以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態において、本発明の情報処理装置としてコピー、ファクシミリ、プリンタ、スキャナ、およびドキュメントボックス等の機能を備えた複合機(MFP : Multi Function Peripheral)を適用し、本発明の端末として携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)、ノートPC(パーソナルコンピュータ)、またはデジタルカメラ等の携帯端末を適用した例について説明する。
なお、本発明の第1の実施の形態の情報処理装置は、複合機に限らず、プリンタ機能を備えたプリンタ装置またはプリンタ機能を備えるその他の画像形成装置等の情報処理装置に適用可能である。
まず、本発明の第1の実施の形態としての情報処理システムの構成を図1を用いて説明する。
図1に示すように、情報処理システム1は複合機2および携帯端末3を備え、複合機2と携帯端末3とは無線LAN(Wi-Fi)により互いに通信可能になっている。無線LANの接続形態にはアドホックモードとインフラストラクチャモードの2つの形態がある。アドホックモードとは、アクセスポイントを介さず2機器間で直接データ通信を行う相互接続の形態であり、インフラストラクチャモードとは、アクセスポイントを介して複数の機器が互いに通信を行う無線LANの一般的な接続形態である。
また、複合機2は、有線LAN(Local Area Network)等の無線LAN以外の通信手段も備えており、有線LAN等によって接続された図示しないパーソナルコンピュータ等の端末とも通信可能になっている。
次に、複合機2の構成を図2および図3を用いて説明する。
図2に示すように、複合機2は、複合機2全体を制御するコントローラ201と、操作パネル202と、FCU(Fax Control Unit)203と、プリンタ204と、スキャナ205と、ネットワークインタフェース206とを備え、コントローラ201、FCU203、プリンタ204、スキャナ205およびネットワークインタフェース206はPCI(Peripheral Component Interconnect)バス207で接続されている。
コントローラ201は、CPU(Central Processing Unit)211、ROM(Read Only Memory)212とRAM(Random Access Memory)213とからなるシステムメモリ
214、NB(ノースブリッジ)215、SB(サウスブリッジ)216、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)217、ローカルメモリ218、および、ハ
ードディスクドライブ219を備え、NB215とASIC217との間はAGP(Accelerated Graphics Port)バス220で接続されている。
CPU211は、ROM212およびハードディスクドライブ219にあらかじめ格納されたプログラムをRAM213に読み込んで実行することにより、複合機2の各部を制御するようになっている。
ROM212は、読み出し専用のメモリであり、複合機2の動作を制御するデータおよびプログラムがあらかじめ格納されている。
RAM213は、書き込みおよび読み出し可能なメモリであり、CPU211によってプログラムが実行される時のプログラムとデータの展開用メモリ、および、プリンタの描画用メモリとして用いられる。
NB215は、CPU211と、ROM212、RAM213、SB216およびAGPバス220とを接続するブリッジであり、ROM212およびRAM213に対する読み書き等を制御するメモリコントローラ、PCIマスタおよびAGPターゲットを有している。
SB216は、NB215と、PCIバス207および図示しない周辺デバイスとを接続するブリッジである。
ASIC217は、画像処理用のハードウェア要素を有するIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス220、PCIバス207、ハードディスクドライブ219およびローカルメモリ218を接続するブリッジとしても機能するようになっている。ASIC217は、PCIターゲット、AGPマスタ、バス制御権を調停するアービタ、ローカルメモリ218を制御するメモリコントローラ、画像の回転等の画像処理を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)およびPCIバス207を介したデータ転送
を行うPCIユニットを有している。ASIC217は、AGPバス220を介してROM212およびRAM213に高スループットで直接アクセスすることにより、画像処理を高速に行うようになっている。
ローカルメモリ218は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いられるメモリである。
ハードディスクドライブ219は、画像データ、CPU211に実行させるための各種プログラムおよびフォントデータ等を蓄積するようになっている。
操作パネル202は、プッシュボタン等の操作ボタン221およびタッチパネル等の操作画面222を有している。操作ボタン221のアプリケーション切替キーが操作されることにより、コントローラ201を介して複合機2のコピー、ファクシミリ、プリンタ、スキャナおよびドキュメントボックス等の各機能が切り替えられるようになっている。
FCU203は、G3やG4などのファクシミリ規格に従ったファクシミリ送受信を実行するようになっている。
プリンタ204は、スキャナ205によって読み取られた画像データ、ローカルメモリ218またはハードディスクドライブ219に格納された画像データ、および、これらの画像データに画像処理やレイアウト加工を施したもの等を用紙等の記録媒体上に印刷するようになっている。
スキャナ205は、CCD(Charge Coupled Devices)等の撮像素子を用いて原稿台の上面に載置された原稿の画像を画像データとして読み取るようになっている。なお、スキャナ205には、ADF(Auto Document Feeder)を搭載して自動的に原稿を送る機構を設けてもよい。
ネットワークインタフェース206は、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11n、またはIEEE802.11g等の無線LAN規格で無線通信を行うようになっている。
図3に示すように、複合機2は、LAN通信部21、接続形態判別部22、データ処理部23、データ記憶部24、操作部25、印刷部26、および、読取部27を備えている。
LAN通信部21は、ネットワークインタフェース206によって構成され、前述した無線LAN規格による無線通信を行って携帯端末3に接続し、データを送受信するようになっている。LAN通信部21は、アドホックモードまたはインフラストラクチャモードのいずれかのモードで携帯端末3との通信を確立するようになっている。LAN通信部21は本発明における通信部を構成している。
接続形態判別部22は、CPU211によって構成され、LAN通信部21と携帯端末3との通信が、2機器間で直接通信を行う相互接続であるか否かを判別し、判別結果をデータ記憶部24に格納するようになっている。ここで、接続形態判別部22は、LAN通信部21が携帯端末3にアドホックモードで接続していれば相互接続であると判別し、インフラストラクチャモードで接続していれば相互接続でないと判別する。接続形態判別部22は本発明における接続形態判別部を構成している。
