JP2011227447A - 放射線画像撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パネル部での放熱性能を向上させることができる放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線画像撮影装置としての電子カセッテ20Aは、放射線16を放射線画像に変換する放射線変換パネル92を収容したパネル部30と、パネル部30の一端部に配置されると共に、前記放射線変換パネル92を制御する制御部32とを備え、放射線16の照射面となるパネル部30の天板42には、側面46c、46dに向かって高い熱伝導度を有する熱伝導異方性50が設けられている。
【選択図】図6

Description

本発明は、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルを収容したパネル部と、前記放射線変換パネルを制御する制御部とを有する放射線画像撮影装置に関する。
医療分野において、被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した前記放射線を放射線変換パネルに導いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が広汎に使用されている。このような放射線画像撮影装置としては、例えば、前記放射線変換パネルとして、前記放射線画像が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に前記放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで前記放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルを用いたCR(Computed Radiography)システムが知られている。これらの放射線変換パネルは、前記放射線画像が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、あるいは、前記蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像を得ることができる。
一方、手術室等においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、撮影後の放射線変換パネルから直ちに放射線画像を読み出して高画質で表示できることが要求されている。このような要求に対応するために、放射線変換パネルのDR(Digital Radiography)化が近年急速に進んでおり、例えば、放射線を電気信号に直接変換する固体検出素子を用いた直接変換型の放射線変換パネル、あるいは、放射線を可視光に一旦変換するシンチレータと、前記可視光を電気信号に変換する固体検出素子とを用いた間接変換型の放射線変換パネルを用いたDRシステムが開発されている。
DRシステムを構成する放射線画像撮影装置(例えば、電子カセッテ)では、放射線を電気信号に変換するパネル部と、電気信号を処理し、外部機器との信号通信や電源供給等を行う制御部とを有することから、その寸法が厚くなり易く、患者の下への挿入を円滑に行なうことが難しい場合がある。そこで、前記の電子カセッテ等では、患者の下への挿入性を向上させるため、パネル部と制御部とを一体的に並列して配置したコンパクトな薄型構造が考案されている。ところが、このようなDRシステムでは、患者が配置されるパネル部に対して発熱体である制御部が並設されるため、該制御部で発生する熱の放熱が問題となる。
例えば、特許文献1には、放射線検出装置において、TFT基板温度を測定し、その温度変化に応じたスイッチ素子の駆動電圧を印加することが記載されている。
特開2004−184218号公報
上記特許文献1の技術では、単にTFT基板温度の変化に応じてスイッチ素子の駆動電圧を変更するだけのため、発熱体である制御部からパネル部への入熱への対応等、パネル部での放熱構造については想定されていない。
すなわち、制御部が放射線変換パネルを設けたパネル部と並列構造とされると、患者が制御部に直に接触し、又は該制御部からの発熱がパネル部天板の撮影領域に横臥した患者に違和感を与えることが懸念される。また、DRシステムでは、例えば患者や技師等が天板に手を置いた時等に放射線変換パネルに温度分布が発生し、これが画像ムラの原因となる可能性もある。
本発明は、上記の課題を解消するためになされたものであり、パネル部での放熱性能を向上させることができる放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
本発明に係る放射線画像撮影装置は、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルを収容したパネル部と、前記パネル部の一端部に配置されると共に、前記放射線変換パネルを制御する制御部とを備えた放射線画像撮影装置であって、前記放射線の照射面となる前記パネル部の天板には、所定の方向に向かって高い熱伝導度を有する熱伝導異方性が設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、被写体が配置される放射線の照射面となる天板に、所定の方向に向かって高い熱伝導度を有する熱伝導異方性が設けられていることにより、パネル部での放熱性能が向上し、制御部で発生した熱を前記熱伝導異方性によって円滑に放熱させることができる。このため、パネル部の内部及び被写体が配置される天板の中央方向(撮影領域)への入熱を可及的に低減することができ、被写体の違和感を防止することができる。
前記天板の熱伝導異方性は、前記制御部が配置される前記パネル部の前記一端部と平行した方向に熱伝導度が高くなるように構成されると、制御部からの熱が天板の中央方向(撮影領域)へと伝熱される前に、パネル部の端部へと円滑に放熱させることができる。
前記天板の熱伝導異方性は、該天板の短辺方向に熱伝導度が高いと、天板での放熱ルートを短くすることができ、放熱効果を一層高めることができる。
前記制御部が配置されない前記パネル部の端部には、前記制御部から離間した状態で前記天板の熱伝導異方性に直交する方向に沿って第1吸熱部材が設けられると、前記熱伝導異方性によって放熱される熱を第1吸熱部材によって吸熱することができ、天板での放熱効果を一層高めることができる。
前記第1吸熱部材は、少なくとも前記天板より高い剛性を有すると、パネル部の側部を該第1吸熱部材で補強することができ、被写体の重みによって、パネル部(天板)が歪むことを防止することができる。
前記制御部の端部には、前記天板の熱伝導異方性に直交する方向に沿って第2吸熱部材が設けられてもよい。そうすると、制御部で発生する熱を当該制御部の端部に放熱させ、該第2吸熱部材で吸熱することができ、その放熱性能を一層向上させることができる。
前記制御部は、前記パネル部の前記天板とは反対側の裏板に接触して配置されてもよい。これにより、制御部の発熱を裏板へと円滑に放熱させることができる。
前記裏板は、前記天板の熱伝導異方性と直交する方向に高い熱伝導度を有する熱伝導異方性を有するとよい。これにより、制御部で発生する熱を裏板全面に円滑に放熱させることができる。
