JP6954188B2 - 連続鋳造鋳片の精整装置列 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造鋳片の精整装置列に関する。本発明において、「精整」は「検査」および「手入れ」の総称であり、「手入れ」は「溶削」、「研削」、および、「切断」の総称である。また、本発明において、連続鋳造機と圧延工程における最初の設備である加熱炉との間に設置される複数の装置を「精整装置列」と称する。
連続鋳造プロセスは、低コストにてスラブ等鋳片の大量生産が可能なプロセスである。このプロセスで製造された連続鋳造鋳片は、次工程である圧延工程において素材として扱われる。圧延工程において、連続鋳造鋳片は、加熱炉にて圧延に必要な温度まで昇温されたのちに圧延される。なお、本発明では、鋳片は連続鋳造鋳片を対象とするので、以下において、連続鋳造鋳片を単に「鋳片」と称することがある。鋳片としてスラブを例示しつつ、以下に説明を続ける。
圧延工程における最初の設備である加熱炉におけるエネルギー原単位を削減するため、連続鋳造プロセスで製造したスラブを高温のまま加熱炉に装入することにより、圧延に必要な温度までスラブを加熱する際に消費されるエネルギーを少なくして圧延を実施する、ホットチャージという方法も採用されている。
連続鋳造プロセスで製造したスラブは、圧延の前に表面欠陥が検査され、必要に応じて手入れがなされる。ホットチャージを実施するにあたっても、スラブ表面の欠陥を検査し、必要に応じて手入れを実施してこれを除去することが必須である。通常は、検査や手入れの実施にはスラブの冷却が必要であり、鋳片を冷却することにより安定して検査や手入れを行うことができる。しかし、ホットチャージによるエネルギー原単位削減の効果を享受するために、鋳片を冷却せずに検査や手入れを行うことが指向されている。
鋳片の冷却を回避して表面の手入れを実施する方法として熱間溶削が知られている。しかしながら、熱間溶削時に発生するスケールが圧延時に欠陥となる場合がある。また、冷却を行うことなく熱間においてスラブ表面を観察する方法も存在する。しかしながら、この方法を用いると、熱間溶削後のスケールによって検査精度が低下する場合がある。したがって、熱間において精度の高い検査を実施するとともに、圧延時にスケールによる欠陥が生じ難い鋳片精整プロセスが必要である。
鋳片精整プロセスに関する技術として、例えば特許文献1には、連続鋳造直後のスラブを1次疵検査し加熱炉へ直送するラインと、1次検査により有欠陥手入れとされたスラブを処理するために、1次疵検設備に続けてホットスカーファーとその出側に2次疵検設備を有する有手入ラインを備えた処理設備において、2次疵検の結果合格となったスラブを直送ラインに供給する移送手段を有手入ラインと直送ラインとの間に設けるとともに、更に手入れの必要な不合格スラブを処理する浸漬冷却設備−部分グラインダー設備−ローラーテーブルを2次疵検設備に続けてこの順で設け、疵除去されたスラブを加熱炉に供給する、連続鋳造スラブの処理設備が開示されている。また、特許文献2には、手入れ時に冷却することなくホットチャージを実施することが可能な金属スラブの精整装置列が開示されている。
特開平5−208216号公報 特開平5−15923号公報
特許文献1に記載された技術における有手入ラインでは、手入れ時の冷却によりスラブの熱が失われるため、ホットチャージの利点が失われてしまう。また、鋳造直後の鋳片を復熱させてから検査や手入れを実施している特許文献2に記載された技術では、精整前にエネルギーを使用しているため、エネルギー原単位削減の効果が低下しやすい。さらに、特許文献2に記載された技術では、精整装置列内における横行移動が多く、検査や手入れに掛かる工程が多いため、搬送時間およびエネルギー原単位において改善の余地がある。特に、現在では熱間溶削による手入れを必要とする鋼種が増加しているため、搬送時間およびエネルギー原単位に対する改善が求められている。加えて、特許文献2に記載された技術では、熱間溶削設備において発生したスケールが起因となって、下工程での圧延時に欠陥が生じる可能性があるため、更なる改善の余地がある。
