JP4150835B2 - 現像剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真、静電印刷等に用いられる静電潜像現像用現像剤に関する。また、本発明は、トナー担持体から、記録体上に直接トナーを飛着させてトナー像を形成する直接記録装置に使用する現像剤(トナーおよびキャリア)に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式、静電印刷等の方式により用いられる静電潜像現像用現像剤は、従来、混練−粉砕法あるいは懸濁重合法により代表される湿式により製造されてなる。さらにこれら方法で得られた粒子の特性を改良するために、現像剤粒子を調製した後、各種方法(機械的衝撃力、熱等)により表面改質してなることが知られている。その中には、瞬間的に熱処理を施すことにより表面改質してなることも知られている。例えば特開平6−317928号公報ないし特開平6−317933号公報には磁性トナーの瞬間加熱処理が開示されている。これら先行文献には処理温度を高く設定すると凝集粒子が発生するとの開示があり、これを対処する方法として、使用する結着樹脂の溶融粘度が、135℃において1×104〜5×105 (Poise)、145℃において3×103〜3×105 (Poise)の物性が好ましいとしている。しかしながら、ここで示されている樹脂物性は、近年要求されている低温定着用/高速システムで使用することが困難であり、さらにフルカラーに要求される樹脂物性を満足させることはできず、汎用性に乏しいものである。
【0003】
また、特開平4−226476号公報には、樹脂粒子と現像剤組成物(カーボンブラック、平均粒径数μmの第4級アンモニウム塩、ポリプロピレン等)を混合処理した後、瞬間加熱処理を行うことにより、溶融付着せしめてなるトナー(非磁性トナー)が開示されている。しかし、この方法では、凝集さらには合一粒子の発生は避けられない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の方法によっても表面の状態を改質でき、現像剤としての性能向上を図ることができた。しかしながら、昨今、複写機、プリンタにおいて、従来以上に高画質化が要求されてきている。この要求を達成するためには、複写機、現像器等のマシン側の改良も必要となるが、それにも増して、現像剤の機能向上を図ることが重要となっている。現像剤の機能向上を達成するためには、現像剤1つ1つの粒子性状のばらつきを押さえると共に、1個の粒子表面の均質性を向上させることが必要となる。この意味において、従来の方法においては、本目的に要求される特性レベルまで到達しておらず、更なる特性向上が要求されていた。
【0005】
すなわち、本発明は、粒子の形状が均一かつ球形に制御されており、さらに粒子表面が無細孔平滑性に優れた均一な表面性状を有する現像剤および該現像剤の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくともバインダ樹脂および着色剤を含有し、瞬間加熱処理により非磁性着色樹脂粒子の表面に無機微粒子が固定された非磁性トナー粒子からなり、このトナー粒子が0.960以上の平均円形度、0.040以下の円形度の標準偏差を有することを特徴とするトナーに関する。
【0007】
本発明により表面の均質性ならびに1個1個の粒子における、ばらつきを低減することにより、トナーにおいては、帯電の立ち上がり特性が向上し、また、帯電量分布のシャープ化が達成できる為、カブリ等のノイズが少なく、画像品位の向上が図れる。さらにこのことにより、選択現像等の現象(特定の粒径・帯電量のトナーから先に消費されていく現象)等が発生せず、耐刷時においても安定的なトナー品質が確保できる。
【0008】
また、キャリアにおいてもトナーを均一に荷電させる機能が向上させ得ることからトナーと同様の改善が図れる。
【0009】
さらに、本発明によってなるトナーを用いれば、現像性、転写性等の効率が上がる為、マシンの設定条件のウィンドウが広がる。キャリアにおいては、帯電性の均一性ならびに現像性の向上さらには、キャリア表面の電気抵抗を均一に上げることができる為、キャリア自身が現像されて発生するノイズであるキャリア現像(ボイド)を押さえることができる。以上のような、各種現像剤に要求される機能を格段に向上させることができる。
【0010】
まず、トナーについて説明する。本発明のトナーは、少なくともバインダー樹脂、および着色剤から構成されている。
【0011】
バインダー樹脂としては、トナー構成用バインダー樹脂として使用される熱可塑性樹脂を用いることができるが、本発明においては、ガラス転移点が50〜75℃、軟化点が80〜160℃、数平均分子量が1000〜30000および重量平均分子量/数平均分子量が2〜100である樹脂を用いることが好ましい。
【0012】
特に、フルカラートナー(黒トナーを含む)を目的とするときは、ガラス転移点50〜75℃、軟化点80〜120℃、数平均分子量2000〜30000および重量平均分子量/数平均分子量が2〜20である樹脂を使用するのがよい。
【0013】
また、オイルレス定着用トナーまたは磁性トナーを目的とするときは、軟化点80〜125℃およびガラス転移点50〜75℃の第1樹脂と、軟化点125〜160℃およびガラス転移点50〜75℃の第2樹脂とからなるバインダ樹脂を使用するのが良い。
【0014】
トナーバインダ樹脂成分としては、酸価2〜50KOHmg/g、好ましくは3〜30KOHmg/gのポリエステル系樹脂が好ましい。このような酸価を有するポリエステル系樹脂を用いることによって、カーボンブラックを含む各種顔料や荷電制御剤の分散性を向上させるとともに、十分な帯電量を有するトナーとすることができる。酸価が2KOHmg/gより小さくなると上述した効果が小さくなり、また酸価が50KOHmg/gより大きくなると環境変動、特に湿度変動に対するトナー帯電量の安定性が損なわれる。
【0015】
ポリエステル系樹脂としては、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させることにより得られたポリエステル樹脂が使用可能である。
【0016】
多価アルコール成分のうち2価アルコール成分としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0017】
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0018】
また、多価カルボン酸成分のうち2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物あるいは低級アルキルエステルが挙げられる。
【0019】
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンボール二量体酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0020】
また、本発明においてはポリエステル系樹脂として、ポリエステル樹脂の原料モノマーと、ビニル系樹脂の原料モノマーと、これら両方の樹脂の原料モノマーと反応するモノマーとの混合物を用い、同一容器中でポリエステル樹脂を得る縮重合反応およびスチレン系樹脂を得るラジカル重合反応を並行して行わせて得られた樹脂も好適に使用可能である。なお、両方の樹脂の原料モノマーと反応するモノマーとは、換言すれば縮重合反応およびラジカル重合反応の両反応に使用し得るモノマーである。即ち縮重合反応し得るカルボキシ基とラジカル重合反応し得るビニル基を有するモノマーであり、例えばフマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
【0021】
ポリエステル樹脂の原料モノマーとしては上述した多価アルコール成分および多価カルボン酸成分が挙げられる。
【0022】
またビニル系樹脂の原料モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレンまたはスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノオレフィン類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸3−(メチル)ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸3−(メチル)ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリロニトリル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルメチルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルおよびビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。ビニル系樹脂の原料モノマーを重合させる際の重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、イソプロピルパーオキシカーボネート、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。
【0023】
また、トナー用バインダ樹脂成分として、上述した原料モノマーからなるビニル系樹脂が使用できる。ビニル系樹脂の中でもスチレンまたはスチレン誘導体と、メタクリル酸アルキルエステル類および/またはアクリル酸アルキルエステル類とを共重合させて得られるスチレンアクリル系樹脂が好ましい。
【0024】
本発明において、特にオイルレス定着用トナーとしての定着性を向上させ且つ耐オフセット性を向上させるため、あるいは、透光性を必要とするフルカラートナーにおいて画像の光沢性を制御する為にバインダ樹脂として軟化点の異なる2種類のバインダ樹脂を使用することが好ましい。オイルレス定着用トナーにおいて定着性を向上させるために軟化点が80〜125℃の第1樹脂を使用し、耐オフセット性を向上させるために軟化点が125〜160℃の第2樹脂を使用する。この場合に第1樹脂の軟化点が80℃より低くなると耐オフセット性が低下したりドットの再現性が低下し、125℃より高いと定着性向上の効果が不十分となる。また第2樹脂の軟化点が125℃より低いと耐オフセット性向上の効果が不十分となり、160℃より高くなると定着性が低下する。このような観点から第1樹脂の軟化点は好ましくは95〜120℃、より好ましくは100〜115℃で、第2樹脂の軟化点は好ましくは130〜160℃、より好ましくは135〜155℃である。また第1および第2樹脂のガラス転移点は50〜75℃、好ましくは55〜70℃とすること望ましい。これはガラス転移点が低いとトナーの耐熱性が不十分となり、また高すぎると製造時の粉砕性が低下し生産効率が低くなるためである。また、第2樹脂の軟化点は第1樹脂の軟化点より10℃以上、好ましくは15℃以上高いことが望ましい。
【0025】
第1樹脂と第2樹脂との重量比は7:3〜2:8、好ましくは6:4〜3:7とすることが好ましい。第1樹脂と第2樹脂とをこのような範囲で使用することにより、トナーとして定着時のつぶれによる広がりが小さくドット再現性に優れており、さらに低温定着性に優れ低速および高速の画像形成装置においても優れた定着性を確保することができる。また、両面画像形成時(定着機を2度通過時)にも優れたドット再現性を維持することができる。第1樹脂の割合が上記範囲より少ない場合は、低温定着性が不十分となり幅広い定着性を確保できなくなる。また、第2樹脂の割合が上記範囲より少ない場合は、耐オフセット性が低下するとともに定着時のトナーのつぶれが大きくなりドット再現性が低下する傾向がある。
【0026】
透光性が要求されるフルカラーは従来、分子量分布のシャープなシャプメルトタイプの樹脂が使用され、このような樹脂を使用することにより、光沢のあるピクトリアル画像が再現された。しかしながら、近年、通常のオフィスカラー等においては、光沢度を落とした画像が要求されるケースも出てきている。このような要求に対しては、例えば、樹脂の分子量分布を高分子側に広げることにより達成できる。また、その具体的方策の一つとして分子量の異なる2種以上組み合わせて用いることにより達成でき、最終的に組み合わせてなる樹脂物性が、ガラス転移温度50〜75℃、軟化点80〜120℃、数平均分子量2500〜30000および重量平均分子量/数平均分子量が2〜20であれば好適に使用できる。光沢度を落として使用する場合には、重量平均分子量/数平均分子量の値を4以上に設定し、溶融粘度曲線を傾かせることにより、定着温度に対する光沢度制御領域を広げることが可能となる。
【0027】
その他、特にフルカラートナーにおいては、エポキシ系樹脂も好適に使用できる。本発明で使用されるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物などが好適に使用できる。例えば、エポミックR362、R364、R365、R367、R369(以上 三井石油化学工業社製)、エポトートYD−011、YD−012、YD−014、YD−904、YD−017(以上 東都化成社製)、エピコート1002、1004、1007(以上シエル化学社製)等、市販のものも使用できる。