この際、前記裏板の熱伝導異方性は、前記制御部が配置される前記パネル部の前記一端部から、該一端部と対向する前記パネル部の他端部に向かう方向に高い熱伝導度を有していると、制御部で発生する熱を裏板全面へと一層円滑に放熱させることができる。
前記制御部は、前記パネル部の前記一端部に直交する端部にも配置可能であり、前記裏板を前記放射線の照射面として使用可能であると、被写体の状態に応じた縦横撮影が可能となり当該装置の汎用性を向上させることができる。
前記天板の熱伝導異方性は、異方性ピッチ系炭素繊維によって形成されてもよく、前記天板及び前記裏板の熱伝導異方性が、異方性ピッチ系炭素繊維によって形成されてもよい。
前記天板の熱伝導異方性は、異方性ピッチ系炭素繊維によって形成され、前記裏板は、熱伝導異方性を持たず、且つ前記異方性ピッチ系炭素繊維よりも高い強度を持つ材質で形成されていると、当該装置の強度を一層高めることができる。
前記制御部は、前記天板上に配置されると共に、前記天板の熱伝導異方性は、該天板の前記制御部が配置される部分と配置されない部分との境界線を跨ぐ範囲に設けられていてもよい。これにより制御部からの熱を円滑に放熱させることができると共に、天板の撮影領域には例えば剛性の高い材質を用いることもでき、その強度を高めることができる。
前記制御部は、前記パネル部の前記一端部を含む一側面に当接配置され、前記パネル部の前記一側面に、前記天板の熱伝導異方性と平行する方向に高い熱伝導度を有する熱伝導異方性が設けられていると、制御部からの熱を一層円滑に放熱させることができる。
この際、前記制御部は、前記パネル部の前記天板とは反対側の裏板に接触して配置されると、制御部からの熱を裏板にも放熱させることができる。
なお、上述した放射線画像撮影装置において、前記放射線変換パネルは、前記放射線を可視光に変換するシンチレータと、前記可視光を前記放射線画像を示す電気信号に変換する固体検出素子と、前記固体検出素子から前記電気信号を読み出すスイッチング素子と、前記固体検出素子及び前記スイッチング素子が形成される基板とを有し、前記基板は、可撓性を有するプラスチック製の基板であり、前記固体検出素子は、有機光導電体からなり、前記スイッチング素子は、有機半導体材料からなることが望ましい。
これにより、前記基板に前記固体検出素子及び前記スイッチング素子を低温成膜することが可能になると共に、前記放射線変換パネル、及び、該放射線変換パネルを収容する前記パネル部の薄型化や軽量化も可能となる。また、可撓性を有する前記基板を用いることにより、前記放射線変換パネル、及び、該放射線変換パネルを収容する前記パネル部も可撓性を有することが可能となり、この結果、前記被写体から前記パネル部に荷重が加わった際の前記放射線変換パネルの破損等の発生を回避することができる。
この場合、前記放射線の照射方向に沿って、前記基板、前記スイッチング素子、前記固体検出素子、及び、CsIからなる前記シンチレータの順に配置すれば、高画質の放射線画像を得ることが可能になる。
本発明によれば、被写体が配置される放射線の照射面となる天板に、所定の方向に向かって高い熱伝導度を有する熱伝導異方性が設けられていることにより、制御部で発生した熱を前記熱伝導異方性によって円滑に放熱させることができる。このため、パネル部の内部及び被写体が配置される天板の中央方向(撮影領域)への入熱を可及的に低減することができ、被写体の違和感を防止することができる。
第1実施形態に係る電子カセッテが適用される放射線画像撮影システムの構成図である。 図1の電子カセッテの斜視図である。 図1の電子カセッテの側面断面図である。 放射線変換パネルにおける画素の配列と、画素とカセッテ制御部との間の電気的接続とを模式的に示す説明図である。 図1の電子カセッテのブロック図である。 図1の電子カセッテの平面図である。 図1の電子カセッテを用いた撮影手順の一例を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る電子カセッテの変形例に係る電子カセッテの平面図である。 第2実施形態に係る電子カセッテの平面図である。 図9の電子カセッテに被写体が配置された状態を示す説明図である。 図11Aは、第3実施形態に係る電子カセッテの平面図であり、図11Bは、図11Aの電子カセッテの側面図である。 第4実施形態に係る電子カセッテの斜視図である。 図12の電子カセッテの側面断面図である。 第4実施形態に係る電子カセッテの変形例に係る電子カセッテの底面図である。 第5実施形態に係る電子カセッテの平面図である。 図15の電子カセッテの底面図である。 第6実施形態に係る電子カセッテの平面図である。 第7実施形態に係る電子カセッテの斜視図である。 第8実施形態に係る電子カセッテの斜視図である。 第1実施形態に係る電子カセッテの別の変形例に係る電子カセッテの平面図である。 第2実施形態に係る電子カセッテの変形例に係る電子カセッテの底面図である。 変形例に係る放射線検出器の3画素分の構成を概略的に示す図である。 図22に示すTFT及び電荷蓄積部の概略構成図である。 被写体と撮影台との間にパネル部を挿入している状態を示す正面図である。 図25Aは、ISS方式の放射線変換パネルが撓んだ状態を示す説明図であり、図25Bは、ISS方式の放射線変換パネルに対する放射線の照射を示す説明図である。 図26Aは、ISS方式の放射線変換パネルが撓んだ状態を示す説明図であり、図26Bは、ISS方式の放射線変換パネルに対する放射線の照射を示す説明図である。 図27Aは、PSS方式の放射線変換パネルが撓んだ状態を示す説明図であり、図27Bは、PSS方式の放射線変換パネルに対する放射線の照射を示す説明図である。 図28Aは、PSS方式の放射線変換パネルが撓んだ状態を示す説明図であり、図28Bは、PSS方式の放射線変換パネルに対する放射線の照射を示す説明図である。 図29A〜図29Cは、図26A、図26B、図28A及び図28Bの放射線変換パネルの製造工程を示す説明図である。
本発明に係る放射線画像撮影装置の好適な実施形態について、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
先ず、第1実施形態に係る放射線画像撮影装置としての電子カセッテ20Aについて説明する。
図1に示すように、放射線画像撮影システム10は、ベッド等の撮影台12に横臥した患者等の被写体14に対して、撮影条件に従った線量からなる放射線16を照射する放射線源18と、被写体14を透過した放射線16を検出して放射線画像に変換する電子カセッテ20Aと、放射線源18及び電子カセッテ20Aを制御するコンソール22と、放射線画像を表示する表示装置24とを備える。
コンソール22と、放射線源18、電子カセッテ20A及び表示装置24との間は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、IEEE802.11.a/g/n等の無線LAN(Local Area Network)又はミリ波等を用いた無線通信により信号の送受信が行われる。なお、ケーブルを用いた有線通信により信号の送受信を行ってもよいことは勿論である。
また、コンソール22には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)26が接続され、また、RIS26には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)28が接続される。
