本発明に係る放射線画像撮影装置の好適な実施形態について、図1〜図50を参照しながら以下詳細に説明する。
先ず、第1実施形態に係る放射線画像撮影装置としての電子カセッテ20Aについて、図1〜図12を参照しながら説明する。
図1に示すように、放射線画像撮影システム10は、ベッド等の撮影台12に横臥した患者等の被写体14に対して、撮影条件に従った線量からなる放射線16を照射する放射線源18と、被写体14を透過した放射線16を検出して放射線画像に変換する電子カセッテ20Aと、放射線源18及び電子カセッテ20Aを制御するコンソール22と、放射線画像を表示する表示装置24とを備える。
コンソール22と、放射線源18、電子カセッテ20A及び表示装置24との間は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、IEEE802.11.a/g/n等の無線LAN(Local Area Network)又はミリ波等を用いた無線通信により信号の送受信が行われる。なお、ケーブルを用いた有線通信により信号の送受信を行ってもよいことは勿論である。
また、コンソール22には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)26が接続され、また、RIS26には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)28が接続される。
第1実施形態に係る電子カセッテ20Aは、撮影台12と被写体14との間に配置されるパネル部30と、該パネル部30上に配置された制御部32と、パネル部30の側部に配設された把持部280とを備える可搬型の電子カセッテである。なお、パネル部30の厚みは、制御部32の厚みよりも薄く設定されている。
図2〜図4に示すように、パネル部30は、放射線16を透過可能な材料からなる略矩形状の筐体40を有し、被写体14が横臥する筐体40の上面は、放射線16が照射される照射面42とされている。該照射面42の略中央部には、被写体14の撮影領域及び撮影位置を示すガイド線44が形成されている。ガイド線44の外枠が、放射線16の照射野を示す撮影可能領域36になる。また、ガイド線44の中心位置(十字状に交差する2本のガイド線44の交点)は、該撮影可能領域36の中心位置であると共に、電子カセッテ20Aの幾何学的な中心位置とされる。
また、筐体40における矢印X2方向の側面46bには、把持部280が設けられ、該把持部280の取手部分と側面46bとの間は、医師又は技師(使用者)が手を通す程度の大きさの孔部282とされている。すなわち、図1〜図5に示すように、筐体40の照射面42における撮影可能領域36外の側面46b側に制御部32が配設され、該側面46bにおける制御部32近傍の位置に把持部280が配設されている。
制御部32は、放射線16に対して非透過性の材料からなる略矩形状の筐体(他の筐体)60を有する。該筐体60は、照射面42の側面46b側において、矢印Y方向(側面46a、46bに平行な方向)に沿って延在している(図5参照)。この場合、筐体60の内部には、パネル部30を制御するカセッテ制御部(パネル制御部)66と、バッテリ等の電源部68と、コンソール22との間で無線による信号の送受信が可能な通信部70とが配置されている。電源部68は、パネル部30に電力供給を行う一方で、カセッテ制御部66及び通信部70に対しても電力供給を行う。
制御部32の矢印Y2方向側(側面46d側)の側面80には、外部の電源から電源部68に対して充電を行なうためのACアダプタの入力端子82と、外部機器との間で情報の送受信が可能なインターフェース手段としてのUSB(Universal Serial Bus)端子84と、PCカード等のメモリカード86を装填するためのカードスロット88とが設けられている。
一方、パネル部30の内部には、図4及び図5に示すように、放射線源18から被写体14に放射線16を照射した際に、被写体14による放射線16の散乱線を除去するグリッド90、被写体14を透過した放射線16を検出する放射線変換パネル92、及び、放射線16のバック散乱線を吸収する鉛板94が、被写体14側の照射面42に対して順に配設される。この場合、グリッド90、放射線変換パネル92及び鉛板94は、平面視で、撮影可能領域36と略一致する(図5参照)。なお、照射面42をグリッド90として構成してもよい。
放射線変換パネル92としては、例えば、被写体14を透過した放射線16をシンチレータにより可視光に一旦変換し、変換した前記可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の物質からなる固体検出素子(以下、画素ともいう。)により電気信号に変換する間接変換型の放射線変換パネルや、放射線16の線量をアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる固体検出素子により電気信号に直接変換する直接変換型の放射線変換パネルを採用することができる。
なお、被写体14を透過した放射線16を、例えば、ヨウ化セシウム(CsI)又はガドリニウム・オキサイド・サルファ(GOS)から構成されるシンチレータにより可視光に一旦変換し、変換した前記可視光を固体検出素子(画素)により電気信号に変換する間接変換型の放射線変換パネル(放射線検出器)には、表面読取方式の放射線検出器と裏面読取方式の放射線検出器とがある。このうち、表面読取方式であるISS(Irradiation Side Sampling)方式の放射線検出器は、放射線16の照射方向に沿って、固体検出素子及びシンチレータが順に配置された構成を有する。また、裏面読取方式であるPSS(Penetration Side Sampling)方式の放射線検出器は、放射線16の照射方向に沿って、シンチレータ及び固体検出素子が順に配置された構成を有する。
また、パネル部30の内部では、放射線変換パネル92がフレキシブル基板96を介して駆動回路部98と電気的に接続され、該駆動回路部98は、筐体60の底面に形成された孔部360を貫通するフレキシブル基板100を介してカセッテ制御部66と電気的に接続されている。従って、駆動回路部98は、カセッテ制御部66からの制御信号(アドレス信号)に従って放射線変換パネル92を駆動制御すると共に、放射線変換パネル92から放射線画像を読み出してカセッテ制御部66に出力する。また、電源部68は、フレキシブル基板100を介して駆動回路部98に電力供給を行うことにより、該駆動回路部98からフレキシブル基板96を介して放射線変換パネル92を駆動させる。
なお、図4では、パネル部30の矢印X2方向側(側面46b側)に駆動回路部98が配置されている場合を図示している。但し、パネル部30内には、実際上、側面46c、46d(矢印X方向)に沿って他の駆動回路部も配置されるが、第1実施形態では、説明の容易化のため、該他の駆動回路部の図示を省略する。
図6は、医師又は技師等の使用者142による電子カセッテ20Aの運搬状態を図示したものである。
前述のように、制御部32が側面46b側に配設されているので、使用者142は、制御部32及び把持部280を最上部とした状態で、把持部280を把持して電子カセッテ20Aを運搬する。
ここで、電子カセッテ20Aの構成要素のうち、電源部68(図2及び図5参照)は、比較的重量が大きいので、電子カセッテ20Aの全重量に占める制御部32の重量の割合は大きい。また、制御部32では、筐体60の中央部分にカセッテ制御部66、電源部68及び通信部70が集中配置されている。そのため、図6の場合には、電子カセッテ20Aの幾何学的中心位置(撮影可能領域36の中心位置)と重心位置(制御部32側の位置)とが一致しない偏心状態となっており、装置全体としてアンバランスな荷重配置となっている。
しかしながら、図6の場合、電子カセッテ20Aの重心位置が上部側となり、使用者142は、把持部280を介して重量の大きな制御部32を把持することになるので、電子カセッテ20Aを安定に持ち運ぶことができる。
ところで、図7において模式的に示すように、放射線変換パネル92では、多数の画素150が図示しない基板上に配列され、さらに、これらの画素150に対して駆動回路部98からフレキシブル基板96を介し制御信号を供給する多数のゲート線152と、多数の画素150から出力される電気信号を読み出してフレキシブル基板96を介し駆動回路部98に出力する多数の信号線154とが配列されている。
次に、一例として、間接変換型の放射線変換パネル92を採用した場合の電子カセッテ20Aの回路構成及びブロック図に関し、図8を参照しながら詳細に説明する。
放射線変換パネル92は、可視光を電気信号に変換するa−Si等の物質からなる各画素150が形成された光電変換層を、行列状のTFT156のアレイの上に配置した構造を有する。この場合、駆動回路部98を構成するバイアス回路160からバイアス電圧が供給される各画素150では、可視光を電気信号(アナログ信号)に変換することにより発生した電荷が蓄積され、各列毎にTFT156を順次オンにすることにより前記電荷を画像信号として読み出すことができる。
各画素150に接続されるTFT156には、列方向と平行に延びるゲート線152と、行方向と平行に延びる信号線154とが接続される。各ゲート線152は、ゲート駆動回路158に接続され、各信号線154は、マルチプレクサ170に接続される。ゲート線152には、列方向に配列されたTFT156をオンオフ制御する制御信号がゲート駆動回路158から供給される。この場合、ゲート駆動回路158には、カセッテ制御部66からアドレス信号が供給される。
また、信号線154には、行方向に配列されたTFT156を介して各画素150に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器164によって増幅される。増幅器164には、サンプルホールド回路166を介してマルチプレクサ170が接続される。マルチプレクサ170は、信号線154を切り替えるFET(電界効果トランジスタ)スイッチ168と、1つのFETスイッチ168をオンにする選択信号を出力するマルチプレクサ駆動回路162とを備える。マルチプレクサ駆動回路162には、カセッテ制御部66からアドレス信号が供給される。FETスイッチ168には、A/D変換器172が接続され、A/D変換器172によってデジタル信号に変換された放射線画像がカセッテ制御部66に供給される。
なお、スイッチング素子として機能するTFT156は、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFTで言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
カセッテ制御部66は、アドレス信号発生部180と、画像メモリ182と、カセッテIDメモリ184とを備える。
アドレス信号発生部180は、ゲート駆動回路158及びマルチプレクサ駆動回路162に対してアドレス信号を供給する。画像メモリ182は、放射線変換パネル92によって検出された放射線画像を記憶する。カセッテIDメモリ184は、電子カセッテ20Aを特定するためのカセッテID情報を記憶する。
第1実施形態に係る電子カセッテ20Aを含む放射線画像撮影システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1において、医師又は技師である使用者142は、把持部280及び制御部32を最上部とした状態で該把持部280を把持して(図6参照)、病院内の放射線科等の所定の保管場所から撮影台12(図1参照)にまで電子カセッテ20Aを運搬する。この場合、電子カセッテ20Aは、電源部68(図2、図5及び図8参照)がカセッテ制御部66にのみ電力供給を行って該カセッテ制御部66のみが動作しているスリープ状態である。
次のステップS2において、使用者142は、被写体14の撮影部位の放射線画像を撮影するための撮影準備を行う。
先ず、使用者142は、制御部32及び照射面42を上方に向けた状態で電子カセッテ20Aを撮影台12に配置した後に、図示しない電源スイッチを投入する。これにより、カセッテ制御部66は、電源部68に対して、該カセッテ制御部66に加え、通信部70及びパネル部30にも電力供給を行うように制御する。この結果、電源部68は、通信部70及びパネル部30への電力供給を開始し、通信部70は、コンソール22との間での無線による信号の送受信が可能となる。また、パネル部30の駆動回路部98は、電源部68からの電力供給によって起動し、バイアス回路160は、バイアス電圧を各画素150に供給して、該各画素150を電荷蓄積が可能な状態に至らせる。この結果、電子カセッテ20Aは、スリープ状態からアクティブ状態に移行する。
次に、使用者142は、コンソール22を操作することにより、撮影対象である被写体14に関わる被写体情報等の撮影条件(例えば、放射線源18の管電圧や管電流、放射線16の曝射時間)を登録する。撮影部位や撮影方法が予め決まっている場合に、使用者142は、これらの撮影条件も登録しておく。
次に、使用者142は、放射線源18と放射線変換パネル92との間の撮影間距離をSID(線源受像画間距離)に調整する一方で、照射面42に被写体14を配置させて、被写体14の撮影部位が撮影可能領域36に入り、且つ、該撮影部位の中心位置が撮影可能領域36の中心位置と略一致するように、該被写体14の位置決め(ポジショニング)を行う。
このようにして撮影準備が完了した後のステップS3において、使用者142がコンソール22又は放射線源18に備わる図示しない曝射スイッチを投入する。コンソール22に曝射スイッチが備わっている場合には、曝射スイッチの投入後、コンソール22から無線通信によって撮影条件が放射線源18に送信される。また、放射線源18に曝射スイッチが備わっている場合には、曝射スイッチの投入後、放射線源18から無線通信によりコンソール22に対して撮影条件の送信が要求され、該コンソール22は、放射線源18からの送信要求に応じて、前記撮影条件を無線通信により放射線源18に送信する。
放射線源18は、撮影条件を受信すると、該撮影条件に従って、所定の線量からなる放射線16を所定の曝射時間だけ被写体14に照射する。放射線16は、被写体14を透過してパネル部30内の放射線変換パネル92に至る。
