本発明に係る放射線撮像装置の好適な実施形態について、図1〜図37を参照しながら以下詳細に説明する。
[第1実施形態の構成]
先ず、第1実施形態に係る放射線撮像装置としての電子カセッテ20Aについて、図1〜図11を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aが適用される放射線撮像システム10の構成図である。
放射線撮像システム10は、放射線源18、電子カセッテ20A、コンソール22及び表示装置24を備える。放射線源18は、ベッド等の撮影台12に横臥した被写体14である患者に対して、放射線16を照射する。電子カセッテ20Aは、被写体14を透過した放射線16を検出して放射線画像に変換する。コンソール22は、放射線源18及び電子カセッテ20Aを制御し、表示装置24は、放射線画像を表示する。
コンソール22と電子カセッテ20Aと表示装置24との間では、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、IEEE802.11a/b/g/n等の無線LAN(Local Area Network)、又は、ミリ波等を用いた無線通信により信号の送受信が行われる。なお、ケーブルを用いた有線通信により信号の送受信を行ってもよい。
コンソール22には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)26が接続されている。RIS26には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)28が接続されている。
図2は、図1に示す電子カセッテ20Aの斜視図である。
電子カセッテ20Aは、撮影台12と被写体14との間に配置される略矩形状(六面体)の筐体29を有する。
筐体29は、中空の角筒状のハウジング本体(筐体本体部)30と、ハウジング本体30の開口部分を両側から閉塞する2つの蓋部材32、34とを有する。すなわち、筐体29は、モノコック構造の筐体であり、外部からの応力(例えば、筐体29の落下、被写体14からの荷重、外部からの衝撃)を筐体29全体として受ける構造となっている。
また、筐体29(のハウジング本体30及び蓋部材32、34)は、放射線16を透過可能な炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、アモルファスカーボン(a−カーボン)等の炭素を含む材料、又は、アルミニウム等の金属材料からなる。なお、CFRP及びa−カーボンは、金属材料よりも熱膨張率が低いため、後述するハウジング本体30の天板35と放射線変換パネル116との密着(張り合わせ)の観点からすれば、温度変化に対する変形が比較的少ないCFRP及びa−カーボンで筐体29を構成することが望ましい。
被写体14が横臥する筐体29の上面は、放射線16が照射される照射面36とされている。照射面36には、被写体14の撮像領域及び撮像位置を示すガイド線38が形成され、ガイド線38の外枠は、放射線16の最大照射範囲(照射野)を示す撮像可能領域40とされている。また、ガイド線38の中心位置(十字状に交差する2本のガイド線38の交点)は、該撮像可能領域40の中心位置である。
図2及び図3に示すように、ハウジング本体30を構成する4つの側面42a〜42dのうち、側面42aと側面42bとの間には、x方向に沿って中空部41が形成されている。これにより、側面42aには、中空部41に連通する開口部44aが形成され、側面42bには、中空部41に連通する開口部44bが形成される。すなわち、照射面36を有する天板35と、底面47を有する底板53と、側面42aを有する側板49と、側面42dを有する側板51とによって、角筒状のハウジング本体30が構成され、該ハウジング本体30の内部にx方向に延在する中空部41が形成される。
そして、開口部44aを蓋部材32で閉塞すると共に、開口部44bを蓋部材34で閉塞することにより、筐体29が構成される。従って、筐体29は、照射面36と、蓋部材32の側面52と、蓋部材34の側面81と、ハウジング本体30の2つの側面42c、42dを含む2つの側面43、45と、ハウジング本体30の底面47を含む底面46とを有する六面体として構成される。
蓋部材32のx2方向側の側面52には、電源スイッチ54、ディスプレイ56、入力端子58、USB(Universal Serial Bus)端子60、カードスロット64、及び、インジケータ66が配設されている。電源スイッチ54は、電子カセッテ20Aを起動するためのスイッチである。ディスプレイ56は、各種情報を表示する表示部である。入力端子58は、外部から充電を行なうためのACアダプタである。USB端子60は、外部機器との間で情報の送受信が可能なインターフェース手段である。カードスロット64には、PCカード等のメモリカード62が装填可能である。インジケータ66は、電子カセッテ20Aの各種の状況等を表示するLED等である。
また、電子カセッテ20Aでは、インジケータ66とディスプレイ56とが配設されているが、インジケータ66の表示機能をディスプレイ56が代行することで、インジケータ66を不要にすることができる。また、ディスプレイ56での一部の表示機能をインジケータ66が代行することで、ディスプレイ56を不要にすることもできる。
蓋部材32は、蓋本体68、挿入部70及び係合片72から構成されている。蓋本体68は、側面52を備えており、前述のように、該側面52には、電源スイッチ54、ディスプレイ56、入力端子58、USB端子60、カードスロット64及びインジケータ66が配設されている。挿入部70は、蓋本体68のx1方向側に形成され、開口部44aに嵌合可能である。係合片72は、挿入部70のy方向に沿った両端から開口部44aに向かって突出している。
また、2つの係合片72の外側面(図3の左側の係合片72ではy1方向の側面、及び、右側の係合片72ではy2方向の側面)には係合凸部74が形成されている。一方、ハウジング本体30内壁の開口部44a側には、係合凸部74に係合可能な係合凹部76が形成されている。
従って、蓋部材32をx1方向に進行させて、開口部44aと挿入部70とを嵌合させ、且つ、ハウジング本体30の中空部41に進入した2つの係合片72の係合凸部74と係合凹部76とをそれぞれ係合させると、開口部44aが蓋部材32により閉塞され、蓋部材32とハウジング本体30とを一体化させることができる。
一方、蓋部材34は、電源スイッチ54、ディスプレイ56、入力端子58、USB端子60、カードスロット64及びインジケータ66が配設されていない点を除いては、前述の蓋部材32と略同じ構成である。すなわち、蓋部材34は、蓋本体80、挿入部82及び係合片84から構成されている。
蓋本体80は、蓋本体68と略同一形状であり且つ側面52と対向するx1方向の側面81を有する。挿入部82は、蓋本体80のx2方向側に形成され、開口部44bに嵌合可能である。係合片84は、挿入部82のy方向に沿った両端から開口部44bに向かって突出している。
また、2つの係合片84の外側面(図3の左側の係合片84ではy1方向の側面、及び、右側の係合片84ではy2方向の側面)にも係合凸部86が形成されている。一方、ハウジング本体30内壁の開口部44b側には、係合凸部86に係合可能な係合凹部88が形成されている。
従って、蓋部材32の場合と同様に、蓋部材34をx2方向に進行させて、開口部44bと挿入部82とを嵌合させ、且つ、ハウジング本体30の中空部41に進入した2つの係合片84の係合凸部86と係合凹部88とをそれぞれ係合させると、開口部44bが蓋部材34により閉塞され、蓋部材34とハウジング本体30とを一体化させることができる。
図4〜図6は、筐体29内を図示した電子カセッテ20Aの断面図である。
ハウジング本体30の開口部44a、44bを2つの蓋部材32、34でそれぞれ閉塞することにより、筐体29内には、中空部41である室110が形成される。
室110の中央部には基台112が配置されている。また、基台112の表面114(照射面36を有する天板35側の面)には、ハウジング本体30の天板35側を透過して室110に入射した放射線16を放射線画像に変換する放射線変換パネル116が配置されている。放射線変換パネル116は、撮像可能領域40(図2及び図3参照)に対応する程度の大きさであることが望ましい。
放射線変換パネル116は、シンチレータ118及び光電変換層120から構成された、いわゆる間接変換型の放射線検出器である。シンチレータ118は、放射線16を可視光等の他の波長の電磁波に変換する。光電変換層120は、シンチレータ118により変換された電磁波を電気信号に変換する。
また、図5及び図6に示すように、放射線変換パネル116は、放射線16の照射方向に沿って、天板35に対して、光電変換層120とシンチレータ118とが順に配置された表面読取方式としてのISS方式の放射線検出器である。なお、シンチレータ118としては、例えば、ヨウ化セシウム(CsI)又はガドリニウム・オキサイド・サルファ(Gd2O2S:Tb(GOS))から構成されるシンチレータを用いればよい。
放射線変換パネル116(の光電変換層120)のy1方向の側面には、光電変換層120を駆動するための制御信号を光電変換層120に供給するための複数のフレキシブル基板122が所定間隔毎に配置されている。各フレキシブル基板122には、前記制御信号を生成する駆動用IC124がそれぞれ配置されている。一方、放射線変換パネル116(の光電変換層120)のx1方向の側面には、制御信号の供給によって駆動された光電変換層120から、放射線画像に応じた電気信号を読み出すための複数のフレキシブル基板126が所定間隔毎に配置されている。各フレキシブル基板126には、前記電気信号を読み出して所定の信号処理を行う読出用IC128がそれぞれ配置されている。
基台112の裏面129(筐体29の底面46側の面)には、電源部94と、複数の回路基板130とが取り付けられている。また、各回路基板130には電子部品132が配設されている。図5及び図6に示すように、回路基板130には、フレキシブル基板122、126が接続されている。なお、基台112は、図示しない支持部材によって室110の中央部に配置されている。これにより、電源部94、フレキシブル基板122、126、駆動用IC124、読出用IC128、回路基板130及び電子部品132と筐体29の内壁との接触を回避することができる。また、放射線16の照射による電源部94と回路基板130及び電子部品132との劣化を防止するために、基台112は、放射線16を遮蔽可能な鉛板で構成されてもよいし、あるいは、鉛を含むように構成されてもよい。
ここで、筐体29内部での天板35に対する放射線変換パネル116の配置について、図5〜図9Bを参照しながら説明する。
前述のように、ISS方式の放射線変換パネル116は、天板35に対して、光電変換層120とシンチレータ118とが順に配置されることにより構成される。
光電変換層120は、支持基板(絶縁性基板)120a及びセンサ部120bから構成される。支持基板120aは、天板35側に配置され且つ電気絶縁材料からなる。センサ部120bは、支持基板120aのシンチレータ118側に配置され、且つ、該シンチレータ118において放射線16から変換された可視光等の電磁波を電気信号に変換するフォトダイオードやフォトトランジスタ等を含む。また、支持基板120aは、天板35の内壁261に面接触し、一方で、センサ部120bは、シンチレータ118に密接している。
ところで、ISS方式の電子カセッテ20Aにおいて、放射線撮影の際に、被写体14を透過した放射線16は、天板35の外表面としての照射面36に到達して天板35を透過した後、支持基板120a及びセンサ部120bを介してシンチレータ118に至る。
その際、支持基板120aでは、放射線16の照射に起因して該支持基板120aを構成する電気絶縁材料(誘電体)の原子又は分子が電離することにより電荷が発生する。発生した電荷は、支持基板120aに蓄積され、センサ部120bの故障の原因となるおそれがある。特に、電子カセッテ20Aの薄型化の目的で支持基板120aを薄くすると、該支持基板120aに蓄積された電荷による電界強度が高まるので、薄型の電子カセッテ20Aでは、センサ部120bの故障の発生が顕著になることが懸念される。
このような問題に対しては、支持基板120aに蓄積された電荷をグランドに逃して、該支持基板120aに電荷が蓄積されないようにすることが望ましい。
しかしながら、一般的に、筐体29の材料としては、該筐体29の軽量化及び高剛性化を図るために、CFRP等の軽量且つ高剛性の材料が用いられる。この場合、CFRPは、放射線16を透過可能で且つ導電性を有する炭素繊維90の周囲を、放射線16を透過可能で且つ電気抵抗が比較的高いエポキシ樹脂等のプラスチックで固めることにより構成される。従って、CFRPの表面は、プラスチックで覆われて電気抵抗が比較的高い。そのため、CFRPからなる筐体29内に放射線変換パネル116を収容すると、支持基板120aに蓄積された電荷をグランドに逃すことが困難になる場合がある。
そこで、第1実施形態では、図5及び図6に示すように、支持基板120aに蓄積された電荷をグランドに逃す目的で、天板35の内壁261における支持基板120aとの接触箇所に対して予めブラスト処理を施している。これにより、天板35を構成する炭素繊維90が室110に露出される。この結果、放射線変換パネル116を室110内に収容すれば、露出した炭素繊維90(導電体、導電部、導電層、導電性部材)と支持基板120aとを面接触させることができる。
この場合、炭素繊維90は、導電性を有する物質であり、該炭素繊維90の周囲にあるエポキシ樹脂等のプラスチックよりも電気的に低抵抗である。従って、内壁261における炭素繊維90の露出箇所は、筐体29の内壁の他の箇所よりも電気抵抗が低い箇所となる。そのため、例えば、炭素繊維90にフレームグランドを施して、該炭素繊維90をグランドの電位(特定の電位)に接続すれば、支持基板120aに蓄積された電荷を炭素繊維90を介してグランドに逃すことができる。この結果、電荷の存在による支持基板120a内での電界強度の上昇、及び、センサ部120bの故障を、回避することが可能となる。
また、1012Ω(1TΩ)以上の固有抵抗値を有する材料は、一般的に電気絶縁材料であるため、炭素繊維90は、1012Ω未満、好ましくは109Ω以下、さらに好ましくは10−6Ω(1μΩ)〜10−2Ω(0.01Ω)の範囲内の固有抵抗値を有すれば、支持基板120aに蓄積された電荷をグランドに逃すことが可能である。
つまり、炭素繊維90等の導電材料からなる導電部(導電体)は、支持基板120aに蓄積された電荷をグランドに逃すことができる程度の固有抵抗値、すなわち、1012Ω未満の固有抵抗値を有する非電気絶縁性の物質(支持基板120aのような電気絶縁体ではない物質)からなることが好ましい。
なお、本実施形態において、固有抵抗値とは、表面固有抵抗値のことをいい、例えば、ASTM D257の規格に従った測定方法(表面抵抗試験方法)により測定することができる。
また、内壁261に露出した炭素繊維90とグランド(の電位)との接続については、例えば、筐体29の外表面に炭素繊維90に接続されるグランド端子を設け、このグランド端子をグランド接続することにより、支持基板120aに蓄積された電荷をグランド端子経由で逃してもよい。あるいは、筐体29の外表面の一部を削って炭素繊維90の一部を外部に露出させ、外部に露出した炭素繊維90の一部をグランド(撮影台12の一部)に接触させることにより電荷をグランドに逃してもよい。
