JP2006285198A - トナー粒子、トナー粒子の製造装置及び製造方法 - Google Patents

トナー粒子、トナー粒子の製造装置及び製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 単純な構造でありながら、低温定着性能に優れると共に広い非オフセット温度領域を有するトナー粒子、及び、当該トナー粒子の製造に適したトナー粒子の製造装置および方法を提供する。
【解決手段】 ワックス成分1が集中した状態で(塊状態で長手状に)粒子内部に存在し、且つ当該粒子内部側のワックス成分1の一部(長手方向の端面)が、外部に露出するか、あるいは、他のトナー原料2の薄層で覆われて外部と接するトナー粒子3であり、その製造方法は、中心部側にワックス成分が存在する断面構造の繊維状体を作製した後、当該繊維状体を粉砕して作製する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ワックス成分を含有したトナー粒子、及び、当該トナー粒子の製造装置及び製造方法に関する。
トナー粒子の製造についての従来方法のうち、粉砕法では、バインダ樹脂や着色剤(顔料・染料)やワックス成分等のトナー原料を混練して、ワックス成分をバインダ樹脂に微分散した後、粉砕してトナー粒子を製造する。尚、粉砕トナーでは、製造工程及びトナーの取扱性からワックス成分の含有量は通常3〜5%程度に制限される。
一方、重合等の化学反応を用いて作製されるケミカルトナーでは、製法の特徴を生かした粒子設計により、ワックス成分をコア部に内包したコアシェル構造を持つワックス内包型トナーが市販されている(例えば特許文献1参照)。尚、ケミカルトナーでは、粉砕トナーに比べて多量(10%以上)のワックス成分を含ませることができ、このため、定着ローラ等へのオイル塗布を不要とする所謂オイルレストナーに適している。
また、ケミカルトナーにおいて、ワックス成分の微粒子をトナー粒子表面ではなく表面近傍に分散させることで、高温オフセット温度を高くしつつ低温定着性を向上させる技術が提案されている(特許文献2参照)。
特開平7−152217号公報 特開2002−351143号公報
前記粉砕トナーでは、ワックス成分の分散状態の制御に多くのノウハウを必要とし、その制御は容易ではなかった。また、定着性能に関して広い非オフセット温度領域(低温オフセット温度と高温オフセット温度の差が大きい)を有するためには、ワックス成分の分散状態が均一過ぎることは好ましくなく、ある程度の不均一性が求められる。すなわち、ワックス成分は樹脂に相溶した状態よりも微分散した状態が好適とされる。
しかし、ワックス成分の分散状態の不均一さは、トナー諸物性の不均一を招くおそれがあり、また、粉砕工程において融着の要因ともなり、さらに、分級処理によって分けられた粗粉及び微粉中でのトナー諸成分の不均一を招き、微粉のリサイクルを困難にする。したがって、一般に粉砕トナーでは、広い非オフセット温度領域特性と、均一なトナー物性及び製造し易さ等を両立させるトナー設計は困難である。
ケミカルトナーでは、ワックス成分の含有量は多いものの、シェルの設計や使用成分の組み合わせによって、外側のシェル層が厚くなりロール定着時に外側のシェルが割れ難くなる等するため、コア部のワックス成分を速やかに外部に放出するのが困難となり、低温定着性能が十分ではなかった。また、特許文献2記載のケミカルトナーでは、低温定着性能と広い非オフセット温度領域特性においてある程度の改善が実現できるが、トナー粒子の構造及び製造方法が複雑になる不利がある。
ちなみに、ケミカルトナーではトナー粒子設計のノウハウが十分ではなく、潜在的には粒子設計に柔軟性はあるが、粉砕トナーに比べてトナー諸物性の制御が困難である問題もある。例えば、高速・低温定着性を求めるカラートナー用には、ベース樹脂にポリエステル系樹脂を選択するのが好適とされているが、ケミカルトナーではポリエステル系樹脂の使用が難しく、多くはスチレン・アクリル系樹脂を使用している。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、単純な構造でありながら、低温定着性能に優れると共に広い非オフセット温度領域を有するトナー粒子、及び、当該トナー粒子の製造に適したトナー粒子の製造装置及び製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係るトナー粒子の第一特徴構成は、ワックス成分が集中した状態で粒子内部に存在し、且つ当該粒子内部側のワックス成分の一部が、外部に露出するか、あるいは、他のトナー原料の薄層で覆われて外部と接する点にある。
すなわち、本発明のトナー粒子が上に載った紙等の画像形成材を熱ローラ等の定着装置に通すと、トナー粒子の内部側に集中して存在するワックス成分が圧力を受けるが、この場合先ず外部に露出したワックス成分の一部が直接外部に染み出るか、あるいは他のトナー原料の薄層で覆われて外部と接するワックス成分の一部が当該薄層を破って外部に染み出した後、隣接する残りのワックス成分が同じ経路を通って順次染み出すので、ワックス成分の全体が速やかに粒子の外に押し出される。その結果、例えば溶融温度が高いワックス成分を多く含むトナー粒子であっても低温条件での定着が可能となり、同時に、ワックス成分の溶融温度が高ければ、高温条件での粘度低下が小さくなるので、高温オフセット温度が高くなり、広い非オフセット温度領域も実現できる。
従って、単純な構造でありながら、低温定着性能に優れると共に広い非オフセット温度領域を有するトナー粒子が提供される。
同第二特徴構成は、上記第一特徴構成において、前記粒子内部側のワックス成分が塊状態で存在する点にある。
すなわち、トナー粒子の内部側に存在するワックス成分が塊状態であるので、定着時に圧力を受けると、最初に外部に染み出したワックス成分の一部に繋がった状態で残りのワックス成分が外部に染み出すので、ワックス成分の全体が一層速やかに粒子の外に押し出される。
従って、一層優れた低温定着性能と非オフセット温度領域特性を確保できるトナー粒子が提供される。
同第三特徴構成は、上記第二特徴構成において、前記塊状のワックス成分が長手状に形成され、且つ、当該長手状のワックス成分の長手方向両端面のうちの少なくとも一方の端面が、外部に露出するか、あるいは、他のトナー原料の薄層で覆われて外部と接する点にある。
すなわち、定着時に圧力を受けると、最初に長手方向両端面のうちの少なくとも一方の端面のワックス成分が外部に染み出した後、残りのワックス成分が長手方向に沿って流れて両端面あるいは一方の端面から粒子の外に押し出されるので、ワックス成分の全体が安定した状態で一層速やかに粒子外に押し出される。
従って、上記第二特徴構成のトナー粒子の好適な実施形態が提供される。
同第四特徴構成は、上記第一から第三特徴構成のいずれかにおいて、粒子表面が更に樹脂層で覆われている点にある。
すなわち、ワックス成分が外部に露出する場合にその露出箇所が樹脂層で覆われているので、ワックスの露出に伴う不都合(例えば、保存時におけるトナー粒子の凝集、ワックス成分の変質など)の発生を有効に回避させることができる。
従って、上記第一から第三特徴構成のトナー粒子の好適な実施形態が提供される。
同第五特徴構成は、上記第四特徴構成において、前記樹脂層が帯電制御剤を含んでいる点にある。
