<第1実施形態>
図1に、本願に係る実施形態として例示される通信システム1のブロック図を示す。通信システム1は、携帯電話10、MFP(Multifunction Peripheralの略)50、アクセスポイント80、ウェブサーバ82、基地局84を備える。携帯電話10、および、MFP50は、無線LAN端末装置としての機能を備える。また、MFP50は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを備える多機能周辺装置である。アクセスポイント80は、無線LANアクセスポイントとしての機能を備える。ウェブサーバ82は、ネットワークにおいて、クライアント装置に対し、自身の持っている機能やデータを提供する装置である。なお、MFP50も無線LANアクセスポイントとしての機能を備えている。
携帯電話10の構成について説明する。携帯電話10は、CPU(Central Processing
Unitの略)12、記憶部14、携帯電話通信I/F16、無線LANI/F18、NF
CI/F20、パネル22、ボタン入力部24、スピーカ28、マイク30を主に備えている。これらの構成要素は、入出力ポート30を介して互いに通信可能とされている。
無線LANI/F18は、IEEEの802.11の規格およびそれに準ずる規格に基づいて、WiFi方式(WF方式と略して記載する場合もある)の無線通信90を行うことが可能とされている。すなわち、携帯電話10は、アクセスポイント80へアクセスし、WF方式の無線通信90を行える状態になれば、アクセスポイント80を介して、MFP50とデータ通信することが可能になる。ここで、「データ」および「情報」の文言の定義を説明する。本明細書では、「データ」と「情報」では「情報」を「データ」の上位概念として用いている。そのため、「Aデータ」を「A情報」と言い換えてもよい。また、「Aデータ」から複製された、または、変換された「Bデータ」は、「Aデータ」と同等の意味を持って使用される限り「A情報」である。
また、無線LANI/F18は、IEEEの802.11の規格およびそれに準ずる規格に基づいて、WiFiダイレクト方式(WFD方式と略して記載する場合もある)の無線通信92を行うことが可能とされている。すなわち、携帯電話10は、MFP50が備えるアクセスポイントへアクセスし、WFD方式の無線通信92を行える状態になれば、MFP50と直接、データ通信することが可能になる。
NFCI/F20は、ISO/IEC21481またはISO/IEC18092の国際標準規格に基づいて、NFC方式の無線通信94を行うことが可能とされている。すなわち、携帯電話10は、NFC方式の無線通信94を行える状態になれば、MFP50と直接、データ通信することが可能になる。ただし、NFC方式の無線通信94では、WF方式の無線通信90およびWFD方式の無線通信92と比較して、通信距離が短く、通信速度は遅い。
携帯電話通信I/F16は、基地局84との間で携帯電話通信方式の無線通信96を行うことが可能とされている。すなわち、携帯電話10は、携帯電話通信方式の無線通信9
6を行える状態になれば、ウェブサーバ82と、基地局84を介して、データ通信することが可能になる。
CPU12は、記憶部14内のプログラム32に従って処理を実行する。以降、印刷設定アプリケーション32aなど、プログラムを実行するCPU12のことを、単にプログラム名でも記載する場合がある。例えば、「印刷設定アプリケーション32aが」という記載は、「印刷設定アプリケーション32aを実行するCPU12が」ということを意味する場合がある。なお、記憶部14は、RAM(Random Access Memoryの略)、ROM(Read Only Memoryの略)、フラッシュメモリー、HDD(ハードディスクの略)、CPU12が備えるバッファなどが組み合わされて構成されている。
記憶部14は、プログラム32を記憶する。プログラム32は、印刷処理アプリケーション32a、オペレーティングシステム32c(OS32cと略して記載する場合もある)を含む。印刷処理アプリケーション32aは、印刷設定に関する処理や、データ記憶領域14aに記憶されている画像データによって表される画像をMFP50に印刷させる処理を、CPU12に実行させるためのアプリケーションである。オペレーティングシステム32cは、たとえばAndroid OSが相当する。
オペレーティングシステム32cは、印刷処理アプリケーション32aに利用される基本的な機能を提供するプログラムである。OS32cは、携帯電話通信I/F16、無線LANI/F18、NFCI/F20を介して無線通信90,92,94,96を実行させるためのプログラム、および、記憶部14,パネル22,ボタン入力部24などを制御するプログラムなどを含む。
また、記憶部14は、データ記憶領域14aを備える。データ記憶領域14aは、複数の写真データ、文書データを記憶する領域である。印刷処理アプリケーション32aは、OS32cを介して、記憶部14が記憶しているデータを取得する。
パネル22は、携帯電話10の各種機能を表示する表示面を備える。印刷処理アプリケーション32aは、表示用の画像データを出力し、OS32cを介してパネル22に表示させる。ボタン入力部24は、タッチセンサを有し、パネル22と一体的に構成されており、入力媒体のパネル22への接近・接触を検出し、ユーザによるボタン操作を受け付ける。印刷処理アプリケーション32aは、OS32cを介して、ユーザによるボタン操作内容を示すデータを取得する。
<携帯電話の動作>
実施形態に係る携帯電話10の動作について説明する。携帯電話10では、印刷処理アプリケーション32aの実行により、携帯電話10から手軽に印刷装置に印刷できる。具体的には、携帯電話10を印刷装置に直接つながなくても印刷できる、若しくは、持ち歩いた先にある印刷装置でも印刷できるように、WF方式の無線通信90で接続できる印刷装置を検出して、検出した印刷装置を選択して印刷することができる。また、異なる種類の印刷装置ごとにアプリケーションを用意する必要がないよう、WF方式の無線通信90で接続できる印刷装置からスペックに関する情報を受信し、設定値の設定範囲をスペックに応じて限定する。このため、選択した印刷装置がどの種類であっても不適切な設定で印刷指示をしないようにできる。さらに、設定の手間なく印刷できるように、以前に選択された印刷装置のIPアドレス、設定値等を記憶部14に記憶しておき、画像をパネル22に表示させる際に、記憶部14に記憶されている情報を読み出し、印刷ボタン等が操作されれば、以前の設定のまま、以前選択した印刷装置に印刷指示できる。このように、印刷処理アプリケーション32aの実行により、無線LANを用いて、携帯電話10から手軽に印刷できる。なお、以前に選択された印刷装置のIPアドレス、設定値等は記憶部14
のフラッシュメモリー、HDDなどの不揮発性メモリに記憶しておけば、携帯電話10の電源を切り、再度電源を入れたときも、以前の設定のまま、以前選択した印刷装置に印刷指示できる。
また、NFC方式の無線通信94を利用して画像を印刷するときも、基本的には、画像をパネル22に表示させてNFCI/F18に接近させることで、ユーザの入力なく、以前の設定のまま印刷でき、手軽である。ただし、以前に選択した印刷装置の種類と、MFP50が同じ種類とは限らないため、記憶部14から読み出したままの設定値がMFP50での印刷処理にとって不適切な可能性がある。また、NFCI/F18に携帯電話10を接近させる前に、記憶部14に記憶されている設定値を変更することを鑑みると、携帯電話10で設定可能な設定値が、以前に選択した印刷装置のスペックに応じて限定されていると、MFP50の印刷処理に適した設定に変更できない可能性がある。このようなことに鑑み、携帯電話10では、以下の処理が行われる。
<印刷指示画面からの印刷指示>
具体的には、携帯電話10では、印刷処理アプリケーション32aが起動すると、写真印刷または文書印刷をユーザに選択させるための画面が、パネル22に表示される。そして、ユーザが写真印刷または文書印刷を選択すると、印刷の対象候補の画像がパネル22に表示される。つまり、データ記憶領域14aに記憶されている画像データに基づく画像100が、図2に示すように、パネル22に表示される。図2に示す画面を表示する際、印刷処理アプリケーション32aは、以前に印刷処理アプリケーション32aにおいて選択された印刷装置である選択印刷装置について、設定された装置名、IPアドレス、設定値、スペック情報が記憶部14に記憶されていれば、OS32cを介して、取得する。
パネル22には、画像100の両側方に、戻りボタン102と送りボタン103とが表示されている。戻りボタン102と送りボタン103とは、表示されている画像100を、順次、切り換えるためのボタンであり、戻りボタン102、送りボタン103の操作により任意の画像100がパネル22に表示される。
パネル22には、画像100の下方に、メニューボタン104が表示されている。メニューボタン104が操作されると、図3(a)に示すように、画像100の表示画面が、印刷設定を行うための画面に切り替わり、印刷設定を行うことができる。
また、画像100の下方には、印刷ボタン128が表示されており、印刷ボタン128が操作されることで、パネル22に表示されている画像100が、選択されている印刷装置により印刷される。選択されている印刷装置は、図2の画面を表示する際に取得した情報で特定される、以前に選択した装置、または、図3(a)の画面で今回選択した印刷装置である。携帯電話10は、ユーザによって選択された画像、つまり、パネル22に表示されている画像100の画像データを、WF方式の無線通信、若しくはWFD方式の無線通信を用いて、選択されている印刷装置に送信する。
