JP5743139B2 - 樹脂微粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、均一な粒子径分布の微粒子を製造する樹脂微粒子の製造方法及びこの製造方法によって得られる樹脂微粒子に関する。特に、電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電荷像を現像するための乾式トナーの粉砕方法に関するものである。
電子印刷分野および電子写真分野等において、近年、高解像度化に対する市場の要求がますます高まってきている。
コピー機やプリンタ等の電子デバイスにより、紙面に印刷された画像や文字の解像度を向上させるためには、印刷に使用するトナーとして、微細で且つ粒子径分布の狭い樹脂微粒子を用いる必要がある。
そのためには、トナーとして使用する樹脂を均一に微粒子化する技術が必要不可欠である。
従来、トナーとして使用する樹脂微粒子を製造するための装置は、主に(1)樹脂に着色剤、顔料、帯電制御剤、離型剤、その他添加剤等を添加し混練する手段、(2)混練した樹脂を粉砕する手段、(3)粉砕した樹脂を分級する手段を備えていた。
しかし、上記のような混練−粉砕−分級の各手段を備えた装置では、市場が要求するような粒子径分布の狭い微細な樹脂微粒子を分級することなく得るのが困難であった。
実際に、従来の樹脂微粒子の平均粒子径はトナー用で約5〜8μmであるが、上記のような装置では、良好な歩留まりで粒子径分布の狭い樹脂微粒子を得ることは困難であった。
なぜならば、粉砕時に樹脂が過粉砕されることがあり、さらに所望の範囲の粒子径分布を得るには、分級時に所望のサイズから外れた多量の粒子群を取り除く必要があるからである。
このような欠点を補う製造方法として、混練機から押し出されたトナー原料をローラで繊維状に引き伸ばし(延伸)、これをカッターで切断することにより、樹脂微粒子を製造する装置があった(特許文献1)。
特許文献1の装置は、トナー原料となる樹脂を混練機中で混練および加熱し、溶融状態となった樹脂を、ダイを介して押し出すことにより紐状にし、次いでこの紐状になった樹脂を、ローラを用いて繊維状に引き伸ばした後に凝固させ、最後に生成した繊維状樹脂の切断を行って、粒子径分布の狭い樹脂粉末を得ようとするものである。
また、より粒子径分布の狭い樹脂微粒子を製造する方法として、内部に微細な空隙を有する微粒子前駆体繊維を得た後に、この前駆体繊維を微粒子化する方法がある(特許文献2)。
特許文献2の製造方法は、ガスを繊維化する前に樹脂と混合することで内部に空隙を有する前駆体繊維を得ることができ、その空隙が均一に形成されることで、各部がマクロに均質になり、粉砕され難い部位を有する前駆体繊維の生成を抑制するものである。
特許文献1ないし2においては、繊維状に成形した後に粉砕するため、従来の粉砕法では3次元的に粉砕されていたのに対して、長手方向のみの1次元的に粉砕が促され、従来の粉砕法と比較して、より狭い粒子径分布の微粒子を得ることができるとされている。
しかしながら、上記粉砕方法では、従来の粉砕法に対しては、狭い粒子径分布の樹脂微粒子を製造することができるものの、どうしても少量の粉砕されない長い粒子が残ってしまい、改善の余地があった(図2参照)。
一方で、種々の高分子材料に規則的にクレーズを形成し、視界制御部材、通気性部材、透湿性部材などに有用な高分子フィルムの製造方法が知られている(特許文献3)。
特許文献3の高分子フィルムの製造方法は、高分子フィルムを規定の温度で延伸処理または圧延処理した後、その高分子フィルムにクレーズを形成することで、より規則的に安定性よくクレーズを形成させるものである。
また、高分子樹脂フィルムに形成するクレーズ間隔を制御することで、高度な光制御フィルムを製造する方法が知られている(特許文献4)。
特許文献4の光制御フィルムの製造方法は、高分子樹脂フィルムにクレーズを形成する曲げ変形を加えるステップにおいて、高分子樹脂フィルムに直線に直交する方向の張力と周期的な振動を付与することで、クレーズ間隔を制御でき、その結果、透過・散乱等の光学特性が高度に制御されるものである。
しかしながら、これまで検討されてきた高分子材料のクレーズにおいては、クレーズ形成前後の強度はほとんど変化しないと言われていることから、これまでクレーズ部分からの粉砕に関する検討は行なわれていなく、検討の余地がある。
