JP5724655B2 - 連結金具及びこれを備えたフレーム並びにこのフレームを用いた建築物 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物に用いられるフレームに関する。
従来から、建築物に用いられるフレームとして、例えば、特許文献1に開示される梁接合構造が知られている。
特許文献1に記載の梁接合構造は、梁と、この梁に直角に接合される小梁と、前記梁と小梁とを接合するための梁接合金物とを備えている。前記梁は、ウェブと、このウェブの上下にそれぞれ設けられたフランジとを有するH型鋼からなる。前記梁接合金物は、互いに背中合わせに溶接された2枚のL形プレートと、L形プレートのコーナー部に溶接されたブレース取付板とを備えている。そして、各L形プレートの一方の片は、梁のウェブに対してボルト及びナットで締め付け固定される。また、各L形プレートの他方の片には、小梁の一端がボルト及びナットで締め付け固定される。
特開平5−214768号公報
近年では、H型鋼に代えて2本のC型鋼を採用することにより、フレーム全体の強度を保ちながら、フレームを構成する部材(C型鋼)の軽量化を図ることが行われている。具体的に、H型鋼よりも薄肉の鋼材からなる2本のC型鋼を背中合わせに(ウェブ同士を合わせた状態で)組み付けたものが、H型鋼の代わりに用いられている。
ここで、2本のC型鋼を組み合わせたフレームでは、各C型鋼のウェブ1枚当たりの厚みがH型鋼に比べて薄い。そのため、C型鋼のウェブに対して特許文献1に記載の梁接合金物を取り付けた場合、ブレースからの荷重によりC型鋼のウェブが変形するおそれがある。
本発明の目的は、2本のC型鋼を組み合わせた第1フレーム材に対して第2フレーム材を連結可能とし、かつ、ブレースを取付可能とするために、C型鋼のウェブの変形を抑制しつつ第1フレーム材に取付可能な連結金具及びこれを備えたフレーム並びにこのフレームを用いた建築物を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、ウェブと前記ウェブの両端から立ち上がる一対のフランジと前記各フランジからそれぞれ内側に屈曲する一対のリップとをそれぞれ有する2本のC型鋼が互いに背中合わせに組み合わされた第1フレーム材に対して第2フレーム材を連結するために、前記第1フレーム材に取り付けられる連結金具であって、前記2本のC型鋼の両ウェブを挟んで配置された状態で、前記両ウェブを貫通するボルトで互いに連結可能な第1連結板及び第2連結板と、前記第1連結板上に立設された第1補強板と、前記第1補強板から当該第1補強板と垂直な方向に延びるように前記第1連結板及び第1補強板にそれぞれ溶接された第2補強板と、前記第1補強板を挟んで前記第2補強板と反対側に設けられ、前記第1補強板から当該第1補強板と垂直な方向に延びるように前記第1連結板及び第1補強板にそれぞれ溶接された第3補強板とを備え、前記第1補強板には、前記第1フレーム材に取り付けられた状態で前記一対のリップの間を通って前記第1フレーム材の外側に配置されるとともに前記第2フレーム材を取付可能なフレーム取付部が形成され、前記第2補強板、第3補強板の少なくとも一方には、前記第1フレーム材に取り付けられた状態で前記一対のリップの間を通って前記第1フレーム材の外側に配置されるとともにブレースを取付可能なブレース取付部が形成され、前記連結金具は、前記第2連結板上に立設された第4補強板をさらに備え、前記第1連結板及び前記第2連結板は、前記第1補強板及び前記第4補強板をその厚み方向に挟んだ両側位置で前記ボルトによって互いに連結され、前記第1連結板及び前記第2連結板が連結された状態で、前記第1補強板及び前記第4補強板は、同一平面上に配置される、連結金具を提供する。
本発明では、第1補強板と第2補強板及び第3補強板とが互いに直交するように配置された状態で第1連結板に固定されているため、第1連結板の曲げ強度を向上することができる。さらに、このように曲げ強度を向上した第1連結板と第2連結板とが2本のC型鋼の両ウェブを挟んだ状態で連結することにより、これら両ウェブ、第1連結板及び第2連結板を一体化することができる。
