JP3598918B2 - トナー混練装置及びトナー製造方法とそれを用いて製造された電子写真用トナー - Google Patents

トナー混練装置及びトナー製造方法とそれを用いて製造された電子写真用トナー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電印刷法等に用いられるトナーの混練装置及び製造方法とそれを用いて製造されたトナーに関するものであり、特に、乾式によるトナーの混練装置及び製造方法とそれを用いて製造された電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法においては、一般的に光導電性物質を利用し、種々の方法により感光体上に電気的潜像を形成し、ついでその潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙などの被転写材にトナー画像を転写した後、種々の方法で定着を行い画像を形成する方法が知られている。
【0003】
トナーは画像を形成する粉体であるが、画像形成が正確になされるためには、トナー粒子に数多くの機能を持たせる必要がある。例えば、帯電性、搬送性、定着性、着色力、保存性等である。従って、トナーは各種原料の混合物として作製される。
【0004】
乾式トナーの製造方法としては、粉砕法、重合法、カプセル化法等が挙げられるが、一般には粉砕法がその主流を占めている。
【0005】
一般的な粉砕法によるトナーの製造方法としては、被転写材に定着させるための結着樹脂、色を出すための各種着色剤、及び帯電制御剤等の添加物からなる原料を乾式混合し、その後に、その混合粉体を2軸押し出し機、ニーダー、連続式2本ロール型混練装置のような汎用の混練装置にて温度をかけながら、圧縮力、せん断力で溶融混練し、これを冷却固化した後、必要に応じて粗粉砕を行い混練粗砕粉物を作り、その後ジェットミル等の微粉砕装置を用いて、トナーとして適切な粒径まで微粉砕を行う。
【0006】
次に、必要により各種分級機により分級を行い、トナーとしての十分な性能を発揮し得る粒径分布に粒子サイズを揃える。更に、必要に応じて流動性向上剤や滑剤等を乾式混合しトナーとして使用する。
【0007】
ここで、トナーの性能に関する要素の一つとして、帯電量分布がある。帯電量分布は着色剤や帯電制御剤の量によっても左右されるが、着色剤、帯電制御剤の分散具合によつても大きく左右される。
【0008】
トナーにおける各種原料のトナー粒子の分散状態は、粉砕法によるトナーの製造工程においては、ほぼ原料混合工程と混練工程によって決まる。原料混合に使用される装置としては、Vブレンダー、Wコーンのような容器回転型混合機やヘンシェルミキサーのような高速攪拌型混合タイプの混合装置が通常使用され、これらの装置によって調整された混合物である混合粉体をニーダーや2軸押し出し機等により溶融混練する。
【0009】
しかしながら、前述の製造方法で得られた混練物は、結着樹脂中の着色剤と帯電制御剤の分散状態が不十分であるため、帯電量分布が大きく、所望の帯電とは異なる逆極性の帯電を持ったトナーも多く存在し、これらのトナーを用いた印字画像はかぶり等の不具合を生じる。更に、カラートナーにおいては、着色剤の分散が不十分なためOHP用フィルムでの透過率の悪化や、画像のにごりを引き起こす。
【0010】
そこで、最近では結着樹脂への着色剤、帯電制御剤の分散性を向上させるため、前述のニーダーや2軸押し出し機よりも強いせん断力を持った連続式2本ロール型混練装置(連続式2本ロールミルとも呼ばれる)が用いられている。
【0011】
ここで、図4は、この連続式2本ロール型混練装置の概要を示す図であって、図4(a)は装置全体側面図であり、図4(b)はそのロール部分を上から見た図である。
【0012】
図4において、20は連続式2本ロール型混練装置であり、連続式2本ロール型混練装置20には、2本のロールが設けられており、21はバックロール、22はフロントロールを示している。23はトナー原料供給部であり、24は混練物排出部を示す。25はバックロール21、フロントロール22のそれぞれの表面に設けられた螺旋状の溝である。また、26,27はバックロール21、フロントロール22の熱媒供給排出部であり、28,29はロール駆動モーターを示す。
【0013】
また、図4において、連続式2本ロール型混練装置のバックロール21、フロントロール22は、それぞれ内部が中空状になっており、ロール表面の内側にスパイラル状のパイプが配備されている(図示せず)。このスパイラル状のパイプは、フロントロール22では、図4(b)の波線で示されるように、ロールの中心付近からトナー原料供給部23側と混練物排出部24側に1:1で2分割されている。このスパイラル状のパイプには、熱媒供給排出部27,28より蒸気、温水、オイル等の熱媒体、あるいは冷却水等の冷媒体が流される(本発明においては、これらの熱媒体、冷媒体を含めて熱媒と略す)。そして、スパイラル状のパイプに熱媒を供給することによりバックロール21、フロントロール22の各ロールの表面温度を任意にコントロールする構造になっている。また、図4(a)、(b)に示すように、バックロール21、フロントロール22は、いずれも表面に螺旋状の溝25を有した円筒形状である。
【0014】
次に、この図4に示す従来の連続式2本ロール型混練装置を用いた溶融混練工程を説明する。
【0015】
