JP4505406B2 - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
まず、計量工程において、ポリエステル樹脂やポリスチレン樹脂などの結着樹脂、カーボンブラックやアセチレンブラックなどの着色剤、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスなどの離型剤、ニグロシン系染料や4級アンモニウム塩などの帯電制御剤などの原料を計量する。
次に、混練工程において、例えばニーダー、ロートミル、エクストルーダーなどの汎用混練装置を用いて溶融混練を行う。
その後、冷却工程において、得られた混練物を冷却し、続く粗粉砕工程において、ハンマーミルやカッターミルなどの粗砕機を用いて、得られた混練冷却物を数ミリ程度に粗粉砕する。
そして、分級工程において取り除き、回収した微紛を再び混合工程において原料として用いることにより、生産性を向上させている。
しかしながら、上記の工程で製造されたトナーにおいて、着色剤の分散が充分になされていない場合には、トナーの抵抗性が低くなり、感光時に画像カブリやトナー飛散といった不具合が発生することがある。
2本ロール型連続混練機は、供給された各種原料を2本のロールで溶融しながら、ロール間隙部において、原料に圧縮とせん断を繰り返し与えることができる。したがって、従来の他の混練機に比べて材料の分散性が向上し、トナーの生産性が向上する。
マスターバッチは、例えば、結着樹脂と着色剤とを予めミキサーで充分に混合した後、フィーダーによって加熱した通常2本ロール、3本ロールもしくは開放型混練機に得られた混合物を排出しながら巻きつけ、ロールの回転により、混練物中の着色剤を均一に分散させ、混練物をカッターで切り出すことにより製造される。
10℃≦Tf−Tr≦25℃、および
(Tm−70)℃≦Tf≦(Tm−20)℃
(式中、Tfは加熱ロールの供給側の設定温度(℃)で50℃≦Tf≦90℃であり、Trは冷却ロールの供給側の設定温度(℃)で40℃≦Tr≦65℃であり、Tmは樹脂の軟化点温度(℃)である)、
加熱ロールおよび冷却ロールの回転比1:1〜1:0.1、ならびに
加熱ロールおよび冷却ロールの間隙0.1〜5mm
を満足する条件で溶融混練してマスターバッチ組成物を得、得られたマスターバッチ組成物を用いてトナーを得ることを特徴とする電子写真用トナーの製造方法が提供される。
さらに、ロールの設定温度を下げることにより、マスターバッチ中の着色剤の分散性を向上させることができる。
10℃≦Tf−Tr≦25℃および
(Tm−70)℃≦Tf≦(Tm−20)℃
(式中、Tfは加熱ロールの供給側の設定温度(℃)であり、Trは冷却ロールの供給側の設定温度(℃)であり、Tmは樹脂の軟化点温度(℃)である)
を満足する条件で溶融混練してマスターバッチ組成物を得る。
本発明において、「加熱ロールおよび冷却ロールの供給側の設定温度」とは、オープンロール型連続混練機の加熱ロールおよび冷却ロールにおける原料混合物の供給側の設定温度、すなわち混練機の装置としての設定温度を意味する。
このような装置としては、例えば、図1に示されるような2本ロール型連続混練機が挙げられる。
また、2本ロール型連続混練機は、表面にらせん状の溝を有し、互いに内側方向に回転する加熱ロールおよび冷却ロールを備えている。
さらに、2本ロール型連続混練機は、定量的に原料を連続供給するために、原料供給部にスクリューフィーダやテーブルフィーダーなどの供給装置を備えるのが好ましい。その供給速度は、例えば、5〜25kg/h程度である。
加熱ロールと冷却ロールの回転比は、1:1〜1:0.1の範囲が好ましく、1:0.4〜1:0.85の範囲が特に好ましい。回転比がこの範囲であれば、動力を効率的に用いて、ロールを回転させることができ、しかもマスターバッチ組成物中の着色剤の分散性も良好となる。
加熱ロールおよび冷却ロールは、各ロール内に熱媒体を流通させることにより加熱および冷却され、圧縮、溶融、均質化および分散の各部毎にゾーンコントロールされている。このような加熱・冷却機構の場合、加熱ロールおよび冷却ロールの供給側の設定温度は、各ロール内部の熱媒体の温度により設定される。