<NFCによる印刷指示>
また、携帯電話10では、印刷ボタン128を操作することなく、携帯電話10をMFP50に接近させるだけで、任意の画像を、MFP50により印刷することが可能となっている。具体的に、ユーザが、携帯電話10をMFP50に接近させ、携帯電話10とMFP50との距離が、NFC方式の無線通信94の通信範囲内となると、携帯電話10とMFP50との間で、NFC方式の無線通信94が確立し、その無線通信94を用いて、接続情報が携帯電話10とMFP50との間で送受信され、接続情報に従って、WF方式の無線通信90若しくは、WFD方式の無線通信92が確立する。このように、NFC方式の無線通信94を利用して、WF方式の無線通信90若しくは、WFD方式の無線通信
92を確立させる処理を、ハンドオーバ処理という。携帯電話10は、ユーザによって選択された画像、つまり、パネル22に表示されている画像100の画像データを、WF方式の無線通信90、若しくはWFD方式の無線通信92を用いて、MFP50に送信する。
WF方式の無線通信、若しくはWFD方式の無線通信を用いて、選択されている印刷装置、または、MFP50に画像データを送信する。この際、画像100の印刷指令および、携帯電話10で設定された設定値も、送信される。これにより、各種データを受け取った印刷装置、またはMFP50では、携帯電話10で設定された設定値に従って、画像100の印刷処理が行われる。携帯電話10で設定された設定値とは、図2の画面を表示する際に取得した情報で特定される、以前に設定した設定値、または、図3(a)の画面で今回設定した設定値である。
なお、NFC方式の無線通信94が確立した後、WF方式の無線通信90若しくは、WFD方式の無線通信92を確立するのは、WF方式の無線通信90およびWFD方式の無線通信92は、NFC方式の無線通信94より高速でデータの送受信を行うことが可能であり、画像データの送受信は、WF方式の無線通信90若しくはWFD方式の無線通信92により行うことが好ましいためである。
<印刷設定画面>
また、メニューボタン104が操作されると、図3(a)に示すように、画像100の表示画面が、印刷設定を行うための画面に切り替わる。印刷設定を行うための画面には、印刷を実行する印刷装置を選択するための装置選択ボタン106,108と、印刷時の設定値を設定するためのボタン110,112,114が表示される。
印刷時の設定値とは、具体的には、印刷処理の項目について、印刷装置にどのような印刷処理を行わせるかを選択するための情報である。印刷処理の項目としては、印刷用紙のサイズ,印刷紙の種類,印刷枚数,片面印刷と両面印刷,カラー印刷とモノクロ印刷(以降、印刷色と記載する場合もある)といった項目がある。印刷処理の項目のことを、以降、設定項目とも記載する。また、設定値は数値に限定されず、フラグや、文字列でもよい。なお、図には、印刷用紙のサイズを設定するためのサイズ設定ボタン110と、印刷紙の種類を設定するための印刷紙設定ボタン112と、印刷枚数を設定するための枚数設定ボタン114が表示されている。
また、図2を表示する際の取得処理によって、装置名、IPアドレスが取得できていれば、装置選択ボタン106,108の横に表示される。取得できていなければ、図3(a)のように印刷装置が選択されていないことを装置選択ボタン106,108の横に表示する。図3(b)の画面で新たに印刷装置が選択されたら、その装置名、IPアドレスを表示する。
図2を表示する際の取得処理によって、設定値が取得できていれば、図3(a)のように設定ボタン110〜114の横に、設定項目名とともに表示する。新たにユーザ操作によって設定値の変更が指示されたら、その指示された設定値を取得し、表示する。
<設定範囲の限定>
設定ボタン110〜114を押下した後に設定可能な設定値の範囲は、新たに印刷装置が選択されるまでは、図2を表示する際の取得処理によって、取得されたスペック情報に基づいて限定される。新たに印刷装置を選択した場合は、その際に取得されたスペック情報に基づいて限定される。なお、設定可能な設定値の範囲の限定について、詳しくは後述する。
図2を表示する際の取得処理によって、設定値が取得できなかった場合、印刷処理アプリケーション32aは、予めプログラミングされている、デフォルトの設定値を取得する。デフォルトの設定値は、ベンダーが定めた、ユーザが普段設定しておくであろう設定値になっている。また、デフォルトの設定値は、ベンダーが定めた、標準的なスペックの印刷装置であれば、いずれの印刷装置にも適するであろう設定値になっている。写真印刷と文書印刷では、ユーザが設定しておくであろう設定値が異なるため、違うデフォルトの設定値を提供する。例えば、写真印刷のデフォルトの設定値は、用紙サイズL版、カラー印刷、光沢紙であり、文書印刷のデフォルトの設定値は、A4、モノクロ印刷、普通紙である。
装置選択ボタン106,108が操作されると、図3(b)に示すように、印刷装置を選択するための画面が、パネル22に表示される。印刷装置を選択するための画面には、印刷装置の名称が記載されたボタン116,118,120,122が表示されており、複数のボタン116,118,120,122のうちの任意のボタンが操作されることで、操作されたボタンに対応する印刷装置が選択される。
画面に表示されるボタン116,118,120,122に対応する4台の印刷装置(図示省略)は、携帯電話10との間で、WF方式の無線通信、若しくはWFD方式の無線通信が確立している印刷装置である。つまり、ボタン116,118,120,122に対応する4台の印刷装置と携帯電話10との間で、データ通信することが可能である。
詳しくは、装置選択ボタン106,108が操作されると、印刷処理アプリケーション32aは、無線LANI/F18に、WF方式の無線通信90、若しくはWFD方式の無線通信92が確立している印刷装置にブロードキャストで名称やIPアドレスを要求させ、無線LANI/F18が印刷装置から受信した、印刷装置の名称やIPアドレスを取得する。取得した名称やIPアドレスは、ボタン116,118,120,122に対応して表示される。
複数のボタン116,118,120,122のうちの任意のボタンが操作されると、印刷処理アプリケーション32aは、無線LANI/F18に、操作されたボタン116,118,120,122に対応する印刷装置のIPアドレスを用いたデータ通信により、印刷スペックに関するデータを要求させ、無線LANI/F18が印刷装置から受信した、印刷装置の印刷スペックに関する情報を取得する。
印刷装置の印刷スペックに関する情報は、具体的には、印刷装置の印刷スペックをそのまま示すスペック情報、または、印刷装置のモデル名である。スペック情報を送信することが可能な印刷装置からは、スペック情報が取得できる。そうではない印刷装置からは、スペック情報が取得できないが、モデル名は取得できる。なお、スペック情報を送信することが可能な印刷装置からも、モデル情報を取得してもよい。
スペック情報を送信することができない印刷装置からモデル名を取得した場合、印刷処理アプリケーション32aは、モデル名に対応して予めプログラミングされたスペック情報を取得する。
取得したスペック情報によって印刷装置のスペックが示されない設定項目については、印刷処理アプリケーション32aに予めプログラミングされたデフォルトのスペック情報が、その設定項目について適用される。
デフォルトのスペック情報は、ベンダーが定めた、写真印刷用の印刷装置であれば標準
的であろうスペックに対応したスペック情報、および、文書印刷用の印刷装置であれば標準的であろうスペックに対応したスペック情報である。
例えば、写真印刷のデフォルトのスペック情報は、印刷用紙のサイズはL判、2L判、ハガキ、A5、B5、レターおよびA4であり、印刷色はモノクロ印刷またはカラー印刷であり、印刷用紙の種類は、普通紙、インクジェット専用紙、および光沢紙であり、文書印刷のデフォルトのスペック情報は、印刷用紙のサイズはA6、B6、A5、B5、レター、A4、リーガル、B4、およびA3であり、印刷色はモノクロ印刷またはカラー印刷であり、印刷用紙の種類は、普通紙のみである。
具体的には、印刷装置から取得したスペック情報によって印刷可能な用紙のサイズが示されているが、印刷可能な用紙の種類が示されていない場合、印刷処理アプリケーション32aは、印刷装置は、写真印刷の場合は、普通紙、インクジェット専用紙、および光沢紙であり、文書印刷の場合は、普通紙のみ、というデフォルトのスペック情報を取得する。
上述したように、印刷処理アプリケーション32aが、スペック情報の取得を一通り終了した時点で、取得したスペック情報を、記憶部14に記憶させる。
また、ボタン116,118,120,122に対応する4台の印刷装置には、印刷能力の異なるもの、つまり、印刷スペックの異なるものがある。具体的には、例えば、ボタン116に対応する印刷装置では、印刷可能な用紙のサイズがL判、2L判、ハガキ、A5、B5、レター、およびA4サイズであるが、ボタン118に対応する印刷装置では、印刷可能な用紙のサイズが名刺、L判、2L判、ハガキ、A6、A5、B6、B5、レター、A4、リーガル、B4、およびA3サイズとなっている。また、例えば、ボタン120に対応する印刷装置では、カラー印刷が可能であるが、ボタン118に対応する印刷装置では、カラー印刷が不可能となっている。さらに言えば、例えば、ボタン120に対応する印刷装置では、インクジェット専用紙、光沢紙への印刷が可能であるが、ボタン122に対応する印刷装置では、インクジェット専用紙、光沢紙への印刷が不可能となっている。
