以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[構成例]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の一構成例を表すものである。なお、本発明の実施の形態に係る電源装置の故障検出方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。スイッチング電源装置1は、例えば、入力端子T1,T2に接続された高圧バッテリBHから入力された直流電圧Vinを電圧変換することにより、直流の出力電圧Voutを生成すると共に、この出力電圧Voutを出力端子T3、T4を介して低圧バッテリBLへ供給するようになっている。なお、高圧バッテリBHは、100Vから500V程度の電圧を蓄電するバッテリであり、低圧バッテリBLは、12Vから15V程度の電圧を蓄電するバッテリである。
このスイッチング電源装置1は、入力平滑コンデンサCinと、スイッチング回路10と、トランス20と、整流回路30と、温度センサ61,62と、平滑回路40と、制御部50と、故障検出部60とを備えている。
入力平滑コンデンサCinは、入力端子T1に接続された1次側高圧ラインL1Hと入力端子T2に接続された1次側低圧ラインL1Lとの間に配置されており、高圧バッテリBHから入力端子T1,T2間に入力された直流の入力電圧Vinを平滑化するためのものである。
スイッチング回路10は、入力電圧Vinを交流電圧に変換するフルブリッジ型のスイッチング回路である。このスイッチング回路10は、スイッチング素子SW11〜SW14を有している。
スイッチング素子SW11〜SW14は、例えば、MOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの素子が使用可能である。この例では、スイッチング素子SW11〜SW14は、全てNチャネルのMOS−FETにより構成されている。スイッチング素子SW11のゲートにはSW制御信号S11が供給され、ソースがスイッチング素子SW12のドレインに接続され、ドレインが1次側高圧ラインL1Hに接続されている。スイッチング素子SW12のゲートにはSW制御信号S12が供給され、ソースが1次側低圧ラインL1Lに接続され、ドレインがスイッチング素子SW11のソースに接続されている。スイッチング素子SW13のゲートにはSW制御信号S13が供給され、ソースがスイッチング素子SW14のドレインに接続され、ドレインが1次側高圧ラインL1Hに接続されている。スイッチング素子SW14のゲートにはSW制御信号S14が供給され、ソースが1次側低圧ラインL1Lに接続され、ドレインがスイッチング素子SW13のソースに接続されている。スイッチング素子SW11のソースおよびスイッチング素子SW12のドレインは、後述するトランス20の1次側巻線21(後述)の一端に接続されている。また、スイッチング素子SW13のソースおよびスイッチング素子SW14のドレインは、共振用インダクタLrを介して、その1次側巻線21(後述)の他端に接続されている。この共振用インダクタLrは、スイッチング素子SW11〜SW14内の寄生容量素子、およびトランス20のリーケージインダクタと共に所定のLC共振回路を構成するためのものである。
この構成により、スイッチング回路10では、スイッチング素子SW11〜SW14が、制御部50のSW駆動部53(後述)から供給されるSW制御信号S11〜S14に応じてオンオフすることにより、入力電圧Vinを交流電圧に変換するようになっている。
トランス20は、1次側と2次側とを直流的に絶縁するとともに交流的に接続するものであり、1次側巻線21および2次側巻線22A,22Bを含んで構成された3巻線型のトランスである。トランス20の1次側巻線21と2次側巻線22A,22Bとは、フォワード接続されている。1次側巻線21の一端は、スイッチング回路10におけるスイッチング素子SW11のソースおよびスイッチング素子SW12のドレインに接続され、他端は、共振用インダクタLrを介して、スイッチング回路10におけるスイッチング素子SW13のソースおよびスイッチング素子SW14のドレインに接続されている。2次側巻線22Aの一端は、整流回路30のダイオード32のカソードに接続され、2次側巻線22Bの一端は、整流回路30のダイオード31のカソードに接続されている。そして、2次側巻線22A,22Bの他端同士はセンタタップCTで互いに接続され、さらに2次側高圧ラインL2Hに接続されている。1次側巻線21の巻数はNpであり、2次側巻線22A,22Bの巻数はそれぞれNsである。
この構成により、トランス20は、1次側巻線21の両端間に供給された交流電圧をNs/Np倍に降圧し、2次側巻線22A,22Bの他端(センタタップCT)から出力するようになっている。
整流回路30は、トランス20から供給される交流電圧を整流する回路である。この整流回路30は、この例では、5つのダイオード31(31A〜31E)および5つのダイオード32(32A〜32E)を有している。5つのダイオード31A〜31Eは、互いに並列に接続され、同様に、5つのダイオード32A〜32Eは、互いに並列に接続されている。ダイオード31A〜31Eのカソードは2次側巻線22Bの一端にそれぞれ接続され、アノードは2次側低圧ラインL2Lにそれぞれ接続されている。ダイオード32A〜32Eのカソードは2次側巻線22Aの一端にそれぞれ接続され、アノードは2次側低圧ラインL2Lにそれぞれ接続されている。2次側低圧ラインL2Lは、端子T4を介して接地されている。
このように、5つのダイオード31A〜31Eを並列接続し、5つのダイオード32A〜32Eを並列接続することにより、電流が5つのダイオード31A〜31Eまたは5つのダイオード32A〜32Eに分散して流れるため、各ダイオードにおける電流容量の最大値の仕様を満たすことができる。また、複数のダイオードを並列接続することにより、電流容量の大きい1つのダイオードを用いる場合と異なり、電力が分散されるため、素子発熱を分散させることができ、かつ部品コストを下げることができる。
