JP2004163807A - 非磁性一成分現像用トナーおよび画像形成方法 - Google Patents

非磁性一成分現像用トナーおよび画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】クリーニングブレードのチッピングおよび感光体の磨耗を抑制しながら、カブリ、スジ、ふき残し等のノイズのない画質の良好な画像を長期にわたって形成可能なクリーニング性、帯電性、環境安定性および耐久性に優れた非磁性一成分現像用トナーを提供すること。
【解決手段】静電潜像担持体上の残留トナーを、静電潜像担持体に対する圧接角および圧接力が特定の範囲内で配置されたクリーニングブレードによりクリーニングする画像形成方法で使用される非磁性一成分現像用トナーであって、体積平均粒径、平均円形度、円形度の標準偏差および表面性状が特定範囲内のトナー粒子に、体積平均粒径が1.5〜12μmの脂肪酸金属塩を0.001〜0.1重量%外添混合してなる非磁性一成分現像用トナー。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真、静電印刷等に用いられる非磁性一成分現像用トナーおよび画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年は、形成画像の高画質化や転写性の向上のためにトナーの小径化や球形化を図る技術が開発されている。球形化については懸濁重合法や乳化重合法などによって湿式中で球形トナーを製造する技術(特許文献1)や粉砕トナーを熱処理することによって球形化する技術(特許文献2および特許文献3)が提案されている。
【0003】
しかしながら、トナーの小径化や球形化を図ると、クリーニングブレードと感光体表面とのニップ部において、クリーニングブレードのエッジ部近傍の隙間からの残留トナーのすり抜けが多くなり、クリーニング不良が発生しやすくなる。
そのため、感光体に対するクリーニングブレードの圧接力を大きくして、残留トナーのすり抜けを防止する必要があるが、圧接力を大きくすると、感光体に対するクリーニングブレードに局所的なせん断力がかかり、これによりクリーニングブレードのチッピング(欠け)が発生する。また、感光体が磨耗する。
【0004】
これらの問題を解決するために、脂肪酸金属塩粒子を外添する技術が報告されている。例えば、結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子に、第1成分として個数平均粒径5〜40nmの疎水性シリカまたは疎水性チタニアを0.05〜2.00重量%;第2成分として個数平均粒径20〜160nmの疎水性シリカまたは疎水性チタニア(但し、個数平均粒径は第1成分の個数平均粒径より大きい)を0.05〜2.00重量%;第3成分として個数平均粒径80〜1200nmおよび粒径1500nm以上の粒子の含有割合20個数%以下の無機粒子(但し、個数平均粒径は第2成分の個数平均粒径より大きい)を0.4〜3.5重量%;および第4成分として体積平均粒径1.5〜12μmの脂肪酸金属塩を0.02〜0.25重量%;外添してなる静電潜像現像用トナー(特許文献4)、および少なくとも結着樹脂、着色剤からなる負極帯電性を示すトナー母体と、少なくとも脂肪酸金属塩からなる外添剤とから構成されることを特徴とするトナー(特許文献5)を例示できる。
【0005】
しかしながら、上記トナーを非磁性一成分現像用トナーとして使用すると、脂肪酸金属塩が帯電付与部材(規制部材)に付着し、帯電性能に悪影響を及ぼし、画像濃度の低下やカブリが発生する問題が生じた。帯電性能悪化の問題は、L/L環境(10℃、15%RH)やH/H環境下で連続的に画像形成したときに顕著であった。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−257857号公報
【特許文献2】
特公平4−27897号公報
【特許文献3】
特開平6−317928号公報
【特許文献4】
特開2001−100452号公報(第2頁)
【特許文献5】
特開2002−14488号公報(第2頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、トナー粒子が小径かつ球形であっても、クリーニングブレードのチッピングおよび感光体の磨耗を抑制しながら、カブリ、スジ、ふき残し等のノイズのない画質の良好な画像を長期にわたって形成可能なクリーニング性、帯電性、環境安定性および耐久性に優れた非磁性一成分現像用トナーおよび画像形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は非磁性一成分現像用トナーをトナー担持体により静電潜像担持体と対向する現像領域に搬送する途中において、該トナー担持体の表面に接触して配置された規制部材により現像領域に搬送されるトナーの量を規制し、規制されたトナーを現像領域に搬送し、静電潜像担持体表面に形成された潜像を現像して画像を形成し、画像を転写材に転写後、静電潜像担持体上の残留トナーを、静電潜像担持体に対する圧接角が10〜20°かつ圧接力が20〜50N/mで配置されたクリーニングブレードによりクリーニングする画像形成方法において使用される非磁性一成分現像用トナーであって、体積平均粒径が3〜7μmであり、平均円形度が0.960〜0.995であり、円形度の標準偏差が0.040以下であり、かつ表面性状が以下の条件式を満たすトナー粒子に、体積平均粒径が1.5〜12μmの脂肪酸金属塩を0.001〜0.1重量%外添混合してなる非磁性一成分現像用トナー;
D/d50≧0.40
(式中、D=6/(ρ・S)を表し、ρはトナー粒子の真密度(g/cm)、Sはトナー粒子のBET比表面積(m/g)、d50はトナー粒子の重量平均粒径(μm)を表す)に関する。
【0009】
本発明はまた、非磁性一成分現像用トナーをトナー担持体により静電潜像担持体と対向する現像領域に搬送する途中において、該トナー担持体の表面に接触して配置された規制部材により現像領域に搬送されるトナーの量を規制し、規制されたトナーを現像領域に搬送し、静電潜像担持体表面に形成された潜像を現像して画像を形成し、画像を転写材に転写後、静電潜像担持体上の残留トナーを、静電潜像担持体に対する圧接角が10〜20°かつ圧接力が20〜50N/mで配置されたクリーニングブレードによりクリーニングする画像形成方法であって、非磁性一成分現像用トナーが、体積平均粒径が3〜7μmであり、平均円形度が0.960〜0.995であり、円形度の標準偏差が0.040以下であり、かつ表面性状が以下の条件式を満たすトナー粒子に、体積平均粒径が1.5〜12μmの脂肪酸金属塩を0.001〜0.1重量%外添混合してなる画像形成方法;
D/d50≧0.40
(式中、D=6/(ρ・S)を表し、ρはトナー粒子の真密度(g/cm)、Sはトナー粒子のBET比表面積(m/g)、d50はトナー粒子の重量平均粒径(μm)を表す)に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
(画像形成方法)
本発明の非磁性一成分現像用トナーを使用するのに適した画像形成方法をまず、説明する。かかる画像形成方法では、静電潜像担持体(以下、感光体という)表面に形成された潜像を非磁性一成分現像方法により現像して感光体上に画像を形成し、画像を転写材に転写後、感光体上の残留トナーをクリーニングブレードによりクリーニングする。以下、図1を用いて説明する。図1は本発明の非磁性一成分現像用トナーを使用するのに適した画像形成方法を説明するための感光体10とクリーニングブレード1と現像装置8との概略関係図である。
【0011】
非磁性一成分現像方法においては、非磁性一成分現像用トナー2をトナー担持体3により感光体10と対向する現像領域Y(トナー担持体3と感光体10との間隙)に搬送する途中において、トナー担持体3の表面に接触して配置された規制部材4により現像領域Yに搬送されるトナーの量を規制するとともに、トナーを帯電する。次いで、規制・帯電されたトナー2aを現像領域Yに搬送し、感光体10表面に形成された潜像を現像し、感光体10上に画像5を形成する。
【0012】
感光体上に形成された画像5は転写ローラ7等の転写手段によって転写材6に転写する。転写材6は記録材であってもよいし、または一旦、1またはそれ以上の色の画像を保持するための中間転写体であってもよい。中間転写体が使用される場合、中間転写体に転写された画像は最終的に記録材に転写される。
【0013】
感光体10から転写材6への画像の転写後は、感光体上に残留したトナー2bをクリーニングブレード1によりクリーニングする。クリーニングに際し、クリーニングブレード1は図1に示すように、先端部が感光体10に圧接しており、感光体10上の残留トナー2bを掻き落し、除去する。本発明においてはトナー粒子が比較的小径かつ球形であっても、クリーニングブレードのチッピングおよび感光体の磨耗を抑制しつつ、クリーニングブレード1と感光体10との間からの残留トナーのスリ抜け(ふき残し)を有効に防止できる。クリーニングブレード1は詳しくは、感光体10の回転方向におけるクリーニングブレード1と感光体10との接点Aの下流側に位置するように配置され、感光体10に対する圧接角(θ)が10〜20°かつ圧接力(P)が20〜50N/m、特に20〜45N/mとなるように固定されている。
【0014】
θが20°を超えたり、またはPが50N/mを超えると、感光体磨耗が多くなりすぎ、感光体の寿命が顕著に短くなる。またクリーニングブレードのチッピング(欠け)が起こり、画像上にスジとしてノイズが発生する。θが10°未満であったり、またはPが20N/m未満であると、残留トナーのすり抜けが起こり、クリーニング性低下によるノイズが画像上に発生する。
【0015】
圧接角(θ)は図1において感光体10の接点Aにおける接線Xと変形前のクリーニングブレード1(破線で示す)とのなす角を指す。
圧接力(P)はクリーニングブレード1と感光体10との圧接時においてクリーニングブレード1が感光体10を押圧する感光体中心方向の力を指す。
【0016】
上記画像形成方法の具体例を図2に示すフルカラー画像形成装置を例にあげて説明する。なお、以下のフルカラー画像形成装置は、4つの現像装置A1〜A4と1つの感光体10が使用された4サイクル式であり、感光体が1つであることに伴って、1つのクリーニング装置44が使用されている。クリーニング装置44においてクリーニングブレード1は感光体10に対する圧接角(θ)および圧接力(P)が上記範囲内となるように配置されている。また転写材として中間転写体(中間転写ベルト)が使用され、中間転写体に転写された画像は記録材(シート状記録紙)に転写されるようになっている。
【0017】
図2のフルカラー画像形成装置は4つの現像装置A1〜A4に黄色、マゼンダ色、シアン色、黒色の異なった色彩のトナーを収容する。この4つの現像装置A1〜A4は回転するホルダー40に保持され、ホルダー40により各現像装置A1〜A4の位置を変更させて、各現像装置A1〜A4におけるトナー担持体21を感光体10と対向する位置に順々に導くようになっている。トナー担持体21と感光体10とが対向する現像領域においては、トナー担持体21と感光体10とがそれぞれ下方から上方に移動するようになっている。
【0018】
