JP6891756B2 - 鋼管の熱処理ライン及び鋼管の搬送制御方法 - Google Patents

鋼管の熱処理ライン及び鋼管の搬送制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼管の熱処理ライン及び鋼管の搬送制御方法に関する。
鋼管の熱処理ラインは、複数の熱処理設備と搬送設備と搬出設備とから構成されている。鋼管は、熱処理ライン上を搬送される間に各熱処理設備にて処理が順次施される。このような連続ラインである鋼管の熱処理ラインでは、各設備のうち一部の設備でトラブルが発生すると、他の設備も稼働停止せざるを得ず、生産性が著しく低下する。そこで、鋼管の熱処理ラインに鋼管の搬送経路を分岐させるバイパス等を設け、必要に応じて鋼管の搬送経路を変更できるように熱処理ラインを構成するのが一般的である。
例えば特許文献1には、熱処理ラインにおいて、圧延ラインと下工程の搬送ライン間に介設された熱処理搬送ラインと並行に、焼入れ炉と焼戻し炉を圧延ラインから搬送ラインに向けて順に配置し、これら焼入れ炉と焼戻し炉を装入ラインと抽出ラインによりそれぞれ熱処理搬送ラインと接続すると共に、熱処理搬送ライン上に水冷設備を配置し、圧延ラインから熱処理搬送ラインに送られた継目無鋼管が、焼入れ炉で均熱された後、再度熱処理搬送ラインに戻るように構成することが開示されている。かかる熱処理ラインでは、圧延ラインと下工程の搬送ライン間に介設された熱処理搬送ラインと並行に、焼入れ炉と焼戻し炉を圧延ラインから搬送ラインに向けて順に配置することで、焼戻し炉に送る必要のある鋼管と送る必要のない鋼管とを別々の方向に搬送することができる。
特許第3900801号公報
上記特許文献1の技術では、製品仕様に応じて鋼管の搬送経路を変更している。しかしながら、上記特許文献1の技術では搬送経路を製品仕様に応じて決定しているため、熱処理ラインの一部の設備にトラブルが発生した場合に、手動で鋼管の搬送経路を変更しなければならない。すなわち、上記特許文献1の技術では鋼管の熱処理ラインの状況に対応した搬送制御を行うことができず、熱処理ラインの一部の設備にトラブルが発生すると、熱処理ラインの全ての操業を停止しなければならず、生産性が大幅に低下する場合があった。
また、搬送中の鋼管は大気にさらされるため鋼管の温度低下が発生し、さらに、鋼管の温度低下量は操業条件に依存するため予測が難しい。そのため、上記特許文献1のように鋼管の温度変化を考慮することなく鋼管の搬送制御を行うと、鋼管の品質管理が不十分となるおそれがある。鋼管の品質管理が不十分となると、鋼管の品質が低下するおそれがあった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、鋼管の熱処理ラインにおける設備トラブル発生時の大幅な生産性低下を防止するとともに、鋼管の品質管理も行うことの可能な、新規かつ改良された鋼管の熱処理ライン及び鋼管の搬送制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、鋼管の熱処理ラインであって、鋼管に対して第1の熱処理を施す第1の熱処理炉と、第1の熱処理が施された鋼管に対して第2の熱処理を施す第2の熱処理炉と、第1の熱処理が施された鋼管のうち、第2の熱処理炉へ搬送されない鋼管を保管するテーブルと、第1の熱処理炉から搬送された鋼管を、第2の熱処理炉またはテーブルのいずれかに搬送する搬送設備と、少なくとも第2の熱処理炉で熱処理が施された鋼管を搬出する搬出設備と、搬送設備と、第2の熱処理炉と、テーブルと、搬出設備との各設備上の鋼管の有無を検出する検出装置と、少なくとも検出装置の検出結果に基づいて、熱処理ラインの各設備間における鋼管の搬送制御を行う搬送制御装置と、を備え、搬送制御装置は、搬送設備上の鋼管の有無を検出する検出装置が、搬送設備上の鋼管を検出してから、第1の熱処理炉から搬送設備に搬送された先行材の鋼管について、搬送設備での待機時間のカウントを開始し、待機時間が許容時間以下であり、かつ、先行材の鋼管に次いで搬送される後行材の鋼管が搬送設備に搬送される前に、先行材の鋼管を第2の熱処理炉へ搬送可能となった場合には、先行材の鋼管を第2の熱処理炉へ搬送させ、待機時間が許容時間を超えた場合、または、後行材の鋼管が搬送設備に搬送されるときに、先行材の鋼管が第2の熱処理炉へ搬送不可である場合には、先行材の鋼管をテーブルへ搬送させる、鋼管の熱処理ラインが提供される。
搬送設備は、第1の熱処理炉から連続する第1の搬送設備と、第2の熱処理炉へ連続する第2の搬送設備とを有し、搬送制御装置は、第1の熱処理炉から搬送設備の第1の搬送設備に搬送された先行材の鋼管を、第2の搬送設備へ搬送させた後、先行材の鋼管が第2の搬送設備へ搬送されてから第2の熱処理炉へ搬送されるまでの時間を搬送設備での待機時間としてカウントを開始し、待機時間が許容時間以下であり、かつ、先行材の鋼管に次いで搬送される後行材の鋼管が第1の搬送設備に到達する前に、第2の搬送設備にある先行材の鋼管を第2の熱処理炉へ搬送可能となった場合には、先行材の鋼管を第2の熱処理炉へ搬送させ、待機時間が許容時間を超えた場合、または、後行材の鋼管が第1の搬送設備に到達したときに、第2の搬送設備にある先行材の鋼管が第2の熱処理炉へ搬送不可である場合には、先行材の鋼管をテーブルへ搬送させるようにしてもよい。