ステップS4において、放射線変換パネル92が間接変換型の放射線変換パネルである場合に、該放射線変換パネル92を構成するシンチレータは、放射線16の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層を構成する各画素150は、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する。次いで、各画素150に保持された被写体14の放射線画像である電荷情報は、カセッテ制御部66を構成するアドレス信号発生部180からゲート駆動回路158及びマルチプレクサ駆動回路162に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
すなわち、ゲート駆動回路158は、アドレス信号発生部180から供給されるアドレス信号に対応するゲート線152に接続されたTFT156のゲートに制御信号を供給する。一方、マルチプレクサ駆動回路162は、アドレス信号発生部180から供給されるアドレス信号に従って、選択信号を出力してFETスイッチ168を順次切り替え(順次オンオフして)、ゲート駆動回路158によって選択されたゲート線152に接続される各画素150に保持された電荷情報としての放射線画像を信号線154を介して順次読み出す。
選択されたゲート線152に接続された各画素150から読み出された放射線画像は、各増幅器164によって増幅された後、各サンプルホールド回路166によってサンプリングされ、FETスイッチ168を介してA/D変換器172に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像は、カセッテ制御部66の画像メモリ182に一旦記憶される(ステップS5)。
同様にして、ゲート駆動回路158は、アドレス信号発生部180から供給されるアドレス信号に従って、制御信号を出力するゲート線152を順次切り替え、各ゲート線152に接続されている各画素150に保持された電荷情報である放射線画像を信号線154を介して読み出し、FETスイッチ168及びA/D変換器172を介してカセッテ制御部66の画像メモリ182に記憶させる(ステップS5)。
画像メモリ182に記憶された放射線画像は、カセッテIDメモリ184に記憶されたカセッテID情報と共に、通信部70を介して無線通信によりコンソール22に送信される。コンソール22は、受信した放射線画像に対して所定の画像処理を行い、画像処理後の放射線画像を無線通信により表示装置24に送信する。表示装置24は、受信した放射線画像を表示する(ステップS6)。
使用者142が表示装置24に表示された放射線画像を視認して、適切な被写体14の放射線画像が得られたことを確認し、被写体14に対する撮影が完了した後のステップS7において、使用者142は、先ず、電子カセッテ20Aの前記電源スイッチをオフにする。これにより、カセッテ制御部66は、電源部68に対してカセッテ制御部66にのみ電力供給を行うように制御し、電源部68は、通信部70及びパネル部30に対する電力供給を直ちに停止して、カセッテ制御部66に対してのみ電力供給を行う。この結果、電子カセッテ20Aは、アクティブ状態からカセッテ制御部66のみが動作可能なスリープ状態に移行する。
次に、使用者142は、把持部280及び制御部32を最上部とした状態で該把持部280を把持して電子カセッテ20Aを病院内の放射線科等の所定の保管場所にまで運搬する。
以上説明したように、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aによれば、使用者142は、重量が大きく、且つ、アンバランスな荷重配置の原因となっている制御部32側に設けられた把持部280を把持して、該電子カセッテ20Aを運搬する。
すなわち、電子カセッテ20Aの全重量のうち、制御部32の重量の割合が比較的大きいので、電子カセッテ20Aの幾何学的形状の中心位置(撮影可能領域36の略中央部分)に対して制御部32がずれて配置されていれば、電子カセッテ20Aの重心位置が前記中心位置とは一致せず偏心し、装置全体としてアンバランスな荷重配置となる。
そこで、第1実施形態では、荷重分布が制御部32側に偏った電子カセッテ20Aにおいて、パネル部30における制御部32の近傍(側面46b)に把持部280を設け、使用者142は、運搬時に、制御部32及び把持部280を上部側(最上部)とした状態で該把持部280を把持して電子カセッテ20Aを運搬する。
これにより、使用者142は、把持部280を介して重量の大きな制御部32を把持することになるので、電子カセッテ20Aの持ち運びの際、該電子カセッテ20Aを軽く感じることができ、電子カセッテ20Aを安定に且つ容易に持ち運ぶことが可能となる。この結果、制御部32を任意の物体にぶつけたり、あるいは、電子カセッテ20Aを落下させることなく、該電子カセッテ20Aを運搬することが可能になると共に、運搬時の使用者142の負担も軽減される。
このように、第1実施形態によれば、把持部280を制御部32側に設けることにより、使用者142は、把持部280を介して重量の大きな制御部32を把持することになるので、運搬時に、電子カセッテ20Aを安定に持ち運ぶことが可能となる。
また、パネル部30の筐体40の側面46bにおける制御部32の近傍に把持部280を設ければ、運搬時には、把持部280及び制御部32が電子カセッテ20Aの最上部に位置することになるので、電子カセッテ20Aの持ち運びの安定性を高めることができる。
さらにまた、パネル部30の厚みを制御部32の厚みよりも薄くすることで、電子カセッテ20Aの薄型化や軽量化を実現することができる。
第1実施形態に係る電子カセッテ20Aは、上述した説明に限定されることはなく、図10〜図12に示す実施形態も実現可能である。
図10は、医療機関内の必要な箇所に配置されたクレードル190による電源部68の充電処理を示す斜視図である。
この場合、電子カセッテ20Aとクレードル190との間をコネクタ194、196を有するUSBケーブル192で電気的に接続する。
クレードル190は、電源部68の充電だけでなく、クレードル190の無線通信機能又は有線通信機能を用いて、医療機関内のコンソール22やRIS26との間で必要な情報の送受信を行うようにしてもよい。送受信する情報には、電子カセッテ20Aの画像メモリ182に記録された放射線画像を含めることができる。
また、クレードル190に表示部198を配設し、この表示部198に対して、電子カセッテ20Aの充電状態や、電子カセッテ20Aから取得した放射線画像を含む必要な情報を表示させるようにしてもよい。
さらに、複数のクレードル190をネットワークに接続し、各クレードル190に接続されている電子カセッテ20Aの充電状態をネットワークを介して収集し、使用可能な充電状態にある電子カセッテ20Aの所在を確認できるように構成することもできる。
図11Aは、制御部32の筐体60の矢印X2方向側の側面に把持部370を配置したものであり、把持部370の取手部分と筐体60の側面との間は、使用者142が手を通す程度の大きさの孔部372とされている。
この場合、使用者142は、例えば、把持部370及び制御部32を最上部として把持し、電子カセッテ20Aを運搬すればよい。これにより、使用者142は、把持部370を介して制御部32を直接把持することになるので、電子カセッテ20Aの持ち運びの安定性を一層高めることができる。
図11Bは、可倒式の把持部380を筐体60の側面に設けた点で、図11Aの場合とは異なる。
筐体60の側面には略六角形状の凹部382が形成され、該凹部382に把持部380の両端部が配置されている。また、凹部382には、矩形状の支持部384が配置され、該支持部384を貫通する軸部386の両端部が把持部380の両端部に連結されている。
使用者142が把持部380を把持しない場合、把持部380は、凹部382内に収容されている。一方、把持部380を把持する場合、使用者142は、軸部386を中心として把持部380の中央部分を回動させながら凹部382から把持部380を引き出して把持する。また、把持部380を凹部382に収容する場合には、軸部386を中心として把持部380の中央部分を凹部382側に回動させればよい。
このように、図11Bの場合には、図11Aにおける効果に加え、運搬時にのみ把持部380を引き出せばよいので、把持部380の存在が被写体14の撮影の支障になることはなく、電子カセッテ20Aの使い勝手がさらに向上する。
また、第1実施形態では、照射面42に放射線16が照射される場合について説明したが、図12に示すように、両面撮影用の電子カセッテ20Aを用いた場合には、天地を逆転させて撮影台12に配置した後に被写体14に対する撮影を行うこともできる。この場合、パネル部30の底面側が放射線16の照射される撮影面になると共に、グリッド90及び鉛板94は省略される。
この場合でも、これまでに説明した実施形態と同様の効果が得られると共に、被写体14に対する撮影方法に応じて照射面42又は底面を撮影面として選択することができるので、電子カセッテ20Aの使い勝手がさらに向上する。
なお、第1実施形態では、一例として、パネル部30の筐体40における照射面42の側面46b側に制御部32を配置すると共に、該側面46bに把持部280を設けた場合について説明した。
第1実施形態は、この説明に限定されることはなく、制御部32は、筐体40に接触した状態で、該筐体40の側面側(側面46b側)に配置されていれば、どの位置に配置されていてもよい。
例えば、制御部32は、筐体40の照射面42(表面)における前記側面側、筐体40の側面46b、あるいは、筐体40の底面(裏面)における前記側面側に配置されていればよい。従って、把持部280、370、380は、筐体40の側面46b側に配置された制御部32の近傍、及び/又は、制御部32に設けられる。
これにより、運搬時には、把持部280、370、380及び制御部32が電子カセッテ20Aの上部側に確実に位置することになるので、電子カセッテ20Aの持ち運びの安定性を確保することができる。
特に、図1〜図11に示すように、筐体40の照射面42に制御部32を配設すれば、運搬時には、把持部280、370、380及び制御部32が電子カセッテ20Aの上部側に位置する一方で、撮影時には、照射面42及び制御部32を上方に向けた状態で撮影台12に電子カセッテ20Aを載置することができる。この結果、電子カセッテ20Aの持ち運びや載置がしやすくなり、該電子カセッテ20Aの使い勝手が向上する。
さらに、第1実施形態は、光読出方式の放射線変換パネルを利用して放射線画像を取得する場合にも適用することが可能である。この光読出方式の放射線変換パネルでは、各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線変換パネルに読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像として取得する。なお、放射線変換パネルは、消去光を放射線変換パネルに照射することで、残存する静電潜像である放射線画像を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
さらにまた、電子カセッテ20Aでは、血液やその他の雑菌が付着するおそれを防止するために、例えば、装置全体を防水性、密閉性を有する構造とし、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの電子カセッテ20Aを繰り返し続けて使用することができる。
また、第1実施形態は、医療機関内での放射線画像の撮影に限らず、災害現場、在宅看護の現場、さらには、検診車に搭載して、健康診断における被写体の撮影にも適用することが可能である。さらに、第1実施形態は、このような医療関連の放射線画像の撮影に限定されるものではなく、例えば、各種の非破壊検査における放射線画像の撮影にも適用可能であることは勿論である。
次に、第2実施形態に係る電子カセッテ20Bについて、図13〜図29を参照しながら説明する。
なお、電子カセッテ20Bにおいて、第1実施形態に係る電子カセッテ20A(図1〜図12参照)と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、その詳細な説明を省略し、以下同様とする。
第2実施形態に係る電子カセッテ20Bは、パネル部30に対して制御部32が矢印X方向に沿って平行移動可能である点で、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aとは異なる。
図13及び図15に示すように、電子カセッテ20Bにおいて、照射面42における撮影可能領域36外の側面46c側には、直線状の凹部又は溝からなるガイド部48が矢印X方向(側面46c、46dに平行な方向)に沿って形成され、一方で、撮影可能領域36外の側面46d側には、ガイド部48と並行するガイド部50が矢印X方向に沿って形成されている。この場合、直線状のガイド部48、50は、図15の平面視に示すように、2つの側面46a、46bの間(照射面42の二辺の間)で、撮影可能領域36を挟むように互いに平行に形成されている。
また、筐体40の側面46aには、把持部34が設けられ、把持部34の取手部分と側面46aとの間は、使用者142が手を通す程度の大きさの孔部52とされている。
さらに、照射面42の側面46b側には、上方に突出する突出部54が設けられ、該突出部54を上方から覆うように、制御部32が照射面42の側面46b側に配置されている。
この場合、制御部32の筐体60は、ガイド部48、50の矢印X2方向側(側面46b側)の一部を上方から覆うように、矢印Y方向に沿って延在している(図15参照)。この場合、筐体60の内部には、突出部54の矢印X1方向の側面に設けられたコネクタ(接続部)62に嵌合可能なコネクタ64と、該コネクタ64と電気的に接続され且つコネクタ62、64を介してパネル部30を制御するカセッテ制御部66と、電源部68と、通信部70とが配置されている。
この場合、電源部68は、コネクタ62、64が嵌合しているときには、該コネクタ62、64を介してパネル部30に電力供給を行う一方で、カセッテ制御部66及び通信部70に対しても電力供給を行う。また、電源部68は、コネクタ62とコネクタ64とが離間してパネル部30と制御部32との電気的な接続が遮断されているときには、カセッテ制御部66のみに対して電力供給を行う。
