JP5722688B2 - 人体検知センサ及び自動水栓 - Google Patents

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Description

本発明は、自動水栓や小便器用の自動洗浄装置などに適用される人体検知センサに関する。
従来より、使用者の手かざし操作を検知して自動的に吐水する自動水栓や、近づいて来た使用者を検知したときに自動的に洗浄水を供給する小便器用の自動洗浄装置などに適用される人体検知センサが知られている。このような人体検知センサとしては、LED等の発光素子と、PSD(Position Sensitive Detector:光位置センサ)等の受光素子と、がオフセットして配置されたセンサが知られている。
この人体検知センサは、被検知対象からの反射光がPSDに入射した位置を特定し、いわゆる三角測量の原理により被検知対象までの距離を計測している。PSDは、入射光の重心位置に応じた信号を出力する非常にシンプルな受光素子であり、低消費電力であるという利点がある。一方、PSDで取得できる情報は位置情報のみであり、外乱光の入射時に採り得る対処方法が少ないという実情がある。それ故、例えば、PSDを含む人体検知センサが洗面台の自動水栓に適用された場合、洗面ボウルからの鏡面反射光など外乱光の影響で誤検知が生じることがある。
外乱光の影響を抑えて検知性能を向上するために、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を利用した人体検知センサが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。撮像素子を利用した人体検知センサであれば、例えば、画素毎の受光量の分布情報等を活用して外乱光の影響を排除でき、検知性能を向上できる可能性がある。
しかしながら、前記従来の撮像素子を利用した人体検知センサでは、次のような問題がある。すなわち、撮像素子を利用すれば誤検知を抑制できる可能性がある一方、PSD等のシンプルな受光素子に比べて消費電力が大きい撮像素子を採用した人体検知センサでは、消費電力が大きくなり省エネルギー効果が損なわれてしまうおそれがある。
特開2005−207012号公報
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、CCDやCMOSなどの撮像素子を採用することで検知性能の向上を実現すると共に、消費電力の上昇を抑えて良好な省エネルギー性能を実現した人体検知センサ、及び自動水栓を提供しようとするものである。
本発明の第1の態様は、1次元あるいは2次元的に画素が配列された撮像素子を含む撮像部と、該撮像部に対して所定方向にオフセットして配設された発光部を備え、発光部が投射した光に応じて生じた反射光を撮像部で受光して被検知対象を検知する人体検知センサであって、
前記発光部による発光動作、及び前記撮像部による受光動作を制御する撮像制御手段と、
前記受光動作に応じて前記撮像素子の各画素の受光量を読み出す読出手段と、
前記反射光を受光した前記撮像素子の特定の画素の受光量の時間的な変化量が所定の閾値以上であるか否かを判定する第1の判定手段と、
該第1の判定手段が肯定的に判定したときに、前記撮像素子における各画素の配列領域である受光エリア内の前記反射光の入射位置を特定し、該入射位置に応じて被検知対象の有無を判定する第2の判定手段と、
該第2の判定手段が被検知対象が有ると判定したときに検知信号を出力する検知出力手段と、を備えた人体検知センサにある。
本発明の第2の態様は、底部に排水口を設けた鉢の内部に吐水する水栓と、
前記第1の態様の人体検知センサと、
該人体検知センサの検知信号に応じて、前記水栓の吐止水の切替、あるいは吐水量の調整を実行する給水制御手段と、を備え、
前記人体検知センサが備える撮像部の撮像範囲には、前記鉢の内周面が含まれている自動水栓にある。
本発明の第1の態様の人体検知センサは、2種類の判定手段を備えている。第1の判定手段は、前記特定の画素の受光量の時間的な変化を判定する手段である。第2の判定手段は、前記撮像素子に対する反射光の入射位置に基づいて被検知対象の有無を判定する手段である。この人体検知センサでは、前記第2の判定手段による判定が常に実行される訳ではない。前記第1の判定手段により前記時間的な変化量が所定の閾値以上であると判定された場合に限って、前記第2の判定手段による判定が実行される。