第1実施形態に係る電子カセッテ20Aは、撮影台12と被写体14との間に配置されるパネル部30と、該パネル部30上に配置された制御部32とを備える可搬型の電子カセッテである。
図2及び図3に示すように、パネル部30は、放射線16を透過可能な材料からなる略矩形状の筐体40を有する。筐体40は、被写体14が横臥する上面となる天板(フロントプレート)42と、天板42とは反対側の背面となる裏板(バックプレート)43とを有する扁平な箱状であり、天板42は放射線16が照射される照射面となる。該照射面となる天板42の略中央部には、被写体14の撮影領域及び撮影位置を示すガイド線44が形成されている。ガイド線44の外枠が、放射線16の照射野を示す撮影可能領域(撮影領域)36になる。また、ガイド線44の中心位置(十字状に交差する2本のガイド線44の交点)は、該撮影可能領域36の中心位置であると共に、電子カセッテ20Aの幾何学的な中心位置とされる。
制御部32は、放射線16に対して非透過性の材料からなる略直方体形状からなる箱状の筐体60を有する。該筐体60は、筐体40の側面46b側において、矢印Y方向(側面46a、46bに平行な方向)に沿って延在している。すなわち、図1〜図3に示すように、筐体40の照射面である天板42における撮影可能領域36外の側面46b側に制御部32が配設されている。なお、矢印X2方向の側面46bと対向する側面46aには、例えば、当該電子カセッテ20Aを持ち運ぶための把持部となる取っ手(図示せず)を設けてもよい。
この場合、筐体60の内部には、パネル部30を制御するカセッテ制御部(パネル制御部)66と、バッテリ等の電源部68と、コンソール22との間で無線による信号の送受信が可能な通信部70とが配置されている。電源部68は、パネル部30に電力供給を行う一方で、カセッテ制御部66及び通信部70に対しても電力供給を行う。
制御部32の矢印Y2方向側(側面46d側)の側面80には、外部の電源から電源部68に対して充電を行なうためのACアダプタの入力端子83と、外部機器との間で情報の送受信が可能なインターフェース手段としてのUSB(Universal Serial Bus)端子85と、PCカード等のメモリカード87を装填するためのカードスロット89とが設けられている。
一方、パネル部30の内部には、図3に示すように、放射線源18から被写体14に放射線16を照射した際に、被写体14による放射線16の散乱線を除去するグリッド90、被写体14を透過した放射線16を検出する放射線変換パネル92、及び、放射線16のバック散乱線を吸収する鉛板94が、被写体14側の照射面である天板42に対して順に配設される。この場合、グリッド90、放射線変換パネル92及び鉛板94は、平面視で、撮影可能領域36と略一致する。なお、天板42をグリッド90として構成してもよい。
放射線変換パネル92としては、例えば、被写体14を透過した放射線16をシンチレータにより可視光に一旦変換し、変換した前記可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の物質からなる固体検出素子(以下、画素ともいう。)により電気信号に変換する間接変換型の放射線変換パネルや、放射線16の線量をアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる固体検出素子により電気信号に直接変換する直接変換型の放射線変換パネルを採用することができる。
なお、被写体14を透過した放射線16を、例えば、ヨウ化セシウム(CsI)又はガドリニウム・オキサイド・サルファ(GOS)から構成されるシンチレータにより可視光に一旦変換し、変換した前記可視光を固体検出素子(画素)により電気信号に変換する間接変換型の放射線変換パネル(放射線検出器)には、表面読取方式の放射線検出器と裏面読取方式の放射線検出器とがある。このうち、表面読取方式であるISS(Irradiation Side Sampling)方式の放射線検出器は、放射線16の照射方向に沿って、固体検出素子及びシンチレータが順に配置された構成を有する。また、裏面読取方式であるPSS(Penetration Side Sampling)方式の放射線検出器は、放射線16の照射方向に沿って、シンチレータ及び固体検出素子が順に配置された構成を有する。
また、パネル部30の内部では、放射線変換パネル92がフレキシブル基板96を介して駆動回路部98と電気的に接続され、該駆動回路部98は、筐体60の底面に形成された図示しない孔部を貫通するフレキシブル基板100を介してカセッテ制御部66と電気的に接続されている。従って、駆動回路部98は、カセッテ制御部66からの制御信号(アドレス信号)に従って放射線変換パネル92を駆動制御すると共に、放射線変換パネル92から放射線画像を読み出してカセッテ制御部66に出力する。また、電源部68は、フレキシブル基板100を介して駆動回路部98に電力供給を行うことにより、該駆動回路部98からフレキシブル基板96を介して放射線変換パネル92を駆動させる。
なお、図3では、パネル部30の矢印X2方向側(側面46b側)に駆動回路部98が配置されている場合を図示している。但し、パネル部30内には、実際上、側面46c、46d(矢印X方向)に沿って他の駆動回路部も配置されるが、第1実施形態では、説明の容易化のため、該他の駆動回路部の図示を省略する。
図4において模式的に示すように、放射線変換パネル92では、多数の画素150が図示しない基板上に配列され、さらに、これらの画素150に対して駆動回路部98からフレキシブル基板96を介し制御信号を供給する多数のゲート線152と、多数の画素150から出力される電気信号を読み出してフレキシブル基板96を介し駆動回路部98に出力する多数の信号線154とが配列されている。
次に、一例として、間接変換型の放射線変換パネル92を採用した場合の電子カセッテ20Aの回路構成及びブロック図に関し、図5を参照しながら詳細に説明する。
放射線変換パネル92は、可視光を電気信号に変換するa−Si等の物質からなる各画素150が形成された光電変換層を、行列状のTFT156のアレイの上に配置した構造を有する。この場合、駆動回路部98を構成するバイアス回路160からバイアス電圧が供給される各画素150では、可視光を電気信号(アナログ信号)に変換することにより発生した電荷が蓄積され、各列毎にTFT156を順次オンにすることにより前記電荷を画像信号として読み出すことができる。
各画素150に接続されるTFT156には、列方向と平行に延びるゲート線152と、行方向と平行に延びる信号線154とが接続される。各ゲート線152は、ゲート駆動回路158に接続され、各信号線154は、マルチプレクサ170に接続される。ゲート線152には、列方向に配列されたTFT156をオンオフ制御する制御信号がゲート駆動回路158から供給される。この場合、ゲート駆動回路158には、カセッテ制御部66からアドレス信号が供給される。