図14に示すように、パネル部30の内部では、駆動回路部98は、フレキシブル基板100を介してコネクタ62と電気的に接続されている。すなわち、筐体60の矢印X2方向の側部に凹部110が形成され、該凹部110にコネクタ64が設けられているので、突出部54と凹部110とが係合してコネクタ62とコネクタ64とが嵌合すると、カセッテ制御部66は、コネクタ64、62及びフレキシブル基板100を介して駆動回路部98と電気的に接続される。また、電源部68は、コネクタ64、62及びフレキシブル基板100を介して駆動回路部98に電力供給を行う。
矢印X方向に延在するガイド部48、50の底部は、図16に示すように、外部と連通するガイド部48、50の上部よりも幅広の室120、122としてそれぞれ形成されている。この場合、ガイド部48には、室120に配置された摺動部124と、ガイド部48を貫通して該摺動部124と筐体60とを連結する連結部126とから構成される移動部材128が配設されている。また、ガイド部50には、室122に配置された摺動部130と、ガイド部50を貫通して該摺動部130と筐体60とを連結する連結部132とから構成される移動部材134が配設されている。
ここで、摺動部124、130の矢印Y方向に沿った幅は、室120、122の矢印Y方向に沿った幅に略一致し、一方で、摺動部124、130の上面の位置は、室120、122の天井よりも低い位置とされている。すなわち、室120、122には、摺動部124、130が上下動可能な程度のクリアランスが設けられている。また、図17A〜図17Cに示すように、摺動部124、130及び連結部126、132の矢印X方向に沿った長さは、互いに略同一の長さであると共に、筐体60の矢印X方向に沿った幅よりも若干短い長さに設定されている。なお、摺動部124、130の矢印X方向に沿った両端部は、角のとれた若干丸みを帯びた形状とされている。
さらに、図15及び図17A〜図17Cに示すように、室120、122の底部には、矢印X方向に沿って複数の山形状の凸部(停止部材)140a〜140dがそれぞれ配設されている。この場合、側面46aと凸部140aとの間隔、凸部140bと凸部140cとの間隔、及び、凸部140dと側面46bとの間隔は、それぞれ、摺動部124、130及び連結部126、132の矢印X方向に沿った長さと略同じ長さに設定されている。
前述したように、制御部32の筐体60の底面に移動部材128、134が連結され、該移動部材128、134がガイド部48、50に配置されているので、図17A〜図18Bに示すように、筐体60を矢印X方向に沿って平行移動させると、移動部材128、134がガイド部48、50にガイドされながら筐体60と一体的に矢印X方向に摺動する。その際、ガイド部48、50の室120、122には複数の凸部140a〜140dが配設されているが、摺動部124、130の上面と室120、122の天井との間には、摺動部124、130が上下動可能な程度のクリアランスが設けられているので(図16参照)、摺動部124、130が凸部140a〜140dに当接しても、移動部材128、134は、該凸部140a〜140dを乗り越えて矢印X方向に進行することが可能である。従って、移動部材128、134とガイド部48、50とにより、パネル部30に対して制御部32を矢印X方向に平行移動させる移動機構136が構成される。
ここで、側面46bと凸部140dとの間で摺動部124、130を停止させれば、制御部32の筐体60は、図13及び図17Aに示す側面46b側に位置決めされる。また、凸部140bと凸部140cとの間で摺動部124、130を停止させれば、筐体60は、図17B及び図18Aに示す撮影可能領域36の略中央部分に位置決めされる。さらに、凸部140aと側面46aとの間で摺動部124、130を停止させれば、筐体60は、図17C及び図18Bに示す側面46a及び把持部34側に位置決めされる。
なお、筐体60が図13及び図17Aの位置に位置決めされた場合には、前述のように、コネクタ62、64が嵌合する。これに対して、筐体60が図17B及び図18Aの位置に位置決めされた場合や、図17C及び図18Bの位置に位置決めされた場合には、コネクタ62、64の嵌合状態が解除され、制御部32とパネル部30との間の電気的な接続状態は遮断される。
図19は、使用者142による電子カセッテ20Bの運搬状態を図示したものであり、制御部32を側面46a側に配置すると共に、制御部32及び把持部34を最上部とした状態で、使用者142が把持部34を把持して電子カセッテ20Bを運搬する。
この場合でも、電子カセッテ20Bの幾何学的中心位置と重心位置とが一致しない偏心状態となっており、装置全体としてアンバランスな荷重配置となっている。しかしながら、図19の場合には、電子カセッテ20Bの重心位置が上部側であり、使用者142は、把持部34を介して重量の大きな制御部32を把持することになるので、電子カセッテ20Bを安定に持ち運ぶことができる。
さらに、図13及び図17A〜図18Bに示すように、第2実施形態では、筐体60の位置を、側面46b側、撮影可能領域36の略中央部分、並びに、把持部34及び側面46a側にそれぞれ位置決めすることが可能である。そのため、パネル部30に対して制御部32を図19の位置に配置しても、該電子カセッテ20Bを確実に運搬することが可能である。
図20は、第2実施形態に係る電子カセッテ20Bの回路構成及びブロック図であり、第1実施形態に係る電子カセッテ20A(図8参照)と比較して、パネル部30と制御部32との間の電気的接続が、フレキシブル基板100ではなくコネクタ62、64の嵌合に起因した電気的接続であり、且つ、カセッテ制御部66が接続状態検出部(接続検出部)186を有する点で異なる。この場合、接続状態検出部186は、コネクタ62とコネクタ64との間の電気的な接続状態の有無を検出し、検出結果に基づいて、電源部68から電子カセッテ20B内の各部に対する電力供給を制御する。
第2実施形態に係る電子カセッテ20Bは、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について、第1実施形態とは異なる点のみ、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
図9のステップS1において、使用者142は、把持部34及び制御部32を最上部とした状態で該把持部34を把持して(図19参照)、病院内の放射線科等の所定の保管場所から撮影台12(図1参照)にまで電子カセッテ20Bを運搬する。この場合、コネクタ62とコネクタ64とは嵌合していないので、接続状態検出部186(図20参照)は、コネクタ62とコネクタ64との間の電気的接続が遮断されていることを検出し、電源部68に対してカセッテ制御部66にのみ電力供給を行うように制御する。これにより、電子カセッテ20Bは、カセッテ制御部66のみが動作しているスリープ状態となる。
次のステップS2において、使用者142は、制御部32及び照射面42を上方に向けた状態で電子カセッテ20Bを撮影台12に配置した後に、制御部32の筐体60の位置を把持部34及び側面46a側の位置(図17C及び図18B参照)から側面46b側の位置(図13〜図15及び図17A参照)にまで平行移動させる。
この場合、使用者142が制御部32の筐体60を矢印X2方向に押すと、該制御部32に連結された移動部材128、134は、ガイド部48、50の案内作用下に矢印X2方向に筐体60と一体的に摺動(平行移動)する。摺動部124、130の矢印X2方向側の端部は、凸部140aにそれぞれ当接するが、摺動部124、130の上面とガイド部48、50の室120、122の天井との間にはクリアランスが存在するので(図16参照)、該摺動部124、130は、凸部140aを乗り越えて矢印X2方向に摺動することができる。
使用者142が筐体60を矢印X2方向にさらに押すと、移動部材128、134は、筐体60と一体的に矢印X2方向に摺動し、摺動部124、130は、それぞれ、凸部140b、140c、140dに順次当接するが、前述の凸部140aに当接した場合と同様に、各凸部140b、140c、140dをそれぞれ乗り越えて矢印X2方向にさらに摺動する。
そして、摺動部124、130の矢印X2方向側の端部が側面46bに当接すると、移動部材128、134は、側面46bと凸部140dとの間で位置決めされる。すなわち、移動部材128、134に連結された制御部32の筐体60は、側面46b側に位置決めされ、突出部54のコネクタ62と凹部110のコネクタ64とが嵌合する。
接続状態検出部186は、コネクタ62とコネクタ64との嵌合によって、コネクタ62とコネクタ64とが電気的に接続されたことを検出したときに、電源部68に対して、カセッテ制御部66に加え、通信部70及びパネル部30にも電力供給を行うように制御する。これにより、電源部68は、通信部70及びパネル部30への電力供給を開始するので、通信部70は、コンソール22との間での無線による信号の送受信が可能となる。また、パネル部30の駆動回路部98は、電源部68からの電力供給によって起動し、バイアス回路160は、バイアス電圧を各画素150に供給して、該各画素150を電荷蓄積が可能な状態に至らせる。この結果、電子カセッテ20Bは、スリープ状態からアクティブ状態に移行する。
なお、ステップS2における使用者142が行う他の処理や、ステップS3〜S6の処理は、第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
ステップS7において、使用者142は、制御部32の筐体60の位置を現在の側面46b側の位置(図13〜図15及び図17A参照)から把持部34及び側面46a側の位置(図17C及び図18B参照)にまで平行移動させる。
この場合、使用者142は、筐体60を矢印X1方向に押して、該制御部32に連結された移動部材128、134を、ガイド部48、50の案内作用下に矢印X1方向に筐体60と共に一体的に摺動(平行移動)させる。
その際、摺動部124、130の矢印X1方向側の端部は、凸部140dにそれぞれ当接するが、摺動部124、130の上面とガイド部48、50の室120、122の天井との間のクリアランスの存在により(図16参照)、該摺動部124、130は、凸部140dを乗り越えて矢印X1方向に平行移動することができる。
筐体60の矢印X1方向への平行移動によって、突出部54から凹部110が離間するので、コネクタ62とコネクタ64との嵌合状態は解除されて、コネクタ62、64間の電気的な接続が遮断される。
接続状態検出部186は、コネクタ62とコネクタ64との電気的接続が遮断されたことを検出したとき、電源部68に対してカセッテ制御部66にのみ電力供給を行うように制御する。これにより、電源部68は、通信部70及びパネル部30に対する電力供給を直ちに停止して、カセッテ制御部66に対してのみ電力供給を行う。この結果、電子カセッテ20Bは、アクティブ状態からカセッテ制御部66のみが動作可能なスリープ状態に移行する。
次に、使用者142が筐体60を矢印X1方向にさらに押すと、移動部材128、134は、筐体60と一体的に矢印X1方向に平行移動し、摺動部124、130は、それぞれ、凸部140c、140b、140aに順次当接するが、前述の凸部140dに当接した場合と同様に、各凸部140c、140b、140aをそれぞれ乗り越えて矢印X1方向にさらに平行移動する。
そして、摺動部124、130の矢印X1方向側の端部が側面46aに当接すると、移動部材128、134は、側面46aと凸部140aとの間で位置決めされ、移動部材128、134に連結された制御部32の筐体60は、筐体40における把持部34及び側面46a側に位置決めされる。
その後、使用者142は、把持部34及び制御部32を最上部とした状態で該把持部34を把持して電子カセッテ20Bを病院内の放射線科等の所定の保管場所にまで運搬する。
以上説明したように、第2実施形態に係る電子カセッテ20Bによれば、使用者142は、運搬時に、把持部34及び制御部32を最上部とした状態で、該把持部34を把持して電子カセッテ20Bを運搬するので、第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、第2実施形態に係る電子カセッテ20Bでは、アンバランスな荷重配置の原因となっている制御部32を、ガイド部48、50及び移動部材128、134により構成される移動機構136を利用して、パネル部30に対して矢印X方向に沿って平行移動させることで、電子カセッテ20Bの重心位置を容易に変更すると共に、電子カセッテ20Bの最上部の位置にまで制御部32を平行移動させることが可能となる。
これにより、使用者142は、運搬時には、電子カセッテ20Bを軽く感じることができ、該電子カセッテ20Bを安定に且つ容易に持ち運ぶことが可能になる。従って、この場合でも、制御部32を任意の物体にぶつけたり、あるいは、電子カセッテ20Bを落下させることなく、該電子カセッテ20Bを運搬することが一層容易になると共に、運搬時の使用者142の負担をさらに軽減することができる。
このように、第2実施形態によれば、移動機構136によりパネル部30に対して制御部32を平行移動させることで、使用者142は、運搬時に、電子カセッテ20Bを安定に持ち運ぶことが可能となる。
また、ガイド部48、50に沿って移動部材128、134及び制御部32が一体的に且つ矢印X方向に沿って直線状に平行移動するので、簡便な機構によりパネル部30に対して制御部32を平行移動させることができる。また、運搬時には制御部32を撮影可能領域36にかかるように配置しても、撮影時には撮影可能領域36から制御部32を退避させることができるので、制御部32及びガイド部48、50の存在が放射線画像の撮影にとり支障になることもない。
この場合、ガイド部48、50は、照射面42の二辺(側面46a、46b)に略垂直な矢印X方向(筐体40の長手方向)に沿って形成されているので、移動部材128、134及び制御部32を直線状に一体的に平行移動させることで、運搬の際に、電子カセッテ20Bの最上部に制御部32及び把持部34を確実に配置することができる。
また、照射面42における対向する二辺(側面46a、46b)の間に撮影可能領域36を挟むように2つのガイド部48、50を形成することで、制御部32には2つの移動部材128、134が取り付けられ、該2つの移動部材128、134は、2つのガイド部48、50にそれぞれ配置されることになる。この結果、2つのガイド部48、50に沿って、制御部32及び2つの移動部材128、134をより安定に且つ確実に平行移動させることができる。