また、第1の搬送設備及び第2の搬送設備を有する搬送設備は、第1の熱処理炉と第2の熱処理炉との間に配置されており、第2の搬送設備は、第1の搬送設備とテーブルとの間に配置されてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上述の鋼管の熱処理ラインにおける鋼管の搬送制御方法であって、搬送制御装置は、搬送設備上の鋼管の搬送先を第2の熱処理炉またはテーブルのいずれか一方に決定する分岐処理を実行し、分岐処理は、搬送設備上の鋼管の有無を検出する検出装置が、搬送設備上の鋼管を検出してから、第1の熱処理炉から搬送設備に搬送された先行材の鋼管について、搬送設備での待機時間をカウントするカウントステップと、待機時間が許容時間以下であり、かつ、先行材の鋼管に次いで搬送される後行材の鋼管が搬送設備に搬送される前に、先行材の鋼管を第2の熱処理炉へ搬送可能となった場合には、先行材の鋼管を第2の熱処理炉へ搬送させる搬送ステップと、待機時間が許容時間を超えた場合、または、後行材の鋼管が搬送設備に搬送されるときに、先行材の鋼管が第2の熱処理炉へ搬送不可である場合には、先行材の鋼管をテーブルへ搬送させるテーブル搬送ステップと、を含む、鋼管の搬送制御方法が提供される。
搬送設備は、第1の熱処理炉から連続する第1の搬送設備と、第2の熱処理炉へ連続する第2の搬送設備とを有し、カウントステップでは、第1の熱処理炉から搬送設備の第1の搬送設備に搬送された先行材の鋼管を、第2の搬送設備へ搬送させた後、先行材の鋼管が第2の搬送設備へ搬送されてから第2の熱処理炉へ搬送されるまでの時間を搬送設備での待機時間としてカウントし、搬送ステップでは、待機時間が許容時間以下であり、かつ、先行材の鋼管に次いで搬送される後行材の鋼管が第1の搬送設備に到達する前に、第2の搬送設備にある先行材の鋼管を第2の熱処理炉へ搬送可能となった場合には、先行材の鋼管を第2の熱処理炉へ搬送させ、テーブル搬送ステップでは、待機時間が許容時間を超えた場合、または、後行材の鋼管が第1の搬送設備に到達したときに、第2の搬送設備にある先行材の鋼管が第2の熱処理炉へ搬送不可である場合には、先行材の鋼管をテーブルへ搬送させてもよい。
以上説明したように本発明によれば、鋼管の熱処理ラインにおける設備トラブル発生時の大幅な生産性低下を防止するとともに、鋼管の品質管理も行うことが可能となる。
本発明の一実施形態に係る鋼管の熱処理ラインの構成を示す概略説明図である。 同実施形態に係る鋼管の熱処理ラインの設備レイアウトの一変形例を示す概略説明図である。 同実施形態に係る鋼管の熱処理ラインの設備レイアウトの他の変形例を示す概略説明図である。 同実施形態に係る鋼管の熱処理ラインの設備レイアウトの他の変形例を示す概略説明図である。 同実施形態に係る鋼管の熱処理ラインの設備レイアウトの他の変形例を示す概略説明図である。 同実施形態に係る搬送設備における鋼管の分岐処理を示すフローチャートである。 第2の熱処理炉の構成の概要を示す模式図である。 図1の第1の熱処理炉及び搬送設備の模式図である。 鋼管の搬送速度変化条件を説明するための説明図である。 鋼管長さに起因して発生する時間ばらつきを補正する補正値αを説明するための第1の説明図である。 鋼管長さに起因して発生する時間ばらつきを補正する補正値αを説明するための第2の説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.鋼管の熱処理ライン>
[1−1.構成]
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る鋼管の熱処理ライン100の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る鋼管の熱処理ライン100の構成を示す概略説明図である。なお、本発明に係る鋼管の熱処理ラインは、特定の熱処理を行うものに限定されるものではなく、例えば、焼入れ、焼戻し、焼なまし等、いずれの熱処理を行う熱処理ラインであってもよい。
図1に示す鋼管の熱処理ライン100は、第1の熱処理炉110と、第2の熱処理炉120と、第1の搬送設備131と、第2の搬送設備132と、テーブル140と、第1の搬出設備133と、検出装置161〜168と、搬送制御装置170とを含んで構成される。
第1の熱処理炉110は、鋼管に対して第1の熱処理を施すための炉であり、例えば加熱炉である。第2の熱処理炉120は、第1の熱処理が施された鋼管に対して第2の熱処理を施すための炉であり、例えば均熱炉である。しかしながら本発明はかかる例に限定されず、第1の熱処理炉110が焼き入れ炉であってもよい。この場合、第2の熱処理炉120は焼き戻し炉となる。第1の熱処理炉110にて第1の熱処理が施された鋼管は第1の搬送設備131へ搬送される。第1の搬送設備131へ搬送された鋼管は、第2の熱処理炉120またはテーブル140へ搬送される。
第1の搬送設備131と第2の搬送設備132とは、図1に示されるように、第1の熱処理炉110から搬送された鋼管を第2の熱処理炉120またはテーブル140のいずれかに搬送するための設備である。第1の搬送設備131は、第1の熱処理炉110の出側と連続するように配置されており、第1の搬送設備131には第1の熱処理炉110から搬送された鋼管が置かれる。第2の搬送設備132は、第2の熱処理炉120の入側と連続するように配置されており、第2の搬送設備132には第2の熱処理炉120へ搬送される鋼管が置かれる。図1に示されるように、第1の搬送設備131と第2の搬送設備132は、互いに隣接して並列に配置されている。
テーブル140は、第1の熱処理炉110により第1の熱処理が施された鋼管のうち、第2の熱処理炉120へ搬送されない鋼管を一時的に保管するための設備である。なお、テーブル140は鋼管を保管するための設備に限定されるものではなく、鋼管を第1の搬出設備133へ搬送させる設備であってもよい。鋼管の熱処理ライン100は連続ラインであるため、一部の設備でトラブルが発生すると他の設備の稼働も停止しなければならない。しかしながら、鋼管の熱処理ライン100はテーブル140を備えているため、例えば、第2の熱処理炉120にトラブルが発生した場合、第2の搬送設備132上の鋼管は第2の熱処理炉120に搬送されず、テーブル140に一時的に保管される。すなわち、一部の設備でトラブルが発生しても他の設備の可動を停止させることがない。
