JP5713230B2 - Cu−Ag合金線及びCu−Ag合金線の製造方法 - Google Patents

Cu−Ag合金線及びCu−Ag合金線の製造方法 Download PDF

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    • C22F1/08Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of copper or alloys based thereon

Description

本発明は、Cu-Ag合金線、このCu-Ag合金線からなる中心導体を有する同軸ケーブル、この同軸ケーブルを複数束ねた同軸ケーブルバンドル、及びCu-Ag合金線の製造方法に関するものである。特に、高い導電率を有していながら、強度が更に高いCu-Ag合金線に関するものである。
電子機器や医療機器などといった各種の電気・電子機器の小型化、軽量化に伴い、これら電気・電子機器に利用される電線に対して、更なる細径化が望まれている。
細径であっても、上記電線に要求される強度や疲労特性(屈曲、捻回などに対する耐性)を満たし、かつ加工性(伸線、撚り線、横巻などの加工における加工性)を向上させるために、上記電線の導体材料には、破断強度に優れることが求められる。従来、上記電線の導体には、銅線が利用されているが、銅線は、破断強度が低く、例えば、0.1mm(100μm)以下といった極細線とすると、繰り返しの屈曲や捻回による応力が加えられた場合に断線し易い。
導体材料の破断強度を向上する方法の一つとして、元素を添加して合金化することが挙げられる。例えば、特許文献1には、Agを含有するCu-Ag合金線が開示されている。
特開2001-040439号公報
一般に、銅合金は、添加元素の増加により破断強度などの強度を高められる反面、導電率が低下する。電子機器や医療機器などに利用される電線には、電気抵抗が小さいことが望まれることから、導電率が低い線材を導体に利用すると、導体断面積を大きくして電気抵抗を低下させる必要がある。この場合、小径化を達成することが難しい。従って、細径になっても、高い導電率を有しており、かつ強度がより高い線材の開発が望まれる。
そこで、本発明の目的の一つは、高い導電率を有していながら、強度が更に高いCu-Ag合金線を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記本発明のCu-Ag合金線の製造方法を提供することにある。更に、本発明の別の目的は、本発明のCu-Ag合金線からなる中心導体を有する同軸ケーブル、この同軸ケーブルを複数束ねた同軸ケーブルバンドルを提供することにある。
[Cu-Ag合金線]
本発明者らは、導電率が比較的低下し難く、強度の向上に効果がある添加元素としてAgを選択し、Cu-Ag合金線を対象として、従来のCu-Ag合金線と同等、或いは同等以上の高い導電率を有しながら、強度が更に高いCu-Ag合金線を種々検討した。その結果、Agが非常に微細な粒状で存在することによって、導電率が高く、かつ強度がより向上したCu-Ag合金線とすることができる、との知見を得た。本発明は、上記知見に基づくものである。
本発明のCu-Ag合金線は、Agを含有する銅合金からなるCu-Ag合金線に係るものである。このCu-Ag合金線は、Agを0.1質量%以上15質量%以下含有し、残部がCu及び不純物からなる。そして、該Cu-Ag合金線の断面において1000nm×1000nm以内で任意の観察視野をとったとき、この観察視野中に存在するAgの晶析出物のうち、晶析出物を切断する直線の最大長さが100nm以下である晶析出物の面積率が40%以上であることを特徴とする。
非常に微細な粒状のAgが均一的に分散して存在することによって、分散強化を図ることができ、強度をより向上することができる上に、高い導電率を有することができる。
さらに、上記Agの晶析出物には、繊維状の析出物が含まれることが挙げられる。
Agの晶析出物が、繊維状の析出物として存在することによって、繊維強化を図ることができる。本発明のCu-Ag合金は、分散強化と繊維強化との混合構造によるAgの析出強化により、強度の更なる向上を図ることができる。
上記本発明のCu-Ag合金線は、同軸ケーブルの中心導体に用いることができる。本発明の同軸ケーブルは、1本以上の素線を有する中心導体と、該中心導体の周囲を覆っている絶縁体と、該絶縁体の周囲に配置される外部導体とを具える同軸ケーブルに係るものである。上記素線が上記本発明のCu-Ag合金線であることを特徴とする。