ここでいう「クレーズ」とは、種々の高分子樹脂材料に形成され、張力を加えながら上記樹脂材料に局部的な折り曲げ部を形成し、折り曲げ方向に引っ張ることで、連続的に形成される部分を指すものとする。
そこで、本発明は上記問題点を解決するためのものであり、その課題は、電子写真用トナー等の樹脂微粒子の構成材料を微細繊維状に成形加工してから粉砕する工法で、エネルギー効率がよく、かつ均一な粒子径の粒子を製造する樹脂微粒子の製造方法を提供することである。
上記課題は、以下の(1)〜()に記載の樹脂微粒子の製造方法、および、樹脂微粒子の製造装置を含む本発明により、達成される。
(1)樹脂もしくは樹脂混合物を繊維状に成形加工した後に、該繊維状物に張力を加えながら、折り曲げ変形させて、該繊維状物に規則的なクレーズを連続的に形成させ、該クレーズを粉砕部として粉砕することを特徴とする樹脂微粒子の製造方法。
)前記粉砕が攪拌によって行なわれることを特徴とする前記(1)項に記載の樹脂微粒子の製造方法。
)前記樹脂微粒子が、電子写真用トナー粒子であることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の樹脂微粒子の製造方法。
樹脂もしくは樹脂混合物を繊維状に成形加工する手段、該繊維状物に張力を加えながら、折り曲げ変形させて、該繊維状物に規則的なクレーズを連続的に形成する手段、及び該クレーズを粉砕部として粉砕する手段を少なくとも有することを特徴とする樹脂微粒子の製造装置
)前記樹脂微粒子が、電子写真用トナー粒子であることを特徴とする前記(4)項に記載の樹脂微粒子の製造装置。
)前記(1)項乃至()項のいずれかに記載の樹脂微粒子の製造方法又は前記()項若しくは()項に記載の樹脂微粒子の製造装置によって製造されたことを特徴とする樹脂微粒子。
)前記(1)項乃至()項のいずれかに記載の樹脂微粒子の製造方法又は前記()項若しくは()項に記載の樹脂微粒子の製造装置によって製造されたことを特徴とする電子写真用トナー。
)CV値が20以下であることを特徴とする前記()項に記載の電子写真用トナー。
本発明によれば、電子写真用トナー等の樹脂微粒子の構成材料に規則的に強度の弱い粉砕部を形成し、さらにその強度の弱い粉砕部から粉砕することによって、エネルギー効率がよく、かつ粒子径分布の狭い電子写真用トナー等の樹脂微粒子を得る手段を提供することが可能となる。
本発明の樹脂微粒子を製造する装置の全体の一例を示す概略図である。 特許文献1の方法で粉砕した樹脂微粒子の顕微鏡写真である。 本発明の繊維状に成形加工した樹脂混合物にクレーズを形成した際の顕微鏡写真である。 本発明の方法で粉砕した樹脂微粒子の顕微鏡写真である。 繊維化した樹脂もしくは樹脂混合物にクレーズを形成した一例を示す概略図である。 クレーズ処理装置の一例を示す概略図である。 クレーズ処理装置の一例を示す概略図である。
以下に、本発明を実施するための形態の1例を図面に基づいて説明する。
上記の規則的に強度の弱い部分を形成する方法としては、たとえば、超音波による振動を利用する方法でもよいし、刃物を利用する方法でもよく、特に限定されないが、規則的・効率的に強度の弱い粉砕部を形成する点でクレーズが好ましく、以後の説明における規則的に強度の弱い粉砕部は、クレーズを例として説明する。
なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における形態の1例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
図1は、本発明の微粒子の製造する装置の全体の一例を示す概略図である。公知の紡糸装置に対してクレーズ処理装置が設けられた形の装置とも解することができ、図6および図7はクレーズ処理装置の一例を示す概略図である。繊維状に成形加工した後に、規則的にクレーズ(10)を形成し、そのクレーズ部分の強度が低下することで繊維が破断しやすくなる。これにより、繊維状に成形加工した樹脂もしくは樹脂混合物(9)の微粒子化、たとえば粉砕が容易になり、生産能力の向上、加工エネルギーが低減できる。すなわち、繊維を粉砕して均一な粒子径分布の粒子を得る技術分野において、一層の効率化を図ることができる。
樹脂もしくは樹脂混合物を繊維化する方法は、公知の手段でよい。たとえば、溶融紡糸で、口金から樹脂を押し出してロール等で引き取り・巻取りで延伸してもよいし、スパンボンド法やメルトブローン法のように高温エアーで延伸しても良い。樹脂の系統によっては、溶媒を用いた乾式紡糸や、反応液を使用する湿式紡糸を利用しても良い。
