JP5741475B2 - 半導体装置 - Google Patents

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本明細書で開示する技術は、ダイオードに関する。
特許文献1には、p型のアノード領域とn型のカソード領域を有するダイオードが開示されている。アノード領域は、半導体基板の上面に露出している。カソード領域は、アノード領域の下側に形成されている。アノード領域は、低濃度領域と、低濃度領域よりp型不純物濃度が高い複数の高濃度領域を備えている。各高濃度領域の上端は半導体基板の上面に露出し、下端は低濃度領域の下端より深い位置に位置している。アノード領域が高濃度領域を備えることにより、カソード領域への正孔の注入効率が高くなる。これによってダイオードの順方向電圧が低くされている。
特開2010−67901号公報
特許文献1のダイオードにおいて、順方向電圧をより低くしようとする場合、各高濃度領域の下端を、カソード領域内のより深い位置に位置させることが考えられる。しかしながら、この場合、高濃度領域の下端とカソード領域の下端との間の距離が短くなるため、耐圧が低下してしまう。
また、各高濃度領域同士の配置間隔を狭くすることにより、複数の高濃度領域を高密度で多数配置することも考えられる。しかしながら、この場合、アノード領域全体の不純物濃度が過度に高くなってしまうため、カソード領域に正孔が過剰に注入され、結果的にスイッチング特性が悪化してしまう。
本明細書では、順方向電圧を低くすることができるととともに、耐圧の低下、及び、スイッチング特性の悪化を抑制することができるダイオードを開示する。
本明細書で開示するダイオードは、半導体基板と、半導体基板の上面に形成されているアノード電極と、を有する。半導体基板は、半導体基板の上面に露出する範囲に形成されているp型のアノード領域と、アノード領域の下側に形成されているn型のカソード領域を備える。アノード領域は、低濃度領域と、低濃度領域よりp型不純物濃度が高い複数の第1高濃度領域と、低濃度領域よりp型不純物濃度が高い複数の第2高濃度領域とを有している。低濃度領域は、その上端がアノード電極に接している。各第1高濃度領域は、その側面の少なくとも一部が低濃度領域に接しており、その上端がアノード電極に接しており、その下端が低濃度領域の下端よりも深い位置に位置している。各第2高濃度領域は、その側面の少なくとも一部が低濃度領域に接しており、その上端がアノード電極に接しており、その下端が第1高濃度領域の下端よりも浅い位置に位置している。
上記のダイオードでは、アノード領域が、第1高濃度領域に加えて、第2高濃度領域を有している。そのため、従来の構成のダイオードに比べ、アノード領域からカソード領域への正孔の注入効率を高くすることができ、順方向電圧を低くすることができる。第2高濃度領域を形成することで、カソード領域への正孔の注入効率を高くするため、第1高濃度領域の下端の位置をカソード領域内の深い位置に形成する必要がない。即ち、第1高濃度領域の下端とカソード領域の下端との間の距離を確保することができ、耐圧の低下を抑制することができる。さらに、このダイオードでは、第2高濃度領域の下端が、第1高濃度領域の下端よりも浅い位置に位置している。そのため、第1高濃度領域のみを高密度で多数配置した場合と比べて、アノード領域全体の不純物濃度が過度に高くなることもない。そのため、カソード領域に正孔が過剰に注入されることが抑制され、スイッチング特性が悪化することを抑制することができる。従って、上記のダイオードによると、順方向電圧を低くすることができるととともに、耐圧の低下、及び、スイッチング特性の悪化を抑制することができる。
実施例の半導体装置の断面図。 実施例の半導体装置の平面図。
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)各第1高濃度領域は、その両側面のそれぞれが、少なくとも部分的に低濃度領域に接していてもよい。各第2高濃度領域は、その両側面のそれぞれが、少なくとも部分的に低濃度領域に接していてもよい。
(特徴)複数の第1高濃度領域は、半導体基板を平面視したときに所定方向に並んで配置されていてもよい。第2高濃度領域は、半導体基板を平面視したときに、前記所定方向において隣合う2つの第1高濃度領域の間に配置されていてもよい。この構成によると、アノード領域の不純物濃度が部分的に過度に高くなることを抑制することができる。スイッチング特性の悪化をより効果的に抑制することができる。