【0028】
なお、本発明において樹脂の軟化点はフローテスター(CFT−500:島津製作所社製)を用い、ダイスの細孔(径1mm、長さ1mm)、加圧20kg/cm2、昇温速度6℃/minの条件下で1cm3の試料を溶融流出させたときの流出開始点から流出終了点の高さの1/2に相当する温度を軟化点とした。ガラス転移点は示差走査熱量計(DSC−200:セイコー電子社製)を用いて、リファレンスをアルミナとし、10mgの試料を昇温速度10℃/minの条件で20〜120℃の間で測定し、メイン吸熱ピークのショルダー値をガラス転移点とした。酸価は、10mgの試料をトルエン50mlに溶解し、0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用いて、予め標定されたN/10水酸化カリウム/アルコール溶液で滴定し、N/10水酸化カリウム/アルコール溶液の消費量から算出した値である。また分子量(数平均分子量、重量平均分子量)はゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)法を用いてスチレン換算により算出した値を示している。
【0029】
さらに、本発明のトナーには耐オフセット性等の特性を向上させるためにワックスを含有させてもよい。このようなワックスとしてはポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、サゾールワックス、モンタン系エステルワックス、フィッシャートロプシュワックス等を挙げることができる。このようにトナーにワックスを含有させる場合は、その含有量をバインダー樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部とすることがフィルミング等の問題を生じることなく添加による効果を得る上で好ましい。
【0030】
なお、耐オフセット性向上の観点からポリプロピレンワックスを含有させることが好ましく、またスミア性(自動原稿送り時あるいは両面複写時に片面に既に画像が形成された用紙の紙送りの際にローラで画像が擦られて画像ににじみや汚れ等の画質低下を起こす現象)を向上させる観点からはポリエチレンワックスを含有させることが好ましい。上述した観点から特に好ましいポリプロピレンワックスは160℃における溶融粘度が50〜300cps、軟化点が130〜160℃および酸価が1〜20KOHmg/gであるポリプロピレンワックスであり、また特に好ましいポリエチレンワックスは、160℃における溶融粘度が1000〜8000cpsおよび軟化点が130〜150℃であるポリエチレンワックスである。即ち、上記溶融粘度、軟化点および酸価を有するポリプロピレンワックスは上記バインダー樹脂に対する分散性が優れており、遊離ワックスによる問題を生じることなく耐オフセット性の向上を達成することができる。特にポリエステル樹脂をバインダ樹脂として使用する場合には、酸化型ワックスを使用することが好ましい。
【0031】
酸化型ワックスとしては、ポリオレフィン系の酸化型ワックス、カルナバワックス、モンタワックス、ライスワックス、フィッシャー・トロプシュワックスが挙げられる。
【0032】
ポリオレフィン系ワックスであるポリプロピレン系ワックスとしては、低分子量のポリプロピレンは硬度が小さい為、トナーの流動性を低下させる欠点を持っており、この欠点を改良する為に、カルボン酸または酸無水物で変性したものが好ましい。特に、低分子量ポリプロピレン系樹脂を(メタ)アクリル酸、マレイン酸および無水マレイン酸からなる群より選ばれる1種以上の酸モノマーで変成した変成ポリプロピレン樹脂が好適に使用できる。該変性ポリプロピレンは、例えばポリプロピレン系樹脂に(メタ)アクリル酸、マレイン酸および無水マレイン酸からなる群より選ばれる1種以上の酸モノマーを過酸化物触媒存在下もしくは無触媒下でグラフトあるいは付加反応することにより得られる。変性ポリプロピレンを使用する場合には、酸価が0.5〜30KOHmg/g好ましくは1〜20KOHmg/gである。
【0033】
上記酸化型ポリプロピレンワックスとしては、市販されているものでは、三洋化成工業社製のビスコール200TS(軟化点140℃,酸価3.5),ビスコール100TS(軟化点140℃,酸価3.5),ビスコール110TS(軟化点140℃,酸価3.5)等が使用できる。
【0034】
酸化型ポリエチレンとして市販されているものでは、三洋化成工業社製のサンワックスE300(軟化点103.5℃,酸価22),サンワックスE250P(軟化点103.5℃,酸価19.5),三井石油化学工業社製のハイワックス4053E(軟化点145℃,酸価25),405MP(軟化点128℃,酸価1.0),310MP(軟化点122℃,酸価1.0),320MP(軟化点114℃,酸価1.0),210MP(軟化点118℃,酸価1.0),220MP(軟化点113℃,酸価1.0),220MP(軟化点113℃,酸価1.0),4051E(軟化点120℃,酸価12),4052E(軟化点115℃,酸価20),4202E(軟化点107℃,酸価17),2203A(軟化点111℃,酸価30)等が使用できる。
【0035】
カルナバワックスを使用する場合は、微結晶のものが良く、酸価が0.5〜10KOHmg/g好ましくは1〜6KOHmg/gのものである。
【0036】
モンタンワックスは、一般的に鉱物より精製されたモンタン系エステルワックスを指しカルナバワックス同様微結晶であり、酸価が1〜20好ましくは3〜15である。
【0037】
ライスワックスは米ぬかワックスを空気酸化したものであり、酸価が5〜30KOHmg/gであることが好ましい。
【0038】
フィッャー・トロプシュワックスは、石炭より合成石油を炭化水素合成法により製造する際、副生するワックスで例えばサゾール社製の商品名「サゾールワックス」として市販されているものである。またこれとは別に天然ガスを出発原料とするフィッシャー・トロプシュワックスも低分子量成分が少なくトナーに用いた場合の耐熱性に優れる為、好適に使用できる。
【0039】
フィッシャー・トロプシュワックスの酸価としては、0.5〜30KOHmg/gの物が使用でき、サゾールワックスの中では、特に酸価が3〜30KOHmg/gを有する酸化タイプのもの(商品名、サゾールワックスA1、A2等)が好適に使用できる。また、上記溶融粘度および軟化点を有するポリエチレンワックスも上記バインダー樹脂に対する分散性が優れており、遊離ワックスによる問題を生じることなく定着画像表面の摩擦係数を低減させてスミア性の向上を達成することができる。なお、ワックスの溶融粘度はブルックフィールド型粘度計により測定した。
【0040】
また、フルカラートナー用の着色剤としては、公知の顔料及び染料が使用される。例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレツド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、銅フタロシアニン、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を挙げることができる。また、黒トナーには、各種カーボンブラック、活性炭、チタンブラックに加えて、着色剤の一部または全部を磁性体と置き換えることができる。このような磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄等、公知の磁性体微粒子が使用可能である。磁性粒子の平均粒径は製造時における分散性を得る意味において、好ましくは1μm以下特に0.5μm以下が好ましい。非磁性トナーとしての特性を持たせつつ、飛散防止等のの観点で添加する場合は、その添加量はバインダー樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部、より好ましくは1〜5重量部である。添加量が10重量部を超えるとトナーに対する現像剤担持体(マグネットローラ内蔵)の磁気的拘束力が強くなって現像性が低下する。
【0041】
また、磁性トナーとして使用する場合は、バインダー樹脂100重量部に対して磁性体を20重量部から60重量部が好ましい。添加量が20重量部以下では、トナー飛散が増加する傾向にあり、60重量部を超えるとトナー帯電量が安定的に確保できず、画像品質の低下を引き起こす。
【0042】
本発明のトナーには、目的に応じて帯電制御剤や離型剤等の添加剤を結着樹脂中に添加して用いることができる。例えば、帯電制御剤としては、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属錯体、アゾ系金属化合物のような含金属染料、マレイン酸を単量体成分として含む共重合体の如き高分子酸、第4級アンモニウム塩、ニグロシン等のアジン系染料、カーボンブラック等を添加することができる。本発明のトナーには、必要に応じて磁性粉等を添加するようにしてもよい。
【0043】
本発明のトナーは、上記したバインダー樹脂、着色剤、その他所望の添加剤を、従来の方法で混合、混練、粉砕、分級し、所望の粒径を有する着色樹脂粒子を得、この着色樹脂粒子と後述する無機微粒子とを混合した後、瞬間加熱処理することにより得られる。
【0044】
着色樹脂粒子の平均粒径としては4〜10μm、好ましくは5〜9μmである。この段階で得られる粒子は瞬間熱処理された後でも、その粒径分布はほとんど変わらない。
【0045】
分級工程は、本発明での瞬間加熱処理を施した後、行っても良い。この際、粉砕工程で使用する粉砕装置として被粉砕粒子を球形化できる粉砕装置を用いることにより、この後で処理する瞬間的熱処理の制御が行いやすくなる為好ましい。このような装置として、イノマイザーシステム(ホソカワミクロン社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)等を挙げることができる。また、分級工程で使用する分級装置として被処理粒子を球形化できる分級装置を用いることにより、円形度等の制御が容易になる。このような分級装置としてティープレックス型分級機(ホソカワミクロン社製)等を挙げることができる。
【0046】
また、本発明で示してなる瞬間加熱処理と組み合わせて各種現像剤の表面改質装置における各種処理と組み合わせても良い。これら表面改質装置としては、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンコスモスシステム(川崎重工業社製)、イノマイザーシステム(ホソカワミクロン社製)等の高速気流中衝撃法を応用した表面改質装置、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)等の乾式メカノケミカル法を応用した表面改質装置、ディスパーコート(日清エンジニアリング社製)、コートマイザー(フロイント産業社製)の湿式コーティング法を応用した表面改質装置を適宜、組み合わせて使用できる。
【0047】
本発明においては、着色樹脂微粒子に無機微粒子を混合処理した後、瞬間加熱処理がなされている。このように瞬間加熱処理の前に着色樹脂粒子に無機微粒子を混合処理すること(以下、無機微粒子の前処理と略す)によって、着色樹脂微粒子の流動性が向上し、瞬間加熱処理を行う際の均一分散性が向上する。また、無機微粒子の前処理によって、熱処理の際に着色樹脂微粒子同士が凝集することを防止することができる。
【0048】
上記無機微粒子としては、炭化けい素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化タングステン、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化カルシウム、ダイヤモンドカーボンラクタム等の各種炭化物、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム等の各種窒化物、ホウ化ジルコニウム等のホウ化物、酸化物、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、シリカ、コロイダルシリカ等の各種酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム等の各種チタン酸化合物、二硫化モリブデン等の硫化物、フッ化マグネシウム、フッ化炭素等のフッ化物、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の各種金属石鹸、滑石、ベントナイト等の各種非磁性無機微粒子を単独であるいは組み合わせて用いることができる。このような無機微粒子としてはBET比表面積が10〜350m2/gのものが使用可能である。
【0049】