繊維化の方法は特に限定されない。溶融紡糸による場合は、熱溶融時の加熱機・溶融機の温度は樹脂のTg以上〜樹脂のTg×4以下が良く、好ましくは樹脂のTg×1.5以上〜樹脂のTg×3以下の範囲に設定されるのが良い。熱溶融時の加熱機・溶融機としては、いわゆるエクストルーダーやニーダー、加熱ポットなど一般的なものでよく、またこれらの事例に制限されない。
<Tg測定>
本発明におけるガラス転移点(Tg)とは、具体的に次のような手順で決定される。
測定装置として島津製作所製TA−60WS及びDSC−60を用い、次に示す測定条件で測定した。
<測定条件>
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50ml/min)
温度条件開始温度:20℃昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
測定した結果は前記島津製作所製データ解析ソフト(TA−60、バージョン1.52)を用いて解析を行った。
解析方法は2度目の昇温のDSC微分曲線であるDrDSC曲線のもっとも低温側に最大ピークを示す点を中心として±5℃の範囲を指定し、解析ソフトのピーク解析機能を用いてピーク温度を求める。
次にDSC曲線で前記ピーク温度+5℃、及び−5℃の範囲で解析ソフトのピーク解析機能をもちいてDSC曲線の最大吸熱温度を求める。
ここで示された温度がトナーのガラス転移点(Tg)に相当する。
また、繊維化した樹脂もしくは樹脂混合物(9)に形成するクレーズ間隔L(11)と繊維径D(12)の比であるL/Dは、0.8≦L/D≦1.2とするのがよい。繊維化した樹脂もしくは樹脂混合物(9)を粉砕等する際に、L/Dを大きくしすぎると、繊維の長さ方向に破断され難くなり、L/Dを小さくしすぎると、繊維の断面方向の構造が破壊されやすくなり、微粉が多く生成する原因となる。
ここで、クレーズ間隔(11)の評価方法について説明する。本発明においては、切片における繊維の最小方向の径をもって繊維径D(12)とし、その繊維径D(12)に直交する方向に発生しているクレーズ(10)の間隔をクレーズ間隔L(11)とした。具体的には、デジタルマイクロスコープにより倍率3000倍で繊維状に成形加工された樹脂もしくは樹脂混合物の観察を行い、写真撮影し、この写真20点(20箇所のクレーズ形成部)を画像評価することにより、クレーズ間隔L(11)と繊維径D(12)の比であるL/Dを評価した。
図3は、樹脂もしくは樹脂混合物を成形加工した繊維に規則的にクレーズを形成したデジタルマイクロスコープ写真であり、図5は繊維化した樹脂もしくは樹脂混合物にクレーズを形成した際の模式図である。繊維化した樹脂もしくは樹脂混合物(9)に適切な条件でクレーズ処理することで、規則的にクレーズ(10)が発生した繊維を得ることができる。均一にクレーズ(10)を形成することで、クレーズ部分からの粉砕が促され、粒子径分布がブロードになることを抑制する。
なぜならば、従来の粉砕法では樹脂もしくは樹脂混合物の組成や分子量、または添加されている種々の添加剤の分散状態の違いによる影響を受けて、長手方向のみの1次元的に粉砕等が促されるものの粉砕状態を制御するには至っていなかった。しかしながら、樹脂もしくは樹脂混合物に規則的にクレーズ(10)を形成し、そのクレーズ部分から粉砕することで、選択的に強度の弱いクレーズ部分からの粉砕が行なわれ、粉砕状態を制御することが可能となる。
また、クレーズ処理を行なう手段としては、公知の手段を利用できるが、図6または図7に示すようなクレーズ処理装置によってクレーズを形成することが、クレーズ間隔を調節することが容易であることから好ましい。すなわち、図6または図7に示されるクレーズ処理装置においては、緊張状態に保持された樹脂もしくは樹脂混合物(13)をブレード(16)に押し当て、樹脂もしくは樹脂混合物(13)を局部的に折り曲げて変形部を形成し、その折り曲げ変形部を、樹脂もしくは樹脂混合物(13)に対して相対的に徐々に移動させることで、移動方向と直角の方向に、連続的にクレーズを形成することができる。クレーズ処理の条件は、求めるクレーズ間隔Lに合わせて設定すればよい。多くの場合には、得たい粒子径に合わせてクレーズ間隔Lを設定すればよいが、樹脂もしくは樹脂混合物を繊維状に成形加工した後にクレーズを形成する場合は、微粒子化する時のバランスを考慮し、クレーズ間隔Lと繊維径Dの比であるL/Dは、0.8≦L/D≦1.2とするのが好ましい。