また、ハウジング本体30は、一体成形により製造することが可能であるため、炭素繊維90は、ハウジング本体30の天板35、側板49、51及び底板53に配置されることになる。この場合、支持基板120aに蓄積された電荷をグランドに逃す観点からすれば、少なくとも天板35に炭素繊維90が配置されていればよい。従って、前述したブラスト処理は、例えば、ハウジング本体30を一体成形により製造した直後に実施すればよい。
さらに、ハウジング本体30に限らず、筐体29を構成する蓋部材32、34も炭素繊維90を含むCFRPで構成してもよいことは勿論である。この場合、例えば、図3〜図5に示すように、ハウジング本体30と蓋部材32、34との各接触箇所に対してブラスト処理を施すことにより炭素繊維90を露出させることが好ましい。
具体的には、下記の箇所に対してブラスト処理を行い、炭素繊維90を露出させればよい。(1)ハウジング本体30の側面42a、42bに対してブラスト処理を行う。(2)ハウジング本体30における挿入部70、82の外側表面との接触箇所に対してブラスト処理を行う。(3)蓋部材32の挿入部70の外側表面に対してブラスト処理を行う。(4)蓋部材32の蓋本体68における側面42aとの接触箇所に対してブラスト処理を行う。(5)蓋部材34の挿入部82の外側表面に対してブラスト処理を行う。(6)蓋部材34の蓋本体80における側面42bとの接触箇所に対してブラスト処理を行う。
これにより、蓋部材32の挿入部70と開口部44aとを嵌合させると共に、蓋部材34の挿入部82と開口部44bとを嵌合させて、モノコック構造の筐体29を構成した際に、上記のブラスト処理によって露出した各炭素繊維90が接触し、筐体29全体に電磁シールドを施すことができる。また、ハウジング本体30の炭素繊維90や、各蓋部材32、34の炭素繊維90が導通することにより、前述したグランド端子や、グランド接続するために削られる筐体29の外表面の一部の箇所を、筐体29の外表面における所望の箇所に設けることが可能となる。
さらに、筐体29(のうち少なくとも天板35)に配置される炭素繊維90としては、アクリル繊維を原料としたPAN(Polyacrylonitrile)系炭素繊維や、ピッチを原料としたピッチ系炭素繊維であればよい。
また、天板35における炭素繊維90の配置の仕方としては、下記(1)〜(3)のうち、いずれかの配置構成であればよい。(1)一方向に延在する炭素繊維90を束状に配置する。(2)一方向に延在する炭素繊維90の束と該一方向に交差する他方向に延在する炭素繊維90の束とを編成してマトリックス状に配置する。(3)炭素繊維90を含むプリプレグを天板35の厚み方向に複数枚積み重ねた後に加圧又は加熱して一体的に構成する。
なお、ハウジング本体30全体をプリプレグで構成する場合、複数枚のプリプレグをリング状に巻き回した後に、これらのプリプレグを加圧又は加熱して一体化することによりハウジング本体30を構成することができる。従って、プリプレグによりハウジング本体30を構成する場合、複数枚のプリプレグを巻き回して筒状にする前に、ハウジング本体30の内壁側となるプリプレグの表面の一部(内壁261の箇所)に対してブラスト処理を行えばよい。
第1実施形態では、内壁261に炭素繊維90を露出させ、該炭素繊維90と支持基板120aとを面接触させている。そのため、上記のブラスト処理に代えて、内壁261(支持基板120a側の表面)に研磨処理、研削処理又はケミカルエッチングを施し、該内壁261を荒らすことで、炭素繊維90を露出させることも可能である。
また、第1実施形態では、内壁261に炭素繊維90のような導電体が露出されていればよい。そのため、上記の炭素繊維90に代えて、筐体29のうち、少なくとも天板35に金属フィラー又は炭素フィラーを含有させ、内壁261に金属フィラー又は炭素フィラーを露出させてもよい。これにより、内壁261に露出した金属フィラー又は炭素フィラーと、支持基板120aとを面接触させることで、支持基板120aに蓄積された電荷を、金属フィラー又は炭素フィラーを介してグランドに逃すことが可能となる。
また、第1実施形態では、図7A及び図7Bに示すように、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99等の導電シートを介して支持基板120aと天板35の内壁261とを面接触させてもよい。
図7Aは、ハウジング本体30(の天板35)がアルミニウム等の放射線16を透過可能な金属材料からなり、アルミニウムの天板35に対して、導電シートとしての導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99を介し支持基板120aを密着させる場合を図示している。従って、図7Aの場合には、天板35全体が支持基板120aに対する導電体として機能するため、前述した内壁261に対するブラスト処理等は不要である。
また、前述のように、1012Ω(1TΩ)以上の固有抵抗値を有する材料は電気絶縁材料であるので、天板35を構成するアルミニウム等の金属材料は、支持基板120aに蓄積された電荷をグランドに逃すため、1012Ω未満、好ましくは、10−6Ω〜10−2Ωの範囲内の固有抵抗値を有する。
一方、図7Bは、前述した図5及び図6と同様に、ハウジング本体30(の天板35)がCFRPからなり、天板35の内壁261に予めブラスト処理等を施して炭素繊維90を露出させた状態で、露出した炭素繊維90に導電シートとしての導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99を介して支持基板120aを密着させる場合を図示している。
なお、導電シートとは、前述の導電体と同様に、1012Ω(1TΩ)未満の固有抵抗値を有する非電気絶縁性のシート(支持基板120aのような電気絶縁体ではないシート)をいう。このような導電シートとして、第1実施形態では、導電性シートとしての導電性ポリマーフイルム92若しくは導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97、又は、緩衝シート99を採用可能である。導電性シート(導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93)と、静電気除去シート95と、帯電防止シート97とは、固有抵抗値の大きさが互いに異なる材料からなる。
導電性ポリマーフイルム92及び導電性接着シート93は、概ね、10−6Ω(1μΩ)〜10−2Ω(0.01Ω)の範囲内の固有抵抗値を有する導電材料からなることが好ましい。また、静電気除去シート95は、概ね、102Ω(100Ω)〜106Ω(1MΩ)の範囲内の固有抵抗値を有する材料であって、静電気を除去可能な材料からなることが好ましい。さらに、帯電防止シート97は、概ね、106Ω(1MΩ)〜109Ω(1GΩ)の範囲内の固有抵抗値を有する材料であって、帯電防止性の材料からなることが好ましい。
一方、緩衝シート99は、導電性ポリマーフイルム92及び導電性接着シート93のような導電性能、静電気除去シート95のような静電気除去性能、又は、帯電防止シート97のような帯電防止性能を有し、且つ、緩衝性を有する導電性シート、静電気除去シート又は帯電防止シートである。
また、図7A及び図7Bにおいて、導電性ポリマーフイルム92は、放射線16を透過可能な(放射線16の吸収を抑制する)有機材料からなる導電性シートであることが好ましい。また、導電性接着シート93は、放射線16を透過可能な(放射線16の吸収を抑制する)有機材料からなる導電性シートであることが好ましい。このように、有機材料からなる導電性ポリマーフイルム92又は導電性接着シート93であれば、放射線16をほとんど吸収することがない。また、支持基板120aに蓄積された電荷を、導電性ポリマーフイルム92又は導電性接着シート93と、炭素繊維90又は金属材料からなる天板35とを介してグランドに逃すことができる。
一方、静電気除去シート95、帯電防止シート97及び緩衝シート99についても、放射線16を透過可能な(放射線16の吸収を抑制する)有機材料からなるシートであることが好ましい。このような有機材料からなる静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99を用いれば、導電性ポリマーフイルム92及び導電性接着シート93と同様の効果が得られる。
このような有機材料として、例えば、緩衝シート99については、シリコーンゴムからなるシートを用いればよい。なお、後述するように、センサ部120bは、放射線16の吸収を抑制する有機光電変換材料(OPC)を含み構成される場合もあるため、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97、又は、緩衝シート99についても、OPCを構成する有機系の材料で構成してもよい。
このように、図7A及び図7Bの構成では、電気絶縁材料よりも低抵抗の1012Ω未満の固有抵抗値を有するシート(導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99)を用いて、支持基板120aに蓄積された電荷を炭素繊維90を介してグランドに逃すようにしている。
また、筐体29が外部から応力(筐体29の落下、被写体14からの荷重、外部からの衝撃等)を受けた場合、放射線変換パネル116と基台112との間隔の変化に起因した剥離帯電又は摩擦帯電により電荷の移動が発生し、支持基板120aに電荷が局所的に帯電する。このような局所的な電荷の帯電が放射線画像の画像ムラの原因になることが懸念される。
これに対して、図7A及び図7Bでは、支持基板120aが、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97、緩衝シート99を介して天板35の炭素繊維90に面接触している。そのため、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97、緩衝シート99による電荷の除去効果によって、支持基板120aに帯電した電荷量が均一化され、画像ムラの発生を抑制することができる。
なお、図7Aの構成においては、a−カーボンで天板35を構成してもよい。a−カーボンは導電性を有するため、a−カーボンからなる天板35では、金属材料の場合と同様に、内壁261に対するブラスト処理等は不要である。なお、a−カーボンについても、金属材料と同様に、支持基板120aに帯電した電荷をグランドに逃すために、1012Ω未満の固有抵抗値を有することが好ましいことは勿論である。
図8Aは、支持基板(絶縁性基板)96aと、該支持基板96aのシンチレータ118側に配置された複数のCMOSセンサ98とで光電変換層120が構成され、支持基板96aが導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99を介して天板35の内壁261に面接触する場合を図示したものである。
図8Aにおいて、ハウジング本体30(の天板35)は、導電性を有するa−カーボンからなり、従って、内壁261に対するブラスト処理等は不要である。また、複数のCMOSセンサ98は、支持基板96aのシンチレータ118側の表面にタイリングにより隙間なく配置されており、放射線16の吸収を抑制する材料からなる。
すなわち、各CMOSセンサ98は、アルミニウム等の金属材料からなり且つ支持基板96aに配置された導電層98aと、結晶Si(単結晶Si)やSiCからなる半導体基板98bと、センサ部120bとして機能し且つ有機材料(例えば、後述する有機光電変換材料(OPC))からなるセンサ部98cとが順に積層されることにより構成される。
この場合、半導体基板98bにおけるセンサ部98cとの界面には酸化膜(SiO2)が形成され、該酸化膜が絶縁性基板として機能する。そのため、放射線16の照射によって酸化膜の部分にも電荷が発生する。
そこで、図8Aの構成では、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99と導電層98aとをビヤホール等の導電性部材100によって電気的に接続することにより、酸化膜に発生した電荷を、導電層98aと、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99と、a−カーボンの天板35とを介してグランドに逃すことができる。
また、絶縁性基板である支持基板96aに蓄積された電荷も、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99に直接放出されるか、あるいは、導電性部材100を介して導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99に放出される。これにより、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99からa−カーボンの天板35を介してグランドに逃すことができる。
この結果、半導体基板98bの酸化膜及び支持基板96aに蓄積された電荷に起因した電界強度の上昇、及び、センサ部98cの故障の発生を防止することができる。また、半導体基板98bの酸化膜及び支持基板96aに蓄積された電荷の局所的な滞留に起因した画像ムラの発生も抑制することができる。
なお、図8Aでは、半導体基板98bとして単結晶Si又はSiCを用いた場合について説明したが、放射線16に対する耐性の観点からすれば、SiCからなる半導体基板98bがより好ましい。これは、単結晶Siを用いた場合、Siと酸化膜(SiO2)との界面に溜まった電荷でCMOSセンサ98が損傷を受ける可能性があるからである。従って、半導体基板98bをSiCにすれば、原子核が飛ばされにくくなり、安定なSiO2膜を形成することができる。また、SiCは、バンドギャップがSiよりも大きい、いわゆるワイドギャップ半導体であり(Siのバンドギャップ:約1.1eV、SiCのバンドギャップ:約2.8eV、)、電離(電子−正孔対形成)に高エネルギーを要する。しかも、SiCは、反応断面積が小さい上に、原子間のボンディングが強く、原子変位の生成が起こりにくい。
なお、このような放射線16に対する耐性が高いワイドギャップ半導体としては、SiC以外にもZnOがある。従って、半導体基板98bとしてZnOを採用してもよいことは勿論である。
一方、センサ部98c(を構成するフォトダイオードや薄膜トランジスタ(Thin Film Transitor;TFT))が有機材料から構成されていれば、センサ部98cでの放射線16の吸収が抑制されると共に、低温での成膜が可能となる。
また、図8Aでは、ハウジング本体30(の天板35)がa−カーボンからなる場合について図示したが、図7Aのように、ハウジング本体30がアルミニウム等の放射線16を透過可能な金属材料であってもよいことは勿論である。
図8Bは、ハウジング本体30(の天板35)がCFRPからなる点で図8Aの構成とは異なる。従って、この場合には、前述した図5、図6及び図7Bと同様に、天板35の内壁261側に対して予めブラスト処理等を行って炭素繊維90を露出させ、露出した炭素繊維90に対して導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99を配置する。図8Bの場合でも、図8Aの場合と同様に、半導体基板98b及び支持基板96aに蓄積された電荷を炭素繊維90を介してグランドに逃すことが可能である。