そこで本発明は、エネルギー原単位を削減することが可能な、連続鋳造鋳片の精整装置列を提供することを課題とする。
スラブを冷却せずにスラブ表面の精整(検査および手入れ)を実施するために、熱間溶削が用いられている。しかしながら、熱間溶削時に発生したスケールがスラブ表面から除去されたり手入れされたりしないまま、圧延工程に直送されると、圧延後の疵の原因になる。
また、スラブ表面にスケールが残存した状態では、精整装置列内の表面検査装置における検査精度が低下して欠陥位置を正しく検知できないため、表面検査の終了後に手入れを実施したとしても、表面欠陥の手入れが有効に作用しない場合がある。
そこで、熱間溶削装置の出側に、鋳片へ向けてスプレー水を噴射するデスケーリング装置を設置し、デスケーリング装置の出側に表面検査装置を配置する。スプレー水の圧力とスケール生成時の鋳片との間の熱応力を利用してスケールを除去することにより、表面検査時の精度向上を図るとともに、圧延後の疵を低減する。
効果的にデスケーリングを実施するためには熱応力を大きくすることが重要であり、そのためには鋳片温度が高い状態でデスケーリングを実施する必要がある。
そこで、連続鋳造後の温度の高い鋳片を即座に溶削(熱間溶削)し、熱間溶削後にデスケーリングを実施する。これにより、熱間溶削に必要なエネルギーを低減するとともに、熱間溶削後の鋳片温度が高い状態に保持されるので、デスケーリング時の熱応力が大きくなる。デスケーリング後に検査を行うことにより、鋳片の表面品質および検査精度の向上、並びに、熱ロスの低減を達成する。
また、圧延後に高い表面品質が求められる材質については、鋳造した全ての鋳片において熱間での溶削が必要な場合があり、熱間溶削対象の鋳片を横行させるレイアウトの場合、鋳造速度の低下や加熱炉搬入速度を停滞させる場合がある。そこで、このような事態を抑制するために、連続鋳造機、熱間溶削装置、デスケーリング装置、および、表面検査装置と、表面検査装置の出側に配置する切断機とを、一直線上に配置する。これにより、鋳造および圧延能率を低下させることなく、搬送や手入れ時の熱ロスを削減しながら、圧延工程における最初の設備である加熱炉に鋳片を装入する。
本発明者らは、これらの着想に基づいて、本発明を完成させた。以下、本発明について説明する。
本発明は、連続鋳造機と圧延機との間に設置される、連続鋳造鋳片の精整装置列であって、連続鋳造機の出側に設置された熱間溶削装置と、該熱間溶削装置の出側に設置されたデスケーリング装置と、該デスケーリング装置の出側に設置された熱間研削装置と、該熱間研削装置の出側に設置された表面検査装置と、該表面検査装置の出側に設置された切断装置と、該切断装置の出側に並行に設置された2つの鋳片搬送装置と、を有し、該2つの鋳片搬送装置によって、連続鋳造鋳片が、圧延機の入側に設置された加熱炉へと直接搬送される連続鋳造鋳片と、加熱炉の入側に設置された熱間研削装置を通って加熱炉へと搬送される連続鋳造鋳片とに分けられることを特徴とする、連続鋳造鋳片の精整装置列である。
本発明では、連続鋳造機の出側に熱間溶削装置を設置しているので、熱間溶削に必要なエネルギーを低減することが可能である。また、熱間溶削装置の出側にデスケーリング装置しているので、効果的にデスケーリングを実施できる。また、デスケーリング装置の出側に表面検査装置を設置しているので、鋳片の表面品質および検査精度を向上させることが可能であり、且つ、熱ロスを低減することが可能である。したがって、このような形態にすることにより、エネルギー原単位を削減することが可能になる。
また、上記本発明において、2つの鋳片搬送装置が、横行搬送装置であることが好ましい。このような形態にすることにより、装置列内における搬送渋滞を防止し、鋳片が滞留することによる温度降下を抑制することが可能となり、エネルギー原単位を削減しやすくなる。
また、上記本発明において、連続鋳造鋳片が、連続鋳造機の出側に設置された分塊圧延装置によって成形された鋳片であることが好ましい。このような形態にすることにより、高温の鋳片を分塊圧延し、その後の検査および手入れを経た鋳片を圧延工程に供給できるので、圧延工程の圧下量を低減することができる。圧延工程の圧下量を低減することにより、エネルギー原単位を低減しやすくなるほか、圧延工程の圧下量をゼロにすることができる場合には、工程省略による効率化を実現することも可能になる。
