JP5722099B2 - 蓄冷剤用ラック - Google Patents
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Description
このものは、シート状の蓄冷剤を二つ折りして吊り下げて支持する側面方形状をなす複数の支持枠を所定間隔を開けて並設したラックを備え、このラックが凍結庫内において複数段に亘って装着された構造であって、シート状の蓄冷剤を下向きに二つ折りした状態で前方から挿入しつつ、折曲部分を支持枠の上枠に掛けて吊り下げ支持し、庫内に冷気を供給することで蓄冷剤を凍結するようになっている。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、蓄冷剤を支持する作業を容易に行えるようにしたラックを提供するところにある。
二つ折りした蓄冷剤を上下のラックの間から挿入して下側のラックの支持枠に掛けるに当たり、同蓄冷剤の挿入部分が手前側に広がるように口を開けた形態となるから、蓄冷剤を挿入しひいては支持枠に掛ける作業がしやすくなる。
(1)前記支持枠が、前記蓄冷剤を吊り下げる水平枠と、同水平枠の奥端から垂下された後枠と、前記水平枠の前端から垂下されたのち奥側に屈曲された前枠とから構成されており、この支持枠が並設されてそれぞれの下端側が本体枠に連結されることで当該ラックが形成されている。
ラックが複数段に装着された場合、下側のラックの支持枠における水平枠の前端部の上方に、上側のラックの前枠の屈曲部との間において手前側に広がったスペースができる。二つ折りされた蓄冷剤は、対応するラックの支持枠の水平枠に対して広いスペースを通して挿入されて掛けられる。支持枠に掛ける作業がしやすいことに加えて、蓄冷剤を実際に掛ける水平枠の長さは大きく取れるから、蓄冷剤をより安定して吊り下げることができる。
蓄冷剤は、ゲル化剤が樹脂シート内に充填されたものであって、凍結されるとゲル化剤が体積膨張して厚さが増した硬いものとなる。そのため、蓄冷剤が、支持枠の前枠よりも奥側で吊り下げられた状態で凍結されると、蓄冷剤の両側に振り分けられた部分の対向面が互いに接近する方向に張り出した状態となり、そうすると、蓄冷剤を水平枠に沿って引き出す場合に、蓄冷剤が前枠に引っ掛かるおそれがある。
それに対して本構成では、規制バーに当たることで蓄冷剤の両側に振り分けられた部分の対向面が互いに接近する方向に張り出すことが規制され、言い換えると、両側に振り分けられた部分が前枠に対して正面から視た左右両側に外れた位置に留められ、凍結した蓄冷剤は、規制バーに沿うようにして前枠に引っ掛かることなくスムーズに引き出される。
本発明の実施形態1を図1ないし図17によって説明する。
本実施形態に係る蓄冷剤凍結庫10は、図1及び図2に示すように、前面開口の縦長の断熱箱体からなる凍結庫本体11を有し、内部が凍結室12とされて、底面の四隅に設けられた脚13で支持されている。凍結室12の前面開口部14には、断熱扉15が一方の縦縁(例えば右側縁)を中心とした揺動開閉可能に装着されている。
凍結庫本体11の上面には機械室16が設けられ、同機械室16内には、圧縮機18、空冷式の凝縮器19等からなる冷凍装置17等が装備されている。
そして、冷凍装置17を運転しつつ庫内ファン26を駆動すると、詳しくは後記するように、凍結室12の庫内空気が吸込口22から冷却器室21内に吸引され、その空気が冷却器25を流通する間に熱交換によって冷気が生成され、その冷気が吹出口23から凍結室12の奥壁12Aに沿うようにして吹き出され、凍結室12内に冷気が循環供給されるようになっている。
この実施形態では基本的には、2種類のシート状の蓄冷剤A,Bが適用されるようになっている。第1の蓄冷剤Aは、樹脂シート内にゲル化剤が充填された短冊状をなす蓄冷部材aが4枚連ねられた形状であって、二つ折り可能とされている。以下、第1の蓄冷剤Aをマット状蓄冷剤Aという。
第2の蓄冷剤Bは、同じく樹脂シート内にゲル化剤が充填されて単体の短冊状に形成されている。以下、第2の蓄冷剤Bを短冊状蓄冷剤Bという。この実施形態の短冊状蓄冷剤Bは、上記マット状蓄冷剤Aを構成する蓄冷部材aと比べて、長さと厚さが同じである反面、幅が半分強に留まっている。
