JP4284607B2 - 線量計 - Google Patents
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図9A,図9Bで示す従来技術の線量計200のケース201の第1の例では、金属の下ケース201aおよび上ケース201bによりシールドを兼ねる筐体構造としているが、下ケース201aと上ケース201bとに嵌め合い隙間があるとノイズが混入するため、嵌め合い隙間を極力排除する必要がある。このため下ケース201a,上ケース201bの機械精度を向上させる必要があり、製造上の制約となってコスト増大の要因となっていた。
さらにまた、ケース201が上記したような構造上の制約を有することに起因し、意匠上・設計上の制約ともなっていた。
さらにまた、下ケース201aおよび上ケース201bは焼結・切削などの金属加工により製造するため合成樹脂成形と比較すると量産性が低く低コスト化が困難であった。
このように従来技術の線量計200ではシールド効果を高めるため、機械構造の制約が多く小型化・低コスト化が実現できないものであった。
さらにまた、ケース201に合成樹脂を採用すると、例えば、作業時に線量計200を落としてケース201にクラック、ひびが入った場合に、ここから電磁ノイズが侵入して線量計200が誤作動するおそれもあり、従来技術では作業を直ちに止めて線量計200を新しいものに交換する必要があるが、このクラック・ひびに気づかなかった場合には線量計200が誤作動するまま作業を続けてしまうおそれもあった。このためケース201の材料として耐衝撃性が高い合成樹脂に限定されるなど、設計上の制約もあった。
このようにケース201が合成樹脂の線量計100でもシールド効果を高めるために、機械構造・材料等の制約が多く小型化・低コスト化が実現できないものであった。
この特許文献1の放射線測定器でもシールド効果を高めるため、機械構造・材料等の制約が多く小型化・低コスト化が実現できないものであった。
この特許文献2の放射線測定器ではシールド構造の簡素化を図って小型化を実現したが、逆にシールド効果が低いという問題があった。
そこで、上記した問題点に鑑みて本発明はなされたものであり、その目的は、電磁シールド機能の向上と、小型化・軽量化・低コスト化と、をともに実現するような線量計を提供することにある。
放射線の検出に応じて検出信号を送信する放射線検出部と、
放音および/または表示を行う出力部と、
前記放射線検出部の検出信号に基づいて演算処理を行って放射線量データを算出し、この放射線量データに基づいて前記出力部に放音および/または表示を行わせる出力信号を送信する信号処理部と、
前記放射線検出部および前記信号処理部が搭載される基板と、
導電性材料で表側、裏側およびこの裏側に突出する取り付け部を一体に形成した遮蔽シールド体と、
開口部を有するように電気的絶縁性材料により形成された袋体の外側に金属膜を蒸着し、袋体の内側が絶縁層でかつ袋体の外側が導電層となるように形成される袋状シールド体と、
を含む電子基板を備え、
前記出力部は、前記遮蔽シールド体の表側に配置され、
前記基板は、前記遮蔽シールド体の裏側の前記取り付け部内で固定部により固定されて前記遮蔽シールド体と電気的に絶縁された状態で突設され、
前記遮蔽シールド体は、前記基板が収納された前記袋状シールド体の前記開口部が前記取り付け部の周囲に取り付けられて袋外側の前記導電層が前記遮蔽シールド体に接する状態で前記開口部を塞ぎ、
前記袋状シールド体の前記導電層および前記遮蔽シールド体は、取り付けと同時に電気的に接続されて電磁シールドとして機能し、
前記放射線検出部および前記信号処理部は、前記遮蔽シールド体と電気的に絶縁される前記基板上にあって前記遮蔽シールド体と前記袋状シールド体とにより囲まれる電磁シールド内に位置する。
本体ケースと、
前記本体ケースの開口部を塞ぐカバーと、
を備え、
前記電子基板の遮蔽シールド体表側の出力部が露出した状態の前記カバーが、前記電子基板の遮蔽シールド体裏側の部分を収容した前記本体ケースに固定されて、ケースを形成する。
さらにまた、前記袋状シールド体の前記導電層は、導電性金属であるニッケル(Ni)を蒸着して形成した金属膜による層であることが好ましい。
さらにまた、前記袋状シールド体は、前記遮蔽シールド体に取り付けた後に袋内の気体を排気したものであることが好ましい。
前記信号処理部に電源を供給する電源部と、
前記電源部と電気的に接続するための接続部と、
前記接続部を通過させるため前記袋状シールド体に設けられる孔と、
前記孔と前記接続部との隙間を塞ぐように着けられる封止部と、
を備える。
前記遮蔽シールド体は表側と裏側とで連通する孔部を備え、前記孔部に前記出力部または信号線が挿通され、表側と裏側とで前記出力部と前記信号処理部とを通信可能に接続し、前記遮蔽シールド体の裏側では前記出力部または前記信号線とともに前記信号処理部が前記袋状シールド体の袋内に配置される。
前記信号処理部は、
制御演算回路部と、
前記放射線検出部および/または前記出力部と、前記制御演算回路部と、の間に介在され、光または磁気により信号を電気的に絶縁させる絶縁回路部と、