図1に示す鋼管の熱処理ライン100において、第2の搬送設備132は、テーブル140と第1の搬送設備131とに挟まれるようにして配置されている。かかるテーブル140は、第2の熱処理炉120に搬送されない鋼管を一時的に保管するために配置されている。また、搬送制御装置170は、第2の搬送設備132上の鋼管を第2の熱処理炉120またはテーブル140のどちらに鋼管を搬送させるかを決定する。
本実施形態に係る第1の搬出設備133は、図1に示すように、第2の熱処理炉120の出側と連続するように配置されている。第1の熱処理炉110及び第2の熱処理炉120にて熱処理が施された鋼管は、第1の搬出設備133に搬送される。また、本実施形態に係るテーブル140は、第1の搬出設備133と、第2の搬送設備132とに挟まれるようにして配置されている。そのため、第2の熱処理炉120内でトラブルが発生した場合であっても、第2の搬送設備132上の鋼管はテーブル140を経由して第1の搬出設備133へ搬送される。
検出装置161〜168は、設備上に鋼管が置かれているか否かを検出する装置であり、各設備に少なくとも1つずつ設けられている。検出装置161〜168としては、例えばビームセンサあるいは磁気センサ等を用いることができる。本実施形態では、搬送制御装置170は、検出装置161〜168が設備上に鋼管があることを検出すると当該設備上に「材料あり」と判定し、検出装置161〜168が設備上には鋼管があることを検出できないと当該設備上に「材料なし」と判定する。
搬送制御装置170は、熱処理ライン100の搬送制御を行う。具体的には、搬送制御装置170は、検出装置161〜168の検出結果に基づき鋼管を次の設備に搬送させてもよいか否かを判定する。なお、本実施形態の搬送制御装置170は、検出装置161〜168の検出結果に基づく次の設備への鋼管の搬送可否の判定に加え、鋼管の温度を考慮して鋼管の搬送を制御する。
図1に示す鋼管の熱処理ライン100では、第1の搬送設備131及び第2の搬送設備132は並列して配置されている。かかる第1の搬送設備131及び第2の搬送設備132は、第1の熱処理炉110と第2の熱処理炉120との間に配置されている。さらに、テーブル140は、第1の搬送設備131及び第2の搬送設備132に並列して配置されるとともに、第2の搬送設備132と第1の搬出設備133との間に配置されている。このように、第2の熱処理炉120における鋼管の搬送方向における長さ内にテーブル140を配置することで、熱処理ライン100の設備レイアウトをコンパクトにすることができる。
[1−2.構成の変形例]
本実施形態に係る鋼管の熱処理ライン100の設備レイアウトは、図1に示した例に限定されず、例えば図2〜図5に示すように構成してもよい。図2〜図5に示す鋼管の熱処理ライン100A〜100Dは、図1の熱処理ライン100と同様の設備を備えており、設備レイアウトが相違している。なお、設備レイアウトの相違により、図1の熱処理ライン100と図2〜図5の熱処理ライン100A〜100Dとでは鋼管の搬送方向が異なっている。しかし、いずれの熱処理ラインにおいても、第1の熱処理炉110及び第2の熱処理炉120にて鋼管を熱処理する設備であることは共通している。なお、第2の熱処理炉120へ搬送されない鋼管は第1の搬送設備131または第2の搬送設備132からテーブル140へ搬送される。
例えば、図2に示す鋼管の熱処理ライン100Aは、図1の熱処理ライン100と比較して、テーブル140が第2の搬送設備132とは反対側に配置されている点が異なる。かかる熱処理ライン100Aでは、第1の熱処理炉110から搬送された鋼管の搬送先を第2の熱処理炉120またはテーブル140のいずれかに決定するのは第2の搬送設備132上にて行われる。搬送制御装置170は、第1の熱処理炉110から搬送された鋼管を第2の熱処理炉120へ搬送させる場合には、当該鋼管を第1の搬送設備131から第2の搬送設備へ搬送し、第2の熱処理炉120へ搬送させる。一方、搬送制御装置170は、第1の熱処理炉110から搬送された鋼管を第2の熱処理炉120へ搬送させない場合には、当該鋼管を第2の搬送設備132からテーブル140へ搬送する。
また、図3に示す鋼管の熱処理ライン100Bは、図1の熱処理ライン100と比較して、第1の搬送設備131及び第2の搬送設備132が、鋼管の搬送方向に沿って一列に配置されている点が異なる。また、テーブル140は、第2の搬送設備132と第1の搬出設備133との間に配置されている。図3に示す熱処理ライン100Bでは、図1の熱処理ライン100と同様、第1の熱処理炉110から搬送された鋼管の搬送先を第2の熱処理炉120またはテーブル140のいずれかに決定する処理は、第2の搬送設備132上にて行われる。なお、テーブル140は、第1の搬送設備131と第1の搬出設備133との間に配置されてもよい。また、テーブル140を第1の搬送設備131と第1の搬出設備133との間に配置し、第2の熱処理炉120を第2の搬送設備132と第1の搬出設備133との間に配置してもよい。