すなわち、粒子の帯電特性に最も関係する粒子表面が前記樹脂層で覆われてその性質が変化したような場合に、当該樹脂層に帯電制御剤を含ませることにより所望の帯電特性にすることができる。その結果、従来バインダ樹脂等のトナー原料の混練時に帯電制御剤を添加していたような場合に、その帯電制御剤の添加を不要にして使用原料を簡素化することもできる。
従って、上記第四特徴構成のトナー粒子の好適な実施形態が提供される。
上記目的を達成するための本発明に係るトナー粒子の製造装置の第一特徴構成は、中心部側にワックス成分が存在する断面構造の繊維状体を作製する繊維化部と、前記繊維状体を粉砕してトナー粒子を作製する粒子化部とを有する点にある。
すなわち、繊維化部では、中心部側にワックス成分が存在する断面構造の繊維状体を作製することで、ワックス成分が粒子内部側に塊状態で存在する状態のトナー粒子の前駆体が得られ、粒子化部では、上記前駆体を粉砕してその破砕面にワックス成分の一部表面が露出するか、あるいは切断時に引きずられて形成された鞘側のトナー原料の薄層で覆われて外部と接するトナー粒子を作製する。なお、上記露出したワックス成分が粉砕時の熱により溶融したとしても毛管現象によって内部に保持され、外部に染み出すことはない。
従って、本発明に係るトナー粒子、特に上記第三特徴構成のトナー粒子の製造に適したトナー粒子の製造装置が提供される。
同第二特徴構成は、上記第一特徴構成において、前記繊維化部では、ワックス成分を含むトナー原料の溶融混合物もしくは溶解混合物を押し出すワックス用ノズルと、前記ワックス用ノズルの周囲に配置されてワックス成分を含まないトナー原料の溶融混合物もしくは溶解混合物を押し出す主ノズルとを用いて、前記断面構造の繊維状体を作製する点にある。
すなわち、内側のワックス用ノズルからワックス成分を含むトナー原料の溶融混合物もしくは溶解混合物を押し出すとともに、ワックス用ノズルの周囲に配置した主ノズルからワックス成分を含まないトナー原料の溶融混合物もしくは溶解混合物を押し出すと、内側にワックス成分が存在し周囲に他のトナー原料成分が存在する状態のトナー原料の溶融混合物もしくは溶解混合物が生成され、溶融混合物の場合は冷却により、又溶解混合物の場合は溶剤の蒸発により固化して、前記断面構造の繊維状体が連続的に作製される。
従って、トナー粒子を効率良く製造することができるトナー粒子の製造装置の好適な実施形態が提供される。
同第三特徴構成は、上記第一特徴構成において、前記繊維化部では、バインダ樹脂及びワックス成分を含むトナー原料の溶融混合物もしくは溶解混合物を所定長さのノズル流路に通流させたのちノズル出口から押出して、前記断面構造の繊維状体を作製する点にある。
すなわち、バインダ樹脂及びワックス成分を含むトナー原料の溶融混合物もしくは溶解混合物をノズル流路に通流させると、ワックス成分とこれ以外の他のトナー原料(バインダ樹脂等)との溶融状態での比重、粘度など、あるいは溶解状態での溶解度因子(SP値)等の物性値の違いにより、例えばワックス成分に比べて溶融温度が高く高粘度のバインダ樹脂はノズル内面側に寄っていき、一方溶融温度が低く低粘度のワックス成分は芯側に留まる傾向になる。その結果、所定長さのノズル流路を通流し、ノズル出口から押出されたときには、中心部側にワックス成分が多く存在する状態のトナー原料の溶融混合物もしくは溶解混合物が生成され、溶融混合物の場合は冷却により、又溶解混合物の場合は溶剤の蒸発により固化して、前記断面構造の繊維状体が連続的に作製される。
従って、トナー粒子を効率良く製造することができるトナー粒子の製造装置の好適な実施形態が提供される。特に、上記第二特徴構成の製造装置に比べて、ノズル構造が簡素化できる点で有利である。
同第四特徴構成は、上記第三特徴構成において、前記ノズル流路の内面が、トナー原料中のワックス成分よりもバインダ樹脂に親和性を有する点にある。
すなわち、ワックス成分よりもバインダ樹脂に親和性を有するノズル流路の内面に対して、バインダ樹脂がワックス成分を残しながら一層速やかに寄っていくことになる。
従って、上記第三特徴構成のトナー粒子の製造装置の好適な実施形態が提供される。
同第五特徴構成は、上記第三又は第四特徴構成において、前記ノズル流路の断面径が、出口側に向けて徐々に小さくなるように形成されている点にある。
すなわち、出口側に向けて断面径が徐々に小さくなったノズル流路を通流するトナー原料の溶融混合物もしくは溶解混合物が乱れの発生を抑制した状態でノズル流路の内面に押し付けられるので、トナー原料中のバインダ樹脂が流路内面と相互作用してノズル流路の内面側に寄っていく効果が高まり、その結果、所望の繊維径に絞られ且つ中心部側にワックス成分が存在する断面構造の繊維状体を均一な状態で作製することができる。
従って、上記トナー粒子の製造装置の好適な実施形態が提供される。
同第六特徴構成は、上記第二から第五特徴構成のいずれかにおいて、前記トナー原料に含まれるバインダ樹脂とワックス及び前記トナー原料に選択的に含まれる帯電制御剤が、下記の(a)〜(d)の関係を有する点にある。
(a)バインダ樹脂の流出温度≧ワックスの溶融温度
(b)バインダ樹脂の比重≧ワックスの比重
(c)バインダ樹脂の溶解度因子>ワックスの溶解度因子
(d)帯電制御剤の溶解度因子>ワックスの溶解度因子
すなわち、上記第二特徴構成の製造装置において、トナー原料が帯電制御剤を含む場合は、上記(a)〜(d)の関係を有することで、主ノズルから押し出されたバインダ樹脂及び帯電制御剤と、ワックス用ノズルから押し出されたワックス成分とが互いに混じり合うことを抑制して、中心部側にワックス成分が存在し、周辺部にバインダ樹脂と帯電制御剤が存在する断面構造の繊維状体を良好に作製することができ、また、トナー原料が帯電制御剤を含まない場合は、上記(a)〜(c)の関係を有することで、主ノズルから押し出されたバインダ樹脂と、ワックス用ノズルから押し出されたワックス成分とが互いに混じり合うことを抑制して、中心部側にワックス成分が存在し、周辺部にバインダ樹脂が存在する断面構造の繊維状体を良好に作製することができる。
一方、上記第三から第五特徴構成の製造装置において、トナー原料が帯電制御剤を含む場合は、上記(a)〜(d)の関係を有することで、単一のノズルから押し出されたバインダ樹脂、帯電制御剤及びワックス成分の溶融混合物がノズル流路を通過するときに、バインダ樹脂と帯電制御剤がワックス成分から分離しながら周辺部に移動するとともに、分離したワックス成分と再び混ざり合うことが抑制されるので、中心部側にワックス成分が存在し、周辺部にバインダ樹脂と帯電制御剤が存在する断面構造の繊維状体を良好に作製することができ、また、トナー原料が帯電制御剤を含まない場合は、上記(a)〜(c)の関係を有することで、単一のノズルから押し出されたバインダ樹脂とワックス成分の溶融混合物がノズル流路を通過するときに、バインダ樹脂がワックス成分から分離しながら周辺部に移動するとともに、分離したワックス成分と再び混ざり合うことが抑制されるので、中心部側にワックス成分が存在し、周辺部にバインダ樹脂が存在する断面構造の繊維状体を良好に作製することができる。
同第七特徴構成は、上記第一から第六特徴構成のいずれかにおいて、前記粒子化部で作製されたトナー粒子の表面をコーティング材料で処理するコーティング部を有する点にある。