反射光の入射位置を特定する処理を含む前記第2の判定手段の実行回数を低減できれば、前記人体検知センサの計算負荷を低減できると共に、判定に必要な受光動作を省略できる。このように計算負荷や受光動作の実行回数を低減できれば、前記人体検知センサの消費電力を効率良く抑制できる。特に、洗面台やキッチン等の自動水栓に前記人体検知センサが適用されたような場合には、手かざし操作等が行われない無操作期間の大半において前記第1の判定手段による判定のみを実行すれば良くなり、消費電力を劇的に削減できる。
一方、洗面台への適用時には、鉢面による鏡面反射光が前記撮像素子に入射することがある。特に、本発明の第2の態様の自動水栓では、前記撮像素子によって撮像される撮像範囲の少なくとも一部に前記鉢面が包含されている。そのため、前記撮像範囲に手の平や手の甲などの被検知対象が存在していないときには、前記鉢面による鏡面反射光が遮られずに前記撮像素子に入射する可能性が高い。
このような鏡面反射光の入射中では、前記第2の判定手段の誤判定が誘発されるおそれがある一方、各画素の受光量の時間的変化が小さくなるので前記第1の判定手段により否定的な判定がなされる可能性が高くなる。前記第1の判定手段による否定的な判定がなされれば前記第2の判定手段の実行を未然に回避でき、該第2の判定手段の誤判定に起因して誘発される誤検知を回避できる。
一方、前記撮像範囲に手の平や手の甲などの被検知対象が存在している状態であれば、鏡面反射光などの外乱光が遮られて前記撮像素子に入射する可能性が低くなる。このような状況であれば、前記第2の判定手段による判定精度が高く確保され、前記人体検知センサによる高精度な検知が実現され得る。
以上のように、本発明の人体検知センサ、及びこの人体検知センサを備えた自動水栓は、検知性能と省エネルギー性能とが両立された優れた特性を備えている。
本発明における第1の判定手段による判定対象となる前記特定の画素は、いずれか1画素であっても良く、いずれか1箇所の範囲に属する複数の画素であっても良く、相互に離れた複数の画素であっても良く、相互に離れた複数の箇所に属する画素であっても良く、前記撮像素子の全画素であっても良い。さらに、前記特定の画素が複数の場合であれば、各画素の受光量の総和の変化について閾値処理を施しても良く、各画素の受光量の変化について個別に閾値処理を施し、閾値を超えた画素の個数をもって受光量の時間的な変化の有無を判定することも良い。
また、前記反射光の入射位置は、前記受光エリアに入射した反射光の重心位置であっても良く、受光量が最大となる画素の位置や、周辺画素の受光量の総和が最大となる位置等であっても良い。さらに、重心位置であれば、数学的に厳密に計算される重心位置であっても良いし、必要とされる精度を確保しつつ簡易的に計算できる重心位置であっても良い。
また、前記第2の判定手段が前記入射位置に応じて被検知対象の有無を判定する方法としては、例えば、三角測量の原理を利用して前記入射位置に対応する距離を計算し、検知の対象となる検知距離に計算した距離が適合しているか否かに応じて判定する方法や、検知距離に対応する検知エリアを前記受光エリア内に設定しておき、前記入射位置がその検知エリアに属しているか否かに応じて判定する方法等がある。
また、前記自動水栓における吐水量の調整としては、吐水開始や、吐水停止や、吐水量の増減等の調整がある。
また、前記第2の判定手段は、前記発光部が光を投射したときの受光量と、前記発光部による光の投射が無いときの受光量と、の差分の受光量を画素毎に求め、各画素の差分の受光量について前記入射位置を特定することが好ましい。
周囲光に加えて前記発光部による投射光有りの受光量から、周囲光のみの受光量を差し引けば、周囲光の影響を抑圧でき投射光に応じた反射光の成分を精度良く抽出できる。このように投射光に応じた反射光の成分が精度良く抽出された前記差分の受光量に基づけば、前記入射位置を高精度に特定でき検知精度を向上できる。
また、前記第2の判定手段は、前記発光部が光を投射したときの前記撮像素子の各画素の受光量として、前記第1の判定手段による判定のために実行された前記受光動作に応じて読み出された各画素の受光量を利用することが好ましい。
この場合には、前記撮像部による受光動作の実行回数等を低減でき、効果的に消費電力を低減できる。
また、前記第2の判定手段は、前記撮像素子において前記所定方向に配列された各画素の受光量の総和である総受光量を算出すると共に、
前記所定方向のいずれか一方の端に位置する画素を起点とし、他方の端に向けて各画素の受光量を順番に積算した積算受光量が、前記総受光量の半分に達したときの画素の位置を前記入射位置として特定することが好ましい。