このため、複数のボタン116,118,120,122のうちの任意のボタンが操作されると、操作されたボタンに対応した印刷装置、つまり、ユーザに選択された印刷装置の印刷スペックに応じて、携帯電話10において設定可能な設定値の範囲が限定される。ユーザに選択された印刷装置のことを、選択印刷装置と略して記載する場合がある。なお、選択印刷装置が選択されていない場合は、携帯電話10において設定可能な設定値は、デフォルトのスペック情報に基づいて限定される。
設定可能な設定値の範囲の限定について説明する。具体的には、例えば、ボタン116に対応する印刷装置では、印刷可能な用紙の最大サイズがA4サイズであり、最小サイズがL判サイズである。つまり、ボタン116に対応する印刷装置では、A4サイズより大きなサイズの用紙に対する印刷および、L判サイズより小さなサイズに対する印刷処理を行うことができない。このため、ボタン116に対応する印刷装置が選択された場合には、サイズ設定ボタン104の操作により設定可能な設定値から、A4サイズより大きなサイズおよび、L判サイズより小さなサイズが除かれる。以降、設定可能な設定値から除かれた設定値のことを、限定設定値と略して記載する場合もある。つまり、A4サイズより大きなサイズ若しくは、L判サイズより小さなサイズを選択するためのボタンは、パネル22に表示されないため、A4サイズより大きなサイズ若しくは、L判サイズより小さなサイズに対応する設定値は、選択不可能となる。一方、L判サイズからA4サイズを選択するためのボタンは、パネル22に表示されるため、選択可能となる。これにより、サイ
ズ設定ボタン104の操作により設定可能な設定値、つまり、ボタン116に対応する印刷装置の、用紙サイズについての設定範囲は、L判サイズを設定するための設定値(L判サイズ設定値と略して記載する場合もある)からA4サイズを設定するための設定値(A4サイズ設定値と略して記載する場合もある)となる。より具体的には、L判、2L判、ハガキ、A5、B5、レター、およびA4の設定値からなる範囲が、ボタン116に対応する印刷装置の、用紙サイズについての設定範囲である。
また、例えば、ボタン120に対応する印刷装置では、カラー印刷が可能であり、光沢紙への印刷も可能となっている。つまり、ボタン120に対応する印刷装置では、カラー印刷とモノクロ印刷との選択、および、光沢紙への印刷と普通紙への印刷との選択が可能である。このため、ボタン120に対応する印刷装置が選択された場合には、サイズ設定ボタン等110,112,114の下方に、カラー印刷とモノクロ印刷との設定ボタン(図示省略)および、光沢紙への印刷と普通紙への印刷との設定ボタン(図示省略)が追加される。これにより、ボタン120に対応する印刷装置に対して、カラー印刷の設定、光沢紙への印刷の設定等を行うことが可能となる。ちなみに、カラー印刷とモノクロ印刷との設定ボタンにより設定可能な設定値、つまり、印刷色の設定値は、カラー印刷を設定するための設定値(カラー印刷設定値と略して記載する場合もある)とモノクロ印刷を設定するための設定値(モノクロ印刷設定値と略して記載する場合もある)となる。光沢紙への印刷と普通紙への印刷との選択ボタンにより設定可能な設定値、つまり、印刷紙の設定値は、光沢紙への印刷を設定するための設定値(光沢紙印刷設定値と略して記載する場合もある)と普通紙への印刷を設定するための設定値(普通紙印刷設定値と略して記載する場合もある)となる。すなわち、カラー印刷、モノクロ印刷の設定値からなる範囲が、印刷色についての設定範囲である。光沢紙、普通紙の設定値からなる範囲が、印刷用紙についての設定範囲である。
一方、ボタン118に対応する印刷装置では、カラー印刷ができず、モノクロ印刷のみが可能となっている。このため、ボタン118に対応する印刷装置が選択された場合には、カラー印刷とモノクロ印刷との設定ボタンは、パネル22に表示されない。つまり、ボタン118に対応する印刷装置が選択された場合には、カラー印刷とモノクロ印刷との設定ボタンは、パネル22に表示されない。すなわち、印刷色という設定項目について、ユーザが任意の設定値を設定することそのものができなくなる。
なお、任意の設定項目について設定値の設定そのものができないようにした場合、印刷処理アプリケーション32aは、印刷装置から取得したスペックに関する情報に基づく設定値を、その設定項目の設定値として取得する。すなわち、ボタン118に対応する印刷装置の場合は、モノクロ印刷設定値が、印刷色の設定値として取得される。すなわち、カラー印刷設定値が、限定設定値となる。ただし、印刷装置が先に述べたデフォルト設定値に従った印刷処理を可能な場合は、その設定項目の設定値としてデフォルト設定値を取得してもよい。
また、現在の設定値の一部が、設定可能な設定値の範囲に入らない設定値である場合、言い換えれば、現在の設定値の一部が限定設定値である場合、印刷処理アプリケーション32aは、印刷装置から取得したスペックに関する情報に基づく設定値を、その設定項目の設定値として取得する。すなわち、印刷色の現在の設定値がカラー印刷設定値であり、ボタン118に対応する印刷装置が選択された場合、印刷処理アプリケーション32aは、モノクロ印刷設定値を、印刷色の設定値として取得する。ただし、印刷装置がデフォルト設定値に従った印刷処理を可能な場合は、デフォルト設定値を現設定値として適用してもよい。
このように、印刷アプリケーション32aにはそもそも、印刷装置が選択されたとき、
すでに取得していた、現在の設定値を用いる。少なくとも、選択された印刷装置が印刷処理可能な設定値をそのまま用いるという特徴がある。
先に記載した通り、スペック情報は、記憶部14に記憶される。このため、印刷装置の変更が行われない限り、選択された印刷装置の印刷スペックに応じて携帯電話10において設定可能な設定値の範囲が限定される。つまり、例えば、ボタン116に対応する印刷装置が選択された場合には、印刷装置の再選択が行われない限り、サイズ設定ボタン104の操作により設定可能な用紙サイズの設定値の範囲からは、A4サイズより大きなサイズおよび、L判サイズより小さなサイズが除かれる。
印刷設定を行うための画面が表示されると、ユーザは、パネル22を操作して、選択された印刷装置の印刷スペックに応じた設定可能な設定値のなかから、任意の設定値を選択し、印刷設定を行う。具体的には、複数の設定ボタンのいずれかが操作されると、印刷装置の印刷スペックに応じた設定可能な設定値の範囲で、いずれか設定ボタンが対応する設定項目の設定値を選択するための詳細設定画面(不図示)が表示されるので、ユーザは、パネル22を操作して、詳細設定画面において表示された、設定可能な設定値に対応するボタンのなかから、所望する設定値に対応するボタンを選択する。印刷設定を行うための画面において、リターンボタン(図示省略)が操作されると、印刷設定が終了したものとして、設定値が記憶部14に記憶される。すなわち、図2、図3(a)を表示した後、新たな設定値が取得された設定項目については、選択された設定値が記憶され、そうではない設定項目については、図2を表示する際に記憶部14から取得された設定値が記憶される。
リターンボタン(図示省略)が操作され、設定値が記憶部14に記憶されると、図4に示す画像100がパネル22に表示される。なお、画像100は、印刷設定に応じた態様で表示される。詳しくは、印刷設定において、用紙サイズの設定値が、レターサイズ設定値に設定されると、図に示すように、画像100はレターサイズに対応する大きさで表示される。さらに、メニューボタン104の側方には、選択されている印刷装置の名称および、印刷設定の設定値、具体的には、設定されている印刷用紙のサイズが表示される。これにより、選択されている印刷装置および、印刷設定の内容を、確認することが可能となる。ちなみに、図2の画像100に対しては、用紙サイズの設定値が、A4サイズ設定値とされており、画像100はA4サイズに対応する大きさで表示されている。
<設定範囲の限定を考慮した、NFCによる印刷指示の処理>
ここで、携帯電話10をMFP50に接近させるだけで、任意の画像を、MFP50により印刷させる場合を説明する。携帯電話10で設定された印刷設定は、先に述べたように、選択印刷装置の印刷スペックに応じた設定項目に対して、設定されているため、MFP50の印刷スペックと選択印刷装置のスペックが同等である場合は、携帯電話10をMFP50に接近させた後に、設定値を指定する入力が必要とせず、印刷を実行するとよい。しかしながら、MFP50の印刷スペックと選択印刷装置のスペックが同等でない場合は、選択印刷装置の印刷スペックと、MFP50の印刷スペックとの差により、MFP50の印刷能力を充分に発揮されない状態での印刷処理が行われるなど、MFP50の印刷能力に適応しない印刷処理が行われる虞がある。
具体的には、例えば、ボタン118に対応する印刷装置が選択されていた場合には、カラー印刷とモノクロ印刷との選択を行うことができず、印刷色の設定値は、モノクロ印刷設定値である。このため、例えば、カラー印刷とモノクロ印刷との選択を行うことが可能なMFP50に、モノクロ印刷設定値に設定された印刷設定の印刷指令が送信される場合がある。このような場合には、MFP50は、写真画像をカラー印刷することができるにも拘わらず、写真画像がモノクロ印刷される。つまり、MFP50の印刷能力を充分に発
揮されない状態での印刷処理が行われる。
このようなことに鑑みて、携帯電話10では、MFP50の印刷スペックと、選択印刷装置の印刷スペックとを比較し、比較結果に応じた印刷処理が実行される。詳しくは、携帯電話10は、MFP50の印刷スペックに関する情報を、MFP50から取得する。