着色樹脂微粒子の流動性を向上させ、瞬間加熱処理を行う際の均一分散性を向上させる観点からは、前処理用の無機微粒子としてBET比表面積が100〜350m2/g、好ましくは130〜300m2/gのものを用いる。この無機微粒子は公知の疎水化剤によって疎水化処理されていることが好ましい。無機微粒子の添加量は着色樹脂粒子100重量部に対して0.1〜6重量部、好ましくは0.3〜3重量部である。
【0050】
また、着色樹脂粒子が熱を受けた時点でも、各着色樹脂粒子間にスペーサーとして存在し、着色樹脂粒子同士の凝集を防止する観点からは、前処理用の無機微粒子としてBET比表面積が10〜100m2/g、好ましくは20〜90m2/g、より好ましくは20〜80m2/gのものを用いる。無機微粒子の添加量は着色樹脂粒子100重量部に対して0.05〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部である。
【0051】
なお、上述した流動性向上用の無機微粒子とスペーサー用の無機微粒子とを併用する場合には、両者のBET比表面積の差が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上となるようにすることが好ましい。
以上に説明したように、着色樹脂微粒子に無機微粒子を混合処理した後、瞬間加熱処理を行うことによって、表面に無機微粒子が固着されており、且つ後述する特定の平均円形度および平均円形度の標準偏差を有するトナー粒子を得ることができる。
【0052】
本発明により、瞬間的加熱処理を施すことにより、混練−粉砕法で得られた着色樹脂粒子の形状を球状でかつ均一な形状に制御し、さらには、トナーの表面に有する細孔を低減し、平滑性を上げることができる。このことにより帯電の均一性ならびに画像性能に優れ、また、トナー中の特定の粒径・形状成分、また、特定の帯電量を有するトナーから先に消費されるといった選択現像が発生せず、長期にわって安定した画像性能を達成するトナーを提供できる。
【0053】
また、本発明においてなるトナーは、近年要求の高い、高画質、低消費(色材高充填型)、省エネルギー定着方式に適した低軟化点のバインダ樹脂を主成分とし、色材部数を高充填した小粒径トナーにおいても、トナー担持体(キャリア、現像スリーブ、現像ローラー等)、感光体、転写部材に対する付着性が適正化され移動性に優れる。さらに、流動性に優れ、帯電の均一性が向上され、長期に渡って安定した耐久特性を有する。また、磁性トナーにおいてはこのような瞬間加熱処理を施すことにより、磁性粒子のバインダ樹脂が溶融されて球状化されてなり、表面に露出している磁性粉がなくなると共に遊離の微粉が磁性粒子表面に固定化される。
【0054】
具体的には、非磁性トナーの場合には平均円形度が0.960以上かつ円形度の標準偏差が0.040以下とする。
【0055】
より好ましくは、平均円形度が0.960以上、円形度の標準偏差が0.035以下とする。また、磁性トナーの場合は、平均円形度が0.950以上、好ましくは0.955以上、かつ円形度の標準偏差が0.040以下、好ましくは0.036以下とする。
【0056】
本明細書中、平均円形度とは次式:
【数1】
により算出される値の平均値であり、「粒子の投影面積に等しい円の周囲長」および「粒子投影像の周囲長」はフロー式粒子像分析装置(EPIA−1000またはEPIA−2000;東亞医用電子株式会社製)を用いて水分散系で測定を行って得られる値をもって示している。1に近い程、真球に近いことを示している。このように平均円形度は、「粒子の投影面積に等しい円の周囲長」および「粒子投影像の周囲長」から求められるため、当該値はトナー粒子の形状、すなわち粒子表面の凹凸状態を正確に反映する指標となる。また、平均円形度はトナー粒子(3000個)の平均値として得られる値であるため、本発明における平均円形度の信頼性は極めて高い。なお、本明細書中において、平均円形度は上記装置によって測定されなければならないというわけでなく、原理的に上式に基づいて求めることができる装置であればいかなる装置によって測定されてもよい。
【0057】
また、円形度の標準偏差は円形度分布における標準偏差を指し、当該値は上記フロー式粒子像分析装置によって平均円形度と同時に得られる。当該値が小さいほどトナー粒子形状がそろっていることを意味する。
【0058】
本発明において使用する瞬間的加熱処理は、熱風中にトナー粒子を圧縮空気により分散噴霧することにより、現像剤が熱により表面改質され、従来の方法をもっても達成できなかった球形度とその均一性を達成するものである。
【0059】
瞬間的加熱処理を行なう装置の概略構成図を図1および図2を用いて説明する。
図1に示す如く、熱風発生装置101にて調製された高温高圧エアー(熱風)は導入管102を経て熱風噴射ノズル106より噴射される。一方、トナー粒子105は定量供給器104から所定量の加圧エアーによって導入管102’を経て搬送され、前記熱風噴射ノズル106の周囲に設けられた試料噴射室107へ送り込まれる。
【0060】
試料噴射室107は、図2に示す如く、中空のドーナツ形状をしており、その内壁には複数の試料噴射ノズル103が等間隔に配置されている。試料噴射室107へ送り込まれたトナー粒子は、噴射室107で拡散して均等に分散した状態となり、引き続き送り込まれてくるエアーの圧力によって複数の試料噴射ノズル103から熱風気流中へ噴射される。
【0061】
また、試料噴射ノズル103の噴出流が熱風気流を横切ることがないように試料噴射ノズル103に所要の傾きを設けておくことが好ましい。具体的には、トナー噴出流が熱風気流にある程度沿うように噴射することが好ましく、トナー噴出流と熱風気流の中心領域の流れ方向なす角度が20〜40°、好ましくは25〜35°が好ましい。40°よりも広いとトナー噴出流が熱風気流を横切るように噴射されることになり、他のノズルから噴射されたトナー粒子と衝突してトナー粒子の凝集が発生し、一方、20°よりも狭いと熱風中に取り込まれないトナー粒子が発生し、トナー粒子の形状が不均一となる。
【0062】
また、試料噴射ノズル103は複数本必要であり、少なくとも3本以上、4本以上が好ましい。複数本の試料噴射ノズルを使用することによって熱風気流中へのトナー粒子の均一な分散が可能となり、トナー粒子1つ1つの加熱処理を確実に行うことができる。試料噴射ノズルから噴出された状態としては、噴出時点で広く拡散し、他のトナー粒子と衝突することなく熱風気流全体へ分散されることが望ましい。
【0063】
このようにして噴射されたトナー粒子は高温の熱風と瞬間的に接触して均質に加熱処理される。ここで瞬間的とは、処理温度並びにトナー粒子の熱風気流中での濃度により異なるが、必要なトナー粒子の改質(加熱処理)が達成され、かつトナー粒子同士の凝集が発生しない時間であり、通常2秒以下、好ましくは1秒以下がよい。この瞬間的時間は、トナー粒子が試料噴射ノズルから噴射され、導入管102”に導入されるまでのトナー粒子の滞留時間として表わされる。この滞留時間が2秒を越えると合一粒子が発生しやすくなる。
【0064】
次いで、瞬間加熱されたトナー粒子は直ちに冷却風導入部108から導入される冷風によって冷却され、装置器壁へ付着したり粒子同士凝集したりすることなく導入管102”を経てサイクロン109により捕集され、製品タンク111に貯まる。トナー粒子が捕集された後の搬送エアーはさらにバグフィルター112を通過して微粉が除去された後、ブロアー113を経て大気中へ放出される。なお、サイクロン109は、冷却水が流れている冷却ジャケットを設け、トナー粒子の凝集を防止することが好ましい。
【0065】
その他、瞬間的加熱処理を行うに重要な条件としては、熱風風量、分散風量、分散濃度、処理温度、冷却風温度、吸引風量、冷却水温度である。
【0066】
熱風風量とは、熱風発生装置101により供給される熱風の風量である。この熱風風量は、多くする方が熱処理の均一性、処理能力を向上させる意味で好ましい。
【0067】
分散風量とは、加圧エアーによって、導入管102’に送り込まれる風量のことである。その他の条件にもよるが、この分散風量は、押さえて熱処理した方が、トナー粒子の分散状態が向上、安定する為好ましい。
【0068】
分散濃度とは、熱処理領域(具体的にはノズル吐出領域)でのトナー粒子の分散濃度をいう。好適な分散濃度はトナー粒子の比重によって異なり、分級濃度を各トナー粒子の比重で割った値が、50〜300g/m3、好ましくは50〜200g/m3で処理することが好ましい。
【0069】
処理温度とは、熱処理領域での温度をいう。熱処理領域では中心から外側に向け温度勾配が実状存在するが、この温度分布を低減して処理することが好ましい。装置面からは、スタビライザー等により風を安定化層流状態で供給する事が好ましい。分子量分布のシャープなバインダ樹脂、例えば重量平均分子量/数平均分子量が2〜20を有するバインダー樹脂を使用してなる非磁性トナーにおいては、バインダー樹脂のガラス転移点+100℃以上〜ガラス転移点+300℃のピーク温度範囲で処理することが好ましい。より好ましくはバインダー樹脂のガラス転移点+120℃以上〜ガラス転移点+250℃のピーク温度範囲で処理する。なお、ピーク温度範囲とはトナーが熱風と接触する領域での最高温度をいう。
【0070】
分子量分布の比較的広いタイプのバインダー樹脂、例えば重量平均分子量/数平均分子量が30〜100を有するバインダー樹脂を使用してなる非磁性トナーにおいては、バインダー樹脂のガラス転移点+100℃以上〜ガラス転移点+300℃のピーク温度範囲で処理することが好ましい。さらに好ましくはバインダー樹脂のガラス転移点+150℃以上〜ガラス転移点+280℃のピーク温度範囲で処理する。これは、トナーの形状並びに表面の均一性を向上させる為には、バインダー樹脂の高分子量領域の改質をも達成できるよう高めの処理温度に設定する必要が生じる為である。しかしながら、処理温度を高めに設定すると逆に合一粒子が発生しやすくなる為、熱処理前の流動化処理を多めに設定する、処理時の分散濃度を低めに設定する等のチューニングが必要となる。
【0071】
トナー粒子にワックスを添加すると合一粒子が発生しやすくなる。そのため、熱処理前の流動化処理(特に大粒径成分の流動化剤)を多めに設定する。処理時の分散濃度を低めに設定する等のチューニングが形状並びに形状のバラツキを押さえた均一なトナー粒子を得る上で重要となる。この操作は分子量分布の比較的広いタイプのバインダー樹脂を使用しているときや、球形度を高めようとして、処理温度を高めに設定するときにより重要となる。
【0072】
冷却風温度とは、冷却風導入部108から導入される冷風の温度である。トナー粒子は瞬間的加熱処理後、トナー粒子の凝集あるいは合一が発生しない温度領域まで瞬時に冷却すべく、冷却風によりガラス転移点以下の雰囲気下に戻すことが好ましい。この為、冷却風の温度は、25℃以下、好ましくは15℃以下、さらに好ましくは、10℃以下で冷却する。しかしながら、必要以上に温度を下げると条件によっては結露が発生する可能性があり、逆に副作用が生じるので注意が必要である。かかる瞬間的加熱処理では、次に示す装置内の冷却水による冷却と併せて、バインダ樹脂が溶融状態にある時間が非常に短い為、粒子相互および熱処理装置の器壁への粒子付着がなくなる。この結果、連続性生産時の安定性に優れ、製造装置の清掃頻度も極端に少なくでき、また、収率を高く安定的に制御できる。
【0073】
吸引風量はブロアー113により、処理されたトナー粒子をサイクロンに搬送する為のエアーをいう。この吸引風量は、多くする方が、トナー粒子の凝集性を低減させる意味で好ましい。
【0074】
冷却水温度とは、サイクロン109、114ならびに導入管102”に設けられている冷却ジャケット内の冷却水の温度をいう。冷却水温度は、25℃以下、好ましくは15℃以下、さらに好ましくは10℃以下である。
【0075】
球形度(円形度)が高く、かつ、形状のバラツキを小さく押さえる為には、さらに以下の工夫を施すことが好ましい。
【0076】
▲1▼熱風気流中に供給するトナー粒子量を一定に制御し、脈動等を発生させないこと。このためには;
(i)図1中115で使用されるテーブルフィーダーおよび振動フィーダー等を複数種組み合わせて使用して、定量供給性を高める。テーブルフィーダーおよび振動フィーダーを使用して、精度の高い定量供給を行うことができれば、微粉砕あるいは分級工程を連結し、そのままオンラインで熱処理工程にトナー粒子を供給することも可能となる;
【0077】
(ii)トナー粒子を圧縮空気で供給後、熱風中に供給する前に、トナー粒子を試料供給室107内で再分散させ、均一性を高める。例えば、二次エアーにより再分散させる、バッファ部を設けてトナー粒子の分散状態を均一化する、または同軸二重管ノズル等で再分散させる等の手段を採用する;
【0078】
▲2▼熱風気流中に噴霧供給した際のトナー粒子の分散濃度を最適化かつ均一に制御すること。このためには;
【0079】
(i)熱風気流中への供給は、全周方向から均一に、かつ、高分散状態で投入する。より具体的には分散ノズルから供給する場合には、スタビライザ等を有するノズルを使用し、個々のノズルから分散されるトナー粒子の分散均一性を向上させる;
【0080】