もちろん、形成されるクレーズは、樹脂もしくは樹脂混合物の材質等によっても相違することはいうまでもない。
0.8≦L/D≦1.2に設定した場合には、クレーズ間隔Lと繊維径Dの値がほぼ等しいことから、クレーズ部分からの粉砕によってのみ微粒子化され、過粉砕等による微粉発生と粉砕によって微粒子化されない長い粒子の発生が抑制される。その結果、狭い粒子径分布の微粒子を得ることができる。
このように製造された樹脂微粒子は、均一な粒子径の微粒子としてきわめて優れたものであり、均一な粒子径分布を有することが必要である電子写真用のトナーに応用することができる。
(トナーの製造方法)
以下、本発明について具体例をあげて説明を行う。
これらは、本発明の一態様にすぎずこれらに発明の技術的範囲は限定されない。
まず、原料について記す。
(原料)
ポリエステル樹脂(1):重量部46.75 軟化点107℃ Tg64℃
ポリエステル樹脂(2):重量部38.25 軟化点124℃ Tg64℃
ポリエステル樹脂(3):重量部10.00 軟化点112℃ Tg58℃
マゼンタ顔料(大日本インキ化学工業 TOSHIKI RED 1022):
6.00重量部
カルナバワックス: 3.00重量部
ライスワックス: 2.00重量部
極性制御剤(オリエント化学工業株式会社 BONTRON E−304):
0.50重量部
以上をヘンシェル型ミキサでプレ混合した後、繊維製造に使用する。
次に、紡糸および粉砕条件の共通部位について述べる。
(紡糸装置)
図1は、紡糸法として、溶融紡糸法の一種であるメルトブローン法を利用している。
図1に示すように、主要部位としてエクストルーダー(3)、紡糸ダイ(7)および延伸用エアノズル(6)で構成されているが、これらは公知のものである。
(紡糸ノズルについて)
ノズルデバイスの全長約450mで、ノズル口径Φ190μm、ノズル口数451穴(ノズル孔の中心間距離ピッチ約1.0mm)の装置を用いた。
(温度設定について)
エクストルーダーからギアポンプまでは150℃、紡糸パックおよび紡糸ノズルのユニットは200℃で一定とした。
(処理能力などについて)
押し出し量は別途後段に記す繊維径の評価方法で、繊維径D50が6.0±0.1μmとなる押し出し量を設定した。
(繊維の評価について)
繊維は各ノズル毎に1本をサンプリングし、デジタルマイクロスコープで太さを計測した。
具体的には、451穴のノズルから押し出される繊維を、各ノズルあたり時間を前後5分ずらして3点サンプリングし、サンプリングした繊維の任意の箇所の太さを計測し全体の繊維径分布を求めた。
(クレーズ処理について)
図6に示されたような装置を用いて、曲げ変形と張力の組み合わせにより、規則的かつ連続的にクレーズを形成させるクレーズ処理を施した。
処理速度は50mm/min.、処理角度は120°、処理張力は10N/cmとした。
(微粒子化について)
本発明によれば、クレーズを形成させた繊維化した樹脂または樹脂混合物は非常に弱い力で粉砕等が可能であるため、従来のような粉砕機は不要であることから、今回はヘンシェル型ミキサを使用し、粉砕等を行なった。
粉砕条件は、回転羽根周速:40m/s、運転時間:3分とした。
微粒子化の良否は、粒子径分布から求めたCV値(CV(変動係数)=(標準偏差/平均粒径)×100。ここでは、粒度分布のバラツキを表しており、値が小さい方がシャープな粒度分布となっている)、粉砕に要した総動力から、単位処理量あたりの必要動力を求め比較した。
(トナー)
本発明のトナーは、本発明の前記トナーの製造方法により製造される。前記トナーは、粒径4.0μm以下の微粉含有率が15個数%以下であることが好ましく、0〜10個数%がより好ましい。また、粒径12.7μm以上の粗粉含有率が5.0質量%以下であることが好ましく、0〜2.0質量%がより好ましい。また、トナーの体積平均粒径は5.0〜8.0μmが好ましい。
ここで、前記粒子径分布及び体積平均粒径は、例えば、粒度測定器粒度測定器(コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザーII、又はコールターマルチサイザーIII、ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。