を備える。
前記出力部を覆うシールド網を備えることを特徴とする。
線量計100は、外観的には図1で示すように、本体ケース1a,カバー1bからなるケース1、表示部(本発明の出力部の具体例)2、警報部(本発明の出力部の具体例)3を備える。このカバー1bには孔が設けられており、この孔により表示部2を外部から見ることができ、また、孔を通じて警報部3から音声やブザーという音による警報が出力される。
内部の電子基板100’は、外観上は図2Aで示すように、表示部2、警報部3、遮蔽シールド体4、袋状シールド体5、接続コネクタ(本発明の接続部の具体例)6を備える。さらに電子基板100’からこの袋状シールド体5を取り去ると、図2Bで示すように、基板7があり、この基板7には接続コネクタ6、信号処理部8、放射線検出部9が搭載されている。
ケース1の本体ケース1aおよびカバー1bは、合成樹脂(例えばABS(アクロル二トリル・ブタジエン・スチレン)樹脂やPC(ポリカーボネート)樹脂)により形成されている。なお、この本体ケース1aには、図示しないが、放射線業務従事者のポケットに留めるためのクリップを取り付けても良い。
遮蔽シールド体4は、図3Aで示すように,孔部4aが形成されており、通信線10が通されている。この通信線10は、表示部2と信号処理部8とを通信するように接続される。なお、通信線10でなく、表示部2に一体に形成されたコネクタ(図示せず)等を直接信号処理部8と接続して通信するようにしても良い。
なお、表示部2の前面にはシールド網11が配置されている。このシールド網11は、導電性の網を透明なアクリル樹脂でモールドしたものであり表示部2へ進入しようとする電磁ノイズに対してシールド機能を有する。このシールド網11により、電磁シールドを施しつつ表示部2の読み取りも可能にするものである。
なお、警報部3の前面にはシールド網12が配置されている。このシールド網12も導電性の網であり警報部3へ進入しようとする電磁ノイズに対してシールド機能を有する。このシールド網12により、電磁シールドを施しつつ警報部3の外部への出力も可能にするものである。
また、導電層5bの金属膜の膜厚は5〜6μmの厚さを有する。この膜厚まで蒸着すれば、袋状シールド体5の外側全面に導電層5bが隙間なく形成され、また、袋体が収縮しても膜の剥離が生じない。
真空排気を行った後、コネクタ部5dまでの通路を熱などで溶着したのちにコネクタ部5dを切除して図4Bで示すように封着部5eを形成する。
本形態の線量計100の電子基板100’の構造はこのようなものである。
表示部2は、本発明の出力部の一具体例である。本形態の表示部2では図1,図2A,図2Bで示すように、線量を数値で表して表示する。
警放部3は、本発明の出力部の一具体例である。警報部3は、警告音を発するブザーや音声出力を行うスピーカである。
なお、本形態では出力部として、ディスプレイなどの表示部2と警報部3とを備えるものとして説明したが、それ以外にも音のみ、または表示のみの出力部としても良い。
放射線検出部9は、放射線の検出に応じて検出信号を送信する。
また、電源18は袋状シールド体5の外部に設けられているが、先に説明した接続コネクタ6を介して電気的に接続される。この電源18と制御演算回路部17との間では、例えば三端子レギュレータ等を介在させて、ノイズの侵入を防止する。
(1)遮蔽シールド体4と袋状シールド体5との両者で、信号処理部8・放射線検出部9等の電子回路を搭載した基板7を外界から覆い、かつ袋状シールド体5内からエアを排気して袋状シールド体5を減容した構成である。このような構成では遮蔽シールド体4および袋状シールド体5により外界から遮蔽される電磁シールド空間内の容積が少ないため、電磁シールド効果を高くすることができ、また、電磁シールド効果があるにも拘わらずほぼ基板の形状と同じ大きさにすることができるため電子基板100’は小型化が可能となり、電磁シールド効果の向上と小型化という従来ではいわばトレード・オフ(二律背反)にあった効果を共に実現することができる。
これにより、機械精度・材料選択という機械的・電気的設計的制約がなくなり、例えば本体ケース1aおよびカバー1bの嵌め合い隙間を小さくするために金型精度を高くする必要がなくなり、または、ケース1の色彩面・形状面で従来技術よりも意匠を凝らしたケース1とすることもできるというように、設計の自由度を高め、また、製造コストの低減につなげることもできる。なお、本体ケース1aおよびカバー1bの形状は図1で示した形状に限定する趣旨ではなく、適宜形状を選択できる。
本形態の線量計100の電子基板100’はこのようにして形成される。
(1)遮蔽シールド体4と袋状シールド体5との両者で、信号処理部8等の電子回路を搭載した基板を外界から覆う構成である。先の形態と比較すると袋状シールド体5によるシールド空間内の容積が若干多くて電磁シールド効果が若干低くなるが、それでも電磁シールド効果は従来技術よりは充分高く、また、電磁シールド効果があるにも拘わらずほぼ基板の形状と同じ大きさにすることができるため、電子基板100’は小型化が可能となり、電磁シールド効果の向上と小型化という従来技術ではいわばトレード・オフ(二律背反)にあった効果を共に実現することができる。特に真空排気行程を省略して大掛かりな設備を不要として製造が容易となる。