このようなフルカラー画像形成装置によってフルカラー画像を形成するにあたっては、例えば、先ず黄色のトナーが収容された第1の現像装置A1におけるトナー担持体21を感光体10と対向するように位置させ、感光体10を回転させて、感光体10の表面を帯電装置41によって一様に帯電させる。このように帯電された感光体10に対して露光装置42により画像信号に従った露光を行って、この感光体10の表面に静電潜像を形成する。
【0019】
次いで、このように静電潜像が形成された感光体10と第1の現像装置A1におけるトナー担持体21とが対向する現像領域において、トナー担持体21と感光体10とをそれぞれ下方から上方に移動させる。このとき、トナー担持体21から黄色のトナーを感光体10に形成された静電潜像部分に供給して、感光体10に静電潜像に対応した黄色のトナー像を形成する。
【0020】
そして、このように感光体10に形成された黄色のトナー像を、感光体10の上方において架け渡された無端ベルト状になった中間転写体43に転写させる。
一方で、転写後における感光体10に残留している黄色のトナーをクリーニング装置44のクリーニングブレード1によって感光体10から除去する。
【0021】
次に、上記のホルダー40を回転させて、マゼンダ色のトナーが収容された第2の現像装置A2におけるトナー担持体21を感光体10と対向するように位置させる。上記の第1の現像装置A1の場合と同様にして、感光体10の表面にマゼンダ色のトナー像を形成し、このマゼンダ色のトナー像を黄色のトナー像が転写された上記の中間転写体43に転写させる。一方で、転写後における感光体10に残留しているマゼンダ色のトナーをクリーニング装置44のクリーニングブレード1によって感光体10から除去する。
【0022】
そして、同様の操作を行って、シアン色のトナーが収容された第3の現像装置A3により感光体10の表面にシアン色のトナー像を形成し、このシアン色のトナー像を上記の中間転写体43に転写させる。次いで、黒色のトナーが収容された第4の現像装置A4により感光体10の表面に黒色のトナー像を形成し、この黒色のトナー像を上記の中間転写体43に転写させる。このように中間転写体43上に黄色、マゼンダ色、シアン色、黒色の各トナー像を転写させてフルカラーのトナー像を得る。
【0023】
そして、このフルカラー画像形成装置の下部に設けられた用紙カセット45から記録シート46を、送りローラ47によって中間転写体43と転写ローラ48とが対向する部分に導き、中間転写体43に形成されたフルカラーのトナー像をこの記録シート46に転写させる。このように記録シート46上に転写されたフルカラーのトナー像は定着装置49により記録シート46に定着されて排紙される。一方で、転写されずに中間転写体43に残ったトナーは中間転写体用クリーニング装置50によって中間転写体43から除去するようにしている。
【0024】
前記画像形成方法の別の具体例を図3に示すフルカラー画像形成装置を例にあげて説明する。なお、以下のフルカラー画像形成装置は、4つの現像装置A1〜A4と4つの感光体10が使用されたタンデム式であり、感光体が4つであることに伴って、4つのクリーニング装置44が使用されている。各クリーニング装置44においてクリーニングブレード1は感光体10に対する圧接角(θ)および圧接力(P)が前記記範囲内となるように配置されている。また転写材として中間転写体(中間転写ベルト)が使用され、中間転写体に転写された画像は記録材(シート状記録紙)に転写されるようになっている。
【0025】
図3のフルカラー画像形成装置は4つの現像装置A1〜A4に黄色、マゼンダ色、シアン色、黒色の異なった色彩のトナーを収容する。この4つの現像装置A1〜A4はフルカラー画像形成装置内に並列に配置され、各現像装置A1〜A4におけるトナー担持体21と対向するようにしてそれぞれ感光体10を設けている。また、感光体10を基準にして現像装置A1〜A4と反対側の位置に無端ベルト状になった中間転写体43を設け、この中間転写体43が各感光体10と接触するようにしている。
【0026】
このようなフルカラー画像形成装置によってフルカラー画像を形成するにあたっては、まず、黄色のトナーが収容された第1の現像装置A1のトナー担持体21と対向する感光体10を回転させて、この感光体10の表面を帯電装置41によって一様に帯電させ、このように帯電された感光体10に対して露光装置42により画像信号に従った露光を行って、この感光体10の表面に静電潜像を形成する。このように静電潜像が形成された感光体10と第1の現像装置A1におけるトナー担持体21とが対向する現像領域において、トナー担持体21から黄色のトナーを感光体10に形成された静電潜像部分に供給して、感光体10に静電潜像に対応した黄色のトナー像を形成する。そして、このように感光体10に形成された黄色のトナー像を、上記の中間転写体43に転写させる。一方で、転写後における感光体10に残留している黄色のトナーをクリーニング装置44のクリーニングブレード1によって感光体10から除去する。
【0027】
次いで、第2〜第4の現像装置A2〜A4においても、上記の第1の現像装置A1おいてと同様にして、中間転写体43上にマゼンダ色、シアン色、黒色のトナー像を順々に転写(形成)し、中間転写体43上にフルカラーのトナー像を形成する。その後は、上記の4サイクル式フルカラー画像形成装置と同様にして、フルカラーのトナー像を記録シート46に転写し、記録シート46上に転写されたフルカラーのトナー像を定着装置49により記録シート46に定着させて排紙させる。
【0028】
(非磁性一成分現像用トナー)
本発明の非磁性一成分現像用トナーは特定のトナー粒子に少なくとも脂肪酸金属塩粒子を外添混合してなる。本明細書中、「外添」とは予め得られたトナー粒子に、その外部に存在させるべく添加することをいう。
【0029】
本発明において脂肪酸金属塩(SCP)は体積平均粒径が1.5〜12μm、好ましくは2〜10μm、より好ましくは3〜7μmであり、トナー粒子に対して比較的少ない割合、すなわち0.001〜0.1重量%、好ましくは0.001〜0.08重量%、より好ましくは0.005〜0.015重量%の割合で外添される。本発明においてはこのような脂肪酸金属塩の添加条件を、前記のクリーニング条件および後述のトナー粒子条件と組み合わせて採用することにより、脂肪酸金属塩の優れた潤滑作用が得られる。すなわち本発明において脂肪酸金属塩は、上記添加条件ならびに前記クリーニング条件および後述のトナー粒子条件で使用されることにより、感光体表面に潤滑性の皮膜を有効に付与して、トナーの帯電性を良好に保持しつつ、クリーニングブレードのチッピングや感光体の磨耗の抑制と、ふき残し等の画像上のノイズに関する優れたクリーニング性とを両立させ得る。例えば、トナー粒子条件および/またはクリーニング条件が所定の範囲にないとき、脂肪酸金属塩の外添量を上記のように少なくすると、良好な帯電性が得られなかったり、クリーニングブレードのチッピングや感光体の磨耗を抑制できなかったり、ふき残しによる画像上のノイズが発生する。このとき感光体の磨耗等の抑制と優れたクリーニング性とを両立するために脂肪酸金属塩の外添量を増加させると、帯電性がさらに悪化し、画像濃度が低下したり、画像上にカブリが発生する。
【0030】
脂肪酸金属塩の添加量が少なすぎると脂肪酸金属塩の感光体上での潤滑作用が確保できず、感光体磨耗量が多くなりすぎたり、クリーニングブレードのチッピングが発生する。添加量が多すぎると、帯電性が悪化し、画像濃度が低下したり、感光体上カブリが発生する。かかる問題は、特にL/L環境(10℃、15%RH)やH/H環境下で連続的に画像形成したときに顕著になる。
脂肪酸金属塩の体積平均粒径が小さすぎると、脂肪酸金属塩がトナー粒子とともに紙上に移動し、感光体上で機能する脂肪酸金属塩の量が著しく減少するため、感光体磨耗量が多くなりすぎたり、クリーニングブレードのチッピングが発生する。またふき残しトナーによるノイズが画像上に現れる。体積平均粒径が大きすぎると、脂肪酸金属塩粒子の数が少なくなるため、脂肪酸金属塩の感光体上での潤滑作用が有効に確保できず、クリーニングブレードのチッピングが発生したり、ふき残しトナーによるノイズが画像上に現れる。
【0031】
本発明において脂肪酸金属塩は上記のような粒径を有し、かつ上記のような割合で使用される限り、その種類は特に制限されない。例えば、一般式;
2n+1COOH(式中、nは12〜18を示す)で表される脂肪酸と金属との塩が挙げられる。金属としては上記脂肪酸と塩を形成できる金属であれば特に制限されず、例えば、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、リチウム等が挙げられる。好ましくはコスト、安全性および潤滑作用の観点からカルシウムが好適である。
【0032】
脂肪酸金属塩は耐熱性および潤滑作用のさらなる向上の観点から、融点が100〜150℃程度のものが良く、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等を用いることが好ましい。融点が100℃より低いとトナーの耐熱性が悪化し、高温環境での保管時に凝集してしまう。150℃より高いと潤滑作用が低減してしまう。ステアリン酸カルシウムとしては直接法で製造されたものと複分解法で製造されたものが知られているが、不純分の少ない直接法で得られたものを粉砕して粒度調整して用いることが好ましい。
【0033】
上記のような脂肪酸金属塩が外添されるトナー粒子は体積平均粒径が3〜7μmであり、平均円形度が0.960〜0.995、好ましくは0.970〜0.990であり、円形度の標準偏差が0.040以下、好ましくは0.01〜0.035であり、かつ表面性状が以下の条件式を満たす;
D/d50≧0.40
好ましくは
0.8≧D/d50≧0.40
より好ましくは
0.7≧D/d50≧0.45
(式中、D=6/(ρ・S)を表し、ρはトナー粒子の真密度(g/cm)、Sはトナー粒子のBET比表面積(m/g)、d50はトナー粒子の重量平均粒径(μm)を表す)。
【0034】
体積平均粒径が小さすぎると、取り扱いが困難になる。体積平均粒径が大きすぎると、所望の帯電性が得られず、カブリ等のノイズが発生する。
平均円形度が小さすぎると、所望の帯電性が得られず、ノイズが発生する。円形度が大きすぎると、製造が困難になり、また製造できたとしても感光体クリーニング時においてクリーニングブレードと感光体との間からすり抜けるトナー粒子が多くなってふき残しによるノイズが発生する。
円形度の標準偏差が大きすぎると、トナー粒子形状がそろっていないために、所望の帯電性が得られず、ノイズが発生する。
表面性状を示すD/d50が小さすぎると、トナー粒子表面および内部に多くの細孔が存在するため、現像器内での混合撹拌によってトナーが割れてトナー微粉が発生し、ブレード固着が起こり、帯電性が悪化する。また流動化剤のトナー粒子への埋め込みが起こる。このため、帯電性が低下し、画像上にカブリが発生する。さらに画像上に中抜けも発生する。
【0035】
本明細書中、トナー粒子の体積平均粒径は「コールターマルチサイザーII」(コールターベックマン社製)により測定された値を用いているが、同様の測定原理、方法で測定されるのであれば前記装置で測定されなければならないということを意味しない。
【0036】
平均円形度とは、次式:
【数1】
Figure 2004163807
