JP3927536B2 - 連続熱間圧延ラインにおける搬送制御方法 - Google Patents

連続熱間圧延ラインにおける搬送制御方法 Download PDF

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本発明は、鋼帯などの連続熱間圧延ラインにおいて、粗圧延されて次々に送られてくる圧延材(粗バーという)の先行材と後行材の間隔を狭めることにより、効果的に生産性の向上をはかる搬送制御方法に関するものである。
連続熱間圧延ラインにおいて、粗圧延機で中間板厚まで圧延された鋼板などの粗バーは、搬送テーブル上を搬送されて仕上圧延機で製品板厚まで圧延され、ホットランテーブル上で冷却されて巻取機で巻き取られ、コイル製品となる。
従来の鋼帯連続熱間圧延ラインでは、粗バーは長さ50〜100mのものが主体であり、粗バー先端が最終クロップシャー直前の所定区間(例えば10m)を通過する間、約2m/sの速度で搬送し、先行材と後行材の間隔を8m以上確保して仕上圧延機に導入している。この間隔は、加熱炉でのスラブ払い出しの間隔、粗圧延での間隔、最終クロップシャーでの切断間隔、および仕上げ圧延での間隔により決まる。
近時、加熱炉操業の高効率化から燃料原単位の削減が図られ、スラブ加熱温度の低下や均熱不足によって生じる粗バーの低温部を加熱して温度上昇させるために、搬送ラインに粗バー誘導加熱装置を適用している。しかし、粗バー誘導加熱装置による温度上昇代は、粗バーが該加熱装置を通過するときの速度に反比例するため、経済的効果が得られるよう温度上昇代を確保するためには、粗バーの通過速度をほぼ半減し、1m/s程度にしなければならない。このため生産能率の低下が避けられず、その改善が望まれている。
方法と目的は異なるが、粗バーの先行材と後行材を接合して仕上げ圧延する方法も行われている。しかしこの方法は、接合する粗バーのサイズと材質に制約がある。したがって全ての対象材に適用できるものではなく、接合できないものがある。
圧延材搬送に関し、圧延材先後端の検出精度や通板速度制御を向上させる技術が、特許文献1および特許文献2に記載されている。すなわち特許文献1には、圧延材の先端および後端を検出する技術として、熱間圧延設備内を搬送されているストリップを挟んで、上下にレーザー光の投光部と受光部を配設した装置が開示されている。
特許文献2には、搬送テーブルの速度制御技術として、ローラーテーブルの回転速度を圧延材の搬送速度に応じて制御するスリップ傷防止技術が開示されている。
特許第2996845号公報 特開昭60−111712号公報
上記したように、従来の連続熱間圧延ラインでは、粗バー同士の衝突を避けるため、また最終クロップシャー切断間隔等の設備動作時間を確保するため、先行材と後行材の間隔を8m以上確保して搬送し、仕上圧延を行っていた。生産性向上を図るにはこの間隔を狭めるのが効果的である。また、仕上圧延機の入側で搬送速度を低下させて加熱やデスケなどの処理を行う場合、速度低下に伴う生産性低下を抑制するには、粗圧延のピッチを高めて、搬送する粗バー同士の間隔を狭めることが必要となる。
上記特許文献の技術だけでは、粗バー同士の間隔を狭めかつ衝突のおそれを回避するのが困難である。
そこで本発明が解決しようとする課題は、鋼帯などの連続熱間圧延ラインにおいて生産性を高め、特に仕上圧延機の入側で粗バーの搬送速度を低下させて、加熱やデスケなどの処理を行う場合、速度低下に伴う生産性低下を抑制するため、次々に送られてくる粗バーの先行材と後行材の間隔を、衝突の危険を回避して狭める制御方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明は、コイルボックスを用いず、かつ、次々に送られる粗バーを接合することなく仕上延圧し、仕上圧延機の入側に最終クロップシャーを設けた熱間圧延ラインにおいて、最終クロップシャー上流にある均熱装置あるいは高圧デスケ装置のいずれか又は両方での搬送速度低下時の生産性を向上するために、この領域での、クロップがついた先行材と後行材先端の衝突回避、かつ間隔を狭める制御であり、先行材の後端が、上記領域の入り側にあるレーザー式材料検出器に達すると後行材の減速を始めて、クロップ長実績を反映させた先端および後端位置演算を行い、上記計算より求めた先端および後端位置と、先行材の速度実績および後行材の速度実績より、減速完了時の予測間隔dを予測し、この予測間隔dが、レーザー式材料検出器位置補正値とクロップ形状位置補正値と余裕分を加えて決定した設定間隔値になるように、後行材の速度制御することを特徴とする連続熱間圧延ラインにおける搬送制御方法である。