データ処理部23は、CPU211およびASIC217によって構成され、LAN通信部21によって受信されたデータを、形式データおよび文書データに分割する処理を行うようになっている。また、データ処理部23は、分割した文書データまたは読取部27によって読み取られた画像データに後述する重畳データを重畳する処理を行うようになっている。
ここで、形式データとは、部数、両面、集約、変倍、および仕上げ等の印刷設定を表すデータであり、例えば、文書データがPDF(Portable Document Format)のとき、その形式データはPDFのヘッダ情報としてPDF形式に対応したPJL(Printer Job Language)データで記述されている。なお、本実施の形態において、形式データは携帯端末3で生成されるようになっている。
また、データ処理部23は、後述する処理内容情報に基づいて、携帯端末3と相互接続時に印刷部26による印刷を行うか否かを切り替えるようになっている。なお、データ処理部23は本発明におけるデータ処理部を構成している。
データ記憶部24は、ハードディスクドライブ219、ROM212およびRAM213によって構成され、複合機2で扱うデータを格納するようになっている。例えば、データ記憶部24は、読取部27によって読み取られた画像データやLAN通信部21によって携帯端末3から受信されたデータ等を格納する。
また、データ記憶部24は、読取部27によって原稿を読み取る際の読取設定情報を格納するようになっている。この読取設定情報は、ユーザが操作部25を介して入力することにより設定される。
また、データ記憶部24は、データ処理部23によって利用される重畳データとして文字列画像データをあらかじめ格納している。文字列画像データは、例えば「取扱注意」等の文字列を表す画像データであり、データに重畳されることによりユーザに情報漏洩の注意を喚起するための画像データである。図4は、文字列画像データが重畳されたデータの一例である。なお、重畳データは、文字列画像データに限らず、ユーザに情報漏洩の注意を喚起する画像データであればよい。
また、データ記憶部24は、携帯端末3と相互接続されている場合の処理内容を表す処理内容情報を格納するようになっている。この相互接続時の処理内容情報は、「印字する」または「印字しない」のいずれかを表す情報で、複合機2の管理者が操作部25を介して入力することにより設定される。
なお、データ記憶部24は、本発明におけるデータ記憶部を構成している。
操作部25は、操作パネル202によって構成され、操作ボタン221や操作画面222に表示されたキーが押下されることにより、読取設定情報、相互接続時の処理内容情報、読取開始の指示、または印刷開始の指示等が入力されるようになっている。また、操作画面222は、入力された情報や実行中の処理等を表示するようになっている。
印刷部26は、データ処理部23による制御に従い印刷を行うようになっている。印刷を行う際、印刷部26はデータ処理部23によって分割された形式データから得られる印刷設定情報に基づいて、データ処理部23によって処理されたデータを印刷するようになっている。なお、印刷部26は、本発明における印刷部を構成している。
読取部27は、スキャナ205によって構成され、データ記憶部24に格納された読取設定情報に従って原稿の画像を画像データとして読み取るようになっている。なお、読取部27は、本発明における読取部を構成している。
次に、携帯端末3の構成について図3を用いて説明する。
携帯端末3は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の記憶媒体、ネットワークインタフェース、液晶ディスプレイ等の表示画面およびキーボード等の操作ボタンを含んで構成され、LAN通信部31、データ記憶部32、操作部33、および、データ処理部34を備えている。
LAN通信部31は、複合機2と同一の無線LAN規格の通信プロトコルを扱うネットワークインタフェースによって構成され、インフラストラクチャモードまたはアドホックモードで複合機2に接続してデータの送受信を行うようになっている。
データ記憶部32は、フラッシュメモリ等の記憶媒体によって構成され、複合機2で扱うことが可能なデータを格納するようになっている。複合機2で扱うことが可能なデータとは、例えば、複合機2に印刷させるための文書データや、複合機2によって読み取られた画像データが受信されたもの等である。
また、データ記憶部32は、文書データを複合機2に印刷させるための印刷設定情報を格納するようになっている。印刷設定情報については後述する。
操作部33は、液晶ディスプレイ等の表示画面およびキーボード等の操作ボタンによって構成され、文書データの選択指示や印刷設定情報が入力されるようになっている。
操作部33で文書データを選択する場合の一例について図5を用いて説明する。表示画面には、データ記憶部32に格納されている文書データのリストが表示され、操作ボタンによって、複合機2に送信する文書データが選択されるようになっている。図5の例では、「文書A」から「文書D」のリストが表示され、「文書B」が選択されている。このような表示画面に対して、操作ボタンによって「設定」ボタンが選択されると、表示画面には図6に示すような印刷設定情報の入力画面が表示されるようになっている。
操作部33で印刷設定情報を入力する場合の一例について図6を用いて説明する。印刷設定情報とは、印刷する文書データごとに設定される情報で、例えば、印刷する部数、両面印刷の有無、集約印刷の有無、仕上げ印刷の有無、変倍の設定等を表す情報を含んでいる。表示画面には、選択された文書データに関する印刷設定情報として、あらかじめデータ記憶部32に格納された設定内容がまず表示されるようになっている。図6に示した例では、部数は「1」、両面印刷は「有り」、集約印刷は「無し」、仕上げ印刷は「無し」、変倍は「無し」であることを表す画面が表示されている。このような表示画面に対して操作ボタンが操作されることにより、各項目の設定内容が変更可能に入力されるようになっている。また、この表示画面に対して操作ボタンによって「文書選択」ボタンが選択されると、図5に示した文書選択の画面に戻るようになっている。
データ処理部34は、操作部33によって選択された文書データに対して、操作部33によって入力された印刷設定情報に応じた処理を行うようになっている。データ処理部34は、印刷設定情報に従って形式データを生成し、文書データを印刷用のデータに加工する処理を行う。例えば、文書データがPDFの場合、PDFに対応したPJLデータとして印刷設定情報から形式データを生成し、生成した形式データをヘッダ情報として文書データに結合して印刷用データを生成するようになっている。
以上のように構成された情報処理システム1の動作について、図7を用いて説明する。図7において右側のフロー図は複合機2の動作を表し、左側のフロー図は携帯端末3の動作を表し、左右を結ぶ破線は複合機2および携帯端末3の間で通信が行われることを表している。なお、図7において、携帯端末3において既に文書データが選択され印刷設定情報が入力されているものとする。
複合機2および携帯端末3は、携帯端末3の操作部33において印刷ボタンが選択されると以下の動作を開始する。