そして、ガイド部48、50が筐体40の照射面42に略直線状に形成された凹部又は溝であり、移動部材128、134が、凹部又は溝内に沿って直線状に摺動可能であるため、パネル部30に対して制御部32を簡単に且つ確実に平行移動させることができる。
また、前記凹部又は前記溝としてのガイド部48、50の室120、122に移動部材128、134の摺動を停止可能な凸部140a〜140dが配設されているので、パネル部30に対して任意の位置(例えば、最上部)で制御部32を確実に停止させることが可能となる。
さらに、制御部32の平行移動時に、電源部68が通信部70及びパネル部30に対する電力供給を停止することで、無駄な電力消費を抑制することができる。
この場合、制御部32の平行移動時にコネクタ62とコネクタ64との嵌合状態が解除されて、パネル部30と制御部32との電気的接続が遮断された場合に、電源部68から通信部70及びパネル部30に対する電力供給を停止すれば、無駄な電力消費を確実に抑制することができる。
さらに、カセッテ制御部66は、コネクタ62、64間の電気的接続の有無を検出する接続状態検出部186を備えており、該接続状態検出部186がコネクタ62、64間の電気的接続の有無を検出することで、パネル部30に対する制御のタイミングや放射線変換パネル92に対する放射線画像の読み出しのタイミングを容易に把握することができる。また、接続状態検出部186から電源部68に検出結果を通知することにより、効率的な電力供給を実現することも可能となる。
第2実施形態に係る電子カセッテ20Bは、上述した説明に限定されることはなく、図21A〜図29に示す実施形態も実現可能である。
図21A及び図21Bは、図16〜図17Cの移動部材128、134に代えて、車輪210を用いた移動部材208により制御部32を矢印X方向に平行移動させる場合を図示したものである。この場合、移動機構136は、移動部材208とガイド部48、50とにより構成される。
各ガイド部48、50にそれぞれ配置される移動部材208は、室120、122の底部を走行可能な4つの車輪210と、該4つの車輪210の車軸212が貫通し且つ矢印X方向に沿って延在する車台214と、該車台214と制御部32の筐体60とを連結する連結部216とをそれぞれ有する。この場合、各移動部材208の矢印X方向に沿った全長(矢印X1方向側の車輪210から矢印X2方向側の車輪210までの距離)は、側面46bと凸部140dとの間隔と略一致している。また、各車輪210と室120、122の天井との間には、該各車輪210が上下動する程度のクリアランスが設けられている。
従って、図21A及び図21Bにおいても、移動部材128、134の場合と同様に、筐体60を矢印X方向に沿って平行移動させると、移動部材208がガイド部48、50にガイドされながら筐体60と一体的に矢印X方向に走行する。この場合、移動部材208は、車輪210の回転によって走行するので、パネル部30に対して制御部32を簡単に且つ確実に矢印X方向に平行移動させることができる。また、車輪210と室120、122の天井との間には、車輪210が上下動可能な程度のクリアランスが設けられているので、車輪210が凸部140a〜140dに当接しても、移動部材208は、該凸部140a〜140dを乗り越えて矢印X方向に走行することが可能である。
図22〜図24Bは、側面46c、46dにガイド部220、222が形成された場合を図示したものである。
ガイド部220、222は、ガイド部48、50(図13、図15、図16、図18A及び図18B参照)と同様に、側面46aと側面46bとの間で、矢印X方向に沿って互いに平行に配設されている。
この場合、制御部32の筐体60の一方の側面80側には、側面46dに沿って下方に延在する突出部226が形成され、他方の側面308側には、側面46cに沿って下方に延在する突出部224が形成されている。従って、各突出部224、226は、ガイド部220、222における側面46b側の一部を覆うように配設されている(図22及び図23参照)。
ガイド部220、222の放射線変換パネル92側は、外部と連通する入口側と比較して、上下方向の幅が広い室230、232として形成されている。
そして、ガイド部220、222には、移動部材128、134(図17A〜図17C参照)と略同一形状の移動部材238、244、又は、移動部材208(図21A及び図21B参照)のように車輪254、260により走行可能な移動部材258、264が、筐体60の突出部224、226に連結した状態で配置されている。従って、移動機構136は、移動部材238、244、258、264及びガイド部220、222により構成される。
この場合、移動部材238、244は、室230、232内に配置された摺動部234、240と、摺動部234、240と突出部224、226とを連結する連結部236、242とをそれぞれ有する。また、移動部材258、264は、室230、232内に配置された2つの車輪254、260と、該車輪254、260と突出部224、226とを連結する車軸256、262とをそれぞれ有する。
ここで、各移動部材238、244、258、264の矢印X方向に沿った全長は、側面46bと凸部270との間隔と略一致している。また、摺動部234、240及び車輪254、260と室230、232の天井との間には、該摺動部234、240及び車輪254、260が上下動する程度のクリアランスが設けられている。
図22〜図24Bにおいても、移動部材128、134及び移動部材208の場合と同様に、筐体60を矢印X方向に沿って平行移動させると、移動部材238、244、258、264がガイド部220、222にガイドされながら筐体60と一体的に矢印X方向に平行移動する。また、摺動部234、240及び車輪254、260と室230、232の天井との間には、該摺動部234、240及び車輪254、260が上下動する程度のクリアランスが設けられているので、摺動部234、240及び車輪254、260が凸部270に当接しても、移動部材238、244、258、264は、該凸部270を乗り越えて矢印X方向に進行することが可能である。
従って、図22〜図24Bの場合でも、パネル部30に対して制御部32を簡単に且つ確実に矢印X方向に平行移動させることができる。
図25A〜図28は、いずれも、側面46a以外の箇所にも把持部を配設した場合を図示したものである。
図25Aは、把持部34に加え、突出部54の側面46b側にも第1実施形態で説明した把持部280を配設したものである。
この場合、使用者142は、パネル部30に対して制御部32を図17A及び図25Aの位置に平行移動させた状態で把持部280を把持して電子カセッテ20Bを運搬してもよいし、あるいは、パネル部30に対して制御部32を前述の図17C、図18B及び図19の位置に平行移動させた状態で把持部34を把持して電子カセッテ20Bを運搬してもよい。
いずれの場合でも、把持部34、280及び制御部32を最上部とした状態で電子カセッテ20Bを運搬することができるので、運搬時の使い勝手が向上する。
図25Bは、把持部34に加え、側面46c側にも把持部330を配置したものであり、把持部330の取手部分と側面46cとの間は、使用者142が手を通す程度の大きさの孔部332とされている。
この場合、使用者142は、例えば、パネル部30に対して制御部32を図17B及び図18Aの位置に平行移動させた状態で、把持部330を最上部として把持し、電子カセッテ20Bを運搬すればよい。これにより、運搬時には、把持部330及び制御部32が最上部になると共に、該制御部32が撮影可能領域36の中心位置に配置されて、該中心位置と重心位置とが略一致する。この結果、アンバランスな荷重配置が緩和されて、バランスの良い荷重配置となった状態で、使用者142は、電子カセッテ20Bを安定に運搬することができる。また、2つの把持部34、330が配設されているので、図25Aの場合と同様に、運搬時の使い勝手が向上する。
図26Aは、把持部34に加え、制御部32の筐体60の上面にも把持部290を配置したものであり、把持部290の取手部分と筐体60の上面との間は、使用者142が手を通す程度の大きさの孔部292とされている。
この場合、使用者142は、例えば、パネル部30に対して制御部32を図26Aの位置に配置した状態で、把持部290を最上部として把持し、電子カセッテ20Bを運搬すればよい。これにより、電子カセッテ20Bの幾何学的中心位置と重心位置とが略一致したバランスの良い荷重配置の状態で電子カセッテ20Bを運搬できると共に、重量の大きな制御部32を把持部290を介して直接把持するので、電子カセッテ20Bの持ち運びの際、使用者142は、該電子カセッテ20Bを軽く感じて、電子カセッテ20Bを安定に且つ容易に持ち運ぶことが可能となる。
また、パネル部30に対して制御部32を平行移動させる際には、把持部290を把持しながら該制御部32を平行移動させればよいので、平行移動を容易に行うことができる。
従って、図26Aの場合には、把持部290を設けることにより、電子カセッテ20Bの運搬時及び制御部32の平行移動時における使い勝手がさらに向上する。
図26Bは、可倒式の把持部300を筐体60の上面に設けた点で、図26Aの場合とは異なる。
筐体60の上面には略六角形状の凹部302が形成され、該凹部302に把持部300の両端部が配置されている。また、凹部302には、矩形状の支持部304が配置され、該支持部304を貫通する軸部306の両端部が把持部300の両端部に連結されている。
使用者142が把持部300を把持しない場合、把持部300は、凹部302内に収容されている。一方、把持部300を把持する場合、使用者142は、軸部306を中心として把持部300の中央部分を回動させながら凹部302から把持部300を引き出して把持する。また、把持部300を凹部302に収容する場合には、軸部306を中心として把持部300の中央部分を凹部302側に回動させればよい。
このように、図26Bの場合には、図26Aにおける効果に加え、運搬時又は制御部32の平行移動時にのみ把持部300を引き出せばよいので、把持部300の存在が被写体14の撮影の支障になることはなく、電子カセッテ20Bの使い勝手がさらに向上する。
図27Aは、筐体60の側面308に把持部310を配置した点で図26Aの場合とは異なる。この場合、把持部310の取手部分と筐体60の側面308との間は、使用者142が手を通す程度の大きさの孔部312とされている。
また、図27Bは、筐体60の側面308に可倒式の把持部320を配置した点で図26Bの場合とは異なる。この場合、筐体60の側面308には略六角形状の凹部322が形成され、該凹部322に把持部320の両端部が配置されている。また、凹部322には、矩形状の支持部324が配置され、該支持部324を貫通する軸部326の両端部が把持部320の両端部に連結されている。
図27A及び図27Bの場合でも、図26A及び図26Bと同様の効果がそれぞれ得られる。
図28は、側面46aの把持部34の代わりに、筐体60の側面46a側に可倒式の把持部410を設けた場合を図示したものである。この場合、筐体60の側面46a側には略六角形状の凹部412が形成され、該凹部412に把持部410の両端部が配置されている。また、凹部412には、矩形状の支持部414が配置され、該支持部414を貫通する軸部416の両端部が把持部410の両端部に連結されている。
図28の場合でも、図26A〜図27Bの場合と同様に、使用者142は、把持部410を介して重量の大きな制御部32を直接把持することになるので、電子カセッテ20Bの持ち運びの際、該電子カセッテ20Bを軽く感じて、電子カセッテ20Bを安定に且つ容易に持ち運ぶことが可能となる。
また、可倒式の把持部410であるため、運搬時又は制御部32の平行移動時にのみ把持部410を引き出せばよいので、把持部410の存在が被写体14の撮影の支障になることはなく、電子カセッテ20Bの使い勝手が向上する。
図29は、側面46c、46dに、前述したガイド部220、222に代えて、レール状のガイド部500、502をそれぞれ形成した場合を図示している。また、ガイド部500、502には、前述した凸部270と同様の機能を有する複数の山形状の凸部506a〜506dが配設されている。さらに、照射面42における側面46b側には、前述の突出部54と同じ機能を有する突出部504が、筐体40に対して取り外し可能に配設されている。なお、図29では、突出部224、226がガイド部500、502に沿って摺動する移動部材(摺動部)として構成される。
図29の場合でも前述したガイド部220、222及び凸部270と同様の効果が得られる。また、突出部504を筐体40から取り外した状態で、ガイド部500、502に沿って制御部32を矢印X2方向に摺動することにより、該制御部32をパネル部30から取り外すことも可能となる。この結果、電子カセッテ20Bのメンテナンスや部品交換が容易になる。
なお、ガイド部48、50、220、222及び凸部140a〜140d、270が配設された電子カセッテ20Bにおいても、突出部54に代えて、突出部504を配設することにより、該突出部504が奏する上記の効果が容易に得られることは勿論である。
次に、第3実施形態に係る電子カセッテ20Cについて、図30〜図48Bを参照しながら説明する。
第3実施形態に係る電子カセッテ20Cは、パネル部30に対して制御部32が回転移動可能である点で、第1実施形態に係る電子カセッテ20A(図1〜図12参照)及び第2実施形態に係る電子カセッテ20B(図13〜図29参照)とは異なる。
図30及び図32に示すように、電子カセッテ20Cにおいて、照射面42の矢印X2方向側及び矢印Y2方向側の角部には、上方に突出する突出部56が設けられ、該突出部56を上方から覆うように、制御部32が照射面42の側面46b側に配置されている。
制御部32の筐体60は、突出部56を上方から覆うように、矢印Y方向に沿って延在している。この場合、筐体60の内部には、突出部56の矢印X1方向の側面に設けられた接続端子(接続部)76に接触可能な板ばね状の接続端子78と、該接続端子78と電気的に接続され且つ接続端子76、78を介してパネル部30を制御するカセッテ制御部66と、電源部68と、通信部70とが配置されている。