図9Aは、放射線16を透過可能なアルミニウム等の金属材料からなる支持基板96bに対して複数のCMOSセンサ98がタイリングされている点で、図8Aの構成とは異なる。
この場合、前述した導電層98a及び導電性部材100は省略され、支持基板96bに対して半導体基板98bとセンサ部98cとが積層されている。また、図9Aの構成では、導電性の支持基板96bとa−カーボンからなる天板35とを面接触させることにより、前述の導電性ポリマーフイルム92又は導電性接着シート93を不要としている。
このように、図9Aの構成では、天板35とシンチレータ118との間の層数を減らして、放射線16を吸収する層を介在させないようにしたので、放射線16の吸収を一層抑制しつつ、半導体基板98bの酸化膜に蓄積された電荷を支持基板96bからa−カーボンの天板35を介してグランドに逃すことができる。なお、図9Aの場合でも、ハウジング本体30を放射線16を透過可能なアルミニウム等の金属材料で構成してもよい。
図9Bは、ハウジング本体30(の天板35)がCFRPからなる点で図9Aの構成とは異なる。従って、この場合には、前述した図5、図6、図7B及び図8Bと同様に、天板35の内壁261側に対して予めブラスト処理等を行って炭素繊維90を露出させ、露出した炭素繊維90に対して支持基板96bを配置する。図9Bの場合でも、図9Aの場合と同様に、半導体基板98bの酸化膜に蓄積された電荷を支持基板96b及び炭素繊維90を介してグランドに逃すことができる。
図10は、電子カセッテ20Aのブロック構成図である。
光電変換層120は、光電変換素子140と、スイッチング素子としてのTFT142とを有する。光電変換素子140は、放射線16(図1、図2、図5及び図6参照)を電荷に変換して蓄積可能なpin型のフォトダイオードやフォトトランジスタ等である。なお、図10では、光電変換素子140がpin型のフォトダイオードである場合を図示している。
この場合、光電変換層120では、ガラス又は樹脂からなる基板の一面に複数の信号線144とゲート線146とを互いに交差させるように配設し、各ゲート線146と各信号線144とにより区画された小領域に光電変換素子140とTFT142とをそれぞれ設けている。これにより、前記基板に複数の光電変換素子140及び複数のTFT142が二次元マトリクス状に配列されている。また、1つの光電変換素子140には1本のバイアス線148が接続され、各バイアス線148は、1本の結線150を介してバイアス電源172に接続されている。
ここで、光電変換素子140のアノード電極は、バイアス線148に接続され、カソード電極は、TFT142のソース電極Sに接続されている。一方、TFT142のゲート電極Gは、ゲート線146を介してゲート駆動回路152に接続され、ドレイン電極Dは、信号線144を介して信号読出回路154に接続されている。この場合、ゲート駆動回路152は、複数の駆動用IC124に対応する放射線変換パネル116を駆動するための駆動回路部である。一方、信号読出回路154は、複数の読出用IC128に対応する放射線画像に応じた電気信号を読み出す読出回路部である。
バイアス電源172は、結線150及び各バイアス線148を介して各光電変換素子140に逆方向にバイアス電圧(逆バイアス電圧)を印加する。図10では、pin型の光電変換素子140のp層側にアノード電極を介してバイアス線148が接続されているので、バイアス電源172からは、光電変換素子140のアノード電極に結線150及びバイアス線148を介して逆バイアス電圧として負の電圧(カソード電極よりも所定電圧以上低い電圧であればよい。)が印加されるようになっている。
なお、光電変換素子140のpin型の積層順を逆に形成して(光電変換素子140の極性が逆となるように形成して)カソード電極にバイアス線148を接続する場合には、バイアス電源172からはカソード電極に逆バイアス電圧として正の電圧(アノード電極よりも所定電圧以上高い電圧であればよい。)が印加される。その場合には、図10における光電変換素子140のバイアス電源172に対する接続の向きが逆向きになる。
ゲート駆動回路152からゲート線146を介してTFT142のゲート電極Gに信号読み出し用の電圧(制御信号)が印加されると、TFT142のゲートが開き、光電変換素子140に蓄積された電荷、すなわち、電気信号(放射線画像信号)が、TFT142のソース電極Sを介してドレイン電極Dから信号線144に読み出される。
信号読出回路154では、各信号線144に対して、増幅器160、サンプルホールド回路162、マルチプレクサ164及びAD変換器166が順に接続されている。従って、各信号線144を介して読み出された電気信号は、チャージアンプからなる増幅器160によって増幅され、サンプルホールド回路162によってサンプリングされた後、マルチプレクサ164を介してAD変換器166に順次供給され、デジタル信号(デジタル値)に変換される。AD変換器166は、デジタル値に変換された各光電変換素子140の電気信号を後述するカセッテ制御部174に順次出力する。
また、電子カセッテ20Aは、装置全体を制御するための制御部170を有する。
制御部170は、前述した電源スイッチ54、ディスプレイ56、入力端子58、USB端子60、カードスロット64、インジケータ66、電源部94及びバイアス電源172に加え、放射線変換パネル116、ゲート駆動回路152及び信号読出回路154等を制御するカセッテ制御部174と、コンソール22との間で無線通信により信号の送受信を行う通信部176とを有する。
電源部94は、電源回路178と電源180とを有する。電源180は、バッテリ又はキャパシタ(例えば、電気二重層キャパシタ)等の蓄電手段である。また、電源回路178は、電源180の電圧を所望の電圧に変換して電子カセッテ20A内の各部に供給可能なDC/DCコンバータ等の電力変換回路である。
カセッテ制御部174は、マイクロコンピュータを含む計算機であり、図示しないCPUがROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで各種機能を実現する。
具体的に、カセッテ制御部174は、画像メモリ182及び記憶部186を有する。画像メモリ182は、放射線変換パネル116から信号読出回路154を介して取得した放射線画像を記憶する。記憶部186は、電子カセッテ20Aを特定するためのカセッテID情報を記憶する。
なお、制御部170中、バイアス電源172、カセッテ制御部174及び通信部176は、前述した回路基板130に搭載される電子部品132によって実現される。
[第1実施形態の動作]
次に、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aを含む放射線撮像システム10の動作について、図11のフローチャートに従って説明する。なお、この動作説明では、必要に応じて、図1〜図10も参照しながら説明する。
先ず、ステップS1において、ユーザは、病院内の放射線科等の所定の保管場所から撮影台12(図1参照)にまで電子カセッテ20Aを運搬する。この場合、電子カセッテ20Aは、電源部94(図5、図6及び図10参照)がカセッテ制御部174にのみ電力供給を行って、該カセッテ制御部174のみが動作しているスリープ状態である。
次に、ユーザは、照射面36を上方に向けた状態で電子カセッテ20Aを撮影台12に配置した後に、電源スイッチ54を投入する。これにより、先ず、カセッテ制御部174は、該カセッテ制御部174に加え、ディスプレイ56、インジケータ66及び通信部176にも電力供給を行うように電源部94を制御する。この結果、ディスプレイ56は、電子カセッテ20Aの起動を画面表示する。また、インジケータ66は、LED等によって電子カセッテ20Aの起動を示す発光を行う。ユーザは、ディスプレイ56の画面表示又はインジケータ66の発光を視認することにより、電子カセッテ20Aが起動したことを把握することができる。さらに、通信部176は、コンソール22との間での無線による信号の送受信が可能となる。
次に、ユーザは、コンソール22を操作することにより、撮像対象である被写体14に関わる被写体情報等の撮像条件(例えば、放射線源18の管電圧や管電流、放射線16の曝射時間)を含めた撮影オーダを登録する。なお、撮像枚数や撮像部位や撮像方法が予め決まっている場合に、ユーザは、これらの条件も撮影オーダに含めて登録しておく。
前述のように、コンソール22と通信部176との間は、無線による信号の送受信が可能である。そのため、カセッテ制御部174は、通信部176を介して無線通信によりコンソール22に撮影オーダの送信を要求する。これに対して、コンソール22は、電子カセッテ20Aからの送信要求に応じて、前記撮影オーダを無線通信により電子カセッテ20Aに送信する。通信部176で受信された前記撮影オーダは、記憶部186に記憶される。
次のステップS2において、ユーザ及び電子カセッテ20Aは、撮影準備を行う。
この場合、カセッテ制御部174は、ディスプレイ56、インジケータ66、カセッテ制御部174及び通信部176以外の電子カセッテ20A内の各部にも電力供給を行うように、電源部94を制御する。これにより、電源部94からの電力供給を受けたバイアス電源172は、逆バイアス電圧を各光電変換素子140に印加し、該各光電変換素子140は、電荷蓄積が可能な状態に至る。また、カセッテ制御部174は、ゲート駆動回路152を制御して、全てのTFT142をオフ状態とする。
一方、ユーザは、放射線源18と放射線変換パネル116との間の距離をSID(線源受像画間距離)に調整する。この場合、ユーザは、照射面36に被写体14を配置させ、該被写体14の撮像部位が撮像可能領域40に入り、且つ、該撮像部位の中心位置が撮像可能領域40の中心位置と略一致するように、該被写体14のポジショニングを行う。
このようにして撮影準備が完了した後のステップS3において、ユーザは、コンソール22又は放射線源18に備わる図示しない曝射スイッチを投入する。コンソール22に曝射スイッチが備わっている場合には、ユーザによる曝射スイッチの投入後、コンソール22から無線通信によって撮像条件が放射線源18に送信される。また、放射線源18に曝射スイッチが備わっている場合には、ユーザによる曝射スイッチの投入後、放射線源18から無線通信によりコンソール22に対して撮像条件の送信が要求され、該コンソール22は、放射線源18からの送信要求に応じて、前記撮像条件を無線通信により放射線源18に送信する。
放射線源18は、撮像条件を受信すると、該撮像条件に従って、所定の線量からなる放射線16を所定の曝射時間だけ被写体14に照射する。放射線16は、被写体14を透過してハウジング本体30内の放射線変換パネル116に至る。この場合、シンチレータ118は、放射線16の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層120を構成する各光電変換素子140は、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する(ステップS4)。
次のステップS5において、カセッテ制御部174は、ゲート駆動回路152を制御して、ゲート駆動回路152から1本のゲート線146に信号読み出し用の電圧(制御信号)を印加させる。これにより、該ゲート線146にゲート電極Gが接続されている全てのTFT142のゲートが開き、これらのTFT142が接続されている各光電変換素子140に蓄積された電荷(図10のpin型の光電変換素子140では電子)が、電気信号として各信号線144にそれぞれ読み出される。
各増幅器160は、読み出された電気信号を増幅し、各サンプルホールド回路162は、増幅後の電気信号をサンプリングし、マルチプレクサ164を介してAD変換器166に順次供給する。AD変換器166は、順次供給された電気信号に対するAD変換を行い、デジタル信号に変換する。デジタル信号に変換された電気信号に応じた放射線画像は、カセッテ制御部174の画像メモリ182に一旦記憶される(ステップS6)。
このようにして、1本のゲート線146に接続された各光電変換素子140に対する電気信号(に応じた放射線画像)の読み出しの完了後、カセッテ制御部174は、ゲート駆動回路152を制御して、信号読み出し用の電圧を印加するゲート線146を順次切り替え、切り替えたゲート線146に接続された各光電変換素子140に対する電気信号の読み出しを順次行う。従って、電子カセッテ20Aでは、全てのゲート線146に接続された各光電変換素子140からの放射線画像の読み出しが完了するまで、ステップS5及びS6の処理を繰り返し行う。
なお、ステップS3での放射線16の照射によって、電気絶縁材料からなる支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜には電荷が蓄積される。この結果、ステップS4〜S6において、蓄積された電荷により支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜での電界強度が上昇し、センサ部98c、120bの故障の原因となることが懸念される。
このような問題に対して、本実施形態では、支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜に蓄積された電荷を、天板35(詳細には、天板35の炭素繊維90、a−カーボンからなる天板35、又は、金属材料からなる天板35)を介してグランドに逃すようにしている。これにより、支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜での電界強度の上昇、及び、センサ部98c、120bの故障を防止することができる。
このようにして、全ての光電変換素子140からの放射線画像の読み出しが完了し、被写体14の放射線画像が画像メモリ182に記憶された後のステップS7において、カセッテ制御部174は、画像メモリ182に記憶された放射線画像をディスプレイ56に表示させる。また、カセッテ制御部174は、放射線画像と、記憶部186に記憶されたカセッテID情報とを共に通信部176を介して無線通信によりコンソール22に送信する。
コンソール22は、受信した放射線画像に対して所定の画像処理を行い、画像処理後の放射線画像を無線通信により表示装置24に送信する。表示装置24は、受信した放射線画像を表示する。従って、ユーザは、ディスプレイ56に表示された放射線画像、又は、表示装置24に表示された放射線画像を視認することにより、被写体14に対して撮影オーダに応じた適切な撮像が行われたか否かを容易に判断することができる。
そして、ステップS8において、被写体14に対する撮像が完了した場合(ステップS8:YES)、ユーザは、被写体14を解放して撮像を終了させる(ステップS9)。次に、ユーザは、電源スイッチ54を押して、電子カセッテ20Aをスリープ状態に移行させる。その後、ユーザは、電子カセッテ20Aを所定の保管場所まで運搬する(ステップS10)。
一方、被写体14に対して複数枚の撮像を行う場合であって、全ての撮像が完了していない場合には(ステップS8:NO)、ステップS2又はステップS3に戻り、次の撮像、又は、次の撮像のための撮影準備が行われる。
[第1実施形態の効果]