そして、前記最終クロップシャー入側の搬送ローラーを単独制御とするのが好ましい。
またレーザー材料検出器により、先行材の後端および後行材の先端を検出して制御するのが好ましい
本発明により、鋼帯などの連続熱間圧延ラインにおいて、粗圧延されて次々に送られてくる粗バーの先行材と後行材の間隔を、衝突の危険を回避して3m以下に狭めることで、生産性を高め、特に仕上圧延機の入側で搬送速度を低下させて、加熱やデスケなどの処理を行う場合、速度低下に伴う生産性低下を抑制することができる。
本発明の対象とする連続熱間圧延ラインは、図1に例示するように、粗圧延機1で中間板厚まで圧延された粗バーを、搬送ローラー9,10,11により1本ずつ順次搬送して、仕上圧延機4で製品板厚まで圧延するもので、仕上圧延機4の入側に最終クロップシャー5を設けている。
図1の例は、最終クロップシャー5の入側に、粗バー加熱装置14および高圧デスケ装置15を設けている。本発明は、粗バー加熱装置14と高圧デスケ装置15の一方または双方を設けたラインを対象とすることもできる。粗バー加熱装置14としては、誘導加熱装置、ガス加熱装置、通電加熱装置等のいずれを用いることもできる。
図1において、粗バーの先行材3は仕上圧延機4で圧延されつつあり、後端が最終クロップシャー5の入側、本例では高圧デスケ装置15の位置にあって、この後、該シャー5によりクロップが切り離される。後行材2は、先端が粗バー加熱装置14の出側にあって、先行材3の後端と後行材2の先端との間隔がdとなっている。
本発明法は、このような連続熱間圧延ラインにおいて、後行材2を先行材3に接近させ、仕上圧延機4で圧延されている先行材3の後端が最終クロップシャー5から上流側、好ましくは15m以内の範囲に位置するときの上記間隔dを3m以下とする。
間隔dを3m以下とする制御を行う搬送ライン上の位置は、先行材3の後端および後行材2の先端を含む粗バーの単位時間あたりの通過重量を増加させたい位置である。粗バー加熱装置14や高圧デスケ15を最終クロップシャー5の直前に設置したときは、該装置位置を通過するときの粗バーの搬送速度が低下する。そこで単位時間あたりの粗バーの通過重量を増加するために、先行材3と後行材2の間隔dを狭めるのが有効である。この場合、間隔dを検出してから後行材2の搬送速度を制御して間隔dを3m以下とするには、先行材2の後端が最終クロップシャー5から上流側にあること、好ましくは15m以内の範囲にあればよい。
なお、最終クロップシャー5の入側で加熱やデスケを行わない場合には、間隔dを3m以下に制御するに要する上流側の範囲は、15m以内でもより短縮可能である。
この間隔dは、先行材3の後端クロップおよび後行材2の先端クロップが切断される前の間隔である。したがって最終クロップシャー5の出側では、両クロップが切断除去され、間隔dは広がるので、先行材3と後行材2が衝突するおそれはなくなる。また最終クロップシャー5の入側で搬送速度を低下させて加熱やデスケなどの処理を行う場合、後行材2の最終クロップシャー5通過速度は、仕上圧延に同期している先行材3の搬送速度よりも遅くなり、最終クロップシャー5出側で間隔dは広がることとなるため、先行材3と後行材2が衝突するおそれはない。
最終クロップシャー5から上流側15m以内の範囲で間隔dを3m以下に狭めることは、粗圧延機1による圧延ピッチを高めて、従来よりも短い間隔で圧延材を送り出すと共に、図2の制御ブロック図の一部を使用して制御することで実現できる。
すなわち、先行材3および後行材2のトラッキング情報17、ピンチロール6による後行材2の速度、ピンチロール7による先行材3の速度、最終クロップシャー5用の先・後端検出器(図示せず)などの情報から、演算制御器16により後行材2の先端位置および先行材3の後端位置を求め、搬送ローラー9,10,11およびピンチロール6を調整して後行材2を搬送することで制御できる。後行材2の搬送速度は、ピンチロール6の代わりにレーザー速度計18にて検出することもできる。