本発明では、鋳片を複熱したり冷却したりする装置を用いることなく、鋳片表面に発生し得る欠陥を熱間で検査および手入れする過程を経て、高温の鋳片を圧延設備へ迅速に搬送する。これにより、エネルギー原単位を低減することが可能になる。
本発明の一の実施形態を説明する図である。 本発明の他の実施形態を説明する図である。
連続鋳造機において製造した鋳片を、圧延工程における最初の設備である加熱炉へ搬送する際、搬送途中に、鋳片の表面欠陥を精整(検査・手入れ)するために複数の装置が設置されることがある。本発明では、これら複数の装置を「精整装置列」と称する。精整装置列において熱間溶削を実施する技術は広く用いられている。
上述したように、従来の技術では、表面検査の結果によって熱間溶削を実施するか否かが選択されることが多かった。しかしながら、現在は、表面検査基準が厳格化しており、一般的な連続鋳造機で製造された鋳片において熱間溶削による手入れを必要とする鋼種が増加している。そのため、熱間溶削の要否を決定するための表面検査と、この検査の結果である熱間溶削要否に応じて搬送系統を選択する装置とを含む、精整装置列を有する意味が小さくなっている。
そこで、本発明では、連続鋳造機で製造した鋳片の全量を熱間溶削による手入れを行うことを前提とし、そのための精整装置列として、効率的な精整装置列を提案する。
熱間溶削によって、鋳片の表面欠陥を除去することが可能であるが、さらに、次工程である圧延時の欠陥をより低減させるためには、熱間溶削施工時に発生する溶削開始部および溶削時に発生するスケールを、圧延工程に搬送するライン上で除去する精整装置列である必要がある。
そこで本発明においては、溶削、表面検査、および、表面検査にて判明した欠陥部の手入れを熱間で行いながら、溶削時に発生して、精整装置列の下工程において欠陥になり得るスケールを、精整装置列にて除去する。
また、本発明では、鋳片をロール搬送することによって、各装置、より具体的には、連続鋳造機から2つの鋳片搬送装置までの装置を一直線上に配置することが可能である。一直線上に配置することにより、連続鋳造機および圧延工程の連続操業を阻害することなく、全量熱間溶削が必要な材質においても連続的に精整(検査・手入れ)を実施し、冷却や搬送に伴う熱ロスを削減して圧延工程における最初の設備である加熱炉に装入することが可能になる。
さらに、連続鋳造機の出側に分塊圧延装置を具備することにより、幅や厚みの異なる鋳片を製造することが可能になり、それらの形状の異なる鋳片であっても、同じ精整装置列を搬送することによって熱間で手入れし、欠陥のない鋳片を直送圧延することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明において、連続鋳造機によって製造された鋳片は、連続鋳造機の出側で熱間溶削され、その直後に、デスケーリング装置によって表面のスケールが除去される。本発明の連続鋳造鋳片の精整装置列は、連続鋳造機によって製造された鋳片が搬送される熱間溶削装置への搬送テーブルを起点とし、且つ、圧延工程の起点である加熱炉への搬送テーブルを終点とする複数の装置を有している。なお、以下に示す形態は本発明の例であり、本発明は以下に示す形態に限定されない。
図1は、本発明の一の実施形態に係る連続鋳造鋳片の精整装置列100を説明する図である。本発明の精整装置列100は、連続鋳造機1の出側に、搬送テーブル12aに一直線上に順に設置された、分塊圧延装置2と、熱間溶削装置3と、デスケーリング装置4と、熱間研削装置5と、表面検査装置6と、切断装置7と、鋳片搬送装置8a、8bと、を有している。鋳片搬送装置8aは、搬送テーブル12aおよび搬送テーブル12bに接続されており、搬送テーブル12bには、熱間研削装置10、スラブ反転装置11、熱間研削装置10、および、加熱炉9が一直線上に順に設置されている。また、鋳片搬送装置8bは、搬送テーブル12aおよび搬送テーブル12cに接続されており、鋳片搬送装置8bの出側には、加熱炉9が設置されている。