そのため、本発明によれば、ブレースを介して入力される荷重のうち縦方向の成分を第1フレーム材全体で受けることができるとともに、一体化された両ウェブ、第1連結板及び第2連結板で横方向の成分を確実に受けることができる。具体的に、ブレースを介して入力される荷重のうちの縦方向の成分は、一体化された両ウェブ、第1連結板及び第2連結板を介して第1フレーム材のゲージライン(両ウェブ間に設定される第1フレーム材の軸方向の中心線)に沿って伝達される。一方、横方向の荷重は、一体化された両ウェブ、第1連結板及び第2連結板に対してその曲げ方向の力として作用するが、上述のように第1連結板が第1〜第3補強板により曲げ強度が向上されていること、及び、両ウェブ、第1連結板及び第2連結板が一体化されることにより全体として充分な厚み寸法が確保されることによって、両ウェブの曲げ変形を抑制することができる。
したがって、本発明によれば、C型鋼のウェブの変形を抑制しつつ第1フレーム材に取付可能な連結金具を提供することができる。
また、本発明では、第2連結板上に第4補強板が立設されている。そのため、第4補強板によって第2連結板の曲げ強度を向上することができる。したがって、それぞれ大きな曲げ強度を有する第2連結板と第1連結板との間で2本のC型鋼の両ウェブを挟持することにより、確実に両ウェブの変形を抑制することができる。
前記連結金具において、前記第1連結板及び前記第2連結板は、前記第2補強板をその厚み方向に挟んだ両側位置と、前記第3補強板をその厚み方向に挟んだ両側位置とを含む少なくとも4の連結位置で前記ボルトによって連結されることが好ましい。
この態様では、互いに直交するように配置された第1補強板と第2補強板及び第3補強板とにより区切られる4つの領域のそれぞれに少なくとも1の連結位置が設定されている。そのため、フレーム取付部(第1補強板)又はブレース取付部(第2補強板又は第3補強板)から入力される荷重を、その入力元(第1補強板、第2補強板又は第3補強板)の直近の連結位置のボルトを介して第2連結板に伝達することができる。したがって、フレーム取付部又はブレース取付部から入力された荷重が第1連結板の曲げ変形に寄与するのを有効に抑制することができる。
前記連結金具において、前記第1フレーム材に取り付けられた状態で、前記第4補強板は、前記第1補強板の裏側位置で、前記第1補強板に沿って配置されていることが好ましい。
この態様では、第1フレーム材に取り付けられた状態で、第4補強板が第1補強板の裏側位置で、第1補強板に沿って配置されている。そのため、第1補強板と第4補強板とが協働して第1連結板、第2連結板及びこれらに挟持された一対のウェブの変形を抑制することができる。
前記連結金具において、前記第2フレーム材は、前記第1フレーム材の2本のC型鋼と同等の断面形状を有するとともに互いに背中合わせに連結された2本のC型鋼を備え、前記フレーム取付部は、前記第2フレーム材の2本のC型鋼のウェブ間に挟まれた状態で、前記両ウェブに対してボルトで固定可能であることが好ましい。
この態様では、第1フレーム材の2本のC型鋼と第2フレーム材の2本のC型鋼とが同等の断面形状を有する。そのため、第1フレーム材及び第2フレーム材の部品コストを低減することができる。具体的に、長尺の鋼材を形成するとともに、この鋼材を裁断することにより第1フレーム材及び第2フレーム材に用いるC型鋼を製造することが可能となる。したがって、第1フレーム材及び第2フレーム材について製造工程の重複部分を増やすことができるため、これらの製造コストを低減することができる。
また、本発明は、ウェブと前記ウェブの両端から立ち上がる一対のフランジと前記各フランジからそれぞれ内側に屈曲する一対のリップとを有する2本のC型鋼が互いに背中合わせに組み合わされた第1フレーム材と、前記第1フレーム材に取り付けられた、前記連結金具と、前記連結金具を介して前記第1フレーム材に連結された第2フレーム材とを備えている、フレームを提供する。
さらに、本発明は、基礎と、前記基礎上に設けられた前記フレームとを備えている、建築物を提供する。
本発明によれば、2本のC型鋼を組み合わせた第1フレーム材に対して第2フレーム材を連結可能とし、かつ、ブレースを取付可能とするために、C型鋼のウェブの変形を抑制しつつ第1フレーム材に取付可能な連結金具及びこれを備えたフレーム並びにこのフレームを用いた建築物を提供することができる。