により算出される値の平均値であり、「粒子の投影面積に等しい円の周囲長」および「粒子投影像の周囲長」から求められるため、当該値はトナー粒子の形状、すなわち粒子表面の凹凸状態を正確に反映する指標となる。即ち1に近い程、真円に近いことを示している。また、平均円形度はトナー粒子(3000個)の平均値として得られる値であるため、本発明における平均円形度の信頼性は極めて高い。本発明において、平均円形度は「粒子の投影面積に等しい円の周囲長」および「粒子投影像の周囲長」はフロー式粒子像分析装置(EPIA−1000またはEPIA−2000;東亞医用電子株式会社製)を用いて水分散系で測定を行って得られる値をもって示している。しかし上記装置によって測定されなければならないというわけでなく、原理的に上式に基づいて求めることができる装置であればいかなる装置によって測定されてもよい。
【0037】
円形度の標準偏差とは円形度分布における標準偏差を指し、当該値は上記フロー式粒子像分析装置によって平均円形度と同時に得られる。当該値が小さいほどトナー粒子形状がそろっていることを意味する。
【0038】
表面性状を示すD/d50はトナー粒子表面あるいは内部に細孔の存否を示す指標であり、上記値を有するトナー粒子であれば、細孔部を中心にしてトナー粒子が割れたり、凹部に外添剤として加えられる流動化剤であるシリカ等が埋め込まれたり、また凸部が削られて微粉が発生するなどの不都合が生じない。Dはトナー粒子の形状を球と仮定した時のBET比表面積からの換算粒径(μm)であり、6/(ρ・S)で表される。ρはトナー粒子の真密度(g/cm)、Sはトナー粒子のBET比表面積(m/g)、d50はトナー粒子の粒径別相対重量分布の50%相当粒径(重量平均粒径)(μm)を表す。
【0039】
ここで真密度(ρ)は、「空気比較式比重計」(ベックマン社製)により測定された値を用いているが、同様の測定原理、方法で測定されるのであれば前記装置で測定されなければならないということを意味しない。
BET比表面積(S)は、「フローソーブ2300型」(島津製作所社製)で測定された値を用いているが、同様の測定原理、方法で測定されるのであれば前記装置で測定されなければならないということを意味しない。
重量平均粒径(d50)は、「コールターマルチサイザー」(コールターカウンタ社製)により測定された値を用いているが、同様の測定原理、方法で測定されるのであれば前記装置で測定されなければならないということを意味しない。
【0040】
トナー粒子は少なくとも結着樹脂および着色剤からなり、所望によりワックスおよび帯電制御剤をさらに含んでも良い。
【0041】
結着樹脂としては、トナー構成用結着樹脂として使用される熱可塑性樹脂を用いることができる。本発明においては、ガラス転移温度が50〜75℃、軟化点が80〜160℃、数平均分子量が1000〜30000および重量平均分子量/数平均分子量が2〜100である樹脂を用いることが好ましい。特に、フルカラートナー(黒トナーを含む)を目的とするときは、ガラス転移温度50〜75℃、軟化点80〜120℃、数平均分子量2000〜30000および重量平均分子量/数平均分子量が2〜20である樹脂を使用するのがよい。
【0042】
また、オイルレス定着用トナーとしての定着性を向上させ且つ耐オフセット性を向上させるため、あるいは、透光性を必要とするフルカラートナーにおいて画像の光沢性を制御する為に結着樹脂として軟化点の異なる2種類の結着樹脂を使用することが好ましい。詳しくはオイルレス定着用トナーにおいて、定着性を向上させるために軟化点が80〜125℃の第1樹脂を使用し、耐オフセット性を向上させるために軟化点が125〜160℃の第2樹脂を使用する。この場合に第1樹脂の軟化点が80℃より低くなると耐オフセット性が低下したりドットの再現性が低下し、125℃より高いと定着性向上の効果が不十分となる。また第2樹脂の軟化点が125℃より低いと耐オフセット性向上の効果が不十分となり、160℃より高くなると定着性が低下する。このような観点からより好ましい第1樹脂の軟化点は好ましくは95〜120℃、より好ましくは100〜115℃で、第2樹脂の軟化点は好ましくは130〜160℃、より好ましくは135〜155℃である。また第1および第2樹脂のガラス転移点は50〜75℃、好ましくは55〜70℃とすること望ましい。これはガラス転移点が低いとトナーの耐熱性が不十分となり、また高すぎると、粉砕法によってトナー粒子を製造する時の粉砕性が低下し生産効率が低くなるためである。また第2樹脂の軟化点は第1樹脂の軟化点より10℃以上、好ましくは15℃以上高いことが好ましい。
【0043】
第1樹脂と第2樹脂との重量比は8:2〜2:8、好ましくは6:4〜3:7とすることが好ましい。第1樹脂と第2樹脂とをこのような範囲で使用することにより、トナーとして定着時のつぶれによる広がりが小さくドット再現性に優れており、さらに低温定着性に優れ低速および高速の画像形成装置においても優れた定着性を確保することができる。また、両面画像形成時(定着機を2度通過時)にも優れたドット再現性を維持することができる。第1樹脂の割合が上記範囲より少ない場合は、低温定着性が不十分となり幅広い定着性を確保できなくなる。また、第2樹脂の割合が上記範囲より少ない場合は、耐オフセット性が低下するとともに定着時のトナーのつぶれが大きくなりドット再現性が低下する傾向がある。
【0044】
透光性が要求されるフルカラーは従来、分子量分布のシャープなシャープメルトタイプの樹脂が使用され、このような樹脂を使用することにより、光沢のあるピクトリアル画像が再現された。しかしながら、近年、通常のオフィスカラー等においては、光沢度を落とした画像が要求されるケースも出てきている。このような要求に対しては、例えば、樹脂の分子量分布を高分子側に広げることにより達成できる。また、その具体的方策の一つとして分子量の異なる2種以上の樹脂を組み合わせて用いることにより達成でき、最終的に組み合わせてなる樹脂物性が、ガラス転移温度50〜75℃、軟化点80〜120℃、数平均分子量2500〜30000および重量平均分子量/数平均分子量が2〜20であれば好適に使用できる。光沢度を落として使用する場合には、重量平均分子量/数平均分子量の値を4以上に設定し、溶解粘度曲線を傾かせることにより、定着温度に対する光沢度制御領域を広げることが可能となる。
【0045】
結着樹脂の種類としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させることにより得られたポリエステル樹脂が使用可能である。
【0046】
多価アルコール成分のうち2価アルコール成分としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0047】
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0048】
また、多価カルボン酸成分のうち2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物あるいは低級アルキルエステルが挙げられる。
【0049】
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンボール二量体酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0050】
また、本発明においてはポリエステル系樹脂として、ポリエステル樹脂の原料モノマーと、ビニル系樹脂の原料モノマーと、これら両方の樹脂の原料モノマーと反応するモノマーとの混合物を用い、同一容器中でポリエステル樹脂を得る縮重合反応およびスチレン系樹脂を得るラジカル重合反応を並行して行わせて得られた樹脂も好適に使用可能である。なお、両方の樹脂の原料モノマーと反応するモノマーとは、換言すれば縮重合反応およびラジカル重合反応の両反応に使用し得るモノマーである。即ち縮重合反応し得るカルボキシ基とラジカル重合反応し得るビニル基を有するモノマーであり、例えばフマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
ポリエステル樹脂の原料モノマーとしては上述した多価アルコール成分および多価カルボン酸成分が挙げられる。
【0051】
ポリエステル系樹脂を構成し得るビニル系樹脂の原料モノマー(ビニル系モノマー)としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレンまたはスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノオレフィン類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸3−(メチル)ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸3−(メチル)ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリロニトリル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルメチルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルおよびビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0052】
ビニル系樹脂の原料モノマーを重合させる際の重合開始剤としては、油溶性のものと、水溶性ものとがある。油溶性重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
【0053】
また結着樹脂として使用されるビニル系樹脂としては、上記ビニル系モノマーからなるビニル系樹脂が使用できる。ビニル系樹脂のなかでもスチレンまたはスチレン誘導体と、メタクリル酸アルキルエステル類および/またはアクリル酸アルキルエステル類と、不飽和カルボン酸とを共重合させて得られるスチレンアクリル系樹脂が好ましい。
【0054】
その他、特にフルカラートナーにおいては、エポキシ系樹脂も好適に使用できる。本発明で使用されるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物などが好適に使用できる。例えば、エポミックR362、R364、R365、R367、R369(以上 三井石油化学工業社製)、エポトートYD−011、YD−012、YD−014、YD−904、YD−017(以上 東都化成社製)、エピコート1002、1004、1007(以上
シエル化学社製)等、市販のものも使用できる。
【0055】
より好ましい結着樹脂としては、上記特性を有し、かつ酸価が2〜50KOHmg/g、好ましくは3〜30KOHmg/gのポリエステル系樹脂を使用する。このような酸価を有するポリエステル系樹脂を用いることによって、カーボンブラックを含む各種顔料や帯電制御剤の分散性を向上させるとともに、十分な帯電量を有するトナーとすることができる。酸価が2KOHmg/gより小さくなると上述した効果が小さくなる。また酸価が50KOHmg/gより大きくなると環境変動、特に湿度変動に対するトナー帯電量の安定性が損なわれる傾向がある。
【0056】