(ii)熱風気流中のトナー粒子の分散濃度を均一化する為、ノズル本数は、前記したように少なくとも3本以上、好ましくは、4本以上とできる限り多くし、かつ、全周方向に対して、対称形で配置する。360度全周領域に設けられたスリット部から均一にトナー粒子を供給してもよい;
【0081】
▲3▼すべての粒子に対して、均一な熱エネルギーがかかる様、トナー粒子が処理される領域での熱風の温度分布がなき様制御され、かつ、熱風が層流状態に制御されていること。このためには;
【0082】
(i)熱風を供給する熱源の温度バラツキを低減すること;
(ii)熱風供給前の直管部分をできる限り長くしたりする。または、熱風供給口付近に熱風を安定化させる為のスタビライザを設けることも好ましい。さらに、図1に例示した装置構成は、開放系であり、そのため外気と接する方向に熱風が拡散する傾向にある為、熱風の供給口を必要に応じて絞っても良い;
【0083】
▲4▼熱処理品の捕収は、熱を発生させないよう制御されてなること。このためには;
(i)熱処理ならびに冷却されてなる粒子は、配管系(特にアール部分)ならびに通常トナー粒子の捕収で使用されているサイクロンで発生する熱を押さえる為、チラーでの冷却をすることが好ましい。
【0084】
▲5▼熱の処理に寄与できる樹脂成分が少なく、また比較的比重の大きい磁性トナーの処理においては、熱処理される空間を円筒状に囲い、実質的に処理される時間を増加させたり、複数回の処理を行うことが好ましい。
【0085】
以上のようにして得られたトナー粒子に流動化剤等の後処理剤を混合することにより外添してトナーを得る。後処理剤としては、以下の無機微粒子あるいは有機微粒子が使用可能である。
【0086】
無機の微粒子としては、炭化けい素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化タングステン、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化カルシウム、ダイヤモンドカーボンラクタム等の各種炭化物、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム等の各種窒化物、ホウ化ジルコニウム等のホウ化物、酸化物、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、シリカ、コロイダルシリカ等の各種酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム等の各種チタン酸化合物、二硫化モリブデン等の硫化物、フッ化マグネシウム、フッ化炭素等のフッ化物、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の各種金属石鹸、滑石、ベントナイト等の各種非磁性無機微粒子を単独であるいは組み合わせて用いることができる。特にシリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛等の無機微粒子においては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニス等の従来から使用されている疎水化処理剤、さらにはフッ素系シランカップリング剤、またはフッ素系シリコーンオイル、さらにアミノ基や第4級アルミニウム塩基を有するカップリング剤、変性シリコーンオイル等の処理剤で公知の方法で表面処理されていることが好ましい。
【0087】
有機微粒子としては乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、非水分散重合法等の湿式重合法、気相法等により造粒した、スチレン系、(メタ)アクリル系、ベンゾグアナミン、メラミン、テフロン、シリコン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種有機微粒子を用いることもできる。この有機微粒子はクリーニング助剤としての機能も有する。
【0088】
チタン酸金属塩等の比較的大径の無機微粒子ならびに各種有機微粒子は、疎水化処理してもしなくても良い。これら流動化剤の添加量は、トナー粒子に対して、0.1〜5重量%、好ましくは、0.5〜3重量%添加されるが、前処理用無機微粒子との関係で適宜添加量を調整して使用することが好ましい。
【0089】
上記後処理剤としては、BET比表面積が1〜350m2/gの無機微粒子を用いることが好ましい。
トナーの流動性を向上させる観点からは、後処理用の無機微粒子としてBET比表面積が100〜350m2/g、好ましくは130〜300m2/gのものを用いる。この無機微粒子は公知の疎水化剤によって疎水化処理されていることが好ましい。無機微粒子の添加量はトナー粒子に対して0.1〜3重量%、好ましくは0.3〜1重量%である。
【0090】
また、トナーの環境安定性および耐久安定性を向上させる観点からは、後処理用の無機微粒子としてBET比表面積が1〜100m2/g、好ましくは5〜90m2/g、より好ましくは5〜80m2/gのものを用いる。無機微粒子の添加量はトナー粒子に対して0.05〜5重量%、好ましくは0.3〜2重量%である。
なお、上述した流動性向上用の無機微粒子と安定性向上用の無機微粒子とを併用する場合には、両者のBET比表面積の差が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上となるようにすることが好ましい。
【0091】
以上のように前処理された着色樹脂粒子を熱風中に分散噴霧し、瞬間的加熱処理して得られたトナー粒子に後処理剤を混合したカラートナーおよびオイルレス定着トナーは表面性状が下記式[I]:
D/d50≧0.40 但しD=6/(ρ・S) [I]
(式中、Dはトナーの形状を球と仮定した時のBET比表面積からの換算粒径(μ);d50は粒径別相対重量分布の50%相当粒径(重量平均粒径)(μm);ρは真密度(g/cm3);SはトナーのBET比表面積(m2/g)をそれぞれ表す。)
を満たすものが得られる。好ましくはD/d50は0.40〜0.80、より好ましくは0.50〜0.70である。
【0092】
磁性トナーの場合は、粒子内部に磁性粉を含有するので、磁性粉を含まないものに比べてD/d50の下限値は小さくなり、D/d50≧0.20のものが得られる。好ましくはD/d50は0.20〜0.55、より好ましくは0.25〜0.50である。
【0093】
このD/d50は、トナー粒子表面状態を示す指標であり、上記値を有するトナーであれば、トナー表面に細孔が少なく、トナーが割れるなどの不都合が生じず、かつトナーの帯電性を高めるための適切な凸部が、前処理または後処理によって形成されている。
【0094】
BET比表面積は、フローソーブ2300型(島津製作所社製)で測定された値を用いているが、同様の測定原理、方法で測定されるのであれば前記装置で測定されなければならないということを意味しない。
【0095】
粒径別相対重量分布(d50)は、コールタマルチサイザII;コールタカウンタ社製により測定された値を用いているが、同様の測定原理、方法で測定されるのであれば前記装置で測定されなければならないということを意味しない。
【0096】
真密度(ρ)は、トナーの真密度をいい、空気比較式比重計;ベックマン社製により測定された値を用いているが、同様の測定原理、方法で測定されるのであれば前記装置で測定されなければならないということを意味しない。
【0097】
【キャリア】
本発明のトナー製造に使用する瞬間的加熱処理は、キャリア粒子製造にも使用でき、粒子の形状を均一かつ球形に制御し、さらに粒子表面が無細孔平滑性に優れた均一な表面特性を有するキャリアを得ることができる。
【0098】
具体的には、平均円形度が0.940以上かつ平均円形度の標準偏差が0.055以下を有するキャリアとすることができる。
【0099】
このようなキャリアは、球状のトナーをもすばやく均一の混合し、さらに均一に帯電させることができ、トナーの帯電立ち上がり、飛散抑制に有効であり、小粒径・球形トナーの利益を最大限に活かしたカブリのない高品位な画像を得ることができる。また、キャリアの形状が球状化されており、かつ、表面に細孔等の少ない平滑性の高い表面性状を有する為、キャリア現像抑制に対しての許容範囲が広く、また、トナーの現像効率を高め、また、トナー成分から受ける耐スペント性にも優れる。さらにリサイクル系現像剤として使用する際においても使用できる。
【0100】
本発明キャリアは、少なくともバインダー樹脂、磁性粉を混合、混練、粉砕、分級した粒子をトナー製造工程で説明したと同様の熱処理工程に付する。なお、分級工程は熱処理工程後に行なってもよい。熱の処理に寄与できる樹脂成分が少なく、また、比較的比重の大きいバインダ型キャリアの処理においては、熱処理させる空間を円筒状に囲い、実質的に処理される時間を増加させたり、複数回の処理を行なうことが好ましい。
【0101】
最終的には、重量平均粒径20〜70μmであり、平均円形度が0.940以上かつ平均円形度の標準偏差が0.055以下を有するキャリア、より望ましくは、D/d50として0.004以上有し、さらに他の特性として、磁気力900〜3000ガウス(1000 Oeの磁場中)、好ましくは1800〜2800ガウス、および真比重5以下のキャリアを得るようにする。
【0102】
キャリア製造に使用されるバインダー樹脂としては、公知の合成樹脂及び天然樹脂ならば如何なるものでも用いることができる。具体的には、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂、ウレタン系樹脂等の合成樹脂及び天然樹脂が挙げられる。この中でも、磁性粒子の分散性に優れ、磁性粒子の充填量を増加させても電気抵抗低下に影響の小さいポリエステル系樹脂が好ましい。また、電子写真用現像剤として使用されることより、ガラス転移点が50℃以上、好ましくは、60℃以上、軟化点が80〜150℃のものが好ましい。これは、軟化点が80℃未満では、キャリア粒子の凝集性が帯びやすくなり、熱処理工程における分散性が難しくなり、本発明の要件である、平均円形度の標準偏差が0.04以下に制御できなくなる。また、150℃を超えると本発明の要件である、平均円形度が0.950以上に制御できなくなる。また、耐久性ならびにキャリア現像特性を向上させるためのD/d50≧0.004の数値が満足できなくなる。
【0103】
D/d50が0.004より小さい場合は、キャリア現像抑制に対する許容範囲ならびにトナーから受ける耐スペント性が充分確保できなくなる。
キャリアの粒径は帯電の立ち上がり、安定性およびトナー飛散の改良に効果があり、平均粒径が20μmより小さくても、また、70μmより大きくても十分な効果が発揮できない。なお、好ましくは、平均粒径が60μm以下、さらに好ましくは、50μm以下のものが、好適に本発明において使用できる。これは、瞬間加熱処理において均一な表面処理を達成する為には、他の現像剤の処理と同様、表面処理を施す前での流動化処理、並びに瞬間加熱処理時の条件を最適化するのと併せて上記粒径のキャリア粒子を用いることが本発明でなる現像剤を達成する上で好ましい。
【0104】
磁性力1000 Oeの磁場中に置かれた時、900ガウスより小さい場合においてはキャリア現像が発生し、画像が劣化する。一方、3000ガウスより大きくなると磁気ブラシの穂が硬くなり、ソリッド部等においてキャリアスジが発生する。本発明により、従来のキャリアに対して、ノイズの発生に対する許容幅が広がる。特に従来、2500ガウス以上の領域で使用条件により、ソリッド部等においてキャリアスジが発生し易くなる傾向が認められていたのに対し、本発明により表面改質してなるキャリアは、該物性を有するものであっても形状並びに表面性状の効果により、磁気ブラシの穂を軟らかく維持できる。
【0105】
比重においては、真比重5以下のものが、混合撹拌性、現像剤の凝集性改善に好ましく、真比重が5より大きくなるとトナーとキャリアの比重差が大きくなる為、混合撹拌性が劣化し、また、トナーに対し過度のストレスが発生することによりキャリアのスベント化による耐電性の安定性において劣化し、また、トナー同士あるいは現像剤(トナーとキャリア)の凝集性が促進される。本発明によるキャリアは、その形状並びに表面性状により、トナーに対するストレス性の低減、トナー同士あるいは現像剤(トナーとキャリア)の凝集性の低減に対して効果的である。しかしながら、本発明による瞬間加熱処理により、キャリア粒子を均一に処理する上において、他の現像剤処理と同様、表面処理を施す前での流動化処理、並びに瞬間加熱処理時の条件を最適化するのと併せて、比重5以下のキャリア粒子を用いることが好ましい。これは、真比重5より大きくなると本瞬間加熱処理では、本発明の効果である均一な形状ならびに表面性状を確保することが困難となる。理由は、比重が大きくなるということは、キャリア表面に存在する樹脂成分の相対組成が小さくなり、熱に対して改質される成分が少なくなる為である。また、真比重が5より大きくなると粒子の熱処理領域を通過する時間が短くなり、キャリア粒子の熱処理に必要な実効的な処理時間が十分確保し難くなる為である。
【0106】
【樹脂の製造例】
(ポリエステル樹脂A〜Eの製造例)