(特徴)各第2高濃度領域の下端は、低濃度領域の下端よりも浅い位置に位置していてもよい。各第2高濃度領域は、低濃度領域によって第1高濃度領域及びカソード領域から隔離されていてもよい。この構成によると、半導体基板の深さ方向において、第2高濃度領域とカソード領域との間に、低濃度領域が存在する。このため、第2高濃度領域とカソード領域との間の不純物濃度の濃度勾配が、低濃度領域によって緩やかとなる。その結果、第2高濃度領域とカソード領域との間に電界が集中することを抑制することができ、耐圧の低下をより効果的に抑制することができる。
(特徴4)第1高濃度領域は、第2高濃度領域よりp型不純物濃度が高くてもよい。
図1に示すダイオード10は、半導体基板12と、半導体基板12の上面及び下面に形成された電極30、32、絶縁膜等によって構成されている。半導体基板12内には、アノード領域20と、カソード領域27と、複数のFLR(フィールドリミッティングリング)40が形成されている。半導体基板12の端面12aとアノード領域20の間の領域は、ダイオードの主電流が流れない外周領域14である。
アノード領域20は、p型であり、半導体基板12の上面に臨む範囲に形成されている。図2に示すように、アノード領域20は、半導体基板12を平面視したときに半導体基板12の略中央に形成されている。図1に示すように、アノード領域20は、低濃度領域22と、複数の第1高濃度領域24と、複数の第2高濃度領域26とを有している。
低濃度領域22は、比較的低いp型不純物濃度を有している。低濃度領域22は、外周領域14の内側部分のうち、半導体基板12の上面に臨む範囲に形成されている。
第1高濃度領域24は、低濃度領域22よりも高いp型不純物濃度を有している。複数の第1高濃度領域24は、半導体基板12のうち、アノード電極30と接する範囲内に島状に形成されている。複数の第1高濃度領域24は、それぞれ、図1のX方向に間隔を空けて設けられている。また、図示しないが、各第1高濃度領域24は、図2のY方向に沿って伸びている。各第1高濃度領域24は、その上端が半導体基板12の上面に露出し、その下端が低濃度領域22の下端よりも深い位置(すなわち、カソード領域27内)に位置している。また、各第1高濃度領域24の側面は、上端側において低濃度領域22に接しており、下端側においてカソード領域27に接している。なお、本明細書では、「深い」、「浅い」の各語は、「半導体基板の上面から見て深い(浅い)」という意味で用いている。
第2高濃度領域26も、低濃度領域22よりも高いp型不純物濃度を有している。本実施例では、第2高濃度領域26は、第1高濃度領域24と同じp型不純物濃度を有している。複数の第2高濃度領域26は、半導体基板12のうちアノード電極30と接する範囲内に島状に形成されている。複数の第2高濃度領域26は、それぞれ、図1のX方向において、隣合う2つの第1高濃度領域24の間に配置され、隣合う第2高濃度領域26の間には間隔が設けられている。言い換えると、本実施例では、図1のX方向において、第1高濃度領域24と第2高濃度領域26とが、間隔を空けて交互に設けられている。また、図示しないが、各第2高濃度領域26も、第1高濃度領域24と同様に、図2のY方向に沿って伸びている。各第2高濃度領域26は、その上端が半導体基板12の上面に露出し、その下端が、低濃度領域22の下端より浅い位置に位置している。各第2高濃度領域26の側面及び下面は、低濃度領域22と接している。そのため、各第2高濃度領域26は、低濃度領域22によって第1高濃度領域24及びカソード領域27から隔離されている。半導体基板12の深さ方向(図1のZ方向)において、第2高濃度領域26とカソード領域27との間に、低濃度領域22が存在する。
外周領域14内には、複数のFLR40が形成されている。FLR40は、p型領域である。FLR40は、半導体基板12の上面に露出している。FLR40は、第1高濃度領域24と略同じ深さまで広がっている。FLR40は、アノード領域20の周囲を取囲んでいる。
カソード領域27は、n型であり、アノード領域20の下側と、外周領域14内に広がっている。カソード領域27は、ドリフト領域28とバッファ領域29を有している。ドリフト領域28のn型不純物濃度は比較的低い。ドリフト領域28は、アノード領域20と接している。ドリフト領域28は、アノード領域20と、最もアノード領域20寄りのFLR40との間に広がっており、これらを分離している。また、ドリフト領域28は、半導体基板12の端面12aに露出している。バッファ領域29は、ドリフト領域28の下側に形成されている。バッファ領域29は、半導体基板12の下面全体に露出している。バッファ領域29のn型不純物濃度は、ドリフト領域28のn型不純物濃度よりも高い。