また、信号線154には、行方向に配列されたTFT156を介して各画素150に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器164によって増幅される。増幅器164には、サンプルホールド回路166を介してマルチプレクサ170が接続される。マルチプレクサ170は、信号線154を切り替えるFET(電界効果トランジスタ)スイッチ168と、1つのFETスイッチ168をオンにする選択信号を出力するマルチプレクサ駆動回路162とを備える。マルチプレクサ駆動回路162には、カセッテ制御部66からアドレス信号が供給される。FETスイッチ168には、A/D変換器172が接続され、A/D変換器172によってデジタル信号に変換された放射線画像がカセッテ制御部66に供給される。
なお、スイッチング素子として機能するTFT156は、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFTで言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
カセッテ制御部66は、アドレス信号発生部180と、画像メモリ182と、カセッテIDメモリ184とを備える。
アドレス信号発生部180は、ゲート駆動回路158及びマルチプレクサ駆動回路162に対してアドレス信号を供給する。画像メモリ182は、放射線変換パネル92によって検出された放射線画像を記憶する。カセッテIDメモリ184は、電子カセッテ20Aを特定するためのカセッテID情報を記憶する。
ところで、このようなDRシステムを構成する電子カセッテ20Aでは、被写体14の下への挿入を容易にすると共に、その可搬性や取扱性の向上のため、従来のCRシステムと同等以上の軽量化・薄型化が要求されており、例えば、パネル部30は制御部32よりも相当に薄型化される(図3参照)。このようにパネル部30が薄く構成されると、該パネル部30では、天板42と放射線変換パネル92が接触するような構造となり、例えば、患者や技師が天板に手等を置いた時に該放射線変換パネル92に温度分布が発生し、これが画像ムラの原因となる可能性がある。また、筐体60内に発熱源となる電源部68等を配置した制御部32が放射線変換パネル92と並列されているため、該制御部32で発生した熱が天板42の撮影領域に横臥した被写体14に違和感を与える可能性がある。すなわち、制御部32には、放射線変換パネル92を制御するための電子部品が搭載されたカセッテ制御部66、バッテリ等の電源部68、及び、外部との通信を行うための通信部70が搭載されており、カセッテ制御部66、電源部68及び通信部70から発生する熱により制御部32の温度が上昇し、その熱が撮影可能領域36側へと伝達される可能性がある。
そこで、第1実施形態の電子カセッテ20Aでは、パネル部30の天板42に所定の方向に向かって高い熱伝導度を有する熱伝導異方性を付与し、該天板42での放熱性能を向上させ、制御部32で発生する熱の被写体14側(撮影可能領域36側)への伝達を可及的に抑制する構造を設けている。
すなわち、図6に示すように、電子カセッテ20Aでは、パネル部30の一端部に制御部32を並列に配置した並列構造とし、天板42の略全面には、制御部32が配置されない側面46c、46dに向かう方向(Y方向)に高い熱伝導度を有する熱伝導異方性50が設けられている。
この熱伝導異方性50は、例えば、天板42の構成材料に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いることで良好な熱伝導性とその異方性とを有して形成することができる。熱伝導異方性50を天板42に形成可能な炭素繊維強化プラスチックの一例としては、石油や石炭、コールタール等の副生成物であるピッチを高温で炭化させ、グラファイトの結晶成長度を高めて熱伝導を高くした異方性ピッチ系炭素繊維(メソフェーズピッチ系炭素繊維)の長繊維タイプが挙げられる。長繊維タイプの異方性ピッチ系炭素繊維は、金属と同等以上の熱伝導性と異方性とを有するため、天板42への熱伝導異方性50の付与に好適である。
なお、図6は、理解の容易のため、天板42に設けられた熱伝導異方性50を所定ピッチで並列して模式的に図示したものであり、実際には、当該熱伝導異方性50は、例えば上記の炭素繊維強化プラスチックで形成された天板42に含まれる炭素繊維の配列によってその繊維の方向に高い熱伝導度を有して形成されることから、図6の図示よりも狭い微小なピッチで配列されると共に、平面方向(2次元方向)のみならず、厚み方向(3次元方向)にも設けられる。
一方、裏板43としては、例えば、熱伝導異方性のない通常の炭素繊維強化プラスチックや、PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維を用いると、十分な強度を得ることができる。
第1実施形態に係る電子カセッテ20Aを含む放射線画像撮影システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、医師又は技師である使用者は、病院内の放射線科等の所定の保管場所から撮影台12まで電子カセッテ20Aを運搬する。この場合、電子カセッテ20Aは、電源部68がカセッテ制御部66にのみ電力供給を行って該カセッテ制御部66のみが動作しているスリープ状態である。
続いて、図7のステップS1において、使用者は、被写体14の撮影部位の放射線画像を撮影するための撮影準備を行う。
先ず、使用者は、制御部32及び天板42を上方に向けた状態で電子カセッテ20Aを撮影台12に配置した後に、図示しない電源スイッチを投入する。これにより、カセッテ制御部66は、電源部68に対して、該カセッテ制御部66に加え、通信部70及びパネル部30にも電力供給を行うように制御する。この結果、電源部68は、通信部70及びパネル部30への電力供給を開始し、通信部70は、コンソール22との間での無線による信号の送受信が可能となる。また、パネル部30の駆動回路部98は、電源部68からの電力供給によって起動し、バイアス回路160は、バイアス電圧を各画素150に供給して、該各画素150を電荷蓄積が可能な状態に至らせる。この結果、電子カセッテ20Aは、スリープ状態からアクティブ状態に移行する。
次に、使用者は、コンソール22を操作することにより、撮影対象である被写体14に関わる被写体情報等の撮影条件(例えば、放射線源18の管電圧や管電流、放射線16の曝射時間)を登録する。撮影部位や撮影方法が予め決まっている場合に、使用者は、これらの撮影条件も登録しておく。
続いて、使用者は、放射線源18と放射線変換パネル92との間の撮影間距離をSID(線源受像画間距離)に調整する一方で、照射面である天板42上に被写体14を配置させて、被写体14の撮影部位が撮影可能領域36に入り、且つ、該撮影部位の中心位置が撮影可能領域36の中心位置と略一致するように、該被写体14の位置決め(ポジショニング)を行う。
このようにして撮影準備が完了した後のステップS2において、使用者がコンソール22又は放射線源18に備わる図示しない曝射スイッチを投入する。コンソール22に曝射スイッチが備わっている場合には、曝射スイッチの投入後、コンソール22から無線通信によって撮影条件が放射線源18に送信される。また、放射線源18に曝射スイッチが備わっている場合には、曝射スイッチの投入後、放射線源18から無線通信によりコンソール22に対して撮影条件の送信が要求され、該コンソール22は、放射線源18からの送信要求に応じて、前記撮影条件を無線通信により放射線源18に送信する。