温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー、および窒素導入管を取り付けたガス製4つ口フラスコに、表1に示すモル比でアルコール成分および酸成分を重合開始剤(ジブチル錫オキシド)とともに入れた。これをマントルヒーター中において窒素気流下にて、撹拌加熱しながら加熱することにより反応させた。そして、この反応の進行は、酸価を測定することにより追跡した。所定の酸価に達した時点でそれぞれ反応を終了させて室温まで冷却し、ポリエステル樹脂を得た。得られた各ポリエステル樹脂1mm以下に粗砕したものを以下のトナーの製造で用いた。なお、ここで得られたポリエステル樹脂の物性は、表1に示す通りの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)、ガラス転移点(Tg)、軟化点(Tm)、酸価および水酸価を有する。
【0107】
なお、表中、POは、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンをEOは、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、GLはグリセリンを、TPAはテレフタル酸を、TMAはトリメリット酸を、FAはフマル酸を表す。
【0108】
【表1】
【0109】
表1に示す各種物性は以下の用にして測定した。
・樹脂のガラス転移点Tgの測定
示差走査熱量計(DSC−200:セイコー電子社製)を用いて、リファレンスをアルミナとし、10mgの試料を昇温速度10℃/minの条件で20〜120℃の間で測定し、メイン吸熱ピークのショルダー値をガラス転移点とした。
【0110】
・樹脂の軟化点Tmの測定
フローテスター(CFT−500:島津製作所社製)を用い、ダイスの細孔(径1mm、長さ1mm)、加圧20kg/cm2、昇温速度6℃/minの条件下で1cm3の試料を溶融流出させたときの流出開始点から流出終了点の高さの1/2に相当する温度を軟化点とした。
【0111】
・分子量の測定
分子量はゲルバーミエーションクロマトグラフィ(807−IT型;日本分光工業社製)を使用し、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを使用して、ポリスチレン換算により分子量を求めた。
【0112】
・酸価
酸価は、10mgの試料をトルエン50mlに溶解し、0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用いて、予め標定されたN/10の水酸化カリウム/アルコール溶液で滴定し、N/10水酸化カリウム/アルコール溶液の消費量から算出した値である。
【0113】
・水酸価
水酸価は、秤量された試料を無水酢酸で処理し、得られたアセチル化合物を加水分解し、遊離する酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmgで表した。
【0114】
(ポリエステル系樹脂F(L体)の製造例)
温度計、撹拌器、流下式コンデンサーおよび窒素導入管を取り付けたガラス製4つ口フラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、イソドデセニル無水コハク酸、テレフタル酸およびフマル酸を重量比82:77:16:32:30に調整して重合開始剤であるジブチル錫オキサイドとともに入れた。これをマントルヒーター中で窒素雰囲気下にて、220℃で撹拌しつつ反応させた。得られたポリエステル系樹脂F(L体)の軟化点は110℃、ガラス転移点は60℃、酸価は17.5KOHmg/gであった。
【0115】
(ポリエステル系樹脂G(H体)の製造例)
スチレンおよび2−エチレンヘキシルアクリレートを重量比17:3.2に調整し、重合開始剤であるジグミルパーオキサイドとともに滴下ロートに入れた。一方、温度計、撹拌器、流下式コンデンサーおよび窒素導入管を取り付けたガラス製4つ口フラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、イソドデセニル無水コハク酸、テレフタル酸、無水1,2,4−ベンゼントリカルボン酸およびアクリル酸を重量比42:11:11:11:8:1に調整して重合開始剤であるジブチル錫オキサイドとともに入れた。これをマントルヒーター中で窒素雰囲気下にて、135℃で撹拌しつつ、滴下ロートよりスチレン等を滴下した後、昇温して230℃で反応させた。得られたポリエステル系樹脂G(H体)の軟化点は150℃、ガラス転移点は62℃、酸価は24.5KOHmg/gであった。
【0116】
【実施例】
顔料マスターバッチの製造
以下フルカラートナーの製造に使用する顔料は、それぞれ、実施例で使用する熱可塑性樹脂とC. I. Pigment Yellow 180(クラリアント社製)、C. I. Pigment Blue 15−3(大日本インキ化学工業社製)またはC. I. Pigment Red 184(大日本インキ化学工業社製)とを重量比で7:3の割合で加圧ニーダーに仕込み、120℃で1時間混練した。冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、顔料含有率30wt%のイエロー、シアン、マゼンタの顔料マスターバッチを得た。
【0117】
トナーの製造例
[フルカラートナー]
製造例Y−1〜Y−2
樹脂製造例で得られたポリエステル樹脂A 90.7重量部に対して、イエローのマスターバッチ 13.3重量部と荷電制御剤としてサリチル酸の亜鉛錯体(E−84:オリエント化学工業社製)2.0重量部、酸化型低分子量ポリプロピレン(100TS:三洋化成社製;軟化点140℃、酸価3.5)をヘンシェルミキサーで十分混合した後、2軸押し出し混練機(PCM−30;池貝鉄工社製)の排出部を取り外したものを使用して、溶融混練した後冷却した。得られた混練物を冷却プレスローラーで2mm厚に圧延し、冷却ベルトで冷却した後、フェザーミルで粗粉砕した。その後、機械式粉砕機(KTM:川崎重工業社製)で平均粒径10〜12μmまで粉砕し、さらに、ジェット粉砕機(IDS:日本ニューマチック工業社製)で平均粒径6.8μmまで粉砕粗分級した後、微粉分級をローター型分級機(ティープレックス型分級機タイプ:100ATP:ホソカワミクロン社製)を使用して重量平均粒径7.1μm、重量平均粒径(d50)の2倍(2d50)以上の重量%が、0.1%、かつ重量平均粒径の1/3(d50/3)以下の個数%が、3.2%のイエロートナー粒子(Y−1)を得た。また、本トナー粒子(Y−1)の平均円形度は、0.943,円形度の標準偏差が、0.039であった。
【0118】
このトナー粒子(Y−1)100重量部に対して、疎水性シリカ(TS−500:キャボジル社製;BET比表面積225m2/g)0.5重量部と、疎水性シリカ(AEROSIL 90G;日本アエロジル社製)のヘキサメチレンジシラザン処理品;BET比表面積65m2/g、疎水比度65%以上)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで(周速40m/sec,60秒間)混合処理した後、図1に示す装置により、以下の条件で熱による表面改質を行ない、イエロートナー粒子(Y−2)を得た。
【0119】
(熱処理の条件1)
現像剤供給部; テーブルフィーダー+振動フィーダー
分散ノズル ; 4本(全周に対して、各90度の対称形配置)
噴出角度 ; 30度
熱風風量 ; 800L/min
分散風量 ; 55L/min
吸引風量 ; −1200L/min
分散濃度 ; 100g/m3
処理温度 ; 250℃
滞留時間 ; 0.5秒
冷却風温度 ; 15℃
冷却水温度 ; 10℃
【0120】
これらのトナー粒子にBET比表面積110m2/gの疎水性シリカ微粒子(R−972;日本アエロジル社製)0.5重量%およびチタン酸ストロンチウム微粒子(BET比表面積:9m2/g)0.5重量%を加えてヘンシェルミキサーにて周速40m/secにて3min混合した後、目開き106μmの篩で篩って評価に用いるトナーを調整した。
【0121】
製造例 Y−3〜Y−5
トナーの製造例Y−2において、熱処理の温度条件を150、200℃、300℃に変更する以外は同様の方法・組成により、イエロートナー(Y−3〜Y−5)を得た。
【0122】
イエロートナー粒子Y−5について、そのトナー粒子構造を示す写真を図6および図7に示す。図6は複数のトナー粒子の構造を示し、図7はその1つで拡大した粒子表面の粒子構造を示している。なお、これらの写真の電子複写写真を本出願と同時に参考写真として提出する。
【0123】
製造例 Y−6
樹脂をAに変えて樹脂Bに変更し、酸化型ポリプロピレンを添加しない以外は、Y−2と同様の組成・方法により、トナー(Y−6)を得た。
【0124】
製造例 Y−7
樹脂をBに変えて樹脂Cと樹脂Dを20:80の割合でブレンドしたものに変更する以外は、Y−6と同様の組成・方法により、トナー(Y−7)を得た。
【0125】
製造例 Y−8
樹脂をBに変えて樹脂Cと樹脂Gを85:15の割合でブレンドしたものに変更する以外は、Y−7と同様の組成・方法により、トナー(Y−8)を得た。
【0126】
製造例 C−1〜8ならびにM−1〜8
顔料マスターバッチをそれぞれシアンならびにマゼンタ顔料のものに変更する以外は同様の組成方法により、トナーC−1〜8ならびにM−1〜8を得た。
【0127】
製造例 Bk1〜2
ポリエステル樹脂Aの量を100重量部に変更し、顔料マスターバッチをそれぞれカーボンブラック(モーガルL;キャボット社製)4重量部に変更する以外はトナーの製造例1ならびに2と同様の組成方法により、トナーBk−1ならびにBk−2を得た。
【0128】
製造例 Y−9
ポリエステル樹脂A89.5重量部に対し、イエローの顔量マスタバッチ15重量部並びに化合物
【化1】
で示されるホウ素化合物1重量部およびトルエン400重量部を超音波ホモジナイザー(出力400μA)を用いて30分間混合して溶解・分散させることにより着色樹脂溶液を調整した。
【0129】
一方、分散安定剤として4重量%の水酸化りん酸カルシウムを含有する水溶液1000重量部にラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬社製)0.1重量部を溶解させることにより水性分散液を調整した。上記水性分散液100重量部をTKオートホモミクサー(特殊機化工業社製)により、4200rpmで撹拌している中に上記着色樹脂溶液50重量部を滴下し、着色樹脂溶液の液滴を水性分散液中に懸濁させた。この懸濁液を60℃、100mmHgの条件下で5時間放置することにより、液滴からトルエンを除去し、着色樹脂粒子を析出させた。次いで濃硫酸により、水酸化リン酸カルシウムを溶解した後、濾過と水洗を繰り返し行った。この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコート:日清エンジニアリング社製)により、75℃で着色剤粒子の乾燥を行い、イエロートナー粒子(Y−9)を得た。
【0130】
このトナー粒子にBET比表面積110m2/gの疎水性シリカ微粒子(R−972;日本アエロジル社製)0.5重量%およびBET比表面積9m2/gのチタン酸ストロンチウム微粒子0.5重量%を加えてヘンシェルミキサーにて周速40m/secにて3min混合した後、目開き106μmの篩で篩ってトナーを調整した。
【0131】
製造例 C−9,M−9
トナー粒子(Y−9)の製造において、顔料のマスターバッチをイエローのものからそれぞれシアンならびにマゼンタに変更する以外は、同様の組成・方法によりトナー(C−9,M−9)を得た。
【0132】
製造例 Y−10
トナー粒子(Y−1)100重量部に対して、疎水性シリカ(RX200;日本アエロジル社製;BET比表面積140m2/g)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで(周速40m/sec,180秒間)混合処理した後、図1に示す構成を有する瞬間加熱装置により、以下の条件で熱による表面改質を行い、イエロートナー粒子(Y−10)を得た。
【0133】
(熱処理の条件2)
現像剤供給部; テーブルフィーダー
分散ノズル ; 2本(全周に対して、対称形配置)
噴出角度 ; 45度
熱風風量 ; 620L/min
分散風量 ; 68L/min
吸引風量 ; −900L/min
分散濃度 ; 150g/m3
処理温度 ; 250℃
滞留時間 ; 0.5秒
冷却風温度 ; 30℃
冷却水温度 ; 20℃
【0134】
このトナー粒子にBET比表面積110m2/gの疎水性シリカ微粒子(R−972;日本アエロジル社製)0.5重量%およびBET比表面積9m2/gのチタン酸ストロンチウム微粒子0.5重量%を加えてヘンシェルミキサーにて周速40m/secにて3min混合した後、目開き106μmの篩で篩ってトナーを調整した。
【0135】
製造例 Y−11〜Y−13
トナーの製造例Y−10において、熱処理の温度条件を150、200℃、300℃に変更する以外は同様の方法・組成により、イエロートナー(Y−11〜Y−13)を得た。
【0136】