半導体基板12の上面には、層間絶縁膜42と、アノード電極30と、FLR電極44が形成されている。層間絶縁膜42は、外周領域14内のドリフト領域28の上面と、低濃度領域22の外周縁部分の上面とを覆うように形成されている。アノード電極30は、アノード領域20の上面に形成されている。アノード電極30は、アノード領域20の上面にオーミック接続されている。FLR電極44は、各FLR40上に形成されている。半導体基板12の下面の全体には、カソード電極32が形成されている。カソード電極32は、バッファ領域29に対してオーミック接続されている。
本実施例のダイオード10の各構成要素は、従来公知の方法により形成されている。ただし、第2高濃度領域26を形成する工程では、第1高濃度領域26の形成時よりも不純物が浅く注入されるように注入深さを調節している。
次に、本実施例のダイオード10の動作を説明する。本実施例のダイオード10に順電圧を印加すると、ダイオード10がオンする。ダイオード10がオンすると、アノード領域20からドリフト領域28に正孔が流入し、アノード電極30からカソード電極32に向かって電流が流れる。その後、ダイオード10に印加される電圧を順電圧から逆電圧に切り換えると、ダイオード10が逆回復動作を行う。すなわち、順電圧印加時にドリフト領域28内に存在していた正孔がアノード電極30に排出され、順電圧印加時にドリフト領域28内に存在していた電子がカソード電極32に排出される。これによって、ダイオード10に逆電流が流れる。逆電流は、短時間で減衰し、その後は、ダイオード10に流れる電流は略ゼロとなる。
ここで、本実施例のダイオード10との比較のために、従来のダイオードの構成について説明する。従来のダイオードは、アノード領域が、図1の第1高濃度領域24に相当する高濃度領域のみを有し、第2高濃度領域26に相当する領域を有していない点で図1のダイオード10とは異なる。この従来のダイオードに順方向電圧及び逆方向電圧を印加した場合の動作も、基本的には上記本実施例のダイオード10の動作と共通する。
上記従来の構成のダイオードにおいて、順方向電圧をより低くしようとする場合、各高濃度領域の下端を、カソード領域内のより深い位置に位置させることが考えられる。しかしながら、この場合、高濃度領域の下端とカソード領域の下端との間の距離が短くなるため、耐圧が低下してしまう。また、各高濃度領域同士の配置間隔を狭くすることにより、複数の高濃度領域を高密度で多数配置することも考えられる。しかしながら、この場合には、アノード領域全体の不純物濃度が過度に高くなってしまうため、カソード領域に正孔が過剰に注入され、結果的にスイッチング特性が悪化してしまう。
本実施例のダイオード10では、アノード領域20が、第1高濃度領域24に加えて、第2高濃度領域26を有している。そのため、上記従来のダイオードと比較すると、アノード領域20からドリフト領域28への正孔の注入効率を高くすることができる。従って、本実施例のダイオード10では、順方向電圧を低くすることができる。
一方、本実施例のダイオード10では、従来構成のダイオードとは異なり、順方向電圧を低くするために、第1高濃度領域24の下端の位置をカソード領域27内の深い位置に形成する必要がない。即ち、第1高濃度領域24の下端とカソード領域27の下端との間の距離を短くせずに済む。従って、耐圧の低下を抑制することができる。
さらに、本実施例のダイオード10では、第2高濃度領域26の下端が、第1高濃度領域の下端よりも浅い位置(より詳しく言うと、低濃度領域22の下端よりも浅い位置)に位置している。そのため、上記従来のダイオードにおいて高濃度領域を高密度で多数配置した場合と比べて、アノード領域20全体の不純物濃度が過度に高くなることもない。そのため、カソード領域20に正孔が過剰に注入されることが抑制され、スイッチング特性の悪化を抑制することができる。
また、本実施例のダイオード10では、図1のX方向において、第1高濃度領域24と第2高濃度領域26とが、所定の間隔を空けて交互に設けられている。そのため、アノード領域20全体の不純物濃度が、部分的に過度に高くなることも抑制され、スイッチング特性の悪化を効果的に抑制することができる。
