JP5713010B2 - 液晶配向剤、液晶配向膜および液晶表示素子 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜および液晶表示素子に関する。
液晶表示素子は、表示デバイスとして現在広く使用されている。液晶表示素子の構成部材である液晶配向膜は、液晶を均一に並べる膜であるが、液晶配向性が不十分な場合、表示ムラや残像と言われる表示不良を引き起こし易くなる。表示不良の発生は、液晶中のイオン性不純物が関与する場合もあり、この不純物を低減させる方法として、特許文献1のような提案がなされている。
また、液晶配向膜においては、布で高分子膜の表面を擦るラビングという配向処理を行うのが一般的である。しかし、液晶配向膜のラビング耐性が不十分であると、膜が削れて傷や粉塵を発生させたり、膜そのものが剥離したりしてしまい、液晶表示素子の表示品位を低下させてしまう。そのため、液晶配向膜には高いラビング耐性が求められており、特許文献2〜5に示されるような手法が提案されている。
さらに、高い表示品位の液晶表示素子を得るためには、高い輝度を示すことも重要である。したがって、液晶配向膜にはより高い透過率を有することも求められている。
一方、液晶配向膜の体積抵抗率が高いと、蓄積電荷が緩和し難くなり、残像の消去に時間がかかるという問題がある。残像消去時間を短くする方法としては、特許文献6のような体積抵抗率の低い液晶配向膜を使用する方法が提案されている。しかし、近年、残像に関しては、液晶配向膜の体積抵抗率が低いだけではなく、光によって体積抵抗率が変化しないことも重要とされている。例えば、液晶表示素子内の液晶配向膜には、配線やブラックマトリクスなどの存在によって、他の部分と比べてバックライト等の光が当たりにくい部分が存在する場合がある。このとき、液晶配向膜の体積抵抗率が光によって変化すると、光が当たっている場所とそうでない場所、もしくは光量が異なる場所によって、それぞれ液晶配向膜の体積抵抗率が異なってしまう。これにより、液晶表示素子内で残留DCが蓄積しやすい場所とそうでない場所、もしくは残留DCが緩和しやすい場所とそうでない場所が存在することとなり、残像や表示ムラといった表示不良として観測されてしまうことに繋がる。
特開2002−323701号公報 特開平7−120769号公報 特開平9−146100号公報 特開2008−90297号公報 特開平9−258229号公報 国際公開第2004/053583号
本発明は、上記の特性を兼ね備えた液晶配向膜を提供することを目的として見出されたものである。すなわち、本発明の目的は、体積抵抗率が光によって変化し難く、低い体積抵抗率を示すとともに、良好な液晶配向性、良好なラビング耐性、少ないイオン密度特性、さらには高い透過率を併せ持った液晶配向膜を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記液晶配向膜を得られる液晶配向剤を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、表示品位に優れた液晶表示素子を提供することにある。
尚、本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
本発明の第1の態様は、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を反応させて得られるポリアミック酸を含有する液晶配向剤であって、ジアミン成分は、式(1)で表されるジアミン化合物を5〜60モル%含有し、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物を40〜95モル%含有することを特徴とするものである。
式(1)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、YおよびYはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−OCO−または−COO−であり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基である。
本発明の第1の態様において、ジアミン成分は、式(3)で表されるジアミン化合物を20モル%以下の量で含有することが好ましい。
式(3)中、Xは−CONQ−、−O−、−NQ−、−NQCO−、−CHO−および−OCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、非芳香族環式炭化水素基および芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基または単結合であり、Xは単結合、または、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−および−O(CH−(mは1〜5の整数である)からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは1価の窒素含有芳香族複素環であり、nは1〜4の整数である。
本発明の第2の態様は、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を反応させて得られるポリアミック酸を含有する液晶配向剤であって、ジアミン成分は、式(1)で表されるジアミン化合物を40〜70モル%含有し、式(4)で表されるジアミン化合物を30モル%以上含有することを特徴とするものである。
式(1)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、YおよびYはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−OCO−または−COO−であり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基である。
式(4)中、Xは炭素数6〜30の芳香族環を有する有機基であり、nは1〜4の整数である。
本発明の第2の態様において、ジアミン成分は、式(3)で表されるジアミン化合物を20モル%以下の量で含有することが好ましい。
式(3)中、Xは−CONQ−、−O−、−NQ−、−NQCO−、−CHO−および−OCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、非芳香族環式炭化水素基および芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基または単結合であり、Xは単結合、または、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−および−O(CH−(mは1〜5の整数である)からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは1価の窒素含有芳香族複素環であり、nは1〜4の整数である。
本発明の第3の態様は、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を反応させて得られるポリアミック酸を含有する液晶配向剤であって、ジアミン成分は、式(1)で表されるジアミン化合物を20〜60モル%含有するとともに、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物と式(4)で表されるジアミン化合物とを95:5〜40:60のモル比で合計40〜80モル%含有することを特徴とするものである。
式(1)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、YおよびYはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−OCO−または−COO−であり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基である。
式(4)中、Xは炭素数6〜30の芳香族環を有する有機基であり、nは1〜4の整数である。
本発明の第3の態様において、ジアミン成分は、式(3)で表されるジアミン化合物を20モル%以下の量で含有することが好ましい。
式(3)中、Xは−CONQ−、−O−、−NQ−、−NQCO−、−CHO−および−OCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、非芳香族環式炭化水素基および芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基または単結合であり、Xは単結合、または、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−および−O(CH−(mは1〜5の整数である)からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは1価の窒素含有芳香族複素環であり、nは1〜4の整数である。
本発明の第4の態様は、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を反応させて得られるポリアミック酸を含有する液晶配向剤であって、ジアミン成分は、式(1)で表されるジアミン化合物を50モル%以上含有するとともに、残りの成分が式(4)で表されるジアミン化合物と式(3)で表されるジアミン化合物とを90:10〜40:60のモル比となるよう含有することを特徴とするものである。
式(1)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、YおよびYはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−OCO−または−COO−であり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基である。
式(4)中、Xは炭素数6〜30の芳香族環を有する有機基であり、nは1〜4の整数である。
式(3)中、Xは−CONQ−、−O−、−NQ−、−NQCO−、−CHO−および−OCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、非芳香族環式炭化水素基および芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基または単結合であり、Xは単結合、または、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−および−O(CH−(mは1〜5の整数である)からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは1価の窒素含有芳香族複素環であり、nは1〜4の整数である。
本発明の第5の態様は、本発明の第1〜第4の態様に記載の液晶配向剤から得られることを特徴とする液晶配向膜に関する。
本発明の第6の態様は、本発明の第5の態様に記載の液晶配向膜を有することを特徴とする液晶表示素子に関する。
本発明の第1〜第4の態様によれば、液晶に対する高い配向制御機能を有するとともに、液晶表示素子における残像現象を低減することができ、さらには、高いラビング特性と高い透過率を備えた液晶配向膜を得ることのできる液晶配向剤が提供される。
本発明の第5の態様によれば、液晶に対する高い配向制御機能を有するとともに、液晶表示素子における残像現象を低減することができ、さらには、高いラビング特性と高い透過率を備えた液晶配向膜が得られる。
本発明の第6の態様によれば、表示品位に優れた液晶表示素子が提供される。
本実施の形態の液晶配向剤は、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて得られるポリアミック酸を含有する。ポリアミック酸原料であるジアミン成分は、下記式(1)で表される特定ジアミン(以下、第1の必須成分とも称する。)と、ジアミン化合物(以下、第2の必須成分とも称する。)とを含有する。第2の必須成分であるジアミン化合物は、下記式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物と、下記式(4)で表されるジアミン化合物であり、これらは、それぞれ独立にまたは併用して使用することができる。
また、ジアミン成分は、必須ではないが、下記式(3)で表されるジアミン化合物を第3のジアミン成分として含有することが可能である。さらに、ジアミン成分は、下記式(1)、(2−1)〜(2−3)、(3)、(4)で表されるジアミン化合物以外に、別のジアミン化合物を含有していてもよい。
以下では、ジアミン成分に必須成分として含有されるジアミン化合物と、含有されることが可能なジアミン化合物とについて詳しく説明する。
<特定ジアミン(1)>
ポリアミック産原料であるジアミン成分に、第1の必須成分として含まれる特定ジアミンは、次式(1)で表される。尚、本明細書では、式(1)の構造を有する特定ジアミンを「特定ジアミン(1)」のように表すことがある。

式(1)中、Xは酸素原子または硫黄原子であり、YおよびYはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−OCO−、または、−COO−であり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基である。
式(1)において、Xが酸素原子の場合はウレア基であり、硫黄原子の場合はチオウレア基(以下、ウレア基およびチオウレア基を総称して(チオ)ウレア基ということがある。)である。
酸素原子と硫黄原子はいずれも電気陰性度の高い原子である。また、窒素原子上にはドナー性の高い水素原子が二つ存在している。そのため、(チオ)ウレア基の酸素または硫黄原子は、別の(チオ)ウレア基の二つの水素原子と非共有結合することによって、比較的強く自己集合する。本発明において、式(1)におけるXは、酸素原子であることが好ましい。これは、酸素原子と硫黄原子を比べると、電気陰性度は酸素原子の方が高いため、ウレア構造の方がチオウレア構造よりも強く自己集合し易いことによる。
本実施の形態の液晶配向剤は、高分子鎖中に、特定ジアミン(1)に由来する(チオ)ウレア基を有する。このため、(チオ)ウレア基同士の静電気相互作用によって、ラビング耐性を向上させることができる。この点において、本発明は、液晶配向膜の分野で一般に用いられている高分子鎖間を架橋剤で連結することでラビング耐性を向上させる方法とは異なる。
式(1)において、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキレン基を示し、その構造は直鎖または分岐鎖のいずれでもよい。具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基などが挙げられる。このうち、液晶の配向性とラビング耐性の観点から、できるだけ自由回転部位を持ち、且つ、立体障害の小さい構造が好ましく、具体的にはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基が好ましい。
式(1)において、YおよびYはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−OCO−、または、−COO−である。YおよびYの構造についても、液晶の配向性とラビング耐性の観点から、できるだけ柔軟且つ立体障害の小さい構造が好ましく、単結合、−O−、または、−S−が好ましい。
膜密度の高い膜を形成し、より強固な液晶配向膜を形成するという意味では、(チオ)ウレア基とベンゼン環の間の構造は、(チオ)ウレア基を中心として対称であることが好ましく、−R−Y−と−R−Y−とが同一構造であることが好ましい。また、式(1)で表わされる特定ジアミンの中でも、以下の式(1−a)〜式(1−c)で表わされる化合物であることが好ましい。但し、式(1−a)中、R11およびR21は共に炭素数が等しい炭素数1〜3のアルキレン基である。また、式(1−b)中、R12およびR22は互いに炭素数が異なる炭素数1〜3のアルキレン基である。さらに、式(1−c)中、R13およびR23はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基である。