イエロートナー粒子Y−13について、その粒子構造を示す写真を図8および図9に示す。図8は複数のトナー粒子の構造を示し、図9はその1つを拡大した粒子表面の粒子構造を示している。なお、これらの写真の電子複写写真を本出願と同時に参考写真として提出する。
【0137】
製造例 C−10〜13ならびにM−10〜13
顔料マスターバッチをそれぞれシアンならびにマゼンタ顔料のものに変更する以外はトナーの製造例Y−10〜13と同様の組成方法により、トナーC−10〜13ならびにM−10〜13を得た。
【0138】
製造例 Bk−3〜5
トナーの製造例Bk−2において、熱処理の温度条件を150、250℃、300℃に変更する以外は同様の方法・組成により、トナー(Bk−3〜5)を得た。
【0139】
製造例 Bk−6〜9
トナーの製造例Bk2において、熱処理の条件をトナーの製造例Y−10〜13の条件とする以外は同様の組成・方法でそれぞれトナーBk6〜9を得た。
【0140】
製造例 Bk−10
ポリエステル樹脂Aの量を100重量部に変更し、顔料マスターバッチをカーボンブラック(モーガルL;キャボット社製)4重量部に変更する以外はトナーの製造例Y−9と同様の組成方法により、トナーBk−10を得た。
【0141】
[オイルレス定着用黒トナー]
製造例 Bk−11
ポリエステル系樹脂F(L体)を40重量部、ポリエステル系樹脂G(H体)を60重量部、ポリエテレンワックス(800P;三井石油化学工業社製;160℃における溶融粘度5400cps;軟化点140℃)2重量部、ポリプロピレンワックス(TS−200;三洋化成工業社製;160℃における溶融粘度120cps;軟化点145℃;酸価3.5KOHmg/g)2重量部、酸性カーボンブラック(モーガルL;キャボット社製;pH2.5;平均1次粒径24nm)8重量部および(化1)で示される負荷電制御剤2重量部をヘンシェルミキサーで充分混合し、二軸押出混練機で溶融混練後、冷却しその後、ハンマーミルで粗粉砕しジェット粉砕機で微粉砕した後、分級して体積平均粒径7.5μmのトナー粒子Bk−11を得た。
【0142】
このトナー粒子にBET比表面積225m2/gの疎水性シリカ微粒子(TS500;キャッボット社製)0.3重量%およびBET比表面積9m2/gのチタン酸ストロンチウム微粒子0.8重量%を加えてヘンシェルミキサーにて周速40m/secにて3min混合した後、目開き106μmの篩で篩ってトナーを調整した。
【0143】
製造例 Bk−12
トナーの製造例Y−5において、熱処理前の流動化処理の量を疎水性シリカ(TS−500:キャボジル社製)0.6重量部と、疎水性シリカ(AEROSIL90G;日本アエロジル社製)のヘキサメチレンジシラザン処理品;BET比表面積65m2/g、疎水化度65%以上)1.2重量部と増量し、熱処理温度を270℃とする以外は、同様の熱処理条件によりトナー粒子Bk−11を処理してトナー粒子Bk−12を得た。
【0144】
このトナー粒子にBET比表面積225m2/gの疎水性シリカ微粒子(TS500;キャッボット社製)0.3重量%およびBET比表面積9m2/gのチタン酸ストロンチウム微粒子0.8重量%を加えてヘンシェルミキサーにて周速40m/secにて3min混合した後、目開き106μmの篩で篩ってトナーを調整した。
【0145】
製造例 Bk−13〜15
トナーの製造例Bk−12において、熱処理時の処理温度を170,220,320に変更する以外は、同様の方法組成により、トナーBk−13〜15を得た。
【0146】
製造例 Bk−16〜19
トナーの製造例Bk12〜15において、熱処理の条件を処理温度以外トナーの製造例Y−10〜13の条件とする以外は同様の組成・方法でそれぞれトナーBk16〜19を得た。
【0147】
製造例 Bk−20
スチレン60重量部、n−ブチルメタクリレート35重量部、メタクリル酸5重量部、2−2アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5重量部、低分子量ポリプロピレン(ビスコール660P;三洋化成工業社製)3重量部、カーボンブラック(MA#8;三菱化学社製)8重量部およびクロム錯体(アイゼンスピロンブラックTRH;保土ケ谷化学工業社製)をサンドスターラーにより混合して重合組成物を調整した。この重合組成物を濃度3重量%のアラビアゴム水溶液中で撹拌機TKオートホモミクサー(特殊機化工業社製)を用いて回転数4000rpmで撹拌しながら、60℃で6時間重合反応させ、平均粒径6.8mの球状粒子を得た。球状粒子の濾過/水洗を3回繰り返した後、濾過物を35℃、30%RHの環境下にて風乾し、トナー粒子Bk−20を得た。
【0148】
このトナー粒子にBET比表面積225m2/gの疎水性シリカ微粒子(TS500;キャッボット社製)0.3重量%およびBET比表面積9m2/gのチタン酸ストロンチウム微粒子0.8重量%を加えてヘンシェルミキサーにて周速40m/secにて3min混合した後、目開き106μmの篩で篩ってトナーを調整した。
【0149】
[磁性黒トナー]
製造例 Bk−21
ポリエステル系樹脂F(L体)を40重量部、ポリエステル系樹脂G(H体)を60重量部、ポリエテレンワックス(800P;三井石油化学工業社製;160℃における溶融粘度5400cps;軟化点140℃)2重量部、ポリプロピレンワックス(TS−200;三洋化成工業社製;160℃における溶融粘度120cps;軟化点145℃;酸価3.5KOHmg/g)2重量部、磁性粒子(マグネタイト;EPT−1000:戸田工業社製)50重量部および負荷電制御剤としてクロム錯体(アイゼンスピロンブラックTRH;保土ケ谷化学工業社製)2重量部をヘンシェルミキサーで充分混合し、二軸押出混練機で溶融混練後、冷却しその後、ハンマーミルで粗粉砕しジェット粉砕機で微粉砕した後、分散して体積平均粒径7.0μmのトナー粒子Bk−21を得た。
【0150】
このトナー粒子にBET比表面積225m2/gの疎水性シリカ微粒子(TS500;キャッボット社製)0.3重量%およびBET比表面積9m2/gのチタン酸ストロンチウム微粒子0.8重量%を加えてヘンシェルミキサーにて周速40m/secにて3min混合した後、目開き106μmの篩で篩ってトナーを調整した。
【0151】
製造例 Bk−22
トナーの製造例Bk−12において処理温度を300℃とする以外は、同様の熱処理前の流動化処理ならびに熱処理条件によりトナー粒子Bk−21を処理してトナー粒子Bk−22を得た。
【0152】
このトナー粒子にBET比表面積225m2/gの疎水性シリカ微粒子(TS500;キャッボット社製)0.3重量%およびBET比表面積9m2/gのチタン酸ストロンチウム微粒子0.8重量%を加えてヘンシェルミキサーにて周速40m/secにて3min混合した後、目開き106μmの篩で篩ってトナーを調整した。
【0153】
製造例 Bk−23〜25
トナーの製造例Bk−22において、熱処理時の処理温度を170,250,360に変更する以外は、同様の方法組成により、トナーBk−23〜25を得た。
【0154】
製造例 Bk−26〜29
トナーの製造例Bk22〜25において、熱処理の条件を処理温度以外トナーの製造例Bk16〜19の条件とする以外は同様の組成・方法でそれぞれトナーBk−26〜29を得た。
【0155】
製造例 Bk−30
スチレン60重量部、n−ブチルメタクリレート35重量部、メタクリル酸5重量部、2−2アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5重量部、低分子量ポリプロピレン(ビスコール660P;三洋化成工業社製)3重量部、磁性粒子(フェライト粒子;MFP−2:TDK社製35重量部およびクロム錯体(アイゼンスピロンブラックTRH;保土ケ谷化学工業社製)をサンドスターラーにより混合して重合組成物を調整した。この重合組成物を濃度3重量%のアラビアゴム水溶液中で撹拌機TKオートホモミクサー(特殊機化工業社製)を用いて回転数5000rpmで撹拌しながら、60℃で6時間重合反応させ、平均粒径6.8μmの球状粒子を得た。球状粒子の濾過/水洗を3回繰り返した後、濾過物を35℃、30%RHの環境下にて風乾し、トナー粒子Bk−30を得た。
【0156】
このトナー粒子にBET比表面積225m2/gの疎水性シリカ微粒子(TS500;キャッボット社製)0.3重量%およびBET比表面積9m2/gのチタン酸ストロンチウム微粒子0.8重量%を加えてヘンシェルミキサーにて周速40m/secにて3min混合した後、目開き106μmの篩で篩ってトナーを調整した。
【0157】
[バインダ型キャリア]
製造例 キャリア−1〜3
ポリエステル系樹脂(花王社製:NE−1110)100重量部、磁性粒子(マグネタイト;EPT−1000:戸田工業社製)700重量部およびカーボンブラック(モーガルL;キャボット社製)2重量部をヘンシェルミキサーで充分混合し、二軸押出混練機でシリンダ部180℃、シリンダヘッド部170℃に設定し、溶融混練した。この混練物を冷却しその後、ハンマーミルで粗粉砕しジェット粉砕機で微粉砕、分級してキャリア粒子を得た。この際、微粉砕ならびに分級条件を変えることにより、体積平均粒径55μm,45μm,35μmのキャリア粒子キャリア−1〜3を得た。
【0158】
製造例 キャリア−4〜6
このキャリア粒子(キャリア1〜4)100重量部に対して、BET比表面積225m2/gの疎水性シリカ(TS−500:キャボジル社製)0.1重量部と、疎水性シリカ(AEROSIL 90G;日本エアロジル社製)のヘキサメチレンジシラザン処理品;BET比表面積65m2/g、疎水化度65%以上)0.3重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで(周速40m/sec,60秒間)混合処理した後、図1に示す装置により、以下の条件で熱による表面改質を2パス行いキャリア粒子(キャリア4〜6)を得た。
【0159】
(熱処理の条件3)
現像剤供給部; テーブルフィーダー+振動フィーダー
分散ノズル ; 4本(全周に対して、各90度の対称形配置)
噴出角度 ; 30度
熱風風量 ; 800L/min
分散風量 ; 55L/min
吸引風量 ; −1200L/min
分散濃度 ; 200g/m3
処理温度 ; 350℃
滞留時間 ; 1.0秒
冷却風温度 ; 15℃
冷却水温度 ; 10℃
【0160】
製造例 キャリア−7〜9
キャリアの製造例6において、熱処理時の処理温度を150,300,450に変更する以外は、同様の方法組成の組み合わせにより、キャリア粒子(キャリア7〜15)を得た。
【0161】
製造例 キャリア−10〜13
キャリアの製造例6〜9において、以下の熱処理条件で処理温度を150,300,350,450℃に変更する以外は、同様の方法組成の組み合わせにより、1パスの表面改質を行い、キャリア粒子10〜13を得た。
【0162】
(熱処理の条件4)
現像剤供給部; テーブルフィーダー
分散ノズル ; 2本(全周に対して、対称形配置)
噴出角度 ; 45度
熱風風量 ; 620L/min
分散風量 ; 68L/min
吸引風量 ; −900L/min
分散濃度 ; 150g/m3
処理温度 ; 150,300,350,450℃
滞留時間 ; 0.5秒
冷却風温度 ; 30℃
冷却水温度 ; 20℃
【0163】
以上のようにして得られたトナーおよびキャリアについて、熱処理条件、処理温度、トナー重量平均粒径(d50)(μm)、重量平均粒径の2倍以上の粒子の含有割合(>2d50(wt%))、重量平均粒径の1/3以下の粒子の含有割合(<1/3d50(pop%))、平均円形度、円形度標準偏差(SD)、トナー表面形状性(D/d50)、比表面積(S)を表2〜6中にまとめた。
【0164】
なお平均粒径、その分布に付いては、コールタマルチサイザーII(コールタカウンタ社製)を用い、アパチャーチューブ径50μmで測定した。キャリアの粒径はコールタマルチサイザーII(コールタカウンタ社製)を用い、アパチャーチューブ径150μmで測定した。
【0165】
平均円形度、SD値については、フロー式粒子像分析装置(EPIA−2000:東亜医用電子社製)を用いて水分散系で測定した。
【0166】
D/d50を計算するに必要なBET比表面積(S)は、フローソーブ2300型(島津製作所社製)を用いて測定した。
【0167】
真密度(ρ)は空気比較式比重計;ベックマン社製を用いて測定した。
【0168】
【表2】
【0169】
【表3】
【0170】
【表4】
【0171】
【表5】
【0172】
【表6】
【0173】
(1成分系現像剤としての評価)
以上のようにして得られる本発明のフルカラー現像用トナーは、像担持体上に形成されたトナー像の中間転写体上への押圧転写を各色毎に重ねて行った後、中間転写体上に転写されたトナー像を記録部材上に押圧転写することを含むフルカラー画像形成方法において有効に使用される。すなわち、本発明の上記トナーを用いたフルカラー画像形成方法においては1次および2次転写時にトナー画像の中抜けやトナーの飛び散りが起こらず、フルカラー複写画像に画像カブリが発生せず、転写性、追随性に優れている。また、トナー担持体上でのトナー選別(形状粒径等)が発生せず、長期的に渡って安定した画像が得られる。さらにトナー形状ならびに表面平滑性が高いため、ストレスに対して強く、後処理剤の埋没およびトナーの割れによる微粉発生が低減できる。これは、近年要求されている低温定着性、OHP透光性に対応できる軟化点の低い樹脂を用いても要求性能(品質)に対して向上が図れることを示している。