図4に示す鋼管の熱処理ライン100Cは、図3の熱処理ライン100Bと同様、図1の熱処理ライン100と比較して、第1の搬送設備131及び第2の搬送設備132が、鋼管の搬送方向に沿って一列に配置されている点が異なる。熱処理ライン100Cは、第1の搬出設備133及び第2の搬出設備134の鋼管の搬送方向が、第1の搬送設備131及び第2の搬送設備132の鋼管の搬送方向と同一である。熱処理ライン100Cは、第2の熱処理炉120の出側に連続する第1の搬出設備133と、テーブル140の出側に連続する第2の搬出設備134とを備えている。なお、第1の搬出設備133と第2の搬出設備134とは、図1〜図3のように共有するように構成してもよい。また、第1の搬出設備133、第2の搬出設備134上にも、検出装置168、169が設けられている。なお、熱処理ライン100Cにおいて、鋼管の第1の搬出設備133及び第2の搬出設備134を、図1〜図3のように、第2の熱処理炉120とテーブル140とで共有するように構成してもよい。
図5に示す鋼管の熱処理ライン100Dは、図1の熱処理ライン100と比較して、第1の搬出設備133がテーブル140と第2のテーブル145とにより挟まれるように配置されている点が異なる。かかる熱処理ライン100Dでは、第2の熱処理炉120から第1の搬出設備133へ搬送された鋼管、及び、テーブル140から第1の搬出設備133へ搬送された鋼管は、いずれも第1の搬出設備133から第2のテーブル145へ搬送される。このように、第2の熱処理炉120から第1の搬出設備133へ搬送された良品の鋼管も、テーブル140から第1の搬出設備133へ搬送された不良の鋼管も、第2のテーブル145に搬送した後、次の設備へ適宜搬送するようにしてもよい。
このように、本実施形態に係る鋼管の熱処理ラインの設備レイアウトは、図1に示した例に限定されず、様々な形態をとることが可能である。
<2.鋼管の搬送制御方法>
[2−1.概要]
上述の鋼管の熱処理ライン100、100A〜100Dでは、搬送制御装置170により当該熱処理ラインにおける鋼管の搬送制御が行われる。搬送制御装置170は、検出装置161〜168(169)の検出結果に基づき鋼管を次の設備に搬送させてもよいか否かを判定し、次の設備に鋼管がないことを確認してから鋼管を次の設備に搬送させる。このように鋼管の搬送を制御することで、トラブルの発生を防止する。
また、本実施形態に係る熱処理ライン100、100A〜100Dは、第1の搬送設備131または第2の搬送設備132上の鋼管を一時的に保管するためのテーブル140を備えている。本実施形態に係る搬送制御装置170は、第1の搬送設備131または第2の搬送設備132上の鋼管に対して分岐処理を実行し、鋼管の搬送先を第2の熱処理炉120またはテーブル140のうちいずれか一方に決定する。この際、搬送制御装置170は、鋼管を次の設備へ搬送可能であるか否かを、次の設備上の鋼管の有無という物理的な条件に加えて、鋼管の温度に基づく品質条件も考慮し、鋼管の搬送先を決定する。これにより、設備トラブルの発生時の生産性低下を抑制するとともに、鋼管の品質管理も行うことができる。
熱処理ライン100において、先行材の鋼管と後行材の鋼管とが連続的に搬送される。なお、先行材の鋼管とは、熱処理ライン上で先行する鋼管であって、後行材の鋼管とは、先行材の鋼管に続く鋼管のことである。第1の搬送設備131と第2の搬送設備132とは、第1の熱処理炉110から第2の熱処理炉120へ鋼管を搬送するための設備である。また、第1の搬送設備131または第2の搬送設備132上の鋼管は外気にさらされ、空冷される。鋼管の温度は鋼管の品質に影響を及ぼすパラメータであるため、鋼管の温度が著しく低下すると、第2の熱処理炉120により第2の熱処理を鋼管に施しても鋼管に要求される仕様を満たすことができない場合がある。そこで、搬送制御装置170は、鋼管が第2の搬送設備132上に置かれた時間(すなわち、第2の搬送設備132での待機時間)をカウントし、鋼管の温度低下量を推定することで、鋼管の品質管理が可能になる。
第1の熱処理炉110内の後行材の鋼管が第1の搬送設備131に搬送される前に、搬送制御装置170は、第2の搬送設備132上の先行材の鋼管の待機時間が許容時間以下であり、かつ、先行材の鋼管を第2の熱処理炉120へ搬送可能となったと判定した場合、先行材の鋼管を第2の搬送設備132から第2の熱処理炉120へ搬送する。かかる判定条件を満たして搬送された鋼管は、搬送トラブルを発生することなく搬送され、かつ、鋼管の品質は確保される。なお、鋼管が第2の搬送設備132上にあることの可能な許容時間は、鋼管に要求される仕様に応じて決定される。
一方、第2の搬送設備132上の先行材の鋼管の待機時間が許容時間を超えた場合には、搬送制御装置170は、先行材の鋼管をテーブル140へ搬送させる。これにより、先行材の鋼管の温度が著しく低下することによって、鋼管の品質が仕様から外れてしまうことを防止することができる。また、第2の搬送設備132上の先行材の鋼管の待機時間が許容時間以内であっても、後行材の鋼管が第1の搬送設備131に搬送されるときに先行材の鋼管が第2の熱処理炉120へ搬送不可である場合には、先行材の鋼管はテーブル140へ搬送される。これによって、後行材の鋼管が第2の搬送設備132で先行材の鋼管と接触することを防止することができ、搬送トラブルの発生を回避することができる。
[2−2.分岐処理]
(1)処理内容
以下、図6を参照して、本実施形態に係る第1の搬送設備131と第2の搬送設備132とにおける鋼管の分岐処理について、詳細に説明する。図6は、本実施形態に係る鋼管の分岐処理を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、図1に示した鋼管の熱処理ライン100における搬送制御を説明する。また、図6のフローチャートでは、第2の搬送設備132からの搬送先を決定する対象とする鋼管を先行材の鋼管とし、先行材の鋼管に次いで第1の熱処理炉110から搬送される鋼管を後行材の鋼管とする。図6に示す搬送制御の開始時点では、第1の搬送設備131上に鋼管はなく、先行材の鋼管が第1の熱処理炉110から搬送可能な状況であるとする。