温度センサ61,62は、例えば、サーミスタにより構成されるものである。温度センサ61は、5つのダイオード31A〜31Eに対応して設けられている。温度センサ61は、一端が2次側低圧ラインL2Lに接続され、他端が故障検出部60に接続されている。温度センサ61は、5つのダイオード31A〜31Eの発熱状態に応じた温度(検出温度Th1)を検出し、その検出温度Th1の情報を含む検出信号Det1を、故障検出部60に供給するようになっている。同様に、温度センサ62は、5つのダイオード32A〜32Eに対応して設けられている。温度センサ62は、一端が2次側低圧ラインL2Lに接続され、他端が故障検出部60に接続されている。温度センサ62は、5つのダイオード32A〜32Eの発熱状態に応じた温度(検出温度Th2)を検出し、その検出温度Th2の情報を含む検出信号Det2を、故障検出部60に供給するようになっている。
図2は、ダイオード31A〜31E,32A〜32E、および温度センサ61,62の基板上における配置を表すものである。この例では、ダイオード31A〜31Eは、図2の横方向において一列に並設されており、ダイオード32A〜32Eは、図2の縦方向において一列に並設されている。この例では、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eは、例えば、D2PAKパッケージなどの、表面実装型のパッケージにそれぞれ実装されている。温度センサ61は、この例では、ダイオード31A〜31Eの並設方向(図2における横方向)において、ダイオード31Aの隣に配置されており、温度センサ62は、ダイオード32A〜32Eの並設方向(図2における縦方向)において、ダイオード32Eの隣に配置されている。すなわち、温度センサ61は、ダイオード31Aの近傍に配置されるとともに、それ以外の熱源(ダイオード31B〜31E、ダイオード32A〜32E等)から離れるように配置されており、温度センサ62は、ダイオード32Eの近傍に配置されるとともに、それ以外の熱源(ダイオード32A〜32D、ダイオード31A〜31E等)から離れるように配置されている。また、温度センサ61およびダイオード31A〜31Eの各素子間の位置関係は、温度センサ62およびダイオード32A〜32Eの各素子間の位置関係とほぼ同じにしている。
なお、温度センサ61,62の配置は、これに限定されるものではない。具体的には、例えば、温度センサ61は、図3Aに示したように、ダイオード31Aの左上側に配置してもよいし、図3Bに示したように、ダイオード31Aの上側に配置してもよい。すなわち、温度センサ61の中心を、ダイオード31Aの中心から所定の距離内であって、ダイオード31Bとは反対側に位置する半円状の領域R内にすることができる。温度センサ62についても同様である。
この構成により、温度センサ61は、5つのダイオード31A〜31Eの発熱状態に応じた温度(検出温度Th1)を検出する。具体的には、温度センサ61は、後述するように、例えば5つのダイオード31A〜31Eの1つが故障した場合において、正常動作時とは異なる検出温度Th1を検出するようになっている。同様に、温度センサ62は、5つのダイオード32A〜32Eの発熱状態に応じた温度(検出温度Th2)を検出する。具体的には、温度センサ62は、後述するように、例えば5つのダイオード32A〜32Eの1つが故障した場合において、正常動作時とは異なる検出温度Th2を検出するようになっている。
平滑回路40は、チョークコイルLchと出力平滑コンデンサCoutとを有している。チョークコイルLchは、2次側高圧ラインL2H上に挿入配置されており、その一端はトランス20のセンタタップCTに接続され、他端は端子T3に接続されている。出力平滑コンデンサCoutは、端子T3に接続された2次側高圧ラインL2Hと、端子T4に接続された2次側低圧ラインL2Lとの間に配置されている。
この構成により、平滑回路40は、整流回路30によって整流されセンタタップCTから出力される信号を平滑化して直流の出力電圧Voutを生成し、これを出力端子T3、T4間に接続された低圧バッテリBLに給電するようになっている。
電圧検出回路9は、2次側高圧ラインL2Hと2次側低圧ラインL2Lとの間に配置されており、出力端子T3、T4間の出力電圧Voutを検出するとともに、この検出した出力電圧Voutに対応する検出信号を制御部50へ出力するものである。このような電圧検出回路9の具体的な回路構成としては、例えば、2次側高圧ラインL2Hと2次側低圧ラインL2Lとの間に配置された分圧抵抗(図示せず)によって電圧を検出し、これに応じた電圧を生成するものなどが挙げられる。
制御部50は、電圧検出回路9が検出した出力電圧Voutの検出結果に基づいて、この出力電圧Voutが所定の電圧を保つように、スイッチング回路10におけるスイッチング動作を制御するものである。制御部50は、SW制御部51と、トランス52と、SW駆動部53とを有している。
SW制御部51は、電圧検出回路9から供給された信号に基づいて、出力電圧Voutが所定の電圧を保つように、SW駆動部53を制御するものである。具体的には、SW制御部51は、SW制御信号S11〜S14の基となる制御信号を生成し、トランス52を介してSW駆動部53へ供給する。また、SW制御部51は、後述するように、故障検出部60が、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eのうちの1つが故障したことを検出したときに、ダイオード31,32に流れる電流を抑えるようにSW駆動部53を制御する機能も有する。
SW駆動部53は、SW制御部51からトランス52を介して供給された制御信号に基づいて、SW制御信号S11〜S14を生成し、スイッチング回路10のスイッチング素子SW11〜SW14へそれぞれ供給するようになっている。
故障検出部60は、温度センサ61から供給された検出信号Det1(検出温度Th1)、および温度センサ62から供給された検出信号Det2(検出温度Th2)に基づいて、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eのうちの1つが故障したことを検出するものである。故障検出部60は、このような故障を検出したときは、その検出結果を端子T5に接続された外部の装置に対して送信する。この外部の装置は、例えば、このスイッチング電源装置1が属するシステム全体を制御する制御装置であり、例えば、ECUが挙げられる。また、故障検出部60は、それと同時に、その検出結果をSW制御部51にも通知する。これにより、SW制御部51は、ダイオード31,32に流れる電流を抑えるようにスイッチング電源装置1を制御する。このようにして、スイッチング電源装置1では、故障したダイオード以外のダイオードに過大電流が流れることによる2次破壊を防ぐことができるようになっている。