連続式2本ロール型混練装置20のフロントロール22は、図4(b)の波線で示されるように、その中心付近で熱媒が分離された冷却構造を有しており、トナー原料供給部23側付近では、結着樹脂が溶融される温度の熱媒が供給され、混練物排出部24側では、それよりも低い温度の熱媒が供給され、バックロール21、フロントロール22のせん断力を上げて、結着樹脂中への着色剤、帯電制御剤の分散性を向上させる構造になっている。
【0016】
一方、バックロール21はフロントロール22と同様に中心付近で熱媒が分離される冷却構造、或いは冷却構造を分離しない構造になっており、いずれの場合も、フロントロール22の混練物排出部24側の温度よりもさらに低い温度の熱媒が供給され、バックロール21、フロントロール22のせん断力を上げて、結着樹脂中への着色剤、帯電制御剤の分散性を向上させる構造になっている。
【0017】
このような連続式2本ロール型混練装置を用いた混練物は結着樹脂中への着色剤、帯電制御剤の分散状態は良好であり、この混練物を用いて粉砕、分級を行ったトナーの印字特性は良好である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の連続式2本ロール型混練装置を用いた場合、結着樹脂や着色剤等の混合物である混合粉体をこの混練装置に供給した際、混合粉体がロールに巻き付くこと無く落下する量が多く、生産性に劣っていた。これは、混合粉体が連続式2本ロール型混練装置に供給されると、フロントロールの熱で混合粉体中の結着樹脂が溶融し、ローラに付着するものであるが、供給量が多くなると、フロントローラ表面に堆積した上層側の結着樹脂は溶融に到るまでの十分な熱を得ることができす、ローラの回転により下側に移動した際、ローラに付着していない混合物が自重で落下するためである。
【0019】
一方、この落下を防止するために、フロントロールに供給する熱媒温度を上げ、混合物の結着樹脂を十分に溶融させる方法も考えられるが、この方法では混合物の溶融粘度が下がり、それに伴って、せん断力が小さくなり、結着樹脂への着色剤、帯電制御剤の分散性が悪くなる。
【0020】
更に別の解決策として、バックロールに供給する熱媒温度を高くし、フロントロールとバックロールの双方から、混合物の結着樹脂を加熱する方法が考えられるが、この方法によっても、連続式2本ロール型混練装置のせん断力が小さくなり、結着樹脂への着色剤、帯電制御剤の分散性が低下するという問題がある。
【0021】
本発明は、上記従来の問題点を解決するもので、連続式2本ロール型混練装置へ供給した混合物を落下させることなく、且つ結着樹脂中への着色剤、帯電制御剤の分散性を向上させることができるトナー混練装置及びトナー製造方法を提供することを目的とし、上記トナーの製造方法を用いて製造された電子写真用トナーを提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有した混合物を、加熱し、フロントロールとバックロールの回転により溶融混練する連続式2本ロール型のトナー混練装置であって、フロントロールの熱媒領域が混合物の供給側と混練物の排出側に分割されると共に、混合物供給側の熱媒領域と混練物排出側の熱媒領域がロール全長の中心付近で分割され、バックロールの熱媒領域が混合物の供給側と混練物の排出側に分割されると共に、前記混合物供給側の熱媒領域は、ロール全長の30%以下であり、フロントロールの混合物供給側の熱媒領域に供給される熱媒の温度は、結着樹脂のガラス転移点以上で、結着樹脂の軟化点よりも低く、フロントロールの混練物排出側の熱媒領域に供給される熱媒の温度は、結着樹脂のガラス転移点よりも低く、バックロールの混合物供給側の熱媒領域に供給される熱媒の温度は、結着樹脂のガラス転移点以上で、フロントロールの混合物供給側の熱媒領域に供給される熱媒の温度以下であり、バックロールの混練物排出側の熱媒領域に供給される熱媒の温度は、フロントロールの混練物排出側の熱媒領域に供給される熱媒の温度以下である構成としたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載の発明は、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有した混合物を、加熱し、フロントロールとバックロールの回転により溶融混練する連続式2本ロール型のトナー混練装置であって、フロントロールの熱媒領域が混合物の供給側と混練物の排出側に分割されると共に、混合物供給側の熱媒領域と練物排出側の熱媒領域がロール全長の中心付近で分割され、バックロールの熱媒領域が混合物の供給側と混練物の排出側に分割されると共に、混合物供給側の熱媒領域は、ロール全長の30%以下であり、フロントロールの混合物供給側の熱媒領域に供給される熱媒の温度は、結着樹脂のガラス転移点以上で、結着樹脂の軟化点よりも低く、フロントロールの混練物排出側の熱媒領域に供給される熱媒の温度は、結着樹脂のガラス転移点よりも低く、バックロールの混合物供給側の熱媒領域に供給される熱媒の温度は、結着樹脂のガラス転移点以上で、フロントロールの混合物供給側の熱媒領域に供給される熱媒の温度以下であり、バックロールの混練物排出側の熱媒領域に供給される熱媒の温度は、フロントロールの混練物排出側の熱媒領域に供給される熱媒の温度以下である事を特徴とするトナー混練装置であり、供給された混合物を落下させること無く、供給された混合物を溶融混練することができるので、トナー原料のロスがなくなると共に、せん断力を上げて結着樹脂中への着色剤等の分散性を向上させることができる。また、結着樹脂のガラス転移点以上で軟化点よりも低い温度範囲に加熱して、最適粘度で溶融混練を確実に行うと共に、ガラス転移点よりも低い温度で冷却することにより、せん断力を確実に与えられる。そして、その混練物は結着樹脂中への着色剤等の分散状態は良好である。