この場合、電源部68は、接続端子76、78が接触しているときには、該接続端子76、78を介してパネル部30に電力供給を行う一方で、カセッテ制御部66及び通信部70に対しても電力供給を行う。また、電源部68は、接続端子76と接続端子78とが離間してパネル部30と制御部32との電気的な接続が遮断されているときには、カセッテ制御部66のみに対して電力供給を行う。また、図32に示すように、パネル部30の内部において、駆動回路部98は、フレキシブル基板100を介して接続端子76と電気的に接続されている。
筐体60の矢印X2方向の側部に凹部116が形成され、該凹部116に接続端子78が設けられている。この場合、突出部56と凹部116とが係合して接続端子76と接続端子78とが接触すると、カセッテ制御部66は、接続端子78、76及びフレキシブル基板100を介して駆動回路部98と電気的に接続される。また、電源部68は、接続端子78、76及びフレキシブル基板100を介して駆動回路部98に電力供給を行う。
図30、図31及び図33に示すように、照射面42における側面46b側の略中央部には、上方に立設する軸部74が配設され、筐体60の底面には、該軸部74が貫通する長円状の孔部72が筐体60の長手方向(図30及び図33では矢印Y方向)に沿って形成されている。この場合、孔部72は、筐体60の底面における中心部から側面308近傍まで延在している。従って、カセッテ制御部66、電源部68及び通信部70は、筐体60内における側面80近傍に集中配置されている。
また、孔部72を介して筐体60内に進入した軸部74の先端部には、軸部74の径方向(図31及び図33では矢印X1方向)に延在し、且つ、円柱状の軸部74の直径と略同じ幅を有する突起部102が設けられている。さらに、筐体60の底面には、図33の平面視で、孔部72を略囲繞すると共に、孔部72の側面80側が開口した移動規制部材104が設けられている。移動規制部材104は、図33及び図34に示すように、孔部72の外周に沿って形成された略U字状の部材である。
すなわち、移動規制部材104の一端部106は、軸部74よりも側面80側に位置している。この場合、移動規制部材104は、一端部106から孔部72の外周に沿って側面308に向かって延在し、孔部72の側面308側の端部では湾曲部118を形成している。そして、湾曲部118から孔部72の外周に沿って側面80に向かい延在し、一端部106よりも側面308側に位置する他端部108で突起部102に当接している。
また、移動規制部材104には、他端部108に対向するように半円柱状の凸状部(停止部材)112が配設されると共に、湾曲部118の近傍にも、該凸状部112と略同一形状の凸状部(停止部材)114が配設されている。
この場合、凸状部112と孔部72の側面80側の端部との間の距離は、軸部74の直径と略同じ長さに設定されている。また、湾曲部118と凸状部114との間の距離は、軸部74の直径と突起部102の長さとを合計した長さに設定されている(図35B参照)。なお、凸状部112、114は、弾力性のあるゴム等の部材であることが望ましい。
ここで、図33〜図35Bに示すように、軸部74を中心として制御部32の筐体60を図33及び図35Aの平面視で反時計方向に回転させると、筐体60は、移動規制部材104の他端部108と一端部106との間の回転角度範囲内で回転する。すなわち、他端部108と突起部102とが当接している図33及び図35Aでの筐体60の角度を0°とすれば、軸部74を中心として筐体60を反時計方向に回転させると、該筐体60は、他端部108と一端部106との間で回転し、突起部102と一端部106とが当接した角度90°(図35B参照)で回転を停止する。つまり、移動規制部材104と突起部102とによって、筐体60の回転角度範囲は、90°に規制される。
また、図35B〜図36Bに示すように、筐体60を90°回転させることにより、突起部102と孔部72とは、撮影可能領域36の中心位置に指向する直線(ガイド線44)上に配置されることになる。
ここで、筐体60を図35B及び図37Aの位置から矢印X1方向に移動させると、凸状部112が軸部74に当接する。この場合、凸状部112は、弾力性を有する。また、平面視で、突起部102の幅は、孔部72を貫通する軸部74の直径と略同じであると共に、該孔部72を囲繞するように移動規制部材104が設けられている。
従って、凸状部112は、軸部74からの押圧力を受けて圧縮されつつ、移動規制部材104と一体的に矢印X1方向に変位し、この結果、筐体60は、移動規制部材104と突起部102との案内作用下に矢印X1方向に沿って直線状に移動する。
また、凸状部114も凸状部112と同様に弾力性を有するので、凸状部114が軸部74に当接したときに、該凸状部114は、軸部74からの押圧力を受けて圧縮されつつ移動規制部材104と一体的に矢印X1方向に変位する。この結果、図36Bに示すように、凸状部114と湾曲部118との間で軸部74及び突起部102が位置決めされ、図36B及び図37Bに示すように、筐体60の側面80側を撮影可能領域36の略中央部分よりも側面46a側に位置決めすることが可能となる。
このように、軸部74、突起部102及び移動規制部材104により、パネル部30に対して制御部32を回転移動させる移動機構188が構成される。
なお、筐体60が図30〜図33及び図35Aの位置(側面46b側の位置)に位置決めされた場合には、前述のように、接続端子76、78が接触する。これに対して、筐体60が図36B及び図37Bの位置に位置決めされた場合や、図35B、図36A及び図37Aのように回転移動中である場合には、接続端子76、78の接触状態は解除され、制御部32とパネル部30との間の電気的な接続状態は遮断される。
図38は、使用者142による電子カセッテ20Cの運搬状態を図示したものである。
この場合、制御部32の側面80側を撮影可能領域36の略中央部よりも上部側に配置すると共に、側面308を側面46bと略面一に配置し、さらに、把持部34を最上部とした状態で、使用者142が把持部34を把持して電子カセッテ20Cを運搬する。
前述のように、制御部32では、筐体60の側面80側にカセッテ制御部66、電源部68及び通信部70が集中配置されているので、例えば、図30〜図33及び図35Aの配置では、電子カセッテ20Cの幾何学的中心位置と重心位置とが一致しない偏心状態となっており、装置全体としてアンバランスな荷重配置となっている。
しかしながら、図38では、カセッテ制御部66、電源部68及び通信部70が集中配置されている筐体60の側面80側を、撮影可能領域36の中心位置寄りの上部に配置しているので、使用者142は、把持部34及びパネル部30を介して重量の大きな制御部32を把持することになると共に、電子カセッテ20Cの幾何学的中心位置と重心位置とを近接させることで偏心状態が緩和され、装置全体としてバランスの良い荷重配置に近くなるので、使用者142は、電子カセッテ20Cを安定に持ち運ぶことができる。
さらに、図30〜図33及び図35A〜図37Bに示すように、第3実施形態では、筐体60の位置を、側面46b側、及び、撮影可能領域36の略中央部分よりも上部側(側面46a側)にそれぞれ位置決めすることが可能であるため、パネル部30に対して制御部32を図38の位置に配置しても、該電子カセッテ20Cを確実に運搬することが可能である。
そして、図20に示す第3実施形態に係る電子カセッテ20Cの回路構成及びブロック図において、該電子カセッテ20Cは、パネル部30と制御部32との間の電気的接続が、コネクタ62、64の嵌合に起因した電気的接続ではなく、接続端子76、78の接触に起因した電気的接続である点で、第2実施形態に係る電子カセッテ20Bとは異なる。この場合、接続状態検出部186は、接続端子76と接続端子78との間の電気的な接続状態の有無を検出し、検出結果に基づいて、電源部68から電子カセッテ20C内の各部に対する電力供給を制御する。
第3実施形態に係る電子カセッテ20Cは、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について、第2実施形態とは異なる点のみ、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
図9のステップS1において、使用者142は、把持部34を最上部にすると共に、制御部32の側面80側を撮影可能領域36の略中央部分よりも上部側に配置し、且つ、該制御部32の側面308をパネル部30の側面46bと略面一とした状態で、該把持部34を把持して(図38参照)、病院内の放射線科等の所定の保管場所から撮影台12(図1参照)にまで電子カセッテ20Cを運搬する。この場合、接続端子76と接続端子78とは接触していないので、接続状態検出部186(図20参照)は、接続端子76と接続端子78との間の電気的接続が遮断されていることを検出し、電源部68に対してカセッテ制御部66にのみ電力供給を行うように制御する。これにより、電子カセッテ20Cは、カセッテ制御部66のみが動作しているスリープ状態となる。
次のステップS2において、使用者142は、制御部32及び照射面42を上方に向けた状態で電子カセッテ20Cを撮影台12に配置した後に、制御部32の筐体60の位置を撮影可能領域36の略中央部分よりも上部の位置(図36B及び図37B参照)から側面46b側の位置(図30〜図33及び図35A参照)にまで回転移動させる。
この場合、使用者142が制御部32の筐体60を矢印X2方向に押すと、凸状部114が突起部102に当接するが、凸状部114は、弾力性を有するので、突起部102からの押圧力を受けて圧縮されつつ移動規制部材104と一体的に矢印X2方向に変位する。この結果、軸部74、突起部102及び移動規制部材104の案内作用下に、軸部74に対して筐体60全体を矢印X2方向に移動させることができる。
また、使用者142が筐体60を矢印X2方向にさらに押すと、凸状部112が突起部102に当接するが、凸状部112も弾力性を有するので、該凸状部112は、突起部102からの押圧力を受けて圧縮されつつ移動規制部材104と一体的に矢印X2方向に変位する。この結果、凸状部112と孔部72の側面80側の端部との間で軸部74及び突起部102が位置決めされる。すなわち、筐体60は、図35B及び図37Aに示す位置に位置決めされる。
そして、使用者142が軸部74を中心として筐体60を図35Bの平面視で時計方向に回転させると、一端部106が突起部102から離間する一方で、他端部108が突起部102に当接する。すなわち、筐体60は、90°回転して側面46b側に位置決めされる。この結果、突出部56の接続端子76と凹部116の接続端子78とが接触する。
接続状態検出部186は、接続端子76と接続端子78との接触によって、接続端子76と接続端子78とが電気的に接続されたことを検出したときに、電源部68に対して、カセッテ制御部66に加え、通信部70及びパネル部30にも電力供給を行うように制御する。これにより、電源部68は、通信部70及びパネル部30への電力供給を開始するので、通信部70は、コンソール22との間での無線による信号の送受信が可能となる。また、パネル部30の駆動回路部98は、電源部68からの電力供給によって起動し、バイアス回路160は、バイアス電圧を各画素150に供給して、該各画素150を電荷蓄積が可能な状態に至らせる。この結果、電子カセッテ20Cは、スリープ状態からアクティブ状態に移行する。
なお、ステップS2における使用者142が行う他の処理や、ステップS3〜S6の処理は、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
ステップS7において、使用者142は、制御部32の筐体60における側面80側の位置を現在の側面46b側の位置(図30〜図33及び図35A参照)から撮影可能領域36の略中央部分よりも側面46a側の位置(図36B及び図37B参照)にまで回転移動させる。
この場合、使用者142は、図33及び図35Aの平面視で、軸部74を中心として筐体60を反時計方向に回転させる。これにより、移動規制部材104の他端部108が突起部102から離間する一方で、一端部106が突起部102に当接し、この結果、筐体60は、図35Bの位置にまで90°回転し、突起部102及び孔部72は、撮影可能領域36の中心位置に指向するガイド線44上に配置されることになる。
一方、筐体60の反時計方向への回転によって、接続端子76から接続端子78が離間するので、接続端子76と接続端子78との接触状態は解除されて、接続端子76、78間の電気的な接続が遮断される。
接続状態検出部186は、接続端子76と接続端子78とのとの電気的接続が遮断されたことを検出したとき、電源部68に対してカセッテ制御部66にのみ電力供給を行うように制御する。これにより、電源部68は、通信部70及びパネル部30に対する電力供給を直ちに停止して、カセッテ制御部66に対してのみ電力供給を行う。この結果、電子カセッテ20Cは、アクティブ状態からカセッテ制御部66のみが動作可能なスリープ状態に移行する。
次に、使用者142が筐体60を矢印X1方向に押すと、凸状部112が軸部74に当接するが、凸状部112は、弾力性を有するので、軸部74からの押圧力を受けて圧縮されつつ、移動規制部材104と一体的に矢印X1方向に変位する。この結果、筐体60は、移動規制部材104と突起部102との案内作用下に矢印X1方向に沿って直線状に移動する。
使用者142が筐体60を矢印X1方向にさらに押すと、凸状部114が軸部74に当接し、該凸状部114は、軸部74からの押圧力を受けて圧縮されつつ移動規制部材104と一体的に矢印X1方向に変位する。この結果、凸状部114と湾曲部118との間で軸部74及び突起部102が位置決めされ、従って、筐体60の側面80側は、撮影可能領域36の略中央部分よりも側面46a側に位置決めされる。
その後、使用者142は、把持部34を最上部とし、制御部32の側面80側を撮影可能領域36の略中央部分よりも上部に配置し、且つ、該制御部32の側面308をパネル部30の側面46bと略面一とした状態で、該把持部34を把持して電子カセッテ20Cを病院内の放射線科等の所定の保管場所にまで運搬する。