本発明の実施形態に係る家屋の全体構成を示す斜視図である。 図1の一部を拡大して示す分解斜視図である。 図1の一部を拡大して示す正面図である。 図3のIV−IV線断面図である。 図4に示す第1金具及び第2金具を拡大して示す斜視図である。 図2の連結金具の組み付け手順を示す側面図である。 本発明の変形例を示す図3相当図である。 本発明の別の変形例を示す図4相当図である。 図9の第1金具を示す正面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る家屋を示す斜視図である。
図1を参照して、建築物の一例としての家屋1は、基礎2と、この基礎2上に設けられた家屋本体3とを備えている。
家屋本体3は、前記基礎2上に立設された複数の柱4(図1では1本の柱4を示す)と、これらの柱4に対して水平方向に接続された複数の梁5A〜5Eと、これら梁5A〜5Eの対向する角部の間に設けられたブレース6と、各梁5A〜5E同士を連結するための連結金具7とを備えている。
複数の梁5A〜5Eは、例えば、次のようなものである。梁5A〜5Cは、2本の柱4の間に設けられている。梁5Dは、前記梁5Bの途中部に対して突き合わされた状態で当該梁5Bに接続された第1端と、前記梁5Cの途中部に対して突き合わされた状態で当該梁5Cに接続された第2端とを有する。梁5Eは、前記梁5Aの途中部に対して突き合わされた状態で当該梁5Aに接続された第1端と、前記梁5Dの途中部に対して突き合わされた状態で当該梁5Dに接続された第2端とを有する。
ブレース6は、各梁5A〜5Eの相対移動を規制することにより、前記梁5A〜5Eにより形成された枠状フレームの変形を抑制する。ブレース6は、図1では4本示されている。具体的に、4本のブレース6は、梁5A及び梁5Bの角部と梁5D及び梁5Eの角部との間、梁5A及び梁5Eの角部と梁5B及び梁5Dの角部との間、梁5A及び梁5Eの角部と梁5C及び梁5Dの角部との間、並びに、梁5A及び梁5Cの角部と梁5D及び梁5Eの角部との間にそれぞれ設けられている。
連結金具7は、例えば、梁5Dと梁5B及び梁5Cとの間、並びに、梁5Eと梁5A及び梁5Dとの間にそれぞれ設けられている。以下、図2〜図7を参照して、梁5D(第1フレーム材の一例)及び梁5E(第2フレーム材の一例)の構成について説明した上で、梁5Dと梁5Eとの間に設けられた連結金具7について説明する。
梁5Dは、同等の断面形状を有する2本のC型鋼8、9がボルトB3及びナットN3(図3及び図4参照)により互いに連結されたものである。具体的に、C型鋼8は、図2に示すように、ウェブ8aと、ウェブ8aの両端から立ち上がる一対のフランジ8b、8cと、これらフランジ8b、8cからそれぞれ内側に屈曲する一対のリップ8d、8eとを有する。前記ウェブ8aには、ボルトB3を挿通するための4つの挿通孔8f(図4では2つ示す)が形成されている。C型鋼9は、ウェブ9aと、ウェブ9aの両端から立ち上がる一対のフランジ9b、9cと、これらフランジ9b、9cからそれぞれ内側に屈曲する一対のリップ9d、9eとを有する。前記ウェブ9aには、ボルトB3を挿通するための4つの挿通孔9f(図4では2つ示す)が形成されている。これら挿通孔9fは、前記C型鋼8の各挿通孔8fに重ねることが可能な位置に設けられている。図3に示すように、C型鋼8、9のウェブ8a、9aを対向させた状態で、各C型鋼8、9の挿通孔8f、9fにボルトB3を挿通するとともに、このボルトB3にナットN3を螺合させることにより、両C型鋼8、9が背中合わせに連結される。
梁5Eは、梁5DのC型鋼8、9と同等の断面形状を有する2本のC型鋼10、11がボルトB2及びナットN2(図3及び図4参照))により互いに連結されたものである。具体的に、C型鋼10は、ウェブ10aと、ウェブ10aの両側から立ち上がる一対のフランジ10b、10cと、これらフランジ10b、10cからそれぞれ内側に屈曲する一対のリップ10d、10eとを有する。ウェブ10aには、前記ボルトB2を挿通するための2つの挿通孔10f(図2では1つ示す)が形成されている。C型鋼11は、ウェブ11aと、ウェブ11aの両側から立ち上がる一対のフランジ11b、11cと、これらフランジ11b、11cからそれぞれ内側に屈曲する一対のリップ11d、11eとを有する。前記ウェブ11aには、前記ボルトB2を挿通するための2つの挿通孔11f(図4では1つ示す)が形成されている。これら挿通孔11fは、前記C型鋼10の各挿通孔10fに重ねることが可能な位置に設けられている。図4に示すように、各C型鋼10、11のウェブ10a、11aを対向させた状態で、各C型鋼10、11の挿通孔10f、11fにボルトB2を挿通するとともに、このボルトB2にナットN2を螺合させることにより、両C型鋼10、11が背中合わせに連結される。