【0024】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1において、フロントロールの混合物供給側の熱媒領域と混練物排出側の熱媒領域、及び、バックロールの混合物供給側の熱媒領域と混練物排出側の熱媒領域のそれぞれに異なる熱媒が供給される事を特徴とするトナー混練装置であり、温度調整が各ロールの各供給側、排出側で自在に行うことが可能であり、供給された混合物を落下させること無く、供給された混合物を溶融混練することができるので、トナー原料のロスがなくなると共に、せん断力を上げて結着樹脂中への着色剤等の分散性を向上させることができる。そして、その混練物は結着樹脂中への着色剤等の分散状態は良好である。
【0026】
本発明の請求項に記載の発明は、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有した混合物を請求項1,2いずれか1記載のトナー混練装置によって溶融混練し、溶融混練した混練物を粉砕、分級する事を特徴とするトナー製造方法であり、トナー原料のロスがなくなると共に、せん断力を上げて結着樹脂中への着色剤等の分散性を向上させることができるので、その混練物は結着樹脂中への着色剤等の分散状態は良好である。そして、トナー製造工程における歩留まりを向上させることができ、更に帯電量の安定した高品質のトナーを製造することができる。
【0027】
本発明の請求項に記載の発明は、請求項記載のトナー製造方法を用いて製造された電子写真用トナーであり、結着樹脂中への着色剤等の分散状態は良好であるので、帯電量が安定し、かぶり等の印字画像の不具合をなくすことができ、カラートナーにおいては、OHP用フィルムでの透過率の悪化や、画像のにごりを防止することができる。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施の形態における連続式2本ロール型混練装置の概要を示す図であって、図1(a)は装置全体側面図であり、図1(b)はそのロール部分を上から見た概念図である。図2は、本発明の一実施の形態における連続式2本ロール型混練装置のロール断面図である。
【0030】
図1において、100は連続式2本ロール型混練装置であり、連続式2本ロール型混練装置100には、2本のロールが設けられており、1はバックロール、2はフロントロールを示している。また、バックロール1において、4はバックロール供給側、5はバックロール排出側を示しており、フロントロール2において、6はフロントロール供給側、7はフロントロール排出側を示すものである。8,9は、バックロール1の温度調整を行う温調熱媒機であり、8はバックロール供給側温調熱媒機を、9はバックロール排出側温調熱媒機を示す。同様に、フロントロール2において、10はフロントロール供給側温調熱媒機を、11はフロントロール排出側温調熱媒機を示す。12は、バックロール1とフロントロール2のそれぞれの表面に設けられた螺旋状の溝である。さらに、13はトナー原料供給部であり、14は混練物排出部を示す。また、15,16はロール駆動モーターを示す。
【0031】
また、図2に示すように、連続式2本ロール型混練装置のバックロール1、フロントロール2は、それぞれ内部が中空状になっており、ロール表面の内側にスパイラル状のパイプ3が配備されている。このスパイラル状のパイプは、フロントロール2では、ロールの中心付近からフロントロール供給側6とフロントロール排出側7に、ほぼ1:1で2分割されている。これに対してバックロール1では、ロールの中心付近から、ほぼ均等に2分割されているのではなく、バックロール供給側4がロール全長の30%以内の位置で2分割されている。なお、ここで言うロール全長とは、バックロール1とフロントロール2がトナー材料を加熱し、せん断力を与える領域の幅を指す。
【0032】
また、バックロール1において、バックロール供給側:バックロール排出側の分割比は、3:7をバックロール供給側がロール全長に対し占める割合の上限として、1:9〜2:8が好ましく、1.3:8.7〜1.5:8.5が特に好ましい。例えば、ロール全長が1500mmの場合では、約200mm程度であり、ロール全長が800mmの場合では、約120mm程度である。
【0033】
そして、このスパイラル状のパイプ3は、図1に示すようにフロントロール2、バックロール1のいずれにおいても、その両端で、それぞれが温度制御可能な温調熱媒機8〜11と接続されている。従って、これら温調熱媒機に蒸気、温水、オイル等の熱媒体、あるいは冷却水等の冷媒体を供給することにより、バックロール1、フロントロール2の各ロールにおける供給部、排出部のそれぞれの表面温度を4個所で任意にコントロールする構造になっている。また、図1(b)に示すように、バックロール1、フロントロール2は、いずれも表面に螺旋状の溝12を有した円筒形状である。
【0034】
次に、この連続式2本ロール型混練装置を用いた本実施の形態におけるトナー混練方法及びトナー製造方法について説明する。
【0035】
まず、少なくとも結着樹脂、着色剤を含有した原材料を、Vブレンダーのような容器回転型混合機や、ヘンシェルミキサーのような高速攪拌型混合機にて混合し、得られた混合物である混合粉体を図1に示した2本ロール型混練装置100のトナー原料供給部13にスクリューフィーダー等を用いて定量的に連続供給する。
【0036】