式(1)において、ベンゼン環上のアミノ基の結合位置は特に限定されないが、液晶の配向性の観点から3−アミノフェニル構造または4−アミノフェニル構造であることが好ましく、特に好ましくは4−アミノフェニル構造である。例えば、式(1)は、下記式(1−1)、式(1−2)または式(1−3)のいずれかであることが好ましく、特に好ましくは式(1−1)である。尚、式(1−1)、式(1−2)、および式(1−3)において、Y、Y、RおよびRは、式(1)における定義と同義である。

式(1)の具体例として、式(1−4)〜式(1−15)で表される化合物を示す。

式(1−7)〜(1−11)の化合物は、従来知られていない化合物であり、したがって、これを用いたポリアミック酸も従来知られていない化合物である。また、式(1−7)〜(1−11)以外のジアミン化合物は既知の化合物であるが、これらのジアミン化合物を用いたポリアミック酸は従来知られていない化合物である。そして、本実施の形態の液晶配向剤は、ポリアミック酸原料であるジアミン成分として、上記式(1−4)、(1−8)〜式(1−11)で表される特定ジアミンを使用することが特に好ましい。
<特定ジアミンの合成方法>
式(1)で表される特定ジアミン(1)の合成方法について述べる。
特定ジアミン(1)は、アニリン骨格、スペーサ部(R、R)、連結基(Y、Y)および(チオ)ウレア基より構成され、その合成方法は特に限定されるものではないが、例えば、以下に述べる方法によって合成することができる。
式(1)で表される特定ジアミンは、式(1A)で表されるジニトロ化合物を合成し、さらにニトロ基を還元しアミノ基に変換することで得られる。尚、式(1A)中、R、R、Y、YおよびXは、式(1)の場合と同義である。ジニトロ化合物を還元する方法に特に制限はなく、例えば、パラジウム−炭素、酸化白金、ラネーニッケル、鉄、塩化スズ、白金黒、ロジウム−アルミナまたは硫化白金炭素などを触媒として用い、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはアルコール系などの溶媒中で、水素ガス、ヒドラジン、塩化水素または塩化アンモニウムなどを用いた反応によって還元を行う方法がある。

式(1)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、YおよびYはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−OCO−、または、−COO−であり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基である。また、ベンゼン環上のアミン基の結合位置は特に限定されない。
式(1A)で表されるジニトロ化合物の合成方法は特に限定されず、任意の方法を用いることができる。例えば、以下のスキーム(I)に示されるような方法が挙げられる。
スキーム(I)において、式(1A)で表されるジニトロ化合物は、ニトロベンゼン化合物(α)、(α’)と、(チオ)カルボニル化合物(カルボニル化合物とチオカルボニル化合物の総称である。)(β)とを、有機溶媒中においてアルカリ存在下で反応させることにより合成することができる。
上記のニトロベンゼン化合物(α)および(α’)において、R、R、YおよびYは、式(1)と同じであり、NHで表されるアミノ基は、塩酸塩(NH・HCl)などの塩を形成していてもよい。例えば、ニトロベンジルアミンまたはその塩酸塩、2−(ニトロフェニル)エチルアミンまたはその塩酸塩、3−(ニトロフェニル)プロピルアミンまたはその塩酸塩などが挙げられる。また、ベンゼン環上のニトロ基の置換位置は、目的とするジアミン化合物が得られる置換位置のものが適宜選択される。尚、ここに示した化合物は一例であり、特に限定されるものではない。
(チオ)カルボニル化合物(β)において、Xは式(1)と同じであり、Zは1〜2価の有機基である。(チオ)カルボニル化合物(β)としては、例えば、ホスゲン、チオホスゲン、ジフェニルカーボネート、ジフェニルチオカーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)チオカーボネート、ジメチルカーボネート、ジメチルチオカーボネート、ジエチルカーボネート、ジエチルチオカーボネート、エチレンカーボネート、エチレンチオカーボネート、1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾールまたは1,1’−チオカルボニルビス−1H−イミダゾールなどが挙げられる。また、カルボニル化合物(β)の代わりに、カーボンオキサイド(一酸化炭素または二酸化炭素)を使用してもよい。尚、ここに示した化合物は一例であり、特に限定されるものではない。
上記スキーム(I)において、(チオ)ウレア基を中心として構造が対称である化合物を得るためには、ニトロベンゼン化合物(α)および(α’)を同じとすればよく、非対称な化合物を得るためには、ニトロベンゼン化合物(α)を(チオ)カルボニル化合物(β)に対して等モル反応させた後、ニトロベンゼン化合物(α)とは異なる構造のニトロベンゼン化合物(α’)を加えればよい。
アルカリとしては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンおよびDMAP(4−N,N−ジメチルアミノピリジン)などの塩基性有機化合物、水酸化ナトリウムおよび炭酸カリウムなどの無機アルカリ化合物並びに水素化ナトリウムなどの金属水素化物などが挙げられる。尚、ここに示した化合物は、一例であり、特に限定されるものではない。
有機溶媒としては、反応に影響を及ぼさない溶媒、具体的には、トルエンおよびキシレンなどの芳香族系溶媒、ヘキサンおよびヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ジクロロメタンおよび1,2ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、テトラヒドロフランおよび1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒並びにN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよびジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒を単独または複数混合して用いることもできる。これらの使用量は任意である。
以上のようにして合成されたジアミンは、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の原料としても用いることができる。そして、ポリアミック酸エステルなどのポリイミド前駆体やポリイミドの他、ポリアミドやポリウレアの原料としても用いることができ、これらのポリマーは各種の電子材料用の素材として利用することができる。
<式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物>
本実施の形態の液晶配向剤はポリアミック酸を含有するが、ポリアミック酸原料であるジアミン成分として、上記式(1)で表される特定ジアミンとともに、下記式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物を含有する。
本実施の形態の液晶配向剤は、上述したように、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて得られるポリアミック酸を含有する。そして、ポリアミック酸原料であるジアミン成分は、上記式(1)で表される特定ジアミンと、上記式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物とを含有することができる。このとき、特定ジアミン(1)と式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物のそれぞれの含有量については、液晶配向膜としたときに、十分なラビング耐性と、液晶配向性と、高い透過率と、膜抵抗の好ましい光感度とが得られるよう、考慮して決定される。また、併せて、この液晶配向膜が液晶表示素子に適用された場合の液晶のプレチルト角の最適化、イオン密度の低減、蓄積電荷の低減、および、良好な残像特性などを実現する観点からも考慮する。
本実施の形態においては、全ジアミン成分(100モル%)中、式(1)で表される特定ジアミンを5〜60モル%、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物を40〜95モル%含有することが好ましい。そして、全ジアミン成分(100モル%)中、式(1)で表される特定ジアミンを10〜50モル%、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物を50〜90モル%含有することがより好ましい。さらに、全ジアミン成分(100モル%)中、式(1)で表される特定ジアミンを20〜40モル%、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物を60〜80モル%含有することが格別に好ましい。尚、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物としては、好ましくはp−フェニレンジアミン(2−1)である。
本実施の形態の液晶配向剤では、ポリアミック酸の原料となるジアミン成分が、式(1)で表される特定ジアミンとともに、ジアミン化合物(2−1)〜(2−3)のうちの少なくとも1種を含有する場合、これらと異なる別のジアミン化合物を併用することが可能である。この別のジアミン化合物としては、窒素原子含有複素環を含むジアミン化合物、具体的には下記の式(3)で表されるジアミン化合物(3)が挙げられる。ジアミン化合物(3)を、特定ジアミン(1)、および、p-フェニレンジアミン等の式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物とともに含有する場合、全ジアミン成分(100モル%)中、ジアミン化合物(3)を20モル%以下の量で含有することが好ましい。
<ジアミン化合物(3)>