放射線源18は、撮影条件を受信すると、該撮影条件に従って、所定の線量からなる放射線16を所定の曝射時間だけ被写体14に照射する。放射線16は、被写体14を透過してパネル部30内の放射線変換パネル92に至る。
ステップS3において、放射線変換パネル92が間接変換型の放射線変換パネルである場合に、該放射線変換パネル92を構成するシンチレータは、放射線16の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層を構成する各画素150は、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する。次いで、各画素150に保持された被写体14の放射線画像である電荷情報は、カセッテ制御部66を構成するアドレス信号発生部180からゲート駆動回路158及びマルチプレクサ駆動回路162に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
すなわち、ゲート駆動回路158は、アドレス信号発生部180から供給されるアドレス信号に対応するゲート線152に接続されたTFT156のゲートに制御信号を供給する。一方、マルチプレクサ駆動回路162は、アドレス信号発生部180から供給されるアドレス信号に従って、選択信号を出力してFETスイッチ168を順次切り替え(順次オンオフして)、ゲート駆動回路158によって選択されたゲート線152に接続される各画素150に保持された電荷情報としての放射線画像を信号線154を介して順次読み出す。
選択されたゲート線152に接続された各画素150から読み出された放射線画像は、各増幅器164によって増幅された後、各サンプルホールド回路166によってサンプリングされ、FETスイッチ168を介してA/D変換器172に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像は、カセッテ制御部66の画像メモリ182に一旦記憶される(ステップS4)。同様にして、ゲート駆動回路158は、アドレス信号発生部180から供給されるアドレス信号に従って、制御信号を出力するゲート線152を順次切り替え、各ゲート線152に接続されている各画素150に保持された電荷情報である放射線画像を信号線154を介して読み出し、FETスイッチ168及びA/D変換器172を介してカセッテ制御部66の画像メモリ182に記憶させる(ステップS4)。
画像メモリ182に記憶された放射線画像は、カセッテIDメモリ184に記憶されたカセッテID情報と共に、通信部70を介して無線通信によりコンソール22に送信される。コンソール22は、受信した放射線画像に対して所定の画像処理を行い、画像処理後の放射線画像を無線通信により表示装置24に送信する。表示装置24は、受信した放射線画像を表示する(ステップS5)。
使用者が表示装置24に表示された放射線画像を視認して、適切な被写体14の放射線画像が得られたことを確認し、被写体14に対する撮影が完了した後は、先ず、電子カセッテ20Aの前記電源スイッチをオフにする。これにより、カセッテ制御部66は、電源部68に対してカセッテ制御部66にのみ電力供給を行うように制御し、電源部68は、通信部70及びパネル部30に対する電力供給を直ちに停止して、カセッテ制御部66に対してのみ電力供給を行う。この結果、電子カセッテ20Aは、アクティブ状態からカセッテ制御部66のみが動作可能なスリープ状態に移行する。そこで、使用者は、電子カセッテ20Aを把持して病院内の放射線科等の所定の保管場所にまで運搬・保管することができる。
以上のような第1実施形態に係る電子カセッテ20Aでは、制御部32をパネル部30に並列したコンパクトな構造を採用しており、被写体14と撮影台12との間への設置が容易で、被写体14に与える構造的な影響も少ないものとなっている。しかも、発熱体である制御部32と被写体14が配置されるパネル部30とを並列しながらも、天板42にY方向に向かう方向の熱伝導度が高い熱伝導異方性50(図6参照)を設けている。
従って、図6中の矢印H1に示すように、制御部32で発生した熱は、パネル部30の側面46c、46d側へと円滑に導かれ、バツ印付き矢印H0に示すように被写体14が配置される天板42の中央方向(撮影可能領域36)にはほとんど伝達されず、前記熱をY方向両端側に円滑に放熱させることができ、被写体14が違和感を受けることを防止できる。すなわち、仮に、天板42が、その熱伝導度の方向性について特に考慮されない構造(熱伝導度について等方性を有する構造)である場合には、天板42で熱がたまり易く、円滑な放熱が難しい場合があるが、電子カセッテ20Aのように天板42に熱伝導異方性50を設けることで、パネル部30での放熱性能が向上し、熱を所定の方向へと円滑に放熱することができる。
天板42の熱伝導異方性50は、制御部32が配置されるパネル部30の一端部(側面46b)と平行した方向に高い熱伝導度を有するため、制御部32からの熱が天板42の中央方向(撮影可能領域36)へと伝熱される前に、パネル部30の端部(側面46b、46c)へと円滑に放熱させることができる。
また、図6から諒解されるように、電子カセッテ20Aでは、天板42に設けられる熱伝導異方性50は、短辺方向(Y方向)に沿う方向、つまり天板42の長辺方向に向かって設けられている。これにより、天板42での熱の放出ルートを可及的に短くすることができ、放熱効果を一層高めることができる。従って、天板42上に手等を置いた際にも、その熱が図6中の矢印H2に示すように放熱されるため、パネル部30の温度分布による画像ムラを防止することができる。さらに、電子カセッテ20Aでは、天板42の略全面に熱伝導異方性50を付与しているため、天板42に接触した被写体14からの発熱を有効に放熱することができ、該被写体14からの熱が放射線変換パネル92に影響を及ぼすことを抑制することができる。
なお、電子カセッテ20Aは、その使用条件等によっては、天板42に設けられる熱伝導異方性50は、短辺方向(Y方向)に沿う方向(天板42の長辺方向)ではなく、図8に示すように長辺方向(X方向)に沿う方向(天板42の短辺方向)に設けた電子カセッテ(放射線画像撮影装置)20Bとして構成してもよい。この電子カセッテ20Bでは、制御部32がパネル部30の長辺に並列して設けられているため、被写体14が長尺な場合等に有効である。
次に、第2実施形態に係る電子カセッテ20Cについて説明する。
なお、電子カセッテ20Cにおいて、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aと同一又は同様な構成要素には同一の参照符号を付し、同一又は同様な機能及び効果を奏するものとして詳細な説明を省略し、以下の各実施形態についても同様とする。
図9に示すように、電子カセッテ(放射線画像撮影装置)20Cは、制御部32が配置されないパネル部30の端部である側面46c、46dに沿って一対の吸熱部材(第1吸熱部材)81、81を配置した点で、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aと異なる。
吸熱部材81は、例えば炭素繊維強化プラスチックで構成される天板42よりも剛性の高い材質、例えばステンレス等の金属によって形成されることにより、高い剛性と吸熱作用とを有する。吸熱部材81は、天板42に設けられた熱伝導異方性50の方向と直交する方向(X方向)に沿って延在しており、制御部32とは離間している(図9中の距離L参照)。