このような入射位置は、前記反射光の重心位置として近似され得る位置である。一般に、反射光の重心位置を厳密に算出しようとすると、各画素の受光量と(重心位置からの)距離との乗算演算等が必要になり、計算処理の負担が過大となるおそれがある。一方、上記のような簡易的な計算方法によれば、重心位置として算出される前記入射位置の位置精度を確保しつつ計算負荷を著しく低減できる。
実施例における、自動水栓を備えた洗面台を示す斜視断面図。 実施例における、センサユニットの断面構造を示す断面図(図1中のA−A線矢視断面図)。 実施例における、ラインセンサを示す斜視図。 実施例における、人体検知センサのシステム構成を示すブロック図。 実施例における、検知処理の流れを示すフロー図。 実施例における、簡易判定処理の流れを示すフロー図。 実施例における、詳細判定処理の流れを示すフロー図。 実施例における、差分データの生成手順を示す説明図。 実施例における、重心位置の計算方法を説明する説明図。 実施例における、検知原理を説明する説明図。
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例)
本例は、洗面台15の水栓(自動水栓)16に人体検知センサ1を適用した例である。この内容について、図1〜図10を参照して説明する。
本例の洗面台15は、図1のごとく、凹状に窪むボウル部151を設けたカウンタ155と、吐水口168を有する水栓16と、を備えている。水栓16は、カウンタ155の上面をなすカウンタトップ156に立設されている。ボウル部151は、その最深部に排水口152を備えている。
水栓16は、カウンタトップ156に対する台座をなす基部161と、基部161から延設された略円柱状の胴部160と、を有している。胴部160は、ボウル部151側に向けて傾けた状態で基部161に支持されている。ボウル部151側に当たる胴部160の側面には、先端に吐水口168が開口する略円筒形の吐水部162が取り付けられている。この吐水部162の上側に当たる胴部160の側面には、人体検知センサ1の検知面を形成するフィルタ板165が配設されている。フィルタ板165は、赤外領域の光を選択的に透過する樹脂製フィルタである。
本例の人体検知センサ1は、図1及び図2のごとく、水栓16に組み込まれたセンサユニット2と、センサユニット2を制御する制御ユニット3と、により構成されている。洗面台15では、この人体検知センサ1と、給水配管12に設けられた吐水弁(電磁弁)であるソレノイド(給水制御手段)11と、の組合せにより自動給水装置が形成されている。
センサユニット2は、図1及び図2のごとく、LED素子251及びラインセンサ(撮像素子)261を筐体21に収容したユニットであり、制御ユニット3から電力供給を受けて動作する。センサユニット2では、水栓16のフィルタ板165を見込むように発光部25及び撮像部26が配設されている。赤外光を発光する発光部25は、LED素子251と投光レンズ255とにより構成されている。撮像部26は、ラインセンサ261と集光レンズ265とにより構成されている。発光部25と撮像部26とは、遮光性を備えた隔壁211を挟んで水平方向に所定のオフセット量ずれて配置されている。
LED素子251は、図2のごとく、パッケージ基板のキャビティに実装されたLEDチップ250を透明樹脂254により封止した発光素子である。発光部25では、縦方向のスリット孔253を設けた遮光性の素子ケース252によってLED素子251が覆われている。この発光部25によれば、拡がり角が抑制されたシャープな光を被検知対象に向けて投射可能である。
ラインセンサ261は、図1〜図3のごとく、受光量を電気的な物理量に変換する画素260が直線的に配列された1次元の撮像センサである。ラインセンサ261は、有効画素として64個の画素260を備えている。ラインセンサ261では、これら64個の画素260により受光エリア263が形成されている。本例では、ボウル部151の鉢面150を見込むようにラインセンサ261が配設されている。ラインセンサ261の見込み方向に手などの遮蔽物がない状態であれば、その撮像範囲に鉢面150が包含されることになる。
ラインセンサ261は、受光動作を実行する毎に撮像データを出力する。本例の撮像データは、受光量に応じた256階調の画素値が各画素260の並び順に配列された1次元のデジタルデータである。なお、本例のラインセンサ261は、図示しない電子シャッターを備えている。電子シャッターを用いて露光時間を調整すれば、各画素260の受光量の飽和を未然に回避可能である。