式(3)中、Xは−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−CHO−および−OCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは単結合、または、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、非芳香族環式炭化水素基および芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Xは単結合、または、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−および−O(CH−(mは1〜5の整数である)からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは1価の窒素含有芳香族複素環であり、nは1〜4の整数である。
式(3)における二つのアミノ基(−NH)の結合位置は限定されない。具体的には、nが整数1の場合、側鎖の結合基(X)に対して、ベンゼン環上の2,3の位置、2,4の位置、2,5の位置、2,6の位置、3,4の位置、3,5の位置が挙げられる。
nが整数2の場合は、次の位置が挙げられる。側鎖の結合基(X)に対して、ベンゼン環上の2の位置に側鎖の結合基(X)がある場合、二つのアミノ基の結合位置は、3,4の位置、3,5の位置、3,6の位置、4,5の位置が挙げられる。また、側鎖の結合基(X)に対して、ベンゼン環上の3の位置に側鎖の結合基(X)がある場合、二つのアミノ基の結合位置は、2,4の位置、2,5の位置、4,5の位置、4,6の位置が挙げられる。さらに、側鎖の結合基(X)に対して、ベンゼン環上の4の位置に側鎖の結合基(X)がある場合、二つのアミノ基の結合位置は、2,3の位置、2,5の位置、2,6の位置、3,5の位置が挙げられる。
nが整数3の場合は、次の位置が挙げられる。側鎖の結合基(X)に対して、ベンゼン環上の2,3の位置に側鎖の結合基(X)がある場合、二つのアミノ基の結合位置は、4,5の位置、4,6の位置が挙げられる。また、側鎖の結合基(X)に対して、ベンゼン環上の2,4の位置に側鎖の結合基(X)がある場合、二つのアミノ基の結合位置は、3,5の位置、3,6の位置、5,6の位置が挙げられる。さらに、側鎖の結合基(X)に対して、ベンゼン環上の3,5の位置に側鎖の結合基(X)がある場合、二つのアミノ基の結合位置は、2,4の位置が挙げられる。
nが整数4の場合は、次の位置が挙げられる。側鎖の結合基(X)に対して、ベンゼン環上の2,3,4の位置に側鎖の結合基(X)がある場合、二つのアミノ基の結合位置は、5,6の位置が挙げられる。また、側鎖の結合基(X)に対して、ベンゼン環上の2,4,5の位置に側鎖の結合基(X)がある場合、二つのアミノ基の結合位置は、3,6の位置が挙げられる。さらに、側鎖の結合基(X)に対して、ベンゼン環上の2,4,6の位置に側鎖の結合基(X)がある場合、二つのアミノ基の結合位置は、3,5の位置が挙げられる。
これらの中でも、ポリアミック酸を合成する際の反応性の観点と、ジアミン化合物を合成する際の容易性とを加味すると、nが整数1の場合において、二つのアミノ基の結合位置が2,4の位置、2,5の位置、3,5の位置であるのが特に好ましい。また、nが整数2の場合における側鎖の結合基(X)に対し、ベンゼン環上の3の位置に側鎖の結合基(X)がある場合において、二つのアミノ基の結合位置が4,6の位置であるのが特に好ましい。
式(3)中、Xは−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−CHO−および−OCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基である。中でも、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−が好ましい。尚、Qは、上述したように、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
を具体的に記載した式(3)の例としては、下記の式(3a)〜式(3f)が挙げられる。

上記化合物の中でも、式(3a)、式(3b)、式(3c)および式(3d)が好ましい。尚、Qは、式(3)の定義と同じである。
式(3)中、Xは単結合、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、非芳香族環式炭化水素基または芳香族炭化水素基である。
炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状でもよいし、分岐していてもよい。また、不飽和結合を有していてもよい。好ましくは炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基である。
非芳香族環式炭化水素基の具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、シクロウンデカン環、シクロドデカン環、シクロトリデカン環、シクロテトラデカン環、シクロペンタデカン環、シクロヘキサデカン環、シクロヘプタデカン環、シクロオクタデカン環、シクロノナデカン環、シクロイコサン環、トリシクロエイコサン環、トリシクロデコサン環、ビシクロヘプタン環、デカヒドロナフタレン環、ノルボルネン環またはアダマンタン環などが挙げられる。
芳香族炭化水素基の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、テトラヒドロナフタレン環、アズレン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環またはフェナレン環などが挙げられる。
式(3)におけるXとしては、単結合、炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐したアルキレン基、炭素数1〜10の不飽和アルキレン基、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、ノルボルネン環、アダマンタン環、ベンゼン環、ナフタレン環、テトラヒドロナフタレン環、フルオレン環またはアントラセン環が好ましく、より好ましくは、単結合、炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐アルキレン基、炭素数1〜10の不飽和アルキレン基、シクロヘキサン環、ノルボルネン環、アダマンタン環、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環またはアントラセン環であり、さらに好ましくは、単結合、炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐アルキレン基、シクロへキサン環、ベンゼン環またはナフタレン環であり、特に好ましくは、単結合、炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐アルキレン基またはベンゼン環である。そして、最も好ましいのは、単結合、炭素数1〜3の直鎖アルキレン基またはベンゼン環である。
式(3)中、Xは単結合、または、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−および−O(CH−(mは1〜5の整数である)からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、好ましくは、単結合、−O−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−または−O(CH−(mは1〜5の整数である)である。そして、最も好ましくは、単結合、−OCO−または−OCH−である。尚、Qは、上述したように、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
式(3)中、Xは1価の窒素含有芳香族複素環であり、下記の式(31a)、式(31b)および式(31c)からなる群から選ばれる少なくとも1個の構造を含有する窒素含有芳香族複素環である。但し、式(31c)中、Yは炭素数1〜5の直鎖または分岐アルキル基である。
式(3)におけるXとしては、ピロール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、ピラゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、プリン環、チアジアゾール環、ピリダジン環、ピラゾリン環、トリアジン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、ピラジン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、チノリン環、フェナントロリン環、インドール環、キノキサリン環、ベンゾチアゾール環、フェノチアジン環、オキサジアゾール環またはアクリジン環が好ましく、より好ましいのは、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラゾリン環、カルバゾール環、ピリダジン環、ピラゾリン環、トリアジン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、ピラジン環、ベンズイミダゾール環またはベンゾイミダゾール環であり、さらに好ましいのは、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、トリアゾール環、ピラジン環、ベンズイミダゾール環またはベンゾイミダゾール環であり、特に好ましいのは、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環またはピリミジン環である。そして、最も好ましいのは、イミダゾール環、ピリジン環またはピリミジン環である。
は、Xに含まれる式(31a)、式(31b)および式(31c)に示される構造と隣り合わない部位に結合していることが好ましい。
式(3)中、nは1〜4の整数であり、好ましくはテトラカルボン酸二無水物成分との反応性の点から、1〜3の整数である。最も好ましくは、nが1または2の整数である。
式(3)における好ましいX、X、X、Xおよびnの組み合わせは、次の通りである。
は、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−CHO−および−OCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、炭素数1〜10の直鎖または分岐アルキレン基、炭素数1〜10の不飽和アルキレン基、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、ノルボルネン環、アダマンタン環、ベンゼン環、ナフタレン環、テトラヒドロナフタレン環、フルオレン環およびアントラセン環からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、単結合、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−および−O(CH−(mは1〜5の整数である)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、ピロール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、ピラゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、プリン環、チアジアゾール環、ピリダジン環、ピラゾリン環、トリアジン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、ピラジン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、チノリン環、フェナントロリン環、インドール環、キノキサリン環、ベンゾチアゾール環、フェノチアジン環、オキサジアゾール環およびアクリジン環からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
nは1または2の整数である。
より好ましい式(3)におけるX、X、X、Xおよびnの組み合わせは、次の通りである。
は、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−および−CHO−からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、炭素数1〜10の直鎖または分岐アルキレン基、炭素数1〜10の不飽和アルキレン基、シクロヘキサン環、ノルボルネン環、アダマンタン環、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環およびアントラセン環からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、単結合、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−および−O(CH−(mは1〜5の整数である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラゾリン環、カルバゾール環、ピリダジン環、ピラゾリン環、トリアジン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、ピラジン環、ベンズイミダゾール環およびベンゾイミダゾール環からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
nは1または2の整数である。
さらに好ましい式(3)におけるX、X、X、Xおよびnの組み合わせは、次の通りである。
は、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−CHO−および−OCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、炭素数1〜10の直鎖または分岐アルキレン基、シクロへキサン環、ベンゼン環およびナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、単結合、−O−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−および−O(CH−(mは1〜5の整数である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、トリアゾール環、ピラジン環、ベンズイミダゾール環およびベンゾイミダゾール環からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
nは1または2の整数である。
特に好ましい式(3)におけるX、X、X、Xおよびnの組み合わせは、次の通りである。
は、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−および−CHO−からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、単結合、炭素数1〜5の直鎖または分岐アルキレン基およびベンゼン環からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、単結合、−O−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−および−O(CH−(mは1〜5の整数である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環およびピリミジン環からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
nは1または2の整数である。
最も好ましい式(3)におけるX、X、X、Xおよびnの組み合わせは、次の通りである。
は、−O−、−NQ−、−CONQ−および−NQCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、単結合、炭素数1〜3の直鎖アルキレン基およびベンゼン環からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、単結合、−OCO−および−OCH−からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
は、イミダゾール環、ピリジン環およびピリミジン環からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
nは1または2の整数である。
特に好ましい式(3)におけるX、X、X、Xおよびnの組み合わせは、下記の表1〜表3の301〜393に示す通りである。尚、QおよびQは、式(3)の定義と同意義である。
<ジアミン化合物(3)の合成方法>
ジアミン化合物(3)を製造する方法は特に限定されないが、好ましい方法としては以下の方法が挙げられる。
ジアミン化合物(3)は、式(N)で示すジニトロ体を合成し、そのニトロ基を還元してアミノ基に変換することで得られる。ジニトロ化合物を還元する方法に特に制限はなく、例えば、パラジウム-炭素、酸化白金、ラネーニッケル、白金黒、ロジウム-アルミナ、硫化白金炭素などを触媒として用い、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはアルコール系などの溶媒中において、水素ガス、ヒドラジンまたは塩化水素などを用いて行う方法がある。尚、式(N)中、X、X、X、Xおよびnは、式(3)の定義と同意義である。