一方、短冊状蓄冷剤Bは、第2のラック50に対して立て掛けられて支持されるようになっている。以下、第2のラック50をスタンドラック50という。
これらのラック40,50を凍結室12内に装着する手段として、凍結室12の奥壁12Aの左右両端部と、左右の側壁12Bにおける前面開口部14から所定寸法入った位置に、合計4本の棚柱30が立てられており、各棚柱30における同じ高さ位置に棚受金32が装着されて、それらのラック40,50が支持されるようになっている。
この実施形態では、凍結室12内における上側の略3/4の領域に、ハンガーラック40が3段に亘って装着され、残りの下側の領域に、スタンドラック50が2段に亘って装着されている。なお下側のスタンドラック50は、凍結室12の底面上に直に載せられている。
ハンガーラック40は、図3ないし図7に示すように、共に鋼線等の金属線材を素材として形成された本体枠41と、マット状蓄冷剤Aを二つ折りして吊り下げて支持する複数個(図示8個)の支持枠45とから構成されている。
本体枠41は、前縁と左右の側縁とからなる平面門形をなす三方枠42と、後縁枠44とから構成され、三方枠42の左右の側縁の奥端部では、内向きの鈎形に屈曲された被掛止部43が形成されている。後縁枠44は、上記した三方枠42における左右の被掛止部43の折り返し部43Aの間に亘る長さを有し、両端には、折り返し部43Aより所定寸法短い屈曲部44Aが直角曲げされている。三方枠42の両被掛止部43の間には、折り返し部43Aと屈曲部44Aの先端同士を揃えた形態で後縁枠44が差し渡され、溶接により結合されることで本体枠41が形成されている。
本体枠41は、凍結室12の間口にほぼ匹敵する横幅と、同凍結室12の奥行よりも所定寸法小さい奥行寸法を有する平面方形状に形成され、かつ、左右両側縁の奥端に形成された被掛止部43が、後縁枠44よりも所定寸法後方に突出した形状となっている。
上記した支持枠45は、隣り合う2個の前枠47の下端同士と、後枠48の下端同士がそれぞれ連結枠45Aで連結されることにより、所定間隔を開けて一体的に形成されている。
以上により、本体枠41の上面における左右の側縁の少し内側の領域において、図示8個の支持枠45が一定間隔を開けて左右方向に並んで設けられ、かつ、各支持枠45における手前側の一部、すなわち手前側の端縁から前枠47の傾斜部47Bの下端までの奥行領域が、本体枠41の前縁の手前側に突出した形状となる。
また、各支持枠45における後枠48の内側の面には、同じく金属線材からなる規制枠49が、ほぼ中央高さ位置において全幅に亘って当てられ、溶接により固定されている。
スタンドラック50は大まかには、それぞれ鋼線等の金属線材を素材として形成された本体枠51と、複数の支持枠55(図示15個)と、受け枠62とから構成されている。
本体枠51は、前縁と左右の側縁とからなる平面門形をなす三方枠52と、後縁枠54とから構成されている。三方枠52の左右の側縁の奥端部では、内向きの鈎形に屈曲された被掛止部53が形成され、かつ同被掛止部53の折り返し部53Aの先端部が、互いに対向する方向に直角曲げされている(屈曲部53B)。後縁枠54は、本体枠51の左右の側縁の間に亘る長さを有している。後縁枠54は、左右の被掛止部53における屈曲部53Bの内側に当てられた形態で、本体枠51における左右の側縁の奥端部の間に差し渡され、溶接により結合されることで本体枠51が形成されている。
本体枠51は、凍結室12の間口にほぼ匹敵する横幅と、同凍結室12の奥行よりも所定寸法小さい奥行寸法を有する平面方形状に形成され、かつ、左右両側縁の奥端に形成された被掛止部53が、後縁枠54よりも所定寸法後方に突出した形状となっている。
上記の支持枠55は、一定間隔を開けて左右方向に並んで配されるが、各支持枠55の水平枠56の後端を連結する連結枠59が設けられている。連結枠59は、本体枠51の左右の側縁の間に亘る長さを有する一方、両端にはL字形をなす脚枠60が互いに向き合う姿勢で形成されている。
ここで、支持枠55における水平枠56の前後方向の長さ寸法は、短冊状蓄冷剤Bの長さの2倍弱であり、水平枠56までの高さ寸法は、短冊状蓄冷剤Bの幅よりも少し小さい寸法である。また、前側の2本の受け枠62の間隔は、短冊状蓄冷剤Bの長さの6割程度であり、後側の2本の受け枠62の間隔は、前側の間隔の2/3程度である。