以上説明したように、第3実施形態に係る電子カセッテ20Cによれば、使用者142は、運搬時に、把持部34を最上部とし、且つ、制御部32の側面80側を撮影可能領域36の略中央部分よりも上部とした状態で、該把持部34を把持して電子カセッテ20Cを運搬するので、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果が得られる。
すなわち、第3実施形態に係る電子カセッテ20Cでは、アンバランスな荷重配置の原因となっている制御部32を、軸部74、突起部102及び移動規制部材104により構成される移動機構188を利用して、パネル部30に対して回転移動させることで、電子カセッテ20Cの重心位置を容易に変更することが可能となると共に、電子カセッテ20Cの上部側の位置にまで制御部32の側面80を回転移動させることが可能となる。
具体的に、第3実施形態では、移動機構188を構成する軸部74、突起部102及び移動規制部材104を利用して、筐体60の側面80の位置を、撮影可能領域36の略中央部分の位置と側面46aとの間にまで回転移動させた後に、図38に示すように、把持部34を最上部とし、且つ、筐体60の側面80側を電子カセッテ20Cの上部側とした状態で該電子カセッテ20Cを運搬する。すなわち、筐体60内部において、カセッテ制御部66、電源部68及び通信部70が側面80側に集中配置されているので、該側面80側を撮影可能領域36の略中央部分に近接する電子カセッテ20Cの上部側に配置させることで、前記重心位置を前記中心位置に近づけるようにする。
これにより、使用者142は、運搬時に、電子カセッテ20Cを軽く感じることができ、電子カセッテ20Cを安定に且つ容易に持ち運ぶことが可能になる。従って、この場合でも、制御部32を任意の物体にぶつけたり、あるいは、電子カセッテ20Cを落下させることなく、該電子カセッテ20Cを運搬することが一層容易になると共に、運搬時の使用者142の負担をさらに軽減することができる。
このように、第3実施形態によれば、移動機構188によりパネル部30に対して制御部32を回転移動させることで、使用者142は、運搬時に該電子カセッテ20Cを安定に持ち運ぶことが可能となる。
また、軸部74を中心にして制御部32が回転移動するので、簡便な機構によりパネル部30に対して制御部32を回転移動させることができる。また、運搬時には制御部32を撮影可能領域36にかかるように配置しても、撮影時には撮影可能領域36から制御部32を退避させることができるので、制御部32及び軸部74の存在が放射線画像の撮影にとり支障になることもない。
この場合、軸部74を中心にパネル部30に対して制御部32を回転させると共に、長円状の孔部72に沿ってパネル部30に対し制御部32を移動させることで、前記中心位置と前記重心位置とを近接させて、アンバランスな荷重配置を緩和することができる。
また、照射面42における撮影可能領域36以外の箇所に軸部74を設け、制御部32の筐体60における照射面42側の底面に該筐体60の長手方向に沿って長円状の孔部72を形成しているので、前記長手方向に沿って制御部32をより安定に且つ確実に移動させることができる。
さらに、移動規制部材104の開口部分の一端部106及び他端部108と、突起部102とによって、軸部74に対する制御部32の回転角度範囲が設定され、移動規制部材104と軸部74の先端部及び突起部102とによって、軸部74に対する制御部32の移動方向が設定される。また、長円状の孔部72の長さによって、制御部32の移動方向(孔部72に沿った方向)の制御部32の移動量も設定される。このように、移動規制部材104及び突起部102を設けることにより、パネル部30に対する制御部32の回転移動を正確に且つ精度良く行なうことが可能となる。
また、移動規制部材104の孔部72側に、突起部102に接触することにより孔部72に沿った制御部32の移動を停止可能な凸状部112、114を配設しているので、パネル部30に対して任意の位置(例えば、電子カセッテ20Cの上部側の位置)で制御部32を確実に停止させることが可能となる。
さらに、制御部32の回転移動時に、電源部68が通信部70及びパネル部30に対する電力供給を停止することで、無駄な電力消費を抑制することができる。
この場合、制御部32の回転移動時に接続端子76と接続端子78との接触状態が解除されて、パネル部30と制御部32との電気的接続が遮断された場合に、電源部68から通信部70及びパネル部30に対する電力供給を停止すれば、無駄な電力消費を確実に抑制することができる。
さらに、カセッテ制御部66は、接続端子76、78間の電気的接続の有無を検出する接続状態検出部186を備えており、該接続状態検出部186が接続端子76、78間の電気的接続の有無を検出することで、パネル部30に対する制御のタイミングや放射線変換パネル92に対する放射線画像の読み出しのタイミングを容易に把握することができる。また、接続状態検出部186から電源部68に検出結果を通知することにより、効率的な電力供給を実現することも可能となる。
第3実施形態に係る電子カセッテ20Cは、上述した説明に限定されることはなく、図39A〜図48Bに示す実施形態も実現可能である。
図39Aは、制御部32の筐体60を緩衝部材200で全体的に覆った場合を図示したものであり、図39Bは、筐体60における側面308側を緩衝部材202で覆った場合を図示したものである。
パネル部30に対して制御部32を図38に示す状態にして電子カセッテ20Cを運搬する場合、電子カセッテ20Cの最下部に制御部32の筐体60の側面308側が配置されることになる。そこで、筐体60に対して全体的に覆う緩衝部材200、又は、部分的に覆う緩衝部材202を設けることにより、他の物体に制御部32をぶつけた場合や電子カセッテ20Cを落下させた場合の衝撃から制御部32を効果的に守ることが可能となる。
図40A〜図42Bは、いずれも、側面46a以外の箇所にも把持部を配設した場合を図示したものである。
図40Aは、図26Aの場合と同様に、把持部34に加え、制御部32の筐体60の上面にも把持部290を配設したものである。
この場合、使用者142は、例えば、パネル部30に対して制御部32を図40Aの位置に配置した状態で、把持部290を最上部として把持し、電子カセッテ20Cを運搬すればよい。これにより、バランスの良い荷重配置の状態で電子カセッテ20Cを運搬できると共に、重量の大きな制御部32を把持部290を介して直接把持するので、電子カセッテ20Cの持ち運びの際、該電子カセッテ20Cを軽く感じて、電子カセッテ20Cを安定に且つ容易に持ち運ぶことが可能となる。
また、パネル部30に対して制御部32を回転移動させる際には、把持部290を把持しながら該制御部32を回転移動させればよいので、回転移動を容易に行うことができる。
従って、図40Aの場合には、把持部290を設けることにより、電子カセッテ20Cの運搬時及び制御部32の回転移動時における使い勝手がさらに向上する。
図40Bは、図26Bの場合と同様に、可倒式の把持部300を筐体60の上面に設けた点で、図40Aの場合とは異なる。図40Bの場合には、図40Aにおける効果に加え、図26Bと同様の効果も得られる。
図41Aは、図25Aの場合と同様に、把持部34に加え、側面46b側にも把持部280を配設したものである。
この場合、使用者142は、例えば、パネル部30に対して制御部32を図41Aの位置にまで回転移動させた状態で、把持部280を把持して電子カセッテ20Cを運搬すればよい。従って、図25Aの場合と同様の効果が得られる。
図41Bは、図25Bの場合と同様に、把持部34に加え、側面46c側にも把持部330を配置したものである。この場合、パネル部30に対して制御部32を図41Bの位置にまで回転移動させた状態で、把持部330を最上部として把持し、電子カセッテ20Cを運搬する。この場合、側面46bよりも把持部330側に近接して制御部32が配置されると共に、バランスの良い荷重配置の状態となるので、電子カセッテ20Cを安定に運搬することができる。また、2つの把持部34、330が配設されているので、把持部34を把持して運搬することや、把持部330を把持して運搬することも可能となるので、運搬時の使い勝手をさらに向上することができる。
図42Aは、図27Aの場合と同様に、筐体60の側面308に把持部310を配置した点で図40Aの場合とは異なる。
また、図42Bは、図27Bの場合と同様に、筐体60の側面308に可倒式の把持部320を配置した点で図40Bの場合とは異なる。
図42A及び図42Bの場合でも、図40A及び図40Bと同様の効果がそれぞれ得られる。
図43A〜図45は、移動機構188の他の構成を図示したものである。
図43A〜図45において、移動機構188は、照射面42における筐体60の側面308側に立設した軸部348と、筐体60の底面における側面308側に形成され且つ軸部348が貫通する孔部350と、孔部350を貫通して筐体60内に進入した軸部348の先端部から該軸部348の径方向に延在する突起部352と、平面視で孔部350を略囲繞すると共に、一部が開口した略円弧状の回転規制部材354とから構成される。
この場合、突起部352の幅は、軸部348の直径と略同じ幅に設定されている。また、回転規制部材354の開口部分は、軸部348を中心として筐体60が回転したときに、突起部352の側面に当接する一端部356と他端部358との間に形成されている。従って、一端部356と他端部358とが成す角度(90°)が軸部348を中心とした筐体60の回転角度範囲となる。
すなわち、図43A〜図45の場合、移動機構188は、軸部348を中心とした筐体60の回転のみであり、矢印X方向への移動は行われない。
ここで、筐体60が図43Aに示す側面46b側の位置から図43Bに示す側面46c側の位置に回転移動する場合には、図44A及び図44Bに示すように、軸部348を中心に筐体60を反時計方向に90°だけ回転移動させればよい。これにより、突起部352から回転規制部材354の一端部356が離間する一方で、突起部352に回転規制部材354の他端部358が当接して、筐体60が側面46c側に位置決めされる。その際、接続端子76と接続端子78との接触状態が解除されて、接続端子76、78間の電気的接続が遮断されることは勿論である。
また、図43A及び図43Bに示すように、筐体60の側面には、可倒式の把持部340が設けられている。この場合、筐体60の側面には略六角形状の凹部342が形成され、該凹部342に把持部340の両端部が配置されている。また、凹部342には、矩形状の支持部344が配置され、該支持部344を貫通する軸部346の両端部が把持部340の両端部に連結されている。
使用者142が把持部340を把持しない場合、把持部340は、凹部342内に収容されている。一方、把持部340を把持する場合(例えば、軸部348を中心に筐体60を回転移動させる場合)、使用者142は、軸部346を中心として把持部340の中央部分を回動させながら凹部342から把持部340を引き出して把持する。また、把持部340を凹部342に収容する場合には、軸部346を中心として把持部340の中央部分を凹部342側に回動させればよい。
このように、図43A〜図45の場合には、制御部32が軸部348を中心にして回転するので、使用者142が運搬時に把持部340を最上部として電子カセッテ20Cを運搬する場合、該電子カセッテ20Cの最上部に制御部32を配置させることが可能となると共に、前記中心位置に対して前記重心位置を近づけることが可能となり、アンバランスな荷重配置も緩和することができる。
また、照射面42のうち、該撮影可能領域36以外の箇所(側面308側の箇所)に軸部348を設け、筐体60における照射面42側の底面に該軸部348が貫通する孔部350を形成することで、制御部32をより安定に且つ確実に回転させることができる。
さらに、回転規制部材354の開口部分を形成する一端部356及び他端部358と、突起部352とによって軸部348に対する制御部32の回転角度範囲が設定されるので、パネル部30に対する制御部32の回転移動を正確に且つ精度良く行なうことが可能となる。
さらに、第3実施形態に係る電子カセッテ20Cは、図46〜図48Bに図示される構成も採用可能である。
図46は、移動機構188の他の構成を図示したものである。
図46の移動機構188では、図43A〜図45の場合とは異なり、孔部350を貫通して筐体60に進入する軸部348の先端部分に、径方向に沿って互いに異なる方向に延在する2つの円柱状の突出部510、512が設けられる一方で、筐体60の底面には、軸部348の径方向に沿って略矩形状のブロックである回転規制部材518、520が配設されている。
また、図46において、筐体60の底面における回転規制部材518、520の角度位置と、突出部510、512の角度位置との間の角度位置には、各突出部510、512が通過可能な程度の大きさを有し、且つ、孔部350に連通するスロット514、516が形成されている。
ここで、筐体60が軸部348を中心に回転したとき、該筐体60と一体的に回転規制部材518、520が90°回転すれば、突出部510、512にそれぞれ当接する。また、筐体60が軸部348を中心に回転し、回転規制部材518、520とスロット514、516とが対向したときに、使用者142が筐体60を持ち上げると、回転規制部材518、520がスロット514、516を通過するので、パネル部30から制御部32を簡単に取り外すことができる。従って、図46の構成によれば、図43A〜図45での効果に加え、電子カセッテ20Cのメンテナンスや部品交換が容易になるという顕著な効果が得られる。
なお、孔部72及び軸部74が設けられた電子カセッテ20Cにおいても、回転規制部材518、520及びスロット514、516を設けることにより、上述した効果が容易に得られることは勿論である。
図47A〜図48Bは、パネル部30における矢印Y1方向及び矢印X2方向の隅部側(軸部348を配設した位置)に軸部74を配設した点で、図30及び図33の場合とは異なる。
図47Aにおいて、パネル部30には、突出部56に代えて、矢印Y方向に沿って薄肉の突出部530が配設され、筐体60内の孔部72は、図30及び図33の場合と比較して、矢印Y方向に沿って左右反対に形成されている。従って、湾曲部118は、筐体60の略中央部分に形成されている。また、入力端子82、USB端子84及びカードスロット88は、側面308に配設されると共に、接続端子78は、側面80に配設されている。