着色剤としては、公知の顔料及び染料が使用される。例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、銅フタロシアニン、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を挙げることができる。また、黒トナーには、各種カーボンブラック、活性炭、チタンブラックに加えて、着色剤の一部を磁性体と置き換えることができる。このような磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄等、公知の磁性体微粒子が使用可能である。磁性粒子の平均粒径は製造時における分散性を得る意味において、好ましくは1μm以下特に0.5μm以下が好ましい。着色剤の含有量は通常、結着樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部、より好ましくは1〜5重量部である。
【0057】
ワックスとしてはポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、サゾールワックス、モンタン系エステルワックス、フィッシャートロプシュワックス等を挙げることができる。このようにトナーにワックスを含有させる場合は、その含有量は通常、結着樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部である。
【0058】
帯電制御剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属錯体、アゾ系金属化合物のような含金属染料、マレイン酸を単量体成分として含む共重合体の如き高分子酸、第4級アンモニウム塩、ニグロシン等のアジン系染料、カーボンブラック等を添加することができる。
【0059】
上記のようなトナー成分からなるトナー粒子は、前記した平均円形度等のトナー粒子条件を満たす限り、乾式法または湿式法のいずれの方法によって製造されてもよい。
【0060】
トナー粒子を乾式法により製造する場合、上記した結着樹脂、着色剤、その他所望の添加剤を、従来の方法で混合、混練、粉砕、分級し、所望の粒径を有する粒子を得、本発明においては、以上のようにして得られた粒子を瞬間加熱処理する。分級工程は、本発明での瞬間加熱処理を施した後、行っても良い。この際、粉砕工程で使用する粉砕装置として被粉砕粒子を球形化できる粉砕装置を用いることにより、この後で処理する瞬間的熱処理の制御が行いやすくなる為好ましい。このような装置として、イノマイザーシステム(ホソカワミクロン社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)等を挙げることができる。また、分級工程で使用する分級装置として被処理粒子を球形化できる分級装置を用いることにより、円形度等の制御が容易になる。このような分級装置としてティープレックス型分級機(ホソカワ社製)等を挙げることができる。
【0061】
また、本発明で示してなる瞬間加熱処理と組み合わせて各種トナー粒子の表面改質装置における各種処理を行っても良い。これら表面改質装置としては、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンコスモスシリーズ(川崎重工業社製)、イノマイザーシステム(ホソカワミクロン社製)等の高速気流中衝撃法を応用した表面改質装置、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)等の乾式メカノケミカル法を応用した表面改質装置、ティスバーコート(日清エンジニアリング社製)、コートマイザー(フロイント産業社製)の湿式コーティング法を応用した表面改質装置を適宜、組み合わせて使用できる。
【0062】
本発明においては、瞬間的加熱処理を施すことにより、混練−粉砕法で得られるトナー粒子の形状を球状でかつ均一な形状に制御し、さらには、トナー粒子の表面に有する細孔を低減し、平滑性を上げることができる。
【0063】
瞬間的加熱処理の前および/または後には、トナー粒子に各種有機/無機微粒子を添加混合することが好ましい(流動化処理)。
無機の微粒子としては、炭化けい素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化タングステン、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化カルシウム、ダイヤモンドカーボンラクタム等の各種炭化物、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム等の各種窒化物、ホウ化ジルコニウム等のホウ化物、酸化物、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、シリカ、コロイダルシリカ等の各種酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム等の各種チタン酸化合物、二硫化モリブデン等の硫化物、フッ化マグネシウム、フッ化炭素等のフッ化物、滑石、ベントナイト等の各種非磁性無機微粒子を単独であるいは組み合わせて用いることができる。特にシリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛等の無機微粒子においては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニス等の従来から使用されている疎水化処理剤、さらにはフッ素系シランカップリング剤、またはフッ素系シリコーンオイル、さらにアミノ基や第4級アンモニウム塩基を有するカップリング剤、変性シリコーンオイル等の処理剤で公知の方法で表面処理されていることが好ましい。
【0064】
有機微粒子としては乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、非水分散重合法等の湿式重合法、気相法等により造粒した、スチレン系、(メタ)アクリル系、ベンゾグアナミン、メラミン、テフロン、シリコン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種有機微粒子を用いることもできる。この有機微粒子はクリーニング助剤としての機能も有する。
【0065】
チタン酸金属塩等の比較的大径の無機微粒子ならびに各種有機微粒子は、疎水化処理してもしなくても良い。これら流動化剤の添加量は、熱処理前の添加量として、トナー粒子100重量部に対して、0.1〜6重量部、好ましくは、0.5〜3重量部添加される。また、熱処理後の外添処理は、トナー粒子100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは、0.5〜3重量部添加されるが、熱処理前と熱処理後で適宜添加量を調整して使用することが好ましい。
【0066】
本発明において使用する瞬間的加熱処理は、熱風中にトナー粒子を圧縮空気により分散噴霧することにより、トナー粒子を熱により表面改質する。その際、後述の熱処理条件(例えば、現像剤供給部、分散ノズルの数、噴出角度、熱風風量、分散風量、吸引風量、分散濃度、処理温度、滞留時間、冷却風温度、および冷却水温度等)を適宜選択することにより、トナー粒子の平均円形度(球形度)とその標準偏差(球形度の均一性)および平滑性(表面性状)を所定の範囲に設定できる。
【0067】
瞬間的加熱処理を行なう装置の概略構成図を図4および図5を用いて説明する。
図4に示す如く、熱風発生装置101にて調製された高温高圧エアー(熱風)は導入管102を経て熱風噴射ノズル106より噴射される。一方、トナー粒子105は定量供給器104から所定量の加圧エアーによって導入管102’を経て搬送され、前記熱風噴射ノズル106の周囲に設けられた試料噴射室107へ送り込まれる。
【0068】
試料噴射室107は、図5に示す如く、中空のドーナツ形状をしており、その内壁には複数の試料噴射ノズル103が等間隔に配置されている。試料噴射室107へ送り込まれたトナー粒子は、噴射室107で拡散して均等に分散した状態となり、引き続き送り込まれてくるエアーの圧力によって複数の試料噴射ノズル103から熱風気流中へ噴射される。
【0069】
また、試料噴射ノズル103の噴出流が熱風気流を横切ることがないように試料噴射ノズル103に所要の傾きを設けておくことが好ましい。具体的には、トナー噴出流が熱風気流にある程度沿うように噴射することが好ましく、トナー噴出流と熱風気流の中心領域の流れ方向なす角度が20〜40°、好ましくは25〜35°が好ましい。40°よりも広いとトナー噴出流が熱風気流を横切るように噴射されることになり、他のノズルから噴射されたトナー粒子と衝突してトナー粒子の凝集が発生し、一方、20°よりも狭いと熱風中に取り込まれないトナー粒子が発生し、トナー粒子の形状が不均一となる。
【0070】
また、試料噴射ノズル103は複数本必要であり、少なくとも3本以上、4本以上が好ましい。複数本の試料噴射ノズルを使用することによって熱風気流中へのトナー粒子の均一な分散が可能となり、トナー粒子1つ1つの加熱処理を確実に行うことができる。試料噴射ノズルから噴出された状態としては、噴出時点で広く拡散し、他のトナー粒子と衝突することなく熱風気流全体へ分散されることが望ましい。
【0071】
このようにして噴射されたトナー粒子は高温の熱風と瞬間的に接触して均質に加熱処理される。ここで瞬間的とは、処理温度並びにトナー粒子の熱風気流中での濃度により異なるが、必要なトナー粒子の改質(加熱処理)が達成され、かつトナー粒子同士の凝集が発生しない時間であり、通常2秒以下、好ましくは1秒以下がよい。この瞬間的時間は、トナー粒子が試料噴射ノズルから噴射され、導入管102”に導入されるまでのトナー粒子の滞留時間として表わされる。この滞留時間が2秒を越えると合一粒子が発生しやすくなる。
【0072】
次いで、瞬間加熱されたトナー粒子は直ちに冷却風導入部108から導入される冷風によって冷却され、装置器壁へ付着したり粒子同士凝集したりすることなく導入管102”を経てサイクロン109により捕集され、製品タンク111に貯まる。トナー粒子が捕集された後の搬送エアーはさらにバグフィルター112を通過して微粉が除去された後、ブロアー113を経て大気中へ放出される。なお、サイクロン109は冷却水が流れている冷却ジャケットを設け、トナー粒子の凝集を防止することが好ましい。
【0073】
その他、瞬間的加熱処理を行うに重要な条件としては、熱風風量、分散風量、分散濃度、処理温度、冷却風温度、吸引風量、冷却水温度である。
熱風風量とは、熱風発生装置101により供給される熱風の風量である。この熱風風量は、多くする方が熱処理の均一性、処理能力を向上させる意味で好ましい。
【0074】
分散風量とは、加圧エアーによって、導入管102’に送り込まれる風量のことである。その他の条件にもよるが、この分散風量は、押さえて熱処理した方が、トナー粒子の分散状態が向上、安定する為好ましい。
分散濃度とは、熱処理領域(具体的にはノズル吐出領域)でのトナー粒子の分散濃度をいう。好適な分散濃度はトナー粒子の比重によって異なり、分散濃度を各トナー粒子の比重で割った値が、50〜300g/m、好ましくは、50〜200g/mで処理することが好ましい。
【0075】
処理温度とは、熱処理領域での温度をいう。熱処理領域では中心から外側に向け温度勾配が実状存在するが、この温度分布を低減して処理することが好ましい。装置面からは、スタビライザー等により風を安定化層流状態で供給することが好ましい。分子量分布のシャープな結着樹脂、例えば重量平均分子量/数平均分子量が2〜20を有する結着樹脂を使用してなる非磁性トナーにおいては、結着樹脂のガラス転移点+100℃以上〜ガラス転移点+300℃のピーク温度範囲で処理することが好ましい。より好ましくは結着樹脂のガラス転移点+120℃以上〜ガラス転移点+250℃のピーク温度範囲で処理する。なお、ピーク温度範囲とはトナーが熱風と接触する領域での最高温度をいう。