【0174】
また、プリンタ等の画像形成装置においてのシステムスピードアップ、ライフアップに対してもオペレーティングウインドウが拡大できる。
上記のフルカラー現像用トナーを用いたフルカラー画像形成方法を、以下の図3に示す公知のフルカラー画像形成装置を用いて説明する。なお、以下のフルカラー画像形成装置においては、像担持体として感光体が、中間転写体として無端状の中間転写ベルトが、記録部材としてシート状記録紙が使用されている。
【0175】
図3において、フルカラー画像形成装置は、概略、矢印a方向に回転駆動される感光体ドラム10と、レーザ走査光学系20と、フルカラー現像装置30と、矢印b方向に回転駆動される無端状の中間転写ベルト40と、給紙部60とで構成されている。感光体ドラム10の周囲には、さらに、感光体ドラム10の表面を所定の電位に帯電させる帯電ブラシ11、および感光体ドラム10上に残留したトナーを除去するクリーナーブレード12aを備えたクリーナー12が設置されている。本実施例では、球形トナーにおいてのクリーニング性能の信頼性を確保する為、ブラシクリーニング方式によるクリーナーに変更して実験を行った。
【0176】
レーザ走査光学系20はレーザダイオード、ポリゴンミラー、fθ光学素子を内蔵した周知のもので、その制御部にはC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、Bk(ブラック)ごとの印字データがホストコンピュータから転送される。レーザ走査光学系20は各色ごとの印字データを順次レーザビームとして出力し、感光体ドラム10上を走査露光する。これにより、感光体ドラム10上に各色ごとの静電潜像が順次形成される。
【0177】
フルカラー現像装置30はY、M、C、Bkの非磁性トナーからなる一成分系トナーを収容した4つの色別現像装置31Y、31M、31C、31Bkを一体化したもので、支軸81を支点として時計回り方向に回転可能である。各現像装置は現像スリーブ32、トナー規制ブレード34を備えている。現像スリーブ32の回転により搬送されるトナーは、ブレード34と現像スリーブ32との圧接部(間隙)を通過させることにより帯電される。
【0178】
イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーおよびブラックトナー、それぞれを収容させる現像装置の設置位置については、当該フルカラー画像形成装置が文字等の線図画像の複写を目的としたものか、あるいは写真画等のような各色の濃淡のある画像の複写を目的としたものかによって異なるが、例えば、文字等の線図画像の複写を目的とする場合には、ブラックトナーとして光沢性(艶性)を有しないものを使用するとき、当該ブラックトナー層がフルカラー複写画像上において最上位に形成されると違和感が生じるため、フルカラー複写画像上、最上位にブラックトナー層が形成されないようブラックトナーを現像装置に装填させることが好ましい。この場合において、最も好ましくは、ブラックトナーは複写画像上において当該ブラックトナー層が最下位に形成されるべく、2次転写時においては中間転写体上にブラックトナー層が最上位に形成されるよう装填される。このとき、イエロートナー、マゼンタトナーおよびシアントナー(カラートナー)には、1次転写におけるそれぞれの層の形成順序が1〜3番目のいずれかになるように任意に現像装置に装填されればよい。
【0179】
中間転写ベルト40は支持ローラ41、42およびテンションローラ43、44に無端状に張り渡され感光体ドラム10と同期して矢印b方向に回転駆動される。中間転写ベルト40の側部には図示しない突起が設けられ、この突起をマイクロスイッチ45が検出することにより、露光、現像、転写等の作像処理が制御される。中間転写ベルト40は回転自在な1次転写ローラ46に押圧されて感光体ドラム10に接触している。この接触部が1次転写部T1である。また、中間転写ベルト40は支持ローラ42に支持された部分で回転自在な2次転写ローラ47が接触している。この接触部が2次転写部T2である。
【0180】
さらに、前記現像装置30と中間転写ベルト40の間のスペースにはクリーナー50が設置されている。クリーナー50は中間転写ベルト40上の残留トナーを除去するためのブレード51を有している。このブレード51及び前記2次転写ローラ47は中間転写ベルト40に対して接離可能である。
【0181】
給紙部60は、画像形成装置本体1の正面側に開放可能な給紙トレイ61と、給紙ローラ62と、タイミングローラ63とから構成されている。記録シートSは給紙トレイ61上に積載され、給紙ローラ62の回転によって1枚ずつ図中右方へ給紙され、タイミングローラ63で中間転写ベルト40上に形成された画像と同期をとって2次転写部へ送り出される。記録シートの水平搬送路65は前記給紙部を含んでエアーサクションベルト66等で構成され、定着器70からは搬送ローラ72、73、74を備えた垂直搬送路71が設けられている。記録シートSはこの垂直搬送路71から画像形成装置本体1の上面へ排出される。
【0182】
ここで、上記フルカラー画像形成装置のプリント動作について説明する。
プリント動作が開始されると、感光体ドラム10および中間転写ベルト40が同じ周速度で回転駆動され、感光体ドラム10は帯電ブラシ11によって所定の電位に帯電される。
【0183】
続いてレーザ走査光学系20によってシアン画像の露光が行われ、感光体ドラム10上にシアン画像の静電潜像が形成される。この静電潜像は直ちに現像装置31Cで現像されると共に、トナー画像は1次転写部で中間転写ベルト40上に転写される。1次転写終了直後に現像装置31Mが現像部Dへ切り換えられ、続いてマゼンタ画像の露光、現像、1次転写が行われる。さらに、現像装置31Yへの切換え、イエロー画像の露光、現像、1次転写が行われる。さらに、現像装置31Bkへの切換え、ブラック画像の露光、現像、1次転写が行われ、1次転写ごとに中間転写ベルト40上にはトナー画像が重ねられていく。
【0184】
最終の1次転写が終了すると、記録シートSが2次転写部へ送り込まれ、中間転写ベルト40上に形成されたフルカラートナー画像が記録シートS上に転写される。この2次転写が終了すると、記録シートSはベルト型接触加熱定着器70へ搬送され、フルカラートナー画像が記録シートS上に定着されてプリンタ本体1の上面に排出される。
【0185】
本発明のフルカラートナーは、現像装置が上記のようにトナー規制ブレードと現像スリーブとの圧接部を通過させることによりトナーの帯電が行われる1成分現像方式を採用していても、またはキャリアとの摩擦によりトナーの帯電が行われる2成分現像方式を採用していても有効に使用され得る。一般に、トナー粒子にかかるストレスは2成分現像方式より1成分現像方式の方が大きいため、1成分現像方式で使用されるトナーは、2成分現像方式で使用されるトナー以上に耐ストレス性が要求される。また、現像の方法は接触現像、非接触現像いずれの場合にも好適に使用できる。
【0186】
上記図3の構成を有するフルカラープリンタ(Color Page Pro TMPS;ミノルタ社製)を用いて、オフセットが発生しない様定着装置のオイル塗布量を増量して、表7に示したカラートナーの組み合わせで、各種評価を行った。評価は高温高湿環境(HH環境)(30℃、85%RH)下、および低温低湿(LL環境)(10℃、15%RH)下で行いカブリ、中抜け、飛び散り、転写性、追随性およびスリーブ上のトナー粒径に付いて行った。初期評価結果を下記表7に示した。
【0187】
また、通常環境(LL環境)(10℃、15%RH)下で3000(3K)枚の複写後に付いても同様に評価し、結果を表8に示した。
【0188】
カブリは上記フルカラー現像用トナーを、フルカラープリンタ(Color Page Pro TMPS;ミノルタ社製)に装填し、4色重ね塗りによりB/W比30%の文字パターン画像を連続で10枚複写した際の複写画像を目視により観察し、以下のランク付けに従って評価した。なお、4種類のトナーは、4つの現像装置に、中間転写ベルト上の層形成順序が下からY、M、C、Bkとなるように装填されている。
○:ほとんどカブリは認められなかった;
△:若干のカブリが認められるが、実用上問題なかった;
×:カブリが全面にわたって存在し、実用上問題があった。
【0189】
中抜けは、上記フルカラー現像用トナーを、フルカラープリンタ(Color Page Pro TMPS;ミノルタ社製)に装填し、4色重ね刷りによりフルカラー画像(ジェネラルパターン)を複写し、10枚複写後におけるフルカラー複写画像を、以下のランク付けに従って評価した。なお、4種類のトナーは、4つの現像装置に、中間転写ベルト上の層形成順序が下からY、M、C、Bkとなるように装填されている。
○:複写画像上に中抜けは発生しなかった;
△:複写画像上に中抜けが若干発生しているものの、実用上問題なかった;
×:複写画像上に中抜けが多数発生しており、実用上問題があった。
【0190】
飛び散りは、上記フルカラー現像用トナーを、フルカラープリンタ(Color Page Pro TMPS;ミノルタ社製)に装填し、4色重ね刷りによりフルカラーライン画像(ジェネラルパターン)を複写し、10枚複写後におけるフルカラー複写画像を目視により観察し、以下のランク付けに従って評価した。なお、4種類のトナーは、4つの現像装置に、中間転写ベルト上の層形成順序が下からY、M、C、Bkとなるように装填されている。
○:ライン複写画像のまわりにトナーの飛び散りは認められなかった;
△:ライン複写画像のまわりにトナーの飛び散りが認められるが、実用上問題なかった;
×:ライン複写画像のまわりにトナーの飛び散りが多くみとめられ、にじみとして認識され、実用上問題があった。
【0191】
転写性は、上記フルカラー現像用トナーを、フルカラープリンタ(Color Page Pro TMPS;ミノルタ社製)に装填し、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー(以下、Y、M、C、R、G、Bという)、6種類(6色)のソリッドパターンを複写し、10回目の複写工程における感光体ドラム上のトナー付着量に対する紙上の付着量の割合から、以下のランク付けに従って評価した。
○:6種類のパターンについての上記割合が全て80%以上であった;
△:6種類のパターンについての上記割合のうち最小値が70%以上、80%未満であった;
×:6種類のパターンについての上記割合のうち最小値が70%未満であった。
【0192】
追随性は、B/W30%で10枚、通紙後、B/W100%の画像をプリントアウトし、その濃度むらを評価し、以下のようにランク付けした。
○:濃度むらなし;
△:若干の濃度むらは発生したが、実用上問題ない程度のもの;
×:濃度むら発生、実用上問題あり。
【0193】
スリーブ上トナー粒径は、現像器内に残されているトナー粒径(平均粒径&微粉成分の個数%)の違いについて、評価した。
○:10%以内の差で収まっている;
△:10〜20%の差が認められる;
×:20%以上の粒径選別を引き起こしている。
【0194】
【表7】
【0195】
【表8】
【0196】
フルカラープリンタ(Color Page Pro TMPS:ミノルタ社製)を用い、トナーとして表9および表10に示すオイルレス定着トナーを用い、モノクロ単色モードで評価を行った。評価は上記フルカラー評価で行った同様の評価を行った。HHおよびLL環境下での初期評価結果を表9に、NN環境下での3000枚複写後の評価結果を表10に示す。
【0197】
【表9】
【0198】
【表10】
【0199】
(2成分系現像剤としての評価)
2成分現像方法を実施する現像装置の一例を図4に基づいて説明する。
この現像装置410においては、図4に示すように、その内部にトナーTとキャリアとを含む現像剤401を収容させており、この現像剤401を搬送させる現像剤搬送部材411として、複数の磁極N1、S1、N2、S2、N3を含有するマグネットローラ411aが内周側に設けられた円筒状の現像剤スリーブ411を用い、この現像スリーブ411を現像領域において像担持体である感光体402と適当な間隔Dsを介して対向するようにして、回転可能に配置させている。
【0200】
この現像スリーブ411を感光体402と逆方向、すなわち現像スリーブ411と感光体402とが対向する現像領域では現像スリーブ411と感光体402とが同方向に移動するように回転させ、この現像スリーブ411の回転に伴って現像装置410内に収容された現像剤401を、上記のマグネットローラ411aによる磁力作用により磁気ブラシの状態で感光体402側に搬送させるようにしている。
【0201】
