JP5460247B2 - サイリスタ - Google Patents

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本発明は、サイリスタに関する。
pnpn型でカソード電極にゲート電極を備える一般的なサイリスタの概略構成を図9に示す。図9において、サイリスタ400は、表面でアノード電極401に接続されている高不純物濃度のp型半導体層402上に高不純物濃度(例えば、7×1017cm−3)の裏面p型半導体層403が形成され、裏面p型半導体層403の上面に低不純物濃度(例えば、1.2×1014cm−3)のn型半導体層404が形成されている。裏面p型半導体層403の厚みh401は、例えば、30〜40[μm]であり、n型半導体層404の厚みh402は、例えば、160〜170[μm]である。n型半導体層4内には、高不純物濃度のp型半導体層406が形成され、p型半導体層6内には、高不純物濃度のn型半導体層407と高不純物濃度のp型半導体層410とが形成されている。n型半導体層407は、p型半導体層406の表面でカソード電極408に接続され、p型半導体層410は、p型半導体層406の表面でゲート電極409に接続されている。n型半導体層404の表面近傍には、p型半導体層406の両側に高不純物濃度のp型半導体のガードリング411が形成され、さらにサイリスタ400の両側には高不純物濃度のp型半導体のアイソレーション405が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
上記の構成による従来のサイリスタ400において、アノード電極(A)401とカソード電極(K)408間に順方向電圧を印加し、さらにゲート電極(G)409に正の電圧を印加すると、n型半導体層404とp型半導体層406との間にできる空乏層へ、ゲート電極409を形成するp型半導体層410からのホールが注入され、空乏層が狭くなり、アノード電極401からカソード電極408に電流が流れる。このゲート電流値に応じてブレークオーバー点孤が発生し、そして、ブレークオーバー点孤によるON状態でアノード電極401とカソード電極408間にオン電圧Vが発生する。
近年、各種の装置において消費電力の低減要求があり、このためサイリスタにおいても消費電力の低減のため低V化が望まれている。このオン電圧Vを低くするためには、高濃度p型半導体層である裏面p型半導体層403の厚みh401を厚くし、n型半導体層404の厚みh402を薄くする方法がある。これにより、裏面p型半導体層403からn型半導体層404へのキャリアが到達しやすくなるので低V化を図ることができる。
特開平7−240510号公報
しかしながら、オン電圧Vを低くするために、裏面p型半導体層403の厚みを厚くしてn型半導体層404の厚みを薄くし、アノード電極401とカソード電極408間に順方向電圧を印可した場合、n型半導体層404の厚みが薄いことにより、裏面p型半導体層403からn型半導体層404とp型半導体層406との間にできる空乏層までの距離が短くなる。このため、サイリスタ400がオフ状態において、裏面p型半導体層403から空乏層内の少数キャリアへのキャリアの注入が増加し、その結果としてリーク電流が増加してしまうという問題点があった。また、一般的なオン電圧Vを下げる方法として、順方向電圧時の空乏層の大きさを確保するためにチップサイズを大きくする方法が用いられているが、限られたスペース内に部品を納めたい場合、チップサイズが大きくなると従来部品から置き換えることが困難になるという問題点があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、サイリスタのチップサイズを従来と同じにしたままオン電圧Vを低くし、低V化によるリーク電流の増加を抑えたサイリスタを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係るサイリスタは、p型の第1領域とn型の第2領域とp型の第3領域とn型の第4領域とが順に接合され、前記p型の第1領域にアノード電極部が接合されたサイリスタにおいて、前記n型の第2領域内且つ前記p型の第1領域の前記アノード電極側と反対の面に接して、前記p型の第1領域より不純物濃度が低く、前記n型の第2領域の厚みを複数箇所薄くするように形成されたp型の第5領域を備えることを特徴としている。
また、本発明に係るサイリスタは、前記p型の第5領域は、前記n型の第2領域の厚みを所定の離間間隔を有して薄くするように形成されていることを特徴としている。
また、本発明に係るサイリスタは、前記p型の第5領域は、前記n型の第2領域の厚みを、所定の離間間隔を有して少なくとも2つの異なる厚みで薄くするように形成されていることを特徴としている。
