JP5724442B2 - 熱間圧延における加熱炉の自動抽出方法 - Google Patents

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本発明は、加熱炉在炉中に先行材と後行材との干渉が生じないように、圧延材の抽出時点から各設備に到着するまでの時間を予測計算することにより、圧延材の抽出時刻を決定する熱間圧延における加熱炉の自動抽出方法に関する。
従来のミルペーシング制御方法では、ミルライン上の各設備への圧延材の到達時間を計算し、各設備での衝突や干渉などの物理的制約や設定変更等に必要なピッチの中で最大値を有する設備において、ピッチが最短となるように加熱炉からの抽出時刻を決定することにより、生産能率を高めるようにしている。また、次抽出材の抽出時点から各設備到着までの時間を予測計算し、直前に抽出された圧延材の同様な予測計算とその圧延材の実績抽出時刻をもとに次抽出材の抽出時刻を決定し、圧延ライン上に先行する複数の圧延材の各設備到着の実績を用いてそれらの予測値との差で次抽出時刻を修正するようにしている(例えば、特許文献1,2参照)。
また、ミルライン上での圧延材の温度を予測演算することにより、圧延材の温度が満足すべき温度条件の範囲内に収まるように、加熱炉からの抽出時刻を変更する方法により、加熱炉抽出時の圧延材の温度を調整したり、ミルライン上での待機時間を変更するようにしたものもある(例えば、特許文献3参照)。
特開昭62−30812号公報 特開平8−13038号公報 特開平10−263641号公報
しかしながら、実際の圧延においては、例えば仕上圧延機入側での温度によって、仕上圧延機の有する能力上の最大通板速度まで加速圧延を行うと、冷却装置の能力オーバーによって仕上圧延機出側での目標温度に制御できない場合がある。このような場合には、冷却装置の能力オーバーを検出することによって加速圧延を中止し、それ以上通板速度を上げないような処置がとられるが、加熱炉在炉中に予測した仕上圧延機での最大通板速度と、実際の最大通板速度とが異なることによって、圧延時間(例えば、仕上圧延機の先頭のスタンドに圧延材が噛み込んでいる時間)の予測計算値と実際の圧延時間との間に誤差が発生する。このような圧延時間の予測誤差の発生により、先行材の搬送が遅れることで、後行材に待ちが発生し、後行材が渋滞したり、圧延材の温度が下がりすぎるといった問題がある。
ここに、特許文献1,2のような制御方法では、先行材の搬送の遅れを検出した後で、後行材の搬送予測を修正し、次に加熱炉から抽出する時刻を修正するので、後行材が渋滞したり、圧延材の温度が下がりすぎる圧延材の数を減らすことができるが、既にミルライン上に抽出されている圧延材の待ち時間を小さくすることはできない。
また、特許文献3のような制御方法では、加熱炉からの抽出を早めることにより圧延材の温度を低くすることで、冷却装置において冷却すべき温度を小さくすることができるが、各設備のピッチ制約により早めることができる時間、すなわち小さくすることができる冷却温度は限られるものである。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、先行材の搬送が遅れることで後行材に待ち時間が発生したり、後行材が渋滞したり、さらには、圧延材の温度が下がりすぎるという問題を解決することができる熱間圧延における加熱炉の自動抽出方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる熱間圧延における加熱炉の自動抽出方法は、加熱炉在炉中に、圧延材の抽出時点から各設備に到達するまでの時間を予測計算し、先行材と後行材との干渉が生じないように圧延材の抽出時刻を決定して、加熱炉から自動的に圧延材を抽出する熱間圧延における加熱炉の自動抽出方法において、仕上圧延機のスタンド間及び/又はホットランテーブル位置に有する冷却装置の最大冷却能力と、前記冷却装置入側での予測温度と、前記冷却装置出側での目標温度とに基づき、目標温度に冷却可能な最大通板速度を推定し、推定された最大通板速度に基づき圧延材の圧延時間を予測するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、冷却装置の最大冷却能力と、冷却装置入側での予測温度と、冷却装置出側での目標温度とに基づき、目標温度に冷却可能な最大通板速度を推定し、推定された最大通板速度に基づき圧延材の圧延時間を予測するようにしたので、加熱炉からの抽出タイミングの設定も適正に行うことができ、よって、先行材の搬送が遅れることで後行材に待ち時間が発生したり、後行材が渋滞したり、さらには、圧延材の温度が下がりすぎるという問題を解決することができる。