なお、この故障検出部60は、例えば、マイクロコントローラ(MCU)などを用いて構成することができる。また、故障検出部60に加え、例えばSW制御部51またはその一部をマイクロコントローラなどで実現してもよい。
ここで、ダイオード31A〜31Eのそれぞれは、本開示における「第1の整流素子」の一具体例に対応する。温度センサ61は、本開示における「第1の温度検出素子」の一具体例に対応する。ダイオード32A〜32Eのそれぞれは、本開示における「第2の整流素子」の一具体例に対応する。温度センサ62は、本開示における「第2の温度検出素子」の一具体例に対応する。故障検出部60は、本開示における「比較部」の一具体例に対応する。
[動作および作用]
次に、本実施の形態のスイッチング電源装置1の動作および作用について説明する。
(全体動作概要)
まず最初に、図1を参照して、スイッチング電源装置1の動作を説明する。スイッチング回路10は、SW制御信号S11〜S14に基づいてスイッチング素子SW11〜SW14をスイッチングすることにより、高圧バッテリBHから供給された直流電圧Vinを交流電圧に変換し、トランス20の1次側巻線21の両端間に供給する。そしてトランス20は、この交流電圧をNs/Np倍に変圧し、2次側巻線22A,22Bから、変圧された交流電圧を出力する。整流回路30は、この交流電圧を整流する。平滑回路40は、この整流された信号を平滑化して直流電圧Voutを生成し、端子T3,T4に接続された低圧バッテリBLに給電する。制御部50は、電圧検出回路9が検出した出力電圧Voutの検出結果に基づいて、SW制御信号S11〜S14を生成してスイッチング回路10に供給し、出力電圧Voutが所定の電圧を保つように制御する。
温度センサ61は、整流回路30におけるダイオード31A〜31Eの発熱状態に応じた温度(検出温度Th1)を検出する。温度センサ62は、整流回路30におけるダイオード32A〜32Eの発熱状態に応じた温度(検出温度Th2)を検出する。故障検出部60は、検出温度Th1,Th2に基づいて、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eの故障を検出する。
(スイッチング動作について)
図4は、スイッチング電源装置1の動作を表すものであり、(A)〜(D)はSW制御信号S11〜S14の波形をそれぞれ示す。この例では、スイッチング素子SW11〜SW14は、そのゲートに印加されたSW制御信号S11〜S14が高レベルの時にオン状態となり、低レベルの時にオフ状態になるものである。
図4に示したように、SW駆動部53は、SW制御信号S11,S14が同時に高レベルになる期間T11を有するように、SW制御信号S11,S14を生成する(図4(A),(D))。これにより、この期間T11において、電流がトランス20の1次側巻線21に流れ、電力がトランス20の1次側から2次側へ伝達される。
同様に、SW駆動部53は、SW制御信号S12,S13が同時に高レベルになる期間T12を有するように、SW制御信号S12,S13を生成する(図4(B),(C))。この期間T12の時間の長さは、期間T11の時間の長さと同じになるように制御される。これにより、この期間T12において、電流がトランス20の1次側巻線21に流れ、電力がトランス20の1次側から2次側へ伝達される。
その際、SW駆動部53が生成するSW制御信号S11,S12は、同時に高レベルになることはなく(図4(A),(B))、同様に、SW制御信号S13,S14は、同時に高レベルになることはない(図4(C),(D))。言い換えれば、スイッチング素子SW11,SW12は、同時にオン状態になることはなく、同様に、スイッチング素子SW13,SW14は、同時にオン状態になることはない。つまり、スイッチング電源装置1では、1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧ラインL1Lとが電気的に短絡しないようになっている。なお、SW制御信号S11が高レベルになる期間と、SW制御信号S12が高レベルになる期間とは、互いにデッドタイムTdだけ離れて設定されており、同様に、SW制御信号S13が高レベルになる期間と、SW制御信号S14が高レベルになる期間とは、互いにデッドタイムTdだけ離れて設定される。このデッドタイムTdは、1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧ラインL1Lとが電気的に短絡するのを回避するためにとられる時間である。
図5,6は、スイッチング電源装置1の動作を表すものであり、図5は、期間T11における動作を示し、図6は、期間T12における動作を示す。なお、これらの図では、説明の便宜上、スイッチング素子SW11〜SW14を、その動作状態(オン状態もしくはオフ状態)を表すスイッチの形状で示す。また、ダイオード31A〜31Eを1つのダイオード31として示し、ダイオード32A〜32Eを1つのダイオード32として示す。また、説明の便宜上、その説明に直接必要のない回路ブロックや素子などについては、適宜図示を省略する。
期間T11では、スイッチング回路10のスイッチング素子SW11,SW14がオン状態になるとともに、スイッチング素子SW12,SW13がオフ状態になる(図4(A)〜(D))。これにより、スイッチング電源装置1の1次側では、図5に示したように、スイッチング素子SW11、トランス20の1次側巻線21、共振用インダクタLr、スイッチング素子SW14、高圧バッテリBHおよび入力平滑コンデンサCinを順に通る、1次側ループ電流Ia1が流れる。一方、2次側では、電力がトランス20の1次側から2次側へ伝達されることにより、ダイオード32、トランス20の2次側巻線22A、インダクタLch、低圧バッテリBLおよび出力平滑コンデンサCoutを順に通る2次側ループ電流Ia2が流れる。