ここで、図47Aに示す位置(側面46b側の位置)に制御部32が配置されている場合に、使用者142が矢印Y1方向に筐体60を押すと、該筐体60は、孔部72及び軸部74の案内作用下に矢印Y1方向に沿って図47Bに示す位置にまで移動する。これにより、突出部530に配設された接続端子76と側面80に配設された接続端子78との接触状態が解除されて、接続端子76、78間の電気的接続が遮断される。
次に、使用者142は、軸部74を中心として筐体60を図47Bの反時計方向に回転させると、該筐体60は、図48Aに示すように、90°回転し、側面46cに沿って配設される。次に、使用者142が矢印X1方向に筐体60を押すと、該筐体60は、孔部72及び軸部74の案内作用下に矢印X1方向に沿って図48Bに示す位置にまで移動する。この結果、筐体60は、側面46c側に位置決めされると共に、該筐体60の側面80側は、電子カセッテ20Cの幾何学的中心位置に近接して配置される。
図47A〜図48Bの場合でも、図43A〜図45と同様の効果が得られる。
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
例えば、放射線変換パネル92は、図49及び図50に示す変形例に係る放射線検出器600であってもよい。なお、図49は、変形例に係る放射線検出器600の3つの画素部分の構成を概略的に示した断面模式図である。
放射線検出器600は、絶縁性の基板602上に、スイッチング素子を含む信号出力部604、固体検出素子を含むセンサ部606、及び、シンチレータ608が順次積層して形成されており、信号出力部604及びセンサ部606により画素部が構成されている。画素部は、基板602上に行列状に配列されており、各画素部における信号出力部604とセンサ部606とが重なりを有するように構成されている。
シンチレータ608は、センサ部606上に透明絶縁膜610を介して形成され、放射線16を光に変換して発光する蛍光体を成膜したものである。なお、図49において、例えば、上方(基板602が位置する側とは反対側)を照射面42(図2〜図6、図10〜図11B、図13〜図15、図18A〜図19、図22、図25A〜図33、図35A〜図43B、図45及び図47A〜図48B参照)側とした場合、上方から放射線16が入射してくれば、放射線検出器600は、PSS方式の放射線検出器として機能し、シンチレータ608の蛍光体は、入射した放射線16を光に変換して発光する。
シンチレータ608が発する光の波長域は、可視光域(波長360nm〜830nm)であることが好ましく、この放射線検出器600によってモノクロ撮像を可能とするためには、緑色の波長域を含んでいることがより好ましい。
シンチレータ608に用いる蛍光体としては、具体的には、放射線16としてX線を用いて撮像する場合、CsIを含むものが好ましく、X線照射時の発光スペクトルが420nm〜600nmにあるCsI(Tl)(タリウムが添加されたヨウ化セシウム)を用いることが特に好ましい。なお、CsI(Tl)の可視光域における発光ピーク波長は565nmである。
シンチレータ608は、例えば、蒸着基体に柱状結晶構造のCsI(Tl)を蒸着して形成してもよい。このように蒸着によってシンチレータ608を形成する場合、蒸着基体は、X線の透過率、コストの面からAlがよく使用されるがこれに限定されるものではない。なお、シンチレータ608としてGOSを用いる場合、樹脂ベースにGOSを塗布し、その後、TFTアクティブマトリクス基板の表面に貼り合わせるとよい。これにより、万が一、GOSの塗布が失敗してもTFTアクティブマトリックス基板を温存することができる。
センサ部606は、上部電極612、下部電極614、及び、該上部電極612と該下部電極614の間に配置された光電変換膜616を有している。
上部電極612は、シンチレータ608により生じた光を光電変換膜616に入射させる必要があるため、少なくともシンチレータ608の発光波長に対して透明な導電性材料で構成することが好ましく、具体的には、可視光に対する透過率が高く、抵抗値が小さい透明導電性酸化物(TCO:Transparent Conducting Oxide)を用いることが好ましい。なお、上部電極612としてAu等の金属薄膜を用いることもできるが、透過率を90%以上得ようとすると抵抗値が増大し易いため、TCOの方が好ましい。例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO、AZO、FTO、SnO2、TiO2、ZnO2等を好ましく用いることができ、プロセス簡易性、低抵抗性、透明性の観点からはITOが最も好ましい。なお、上部電極612は、全画素部で共通の一枚構成としてもよく、画素部毎に分割してもよい。
光電変換膜616は、有機光導電体(OPC:Organic Photo Conductors)を含み、シンチレータ608から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。有機光導電体(有機光電変換材料)を含む光電変換膜616であれば、可視光域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ608による発光以外の電磁波が光電変換膜616によって吸収されることが殆どなく、放射線16が光電変換膜616で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。なお、光電変換膜616は、有機光導電体に代えてa−Siを含むように構成してもよい。この場合、幅広い吸収スペクトルを持ち、シンチレータ608による発光を効率的に吸収することができる。
光電変換膜616を構成する有機光導電体は、シンチレータ608で発光した光を最も効率よく吸収するために、そのピーク波長が、シンチレータ608の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光導電体の吸収ピーク波長とシンチレータ608の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータ608から発せられた光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光導電体の吸収ピーク波長と、シンチレータ608の放射線16に対する発光ピーク波長との差が、10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
このような条件を満たすことが可能な有機光導電体としては、例えば、キナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えば、キナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光導電体としてキナクリドンを用い、シンチレータ608の材料としてCsI(Tl)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜616で発生する電荷量を略最大にすることができる。
センサ部606は、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び、層間接触改良部位等の積み重ね若しくは混合により形成される有機層を含んで構成される。前記有機層は、有機p型化合物(有機p型半導体)又は有機n型化合物(有機n型半導体)を含有することが好ましい。
有機p型半導体は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは、2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。従って、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であれば、いずれの有機化合物も使用可能である。
有機n型半導体は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは、2つの有機化合物を接触させて用いたときに、電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。従って、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であれば、いずれの有機化合物も使用可能である。
この有機p型半導体及び有機n型半導体として適用可能な材料、及び、光電変換膜616の構成については、特開2009−32854号公報において詳細に記載されているため説明を省略する。なお、光電変換膜616は、さらに、フラーレン若しくはカーボンナノチューブを含有させて形成してもよい。
光電変換膜616の厚みは、シンチレータ608からの光を吸収する点では膜厚は大きいほど好ましいが、ある程度以上厚くなると、光電変換膜616の両端から印加されるバイアス電圧により光電変換膜616に発生する電界の強度が低下して電荷が収集できなくなるため、30nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは、50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下にするのがよい。
光電変換膜616は、全画素部で共通の一枚構成であるが、画素部毎に分割してもよい。下部電極614は、画素部毎に分割された薄膜とする。但し、下部電極614は、全画素部で共通の一枚構成であってもよい。下部電極614は、透明又は不透明の導電性材料で構成することができ、Al、銀等を好適に用いることができる。なお、下部電極614の厚みは、例えば、30nm以上300nm以下とすることができる。
センサ部606では、上部電極612と下部電極614との間に所定のバイアス電圧を印加することで、光電変換膜616で発生した電荷(正孔、電子)のうちの一方を上部電極612に移動させ、他方を下部電極614に移動させることができる。本変形例に係る放射線検出器600では、上部電極612に配線が接続され、この配線を介してバイアス電圧が上部電極612に印加されるものとする。また、バイアス電圧は、光電変換膜616で発生した電子が上部電極612に移動し、正孔が下部電極614に移動するように極性が決められているものとするが、この極性は逆であっても良い。
各画素部を構成するセンサ部606は、少なくとも下部電極614、光電変換膜616、及び、上部電極612を含んでいればよいが、暗電流の増加を抑制するため、電子ブロッキング膜618及び正孔ブロッキング膜620の少なくともいずれかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
電子ブロッキング膜618は、下部電極614と光電変換膜616との間に設けることができ、下部電極614と上部電極612との間にバイアス電圧を印加したときに、下部電極614から光電変換膜616に電子が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
電子ブロッキング膜618には、電子供与性有機材料を用いることができる。実際に電子ブロッキング膜618に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜616の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上電子親和力(Ea)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜616の材料のイオン化ポテンシャル(Ip)と同等のIp若しくはそれより小さいIpを持つものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
電子ブロッキング膜618の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、センサ部606の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下にするのがよい。
正孔ブロッキング膜620は、光電変換膜616と上部電極612との間に設けることができ、下部電極614と上部電極612との間にバイアス電圧を印加したときに、上部電極612から光電変換膜616に正孔が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
正孔ブロッキング膜620には、電子受容性有機材料を用いることができる。正孔ブロッキング膜620の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、センサ部606の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下にするのがよい。
実際に正孔ブロッキング膜620に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜616の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上イオン化ポテンシャル(Ip)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜616の材料の電子親和力(Ea)と同等のEa若しくはそれより大きいEaを持つものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
なお、光電変換膜616で発生した電荷のうち、正孔が上部電極612に移動し、電子が下部電極614に移動するようにバイアス電圧を設定する場合には、電子ブロッキング膜618と正孔ブロッキング膜620との位置を逆にすれば良い。また、電子ブロッキング膜618と正孔ブロッキング膜620とは両方設けなくてもよく、いずれかを設けておけば、ある程度の暗電流抑制効果を得ることができる。
図50に示すように、信号出力部604は、各画素部の下部電極614に対応して基板602の表面に設けられており、下部電極614に移動した電荷を蓄積する蓄積容量622と、前記蓄積容量622に蓄積された電荷を電気信号に変換して出力するTFT624とを有している。蓄積容量622及びTFT624の形成された領域は、平面視において、下部電極614と重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素部における信号出力部604とセンサ部606とが厚さ方向で重なりを有することとなる。蓄積容量622及びTFT624を下部電極614によって完全に覆うように信号出力部604を形成すれば、放射線検出器600(画素部)の平面積を最小にすることができる。