凍結室12内には、上部側にハンガーラック40が3段に亘り、その下方にスタンドラック50が2段に亘って装着される。
ハンガーラック40は、図15に示すように、奥縁の左右両端部に設けられた被掛止部43が、奥壁12Aの左右の棚柱30に取り付けられた棚受金32に載せられて掛止片35に掛止され、また、本体枠51における前縁の左右の隅部が、左右の側壁12Bの棚柱30に取り付けられた棚受金32に載せられて掛止片35に掛止され、これによりハンガーラック40は前後並びに左右方向に移動不能に位置決めされて装着される。ハンガーラック40は、3段に亘って極力上下方向の間隔を詰めた状態で装着される。
また、ハンガーラック40の支持枠45における前枠47(垂下部47A)と、閉扉された場合の断熱扉15の裏面との間には、所定(棚柱30の幅程度)のスペースが確保されるとともに、支持枠45の後枠48と奥壁12Aとの間にも、前側と同程度のスペースが確保される。
このとき、スタンドラック50の支持枠55における前枠57と、閉扉された場合の断熱扉15の裏面との間には、ハンガーラック40側と同程度のスペースが確保されるとともに、奥縁の連結枠59と奥壁12Aとの間にも、同程度のスペースが確保される。
マット状蓄冷剤Aは下向きに二つ折りされたのち、図17の矢線に示すように、その折曲部をハンガーラック40における対応する支持枠45の水平枠46の前端部に掛け、同水平枠46に沿って押し込むと、規制枠49に当たったところで押し込みが停止される。これにより二つ折りされたマット状蓄冷剤Aが、支持枠45の奥側の領域において吊り下げられた形態で支持される。
支持枠45の手前側の領域にマット状蓄冷剤Aを支持する場合は、同様に下向きに二つ折りしたのち、同折曲部を対応する支持枠45における水平枠46に掛け、その後縁側を奥側の領域で支持されているマット状蓄冷剤Aの前縁側とオーバラップさせつつ、その前縁が支持枠45の前枠47(垂下部47A)と揃う位置まで押し込むことにより、支持枠45の手前側の領域で吊り下げられた形態で支持される(同図の上段参照)。
一方、手前側に支持されたマット状蓄冷剤Aは、その前縁を支持枠45の前枠47の垂下部47Aに揃えた形態で吊り下げ支持されているから、手前側のマット状蓄冷剤Aの前縁と閉扉された断熱扉15の裏面との間にも、所定間隔の冷気通路66が確保されることになる。
手前側の領域に支持する場合は、短冊状蓄冷剤Bが上記と同じ姿勢において、隣り合う支持枠55の間に挿入され、その後縁側を奥側の領域で支持されている短冊状蓄冷剤Bの前縁側とオーバラップさせつつ、その前縁が支持枠55の前枠57と揃う位置まで押し込まれることにより、同短冊状蓄冷剤Bは、前側の2本の受け枠62並びに本体枠51の前縁で受けられつつ、隣り合う支持枠55における凹陥部58よりも手前側の部分の間に立て掛けられた形態で支持される。
このとき、スタンドラック50の奥側の領域に支持された短冊状蓄冷剤Bの後縁と奥壁12Aとの間、並びに手前側の領域に支持された短冊状蓄冷剤Bの前縁と、閉扉された断熱扉15の裏面との間に、上記の冷気通路65,66に繋がる冷気通路が確保される。
収納された蓄冷剤群の前面側と後面側に冷気通路65,66が確保されているから、冷気が凍結室12内の全域に亘ってスムーズに循環供給され、全蓄冷剤A,Bが均一にかつ高速度で凍結される。
凍結が完了したら、断熱扉15を開けたのち、収納時とは逆の手順によって、蓄冷剤A,Bを対応するラック40,50から引き抜きつつ庫外に取り出せばよい。
上記した挿入をしやすくするためのスペースSを構成するのに、前枠47に傾斜部47Bを設けることで対応し、マット状蓄冷剤Aを実際に掛ける水平枠46の長さは大きく取るようにしたから、マット状蓄冷剤Aをより安定して吊り下げ支持することができる。
図18は、本発明の実施形態2を示す。実施形態2のハンガーラック40Wでは、支持枠45における前枠47の下端部が円弧状部47Cとされている。
上下に並んだハンガーラック40Wのうち下側のハンガーラック40Wの支持枠45における水平枠46の前端部の上方には、上側のハンガーラック40Wの前枠47の円弧状部47Cとの間において手前側に広がったスペースSが構成される。同様に、二つ折りしたマット状蓄冷剤Aを挿入しひいては支持枠45の水平枠46に掛ける作業がしやすくなる。