まず、複合機2のLAN通信部21および携帯端末3のLAN通信部31は、無線LAN通信を確立する(ステップS1、S2)。
次に、携帯端末3のデータ処理部34は、入力された印刷設定情報に基づいて、選択された文書データの形式データを生成する(ステップS3)。
次に、携帯端末3のデータ処理部34は、生成した形式データと、選択された文書データとを結合して印刷用データを生成する(ステップS4)。
次に、携帯端末3のLAN通信部31は、生成した印刷用データを複合機2に送信し(ステップS5)、携帯端末3は動作を終了する。
次に、複合機2のLAN通信部21は、携帯端末3から送信される印刷用データの受信を開始する(ステップS6)。
次に、複合機2の接続形態判別部22は、受信中の印刷用データを送信している携帯端末3との接続形態が相互接続であるか否かを判別し、判別結果をデータ記憶部24に格納する(ステップS7)。
次に、複合機2のデータ処理部23は、LAN通信部21による印刷用データの受信が完了すると、受信した印刷用データを形式データと文書データとに分割する(ステップS8)。
ここで、ステップS7の判別結果が相互接続でないことを示す場合(ステップS9でNo)、複合機2のデータ処理部23は、文書データを形式データに従って印刷部26に印刷させ(ステップS12)、複合機2は動作を終了する。
一方、ステップS7の判別結果が相互接続であることを示す場合(ステップS9でYes)、複合機2のデータ処理部23は、データ記憶部24に格納された相互接続時の処理内容情報を参照し、「印字する」と「印字しない」のいずれに設定されているかを判断する(ステップS10)。
ここで、ステップS10で「印字する」と設定されていた場合、複合機2のデータ処理部23は、文書データに文字列画像データを重畳する処理を行い(ステップS11)、処理後の文書データを形式データに従って印刷部26に印刷させ(ステップS12)、複合機2は動作を終了する。
一方、ステップS10で「印字しない」と設定されていた場合、複合機2は動作を終了する。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態の複合機2は、携帯端末3から受信する印刷用データを印字する際の処理内容を携帯端末3との接続形態に基づいて変更し、携帯端末3が相互接続されていればこの端末は組織の管理下にない可能性が高く送受信するデータに対するセキュリティ確保の必要性があるとして、受信した印刷用データに情報漏洩の注意を喚起する画像データを重畳して印刷する。
この結果、本発明の第1の実施の形態の情報処理システム1は、携帯端末3の所有者が印刷用データにセキュリティ確保のための情報を付加しなくても、印刷した情報を注意して取り扱うよう携帯端末3の所有者に注意を喚起でき、携帯端末3の所有者および複合機2の管理者に負担をかけずに携帯端末3から受信する情報の漏洩を防止することができる。
また、本発明の第1の実施の形態としての複合機2は、複合機2の管理者が相互接続時の処理内容を「印字しない」に設定した場合は、相互接続された携帯端末3から受信した印刷用データを印刷しないので、複合機2の管理者が簡単な設定を行うだけで印刷用データの機密レベルを考慮したセキュリティ管理を行うことができる。
なお、本発明の第1の実施の形態において、携帯端末3のLAN通信部31および複合機2のLAN通信部21はそれぞれ無線LAN規格によって通信を行うものとして説明したが、有線LANによって通信を行ってもよい。
この場合、接続形態判別部22は、LAN通信部21とLAN通信部31との通信が相互接続用のクロスケーブルを介しているか、ストレートケーブルを介しているかを判別することにより、クロスケーブルを介していれば相互接続であると判別すればよい。
例えば、接続形態判別部22は、LAN通信部21の有する有線LANポートの3番ピンおよび6番ピンを経由してデータが受信されていればクロスケーブルを介した相互接続であると判別する。一方、接続形態判別部22は、1番ピンおよび2番ピンを経由してデータが受信されていればストレートケーブルからハブを介したネットワーク接続であり、相互接続でないと判別する。
また、接続形態判別部22は、通信相手のポートがMDI(Medium Dependent Interface)であるかMDI−X(Medium Dependent Interface Crossover)であるかを自動的に判別するAuto MDI/MDI−X機能を搭載してもよい。この場合、接続形態判別部22は、LAN通信部21および通信相手のポートがMDI同士またはMDI−X同士である場合にはクロスケーブルで接続された相互接続であると判別し、MDIとMDI−Xである場合にはストレートケーブルで接続されており相互接続でないと判別する。
(第2の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態では、複合機と携帯端末との接続形態がアドホックモードであるかインフラストラクチャモードであるかに基づいて相互接続であるか否かの判別を行う情報処理システムについて説明した。
本発明の第2の実施の形態では、複合機と携帯端末との間で確立している通信の扱う通信媒体の種別に基づいて相互接続であるか否かの判別を行う情報処理システムについて説明する。
図8に示すように、本発明の第2の実施の形態としての情報処理システムは、本発明の情報処理装置としての複合機4と、本発明の端末としての携帯端末5とを備え、複合機4および携帯端末5は、アクセスポイントを介した無線LAN通信、および、通信範囲aにおけるBluetooth(登録商標)通信によって互いに通信可能となっている。
複合機4の構成について、図9〜図10を用いて説明する。なお、図9〜図10において、図2〜図3に示した本発明の第1の実施の形態の複合機2の構成と同一なものには同一の符号を付して説明を省略する。
複合機4は、図9に示すように、図2に示した複合機2と同様のハードウェア構成を備え、さらにBluetooth(登録商標)規格のトランシーバ等のブルートゥースインタフェース406を備えている。
また、複合機4は、図10に示すように、図3に示した複合機2と同様の機能ブロック構成に加えてブルートゥース通信部41を備えている。
LAN通信部21は、本実施の形態では、インフラストラクチャモードで通信を行うよう設定されており、アクセスポイントを介して携帯端末5と接続するようになっている。
ブルートゥース通信部41は、ブルートゥースインタフェース406によって構成され、Bluetooth(登録商標)規格に従い、2.4GHz帯の無線電波を使用して半径10〜100メートル以内の範囲で通信を行うようになっている。
また、ブルートゥース通信部41は、通信先の装置と通信設定情報を交換することにより、Bluetooth(登録商標)規格の無線通信を確立するようになっている。なお、通信設定情報としては、ブルートゥースインタフェース406に割り当てられた固有のアドレス情報(Bluetooth(登録商標) Device Address)が用いられるようになっている。
Bluetooth(登録商標)規格の無線通信は、通信先の装置との2機器間で直接通信を行う相互接続であり、ブルートゥース通信部41は通信相手の機器と相互接続するようになっている。なお、ブルートゥース通信部41はLAN通信部21とともに本発明の通信部を構成している。