一方、期間T12では、スイッチング回路10のスイッチング素子SW12,SW13がオン状態になるとともに、スイッチング素子SW11,SW14がオフ状態になる(図4(A)〜(D))。これにより、スイッチング電源装置1の1次側では、図6に示したように、スイッチング素子SW13、共振用インダクタLr、トランス20の1次側巻線21、スイッチング素子SW12、高圧バッテリBHおよび入力平滑コンデンサCinを順に通る、1次側ループ電流Ib1が流れる。一方、2次側では、電力がトランス20の1次側から2次側へ伝達されることにより、ダイオード31、トランス20の2次側巻線22B、インダクタLch、低圧バッテリBLおよび出力平滑コンデンサCoutを順に通る2次側ループ電流Ib2が流れる。この2次側ループ電流Ib2の電流値は、期間T11における2次側ループ電流Ia2の電流値とほぼ等しいものである。
このように、スイッチング電源装置1では、期間T11,T12において、トランス20の1次側から2次側へ電力が伝達され、2次側ループ電流Ia2,Ib2が流れる。この期間T11,T12の長さは、図4に示したように、SW制御信号S11,S14間の位相差φ、およびSW制御信号S12,S13間の位相差φにより制御される。すなわち、例えば、位相差φが小さくなると、2次側ループ電流Ia2,Ib2が流れる時間が長くなるため、出力電圧Voutが高くなる。反対に、例えば位相差φが大きくなると、2次側ループ電流Ia2,Ib2が流れる時間が短くなるため、出力電圧Voutが低くなる。制御部50は、出力電圧Voutが所定の電圧を保つように、この位相差φを制御する。
(故障検出について)
スイッチング電源装置1は、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eのうちの1つが故障して開放状態になったときに、その故障を検出する。そのような故障は、例えば経時劣化により、半導体接合部においてクラック破壊が生じたときに起こりうる。このような故障が生じたとき、故障検出部60は、温度センサ61により検出された検出温度Th1と、温度センサ62により検出された検出温度Th2に基づいて、この故障を検出する。以下に、故障が生じていない場合(ケースC1)と、5つのダイオード31A〜31Eのうちのダイオード31Aが故障した場合(ケースC2)と、ダイオード31Bが故障した場合(ケースC3)を例に説明する。
まず、故障が生じていない場合(ケースC1)について説明する。この場合、ダイオード31A〜31Eのそれぞれには、期間T12において、電流Ib2(図6)の約1/5の電流が流れ、ダイオード32A〜32Eのそれぞれには、期間T11において、電流Ia2(図5)の約1/5の電流が流れる。その際、電流Ia2と電流Ib2はほぼ等しく、また、期間T11の長さと期間T12の長さはほぼ等しいため、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eのそれぞれにおける発熱量は、互いにほぼ等しい。
温度センサ61における検出温度Th1は、その一番近くに配置されたダイオード31Aにおける発熱量により強い影響を受ける。同様に、温度センサ62における検出温度Th2は、その一番近くに配置されたダイオード32Eにおける発熱量により強い影響を受ける。このケースでは、ダイオード31Aにおける発熱量は、ダイオード32Eにおける発熱量とほぼ同じであるため、検出温度Th1は、検出温度Th2とほぼ等しくなる。
故障検出部60は、この検出温度Th1と検出温度Th2の温度差ΔT(=Th1−Th2)を求め、この温度差に基づいて、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eに故障が生じているか否かを判断する。
図7は、故障検出部60における故障検出動作を表すものである。故障検出部60は、温度差ΔTが、“0”(ゼロ)を含む所定の範囲TR内である場合には、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eに故障が生じていないと判断し、温度差ΔTが、その所定の範囲TR外である場合には、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eのいずれかに故障が生じたと判断する。
この例では、検出温度Th1は、検出温度Th2とほぼ等しいため、温度差ΔTはほぼ“0”(ゼロ)となる。よって、故障検出部60は、温度差ΔTが範囲TR内にあるため(図7のケースC1)、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eに故障が生じていないと判断する。
次に、ダイオード31Aが故障した場合(ケースC2)について説明する。この場合、ダイオード31Aは開放状態になるため、ダイオード31Aには電流が流れない。よって、ダイオード31Aは発熱しない。一方、ダイオード31A以外の4つのダイオード31B〜31Eには、ダイオード31Aが故障していなければダイオード31Aに流れるはずであった電流が分配されて流れる。すなわち、ダイオード31B〜31Eには、ダイオード31Aが故障していない場合と比べて、それぞれ約1.25倍の電流が流れることとなる。よって、ダイオード31B〜31Eの発熱量は、ダイオード31Aが故障していない場合と比べて、それぞれ約1.25倍になる。温度センサ61における検出温度Th1は、温度センサ61の一番近くに配置されたダイオード31Aが発熱しないため、ダイオード31Aが故障していない場合に比べて低い温度になる。すなわち、検出温度Th1は、検出温度Th2よりも低くなり(Th1<Th2)、温度差ΔTは低くなる。
故障検出部60は、温度差ΔTが低く、所定の範囲TR外であるため(図7のケースC2)、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eのいずれかに故障が生じたと判断する。そして、故障検出部60は、この検出結果を、端子T5に接続された外部の装置に対して送信する。また、故障検出部60は、その検出結果をSW制御部51にも通知し、SW制御部51は、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eに流れる電流を抑えるように、スイッチング電源装置1を制御する。すなわち、この例では、故障したダイオード31A以外のダイオード31B〜31Eには、通常の約1.25倍の電流が流れており、このような過大な電流が2次破壊を招くおそれがある。よって、スイッチング電源装置1では、故障検出部60がSW制御部51に対して故障を通知し、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eに流れる電流を抑えるように動作する。これにより、スイッチング電源装置1では、この過大電流による2次破壊を防ぐことができ、不測の事態を回避することができる。