このような樹脂としては、ポリスチレン、ポリp−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアマイド、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられ、これらの中でも、得られるトナー特性の点で、ポリエステル(不飽和ポリエステル樹脂を含む)が好ましい。また、これらの樹脂は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
このような着色剤としては、有機顔料、無機顔料、金属からなる顔料のいずれでもよく、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラックなどの黒色着色剤;黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタン黄、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ピグメントイエロー、ベンジジンイエロー、パーマネントイエロー、アンスラピリミジンイエローなどの黄色着色剤;ベンガラ、パーマネントレッド、ファイヤーレッド、ブリリアントカーミン、ライトファスレッドトーナー、パーマネントカーミン、ピラゾロンレッド、ボルドー、ヘリオボルドー、ローダミンレーキ、チオインジゴレッド、チオインジゴマルーンなどの赤色着色剤;コバルトブルー、セルリアンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー、インジゴなどの青色着色剤が挙げられる。
着色剤の平均粒子径は、十数〜数百nm程度である。
また、希釈混練条件は、用いる材料や装置などの条件により、適宜設定すればよい。
帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、ピリジニウム塩、アンモニウム塩、およびこれらのレーキ化合物などが挙げられる。
離型剤としては、モンタン酸エステルワックスなどの天然ワックス、高圧法ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系ワックス、シリコーン系ワックスおよびフッ素系ワックスなどが挙げられる。
得られた分級物に、必要に応じて、シリカやアルミナなどの外添剤を添加し、これらの外添剤を分級物(粒子表面)に付着させて、トナーを得る。
なお、以下の説明において、特記しない限り「部」は「重量部」を意味する。
表1に示す処方割合のマスターバッチ原料5kgを計量し、ヘンシェルミキサーで羽根回転数500rpm、処理時間2分間の条件で混合した。
テーブルフィーダーを用いて、得られた混合物を、図1に示す2本ロール型連続混練機に定量供給し、混練を行うことでマスターバッチ組成物を得た。
ロール外径 : 0.16m
ロール長 : 0.56m
加熱ロール(フロントロール)回転数 : 75rpm
ロール回転比 : 1:0.7
ロール間隙 : 0.1mm
原料混合物の供給速度 : 8kg/時
加熱ロール供給側の設定温度(*) : 実施例1〜3および比較例1〜3参照
冷却ロール供給側の設定温度(*) : 実施例1〜3および比較例1〜3参照
*2本ロール型連続混練機における各ロール内部の熱媒体の温度を示す。以下の実施例では、媒体設定温度として表す。
加熱ロール供給側の媒体設定温度を90℃、排出側を50℃、冷却ロール供給側の媒体設定温度を65℃、排出側を15℃に設定し、マスターバッチ混合工程で得られた混合物を上記混練条件で混練して、マスターバッチ組成物を得た。
混練中に、2本ロールの原料供給部分からロール下の受け皿に落下した混合物を秤量し、その混合物の供給量に対する割合から落下率を求めた。
加熱ロール供給側の媒体設定温度を60℃、排出側を50℃、冷却ロール供給側の媒体設定温度を50℃、排出側を15℃に設定し、実施例1と同様にして、マスターバッチ組成物を得、落下率を求めた。
加熱ロール供給側の媒体設定温度を50℃、排出側を50℃、冷却ロール供給側の媒体設定温度を40℃、排出側を15℃に設定し、実施例1と同様にして、マスターバッチ組成物を得、落下率を求めた。