接続形態判別部22は、本実施の形態では、携帯端末5との間で送受信されるデータが介する通信媒体の種別に基づいて、携帯端末5との間の接続形態が相互接続であるか否かを判別し、判別結果をデータ記憶部24に格納するようになっている。すなわち、接続形態判別部22は、ブルートゥース通信部41がデータを送受信すれば相互接続であると判別し、LAN通信部21がデータを送受信すれば相互接続でないと判別するようになっている。
携帯端末5は、図10に示すように、図3に示した携帯端末3の構成に加えてブルートゥース通信部51を備えている。
LAN通信部31は、本実施の形態ではインフラストラクチャモードで通信を行うよう設定されており、アクセスポイントを介して複合機4と接続するようになっている。
ブルートゥース通信部51は、ブルートゥース通信部41と同様にBluetooth(登録商標)規格の無線通信により、通信先の装置と相互接続するようになっている。
以上のように構成された複合機4および携帯端末5を備える情報処理システムの動作を、本発明の第1の実施の形態と同様に図7を用いて説明する。本発明の第2の実施の形態は、図7のステップS1、S2およびS7における動作が本発明の第1の実施の形態と相違する。
ステップS1、S2において、複合機4および携帯端末5は、LAN通信部21およびLAN通信部31による無線LAN通信、または、ブルートゥース通信部41およびブルートゥース通信部51によるBluetooth(登録商標)規格による無線通信によって通信を確立する。
ステップS7において、複合機4の接続形態判別部22は、受信中の印刷用データがブルートゥース通信部41を介していれば相互接続であると判別し、LAN通信部21を介していれば相互接続でないと判別し、判別結果をデータ記憶部24に格納する。
その他のステップにおいては、複合機4および携帯端末5は、本発明の第1の実施の形態の複合機2および携帯端末3と同様に動作するため、説明を省略する。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態としての複合機4は、携帯端末5から受信した印刷用データを印字する際の処理内容を、相互接続用のブルートゥース通信部41を介してこの印刷用データが受信されたか否かに基づいて変更し、ブルートゥース通信部41を介して印刷用データが受信されていればこの端末は組織の管理下にない可能性が高く受信するデータに対するセキュリティ確保の必要性があるとして、受信した印刷用データに情報漏洩の注意を喚起する画像データを重畳して印刷する。
この結果、本発明の第2の実施の形態としての情報処理システムは、携帯端末5の所有者が印刷用データにセキュリティ確保のための情報を付加しなくても、印刷した情報を注意して取り扱うよう携帯端末5の所有者に注意を喚起でき、携帯端末5の所有者および複合機4の管理者に負担をかけずに携帯端末5から受信する情報の漏洩を防止することができる。
また、本発明の第2の実施の形態としての複合機4は、複合機4の管理者が相互接続時の処理内容を「印字しない」に設定した場合は、Bluetooth(登録商標)通信によって接続された携帯端末から受信した印刷用データを印刷しないので、複合機4の管理者が簡単な設定を行うだけで印刷用データの機密レベルを考慮したセキュリティ管理を行うことができる。
なお、本発明の第2の実施の形態において、複合機4および携帯端末5はブルートゥース通信部41およびブルートゥース通信部51をそれぞれ備え、Bluetooth(登録商標)規格の無線通信を行うものとして説明したが、相互接続によって通信を行う通信部であれば、ブルートゥース通信部41およびブルートゥース通信部51に替えて、その他の通信規格に従った通信媒体を扱う通信部を備えてもよい。
例えば、複合機4および携帯端末5は、UWB(Ultra Wide Band)通信方式で装置間の距離が3メートル以内なら有線のUSB(Universal Serial Bus)2.0と同等の480Mbpsでの通信が可能なWireless USB規格に従って通信を行うWirelessUSB通信部をそれぞれ備えてもよい。なお、WirelessUSB通信部は、UWBデバイスによって構成される。また、複合機4および携帯端末5は、有線のUSB規格に従って通信を行うUSB通信部を備えてもよい。
また、本発明の第2の実施の形態において、複合機4のLAN通信部21および携帯端末5のLAN通信部31はそれぞれ無線LAN規格によって通信を行うものとして説明したが、有線LANによって通信を行ってもよい。この場合、複合機4のLAN通信部21および携帯端末5のLAN通信部31は、それぞれストレートケーブルを介してハブと接続され、アクセスポイントの代わりにハブを介して互いに通信を行うように構成される。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態では、本発明の第2の実施の形態と同様に通信媒体の種別に基づいて相互接続であるか否かの判別を行う情報処理システムの他の例について説明する。
本発明の第3の実施の形態としての情報処理システムは、図11に示すように、本発明の情報処理装置としての複合機6と、本発明の端末としての携帯端末7とを備え、複合機6と携帯端末7との間は無線LAN通信、Bluetooth(登録商標)通信、および後述するNFC(Near Field Communication)通信を介して互いに通信可能になっている。図11において、通信範囲aはBluetooth(登録商標)通信が可能な範囲を示し、通信範囲bはNFC通信が可能な範囲を示している。
複合機6の構成について、図12〜図13を用いて説明する。なお、図12〜図13において、図9〜図10に示した本発明の第2の実施の形態の複合機4の構成と同一なものには同一の符号を付して説明を省略する。
複合機6は、図12に示すように、図9に示した複合機4と同様のハードウェア構成を備え、さらにNFC規格に従って近距離通信を行うNFCリーダライタ606を備えている。
また、複合機6は、図13に示すように、図10に示した複合機4と同様の機能ブロック構成に加え、NFC通信部61を備えている。
NFC通信部61は、NFCリーダライタ606によって構成され、NFC規格に従って通信距離0〜十数センチの範囲での非接触無線通信により通信先の装置との間でデータを送受信するようになっている。NFC通信部61は近接距離での通信を行うため、操作者によって装置同士がタッチさせられる等、操作者の意志表示により通信先の装置との通信を確立するようになっている。
また、NFC規格のデータ転送速度は100〜400kbpsであり、Bluetooth(登録商標)規格のデータ転送速度である1〜10Mbpsより遅いため、NFC通信部61は比較的小容量のデータの通信を行うようになっている。
NFC通信部61は、携帯端末7がNFC通信部61の通信範囲b内に存在した場合、NFC規格に従って携帯端末7との通信を確立し、携帯端末7との間で通信設定情報を交換するようになっている。この通信設定情報はブルートゥース通信部41による通信を確立するのに必要な初期設定情報である。なお、NFC通信部61はLAN通信部21およびブルートゥース通信部41とともに本発明の通信部を構成している。
携帯端末7は、図13に示すように、図10に示した携帯端末7の構成に加えてNFC通信部71を備えている。