次に、ダイオード31Bが故障した場合(ケースC3)について説明する。この場合、ダイオード31Bは開放状態になるため、ダイオード31Bには電流が流れない。よって、ダイオード31Bは発熱しない。一方、ダイオード31B以外の4つのダイオード31A,31C〜31Eには、ダイオード31Bに流れるはずであった電流が分配されて流れる。すなわち、ダイオード31A,31C〜31Eには、ダイオード31Bが故障していない場合と比べて、それぞれ約1.25倍の電流が流れることとなる。よって、ダイオード31A,31C〜31Eの発熱量は、ダイオード31Bが故障していない場合と比べて、それぞれ約1.25倍になる。温度センサ61における検出温度Th1は、温度センサ61の一番近くに配置されたダイオード31Aの発熱量が大きいため、ダイオード31Bが故障していない場合に比べて高い温度になる。すなわち、検出温度Th1は、検出温度Th2よりも高くなり(Th1>Th2)、温度差ΔTは高くなる。
故障検出部60は、温度差ΔTが高く、所定の範囲TR外であるため(図7のケースC3)、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eのいずれかに故障が生じたと判断する。そして、故障検出部60は、ケースC2の場合と同様に、この検出結果を外部の装置に対して送信するとともに、SW制御部51に対して通知する。そして、SW制御部51は、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eに流れる電流を抑えるように、スイッチング電源装置1を制御する。
このケースC3では、ダイオード31Bが故障した場合を想定したが、これに代えてダイオード31C〜31Eのいずれかが故障した場合も同様である。すなわち、ダイオード31B〜31Eのいずれかが故障した場合には、ダイオード31Aの発熱量が増加するため、検出温度Th1は検出温度Th2よりも高くなり(Th1>Th2)、温度差ΔTは高くなる。故障検出部60は、これに基づいてダイオード31A〜31E,32A〜32Eに故障が生じたと判断する。
また、ケースC2,C3では、ダイオード31A〜31Eのうちの1つが故障した場合を想到したが、ダイオード32A〜32Eのうちの1つが故障した場合も同様である。すなわち、例えばダイオード32Eが故障した場合には、ダイオード32Eは発熱しないため、検出温度Th2は検出温度Th1よりも低くなり(Th1>Th2)、温度差ΔTは高くなる。また、例えばダイオード32A〜32Dのいずれかが故障した場合には、ダイオード32Eの発熱量が増加するため、検出温度Th2は検出温度Th1よりも高くなり(Th1<Th2)、温度差ΔTは低くなる。故障検出部60は、これに基づいてダイオード31A〜31E,32A〜32Eに故障が生じたと判断する。
以上では、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eのうちの1つが故障して開放状態になる場合を例に説明したが、ショート状態になる場合についても同様に故障を判断することができる。なお、この場合には、整流回路30が整流動作を行うことができず、出力電圧Voutが所望の電圧にならないため、この出力電圧Voutをモニタすることにより故障を検出することも可能である。一方、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eのうちの1つが故障して開放状態になる場合には、スイッチング電源装置1は、ほぼ正常な出力電圧Voutを生成するため、出力電圧Voutに基づいて故障を検出することができない。よって、上述したように温度センサ61,62を用いて故障を検出する方法が効果的である。
以上のように、スイッチング電源装置1では、5つのダイオード31A〜31Eに対して1つの温度センサ61を設けるとともに、5つのダイオード32A〜32Eに対して1つの温度センサ62を設けるようにしたので、例えば、特許文献3のように、素子ごとに温度検出素子を設けた場合に比べて、部品コストを抑えることができるとともに、基板上のレイアウトの自由度を高めることができる。
また、スイッチング電源装置1では、温度センサ61を、ダイオード31Aの近傍に配置するとともに、ダイオード31B〜31Eから離れるように配置したので、5つのダイオード31A〜31Eの故障をより確実に検出することができる。すなわち、このように配置することにより、温度センサ61における検出温度Th1が、その一番近くに配置されたダイオード31Aにおける発熱量により強い影響を受けるようにすることができる。よって、ダイオード31Aが故障した場合には、ダイオード31Aにおける発熱量の低下により、直接的にその故障を検出することができ、ダイオード31B〜31Eのいずれかが故障した場合には、ダイオード31Aにおける発熱量の増加を介して間接的にその故障を検出することができる。
一例として、温度センサ61を、ダイオード31Aとダイオード31Bの間に配置した場合を検討する。このとき、ダイオード31Aが故障した場合には、ダイオード31Aは発熱しないが、ダイオード31Bの発熱量は増大するため、検出温度Th1は、正常動作時に比べて低下するものの、その変化量が小さくなってしまう。一方、スイッチング電源装置1では、温度センサ61を、ダイオード31Aの近傍に配置するとともに、ダイオード31B〜31Eからできる限り離れた位置に配置したので、ダイオード31A〜31Eのいずれか1つが故障したときの検出温度Th1の変化量を大きくすることができる。
このように、温度センサ61は、ダイオード31Aの近傍に配置することにより、ダイオード31Aにおける発熱量により強い影響を受けるのが望ましい。よって、温度センサ61は、ダイオード31B〜31Eだけでなく、スイッチング電源装置1における、発熱する他の部品から離れた場所に配置することが望ましい。また、温度センサ61は、基板レイアウト上、電流の流れを阻害しないように配置することが望ましい。温度センサ62についても同様である。
