前記(4)項若しくは(5)項に記載の樹脂微粒子の製造装置によって製造されたことを特徴とする電子写真用トナー。
(8)CV値が20以下であることを特徴とする前記(7)項に記載の電子写真用トナー。
上記の規則的に強度の弱い部分を形成する方法としては、たとえば、超音波による振動を利用する方法でもよいし、刃物を利用する方法でもよく、特に限定されないが、規則的・効率的に強度の弱い粉砕部を形成する点でクレーズが好ましく、以後の説明における規則的に強度の弱い粉砕部は、クレーズを例として説明する。
なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における形態の1例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
繊維化の方法は特に限定されない。溶融紡糸による場合は、熱溶融時の加熱機・溶融機の温度は樹脂のTg以上〜樹脂のTg×4以下が良く、好ましくは樹脂のTg×1.5以上〜樹脂のTg×3以下の範囲に設定されるのが良い。熱溶融時の加熱機・溶融機としては、いわゆるエクストルーダーやニーダー、加熱ポットなど一般的なものでよく、またこれらの事例に制限されない。
本発明におけるガラス転移点(Tg)とは、具体的に次のような手順で決定される。
測定装置として島津製作所製TA−60WS及びDSC−60を用い、次に示す測定条件で測定した。
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50ml/min)
温度条件開始温度:20℃昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
解析方法は2度目の昇温のDSC微分曲線であるDrDSC曲線のもっとも低温側に最大ピークを示す点を中心として±5℃の範囲を指定し、解析ソフトのピーク解析機能を用いてピーク温度を求める。
次にDSC曲線で前記ピーク温度+5℃、及び−5℃の範囲で解析ソフトのピーク解析機能をもちいてDSC曲線の最大吸熱温度を求める。
ここで示された温度がトナーのガラス転移点(Tg)に相当する。
もちろん、形成されるクレーズは、樹脂もしくは樹脂混合物の材質等によっても相違することはいうまでもない。
以下、本発明について具体例をあげて説明を行う。
これらは、本発明の一態様にすぎずこれらに発明の技術的範囲は限定されない。
まず、原料について記す。
ポリエステル樹脂(1):重量部46.75 軟化点107℃ Tg64℃
ポリエステル樹脂(2):重量部38.25 軟化点124℃ Tg64℃
ポリエステル樹脂(3):重量部10.00 軟化点112℃ Tg58℃
マゼンタ顔料(大日本インキ化学工業 TOSHIKI RED 1022):
6.00重量部
カルナバワックス: 3.00重量部
ライスワックス: 2.00重量部
極性制御剤(オリエント化学工業株式会社 BONTRON E−304):
0.50重量部
次に、紡糸および粉砕条件の共通部位について述べる。
図1は、紡糸法として、溶融紡糸法の一種であるメルトブローン法を利用している。
図1に示すように、主要部位としてエクストルーダー(3)、紡糸ダイ(7)および延伸用エアノズル(6)で構成されているが、これらは公知のものである。
ノズルデバイスの全長約450mで、ノズル口径Φ190μm、ノズル口数451穴(ノズル孔の中心間距離ピッチ約1.0mm)の装置を用いた。
エクストルーダーからギアポンプまでは150℃、紡糸パックおよび紡糸ノズルのユニットは200℃で一定とした。
押し出し量は別途後段に記す繊維径の評価方法で、繊維径D50が6.0±0.1μmとなる押し出し量を設定した。
繊維は各ノズル毎に1本をサンプリングし、デジタルマイクロスコープで太さを計測した。
具体的には、451穴のノズルから押し出される繊維を、各ノズルあたり時間を前後5分ずらして3点サンプリングし、サンプリングした繊維の任意の箇所の太さを計測し全体の繊維径分布を求めた。
図6に示されたような装置を用いて、曲げ変形と張力の組み合わせにより、規則的かつ連続的にクレーズを形成させるクレーズ処理を施した。
処理速度は50mm/min.、処理角度は120°、処理張力は10N/cmとした。
本発明によれば、クレーズを形成させた繊維化した樹脂または樹脂混合物は非常に弱い力で粉砕等が可能であるため、従来のような粉砕機は不要であることから、今回はヘンシェル型ミキサを使用し、粉砕等を行なった。
粉砕条件は、回転羽根周速:40m/s、運転時間:3分とした。
微粒子化の良否は、粒子径分布から求めたCV値(CV(変動係数)=(標準偏差/平均粒径)×100。ここでは、粒度分布のバラツキを表しており、値が小さい方がシャープな粒度分布となっている)、粉砕に要した総動力から、単位処理量あたりの必要動力を求め比較した。
本発明のトナーは、本発明の前記トナーの製造方法により製造される。前記トナーは、粒径4.0μm以下の微粉含有率が15個数%以下であることが好ましく、0〜10個数%がより好ましい。また、粒径12.7μm以上の粗粉含有率が5.0質量%以下であることが好ましく、0〜2.0質量%がより好ましい。また、トナーの体積平均粒径は5.0〜8.0μmが好ましい。