MFP50の印刷スペックに関する情報の取得は、WFD方式の無線通信92若しくは、WF方式の無線通信90を用いて、行われる。詳しくは、MFP50の印刷スペックに関する情報を送信する旨の指令が、携帯電話10からMFP50に、WFD方式の無線通信92若しくは、WF方式の無線通信90を用いて送信される。そして、MFP50は、送信指令に基づいて、MFP50の印刷スペックに関する情報に関するデータを、WFD方式の無線通信92若しくは、WF方式の無線通信90を用いて、携帯電話10に送信する。これにより、携帯電話10は、MFP50の印刷スペックに関する情報を取得する。ちなみに、MFP50の印刷スペックに関する情報に基づく設定範囲は、印刷用紙サイズについて、ハガキサイズ設定値からA4サイズ設定値であり、印刷色について、カラー印刷設定値とモノクロ印刷設定値である。
また、携帯電話10では、選択印刷装置の印刷スペックに関する情報が、記憶部14から取得される。具体的には、例えば、選択印刷装置として、ボタン118に対応する印刷装置が設定されている場合には、印刷用紙サイズの設定範囲は、名刺サイズ設定値からA3サイズ設定値であり、印刷色の設定範囲は、モノクロ印刷設定値である。
MFP50の印刷スペックに関する情報および、選択印刷装置の印刷スペックに関する情報が取得されると、MFP50の印刷スペックに関する情報と選択印刷装置の印刷スペックに関する情報とに基づき、一方の設定範囲に含まれる設定値が、他方の設定範囲に含まれる設定値に対して広いか狭いかが判定される。つまり、MFP50の印刷スペックに関する情報に基づく設定値の設定範囲をMFP設定範囲とし、選択印刷装置の印刷スペックに関する情報に基づく設定値の設定範囲を選択装置設定範囲とした場合に、MFP設定範囲と選択装置設定範囲との何れの範囲が広いか、若しくは、狭いかが判定される。
選択装置設定範囲がMFP設定範囲より広い場合には、選択装置設定範囲に含まれる設定値に、MFP設定範囲に含まれる設定値が全て含まれており、さらに、MFP設定範囲に含まれる設定値と異なる設定値も含まれている。一方、選択装置設定範囲がMFP設定範囲より狭い場合には、MFP設定範囲に含まれる設定値に、選択装置設定範囲に含まれる設定値が全て含まれており、さらに、選択装置設定範囲に含まれる設定値と異なる設定値も含まれている。なお、選択装置設定範囲に含まれる設定値と、MFP設定範囲に含まれる設定値と、がすべて同じ場合は、選択装置設定範囲とMFP設定範囲が同じ場合である。
選択装置設定範囲がMFP設定範囲より狭い場合には、上述したように、MFP50の印刷スペックに関する情報に基づく設定値に、選択印刷装置の印刷スペックに関する情報に基づく設定値と異なる設定値も含まれている。このため、MFP50で実行可能な印刷処理を、携帯電話10で設定することができない。具体的には、例えば、選択印刷装置として、ボタン118に対応する印刷装置が設定されている場合には、モノクロ印刷とカラー印刷とを選択することができない。一方、MFP50では、カラー印刷処理を行うことが可能である。このような場合には、MFP50の印刷能力を充分に発揮可能な状態で印刷処理ができない。
このようなことに鑑みて、携帯電話10では、選択装置設定範囲がMFP設定範囲より狭い場合には、MFP設定範囲に含まれるが、選択装置設定範囲に含まれない設定値を設
定するための設定ボタン(図示省略)が、パネル22に表示される。具体的には、例えば、選択印刷装置において、カラー印刷とモノクロ印刷との選択が不可能であり、MFP50において、カラー印刷とモノクロ印刷との選択が可能である場合には、印刷色の設定ボタンが、図3(a)に示す印刷設定を行うための画面に追加表示される。
このように、印刷色の設定ボタンがパネル22に表示されるということは、印刷指示の出力が、一旦、制限され、ユーザに再度、印刷設定を行う機会が与えられる。つまり、ユーザは、設定ボタンの表示により、印刷指示の出力の制限を認知する。そして、携帯電話10で、印刷色の設定値として、カラー印刷設定値を設定すること可能となり、カラー印刷での印刷処理を行うための指令データが、携帯電話10からMFP50に送信される。これにより、ユーザは、MFP50の印刷スペックに応じた印刷設定を行うことが可能となり、MFP50の印刷能力を充分に発揮可能な状態で印刷処理を行うことが可能となる。
また、新たに表示された設定ボタンが操作されない場合には、ユーザは、現在の設定値での印刷処理を望んでいると想定できる。つまり、ユーザは、現在の設定値での印刷処理を許容していると想定できる。このため、新たに表示された設定ボタンが操作されない場合には、現在の設定値に従った印刷処理を行うための指令データが、携帯電話10からMFP50に送信される。
一方、選択装置設定範囲がMFP設定範囲より広い場合には、上述したように、選択印刷装置の印刷スペックに関する情報に基づく設定値に、MFP50の印刷スペックに関する情報に基づく設定値と異なる設定値も含まれている。つまり、MFP50で実行できない印刷処理に応じた設定値が、携帯電話10で設定可能な設定値に含まれている。このような場合には、ユーザの意思に従った印刷処理を、適切に行うことができない虞がある。
具体的には、例えば、選択印刷装置として、ボタン118に対応する印刷装置が設定されている場合には、用紙サイズの設定値は、名刺サイズ設定値からA3サイズ設定値となっている。一方、MFP50では、用紙サイズの設定値として、ハガキサイズ設定値からA4サイズ設定値である。このため、例えば、印刷可能な最大の用紙サイズがA4サイズであるMFP50に、用紙サイズの設定値がA3サイズ設定値に設定された印刷指令が送信される場合がある。このような場合には、MFP50では、A3サイズの印刷処理を行うことができないため、印刷指令に基づく印刷処理が行われない。若しくは、A4サイズに縮小された状態での印刷処理、A3サイズの画像のうちのA4サイズに相当する部分のみの画像の印刷処理等が行われる。つまり、ユーザの意思に従った印刷処理を、適切に行うことができない。
このため、携帯電話10での印刷設定時に、MFP50で実行できない印刷処理の設定値が設定されている場合、つまり、携帯電話10で実際に設定されている設定値が、MFP50の印刷スペックに関する情報に基づく設定値に含まれない場合には、現在の印刷設定では、印刷処理を行えない旨の表示がパネル22に表示される。つまり、現在の印刷設定では、印刷指示の出力を制限することが、パネル22に表示される。この際、選択装置設定範囲がMFP設定範囲より狭い場合と同様に、選択装置設定範囲に含まれない設定値を設定するための設定ボタン(図示省略)が、パネル22に表示される。これにより、MFP50の印刷スペックに応じた印刷設定を行うことが可能となり、ユーザの意思に従った印刷処理を行うことが可能となる。
なお、選択装置設定範囲がMFP設定範囲より広い場合であっても、印刷処理を問題なく実行することができる場合がある。具体的には、携帯電話10で設定可能な最大の用紙サイズがA3サイズであるが、ユーザが、用紙サイズの設定値としてA4サイズ設定値を
設定している場合がある。このような場合には、MFP50で処理可能な最大の用紙サイズがA4サイズであるため、印刷処理を問題なく実行することが可能である。つまり、選択装置設定範囲がMFP設定範囲より広い場合であっても、携帯電話10で実際に設定されている設定値が、MFP設定範囲に含まれる場合には、携帯電話10で設定された印刷設定に従って、画像100の印刷処理が行われる。
<印刷アプリケーション>
上述した印刷装置の選択および、選択された印刷装置の印刷スペックに応じた設定値の設定は、印刷処理アプリケーション32aがCPU12によって実行されることで行われる。以下に、図5乃至図8を用いて、印刷処理アプリケーション32aの処理について説明する。
携帯電話10の電源が入り、印刷処理アプリケーション32aが起動されるとメインフローの処理が開始される。メインフローのS100において、CPU12は、ユーザ操作により選択された写真印刷と文書印刷とのいずれかのコンテンツデータを受け付ける。つまり、写真印刷と文書印刷との選択ボタンが操作されたことにより発生したデータを、OS32cを介して取得し、選択ボタンに対応する、選択された印刷対象のコンテンツデータを、OS32cを介して取得する。そして、S102に進む。JPEG形式の写真画像データが、写真印刷のときのコンテンツデータの例である。PDF形式の文書データが、写真印刷のときのコンテンツデータの例である。
S102において、CPU12は、選択印刷装置に関する情報を取得する。つまり、記憶部14に記憶されている選択印刷装置に設定された装置名、IPアドレス、設定値、スペック情報を示すデータを、OS32cを介して、取得する。そして、S104に進む。S104において、CPU12は、取得した選択印刷装置の情報に基づいて、図2に示す印刷指示画面を表示する。つまり、取得した選択印刷装置の情報に基づいて印刷指示画面をパネル22に表示するための画面データを、OS32aを介して出力する。そして、S106に進む。