【0076】
分子量分布の比較的広いタイプの結着樹脂、例えば重量平均分子量/数平均分子量が30〜100を有する結着樹脂を使用してなる非磁性トナーにおいては、結着樹脂のガラス転移温度+100℃以上〜ガラス転移温度+300℃のピーク温度範囲で処理することが好ましい。さらに好ましくは結着樹脂のガラス転移温度+150℃以上〜ガラス転移温度+280℃のピーク温度範囲で処理する。これは、トナー粒子の形状並びに表面の均一性を向上させる為には、結着樹脂の高分子量領域の改質をも達成できるよう高めの処理温度に設定する必要が生じる為である。しかしながら、処理温度を高めに設定すると逆に合一粒子が発生しやすくなる為、熱処理前の流動化処理を多めに設定する、処理時の分散濃度を低めに設定する等のチューニングが必要となる。
【0077】
トナー粒子にワックスを添加すると合一粒子が発生しやすくなる。そのため、熱処理前の流動化処理(特に大粒径成分の流動化剤)を多めに設定する、処理時の分散濃度を低めに設定する等のチューニングが形状並びに形状のバラツキを押さえた均一なトナー粒子を得る上で重要となる。この操作は分子量分布の比較的広いタイプの結着樹脂を使用しているときや、球形度を高めようとして、処理温度を高めに設定するときにより重要となる。
【0078】
冷却風温度とは、冷却風導入部108から導入される冷風の温度である。トナー粒子は瞬間的加熱処理後、トナー粒子の凝集あるいは合一が発生しない温度領域まで瞬時に冷却すべく、冷却風によりガラス転移温度以下の雰囲気下に戻すことが好ましい。この為、冷却風の温度は、25℃以下、好ましくは15℃以下、さらに好ましくは、10℃以下で冷却する。しかしながら、必要以上に温度を下げると条件によっては結露が発生する可能性があり、逆に副作用が生じるので注意が必要である。かかる瞬間的加熱処理では、次に示す装置内の冷却水による冷却と併せて、結着樹脂が溶融状態にある時間が非常に短い為、粒子相互および熱処理装置の器壁への粒子付着がなくなる。この結果、連続生産時の安定性に優れ、製造装置の清掃頻度も極端に少なくでき、また、収率を高く安定的に制御できる。
【0079】
吸引風量はブロアー113により処理されたトナー粒子をサイクロンに搬送する為のエアーをいう。この吸引風量は、多くする方が、トナー粒子の凝集性を低減させる意味で好ましい。
冷却水温度とは、サイクロン109、114ならびに導入管102”に設けられている冷却ジャケット内の冷却水の温度をいう。冷却水温度は、25℃以下、好ましくは15℃以下、さらに好ましくは、10℃以下である。
【0080】
球形度(円形度)が高く、かつ、形状のバラツキを小さく押さえる為には、さらに以下の工夫を施すことが好ましい。
【0081】
▲1▼熱風気流中に供給するトナー粒子量を一定に制御し、脈動等を発生させないこと。このためには;
(i)図4中115で使用されるテーブルフィーダーおよび振動フィーダー等を複数種組み合わせて使用し、定量供給性を高める。テーブルフィーダーおよび振動フィーダーを使用して、精度の高い定量供給を行うことができれば、微粉砕あるいは分級工程を連結し、そのままオンラインで熱処理工程にトナー粒子を供給することも可能となる;
(ii)トナー粒子を圧縮空気で供給後、熱風中に供給する前に、トナー粒子を試料供給室107内で再分散させ、均一性を高める。例えば、二次エアーにより再分散させる、バッファ部を設けてトナー粒子の分散状態を均一化する、または同軸二重管ノズル等で再分散させる等の手段を採用する;
【0082】
▲2▼熱風気流中に噴霧供給した際のトナー粒子の分散濃度を最適化かつ均一に制御すること。このためには;
(i)熱風気流中への供給は、全周方向から均一に、かつ、高分散状態で投入する。より具体的には分散ノズルから供給する場合には、スタビライザ等を有するノズルを使用し、個々のノズルから分散されるトナー粒子の分散均一性を向上させる;
(ii)熱風気流中のトナー粒子の分散濃度を均一化する為、ノズル本数は、前記したように少なくとも3本以上、好ましくは4本以上とできる限り多くし、かつ、全周方向に対して、対称形で配置する。360度全周領域に設けられたスリット部から均一にトナー粒子を供給してもよい;
【0083】
▲3▼すべての粒子に対して、均一な熱エネルギーがかかる様、トナー粒子が処理される領域での熱風の温度分布がなき様制御され、かつ、熱風が層流状態に制御されていること。このためには;
(i)熱風を供給する熱源の温度バラツキを低減すること;
(ii)熱風供給前の直管部分をできる限り長くしたりする。または、熱風供給口付近に熱風を安定化させる為のスタビライザを設けることも好ましい。さらに、図4に例示した装置構成は、開放系であり、そのため外気と接する方向に熱風が拡散する傾向にある為、熱風の供給口を必要に応じて絞っても良い;
【0084】
▲4▼トナー粒子が熱処理中に均一分散状態が保持できるだけの流動化処理がされていること。このためには;
(i)トナー粒子の分散・流動性を確保するため、BET比表面積が100〜350m/g、好ましくは130〜300m/gの無機微粒子(第1無機微粒子)を用いる。この無機微粒子は公知の疎水化剤によって疎水化処理されていることが好ましい。無機微粒子の添加量はトナー粒子100重量部に対して0.1〜6重量部、好ましくは0.3〜3重量部である。
(ii)分散・流動性を向上させる為の混合処理は、トナー粒子表面に均一かつ強く固定化されない付着した状態で存在することが好ましい;
【0085】
▲5▼トナー粒子表面が熱を受けた時点でもトナー粒子表面に各トナー粒子間のスペーサ効果が保持でき軟化しない粒子をトナー粒子表面に存在させること。このためには;
(i)上記▲4▼で示した無機微粒子と比較して大き目の粒径を有し、かつ、処理温度で軟化しない微粒子を添加することが好ましい。トナー粒子表面の本粒子の存在により、熱を受け始めた後においても、トナー粒子表面が完全な樹脂成分のみの表面とはならず、トナー粒子間においてスペーサ効果をもたらし、トナー粒子同士の凝集・合一を防止する;
(ii)このような効果を達成するためには、BET比表面積が10〜100m/g、好ましくは20〜90m/g、より好ましくは20〜80m/gの無機微粒子(第2無機微粒子)を用いる。無機微粒子の添加量はトナー粒子100重量部に対して0.05〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部である。なお、上述した第1無機微粒子と第2無機微粒子とを併用する場合には、両者のBET比表面積の差が30m/g以上、好ましくは50m/g以上となるようにすることが好ましい。
【0086】
▲6▼熱処理品の捕収は、熱を発生させないよう制御されてなること。このためには;
(i)熱処理ならびに冷却されてなる粒子は、配管系(特にアール部分)ならびに通常トナー粒子の捕収で使用されているサイクロンで発生する熱を押さえる為、チラーでの冷却をすることが好ましい。
【0087】
トナー粒子を湿式法により製造する場合、結着樹脂を形成し得るモノマー(例えば、前記のビニル系モノマー等;以下、「重合性単量体」という)中に必要に応じて着色剤、ワックス、帯電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性組成物を、分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌翼を有する反応装置へ移し、撹拌しながら加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、得られた樹脂粒子から分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで、均一で球形のトナー粒子を得ることができる。着色剤、ワックス、帯電制御剤は独立して重合性組成物に添加されてもよいし、または水系媒体中に添加・分散されてもよい。着色剤、ワックス、帯電制御剤を水系媒体中に添加・分散する場合は、重合性組成物を分散させるときに添加してもよいし、または重合反応終了後、樹脂粒子分散液に添加して該粒子と会合または融着させてもよい。
水系媒体とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0088】
重合反応を行うに際しては、反応装置内での媒体の流れを制御することによりトナー粒子の形状を制御することができる。すなわち、反応装置内での媒体の流れを層流として、液滴粒子の衝突を避けることにより、より均一でより球形の粒子が得られる。例えば、図6(B)に示すようなタイプの反応装置が一般的によく使用されている。202は攪拌槽、203は回転軸、204は攪拌翼、209は乱流形成部材である。当該装置においては、攪拌槽202の壁面などに乱流形成部材209を配置することで乱流を形成し、攪拌の効率を増加することがなされている。本発明においては、そのような乱流形成部材209がないこと以外、上記装置と同様の装置(すなわち、図6(A)の装置)を使用して層流状態で重合反応を行うことが好ましい。
【0089】
重合反応は例えば、乳化重合反応または懸濁重合反応であってよく、特に乳化重合反応は多段階で行ってもよい。すなわち、重合性組成物を水系媒体中、シードの存在下または不存在下で乳化重合し、得られた樹脂微粒子分散液と別途調製された水系媒体とを混合した後、さらに別途調製された重合性組成物を混合・撹拌し、乳化重合を行う。このような操作はさらに繰り返し行われても良い。3段階で乳化重合を行なう場合、特にワックスは2段階目の重合性組成物に添加するのがよい。
【0090】
本発明の別の態様では、上記湿式法において、重合性組成物を水系媒体中にナノメーターオーダー(例えば、50〜150nm)の大きさの油滴に分散させて得られた樹脂微粒子を、水系媒体中で会合あるいは融着させてトナー粒子を調製する方法を採用する。得られるトナー粒子の体積平均粒径、平均円形度、円形度の標準偏差および表面性状を制御し易いためである。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、以下の方法が挙げられる。
▲1▼粒径が異なること以外、上記湿式法と同様の方法で得られた樹脂微粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される樹脂微粒子を複数以上会合させる方法;および
▲2▼特に▲1▼の方法において水中にてそれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させる。塩析と同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で粒子を加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止する。さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その着色粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、トナー粒子を形成する。
なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する有機溶媒を加えてもよい。
【0091】