従って、電子カセッテ20Cでは、吸熱部材81を設けたことにより、天板42の熱伝導異方性50によって、パネル部30の側面46c、46dに向けて放熱された熱が吸熱部材81によって吸熱されるため、天板42での放熱効果を一層高めることができる。
なお、上記のように、天板42を長繊維タイプの異方性ピッチ系炭素繊維で形成する場合、この長繊維タイプの異方性ピッチ系炭素繊維は、繊維軸方向の引張強度は強いが、垂直方向の荷重には若干弱いという特性を有する。そこで、電子カセッテ20Cでは、パネル部30の両側部が高剛性の吸熱部材81で補強されるため、図10に示すように、被写体14の重みによって、パネル部30(天板42)が矢印θ方向に歪むことを防止することができ、当該電子カセッテ20Cの耐久性や強度を高めることができる。また、パネル部30の両側部を吸熱部材81で補強したことにより、繊維軸方向に対して垂直方向に被写体14が配置される場合でも、撮影台12と被写体14との間にパネル部30を挿入させやすくなる。
次に、第3実施形態に係る電子カセッテ20Dについて説明する。
図11A及び図11Bに示すように、第3実施形態に係る電子カセッテ(放射線画像撮影装置)20Dは、制御部32のパネル部30側ではない端部(Y1、Y2方向側の端部)に一対の吸熱部材(第2吸熱部材)82、82を配置した点で、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aと異なる。
吸熱部材82は、上記第2実施形態に係る電子カセッテ20Cの吸熱部材81と略同様な構造でよく、例えばステンレス等の金属によって形成されることにより、高い剛性と吸熱作用とを有する。吸熱部材82は、天板42に設けられた熱伝導異方性50の方向(Y方向)と直交する方向(X方向)に沿って延在している。
従って、電子カセッテ20Dでは、制御部32の下面が、その下に設けられて熱伝導異方性50(図11A中に破線で示す熱伝導異方性50参照)を持つ天板42に接触していることから、制御部32で発生する熱を当該制御部32の端部に放熱させ(図11A中の矢印H3参照)、吸熱部材82で吸熱することができ、その放熱性能を一層向上させることができる。しかも、天板42の熱伝導異方性50によって、パネル部30の側面46c、46dに向けて放熱された熱の一部も吸熱部材82によって吸熱されるため、天板42での放熱効果を一層高めることができ、特に制御部32での発熱量が増加する傾向にある動画撮影で有効となる。なお、当該電子カセッテ20Dについて、図11A中に2点鎖線で示すように、吸熱部材82と共に、図9に示す吸熱部材81を設けて構成することも勿論可能である。
次に、第4実施形態に係る電子カセッテ20Eについて説明する。
図12及び図13に示すように、第4実施形態に係る電子カセッテ(放射線画像撮影装置)20Eは、第1実施形態に係る電子カセッテ20A(20B)のパネル部30に代えて、制御部32に接触しない天板42aを有するパネル部30aを備えた構成からなる。
パネル部30aは、放射線16を透過可能な材料からなる略矩形状の筐体40aを有する。筐体40aは、天板42aに比べてX方向に長く突出した裏板43aを有し、裏板43aの天板42aの端部からX2方向に突出した部分に制御部32が配置されている。制御部32は、裏板43aと接触し、天板42aとは接触していない。
従って、電子カセッテ20Eでは、制御部32で発生する熱が天板42aを介して被写体14へと伝達されることを一層確実に防止することができ、該熱は裏板43aへと放熱することができる(図13中の矢印H4参照)。
そこで、裏板43aの構成材料としては、上記した天板42と略同様に、炭素繊維強化プラスチックを用いることで良好な熱伝導性を得ることができる。裏板43aとしては、例えば、アクリル繊維から作られるPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維を用いると、十分な強度と十分な放熱性とを両立することができるため好ましい。
なお、電子カセッテ20Eは、図14に示すように、裏板43aに代えて、熱伝導異方性52が設けられた裏板43bを用いた電子カセッテ(放射線画像撮影装置)20Fとして構成してもよい。
裏板43bの熱伝導異方性52は、上記した天板42の熱伝導異方性50と略同様であり、例えば異方性ピッチ系炭素繊維の長繊維タイプで形成するとよい。この裏板43bの熱伝導異方性52は、制御部32が配置されるパネル部30aの一端部(X2側の側面46b)から、該一端部と対向する他端部(X1側の側面46a)に向かう方向、つまり、制御部32の長手方向(Y方向)に直交する方向(X方向)に沿って高い熱伝導度を有する。これにより、制御部32で発生する熱を裏板43b全面に円滑に放熱させることができ(図14中の矢印H4参照)、被写体14への入熱を一層確実に防止し、その違和感を一層確実に抑えることができる。
また、図14中に2点鎖線で示すように、このような熱伝導異方性52を有する裏板43bと共に、天板42aにも熱伝導異方性50を設けてもよい。そうすると、熱伝導異方性50、52の方向が平面視で直交するため(図14参照)、例えば熱伝導異方性50、52を構成する長繊維タイプの異方性ピッチ系炭素繊維が繊維軸の垂直方向に若干弱い特性を互いに補って、パネル部30aの強度を向上させることができる。勿論、このような熱伝導異方性52は、上記した電子カセッテ20A、20B、20C、20Dの裏板43に設けてもよい。
次に、第5実施形態に係る電子カセッテ20Gについて説明する。
図15及び図16に示すように、第5実施形態に係る電子カセッテ(放射線画像撮影装置)20Gは、側面46b、46cにそれぞれコネクタ84、86を有するパネル部30bと、該コネクタ84、86を介してパネル部30bに対して着脱可能な制御部32aを有する点で、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aと異なる。
パネル部30bは、Y方向に沿って高い熱伝導度を有する熱伝導異方性50を設けた天板42と(図15参照)、X方向に沿って高い熱伝導度を有する熱伝導異方性52を設けた裏板43bと(図16参照)を有する。制御部32aは、コネクタ84、86に接続可能な端子88を有し、各コネクタ84、86に対して取り付けられることでパネル部30bの各側面46b、46cに対してそれぞれ配置可能である。この際、コネクタ84、86は、制御部32aの天地方向(上下方向)での接続方向が、互いに逆方向となっている。
従って、電子カセッテ20Gでは、図15に示すように、天板42を被写体14が配置される放射線16の照射面として用いることができる一方、パネル部30bの上下を反転することで、図16に示すように、裏板43bを被写体14が配置される放射線16の照射面として用いることもできる。これにより、電子カセッテ20Gの短尺方向(Y方向)及び長尺方向(X方向)をそれぞれ利用し、被写体14の状態に応じた縦横撮影が可能となり汎用性を向上させることができると共に、いずれの方向での使用であっても熱伝導異方性50、52により制御部32aからの熱が被写体14に違和感を与えることを防止することができる。