また、本発明に係るサイリスタは、前記p型の第5領域は、前記p型の第1領域より厚みが薄いことを特徴としている。
本発明によれば、n型の第2領域内に、p型の第1領域より不純物濃度が低いp型の第5領域を、p型の第1領域のアノード電極側と反対の面に接するn型の第2領域の厚みを複数箇所薄くするように形成したので、サイズを従来と同じにしたままオン電圧Vを低くし、低V化によるリーク電流の増加を抑えたサイリスタを実現することが可能になる。
本実施形態に係るサイリスタの断面構成図である。 サイリスタの電流対電圧特性を説明する図である。 従来構造のサイリスタと本実施形態構造のサイリスタのシミュレーションにより算出したオン電圧Vの例である。 本実施形態に係るアノード電極とカソード電極との間の電流密度シミュレーションにより求めた一例を示す図である。 本実施形態に係る電圧対リーク電流特性の図である。 本実施形態に係るサイリスタの断面構成図である。 本実施形態に係るサイリスタの断面構成図である。 本実施形態に係るサイリスタの上面レイアウト図である。 従来の実施形態に係るサイリスタの断面構成図である。
以下、図1〜図9を用いて本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は係る実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内で種々の変更が可能である。
図1は、本実施形態におけるサイリスタ100の断面構成図である。図1において、高不純物濃度(例えば、2×1019cm−3)のp型半導体層2の上に、高不純物濃度(例えば、7×1017cm−3)の裏面p型半導体層3(第1領域)が形成されている。また、裏面p型半導体層3の上面に低不純物濃度(例えば、1.2×1014cm−3)のn型半導体層4(第2領域)が形成されている。裏面p型半導体層3の厚みh2は、従来の厚みh401と同一であり、例えば、30〜40[μm]であり、n型半導体層4の厚みh4は、従来の厚みh402と同一であり、例えば、160〜170[μm]である。また、p型半導体層2は、表面でアノード電極1にオーミック接続されている。p型半導体層2の厚みh1は、例えば、10[μm]である。
n型半導体層4内には、裏面p型半導体層3の上面に接して、裏面p型半導体層3より不純物濃度の低い(例えば、1×1015cm−3)のp型半導体層101(第5領域)が所定の離間間隔に形成されている。また、p型半導体層101は、裏面p型半導体層3の厚みh2より薄い所定の厚みh3(例えば、10[μm])に形成されている。すなわち、p型半導体層101を形成した領域のn型半導体層4は、厚みh3分、複数箇所が部分的に薄く、また、p型半導体層101の上面102からp型半導体層6までの距離は、裏面p型半導体層3の上面103からp型半導体層6までの距離より短い。また、p型半導体層101の幅L1は、裏面p型半導体層3の幅がLの場合、例えば、裏面p型半導体層3上面と2/Lが接するように等しい離間間隔L2で形成されている。例えば、裏面p型半導体層3がL=100[μm]の場合、L1の幅の合計は50[μm]、L2の幅の合計は50[μm]である。
また、n型半導体層4内には、高不純物濃度(例えば、7×1017cm−3)のp型半導体層6(第3領域)が形成され、このp型半導体層6はアノード電極1と反対の表面と接している。また、p型半導体層6内には、高不純物濃度(例えば、2×1020cm−3)のn型半導体層7(第4領域)と、高不純物濃度(例えば、2×1019cm−3)のp型半導体層10とが互いに離れて形成されている。また、n型半導体層7は、p型半導体層6の表面でカソード電極8に接続され、p型半導体層10は、p型半導体層6の表面でゲート電極9に接続されている。さらに、p型半導体層6の厚みh5、n型半導体層7の厚みh6、および、p型半導体層10の厚みh7は、従来と同一で、例えば、h5=40[μm]、h6=19[μm]、h7=10[μm]である。
また、n型半導体層4の表面近傍には、p型半導体層6の両側にp型半導体層6と離れて高不純物濃度(例えば、7×1017cm−3)のp型半導体によるガードリング11が形成され、さらにサイリスタ100の両側には、高不純物濃度(例えば、2×1019cm−3)のp型半導体によるアイソレーション5が形成されている。
次に、サイリスタ100に順方向電圧が印加した場合について図2を用いて説明する。図2は、サイリスタの電流対電圧特性を説明する図である。アノード電極1とカソード電極8との間に順方向電圧を印可した場合、p型半導体層6とn型半導体層4との間に空乏層が広がる。この状態において、ゲート電極9に正の電圧を印可すると、図2のように、アノード電極1とカソード電極8との間に電流が流れる。また、ゲート電流Iの大きさに応じて、ゲート電流Iが大きいほどブレークオーバー点弧がONしやすくなる。オン電圧Vは、サイリスタ100のON状態の電圧値である。