そして、上記本発明同軸ケーブルを複数束ねて、本発明の同軸ケーブルバンドルを得ることができる。
中心導体に本発明のCu-Ag合金線を用いることによって、析出強化による強度(疲労特性)の向上を図ることができる。
[Cu-Ag合金線の製造方法]
本発明者らは、導電率が比較的低下し難く、強度の向上に効果がある添加元素としてAgを選択し、Cu-Ag合金線を対象として、従来のCu-Ag合金線と同等、或いは同等以上の高い導電率を有しながら、強度をより向上させるための手法を種々検討した。その結果、Agの含有量を特定の範囲とすると共に、製造方法を工夫することで、導電率が高く、かつ強度がより向上したCu-Ag合金線が得られる、との知見を得た。より具体的には、伸線加工を施す前において、AgをCu中に十分に固溶させた状態を形成する工程を具え、伸線加工が施されている線材に特定の熱処理を施してAgを析出することで、上記Agを固溶させる工程が無い場合と比較して、同等な導電率を有していながら、強度が更に高い線材が得られる、との知見を得た。上述した本発明のCu-Ag合金線は、本発明のCu-Ag合金線の製造方法により製造することができる。
ここで、ある量のAgを含有するCu-Ag合金では、AgがCu中に固溶されているほど導電率が低下し、Agが析出しているほど導電率が高くなる。従って、上記「AgをCu中に十分に固溶させた状態を形成する」とは、ある量のAgを含有するCu-Ag合金において、Agが析出されて導電率が高くなっている状態よりも導電率が低い状態を形成することになる。
また、Agが多く析出された状態は、伸線加工前、代表的には鋳造時(特に冷却速度が遅い場合)に形成され易い。
以上のことから、伸線加工前にAgを十分に固溶させることを提案すると共に、AgがCu中に固溶されている状態を表す指標として、導電率を利用することを提案する。
本発明は、Agを含有する銅合金からなる鋳造材に伸線加工を施して線材を製造するCu-Ag合金線の製造方法に係るものである。この製造方法では、Agの含有量をx(質量%)とするとき(但し、0.1質量%≦x≦15質量%)、上記伸線加工を施す前の素材として、当該素材の導電率C(%IACS)がC≦(-0.1786)×x+97を満たす固溶素材を形成する。また、この製造方法では、上記伸線加工が施されている線材に、加熱温度が300℃以上、保持時間が0.5時間以上の熱処理を少なくとも1回施す。上記導電率Cに関する条件式:C≦(-0.1786)×x+97の算出方法は後述する。
上記構成では、Agが十分に固溶された状態の素材を形成して、この素材を伸線加工に供し、更に伸線加工が施された線材に上記特定の熱処理を施すことで、非常に微細な粒状のAgを析出させ、これらAg粒が均一的に分散した組織とすることができる。この微粒のAgによる分散強化によって、強度の向上を図ることができる。これに加えて、伸線加工前に析出していたAgが伸線加工により繊維状に引き延ばされて、繊維強化による強度の向上を図ることができる。上述した超微粒のAgが均一的に分散して存在したり、繊維状のAgが存在したり、両者が共存したりすることによって、導電率及び強度が高いCu-Ag合金線を製造できると考えられる。
本発明Cu-Ag合金線は、高い導電率を有していながら、強度も高い。本発明Cu-Ag合金線の製造方法によれば、高導電率、高強度なCu-Ag合金線を製造することができる。
図1は、製造条件を異ならせて作製した種々のCu-Ag合金材において、Agの含有量と導電率との関係を示すグラフである。 図2は、伸線材に熱処理(析出熱処理)を施した後の線材(φ2.6mm)の顕微鏡写真(500倍)であり、図2(I)は試料No.2-3-2、図2(II)は試料No.2-4-2を示す。 図3は、伸線材に熱処理(析出熱処理)を施した後の線材(φ0.9mm)の透過型電子顕微鏡写真(150000倍)であり、図3(I)は試料No.2-3、図3(II)は試料No.2-4、図3(III)は試料No.2-110を示す。 図4は、図3の顕微鏡写真中に存在するAgの晶析出物を説明する模式図である。 図5は、本発明Cu-Ag合金線を構成する組織を説明する模式図である。 図6は、本発明の同軸ケーブルの斜視図である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
[Cu-Ag合金線]