連続鋳造機1によって製造された鋳片は、表面温度が800〜900℃の状態で搬送テーブル12a上を搬送され、分塊圧延装置2へと達する。熱間溶削前に鋳片寸法を調整する必要がある場合、分塊圧延装置2へと達した鋳片は、分塊圧延装置2によって圧下されることにより、成形が実施される。これに対し、熱間溶削前に鋳片寸法を調整する必要がない場合、分塊圧延装置2へと達した鋳片は、分塊圧延装置2において圧下されることなく、速やかに、その出側に設置されている熱間溶削装置3へと搬送される。
熱間溶削装置3へと達した鋳片は、熱間溶削装置3において熱間溶削され、直後に、その出側に設置されたデスケーリング装置4から鋳片へ向けてスプレー水が噴射されることによって、表面のスケールが除去される。熱間溶削およびデスケーリングが実施された後の鋳片表面温度は、750℃程度である。
デスケーリング装置4によって表面のスケールが除去された鋳片は、デスケーリング装置4の出側に設置された熱間研削装置5へと達し、鋳片の溶削開始部が、熱間研削装置5において除去される。このようにして溶削開始部が除去された鋳片は、熱間研削装置5の出側に設置された表面検査装置6へと達する。表面検査装置6では、表面温度が700〜750℃程度である鋳片に対し、表面検査が行われる。表面検査が行われた鋳片は、続いて、表面検査装置6の出側に設置された切断装置7へと達する。切断装置7は、鋳片が鋳造先端の鋳片または鋳造後端の鋳片である場合に、先端または後端のクロップ部分を切断する装置である。鋳造先端または鋳造後端でない鋳片は、切断装置7で切断されることなく、そのまま切断装置7を通過する。
切断装置7で切断された鋳片、または、切断装置7で切断されることなくそのまま通過した鋳片は、切断装置7の出側に設置された鋳片搬送装置8aへと達する。鋳片搬送装置8aは、搬送テーブル12aにある鋳片を搬送テーブル12bへと搬送することが可能な横行搬送装置であり、鋳片を搬送テーブル12bへと横行搬送するか、または、出側に設置された鋳片搬送装置8bへ鋳片を搬送するかを選択できる機能を有している。このようにして鋳片搬送装置8a、8bを配置することにより、全体がコンパクトな精整装置列100を提供している。
表面検査装置6で検査された結果、手入れが必要と判断された鋳片は、搬送テーブル12bへ向けて搬送される。これに対し、表面検査装置6で検査された結果、欠陥が認められずに手入れが不要と判断された鋳片は、直送ラインである搬送テーブル12cに接続された鋳片搬送装置8bへ向けて搬送される。このようにして鋳片搬送装置8bへ向けて搬送された鋳片は、鋳片搬送装置8bを経由して、表面温度600℃以上、且つ、断面平均温度1000℃以上という高温を保ったまま圧延工程へと送られて、加熱炉9に装入される。
表面検査装置6で検査された結果、手入れが必要と判断された鋳片は、鋳片搬送装置8aにおいて横行搬送が選択されることにより、有手入れラインである搬送テーブル12bへ向けて搬送される。このようにして搬送テーブル12bへ向けて搬送された鋳片は、2台の熱間研削装置10およびスラブ反転装置11によって一方向に手入れが実施された後、ホットチャージにて加熱炉9に装入することが可能である。
精整装置列100において、搬送テーブル12a、12b、12cは、各装置間の鋳片を搬送する、ローラー式の搬送テーブルである。搬送テーブル12a、12b、12cは、鋳片をほぼ直線的に搬送することができる。したがって、鋳片搬送装置8a、8bによる横行搬送を除き、精整装置列100では、鋳片がほぼ直線的に搬送される。
次に、精整装置列100における、各装置を図1に示した順に設置する理由、および、当該配置により得られる効果について、以下に説明する。
連続鋳造機1では単一の厚みの鋳片しか製造できない。そこで、精整装置列100の起点である熱間溶削装置3の入側(連続鋳造機1と熱間溶削装置3との間)に、分塊圧延装置2を設置する。この分塊圧延装置2によって、所定の厚みおよび幅に鋳片を成形することにより、様々な厚みおよび幅の鋳片を、精整装置列100において検査や手入れした後に、熱間のまま圧延することができる。また、分塊圧延装置2によって成形した鋳片を使用することにより、鋳片温度が高い状態で分塊圧延を行い、その後の検査や手入れを経た鋳片を圧延工程に供給できるので、圧延工程における圧下量を削減することができる。これにより、エネルギー原単位を削減しやすくなるほか、工程省略による効率化を実現することができる。