以上説明したように、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aは、照射面36を有する天板35に対して、光電変換層120とシンチレータ118とが順に配置された放射線変換パネル116を有するISS方式の電子カセッテである。この電子カセッテ20Aにおいて、天板35の導電体(天板35に含まれる炭素繊維90、a−カーボンからなる天板35、又は、アルミニウム等の金属材料からなる天板35の導電部)と支持基板96a、120aとは、面接触により電気的に結合している。
これにより、例えば、導電体にフレームグランドを施して、該導電体をグランドの電位に接続すれば、支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜に蓄積された電荷を前記導電体を介してグランドに逃すことが可能となる。この結果、支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜への電荷の蓄積に起因したセンサ部98c、120bの故障の発生を回避することができる。
また、放射線16が照射される照射面36を有する天板35に対して放射線変換パネル116が面接触しているため、照射面36にポジショニングされる被写体14と放射線変換パネル116との距離を縮めることができ、高画質の放射線画像を取得することが可能となる。
この場合、天板35における光電変換層120側の箇所をハウジング本体30の他の箇所よりも電気的に低抵抗とすることで導電体(導電部、導電層)が形成される。この結果、該導電体に支持基板96a、120aを面接触させることで、支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜に電荷が発生しても、前記導電体を介してグランドに電荷を逃すことができる。
また、天板35における光電変換層120側の箇所に対して予めブラスト処理等を施し、天板35の内壁261に炭素繊維90を露出させることで、炭素繊維90が露出した内壁261に、他の層を介することなく、支持基板96a、120aを面接触させることが可能となる。この結果、放射線16がシンチレータ118に到達する前に該放射線16が不用意に吸収されることを回避しつつ、支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜に蓄積された電荷を炭素繊維90を介してグランドに逃すことができる。
また、ハウジング本体30(の天板35)がCFRPから構成されていれば、筐体29全体の軽量化及び高剛性化を図りつつ、炭素繊維90をグランド接続することで、支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜に蓄積された電荷をグランドに容易に逃すことができる。
さらに、ハウジング本体30(の天板35)を、放射線16を透過可能な(放射線16の吸収を抑制する)a−カーボン又はアルミニウム等の金属材料で構成すれば、表面の電気抵抗が低いため、天板35全体が導電体となる。この結果、天板35の内壁261に対するブラスト処理等が不要になると共に、該内壁261に支持基板96a、120aを面接触させるだけで、支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜に蓄積された電荷を、a−カーボン又は金属材料を介してグランドに効率よく逃すことができる。
また、支持基板96a、120aを放射線16を透過可能な導電シートとしての導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99を介して天板35の内壁261に面接触させることにより、支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜に蓄積された電荷を導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99と天板35の導電体とを介してグランドに逃すことができる。
なお、支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜に蓄積された電荷をグランドに確実に逃すことができるのであれば、天板35の内壁261に対する導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99の面接触状態は、いかなる状態であってもよい。すなわち、天板35の内壁261に対する面接触状態としては、内壁261への貼り付け(導電性接着シート93)でもよいし、あるいは、内壁261への密着又は押し当て(導電性ポリマーフイルム92、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99)であってもよい。
そして、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99を放射線16の吸収を抑制する有機材料で構成すれば、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99での放射線16の吸収を回避しつつ、支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜に蓄積された電荷をグランドに逃すことができる。特に、上記の導電シートが有機材料で構成されると共に、センサ部120bがOPCを含み構成されていれば、シンチレータ118に到達するまでの放射線16の減衰を一層抑制することができる。
なお、筐体29がCFRP、a−カーボン又は金属材料からなり、炭素繊維90等の導電体がグランド接続されていれば、筐体29全体に対して電磁シールドを施すことになるため、電子カセッテ20Aの電磁シールド機能を向上させることも可能となる。
また、第1実施形態の説明では、導電体にフレームグランドを施して、支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜に蓄積された電荷を該導電体を介してグランドに逃す場合について説明した。第1実施形態は、上記の説明に限定されることはなく、電子カセッテ20Aに内蔵される電気回路(電源部94、フレキシブル基板122、126、駆動用IC124、読出用IC128、回路基板130及び電子部品132)の共通の基準電位(電源部94のマイナス端子又はプラス端子の電位)に前記導電体を接続することにより、前記電荷を基準電位を介してグランドに逃してもよい。
つまり、フレームグランドの場合には、導電体がグランドの電位(特定の電位)に直接接続され、一方で、基準電位との接続の場合には、導電体が基準電位(特定の電位)を介してグランドに接続される。いずれの場合であっても、導電体の特定の電位(基準電位、グランドの電位)への接続を容易に行うことができる。
さらに、第1実施形態では、放射線16の照射前(図11のステップS2の期間)に、導電体が特定の電位に接続された状態に動的に切り換わればよい。これにより、被写体14に対する放射線撮影の際に、支持基板96a、120a及び半導体基板98bの酸化膜に蓄積された電荷をグランドに効率よく且つ確実に逃すことができる。
また、第1実施形態では、下記の効果も得られる。
ハウジング本体30の開口部44a、44bを蓋部材32、34で閉塞して筐体29を構成することにより、電子カセッテ20Aの落下や、外部からの衝撃があっても蓋部材32、34のみの破損で済ませることが可能となる。この結果、リワーク時には、蓋部材32、34のみ交換すればよく、電子カセッテ20Aの修理コストを大幅に削減することができる。
このように、蓋部材32、34のみの破損で済むため、ハウジング本体30の中空部41(室110)に収容された放射線変換パネル116や、電源部94、フレキシブル基板122、126、駆動用IC124、読出用IC128、回路基板130及び電子部品132等の各種の電子部品を適切に保護することができる。
また、ハウジング本体30には、2つの開口部44a、44bが形成されているので、どちらの開口部44a、44bからも室110内の放射線変換パネル116及び各種の電子部品の出し入れが可能となり、これらの構成要素の交換作業等を容易に行うことができる。
さらに、上述のように、筐体29がモノコック構造であるため、装置全体の軽量化を実現できると共に、外部からの応力(例えば、筐体29の落下、被写体14からの荷重、外部からの衝撃)を筐体29全体として受けることができるので、該筐体29の機械的強度(耐落下性、耐荷重性、耐衝撃性)を向上させることができる。
また、筐体29は、落下や外部からの衝撃に対して蓋部材32、34のみの損傷で済むような構造であるため、筐体29の上面である照射面36と底面46との損傷を回避することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る電子カセッテ20Bについて図12〜図18を参照しながら説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、その詳細な説明を省略し、以下同様とする。
第2実施形態では、電子カセッテ20Bのハウジング本体30が、電子カセッテ20Aのハウジング本体30のように一体成形により構成されるものではなく、2以上の部材を連結することによりハウジング本体30が構成される点で、第1実施形態とは異なる。従って、第2実施形態に係る電子カセッテ20Bは、モノコック構造ではない筐体29にも適用可能である。
先ず、図12の電子カセッテ20Bでは、断面略U字状の下側ケース30bの開口部分に天板35を上方から覆い被せることによりハウジング本体30が構成される。
天板35はCFRPからなり、内壁261には予めブラスト処理等が施され、炭素繊維90が室110に露出している。一方、下側ケース30bは金属材料からなる。この場合、下側ケース30bの開口部分に天板35を覆い被せることにより、下側ケース30bの上端部と天板35の内壁261に露出している炭素繊維90とが接触する。また、下側ケース30bの内側(内壁)は、電気絶縁材料からなる非導電層102で覆われている。
図12の構成では、支持基板120aが内壁261に露出した炭素繊維90に面接触することにより、モノコック構造ではない筐体29であっても、第1実施形態でのグランド接続に関わる各効果を容易に得ることができる。また、金属材料からなる下側ケース30bの上端部と天板35の炭素繊維90とが接触することにより、筐体29全体として電磁シールドを施すことができる。
さらに、電子カセッテ20Bの落下や外部から電子カセッテ20Bへの衝撃によって、制御信号の生成及び供給や電気信号の処理に関わる各種の電子部品が下側ケース30bに接触してショートする可能性がある。具体的に、電源部94、フレキシブル基板122、126、駆動用IC124、読出用IC128、回路基板130及び電子部品132、特に電源部94と、下側ケース30bとが接触してショートする可能性がある。このような場合に、筐体29内における電源部94等との対向箇所である下側ケース30bの内壁を非導電層102で予め覆うことにより、電源部94等が下側ケース30bに接触してショートすることを回避することができる。
なお、図12の電子カセッテ20Bにおいても、天板35をa−カーボン又はアルミニウム等の金属材料で構成してもよいことは勿論である。また、下側ケース30bについても、CFRP、a−カーボン又はアルミニウム等の金属材料で構成してもよいことは勿論である。
図13の電子カセッテ20Bでは、CFRPからなる天板35及び底板53と、金属材料からなる側板49、51とを組み立てることによりハウジング本体30が構成される点で、図12の構成とは異なる。この場合、非導電層102は、側板49、51の室110側(内壁)に形成されている。また、前述のように、CFRPは、炭素繊維90の周囲を電気抵抗の高いプラスチックで固めて構成され、その表面は該プラスチックで覆われて電気抵抗が比較的高くなっているため、底板53の室110側(内壁)に非導電層102は設けられていない。なお、底板53の両端部は、予めブラスト処理等が施されて炭素繊維90が露出しており、露出した炭素繊維90は、側板49、51と接触している。
図13の構成でも、支持基板120aが内壁261に露出した炭素繊維90に面接触することにより、図12と同様の効果を得ることができる。また、金属材料からなる側板49、51と、天板35及び底板53の各炭素繊維90とが接触することにより、筐体29全体として電磁シールドを施すことができる。さらに、側板49、51の内壁を非導電層102で覆うと共に、底板53をCFRPで構成することにより、電源部94、フレキシブル基板122、126、駆動用IC124、読出用IC128、回路基板130及び電子部品132等の各種の電子部品のショートを回避することができる。
なお、図13の電子カセッテ20Bにおいても、天板35及び底板53をa−カーボン又はアルミニウム等の金属材料で構成し、側板49、51をCFRP、a−カーボン又はアルミニウムで構成してもよいことは勿論である。
図14の電子カセッテ20Bでは、CFRPからなる断面略U字状の上側ケース30aと、金属材料からなる断面略U字状の下側ケース30bと、上側ケース30aの上面に形成された凹部に装着された上板30cとからハウジング本体30が構成される点で、図12及び図13の構成とは異なる。
この場合、上側ケース30aの照射面36側の箇所が天板35として機能する。また、非導電層102は、下側ケース30bの室110側(内壁)に形成されている。さらに、基台112は、グランドラインとして機能する接続線(第2の接続線)104を介して下側ケース30bに接続されている。さらにまた、上側ケース30aの下端部は、予めブラスト処理等により炭素繊維90が露出しており、露出した炭素繊維90は、下側ケース30bの上端部と接触している。
図14の構成でも、支持基板120aが内壁261に露出した炭素繊維90に面接触することにより、図12及び図13と同様の効果を得ることができる。また、金属材料からなる下側ケース30bと、上側ケース30aの炭素繊維90とが接触することにより、筐体29全体として電磁シールドを施すことができる。
さらに、下側ケース30bの内壁を非導電層102で覆うことにより、電源部94、フレキシブル基板122、126、駆動用IC124、読出用IC128、回路基板130及び電子部品132等の各種の電子部品のショートを回避することができる。さらにまた、基台112が接続線104を介して下側ケース30bに接続されているため、電源部94、回路基板130及び電子部品132のグランドを取ることが可能になると共に、回路基板130に蓄積された電荷についても、基台112、接続線104及び下側ケース30bを介してグランドに逃すことができる。
また、上板30cが照射面36を形成するため、被写体14が接触する可能性のある照射面36に汚れや傷がついた場合には、該上板30cのみ交換すればよいので、修理コストを抑制しつつ、筐体29を清潔にした状態で被写体14に対する撮像を行うことができる。なお、上板30cが装着された上側ケース30aに汚れや傷がついた場合には、該上側ケース30aのみ交換し、上板30cや下側ケース30bは、そのまま利用できることは勿論である。
なお、図14の電子カセッテ20Bにおいても、上側ケース30aをa−カーボン又はアルミニウム等の金属材料で構成し、下側ケース30bをCFRP、a−カーボン又はアルミニウムで構成してもよいことは勿論である。
図15の電子カセッテ20Bでは、図14で説明した上側ケース30a及び下側ケース30bによりハウジング本体30が構成され、基台112がネジ部材106によって下側ケース30bの底面側(底板53)に固定される点で、図14の構成とは異なる。この場合、非導電層102は、下側ケース30bにおける電源部94、回路基板130及び電子部品132に対向する箇所(底板53の内壁)に形成されている。