図19は、本発明の実施形態3を示す。実施形態3のハンガーラック40Xでは、支持枠45における前枠47の上端と水平枠46の前端とが交差する角部が、面取りを施すように傾斜部47Dとなっている。同じく支持枠45における水平枠46の前方に手前側に広がったスペースSが構成される。
なお、傾斜部47Dは、上記よりも緩やか勾配で奥行の長い形状としてもよく、また円弧状部としてもよい。
本発明の実施形態4を、図20及び図21によって説明する。
蓄冷剤は凍結されるとゲル化剤が体積膨張して厚さが増した硬いものとなる。そのため、上記実施形態1に例示したように、マット状蓄冷剤Aがハンガーラック40の支持枠45の水平枠46に吊り下げられて凍結された場合、特に奥側に支持されたマット状蓄冷剤Aでは、両側に振り分けられた部分の対向面が互いに接近する方向に張り出した状態となり、そうすると、その奥側のマット状蓄冷剤Aを水平枠46に沿って引き出す場合に、同マット状蓄冷剤Aが支持枠45の前枠47に引っ掛かるおそれがある。
この実施形態4のハンガーラック40Yでは、支持枠45における前枠47の傾斜部47Bの後枠48との間に、規制バー70が水平方向に差し渡されて溶接で固定されている。
また、マット状蓄冷剤Aにおける両側に振り分けられた部分の間に隙間が確保され、同隙間にも冷気が流通して、凍結速度が速められる。
図22及び図23は、実施形態5を示す。
マット状蓄冷剤A1の形態として、短冊状の蓄冷部材aを3個連結した三連式のものがあり、その場合は、同マット状蓄冷剤A1は、図23に示すように、一方に2個の蓄冷部材aが、他方に1個の蓄冷部材aが来るように振り分けられて吊り下げられる。
この実施形態5のハンガーラック40Zでは、上記のような支持形態を睨み、支持枠45における前枠47の垂下部47Aのほぼ中央高さ位置と、後枠48との間に、規制バー71が水平方向に差し渡されて溶接で固定されている。
なお、ハンガーラック40Zに対して、上記実施形態4に例示した規制バー70を併せて設けるようにしてもよい。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ハンガーラックの支持枠に対して、マット状蓄冷剤が奥側と手前側の二列に亘って吊り下げ支持される場合を例示したが、同マット状蓄冷剤の大きさによって三列以上に並べたり、一列のみとする場合であってもよい。
(2)ハンガーラックに支持されるシート状の蓄冷剤は、短冊状の蓄冷部材を複数個連ねたマット状蓄冷剤に限らず、1枚の大きな蓄冷剤等、要は二つ折りして吊り下げ支持可能な形態のものであればよい。
Claims (3)
- シート状の蓄冷剤を二つ折りして吊り下げて支持する方形状をなす複数の支持枠が所定間隔を開けて並設された構造であって、凍結庫内において複数段に亘って装着されるようにしたラックにおいて、
前記蓄冷剤が隣り合った上下のラックの間から挿入されて下側のラックの前記支持枠に掛けられ、
前記蓄冷剤を挿入する部分が、手前側に広がるように口を開けた形態となるように、前記上側のラックの前記支持枠における前枠の下側、若しくは前記下側のラックの前記支持枠における前枠の上側の角部に面取形状が施されていることを特徴とする蓄冷剤用ラック。 - 前記支持枠が、前記蓄冷剤を吊り下げる水平枠と、同水平枠の奥端から垂下された後枠と、前記水平枠の前端から垂下されたのち奥側に屈曲された前枠とから構成されており、この支持枠が並設されてそれぞれの下端側が本体枠に連結されることで当該ラックが形成されていることを特徴とする請求項1記載の蓄冷剤用ラック。
- 前記支持枠における前枠と後枠との間には、吊り下げられた蓄冷剤における両側に振り分けられた部分の対向面に当接して、両振り分けられた部分の対向面が互いに接近する方向に張り出すことを規制しつつ、凍結した蓄冷剤を引き出す際に前記前枠に引っ掛からないように沿わせる規制バーが渡されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の蓄冷剤用ラック。
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