式(N)のジニトロ体は、Xを介してXとXを結合し、その後、ジニトロ部をXを介して結合する方法や、ジニトロ部を連結部Xを介してXと結合し、その後、Xを介してXと結合する方法などで得られる。
は、−O−(エーテル結合)、−NQ−(アミノ結合)、−CONQ−(アミド結合)、−NQCO−(逆アミド結合)、−CHO−(メチレンエーテル結合)、および、−OCO−(逆エステル結合)からなる群より選ばれる少なくとも1種の結合基であり、これらの結合基は通常の有機合成的手法で形成させることができる。各結合基のQは、式(1)の定義と同義である。
例えば、Xがエーテル結合またはメチレンエーテル結合の場合、対応するジニトロ基含有ハロゲン誘導体と、X、XおよびXを含む水酸基誘導体とを、アルカリ存在下で反応させる方法、または、ジニトロ基含有水酸基誘導体と、X、XおよびXを含むハロゲン置換誘導体とを、アルカリ存在下で反応させる方法などが挙げられる。
アミノ結合の場合は、対応するジニトロ基含有ハロゲン誘導体と、X、XおよびXを含むアミノ基置換誘導体とを、アルカリ存在下で反応させる方法などが挙げられる。
逆エステル結合の場合は、対応するジニトロ基含有水酸基誘導体と、X、XおよびXを含む酸クロリド体とを、アルカリ存在下で反応させる方法などが挙げられる。
アミド結合では、対応するジニトロ基含有酸クロリド体と、X、XおよびXを含むアミノ基置換体とを、アルカリ存在下で反応させる方法などが挙げられる。
逆アミド結合の場合は、対応するジニトロ基含有アミノ基置換体と、X、XおよびXを含む酸クロリド体とを、アルカリ存在下で反応させる方法などが挙げられる。
ジニトロ基含有ハロゲン誘導体およびジニトロ基含有水酸基誘導体の具体例としては、3,5−ジニトロクロロベンゼン、2,4−ジニトロクロロベンゼン、2,4−ジニトロフルオロベンゼン、3,5−ジニトロ安息香酸クロリド、3,5−ジニトロ安息香酸、2,4−ジニトロ安息香酸クロリド、2,4−ジニトロ安息香酸、3,5−ジニトロベンジルクロリド、2,4−ジニトロベンジルクロリド、3,5−ジニトロベンジルアルコール、2,4−ジニトロベンジルアルコール、2,4−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、2,4−ジニトロフェノール、2,5−ジニトロフェノール、2,6−ジニトロフェノールまたは2,4−ジニトロフェニル酢酸などが挙げられる。原料の入手性や反応性を考慮し、一種または複数種を選択して用いることができる。
本実施の形態の液晶配向剤は、上述のように、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を反応させて得られるポリアミック酸を含有する。そして、ポリアミック酸原料であるジアミン成分としては、上述した式(1)で表される特定ジアミンを第1の必須成分として含有し、さらに、第2の必須成分であるジアミン化合物として下記式(4)で表されるジアミン化合物(4)を含有することが可能である。
<ジアミン化合物(4)>
ジアミン化合物(4)は、分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物、具体的には式(4)で表される化合物である。式(4)中、Xは炭素数6〜30の芳香族環を有する有機基であり、nは1〜4の整数である。

式(4)としては、例えば、下記の式(4−3)〜(4−7)の構造が挙げられる。
式(4−3)中、m1は1〜4の整数である。
式(4−4)中、Xは単結合、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C(CF−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−CON(CH)−または−N(CH)CO−であり、m2およびm3はそれぞれ0〜4の整数であり、且つ、m2+m3は1〜4の整数を示す。
式(4−5)中、m4およびm5はそれぞれ1〜5の整数である。
式(4−6)中、Xは炭素数1〜5の直鎖または分岐アルキル基であり、m6は1〜5の整数である。
式(4−7)中、Xは単結合、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C(CF−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−CON(CH)−または−N(CH)CO−であり、m7は1〜4の整数を示す。
式(4−3)〜式(4−7)の構造において、好ましくは次の通りである。
式(4−3)中、m1は1〜2の整数であることが好ましい。
式(4−4)中、Xは単結合、−CH−、−C−、−C(CH−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−COO−または−OCO−であり、m2およびm3は共に1の整数であることが好ましい。
式(4−7)中、Xは単結合、−CH−、−O−、−CO−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−または−OCO−であり、m7は1〜2の整数であることが好ましい。
ジアミン化合物(4)の具体例としては、下記の式(4−8)〜式(4−18)の化合物を挙げることができる。
式(4−17)中、Xは単結合、−CH−、−O−、−CO−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−または−OCO−であり、式(4−18)中、X10は単結合、−CH−、−O−、−CO−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−または−OCO−である。
本実施の形態において、ポリアミック酸を得るためのジアミン成分としては、式(1)で表される特定ジアミンとともに、他のジアミンとして上記式(4−8)〜式(4−12)および式(4−15)〜式(4−18)で表される、分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物を併用することが特に好ましい。
本実施の形態の液晶配向剤は、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を反応させて得られるポリアミック酸を含有するが、そのポリアミック酸原料であるジアミン成分として、上述したように、式(1)で表される特定ジアミンと式(4)で表されるジアミン化合物を使用することが可能である。このとき、特定ジアミン(1)とジアミン化合物(4)のそれぞれの含有量については、液晶配向膜としたときに、十分なラビング耐性と、液晶配向性と、高い透過率と、膜抵抗の好ましい光感度とが得られるよう、考慮して決定される。また、併せて、この液晶配向膜が液晶表示素子に適用された場合の液晶のプレチルト角の最適化、イオン密度の低減、蓄積電荷の低減、および、良好な残像特性などを実現する観点からも考慮する。
本実施の形態においては、全ジアミン成分(100モル%)中、式(1)で表される特定ジアミンを40〜70モル%、式(4)で表されるジアミン化合物(4)を30モル%以上含有することが好ましい。そして、全ジアミン成分(100モル%)中、式(1)で表される特定ジアミンを50〜70モル%、式(4)で表されるジアミン化合物(4)を30〜50モル%含有することがより好ましい。
本実施の形態の液晶配向剤において、特定ジアミン(1)とともにジアミン化合物(4)を含有する場合、別の態様として、これらと異なる別のジアミン化合物を併用することが可能である。別のジアミン化合物としては、上述したように、窒素原子含有複素環を含むジアミン化合物が挙げられる。この窒素原子含有複素環を含むジアミン化合物の具体的構造は特に限定されないが、好ましくは、上記の式(3)で表されるジアミン化合物(3)である。ジアミン化合物(3)は、ポリアミック酸から液晶配向膜を得る場合に、ジアミン化合物(4)と組み合わせることで膜の低抵抗化に有効に寄与する。また、この液晶配向膜を用いて得られる液晶表示素子において、イオン密度特性の改善にも有効に寄与する。尚、ジアミン化合物(3)は、ジアミン化合物(4)と組み合わせること無く、単独でポリアミック酸の構成に用いられて液晶配向膜となった場合、膜の低抵抗化にはほとんど寄与しない。
ジアミン化合物(3)を特定ジアミン(1)およびジアミン化合物(4)とともに含有する場合、全ジアミン成分(100モル%)中、20モル%以下の量で含有することが好ましい。
本実施の形態の液晶配向剤においては、ポリアミック酸の原料となるジアミン成分が、上述のように、特定ジアミン(1)とともにジアミン化合物(4)を含有するものである場合、ジアミン化合物(3)を必須成分として含有することも可能である。そうすることで、液晶配向膜の低抵抗化をより高い確実性を持って実現することが可能となる。
ポリアミック酸の原料となるジアミン成分が、特定ジアミン(1)とともに、ジアミン化合物(4)とジアミン化合物(3)とを含有する場合、特定ジアミン(1)は、50モル%以上であって、100モル%より少ない量で含有することが好ましい。このとき、全ジアミン成分(100モル%)の残りの成分の中に、ジアミン化合物(4)とジアミン化合物(3)とが含まれる。この場合、ジアミン化合物(4)とジアミン化合物(3)とは、ジアミン化合物(4):ジアミン化合物(3)=90:10〜40:60のモル比で含有されることが好ましい。
上記の通り、本実施の形態の液晶配向剤は、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を反応させて得られるポリアミック酸を含有し、ポリアミック酸原料であるジアミン成分として、上記式(1)で表される特定ジアミンを第1の必須成分として含有する。また、ジアミン成分は、第2の必須成分として、上記式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物、および、上記式(4)で表されるジアミン化合物を使用することが可能である。その場合、上述のように、上記式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物と上記式(4)で表されるジアミン化合物とを、それぞれ独立に使用することが可能である。あるいは、上記式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物と上記式(4)で表されるジアミン化合物とを、それぞれ同時に使用することも可能である。
ポリアミック酸原料であるジアミン成分が、特定ジアミン(1)と、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物と、ジアミン化合物(4)とを同時に含有する場合、それぞれの含有量については、液晶配向膜としたときに、十分なラビング耐性と、液晶配向性と、高い透過率と、膜抵抗の好ましい光感度とが得られるよう、考慮して決定される。また、併せて、この液晶配向膜が液晶表示素子に適用された場合の液晶のプレチルト角の最適化、イオン密度の低減、蓄積電荷の低減、および、良好な残像特性などを実現する観点からも考慮する。
本実施の形態においては、全ジアミン成分(100モル%)中、式(1)で表される特定ジアミンを20〜60モル%含有し、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物と、式(4)で表されるジアミン化合物とを、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物:式(4)で表されるジアミン化合物=95:5〜40:60のモル比で合計40〜80モル%含有することが好ましい。そして、全ジアミン成分(100モル%)中、式(1)で表される特定ジアミンを30〜50モル%含有するとともに、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物と式(4)で表されるジアミン化合物とを、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物:式(4)で表されるジアミン化合物=95:5〜60:40のモル比で合計50〜70モル%含有することがより好ましい。そしてさらに、全ジアミン成分(100モル%)中、式(1)で表される特定ジアミンを30〜50モル%含有するとともに、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物と式(4)で表されるジアミン化合物とを式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物:式(4)で表されるジアミン化合物=95:5〜70:30のモル比で合計50〜70モル%含有することが格別に好ましい。
尚、式(2−1)、(2−2)および(2−3)からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物の中で、p−フェニレンジアミン(2−1)の使用が特に好ましい。
本実施の形態の液晶配向剤においては、式(1)で表される特定ジアミンと、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物と、式(4)で表されるジアミン化合物(4)とを含有し、さらに、それらとは異なる別のジアミン化合物を併用することが可能である。別のジアミン化合物としては、上述したように、窒素原子含有複素環を含むジアミン化合物、具体的には上記の式(3)で表されるジアミン化合物(3)が挙げられる。ジアミン化合物(3)は、ポリアミック酸から液晶配向膜を得る場合に、ジアミン化合物(4)と組み合わせることで膜の低抵抗化に有効に寄与する。また、その液晶配向膜を用いて得られる液晶表示素子において、イオン密度特性の改善にも有効に寄与する。尚、ジアミン化合物(3)は、ジアミン化合物(4)と組み合わせること無く、単独でポリアミック酸の構成に用いられて液晶配向膜となった場合、膜の低抵抗化にはほとんど寄与しない。
ジアミン化合物(3)を、特定ジアミン(1)、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物、および、ジアミン化合物(4)とともに含有する場合、全ジアミン成分(100モル%)中、ジアミン化合物(3)を20モル%以下の量で含有することが好ましい。
以上をまとめると、本実施の形態の液晶配向剤は、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を反応させて得られるポリアミック酸を含有する。ポリアミック酸原料であるジアミン成分は、特定ジアミン(1)を第1の必須成分として含有し、ジアミン化合物を第2の必須成分として含有する。このジアミン化合物は、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物と式(4)で表されるジアミン化合物である。これらは、それぞれ独立に、または、それぞれを併用して使用される。また、ポリアミック酸原料であるジアミン成分は、必須ではない成分として、式(3)で表されるジアミン化合物を含有することが可能である。あるいは、式(3)で表されるジアミン化合物を第3の必須成分とし、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物と組み合わせて含有することも可能である。
本実施の形態の液晶配向剤は、ポリアミック酸の原料として、上記の式(1)、(2−1)〜(2−3)、(3)、(4)で表されるジアミン化合物以外に、その他のジアミン化合物を含有することも可能である。
<その他のジアミン化合物>
本実施の形態の液晶配向剤は、上述のように、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を反応させて得られるポリアミック酸を含有する。ポリアミック酸原料であるジアミン成分は、式(1)で表される特定ジアミンを第1の必須成分として含有し、第2の必須成分として、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物または式(4)で表されるジアミン化合物またはそれらの両方を含有する。また、ジアミン成分は、式(3)で表されるジアミン化合物を第3のジアミン成分として含有することも可能である。さらに、ジアミン成分は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、式(1)、(2−1)〜(2−3)、(3)、(4)で表されるジアミン化合物以外に、その他のジアミン化合物を含有することも可能である。その他のジアミンは特に限定されない。その他のジアミン化合物は下記式(7)で表すことができる。