図15の構成でも、図14と同様の効果を得ることができる。また、下側ケース30bの底板53側を非導電層102で覆うことにより、電源部94、回路基板130及び電子部品132の下側ケース30bへの接触によるショートの発生を回避することができる。さらに、基台112がネジ部材106により下側ケース30bに固定されているため、電源部94、回路基板130及び電子部品132のグランドを取ることが可能になると共に、回路基板130に蓄積された電荷についても、基台112及び下側ケース30bを介してグランドに逃すことができる。
図16の電子カセッテ20Bでは、CFRPからなる上側ケース30aの側部が、金属材料からなる底板53まで延在することにより、該上側ケース30aと底板53とによってハウジング本体30が構成される点で、図12〜図15の構成とは異なる。この場合、上側ケース30aの側部の一部(側板51)に対して予めブラスト処理等が施されることにより炭素繊維90が露出し、露出した炭素繊維90と基台112とが接続線104を介して接続されている。また、上側ケース30aの下端部についても、予めブラスト処理等が施されることにより炭素繊維90が露出し、露出した炭素繊維90と底板53とが接触している。
さらに、基台112の裏面129の中央部に回路基板130が配置され、裏面129の右側に電源部94が配置されている。さらにまた、非導電層102は、下側ケース30bにおける電源部94、回路基板130及び電子部品132に対向する箇所(底板53の内壁)に形成されている。
図16の構成でも、炭素繊維90と底板53とを接触させたことによる効果、接続線104で接続することによる効果、非導電層102を形成したことによる効果等が容易に得られる。また、図16の電子カセッテ20Bにおいて、例えば、上方から天板35に対して荷重がかかった場合、筐体29の中央付近が最も変形する。従って、図16では、基台112の裏面129の中央部に配置された回路基板130及び電子部品132が、金属材料からなる底板53に接触してショートする可能性が最も高い。
このような問題に対して、図16の構成では、底板53における電源部94、回路基板130及び電子部品132に対向する箇所に非導電層102をそれぞれ設けることにより、筐体29の変形に起因した、各種の電子部品と金属材料からなる底板53との接触を回避することができる。
特に、外部からの荷重に対して最も変形する筐体29の中央付近に配置された回路基板130及び電子部品132に対しては、該回路基板130に対応して底板53に非導電層102を設けることによって、該底板53との接触を効果的に回避することができる。
また、図16では、電源部94、回路基板130及び電子部品132のうち、電源部94が底板53側に最も突出しており、電源部94が底板53と接触してショートを起こす可能性も高い。そこで、電源部94に対応して底板53に非導電層102を設けることによって、該底板53との接触を確実に回避することが可能となる。
図17の電子カセッテ20Bでは、下側ケース30bの側部が天板35まで延在することにより、該天板35と下側ケース30bとによってハウジング本体30が構成される点で、図12〜図16の構成とは異なる。この場合、天板35及び下側ケース30bは、いずれもCFRPで構成されている。また、天板35の側板49、51の箇所と下側ケース30bの上端部とに対して予めブラスト処理等が施されることにより炭素繊維90がそれぞれ露出し、下側ケース30bの開口部分を天板35で覆うことにより、露出した各炭素繊維90を接触させる。さらに、図17の場合、非導電層102は、下側ケース30bの内壁を全体的に覆うように形成されている。
図17の構成では、下側ケース30bに天板35を覆い被せて各炭素繊維90を接触させることにより、筐体29全体として電磁シールドを施すことができる。また、下側ケース30bの内壁を非導電層102で覆うことにより、下側ケース30bの炭素繊維90の一部が室110に露出するような場合があっても、電源部94、フレキシブル基板122、126、駆動用IC124、読出用IC128、回路基板130及び電子部品132と該炭素繊維90との接触を防止して、ショートの発生を回避することができる。
図18の電子カセッテ20Bでは、CFRPからなる下側ケース30bに対して、CFRPからなる上側ケース30aを被せることによりハウジング本体30が構成される点で図12〜図17の構成とは異なる。従って、上側ケース30aの側部の内側に下側ケース30bの側部が配置されることになる。
この場合、上側ケース30aの側部と、下側ケース30bの側部とに対して予めブラスト処理等を施して炭素繊維90を露出させることにより、下側ケース30bに対して上側ケース30aを被せると、各炭素繊維90を接触させることができ、この結果、筐体29全体として電磁シールドを施すことができる。
また、図18では、電源部94、回路基板130及び電子部品132のうち、電源部94が底板53側に最も突出し、一部の電子部品132が次に突出している。そのため、電源部94及び一部の電子部品132が底板53の内壁に露出する炭素繊維90と接触してショートを起こす可能性が高い。
そこで、図18では、下側ケース30bの内壁のうち、電源部94及び一部の電子部品132に対向する箇所についてのみ非導電層102を形成する。これにより、ショートする可能性の高い電源部94及び一部の電子部品132と、炭素繊維90との接触を回避して、該ショートの発生を防止することができる。なお、底板53側に最も突出している電源部94は、ショートを起こす可能性が最も高いので、下側ケース30bの内壁のうち、少なくとも電源部94に対向する箇所に対して非導電層102が形成されていればよい。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る電子カセッテ20Cについて、図19を参照しながら説明する。
第3実施形態では、放射線変換パネル116と天板35との間にスポンジ等の緩衝部材108が介挿され、支持基板120aがグランドラインとしての接続線(第1の接続線)105を介してハウジング本体30に含まれる炭素繊維90と接続されている点で、第1及び第2実施形態とは異なる。
図19において、CFRPからなるハウジング本体30のうち、側板51の内壁の一部に予めブラスト処理等を施すことにより室110に炭素繊維90を露出させ、露出した炭素繊維90と支持基板120aとを接続線105で接続する。また、基台112の両端部は、ネジ部材106により底板53に固定されている。この場合、底板53におけるネジ部材106及び基台112との接触箇所には、予めブラスト処理等が施されて炭素繊維90が露出している。そのため、基台112の両端部がネジ部材106により底板53に固定されると、露出した炭素繊維90と基台112の両端部とが接触する。
第3実施形態では、支持基板120aと炭素繊維90とを接続線105を介して電気的に接続しているため、支持基板120aが天板35の内壁261に面接触できない場合であっても、接続線105及び炭素繊維90を介して、支持基板120aに蓄積された電荷をグランドに逃すことが可能となる。また、緩衝部材108を介挿することにより、電子カセッテ20Cの落下や外部からの衝撃に対して放射線変換パネル116及び各種の電子部品を適切に保護することができる。
また、第3実施形態では、第1及び第2実施形態のように、支持基板120aに蓄積された電荷を天板35を介してグランドに逃すことは行っておらず、接続線105を介してグランドに逃すようにしているため、緩衝部材108を省略して、支持基板120aと天板35との密着状態を解消することも可能である。この場合、筐体29内に放射線変換パネル116を固定保持するために、接着剤等により放射線変換パネル116を基台112に貼り付けることが望ましい。
なお、第3実施形態においても、第1及び第2実施形態と共通する構成(例えば、ネジ部材106による基台112の固定)については、同様の効果が得られることは勿論である。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る電子カセッテ20Dについて、図20〜図22を参照しながら説明する。
第4実施形態は、基台112を蓋部材32に固定した状態で、ハウジング本体30に蓋部材32を嵌合させると、基台112に配置された放射線変換パネル116や各種の電子部品が筐体29に収容される、いわゆるスロットイン方式である点で、第1〜第3実施形態とは異なる。
先ず、図20の電子カセッテ20Dでは、CFRPからなる蓋部材32の挿入部70の内方にスポンジ等の緩衝部材190が配置され、該緩衝部材190の凹部192に基台112の一端部が差し込まれると共に、該基台112と蓋部材32に含まれる炭素繊維90との間が接続線104で接続されている。
この場合、ハウジング本体30及び蓋部材32、34は、いずれもCFRPからなり、ハウジング本体30の内壁261に限らず、ハウジング本体30と蓋部材32、34との接触箇所や、蓋部材32における接続線104との接続箇所についても、ブラスト処理等が施されることで炭素繊維90が露出される。
従って、緩衝部材190の凹部192に基台112の一端部が差し込まれると共に、基台112と蓋部材32の炭素繊維90とが接続線104で接続された状態で、ハウジング本体30の開口部44aと蓋部材32の挿入部70とを嵌合させると、基台112と共に放射線変換パネル116及び各種の電子部品が筐体29内に収容され、さらには、ハウジング本体30及び蓋部材32、34の各炭素繊維90が接触して、筐体29全体として電磁シールドが施されることになる。
この結果、回路基板130に蓄積される電荷を基台112、接続線104及び蓋部材32の炭素繊維90を介してグランドに逃すことが可能となる。また、スロットイン方式で放射線変換パネル116及び各種の電子部品が基台112と共に筐体29内に収容されるため、電子カセッテ20Dの組立作業や、放射線変換パネル116及び各種の電子部品の交換作業が容易なものとなる。さらに、基台112が緩衝部材190の凹部192に嵌合しているため、電子カセッテ20Dの落下や外部からの衝撃に対して、基台112、放射線変換パネル116及び各種の電子部品を適切に保護することができる。
図21の電子カセッテ20Dは、挿入部70の内側に緩衝部材190に代えて導電性の板ばね193が設けられ、該板ばね193の弾発力によって基台112の一端部が蓋部材32の挿入部70に押圧固定される点で、図20の構成とは異なる。
この場合、挿入部70の底板53側の箇所は、室110の中央部に基台112を保持するために、天板35側の箇所と比較して厚肉となっている。また、挿入部70における板ばね193の基端部側と、該挿入部70における基台112の一端部に接触する箇所とには、予めブラスト処理等が施されることにより炭素繊維90が露出している。そのため、基台112の一端部が板ばね193の弾発力によって蓋部材32の挿入部70に押圧固定されると、基台112の一端部の上側は、板ばね193を介して炭素繊維90と電気的に接続され、一方で、基台112の一端部の下側は、露出した炭素繊維90と接触する。
従って、図21の場合でも、基台112の一端部が板ばね193によって蓋部材32の挿入部70に押圧固定された状態で、ハウジング本体30の開口部44aと蓋部材32の挿入部70とを嵌合させると、図20の場合と同様に、基台112と共に放射線変換パネル116及び各種の電子部品が筐体29内に収容される。また、ハウジング本体30及び蓋部材32、34の各炭素繊維90が接触することで、筐体29全体として電磁シールドが施される。
この結果、回路基板130に蓄積される電荷を基台112、板ばね193及び蓋部材32の炭素繊維90を介してグランドに逃すことが可能となる。また、図21においても、スロットイン方式で放射線変換パネル116及び各種の電子部品が基台112と共に筐体29内に収容されるため、電子カセッテ20Dの組立作業や、放射線変換パネル116及び各種の電子部品の交換作業が容易なものとなる。
図22の電子カセッテ20Dは、前述の緩衝部材190及び板ばね193に代えて、導電性のネジ部材194により基台112の一端部を蓋部材32の挿入部70に固定する点で、図20及び図21の構成とは異なる。
この場合でも、挿入部70の底板53側の箇所は、室110の中央部に基台112を保持するために、天板35側の箇所と比較して厚肉となっている。挿入部70の底板53側の箇所(厚肉部分)におけるネジ部材194及び基台112との接触箇所には、予めブラスト処理等が施されて炭素繊維90が露出している。そのため、基台112の一端部がネジ部材194により挿入部70の厚肉部分に固定されると、露出した炭素繊維90と基台112の一端部とが接触する。
従って、図22の場合でも、基台112の一端部がネジ部材194によって蓋部材32の挿入部70に固定された状態で、ハウジング本体30の開口部44aと蓋部材32の挿入部70とを嵌合させると、図20及び図21の場合と同様に、基台112と共に放射線変換パネル116及び各種の電子部品が筐体29内に収容され、さらには、ハウジング本体30及び蓋部材32、34の各炭素繊維90が接触して、筐体29全体として電磁シールドが施されることになる。
この結果、回路基板130に蓄積される電荷を基台112、ネジ部材194及び蓋部材32の炭素繊維90を介してグランドに逃すことが可能となる。また、図22においても、スロットイン方式で放射線変換パネル116及び各種の電子部品が基台112と共に筐体29内に収容されるため、電子カセッテ20Dの組立作業や、放射線変換パネル116及び各種の電子部品の交換作業が容易なものとなる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る電子カセッテ20Eについて図23及び図24を参照しながら説明する。
第5実施形態に係る電子カセッテ20Eでは、筐体29におけるx2方向側が薄板状の蓋部材32とされ、x1方向側がユーザが把持可能な把持部206とされている。従って、ユーザは、把持部206の取っ手208を把持した状態で電子カセッテ20Eを運搬することが可能である。
また、図24に示すように、図示しないヒンジ部材を中心として蓋部材32を回動させることにより、蓋部材32によって開口部44aを閉塞することができる一方で、開口部44aを開放状態とすることもできる。
第5実施形態でも、第1〜第4実施形態と同様の効果が得られることは勿論である。
また、第5実施形態では、蓋部材32を下にした状態で取っ手208を把持して電子カセッテ20Eを運搬するので、運搬中に筐体29を落下させても、蓋部材32のみの損傷で済ませることができる。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態に係る電子カセッテ20Fについて図25及び図26を参照しながら説明する。
第6実施形態に係る電子カセッテ20Fは、筐体29の厚みが全体的に薄く、ハウジング本体30の側面42aが湾曲面となっていると共に、該湾曲面に合わせて、蓋部材32も湾曲形状となっている。この場合、側面42aの中央部は、x1方向に向かって凹み、蓋部材32の中央部は、側面42aの凹部に対応してx1方向に膨出した凸部となっている。この凸部に取っ手220が設けられている。
一方、ハウジング本体30のx1方向の2つの角部226(側面42bと側面42c、42dとを連結する2つの角部)は、ハウジング本体30の中心に向かって凹んでおり、この凹部にはL字状の緩衝部材222が嵌合している。