また、本形態でも上記した(2)〜(4)の効果も奏する。
100’:電子基板
1:ケース
1a:カバー
1b:本体ケース
2:表示部
3:警報部
4:遮蔽シールド体
4a:孔部
4b:取り付け部
4c:孔部
5:袋状シールド体
5a:絶縁層
5b:導電層
5c:取り付け部
5d:コネクタ部
5e:封着部
5f:封止部
6:接続コネクタ
7:基板
8:信号処理部
9:放射線検出部
10:通信線
11,12:シールド網
13:エア吸引コネクタ部
14,15,16:絶縁回路部
17:制御演算回路部
18:電源部
Claims (9)
- 放射線の検出に応じて検出信号を送信する放射線検出部と、
放音および/または表示を行う出力部と、
前記放射線検出部の検出信号に基づいて演算処理を行って放射線量データを算出し、この放射線量データに基づいて前記出力部に放音および/または表示を行わせる出力信号を送信する信号処理部と、
前記放射線検出部および前記信号処理部が搭載される基板と、
導電性材料で表側、裏側およびこの裏側に突出する取り付け部を一体に形成した遮蔽シールド体と、
開口部を有するように電気的絶縁性材料により形成された袋体の外側に金属膜を蒸着し、袋体の内側が絶縁層でかつ袋体の外側が導電層となるように形成される袋状シールド体と、
を含む電子基板を備え、
前記出力部は、前記遮蔽シールド体の表側に配置され、
前記基板は、前記遮蔽シールド体の裏側の前記取り付け部内で固定部により固定されて前記遮蔽シールド体と電気的に絶縁された状態で突設され、
前記遮蔽シールド体は、前記基板が収納された前記袋状シールド体の前記開口部が前記取り付け部の周囲に取り付けられて袋外側の前記導電層が前記遮蔽シールド体に接する状態で前記開口部を塞ぎ、
前記袋状シールド体の前記導電層および前記遮蔽シールド体は、取り付けと同時に電気的に接続されて電磁シールドとして機能し、
前記放射線検出部および前記信号処理部は、前記遮蔽シールド体と電気的に絶縁される前記基板上にあって前記遮蔽シールド体と前記袋状シールド体とにより囲まれる電磁シールド内に位置することを特徴とする線量計。 - 請求項1に記載の線量計において、
本体ケースと、
前記本体ケースの開口部を塞ぐカバーと、
を備え、
前記電子基板の遮蔽シールド体表側の出力部が露出した状態の前記カバーが、前記電子基板の遮蔽シールド体裏側の部分を収容した前記本体ケースに固定されて、ケースを形成することを特徴とする線量計。 - 請求項1または請求項2に記載の線量計において、
前記袋状シールド体の前記絶縁層は、電気的絶縁性材料であるPET(POLYETHYLENE TEREPHTHALATE)フィルムにより形成した袋体による層であることを特徴とする線量計。 - 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の線量計において、
前記袋状シールド体の前記導電層は、導電性金属であるニッケル(Ni)を蒸着して形成した金属膜による層であることを特徴とする線量計。 - 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の線量計において、
前記袋状シールド体は、前記遮蔽シールド体に取り付けた後に袋内の気体を排気したものであることを特徴とする線量計。 - 請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の線量計において、
前記信号処理部に電源を供給する電源部と、
前記電源部と電気的に接続するための接続部と、
前記接続部を通過させるため前記袋状シールド体に設けられる孔と、
前記孔と前記接続部との隙間を塞ぐように着けられる封止部と、
を備えることを特徴とする線量計。 - 請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の線量計において、
前記遮蔽シールド体は表側と裏側とで連通する孔部を備え、前記孔部に前記出力部または信号線が挿通され、表側と裏側とで前記出力部と前記信号処理部とを通信可能に接続し、前記遮蔽シールド体の裏側では前記出力部または前記信号線とともに前記信号処理部が前記袋状シールド体の袋内に配置されることを特徴とする線量計。 - 請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の線量計において、
前記信号処理部は、
制御演算回路部と、
前記放射線検出部および/または前記出力部と、前記制御演算回路部と、の間に介在され、光または磁気により信号を電気的に絶縁させる絶縁回路部と、
を備えることを特徴とする線量計。 - 請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の線量計において、
前記出力部を覆うシールド網を備えることを特徴とする線量計。
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