制御ユニット3は、図1及び図4のごとく、センサユニット2及びソレノイド11を制御するユニットであり、商用電源から電力の供給を受けて動作する。この制御ユニット3は、センサユニット2及びソレノイド11を制御する制御基板30を備えている。制御基板30には、ラインセンサ261及びLED素子251を制御する撮像制御部31と、検知処理を実行する検知処理部32と、ソレノイド11を制御する給水制御部33と、が設けられている。
撮像制御部31は、LED素子251及びラインセンサ261を制御する撮像制御手段311、ラインセンサ261から撮像データを読み出す読出手段312としての機能を備えている。
撮像制御手段311は、動作期間と非動作期間が交互に現れる間欠動作が行われるようにラインセンサ261を制御する。撮像制御手段311は、前回の動作期間が終了してから所定のインターバル時間(本例では、0.3〜0.5秒程度。)が経過するまでラインセンサ261への電源供給を停止して非動作期間を設定し、インターバル時間が経過したときに電源供給を再開して動作期間を設定する。
検知処理部32は、検知処理の実行手段である第1及び第2の判定手段321・322、検知に応じて検知信号を出力する検知出力手段325としての機能を備えている。以下の説明では、検知処理部32による検知処理の大まかな流れについて図5を参照して説明した後、第1及び第2の判定手段321・322による簡易判定処理(図6)、詳細判定処理(図7)の内容について説明する。
図5の検知処理では、まず、第1の判定手段321による簡易判定が実行される(S101)。簡易判定により肯定的な判定がなされた場合には(S102:YES)、第2の判定手段による詳細判定が実行される(S103)。詳細判定においても肯定的な判定がなされたとき(S104:YES)、検知と判定され(S105)、検知信号が出力される。
一方、ステップS101の簡易判定、あるいはステップS103の詳細判定において否定的な判定がなされた場合には(S102:NO、S104:NO)、動作期間が終了されて非動作期間に移行し、次回の動作期間が待機される。特に、ステップS101の簡易判定で否定的な判定がなされた場合には(S102:NO)、ステップS103の詳細判定が実行されることなく、そのまま動作期間が終了される。
第1の判定手段321は、図5中のステップS101の簡易判定の実行手段である。第1の判定手段321による簡易判定処理の流れは、図6のフロー図に示す通りである。簡易判定処理では、まず、LED光(LED素子251の投射光)の下での撮像データである発光時データL(x)が取り込まれる(S201)。ここで、xは、0〜63の画素番号を示し、L(x)は、画像番号xの画素260の画素値(受光量)を表している。
この発光時データL(x)について、全画素(特定の画素)260の画素値の総和S0が求められる(S202)。また、前回の動作期間の簡易判定処理のステップS202で算出された画素値の総和S1(前回値)が読み出される(S203)。そして、|S0−S1|(S0とS1との差分の絶対値)と、閾値Xとの比較が行われ(S204)、|S0−S1|>Xであれば(S204:YES)、簡易判定で肯定的な判定がなされる(S205)。
一方、|S0−S1|≦Xであれば(S204:NO)、ステップS202で算出された総和S0が前回値S1として保存されたうえ(S215)、簡易判定で否定的な判定がなされる(S216)。上記のごとく、簡易判定で否定的な判定がなされた場合には、動作期間が終了されて非動作期間に移行し、次回の動作期間での発光時データL(x)の取込が待機される。
第2の判定手段322は、図5中のステップS103の詳細判定の実行手段である。第2の判定手段322による詳細判定処理の流れについて、図8〜図10を適宜、参照しながら図7のフロー図に沿って説明する。図5を参照して上記したごとく、詳細判定処理は、上記の簡易判定により肯定的な判定がなされたことが開始条件となっている。
詳細判定処理では、まず、発光部25の無発光下の撮像データである無発光時データC(x)が取り込まれる(S301)。そして、簡易判定処理のステップS201(図6)で取り込まれた発光時データL(x)から無発光時データC(x)を差し引くことで、差分データD(x)が計算される(S302)。周囲光に加えてLED光有りの発光時データL(x)から、周囲光のみの無発光時データC(x)を、差し引いた差分データD(x)では、図8のごとく、周囲光の影響が抑圧され、LED光に応じた反射光の成分が抽出されている。