なお、分塊圧延装置2において大きく圧下を実施した場合、鋳片の先端または後端が変形する。それゆえ、このような場合には、切断装置7を用いて、変形した部分を切断する。
熱間溶削装置3は、連続鋳造機1の出側(より具体的には分塊圧延装置2の出側。以下に置いて同じ。)に設置する。連続鋳造機1の出側に熱間溶削装置3を設置することにより、高温の鋳片を熱間溶削装置3へ搬送することができるので、溶削の予熱に掛かる時間を短縮することが可能になり、その結果、エネルギー原単位を削減することが可能になる。さらに、連続鋳造機1の出側に熱間溶削装置3を設置することにより、連続して熱間溶削が必要な場合においても、鋳造速度や圧延速度の低下を伴うことなく、効率的に熱間溶削を実施することが可能になる。
デスケーリング装置4は、熱間溶削装置3の出側に設置する。熱間溶削装置3の出側にデスケーリング装置4を設置することにより、高温である鋳片のデスケーリングを実施することができる。これにより、鋳片へ向けて噴射されるスプレー水と鋳片との間に大きな温度差を生じさせることが可能になる結果、大きな熱応力が得られるので、デスケーリング能力を向上させることが可能になる。デスケーリング能力を向上させたデスケーリングを実施することにより、圧延時におけるスケール起因の疵発生を防止することが可能になる。デスケーリング装置4によるデスケーリングを実施する際の鋳片温度およびスプレー水の圧力は特に限定されないが、圧延時におけるスケール起因の疵発生を防止しやすい形態にする観点から、表面温度が700℃以上の鋳片に向けて、8〜12MPaの圧力で水を噴射することにより、デスケーリングを実施することが好ましい。
熱間研削装置5は、デスケーリング装置4の出側に設置する。デスケーリング装置4の出側に設置された熱間研削装置5により、鋳片の溶削開始部を除去する。熱間研削装置5をデスケーリング装置4の出側に設置するのは、デスケーリング装置4へ高温の鋳片が搬送されるようにしつつ、デスケーリング後に残存した鋳片の溶削開始部を除去するためである。高温の鋳片に対してデスケーリングし、一次的にスケールを除去した後に研削することで、手入れ時のスケール押込みによる欠陥発生を防止することが可能になる。また溶削開始部が除去された鋳片に対して表面検査を実施することにより、検査精度を高めることが可能になる。
表面検査装置6は、熱間研削装置5の出側に設置する。熱間研削装置5の出側に表面検査装置6を設置することにより、高温である鋳片の表面を検査することができる。表面検査装置6による表面検査としては、超音波式表面検査や光学式表面検査のほか、温度計を用いた表面検査を適用可能である。通常、熱間溶削を実施した後に表面検査を行う場合、表面に残存したスケールが表面検査精度を低下させる原因となる。本発明では、このような事態を回避するために、デスケーリング装置4の出側に設置された熱間研削装置5の出側に、表面検査装置6を設置する。これにより、鋳片の表面品質および検査精度を向上させることが可能になる。
切断装置7は、表面検査装置6の出側に設置する。表面検査装置6の出側に切断装置7を設置するのは、高温である鋳片の表面検査を実施可能にしつつ、鋳片が鋳造先端の鋳片または鋳造後端の鋳片である場合に、先端または後端のクロップ部分を切断可能にするためである。切断装置7としては、機械式の切断装置を適宜用いることができる。
鋳片搬送装置8a、8bは、切断装置7の出側に、並行に設置する。表面検査装置6による表面検査で欠陥が検出されなかった鋳片は、鋳片搬送装置8aから鋳片搬送装置8bへ向けて搬送され、直送ラインである搬送テーブル12cを経て、次工程である圧延工程における起点である加熱炉9に装入される。
これに対し、表面検査装置6による表面検査で欠陥が検出された鋳片は、手入れが必要である。そのため、このような鋳片は、直送ラインから分岐した、有手入れラインである搬送テーブル12bへ向けて搬送され、鋳片搬送装置8aの出側に設置された2台の熱間研削装置10による手入れが実施された後、加熱炉9に装入される。