次に、図1の構成によりオン電圧Vを低くできる理由を説明する。従来と同じ厚みh2の裏面p型半導体層3上面に、裏面p型半導体層3より不純物濃度の低く、厚みh3のp型半導体層101を所定の離間間隔で形成したため、裏面p型半導体層3上面のn型半導体層4の複数箇所の厚みが部分的に薄くなる。この結果、小電流時、p型半導体層101の上面102からキャリアの注入が優位になり、オン電圧Vを低くすることが可能になる。また、流れる電流が大きくなった場合、p型半導体層101の上面102とp型半導体層101に接していない裏面p型半導体層3の上面103の両方からキャリア注入が発生する。この場合においても、所定の離間間隔で形成したp型半導体層101によりカソード電極を構成するp型半導体層6まで距離が短いため、すなわちn型半導体層4が部分的に薄いので、オン電圧Vを低くすることが可能になる。
図3は、図9の従来構造のサイリスタと図1の本実施形態構造のサイリスタのシミュレーションにより算出したオン電圧Vの例である。図3のように、ゲート電流Iはサイリスタ100のON状態になるのに十分な電流値であり、また、カソード電流Iを同一の値で、図9の従来の構造と図1の本実施形態の構造のオン電圧Vをシミュレーションにより求めた結果である。VT1は図9の従来構造におけるオン電圧であり、VT2は図1の本実施形態における構造のオン電圧である。図3のように、本実施形態の構成のサイリスタ100のオン電圧VT2は、従来の構成のサイリスタ400のオン電圧VT1より低い電圧値が得られている。
図4は、本実施形態におけるアノード電極1とカソード電極8との間の電流密度をシミュレーションにより求めた一例を示す図である。図4において、白黒の濃淡は電流密度を表し、A<B<Cの順に電流密度が高くなっている。すなわち、p型半導体層101の上面102の方が、裏面p型半導体層3の上面103より、電極を形成するn型半導体層7に向けて高い電流密度の経路が形成されている。この結果、裏面p型半導体層3上に所定の離間間隔で、p型半導体層3より不純物濃度の低いp型半導体層101を形成したので、p型半導体層101からカソード電極8に接合されたn型半導体層7に向けて電流経路が形成されて、ホールがこの電流経路に集中するため、電流が流れやすくなり、すなわち抵抗値が低くなる。この結果、オン電圧Vを低くすることが可能になる。
図5は、本実施形態における電圧対リーク電流特性の図である。図5のように、順方向電圧を印可した時のリーク電流の増加率は、図9の従来のサイリスタ400と比較し本実施形態のサイリスタ100は、例えば、500[V]において0.5%程度、600[V]において3%程度であり、オン電圧Vを低くしてもリーク電流の増加を抑えることが実現できている。
以上のように、裏面p型半導体層3上に裏面p型半導体層3の不純物濃度より低いp型半導体層101を所定の離間間隔で形成することで、n型半導体層4の複数箇所の厚みを部分的に薄くした。この結果、アノード電極1とカソード電極8との間に順方向電圧を印可し、ゲート電極9に正電圧を印可した状態において、小電流時は、裏面p型半導体層3上に所定の離間間隔で形成した裏面p型半導体層3の不純物濃度より低いp型半導体層101からのキャリア注入が優位になり、オン電圧Vを低くすることが可能になる。また、裏面p型半導体層3上に所定の離間間隔で低濃度のp型半導体層101を形成したので、p型半導体層101からカソード電極に接合されたn型半導体層7に電流経路が形成されて、ホールがこの電流経路に集中するため、電流が流れやすくなり、すなわち抵抗値が小さくなる。この結果、さらにオン電圧Vを低くすることが可能になる。また、流れる電流が大きくなった場合、低濃度のp型半導体層101の上面102とp型半導体層101に接していない裏面p型半導体層3の上面103の両方からキャリア注入が発生する。この場合においても、所定の離間間隔で形成した低濃度のp型半導体層101によりカソード電極まで距離が短いため、すなわちn型半導体層4が部分的に薄いので、オン電圧Vを低くすることが可能になる。
また、アノード電極とカソード電極間に順方向電圧を印可し、ゲート電極に正電圧を印可しない状態、すなわちオフ状態においても、裏面p型半導体層3の厚みは従来と同一にしたまま、その上に裏面p型半導体層3の不純物濃度より低いp型半導体層101を所定の離間間隔で形成したので、p型半導体層101からn型半導体層7へのキャリアの注入を抑えることができる。この結果、リーク電流の増加を抑えることが可能である。また、本実施形態によれば、従来のサイリスタと同じサイズのまま構成できるので、従来技術によるサイリスタからの置き換えが可能である。
上記によりサイリスタのサイズを従来と同じにしたままオン電圧Vを低くし、低V化によるリーク電流の増加を抑えたサイリスタを実現することができる。