図1は、本実施の形態の熱間圧延ラインの設備配置例を示す概略側面図である。 図2は、その仕上圧延機でのピッチ制約の概念を示す概略側面図である。 図3は、本実施の形態の設備位置−搬送時間特性図である。 図4は、制御装置により実行される制御処理例を示す概略フローチャートである。 図5は、従来例を示す設備位置−搬送時間特性図である。
以下に、本発明にかかる熱間圧延における加熱炉の自動抽出方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本実施の形態の熱間圧延ラインの設備配置例を示す概略側面図であり、図2は、その仕上圧延機でのピッチ制約の概念を示す概略側面図である。本実施の形態の熱間圧延ラインは、加熱炉1、複数の粗圧延スタンドR1〜R4を有する粗圧延機2、複数の仕上圧延スタンドF1〜F7を有する仕上圧延機3、仕上圧延機3の下流側に配設された図示しない搬送ローラ群からなるホットランテーブル4およびホットランテーブル4の下流側に配設された図示しない巻取機等から構成されている。また、これらの各部を制御する制御装置5を備えている。さらに、仕上圧延機3における仕上圧延スタンドF1〜F6間には仕上冷却装置6が配設され、ホットランテーブル4上にはホットランテーブル冷却装置7が配設されている。そして、仕上圧延機3の出側(仕上冷却装置6の出側)には温度検出器8が配設され、ホットランテーブル4の出側(ホットランテーブル冷却装置7の出側)には温度検出器9が配設されている。
ここで、基本的には、加熱炉1からの圧延材抽出タイミングは、圧延材10が加熱炉1にある段階で、厚み、幅、長さおよび機械的特性等に基づいて粗圧延機2、仕上圧延機3での圧延スケジュールが計算され、この圧延スケジュールに基づき、加熱炉抽出から各設備位置へ到達するまでの搬送時間が計算され、先行材10aとの衝突や圧延機2,3の設定変更に要する時間等を考慮し、干渉のないような最小の圧延間ピッチとなるように決定される。
また、圧延材10は、加熱炉1から抽出され、粗圧延機2を経て仕上圧延機3で圧延される。ここに、仕上圧延機3中に配設された仕上冷却装置6により、仕上圧延機3の出側(仕上冷却装置6の出側)の温度検出器8の位置での温度が目標温度を満足するように冷却され、さらに、ホットランテーブル冷却装置7によりその出側の温度検出器9の位置での温度が目標温度を満足するように冷却される。
ここで、仕上圧延機3でのピッチ制約の概念を示す図2を参照すれば、例えば、先行材10aが仕上圧延機3を抜けてから後行材10bが仕上圧延機3に進入するまでに必要な設定変更等の時間から仕上ピッチ制約を演算することができる。この仕上ピッチがミルライン上のピッチ制約の中で最大の場合には、仕上ピッチを満足するぎりぎりのピッチとなるように加熱炉1からの抽出時刻を決定することで最大能率を達成することができる。
通常、仕上圧延機3では圧延材10の噛み込みや圧延材10の先端の巻取機への巻付きから加速し、仕上圧延機3の出側での最大通板速度は仕上圧延機3等の能力により制約される。しかしながら、板厚等の条件により加速途中において、仕上冷却装置6やホットランテーブル冷却装置7の最大冷却能力を超えてしまうがために、温度検出器8,9の位置での目標温度を満足することができず、最大冷却能力オーバーの検出により加速を中止しているが、例えば、先行材10aが加速を中止することにより仕上圧延機3を抜ける時刻は予定時刻に対して遅れてしまい、後行材10bが仕上圧延機3に進入できる時刻も遅れ、待機時間が発生してしまう。図5は、その一例を示す設備位置−搬送時間特性図である。なお、設備位置「1」は、粗圧延機2入側の位置であり、設備位置「2」〜「5」は、それぞれ粗圧延スタンドR1〜R4の位置である。また、設備位置「6」は、粗圧延スタンドR4と仕上圧延スタンドF1との間であって粗圧延スタンドR4側の位置である。また、設備位置「7」は、粗圧延スタンドR4と仕上圧延スタンドF1との間であって仕上圧延スタンドF1側の位置である。さらに、設備位置「8」は、仕上圧延スタンドF1の位置であり、設備位置「9」は、仕上圧延スタンドF7の位置である。図示例では、先行材の加速中止による圧延時間「増」に伴い、後行材の搬送遅延(渋滞)が発生している例を示している。