上記の現像スリーブ411には現像バイアス電源412を接続させており、この現像バイアス電源412から交流電圧或いは交流電圧に直流電圧を重畳させた現像バイアス電圧を印加させて、現像領域に振動電界を作用させるようにしている。
【0202】
上記の現像スリーブ411と感光体402とが対向する現像領域よりも現像剤401の搬送方向上流側で、前記マグネットローラ411aの磁極N1と対向する位置において、磁性ブレード413を現像スリーブ411と所要間隔を介して設け、この磁性ブレード413によって現像スリーブ411上における現像剤401の量を規制するようにしている。
【0203】
この現像装置410においては、その上部にトナーTを収容させたトナー収容部414を設けており、現像スリーブ411から現像剤401中におけるトナーTを感光体402に供給して現像を行った結果、現像装置410内における現像剤401中のトナー濃度が低下した場合には、このトナー収容部414の下に設けられたトナー補給ローラ415を回転させて、トナー収容部414に収容されたトナーTを現像装置410内の現像剤401に補給し、このように補給されたトナーTを、現像装置410内に設けられた混合撹拌部材416により現像剤401と混合撹拌して現像スリーブ411に供給するようになっている。
【0204】
また、上記のキャリアとトナーとを混合させた現像剤においては、この現像剤中におけるトナーの重量比が少ないと、十分な画像濃度が得られなくなったり、トナーが過剰に帯電され帯電量が高くなりすぎ、十分な現像が行えなくなる一方、トナーの重量比が多くなりすぎると、トナーがキャリアによって十分に帯電されず、形成される画像にカブリ等が発生する。このため、上記の現像剤としてはトナーの重量比が6〜20重量%、好ましくは6〜15重量%より好ましくは6〜11重量%のものを用いることが好ましい。
【0205】
この現像装置410においては、上記のように現像スリーブ411と感光体402とが対向する現像領域よりも現像剤401の搬送方向上流側に設けられた磁性ブレード413によって現像スリーブ411上における現像剤401の量を規制し、現像剤401をこの現像剤スリーブ411上で薄層状態にして感光体402と対向する現像領域に搬送し、上記の現像バイアス電源412から現像バイアス電圧を印加させて、この現像領域に振動電界を作用させ、現像スリーブ411によって搬送されてきた現像剤401中におけるトナーTを現像スリーブ411から感光体402の潜像部分に供給して現像を行うようになっている。
【0206】
この現像剤搬送部材によって現像領域に搬送させる現像剤はその量が少なすぎると、像担持体に供給されるトナーが不足し、十分な画像濃度を有する画像が得られなくなる。このため、現像剤搬送部材によって現像領域に搬送させる現像剤の量を、0.5〜30mg/cm2、好ましくは0.7〜10mg/cm2、より好ましくは1〜7.5mg/cm2の範囲になるようにする。
【0207】
また、現像を行うにあたって上記のように現像領域における現像剤搬送部材と像担持体との間に振動電界を作用させる場合、この振動電界が弱いと、トナーが放出された後のキャリアにおける電荷の移動が悪く、キャリアにカウンターチャージが残り、キャリアが像担持体に付着しやすくなる一方、この振動電界が強くなりすぎると、現像剤搬送部材と像担持体との間でリークが起こりやすくなるため、現像領域における現像剤搬送部材と像担持体との間隔をDs、印加する交流電圧のピーク・ピーク値をYp−pとした場合に、振動電圧(Vp−p/Ds)を3.5kV/mm≦Vp−p/Ds≦5.5kV/mmになるようにすることが好ましい。
【0208】
表11に示されたトナーおよびキャリアを表11に示されたトナー混合比重量%で混合し現像剤を調製し、各現像剤を前記の図4に示した構成を有する現像装置をDi30(ミノルタ社製)に搭載使用し、上記の現像スリーブ411と磁性ブレード413との間隔を調整して現像スリーブ411によって現像領域に搬送される現像剤401の搬送量を4.5mg/cm2に調整すると共に、感光体402と現像スリーブとの対向部における最短間隔を0.35mm、感光体402の周速度を165mm/s、現像スリーブ411の周速度を300mm/sに調整し、上記の感光体402においてトナーTを供給しない部分の表面電位が−450V、トナーTを供給する部分の表面電位が−100Vになるようにした。
【0209】
そして、現像スリーブ411と感光体402とが対向する現像領域において、前記の現像バイアス電源412から−350Vの直流電圧と、ピーク・ピーク値Vp−pが1.4kV、周波数が3kHzの矩形波でduty比(現像:回収)が1:1になった交流電圧とを重畳させた現像バイアス電圧を印加させて反転現像を行い、形成された画像の評価を行うにようにした。
【0210】
評価はカブリ、濃度ムラおよびキャリア付着について耐環境性を加味して行った。
【0211】
カブリまたは濃度ムラはHH環境(30℃、85%RH)下およびLL環境(10℃、15%RH)下において、B/W比50%画像の画出しを行い、以下のようにランク付けを行った。
○:両環境ともにカブリまたは濃度ムラが目視で認められない;
△:若干カブリ/濃度ムラが認められるが両環境ともに実用上問題なし;
×:少なくとも一方の環境下でカブリまたは濃度ムラがひどく実用上問題がある。
【0212】
キャリア付着はHH環境下およびLL環境下において、B/W比50%画像の画出しを行い、以下のようにランク付けを行った。
○:両環境ともにキャリア付着が目視認められない;
△:若干キャリア付着が認められるが両環境ともに実用上問題なし;
×:少なくとも一方の環境下でキャリア付着がひどく実用上問題がある。
以上の結果を下記表11に示す。
【0213】
【表11】
【0214】
さらに表11における実施例1の現像剤においては現像装置を図4の現像装置に改造したDi−30(ミノルタ社製)を用いて、B/W比が5%の画像を1万枚複写し、耐刷テストを行った。その結果、画像形成時における濃度ムラ、かぶり等画像上問題のない結果が得られた。
【0215】
(磁性トナーとしての評価)
現像状態を評価するために使用した現像装置の1例を図5に基づいて次に説明する。
図5に示すように、現像剤を搬送させる現像剤搬送部材(511)として複数のN1、S1、N2、S2を有するマグネットローラ(511a)が固定して内周側に設けられた円筒状のアルミニウム(表面に30μmのウレタン層の形成された)からなる現像スリーブ(511)を用い、この現像スリーブ(511)を現像領域において像担持体である感光体(501)と適切な間隔(Ds)を介して対向するようにして回転可能に保持されている。
【0216】
そして、この現像剤担持体511が像担持体501と対向する現像領域と反対側における装置本体510内に現像剤512を収容させると共にアジテーター513を設け、このアジテーター513を回転させて装置本体510内に収容された現像剤512を上記の現像剤担持体511の表面に供給するようにしている。
そして、この現像剤担持体511を回転させ、上記のように表面に供給された現像剤512をこの現像剤担持体511により像担持体501と対向する現像領域に搬送させる途中において、装置本体510内に設けられた規制部材514をこの現像剤担持体511の表面に圧接させ、この現像剤担持体511によって現像領域に搬送される現像剤512の量を規制すると共に、この現像剤担持体511の表面における現像剤512を摩擦帯電させるようにしている。
【0217】
そして、このように規制部材514により搬送量が規制されて摩擦帯電された現像剤512を上記の現像剤担持体511によって像担持体501と対向する現像領域に搬送し、この現像剤担持体511に電源515から現像バイアス電圧を印加して、現像剤担持体511の表面に保持された現像剤512を像担持体501に形成された静電潜像に供給して現像をおこなうようになっている。
【0218】
像担持体501と所要間隔を介して対向する現像剤担持体511の表面に現像剤512を保持させて像担持体と対向する現像領域に導くと共に、現像剤担持体に交番電圧を印加させて現像を行なう現像装置において、現像剤担持体に印加させる交番電圧のピークピーク値Vppと、この現像剤担持体における導電性基体と上記の像担持体とが対向する間隔Dsとが、Vpp/Ds=7kV/mmの関係を満たすようにした。
【0219】
評価は、搬送性、かぶり、スリーブフィルミング、スリーブ上トナー粒径について行ない、下記のようにランク付けした。
【0220】
▲1▼搬送性;B/W30%で10枚、通紙後、B/W100%の画像をプリントアウトし、その濃度ムラについて評価した。
○:濃度ムラなし;
△:若干の濃度ムラは発生したが、実用上問題なし;
×:濃度ムラ発生実用上問題である。
【0221】
▲2▼かぶり;B/W0%(白)画像を10枚連続でプリントアウト時の画像カブリを評価した。
○:カブリなし;
△:若干のカブリは発生したが、実用上問題なし;
×:カブリ発生実用上問題である。
【0222】
▲3▼スリーブフィルミング;初期、HH環境、LL環境各100枚のプリントアウト時、ならびにNN環境で3000枚耐久テスト後のスリーブ上のフィルミングを評価した。
○:フィルミングなし;
△:若干のフィルミングが確認されるが、実用上問題なし;
×:画像ノイズを引き起こし、実用上問題である。
【0223】
▲4▼スリーブ上トナー粒径;ホッパー中のトナー粒径(平均粒径&微粉成分の個数%)の違いについて、評価した。
○:10%以内の差で収まっている;
△:10〜20%の差が認められる;
×:20%以上の粒径選別を引き起こしている。
【0224】
以上の評価結果を表12および表13にまとめた。表12には、HH環境(30℃,85%RH)下、およびLL環境(10℃、15%RH)下においての画出しを行ない評価した結果を示してある。
表13は、NN環境(25℃、55%RH)下において3000枚の複写後に評価した結果を示してある。
【0225】
【表12】
【0226】
【表13】
【0227】
【発明の効果】
本発明は、混練−粉砕法で得られた現像剤(トナーおよび/またはキャリア)粒子の形状を球状でかつ均一な形状に制御され、さらには、現像剤の表面に有する細孔を低減し、平滑性を上げた現像剤を提供した。このことにより帯電の均一性ならびに画像性能に選れ、長期にわたって安定した画像性能を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 瞬間的加熱処理を行なうための装置の概略構成図。
【図2】 図1の装置における試料噴射室の概略水平断面図。
【図3】 一成分フルカラー画像形成装置の概略構成図。
【図4】 二成分現像方法を実施する現像装置の概略構成図。
【図5】 磁性トナー現像方法を実施する現像装置の概略構成図。
【図6】 トナー粒子(Y−5)の粒子構造を示す写真。
【図7】 トナー粒子(Y−5)の粒子構造を示す写真。
【図8】 トナー粒子(Y−13)の粒子構造を示す写真。
【図9】 トナー粒子(Y−13)の粒子構造を示す写真。
【符号の説明】
101: 熱風発生装置
102、102’、102”: 導入管
103: 試料噴射ノズル
104: 滞留した粉体
105: トナー粒子
106: 熱風噴射ノズル
107: 噴射室
108: 冷却風導入部
109: サイクロン
111: 製品タンク
112: バグフィルター
113: ブロアー
114: コニカル部
115: フィダー
Claims (6)
- 少なくともバインダ樹脂および着色剤を含有し、瞬間加熱処理により非磁性着色樹脂粒子の表面に無機微粒子が固定された非磁性トナー粒子からなり、このトナー粒子が0.960以上の平均円形度、0.040以下の円形度の標準偏差を有することを特徴とするトナー。
- 前記トナーが、0.40以上のD/d50{但し、d50はトナーの重量平均粒径、D=6/(ρ・S)であり、ρはトナーの真密度(g/cm3)、SはトナーのBET比表面積(m2/g)を表す。}を有することを特徴とする請求項1記載のトナー。
- 少なくともバインダ樹脂および磁性粉を含有し、瞬間加熱処理により樹脂粒子の表面に無機微粒子が固定された磁性トナー粒子からなり、このトナー粒子が0.950以上の平均円形度、0.040以下の円形度の標準偏差を有することを特徴とするトナー。
- 前記トナーが、0.20以上のD/d50{但し、d50はトナーの重量平均粒径、D=6/(ρ・S)であり、ρはトナーの真密度(g/cm3)、SはトナーのBET比表面積(m2/g)を表す。}を有することを特徴とする請求項3記載のトナー。
- 少なくともバインダ樹脂および磁性粉を含有し、瞬間加熱処理により樹脂粒子の表面に無機微粒子が固定されたキャリア粒子からなり、このキャリア粒子が0.940以上の平均円形度、0.055以下の円形度の標準偏差を有することを特徴とするキャリア。
- 前記キャリアが、0.004以上のD/d50{但し、d50はキャリアの重量平均粒径、D=6/(ρ・S)であり、ρはキャリアの真密度(g/cm3)、SはキャリアのBET比表面積(m2/g)を表す。}を有することを特徴とする請求項5記載のキャリア。
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