次に、フロントロール2のトナー原料供給部13に供給された混合物は、図2に示すように、ロール内中空部のロール表面内側にあるスパイラル状のパイプ3に供給された熱媒による電熱作用により加熱され、結着樹脂が溶融し、フロントロール2の表面に付着する。この時、本発明の連続式2本ロール型混練装置では、フロントロール2の供給側6だけでなく、バックロール1の供給側4によっても加熱されるので、混合物への伝熱量は大きく、結着樹脂は十分に溶融するので、落下することなくフロントロール2へ付着する。よって、混合物の供給量が多くなっても、結着樹脂は十分な熱量をロールから得られるので、従来のようにロール回転と共に自重で混合物の一部が落下するようなことはない。
【0037】
ここで各ロールに供給される熱媒の温度は、次のように設定される。フロントロール2においては、フロントロール供給側6では、結着樹脂のガラス転移点以上で軟化点より低い温度に、フロントロール排出側7では、結着樹脂のガラス転移点よりも低い温度に設定されている。また、バックロール1に供給される熱媒の温度は、バックロール供給側4では、結着樹脂のガラス転移点以上の温度であって、フロントロール供給側6の温度以下であり、好ましくはフロントロール供給側6の温度よりも低く、バックロール排出側5の熱媒の温度は、フロントロール排出側7と同温度以下、好ましくはフロントロール排出側7の温度よりも低い温度に、それぞれ設定される。
【0038】
熱媒の一具体例として、フロントロール2の供給側6、バックロール1の供給側4では蒸気を使用し、フロントロール2の排出側7、バックロール1の排出側5では冷却水を使用すればよい。これら熱媒(熱媒体や冷媒体)は、各温調熱媒機8〜11にて、適切な温度に調整され、各ロールの供給部、排出部に供給される。
【0039】
また、これらの温調熱媒機による温度調整方法としては、例えば工場設備から蒸気や冷却水を導入し、これを各ロールに供給する以前に、温調熱媒機にて熱媒の温度を微調整する方法や、一定温度の熱媒を導入し、温調熱媒機で熱媒を加熱及び/又は冷却し調整する方法、または、これらを組み合わせる方法等のいずれの方法でもよい。さらに、蒸気等の熱媒体を用いることなく、ロール内にヒーター等の加熱手段を設け、冷却水等の冷媒体と併用して、温度調整を行ってもよい。
【0040】
次に、落下することなくフロントロール2に付着した混合物は、図1(b)の矢印で示すように、フロントロール2とバックロール1が互いに内側に回転することで、溶融混練される。
【0041】
即ち、トナー原料供給部13に供給された混合物は、フロントロール2の供給側6とバックロール1の供給側4に供給された熱媒による電熱作用により加熱され、結着樹脂が溶融してフロントロール2の表面に付着し、フロントロール2及びバックロール1の回転により巻き込まれる。
【0042】
そして、図1(a)、(b)で示されるバックロール1及びフロントロール2の表面に設けられた螺旋状の溝12のスクリュー効果によって、ロールに付着した状態で、軸方向(図1(b)中、左から右方向)に移送される。
【0043】
この溶融付着物が移送されて、熱媒領域が切り替わる地点である、バックロール1の供給側4から排出側5へ到達すると、バックロール1の排出側5は、供給側4及びフロントロール2の供給側6より低温に設定されているので、溶融付着物は一部冷却され、両ロール1,2間の間隙部で急激な圧縮力と、ローラ回転のせん断力を受けて混練されながら、混練物として、さらに混練物排出部14へと移送される。この様にしてロール1,2間にて繰り返し圧縮、せん断を連続的に受けながら混練物は移送される。この時、繰り返し圧縮、せん断を連続的に受け続けると、溶融混練物は、繰り返しの圧縮、せん断力により発熱して、著しい粘度低下を起こし、その結果、圧縮力とせん断力が効率的に与えられなくなるが、フロントロール2の中央部まで到達すると、フロントロール2の排出側7では、供給側6より低温に設定されており、溶融混練物は冷却されるので、その粘度低下が抑制されて、効率的な混練が可能となる。同時に、バックロール排出側5も低温に設定されているので、混練物の粘度低下を抑制し、強い圧縮力とせん断力を与えることができ、結着樹脂に対する着色剤等の分散性向上に寄与している。従って、バックロール1における、結着樹脂のガラス転移点以下に加熱し混合物を落下防止する部分、即ちバックロール供給側4は、極力トナー原料が供給される部分、即ちトナー原料供給部13と等しい領域とし、低温に設定されるバックロール排出側5をできるだけ長く取ることが、分散性向上につながる。
【0044】
ここで、連続式2本ロール型混練装置の運転条件について説明する。ロールの回転速度は強いせん断力を持つために50rpm以上で、極度の発熱や結着樹脂の分子鎖を切断しないために150rpm以下が好ましい。更に、混練物を連続的に排出するためには、混練物排出部14付近で混練物をフロントロール2に付着させておく必要があるので、フロントロール2の回転数は、バックロール1の回転数と同等以上が必要である。
【0045】
そして、この様にして得られた混練物を冷却後、カッターミル等で粗粉砕し、その後ジェットミル粉砕機にて微粉砕し、気流式分級機等の分級機で粗粉及び微粉を適宜取り除き、所望の粒径として、更に必要に応じて添加剤を外部添加する外添工程を経て、完成したトナーが得られる。
【0046】
次に、本発明のトナー混練装置及びトナー製造方法に用いるトナー材料について説明する。本発明のトナーにおいては、少なくとも結着樹脂、着色剤から構成され、それ以外には帯電制御剤、各種添加剤等を含有する事ができる。
【0047】
まず、結着樹脂としては、以下のような樹脂を用いることができる。
【0048】
ポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオール樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、フェノール系樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、マレイン酸系樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、アクリルフタレート樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート、フッ素系樹脂、脂肪族または脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、変性ロジン、パラフィン、天然ワックス類、合成ワックス類等が挙げられ、これらの樹脂を単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0049】
さらに例示すれば、スチレン、クロルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のアクリル酸アルキルエステル類やメタクリル酸アルキルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
【0050】
その代表例として、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のスチレン系共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体等のエチレン系共重合体、ポリプロピレンを挙げることができる。
【0051】
これらの単独重合体または共重合体を単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0052】
以上の結着樹脂のなかでも、ポリエステル樹脂は、シャープな溶融適正を有しており、定着性が良好である。また、トナーとしての発色性、耐久性の向上を図る事が可能であり、特に好ましい。
【0053】
また、ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、10000以上20000以下であることが好ましい。即ち、10000未満では、トナー定着工程において、トナーがその定着ローラに転移するいわゆるオフセット現象を生じてしまうという問題があり、20000より大きいと溶融適正が悪くなり、定着不良を生じると言う問題があり、好ましくない。
【0054】
さらに、本発明に用いられる着色剤としては、有機、無機の任意の顔料或いは染料が用いられる。
【0055】
顔料としては、ジスアゾ系顔料、不溶性アゾ系顔料、アゾレーキ顔料、銅フタロシアニン系顔料等の顔料が使用可能であり、染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料塩基性染料、油溶性染料等の染料が使用可能である。これらの顔料及び染料は、単独或いは2種以上混合して用いることができる。
【0056】
また、顔料としては、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー、ピーコックブルー、ファーストスカイブルー、インダスレンブルー、アニリンブルー、カルコイルブルー、ウルトラマリンブルー、パーマネントレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、ブリリアントカーミン、レーキレッド、ローズベンガル、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンイエロー、ハンザイエロー、パーマネントイエロー、ベンジジンイエロー、ナフトールイエロー、クロムイエロー、キノリンイエロー、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アリザリンレーキ、ベンガラ、ローダミンレーキ、パーマネントオレンジ、ピラゾロンオレンジ、ベンジンオレンジ、マラカイトグリーンオキサレート、キナクリドン、ファストバイオレット、メチルバイオレットレーキ等であり、
銅フタロシアニン及びその誘導体の青色系染顔料として、C.I.ピグメント・ブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15,C.I.ピグメントブルー16、
赤色または紅色顔料としては、C.I.ピグメントレッド5,C.I.ピグメントレッド3,C.I.ピグメントレッド2,C.I.ピグメントレッド6,C.I.ピグメントレッド7,C.I.ピグメントレッド57,C.I.ピグメントレッド122,C.I.ピグメントレッド9,C.I.ピグメントレッド48,C.I.ピグメントレッド48:3,C.I.ピグメントレッド53:1,C.I.ピグメントレッド112,C.I.ピグメントレッド149,C.I.ピグメントレッド170,C.I.ピグメントレッド168,C.I.ピグメントレッド188,C.I.ピグメントレッド194,C.I.ピグメントレッド175,C.I.ピグメントレッド208,C.I.ピグメントレッド187,C.I.ピグメント・レッド57:1,C.I.ピグメント・レッド81,C.I.ピグメント・レッド122,C.I.ピグメント・レッド49:1、
ベンズイミダゾロン系モノアゾ顔料として、C.I.ピグメント・イエロー151,C.I.ピグメント・イエロー154,C.I.ピグメント・イエロー156,C.I.ピグメント・イエロー120,C.I.ピグメント・イエロー175、
アセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料として、C.I.ピグメント・イエロー12,C.I.ピグメント・イエロー13,C.I.ピグメント・イエロー14,C.I.ピグメント・イエロー17,C.I.ピグメント・イエロー83、
イソインドリノン系顔料として、C.I.ピグメント・イエロー110,C.I.ピグメント・イエロー109,C.I.ピグメント・イエロー137,C.I.ピグメント・イエロー173、
アセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料として、C.I.ピグメント・イエロー1,C.I.ピグメント・イエロー3,C.I.ピグメント・イエロー74,C.I.ピグメント・イエロー97,C.I.ピグメント・イエロー98を用いることができる。
【0057】
また、染料としては、C.I.ダイレクトブルー1,C.I.ダイレクトブルー2,C.I.アシッドブルー9,C.I.アシッドブルー15,C.I.ベーシックブルー3,C.I.ベーシックブルー5,C.I.モーダントブルー7,C.I.ダイレクトレッド1,C.I.ダイレクトレッド4,C.I.アシッドレッド1,C.I.ベーシックレッド1,C.I.ベーシックレッド12,C.I.モーダントレッド30,C.I.ソルベントレッド49,C.I.ソルベントレッド52,C.I.ソルベントレッド109,C.I.ソルベントレッド58,C.I.ソルベントレッド8,C.I.ソルベント・イエロー19,C.I.ソルベント・イエロー77,C.I.ソルベント・イエロー79,C.I.ディスパース・イエロー164を用いることができる。
【0058】
次に、帯電制御剤としては、下記の帯電制御剤を使用することができる。
【0059】
負帯電性トナーとしての帯電制御剤は、例えば、サリチル酸またはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体または塩化合物、ベンジル酸またはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体または塩化合物、テトラフェニルボレート、クロム・アゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルト・アゾ錯体染料、ナフトール酸またはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体または塩化合物、長鎖アルキル・カルボン酸塩、長鎖アルキル・スルフォン酸塩等の界面活性剤等である。
【0060】
また、正帯電性トナーとしての帯電制御剤は、セチルトリメチルアンモニウムブロイド、四級アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類の含窒素官能基を有するモノマーを共重合したラジカル重合性共重合体、ニグロシン染料及びその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、四級ホスフォニウム塩、四級ピリジニウム塩、グアニジン塩、アミジン塩等の誘導体等があげられる。
【0061】
また、本発明のトナーには、必要に応じて種々の添加剤を含有することができる。
【0062】
添加剤としては、流動性向上剤、離型剤、滑剤、定着助剤、クリーニング性向上剤、導電性物質、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、オフセット防止剤等があげられる。添加剤は、トナーに要求される種々の特性を満たし、或いは特性を向上させるために添加される。
【0063】
また、これらの添加剤としては、酸化物、複酸化物、無機酸化物、金属酸化物、金属、珪素化合物、炭素、炭素化合物、フラーレン、ホウ素化合物、炭化物、窒化物、セラミックス等があげられ、無機酸化物としては、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化スズ等があげられる。
【0064】
さらに、フッ素樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、ステアリン酸等の高級脂肪酸およびその金属塩であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等、さらに、種々のワックス類を添加してもよい。
【0065】
流動性向上剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物であり、これら無機酸化物の表面は、アミノシラン等の窒素元素含有の置換基を有するシラン化合物、或いはアミノ変性シリコーンオイル等の窒素元素含有の置換基を有するシリコーンオイルで疎水化処理されていることが好ましい。例えば、疎水性シリカをあげることができる。この流動性向上剤は、トナーの表面に外部添加されることが好ましい。
【0066】
離型剤としては、低分子ポリプロピレン、低分子ポリエチレン、或いはマイクロスタリンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、パラフィンワックス等のワックス類があげられる。
【0067】
また、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のワックスは、オフセット防止剤としても機能する。
【0068】