連結金具7は、前記梁5Dに梁5Eを連結可能にするとともにブレース6を取り付け可能とするために梁5Dに取り付けられる。具体的に、連結金具7は、C型鋼8側から取り付けられる第1金具12と、C型鋼9側から取り付けられる第2金具14とを備えている。
第1金具12は、前記第2金具14との間でC型鋼8、9の両ウェブ8a、9aを挟持するための第1連結板15と、この第1連結板15上に立設された第1補強板16と、これら第1連結板15及び第1補強板16に固定された第2補強板19A及び第3補強板19Bとを備えている。
第1連結板15は、図3に示すように、ボルトB3及びナットN3によってウェブ8aに密着した状態で梁5Dに取付可能である。また、第1連結板15は、図6に示すように、各リップ8d、8e間に挿入可能な略長方形の板材である。具体的に、第1連結板15の長手方向の寸法は、前記C型鋼8の各リップ8d、8e間の寸法よりも短い。また、第1連結板15には、ボルトB3を挿通するための4つの挿通孔15gが形成されている。これら挿通孔15gは、後述する第1補強板16と第2補強板19A及び第3補強板19Bとにより仕切られる4つの領域のそれぞれに対し1つずつ形成されている。つまり、第1補強板16を基準として第2補強板19Aの側に2つの挿通孔15gが形成され、これら2つの挿通孔15gがそれぞれ第2補強板19Aを挟んだ両側に配置されている。一方、第1補強板16を基準として第3補強板19Bの側に2つの挿通孔15gが形成され、これら2つの挿通孔15gがそれぞれ第3補強板19Bを挟んだ両側に配置されている。
図2〜図5を参照して、第1補強板16は、梁5Dに取り付けられた状態で、前記第1連結板15から両リップ8d、8e間を通って梁5Dの外側まで延びるとともに、ボルトB3及びナットN3によって梁5Eを取付可能である。具体的に、第1補強板16には、ボルトB2を挿通するための3つの挿通孔16a(フレーム取付部)が形成されている。これら3つの挿通孔16aのうち最も上の挿通孔16aと最も下の挿通孔16aとの間隔は、前記梁5Eの挿通孔10f、11fの間隔に対応する。
第2補強板19A及び第3補強板19Aは、前記第1補強板16を基準として左右対称の位置に設けられているとともに、左右対称の形状を有する。そこで、第2補強板19Aのみを説明し、第3補強板19Bには同一の符号を付してその説明を省略する。
第2補強板19Aは、前記梁5Dに取り付けられた状態において、第1連結板15から当該第1連結板15の表面に対して約45°の角度で両リップ8d、8e間を通って梁5Dの外側まで延びる。具体的に、第2補強板19Aは、図4に示すように、第1補強板16の右側面及び第1連結板15の表面に対して溶接されている。また、第2補強板19Aは、梁5Dに取り付けられた状態において両リップ8d、8eの外側位置でボルトB1によってブレース6を取付可能である。具体的に、第2補強板19Aには、ボルトB1を挿通するための挿通孔19c(図5参照:ブレース取付部)が形成されている。この挿通孔19cの位置は、次のように設定されている。挿通孔19cに取り付けられるブレース6の仮想中心線C1が梁5DのゲージラインG1と梁5EのゲージラインG2との交点を通るように、挿通孔19cの位置が設定されている。なお、図3に示すように、第2補強板19Aは、第1補強板16の3つの挿通孔16aのうちの上から2番目の挿通孔16aと最も下の挿通孔16aとの間に設けられている。