搬送制御装置170は、第1の熱処理炉110内の先行材の鋼管を第1の搬送設備131に搬送する(S100)。搬送制御装置170は、検出装置162の検出結果をもとに第1の搬送設備131上に先行材の鋼管が搬送されたことを確認する(S102)。そして、検出装置163が第2の搬送設備132上に鋼管があることを検出し、搬送制御装置170は、第2の搬送設備132上に材料ありと判定した場合には、先行材の鋼管は第2の搬送設備132上に搬送されず、第1の搬送設備131上で待機される。また、検出装置163が第2の搬送設備132上に鋼管が
あることを検出できず、搬送制御装置170は、第2の搬送設備132上に材料なしと判定した場合には、先行材の鋼管は第2の搬送設備132上に搬送される(S104)。
次いで、搬送制御装置170は、検出装置163の検出結果を基に、先行材の鋼管が第1の搬送設備131から第2の搬送設備132への搬送が完了したか否かを判定する(S106)。搬送制御装置170が第2の搬送設備132上に材料ありと判定するまで、ステップS106の処理は繰り返される。そして、搬送制御装置170が第2の搬送設備132上に材料ありと判定すると、搬送制御装置170は、第2の搬送設備132上に鋼管が待機している待機時間のカウントを開始する(S108)。なお、搬送制御装置170は、搬送制御装置170が第2の搬送設備132上に材料なしと判定する間、待機時間のカウントは行わない。
さらに、搬送制御装置170は、先行材の鋼管が第2の熱処理炉120へ搬送可能となったか否かを判定する(S110)。第2の熱処理炉120への搬送可否は、第2の熱処理炉120の入側に設けられている検出装置164の検出結果に基づき判定可能であり、搬送制御装置170が材料なしと判定したとき、第2の熱処理炉120への搬送が可能と判定される。ステップS110にて、搬送制御装置170が材料なしと判定し、第2の熱処理炉120へ搬送可能と判定すると、搬送制御装置170は、先行材の鋼管を第2の搬送設備132から第2の熱処理炉120へ搬送させる。そして、搬送制御装置170は、先行材の鋼管が第2の搬送設備132に待機していた待機時間のカウントを終了する(S112)。
一方、ステップS110において搬送制御装置170が材料ありと判定したとき、先行材の鋼管は第2の熱処理炉120へ搬送されない。このため、搬送制御装置170は、後行材の鋼管が先行材の鋼管に衝突しないか否かを確認し、先行材の鋼管をこのまま第2の搬送設備132に待機させてもよいかを判定する。具体的には、搬送制御装置170は、第1の搬送設備131上における後行材の鋼管の有無を判定する(S114)。後行材の鋼管が第1の搬送設備131上にある場合、後行材の鋼管は、第1の搬送設備131から第2の搬送設備132へ搬送可能な状態となっている。しかし、先行材の鋼管が第2の搬送設備132にある状態で、第1の搬送設備131上の後行材の鋼管を第2の搬送設備132へ搬送させると、後行材の鋼管が先行材の鋼管と衝突し、設備トラブルを発生させる可能性がある。したがって、搬送制御装置170は、第2の搬送設備132上の先行材の鋼管をテーブル140へ搬送させ、先行材の鋼管が第2の搬送設備132に待機していた待機時間のカウントを終了する(S116)。その後、第1の搬送設備131上の後行材の鋼管を第2の搬送設備132へ搬送させる(S118)。
また、搬送制御装置170は、ステップS114にて後行材の鋼管が第1の搬送設備131上にはないと判定した場合、先行材の鋼管の待機時間が所定の許容時間Tnよりも長いか否かを判定する(S120)。ステップS120では、搬送制御装置170は、先行材の鋼管をこのまま第2の搬送設備132に置いても鋼管の品質が低下しないか否かを判定している。ステップS120にて待機時間が許容時間Tn以下である場合には、先行材の鋼管が第2の搬送設備132上にある時間は短く、当該鋼管の品質を確保できる状態にあることから、このまま先行材の鋼管を第2の搬送設備132に待機させる。そして、搬送制御装置170は、ステップS106からの処理を繰り返す。
一方、ステップS120にて待機時間が許容時間Tnを超えた場合には、先行材の鋼管が第2の搬送設備132上にある時間が長くなり、当該鋼管の温度が大きく低下して品質を確保できない状態となったといえる。そこで、搬送制御装置170は、先行材の鋼管を第2の搬送設備132からテーブル140へ搬送させる。そして、搬送制御装置170は、先行材の鋼管が第2の搬送設備132に待機していた待機時間のカウントを終了する(S122)。
以上、鋼管に対する第2の搬送設備132での分岐処理を説明した。かかる処理は、第1の熱処理炉110から搬送される鋼管についてそれぞれ実行される。
(2)第2の搬送設備132上での鋼管の許容時間
図6のフローチャートのステップS120の処理は、鋼管の第2の搬送設備132での待機時間から鋼管の品質が許容されるものであるかを判定している。これは、第2の搬送設備132上にある鋼管が第2の熱処理炉120に搬送される際の鋼管の温度が待機時間の長さによって変化するためである。ここで、鋼管が第2の搬送設備132上に待機できる許容時間Tnは、鋼管の製品要求(仕様)に基づき鋼管毎に異なるため、搬送制御装置170は、下記式(1)に基づき鋼管毎に許容時間Tnを算出する。
Tn=(Tq/M)−α ・・・(1)
ここで、Tq[秒]は鋼管の製品要求を満たすために必要な均熱時間、Mは第2の熱処理炉120内の均熱帯のポケット数、α[秒]は鋼管長さに起因する時間ばらつきを補正する補正値である。