コールターカウンター法による粒子の体積平均粒径及び粒子径分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザーII、又はコールターマルチサイザーIII(いずれも、ベックマンコールター社製)があり、これらを用いて粒径及び粒子径分布を測定した。
まず、電解水溶液100〜150mL中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5mL加えた。ここで、電解液として1級塩化ナトリウムを用いて1質量%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。次いで、測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、粉体の体積を測定して、体積分布を算出した。得られた分布から、粉体の平均粒子径(D50)及び粒子径分布を求めた。
実施例1では、クレーズ間隔Lと繊維径Dの比であるL/DをL/D=2.0に調整した。
実施例2では、クレーズ間隔Lと繊維径Dの比であるL/DをL/D=1.0に調整した。
実施例3では、クレーズ間隔Lと繊維径Dの比であるL/DをL/D=0.6に調整した。
比較例1は、従来技術を使用し、クレーズを形成しなかった。
繊維径とL/Dについては、表1に記す。
図1に示す樹脂微粒子の製造装置に、図6に示すクレーズ処理装置を使用せず、クレーズを形成してない以外は、実施例1と同様に2.0kgの繊維状のトナー材料を粉砕した。
得られた微粒子は、粒子径(D50):15.1μm(コールターカウンタによる測定)、CV値:31.2、単位処理量あたりの動力:1.74×10−1kWh/kgであった。
今回、微粒子化条件は一定としており、比較例1に対して実施例1から3については、単位処理量あたりの動力がほぼ同等に小さい値を示している。この結果から、実施例1から3おいてはL/Dによらず形成したクレーズ部分から速やかに切断され、微粒子化されたと考察できる。また、実施例1から3のL/Dの減少にともなって粒子径が減少していることからも、微粒子化がクレーズ部分からの粉砕によって進んでいることが推察できる。
また、L/D=0.6に調整した実施例3では、クレーズ間隔Lが繊維径Dよりも短いため、クレーズ部分で粉砕された後に繊維の断面方向の粉砕が促され、微粉が多く発生してしまい、CV値が悪化したと考えられる。
クレーズを形成しなかった比較例1においては、上記に記載したとおり十分に微粒子化されていないことに加え、粉砕状態もまったく制御されていないため、過粉砕によって発生した微粉と、粉砕されずに残った長い繊維状の粒子が多く存在し、実施例1から3と比較して、CV値が著しく悪化したと考えられる。
2:原材料
3:混練機
4:ギアポンプ
5:圧力計
6:高温エアー
7:紡糸装置
8:クレーズ処理装置
9:繊維化した樹脂もしくは樹脂混合物
10:クレーズ
11:クレーズ間隔 L
12:繊維径 D
13:樹脂もしくは樹脂混合物
14:張力センサ
15:搬送ローラ
16:ブレード(折り曲げ部形成体)
17:張力調整ローラ
18:処理角度
A:搬送方向
Claims (8)
- 樹脂もしくは樹脂混合物を繊維状に成形加工した後に、該繊維状物に張力を加えながら、折り曲げ変形させて、該繊維状物に規則的なクレーズを連続的に形成させ、該クレーズを粉砕部として粉砕することを特徴とする樹脂微粒子の製造方法。
- 前記粉砕が攪拌によって行なわれることを特徴とする請求項1に記載の樹脂微粒子の製造方法。
- 前記樹脂微粒子が、電子写真用トナー粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂微粒子の製造方法。
- 樹脂もしくは樹脂混合物を繊維状に成形加工する手段、該繊維状物に張力を加えながら、折り曲げ変形させて、該繊維状物に規則的なクレーズを連続的に形成する手段、及び該クレーズを粉砕部として粉砕する手段を少なくとも有することを特徴とする樹脂微粒子の製造装置。
- 前記樹脂微粒子が、電子写真用トナー粒子であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂微粒子の製造装置。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂微粒子の製造方法又は請求項4若しくは5に記載の樹脂微粒子の製造装置によって製造されたことを特徴とする樹脂微粒子。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂微粒子の製造方法又は請求項4若しくは5に記載の樹脂微粒子の製造装置によって製造されたことを特徴とする電子写真用トナー。
- CV値が20以下であることを特徴とする請求項7に記載の電子写真用トナー。
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