精整装置列100では、表面検査実施後に、手入れの要/不要によって搬送先が選択され、有手入れラインへ向けて鋳片を横行搬送する鋳片搬送装置8aと、直送ラインへ向けて鋳片を横行搬送する鋳片搬送装置8bとが、並行配置されている。したがって、少なくとも2台の鋳片搬送装置が必要である。
熱間研削装置10は、鋳片搬送装置8aの出側に2台設置し、2台の熱間研削装置10の間にスラブ反転装置11を設置する。鋳片搬送装置8aの出側に、熱間研削装置10、スラブ反転装置11、および、熱間研削装置10を順に設置することにより、鋳片の移動方向を一方向の走行のみに固定しつつ、1台目の熱間研削装置10で研削できなかった部分については、スラブ反転装置11を使用して鋳片の表裏を反転させた後に、次の2台目の熱間研削装置10で研削することによって、精整装置列100上に鋳片を停滞させることなく手入れを実施することが可能になる。2台の熱間研削装置10が備えられることにより、有手入れライン(搬送テーブル12b)における作業効率を高めることが可能になるとともに、鋳片の温度低下を最低限に抑制することが可能となる。なお、有手入れラインに1台の熱間研削装置のみが備えられている場合に、複数方向からの鋳片の研削が必要になると、鋳片を逆方向に搬送したり、表裏を反転させたりする操作が必要になるので、精整装置列の搬送テーブル上において、鋳片を連続的に一方向に搬送することが不可能になる。
上記説明では、デスケーリング装置4からスプレー水が噴射される形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。デスケーリング装置4から噴射されるスプレー水には、研磨剤を混入させることも可能である。
また、上記説明では、2つの鋳片搬送装置が横行搬送装置であり、鋳片搬送装置8bから加熱炉9へと鋳片を直送する搬送テーブル12cと、熱間研削装置10およびスラブ反転装置11を経た鋳片を加熱炉9へと搬送する搬送テーブル12bとが、搬送テーブル12aと平行に配置されている形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明は、連続鋳造機から加熱炉までの各装置が一直線上に設置されて一つの搬送テーブルによって接続され、この搬送テーブルと、表面検査後に手入れが必要な鋳片に対して手入れを行う搬送テーブルとを繋ぐ2つの鋳片搬送装置(横行搬送装置)が備えられる形態、とすることも可能である。この形態を図2に示す。
図2は、他の実施形態にかかる本発明の連続鋳造鋳片の精整装置列200を説明する図である。図2において、精整装置列100と同様に構成されるものには、図1で使用した符号と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
図2に示した精整装置列200は、連続鋳造機1の出側に、搬送テーブル22aに一直線上に順に設置された、分塊圧延装置2と、熱間溶削装置3と、デスケーリング装置4と、熱間研削装置5と、表面検査装置6と、切断装置7と、鋳片搬送装置21a、21bと、加熱炉9と、を有している。鋳片搬送装置21aおよび鋳片搬送装置21bは、何れも、互いに並行する搬送テーブル22aおよび搬送テーブル22bに接続されており、搬送テーブル22bには、熱間研削装置10、スラブ反転装置11、および、熱間研削装置10が一直線上に順に設置されている。
鋳片搬送装置21aは、搬送テーブル22aにある鋳片を搬送テーブル22bへと搬送することが可能な横行搬送装置であり、鋳片を搬送テーブル22bへと横行搬送するか、または、出側に設置された鋳片搬送装置21bへ鋳片を搬送するかを選択できる機能を有している。このようにして鋳片搬送装置21a、21bを配置することにより、全体がコンパクトな精整装置列200を提供している。
表面検査装置6で検査された結果、手入れが必要と判断された鋳片は、搬送テーブル22bへ向けて搬送される。これに対し、表面検査装置6で検査された結果、欠陥が認められずに手入れが不要と判断された鋳片は、鋳片搬送装置21aの出側に設置された鋳片搬送装置21bへ向けて搬送される。このようにして鋳片搬送装置21bへ向けて搬送された鋳片は、そのまま搬送テーブル22aを通って鋳片搬送装置21bを通過し、表面温度600℃以上、且つ、断面平均温度1000℃以上という高温を保ったまま圧延工程へと送られて、加熱炉9に装入される。