上記▲2▼の方法においては、粒径成長停止後の加熱条件および撹拌条件、ならびに流動乾燥条件を適宜選択することによって、トナー粒子の平均円形度、円形度標準偏差、表面性状を制御できる。例えば、加熱温度を所定範囲内で上げたり、撹拌速度を所定範囲内で大きくしたり、撹拌時間を長くすると、平均円形度は大きくなり、円形度標準偏差は小さくなる。特に加熱温度を上げると、表面はより平滑になりD/d50は大きくなる。
【0092】
着色剤は、製造容易性の観点から、凝集剤を添加することで樹脂微粒子を凝集・融着させる段階で添加することが好ましい。
【0093】
トナー粒子を湿式法で製造するときの好ましい材料を以下に説明する。
(重合性単量体)
重合性単量体としては、疎水性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋性単量体が用いられる。また、下記の様に構造中に酸性極性基を有する単量体又は塩基性極性基を有する単量体を少なくとも1種類含有するのが望ましい。
【0094】
疎水性単量体;
単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
具体的には、モノビニル芳香族系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0095】
ビニル芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0096】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0097】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられ、ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
又、モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0098】
架橋性単量体;
樹脂粒子の特性を改良するために架橋性単量体を添加しても良い。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0099】
(重合開始剤)
ラジカル重合開始剤は、水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。更に、上記ラジカル重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合せレドックス系開始剤とする事が可能である。
【0100】
(連鎖移動剤)
分子量を調整することを目的として、公知の連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基を有する化合物が用いられる。特に、メルカプト基を有する化合物は、加熱定着時の臭気を抑制し、分子量分布がシャープであるトナーが得られ、保存性、定着強度、耐オフセット性に優れることから好ましく用いられる。好ましいものとしては、例えば、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのメルカプト基を有する化合物、ネオペンチルグリコールのメルカプト基を有する化合物、ペンタエリストールのメルカプト基を有する化合物を挙げることができる。
【0101】
(界面活性剤)
前述の重合性単量体を使用して、特にミニエマルジョン重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行うことが好ましい。この際に使用することのできる界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができる。
【0102】
イオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0103】
(凝集剤)
水系媒体中で調製した樹脂微粒子の分散液から、樹脂微粒子を塩析、凝集、融着する工程において、金属塩を凝集剤として好ましく用いることができ、2価または3価の金属塩を凝集剤として用いることが更に好ましい。
【0104】
これら金属塩の具体的な例を以下に示す。1価の金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、2価の金属塩としては、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられ、3価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等が挙げられる。
これらの凝集剤は臨界凝集濃度以上添加することが好ましい。この臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こるときの凝集剤の添加濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著 高分子化学17,601(1960)等に記述されており、これらの記載に従えば、その値を知ることが出来る。又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
【0105】
(着色剤)
本発明のトナーは、上記の複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着して得られるものも好ましい。本発明のトナーを構成する着色剤(複合樹脂粒子との塩析/融着に供される着色剤粒子)としては、各種の無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。
【0106】
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0107】
有機顔料及び染料も従来公知のものを用いることができ、具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
【0108】
(結晶性物質)
本発明のトナーでは、離型機能を有する結晶性物質として、低分子量ポリプロピレンや低分子量ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスとして、三洋化成工業社製のサンワックスE300(軟化点103.5℃,酸価22),サンワックスE250P(軟化点103.5℃,酸価19.5),ビスコール200TS(軟化点140℃,酸価3.5),ビスコール100TS(軟化点140℃,酸価3.5),等や、単官能、多官能エステルワックスとして、ミリスチルアルコール、エチレングリコール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、グルコース、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0109】
以上のような乾式法または湿式法で得られたトナー粒子には、前記の脂肪酸金属塩だけでなく、前記の無機微粒子あるいは有機微粒子等の後処理剤を外添・混合してトナーを得ることが好ましい。後処理剤としては、BET比表面積が1〜350m/gの無機微粒子を用いることが好ましい。
トナーの流動性を向上させる観点からは、後処理用の無機微粒子としてBET比表面積が100〜350m/g、好ましくは130〜300m/gのものを用いる。この無機微粒子は公知の疎水化剤によって疎水化処理されていることが好ましい。この無機微粒子の添加量はトナー粒子に対して0.1〜3重量%、好ましくは0.3〜1重量%である。2種類以上使用する場合はそれらの合計添加量が上記範囲内であればよい。
また、トナーの環境安定性および耐久安定性を向上させる観点からは、後処理用の無機微粒子としてBET比表面積が1〜100m/g、好ましくは5〜90m/g、より好ましくは5〜80m/gのものを用いる。無機微粒子の添加量はトナー粒子に対して0.05〜5重量%、好ましくは0.3〜4重量%である。2種類以上使用する場合はそれらの合計添加量が上記範囲内であればよい。
なお、後処理用の無機微粒子として、流動性向上用の無機微粒子と安定性向上用の無機微粒子とを併用する場合には、両者のBET比表面積の差が30m/g以上、好ましくは50m/g以上となるようにすることが好ましい。
【0110】
【実施例】
実施例中、「部」は「重量部」を意味する。
(ポリエステル樹脂Aの製造例)
温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサーおよび窒素導入管を取り付けたガラス製4つ口フラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよびテレフタル酸をモル比4:6:9に調整して重合開始剤(ジブチル錫オキシド)とともに入れた。これをマントルヒーター中において窒素雰囲気下にて、撹拌加熱しながら加熱することにより反応させた。そして、この反応の進行は、酸価を測定することにより追跡した。所定の酸価に達した時点で反応を終了させて室温まで冷却し、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂を1mm以下に粗砕したものを以下のトナーの製造で用いた。なお、ここで得られたポリエステル樹脂Aの軟化点(Tm)は110.3℃、ガラス転移点(Tg)は68.5℃、酸価は3.3KOHmg/g、水酸価は28.1KOHmg/g、数平均分子量(Mn)は3300、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は4.2であった。
【0111】
(ポリエステル系樹脂B及びCの製造例)
ポリエステル樹脂Aの製造例において表1のモル比でアルコール成分及び酸成分に変更する以外は同等に樹脂B、Cを得た。
【0112】
【表1】
Figure 2004163807
【0113】
(ポリエステル樹脂Dの製造例)
温度計、撹拌器、流下式コンデンサーおよび窒素導入管を取り付けたガラス製4つ口フラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、イソドデセニル無水コハク酸、テレフタル酸およびフマル酸を重量比82:77:16:32:30に調整して重合開始剤であるジブチル錫オキサイドとともに入れた。これをマントルヒーター中で窒素雰囲気下にて、220℃で撹拌しつつ反応させた。得られたポリエステル系樹脂Dの軟化点は110℃、ガラス転移点は60℃、酸価は17.5KOHmg/gであった。
【0114】
(ポリエステル樹脂Eの製造例)
スチレンおよび2−エチルヘキシルアクリレートを重量比17:3.2に調整し、重合開始剤であるジグミルパーオキサイドとともに滴下ロートに入れた。一方、温度計、撹拌器、流下式コンデンサーおよび窒素導入管を取り付けたガラス製4つ口フラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、イソドデセニル無水コハク酸、テレフタル酸、無水1,2,4−ベンゼントリカルボン酸およびアクリル酸を重量比42:11:11:11:8:1に調整して重合開始剤であるジブチル錫オキサイドとともに入れた。これをマントルヒーター中で窒素雰囲気下にて、135℃で撹拌しつつ、滴下ロートよりスチレン等を滴下した後、昇温して230℃で反応させた。得られたポリエステル系樹脂Eの軟化点は150℃、ガラス転移点は62℃、酸価は24.5KOHmg/gであった。
【0115】
トナーの製造
マゼンタマスターバッチ