また、スイッチング電源装置1では、図2に示したように、温度センサ61およびダイオード31A〜31Eの各素子間の位置関係を、温度センサ62およびダイオード32A〜32Eの各素子間の位置関係とほぼ同じにしている。これにより、故障検出部60における、温度センサ61により検出された検出温度Th1と、温度センサ62により検出された検出温度Th2との比較演算処理をシンプルにすることができる。すなわち、例えば、温度センサ61とダイオード31A〜31Eとの間の距離が、温度センサ62とダイオード32A〜32Eとの間の距離よりも著しく大きい場合には、正常動作時でも、検出温度Th1が検出温度Th2よりも低くなるため、比較演算の際に、この距離差の分だけ補正する必要がある。一方、スイッチング電源装置1では、温度センサ61およびダイオード31A〜31Eの各素子間の位置関係を、温度センサ62およびダイオード32A〜32Eの各素子間の位置関係とほぼ同じにしたので、このような補正を行うことなく比較演算を行うことができるため、故障検出部60における比較演算処理をシンプルにすることができる。
また、スイッチング電源装置1では、温度センサ61により検出された検出温度Th1と、温度センサ62により検出された検出温度Th2とを比較することにより、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eの故障を検出している。これにより、検出動作をシンプルにすることができる。すなわち、検出温度Th1,Th2は、低圧バッテリBLに接続される負荷回路による負荷電流や、周囲温度などによって変化するが、正常動作状態であれば、検出温度Th1と検出温度Th2は、互いにほぼ同じ値となる。スイッチング電源装置1では、この検出温度Th1と検出温度Th2とを比較することにより、負荷電流や周囲温度などを考慮した補正を行う必要なく、シンプルな方法で故障を検出することができる。
[効果]
以上のように本実施の形態では、複数のダイオードに対して1つの温度センサを設けるようにしたので、部品コストを抑えることができるとともに、基板上のレイアウトの自由度を高めることができる。
本実施の形態では、温度センサを、複数のダイオードのうちの1つの近傍に配置するとともに、その他のダイオードからできる限り離れた位置に配置したので、5つのダイオードの故障をより確実に検出することができる。
本実施の形態では、温度センサ61およびダイオード31A〜31Eの各素子間の位置関係と、温度センサ62およびダイオード32A〜32Eの各素子間の位置関係をほぼ同じにしたので、故障検出部における比較演算処理をシンプルにすることができる。
本実施の形態では、2つの温度センサにおける検出温度を比較するようにしたので、シンプルな方法で故障を検出することができる。
[変形例1]
上記実施の形態では、整流回路30はダイオードにより整流を行うものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、いわゆる同期整流を行うものであってもよい。以下にその詳細を説明する。
図8は、同期整流を行うスイッチング電源装置1Bの一構成例を表すものである。スイッチング電源装置1Bは、整流回路30Bと、制御部50Bとを備えている。
整流回路30Bは、この例では3つのスイッチング素子SW21(SW21A〜SW21C)および3つのスイッチング素子SW22(SW22A〜W22C)を有している。スイッチング素子SW21,SW22は、スイッチング素子SW11〜SW14と同様に、例えば、MOS−FETやIGBTなどの素子が使用可能である。この例では、スイッチング素子SW21,SW22は、NチャネルのMOS−FETにより構成されている。3つのスイッチング素子SW21A〜SW21Cは、互いに並列に接続され、同様に3つのスイッチング素子SW22A〜SW22Cは、互いに並列に接続されている。スイッチング素子SW21A〜SW21CのゲートにはSW制御信号S21(後述)がそれぞれ供給され、ソースが2次側低圧ラインL2Lにそれぞれ接続され、ドレインがトランス20の2次側巻線22Bの一端にそれぞれ接続されている。スイッチング素子SW22A〜SW22CのゲートにはSW制御信号S22(後述)がそれぞれ供給され、ソースが2次側低圧ラインL2Lにそれぞれ接続され、ドレインがトランス20の2次側巻線22Aの一端にそれぞれ接続されている。
ここで、スイッチング素子SW21A〜SW21Cのそれぞれは、本開示における「第1の整流素子」の一具体例に対応する。スイッチング素子SW22A〜SW22Cのそれぞれは、本開示における「第2の整流素子」の一具体例に対応する。
制御部50Bは、SW制御部51Bと、SW駆動部54Bとを有している。SW制御部51Bは、SW制御信号S11〜S14の基となる制御信号を生成し、トランス52を介してSW駆動部53へ供給するとともに、SW制御信号S21,S22の基となる制御信号を生成し、SW駆動部54Bへ供給するものである。SW駆動部54Bは、SW制御部51Bからの指示に基づいてSW制御信号S21,S22を生成して、スイッチング素子SW21,SW22に対して供給するものである。SW制御信号S21は、例えば、図4において、期間T12において高レベルとなり、他の期間において低レベルとなる信号である。また、SW制御信号S22は、例えば、図4において、期間T11において高レベルとなり、他の期間において低レベルとなる信号である。
この例では、温度センサ61は、3つのスイッチング素子SW21A〜SW21Cに対応して設けられ、3つのスイッチング素子SW21A〜SW21Cの発熱状態に応じた温度(検出温度Th1)を検出する。同様に、温度センサ62は、3つのスイッチング素子SW22A〜SW22Cに対応して設けられ、3つのスイッチング素子SW22A〜SW22Cの発熱状態に応じた温度(検出温度Th2)を検出する。そして、故障検出部60は、この検出温度Th1,Th2に基づいて、スイッチング素子SW21A〜SW21C,SW22A〜SW22Cの故障を検出する。
[変形例2]