従来のように間隔dを8m以上とする場合は、多数の搬送ローラーをブロックに分割してブロック毎に回転制御しており、同一ブロックで異なる2つの粗バーを搬送すると、粗バーと搬送ローラーとの速度差により、擦り傷などの品質異常を生じる可能性があった。粗バーの品質異常発生を抑えるとともに、衝突のおそれを回避して、より確実に間隔dを3m以下とするには、搬送ローラー9,10,11のうち、少なくとも最終クロップシャー5入側の搬送ローラー10,11を単独制御とするのが好ましい。単独制御とは、各ローラーの回転を個別に制御することである。
また、レーザー型材料検出器12,13により、先行材3の後端および後行材2の先端を検出して、演算制御器16に入力し、ピンチロール6による後行材2の搬送速度、ピンチロール7による先行材3の搬送速度から演算制御器16により後行材2の先端位置および先行材3の後端位置を求め、搬送ローラー10,11を単独制御することで、より確実に精度良く間隔dを制御することができる。
なお、図2においてトラッキング情報17は、スラブ重量、粗バーの幅および中間板厚、粗圧延機1出側の粗バー速度、先行材3と後行材2の粗圧延間隔、輻射光検出型材料検出器の情報、粗圧延機1から図1の搬送ローラー9までの各種情報などから得られる、各粗バーの長さおよび位置情報からなる。
さらに図3のように、最終クロップシャー5の上流側に、最終クロップシャー5と同様のクロップシャー19を設けるのが好ましい。
クロップシャー19は、粗バー加熱装置14や高圧デスケ15の上流側に設け、最終クロップシャー5は、粗バー加熱装置14や高圧デスケ15と仕上圧延機4の間に設ける。クロップシャー19では粗バー先端のクロップもしくは粗バー後端のクロップを切断する。この際に、切断の間隔を調整するためにコイルボックス20を用いて後行材2がクロップシャー19に到達するタイミングを調整してもよい。このように、先端もしくは後端のクロップを除去した粗バーは、最終クロップシャー5においては、それぞれ後端もしくは先端のクロップだけ切断すればよいために、クロップシャー切断間隔の制約が排除されて先行材3と後行材2の間隔dをより小さくすることが可能となる。
図1において、粗バー加熱装置14は、搬送ローラー上で走行中の粗バー(先行材3,後行材2)を加熱し、均熱化などに適用するものである。特に加熱炉においてスラブの過熱防止と燃料原単位向上を目的に加熱条件を緩和した場合、仕上圧延機4で圧延材の温度が低くなり、顧客の要求する材料特性を満足できず不良品になるなどの弊害が生じるので、これを補うために設置する。また加熱条件の緩和により、加熱炉において生じるスキッドマークの影響も顕在化し、製品板厚が不均一化するため、これを補うよう粗バー加熱装置14を適用することもできる。
本例では、粗バー加熱装置14を3段に設けている。加熱方式としてはトランスバース型誘導加熱、ソレノイド加熱などがあるが、加熱効率および温度分布の面で前者が好ましい。
何れの加熱方式を採用しても、ライン内の限られたスペースで加熱して上記弊害を補うには、圧延材の通過速度を下げる必要が生じ生産性が低下することとなるが、上記のように間隔dを狭めることで、これを抑制することができる。
また図1において、高圧デスケ装置15は、仕上圧延前に圧延材の表面酸化スケールを低減するためのもので、この場合もライン内の限られたスペースで効果をあげるには、圧延材の通過速度を下げる必要が生じ、生産性が低下することとなるが、上記のように間隔dを狭めることで、これを抑制することができる。
本発明では、既存の熱延設備列の中に粗バー加熱装置14もしくは高圧デスケ15を設置する場合の粗バーの間隔制御について述べている。通常の場合、最終クロップシャー5は粗バー加熱装置14もしくは高圧デスケ15と仕上圧延機4の間に位置するが、図3のように上流側にクロップシャー19を設置した場合にも、同様の効果を生じさせることができる。この場合にも、1機の最終クロップシャー5よりもさらにアイドル時間を短縮すれば先行材3と後行材2の間隔dをより小さくすることが可能になる。