ポリエステル樹脂A(Tg:68.5℃、Tm:110.3℃) 70重量部
マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド184) 30重量部
上記組成よりなる混合物を加圧ニーダーに仕込み混練りした。得られた混練物を冷却後フェザーミルにより粉砕し顔料マスターバッチを得た。
(トナー粒子A1)
ポリエステル樹脂A 93重量部
上記マスターバッチ 10重量部
サリチル酸亜鉛金属錯体(E84;オリエント化学工業社製) 2重量部
酸化型低分子ポリプロピレン(ビスコールTS200;三洋化成工業社製)
2重量部
【0116】
上記よりなる材料をヘンシェルミキサーで十分混合した後、混合物を2軸押出混練機(PCM−30;池貝鉄工社製)の排出部ノズルの口径を大きくしたもので溶融混練し得られた混練を迅速に冷却した後、フェザーミルで粗粉砕した。その粗粉砕物をジェット粉砕機(IDS;日本ニューマチック工業社製)で粉砕粗分分級したのち、DS分級機(日本ニューマチック工業社製)で微粉分級することにより重量平均粒径6.1μmのトナー粒子を得た。
【0117】
このトナー粒子100重量部に対してBET比表面積225m/g疎水性シリカ(TS−500:キャボジル社製)0.5重量部と、疎水性シリカ(AEROSIL90G:日本アエロジル社製)のヘキサメチレンジシラザン処理品:BET比表面積65m/g、PH6.0(疎水化度65%以上)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで(周速40sec、60秒間)混合した後、図4に示す構成を有する瞬間的加熱装置により以下の条件で熱による表面改質を行いトナー粒子A1(重量平均粒径6.1μm)を得た。
【0118】
(表面改質処理の条件)
現像剤供給部 ; テーブルフィーダー+振動フィーダー
分散ノズル ; 4本(全周に対して、各90度の対称形配置)
噴出角度 ; 30度
熱風風量 ; 800L/min
分散風量 ; 55L/min
吸引風量 ; −1200L/min
分散濃度 ; 100g/m
処理温度 ; 250℃
滞留時間 ; 0.5秒
冷却風温度 ; 15℃
冷却水温度 ; 10℃
【0119】
(トナー粒子A2〜A5)
トナー粒子A1の製法において微粉、分級条件を変え、トナー粒子の重量平均粒径を違える以外、トナー粒子A1の製法と同様にしてトナー粒子A2〜A5を得た。
トナー粒子A2: 重量平均粒径 4.1μm
トナー粒子A3: 重量平均粒径 5.1μm
トナー粒子A4: 重量平均粒径 3.2μm
トナー粒子A5: 重量平均粒径 7.0μm
【0120】
(トナー粒子A6〜A8)
トナー粒子A1の製造例において、重量平均粒径6.1μm、処理温度をそれぞれ200℃、300℃、および220℃に変更する以外は、同様の方法、組成によりトナー粒子A6〜A8を得た。
【0121】
(トナー粒子A9)
ポリエステル樹脂Aの量を100重量部に変更し、顔料マスターバッチをカーボンブラック(モーガルL;キャボット社製)4重量部に変更する以外はトナー粒子A1の製造例と同様の組成方法により、トナー粒子A9を得た。
【0122】
(トナー粒子A10)(オイルレス定着用黒トナー)
ポリエステル樹脂Dを40重量部、ポリエステル樹脂Eを60重量部、ポリエチレンワックス(800P;三井石油化学工業社製;160℃における溶融粘度5400cps;軟化点140℃)2重量部、ポリプロピレンワックス(TS−200;三井化成工業社製;160℃における溶融粘度120cps;軟化点145℃;酸価3.5KOHmg/g)2重量部、酸性カーボンブラック(モーガルL;キャボット社製;pH2.5;平均1次粒径24nm)8重量部および下記式で示される負帯電制御剤2重量部;
【化1】
Figure 2004163807
をヘンシェルミキサーで充分混合し、二軸押出混練機で溶融混練後、冷却しその後、ハンマーミルで粗粉砕しジェット粉砕機で微粉砕した後、分級して重量平均粒径6.3μmのトナー粒子を得た。
【0123】
トナー粒子A1の製造例において、熱処理前の流動化処理の量を疎水性シリカ(TS−500:キャボジル社製)0.6重量部と、疎水性シリカ(AEROSIL 90G;日本アエロジル社製)のヘキサメチレンジシラザン処理品;BET比表面積65m/g,pH6.0,疎水化度65%以上)1.2重量部と増量し、表面改質処理の条件として、処理温度を270℃とする以外はトナー粒子A1の製造と同様にしてトナー粒子A10(重量平均粒径6.3μm)を得た。
【0124】
(トナー粒子A11)
トナー粒子A1の製法においてポリエステル樹脂Bと樹脂Cを20:80の割合でブレンドしたものに変更する以外は同様の組成によりトナー粒子A11(重量平均粒径6.3μm)を得た。
【0125】
(トナー粒子A12)
トナー粒子A11の製法においてポリエステル樹脂Bの量を20重量部、ポリエステル樹脂Cの量を80重量部に変更し、顔料マスターバッチをカーボンブラック(モーガルL;キャボット社製)4重量部に変更する以外は同様の組成によりトナー粒子A12(重量平均粒径6.3μm)を得た。
【0126】
(トナー粒子A13)
トナー粒子A1の製法において微粉分級条件を変え、トナー粒子の重量平均粒径7.3μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100重量部に対して疎水性シリカ(RX200:日本アエロジル社製:BET比表面積140m/g、PH7.0)1.0重量部を添加し、以下の条件で熱による表面改質を行い重量平均粒径7.3μmのトナー粒子A13を得た。
(表面改質処理の条件)
現像剤供給部 ; テーブルフィーダー
分散ノズル ; 2本(全周に対して、対称形配置)
噴出角度 ; 45度
熱風風量 ; 620L/min
分散風量 ; 68L/min
吸引風量 ; −900L/min
分散濃度 ; 150g/m
処理温度 ; 300℃
滞留時間 ; 0.5秒
冷却風温度 ; 30℃
冷却水温度 ; 20℃
【0127】
(トナー粒子A14)
トナー粒子A7の製造例において、処理温度150℃(重量平均粒径6.1μm)に変更する以外は同様の方法、組成によりトナー粒子A14を得た。
(トナー粒子A15)
トナー粒子A5の熱処理前の粒子をトナー粒子A15とした。
【0128】
(トナー粒子B1)(乳化重合法の例)
(第一段重合)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlの反応釜にアニオン系界面活性剤 C1021(OCHCHOSONa 7.08gをイオン交換水3010gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、反応釜内の温度を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9g、t−ドデシルメルカプタン10.0gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を80℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第一段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。
【0129】
(第二段重合)
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸6.2g、t−ドデシルメルカプタン5.6gからなる単量体混合液に、結晶性物質として、WEP−5(日本油脂)98.0gを添加し、80℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
一方、アニオン系界面活性剤(上記式)1.6gをイオン交換水2700mlに溶解させた界面活性剤溶液を82℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記ラテックスを固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)により、前記例示WEP−5の単量体溶液を0.5時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)を調製した。
次いで、この分散液(乳化液)に、重合開始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240mlに溶解させた開始剤溶液と、イオン交換水750mlとを添加し、この系を82℃にて12時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第二段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の樹脂微粒子の分散液)を得た。これを「ラテックス1」とする。
【0130】
(第三段重合)
上記の様にして得られたラテックス1に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル10.0gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第三段重合)を行った後、28℃まで冷却しラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、前記中間層にWEP−5をが含有されている樹脂微粒子の分散液を得た。このラテックスを「ラテックス2」とする。
このラテックス2を構成する樹脂微粒子は、20,000、80,000にピーク分子量を有するものであり、また、この樹脂微粒子の重量平均粒径は130nmであった。
ラテックス2を420.7g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、着色剤分散液1166gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜10.0に調製した。
【0131】
次いで、塩化マグネシウム・6水和物12.1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に84℃まで昇温し、会合粒子の生成(会合時間90分)を行った。その状態で、「コールターカウンター TA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、個数平均粒径が6.1μmになった時点で、塩化ナトリウム80.4gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に熟成処理として液温度98℃にて2時間にわたり加熱攪拌することにより、粒子の融着及び結晶性物質の相分離を継続させた(熟成工程)。
その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、攪拌を停止した。生成した会合粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄を行い、その後、40℃の温風で乾燥することにより、トナー粒子B1を得た。
【0132】
(トナー粒子B2)
会合時間を45分に変更したこと以外、トナー粒子B1の製造方法と同様にしてトナー粒子B2を得た。
(トナー粒子B3)
会合時間を60分に変更したこと以外、トナー粒子B1の製造方法と同様にしてトナー粒子B3を得た。
(トナー粒子B4)