図3〜図5を参照して、第2金具14は、C型鋼8のウェブ8a及びC型鋼9のウェブ9aを挟んだ状態で、ボルトB3及びナットN3によって前記第1金具12と連結可能である。具体的に、第2金具14は、前記第1金具12に連結される第2連結板20と、第2連結板20を補強するための第4補強板21とを備えている。第2連結板20は、C型鋼9の両リップ9d、9e間に挿入可能な略長方形の板材である。具体的に、第2連結板20の長手方向の寸法は、C型鋼9の各リップ9d、9e間の寸法よりも短い。また、第2連結板20には、4つの挿通孔20dが形成されている。これら挿通孔20dは、前記第1連結板15に形成された4つの挿通孔15gに重ねることができる位置に設けられている。第4補強板21は、C型鋼9の各リップ9d、9e間を通して各フランジ9b、9c間に挿入可能である。具体的に、第4補強板21は、正面視において第2連結板20の範囲内にのみ設けられている。また、第4補強板21は、梁5Dに取り付けられた状態で、前記第1補強板16の裏側位置で、前記第1補強板16に沿って配置されている。つまり、第4補強板21は、各フランジ9b、9c間で当該各フランジ9b、9cに直交する方向に沿って配置されている。また、第4補強板21は、第2連結板20に溶接されている。さらに、第4補強板21は、第1金具12と第2金具14とが連結された状態で、第1補強板16と同一平面上に乗るように配置されている。具体的に、第4補強板21と4つの挿通孔20dとの位置関係は、第1補強板16と4つの挿通孔15gとの位置関係に一致する。
以下、連結金具7を用いて梁5Dに対して梁5E及びブレース6を接続する手順について説明する。
まず、図6に示す姿勢とした状態で、第1金具12の第1連結板15、第1補強板16の基部、第2補強板19Aの基部及び第3補強板19Bの基部を各リップ8d、8eを通して各フランジ8b、8c間に挿入する。ここで、第1連結板15の長手寸法は、各リップ8d、8e間の距離よりも短い。そのため、第1連結部15の長手方向を各フランジ8b、8cが対向する方向に向けた状態で、第1連結板15を各フランジ8b、8c間に挿入することができる。第1連結部15を各フランジ8b、8c間に挿入した状態で、図4に示すように、第1金具12の4つの挿通孔15gを各C型鋼8、9の4つの挿通孔8f、9fに位置決めする。
次いで、C型鋼9に第2金具14を取り付ける。具体的に、第2連結板20及び第4補強板21を、各リップ9d、9eを通して各フランジ9b、9c間に挿入する。第2金具14は、その4つの挿通孔20dが各C型鋼8、9の4つの挿通孔8f、9fにそれぞれ合致するように、位置決めされる。この状態で、各挿通孔8f、9f、15g、20dにボルトB3を挿通するとともに、このボルトB3にナットN3を螺合することにより、両金具12、14が連結される。これにより、両ウェブ8a、9a、第1連結板15、及び第2連結板20が一体化される。
次に、梁5Eを梁5Dに連結する。具体的に、第1金具12の第1補強板16を挟むようにC型鋼10、11の両ウェブ10a、11aを配置するとともに、第1補強板16の2つの挿通孔16aと、各C型鋼10、11の2つの挿通孔10f、11f(図4参照)とを位置決めする。この状態で、各挿通孔10f、11f、16aにボルトB2を挿通するとともに、このボルトB2にナットN2を螺合する。
次に、第1金具12にブレース6を取り付ける。具体的に、ブレース6の一端に貫通するボルトB1を第2補強板19A及び第3補強板19Bの挿通孔19cにそれぞれ挿通し、このボルトB1にナットN1を螺合する。
以上説明したように、前記実施形態では、第1補強板16と第2補強板19A及び第3補強板19Bとが互いに直交するように配置された状態で第1連結板15に固定されているため、第1連結板15の曲げ強度を向上することができる。さらに、このように曲げ強度を向上した第1連結板15と第2連結板20とが2本のC型鋼8、9の両ウェブ8a、9aを挟んだ状態で連結することにより、これら両ウェブ8a、9a、第1連結板15及び第2連結板20を一体化することができる。
そのため、前記実施形態によれば、ブレース6を介して入力される荷重のうち縦方向の成分を梁5D全体で受けることができるとともに、一体化された両ウェブ8a、9a、第1連結板15及び第2連結板20で横方向の成分を確実に受けることができる。具体的に、ブレース6を介して入力される荷重のうちの縦方向の成分は、一体化された両ウェブ8a、9a、第1連結板15及び第2連結板20を介して梁5DのゲージラインG1(両ウェブ8a、9a間に設定される梁5Dの軸方向の中心線)に沿って伝達される。一方、横方向の荷重は、一体化された両ウェブ8a、9a、第1連結板15及び第2連結板20に対してその曲げ方向の力として作用するが、上述のように第1連結板15が第1〜第3補強板16、19A、19Bにより曲げ強度が向上されていること、及び、両ウェブ8a、9a、第1連結板15及び第2連結板20が一体化されることにより全体として充分な厚み寸法が確保されることによって、両ウェブ8a、9aの曲げ変形を抑制することができる。