NFC通信部71は、NFCタグおよびNFC規格に従ってデータの送受信を行う通信制御プログラムが内蔵されたNFCチップによって構成され、NFCタグにはブルートゥース通信部51の通信設定情報が格納されている。NFC通信部71は、複合機6がNFC通信部71の通信範囲b内に存在した場合、NFC規格に従って複合機6との通信を確立し、NFCタグに格納された通信設定情報を複合機6のNFC通信部61に読み取らせることにより、通信設定情報を送信するようになっている。
以上のように構成された複合機6および携帯端末7を備える情報処理システムの動作を図14を用いて説明する。図14において右側のフロー図は複合機6の動作を表し、左側のフロー図は携帯端末7の動作を表し、左右を結ぶ破線は複合機6および携帯端末7の間で通信が行われることを表している。また、図14において、図7における複合機2および携帯端末3と同様に動作するステップについては同一の符号を付して説明を省略する。
なお、携帯端末7において文書データが選択され印刷設定情報が入力されているものとする。
複合機6および携帯端末7は、携帯端末7の操作部33に表示された印刷ボタンが選択されるか、携帯端末7が複合機6に近接させられると、以下の動作を開始する。
まず、携帯端末7のデータ処理部34は、入力された印刷設定情報に基づいて、選択された文書データの形式データを生成する(ステップS20)。
次に、携帯端末7のデータ処理部34は、生成した形式データと、選択された文書データとを結合して印刷用データを生成する(ステップS21)。
次に、携帯端末7のLAN通信部31は、アクセスポイントを介して複合機6との間で無線LAN通信が確立しているか否かを判断する(ステップS22)。
ここで、LAN通信部31による無線LAN通信が確立していないと判断した場合、携帯端末7のNFC通信部71は、複合機6との間でNFC通信が確立しているかを判断する(ステップS23)。
ここで、NFC通信部71による通信が確立していないと判断した場合、携帯端末7は、NFC通信が確立するまで待機する。
一方、携帯端末7が複合機6に近接させられており、NFC通信部71による通信が確立していると判断された場合、携帯端末7のNFC通信部71は複合機6のNFC通信部61との間でBluetooth(登録商標)通信の通信設定情報を交換する(ステップS24)。
次に、携帯端末7のブルートゥース通信部51は、複合機6との間でBluetooth(登録商標)通信を確立したか否かを判断する(ステップS25)。
ここで、ブルートゥース通信部51により通信が確立していると判断された場合、ブルートゥース通信部51は、ステップS21において生成された印刷用データを複合機6に送信して(ステップS26)、携帯端末7は動作を終了する。
あるいは、LAN通信部31による無線LAN通信が確立しており(ステップS22でYes)、操作部33に表示された印刷ボタンが選択されている場合、LAN通信部31は、ステップS21において生成された印刷用データを複合機6に送信して(ステップS26)、携帯端末7は動作を終了する。
一方、ブルートゥース通信部51により通信が確立していないと判断された場合、携帯端末7は、無線LAN通信およびBluetooth(登録商標)通信のいずれの通信も確立していないとして動作を終了する。
次に、複合機6は、ステップS22〜ステップS25の携帯端末7と同様に動作してブルートゥース通信部41またはLAN通信部21によって通信を行い(ステップS27〜ステップS30)、携帯端末7から送信される印刷用データの介している通信媒体を扱うLAN通信部21またはブルートゥース通信部41のいずれか一方により、携帯端末7から送信される印刷用データの受信を開始する(ステップS31)。
次に、複合機6の接続形態判別部22は、携帯端末7から受信中の印刷用データが介している通信媒体の種別に基づいて、携帯端末7との間の接続形態が相互接続であるか否かを判別し判別結果をデータ記憶部24に格納する(ステップS32)。すなわち、接続形態判別部22は、ブルートゥース通信部41が携帯端末7から印刷用データを受信していれば相互接続であると判別し、LAN通信部21が受信していれば相互接続でないと判別する。
以降、複合機6は、図7において説明した複合機4と同様に動作するので説明を省略する。
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態としての複合機6は、携帯端末7から受信した印刷用データを印字する際の処理内容を、相互接続用のブルートゥース通信部41を介してこの印字用データが受信されたか否かに基づいて変更し、ブルートゥース通信部41を介して受信されていればこの端末は組織の管理下にない可能性が高く受信するデータに対するセキュリティ確保の必要性があるとして、受信した印刷用データに情報漏洩の注意を喚起する画像を重畳して印刷する。
この結果、本発明の第3の実施の形態としての情報処理システムは、携帯端末7の所有者が印刷用データにセキュリティ確保のための情報を付加しなくても、印刷した情報を注意して取り扱うよう携帯端末7の所有者に注意を喚起でき、携帯端末7の所有者および複合機6の管理者に負担をかけずに携帯端末7から受信する情報の漏洩を防止することができる。
また、本発明の第3の実施の形態としての複合機6は、複合機6の管理者が相互接続時の処理内容を「印字しない」に設定した場合は、Bluetooth(登録商標)通信によって接続された携帯端末7から受信した印刷用データを印刷しないので、複合機6の管理者が簡単な設定を行うだけで印刷用データの機密レベルを考慮したセキュリティ管理を行うことができる。
また、本発明の第3の実施の形態としての携帯端末7は、NFC通信部71によってブルートゥース通信部51の通信設定情報を交換することにより複合機6とのBluetooth(登録商標)通信を確立するので、情報漏洩を防止する情報処理装置に接続するための作業負担が携帯端末7の所有者にかからない。
なお、本発明の第3の実施の形態において、NFC通信部71に通信設定情報を記憶したタグを設け、NFC通信部61をリーダ/ライタとして構成したが、これに限るものではない。NFC通信部71をリーダ/ライタとし、NFC通信部61をタグとして構成してもよい。この場合には、NFC通信部61に通信設定情報を記憶しておき、NFC通信部71をNFC通信部61に近接させてNFC通信を確立する。また、NFC通信部61とNFC通信部71の両方にタグとリーダ/ライタの両機能を設けるように構成してもよい。
さらに、本発明の第3の実施の形態において、複合機6のNFC通信部61および携帯端末7のNFC通信部71に替えて、他の通信規格に従って近距離での無線通信を行う通信部をそれぞれ備えてもよい。他の通信規格としては、Bluetooth(登録商標)通信の通信距離よりも近距離での無線通信を行うものであればよく、例えばIrDA(infrared Data Association)規格を適用してもよい。
(第4の実施の形態)
上述の本発明の第1から第3の実施の形態としての情報処理システムは、複合機に相互接続された携帯端末から受信した印刷用データには、情報漏洩の注意を喚起する文字列画像データを重畳して印刷することにより、情報漏洩を防止することができた。本発明の第4の実施の形態としては、携帯端末の所有者に注意を喚起せずに情報漏洩を防止できる情報処理システムの例を説明する。
本発明の第4の実施の形態は、本発明の第1の実施の形態における重畳データおよび重畳処理を変更することによって実現される。