S106において、CPU12は、戻りボタン102、送りボタン103が操作されたか否かを判定する。つまり、戻りボタン102、送りボタン103の操作により発生したデータを、OS32cを介して取得したか否かを判定する。戻りボタン102、送りボタン103が操作された場合(S106:YES)には、S108に進む。S108において、CPU12は、戻りボタン102、送りボタン103の操作に応じて、パネル22に表示される画像100を切り換える。つまり、戻りボタン102、送りボタン103の操作に応じた画像100をパネル22に表示するための画面データを、OS32aを介して出力する。そして、S106に戻る。JPEG形式の写真画像データ1つに基づく画像が、写真印刷のときの画像100の例である。PDF形式の文書データ内の1ページ分のページデータに基づく画像が、文書印刷のときの画像100の例である。
一方、戻りボタン102、送りボタン103が操作されていない場合(S106:NO)には、S110に進む。S110において、CPU12は、メニューボタン104が操作されたか否かを判定する。つまり、メニューボタン104の操作により発生したデータを、OS32cを介して取得したか否かを判定する。メニューボタン104が操作されていない場合(S110:NO)には、S112に進む。
S112において、CPU12は、印刷ボタン128が操作されたか否かを判定する。つまり、印刷ボタン128の操作により発生したデータを、OS32cを介して取得したか否かを判定する。印刷ボタン128が操作されていない場合(S112:NO)には、S106に戻る。一方、印刷ボタン128が操作された場合(S112:YES)には、
S114に進む。S114において、CPU12は、無線LANI/F18がWF方式若しくはWFD方式の無線通信90,若しくは92によってMFP50に送信するよう、印刷対象の画像100の画像データ、そのデータに基づく画像100の印刷指令および、各設定項目に設定されている設定値に関するデータを出力する。このとき出力する設定値に関するデータは、後述するS128において記憶部14に記憶させた設定値に基づくデータである。<設定範囲の限定>で述べたように、S128において記憶部14に記憶させた設定値は、選択印刷装置の印刷スペックに基づいて限定された設定範囲から設定された設定値である。そして、本フローの処理が終了する。
また、S110でメニューボタン104が操作された場合(S110:YES)には、S116に進む。S116において、CPU12は、印刷設定サブルーチンに従った処理を実行する。印刷設定サブルーチンでは、S118において、CPU12は、図3(a)に示す印刷設定画面をパネル22に表示する。つまり、印刷設定画面をパネル22に表示するための画面データを、OS32aを介して出力する。<設定範囲の限定>で述べたように、CPU12は、S118において、選択印刷装置の印刷スペックに基づいて限定された設定範囲で設定値を設定するための印刷設定画面の画面データを出力する。そして、S120に進む。
S120において、CPU12は、装置選択ボタン106,108が操作されたか否かを判定する。つまり、装置選択ボタン106,108の操作により発生したデータを、OS32cを介して取得したか否かを判定する。装置選択ボタン106,108が操作されていない場合(S120:NO)には、S122に進む。S122において、CPU12は、設定ボタン110〜114が操作されたか否かを判定する。つまり、設定ボタン110〜114の操作により発生したデータを、OS32cを介して取得したか否かを判定する。設定ボタン110〜114が操作されていない場合(S122:NO)には、S126に進む。
一方、設定ボタン110〜114が操作された場合(S122:YES)には、S124に進む。S124において、CPU12は、<設定範囲の限定>に述べたように、設定ボタン110〜114、および、設定ボタン110〜114とは異なる設定ボタンのうちいずれかの操作により、詳細設定画面を表示するための画面データの出力を行い、表示された詳細設定画面への操作によって設定された設定値を取得する。つまり、詳細設定画面に表示された、設定可能な設定値に対応するボタンへの操作によって発生したデータを、OS32cを介して取得し、対応する設定値を取得する。そして、S126に進む。
S126において、CPU12は、リターンキーが操作されたか否かを判定する。つまり、リターンキーの操作により発生したデータを、OS32cを介して取得したか否かを判定する。リターンキーが操作されていない場合(S126:NO)には、S120に戻る。一方、リターンキーが操作された場合(S126:YES)には、S128に進む。
S128において、CPU12は、設定値を記憶部14の不揮発性メモリに記憶する。つまり、設定値を記憶部14に記憶させるためのデータを、OS32cを介して出力する。そして、印刷設定サブルーチンの処理が終了する。印刷設定サブルーチンの処理が終了すると、メインルーチンのS102に戻る。そして、S102以降の処理が行われる。
また、印刷設定サブルーチンのS120で、装置選択ボタン106,108が操作された場合(S120:YES)には、S130に進む。S130において、<設定範囲の限定>に述べたように、CPU12は、印刷装置に関するデータを取得する。つまり、CPU12は、無線LANI/F18がWF方式の無線通信90によって印刷装置に送信するよう、印刷装置の名称やIPアドレスに関するデータを要求する指令を出力する。そして
、無線LANI/F18が印刷装置の名称やIPアドレスに関するデータを受信した場合に、無線LANI/F18が受信したデータを、OS32cを介して取得する。そして、S132に進む。
S132において、CPU12は、取得した印刷装置の名称やIPアドレスに関するデータに基づく情報を、印刷設定画面に表示する。つまり、取得した印刷装置の名称やIPアドレスを印刷設定画面に表示させるための画面データを、OS32cを介して出力する。そして、S134に進む。
S134において、CPU12は、ユーザ操作により選択された選択印刷装置に関するデータを取得する。つまり、印刷装置を選択するためのボタン116,118,120,122が操作されたことにより発生したデータを、OS32cを介して取得する。そして、S136に進む。
S136において、CPU12は、選択印刷装置の印刷スペックに関する情報を取得する。つまり、CPU12は、<設定範囲の限定>に述べたように、無線LANI/F18がWF方式の無線通信90によって選択印刷装置に送信するよう、選択印刷装置の印刷スペックに関する情報を要求する指令を出力する。そして、無線LANI/F18が選択印刷装置の印刷スペックに関する情報を受信した場合に、無線LANI/F18が受信したデータを、OS32cを介して取得する。そして、S138に進む。
S138において、CPU12は、取得した選択印刷装置の印刷スペックに関する情報を記憶部14に記憶するためのデータを、OS32cを介して出力する。S138で記憶部14に記憶された、選択印刷装置の印刷スペックに関する情報が、先に述べたS102によって取得され、S102以降の処理が実行されることにより、選択印刷装置の印刷スペックに関する情報、つまり、選択印刷装置の設定範囲に含まれる設定値に、携帯電話10で設定可能な設定値が限定される。そして、S118に戻る。
<NFCによる印刷指示>、<設定範囲の限定を考慮した、NFCによる印刷指示の処理>に述べた、選択印刷装置の印刷スペックとMFP50の印刷スペックとの比較に基づく、MFP50の印刷処理は、印刷処理アプリケーション32aがCPU12によって実行されることで行われる。以下に、図9乃至図12を用いて、印刷処理アプリケーション32aの処理について説明する。
携帯電話10の電源が入り、印刷処理アプリケーション32aが起動されるとメインフローの処理が開始される。メインフローのS200において、CPU12は、NFC方式の無線通信94が確立しているか否かを判定する。具体的には、NFC方式の無線通信94が確立したときにOS32cが出力するイベントデータを取得できた場合、NFC方式の無線通信94が確立していると判定する。NFC方式の無線通信94が確立していない場合(S200:NO)には、S200の処理が繰り返される。一方、NFC方式の無線通信94が確立している場合(S200:YES)には、S202に進む。S202において、CPU12は、上述したハンドオーバ処理を実行する。そして、S206に進む。
S206において、CPU12は、図8乃至図10に示す設定範囲比較処理サブルーチンを実行する。
設定範囲比較処理サブルーチンでは、S230において、CPU12は、選択印刷装置が設定されているか否かを判定する。つまり、選択印刷装置の印刷スペックに関する情報が記憶部14に記憶されているか否かを判定する。すなわち、選択印刷装置が設定されている場合とは、S138において選択印刷装置の印刷スペックに関する情報が記憶部14に記憶された後、という場合である。選択印刷装置が設定されている場合(S230:Y
ES)には、S232に進む。S232において、CPU12は、選択印刷装置の印刷スペックを取得する。つまり、CPU12は、記憶部14に記憶されている選択印刷装置の印刷スペックに関する情報を、OS32cを介して、比較用情報として取得する。そして、S234に進む。
印刷装置が設定されていない場合(S230:NO)には、S236に進む。S236において、CPU12は、印刷対象の画像として写真画像が選択されているか否かを判定する。印刷対象の画像として写真画像が選択されている場合(S236:YES)には、S238に進む。S238において、CPU12は、予めプログラミングされた、写真印刷のデフォルトの設定値、つまり、写真印刷用に予め設定された印刷スペックを、比較用情報として取得する。そして、S234に進む。
一方、印刷対象の画像として文書画像が選択されている場合(S236:NO)には、S240に進む。S240において、CPU12は、予めプログラミングされた、文書印刷のデフォルトの設定値、つまり、文書印刷用に予め設定された印刷スペックを、比較用情報として取得する。そして、S234に進む。