上記式(7)中、Rは2価の有機基を表し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基を表す。Rの具体例としては以下の表[4−1]〜表[4−4]に記載される2価の有機基を挙げることができる。
その他のジアミン化合物としては、ジアミン側鎖にアルキル基、フッ素含有アルキル基、芳香環、脂肪族環、複素環、並びにそれらからなる大環状置換体を有するジアミンも挙げることができ、具体的には、下記の式[DA1]から式[DA26]で表されるジアミン化合物が例示される。

式[DA1]から式[DA5]中、Rは、炭素数1以上22以下のアルキル基又はフッ素含有アルキル基である。

式[DA6]から式[DA9]中、Rは、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH−、−O−、−CO−、又は−NH−を示し、Rは炭素数1以上22以下のアルキル基又はフッ素含有アルキル基を示す。)

式[DA10]および式[DA11]中、Rは、−O−、−OCH−、−CHO−、−COOCH−、又は−CHOCO−を示し、Rは炭素数1以上22以下のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。

式[DA12]から式[DA14]中、Rは、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH−、−CHOCO−、−CHO−、−OCH−、又は−CH−を示し、Rは炭素数1以上22以下のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。

式[DA15]および式[DA16]中、Rは、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH−、−CHOCO−、−CHO−、−OCH−、−CH−、−O−、又は−NH−を示し、Rはフッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基、又は水酸基である。



また、その他のジアミン化合物として、下記の式[DA27]で示されるようなジアミノシロキサンなども挙げることができる。

式[DA27]中、mは、1から10の整数である。
以上で挙げたその他のジアミン化合物は、液晶配向膜とした際の体積抵抗率の光への感度、低い体積抵抗率、ラビング耐性、イオン密度特性、透過率、液晶配向性、電圧保持特性および蓄積電荷などの特性に応じて、1種類または2種類以上を混合して使用することもできる。
<テトラカルボン酸二無水物成分>
本実施の形態の液晶配向剤に含まれるポリアミック酸は、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分との間の反応で得られる。ジアミン成分は、上述したように、上記式(1)で表される特定ジアミンとともに上述した他のジアミン化合物を含むものである。一方、テトラカルボン酸誘導体としては、テトラカルボン酸二無水物成分が好適である。
テトラカルボン酸二無水物成分は、下記式(5)で表される。ここで、Rは酸素原子、硫黄原子、フッ素原子を含んでいてもよい4価の炭化水素基を示す。Rの具体例としては、以下の[A−1]〜[A−48]で表される4価の基を挙げることができる。