本発明の第4の実施の形態は、本発明の第1の実施の形態と同様のハードウェア構成および機能ブロック構成を備えるため、図1から図3に示した情報処理装置システム1、複合機2、および、携帯端末3を用いて本発明の第4の実施の形態について説明する。
本発明の第4の実施の形態の複合機2のデータ記憶部24は、本発明の第1の実施の形態におけるデータ記憶部24に対して、格納している重畳データが異なる。本発明の第4の実施の形態においてデータ記憶部24は、複写禁止用のドットパターンを重畳データとして格納している。
この複写禁止用のドットパターンは、例えば、一定のサイズのドットが一定の間隔で配置されたドットパターンであり、複写禁止であることを表すようあらかじめ定められた特徴量を有するものである。
本発明の第4の実施の形態の複合機2のデータ処理部23は、読取部27によって読み取られた画像データの背景または前景に重畳されたドットパターンを検出し、検出したドットパターンと複写禁止用のドットパターンとの同一性を判定するようになっている。また、本発明の第4の実施の形態の複合機2のデータ処理部23は、複写禁止用のドットパターンが検出された画像データに対して、印刷部26による印刷を禁止する処理や灰色に塗りつぶして印刷する等の画像を破壊する処理を行うようになっている。
本発明の第4の実施の形態の動作を、本発明の第1の実施の形態と同様に図7を用いて説明する。本発明の第4の実施の形態は、本発明の第1の実施の形態に対して図7のステップS11の動作において相違する。
ステップS11において本発明の第4の実施の形態の複合機2のデータ処理部23は、データ記憶部24に格納されたドットパターンを文書データの背景または前景の全面に相当する分だけ繰り返して重畳する。
その他のステップにおいては、本発明の第4の実施の形態の情報処理システムは、本発明の第1の実施の形態の情報処理システムと同様に動作するため、説明を省略する。
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態としての情報処理システムは、複合機2に相互接続された携帯端末3から受信した印刷用データに重畳するデータとして、複写禁止用のドットパターン情報または文書データを破壊するドットパターン情報を重畳することにより、携帯端末3の所有者が注意を払わずに複合機2に印刷させた印刷物が不正に複写された場合でも、情報の漏洩を防止することができる。
なお、本発明の第2および第3の実施の形態における重畳データおよび重畳処理を、上述した本発明の第4の実施の形態と同様に変更してもよい。
(第5の実施の形態)
上述の本発明の第1から第4の実施の形態としては、複合機が携帯端末から受信した印刷用データを印刷する場合に情報漏洩を防止する情報処理システムの例を説明した。本発明の第5の実施の形態としては、複合機が読み取った画像データを携帯端末に送信する場合に情報漏洩を防止できる情報処理システムの例を説明する。
なお、本発明の第5の実施の形態としての情報処理装置は複合機に限らず、スキャナ機能を備えたスキャナ装置またはスキャナ機能を備えるその他の画像形成装置等の情報処理装置に適用可能である。
本発明の第5の実施の形態は、本発明の第1の実施の形態と同様のハードウェア構成および機能ブロック構成を備えるため、図1から図3に示した情報処理装置システム1、複合機2、および、携帯端末3を用いて本発明の第5の実施の形態について説明する。
本発明の第5の実施の形態の複合機2のデータ記憶部24は、本発明の第1の実施の形態と同様に構成され、さらに、接続形態判別部22によって相互接続であると判別された場合の処理内容を表す処理内容情報として、「画像データを送信する」または「画像データを送信しない」のいずれかを表す情報が格納されている。この相互接続時の処理内容情報は、複合機2の管理者が操作部25を介して入力することにより設定されるようになっている。
本発明の第5の実施の形態の複合機2のデータ処理部23は、本発明の第1の実施の形態と同様に構成され、さらに、読取部27によって読み取られた画像データに対しても重畳データを重畳する処理を行うようになっている。
以上のように構成された本発明の第5の実施の形態の情報処理システムの動作について、図15を用いて説明する。図15において右側のフロー図は複合機2の動作を表し、左側のフロー図は携帯端末3の動作を表し、左右を結ぶ破線は複合機2および携帯端末3の間で通信が行われることを表している。なお、複合機2では操作部25を介して既に相互接続時の処理内容情報が設定され、読取設定情報が入力されているものとする。
複合機2および携帯端末3は、複合機2の操作部25に対する読取開始の指示の入力に応じて以下の動作を開始する。
まず、複合機2のLAN通信部21および携帯端末3のLAN通信部31は通信を確立する(ステップS40、S41)。
次に、複合機2の読取部27は、原稿の画像を画像データとして読み取る(ステップS42)。
次に、複合機2のデータ処理部23は、読み取られた画像データを読取設定情報に基づいて変換する(ステップS43)。
次に、複合機2の接続形態判別部22は、携帯端末3との接続形態が相互接続であるか否かを判別し、判別結果をデータ記憶部24に格納する(ステップS44)。
ここで、ステップS44における判別結果が相互接続であることを示す場合(ステップS45でYes)、データ処理部23は、データ記憶部24に格納された相互接続時の処理内容情報を参照し、「画像データを送信する」と「画像データを送信しない」のいずれに設定されているかを判断する(ステップS46)。
ここで、ステップS46で「画像データを送信する」と設定されていた場合、複合機2のデータ処理部23は、ステップS43で変換された画像データに文字列画像データを重畳する処理を行い(ステップS47)、処理後の画像データをLAN通信部21に携帯端末3へ送信させて(ステップS48)、複合機2は動作を終了する。
一方、ステップS46で「画像データを送信しない」と設定されていた場合、複合機2は動作を終了する。
また、ステップS44における判別結果が相互接続でないことを示す場合(ステップS45でNo)、複合機2のデータ処理部23は、ステップS43で変換された画像データをLAN通信部21に携帯端末3へ送信させて(ステップS48)、複合機2は動作を終了する。
携帯端末3のLAN通信部31は、複合機2から送信された画像データを受信し(ステップS49)、携帯端末3は動作を終了する。
以上説明したように、本発明の第5の実施の形態の情報処理システムは、複合機2に相互接続された携帯端末3に対しては、複合機2で読み取った画像データに、情報漏洩の注意を喚起する文字列を重畳して送信するので、読み取ったデータがオフィス外で扱われる可能性があるとして携帯端末3の所有者に取扱に関する注意を喚起することができ、携帯端末3の所有者に文字列合成操作等の負担をかけずに情報漏洩を防止することができる。
なお、本発明の第5の実施の形態の複合機2は、複合機2の管理者によって相互接続時の処理内容情報が「画像データを送信しない」に設定されている場合、相互接続された携帯端末3に対して、読取部27で読み取った画像データを送信しないので、複合機2の管理者が簡単な設定を行うだけで、読み取った画像データの機密レベルを考慮したセキュリティ管理を行うことができる。