S234において、CPU12は、無線LANI/F18がWF方式若しくはWFD方式の無線通信90,若しくは92によってMFP50に送信するよう、MFP50の印刷スペック、つまり、MFP設定範囲に関するデータを要求する指令を、OS32cを介して出力する。そして、S242に進む。S242において、CPU12は、無線LANI/F18がMFP50の印刷スペックに関する情報を受信した場合に、無線LANI/F18が受信したデータを、OS32cを介して取得する。
そして、S244に進む。S244において、CPU12は、MFP設定範囲と比較用情報に基づく設定範囲とが同じであるか否かを判定する。つまり、S232において、選択印刷装置の印刷スペックに関する情報を、CPU12が比較用情報として取得している場合は、<設定範囲の限定を考慮した、NFCによる印刷指示の処理>に述べたように、MFP設定範囲と選択装置設定範囲とが同じであるか否かが判定される。S238またはS240において、デフォルトの印刷スペックを、比較用情報として取得している場合は、MFP設定範囲と、デフォルトの印刷スペックに基づく設定範囲とが同じであるか否かが判定される。MFP設定範囲と、デフォルトの印刷スペックに基づく設定範囲とが同じであるか否かの判定方法は、MFP設定範囲と選択装置設定範囲とが同じであるか否かの判定方法に準ずる。
具体的には、MFP設定範囲に含まれる印刷色の設定値が、カラー印刷設定値とモノクロ印刷設定値であり、比較用情報に基づく設定範囲に含まれる印刷色の設定値が、カラー印刷設定値とモノクロ印刷設定値である場合に、MFP設定範囲と比較用情報に基づく設定範囲とが同じであると判定される。一方、MFP設定範囲に含まれる印刷色の設定値が、カラー印刷設定値とモノクロ印刷設定値であり、比較用情報に基づく設定範囲に含まれる印刷色の設定値が、カラー印刷設定値である場合には、MFP設定範囲と比較用情報に基づく設定範囲とが同じでないと判定される。
MFP設定範囲と比較用情報に基づく設定範囲とが同じである場合(S244:YES)には、本サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンのS208に進む。一方、MFP設定範囲と比較用情報に基づく設定範囲とが同じでない場合(S244:NO)には、S246に進む。
S246において、CPU12は、比較用情報に基づく設定範囲がMFP設定範囲より狭いか否かが判定される。つまり、S232において、選択印刷装置の印刷スペックに関
する情報を、CPU12が比較用情報として取得している場合は、<設定範囲の限定を考慮した、NFCによる印刷指示の処理>に述べたように、選択装置設定範囲がMFP設定範囲より狭いか否かが判定される。S238またはS240において、デフォルトの印刷スペックを、比較用情報として取得している場合は、デフォルトの印刷スペックに基づく設定範囲がMFP設定範囲より狭いか否かが判定される。デフォルトの印刷スペックに基づく設定範囲がMFP設定範囲より狭いか否かの判定方法は、選択装置設定範囲がMFP設定範囲より狭いか否かの判定方法に準ずる。
具体的には、MFP設定範囲に含まれる印刷色の設定値が、カラー印刷設定値とモノクロ印刷設定値であり、比較用情報に基づく設定範囲に含まれる印刷色の設定値が、モノクロ印刷設定値である場合には、比較用情報に基づく設定範囲がMFP設定範囲より狭いと判定される。一方、MFP設定範囲に含まれる印刷色の設定値が、モノクロ印刷設定値であり、比較用情報に基づく設定範囲に含まれる印刷色の設定値が、カラー印刷設定値とモノクロ印刷設定値である場合には、比較用情報に基づく設定範囲がMFP設定範囲より広いと判定される。
比較用情報に基づく設定範囲がMFP設定範囲より狭い場合(S246:YES)には、S248に進む。S248において、CPU12は、<設定範囲の限定を考慮した、NFCによる印刷指示の処理>に述べたように、MFP50の印刷スペックに応じた設定ボタンをパネル22に表示させるためのデータを、OS32cを介してパネル22に出力する。つまり、MFP設定範囲に含まれる設定値のうちの比較用情報に基づく設定範囲に含まれない設定値を選択するための設定ボタンが、パネル22に表示される。具体的には、MFP設定範囲に含まれる印刷色の設定値が、カラー印刷設定値とモノクロ印刷設定値であり、比較用情報に基づく設定範囲に含まれる印刷色の設定値が、モノクロ印刷設定値である場合には、カラー印刷設定値を選択するための設定ボタン、つまり、印刷色を設定するための設定ボタンが、パネル22に表示される。そして、S250に進む。
S250において、CPU12は、S248で表示された設定ボタンが操作されたか否かを判定する。つまり、S248で表示された設定ボタンの操作により発生したデータを、OS32cを介して取得したか否かを判定する。S248で表示された設定ボタンが操作されていない場合(S250:NO)には、本サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンのS208に進む。S248で表示された設定ボタンが操作されていない場合とは、設定ボタンがパネル22に表示されてから、設定ボタンが操作されないまま所定時間経過した場合である。
一方、S248で表示された設定ボタンが操作された場合(S250:YES)には、S252に進む。S252において、CPU12は、ボタン操作に従って印刷設定を変更する。つまり、ボタン操作により発生したデータを、OS32cを介して取得し、そのデータに基づいて、設定項目の設定値を変更する。そして、S254に進む。S254において、CPU12は、変更した設定項目の設定値に従って、パネル22に表示される画像100の表示態様を変更する。つまり、例えば、用紙サイズの設定値がA4サイズ設定値からハガキサイズ設定値に変更された場合には、図2に示す画像100の表示態様から、図4に示す画像100の表示態様に変更する。そして、本サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンのS208に進む。
また、S246で比較用情報に基づく設定範囲がMFP設定範囲より広い場合(S246:NO)には、S256に進む。S256において、CPU12は、携帯電話10に現在設定されている設定値がMFP設定範囲に含まれるか否かを判定する。つまり、<設定範囲の限定を考慮した、NFCによる印刷指示の処理>に述べたように、S128において記憶部14に記憶された設定値がMFP設定範囲に含まれるか否かが判定される。
具体的には、MFP設定範囲に含まれる印刷色の設定値が、カラー印刷設定値とモノクロ印刷設定値であり、携帯電話10に現在設定されている設定値が、モノクロ印刷設定値である場合には、携帯電話10に現在設定されている設定値が、MFP設定範囲に含まれる印刷色の設定値の中に同じものがある。したがって、この場合には、携帯電話10に現在設定されている設定値がMFP設定範囲に含まれると判定される。一方、MFP設定範囲に含まれる印刷色の設定値が、カラー印刷設定値であり、携帯電話10に現在設定されている設定値が、モノクロ印刷設定値である場合には、携帯電話10に現在設定されている設定値が、MFP設定範囲に含まれる印刷色の設定値の中に同じものがない。したがって、この場合には、携帯電話10に現在設定されている設定値がMFP設定範囲に含まれないと判定される。
携帯電話10に現在設定されている設定値がMFP設定範囲に含まれる(S256:YES)には、本サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンのS208に進む。
一方、携帯電話10に現在設定されている設定値がMFP設定範囲に含まれない場合(S256:NO)には、S258に進む。S258において、CPU12は、現在の印刷設定では印刷不能である旨のメッセージを、パネル22に表示する。つまり、現在の印刷設定では印刷不能である旨のメッセージを表示させるためのデータを、OS32cを介してパネル22に出力する。そして、S248に進み、S248以降の処理が行われる。これにより、本サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンのS208に進む。
メインルーチンのS208において、CPU12は、無線LANI/F18がWF方式若しくはWFD方式の無線通信90,若しくは92によってMFP50に送信するよう、印刷対象の画像100の画像データ、そのデータに基づく画像100の印刷指令および、設定項目に設定されている設定値に関するデータを出力する。そして、本フローの処理が終了する。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る携帯電話10の動作を説明する。なお、第2実施形態における携帯電話10の構成は、第1実施形態における携帯電話10の構成と同じであるため、ここでは説明を省略する。
第1実施形態にかかる携帯電話10では、携帯電話10に現在設定されている設定値がMFP設定範囲に含まれない場合(図12参照;S256:NO)には、MFP設定範囲に対応した設定ボタンがパネル22に表示されていたが(図11参照;S248)、パネル22に、図3に示す印刷設定画面を表示することが可能である。図13を用いて、第2実施形態にかかる携帯電話10での印刷処理を行うためのフローを説明する。ただし、本フローは、図9乃至図12に示すフローと、図12に示すフローを除いて同じであり、図13に示すフローは、図12に示すフローに相当する。このため、図13に示すフローのみを簡略化して説明する。