したがって、前記実施形態によれば、C型鋼8、9のウェブ8a、9aの変形を抑制しつつ梁5Dに取付可能な連結金具7を提供することができる。
前記実施形態では、互いに直交するように配置された第1補強板16と第2補強板19A及び第3補強板19Bとにより区切られる4つの領域のそれぞれに挿通孔15g、20dが設けられている。そのため、第1補強板16、第2補強板19A又は第3補強板19Bから入力される荷重を、その入力元(第1補強板16、第2補強板19A又は第3補強板19B)の直近のボルトB3を介して第2連結板20に伝達することができる。したがって、第1補強板16、第2補強板19A又は第3補強板19Bから入力された荷重が第1連結板15の曲げ変形に寄与するのを有効に抑制することができる。
前記実施形態では、第2連結板20上に立設された第4補強板21をさらに備えている。そのため、第4補強板21によって第2連結板20の曲げ強度を向上することができる。したがって、それぞれ大きな曲げ強度を有する第2連結板20と第1連結板15との間で2本のC型鋼8、9の両ウェブ8a、9aを挟持することにより、確実に両ウェブ8a、9aの変形を抑制することができる。
前記実施形態では、梁5Dに取り付けられた状態で、第4補強板21が第1補強板15の裏側位置で、第1補強板15に沿って配置されている。そのため、第1補強板16と第4補強板21とが協働して第1連結板15、第2連結板29及びこれらに挟持されたウェブ8a、9aの変形を抑制することができる。
前記実施形態では、梁5Dの2本のC型鋼8、9と梁5Eの2本のC型鋼10、11とが同等の断面形状を有する。そのため、梁5D、5Eの部品コストを低減することができる。具体的に、長尺の鋼材を形成するとともに、この鋼材を裁断することにより梁5D、5Eに用いるC型鋼8〜11を製造することが可能となる。したがって、梁5D、5Eについて製造工程の重複部分を増やすことができるため、これらの製造コストを低減することができる。
なお、前記実施形態では、互いに同等の端面形状を有するC型鋼8、9と、C型鋼10、11とを連結する点について説明したが、これに限定されない。具体的に、図8に示すように、前記実施形態に係る連結金具7は、C型鋼8、9よりも小さな断面形状を有するC型鋼22も連結可能である。
C型鋼22は、ウェブ22aと、このウェブ22aの両端から立ち上がる一対のフランジ22b、22cと、各フランジ22b、22cからそれぞれ内側に屈曲する一対のリップ22d、22eとを有する。前記ウェブ22aには、第1補強板16に形成された3つの挿通孔16a(図3参照)のうち上の2つに対応する位置に挿通孔22fが形成されている。
前記C型鋼22を第1金具12に取り付ける手順は、次の通りである。まず、第1補強板16を挟むように一対のC型鋼22を配置するとともに、各挿通孔16a、22fを位置決めする。次に、各挿通孔16a、22fにそれぞれボルトB2を挿入し、このボルトB2にナットN2を螺合する。これにより、各C型鋼22を背中合わせに連結しつつ第1金具12に取り付けることができる。
このように、前記第1金具12は、C型鋼10、11だけでなく、これより小さな断面形状を有するC型鋼22も取付可能である。
また、前記実施形態では、第1補強板16の左右両側にブレース6を取り付けるための挿通孔19cが形成されているが、これに限定されない。具体的に、挿通孔19cは、第1補強板16の左右の少なくとも一方に形成されていればよい。
図9及び図10に示す実施形態では、第1補強板16の右側のみに挿通孔19cが形成されている。つまり、第1補強板16の右側に設けられた第2補強板19Aは、前記実施形態と同様であり、本実施形態では、前記実施形態に係る第3補強板19Bに代えて第3補強板23が設けられている。
第3補強板23は、前記梁5Dに取り付けられた状態において、第1補強板16の基端部から左方向に延びる。具体的に、第3補強板23は、図9に示すように、C型鋼11のフランジ11b、11cの長さ寸法及び第1連結板15の幅寸法と同等の長さで左側に延出する。また、第3補強板23は、第1補強板16の左側面及び第1連結板15の表面に対して溶接されている。