なお、上記各実施形態では、パネル部30、30a、30bを構成する天板42、42aの全面(略全面)に熱伝導異方性50を設ける構成を例示した。ところが、例えば、制御部での発熱量が少ない場合等では、天板の一部のみが熱伝導異方性を有していれば、制御部の発熱を撮影可能領域に伝熱させることなく放熱させることが十分に可能であり、患者である被写体14への違和感を十分に小さくすることができる。
そこで、次に、第6実施形態に係る電子カセッテ20Hについて説明する。
図17に示すように、第6実施形態に係る電子カセッテ(放射線画像撮影装置)20Hは、一部にのみ熱伝導異方性50を設けた天板42bを有するパネル部30cを有する点で、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aと異なる。
この電子カセッテ20Hでも、図6に示す電子カセッテ20Aと同様に、天板42b上の一端部に制御部32が配置され、該制御部32は、図3に示すように、フレキシブル基板100で下方の駆動回路部98と電気接続されている。そして、天板42bは、平面視で撮影可能領域36から外れた部分であって、制御部32が配置される部分と配置されない部分の境界線91、つまり制御部32のX1側端面を跨ぐ範囲にY方向に高い熱伝導度を有する熱伝導異方性50が形成されている。
従って、電子カセッテ20Hでは、熱伝導異方性50により、制御部32で発生した熱を円滑に放熱させることができ、さらに、該熱が被写体14が配置される撮影可能領域36側に伝達されることを防止し、被写体14の違和感を防止することができる。
この際、天板42bのうち、熱伝導異方性50が設けられるX2側の一部は、長繊維タイプの異方性ピッチ系炭素繊維で形成し、撮影可能領域36が設けられる大部分は、通常の炭素繊維強化プラスチックや、PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維で形成するとよい。そうすると、上記した熱伝導異方性50による放熱作用を確保しつつ、被写体14が配置される撮影可能領域36部分の天板42bの強度を十分に確保することができ、電子カセッテ20Hの耐久性や強度を一層向上させることができる。勿論、このような一部にのみ熱伝導異方性50が付与される天板42bを、上記各実施形態の電子カセッテ20B、20C、20D等に用いてもよい。
次に、第7実施形態に係る電子カセッテ20Iについて説明する。
図18に示すように、第7実施形態に係る電子カセッテ(放射線画像撮影装置)20Iは、側面46bにコネクタ84を有するパネル部30dと、該パネル部30dに着脱可能な制御部32aを有する点で、第6実施形態に係る電子カセッテ20Hと異なる。
電子カセッテ20Iでは、パネル部30dを構成する天板42c上の側面46bに沿う一端側にのみY方向に高い熱伝導度を有する熱伝導異方性50が設けられている。制御部32aは、端子88がコネクタ84に接続されることで側面46bに配置される。
従って、電子カセッテ20Iでも、熱伝導異方性50により制御部32aからの熱が被写体14に違和感を与えることを防止することができる。さらに、図18中に破線で示すように、Y方向に高い熱伝導度を有する熱伝導異方性50をパネル部30dの側面46bに設けることもできる。そうすると、制御部32aの発熱を一層円滑に放熱することができる。この側面46bに設けられる熱伝導異方性50は、天板42cに設けられる熱伝導異方性50と平行している。
勿論、このような制御部32aの着脱構造と、熱伝導異方性50の天板42c(及び側面46b)への設置構造は、上記各実施形態の電子カセッテ20A、20B、20C、20D等に用いてもよい。一方、電子カセッテ20Iについても、天板42c上の略全面に熱伝導異方性50を付与した構成とすることも勿論可能である。
次に、第8実施形態に係る電子カセッテ20Jについて説明する。
図19に示すように、第8実施形態に係る電子カセッテ(放射線画像撮影装置)20Jは、コネクタ84に接続される制御部32aを裏板43aの一端部上に配置可能なパネル部30eを有する点で、第7実施形態に係る電子カセッテ20Iと異なる。
電子カセッテ20Jでは、パネル部30eを構成する天板42c上の側面46bに沿う一端側にのみY方向に高い熱伝導度を有する熱伝導異方性50が設けられている。制御部32aは、端子88がコネクタ84に接続されることで側面46bに配置されると共に、側面46bからX2方向に突出した裏板43a上に配置される。
従って、電子カセッテ20Jでも、熱伝導異方性50や裏板43aにより制御部32aからの熱が被写体14に違和感を与えることを防止することができる。さらに、電子カセッテ20Jでも、図19中に破線で示すように、Y方向に高い熱伝導度を有する熱伝導異方性50をパネル部30eの側面46bに設け、制御部32aからの熱を一層円滑に放熱することも可能である。
また、電子カセッテ20Jでは、裏板43aを十分な強度を有するPAN系炭素繊維等で構成することにより、コネクタ84を介して接続される制御部32aの側面46b側に対する付け根部分での強度を補強することができ、制御部32aを一層安定して装着することができる。勿論、このような制御部32aの着脱構造と、裏板43a上への配置構造は、上記各実施形態の電子カセッテ20A、20B、20C、20D等に用いてもよい。
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
例えば、上記第1実施形態に係る放射線画像撮影装置としての電子カセッテ20Aでは、天板42の熱伝導異方性50は、制御部32が配置されるパネル部30の一端部(側面46b)と平行した方向(Y方向)に高い熱伝導度を有する構成を例示したが、図20に示すように、高い熱伝導度を有する異方性の方向を、X方向に沿った方向に構成した熱伝導異方性51を有する天板42dを設けた電子カセッテ(放射線画像撮影装置)20Kとして構成することも可能である。
この電子カセッテ20Kでは、天板42dの熱伝導異方性51が制御部32から撮影可能領域36に向けた方向に設定されているが、例えば制御部32の発熱量が小さい構造の電子カセッテ等であれば十分に有効に用いることができる。つまり、天板42dの熱伝導異方性51により、患者や技師の手等による熱が天板42dに付与された場合であっても、該熱を熱伝導異方性51によって円滑に放熱することができ(図20中の矢印H5参照)、勿論、制御部32の熱についても同様に放熱可能である。勿論、このような方向を有する熱伝導異方性51を持つ天板42dは、上記各実施形態の電子カセッテ20B、20C、20D、20E、20F、20G等に用いてもよい。
特に、電子カセッテ20C(図9参照)の場合と略同様に、電子カセッテ20Kについても、天板42dの熱伝導異方性51の方向にある側面46aに、吸熱部材81(図20中の2点鎖線参照)を設けることも有効である。さらに、電子カセッテ20E(図12参照)のように、制御部32が天板42aと離間した構造の場合にも、制御部32から撮影可能領域36への入熱が少ないことから、上記熱伝導異方性51を有する天板42dを有効に用いることができる。
また、例えば、上記第2実施形態に係る放射線画像撮影装置としての電子カセッテ20Cの裏板43に代えて、天板42の熱伝導異方性50と同様にY方向に沿った方向に高い熱伝導度を持つ熱伝導異方性53を有する裏板43cを設けた電子カセッテ(放射線画像撮影装置)20Lとして構成することも可能である。