図13に示すフローでは、S300,S302において、CPU12は、図12に示すS256、S258と同じ処理を実行する。そして、S304に進む。S304において、CPU12は、図3に示す印刷設定画面をパネル22に表示するための画面データを、OS32cを介して出力する。そして、S306に進む。S306において、CPU12は、印刷設定が変更されたか否かを判定する。つまり、印刷設定画面に表示されている設定ボタン110〜114の操作により発生したデータを、OS32cを介して取得したか否かを判定する。
印刷設定が変更されていない場合(S306:NO)には、設定範囲比較処理サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンの実行も終了する。つまり、印刷処理アプリケーション32aの実行が終了する。一方、印刷設定が変更された場合(S306:YES)には、S308に進む。
S308において、CPU12は、変更された設定値がMFP設定範囲に含まれるか否かを判定する。変更された設定値がMFP設定範囲に含まれるか否かの判定方法は、携帯電話10に現在設定されている設定値がMFP設定範囲に含まれるか否かの判定方法に準ずる。変更された設定値がMFP設定範囲に含まれない場合(S308:NO)には、本サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンの実行も終了する。つまり、本アプリケーション32aの実行が終了する。一方、変更された設定値がMFP設定範囲に含まれる場合(S308:YES)には、本サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンのS208に進む。
上記フローにより、携帯電話10に現在設定されている設定値がMFP設定範囲に含まれない場合に、ユーザは、印刷設定画面に表示されている設定ボタン110〜114から任意の設定値を設定し、印刷装置に所望の設定値に従った印刷をさせることが可能である。
また、携帯電話10に現在設定されている設定値がMFP設定範囲に含まれない場合に、上述したように、印刷設定画面をパネル22に表示するのではなく、自動で設定値を変更することが可能である。詳しくは、携帯電話10に現在設定されている設定値がMFP設定範囲に含まれない場合に、携帯電話10に現在設定されている設定値を、第1実施形態で述べた、デフォルト設定値に変更することが可能である。例えば、デフォルト設定値として、A4サイズ設定値、モノクロ印刷設定値、普通紙設定値が設定されている。図14を用いて、携帯電話10に現在設定されている設定値をデフォルト設定値に変更するためのフローを説明する。ただし、本フローは、図9乃至図12に示すフローと、図12に示すフローを除いて同じであり、図14に示すフローは、図12に示すフローに相当する。このため、図14に示すフローのみを簡略化して説明する。
図14に示すフローでは、S400,S402において、CPU12は、図12に示すS256、S258と同じ処理を実行する。そして、S404に進む。S404において、CPU12は、携帯電話10に現在設定されている設定値を、予め設定されているデフォルト値に変更する。そして、本サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンのS208に進む。
上記フローにより、携帯電話10に現在設定されている設定値が、MFP50で印刷処理可能な設定の設定値に自動で変更される。これにより、ユーザは、再設定の操作を行うことなく、印刷処理を行うことが可能となる。
また、携帯電話10に現在設定されている設定値がMFP設定範囲に含まれない場合に、上述したように、携帯電話10に現在設定されている設定値をデフォルト設定値に変更せずに、印刷処理を終了することが可能である。図15を用いて、携帯電話10に現在設定されている設定値がMFP設定範囲に含まれない場合に印刷処理を終了するためのフローを説明する。ただし、本フローは、図14に示すフローと略同じであるため、図15に示すフローを簡略化して説明する。
図15に示すフローでは、S500,S502において、CPU12は、図14に示すS400、S402と同じ処理を実行する。そして、本サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンの実行も終了する。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る携帯電話10の動作を説明する。なお、第3実施形態における携帯電話10の構成は、第1実施形態における携帯電話10の構成と同じであるため、ここでは説明を省略する。
第1実施形態にかかる携帯電話10では、比較用情報に基づく設定範囲がMFP設定範囲より狭い場合(図11参照;S246:YES)には、MFP設定範囲に対応した設定ボタンがパネル22に表示されていたが(図11参照;S248)、印刷を続行するか否かのユーザ操作を受けるける選択ボタンをパネル22に表示することが可能である。図16を用いて、第3実施形態にかかる携帯電話10での印刷処理を行うためのフローを説明する。ただし、本フローは、図9乃至図12に示すフローと、図11に示すフローを除いて同じであり、図16に示すフローは、図11に示すフローに相当する。このため、図16に示すフローのみを簡略化して説明する。
図16に示すフローでは、S600,S602において、CPU12は、図11に示すS244、S246と同じ処理を実行する。そして、S604に進む。S604において、CPU12は、最適でない印刷設定での印刷処理を続行するか否かを選択するための選択ボタンをパネル22に表示するための画面データを、OS32cを介して出力する。そして、S606に進む。S606において、CPU12は、最適でない印刷設定での印刷処理を続行するための選択ボタンが操作されたか否かを判定する。つまり、最適でない印刷設定での印刷処理を続行するための選択ボタンの操作により発生したデータを、OS32cを介して取得したか否かを判定する。最適でない印刷設定での印刷処理を続行するための選択ボタンが操作された(S606:YES)には、本サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンのS208に進む。一方、最適でない印刷設定での印刷処理を続行するための選択ボタンが操作されていない(S606:NO)には、本サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンの実行も終了する。
上記フローにより、ユーザの意思に従った印刷処理を行うことが可能となるので、ユーザにとっては安心でき、かつ、便利である。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る携帯電話10の動作を説明する。なお、第4実施形態における携帯電話10の構成は、第1実施形態における携帯電話10の構成と同じであるため、ここでは説明を省略する。
第1実施形態にかかる携帯電話10では、MFP設定範囲が、WF方式の無線通信90若しくはWFD方式の無線通信92を用いて取得されるが、第2実施形態にかかる携帯電話10では、MFP設定範囲が、WF方式の無線通信90若しくはWFD方式の無線通信92の確立と並行して、NFC方式の無線通信94を用いて取得される。そして、WF方式の無線通信90若しくはWFD方式の無線通信92の確立と並行して、MFP設定範囲と比較用情報に基づく設定範囲との比較が行われる。図17を用いて、第4実施形態にかかる携帯電話10での印刷設定を行うためのフローを説明するが、本フローは、図9に示すフローと略同じであることから、簡略化して説明する。
まず、S700,S702において、CPU12は、図9に示すS200,S202と同じ処理を実行する。そして、S704に進む。S704において、CPU12は、図9に示すS706と略同じ処理を実行する。ただし、MFP設定範囲に関するデータを要求する指令および、MFP設定範囲の受信は、NFC方式の無線通信94を用いて行われる。
詳しくは、S704のスペック比較処理サブルーチンでは、S234において、CPU12は、NFCI/F20がNFC方式の無線通信94によってMFP50に送信するよう、MFP50の印刷スペック、つまり、MFP設定範囲に関するデータを要求する指令を、OS32cを介して出力する。そして、S242に進む。S242において、CPU12は、NFCI/F20がMFP50の印刷スペックに関する情報を受信した場合に、NFCI/F20が受信したデータを、OS32cを介して取得する。S704のスペック比較処理サブルーチンが終了すると、S706において、CPU12は、図9に示すS208と同じ処理を実行する。そして、本フローの実行が終了する。
このように、第4実施形態の携帯電話10では、MFP設定範囲の取得が、NFC方式の無線通信94を用いて、WF方式の無線通信90若しくはWFD方式の無線通信92の確立と並行して行われる。そして、WF方式の無線通信90若しくはWFD方式の無線通信92の確立と並行して、MFP設定範囲と比較用情報に基づく設定範囲との比較が行われる。WF方式の無線通信90若しくはWFD方式の無線通信92の接続を確立させるためには、接続が開始されてから比較的長い時間を要するが、第4実施形態の携帯電話10では、その時間を利用して、MFP設定範囲の取得,MFP設定範囲と比較用情報に基づく設定範囲との比較が行われる。これにより、印刷処理に要する時間を短縮することが可能となる。