本発明のCu-Ag合金線を構成するCu-Ag合金は、Agの含有量が0.1質量%以上15質量%以下である二元合金である(残部Cu及び不純物)。Agの含有量が0.1質量%以上の場合、Agの析出強化による強度の向上効果が得られ易く、15質量%以下の場合、Agの過剰析出に伴う導電率の低下を抑制し易い。特に、Agの含有量が1質量%以上10質量%以下であると、高強度と高導電率とをバランスよく具えることができてより好ましい。所定の組成となるように、原料を用意する。原料Cuや原料Agは純度の高いもの、例えば、フォーナインクラス(純度99.99%)以上のものを利用すると不純物が少なく、特に、細径の線材を製造するにあたり、断線に関与し得る異物を低減することができる。
Agの含有量が少ないと、Agの晶析出物のうち微粒のAgが析出され易い。ここで、微粒のAgの大きさは、「晶析出物を切断する直線の最大長さが100nm以下である」ものを言う。一方、Agの晶析出物には粗粒のAgが含まれる場合もあり、その大きさは、「晶析出物を切断する直線の最大長さが100nm超である」ものを言う。Agの含有量が多くなると、Agの晶析出物として、繊維状のAgが析出される。この繊維状のAgは、析出されたAgのうち比較的大きなAgが引き延ばされたものである。特に、Agの含有量が2質量%以上であると、この繊維状のAgは顕微鏡を用いて確認し易くなる。上記晶析出物のうち、大半が析出物であり、特に、微粒のAgと繊維状のAgとが実質的に析出物であると思われる。そして、粗粒のAgが晶出物として一部含まれると思われる。
本発明のCu-Ag合金線は、該Cu-Ag合金線の断面において1000nm×1000nm以内で任意の観察視野をとったとき、この観察視野中に存在するAgの晶析出物のうち、微粒のAgの面積率が40%以上である。観察視野中に存在するAgの晶析出物には、微粒のAg以外に粗粒のAgが存在する場合がある。繊維状のAgは観察視野の大きさに比べて十分大きいので「観察視野中に存在するAgの晶析出物」には含まれない。この観察視野の採取方法については後述する。微粒のAgが均一的に分散した組織とすることで、分散強化による強度の向上を図ることができる。粗粒のAgは、Cu-Ag合金線の特性に悪影響を及ぼすことはないが、特性向上に寄与することもないと考えられる。
更に、Agの含有量が多くなると、微粒のAgに加えて繊維状のAgが存在することで、繊維強化による強度の向上を図ることができる。上記微粒のAgが均一的に分散して存在したり、繊維状のAgが存在したり、両者が共存したりすることによって、導電率及び強度が高いCu-Ag合金線を製造できると考えられる。
粗粒のAgについては、粗粒のAgを微粒にするか、もしくは繊維状にするかによって強度の向上を図ることができると考えられる。粗粒のAgをCu-Ag合金線の特性に寄与させる方法として、以下の方法が考えられる。粗粒のAgのうち特に大きいAgは、伸線加工の際に繊維状に引き延ばされることによって、繊維強化による強度の向上を図ることができる。粗粒のAgのうち繊維状にならなかったAgは、熱処理によりCuに固溶させ、その固溶させたものを出来るだけ多く微粒のAgとして析出させることによって、分散強化による強度の向上を図ることができる。
上記Cu-Ag合金線は、代表的には断面円形状の丸線であって、種々の線径のものが挙げられる。線径φ3mm以下、特にφ1mm(1000μm)以下であると、細径の電線とすることができて好ましい。また、本発明のCu-Ag合金線は、高導電率でかつ高強度であることから、極細線を撚り合わせた撚り線だけでなく、単線でも電線の導体に十分に利用できると期待される。伸線加工時の加工度を適宜変更することで、線径が0.01mm(10μm)〜0.08mm(80μm)といった極細のCu-Ag合金線とすることもできる。
本発明のCu-Ag合金線は、導電率が高く、高強度であり、線径やAgの含有量にもよるが、例えば、線径がφ0.05mm(50μm)以下といった極細のCu-Ag合金線であって、導電率が70%IACS以上、引張強さが1200MPa以上を満たす形態、或いは、例えば、線径がφ1mm〜φ3mmのCu-Ag合金線であって、導電率が95%IACS以上、引張強さが300MPa以上を満たす形態が挙げられる。
その他、本発明のCu-Ag合金線は、その表面にAg,Ag合金,Sn,Sn合金などからなるメッキ層を具えた形態とすることができる。メッキ層を具えることで、ハンダとの濡れ性や耐食性を高めたりすることができる。メッキ層を有するCu-Ag合金線を製造する場合、メッキ層の形成は、伸線加工途中に行ってもよいし、最終の伸線後に行ってもよい。
[同軸ケーブル及び同軸ケーブルバンドル]