上記実施の形態では、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eの故障を検出したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、図9に示したように、抵抗素子73(73A〜73C),74(74A〜74C)の故障を検出してもよい。図9に示したスイッチング電源装置1Cは、整流回路30Cを備えている。整流回路30Cは、ダイオード71,72と、抵抗素子73(73A〜73C),74(74A〜74C)とを有している。ダイオード71は、アノードが抵抗素子73A〜73Cの一端に接続され、カソードが2次側巻線22Bの一端に接続されている。抵抗素子73A〜73Cは、互いに並列接続され、一端がダイオード71のアノードにそれぞれ接続され、他端が2次側低圧ラインL2Lにそれぞれ接続されている。ダイオード72は、アノードが抵抗素子74A〜74Cの一端に接続され、カソードが2次側巻線22Aの一端に接続されている。抵抗素子74A〜74Cは、互いに並列接続され、一端がダイオード72のアノードにそれぞれ接続され、他端が2次側低圧ラインL2Lにそれぞれ接続されている。
この例では、温度センサ61は、3つの抵抗素子73A〜73Cに対応して設けられ、3つの抵抗素子73A〜73Cの発熱状態に応じた温度(検出温度Th1)を検出する。同様に、温度センサ62は、3つの抵抗素子74A〜74Cに対応して設けられ、3つの抵抗素子74A〜74Cの発熱状態に応じた温度(検出温度Th2)を検出する。そして、故障検出部60は、この検出温度Th1,Th2に基づいて、抵抗素子73A〜73C,74A〜74Cの故障を検出する。
[変形例3]
上記実施の形態では、5つのダイオード31A〜31Eに対して1つの温度センサ61を設けるとともに、5つのダイオード32A〜32Eに対して1つの温度センサ62を設けたが、これに限定されるものではない。例えば、4つ以下または6つ以上のダイオードに対して1つの温度センサを設けてもよい。また、例えば、5つのダイオードに対して2つ以上かつ4つ以下の温度センサを設けてもよい。以下に、5つのダイオードに対して2つの温度センサを設けたスイッチング電源装置1Dについて、詳細に説明する。
図10は、スイッチング電源装置1Dの一構成例を表すものである。図11は、各部品の基板上における配置を表すものである。スイッチング電源装置1Dは、図10に示したように、温度センサ61A,61B,62A,62Bと、故障検出部60Dとを備えている。温度センサ61A,61Bは、5つのダイオード31A〜31Eに対応して設けられ、温度センサ62A,62Bは、5つのダイオード32A〜32Eに対応して設けられている。具体的には、図11に示したように、温度センサ61A,61Bは、並設された5つのダイオード31A〜31Eの、並設方向における外側にそれぞれ配置されており、温度センサ62A,62Bは、並設された5つのダイオード32A〜32Eの、並設方向における外側にそれぞれ配置されている。すなわち、温度センサ61Aは、ダイオード31Aの近傍に配置されるとともに、それ以外の熱源(ダイオード31B〜31E、ダイオード32A〜32E等)から離れるように配置され、温度センサ61Bは、ダイオード31Eの近傍に配置されるとともに、それ以外の熱源(ダイオード31A〜31D、ダイオード32A〜32E等)から離れるように配置されている。同様に、温度センサ62Aは、ダイオード32Eの近傍に配置されるとともに、それ以外の熱源(ダイオード32A〜32D、ダイオード31A〜31E等)から離れるように配置され、温度センサ62Bは、ダイオード32Aの近傍に配置されるとともに、それ以外の熱源(ダイオード32B〜32E、ダイオード31A〜31E等)から離れるように配置されている。温度センサ61A,61Bは、5つのダイオード31A〜31Eの発熱状態に応じた温度(検出温度Th1A,Th1B)をそれぞれ検出し、温度センサ62A,62Bは、5つのダイオード32A〜32Eの発熱状態に応じた温度(検出温度Th2A,Th2B)をそれぞれ検出する。故障検出部60Dは、検出温度Th1A,Th1B,Th2A,Th2Bに基づいて、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eの故障を検出する。
[変形例4]
上記実施の形態では、整流回路30におけるダイオード素子31,32の故障を検出したが、これに限定されるものではない。以下に、本変形例に係るスイッチング電源装置1Eついて詳細に説明する。
図12は、スイッチング電源装置1Eの一構成例を表すものである。スイッチング電源装置1Eは、スイッチング回路10Eと、整流回路30Eと、故障検出部60Eとを備えている。
スイッチング回路10Eは、スイッチング素子SW11A,SW11B,SW12A,SW12B,SW13A,SW13B,SW14A,S14Bと、温度センサ81〜84とを有している。
スイッチング素子SW11A,SW11Bは、上記実施の形態に係るスイッチング素子SW11(図1など)に対応するものであり、互いに並列接続されている。スイッチング素子SW12A,SW12Bは、上記実施の形態に係るスイッチング素子SW12に対応するものであり、互いに並列接続されている。スイッチング素子SW13A,SW13Bは、上記実施の形態に係るスイッチング素子SW13に対応するものであり、互いに並列接続されている。スイッチング素子SW14A,SW14Bは、上記実施の形態に係るスイッチング素子SW14に対応するものであり、互いに並列接続されている。
温度センサ81は、スイッチング素子SW11A,SW11Bに対応して設けられたものであり、スイッチング素子SW11A,SW11Bの発熱状態に応じた温度(検出温度Th11)を検出し、その検出温度Th11の情報を含む検出信号Det11を、故障検出部60Eに供給する。温度センサ82は、スイッチング素子SW12A,SW12Bに対応して設けられたものであり、スイッチング素子SW12A,SW12Bの発熱状態に応じた温度(検出温度Th12)を検出し、その検出温度Th12の情報を含む検出信号Det12を、故障検出部60Eに供給する。温度センサ83は、スイッチング素子SW13A,SW13Bに対応して設けられたものであり、スイッチング素子SW13A,SW13Bの発熱状態に応じた温度(検出温度Th13)を検出し、その検出温度Th13の情報を含む検出信号Det13を、故障検出部60Eに供給する。温度センサ84は、スイッチング素子SW14A,SW14Bに対応して設けられたものであり、スイッチング素子SW14A,SW14Bの発熱状態に応じた温度(検出温度Th14)を検出し、その検出温度Th14の情報を含む検出信号Det14を、故障検出部60Eに供給する。