なお、電子カセッテ20Fは、筐体29が薄厚であるため、ディスプレイ56は、照射面36における撮像可能領域40外に配置され、電源スイッチ54、入力端子58、USB端子60及びカードスロット64は、側面42dに配置されている。
このように構成される第6実施形態に係る電子カセッテ20Fにおいても、第1〜第4実施形態と同様の効果が得られる。
また、第6実施形態では、蓋部材32に取っ手220が設けられているので、蓋部材32を上にした状態で取っ手220を把持して電子カセッテ20Fを運搬することになるが、この場合でも、電子カセッテ20Fを容易に運搬することができる。
[第1〜第6実施形態の他の構成]
また、第1〜第6実施形態において、放射線変換パネル116は、図27A及び図27Bのように構成してもよい(変形例)。この変形例では、CsIからなるシンチレータを用いた放射線変換パネル116の具体的な構成について、詳細に説明する。
図27A及び図27Bの変形例において、放射線変換パネル116は、被写体14を透過した放射線16を可視光に変換する(放射線16を吸収して可視光を放出する)シンチレータ500と、該シンチレータ500で変換された可視光を放射線画像に応じた電気信号(電荷)に変換する放射線検出部502とから構成される。なお、シンチレータ500は、前述のシンチレータ118に対応し、放射線検出部502のうち、後述する絶縁性基板508以外の箇所は、センサ部120bに対応する。
従って、図27Aに示すように、この変形例においても、絶縁性基板508は、天板35の内壁261に露出した炭素繊維90と面接触している。また、この変形例においても、放射線16の照射によって発生した電荷を、炭素繊維90を介してグランドに逃すことにより、第1実施形態等の各効果が得られることは勿論である。
また、図27A及び図27Bに示す放射線変換パネル116は、前述した第1〜第6実施形態での説明と同様に、放射線16が照射される照射面36に対して放射線検出部502とシンチレータ500との順に配置されたISS方式である。
ISS方式では、シンチレータ500は、放射線16が入射される照射面36側がより強く発光する。そのため、ISS方式は、照射面36に対してシンチレータ500と放射線検出部502との順に配置された裏面読取方式であるPSS(Penetration Side Sampling)方式と比較して、放射線検出部502が照射面36に接近した状態で配置されているため、撮像によって得られる放射線画像の分解能が高く、且つ、放射線検出部502での可視光の受光量も増大する。従って、ISS方式は、PSS方式よりも、放射線変換パネル116(電子カセッテ20A〜20F)の感度を向上させることができる。
また、シンチレータ500は、例えば、CsI:Tl(タリウムを添加したヨウ化セシウム)、CsI:Na(ナトリウム賦活ヨウ化セシウム)、GOS等の材料を用いることができる。
図27Bは、一例として、蒸着基板504にCsIを含む材料を蒸着させることにより、柱状結晶領域を含むシンチレータ500を形成した場合を図示している。
具体的に、図27Bのシンチレータ500では、放射線16が入射される照射面36側(放射線検出部502側)に柱状結晶500aからなる柱状結晶領域が形成され、該照射面36側の反対側に非柱状結晶500bからなる非柱状結晶領域が形成された構成となっている。なお、蒸着基板504としては、耐熱性の高い材料が望ましく、例えば、低コストという観点からアルミニウム(Al)が好適である。また、シンチレータ500は、柱状結晶500aの平均径が該柱状結晶500aの長手方向に沿っておよそ均一とされている。
上記のように、シンチレータ500は、柱状結晶領域(柱状結晶500a)及び非柱状結晶領域(非柱状結晶500b)で形成された構成であると共に、高効率の発光が得られる柱状結晶500aからなる柱状結晶領域が放射線検出部502側に配置されている。そのため、シンチレータ500で発生された可視光は、柱状結晶500a内を進行して放射線検出部502へ射出される。この結果、放射線検出部502側へ射出される可視光の拡散が抑制され、電子カセッテ20A〜20Fによって検出される放射線画像のボケが抑制される。また、シンチレータ500の深部(非柱状結晶領域)に到達した可視光も、非柱状結晶500bによって放射線検出部502側へ反射するので、放射線検出部502に入射される可視光の光量(シンチレータ500で発光された可視光の検出効率)を向上させることもできる。
なお、シンチレータ500の照射面36側に位置する柱状結晶領域の厚みをt1とし、シンチレータ500の蒸着基板504側に位置する非柱状結晶領域の厚みをt2とすれば、t1とt2との間では、0.01≦(t2/t1)≦0.25の関係を満足することが望ましい。
このように、柱状結晶領域の厚みt1と非柱状結晶領域の厚みt2とが上記の関係を満たすことで、発光効率が高く且つ可視光の拡散を防止する領域(柱状結晶領域)と、可視光を反射する領域(非柱状結晶領域)とのシンチレータ500の厚み方向に沿った比率が好適な範囲となる。この結果、シンチレータ500の発光効率、該シンチレータ500で発光された可視光の検出効率、及び、放射線画像の解像度が向上する。
なお、非柱状結晶領域の厚みt2が厚すぎると発光効率の低い領域が増え、電子カセッテ20A〜20Fの感度の低下につながることから、(t2/t1)は0.02以上且つ0.1以下の範囲であることがより好ましい。
また、上記の説明では、柱状結晶領域と非柱状結晶領域とが連続的に形成された構成のシンチレータ500について説明したが、例えば、上記の非柱状結晶領域に代えて、Al等から成る光反射層を設けて、柱状結晶領域のみ形成された構成としてもよいし、他の構成であってもよい。
放射線検出部502は、シンチレータ500の光射出側(柱状結晶500a)から射出された可視光を検出する。図27Aの側面視において、放射線検出部502では、放射線16の入射方向に沿って、照射面36に対して、絶縁性基板508、TFT層510及び光電変換部512が順に積層されている。TFT層510の底面には、光電変換部512を覆うように平坦化層514が形成されている。なお、絶縁性基板508は、前述の支持基板120aに対応する。
また、放射線検出部502は、フォトダイオード(PD:Photo Diode)等からなる光電変換部512、蓄積容量516及びTFT518を備えた画素部520を、絶縁性基板508上に平面視でマトリクス状に複数形成した、TFTアクティブマトリクス基板(以下、TFT基板ともいう。)として構成される。
なお、TFT518は、前述のTFT142に対応し、光電変換部512及び蓄積容量516は、光電変換素子140に対応する。
光電変換部512は、シンチレータ500側の下部電極512aと、TFT層510側の上部電極512bとの間に、光電変換膜512cを配置して構成される。光電変換膜512cは、シンチレータ500から放出された可視光を吸収し、吸収した可視光に応じた電荷を発生する。
下部電極512aは、シンチレータ500から放出された可視光を光電変換膜512cに入射させる必要があるため、少なくともシンチレータ500の発光波長に対して透明な導電性材料で構成することが好ましい。具体的には、可視光に対する透過率が高く、抵抗値が小さい透明導電性酸化物(TCO:Transparent Conducting Oxide)を用いることが好ましい。
なお、下部電極512aとしてAu等の金属薄膜を用いることもできるが、90%以上の光透過率を得ようとすると抵抗値が増大しやすくなるため、TCOの方が好ましい。例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(Aluminium doped Zinc Oxide)、FTO(Fluorine doped Tin Oxide)、SnO2、TiO2、ZnO2等を用いることが好ましいが、プロセス簡易性、低抵抗性、透明性の観点からITOが最も好ましい。また、下部電極512aは、全ての画素部520で共通する一枚構成としてもよいし、画素部520毎に分割してもよい。
また、光電変換膜512cは、可視光を吸収して電荷を発生する材料から構成すればよく、例えば、アモルファスシリコン(a−Si)や有機光電変換材料(OPC)等を用いることができる。光電変換膜512cをアモルファスシリコンで構成した場合、シンチレータ500から放出された可視光を広い波長域にわたって吸収するように構成することができる。但し、アモルファスシリコンからなる光電変換膜512cの形成には蒸着を行う必要があり、絶縁性基板508が合成樹脂製である場合、絶縁性基板508の耐熱性も考慮する必要がある。
一方、有機光電変換材料を含む材料で光電変換膜512cを構成した場合、主に可視光域で高い吸収を示す吸収スペクトルが得られるので、光電変換膜512cにおいては、シンチレータ500から放出された可視光以外の電磁波の吸収はほとんどなくなる。この結果、X線やγ線等の放射線16の光電変換膜512cでの吸収により発生するノイズを抑制することができる。
また、有機光電変換材料からなる光電変換膜512cは、インクジェットヘッド等の液滴吐出ヘッドを用いて、有機光電変換材料を被形成体上に付着させることにより形成することができるので、該被形成体に対する耐熱性は要求されない。このため、この変形例では、光電変換膜512cを有機光電変換材料で構成している。
さらに、光電変換膜512cを有機光電変換材料で構成した場合、光電変換膜512cで放射線16がほとんど吸収されない。そのため、放射線16が透過するように放射線検出部502が配置されるISS方式において、放射線検出部502を透過する放射線16の減衰を抑制することができ、該放射線16に対する感度の低下を抑えることができる。従って、光電変換膜512cを有機光電変換材料で構成することは、特にISS方式において好適である。
光電変換膜512cを構成する有機光電変換材料は、シンチレータ500から放出された可視光を最も効率良く吸収するために、その吸収ピーク波長が、シンチレータ500の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光電変換材料の吸収ピーク波長とシンチレータ500の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければ、シンチレータ500から放出された可視光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光電変換材料の吸収ピーク波長と、シンチレータ500の放射線16に対する発光ピーク波長との差が10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
このような条件を満たすことが可能な有機光電変換材料としては、例えば、キナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えば、キナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmである。そのため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、シンチレータ500の材料としてCsI:Tlを用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜512cで発生する電荷量を略最大にすることができる。
次に、放射線変換パネル116に適用可能な光電変換膜512cについて、より具体的に説明する。
放射線変換パネル116における電磁波吸収/光電変換部位は、上部電極512b及び下部電極512aと、該上部電極512b及び下部電極512aに挟まれた光電変換膜512cを含む有機層である。この有機層は、より具体的には、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び、層間接触改良部位等を積み重ねるか、若しくは、混合することで形成することができる。
上記有機層は、有機p型化合物又は有機n型化合物を含有することが好ましい。有機p型半導体(化合物)は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質を有する有機化合物である。さらに詳しくは、2つの有機材料を接触させて用いたときに、イオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物である。従って、ドナー性有機化合物としては、電子供与性を有する有機化合物であれば、いずれの有機化合物も使用可能である。有機n型半導体(化合物)は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容しやすい性質を有する有機化合物である。さらに詳しくは、2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物である。従って、アクセプター性有機化合物は、電子受容性を有する有機化合物であれば、いずれの有機化合物も使用可能である。
有機p型半導体及び有機n型半導体として適用可能な材料や、光電変換膜512cの構成については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
また、光電変換部512は、少なくとも上部電極512b及び下部電極512aと光電変換膜512cとを含んでいればよいが、暗電流の増加を抑制するため、電子ブロッキング膜及び正孔ブロッキング膜の少なくともいずれかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
電子ブロッキング膜は、上部電極512bと光電変換膜512cとの間に設けることができ、上部電極512bと下部電極512aとの間にバイアス電圧を印加したときに、上部電極512bから光電変換膜512cに電子が注入されて暗電流が増加してしまうことを抑制することができる。電子ブロッキング膜には電子供与性有機材料を用いることができる。実際に電子ブロッキング膜に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜512cの材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上電子親和力(Ea)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜512cの材料のイオン化ポテンシャル(Ip)と同等のIp、若しくは、それより小さいIpを有するものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
電子ブロッキング膜の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、光電変換部512の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、より好ましくは、30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。