本発明の同軸ケーブル1は、図6に示すように、中心導体11と、該中心導体11の周囲を覆っている絶縁体12と、該絶縁体12の周囲に配置される外部導体13とを具える。更に、外部導体13の外周を覆う外装14を具える。上記中心導体11は、1本以上の素線を有しており、この素線が本発明のCu-Ag合金線であることを特徴とする。そして、上記の本発明の同軸ケーブルを複数束ねて、本発明の同軸ケーブルバンドルを得ることができる。同軸ケーブル1の中心導体11に本発明のCu-Ag合金線を用いることによって、析出強化による強度(疲労特性)の向上を図ることができる。
[Cu-Ag合金線の製造方法]
本発明のCu-Ag合金線の製造方法は、代表的には、以下の鋳造工程、伸線工程、及び熱処理工程を具える。
鋳造工程:原料のAg及びCuを溶解した混合溶湯を用いて、鋳造材を作製する工程。
伸線工程:上記鋳造工程を経た素材に伸線加工を施して、最終線径の線材を作製する工程。
熱処理工程:上記伸線加工が施されている伸線材(最終線径の伸線材も含む)に後述する特定の熱処理を少なくとも1回施す工程。
特に、伸線加工に供する上記素材として、AgがCu中に十分に固溶された状態の固溶素材を用意する。
[鋳造工程]
上記鋳造材の製造には、連続鋳造を好適に利用することができる。連続鋳造は、例えば、ピンチロール(パッキン)により凝固シェルを挟持して引っ張ることで、長尺な鋳造材を連続的に製造する形態が挙げられる。鋳造の雰囲気は、大気雰囲気としてもよいが、Arなどの不活性ガスによる雰囲気とすると、溶湯の酸化を防止することができる。そして、上記固溶素材を形成するための一形態として、この鋳造工程において冷却速度を8.5℃/sec以上とすることが挙げられる。鋳造時の冷却速度を8.5℃/sec以上にする、即ち急冷することで、Agの析出を抑制して、Agが十分に固溶した状態を形成することができる。冷却速度が速いほどAgの析出を抑制でき、10℃/sec以上がより好ましい。なお、上述のように凝固シェルを引っ張る形態では、冷却速度を速めるために凝固シェルを引っ張る速度を速めると、凝固シェルが十分に追従できなくなる恐れがある。従って、上記冷却速度は、鋳造材が連続的に製造される範囲でできるだけ大きくすることが好ましい。
上記鋳造時の冷却速度(℃/sec)は、上記混合溶湯を鋳型に注湯する直前の温度(例えば、タンディッシュ内の湯温)をTm(℃)、凝固開始箇所の温度をTc(℃)、温度Tmの測定点から温度Tcの測定点までに上記混合溶湯が移動する時間をtmc(sec)とするとき、温度差:(Tm-Tc)を時間tmcで除した値:(Tm-Tc)/tmcとする。
鋳造時の冷却速度を8.5℃/sec以上にするには、例えば、鋳型に水冷銅鋳型を利用したり、鋳型から引き出される凝固シェルを十分に冷却できるように、引き出される凝固シェルの周囲に囲むように強制冷却手段を配置させたりすることが挙げられる。強制冷却手段は、例えば、水冷銅ブロック、ファンなどの衝風手段が挙げられる。これらの手段により、上記凝固シェルの周囲の雰囲気を冷却することができ、この冷却された雰囲気により上記凝固シェルを冷却する。強制冷却手段の温度や凝固シェルの引き出し速度(鋳造速度)などを適宜調整することで、上記冷却速度を調整することができる。
[溶体化処理]
或いは、上記固溶素材を形成するための一形態として、上記鋳造工程により得られた鋳造材(上述した急冷したものでも、上述した急冷したものでなくてもよい)に溶体化処理を施すことが挙げられる。この溶体化処理は、加熱温度を600℃以上、保持時間を0.5時間以上、冷却速度を1.5℃/sec以上とすることが好ましい。
加熱温度を600℃以上、かつ保持時間を0.5時間以上とすることで、鋳造材にAgが析出していてもCu中に十分にAgを固溶させることができる。加熱温度が高いほどAgをCu中に十分に固溶させられる傾向にあるが、高過ぎるとCu-Ag合金が溶解し始めることから、上記加熱温度は、850℃以下が好ましい。また、保持時間が長いほどAgをCu中に十分に固溶させられる傾向にあり、特に上限を設けないが、生産性の低下を招かない範囲で適宜選択することが好ましい。
上記溶体化時の冷却速度を1.5℃/sec以上にする、即ち急冷することで、固溶させたAgが析出されることを抑制でき、Agが十分に固溶した状態を形成できる。上記溶体化時の冷却速度が速いほどAgの析出を抑制でき、3℃/sec以上がより好ましく、特に上限は設けない。
上記溶体化処理時の冷却速度(℃/sec)は、冷却を開始してから1分後のサンプルの温度を測定し、このときの温度をT1(℃)、溶体化処理温度をTr(℃)とするとき、温度差:(Tr-T1)を時間:60秒で除した値とする。