すなわち、コーティング部では、前記粒子化部で作製されたトナー粒子の表面がコーティング材料で処理され、コーティング層が形成される。
従って、前記第四特徴構成のトナー粒子の製造に適したトナー粒子の製造装置が提供される。
同第八特徴構成は、上記第七特徴構成において、前記コーティング材料が帯電制御剤を含んでいる点にある。
すなわち、コーティング部において、前記粒子化部で作製されたトナー粒子の表面が帯電制御剤を含むコーティング材料で処理され、帯電制御剤を含むコーティング層で覆われる。
従って、前記第五特徴構成のトナー粒子の製造に適したトナー粒子の製造装置が提供される。
同第九特徴構成は、上記第七又は第八特徴構成において、前記コーティング材料が前記粒子化部における粉砕処理若しくは分級処理により発生した微粉を含んでいる点にある。
すなわち、前記粒子化部における粉砕処理若しくは分級処理で発生した微粉がコーティング部において使用されるコーティング材料に混ぜられ、この微粉入りのコーティング材料が粒子化部で作製されたトナー粒子の表面にコーティング層を形成する。その結果、トナー原料の収率向上に寄与し、また、この微粉を帯電制御剤として用いる等により、粒子表面がトナー本来の成分に近い物性となる点でも好ましい。
従って、前記粒子化部において発生した微粉を有効利用することができる前記第七又は第八特徴構成のトナー粒子の製造装置の好適な実施形態が提供される。
同第十特徴構成は、上記第七から第九特徴構成のいずれかにおいて、前記コーティング部が、内部にコーティング材料の液を噴出するスプレーノズルを備えた流動層式混合装置で構成されている点にある。
すなわち、当該流動層式混合装置内の流動層で流動している前記トナー粒子に対してスプレーノズルよりコーティング材料の液を噴出させると、当該液がトナー粒子の表面に均一に付着するので、その後乾燥させると、粒子表面にコーティング層を均一に形成させることができる。
従って、上記第七から第九特徴構成のトナー粒子の製造装置の好適な実施形態が提供される。
さらに、本発明に係るトナー粒子の製造方法の特徴構成は、上記第一から第十特徴構成のいずれかのトナー粒子の製造装置を用いた点にあり、これによって、上述の製造装置において説明したように、本発明に係るトナー粒子、特に上記第三、第四及び第五特徴構成のトナー粒子の製造に適したトナー粒子の製造方法が提供される。
本発明に係るトナー粒子及びトナー粒子の製造装置及び製造方法の実施形態について図面に基づいて説明する。
本発明に係るトナー粒子3は、ワックス成分1が集中した状態で粒子内部に存在し、且つ粒子内部側のワックス成分1の一部が、外部に露出するか、あるいは、バインダ樹脂、着色剤(顔料・染料)等の他のトナー原料2の薄層で覆われて外部と接する構造である。具体的には、図1に模式的に示すように、上記粒子内部側のワックス成分1が塊状態で長手状に形成され、当該長手状のワックス成分1の長手方向両端面のうちの少なくとも一方の端面が、外部に露出するか、あるいは、他のトナー原料2の薄層で覆われて外部と接する。なお、図1には、長手状のワックス成分1が長手方向の両端面で外部に露出する例を示す。
上記ワックス成分1の配合量は、トナーの特性、機能に応じて、おおよそ3重量%から15重量%程度の広い範囲で設定することができる。ちなみに、上記配合量の範囲は、トナー粒子形状が円柱状でワックス成分1が芯(コア)部に同心円状に存在すると仮定した図1の場合、トナー粒子断面径に対するワックス部分の直径比は約17.3〜38.7%になる。
さらに、本発明に係るトナー粒子3Aは、図2に示すように、上記トナー粒子3の粒子表面が更に樹脂層13で覆われた構造に形成することができる。ここで、樹脂層13は、例えばウレタン樹脂等の各種ポリマーで構成される。また、樹脂層13は、トナー帯電用のレシチン等の各種帯電制御剤を含んでいてもよい。
本発明のトナーの製造装置は、バインダ樹脂、着色剤、ワックス成分等の複数の成分からなるトナー原料を溶融混合する溶融混合部100と、溶融混合部100で得られたトナー原料の溶融混合物から中心部側にワックス成分が存在する断面構造の繊維状体を作製する繊維化部200と、前記繊維状体を粉砕してトナー粒子を作製する粒子化部300とを有する。尚、上記粒子化部300では、分級機を備えた粉砕機等を用いて粉砕物を分級し、所望の粒度のトナー粒子を得るようにしている。
また、粒子表面が更に樹脂層13で覆われたトナー粒子3Aを得る場合は、さらに、前記粒子化部300で作製されたトナー粒子の表面をコーティング材料で処理するコーティング部400を有する。そして、前記樹脂層13が帯電制御剤を含む場合は、コーティング材料に当該帯電制御剤を含ませる。また、このコーティング材料が前記粒子化部300における粉砕処理若しくは分級処理により発生した微粉を含むようにしてもよい。
そして、本発明のトナーの製造方法は、図3に示すように、上記トナーの製造装置を用い、溶融混合工程、繊維化工程、粒子化工程を経てトナー粒子3を製造するものであり、また、粒子表面を更に樹脂層13で覆う場合には、図4に示すように、上記トナーの製造装置を用い、溶融混合工程、繊維化工程、粒子化工程、及びコーティング工程を経てトナー粒子3Aを製造するものである。
次に、上記繊維化部について、2つの実施形態を説明する。
第1実施形態における繊維化部200には、図6(イ)に示すように、ワックス成分を含むトナー原料の溶融混合物を押し出すワックス用ノズル25と、前記ワックス用ノズルの周囲に配置されてワックス成分を含まないトナー原料の溶融混合物を押し出す主ノズル26とを用いて、前記断面構造の繊維状体24を作製する押出し用ノズル8が設けられている。
上記第1実施形態の繊維化部200を備えたトナー粒子の製造装置には、具体的には図5に示すように、混合装置(例えば、ホソカワミクロン(株)製サイクロミックス)6、ホッパ10A付の二軸型エクストルーダー10、モータ5で駆動されるギアポンプ4、多段の流路構造体7の一方の分配流路7Aを経て、各押出し用ノズル8のシェル側の主ノズル26に通流するシェル側経路SRと、供給機16、モータ17で駆動されるギアポンプ15、多段の流路構造体7の他方の分配流路7Bを経て、各押出し用ノズル8のコア側のワックス用ノズル25に通流するコア側経路CRとが設けられている。なお、押出し用ノズル8は各分配流路7A,7Bの最終段の各流路出口に対応させて複数並置されている。また、二軸型エクストルーダー10、供給機16、各ギアポンプ4,15及び流路構造体7には、図示は省略するが、トナー原料をバインダ樹脂の融点以上の高温、例えば130℃〜240℃程度に加熱して低粘度にするためのヒータを備えている。
上記装置において、ワックス成分を除くバインダ樹脂、帯電制御剤等を含むトナー原料が上記シェル側経路SRに投入され、ワックス成分を含むトナー原料が上記コア側経路CRに投入される。二軸型エクストルーダー10内に投入されたトナー原料は、溶融混合されながら出口側に送られ、ギアポンプ4で圧力及び押し出し量を調整されて、分配流路7Aに送られる。一方、供給機16内に投入されたトナー原料は、溶融混合されながら出口側に送られ、ギアポンプ15で圧力及び押し出し量を調整されて、分配流路7Bに送られる。そして、各ノズル8から下向きに繊維状に押し出されるとともに図示しない延伸用エアー吹き出し装置から吹き出す熱風によって延伸され、さらに冷風を吹き付けられて冷却されて、繊維状体24が得られる。なお、下方に落下したトナー原料の繊維状物は受け容器9内に回収され、所定量ごとに粉砕機40に投入されて粉砕処理される。