滑剤として、テフロン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン等があげられ、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等は定着助剤として添加することができる。
【0069】
これら添加剤は、必要に応じて単独或いは2種以上添加することができ、目的に応じて、内部添加或いは外部添加される。
【0070】
【実施例】
次に本発明の実施例、比較例により本発明を詳細に説明する。本発明は以下の実施例及び比較例等により、なんら限定されるものではない。
【0071】
本実施例に使用したトナーの処方を下記に示す。
結着樹脂
ポリエステル樹脂 91.0重量部
(ガラス転移点:58℃)
着色剤
C.I.ピグメント・ブルー15:3 4.5重量部
帯電制御剤
第4級アンモニウム塩 4.5重量部
外部添加剤(流動性付与剤)
疎水性シリカ 1.0重量部
(実施例1)
外部添加剤を除いて、上記処方の割合で計量された5kgの原料をヘンシェルミキサーにて羽根回転数1400rpm、処理時間10分の条件で混合し、混合粉体を得た。
【0072】
この混合粉体を図1に示した本発明の連続式2本ロール型の混練装置に供給し混練物を得た。連続式2本ロール型混練装置は、ロール外径140mm、ロール長800mmであり、ロール内側の熱媒用パイプの2分割位置は、フロントロールは供給側より400mm、バックロールは供給側より200mmである。なお、連続式2本ロール型混練装置の運転条件は下記の通りである。
ロール回転数
フロントロールの回転数:60rpm
バックロールの回転数 :50rpm
ロール内熱媒温度
フロントロール:トナー原料供給部側;100℃、混練物排出側;40℃
バックロール :トナー原料供給部側; 90℃、混練物排出側;30℃
トナー原料の供給速度:10kg/時間
得られた混練物は、冷却後φ2mmのスクリーンを有するバンタムミルにて粗粉砕し、I型ジェットミルにて微粉砕し、更にエルボージェット分級機にて微粉、粗粉を取り除き、平均粒径(D50)9.5μmのトナーとした。
【0073】
平均粒径は、コールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて測定した。
【0074】
さらに、このトナー粒子100重量部に対して、疎水性シリカを1重量部添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合付着させ、実施例1のシアントナーを得た。
【0075】
(実施例2)
実施例1と同様の処方にて、ヘンシェルミキサーを用いて実施例1と同様の処理条件にて混合粉体を得た。さらにこの混合粉体を連続式2本ロール型混練装置に供給し、混練した。連続式2本ロール型混練装置は、ロール外径、ロール長、ロール内側の熱媒用パイプの2分割位置も含めて実施例1と同じである。また、連続式2本ロール型混練装置の運転条件は下記の通りである。
ロール回転数
フロントロールの回転数:70rpm
バックロールの回転数 :60rpm
ロール内熱媒温度
フロントロール:トナー原料供給部側;110℃、混練物排出側;40℃
バックロール :トナー原料供給部側;100℃、混練物排出側;30℃
トナー原料の供給速度:10kg/時間
さらに、この混練物を実施例1と同様の工程を経て、実施例2のシアントナーを得た。
【0076】
(比較例1)
用いた連続式2本ロール型混練装置と、その運転条件以外は実施例1,2と同様の処方、方法にてトナー化した。比較例1において、連続式2本ロール型混練装置は、ロール外径140mm、ロール長800mmであり、ロール内側の熱媒用パイプの2分割位置は、フロントロール、バックロールいずれも供給側より400mmであり、連続式2本ロール型混練装置の運転条件は下記の通りである。ロール回転数
フロントロールの回転数:60rpm
バックロールの回転数 :50rpm
ロール内熱媒温度
フロントロール:トナー原料供給部側;100℃、混練物排出側;40℃
バックロール :トナー原料供給部側; 90℃、混練物排出側;30℃
トナー原料の供給速度:10kg/時間
さらに、この混練物を実施例1と同様の工程を経て、比較例1のシアントナーを得た。
【0077】
(比較例2)
用いた連続式2本ロール型混練装置と、その運転条件以外は実施例1,2と同様の処方、方法にてトナー化した。比較例2において、連続式2本ロール型混練装置は、ロール外径140mm、ロール長800mmであり、ロール内側の熱媒用パイプの2分割位置は、フロントロール、バックロールいずれも供給側より400mmであり、連続式2本ロール型混練装置の運転条件は下記の通りである。ロール回転数
フロントロールの回転数:60rpm
バックロールの回転数 :50rpm
ロール内熱媒温度
フロントロール:トナー原料供給部側;100℃、混練物排出側;40℃
バックロール :トナー原料供給部側; 30℃、混練物排出側;30℃
トナー原料の供給速度:10kg/時間
さらに、この混練物を実施例1と同様の工程を経て、比較例2のシアントナーを得た。
【0078】
ここで、実施例1,2及び比較例1,2において、連続式2本ロール型混練装置に混合物を供給した時の混合物落下量を計測した。その経時変化のテスト結果を図3に示す。
【0079】
実施例1,2及び比較例1では、連続式2本ロール型混練装置への供給混練物の落下量は極めて少量であり、良好な結果が得られた。これらと比べて、比較例2では、供給量に対して約30%の混合物が落下し、生産性が著しく劣った。
【0080】
次に、実施例1,2及び比較例1,2のトナーを非磁性一成分現像器に投入し、10000枚の連続印字ライフテストを実施した。