溶体化処理時の冷却速度を1.5℃/sec以上にするには、強制冷却手段を好適に利用することができる。例えば、水や油、砂などの流動性のある冷媒を利用した直接冷却、ファンなどを利用した衝風、その他、水冷銅ブロックを利用することができる。水冷銅ブロックによる冷却は、例えば、熱処理炉から引き出された線材の周囲を囲むように水冷銅ブロックを配置して、上記線材の周囲の雰囲気を冷却することで行うことができる。冷媒温度や強制冷却手段の配置状態、冷媒量や風量などを適宜調整することで、上記冷却速度を調整することができる。
[伸線工程]
上記伸線加工(代表的には冷間)は、最終線径となるまで複数パスに亘って行う。各パスの加工度は、組成(Agの含有量)、最終線径などを考慮して適宜調整するとよい。
[熱処理]
伸線加工が施された線材、具体的には伸線加工途中にある伸線材、或いは最終線径まで伸線された伸線材に特定の条件の熱処理を施し、Agが十分に固溶した状態からAgを析出させる。この熱処理により、ナノオーダーといった非常に微粒のAgが析出されると考えられる。この超微粒のAgが均一的に分散して存在することにより、Agの析出量が同じであり、かつ主として繊維状のAgが存在する組織の線材と比較して、導電率が同程度であっても、強度が更に高いCu-Ag合金線を製造できると考えられる。
上記熱処理(以下、析出熱処理と呼ぶ)は、伸線加工が施された線材に少なくとも1回施せばよく、複数回施してもよい。析出熱処理が1回の場合、製造工程が少なく生産性に優れ、析出熱処理が複数回の場合、Agの析出、特に微粒のAgの析出を多くして強度や導電率を高めたり、伸線加工により導入された加工歪みを除去して導電率を向上したり、以降の伸線加工を行い易くしたりすることができる。
上記析出熱処理条件は、加熱温度:300℃以上、保持時間:0.5時間以上とする。加熱温度が300℃未満、及び保持時間が0.5時間未満では、Agを十分に析出できなかったり、加工歪みを十分に除去できなかったりする。加熱温度が高いほど、また、保持時間が長いほど、Agを析出させ易いが、例えば、600℃超ではAgが再びCu中に固溶することで導電率が低下する。そのため、加熱温度は600℃以下、特に350℃以上550℃以下、更に400℃以上450℃以下が好ましく、保持時間は、0.5時間以上10時間以下が好ましい。析出熱処理時の冷却は、例えば、熱処理炉内に放置して自然放冷により冷却する炉冷が挙げられる。
(試験例1)
種々の条件でCu-Ag合金材を製造し、Agの含有量と導電率との関係を調べた。その結果を図1及び表1に示す。
Cu-Ag合金材は、以下のように作製した。原料Cuとして、純度99.99%以上の電気銅、原料Agとして純度99.99%以上の銀粒(Ag)を用意し、高純度カーボン製坩堝に投入して連続鋳造装置内で真空溶解させ、Cu及びAgが溶解した混合溶湯を作製した。銀粒の添加量は、図1,表1に示すように、混合溶湯に対するAg含有量(濃度)が0.1質量%〜15質量%となるように調整した。
得られた混合溶湯と高純度カーボン製鋳型とを用いて連続鋳造により、線径φ8.0mmの断面円形状の鋳造材を製造した。図1において▲で示す試料(鋳造(徐冷))は、自然放冷により鋳造時の冷却速度を1.5℃/sec(8.5℃/sec未満)とした試料であり、□で示す試料(鋳造(急冷))は、上記鋳型から引き出される凝固シェルの周囲を囲むように水冷銅などの強制冷却手段を配置して、冷却速度を10℃/sec(8.5℃/sec以上)とした試料であり、◆で示す試料(溶体化処理材)は、▲で示す鋳造材(鋳造時の冷却速度:2.5℃/sec)に760℃×2時間、冷却速度:9℃/sec(1.5℃/sec以上)の溶体化処理を施した試料である。
表1及び図1に示すように、Agの含有量が同じであっても、製造条件によって導電率が異なることが分かる。具体的には、Agの含有量が同じ場合、(1)鋳造時の冷却速度が遅い方が速い場合よりも導電率が高い、(2)鋳造時の冷却速度を遅くしても、鋳造後に溶体化処理を施すと導電率が低くなる、ことが分かる。そして、このように導電率が低下した原因は、鋳造時の冷却速度を速めたり、鋳造後に溶体化処理を施すことで、AgがCuに固溶された状態にあるためであると考えられる。このことから、上記「AgがCu中に固溶された状態」を示す指標として、上記鋳造時の冷却速度が遅いときの導電率を閾値に利用できると言える。
そこで、Agの含有量と上記冷却速度が遅いときの導電率との関係を近似した数式を考える。図1に示すデータから、上記鋳造時の冷却速度が遅いときの導電率は、Agの含有量を変数とする一次関数と捉えられる。そこで、市販の表計算ソフト マイクロソフトコーポレーション製「エクセル」を用いて、上記鋳造時の冷却速度が遅いときの導電率の近似線を求めると、Agの含有量をx(質量%)、導電率をCとするとき、C=(-0.1786)×x+97が求められる。この近似式を用いると、上記「AgがCu中に固溶された状態」とは、上記鋳造時の冷却速度が遅いときの導電率と同等以下の導電率を有する状態、即ち、導電率C(%IACS)がC≦(-0.1786)×x+97を満たす状態であると言える。