従って、上記第1実施形態の製造装置では、二軸型エクストルーダー10と供給機16が主として溶融混合部100を構成し、流路構造体7と押出し用ノズル8が主として繊維化部200を構成し、粉砕機40が粒子化部300を構成する。
上記繊維状体24の構造は、図6(ロ)に示すように、中心部21にワックス成分が存在し、その周囲部分22にバインダ樹脂等の他のトナー原料が存在する2層(1芯型)の断面構造に形成される。尚、図6(ロ)は、図6(イ)の矢視位置における繊維状体24の断面を示す。また、ノズル部構造の変更によって、図6(ハ)に示すように、ワックス成分が存在する中心部21が複数の多芯(マルチコア)型の繊維状体24を作製することもできる。
トナー原料としては、基本的に従来公知のトナー用材料(ワックス、バインダ樹脂、帯電制御剤等)が利用できるが、バインダ樹脂は特にポリエステル系、ポリオール系、スチレン・アクリル系樹脂が好適である。また、ワックス、バインダ樹脂、帯電制御剤の組み合わせは、以下のようなものであることが望ましい。
・バインダ樹脂の流出温度≧ワックスの溶融温度
・バインダ樹脂の比重≧ワックスの比重
・バインダ樹脂の溶解度因子>ワックスの溶解度因子
・帯電制御剤の溶解度因子>ワックスの溶解度因子
さらに、各成分の配合割合は、トナー原料100重量%に対し、バインダ樹脂70〜97.5重量%、帯電制御剤0.05〜15重量%、ワックス成分2〜15重量%の範囲にあることが望ましい。
以下、上記各トナー原料について具体的に説明する。
本発明のトナーに使用されるバインダ樹脂としては従来公知のものを広く使用することができる。例えば、スチレン、パラクロルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリアミド、(メタ)アクリル酸、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルメチルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、ブタジエン等の単量体の重量体、又はこれらの単量体の2種類以上からなる共重合体、或いはそれらの混合物が挙げられる。その他、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ロジン、変性ロジン、テルベン樹脂、フェノール樹脂、水添石油樹脂などが単独、あるいは混合して使用できる。
また、本発明のトナーに用いられるワックス類は、従来公知のものが使用できる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックスやフィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックスや密ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸、及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド等、及びこれらの各種変性ワックスが挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用して用いることができる。
さらに、これらのワックスとしては、融点を70〜125℃の範囲のものを使用するのが好ましい。融点を70度以上とすることにより転写性、耐久性が優れたトナーとすることができ、融点を125℃以下とすることにより定着時に速やかに溶融し、低温での定着においても確実な離型効果を発揮できる。また、ワックスの針入度が5以下のものを使用するのが好ましい。さらにワックスの選択において重要な点はバインダ樹脂に対して非相溶であることである。相溶するか非相溶かは、樹脂同士の場合と同様に溶融混合し白濁すれば非相溶と判断する。
尚、本発明のカラートナーに用いられる着色剤としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のトナーを得ることが可能な公知の顔料や染料が使用できる。例えば、以下のものが使用できる。黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等が挙げられる。また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等が挙げられる。
また、紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等が挙げられる。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等が挙げられる。黒色顔料としては、各種のカーボンブラック等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を使用することができる。
本発明のトナーに用いる帯電制御剤(帯電制御樹脂)としては電子受容性或いは電子供与性基を有する樹脂等従来公知の物が用いられる。たとえば、スルホン酸基を有するポリマー、アミノ基を含有するビニル系ポリマー、アミノ基を有する縮合系ポリマー等のポリアミン樹脂等を使用することができる。この内、負帯電性トナーでは特にスルホン酸基を有する樹脂が帯電安定性の面から好ましい。
また、本発明のトナーは必要に応じてその他の荷電制御剤をトナー中に含有させることができる。例えば、ニグロシン、炭素数2〜16のアルキル基を含むアジン系染料(特公昭42−1627号公報)、塩基性染料(例えばC.I.BasicYello
2(C.I.41000)、C.I.Basic Yello 3、C.I.Basic Red 1(C.I.45160)、C.I.Basic Red 9(C.I.42500)、C.I.BasicViolet
1(C.I.42535)、C.I.Basic Violet 3(C.I.42555)、C.I.Basic Violet 10(C.I.45170)、C.I.BasicViolet
14(C.I.42510)、C.I.Basic Blue 1(C.I.42025)、C.I.Basic Blue 3(C.I.51005)、C.I.BasicBlue5(C.I.42140)、C.I.Basic
Blue 7(C.I.42595)、C.I.Basic Blue 9(C.I.52015)、C.I.BasicBlue 24(C.I.52030)、C.I.BasicBlue
25(C.I.52025)、C.I.Basic Blue 26(C.I.44045)、C.I.BasicGreen 1(C.I.42040)、C.I.Basic