本実施の形態においては、テトラカルボン酸二無水物成分の50モル%以上、好ましくは80モル%以上が、Rが式[A−1]〜式[A−25]のような脂環式構造または脂肪族構造を有する式(5)で表されるテトラカルボン酸二無水物であることが好ましい。このような成分組成とすることで、液晶配向膜の電圧保持率を向上することができ、光に対する感度が低減される。さらに、Rが、これら脂環式構造または脂肪族構造のうち、式[A−1]、式[A−16]および式[A−19]からなる群から選ばれるテトラカルボン酸二無水物を使用した場合には、電荷の緩和がより速い液晶配向膜が得られるので好ましい。
テトラカルボン酸二無水物成分は、芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むことが好ましい。これにより、液晶配向膜の配向性を向上させることが可能であり、また、蓄積電荷を低減させることができる。このとき、テトラカルボン酸二無水物成分の全量に対してあまり多くの量を使用すると、光に対する感度が高くなって表示不良を引き起こす原因となる。したがって、テトラカルボン酸二無水物の全量に対して芳香族テトラカルボン酸二無水物は50モル%以下とすること好ましく、より好ましくは20モル%以下である。
上記したジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分(以下、単にテトラカルボン酸二無水物ともいう。)とを反応させて、ポリアミック酸を得るには、公知の方法が適用できる。以下で、テトラカルボン酸二無水物を用いた反応について説明する。
本実施の形態において、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分の重合反応方法は、特に限定されない。一般的には、有機溶剤中で混合することにより重合反応をさせてポリアミック酸とすることができる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを有機溶媒中で混合させる方法としては、ジアミン成分を有機溶媒に分散または溶解させた溶液を撹拌し、テトラカルボン酸二無水物成分をそのまま、または、有機溶媒に分散若しくは溶解させて添加する方法、テトラカルボン酸二無水物を有機溶媒に分散または溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられる。また、テトラカルボン酸二無水物成分およびジアミン成分のうち少なくとも一方が複数種の化合物からなる場合は、これら複数種の成分をあらかじめ混合した状態で重合反応させてもよく、個別に順次重合反応させてもよい。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを有機溶剤中で重合反応させる際の温度は、通常は0〜150℃、好ましくは5〜100℃、より好ましくは10〜80℃である。温度が高い方が重合反応は早く終了するが、高すぎると高分子量の重合体が得られない場合がある。また、重合反応は任意の仕込み濃度で行うことができるが、仕込み濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、仕込み濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な撹拌が困難となるので、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。尚、重合反応の初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加してもよい。また、仕込み濃度とは、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分の合計質量の濃度のことである。
上記反応の際に用いられる有機溶媒は、生成したポリアミック酸が溶解するものであれば特に限定されない。具体的な例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシドまたはγ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、あるいは、混合して使用してもよい。さらに、ポリアミック酸を溶解させない溶媒であっても、生成したポリアミック酸が析出しない範囲で、上記溶媒に混合して使用してもよい。
有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリアミック酸を加水分解させる原因となるので、有機溶媒はなるべく脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
ポリアミック酸を得るための重合反応に用いるテトラカルボン酸二無水物とジアミン成分の比率は、モル比で1:0.8〜1:1.2であることが好ましく、このモル比が1:1に近いほど得られるポリアミック酸の分子量は大きくなる。ポリアミック酸の分子量は、小さすぎるとそこから得られる塗膜の強度が不十分となる場合があり、逆にポリアミック酸の分子量が大きすぎると、そこから製造される液晶配向剤の粘度が高くなり過ぎて、塗膜形成時の作業性、塗膜の均一性が悪くなる場合がある。したがって、本発明の液晶配向剤に用いるポリアミック酸の重量平均分子量は、2,000〜500,000が好ましく、より好ましくは5,000〜300,000である。
本実施の形態においてポリアミック酸を得るために、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とが使用されるが、ジアミン成分としては、上記式(1)で表される特定ジアミンと上記式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物とを含むジアミン成分や、上記式(1)で表される特定ジアミンと上記式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物と上記式(3)で表されるジアミンとを含むジアミン成分など、上述したジアミン成分が使用される。式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物が使用される場合を例として、以下の説明を行う。
式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物が使用される場合、好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物は、上記式(5)におけるRが式[A−1]、式[A−2]、式[A−3]、式[A−5]、式[A−6]、式[A−8]、式[A−16]、式[A−18]、式[A−19]、式[A−21]、式[A−25]、式[A−26]、式[A−27]、式[A−31]、式[A−32]、式[A−35]、式[A−38]、式[A−46]または式[A−47]である。
このようにして得られたポリアミック酸は、下記式(6)の繰り返し単位で表すこともできる。
上記式(6)中、R、R、Rは上記式(1)、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物や、式(4)で表されるジアミン化合物等由来の基であって、式(1)で表わされるジアミンを使用した場合、RおよびRは水素、Rは−フェニレン−Y−R−NH−CX−HN−R−Y−フェニレン−であり、式(4)で表わされるジアミンを使用した場合、RはH、RはH、RはXである。Rは、上記式(5)で表わされるテトラカルボン酸二無水物におけるRと同じ意味である。
<液晶配向剤>
本実施の形態の液晶配向剤は、以上のようにして得られたポリアミック酸を含有するものであり、通常はこれらの重合体を有機溶媒に溶解させた塗布液とする。この液晶配向剤に含有される重合体は、上述したポリアミック酸以外に、他の構造を有する重合体を含有していてもよい。液晶配向剤に含有される有機溶媒は、含有する重合体を溶解させるものであれば特に限定されない。
有機溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトンまたは1,3−ジメチル−イミダゾリジノンなどを挙げることができる。これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
また、単独では重合体を溶解させない溶媒であっても、重合体が析出しない範囲であれば、本実施の形態の液晶配向剤に混合することができる。特に、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸N−プロピルエステル、乳酸N−ブチルエステルおよび乳酸イソアミルエステルなどの低表面張力を有する溶媒は、混在させることで基板への塗膜均一性が向上することが知られている。そのため、これらの溶媒は、1種類でも複数種類を混合して用いてもよい。
低表面張力を有する溶媒の使用量は、液晶配向剤に含まれる溶媒全体の5〜80質量%であることがより好ましく、さらに好ましくは20〜60質量%である。
本実施の形態の液晶配向剤は、上記の重合体および有機溶媒の他に、各種の添加剤を含有していてもよい。
例えば、膜厚均一性や表面平滑性を向上させる添加剤として、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤またはノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。
例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R−30(大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子社製)などが挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向剤中に含有される重合体成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる添加剤の具体例としては、官能性シラン含有化合物、エポキシ基含有化合物などが挙げられる。
例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンまたはN,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。これらの化合物の添加量は、液晶配向剤中に含有される重合体成分100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。0.1質量部未満であると密着性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると液晶の配向性が悪くなる場合がある。
本実施の形態の液晶配向剤には、上記の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、重合体以外のポリマー成分を加えることができる。さらに、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的で誘電体または導電物質を添加することができ、液晶配向膜にした際の膜の硬度や緻密度を高める目的で架橋性化合物などを添加することもできる。
本実施の形態の液晶配向剤における固形分の濃度は、目的とする液晶配向膜の膜厚によって適宜変更することができるが、欠陥のない塗膜を形成させ、且つ、液晶配向膜として適切な膜厚を得ることができるという理由から1〜20質量%とすることが好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。
また、本発明の液晶配向剤においては、上述したポリアミック酸とともに、異なる分子構造からなる可溶性ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステルなどをブレンドして含有させることも可能である。その場合、得られるポリイミド膜が所望の特性を実現することを考慮して、上述したポリアミック酸の含有量を、他に含有される可溶性ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステルなどを併せた全量(100モル%)に対し、10モル%〜90モル%とすることが好ましい。
<液晶配向剤>
本実施の形態の液晶配向剤は、基板上に塗布し焼成した後、ラビング処理または光照射などで配向処理をして用いられる。あるいは、垂直配向性の液晶表示素子に適用する場合などでは、配向処理なしに液晶配向膜として用いられる。この際に用いる基板は、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、または、アクリル基板およびポリカーボネート基板などのプラスチック基板などを用いることができるが、液晶駆動のためのITO(Indium Tin Oxide)電極などが形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の観点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウェハなどの不透明な基板を使用することができる。尚、この場合の電極としては、アルミニウムなどの光を反射する材料も使用可能である。
液晶配向剤の塗布方法は特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷またはインクジェットなどで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、または、ロールコータ、スリットコータ若しくはスピンナーなどを用いる方法などがあり、目的に応じてこれらから適宜選択してもよい。
液晶配向剤が塗布された基板の焼成は、温度100〜350℃の任意の温度で行うことができ、好ましくは温度150〜300℃であり、さらに好ましくは温度180〜250℃である。液晶配向剤中にポリアミック酸やポリアミック酸エステルを含有する場合は、この焼成温度によってポリイミドへの転化率が変化するが、本発明の液晶配向剤は、必ずしも100%イミド化させる必要はない。そのため焼成時間は任意の時間に設定することができるが、焼成時間が短すぎると残存溶媒の影響で表示不良が発生する場合があるので、好ましくは5〜60分間、より好ましくは10〜40分間である。
焼成後の塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。液晶を水平配向や傾斜配向させる場合は、焼成後の塗膜をラビングまたは偏光紫外線照射などで処理する。
<液晶表示素子>
本実施の形態の液晶表示素子は、上記した手法により本実施の形態の液晶配向剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製し、液晶表示素子としたものである。
液晶セル作製の一例を挙げるならば、次の通りである。まず、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意する。次いで、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせた後、液晶を減圧注入して封止する。または、スペーサを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行ってもよい。このときのスペーサの厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmである。
本実施の形態の液晶配向剤を用いて作製された液晶表示素子は、表示品位に優れるとともに信頼性にも優れ、大画面で高精細の液晶テレビなどに好適に利用できる。
以上述べたように、本発明の液晶配向剤を用いることにより、体積抵抗率が光によって変化し難く且つ低い体積抵抗率を示し、ラビング処理時の膜表面への傷や削れが少なく、液晶の配向性が良好で、高透過率な液晶配向膜を得ることができる。また、本発明の液晶配向剤を用いて得られた液晶配向膜は、低抵抗であり、これを用いた液晶セルの残留DC特性は良好で、イオン密度も低く、残像レベルの低い高品位な液晶表示素子を提供することができる。尚、本発明の液晶配向剤は、光配向性の配向膜を構成するために使用することも可能である。
以下に実施例を挙げ、本実施の形態をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
下記の実施例および比較例で用いる略語は、以下の通りである。
DA−1:パラフェニレンジアミン
DA−2:1,3−ビス(4−アミノフェネチル)ウレア
DA−3:3,5−ジアミノ安息香酸
DA−4:下記合成例2に記載するジアミン化合物DA−4
DA−5:4,4’−ジアミノジフェニルアミン
DA−6:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
CA−1:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
CA−2:ピロメリット酸二無水物
CA−3:ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
DMSO:ジメチルスルホキシド
また、合成例中、H−NMRとは、分子内水素原子の核磁気共鳴スペクトルを意味し、得られた化合物のスペクトルデータを示す。
[合成例1]
DA−2:1,3−ビス(4−アミノフェネチル)ウレアの合成
室温下において、窒素置換した四つ口フラスコ中に2−(4−ニトロフェニル)エチルアミン塩酸塩[C](52.50g、259mmol)、炭酸ビス(4−ニトロフェニル)[D](37.53g、123mmol)およびTHF(テトラヒドロフラン)(1877g)を加え、そこにトリエチルアミン(74.90g、740mmol)および4−N,N−ジメチルアミノピリジン(3.01g、24.7mmol)を加え、メカニカルスターラにて撹拌を行った。反応をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)にて追跡し、反応終了後、純水(9L)中へ反応溶液を加えて30分撹拌した。その後、濾過を行い、純水(1L)で洗浄し、白色固体の粗物を得た。この得られた白色固体をメタノール(488g)で超音波装置にて分散洗浄した後、濾過、乾燥を行い、白色固体のジニトロ化合物[E]を得た(得量42.3g、収率96%)。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6,δppm):8.11−8.08(4H,m),7.43−7.40(4H,m),5.89(2H,t),3.24−3.19(4H,q),2.76(4H,t).
化合物[E](42.32g、118mmol)、5%パラジウムカーボン(5%Pd/C)(4.23g)および1,4−ジオキサン(2031g)の混合物を、窒素で置換した後、水素で置換し直し、水素存在下で室温にて撹拌した。反応をHPLCにて追跡し、反応終了後、セライトで触媒を濾過した。その後、減圧下、濾液の溶媒を留去し、白色固体の粗物を得た。得られた粗物に2−プロパノール(85g)を加え、超音波装置にて分散洗浄を行った後、濾過、乾燥を行い白色固体のジアミノ化合物〔DA−2〕を得た(得量31.9g、収率91%)。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6,δppm):6.85−6.82(4H,m),6.51−6.48(4H,m),5.78(2H,t),4.83(4H,s),3.14−3.09(4H,m),2.50−2.45(4H,m).
[合成例2]
ジアミン化合物DA−4の合成
ジアミン化合物DA−4の合成は、以下の反応式にしたがって行った。
化合物[G](29.92g,277mmol)およびトリエチルアミン(28.03g,277mmol)のテトラヒドロフラン(300g)溶液を10℃以下に冷却し、化合物[F](60.76g,263mmol)のテトラヒドロフラン(150g)溶液を発熱に注意しながら滴下した。滴下終了後、反応温度を23℃に上げ、さらに反応を行った。HPLC(高速液体クロマトグラフ)にて反応の終了を確認後、蒸留水(2L)に反応液を空け、析出した固体を濾過、水洗後、エタノール(450g)で分散洗浄し、化合物[H]を得た(得量:72.91g,得率:92%)。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6,δppm):9.79(1H,t),9.10−9.09(2H,m),9.00−8.96(1H,m),8.61(1H,broad),8.50−8.48(1H,m),7.79−7.76(1H,m),7.40−7.36(1H,m),4.57(2H,s).
次いで、化合物[H](72.00g,238mmol)、5%パラジウムカーボン(含水型,7.2g,10wt%)および1,4−ジオキサン(720g)の混合物を、水素存在下にて60℃で撹拌した。反応終了後、触媒をセライトにて濾過した後、エバポレータにて溶媒を留去し粗物を得た。得られた粗物をエタノール(360g)で分散洗浄し、ジアミン化合物[DA−4]を得た(得量:43.62g,得率:76%)。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6,δppm):8.64(1H,t),8.50(1H,d),8.44(1H,d),7.67(1H,d),7.34(1H,q),6.23(2H,d),5.94(1H,s),4.87(4H,s),4.39(2H,d).
実施例1.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコにDA−1を2.65g(24.5mmol)およびDA−2を3.14g(10.5mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン71gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を6.55g(33.4mmol)を添加し、さらに固形分濃度が12質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下において、水温で4時間撹拌してポリアミック酸(A1)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、274mPa・sであった。このポリアミック酸溶液20.09gにN−メチル−2−ピロリドンを8.64g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を2.32gおよびブチルセロソルブ7.76g加え、A1の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
尚、表5には、ポリアミック酸A1の合成に使用された各ジアミンの量(モル)とテトラカルボン酸二無水物の量(モル)と、得られたポリアミック酸溶液の粘度をまとめて示した。同様に表5には、以下に説明する各実施例2〜12および比較例1〜3においてポリアミック酸(A2〜A12およびB1〜B3)の合成に使用された各ジアミンの量(モル)とテトラカルボン酸の量(モル)と、得られたポリアミック酸溶液の粘度もまとめて示した。
(ラビング耐性)
上記の実施例1で得られた液晶配向剤を1.0μmのフィルタで濾過した後、透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、80℃のホットプレート上で5分間乾燥後、220℃で20分間焼成して、膜厚100nmのポリイミド膜を得た。このポリイミド膜をレーヨン布でラビング(ロール径120mm、回転数1000rpm、移動速度20mm/sec、押し込み量0.4mm)した。この膜表面を、共焦点レーザ顕微鏡を用いて表面状態を観察し、倍率10倍で削れカスの有無と傷の有無を観察した。削れカスはなく、傷もなかった。この結果を表6に示す。
(体積抵抗率の測定)
上記で得られた液晶配向剤を1.0μmのフィルタで濾過した後、ITO透明電極付きガラス基板上にスピンコートで塗布し、80℃のホットプレート上で5分間乾燥後、220℃で20分焼成し、膜厚200nmの塗膜(ポリイミド膜)を形成させた。この塗膜表面にマスクを介してアルミニウムを蒸着させ、1.0mmφの上部電極を形成し体積抵抗率測定用の試料とした。この試料のITO電極とアルミ電極との間に10Vの電圧を印加し、電圧印加から180秒後の電流値を測定し、この値と電極面積、膜厚の測定値とから体積抵抗率を算出した。また、試料基板の下にLEDのバックライトを設置しておき、点灯下と消灯下でそれぞれ測定を行い、光による体積抵抗率の変化を測定した。体積抵抗率の値が1×1014Ω・cm未満であり、且つ、LED消灯時の値(ρ1)をLED点灯時の値(ρ2)で割ったもの(ρ1/ρ2)が0.7〜1.5であれば「良好」、それ以外は「不良」とした。この結果を表7に示す。ρ1/ρ2は1.1であり、「良好」であった。