故障検出部60Eは、検出温度Th11〜Th14に基づいて、スイッチング素子SW11A,SW11B,SW12A,SW12B,SW13A,SW13B,SW14A,SW14Bの故障を検出する。具体的には、例えば、故障検出部60Eは、検出温度Th11と検出温度Th12とを比較することにより、スイッチング素子SW11A,SW11B,SW12A,SW12Bの故障を検出するとともに、検出温度Th13と検出温度Th14とを比較することにより、スイッチング素子SW13A,SW13B,SW14A,SW14Bの故障を検出する。この場合には、スイッチング素子SW11A,SW11B,SW12A,SW12Bの故障を検出する観点からは、スイッチング素子SW11A,SW11Bのそれぞれが、本開示における「第1のスイッチング素子」の一具体例に対応し、温度センサ81が、本開示における「第1の温度検出素子」の一具体例に対応し、スイッチング素子SW12A,SW12Bのそれぞれが、本開示における「第2のスイッチング素子」の一具体例に対応し、温度センサ82が、本開示における「第2の温度検出素子」の一具体例に対応する。また、スイッチング素子SW13A,SW13B,SW14A,SW14Bの故障を検出する観点からは、スイッチング素子SW13A,SW13Bのそれぞれは、本開示における「第1のスイッチング素子」の一具体例に対応し、温度センサ83が、本開示における「第1の温度検出素子」の一具体例に対応し、スイッチング素子SW14A,SW14Bのそれぞれは、本開示における「第2のスイッチング素子」の一具体例に対応し、温度センサ84が、本開示における「第2の温度検出素子」の一具体例に対応する。
[変形例5]
上記実施の形態では、センタタップ型の整流方式を用いたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、カレントダブラ型の整流方式を用いてもよい。以下に、本変形例に係るスイッチング電源装置1Fについて詳細に説明する。
図13は、スイッチング電源装置1Fの一構成例を表すものである。スイッチング電源装置1Fは、整流回路30Fと、平滑回路40Fとを有している。この例では、2次側巻線22Aの他端と2次側巻線22Bの他端は互いに接続され、2次側巻線22Aの一端と2次側巻線22Bの一端から、交流電圧を出力する。
整流回路30Fは、この例では、互いに並列に接続された5つのダイオード91(91A〜91E)、および互いに並列に接続された5つのダイオード92(92A〜92E)を有している。ダイオード91A〜91Eのカソードは2次側巻線22Aの一端にそれぞれ接続され、アノードは2次側低圧ラインL2Lにそれぞれ接続されている。ダイオード92A〜92Eのカソードは2次側巻線22Bの一端にそれぞれ接続され、アノードは2次側低圧ラインL2Lにそれぞれ接続されている。
平滑回路40Fは、チョークコイルLch1,Lch2と出力平滑コンデンサCoutとを有している。チョークコイルLch1は、一端が2次側巻線22Aの一端に接続され、他端が、チョークコイルLch2の他端および出力平滑コンデンサCoutの一端と接続される。チョークコイルLch2は、一端が2次側巻線22Bの一端に接続され、他端が、チョークコイルLch1の他端および出力平滑コンデンサCoutの一端と接続される。出力平滑コンデンサCoutは、一端がチョークコイルLch1,Lch2の他端に接続されるとともに、他端が2次側低圧ラインL2Lに接続されている。
温度センサ61は、ダイオード91A〜91Eに対応して設けられたものであり、ダイオード91A〜91Eの発熱状態に応じた温度(検出温度Th1)を検出する。温度センサ62は、ダイオード92A〜92Eに対応して設けられたものであり、ダイオード92A〜92Eの発熱状態に応じた温度(検出温度Th2)を検出する。
[変形例6]
上記実施の形態では、故障検出部60は、検出温度Th1と検出温度Th2とを比較することにより、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eの故障を検出したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、検出温度Th1と検出温度Th2とを比較せずに、ダイオード31A〜31E,32A〜32Eの故障を検出してよい。本変形例に係るスイッチング電源装置1G(図1)は、故障検出部60Gを備えている。この故障検出部60Gは、検出温度Th1と、リファレンス値とを比較することによりダイオード31A〜31Eの故障を検出するとともに、検出温度Th2と、リファレンス値とを比較することによりダイオード32A〜32Eの故障を検出する。故障検出部60Gは、スイッチング電源装置1Gの周囲温度や、負荷電流値に基づいてこのリファレンス値を求め、このリファレンス値と、検出温度Th1,Th2に基づいてダイオード31A〜31E,32A〜32Eの故障を検出する。
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、温度センサ61を、5つのダイオード31のうちの一番外側のダイオード31Aの近傍に配置したが、これに限定されるものではなく、5つのダイオード31のうちのどのダイオード31の近傍に配置してもよい。温度センサ62についても同様である。また、この例では、ダイオード31A〜31Eを一列に並設するとともに、ダイオード32A〜32Eを一列に並設したが、これに限定されるものではない。
また、例えば、上記実施の形態では、トランス20の1次側巻線21と2次側巻線22A,22Bとはフォワード接続したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、フライバック接続してもよい。
また、例えば、上記実施の形態では、スイッチング電源装置1などは、直流入力電圧Vinを変圧して直流出力電圧Voutを生成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、直流入力電圧を変圧して交流出力電圧を生成(DC/AC変換)してもよいし、交流入力電圧を変圧して直流出力電圧を生成(AC/DC変換)してもよいし、交流入力電圧を変圧して交流出力電圧を生成(AC/AC変換)してもよい。