均熱時間Tqは、鋼管を第2の熱処理炉120により均熱する時間、すなわち、鋼管を第2の熱処理炉120内に保持する時間である。均熱時間Tqは第2の熱処理炉120内で鋼管が均熱される時間であって、鋼管の製品要求に応じて決定される。また、第2の熱処理炉120内には、図7に示すように、鋼管Pが1本ずつ載置されるポケット125が炉長方向に均等に複数設けられている。そのため、鋼管Pは、入側から第2の熱処理炉120内に搬送されると、所定時間毎にポケット125上を移動しながら入側から出側に向かって移動する。
また、上記式(1)では、右辺第2項に示すように鋼管長さに起因して発生する時間ばらつきを補正する補正値αが考慮されている。これは、鋼管の長さによって、第1の熱処理炉110から第1の搬送設備131と第2の搬送設備132とに搬送されるタイミングが異なるためである。以下、鋼管長さに起因して発生する時間ばらつきを補正する補正値αについて、図8〜図11に基づき説明する。
(a.設構成)
図8に、図1の第1の熱処理炉110及び第1の搬送設備131と第2の搬送設備132との模式図を示す。鋼管の熱処理ライン100において、鋼管は所定の間隔で設置された搬送ロールにより搬送される。例えば図8に示すように、第1の熱処理炉110から第1の搬送設備131への鋼管Pの搬送は、同一直線上に所定の間隔で配置された搬送ロール181、183により行われる。ここで、第1の熱処理炉110には、搬送方向上流側に低速で回転させる搬送ロール(「低速回転ロール」とも称する。)181が配置され、搬送方向下流側には高速で回転させる搬送ロール(「高速回転ロール」とも称する。)183が配置されている。第1の搬送設備131の搬送ロールは高速回転ロール183である。このように第1の熱処理炉110内に低速回転ロール181と高速回転ロール183とを設けることで、長手方向に連続的に処理される鋼管の切り離しと、空冷時間の短縮を図ることが可能となる。
(b.鋼管の搬送速度変化条件)
鋼管Pと高速回転ロール183との接触数が鋼管Pと低速回転ロール181との接触数より大きくなったとき、鋼管Pの搬送速度が低速から高速に変化する。かかる搬送速度変化条件が成立するパターンは、図9に示す2つのパターンがある。
1つめの搬送速度変化条件(搬送速度変化条件1)は、鋼管Pが低速回転ロール181と高速回転ロール183とに同一数接触している状態から、新たに高速回転ロール183に接触した場合である。搬送速度変化条件1は、n本目の鋼管長さをLn[m]、搬送ロール間の距離をD[m]としたとき、下記式(2−1)を満たすときに発生する。なお、m1は任意の整数であり、鋼管長さに応じて変化する変数である。また、搬送ロール間の距離Dは通常一定である。
Ln−(m1×D)≧D/2 ・・・(2−1)
例えば、図9上側に示すように、鋼管長さLnの鋼管が低速回転ロール181に3か所、高速回転ロール183に3か所接触している状態から、鋼管Pが出側に搬送されて新たに高速回転ロール183に接触し、高速回転ロール183との接触が4か所となった場合である。
2つめの搬送速度変化条件(搬送速度変化条件2)は、鋼管Pが低速回転ロール181と高速回転ロール183とに同一数接触している状態から、低速回転ロール181との接触がなくなった場合である。搬送速度変化条件2は、下記式(2−2)を満たすときに発生する。なお、m2は任意の整数であり、鋼管長さに応じて変化する変数である。
Ln−(m2×D)<D/2 ・・・(2−2)
例えば、図9下側に示すように、鋼管長さLnの鋼管が低速回転ロール181に3か所、高速回転ロール183に3か所接触している状態から、鋼管Pが出側に搬送されて搬送方向上流側の鋼管Pの端部が低速回転ロール181から離れ、低速回転ロール181との接触が2か所となった場合である。
(c.鋼管長さに起因して発生する時間ばらつきを補正する補正値αの算出方法)
上記のように第1の熱処理炉110からの鋼管Pの搬送速度変化条件は2パターンあるが、先行材の鋼管と先行材に次いで搬送される後行材の鋼管との搬送速度変化条件により、式(1)の鋼管長さに起因して発生する時間ばらつきを補正する補正値αの原因となる距離(高速回転ロール183側の鋼管の長さ)が異なる。
例えば、先行材の鋼管が搬送速度変化条件1のパターンであり、後行材の鋼管が搬送速度変化条件2のパターンであるとする。先行材の鋼管長さをL、後行材の鋼管長さをLn+1とする。このとき、各鋼管について第1の熱処理炉110からの搬送速度変化条件を満たしたときの、高速回転ロール183側の鋼管の長さを考える。高速回転ロール183側の鋼管の長さは、鋼管搬送方向最上流側の高速回転ロール183との接触位置から鋼管搬送方向下流側の鋼管端部までの長さをいう。
まず、搬送速度変化条件1の先行材の鋼管については、図10上側に示すように、高速回転ロール183側の鋼管の長さは、鋼管の搬送方向最下流側端部は高速回転ロール183に接触したタイミングであるから、高速回転ロール183との接触数から求められる。図10上側の例では、高速回転ロール183と鋼管の接触数は4か所であり、高速回転ロール183側の鋼管の長さは、m1×Dとなる。
一方、搬送速度変化条件2の後行材の鋼管については、図10下側に示すように、高速回転ロール183側の鋼管の長さは、鋼管の搬送方向最上流側端部が低速回転ロール181から離れたタイミングであるから、鋼管長さLn+1から鋼管の低速回転ロール181側の鋼管の長さを引いた値で表される。図10下側の例では、鋼管が低速回転ロール181から離れる直前における低速回転ロール181と鋼管の接触数は4か所であり、低速回転ロール181側の鋼管の長さは、m2×Dとなる。したがって、高速回転ロール183側の鋼管の長さは、Ln+1−(m2×D)となる。