また、本発明の第5の実施の形態は、本発明の第2の実施の形態におけるデータ処理部23およびデータ記憶部24を上述のように構成することにより実現してもよい。この場合、図15のステップS44において、接続形態判別部22は、LAN通信部21およびブルートゥース通信部41のいずれが携帯端末3との通信を確立しているかに基づいて相互接続であるか否かを判別する。また図15のステップS48、S49において、相互接続の場合はブルートゥース通信部41、51が重畳処理された画像データを送受信する。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態では、本発明の第5の実施の形態と同様に、複合機で読み取った画像データを携帯端末に送信する場合に情報漏洩を防止できる情報処理システムの他の例を説明する。
本発明の第6の実施の形態は、本発明の第3の実施の形態と同様のハードウェア構成および機能ブロック構成を備えるため、図11〜図13に示した複合機6、および、携帯端末7を用いて本発明の第6の実施の形態について説明する。
本発明の第6の実施の形態の複合機6のデータ記憶部24は、本発明の第3の実施の形態と同様に構成され、さらに、接続形態判別部22によって相互接続であると判別された場合の処理内容情報として、「画像データを送信する」または「画像データを送信しない」のいずれかを表す情報が格納されている。この相互接続時の処理内容情報は、複合機6の管理者が操作部25を介して入力することにより設定されるようになっている。
本発明の第6の実施の形態の複合機6のデータ処理部23は、本発明の第3の実施の形態と同様に構成され、さらに、読取部27によって読み取られた画像データに対しても重畳データを重畳する処理を行うようになっている。
本発明の第6の実施の形態の情報処理システムの動作について、図16を用いて説明する。図16において右側のフロー図は複合機6の動作を表し、左側のフロー図は携帯端末7の動作を表し、左右を結ぶ破線は複合機6および携帯端末7の間で通信が行われることを表している。なお、図16において、図14、図15における情報処理システムと同様に動作するステップについては同一の符号を付して説明を省略する。また、複合機6では操作部25を介して既に相互接続時の処理内容情報が設定され、読取設定情報が入力されているものとする。
複合機6および携帯端末7は、複合機6の操作部25に対して読取開始の指示が入力されるか、複合機6に携帯端末7が近接させられると以下の動作を開始する。
まず、複合機6および携帯端末7は、ステップS22〜ステップS25、ステップS27〜ステップS30まで本発明の第3の実施の形態と同様に動作して、無線LAN通信を行うか、NFC通信が行われた場合はBluetooth(登録商標)の通信設定情報を交換してBluetooth(登録商標)通信を確立する。
次に、複合機6は、ステップS42〜ステップS48まで本発明の第5の実施の形態と同様に動作して、携帯端末7との接続形態が相互接続であれば、原稿から読み取った画像データに文字列画像データを重畳して携帯端末7に送信するか否かを、相互接続時の処理内容情報に基づいて切り替え、相互接続でなければ、原稿から読み取った画像データを送信して動作を終了する。
携帯端末7は、ステップS49でLAN通信部31またはブルートゥース通信部51が画像データの受信を完了すると、動作を終了する。
以上説明したように、本発明の第6の実施の形態の情報処理システムは、相互接続された携帯端末7に対しては、複合機6で読み取った画像データに、情報漏洩の注意を喚起する文字列を重畳して送信するので、複合機6に近接させるといった簡単な操作によって相互接続された携帯端末7の所有者に対しても読み取ったデータの取扱に関する注意を喚起することができ、携帯端末7の所有者に負担をかけずに情報の漏洩を防止することができる。
また、本発明の第6の実施の形態の情報処理システムでは、携帯端末7を複合機6に近接させることが複合機6に対するスキャナ機能の利用指示および相互接続の利用指示になるため、携帯端末7の所有者は複合機6の読取ボタンを押す操作を省くことができ、簡単な操作だけで情報漏洩を防止する情報処理システムを利用することができる。
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態は、本発明の情報処理装置として、画像データを拡大投影するいわゆるプロジェクタ等の投影装置を適用した例について説明する。
まず、本発明の第7の実施の形態としての情報処理システムの構成を図17〜図19を用いて説明する。なお、図17〜図19において、本発明の第1〜第6の実施の形態の構成と同一なものには同一の符号を付して説明を省略する。
図17に示すように、本発明の第7の実施の形態の情報処理システムは、投影装置8および携帯端末7を備え、投影装置8と携帯端末7との間は無線LAN通信、Bluetooth(登録商標)通信、およびNFC通信を介して互いに通信可能になっている。図17において、通信範囲aはBluetooth(登録商標)通信が可能な範囲を示し、通信範囲bはNFC通信が可能な範囲を示している。
投影装置8は、図18に示すように、図12に示した複合機6と同様のハードウェア構成を備えるが、FCU203、プリンタ204およびスキャナ205に替えて、NB215に接続されたプロジェクタ804を備えている。ここで、本発明の第7の実施の形態におけるNB215は、VGA(Video Graphics Array)回路を有するものとする。
なお、プロジェクタ804は、NB215に接続される代わりに、ネットワークインタフェースを備えてネットワークインタフェース206に接続されてもよい。また、プロジェクタ804および投影装置8が、それぞれUSBインタフェースを備えてこれらが互いに接続されてもよい。
また、プロジェクタ804は光源、レンズ、および各種の映像信号入力部等を備え、入力される映像信号が表す画像データをスクリーン等に拡大投影するものである。
また、投影装置8は、図19に示すように、図13に示した複合機6と同様の機能ブロック構成を備えるが、印刷部26および読取部27に替えて、投影部86を備えている。
投影部86は、プロジェクタ804によって構成され、データ処理部23によって画面解像度等の変換処理が施された画像データを拡大投影するようになっている。なお、投影部86は、本発明における投影部を構成している。
データ処理部23は、投影部86に入力される映像信号を、後述する投影設定情報に従って画像解像度等を変換する処理を行うようになっている。投影部86に入力される映像信号の解像度は、携帯端末等のコンピュータからの映像信号、一般のテレビ放送やビデオ・DVD(Digital Versatile Disk)等に利用されるNTSC(National Television System Committee)、SECAM(Sequentiel couleur a memoire)、PAL(Phase Alternating Line)またはハイビジョン等接続される端末の種別によって広範囲にわたるため、画面解像度の変換によって生じる差(例えば、不自然な画像のギザつき)を改善する処理も行うようになっている。
データ記憶部24は、投影部86によって用いられる投影設定情報を格納している。投影設定情報は、例えば、明るさやコントラストに関する設定を表す情報である。
また、データ記憶部24は、相互接続時の処理内容を表す処理内容情報として、「投影する」または「投影しない」のいずれかを表す情報が格納されている。この相互接続時の処理内容情報は、投影装置8の管理者が操作部25を介して入力することにより設定されるようになっている。