(試験例2)
種々の条件でCu-Ag合金からなる素材を製造し、この素材に伸線加工、及び適宜熱処理を行ってCu-Ag合金線を製造し、導電率(%IACS)、引張強さ(MPa)を調べた。
各試料は、以下のように作製した。試験例1と同様の原料を用意して、Agの含有量が表2に示す量となるようにCuとAgとの混合溶湯を用意し、試験例1と同様にして連続鋳造により線径φ8.0mmの断面円形状の鋳造材を製造した。各鋳造材は、表2に示す冷却速度となるように鋳造時の冷却条件を変更した。冷却速度が8.5℃/sec未満の試料は、自然放冷による試料である。冷却速度が8.5℃/sec以上の試料は、鋳型から引き出される凝固シェルの周囲を囲むように水冷銅ブロックを配置して上記周囲の雰囲気を冷却した状態にしたり、ファンを配置して衝風による冷却を行ったり、これらの強制冷却手段を組み合せたりして急冷した試料であり、水冷銅ブロックの温度や風量などを適宜調整することで、鋳造時の冷却速度を異ならせた。
表2の製造条件の欄に鋳造材のみが記載された試料(No.2-1,2-3,2-3-2,2-5,2-7,2-10,2-12,2-14)は、得られた鋳造材に伸線加工を施し、表2に示す線径のとき、表2に示す条件で中間熱処理(析出熱処理)を施した後、更に伸線加工を施して得られた最終線径:φ0.04mmの線材(Cu-Ag合金線)である。
表2の製造条件の欄に鋳造材及び熱処理条件が記載された試料(No.2-2、2-4,2-4-2,2-6,2-8,2-9,2-11,2-13,2-15)は、得られた鋳造材に表2に示す熱処理条件で熱処理(溶体化処理)を施した後伸線加工を施し、表2に示す線径のとき、表2に示す条件で中間熱処理(析出熱処理)を施した後、更に伸線加工を施して得られた最終線径:φ0.04mmの線材(Cu-Ag合金線)である。表2の熱処理(溶体化処理)条件において「急冷」とは、加熱温度からの冷却工程において水冷により冷却したことを意味する。
試料No.2-100は、得られた鋳造材(線径φ8.0mm)に表2に示す条件で熱処理(溶体化処理)を施した後、伸線加工を施し、表2に示す線径のとき、表2に示す条件で中間熱処理を施した後、更に伸線加工を施して得られた最終線径:φ0.04mmの線材(Cu-Ag合金線)である。試料No.2-110は、得られた鋳造材(線径φ8.0mm)に伸線加工を施し、表2に示す線径のとき、表2に示す条件で中間熱処理を施した後、更に伸線加工を施して得られた最終線径:φ0.04mmの線材(Cu-Ag合金線)である。試料No.2-120は、得られた鋳造材(線径φ8.0mm)に上記溶体化処理を施さず、線径φ6.6mmまで伸線加工を施し、得られた伸線材(線径φ6.6mm)に表2に示す条件で熱処理(溶体化処理)を施した後更に伸線加工を施し、表2に示す線径のとき、表2に示す条件で中間熱処理を施した後、更に伸線加工を施して得られた最終線径:φ0.04mmの線材(Cu-Ag合金線)である。
得られた鋳造材(線径φ8.0mm)、鋳造材(線径φ8.0mm)に溶体化処理が施された溶体化処理材(線径φ8.0mm)についてそれぞれ、導電率(%IACS)を測定した。その結果を表2に示す。また、中間熱処理(析出熱処理)が施されたCu-Ag合金線についてそれぞれ、当該熱処理を施した線径φ2.6mm又はφ0.9mmのときの引張強さ(MPa)及び導電率(%IACS)を測定した。その結果を表2に示す。また、最終線径:φ0.04mmの線材についても引張強さ(MPa)及び導電率(%IACS)を測定した。その結果を表2に示す。引張強さは、JIS Z 2241(1998)の規定に準じて測定した(標点距離GL:10mm)。導電率は、ブリッジ法により測定した。
表2に示すように、Agの含有量が多いほど強度が高い傾向にあることが分かる。特に、鋳造時の冷却速度を8.5℃/sec以上にしたり、鋳造材に特定の条件の溶体化処理を施して、導電率C(%IACS)がC≦(-0.1786)×x+97を満たす固溶素材を形成し、この固溶素材に伸線加工を施し、更に特定の熱処理(析出熱処理)を施した試料No.2-1〜2-15は、当該熱処理直後において、鋳造材(冷却速度が遅いもの。表1の鋳造(徐冷)を参照)と同等以上の導電率を有していながら、高強度であることが分かる。そして、上記試料No.2-1〜2-15は、最終線径においても高強度であることが分かる。