正孔ブロッキング膜は、光電変換膜512cと下部電極512aとの間に設けることができる。これにより、上部電極512bと下部電極512aとの間にバイアス電圧を印加したときに、下部電極512aから光電変換膜512cに正孔が注入されて暗電流が増加してしまうことを抑制することができる。正孔ブロッキング膜には電子受容性有機材料を用いることができる。実際に正孔ブロッキング膜に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜512cの材料等に応じて選択すればよい。具体的には、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上イオン化ポテンシャル(Ip)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜512cの材料の電子親和力(Ea)と同等のEa、若しくは、それより大きいEaを有するものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
正孔ブロッキング膜の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、光電変換部512の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、より好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。
なお、光電変換膜512cで発生した電荷のうち、正孔が下部電極512aに移動し、電子が上部電極512bに移動するようにバイアス電圧を設定する場合には、電子ブロッキング膜の位置と正孔ブロッキング膜の位置とを逆にすればよい。また、電子ブロッキング膜及び正孔ブロッキング膜を両方設けることは必須ではなく、いずれかを設けておけば、ある程度の暗電流抑制効果を得ることができる。
TFT層510のTFT518では、ゲート電極、ゲート絶縁膜及び活性層(チャネル層)が積層され、さらに、活性層上にソース電極とドレイン電極とが所定の間隔を隔てて形成されている。活性層は、例えば、アモルファスシリコンや非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブ等のうちのいずれかにより形成することができるが、活性層を形成可能な材料はこれらに限定されるものではない。
活性層を形成可能な非晶質酸化物としては、例えば、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)が好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga−O系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO3(ZnO)m(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnO4がより好ましい。なお、活性層を形成可能な非晶質酸化物はこれらに限定されるものではない。
また、活性層を形成可能な有機半導体材料としては、例えば、フタロシアニン化合物や、ペンタセン、バナジルフタロシアニン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、フタロシアニン化合物の構成については、特開2009−212389号公報で詳細に説明されているため、説明を省略する。
非晶質酸化物や有機半導体材料、カーボンナノチューブ等のうちのいずれかによってTFT518の活性層を形成すれば、X線等の放射線16を吸収せず、あるいは、吸収したとしても極めて微量に留まるため、放射線検出部502におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。
また、活性層をカーボンナノチューブで形成した場合、TFT518のスイッチング速度を高速化することができ、また、TFT518における可視光域の光の吸収度合いを低下させることができる。なお、活性層をカーボンナノチューブで形成する場合、活性層にごく微量の金属性不純物が混入しただけでTFT518の性能が著しく低下するため、遠心分離等により非常に純度の高いカーボンナノチューブを分離・抽出して活性層の形成に用いる必要がある。
また、有機光電変換材料で形成した膜及び有機半導体材料で形成した膜は、いずれも十分な可撓性を有している。そのため、有機光電変換材料で形成した光電変換膜512cと、活性層を有機半導体材料で形成したTFT518とを組み合わせた構成であれば、被写体14の体の重みが荷重として加わる放射線検出部502の高剛性化は必ずしも必要ではなくなる。
また、絶縁性基板508は、光透過性を有し且つ放射線16の吸収が少ないものであればよい。ここで、TFT518の活性層を構成する非晶質酸化物や、光電変換部512の光電変換膜512cを構成する有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、絶縁性基板508としては、半導体基板、石英基板、及び、ガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、合成樹脂製の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の可撓性基板を用いることができる。このような合成樹脂製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば、持ち運び等に有利となる。なお、絶縁性基板508には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
なお、アラミドは200℃以上の高温プロセスを適用できるため、透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドはITOやガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて基板を薄型化できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドとを積層して絶縁性基板508を形成してもよい。
また、バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂とを複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、且つ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60%〜70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3ppm〜7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、且つ、フレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて絶縁性基板508を薄型化できる。
絶縁性基板508としてガラス基板を用いた場合、放射線検出部502(TFT基板)全体としての厚みは、例えば、0.7mm程度になるが、この変形例では、電子カセッテ20A〜20Fの薄型化を考慮し、絶縁性基板508として、光透過性を有する合成樹脂からなる薄型の基板を用いている。これにより、放射線検出部502全体としての厚みを、例えば、0.1mm程度に薄型化できると共に、放射線検出部502に可撓性を持たせることができる。また、放射線検出部502に可撓性をもたせることで、電子カセッテ20A〜20Fの耐衝撃性が向上し、電子カセッテ20A〜20Fに衝撃が加わった場合にも破損し難くなる。また、プラスチック樹脂や、アラミド、バイオナノファイバ等は、いずれも放射線16の吸収が少なく、絶縁性基板508をこれらの材料で形成した場合、絶縁性基板508による放射線16の吸収量も少なくなるため、ISS方式により放射線検出部502を放射線16が透過する構成であっても、放射線16に対する感度の低下を抑えることができる。
なお、電子カセッテ20A〜20Fの絶縁性基板508として合成樹脂製の基板を用いることは必須ではなく、電子カセッテ20A〜20Fの厚さは増大するものの、ガラス基板等の他の材料からなる基板を絶縁性基板508として用いるようにしてもよい。
また、放射線検出部502(TFT基板)のうち、放射線16の到来方向の反対側(シンチレータ500側)には、放射線検出部502を平坦にするための平坦化層514が形成されている。
この変形例では、放射線変換パネル116を下記のように構成してもよい。
(1)PDを含む光電変換部512を有機光電変換材料で構成し、CMOSセンサを用いてTFT層510を構成してもよい。この場合、PDのみが有機系材料からなるので、CMOSセンサを含むTFT層510は可撓性を有しなくてもよい。なお、有機光電変換材料からなる光電変換部512と、CMOSセンサとについては、特開2009−212377号公報に記載されているため、その詳細な説明は省略する。
(2)PDを含む光電変換部512を有機光電変換材料で構成すると共に、有機材料からなるTFTを備えたCMOS回路によって可撓性を有するTFT層510を実現してもよい。この場合、CMOS回路で用いられるp型有機半導体の材料としてペンタセンを採用すると共に、n型有機半導体の材料としてフッ化銅フタロシアニン(F16CuPc)を採用すればよい。これにより、より小さな曲げ半径にすることが可能な可撓性を有するTFT層510を実現することができる。また、このようにTFT層510を構成することにより、ゲート絶縁膜を大幅に薄くすることができ、駆動電圧を低下させることも可能となる。さらに、ゲート絶縁膜、半導体、各電極を室温又は100℃以下で作製することができる。さらにまた、可撓性を有する絶縁性基板508上にCMOS回路を直接作製することもできる。しかも、有機材料からなるTFTは、スケーリング則に沿った製造プロセスにより微細化することが可能となる。なお、絶縁性基板508は、薄厚のポリイミド基板上にポリイミド前駆体をスピンコート法で塗布して加熱すれば、ポリイミド前駆体がポリイミドに変化するので、凹凸のない平坦な基板を実現することができる。
(3)ミクロンオーダの複数のデバイスブロックを基板上の指定位置に配置する自己整合配置技術(Fluidic Self−Assembly法)を適用して、結晶SiからなるPD及びTFTを、樹脂基板からなる絶縁性基板508上に配置してもよい。この場合、ミクロンオーダの微小デバイスブロックとしてのPD及びTFTを他の基板に予め作製した後に該基板から切り離し、液体中で、前記PD及び前記TFTをターゲット基板としての絶縁性基板508上に散布して統計的に配置する。絶縁性基板508には、デバイスブロックに適合させるための加工が予め施されており、デバイスブロックを選択的に絶縁性基板508に配置することができる。従って、最適な材料で作られた最適なデバイスブロック(PD及びTFT)を最適な基板(絶縁性基板508)上に集積化させることができ、結晶でない絶縁性基板508(樹脂基板)にPD及びTFTを集積化することが可能となる。
[第7〜第11実施形態]
また、上述した第1〜第6実施形態及び変形例については、図28〜図37に示す実施形態に変更することも可能である。
[第7実施形態]
図28は、第3実施形態に係る電子カセッテ20Cの構成を一部変更した電子カセッテ(第7実施形態に係る電子カセッテ20G)の断面図である。
この電子カセッテ20Gでは、蓋部材32がマグネシウム合金等の金属材料からなり、該蓋部材32と支持基板120aとを接続線105で接続している。従って、第7実施形態では、支持基板120aに蓄積された電荷を、接続線105と、筐体29の側部としての蓋部材32とを介して、グランドに逃すことになる。
なお、支持基板120aは、天板35に対しては密着するのみである。すなわち、第7実施形態では、第1実施形態のように、天板35等に対するブラスト処理等は施されておらず、従って、炭素繊維90が室110に露出することはない。
また、支持基板120aに蓄積された電荷を、天板35を介してグランドに逃すことは行っていないため、支持基板120aと天板35との密着状態を解消することも可能である。この場合、筐体29内に放射線変換パネル116を固定保持するために、接着剤等により放射線変換パネル116を基台112に貼り付けることが望ましい。
さらに、第7実施形態では、図28の説明に限定されることはなく、蓋部材32以外の筐体29の他の側部(蓋部材34、側板49又は側板51)について、金属材料等の導電体を含み構成し、支持基板120aに蓄積された電荷を前記他の側部の導電体を介してグランドに逃してもよいことは勿論である。
[第8実施形態]
図29A〜図30は、第1及び第2実施形態に係る電子カセッテ20A、20Bの構成を一部変更した電子カセッテ(第8実施形態に係る電子カセッテ20H)の断面図である。
この電子カセッテ20Hでは、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99の底面が支持基板120aに面接触で密着する一方で、上面の複数箇所が天板35に点接触で接触している。
すなわち、図29A及び図29Bに示すように、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99の上面に所定間隔で凹部200を形成することにより、該上面には天板35に向かって突出する複数の凸部202が所定間隔で形成される。従って、該各凸部202が天板35に接触することになる。
なお、図29Aは、天板35がアルミニウム等の金属材料からなる場合を図示したものであり、図29Bは、天板35がCFRPからなり、ブラスト処理等により支持基板120a側に炭素繊維90が露出している場合を図示したものである。従って、図29Aの場合には、各凸部202がアルミニウム等の天板35に接触し、一方で、図29Bの場合には、各凸部202が炭素繊維90に接触している。
上述した各凸部202は、実際には、図30に示すように、平面視で略矩形状の形状を有しており、各凹部200となる部分は互いに連通して空気の通り道(流路204)となっている。また、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99の上面が凹凸状であるため、上記のシートと天板35との凸部202を介した点接触による接触面積は、前記のシートと天板35とを面接触で密着させる場合と比較して、小さくなる。
そのため、放射線変換パネル116又はハウジング本体30を交換する際に、放射線変換パネル116を破損させることなく、天板35から導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99を剥離して、放射線変換パネル116を取り外すことができる。
また、上面が凹凸状であり、各凹部200が連通して流路204を形成しているため、該流路204に空気が介在することで、皺を発生させることなく、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99(の各凸部202)を天板35に密着させることができる。
さらに、天板35及び放射線変換パネル116の熱膨張係数が互いに異なる場合、放射線変換パネル116を天板35に面接触で密着させると、熱膨張係数の違いに起因して、放射線変換パネル116に反りが発生することが懸念される。
このような問題に対して、第8実施形態では、天板35に接触する導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99の上面が凹凸状であるので、天板35の熱膨張の影響が放射線変換パネル116に伝わりにくくなり、放射線変換パネル116の反りの発生を抑制することができる。