<変形例>
第2実施形態では、MFP設定範囲の取得,MFP設定範囲と比較用情報に基づく設定範囲との比較が、WF方式の無線通信90若しくはWFD方式の無線通信92の確立と並行して行われるが、種々の設定を、WF方式の無線通信90若しくはWFD方式の無線通信92の確立と並行して行うことが可能である。種々の設定としては、MFP設定範囲と比較用情報に基づく設定範囲との比較に用いられない印刷設定の設定値の設定、具体的には、印刷枚数の設定等、また、印刷設定と関係のない設定等が挙げられる。
また、ハンドオーバ処理により確立される無線通信は、NFC方式の無線通信より高速な方式であれば、WF方式若しくは、WFD方式の無線通信に限られず、種々の無線通信を採用することが可能である。例えば、Bluetooth等が挙げられる。
また、ハンドオーバ処理により確立される無線通信は、NFC方式の無線通信より通信可能距離が長い、種々の無線通信方式を、WF方式若しくは、WFD方式の無線通信に限られず採用することが可能である。例えば、Bluetooth等が挙げられる。
また、印刷処理に用いられる設定としては、数値等に限られず、フラグ,文字列等の記号であってもよい。
また、携帯電話10からMFP50に送信される画像データは、画像データそのものであってもよく、設定値に従って印刷装置が処理できるように加工された画像データであってもよい。
また、デフォルト値は、印刷処理アプリケーション32aに予めプログラミングされているものであってもよく、携帯電話10に印刷処理アプリケーション32aがインストールされる際に、携帯電話10の記憶部14に記憶されたものであってもよい。
また、モデル名に対応するスペック情報は、携帯電話10に印刷処理アプリケーション32aをインストールするときに、携帯電話10の記憶部14に記憶された情報であってもよい。
また、選択印刷装置の印刷スペックに関する情報として、モデル情報を、CPU12が比較用情報として取得している場合に、選択印刷装置のモデル情報と、MFP50のモデル情報とが一致する場合にMFP設定範囲と選択装置設定範囲とが同じであると判断してもよい。
また、モデル情報の比較だけで同じスペックのモデルであると判断できる場合は、MFP設定範囲と選択装置設定範囲とが同じであると判断してもよい。
また、第3実施形態で、ハンドオーバ処理の実行(図15参照:S502)と並行して、スペック比較処理サブルーチン(図15参照:S504)を実行することが可能である。
また、MFP設定範囲に対応した設定ボタンの表示(図11参照:S248)とともに、選択印刷装置の設定範囲に限定されていたため、印刷指示の出力を一旦制限したことを、パネル22に表示してもよい。
また、MFP設定範囲に対応した設定ボタンの表示(図11参照:S248)とともに、印刷処理をキャンセルするためのボタンをパネル22に表示してもよい。なお、キャンセルボタンが操作された場合には、メインルーチンのS208に進む。
また、MFP設定範囲に対応した設定ボタンの表示(図11参照:S248)に替えて、S118に準じた方法で、MFP50の印刷スペックに基づいて限定された設定範囲で設定値を設定するための印刷設定画面を、パネル22に表示してもよい。印刷設定画面が表示された場合、リターンキーの操作により、S252に進む。さらに、印刷設定画面とともに、選択印刷装置の設定範囲に限定されていたため、印刷指示の出力を一旦制限したことを、パネル22に表示してもよい。
また、MFP設定範囲と比較用情報に基づく設定範囲とが同じであるか否かを判定する処理(S244)と、比較用情報に基づく設定範囲がMFP設定範囲より狭いか否かを判定する処理(S246)とを入れ替えてもよい。この場合、S242の処理が終了した後に、S246の処理を実行する。そして、比較用情報に基づく設定範囲がMFP設定範囲より狭い場合(S246:YES)には、S248以降の処理を行う。一方、比較用情報に基づく設定範囲がMFP設定範囲より広い場合(S246:NO)には、S244の処理を行う。そして、MFP設定範囲と比較用情報に基づく設定範囲とが同じである場合(S244:YES)には、メインルーチンのS208に進む。一方、MFP設定範囲と比較用情報に基づく設定範囲とが同じでない場合(S244:NO)には、S256の処理を行う。
また、選択装置の印刷スペックとMFP50の印刷スペックとの比較に基づいて、MFP50への印刷指令を行うことが可能な装置は、携帯電話10に限られず、デスクトップ型パソコン,ノートパソコン,タブレット機器,スマートフォンなどでもよい。
また、本発明の技術は、印刷処理だけでなく、種々の画像の処理に適用することが可能である。具体的には、例えば、スキャン,ファックス,コピー等、種々の画像処理に適用することが可能である。
また、本実施形態では、近接無線通信として、NFC方式の無線通信が採用されているが、Transfer Jet方式等の無線通信を採用することも可能である。この場合、ハンドオーバ処理により確立される無線通信は、Transfer Jet方式の無線通信より高速な、種々の無線通信方式を採用することが可能である。この場合、ハンドオ
ーバ処理により確立される無線通信は、Transfer Jet方式の無線通信より通信可能距離が長い、種々の無線通信方式を採用することが可能である。
本実施例の携帯電話10では、印刷設定アプリケーション32a等に基づいて実行するCPU12が、各種の処理を行う場合を説明した。しかし、この形態に限られない。印刷設定アプリケーション32a等に基づいて実行するCPU12が、オペレーティングシステム32c、他のシステム、ハード構成に対して、各種の処理を行わせる指示を出す形態であってもよい。
また、上記実施例では、印刷アプリケーション32aの実行により図5乃至図8に示すフローが実行されるが、そのフローにおいて、S136の処理のみを行うことも可能である。なお、S136の処理のみが行われるフローに、S136以外の個々の処理を任意に加えることも可能である。また、上記実施例では、印刷アプリケーション32aの実行により図9乃至図12に示すフローが実行されるが、そのフローにおいて、S200〜S204,S230,S236〜S240,S246〜S262の処理を行わないことも可能である。上記処理が行われない場合には、フローが開始すると、S232〜S244の処理を行い、MFP設定範囲と選択装置設定範囲とが同じ場合(S244:YES)にはS208を実行し、MFP設定範囲と選択装置設定範囲とが異なる場合(S244:NO)に、S208を実行せず、フローが終了する。なお、S200〜S204,S230,S236〜S240,S246〜S262の全ての処理を行わないのではなく、S200〜S204,S230,S236〜S240,S246〜S262のうち、いずれかの処理を任意に加えたフローとすることも可能である。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
携帯電話10は通信装置の一例である。CPU12は、コンピュータの一例である。記憶部14は、記憶部の一例である。無線LANI/F18は、通信部および第2無線通信部の一例である。NFCI/F20は、通信部および近接無線通信部の一例である。パネル22は、表示部の一例である。印刷処理アプリケーション32aは、プログラムの一例である。MFP50は、画像処理装置の一例である。S114を実行するCPU12は、第2指示データ出力手段の一例である。S128を実行するCPU12は、現設定値取得手段の一例である。S134を実行するCPU12は、識別データ出力手段の一例である。S136を実行するCPU12は、指定範囲取得手段および第1範囲取得手段の一例である。S138を実行するCPU12は、設定範囲限定手段の一例である。S208を実行するCPU12は、指示データ出力手段の一例である。S232を実行するCPU12は、第2範囲取得手段の一例である。S244およびS256を実行するCPU12は、指示データ出力制限手段の一例である。S248およびS258を実行するCPU12は、画面データ出力手段の一例である。S404を実行するCPU12は、デフォルト設定値データ取得手段の一例である。選択装置設定範囲は、第1の設定範囲の一例である。MFP設定範囲は、第2の設定範囲の一例である。
なお、表示部として、カバーを開いた状態のときに使う表示パネルと、閉じた状態で使う表示パネルとを備えてもよい。操作入力部として、カバーを開いた状態のときに使うタッチパネルと、閉じた状態で使うタッチパネルと、の複数の操作入力部を備えてもよい。また、タッチパネルと、キーボードと、の複数の操作入力部を備えてもよい。
なお、各プログラムは一つのプログラムモジュールから構成されるものであってもよい
し、複数のプログラムモジュールから構成されるものであってもよい。また、各一例は置換可能な他の構成であってもよく、本発明の範疇である。印刷処理プログラム(印刷処理アプリケーション32aなど)に基づく処理を実行するコンピュータ(CPU12)であってもよいし、オペレーティングシステムや他のアプリケーション、プログラムなど、印刷処理プログラム以外のプログラムに基づく処理を実行するコンピュータであってもよいし、コンピュータの指示に従って動作するハード構成(パネル22など)であってもよいし、コンピュータとハード構成とが連動した構成であってもよい。もちろん、複数のプログラムに基づく処理を連動させて処理を実行するコンピュータであってもよいし、複数のプログラムに基づく処理を連動させて処理を実行するコンピュータの指示に従って動作するハード構成であってもよい。