Green 4(C.I.42000)など、これらの塩基性染料のレーキ顔料、C.I.Solvent Black8(C.I.26150)、ベンゾイルメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルクロライド等の4級アンモニウム塩、あるいはジブチル又はジオクチルなどのジアルキル錫化合物、ジアルキル錫ボレート化合物、グアニジン誘導体、特公昭41−20153号公報、特公昭43−27596号公報、特公昭44−6397号公報、特公昭45−26478号公報に記載されているモノアゾ染料の金属錯塩、特公昭55−42752号公報、特公昭59−7385号公報に記載されているサルチル酸、ジアルキルサルチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のZn、Al、Co、Cr、Fe等の金属錯体、スルホン化した銅フタロシアニン顔料、有機ホウ素塩類、含フッ素四級アンモニウム塩、カリックスアレン系化合物等が挙げられる。ブラック以外のカラートナーは、当然目的の色を損なう荷電制御剤の使用は避けるべきであり、白色のサリチル酸誘導体の金属塩等が好適に使用される。
本発明のトナーにおいては、トナーの流動性や転写性等を向上させるため、疎水化処理されたシリカや酸化チタン、アルミナ等の微粒子や樹脂微粒子等の外添剤をトナー母体に外添する。また、脂肪属金属塩やポリフッ化ビニリデンの微粒子等の滑剤等も併用可能である。特に本発明のトナーでは、疎水化処理された酸化チタンを外添することにより湿度変化による帯電量の変動を著しく減少させることができる。また、疎水化処理されたシリカ及び疎水化処理された酸化チタンを外添し、疎水化処理されたシリカの外添量より疎水化処理された酸化チタンの外添量を多くすることによりトナーの流動性や転写性等を向上させるとともに湿度変化による帯電量の変動を減少させることができる。さらに、1次粒子径0.01〜0.03μmの疎水化処理されたシリカ及び比表面積20〜60m2の疎水化処理されたシリカ、疎水化処理された酸化チタンを外添することにより実使用時の帯電性の低下を減少させることができ耐久性が向上する。
なお、ここで用いられる疎水化処理剤の代表例としては以下のものが挙げられる。ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、p−クロルフェニルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルジクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジベンチル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、ジヘキサデシル−ジクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジデセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルベンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ジエチルテトラメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。この他チタネート系カップリング剤、アルミニューム系カップリング剤も使用可能である。
本発明のトナーは一成分現像用、二成分現像用ともに用いることができる。トナーを二成分現像剤用として用いる場合にはキャリア粉と混合して用いられる。この場合のキャリアとしては、公知のものがすべて使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、ニッケル粉、ガラスビーズ等及びこれらの表面を樹脂などで被覆処理した物などが挙げられる。トナーとキャリアの使用割合は通常キャリア100重量部に対してトナー2〜10重量部である。キャリア表面を被覆処理する樹脂としては、シリコン樹脂、スチレン−アクリル系共重合体、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂等の従来から用いられているものが使用できる。
次に第2実施形態における繊維化部200には、図8(イ)に示すように、バインダ樹脂及びワックス成分を含むトナー原料の溶融混合物を所定長さのノズル流路12Aに通流させたのちノズル出口12Bから押出して、前記断面構造の繊維状体を作製する押出し用ノズル12が設けられている。そして、ノズル流路12Aの内面が、トナー原料中のワックス成分よりもバインダ樹脂に親和性を有し、さらに、ノズル流路12Aの断面径が、出口12B側に向けて徐々に小さくなるように形成されている。即ち第1実施形態のような2重管ノズルを用いるものと異なり、単一ノズルでの通流過程において自己形成によって、バインダ樹脂成分がノズル流路内面側に移動し、ワックス成分が繊維状体の中心側に集まるようにするものである。
上記第2実施形態の繊維化部200を備えたトナー粒子の製造装置は、具体的には図7に示すように、第1実施形態で説明した混合装置(ホソカワミクロン(株)製サイクロミックス)6、ホッパ10A付の二軸型エクストルーダー10、モータ5で駆動されるギアポンプ4を使用するともに、このギアポンプ4の出口を多段の流路構造体11の分配流路11Aに接続し、各押出し用ノズル12に通流する単一の経路が設けられている。なお、押出し用ノズル12は分配流路11Aの最終段の各流路出口に対応させて複数並置され、開口径は100〜500μmの範囲が好適である。また、二軸型エクストルーダー10、ギアポンプ4及び流路構造体11には、第1実施形態と同様に、トナー原料をバインダ樹脂の融点以上の高温、例えば130℃〜240℃程度に加熱して低粘度にするためのヒータを備えている。
上記ノズル12の材質は、鉄、ステンレス、ニッケル、銅、亜鉛、金、銀、白金等の金属の外に、セラミックス、ガラスなど、公知の各種材料が使用できるが、金属系材料が好適である。また、任意の材質のノズルの流路内面に、ニッケル、ハードクロムなどのメッキやダイヤモンド状コーティング、窒化処理を施すようにしたものでもよい。
上記装置において、ワックス成分、バインダ樹脂、帯電制御剤等を含むトナー原料が投入されると、二軸型エクストルーダー10内で溶融混合されながら出口側に送られ、ギアポンプ4で圧力及び押し出し量を調整された後、分配流路11Aに送られる。そして、各ノズル12から下向きに繊維状に押し出されるとともに図示しない延伸用エアー吹き出し装置から吹き出す熱風によって延伸され、さらに冷風を吹き付けられて冷却されて、繊維状体24Aが得られる。なお、第1実施形態と同様に、下方に落下したトナー原料の繊維状物は受け容器9内に回収され、所定量ごとに粉砕機40に投入されて粉砕処理される。
従って、上記第2実施形態の製造装置では、二軸型エクストルーダー10が主として溶融混合部100を構成し、流路構造体11と押出し用ノズル12が主として繊維化部200を構成し、粉砕機40が粒子化部300を構成する。
上記繊維状体24Aの構造は、図8(ロ)に示すように、中心部21側にワックス成分が1芯もしくは多芯(マルチコア)状態で存在し、中心部から周囲部分22になるに従って、バインダ樹脂等の他のトナー原料の量が多くなる断面構造に形成される。尚、図8(ロ)には、ワックス成分の多数の小塊が中心部21に存在する多芯型構造の例を示す。
トナー原料としては、基本的に従来公知のトナー用材料(ワックス、バインダ樹脂、帯電制御剤等)が利用でき、また、ワックス、バインダ樹脂、帯電制御剤の組み合わせ条件は、第1実施形態と同様に、以下の関係を有することが望ましい。