さらにまた、筐体29が外部から応力(筐体29の落下、被写体14からの荷重、外部からの衝撃等)を受けて、天板35と、導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99とに歪みが発生する場合、流路204内の空気は、当該歪みに応じて、室110内における蓋部材32、34側及び側板49、51側の空間に逃げる。この結果、空気が流路204内に留まることに起因した放射線変換パネル116の局所的な変形(歪み)の発生を防止することができる。
特に、被写体14が天板35に乗っかった状態で、該被写体14に対する放射線撮影が行われる場合には、被写体14から天板35への荷重に起因した放射線変換パネル116の変形が抑制されるので、該被写体14の放射線画像を適切に取得することができる。
[第1〜第8実施形態の変形例]
また、上記の第1〜第8実施形態では、筐体29が導電部(炭素繊維90、a−カーボン、アルミニウム等の金属材料の導電体)を有する場合について説明した。本実施形態は、この説明に限定されることはなく、支持基板120aに蓄積された電荷をグランドに逃すことができるのであれば、筐体29に静電気除去性能又は帯電防止性能を有する部分(静電気除去部又は帯電防止部の導電体)を設けてもよい。
具体的に、図31A及び図31Bは、ハウジング本体30の天板35が静電気除去部又は帯電防止部である場合を図示したものである。図31Aは、支持基板120aが導電性ポリマーフイルム92、導電性接着シート93、静電気除去シート95、帯電防止シート97又は緩衝シート99を介して天板35に面接触で密着している場合を図示したものである。図31Bは、支持基板120aが天板35に面接触で直接密着している場合を図示したものである。
ここで、静電気除去部とは、静電気除去シート95又は静電気除去性能を有する緩衝シート99と同様に、概ね、102Ω(100Ω)〜106Ω(1MΩ)の範囲内の固有抵抗値を有する材料であって、静電気を除去可能な材料からなる導電体である。また、帯電防止部は、帯電防止シート97又は帯電防止機能を有する緩衝シート99と同様に、概ね、106Ω(1MΩ)〜109Ω(1GΩ)の範囲内の固有抵抗値を有する材料であって、帯電防止性の材料からなる導電体である。
すなわち、前述したように、1012Ω(1TΩ)以上の固有抵抗値を有する材料は、一般的に電気絶縁材料であるため、筐体29は、1012Ω未満の固有抵抗値を有する材料からなる静電気除去部又は帯電防止部を具備することで、支持基板120aに蓄積された電荷を静電気除去部又は帯電防止部を介してグランドに逃すことが可能となる。
なお、図31A及び図31Bでは、一例として、天板35が静電気除去部又は帯電防止部である場合を説明したが、筐体29の他の箇所を静電気除去部又は帯電防止部として構成し、支持基板120a等に蓄積された電荷をグランドに逃してもよいことは勿論である。
例えば、第7実施形態を一部変更して、金属材料からなる蓋部材32を静電気除去部又は帯電防止部として構成してもよい。この場合でも、支持基板120aに蓄積された電荷を、静電気除去部又は帯電防止部としての蓋部材32を介してグランドに逃すことができる。
また、第1〜第8実施形態において、筐体29における回路基板130に蓄積された電荷をグランドに逃す部分(基台112に連結される筐体29の一部分)を、静電気を除去可能な材料又は帯電防止性の材料で構成し、静電気除去部又は帯電防止部として機能させることも好ましい。この場合でも、回路基板130に蓄積された電荷を、静電気除去部又は帯電防止部を介してグランドに逃すことができる。
さらに、第1〜第8実施形態では、ISS方式の電子カセッテ20A〜20Hについて説明したが、第7実施形態(図28参照)のように、筐体29の側部が導電体を含み構成されていれば、放射線16の入射方向に沿ってシンチレータ118と光電変換層120とが順に配置されたPSS方式の電子カセッテに対しても、第7実施形態を適用することで、支持基板120aに蓄積された電荷をグランドに逃すことが可能となる。
すなわち、PSS方式の電子カセッテは、ISS方式の電子カセッテ20A〜20Hと比較して、シンチレータ118と内壁261とが近接すると共に、光電変換層120と内壁261とが離間する。そのため、PSS方式の電子カセッテは、第1実施形態(図1〜図10参照)のように、光電変換層120を内壁261に密着させることが困難である。
そこで、PSS方式の電子カセッテに対して、第7実施形態を適用し、蓋部材32等に導電体を設け、該導電体と光電変換層120の支持基板120aとを接続線105で接続すれば、支持基板120aに蓄積された電荷を前記導電体を介してグランドに逃すことができる。
なお、図1〜図31Bに示すISS方式の電子カセッテ20A〜20Hについて、放射線16の入射方向に沿ったシンチレータ118と光電変換層120との配置順を入れ替えれば、PSS方式の電子カセッテとなるため、該PSS方式の電子カセッテの図示は省略する。
また、PSS方式の電子カセッテは、ISS方式の電子カセッテ20A〜20Hと比較して、基本的には、シンチレータ118と光電変換層120との配置順が異なるだけである。そのため、PSS方式の電子カセッテにおいても、シンチレータ118及び光電変換層120の配置順以外の電子カセッテ20A〜20Hの他の構成による各効果も得られることは勿論である。
[第9実施形態]
図32は、第4及び第7実施形態に係る電子カセッテ20D、20Gの構成を一部変更した電子カセッテ(第9実施形態に係る電子カセッテ20I)の断面図である。
この電子カセッテ20Iでは、天板35の内壁261と支持基板120aとの間にグリッド240が設けられている。グリッド240は、内壁261に対して、所定の間隔で離間している。そのため、第9実施形態では、第4実施形態(図20参照)と同様に、緩衝部材190の凹部192に基台112の一端部を差し込んだスロットイン方式を採用している。
グリッド240は、放射線16が被写体14を透過する際に発生する散乱放射線を除去するものであり、放射線吸収部材240aと放射線透過部材240bとから構成される。放射線吸収部材240aは、Pb等からなる散乱放射線や放射線16を吸収する部材である。放射線透過部材240bは、Al等からなる放射線16を透過する部材である。放射線吸収部材240a及び放射線透過部材240bを構成する材料(例えば、Pb、Al)は、いずれも、導電性を有している。
また、グリッド240は、内壁261及び支持基板120a(x方向)に沿って、放射線吸収部材240aと放射線透過部材240bとを交互にスリット状に配置することにより構成される。なお、グリッド240は、内壁261及び支持基板120aの平面(x方向及びy方向)に沿って、放射線吸収部材240a及び放射線透過部材240bをマトリックス状に配置することにより構成してもよい。
具体的に、グリッド240は、支持基板120aの上面(内壁261側の表面)に対して、放射線吸収部材240a及び放射線透過部材240bを上述のように順に貼り付けることで構成すればよい。あるいは、支持基板120aの上面に蒸着等によって放射線吸収部材240a及び放射線透過部材240bを上述の順に形成することでグリッド240を構成してもよい。
そして、グリッド240の放射線吸収部材240a又は放射線透過部材240b(図32では放射線透過部材240b)と、金属材料からなる蓋部材32とは、接続線105を介して接続されている。前述のように、放射線吸収部材240a及び放射線透過部材240bは、導電性を有すると共に、支持基板120aに接触している。すなわち、グリッド240は、支持基板120aと電気的に結合された状態にある。
従って、第9実施形態では、支持基板120aに蓄積された電荷を、グリッド240(図32では放射線透過部材240b)、接続線105及び蓋部材32を介してグランドに逃すことができる。また、グリッド240は、放射線変換パネル116よりも放射線16の入射方向の前方に配置されているので、散乱放射線を効果的に除去することができる。この結果、放射線変換パネル116は、より高画質の放射線画像を取得することが可能となる。
[第10実施形態]
図33は、第9実施形態に係る電子カセッテ20Iの構成を一部変更した電子カセッテ(第10実施形態に係る電子カセッテ20J)の断面図である。
この電子カセッテ20Jでは、天板35の内壁261にグリッド240が密着すると共に、グリッド240の底面と支持基板120aとの間に、伝熱部材としてのグラファイトシート242が介挿されている。この場合、グラファイトシート242は、平面方向(x方向又はy方向)を伝熱方向とする放射線変換パネル116の中間層として配置される。
第10実施形態では、グリッド240が内壁261に密着し、放射線吸収部材240a及び放射線透過部材240bがスリット状又はマトリックス状に配置されている。これにより、被写体14から天板35に荷重が加えられた場合でも、当該荷重に対する天板35を含めた筐体29の機械的強度を高めることができる。
ところで、例えば、スリット状のグリッド240の場合、被写体14が天板35に接触することにより、被写体14からの熱が天板35及びグリッド240を介して放射線変換パネル116に伝わると、二次元マトリクス状に配列された複数の光電変換素子140(図10参照)のアレイにおける温度分布が不均一になり(スリット形状に応じた不均一な温度分布となり)、放射線画像の画像ムラが発生するおそれがある。
そこで、第10実施形態では、グリッド240と支持基板120aとの間に、平面方向が伝熱方向であるグラファイトシート242を介挿し、被写体14からの熱が伝わる方向(z方向)と、伝熱方向(x方向又はy方向)とが互いに異なる方向となるようにしている。すなわち、グラファイトシート242は、被写体14からの熱が伝わる方向に対する熱伝導異方性を有する。
これにより、被写体14が天板35に接触し、被写体14からの熱が天板35及びグリッド240を介してグラファイトシート242に伝わった場合、当該熱は、前記伝熱方向に沿って放熱される。従って、第10実施形態では、被写体14からの熱が放射線変換パネル116に伝わることを阻止することができる。この結果、被写体14からの熱に起因した放射線画像の画像ムラの発生を防止することができる。
なお、グラファイトシート242の伝熱方向が、放射線吸収部材240a及び放射線透過部材240bの延在方向(図33では紙面に垂直なy方向)に対して交差する方向(例えば、x方向)であれば、被写体14からの熱を効率よく放熱することが可能である。
[第11実施形態]
図34及び図35は、第10実施形態に係る電子カセッテ20Jの構成を一部変更した電子カセッテ(第11実施形態に係る電子カセッテ20K)の断面図である。
この電子カセッテ20Kでは、放射線吸収部材240a及び放射線透過部材240bの延在方向がx方向である。また、図36A〜図37に示すように、天板35内の炭素繊維90は、y方向に沿って延在している。さらに、グラファイトシート242の伝熱方向も、y方向である。従って、第11実施形態では、炭素繊維90の繊維軸方向(y方向)及びグラファイトシート242の伝熱方向(y方向)と、放射線吸収部材240a及び放射線透過部材240bの延在方向(x方向)とが直交している。
具体的に、天板35には、図36A〜図37に示すように、角筒状のハウジング本体30の軸方向(x方向)に直交するy方向に沿って延在した炭素繊維90が、天板35の厚み方向(z方向)に沿って積層されている。また、該炭素繊維90は、x方向に沿って所定間隔で配置されている。
天板35はハウジング本体30の一部であるため、炭素繊維90は、実際には、室110を囲繞するように、天板35、側板49、51及び底板53内に配置されていることが望ましい。すなわち、図36A及び図36Bは、天板35内に炭素繊維90が直線状に配置される場合についてのみ図示したものであり、炭素繊維90は、実際には、室110を取り囲むように配置されている。
そのため、放射線撮影の際、被写体14が天板35(の照射面36)に接触して、該被写体14から天板35に荷重がかかれば、図36Bに示すように、ハウジング本体30は、中空部41及び開口部44a、44b(図3、図24及び図26参照)が撓んで潰れるように変形する。
この場合、天板35内でハウジング本体30の軸方向であるx方向に直交するy方向に沿って炭素繊維90が配置されているので、ハウジング本体30の撓み方向(荷重を受けてハウジング本体30が潰れるz1方向)に対する機械的強度が増加し、この結果、筐体29全体の機械的強度を増加させることができる。
しかも、天板35の内壁261にはグリッド240が密着し、炭素繊維90の繊維軸方向(y方向)と直交するx方向に放射線吸収部材240a及び放射線透過部材240bが延在している。そのため、グリッド240は、炭素繊維90と協働して、ハウジング本体30の撓み方向に対する機械的強度を含めた筐体29全体の機械的強度を一層増加させる。
また、被写体14が天板35に接触することにより該被写体14の熱が天板35に伝わるが、前記熱は、炭素繊維90を伝って図37のH1及びH2に示す伝熱方向に逃げて外部に放熱される。そのため、放射線変換パネル116への前記熱の伝達を回避することができる。
しかも、前述のように、筐体29内には、グリッド240と支持基板120aとの間にグラファイトシート242が介挿され、その伝熱方向がy方向であるため、炭素繊維90で放熱されなかった被写体14の熱の一部がグラファイトシート242に伝わったとしても、当該一部の熱は、前記伝熱方向を伝ってH3及びH4に示す伝熱方向に逃げて放熱される。
このように、第11実施形態では、炭素繊維90とグラファイトシート242とが協働して、被写体14から天板35に伝わる熱を放熱するため、当該熱が放射線変換パネル116に伝わることを阻止し、より高画質の放射線画像を取得することが可能となる。
なお、第11実施形態では、天板35の炭素繊維90のうち、少なくとも最表層の炭素繊維90(被写体14に最も近接する炭素繊維90)の繊維軸方向がy方向であればよい。筐体29を構成するCFPRの機械的強度は、最表層の炭素繊維90の繊維軸方向に左右されやすいからである。
[第9〜第11実施形態の変形例]
第9〜第11実施形態では、放射線変換パネル116に対して放射線16の入射方向の前方にグリッド240を配置するため、シンチレータ118に到達する放射線16の線量が低下することが想定される。
そこで、光電変換層120において、光電変換素子140、TFT142、信号線144及びゲート線146を形成する基板については、薄板ガラス又は樹脂基板を用いることが好ましい。基板の薄板化により、シンチレータ118が被写体14に近づくことになるため、放射線16の線量の低下を抑制することが可能となる。また、グリッド240とセンサ部120bとの距離も短くなるので、グリッド240による散乱放射線の除去効果が一層得られやすくなる。
また、第9〜第11実施形態では、一例として、グリッド240と、金属材料からなる蓋部材32とを接続線105で接続することで、支持基板120aに蓄積された電荷をグランドに逃す場合について説明した。
第10及び第11実施形態では、第1、第2及び第4実施形態のように、天板35の内壁261に露出した炭素繊維90にグリッド240を面接触させてもよい。また、第9〜第11実施形態では、第3実施形態のように、側板51の内壁に露出した炭素繊維90と、グリッド240とを接続線105で接続させてもよい。いずれの場合であっても、支持基板120aに蓄積された電荷を好適にグランドに逃すことができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。