また、本実施形態では、p型半導体層101を裏面p型半導体層3上に所定の離間間隔で形成する例を説明したが、図6のように、裏面p型半導体層3の不純物濃度より低い(例えば、1×1015cm−3)のp型半導体層201を、櫛形に形成し、櫛形の凸部および凹部、あるいは、凸部または凹部をn型半導体層4内に所定の離間間隔で形成するようにしても良い。すなわち、n型半導体層4を所定の離間間隔で、h4−h12との差分、または、h4−h11との差分薄くした。この結果、n型半導体層4を局所的に薄くしたので、サイリスタのサイズを従来と同じにしたままオン電圧Vを低くすることができる。図6において、p型半導体層201の凸部の厚みh12は、例えば、10[μm]であり、凹部の厚みh11は、例えば、2[μm]である。また、p型半導体層201の不純物濃度は、p型半導体層101と同等で、例えば、1×1015cm−3である。
また、図1のp型半導体層101の上面102、および、図6のp型半導体層201の上面202の先端形状は、例えば、図7のように、先端部が小さくなるp型半導体層301のような形状でも良く、あるいは先端部が大きくなるような形状であっても良い。
また、本実施形態では、図1、図6、および、図7において断面図を用いて説明したが、上面から見たとき、p型半導体層101、201、301の上面は、例えば、図8(a)、図8(b)の上面レイアウト図のように、不純物濃度および高さが同一のp型半導体層101または201、あるいは301の上面を島状に所定の離間間隔で形成しても良い。さらに、図8(c)のようにp型半導体層101または201、あるいは301の上面を縞状に所定の離間間隔で形成しても良く、あるいは、図8(d)のように渦巻き状を含む一筆書きで形成しても良く、あるいは、図8(e)のようにH状または王状、図8(f)のように同心状に所定の離間間隔で形成しても良い。この場合、例えば、図8(a)において、p型半導体層101、201、301の上面の横方向の幅L1と縦方向の幅L3は、同一でも同一でなくとも良く、また、同様に横方向の離間間隔L2と縦方向の離間間隔L4も同一でも同一でなくとも良い。さらに、p型半導体層101、201、301の上面の横方向の幅L1と横方向の離間間隔L2は同一でも同一でなくとも良く、p型半導体層101、201、301の上面の縦方向の幅L3と縦方向の離間間隔L4は同一でも同一でなくとも良い。さらにまた、他の図8(b)〜(f)についても、p型半導体層101、201、301の上面の幅と、離間間隔は同一でも同一でなくとも良い。
また、本実施形態では、pnpn型サイリスタの例を説明したが、不純物層のp型、n型を入れ替えたnpnp型サイリスタにおいても同一の効果が得られる。この場合、ゲート電極に負の電流を付加することでオンまたはオフ状態を制御する。
また、本実施形態では、サイリスタ単体の構成について説明したが、半導体集積回路上に形成する場合にも有効である。
さらにまた、本実施形態で説明時にあげた各層の不純物濃度および厚み(深さ)の例に限られるものではなく、本実施形態における各半導体層の不純物濃度に応じた純物濃度の関係、および、各半導体層の厚みに応じた関係であれば良い。
1・・・アノード電極
2、3、6、10、101・・・p型半導体層
4、7・・・n型半導体層
5・・・アイソレーション
8・・・カソード電極
9・・・ゲート電極
11・・・ガードリング

Claims (4)

  1. p型の第1領域とn型の第2領域とp型の第3領域とn型の第4領域とが順に接合され、前記p型の第1領域にアノード電極部が接合されたサイリスタにおいて、
    前記n型の第2領域内且つ前記p型の第1領域の前記アノード電極側と反対の面に接して、前記p型の第1領域より不純物濃度が低く、前記n型の第2領域の厚みを複数箇所薄くするように形成されたp型の第5領域
    を備えることを特徴とするサイリスタ。
  2. 前記p型の第5領域は、
    前記n型の第2領域の厚みを所定の離間間隔を有して薄くするように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサイリスタ。
  3. 前記p型の第5領域は、
    前記n型の第2領域の厚みを、所定の離間間隔を有して少なくとも2つの異なる厚みで薄くするように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサイリスタ。
  4. 前記p型の第5領域は、
    前記p型の第1領域より厚みが薄いことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のサイリスタ。
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