続くステップS303では、上記の差分データD(x)について、重心位置(入射位置)が計算される。ここで、本例では、計算負荷の軽減のため、簡易的な計算方法により重心位置を算出している。この計算方法について、横軸に画素番号x、縦軸に画素値(受光量)D(x)が規定された図9を参照して説明する。
本例の計算方法では、まず、差分データD(x)を積算し、64画素の画素値の総和SDを求めている。この総和SDは、図9中の右上がりの斜線ハッチングで示す領域の面積に相当している。重心位置は、受光エリア263の左端の画素番号ゼロの画素から順番に各画素260の画素値を積算していき、その積算値がSD/2に達したときの画素番号Nの画素(黒丸で図示)の位置として計算される。ここで、積算値SD/2は、右下がりの斜線ハッチングで示す領域の面積に相当している。この領域は、前記総和SDの領域に包含されており、同図において、クロスハッチの領域として把握される。
続くステップS304では、上記のように計算された重心位置について、受光エリア263内の検知エリア(図9参照。)に位置しているか否かが判定される。本例では、センサユニット2による三角測量の原理を根拠として、次に説明するように上記の検知エリアが設定されている。
本例の洗面台15におけるセンサユニット2、ボウル部151の鉢面150、使用者の手の位置関係は、図10のごとく模式的に表現できる。LED光のうち被検知対象である手による反射光の成分がラインセンサ261に入射する際、被検知対象までの距離Hに応じてその入射位置が異なってくる。距離Hが短いほど、ラインセンサ261に対する入射位置が同図中、左側となり、距離Hが長くなるほど右側に位置することになる。ラインセンサ261に対する反射光の入射位置に基づけば、被検知対象の距離を計測することも可能である。上記のステップS304の検知エリアは、検知の対象となる検知距離に対応するように受光エリア263内に設定されたエリアである。ステップS304のごとく重心位置が検知エリア内であるか否かの判定によれば、図10の検知距離内に差し入れられた手などの被検知対象の有無を判定可能である。
ステップS304において重心位置が検知エリアに位置し、図10の検知距離に被検知対象が有ると判定されると(S304:YES)、肯定的な判定がなされ(S305)、図5中のステップS105のごとく検知信号が出力される。一方、重心位置が検知エリア外と判定された場合には(S304:NO)、非検知となって非動作期間に移行し、次回の動作期間が待機される(S315)。
以上のように本例の人体検知センサ1では、簡易判定と詳細判定という2段階の判定を経由して検知を実現している。この人体検知センサ1による検知処理では、比較的計算負荷の高い詳細判定処理(図7)を毎回実行する必要がなく、簡易判定により肯定的な判定がなされた場合に限って実行すれば良い。人体検知センサ1の大半の動作期間では、簡易判定のみが行われ、実際に手かざし操作がなされた場合等に限って詳細判定が実行されるようになる。これにより、計算負荷及び受光動作の実行回数が著しく低減され、消費電力が劇的に低減される。
この人体検知センサ1に対して、鉢面150による鏡面反射光が作用したような場合、鏡面反射光の重心位置に基づく詳細判定では従来のセンサと同様、誤判定が生じる可能性がある。一方、鏡面反射光の入射中には各画素260の受光量の時間的変化が小さくなるので、簡易判定であれば否定的な判定を導出できる可能性が高い。簡易判定で否定的な判定結果を得られれば、鏡面反射光に対する詳細判定の実行を未然に回避できる。これにより、本例の人体検知センサ1では、鏡面反射光の発生→詳細判定による誤判定→誤検知→水栓の誤作動という悪循環が未然に回避され、検知性能が向上されている。
このように本例の人体検知センサ1は、検知性能と省エネルギー性能とが両立された優れた特性を備えたセンサである。そして、この人体検知センサ1を備えた自動水栓16は、誤作動が少なく省エネルギー性能が高い優れた製品となっている。
さらに、本例の人体検知センサ1では、簡易判定処理と詳細判定処理との間で発光時データL(x)が共用されている。これにより、ラインセンサ261の受光動作の実行回数がさらに低減されている。
なお、本例では、簡易判定で肯定的な判定がなされたとき、詳細判定処理を1回のみ実行している。これに代えて、詳細判定処理を連続的に複数回実行することも良い。この場合には、各回の詳細判定の判定基準を厳しく設定して誤検知を抑制しつつ、その厳しい判定基準による詳細判定を複数回実行することで検知漏れを抑制することが好ましい。