操作部25は、各種設定情報や投影装置8に対する指示を入力する画面を操作画面222に表示し、相互接続時の処理内容情報、投影設定情報、および投影開始の指示等の入力を受け付けるようになっている。
また、操作部25は、入力される映像信号の種別を切り替える画面を操作画面222に表示し、映像信号の種別を指定する入力を受け付けるようになっている。
携帯端末7のデータ記憶部32は、投影装置8に投影させるためのデータとして、例えばプレゼンテーション用資料の文書データを格納している。この文書データは、携帯端末7にインストールされた一般的な文書処理アプリケーションで扱うことのできるデータである。
携帯端末7の操作部33は、文書処理アプリケーションによって処理されるプレゼンテーション用資料のページや文書処理メニューを操作画面に表示するようになっている。また、操作部33は、例えばページ切替や画面の拡大縮小等といった、文書処理アプリケーションが有する機能に対する指示を操作ボタンおよび表示画面を介して受け付けるようになっている。
携帯端末7のデータ処理部34は、文書処理アプリケーションの有する機能に応じて画面の制御を行うようになっている。
以上のように構成される本発明の第7の実施の形態の情報処理システムの動作について図20を用いて説明する。図20において右側のフロー図は投影装置8の動作を表し、左側のフロー図は携帯端末7の動作を表し、左右を結ぶ破線は投影装置8および携帯端末7の間で通信が行われることを表している。なお、投影装置8において、相互接続時の処理内容情報および投影設定情報は操作部25を介して既に入力され、携帯端末7の表示画面にはプレゼンテーション用資料が既に表示されているものとする。
投影装置8および携帯端末7は、携帯端末7の操作部33に表示された投影開始ボタンが選択されるか、投影装置8に携帯端末7が近接させられると、以下の動作を開始する。
まず、携帯端末7のLAN通信部31は、投影装置8との間でアクセスポイントを介した無線LAN通信が確立しているか否かを判断する(ステップS60)。
ここで、LAN通信部31による無線LAN通信が確立していないと判断した場合、携帯端末7は、投影装置8との間でNFC通信部71による通信が確立しているかを判断する(ステップS61)。
ここで、NFC通信部71による通信が確立していないと判断した場合、携帯端末7は、NFC通信が確立するまで待機する。
一方、携帯端末7が複合機6に近接させられており、NFC通信部71による通信が確立していると判断された場合、携帯端末7のNFC通信部71は投影装置8のNFC通信部61との間で通信設定情報を交換する(ステップS62)。
次に、携帯端末7は、投影装置8との間でブルートゥース通信部51による通信が確立したか否かを判断する(ステップS63)。
ここで、ブルートゥース通信部51による通信が確立していると判断された場合、携帯端末7のブルートゥース通信部51は、プレゼンテーション用資料のページを表す画像データを投影装置8に送信して(ステップS64)、携帯端末7は動作を終了する。
あるいは、無線LAN通信が確立しており(ステップS60でYes)、携帯端末7の操作部33に表示された投影開始ボタンが選択されていた場合、LAN通信部31は、プレゼンテーション用資料のページを表す画像データを投影装置8に送信して(ステップS64)、携帯端末7は動作を終了する。
一方、ブルートゥース通信部51による通信が確立していないと判断した場合、携帯端末7は、無線LAN通信およびBluetooth(登録商標)通信のいずれの通信も確立していないとして動作を終了する。
次に、投影装置8は、ステップS60〜ステップS63の携帯端末7と同様に動作してブルートゥース通信部41またはLAN通信部21によって通信を行い(ステップS65〜ステップS68)、携帯端末7から送信される画像データの介している通信媒体を扱うLAN通信部21またはブルートゥース通信部41のいずれか一方により、携帯端末7が送信した画像データの受信を開始する(ステップS69)。
次に、接続形態判別部22は、受信中の画像データが介している通信媒体の種別に基づいて、携帯端末7との間の接続形態が相互接続であるか否かを判別し、判別結果をデータ記憶部24に格納する(ステップS70)。すなわち、接続形態判別部22は、ブルートゥース通信部41が携帯端末7から画像データを受信していれば相互接続であると判別し、LAN通信部21が受信していれば相互接続でないと判別する。
ここで、ブルートゥース通信部41またはLAN通信部21による画像データの受信が完了すると、ステップS70の判別結果が相互接続でないことを示す場合(ステップS71でNo)、投影装置8のデータ処理部23は、画像データを投影部86に投影させる(ステップS73)。
一方、ステップS70の判別結果が相互接続であることを示す場合(ステップS71でYes)、投影装置8は、データ記憶部24に格納された相互接続時の処理内容情報を参照し、「投影する」と設定されていれば(ステップS72でYes)、画像データを投影部86に投影させる(ステップS73)。
相互接続時の処理内容情報が「投影しない」と設定されていれば(ステップS72でNo)、投影装置8は動作を終了する。
以上説明したように、本発明の第7の実施の形態の情報処理システムは、携帯端末7から受信したプレゼンテーション資料等のページを表す画像データを投影する際の処理内容を、相互接続用のブルートゥース通信部を介してこの画像データが受信されたか否かに基づいて変更し、ブルートゥース通信部を介して受信されていればこの端末は相互接続されており組織の管理下にない可能性が高く受信するデータに対するセキュリティ確保の必要性があるとして、受信した画像データを投影するか否かを切り替えるので、携帯端末7の所有者および投影装置8の管理者に負担をかけることなく情報の漏洩を防止することができる。
また、本発明の第7の実施の形態の情報処理システムでは、携帯端末7を投影装置8に近接させることが投影装置8に対するプロジェクタ機能の利用指示および相互接続の利用指示になるため、携帯端末7の所有者は投影装置8の操作ボタンを押す操作を省くことができ、簡単な操作だけで情報漏洩を防止する情報処理システムを利用することができる。
なお、本発明の情報処理プログラムは、上述した本発明の第1から第7の実施の形態の複合機または投影装置のROM等にあらかじめ組み込まれて提供される。あるいは、本発明の情報処理プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでコンパクトディスク、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供または配布されるようにしてもよい。あるいは、本発明の情報処理プログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータに格納され、ネットワーク経由でのダウンロードにより提供または配布されるようにしてもよい。
また、本発明の情報処理プログラムは、上述した本発明の第1から第7の実施の形態の複合機または投影装置の有する各機能ブロックに対応するモジュールとしての通信ステップ、接続形態判別ステップおよびデータ処理ステップを含んで構成され、これらのモジュールが複合機または投影装置のCPUによって読み出され実行されることにより実現される。