加熱ロール供給側の媒体設定温度を90℃、排出側を50℃、冷却ロール供給側の媒体設定温度を15℃、排出側を15℃に設定し、実施例1と同様にして、マスターバッチ組成物を得、落下率を求めた。
加熱ロール供給側の媒体設定温度を90℃、排出側を50℃、冷却ロール供給側の媒体設定温度を50℃、排出側を15℃に設定し、実施例1と同様にして、マスターバッチ組成物を得、落下率を求めた。
加熱ロール供給側の媒体設定温度を30℃、排出側を30℃、冷却ロール供給側の媒体設定温度を20℃、排出側を15℃に設定し、実施例1と同様にして、マスターバッチ組成物を得、落下率を求めた。
得られた希釈混練物を冷却ベルトで冷却し、φ2mmのスクリーンを有するスピードミルで粗粉砕した。得られた粗粉砕物をI型ジェットミルで粉砕し、さらにエルボージェット分級機にて微粉、粗粉をカットして、平均粒径8.3μmのトナーを得た。トナーの平均粒径を、コールターカウンター(コールター株式会社製、型式:TA−II)で測定した。
まず、錠剤成型器を用いて、得られたトナーサンプルを直径約1.5mm程度の測定用サンプルに成型した。次に、得られた測定用サンプルを誘電体損測定装置の固体用電極内部に装着し、電極を恒温槽の中にプラグインした。誘電体損測定装置の測定モードをゼロバランスモードに設定し、測定周波数(1kHz)に応じてRATIO値を決定し(1×10-9)、平衡操作を行った。このときのコンダクタンス値をR0とした。さらに測定モードを変えてゼロ平衡と同様に平衡操作を行った。このときのキャパシタンスをCX、コンダクタンスをR’とした。得られた測定値を用いて下式によりtanδを求めた。
ε’=CX/C0 (1)
(式中、CXは測定値のキャパシタンスであり、C0は誘電体を空気に置き換えたときの静電容量(幾何学的静電容量)である)
ε”=GX/ωC0 (2)
(式中、ωは角周波数であり、ω=2πf(fは周波数、Hz)で表され、GXはコンダクタンスで、GX=RATIO値×(R’−R0)で表される)
tanδ=ε”/ε’ (3)
式(3)に式(1)および式(2)を代入する。
tanδ=GX/ωCX=RATIO値×(R’−R0)/2πfCX (4)
式(4)に各測定値をそれぞれ代入してtanδを求めた。
R=10A/(GX×tX) (5)
(式中、Aは有効電極面積、tXは測定用サンプルの厚みである)
一般にトナーの体積抵抗値Rが高くなるほど、トナー中の着色剤の分散性が良好になる。
以上の結果をまとめて表3に示す。なお、表中のtanδおよびRはそれぞれ×10-3および×10-9の値を示す。
したがって、加熱ロールにおける供給側の媒体設定温度(Tf)は、(Tm−70)℃≦Tf≦(Tm−20)℃の範囲が適切であり、それらの条件を満たしたときに、供給された原料のロールからの落下量を低減させることができ、トナーの生産性を向上できることがわかる。
また、実施例2、3のマスターバッチを用いて作製したトナーの体積抵抗値は高く、比較的低い温度で混練したトナーは、マスターバッチ中の着色剤の分散性が向上することがわかる。
Claims (1)
- 結着樹脂と該結着樹脂70重量部に対して30重量部の着色剤との混合物を、表面にらせん状の溝を有し、互いに内側方向に回転する加熱ロールおよび冷却ロールを備えた2本ロール型のオープンロール型連続混練機を用いて、
10℃≦Tf−Tr≦25℃、および
(Tm−70)℃≦Tf≦(Tm−20)℃
(式中、Tfは加熱ロールの供給側の設定温度(℃)で50℃≦Tf≦90℃であり、Trは冷却ロールの供給側の設定温度(℃)で40℃≦Tr≦65℃であり、Tmは樹脂の軟化点温度(℃)である)、
加熱ロールおよび冷却ロールの回転比1:1〜1:0.1、ならびに
加熱ロールおよび冷却ロールの間隙0.1〜5mm
を満足する条件で溶融混練してマスターバッチ組成物を得、得られたマスターバッチ組成物を用いてトナーを得ることを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
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