【0081】
このテスト結果を(表1)に示す。
【0082】
【表1】
Figure 0003598918
【0083】
ここで、(表1)の評価項目における評価方法及びその評価基準について説明する。
【0084】
画像濃度安定性は、印字した画像濃度の経時変化を確認するものであり、印字1枚目〜10000枚目の画像濃度をマクベス濃度計(マクベス社製)にて測定する。そして、その濃度変化の差にて評価した。
【0085】
かぶりは、非画像部へのトナー飛翔現象のことであり、非画像部の汚れの程度を目視にて判定した。
【0086】
ベタ追従性は、フルベタ画像を印字した時に、印字方向で画像のカスレが発生していないかどうかを目視にて評価した。
【0087】
全ての評価項目における評価は、○,△,×の三段階評価であり、その評価基準は、○:良好,△:許容できる,×:不良である。
【0088】
ライフテスト結果から、実施例1,2と比較例2で得られたトナーは、画像濃度も安定し、かぶりの低減に加えて、ベタ画像の追従性も良好であった。さらに、非磁性一成分現像器の現像ローラー(トナー搬送ローラー)上のトナー帯電量の安定性も良好である。しかし、比較例1で得られたトナーは、いずれの印字評価項目においても、不十分な結果であった。
【0089】
これら混合物落下量テスト及びトナーライフテスト結果から、実施例1,2によるものが、混合物の落下もなく生産性が高く、またトナーとしても高品質なトナーであることが分かった。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、従来の連続2本ロール型混練装置を用いた場合には、ロール表面温度を上げて供給混合物の落下量を抑えると、結着樹脂に対して着色剤等の分散性が悪く、良好な画像特性が得られず、逆に、良好な画像特性を得るために、着色剤等の分散性を向上させようとすると、供給混合物の落下量が大きくなり、生産性が悪くなると言う欠点を有していたが、本発明においては、供給した混合物を落下させることなく、且つ結着樹脂中への着色剤、帯電制御剤等の分散性を向上させることができるので、原料のロスがなく歩留まりが向上し、低コストで生産性が向上し、高品質なトナーを製造することが可能なトナー混練装置、及びトナー製造方法を提供することができる。また、そのトナー製造方法を用いて製造された、高品質な電子写真用トナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の一実施の形態における連続式2本ロール型混練装置全体側面図
(b)ロール部分を上から見た概念図
【図2】本発明の一実施の形態における連続式2本ロール型混練装置のロール断面図
【図3】混合物落下量経時変化を示すグラフ
【図4】(a)従来の連続式2本ロール型混練装置全体側面図
(b)ロール部分を上から見た図
【符号の説明】
1 バックロール
2 フロントロール
3 スパイラル状のパイプ
4 バックロール供給側
5 バックロール排出側
6 フロントロール供給側
7 フロントロール排出側
8 バックロール供給側温調熱媒機
9 バックロール排出側温調熱媒機
10 フロントロール供給側温調熱媒機
11 フロントロール排出側温調熱媒機
12 螺旋状の溝
13 トナー原料供給部
14 混練物排出部
15 ロール駆動モーター
16 ロール駆動モーター
20 従来の連続式2本ロール型混練装置
21 バックロール
22 フロントロール
23 トナー原料供給部
24 混練物排出部
25 螺旋状の溝
26 熱媒供給排出部
27 熱媒供給排出部
28 ロール駆動モーター
29 ロール駆動モーター
100 連続式2本ロール型混練装置

Claims (4)

  1. 少なくとも結着樹脂と着色剤を含有した混合物を、加熱し、フロントロールとバックロールの回転により溶融混練する連続式2本ロール型のトナー混練装置であって、前記フロントロールの熱媒領域が混合物の供給側と混練物の排出側に分割されると共に、前記混合物供給側の熱媒領域と前記混練物排出側の熱媒領域がロール全長の中心付近で分割され、前記バックロールの熱媒領域が混合物の供給側と混練物の排出側に分割されると共に、前記混合物供給側の熱媒領域は、ロール全長の30%以下であり、
    前記フロントロールの混合物供給側の熱媒領域に供給される熱媒の温度は、前記結着樹脂のガラス転移点以上で、前記結着樹脂の軟化点よりも低く、前記フロントロールの混練物排出側の熱媒領域に供給される熱媒の温度は、前記結着樹脂のガラス転移点よりも低く、前記バックロールの混合物供給側の熱媒領域に供給される熱媒の温度は、前記結着樹脂のガラス転移点以上で、前記フロントロールの混合物供給側の熱媒領域に供給される熱媒の温度以下であり、前記バックロールの混練物排出側の熱媒領域に供給される熱媒の温度は、前記フロントロールの混練物排出側の熱媒領域に供給される熱媒の温度以下である事を特徴とするトナー混練装置。
  2. 前記フロントロールの混合物供給側の熱媒領域と混練物排出側の熱媒領域、及び、前記バックロールの混合物供給側の熱媒領域と混練物排出側の熱媒領域のそれぞれに異なる熱媒が供給される事を特徴とする請求項1記載のトナー混練装置。
  3. 少なくとも結着樹脂と着色剤を含有した混合物を請求項1,2いずれか1記載のトナー混練装置によって溶融混練し、溶融混練した混練物を粉砕、分級する事を特徴とするトナー製造方法。
  4. 請求項記載のトナー製造方法を用いて製造された事を特徴とする電子写真用トナー。
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