表面検査装置6で検査された結果、手入れが必要と判断された鋳片は、鋳片搬送装置21aにおいて横行搬送が選択されることにより、有手入れラインである搬送テーブル22bへ向けて搬送される。このようにして搬送テーブル22bへ向けて搬送された鋳片は、2台の熱間研削装置10およびスラブ反転装置11によって一方向に手入れが実施される。このようにして手入れが実施された鋳片は、続いて、鋳片搬送装置21bによって横行搬送されることにより、有手入れラインである搬送テーブル22bから直送ラインである搬送テーブル22aへ向けて搬送される。このようにして、搬送テーブル22aへと戻された鋳片は、その後、鋳片搬送装置21bから加熱炉9へ向けて搬送テーブル22a上を搬送されることにより、ホットチャージにて加熱炉9に装入することが可能である。
精整装置列200において、搬送テーブル22a、22bは、各装置間の鋳片を搬送する、ローラー式の搬送テーブルである。搬送テーブル22a、22bは、鋳片をほぼ直線的に搬送することができる。したがって、鋳片搬送装置21a、21bによる横行搬送を除き、精整装置列100では、鋳片がほぼ直線的に搬送される。
図2に示したように、鋳片搬送装置21a、21bは、切断装置7の出側に、並行に設置されている。表面検査装置6による表面検査で欠陥が検出されなかった鋳片は、鋳片搬送装置21aから鋳片搬送装置21bへ向けて直送ラインである搬送テーブル22a上を搬送され、さらに、鋳片搬送装置21bから直送ラインである搬送テーブル22a上を搬送されて、次工程である圧延工程における起点である加熱炉9に装入される。
これに対し、表面検査装置6による表面検査で欠陥が検出された鋳片は、手入れが必要である。そのため、このような鋳片は、鋳片搬送装置21aにより、直送ラインから分岐した有手入れラインである搬送テーブル22bへ向けて搬送され、搬送テーブル22bにおいて鋳片搬送装置21aの出側に設置された2台の熱間研削装置10による手入れが実施される。手入れが実施された鋳片は、鋳片搬送装置21bによって搬送テーブル22aへと戻され、その後、加熱炉9に装入される。
精整装置列200では、表面検査実施後に、手入れの要/不要によって搬送先が選択され、直送ラインから分岐した有手入れラインと直送ラインとを繋ぐ2台の鋳片搬送装置21a、21bが並行配置されている。したがって、精整装置列200においても少なくとも2台の鋳片搬送装置が必要である。図1に示した精整装置列100では、表面検査装置6及び切断装置7の出側に設置された、2台の鋳片搬送装置8a、8bそれぞれにより、鋳片は、有手入れラインである搬送テーブル12bと、直送ラインである搬送テーブル12cとに分岐して横行搬送される。これに対し、図2に示した精整装置列200では、手入れが不要な鋳片は横行搬送されることなく、そのまま直送ラインである搬送テーブル22aを搬送されて加熱炉9へと装入される一方、手入れが必要な鋳片は、搬送テーブル22aから有手入れラインである搬送テーブル22bへ向けた横行搬送と、搬送テーブル22bから搬送テーブル22aへ向けた横行搬送とを経て、加熱炉9へと装入される。手入れが不要な鋳片が多いことにより、有手入れラインを経由せずに直送ラインをそのまま搬送される鋳片の割合が非常に高い場合には、精整装置列200を採用することにより、鋳片温度が高いホットチャージの効果を享受しやすい。ただし、精整装置列200において、手入れが必要な鋳片は、有手入れラインへの分岐および直送ラインへの戻りといった2つの横行搬送を経て加熱炉9へ装入されるので、搬送距離が長くなる。本発明では、装置配置上の制約や、精整作業の方針によって精整装置列100および精整装置列200の一方を選択することができる。例えば、加熱炉へと直送される鋳片をより速く加熱炉に装入することにより、熱ロスを低減しやすい形態にする観点からは、精整装置列200が望ましい。
以下の例は本発明の例示であって、本発明が以下の形態に限定されることを意味するものではない。
特許文献1の実施例に記載の連続鋳造スラブの処理設備においては、各スラブについて以下の(1)〜(3)の場合が想定される:
(1)連続鋳造装置を出た後、1次疵検査において合格となり、加熱炉に直送される場合;および、1次疵検査において不合格になったが、有手入ラインにおいてホットスカーファーによる熱間での表面欠陥除去処理を経た後、ホットスカーファーの出側で行われる2次検査において合格となり、直送ラインを出ることなく加熱炉に装入される場合。
(2)連続鋳造装置を出た後、1次疵検査において不合格となり、有手入ラインにおいてホットスカーファーによる熱間での表面欠陥除去処理を経た後、ホットスカーファーの出側で行われる2次疵検査においても不合格となったが、熱間研削装置を用いて熱間で手入れを完了し、冷却工程を経ずに加熱炉に装入される場合。
(3)連続鋳造装置を出た後、熱間での手入れ及び冷間での手入れの両方を経て加熱炉に供給される場合(すなわち、1次疵検査において不合格となり、有手入ラインにおいてホットスカーファーによる熱間での表面欠陥除去処理を経た後、ホットスカーファーの出側で行われる2次疵検査において不合格となり、さらに浸漬冷却後にオフラインによる冷間での疵除去処理を経た後に加熱炉に供給される場合。)。
或る同一の連続鋳造スラブについて上記(1)〜(3)の場合のそれぞれにおける圧延前の加熱炉での昇温に必要なエネルギー原単位は、上記(1)の場合に160Mcal/ton;上記(2)の場合に320Mcal/ton;上記(3)の場合に370Mcal/tonであった。
最近の高品質鋼は検査基準が厳格化しており、これまで(1)または(2)のプロセスにて供給されていたスラブが(3)の場合になる割合が増加している。しかし、特許文献1の実施例を最近の高品質鋼の製造プロセスに適用した場合において、特許文献1の実施例の設備に代えて本発明の連続鋳造鋳片の精整装置列を用いるならば、上記(3)のプロセスにて製造していたスラブを(2)のプロセスにて製造することが可能となる。
本発明によれば、冷間での手入れを行うことなく、鋳片表面に発生し得る欠陥を熱間で検査および手入れする過程を経て、高温の鋳片を圧延設備に供給できる。したがって、特許文献1の実施例の設備に代えて本発明の連続鋳造鋳片の精整装置列を用いることにより、ほぼ全てのスラブについて、必要なエネルギー原単位が上記(1)又は(2)の場合に相当する値になる。したがって、特許文献1の実施例の設備を用いた場合に上記(3)の場合に該当するであろうスラブについて、エネルギー原単位を約14%削減することが可能と考えられる。
1…連続鋳造機
2…分塊圧延装置
3…熱間溶削装置
4…デスケーリング装置
5…熱間研削装置
6…表面検査装置
7…切断装置
8a、8b、21a、21b…鋳片搬送装置
9…加熱炉
10…熱間研削装置
11…スラブ反転装置
12a、12b、12c、22a、22b…搬送テーブル
100、200…連続鋳造鋳片の精整装置列

Claims (3)

  1. 連続鋳造機と圧延機との間に設置される、連続鋳造鋳片の精整装置列であって、
    前記連続鋳造機の出側に設置された熱間溶削装置と、
    前記熱間溶削装置の出側に設置されたデスケーリング装置と、
    前記デスケーリング装置の出側に設置された熱間研削装置と、
    前記熱間研削装置の出側に設置された表面検査装置と、
    前記表面検査装置の出側に設置された切断装置と、
    前記切断装置の出側に並行に設置された2つの鋳片搬送装置と、を有し、
    前記2つの鋳片搬送装置によって、前記連続鋳造鋳片が、前記圧延機の入側に設置された加熱炉へと直接搬送される前記連続鋳造鋳片と、前記加熱炉の入側に設置された熱間研削装置を通って前記加熱炉へと搬送される前記連続鋳造鋳片とに分けられる
    ことを特徴とする、連続鋳造鋳片の精整装置列。
  2. 前記2つの鋳片搬送装置が、横行搬送装置であることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造鋳片の精整装置列。
  3. 前記連続鋳造鋳片が、前記連続鋳造機の出側に設置された分塊圧延装置によって成形された鋳片であることを特徴とする、請求項1または2に記載の連続鋳造鋳片の精整装置列。
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