また、Agの含有量が同じ試料を比較する。鋳造時の冷却速度が遅く、溶体化処理時の加熱温度が低くかつ冷却速度も遅い試料No.2-100、鋳造時の冷却速度が遅い上に溶体化処理を施していない試料No.2-110は、上記特定の条件により製造した試料No.2-3,2-4,2-3-2,2-4-2と比較して、溶体化処理後の導電率が高くても、伸線途中の熱処理直後、及び最終線径での強度のいずれも低いことが分かる。また、伸線前の素材を特定の固溶素材としていない試料No.2-120は、試料No.2-4,2-3-2,2-4-2と比較して、強度が低いことが分かる。
得られた試料No.2-3-2,2-4-2について、断面を顕微鏡で観察し(500倍)、その観察像を画像処理により加工したものを図2に示す。図2において細長い紐状のものは、析出されたAgが引き延ばされたものである。この繊維状のAgの大きさは、マイクロオーダーであり、長さとしては数十μm程度であることがわかる。
次に、Agの晶析出物の観察を行う。顕微鏡写真において繊維状のAgが確認できたら、その繊維状のAgが存在しない箇所において、Agの晶析出物の観察用試料を採取する。観察用試料は、繊維状のAgを排除するために、縦断面(Cu-Ag合金線の伸線方向に沿った切断面)での観察が好ましい。この観察用試料から1000nm×1000nm以内で任意の観察視野を取り、透過型電子顕微鏡で観察することによって、Agの晶析出物を確認することができる。
図3に、試料No.2-3,2-4,2-110について、断面の透過型電子顕微鏡写真(150000倍)を示す。観察視野は、440nm×326nmの領域である。この観察視野中に存在するAgの晶析出物のうち、晶析出物を切断する直線の最大長さが100nm以下(微粒)である析出物の個数を数え、この微粒の合計面積を計った。Agの晶析出物は、観察視野中に全体が含まれる粒を計測対象とし、観察視野の輪郭に位置して部分的に欠けた粒は計測対象外とした。図3の顕微鏡写真中に存在するAgの晶析出物のうち、微粒として数えたAgを説明する模式図を図4に示す。図中の点線で記載される丸で囲まれたAgが微粒である。上記各試料において、晶析出物と微粒の各合計面積、及び観察視野中の晶析出物と晶析出物中の微粒の各面積率を表3に示す。また、試料No.2-1,2-2においても併せて表3に示す。
特定の熱処理を施した試料No.2-3は、観察視野中に9個の微粒が存在し、晶析出物中の微粒の面積率は68.9%であった。更に、鋳造材に溶体化処理を施した試料No.2-4は、観察視野中に存在する晶析出物のうち全てが微粒であり、その微粒の個数も23個と試料No.2-3と比べて多く析出した。一方、Agの含有量は同じであるが、鋳造時の冷却速度が遅い上に溶体化処理を施していない試料No.2-110は、試料No.2-3,2-4と比べて観察視野中に存在する微粒は4個と少なく、晶析出物中の微粒の面積率は26.1%であった。上記試料よりもAgの含有量が多い試料No.2-1,2-2においても、試料No.2-3,2-4と同様の結果が得られた。
本発明のCu-Ag合金線を構成する組織を説明する模式図を図5に示す。図中において、矩形枠内の楕円状体と黒丸は析出したAgを表し、白丸は固溶しているAgを表わす。表2に示す導電率及び引張強さとなった一因として、図2に示すようにAgが引き延ばされて繊維状に存在することによる繊維強化によるものや、図3に示すようにナノオーダーの非常に微細なAgの粒が均一的に分散して存在することによる分散強化によるものや、両者による混合組織を有することによるものが考えられる。上記混合組織は、例えば、図5に示すように、鋳造材に溶体化処理を施して析出していたAgを固溶させて、Agの固溶量を増加させた状態とし、この溶体化処理材に伸線加工を施すと、上記溶体化処理時に固溶されずに析出しているAgが伸線加工により引き延ばされて繊維状となり、更に上述の析出熱処理を施すことで、固溶していたAgが微細な粒状となって多量に析出されることで形成されると考えられる。これに対して、例えば、鋳造時の冷却速度が遅いと比較的大きなAgが多く析出しており、上述のようにこのAgが伸線加工により引き延ばされるものの、更に上述の析出熱処理を施しても粒状のAgがあまり析出されず、主として繊維状のAgのみが存在する。このようなAgの存在状態の差異により、上述のように強度の差異が生じたと考えられる。
その他、この試験結果からは、鋳造時の冷却速度を8.5℃/min以上にした試料よりも、鋳造材に特定の条件で溶体化処理を施した試料の方が、強度が更に高くなる傾向にあると言える。また、伸線途中に施す上記特定の熱処理(析出熱処理)は、線径が太いときに施すほど、最終線径における強度が更に高くなる傾向にあると言える。更に、上記特定の熱処理(析出熱処理)後において導電率が同じ場合でも、固溶素材の形成時の冷却速度が速いほど、当該熱処理後及び最終線径のいずれにおいても強度が更に高くなる傾向にあると言える。