図1に示すような鋼帯の連続熱間圧延ラインにおいて、粗バーの間隔d を制御した。先行材3の後端位置および後行材2の先端位置は、所定の間隔で配置される材料検出器(図示せず)、粗圧延機出側のクロップ形状計(図示せず)、レーザー速度計18および仕上圧延機4前のピンチロール7の実績を用いて演算した。この際、材料検出器の検出タイミングで先端および後端位置の補正を行うが、HMD(輻射光検出型材料検出器)では、材料位置を正確に測定できないため、LCMD(レーザー式材料検出器12)を新設して精度アップを図った。また、クロップ形状計からのクロップ長実績を先端および後端位置演算に反映した。
レーザー式材料検出器12よりも下流側に位置する搬送ローラー10を単独制御化することにより、レーザー式材料検出器12よりも下流において、間隔dが3m以下になるよう搬送ローラーの回転を制御しても、粗バーの品質異常(擦り傷)は発生しないこととなった。
先行材3の後端がレーザー式材料検出器12を通過後、間隔dが3m以下となるよう後行材2の搬送速度制御を実施した。ピンチロール7で測定する先行材3の速度実績、レーザー速度計18で測定する後行材3の速度実績より、後行材2が先行材3と同一速度に減速する時間を算出し、該結果と、上記方法で演算した先行材3の後端位置、後行材2の先端位置とから、減速完了時の間隔dを予測する。減速完了時の予測間隔dが設定間隔(例えば3m)より大となる場合は、後行材2の搬送速度を加速もしくは維持させ、減速完了時の予測間隔dが設定間隔よりも小となる場合は、後行材2の搬送速度を減速させる。上記方式により、減速完了時の間隔が設定間隔となり、設定間隔で搬送することができた。
位置演算誤差としては、レーザー式材料検出器12での補正を行った場合、先行材3の後端:約336mm、後行材2の先端:約311mm、トータル:約647mm程度である。クロップ形状による位置補正値としては、実績解析結果より、先行材3の後端:約315mm、後行材3の先端:約440mm、トータル:約755mm程度である。なお、レーザー式材料検出器12なし時はさらに上記誤差+αが必要であった。
以上の誤差検討結果から、余裕分を考慮して設定間隔1.5mを目標値とすることができる。
上記方法により、先行材3と後行材2の間隔dを狭めた場合の生産量に与える効果について検討した。その結果、従来の制御方法(間隔dが8m以上)の場合に比べて、間隔dを3mとした場合には9250トン、1.5mとしたの場合には9650トンの月間生産量の増加に相当する効果が出ることがわかった。
本発明の構成を示す説明図である。 本発明における制御系統の例を示すブロック図である。 本発明の別の構成を示す説明図である。
符号の説明
1:粗圧延機 2:後行材
3:先行材 4:仕上圧延機
5:最終クロップシャー 6,7,8:ピンチロール
9,10,11:搬送ローラー
12,13:レーザー型材料検出器
14:粗バー加熱装置 15:高圧デスケ
16:演算制御器 17:トラッキング情報
18:レーザー速度計 19:クロップシャー
20:コイルボックス
d:間隔

Claims (3)

  1. コイルボックスを用いず、かつ、次々に送られる粗バーを接合することなく仕上延圧し、仕上圧延機の入側に最終クロップシャーを設けた熱間圧延ラインにおいて、最終クロップシャー上流にある均熱装置あるいは高圧デスケ装置のいずれか又は両方での搬送速度低下時の生産性を向上するために、この領域での、クロップがついた先行材と後行材先端の衝突回避、かつ間隔を狭める制御であり、先行材の後端が、上記領域の入り側にあるレーザー式材料検出器に達すると後行材の減速を始めて、クロップ長実績を反映させた先端および後端位置演算を行い、上記計算より求めた先端および後端位置と、先行材の速度実績および後行材の速度実績より、減速完了時の予測間隔dを予測し、この予測間隔dが、レーザー式材料検出器位置補正値とクロップ形状位置補正値と余裕分を加えて決定した設定間隔値になるように、後行材の速度制御することを特徴とする連続熱間圧延ラインにおける搬送制御方法。
  2. 前記最終クロップシャーの入側の搬送ローラーを単独制御とすることを特徴とする請求項に記載の連続熱間圧延ラインにおける搬送制御方法。
  3. レーザー材料検出器により、先行材の後端および後行材の先端を検出して制御することを特徴とする請求項1または2に記載の連続熱間圧延ラインにおける搬送制御方法。
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