蓄積容量622は、基板602と下部電極614との間に設けられた絶縁膜626を貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する下部電極614と電気的に接続されている。これにより、下部電極614で捕集された電荷を蓄積容量622に移動させることができる。
TFT624は、ゲート電極628、ゲート絶縁膜630、及び、活性層(チャネル層)632が積層され、さらに、活性層632上にソース電極634とドレイン電極636とが所定の間隔を開けて形成されている。活性層632は、例えば、a−Siや非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブ等により形成することができる。なお、活性層632を構成する材料は、これらに限定されるものではない。
活性層632を構成可能な非晶質酸化物としては、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)が好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga−O系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO3(ZnO)m(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnO4がより好ましい。なお、活性層632を構成可能な非晶質酸化物は、これらに限定されるものではない。
活性層632を構成可能な有機半導体材料としては、フタロシアニン化合物や、ペンタセン、バナジルフタロシアニン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、フタロシアニン化合物の構成については、特開2009−212389号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
TFT624の活性層632を非晶質酸化物や有機半導体材料、カーボンナノチューブで形成したものとすれば、X線等の放射線16を吸収せず、あるいは、吸収したとしても極めて微量に留まるため、信号出力部604におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。
また、活性層632をカーボンナノチューブで形成した場合、TFT624のスイッチング速度を高速化することができ、また、可視光域での光の吸収度合の低いTFT624を形成できる。なお、カーボンナノチューブで活性層632を形成する場合、活性層632に極微量の金属性不純物の混入するだけで、TFT624の性能は著しく低下するため、遠心分離等により極めて高純度のカーボンナノチューブを分離・抽出して形成する必要がある。
ここで、上述した非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブや、有機光導電体は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、基板602としては、半導体基板、石英基板、及び、ガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等の可撓性基板を用いることができる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば持ち運び等に有利となる。
また、有機光導電体から光電変換膜616を形成し、有機半導体材料からTFT624を形成することにより、プラスチック製の可撓性基板(基板602)に対して光電変換膜616及びTFT624を低温成膜することが可能となると共に、放射線検出器600全体の薄型化及び軽量化を図ることができる。これにより、放射線検出器600を収容するパネル部30(図1〜図6、図8、図10〜図16、図18A〜図20、図22、図23、図25A〜図33、図35A〜図43B、図45及び図47A〜図48B参照)の薄型化及び軽量化も可能となる。また、可撓性を有する基板602を用いることにより、放射線変換パネル92、及び、該放射線変換パネル92を収容するパネル部30の筐体40も可撓性を有することが可能となり、この結果、被写体14からパネル部30に荷重が加わった際の放射線変換パネル92の破損等の発生を回避することができる。
なお、基板602には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
また、アラミドは、200℃以上の高温プロセスを適用できるために、透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ITOやガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して基板602を形成してもよい。
バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂との複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、且つ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60%〜70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3ppm〜7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、且つ、フレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて基板602を薄く形成できる。
本変形例では、基板602上に、信号出力部604、センサ部606及び透明絶縁膜610を順に形成し、当該基板602上に光吸収性の低い接着樹脂等を用いてシンチレータ608を貼り付けることにより放射線検出器600を形成している。
上述した変形例に係る放射線検出器600では、光電変換膜616を有機光導電体により構成すると共に、TFT624の活性層632を有機半導体材料で構成しているので、該光電変換膜616及び信号出力部604で放射線16が吸収されることは殆どない。これにより、放射線16(図1、図4、図12、図14、図31及び図32参照)に対する感度の低下を抑えることができる。
TFT624の活性層632を構成する有機半導体材料や光電変換膜616を構成する有機光導電体は、いずれも低温での成膜が可能である。このため、基板602を放射線16の吸収が少ないプラスチック樹脂、アラミド、バイオナノファイバで形成することができる。これにより、放射線16に対する感度の低下を一層抑えることができる。
また、例えば、放射線検出器600を筐体40内に配置し、基板602を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器600自体の剛性を高くすることができるため、筐体40を薄く形成することができる。また、基板602を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、前述のように放射線検出器600自体が可撓性を有するため、筐体40に衝撃が加わった場合でも放射線検出器600が破損しづらい。
なお、図49では、前述のように、一例として、シンチレータ608から発光された光を放射線源18(図1及び図12参照)が位置する側とは反対側に位置するセンサ部606(光電変換膜616)で電荷に変換して放射線画像を読み取る、PSS方式の放射線検出器600を図示している。
放射線検出器600は、この構成に限定されることはなく、ISS方式の放射線検出器として構成してもよい。この場合、放射線16の照射方向に沿って、基板602、信号出力部604、センサ部606及びシンチレータ608がこの順に積層され、シンチレータ608から発光された光を放射線源18が位置する側のセンサ部606で電荷に変換して放射線画像を読み取る。そして、通常、シンチレータ608は、放射線16の照射面側が背面側よりも強く発光するため、ISS方式で構成した放射線検出器600では、PSS方式で構成された放射線検出器600と比較して、シンチレータ608で発光された光が光電変換膜616に到達するまでの距離を短縮させることができる。これにより、該光の拡散・減衰を抑えることができるので、放射線画像の分解能を高めることができる。
しかも、上述したプラスチック及び有機系の材料を用いて放射線変換パネル92(放射線検出器600)を構成した場合、該放射線変換パネル92が、放射線16の照射方向に沿って、基板602、TFT624、光電変換膜616、及び、CsIのシンチレータ608の順に配置されたISS方式のパネルであれば、高画質の放射線画像が容易に得られる。
なお、本実施形態では、上述のように、シンチレータ608として、CsI又はGOSを使用可能である。
ここで、制御部32のような電気回路部分が発熱する場合、GOSは、発熱に対する感度変化は生じないが、CsIでは、温度上昇に伴って感度が低下する(1℃の温度上昇に対して感度が約0.3%程度低下)。
しかしながら、本実施形態では、シンチレータ608を収容するパネル部30の筐体40と、制御部32とが別体であると共に、該制御部32は、動作時には、シンチレータ608から離れた状態で筐体40と連結(接続)されるので、CsIからなるシンチレータ608を用いても、制御部32の発熱に対する感度変化の発生を回避することが可能である。従って、長時間撮影でも、高感度の放射線画像を取得することができる。
また、本実施形態では、図1〜図5、図10〜図15、図22、図25A、図25B、図28〜図33、図35A、図39A、図39B、図43A及び図47Aに示すように、制御部32の動作時には、平面視で、制御部32がパネル部30内の放射線変換パネル92に重ならないようにしている。これは、制御部32で発生する熱が放射線変換パネル92に伝わることにより、前記熱に起因した温度分布が放射線変換パネル92の両端にできやすく、シンチレータ608がCsIである場合には、画像補正ができないような感度ムラになってしまうためである。従って、CsIのシンチレータ608を使用した場合には、制御部32で発生した熱をパネル部30内の放射線変換パネル92へ伝達させないような工夫が必要である。具体的には、下記のような工夫を施せばよい。
(1)制御部32の筐体60におけるパネル部30から離れた箇所(パネル部30と相対する側の逆側)に、制御部32で発生した熱を放熱するための放熱窓又は放熱板等の放熱部材を配置する。
(2)把持部290、300、310、320、340、370、380、410(図11A、図11B、図26A〜図28、図40A、図40B及び図42A〜図43B参照)を熱伝導率の高い物質で構成し、制御部32で発生した熱を放熱するための放熱部材として利用する。この場合、把持部290、300、310、320、340、370、380、410に、ヒートシンクとして機能する波形状又は矩形状の部材を取り付け、放熱面積を増加させてもよい。なお、把持部290、300、310、320、340、370、380、410は、制御部32の筐体60に直接設けられているため、該制御部32で発生した熱を直接放熱することができる。また、把持部290、300、310、320、340、370、380、410は、使用者142が把持する箇所であるため、該使用者142が低温やけどを起こさない程度に放熱する必要があることは勿論である。
一方、パネル部30に装着される把持部34、280、330(図1、図2、図4〜図6、図10、図12〜図15、図18A、図19、図22、図25A〜図27B、図29〜図31、図33、図36B〜図43B、図45及び図47A〜図48B参照)であっても、制御部32が把持部34、280、330近傍に配置されていれば、熱伝導率の高い物質で構成することにより、放熱部材として利用可能となる。これらの把持部34、280、330においても、前述の波形状又は矩形状の部材を取り付けて放熱面積を増加させることは可能であるし、さらには、使用者142が低温やけどを起こさない程度に放熱する必要があることは勿論である。
なお、制御部32の筐体60内には、電源部68等の発熱量の多い部品が配置されているので、筐体60内における把持部290、300、310、320、340、370、380、410近傍の箇所に、前記発熱量の多い部品を配置すれば、制御部32で発生する熱を把持部290、300、310、320、340、370、380、410を介して効率よく放熱することができる。
(3)制御部32を平行移動させるためのガイド部48、50、220、222、500、502、及び、移動部材128、134、208、238、244、258、264を、例えば、熱伝導率の高い金属で構成することにより、これらの構成要素を、制御部32で発生する熱を放熱する放熱部材として機能させることも可能となる。この場合、各ガイド部48、50、220、222、500、502は、パネル部30の筐体40において、矢印X方向に沿って外部に露出するように設けられているので、軽量化を図るために筐体40がカーボン等の熱を外部に逃しにくい物質から構成されていても、制御部32からの熱を効率よく放熱することが可能となる。また、駆動回路部98(を含むIC)も熱を発生するので、該駆動回路部98と各ガイド部48、50、220、222、500、502とを熱結合させることで、駆動回路部98で発生する熱も各ガイド部48、50、220、222、500、502を介して放熱することができる。
(4)ゲル状の冷却シートを、筐体60を衝撃から守る緩衝部材200、202(図39A及び図39B参照)として用いればよい。前記冷却シートは、不織布と高分子ゲルのジェルとを貼り合わせた構造であり、制御部32で発生した熱を奪って、前記ジェルに含まれた水分を蒸発熱で蒸発させることにより、制御部32で発生した熱を放熱して、該制御部32の温度を低下させる。
上記の(1)〜(4)の工夫により、CsIのシンチレータ608を含む放射線検出器600(放射線変換パネル92)への伝熱を回避して、放射線16に対する感度の低下や感度ムラの発生を抑制することが可能となる。