会合時間を30分に変更したこと以外、トナー粒子B1の製造方法と同様にしてトナー粒子B4を得た。
【0133】
(トナー粒子B5)
会合時間を120分に変更したこと以外、トナー粒子B1の製造方法と同様にしてトナー粒子B5を得た。
(トナー粒子B6)
熟成処理温度94℃、熟成処理攪拌時間4時間に変更したこと以外、トナー粒子B1の製造方法と同様にしてトナー粒子B6を得た。
(トナー粒子B7)
熟成処理温度99℃、熟成処理攪拌時間8時間に変更したこと以外、トナー粒子B1の製造方法と同様にしてトナー粒子B7を得た。
(トナー粒子B8)
熟成処理温度94℃、熟成処理攪拌時間5時間に変更したこと以外、トナー粒子B1の製造方法と同様にしてトナー粒子B8を得た。
【0134】
(トナー粒子B9)(懸濁重合法の例)
スチレン=165g、n−ブチルアクリレート=35g、カーボンブラック=10g、ジ−t−ブチルサリチル酸金属化合物=2g、スチレン−メタクリル酸共重合体=8g、パラフィンワックス(mp=70℃)=20gを60℃に加温し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)にて12000rpmで均一に溶解、分散した、これに重合開始剤として2,2′−アゾビス(2,4−バレロニトリル)=10gを加えて溶解させ、重合性単量体組成物を調製した。ついで、イオン交換水710gに0.1M燐酸ナトリウム水溶液450gを加え、TKホモミキサーにて13000rpmで攪拌しながら1.0M塩化カルシウム68gを徐々に加え、燐酸三カルシウムを分散させた懸濁液を調製した。この懸濁液に上記重合性単量体組成物を添加し、TKホモミキサーにて10000rpmで20分間攪拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、75〜95℃にて5〜15時間反応させた。塩酸により燐酸三カルシウムを溶解除去し、次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、ついで濾過、洗浄、乾燥してトナー粒子B9を得た。
【0135】
(トナー粒子B10)
会合時間を130分に変更したこと以外、トナー粒子B1の製造方法と同様にしてトナー粒子B10を得た。
(トナー粒子B11)
熟成処理温度92℃、熟成処理攪拌時間1.5時間に変更したこと以外、トナー粒子B1の製造方法と同様にしてトナー粒子B11を得た。
(トナー粒子B12)
熟成処理温度92℃、熟成処理攪拌時間1時間に変更したこと以外、トナー粒子B5の製造方法と同様にしてトナー粒子B12を得た。
【0136】
(実施例および比較例)
表2〜5に記載のトナー粒子に対して、該表に記載の体積平均粒径を有するステアリン酸カルシウムを表に記載の量で添加し、さらにBET比表面積225m/gの疎水性シリカ(TG−811F;キャボジル社製)1.0重量%、BET比表面積9m/gのチタン酸ストロンチウム粒子1.5重量%およびBET比表面積65m/gのNX90(日本アエロジル社製)1.0重量%を添加し、混合して非磁性一成分現像用トナーを得た。
【0137】
【表2】
Figure 2004163807
【0138】
【表3】
Figure 2004163807
【0139】
【表4】
Figure 2004163807
【0140】
【表5】
Figure 2004163807
【0141】
得られたトナーを、上記表に記載のクリーニング条件(圧接角および圧接力)に設定されたフルカラープリンター(magicolor2200;ミノルタ社製)にセットし、以下の項目について評価した。上記プリンターは図2に示すような構成を有しており、全てのクリーニングブレードが表に記載のクリーニング条件に設定されている。なお、各実施例または比較例の評価においては1種類のトナーが4つの全ての現像装置に搭載されている。
【0142】
(感光体上カブリ)
C/W比20%の画像で7000枚の連続ランニングを行い、感光体上のカブリを目視観察した。なお、C/W比とは画像部の非画像部に対する面積割合を意味する。
○;カブリは発生していなかった;
△;カブリが若干発生していたが、実用上問題のないレベルであった;
×;カブリが発生し、実用上問題があった。
【0143】
(感光体上削れ)
C/W比20%の画像で7000枚の連続ランニングを行った。渦電流式膜厚測定器(HELMUT FISCHER FISCHER社製)により感光体層膜厚を、連続ランニング前後で測定し、感光体10万回転あたりの削れ量を算出して評価した。また連続ランニング後の感光体表面のキズについても目視で評価した。
○;削れ量が5μm未満であり、キズも発生していなかった;
△;削れ量が5μm未満であり、キズが発生していたが、実用上問題のないレベルであった;
×;削れ量が5μm以上であり、キズが発生し実用上問題があった。
【0144】
(ふき残し)
C/W比20%の画像で7000枚の連続ランニングを行った後、先端ベタ画像のトナーふき残し程度を観察した。
○;ふき残しは発生していなかった;
△;ふき残しが若干発生していたが、実用上問題のないレベルであった;
×;ふき残しが発生し、実用上問題があった。
【0145】
(ハーフ画像上スジ)
L/L環境(10℃、15%RH)およびH/H環境(30℃、85%RH)においてC/W比20%の画像で1000枚の連続ランニングを行った後、ハーフ画像上のスジを目視観察した。
○;ハーフ画像上スジは発生していなかった;
△;ハーフ画像上スジが若干発生していたが、実用上問題のないレベルであった;
×;ハーフ画像上スジが発生し、実用上問題があった。
【0146】
(環境安定性)
L/L環境(10℃、15%RH)およびH/H環境(30℃、85%RH)においてC/W比20%の画像で1000枚の連続ランニングを行った後、画像濃度と感光体上のカブリを目視観察した。
○;画像濃度低下およびカブリはいずれも発生していなかった;
△;画像濃度低下および/またはカブリが若干発生していたが、実用上問題のないレベルであった;
×;画像濃度低下および/またはカブリが発生し、実用上問題があった。
【0147】
【表6】
Figure 2004163807
【0148】
【表7】
Figure 2004163807
【0149】
樹脂のガラス転移点Tgの測定は示差走査熱量計(DSC−200:セイコー電子社製)を用いて、リファレンスをアルミナとし、10mgの試料を昇温速度10C/minの条件で20〜160℃の間で測定し、メイン吸熱ピークのショルダー値をガラス転移点とした。
【0150】
樹脂の軟化点Tmの測定はフローテスター(CFT−500:島津製作所社製)を用い、ダイスの細孔(径1mm、長さ1mm)、加圧20kg/cm、昇温速度6℃/minの条件下で1cmの試料を溶融流出させたときの流出開始点から流出終了点の高さの1/2に相当する温度を軟化点とした。
【0151】
数平均分子量、重量平均分子量についてはゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(807−IT型:日本分光工業社製)を用いて測定を行い、カラムを40℃に保ち、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを10kg/cmで流し、測定する試料30mgをテトラヒドロフラン20mlに溶解させ、この溶液0.5mgを上記キャリア溶媒とともに導入して、ポリスチレン換算により求めた。
【0152】
【発明の効果】
本発明の非磁性一成分現像用トナーは、特定のクリーニングブレード条件の画像形成方法において使用されることにより、トナー粒子が小径かつ球形であっても、クリーニングブレードのチッピングおよび感光体の磨耗を抑制しながら、カブリ、スジ、ふき残し等のノイズのない画質の良好な画像を長期にわたって形成可能であり、クリーニング性、帯電性、環境安定性および耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非磁性一成分現像用トナーを使用するのに適した画像形成方法を説明するための感光体とクリーニングブレードと現像装置との概略関係図を示す。
【図2】本発明のトナーを使用するのに適したフルカラー画像形成装置の一例の概略構成図を示す。
【図3】本発明のトナーを使用するのに適したフルカラー画像形成装置の一例の概略構成図を示す。
【図4】本発明のトナーの製造に使用され得る瞬間的加熱処理を行なうための装置の概略構成図を示す。
【図5】図4の装置における試料噴射室の概略水平断面図を示す。
【図6】(A)本発明のトナーの製造に使用され得る反応装置の一例の概略構成図であり、(B)は一般的な反応装置の一例の概略構成図である。
【符号の説明】
1;クリーニングブレード、2;トナー、3;トナー担持体、4;規制部材、5;現像画像、6;転写材、7;転写ローラ、10;感光体。

Claims (4)

  1. 非磁性一成分現像用トナーをトナー担持体により静電潜像担持体と対向する現像領域に搬送する途中において、該トナー担持体の表面に接触して配置された規制部材により現像領域に搬送されるトナーの量を規制し、規制されたトナーを現像領域に搬送し、静電潜像担持体表面に形成された潜像を現像して画像を形成し、画像を転写材に転写後、静電潜像担持体上の残留トナーを、静電潜像担持体に対する圧接角が10〜20°かつ圧接力が20〜50N/mで配置されたクリーニングブレードによりクリーニングする画像形成方法において使用される非磁性一成分現像用トナーであって、体積平均粒径が3〜7μmであり、平均円形度が0.960〜0.995であり、円形度の標準偏差が0.040以下であり、かつ表面性状が以下の条件式を満たすトナー粒子に、体積平均粒径が1.5〜12μmの脂肪酸金属塩を0.001〜0.1重量%外添混合してなる非磁性一成分現像用トナー;
    D/d50≧0.40
    (式中、D=6/(ρ・S)を表し、ρはトナー粒子の真密度(g/cm)、Sはトナー粒子のBET比表面積(m/g)、d50はトナー粒子の重量平均粒径(μm)を表す)。
  2. 脂肪酸金属塩がステアリン酸カルシウムである請求項1に記載の非磁性一成分現像用トナー。
  3. 非磁性一成分現像用トナーをトナー担持体により静電潜像担持体と対向する現像領域に搬送する途中において、該トナー担持体の表面に接触して配置された規制部材により現像領域に搬送されるトナーの量を規制し、規制されたトナーを現像領域に搬送し、静電潜像担持体表面に形成された潜像を現像して画像を形成し、画像を転写材に転写後、静電潜像担持体上の残留トナーを、静電潜像担持体に対する圧接角が10〜20°かつ圧接力が20〜50N/mで配置されたクリーニングブレードによりクリーニングする画像形成方法であって、非磁性一成分現像用トナーが、体積平均粒径が3〜7μmであり、平均円形度が0.960〜0.995であり、円形度の標準偏差が0.040以下であり、かつ表面性状が以下の条件式を満たすトナー粒子に、体積平均粒径が1.5〜12μmの脂肪酸金属塩を0.001〜0.1重量%外添混合してなる画像形成方法;
    D/d50≧0.40
    (式中、D=6/(ρ・S)を表し、ρはトナー粒子の真密度(g/cm)、Sはトナー粒子のBET比表面積(m/g)、d50はトナー粒子の重量平均粒径(μm)を表す)。
  4. 脂肪酸金属塩がステアリン酸カルシウムである請求項3に記載の画像形成方法。
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