・バインダ樹脂の流出温度≧ワックスの溶融温度
・バインダ樹脂の比重≧ワックスの比重
・バインダ樹脂の溶解度因子>ワックスの溶解度因子
・帯電制御剤の溶解度因子>ワックスの溶解度因子
さらに、各成分の配合割合は、トナー原料100重量%に対し、バインダ樹脂70〜97.5重量%、帯電制御剤0.05〜15重量%、ワックス成分2〜15重量%の範囲にあることが望ましい。
次に前記粉砕機40について説明すると、例えば、ホソカワミクロン(株)製:ACMパルベライザで構成される。具体的には、図9に示すように、下方に気体導入口41を設け上方に気体及び粉体の排出口42を設けた本体43の内部を筒状部材44によって外側の粉砕室Aと内側の分級室Bとに区分し、粉砕室Aが粉砕部材45を備えた回転体45Aを内蔵するとともに下方側で前記気体導入口41に連通し、分級室Bが粗粉と微粉を分級して微粉のみを通過させる分級機構46を経由して前記排出口42に連通している。尚、原料(トナー原料の繊維状物)は本体43の横側部に設けた投入口43Aから粉砕室Aに投入する。また、排出口42は図示しないバグフィルタ内蔵の集塵機を通して外部に向けて吸引排気されている。上記回転体45Aは上下軸心周りに回転自在であり、回転体45Aの外周部に、縦型ハンマータイプの前記粉砕部材45が粉砕室Aの内壁部に装着されたライナ47と間隙を隔てる状態で複数取付けられている。そして、上記粉砕室Aにおいて原料が粉砕部材45から機械的衝撃力を受けて粉砕される。
上記分級機構46は、上下軸心周りに回転自在な回転体48の外周部に複数の分級羽根49を立設させた構造であり、粉砕物に作用する分級室Bから排出口42に向かう気流の搬送力と回転体48によって付与される遠心力の差によって微粉と粗粉を分離する。即ち、粉砕室Aから分級室Bに流入した粉砕物のうち、気流による搬送力の方が大きく作用する微粉は分級羽根49を通過して排出口42から排出され、遠心力の方が大きく作用する粗粉は分級羽根49を通過せずに筒状部材44の下方から粉砕室Aに戻る。
次に、前記コーティング部400について説明すると、図10に示すように、内部にコーティング液(樹脂液)を噴出するスプレーノズルを備えた流動層式混合装置(例えば、ホソカワミクロン(株)製:アグロマスタAGM−SD)で構成されている。以下、本装置の概要を説明する。
処理室51を備えた装置本体50の下方に、処理室51の内部に空気を供給するための空気供給口52及び送風装置53、ヒータ54が設けてある。処理室51の底部に設けた空気吹出部55から、ヒータ54により暖めた空気を処理室51内に上向きに吹き出す。この吹出し空気により、塗料微粒子を所定温度範囲に保ちつつ流動化させる。空気吹出部55は、例えば円板状の空気吹出部材55aに多数の小開口55bを開けたものを、処理室51の下部を閉塞状態に取り付けることにより構成する。さらに、処理室51の下方に、上向きのスプレーノズル56が設けられ、スプレーノズル56には、ポンプ57によりコーティング液が供給されるとともに、図外の加圧エアー供給装置によりスプレーエアーが供給される。これにより、処理室51内の流動層にコーティング液が噴霧供給される。
上記流動層式混合装置において、コーティング液は樹脂材料を溶媒に溶解した溶解液、又は樹脂材料を溶媒にコロイド、懸濁、乳化等の状態で分散させた分散液など種々の形態が可能である。また、コーティング液は、溶媒自身で例えばトナー粒子のバインダ樹脂を溶かしてタック性を持たせるような有機溶媒でもよい。なお、コーティング液に帯電制御剤等の添加剤を添加する場合、コーティング過程の最初から添加してもよいが、コーティング過程の後期から添加することにより、帯電制御剤等を粒子の表面側に局在させて、粒子の表面物性により有効に寄与させるようにすることが可能である。
〔別実施形態〕
上記実施形態では、繊維化部200において、トナー原料の溶融混合物をノズルから押し出して繊維状体を作成するようにしたが、トナー原料を溶剤に溶解させた溶解混合物をノズルから押し出して繊維状体を作成するようにしてもよい。
上記実施形態では、繊維化部200で得られたトナー原料の繊維状体をいったん容器9に回収してから、粒子化部300(粉砕機40)に投入したが、トナー原料の繊維状体を連続的に粒子化部300(粉砕機40)に投入するように構成することも可能である。
上記実施形態では、溶融混練するトナー原料に帯電制御剤を含ませたが、コーティング部400によってトナー粒子表面に形成される樹脂層13が帯電制御剤を含み、この帯電制御剤によって所望のトナー帯電特性を得る場合は、溶融混練するトナー原料に帯電制御剤を含ませないようにすることも可能である。この場合、ワックスとバインダ樹脂の組み合わせ条件は、以下の関係を有することが望ましい。
・バインダ樹脂の流出温度≧ワックスの溶融温度
・バインダ樹脂の比重≧ワックスの比重
・バインダ樹脂の溶解度因子>ワックスの溶解度因子
次に、本発明に係るトナー粒子の実施例として、第1実施形態に対応する実施例1−1と、第2実施形態に対応する実施例1−2について説明する。
〔実施例1−1〕
ポリエステル樹脂(Tg:64℃、流出開始温度(島津製作所製フローテスタにより測定、以下同様):119℃)100重量部、カーボンブラック10重量部、及びサリチル酸亜鉛塩3重量部を前記混合装置6で予備混合した後、二軸型エクストルーダー10に供給して溶融混練し、ギアポンプ4で圧力調整した後(ギアポンプ後段で約4.2Mpa)、温度150℃の溶融状態で外径300μmのノズル8のシェル側に導入した。一方、カルナウバワックス(融点:83℃)9部を供給機17に供給して溶融し、ギアポンプ17で圧力調整した後(ギアポンプ後段で約4.2Mpa)、温度120℃の溶融状態で外径300μmのノズル8のコア側に導入した。そして、上記ノズル8から押し出された繊維状物を熱風により線径5.0μmとなるように延伸し、微粒子前駆体繊維を得た。尚、このときの繊維の生成速度は、押し出し量と繊維径から約40m/secと算出された。
次に、上記微粒子前駆体繊維を前記分級機内蔵型粉砕機(ACMパルベライザ)で粉砕及び分級処理した結果、体積平均径6.1μm、個数平均径5.1μmで、体積基準における12μm以上の粒子の割合が1.3%、16μm以上の粒子の割合が0%、個数基準における5μm未満の微粉粒子の割合が11.8%の粒度分布のトナー粒子を得た。
以上で得たトナー粒子について、エポキシ樹脂包埋を行い、これを切断した後、さらにミクロトームで超箔切片を作製し、必要に応じて断面を四酸化ルテニウムで染色し、粒子断面をTEM観察した。その結果、粒子外周部にバインダ樹脂が存在し、粒子中心部に1〜n(n≧2)個のコア状にワックスが存在している様子が確認できた。
〔実施例1−2〕
ポリエステル樹脂(Tg:64℃、流出開始温度:119℃)100重量部、カーボンブラック10重量部、サリチル酸亜鉛塩3重量部、及びカルナウバワックス(融点:83℃)9重量部を、前記混合装置6で予備混合した後、二軸型エクストルーダー10に供給して溶融混練し、ギアポンプ4で圧力調整した後(ギアポンプ後段で約4.2Mpa)、温度150℃の溶融状態で孔径300μmのノズル12から押し出しつつ熱風により繊維径5.0μmとなるように延伸し、微粒子前駆体繊維を得た。尚、このときの繊維の生成速度は、押し出し量と繊維径から約40m/secと算出された。