(透過率測定)
上記で得られた液晶配向剤を1.0μmのフィルタで濾過した後、石英基板上に配向剤をスピンコートで塗布し、80℃のホットプレート上で5分間乾燥後、220℃で20分焼成し、膜厚100nmの塗膜(ポリイミド膜)を形成させた。試料基板を島津製作所製UV−3100PCにより透過率を測定した。得られたデータから、350nm−750nmの平均透過率を算出し、その値が95%以上のものを「良好」、95%未満を「不良」と定義した。この結果は表6に示すように「良好」であった。
(液晶セルの作製)
上記で得られた液晶配向剤を1.0μmのフィルタで濾過した後、透明電極付きガラス基板上にスピンコートで塗布し、80℃のホットプレート上で5分間乾燥後、220℃で20分間焼成して膜厚100nmの塗膜(ポリイミド膜)を得た。このポリイミド膜をレーヨン布でラビング(ロール径120mm、回転数1000rpm、移動速度30mm/sec、押し込み量0.2mm)した後、純水中にて1分間超音波照射を行い、80℃で10分間乾燥した。このような液晶配向膜付き基板を2枚用意し、一方の基板の液晶配向膜面に6μmのスペーサを設置した後、2枚の基板のラビング方向が逆平行になるように組み合わせ、液晶注入口を残して周囲をシールし、セルギャップが6μmの空セルを作製した。このセルに液晶(MLC−2041、メルク社製)を常温で真空注入し、注入口を封止して液晶配向がアンチパラレル配向の液晶セルとした。
(液晶配向性)
上記で得られた液晶セルの配向状態を偏光顕微鏡にて観察し、配向欠陥があるものは「不良」、配向欠陥がないものを「良好」としたところ液晶配向性は良好であった。この結果を表6に示す。
(イオン密度測定)
上記と同様にして作製した液晶セルを用い、東陽テクニカ社製の6254型液晶物性評価装置を用いて測定を行った。測定は、10V、0.01Hzの三角波を印加し、得られた波形のイオン密度に相当する面積を三角形近似法により算出してイオン密度とした。測定の際、液晶セルの温度は60℃とした。この結果を表6に示す。
(残留DCの測定)
上記と同様にして作製した液晶セルを用い、東陽テクニカ社製の6254型液晶物性評価装置による誘電吸収法で測定を行った。測定は、60℃の環境下で行い、30分間セルに10Vの直流電圧を印加した後、1秒間放電させ、その20分間後の残留DC量が500mV未満のものを「良好」、500mV以上のものを「不良」とした。この結果は表6に示す通り「良好」であった。
以上の評価結果より、本実施例の液晶配向剤を用いて形成されたポリイミド膜では、ラビング耐性が良好であり、透過率も良好であった。また、体積抵抗率も低い値を示し且つ光によって変化し難く良好であった。さらに、液晶セルに液晶配向膜として適用された場合、液晶の配向性が良好で、イオン密度も低く、残留DC特性も良好であることが分かった。
実施例2.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの50ml四つ口フラスコに、DA−1を2.39g(8.0mmol)およびDA−2を0.87g(8.0mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン30gを加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を2.92g(14.9mmol)添加し、さらに固形分濃度が12質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下において、水温で4時間撹拌してポリアミック酸(A2)溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、281mPa・sであった。このポリアミック酸溶液16.98gにN−メチル−2−ピロリドンを8.09g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を2.03gおよびブチルセロソルブ6.77gを加え、A2の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
実施例3.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、DA−1を2.65g(24.5mmol)およびDA−2を3.14g(10.5mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン85gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を5.25g(26.8mmol)添加し、窒素雰囲気下において、水温で2時間撹拌した。その後、CA−3を1.76g(7.0mmol)添加し、さらに固形分濃度が12質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下において、50℃で16時間撹拌してポリアミック酸(A3)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、289mPa・sであった。このポリアミック酸溶液15.55gにN−メチル−2−ピロリドンを7.02g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を1.83gおよびブチルセロソルブを6.10g加え、A3の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
実施例4.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの50ml四つ口フラスコに、DA−1を1.37g(12.6mmol)およびDA−2を1.62g(5.4mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン36.93gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を2.98g(15.2mmol)添加し、窒素雰囲気下において、水温で2時間撹拌した。その後、CA−2を0.39g(1.8mmol)添加し、さらに固形分濃度が12質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下において、水温で3時間撹拌してポリアミック酸(A4)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、261mPa・sであった。このポリアミック酸溶液16.09gにN−メチル−2−ピロリドンを6.96g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を1.86gおよびブチルセロソルブを6.22g加え、A4の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
実施例5.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、DA−1を1.94g(18.0mmol)、DA−2を2.69g(9.0mmol)およびDA−4を0.72g(3.0mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン64.5gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を5.67g(28.8mmol)添加し、さらに固形分濃度が12質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下において、水温で3時間撹拌してポリアミック酸(A5)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、281mPa・sであった。このポリアミック酸溶液15.58gにN−メチル−2−ピロリドンを6.47g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を1.78gおよびブチルセロソルブを5.95g加え、A5の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
実施例6.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの50ml四つ口フラスコに、DA−1を0.64g(6.0mmol)、DA−2を2.98g(10.0mmol)およびDA−3を0.60g(4.0mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン33.5gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を3.72g(19.0mmol)添加し、さらに固形分濃度が15質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下において、水温で4時間撹拌してポリアミック酸(A6)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、514mPa・sであった。このポリアミック酸溶液12.07gにN−メチル−2−ピロリドンを10.14g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を1.79gおよびブチルセロソルブを5.99g加え、A6の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
実施例7.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、DA−2を6.27g(21.0mmol)、DA−3を1.07g(7.0mmol)およびDA−4を1.70g(7.0mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン60.3gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を6.67g(34.0mmol)添加し、さらに固形分濃度が15質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下において、水温で3時間撹拌してポリアミック酸(A7)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、433mPa・sであった。このポリアミック酸溶液14.94gにN−メチル−2−ピロリドンを14.6g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を2.39gおよびブチルセロソルブを7.98g加え、A7の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
実施例8.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、DA−2を8.96g(30.0mmol)、DA−3を3.04g(20.0mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン83.0gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を9.41g(48.0mmol)添加し、さらに固形分濃度が15質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下において、水温で6時間撹拌してポリアミック酸(A8)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、399mPa・sであった。このポリアミック酸溶液20.20gにN−メチル−2−ピロリドンを22.22g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を3.18gおよびブチルセロソルブを10.61g加え、A8の濃度が5.5質量%の液晶配向剤を得た。
実施例9.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの50ml四つ口フラスコにDA−1を1.55g(14.4mmol)、DA−2を0.48g(1.6mmol)を入れ、N−メチル−2−ピロリドン31.2gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を3.04g(15.5mmol)を添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下、水温で6時間撹拌してポリアミック酸(A9)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、180mPa・sであった。このポリアミック酸溶液20.20gにN−メチル−2−ピロリドンを4.89g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を2.02g、及びブチルセロソルブを6.74g加え、A9の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
実施例10.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの200ml四つ口フラスコにDA−1を4.41g(40.8mmol)、DA−2を6.09g(20.4mmol)、DA−5を1.35g(6.8mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン144.5gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を9.89g(50.5mmol)を添加し、更に固形分濃度が12質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下、水温で2時間撹拌した。その後、撹拌しながらCA−2を2.96g(13.4mmol)を添加し、さらに4時間攪拌しポリアミック酸(A10)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、288mPa・sであった。このポリアミック酸溶液57.14gにN−メチル−2−ピロリドンを24.26g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を6.60g、及びブチルセロソルブを22g加え、A10の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
実施例11.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの200ml四つ口フラスコにDA−1を3.67g(33.9mmol)、DA−2を6.08g(20.4mmol)、DA−5を2.70g(13.6mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン148.1gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を9.86g(49.8mmol)を添加し、更に固形分濃度が12質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下、水温で2時間撹拌した。その後、撹拌しながらCA−2を2.96g(13.4mmol)を添加し、さらに4時間攪拌しポリアミック酸(A11)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、307mPa・sであった。このポリアミック酸溶液57.54gにN−メチル−2−ピロリドンを23.86g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を6.60g、及びブチルセロソルブを22g加え、A11の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
実施例12.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの200ml四つ口フラスコにDA−1を4.41g(40.8mmol)、DA−2を6.09g(20.4mmol)、DA−5を1.35g(6.8mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン144.1gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を11.23g(57.3mmol)を添加し、更に固形分濃度が12質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下、水温で2時間撹拌した。その後、撹拌しながらCA−2を1.49g(6.8mmol)を添加し、さらに4時間攪拌しポリアミック酸(A12)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、288mPa・sであった。このポリアミック酸溶液57.84gにN−メチル−2−ピロリドンを23.56g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を6.60g、及びブチルセロソルブを22g加え、A12の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
実施例13.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの300ml四つ口フラスコにDA−6を19.83g(100.0mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン111.0g、γ−ブチルラクトン111.0gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を8.43g(43.0mmol)を添加し、水温で2時間撹拌した。その後、撹拌しながらCA−2を10.91g(50.0mmol)を添加し、さらに6時間攪拌しポリアミック酸(PA1)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、323mPa・sであった。このポリアミック酸溶液25.00gにγ―ブチルラクトン25.1g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を3.58g、及びブチルセロソルブを9.38g加え、PA1の濃度が6.0質量%の溶液を得た。そして、得られたPA1の濃度が6.0質量%の溶液を5.0gと、実施例1で得られたA1の濃度が6.0質量%の溶液20.0gを混合し、PA1とA1の混合比がPA1:A1=1:4(重量比)の液晶配向剤を得た。
比較例1.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、DA−1を3.78g(35.0mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン83.0gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を6.52g(33.3mmol)添加し、さらに固形分濃度が10質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下において、水温で4時間撹拌してポリアミック酸(B1)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、110mPa・sであった。このポリアミック酸溶液15.00gにN−メチル−2−ピロリドンを4.31g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を1.47gおよびブチルセロソルブを3.67g加え、B1の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
比較例2.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、DA−2を6.27g(21.0mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン83.0gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を3.92g(20.0mmol)添加し、さらに固形分濃度が10質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下において、水温で4時間撹拌してポリアミック酸(B2)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、129mPa・sであった。このポリアミック酸溶液24.00gにN−メチル−2−ピロリドンを2.40g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を1.60gおよびブチルセロソルブを12.00g加え、B2の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
比較例3.
撹拌装置付きおよび窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、DA−5を4.58g(23.0mmol)入れ、N−メチル−2−ピロリドン65.0gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を4.33g(22.1mmol)添加し、さらに固形分濃度が10質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを加え、窒素雰囲気下において、水温で4時間撹拌してポリアミック酸(B3)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、223mPa・sであった。このポリアミック酸溶液15.11gにN−メチル−2−ピロリドンを7.74g、3−アミノプロピルトリエトキシシランが1.0重量%入ったN−メチル−2−ピロリドン溶液を1.52gおよびブチルセロソルブを6.09g加え、B3の濃度が5.0質量%の液晶配向剤を得た。
実施例2〜実施例13および比較例1〜比較例3で得られた液晶配向膜処理剤を用い、実施例1と同様にして、ポリイミド膜や液晶セルなどの評価試料を作製し、ラビング耐性、液晶配向性、イオン密度、残留DCおよび体積抵抗率を測定した。得られた結果を表6および表7に示す。
実施例2〜実施例13の液晶配向剤を用いて形成されたポリイミド膜では、ラビング耐性が良好であり、透過率も良好であった。そして、体積抵抗率も低く且つ光によって変化し難く良好であった。さらに、液晶セルに液晶配向膜として適用すると、液晶の配向性が良好で、イオン密度も低く、残留DC特性も良好であった。したがって、本実施例の液晶配向膜は、残像表示不良の低減や防止に有効であることが分かった。
一方、ジアミン成分としてDA−1のみを用いた比較例1では、ラビング耐性が低く、イオン密度も高い値を示すことが分かった。ジアミン成分としてDA−2のみを用いた比較例2では、液晶配向膜として液晶セルに適用した場合に残留DC特性に劣り、また、体積抵抗率評価も悪いことが分かった。ジアミン成分としてDA−5のみを用いた比較例3では、透過率特性が不良であり、上記した体積抵抗率評価も不良であった。また、液晶配向膜として液晶セルに適用した場合、液晶の配向特性が不良で、イオン密度も高い値を示すことが分かった。
本発明の液晶配向剤を用いることにより、ラビング耐性に優れ、液晶の配向性も良好な液晶配向膜を得ることができる。また、本発明の液晶配向膜は、高い透過率を持ち、低抵抗であり、抵抗の光への感度も低く、また、液晶セルに適用された際のイオン密度も低く、残留DC特性も良好であるため、高い表示品位が求められる液晶表示素子における利用が可能である。