上記試験結果から、特定量のAgを含むCu-Ag合金線の製造にあたり、伸線加工に供する素材として、Agが十分に固溶した状態となっている固溶素材を用意し、伸線加工が施された線材に上述の析出熱処理を施すことで、同じ量のAgを含む従来のCu-Ag合金線と比較して、同等以上の導電率を有していながら、強度がより高い線材が得られると言える。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、Agの含有量、鋳造時の冷却速度、溶体化処理の条件(温度、保持時間、冷却速度)、溶体化処理や析出熱処理を施す線径、析出熱処理の条件(加熱温度、保持時間)などを適宜変更することができる。
本発明Cu-Ag合金線は、携帯電話といった携帯用電子機器、自動車などに載置される電子部品、医療機器、産業用ロボットなどの各種の電気・電子機器の電線、代表的には同軸ケーブルの導体(中心導体やシールド導体)に好適に利用することができる。本発明Cu-Ag合金線の製造方法は、導電率が高く、高強度な上記本発明Cu-Ag合金線の製造に好適に利用することができる。
1 同軸ケーブル
11 中心導体 12 絶縁層 13 外部導体 14 外装

Claims (8)

  1. Agを含有する銅合金からなるCu-Ag合金線であって、
    Agを0.1質量%以上15質量%以下含有し、残部がCu及び不純物からなり、
    該Cu-Ag合金線の断面において1000nm×1000nm以内で任意の観察視野をとったとき、この観察視野中に存在するAgの晶析出物のうち、晶析出物を切断する直線の最大長さが100nm以下である晶析出物の面積率が100%であるCu-Ag合金線。
  2. さらに、前記Agの晶析出物には、繊維状の析出物が含まれる請求項1に記載のCu-Ag合金線。
  3. 1本以上の素線を有する中心導体と、該中心導体の周囲を覆っている絶縁体と、該絶縁体の周囲に配置される外部導体とを具える同軸ケーブルであって、
    前記素線が請求項1又は請求項2に記載のCu-Ag合金線である同軸ケーブル。
  4. 請求項3に記載の同軸ケーブルを複数本束ねた同軸ケーブルバンドル。
  5. Agを含有する銅合金からなる鋳造材に伸線加工を施して線材を製造するCu-Ag合金線の製造方法であって、
    Agを0.1質量%以上15質量%以下含有し、Ag及びCuを溶解した混合溶湯を用いて、鋳造材を作製する鋳造工程と、
    前記鋳造材に、加熱温度が600℃以上、保持時間が0.5時間以上、冷却速度が1.5℃/sec以上の溶体化処理を施して、Agの含有量をx(質量%)とするとき、導電率C(%IACS)がC≦(-0.1786)×x+97を満たす溶体化処理材を作製する溶体化処理工程と、
    前記溶体化処理材に伸線加工を施して、最終線径の線材を作製する伸線工程と、
    前記最終線径に至るまでの前記伸線加工の途中の段階にある線材、又は、前記最終線径まで前記伸線加工が施された線材に、加熱温度が300℃以上、保持時間が0.5時間以上の熱処理を少なくとも1回施す熱処理工程と、を備え、
    前記熱処理が施されたCu-Ag合金線の断面において1000nm×1000nm以内で任意の観察視野をとったとき、この観察視野中に存在するAgの晶析出物のうち、晶析出物を切断する直線の最大長さが100nm以下である晶析出物の面積率が100%であるCu-Ag合金線の製造方法。
    但し、前記溶体化処理した後、前記伸線加工による減面率が70%以下のときに、1回目の前記熱処理を施すことを除く。
  6. 前記熱処理工程における1回目の前記熱処理は、前記溶体化処理してから当該熱処理までの前記伸線加工による減面率が89%以上のときに施す請求項5に記載のCu-Ag合金線の製造方法。
  7. 前記鋳造材は、その鋳造工程における溶湯の冷却速度を8.5℃/sec以上とすることで形成する請求項5又は請求項6に記載のCu-Ag合金線の製造方法。
  8. 請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載のCu-Ag合金線の製造方法により得られ、
    Agを0.1質量%以上15質量%以下含有し、残部がCu及び不純物からなり、
    線径が1000μm以下であるCu-Ag合金線。
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