なお、ラインセンサ261の各画素260に感度のばらつきがある場合には、各画素260の画素値を補正してから検知処理を実行することも良い。
なお、本例は、受光動作中の露光時間の長さを制御するために電子シャッターを採用している。電子シャッターは必須ではなく省略することもできるが、電子シャッターに代えて、ラインセンサ261に対する光の入射を物理的に遮断する機械式シャッターを採用しても良い。
本例では、簡易的な計算により重心位置を算出したが、計算処理能力に余裕があれば数学的に厳密に重心位置を算出しても良い。
なお、本例は、洗面台15に人体検知センサ1を適用した例であるが、キッチンの水栓であっても良い。さらに、自動洗浄機能付きの小用便器の自動給水装置のセンサとして、本例の人体検知センサ1を適用することも可能である。さらには、手かざし操作や人体に反応して自動点灯する照明や自動扉等、各種の自動装置に対して、本例の人体検知センサ1を適用することもできる。
なお、本例では、センサユニット2と制御ユニット3とを別体で構成している。これに代えて、センサユニット2と制御ユニット3とを一体的に構成し、水栓16に収容することも良い。
また、本例の人体検知センサ1は、給水制御部33を含んでいるが、給水制御部33を別体で構成することもできる。
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
1…人体検知センサ、15…洗面台、16…水栓(自動水栓)、11…ソレノイド、12…給水配管、2…センサユニット、25…発光部、251…LED素子、26…撮像部、260…画素、261…ラインセンサ(撮像素子)、263…受光エリア、3…制御ユニット、30…制御基板、31…撮像制御部、311…撮像制御手段、312…読出手段、32…検知処理部、321…第1の判定手段、322…第2の判定手段、325…検知出力手段、33…給水制御部

Claims (5)

  1. 1次元あるいは2次元的に画素が配列された撮像素子を含む撮像部と、該撮像部に対して所定方向にオフセットして配設された発光部を備え、発光部が投射した光に応じて生じた反射光を撮像部で受光して被検知対象を検知する人体検知センサであって、
    前記発光部による発光動作、及び前記撮像部による受光動作を制御する撮像制御手段と、
    前記受光動作に応じて前記撮像素子の各画素の受光量を読み出す読出手段と、
    前記反射光を受光した前記撮像素子の特定の画素の受光量の時間的な変化量が所定の閾値以上であるか否かを判定する第1の判定手段と、
    該第1の判定手段が肯定的に判定したときに、前記撮像素子における各画素の配列領域である受光エリア内の前記反射光の入射位置を特定し、該入射位置に応じて被検知対象の有無を判定する第2の判定手段と、
    該第2の判定手段が被検知対象が有ると判定したときに検知信号を出力する検知出力手段と、を備えた人体検知センサ。
  2. 請求項1において、前記第2の判定手段は、前記発光部が光を投射したときの受光量と、前記発光部による光の投射が無いときの受光量と、の差分の受光量を画素毎に求め、各画素の差分の受光量について前記入射位置を特定する人体検知センサ。
  3. 請求項2において、前記第2の判定手段は、前記発光部が光を投射したときの前記撮像素子の各画素の受光量として、前記第1の判定手段による判定のために実行された前記受光動作に応じて読み出された各画素の受光量を利用する人体検知センサ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、前記第2の判定手段は、前記撮像素子において前記所定方向に配列された各画素の受光量の総和である総受光量を算出すると共に、
    前記所定方向のいずれか一方の端に位置する画素を起点とし、他方の端に向けて各画素の受光量を順番に積算した積算受光量が、前記総受光量の半分に達したときの画素の位置を前記入射位置として特定する人体検知センサ。
  5. 底部に排水口を設けた鉢の内部に吐水する水栓と、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載された人体検知センサと、
    該人体検知センサの検知信号に応じて、前記水栓の吐止水の切替、あるいは吐水量の調整を実行する給水制御手段と、を備え、
    前記人体検知センサが備える撮像部の撮像範囲には、前記鉢の内周面が含まれている自動水栓。
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