Claims (9)

  1. ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を反応させて得られるポリアミック酸を含有する液晶配向剤であって、
    前記ジアミン成分は、式(1)で表されるジアミン化合物を5〜60モル%含有し、式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物を40〜95モル%含有することを特徴とする液晶配向剤。

    (式(1)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、YおよびYはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−OCO−または−COO−であり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基である。)
  2. 前記ジアミン成分が式(3)で表されるジアミン化合物を20モル%以下の量で含有することを特徴とする請求項1に記載の液晶配向剤。

    (式(3)中、Xは−CONQ−、−O−、−NQ−、−NQCO−、−CHO−および−OCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、非芳香族環式炭化水素基および芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基または単結合であり、Xは単結合、または、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−および−O(CH−(mは1〜5の整数である)からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは1価の窒素含有芳香族複素環であり、nは1〜4の整数である。)
  3. ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を反応させて得られるポリアミック酸を含有する液晶配向剤であって、
    前記ジアミン成分は、式(1)で表されるジアミン化合物を40〜70モル%含有し、式(4)で表されるジアミン化合物を30モル%以上含有することを特徴とする液晶配向剤。

    (式(1)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、YおよびYはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−OCO−または−COO−であり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基である。)

    (式(4)中、Xは炭素数6〜30の芳香族環を有する有機基であり、nは1〜4の整数である。)
  4. 前記ジアミン成分が式(3)で表されるジアミン化合物を20モル%以下の量で含有することを特徴とする請求項3に記載の液晶配向剤。

    (式(3)中、Xは−CONQ−、−O−、−NQ−、−NQCO−、−CHO−および−OCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、非芳香族環式炭化水素基および芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基または単結合であり、Xは単結合、または、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−および−O(CH−(mは1〜5の整数である)からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは1価の窒素含有芳香族複素環であり、nは1〜4の整数である。)
  5. ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を反応させて得られるポリアミック酸を含有する液晶配向剤であって、
    前記ジアミン成分は、式(1)で表されるジアミン化合物を20〜60モル%含有するとともに、
    式(2−1)、式(2−2)および式(2−3)で表されるジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミン化合物と式(4)で表されるジアミン化合物とを95:5〜40:60のモル比で合計40〜80モル%含有することを特徴とする請求項4に記載の液晶配向剤。

    (式(1)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、YおよびYはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−OCO−または−COO−であり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基である。)


    (式(4)中、Xは炭素数6〜30の芳香族環を有する有機基であり、nは1〜4の整数である。)
  6. 前記ジアミン成分が式(3)で表されるジアミン化合物を20モル%以下の量で含有することを特徴とする請求項5に記載の液晶配向剤。

    (式(3)中、Xは−CONQ−、−O−、−NQ−、−NQCO−、−CHO−および−OCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、非芳香族環式炭化水素基および芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基または単結合であり、Xは単結合、または、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−および−O(CH−(mは1〜5の整数である)からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは1価の窒素含有芳香族複素環であり、nは1〜4の整数である。)
  7. ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を反応させて得られるポリアミック酸を含有する液晶配向剤であって、
    前記ジアミン成分は、式(1)で表されるジアミン化合物を50モル%以上含有するとともに、残りの成分が式(4)で表されるジアミン化合物と式(3)で表されるジアミン化合物とを90:10〜40:60のモル比となるよう含有することを特徴とする液晶配向剤。

    (式(1)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、YおよびYはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−OCO−または−COO−であり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基である。)

    (式(4)中、Xは炭素数6〜30の芳香族環を有する有機基であり、nは1〜4の整数である。)

    (式(3)中、Xは−CONQ−、−O−、−NQ−、−NQCO−、−CHO−および−OCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、非芳香族環式炭化水素基および芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基または単結合であり、Xは単結合、または、−O−、−NQ−、−CONQ−、−NQCO−、−COO−、−OCO−および−O(CH−(mは1〜5の整数である)からなる群より選ばれる少なくとも1種の2価の有機基であり、Qは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは1価の窒素含有芳香族複素環であり、nは1〜4の整数である。)
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶配向剤から得られることを特徴とする液晶配向膜。
  9. 請求項8に記載の液晶配向膜を有することを特徴とする液晶表示素子。
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