なお、先行材の鋼管が搬送速度変化条件2のパターンであり、後行材の鋼管が搬送速度変化条件1のパターンであるときも、図10に示した上記例と同様に高速回転ロール183側の鋼管の長さを算出することができる。この場合、先行材の鋼管の高速回転ロール183側の鋼管の長さは、L−(m1×D)であり、後行材の鋼管の高速回転ロール183側の鋼管の長さは、m2×Dである。
(d.先行材の鋼管と後行材の鋼管との時間差)
式(1)の鋼管長さに起因して発生する時間ばらつきを補正する補正値αは、鋼管長さの相違により先行材の鋼管と後行材の鋼管との間に生じる2つの時間差Δt1、Δt2とを足し合わせた時間となる。1つめの時間差Δt1は、鋼管が第1の熱処理炉110に搬送されてから搬送速度変化条件を満たすまでの鋼管の移動距離の相違による時間差である。2つめの時間差Δt2は、搬送速度変化条件を満たした後の鋼管の移動時間の相違による時間差である。
図11に基づき、時間差Δt1、Δt2を具体的に説明する。なお、以下の説明において、低速回転ロール181の搬送速度をV1、高速回転ロール183の搬送速度をV2とする。また、第1の熱処理炉110から搬送された鋼管は、鋼管尾端が図11の基準停止位置に位置するまで第1の搬送設備131を移動されるとする。
(時間差Δt1)
搬送速度変化条件を満たすまでは、先行材の鋼管、後行材の鋼管ともに、低速の搬送速度V1で搬送される。このときの先行材の鋼管と後行材の鋼管との移動距離の差は、鋼管が搬送速度変化条件を満たしたときの熱処理ラインにおける鋼管先端位置の相違に基づく。図11の例では、先行材の鋼管が搬送速度変化条件を満たしたときの鋼管先端位置はQT1であり、後行材の鋼管が搬送速度変化条件を満たしたときの鋼管先端位置はQT2である。したがって、先行材の鋼管と後行材の鋼管との移動距離の差Xは、鋼管先端位置QT1と鋼管先端位置QT2との差分で表される。これより、時間差Δt1は、移動距離の差Xを搬送速度V1で割った値(X/V1)で表される。
(時間差Δt2)
搬送速度変化条件を満たした後は、先行材の鋼管、後行材の鋼管ともに、高速の搬送速度V2で搬送される。鋼管の高速搬送開始後から停止までの移動距離の差は、鋼管が搬送速度変化条件を満たしたときの熱処理ラインにおける鋼管尾端位置の相違に基づく。図11の例では、先行材の鋼管が搬送速度変化条件を満たしたときの鋼管尾端位置はQB1であり、後行材の鋼管が搬送速度変化条件を満たしたときの鋼管尾端位置はQB2である。したがって、先行材の鋼管と後行材の鋼管との移動距離の差X’は、鋼管尾端位置QB1と鋼管尾端位置QB2との差分で表される。これより、時間差Δt2は、移動距離の差X’を搬送速度V2で割った値(X’/V2)で表される。
これらの時間差Δt1、Δt2を足し合わせると、鋼管が第2の搬送設備132に到達する時間のばらつきとなる。本実施形態では、図6に示したように、鋼管の第2の搬送設備132での待機時間は、鋼管が第1の搬送設備131から第2の搬送設備132に搬送されてからカウントされ始める。したがって、この鋼管長さに起因して発生する時間ばらつきを補正する補正値αは、本実施形態においては鋼管が第2の搬送設備132に到着した時間のばらつきを表していることになる。
同様に、先行材の鋼管と後行材の鋼管とについて、搬送速度変化条件の相違に基づき鋼管長さに起因して発生する時間ばらつきを補正する補正値αを算出すると、鋼管長さに起因して発生する時間ばらつきを補正する補正値αは下記表1のようになる。
Figure 0006891756
なお、m1及びm2は、以下の値をとる。
搬送速度変化条件1の場合:
m1=[ /2D]、m2 n+1 /2D]
搬送速度変化条件2の場合:
m1=[ /2D]+1、m2 n+1 /2D]+1
ここで、[]は切り下げを意味する。
このように表1に基づき設定される鋼管長さに起因して発生する時間ばらつきを補正する補正値αを、先行材の鋼管と後行材の鋼管との関係から設定し、式(1)に設定する。これにより、鋼管毎に、当該鋼管が第2の搬送設備132上に待機できる許容時間Tnを、鋼管の製品要求(仕様)も考慮して設定することができる。
以上、本実施形態に係る鋼管の熱処理ライン100の構成と、かかる熱処理ライン100における鋼管の搬送制御方法とについて説明した。本実施形態によれば、搬送制御装置により、検出装置の検出結果に基づき鋼管を次の設備に搬送させてもよいか否かを判定し、次の設備に鋼管がないことを確認してから鋼管を次の設備に搬送させる。このように鋼管の搬送を制御することで、トラブルの発生を防止する。
また、本実施形態に係る熱処理ライン100は、第2の熱処理炉へ搬送されようとしている鋼管を連続ラインから搬送するためのテーブルを備えている。本実施形態に係る搬送制御装置は、搬送設備から第2の熱処理炉またはテーブルへ鋼管を搬送するための分岐処理を実行し、鋼管の搬送先を決定するにあたり、鋼管を次の設備へ搬送可能であるか否かを、次の設備上の鋼管の有無という物理的な条件に加えて、鋼管の温度に基づく品質条件も考慮し、分岐処理を実行する。これにより、設備トラブルの発生時の生産性低下を防止するとともに、鋼管の品質管理も行うことができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
100、100A〜100D 熱処理ライン
110 第1の熱処理炉
120 第2の熱処理炉
125 ポケット
131 第1の搬送設備
132 第2の搬送設備
133 第1の搬出設備
134 第2の搬出設備
140 テーブル
145 第2のテーブル
161〜169 検出装置
170 搬送制御装置
181 搬送ロール(低速回転ロール)
183 搬送ロール(高速回転ロール)