(体積平均粒径及び粒子径分布の測定)
コールターカウンター法による粒子の体積平均粒径及び粒子径分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザーII、又はコールターマルチサイザーIII(いずれも、ベックマンコールター社製)があり、これらを用いて粒径及び粒子径分布を測定した。
まず、電解水溶液100〜150mL中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5mL加えた。ここで、電解液として1級塩化ナトリウムを用いて1質量%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。次いで、測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、粉体の体積を測定して、体積分布を算出した。得られた分布から、粉体の平均粒子径(D50)及び粒子径分布を求めた。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とした。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
次に個別の事例について示す。
実施例1では、クレーズ間隔Lと繊維径Dの比であるL/DをL/D=2.0に調整した。
実施例2では、クレーズ間隔Lと繊維径Dの比であるL/DをL/D=1.0に調整した。
実施例3では、クレーズ間隔Lと繊維径Dの比であるL/DをL/D=0.6に調整した。
比較例1は、従来技術を使用し、クレーズを形成しなかった。
繊維径とL/Dについては、表1に記す。
Figure 0005743139
図1に示す樹脂微粒子の製造装置に、図6に示すクレーズ処理装置を使用して、前記(3)から(5)を満たすような構成とし、クレーズ間隔Lと繊維径Dの比であるL/Dを、L/D=2.0に調整し、2.0kgの繊維状のトナー材料を粉砕した。粉砕条件は、繊維状のトナー材料をヘンシェル型ミキサに2.0kg投入し、回転羽根周速:40m/s、運転時間:3分でバッチ式の運転とした。得られた微粒子は、粒子径(D50):8.5μm(コールターカウンタによる測定)、CV値:9.6、単位処理量あたりの動力:2.86×10−2kWh/kgであった。
図1に示す樹脂微粒子の製造装置に、図6に示すクレーズ処理装置を使用して、前記(3)から(5)を満たすような構成とし、クレーズ間隔Lと繊維径Dの比であるL/Dを、L/D=1.0に調整した以外は、実施例1と同様に2.0kgの繊維状のトナー材料を粉砕した。得られた微粒子は、粒子径(D50):6.0μm(コールターカウンタによる測定)、CV値:7.8、単位処理量あたりの動力:2.83×10−2kWh/kgであった。
図1に示す樹脂微粒子の製造装置に、図6に示すクレーズ処理装置を使用して、前記(3)から(5)を満たすような構成とし、クレーズ間隔Lと繊維径Dの比であるL/Dを、L/D=0.6に調整した以外は、実施例1と同様に2.0kgの繊維状のトナー材料を粉砕した。得られた微粒子は、粒子径(D50):4.8μm(コールターカウンタによる測定)、CV値:13.5、単位処理量あたりの動力:2.84×10−2kWh/kgであった。
[比較例1]
図1に示す樹脂微粒子の製造装置に、図6に示すクレーズ処理装置を使用せず、クレーズを形成してない以外は、実施例1と同様に2.0kgの繊維状のトナー材料を粉砕した。
得られた微粒子は、粒子径(D50):15.1μm(コールターカウンタによる測定)、CV値:31.2、単位処理量あたりの動力:1.74×10−1kWh/kgであった。
Figure 0005743139
表2は、微粒子化に関する結果を示している。
今回、微粒子化条件は一定としており、比較例1に対して実施例1から3については、単位処理量あたりの動力がほぼ同等に小さい値を示している。この結果から、実施例1から3おいてはL/Dによらず形成したクレーズ部分から速やかに切断され、微粒子化されたと考察できる。また、実施例1から3のL/Dの減少にともなって粒子径が減少していることからも、微粒子化がクレーズ部分からの粉砕によって進んでいることが推察できる。