この実施形態においても、第1補強板16に対して垂直な方向に延びる第3補強板により第1連結板15を補強することができる。
B1〜B3 ボルト
G1、G2 ゲージライン
N1〜N3 ナット
1 家屋(建築物の一例)
5D 梁(第1フレーム材の一例)
5E 梁(第2フレーム材の一例)
6 ブレース
7 連結金具
8〜11 C型鋼
8a〜11a ウェブ
8b〜11b フランジ
8c〜11c フランジ
8d〜11d リップ
8e〜11e リップ
15 第1連結板
15g 挿通孔(連結位置の一例)
16 第1補強板
16a 挿通孔(フレーム取付部の一例)
19A 第2補強板
19B、23 第3補強板
19c 挿通孔19c(ブレース取付部の一例)
20 第2連結板
21 第4補強板
22 C型鋼
22a ウェブ
22b、22c フランジ
22d、22e リップ

Claims (6)

  1. ウェブと前記ウェブの両端から立ち上がる一対のフランジと前記各フランジからそれぞれ内側に屈曲する一対のリップとをそれぞれ有する2本のC型鋼が互いに背中合わせに組み合わされた第1フレーム材に対して第2フレーム材を連結するために、前記第1フレーム材に取り付けられる連結金具であって、
    前記2本のC型鋼の両ウェブを挟んで配置された状態で、前記両ウェブを貫通するボルトで互いに連結可能な第1連結板及び第2連結板と、
    前記第1連結板上に立設された第1補強板と、
    前記第1補強板から当該第1補強板と垂直な方向に延びるように前記第1連結板及び第1補強板にそれぞれ溶接された第2補強板と、
    前記第1補強板を挟んで前記第2補強板と反対側に設けられ、前記第1補強板から当該第1補強板と垂直な方向に延びるように前記第1連結板及び第1補強板にそれぞれ溶接された第3補強板とを備え、
    前記第1補強板には、前記第1フレーム材に取り付けられた状態で前記一対のリップの間を通って前記第1フレーム材の外側に配置されるとともに前記第2フレーム材を取付可能なフレーム取付部が形成され、
    前記第2補強板、第3補強板の少なくとも一方には、前記第1フレーム材に取り付けられた状態で前記一対のリップの間を通って前記第1フレーム材の外側に配置されるとともにブレースを取付可能なブレース取付部が形成され
    前記連結金具は、前記第2連結板上に立設された第4補強板をさらに備え、
    前記第1連結板及び前記第2連結板は、前記第1補強板及び前記第4補強板をその厚み方向に挟んだ両側位置で前記ボルトによって互いに連結され、
    前記第1連結板及び前記第2連結板が連結された状態で、前記第1補強板及び前記第4補強板は、同一平面上に配置される、連結金具。
  2. 前記第1連結板及び前記第2連結板は、前記第2補強板をその厚み方向に挟んだ両側位置と、前記第3補強板をその厚み方向に挟んだ両側位置とを含む少なくとも4の連結位置で前記ボルトによって連結される、請求項1に記載の連結金具。
  3. 前記第1フレーム材に取り付けられた状態で、前記第4補強板は、前記第1補強板の裏側位置で、前記第1補強板に沿って配置されている、請求項1又は2に記載の連結金具。
  4. 前記第2フレーム材は、前記第1フレーム材の2本のC型鋼と同等の断面形状を有するとともに互いに背中合わせに連結された2本のC型鋼を備え、
    前記フレーム取付部は、前記第2フレーム材の2本のC型鋼のウェブ間に挟まれた状態で、前記両ウェブに対してボルトで固定可能である、請求項1〜3の何れか1項に記載の連結金具。
  5. ウェブと前記ウェブの両端から立ち上がる一対のフランジと前記各フランジからそれぞれ内側に屈曲する一対のリップとを有する2本のC型鋼が互いに背中合わせに組み合わされた第1フレーム材と、
    前記第1フレーム材に取り付けられた、請求項1〜4の何れか1項に記載の連結金具と、
    前記連結金具を介して前記第1フレーム材に連結された第2フレーム材とを備えている、フレーム。
  6. 基礎と、
    前記基礎上に設けられた請求項5に記載のフレームとを備えている、建築物。
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