Claims (5)

  1. 鋼管の熱処理ラインであって、
    前記鋼管に対して第1の熱処理を施す第1の熱処理炉と、
    前記第1の熱処理が施された前記鋼管に対して第2の熱処理を施す第2の熱処理炉と、
    前記第1の熱処理が施された鋼管のうち、前記第2の熱処理炉へ搬送されない前記鋼管を保管するテーブルと、
    前記第1の熱処理炉から搬送された前記鋼管を、前記第2の熱処理炉または前記テーブルのいずれかに搬送する搬送設備と、
    少なくとも前記第2の熱処理炉で熱処理が施された前記鋼管を搬出する搬出設備と、
    前記搬送設備と、前記第2の熱処理炉と、前記テーブルと、前記搬出設備との各前記設備上の前記鋼管の有無を検出する検出装置と、
    少なくとも前記検出装置の検出結果に基づいて、熱処理ラインの各設備間における前記鋼管の搬送制御を行う搬送制御装置と、
    を備え、
    前記搬送制御装置は、
    前記搬送設備上の前記鋼管の有無を検出する前記検出装置が、前記搬送設備上の前記鋼管を検出してから、前記第1の熱処理炉から前記搬送設備に搬送された先行材の前記鋼管について、前記搬送設備での待機時間のカウントを開始し、
    前記待機時間が許容時間以下であり、かつ、先行材の前記鋼管に次いで搬送される後行材の前記鋼管が前記搬送設備に搬送される前に、先行材の前記鋼管を前記第2の熱処理炉へ搬送可能となった場合には、先行材の前記鋼管を前記第2の熱処理炉へ搬送させ、
    前記待機時間が許容時間を超えた場合、または、後行材の前記鋼管が前記搬送設備に搬送されるときに、先行材の前記鋼管が前記第2の熱処理炉へ搬送不可である場合には、先行材の前記鋼管を前記テーブルへ搬送させる、鋼管の熱処理ライン。
  2. 前記搬送設備は、前記第1の熱処理炉から連続する第1の搬送設備と、前記第2の熱処理炉へ連続する第2の搬送設備とを有し、
    前記搬送制御装置は、
    前記第1の熱処理炉から前記搬送設備の前記第1の搬送設備に搬送された先行材の前記鋼管を、前記第2の搬送設備へ搬送させた後、先行材の前記鋼管が前記第2の搬送設備へ搬送されてから前記第2の熱処理炉へ搬送されるまでの時間を前記搬送設備での前記待機時間としてカウントを開始し、
    前記待機時間が許容時間以下であり、かつ、先行材の前記鋼管に次いで搬送される後行材の前記鋼管が前記第1の搬送設備に到達する前に、前記第2の搬送設備にある先行材の前記鋼管を前記第2の熱処理炉へ搬送可能となった場合には、先行材の前記鋼管を前記第2の熱処理炉へ搬送させ、
    前記待機時間が許容時間を超えた場合、または、後行材の前記鋼管が前記第1の搬送設備に到達したときに、前記第2の搬送設備にある先行材の前記鋼管が前記第2の熱処理炉へ搬送不可である場合には、先行材の前記鋼管を前記テーブルへ搬送させる、請求項1に記載の鋼管の熱処理ライン。
  3. 前記第1の搬送設備及び前記第2の搬送設備を有する前記搬送設備は、前記第1の熱処理炉と前記第2の熱処理炉との間に配置されており、
    前記第2の搬送設備は、前記第1の搬送設備と前記テーブルとの間に配置されている、請求項2に記載の鋼管の熱処理ライン。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼管の熱処理ラインにおける前記鋼管の搬送制御方法であって、
    前記搬送制御装置は、
    前記搬送設備上の前記鋼管の搬送先を前記第2の熱処理炉または前記テーブルのいずれか一方に決定する分岐処理を実行し、
    前記分岐処理は、
    前記搬送設備上の前記鋼管の有無を検出する前記検出装置が、前記搬送設備上の前記鋼管を検出してから、前記第1の熱処理炉から前記搬送設備に搬送された先行材の前記鋼管について、前記搬送設備での待機時間をカウントするカウントステップと、
    前記待機時間が許容時間以下であり、かつ、先行材の前記鋼管に次いで搬送される後行材の前記鋼管が前記搬送設備に搬送される前に、先行材の前記鋼管を前記第2の熱処理炉へ搬送可能となった場合には、先行材の前記鋼管を前記第2の熱処理炉へ搬送させる搬送ステップと、
    前記待機時間が許容時間を超えた場合、または、後行材の前記鋼管が前記搬送設備に搬送されるときに、先行材の前記鋼管が前記第2の熱処理炉へ搬送不可である場合には、先行材の前記鋼管を前記テーブルへ搬送させるテーブル搬送ステップと、
    を含む、鋼管の搬送制御方法。
  5. 前記搬送設備は、前記第1の熱処理炉から連続する第1の搬送設備と、前記第2の熱処理炉へ連続する第2の搬送設備とを有し、
    カウントステップでは、前記第1の熱処理炉から前記搬送設備の前記第1の搬送設備に搬送された先行材の前記鋼管を、前記第2の搬送設備へ搬送させた後、先行材の前記鋼管が前記第2の搬送設備へ搬送されてから前記第2の熱処理炉へ搬送されるまでの時間を前記搬送設備での前記待機時間としてカウントし、
    搬送ステップでは、前記待機時間が許容時間以下であり、かつ、先行材の前記鋼管に次いで搬送される後行材の前記鋼管が前記第1の搬送設備に到達する前に、前記第2の搬送設備にある先行材の前記鋼管を前記第2の熱処理炉へ搬送可能となった場合には、先行材の前記鋼管を前記第2の熱処理炉へ搬送させ、
    テーブル搬送ステップでは、前記待機時間が許容時間を超えた場合、または、後行材の前記鋼管が前記第1の搬送設備に到達したときに、前記第2の搬送設備にある先行材の前記鋼管が前記第2の熱処理炉へ搬送不可である場合には、先行材の前記鋼管を前記テーブルへ搬送させる、請求項に記載の鋼管の搬送制御方法。
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