さらに、上記微粒子前駆体繊維を、前記分級機内蔵型粉砕機(ACMパルベライザ)で粉砕及び分級処理した結果、体積平均径6.2μm、個数平均径5.2μmで、体積基準における12μm以上の粒子の割合が1.2%、16μm以上の粒子の割合が0%、個数基準における5μm未満の微粉粒子の割合が12.1%の粒度分布のトナー粒子を得た。
以上で得たトナー粒子について、エポキシ樹脂包埋を行い、これを切断した後、さらにミクロトームで超箔切片を作製し、必要に応じて断面を四酸化ルテニウムで染色し、粒子断面をTEM観察した。その結果、粒子外周部にバインダ樹脂が存在し、粒子中心部にワックスが局在化している様子が確認できた。
〔比較例〕
次に、上記実施例1−1,1−2で得られたトナー粒子に対する比較例を説明する。
ポリエステル樹脂(Tg:64℃、流出開始温度:119℃)100重量部、カーボンブラック10重量部、サリチル酸亜鉛塩3重量部、及びカルナウバワックス(融点:83℃)9重量部を、前記混合装置6で予備混合した後、二軸型エクストルーダー10に供給して溶融混練し、冷却後、フェザミル(ホソカワミクロン(株)製)による粗砕と、カウンタージェットミル(ホソカワミクロン(株)製)による微粉砕を行い、さらにトナーセパレータTTSP(ホソカワミクロン(株)製)で分級処理した結果、体積平均径6.2μm、個数平均径5.2μmで、体積基準における12μm以上の粒子の割合が1.2%、16μm以上の粒子の割合が0%、個数基準における5μm未満の微粉粒子の割合が12.2%の粒度分布のトナー粒子を得た。
以上で得たトナー粒子について、エポキシ樹脂包埋を行い、これを切断した後、さらにミクロトームで超箔切片を作製し、必要に応じて断面を四酸化ルテニウムで染色し、粒子断面をTEM観察した。その結果、粒子全体にワックスが細かく分散している様子が確認された。
次いで、上記実施例1−1で得られたトナー用粒子を各100重量部、ステアリン酸亜鉛(平均粒子径0.3μm)0.02重量部、シリカ(比表面積から算出した粒子径12nm)0.75重量部、及びシリカ(比表面積から算出した粒子径30nm)0.75重量部を、圧縮剪断型混合機(例えば、ホソカワミクロン(株)製:メカノフュージョンAMS)により攪拌混合して、現像剤1を得た。
実施例1−2で得られたトナー用粒子についても、上記と同様の方法・条件により、ステアリン酸亜鉛と2種のシリカを攪拌混合して、現像剤2を得た。
また比較例で得られたトナー用粒子についても、上記と同様の方法・条件により、ステアリン酸亜鉛と2種のシリカを攪拌混合して、現像剤3を得た。
そして、上記現像剤1,2,3について耐オフセット性(高温、低温)、耐久性、感光体へのフィルミング性を評価した。結果を表1に示す。
なお、上記評価は、カシオ計算機株式会社製プリンターSPEEDIA N5を使用して以下のように行なった。
(1)耐オフセット性(高温)
定着ローラの温度を高温側へ変化させ、高温オフセットが発生し始める温度を測定し、下記基準で評価した。
・高温までオフセットが発生しない場合 耐オフセット性(高温)に優れる ○
・低温からオフセットが発生する場合 耐オフセット性(高温)に劣る ×
(2)耐オフセット性(低温)
定着ローラの温度を低温側へ変化させ、低温オフセットが発生し始める温度を測定し、下記基準で評価した。
・低温までオフセットが発生しない場合 耐オフセット性(低温)に優れる ○
・高温からオフセットが発生する場合 耐オフセット性(低温)に劣る ×
(3)耐久性
画像面積5%のテストチャートを1万枚印刷し、現像剤の帯電量の低下度合いを測定し、下記基準で評価した。
・帯電量の低下が少ない場合 耐久性に優れる ○
・帯電量の低下が多い場合 耐久性に劣る ×
(4)感光体へのフィルミング
クリーニングブレードの押し付け圧を増加し、画像面積5%のテストチャートを1万枚印刷した後の感光体へのフィルミングの有無を下記基準で評価した。
・フィルミングが認められない場合 ○
・フィルミングの兆候が認められる場合 △
・フィルミングが認められる場合 ×
次に、図5に示すトナー製造装置を用い、さらに、図10に示すコーティング装置を用いてコーティング処理されるトナー粒子3Aの実施例2について説明する。
〔実施例2〕
ポリエステル樹脂(Tg:63℃、流出開始温度:118℃)100重量部、及びカーボンブラック10重量部を前記混合装置6で予備混合した後、二軸型エクストルーダー10に供給して溶融混練し、ギアポンプ4で圧力調整した後(ギアポンプ後段で約4.2Mpa)、温度150℃の溶融状態で外径300μmのノズル8のシェル側に導入した。一方、カルナウバワックス(融点:83℃)8.5部を供給機17に供給して溶融し、ギアポンプ17で圧力調整した後(ギアポンプ後段で約4.2Mpa)、温度120℃の溶融状態で外径300μmのノズル8のコア側に導入した。そして、上記ノズル8から押し出された繊維状物を熱風により線径5.0μmとなるように延伸し、微粒子前駆体繊維を得た。尚、このときの繊維の生成速度は、押し出し量と繊維径から約40m/secと算出された。
次に上記微粒子前駆体繊維を前記分級機内蔵型粉砕機(ACMパルベライザ)で粉砕及び分級処理し、別途の微粉及び粗粉除去を行うことなく、体積平均径6.3〜6.5μm、個数平均径5.3〜5.6μmで、体積基準における12μm以上の粒子の割合が1.2〜1.5%、16μm以上の粒子の割合が0%、個数基準における5μm未満の微粉粒子の割合が13.8〜14.6%の粒度分布のトナー粒子群Xを得た。
以上で得たトナー粒子群Xを、前記流動層式混合装置(アグロマスタAGM−SD)に投入し、空気吹出部55から55℃の温風を空塔速度0.9m/sec(ノルマル換算)で供給し、流動化させた。そして、この流動層中に、流動層の底部に設置した二流体式のスプレーノズル56からコーティング液を噴霧供給した。コーティング液は、ウレタンエラストマーを水中に分散させた水系ウレタン樹脂(バインダ樹脂)、純水、レシチン(帯電制御剤)を9:90:1の割合で混合し、ホソカワミクロン(株)製の湿式ボールミルアクアマイザを用いてスラリー化したものである。
上記コーティング液の供給速度は、10g/min(トナー原料1kg当たり)とし、一定の速度で供給した。全量を供給した後、引き続き55℃の温風を供給し続け、製品の水分値が0.3wt%(カールフィッシャー法により測定、100℃、N量200cc、N供給方法:10分間ためこみ法)となった時点で温風を冷風(外気取り込み:15〜25℃)に切り替え、排風温度が38℃となった時点で運転操作を終了し、トナー粒子群Yを得た。トナー粒子群Yの粒度分布は、体積平均径6.5〜6.8μm、個数平均径5.7〜6.0μmで、体積基準による12μm以上の粒子の割合が1.3〜1.5%、16μm以上の粒子の割合が0%、個数基準による5μm未満の微粉粒子の割合が6.2〜7.5%の粒度分布で、微粉成分の少ない良質なものであった。
次に、上記トナー粒子群Yを100重量部、ステアリン酸マグネシウム(平均粒子径1.2μm)0.01部、シリカ(比表面積から逆算した粒子径20nm)0.8重量部、シリカ(比表面積から逆算した粒子径50nm)0.8重量部、アルミナ(平均粒子径0.97μm)1.20重量部を、高速剪断型混合機(例えば、ホソカワミクロン(株)製ノビルタ)で単位質量当りの原料粒子群に与える動力を0.35kw/hとして攪拌混合による外添処理を行い、現像剤Yを得た。同様に、トナー粒子群Yをトナー粒子群Xに替え、他の原料は同じものを使用して現像剤Xを得た。