この点、本実施の形態では、冷却装置入側での温度を予測演算し、予測温度と冷却装置出側での目標温度と冷却装置の最大冷却能力とから冷却装置出側での目標温度に制御することができる最大通板速度を推定し、推定された最大通板速度に基づき圧延材の圧延時間を予測するようにしたものである。図3は、図5の圧延材に対応し、その一例を示す設備位置−搬送時間特性図である。また、図3における設備位置「1」〜「9」は図5と同じである。図示例では、先行材の圧延時間「増」予測に基づき抽出時間を遅延させているので、渋滞することなく最短ピッチで搬送できるものである。
以下、本実施の形態の制御装置5により実行される加熱炉抽出時刻決定の制御例を図4を参照して説明する。まず、後行材10bが加熱炉在炉中に、先行材10aの粗圧延スケジュールに基づき仕上圧延機3入側までの搬送速度パターンを計算する(ステップS1)。ついで、先行材10aの粗圧延スケジュール、搬送速度パターン、加熱炉抽出時の材料温度等により仕上圧延機3入側(仕上冷却装置6入側)での材料温度を予測温度として予測計算する(ステップS2)。
また、先行材10aの仕上圧延スケジュール、設定搬送速度パターン、ステップS2で計算した仕上圧延機3入側の材料温度と仕上冷却装置6の最大冷却能力とから、仕上圧延機3出側(仕上冷却装置6出側)で目標温度に冷却可能な仕上圧延機3の最大通板速度を推定する(ステップS3)。さらに、目標温度に冷却可能な仕上圧延機3の最大通板速度から仕上圧延機3の圧延時間を算出し、材料搬送時間を予測する(ステップS4)。そして、以上により算出した先行材10aの予測搬送時間と、ステップS1〜S4と同様に算出した後行材10bの搬送予測時間とから、先行材10aと後行材10bとがライン上で干渉しない最短の後行材10bの抽出時刻を決定する(ステップS5)。
なお、ホットランテーブル4側のホットランテーブル冷却装置7に関しても、仕上圧延機3の仕上冷却装置6と同様に制御される。すなわち、ホットランテーブル冷却装置7の最大冷却能力などをもとにホットランテーブル4の最大通板速度が推定され、推定された最大通板速度をもとに先行材10bのホットランテーブル4の搬送時間が推定され、推定された先行材10aの搬送時間から後行材10bの抽出時刻が決定される。ただし、ホットランテーブル4および仕上圧延機3での各搬送時間を推定する場合には、各搬送時間に基づいて後行材10bの抽出時刻が決定される。
このように、本実施の形態によれば、冷却装置6,7の最大冷却能力と、冷却装置6,7入側での予測温度と、冷却装置6,7出側での目標温度とに基づき、目標温度に冷却可能な最大通板速度を推定し、推定された最大通板速度に基づき圧延材10の圧延時間を予測するようにしたので、加熱炉1からの抽出タイミングの設定も適正に行うことができ、よって、先行材10aの搬送が遅れることで後行材10bに待ち時間が発生したり、後行材10bが渋滞したり、さらには、圧延材の温度が下がりすぎるという問題を解決することができる。
なお、本実施の形態では、仕上圧延機3の下流側にホットランテーブル4及びホットランテーブル冷却装置7を備えるタイプのもので説明したが、これらホットランテーブル4及びホットランテーブル冷却装置7を備えないタイプのものにも同様に適用可能である。
1 加熱炉
2 粗圧延機
3 仕上圧延機
4 ホットランテーブル
5 制御装置
6 仕上冷却装置
7 ホットランテーブル冷却装置
10a 先行材
10b 後行材
R1〜R4 粗圧延スタンド
F1〜F7 仕上圧延スタンド

Claims (1)

  1. 加熱炉在炉中に、圧延材の抽出時点から各設備に到達するまでの時間を予測計算し、先行材と後行材との干渉が生じないように圧延材の抽出時刻を決定して、加熱炉から自動的に圧延材を抽出する熱間圧延における加熱炉の自動抽出方法において、
    仕上圧延機のスタンド間及び/又はホットランテーブル位置に有する冷却装置の最大冷却能力と、前記冷却装置入側での予測温度と、前記冷却装置出側での目標温度とに基づき、目標温度に冷却可能な最大通板速度を推定し、推定された最大通板速度に基づき圧延材の圧延時間を予測し、予測された先行材の前記圧延時間をもとに、先行材と後行材とが干渉しない、後行材の最短の前記抽出時刻を決定するようにしたことを特徴とする熱間圧延における加熱炉の自動抽出方法。
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