さらに、本実施例では、各第2高濃度領域26の下端は、低濃度領域22の下端よりも浅い位置に位置している。そのため、半導体基板12の深さ方向(図1のZ方向)において、第2高濃度領域26とドリフト領域28との間に、低濃度領域22が存在する。このため、第2高濃度領域26とドリフト領域28との間のZ方向における不純物濃度の濃度勾配が、低濃度領域22によって緩やかになる。その結果、第2高濃度領域26とドリフト領域28との間に電界が集中することを抑制することができ、耐圧の低下をより効果的に抑制することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
(変形例1)上記実施例では、第1高濃度領域24と第2高濃度領域26とが、同じp型不純物濃度を有しているが、第1高濃度領域24と第2高濃度領域26とが、異なるp型不純物濃度を有していてもよい。この場合、特に、第1高濃度領域24が第2高濃度領域26よりも高いp型不純物濃度を有していることが好ましい。
(変形例2)上記実施例では、図1のX方向において、第1高濃度領域24と第2高濃度領域26とが、所定の間隔を空けて交互に設けられている。これに限られず、第1高濃度領域24と第2高濃度領域26は、任意の配置で設けることができる。従って、例えば、隣合う2つの第1高濃度領域24の間に、2つの第2高濃度領域26を配置してもよい。また、特定の一組の隣合う2つの第1高濃度領域24の間に第2高濃度領域26を配置せずに、他の一組の隣合う2つの第1高濃度領域24の間に第2高濃度領域26を配置するようにしてもよい。また、第1高濃度領域24と第2高濃度領域26とを、所定の方向に不規則に並べて配置してもよい。
(変形例3)上記実施例では、第2高濃度領域26の下端は、低濃度領域22の下端よりも浅い位置に位置している。これに限られず、第2高濃度領域26の下端は、第1高濃度領域24の下端より浅い位置に位置していれば、低濃度領域22の下端よりも深い位置に位置していてもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:ダイオード
12:半導体基板
12a:端面
14:外周領域
20:アノード領域
22:低濃度領域
24:第1高濃度領域
26:第2高濃度領域
27:カソード領域
28:ドリフト領域
29:バッファ領域
30:アノード電極
32:カソード電極
40:FLR
42:層間絶縁膜
44:FLR電極

Claims (5)

  1. 半導体基板と、半導体基板の上面に形成されているアノード電極と、を有するダイオードであって、
    半導体基板は、
    半導体基板の上面に露出する範囲に形成されているp型のアノード領域と、
    アノード領域の下側に形成されているn型のカソード領域
    を備え、
    アノード領域は、低濃度領域と、低濃度領域よりp型不純物濃度が高い複数の第1高濃度領域と、低濃度領域よりp型不純物濃度が高い複数の第2高濃度領域とを有しており、
    低濃度領域は、その上端がアノード電極に接しており、
    各第1高濃度領域は、その側面の少なくとも一部が低濃度領域に接しており、その上端がアノード電極に接しており、その下端が低濃度領域の下端よりも深い位置に位置しており、
    各第2高濃度領域は、その側面の少なくとも一部が低濃度領域に接しており、その上端がアノード電極に接しており、その下端が第1高濃度領域の下端よりも浅い位置に位置している、
    ダイオード。
  2. 各第1高濃度領域は、その両側面のそれぞれが、少なくとも部分的に低濃度領域に接しており、
    各第2高濃度領域は、その両側面のそれぞれが、少なくとも部分的に低濃度領域に接している、
    請求項1に記載のダイオード
  3. 複数の第1高濃度領域は、半導体基板を平面視したときに所定方向に並んで配置されており、
    第2高濃度領域は、半導体基板を平面視したときに、前記所定方向において隣合う2つの第1高濃度領域の間に配置されている、
    請求項1又は2に記載のダイオード。
  4. 各第2高濃度領域の下端は、低濃度領域の下端よりも浅い位置に位置しており、
    各第2高濃度領域は、低濃度領域によって第1高濃度領域及びカソード領域から隔離されている、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のダイオード。
  5. 第1高濃度領域は、第2高濃度領域よりp型不純物濃度が高い、
    請求項1から4のいずれか一項に記載のダイオード。
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