最終的に、上記現像剤Y、現像剤Xについて、以下のような評価結果が得られた。
現像剤Yの粒度分布は、体積平均径6.6〜6.8μm、個数平均径5.7〜6.0μm、体積基準における12μm以上の粒子の割合が1.5〜1.9%、16μm以上の粒子の割合が0%、個数基準による5μm未満の微粉粒子の割合が4.9〜6.5%で、良質なものであった。
一方、現像剤Xの粒度分布は、体積平均径7.2〜7.6μm、個数平均径6.3〜6.7μm、体積基準における12μm以上の粒子の割合が3.2〜3.9%、16μm以上の粒子の割合が0.6〜0.9%、個数基準による5μm未満の微粉粒子の割合が10.2〜11.6%であり、粒度の増大とともに、微粉および粗大粒子の増加が顕著であった。これは、粒子の端面に露出したワックス成分の一部が外添処理時の機械的な衝撃ではがれ、また、加工時の温度上昇により溶融して粒子表面などに移行した結果、凝集の原因となったものと思われる。
帯電量については、現像剤Yは、−38〜−44μC/g(ブローオフ法による)でトナー粒子として好適な帯電量が得られ、一方、現像剤Xは、−14〜−22μC/gでトナー粒子として帯電量が不足であった。
本発明に係るトナー粒子及びその製造装置・方法は、ワックス成分の含有量を任意に調整することができ、特にワックス成分を多量に含み、低温定着性に優れ、広い非オフセット領域を有するオイルレストナー用等に広く適用できる。
また、表面を樹脂層でコーティングしたトナー粒子では、ワックス成分の露出による不都合を解消し、さらに、帯電等の諸物性を改善する用途に適用できる。
本発明に係るトナー粒子の構造例を模式的に示す断面図 本発明に係るトナー粒子の他の構造例を示す断面図 本発明に係るトナー粒子の製造方法の工程図 本発明に係るトナー粒子の他の製造方法の工程図 第1実施形態におけるトナー粒子の製造装置の全体構成を示す図 第1実施形態の繊維化部に使用するノズル及び繊維状体の構造を示す断面図 第2実施形態におけるトナー粒子の製造装置の全体構成を示す図 第2実施形態の繊維化部に使用するノズル及び繊維状体の構造を示す断面図 粒子化部で使用する粉砕装置の構造を示す断面図 コーティング部に使用する流動層式混合装置の構造を示す断面図
符号の説明
1 ワックス成分
2 他のトナー原料
3 トナー粒子
3A トナー粒子
4 ギアポンプ
5 モータ
6 混合装置
7 流路構造体
7A 分配流路
7B 分配流路
8 ノズル
9 回収容器
10 二軸型エクストルーダー
10A ホッパ
11 流路構造体
11A 分配流路
12 ノズル
12A ノズル流路
12B ノズル出口
13 樹脂層
15 ギアポンプ
16 供給機
17 モータ
21 中心部
22 周囲部分
24 繊維状体
24A 繊維状体
25 ワックス用ノズル
26 主ノズル
40 粉砕機
41 気体導入口
42 排出口
43 本体
43A 供給口
44 筒状部材
45 粉砕部材
45A 回転体
46 分級機構
47 ライナ
48 回転体
49 分級羽根
50 装置本体
51 処理室
52 空気供給口
53 送風装置
54 ヒータ
55 空気吹出部
55a 空気吹出部材
55b 小開口
56 スプレーノズル
57 ポンプ
100 溶融混合部
200 繊維化部
300 粒子化部
400 コーティング部
A 粉砕室
B 分級室
CR コア側経路
SR シェル側経路

Claims (16)

  1. ワックス成分が集中した状態で粒子内部に存在し、且つ当該粒子内部側のワックス成分の一部が、外部に露出するか、あるいは、他のトナー原料の薄層で覆われて外部と接するトナー粒子。
  2. 前記粒子内部側のワックス成分が塊状態で存在する請求項1記載のトナー粒子。
  3. 前記塊状のワックス成分が長手状に形成され、当該長手状のワックス成分の長手方向両端面のうちの少なくとも一方の端面が、外部に露出するか、あるいは、他のトナー原料の薄層で覆われて外部と接する請求項2記載のトナー粒子。
  4. 粒子表面が更に樹脂層で覆われている請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー粒子。
  5. 前記樹脂層が帯電制御剤を含んでいる請求項4記載のトナー粒子。
  6. 中心部側にワックス成分が存在する断面構造の繊維状体を作製する繊維化部と、前記繊維状体を粉砕してトナー粒子を作製する粒子化部とを有するトナー粒子の製造装置。
  7. 前記繊維化部では、ワックス成分を含むトナー原料の溶融混合物もしくは溶解混合物を押し出すワックス用ノズルと、前記ワックス用ノズルの周囲に配置されてワックス成分を含まないトナー原料の溶融混合物もしくは溶解混合物を押し出す主ノズルとを用いて、前記断面構造の繊維状体を作製する請求項6記載のトナー粒子の製造装置。
  8. 前記繊維化部では、バインダ樹脂及びワックス成分を含むトナー原料の溶融混合物もしくは溶解混合物を所定長さのノズル流路に通流させたのちノズル出口から押出して、前記断面構造の繊維状体を作製する請求項6記載のトナー粒子の製造装置。
  9. 前記ノズル流路の内面が、トナー原料中のワックス成分よりもバインダ樹脂に親和性を有する請求項8記載のトナー粒子の製造装置。
  10. 前記ノズル流路の断面径が、出口側に向けて徐々に小さくなるように形成されている請求項8又は9記載のトナー粒子の製造装置。
  11. 前記トナー原料に含まれるバインダ樹脂とワックス及び前記トナー原料に選択的に含まれる帯電制御剤が、下記の(a)〜(d)の関係を有する請求項7〜10のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造装置。
    (a)バインダ樹脂の流出温度≧ワックスの溶融温度
    (b)バインダ樹脂の比重≧ワックスの比重
    (c)バインダ樹脂の溶解度因子>ワックスの溶解度因子
    (d)帯電制御剤の溶解度因子>ワックスの溶解度因子
  12. 前記粒子化部で作製されたトナー粒子の表面をコーティング材料で処理するコーティング部を有する請求項6〜11のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造装置。
  13. 前記コーティング材料が帯電制御剤を含んでいる請求項12記載のトナー粒子の製造装置。
  14. 前記コーティング材料が前記粒子化部における粉砕処理若しくは分級処理により発生した微粉を含んでいる請求項12又は13に記載のトナー粒子の製造装置。
  15. 前記コーティング部が、内部にコーティング材料の液を噴出するスプレーノズルを備えた流動層式混合装置で構成されている請求項12〜14のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造装置。
  16. 請求項6〜16のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造装置を用いたトナー粒子の製造方法。

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