一方で比較例1は、単位処理量あたりの動力が実施例1から3の6倍程度の値を示しており、粒子径も大きな値となっている。これは、繊維化した樹脂もしくは樹脂混合物を微粒化する際に、長手方向への粉砕が促されるものの、クレーズを形成していないために、今回の粉砕条件では微粒子化されずに長い繊維状粒子が残っているためと考えられ、今回使用したヘンシェル型ミキサでは、十分に微粒子化できていないことがわかる。
次に粒子径のCV値について比較すると、L/D=1.0に調整した実施例2がもっとも小さい値を示している。これは、主に形成したクレーズ部分からの粉砕によって微粒子化されており、過粉砕等による微粉発生が抑制されたため、非常にシャープな粒度分布となったと考えられる。すなわち、これまで制御できなかった粉砕状態がクレーズ部分からの粉砕によって制御可能となったことを示している。
L/D=2.0に調整した実施例1では、クレーズ間隔Lが繊維径Dよりも長いため、クレーズ部分以外からの粉砕も起こりやすい状態であるため、CV値が悪化したと考えられる。
また、L/D=0.6に調整した実施例3では、クレーズ間隔Lが繊維径Dよりも短いため、クレーズ部分で粉砕された後に繊維の断面方向の粉砕が促され、微粉が多く発生してしまい、CV値が悪化したと考えられる。
クレーズを形成しなかった比較例1においては、上記に記載したとおり十分に微粒子化されていないことに加え、粉砕状態もまったく制御されていないため、過粉砕によって発生した微粉と、粉砕されずに残った長い繊維状の粒子が多く存在し、実施例1から3と比較して、CV値が著しく悪化したと考えられる。
以上の結果から、樹脂もしくは樹脂混合物に、規則的にクレーズを形成し、さらにそのクレーズ部分から粉砕することによって、従来の繊維状に成形加工した樹脂または樹脂混合物を粉砕する製造方法と比較して、粒子径がより均一で、エネルギー消費量も少ないことがわかる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば、多種の変更が可能であることは言うまでもない。使用する樹脂材料の種類や求める粒子径及び粒子径分布に合わせて、最適にクレーズを形成し、粉砕することによって、樹脂微粒子を得ることができる。
1:フィーダー
2:原材料
3:混練機
4:ギアポンプ
5:圧力計
6:高温エアー
7:紡糸装置
8:クレーズ処理装置
9:繊維化した樹脂もしくは樹脂混合物
10:クレーズ
11:クレーズ間隔 L
12:繊維径 D
13:樹脂もしくは樹脂混合物
14:張力センサ
15:搬送ローラ
16:ブレード(折り曲げ部形成体)
17:張力調整ローラ
18:処理角度
A:搬送方向
特開平06−138704号公報 特開2008−138168号公報 特開平11−320670号公報 特開2009−298100号公報

Claims (8)

  1. 樹脂もしくは樹脂混合物を繊維状に成形加工した後に、該繊維状物に張力を加えながら、折り曲げ変形させて、該繊維状物に規則的なクレーズを連続的に形成させ、該クレーズを粉砕部として粉砕することを特徴とする樹脂微粒子の製造方法。
  2. 前記粉砕が攪拌によって行なわれることを特徴とする請求項1に記載の樹脂微粒子の製造方法。
  3. 前記樹脂微粒子が、電子写真用トナー粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂微粒子の製造方法。
  4. 樹脂もしくは樹脂混合物を繊維状に成形加工する手段、該繊維状物に張力を加えながら、折り曲げ変形させて、該繊維状物に規則的なクレーズを連続的に形成する手段、及び該クレーズを粉砕部として粉砕する手段を少なくとも有することを特徴とする樹脂微粒子の製造装置
  5. 前記樹脂微粒子が、電子写真用トナー粒子であることを特徴とする請求項に記載の樹脂微粒子の製造装置。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載の樹脂微粒子の製造方法又は請求項若しくはに記載の樹脂微粒子の製造装置によって製造されたことを特徴とする樹脂微粒子。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の樹脂微粒子の製造方法又は請求項若しくはに記載の樹脂微粒子の製造装置によって製造されたことを特徴とする電子写真用トナー。
  8. CV値が20以下であることを特徴とする請求項に記載の電子写真用トナー。
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