この電子カセッテ20Lでは、裏板43cの熱伝導異方性53が、吸熱部材81に向かう方向に設定されているため、例えば、天板42の熱伝導異方性50によって放熱されて吸熱部材81に吸熱された熱を、裏板43cの熱伝導異方性53に導いて該裏板43cから放熱させることができる。当然、熱伝導異方性53により、制御部32から裏板43c側に付与される熱を吸熱部材81へと放熱することもできる。勿論、このような方向を有する熱伝導異方性53を持つ裏板43cは、上記各実施形態の電子カセッテ20A、20B、20D、20E、20F、20G、20H、20I、20J、20K等に用いてもよい。
特に、電子カセッテ20E(図12参照)の裏板43aに代えて、前記熱伝導異方性53を持つ裏板43cを用い、さらに該電子カセッテ20Eの側面46c、46dに吸熱部材81を設けた構成とすれば、制御部32が設置される裏板43cでの放熱性を一層向上させることができて有効である。
このように、天板や裏板に形成される熱伝導異方性の方向は、放射線画像撮影装置の使用条件や仕様等に応じて、その放熱性を考慮して適宜設定すればよく、上記のようにX方向やY方向に沿った方向以外にも、X方向やY方向に交差した方向(平面視で斜め方向)等であってもよい。
また、例えば、所定の方向に高い熱伝導度を有する熱伝導異方性50〜53は、上記のように異方性ピッチ系炭素繊維の材質を用いた構成以外であっても勿論よく、例えば、等方性を有する樹脂材料等に異方性を持たせるように炭素繊維等を含有させて成形したもの等であってもよく、要は、所望の方向への熱伝導異方性を有していればよい。
なお、通常、熱伝導異方性を有する材料は、設計上の制約が発生するために好ましくないと考えられる場合が多い。ところが、上記実施形態は、熱伝導異方性がある方向に限れば、放熱効果が高いという熱伝導異方性を有する材料の特徴を有効に活用したものである。
上記各実施形態は、光読出方式の放射線変換パネルを利用して放射線画像を取得する構造の放射線画像撮影装置(例えば、電子カセッテ)にも適用することが可能である。この光読出方式の放射線変換パネルでは、各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線変換パネルに読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像として取得する。なお、放射線変換パネルは、消去光を放射線変換パネルに照射することで、残存する静電潜像である放射線画像を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
上記した電子カセッテ20A等では、血液やその他の雑菌が付着するのを防止するために、例えば、装置全体を防水性、密閉性を有する構造とし、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの電子カセッテ20A等を繰り返し続けて使用することも可能となる。
また、上記した電子カセッテ20A等は、医療機関内の必要な箇所に配置された図示しないクレードルによって電源部68に対する充電を行うことも可能である。この場合、電子カセッテ20A等のUSB端子85と前記クレードルとの間を図示しないUSBケーブルで接続して行えばよい。
電源部68の充電だけでなく、前記クレードルの無線通信機能又は有線通信機能を用いて、医療機関内のコンソール22やRIS26との間で必要な情報の送受信を行うようにしてもよい。送受信する情報には、電子カセッテ20A等の画像メモリ182に記録された放射線画像を含めることができる。前記クレードルに表示部を配設し、この表示部に対して、電子カセッテ20A等の充電状態や、電子カセッテ20A等から取得した放射線画像を含む必要な情報を表示させるようにしてもよい。また、複数の前記クレードルをネットワークに接続し、各クレードルに接続されている電子カセッテ20A等の充電状態をネットワークを介して収集し、使用可能な充電状態にある電子カセッテ20A等の所在を確認できるように構成することもできる。
さらに、上記各実施形態に係る放射線画像撮影装置は、医療機関内での放射線画像の撮影に限らず、災害現場、在宅看護の現場、さらには、検診車に搭載して、健康診断における被写体の撮影にも適用することが可能である。さらに、各実施形態は、このような医療関連の放射線画像の撮影に限定されるものではなく、例えば、各種の非破壊検査における放射線画像の撮影にも適用可能であることは勿論である。
また、放射線変換パネル92は、図22及び図23に示す変形例に係る放射線検出器600であってもよい。なお、図22は、変形例に係る放射線検出器600の3つの画素部分の構成を概略的に示した断面模式図である。
放射線検出器600は、絶縁性の基板602上に、スイッチング素子を含む信号出力部604、固体検出素子を含むセンサ部606、及び、シンチレータ608が順次積層して形成されており、信号出力部604及びセンサ部606により画素部が構成されている。画素部は、基板602上に行列状に配列されており、各画素部における信号出力部604とセンサ部606とが重なりを有するように構成されている。
シンチレータ608は、センサ部606上に透明絶縁膜610を介して形成され、放射線16を光に変換して発光する蛍光体を成膜したものである。なお、図22において、例えば、上方(基板602が位置する側とは反対側)を天板42、42a〜42d(図2、図3、図6及び図8〜図21参照)側とした場合、上方から放射線16が入射してくれば、放射線検出器600は、PSS方式の放射線検出器として機能し、シンチレータ608の蛍光体は、入射した放射線16を光に変換して発光する。
シンチレータ608が発する光の波長域は、可視光域(波長360nm〜830nm)であることが好ましく、この放射線検出器600によってモノクロ撮像を可能とするためには、緑色の波長域を含んでいることがより好ましい。
シンチレータ608に用いる蛍光体としては、具体的には、放射線16としてX線を用いて撮像する場合、CsIを含むものが好ましく、X線照射時の発光スペクトルが420nm〜600nmにあるCsI(Tl)(タリウムが添加されたヨウ化セシウム)を用いることが特に好ましい。なお、CsI(Tl)の可視光域における発光ピーク波長は565nmである。
シンチレータ608は、例えば、蒸着基体に柱状結晶構造のCsI(Tl)を蒸着して形成してもよい。このように蒸着によってシンチレータ608を形成する場合、蒸着基体は、X線の透過率、コストの面からAlがよく使用されるがこれに限定されるものではない。なお、シンチレータ608としてGOSを用いる場合、樹脂ベースにGOSを塗布し、その後、TFTアクティブマトリクス基板の表面に貼り合わせるとよい。これにより、万が一、GOSの塗布が失敗してもTFTアクティブマトリックス基板を温存することができる。
センサ部606は、上部電極612、下部電極614、及び、該上部電極612と該下部電極614の間に配置された光電変換膜616を有している。
上部電極612は、シンチレータ608により生じた光を光電変換膜616に入射させる必要があるため、少なくともシンチレータ608の発光波長に対して透明な導電性材料で構成することが好ましく、具体的には、可視光に対する透過率が高く、抵抗値が小さい透明導電性酸化物(TCO:Transparent Conducting Oxide)を用いることが好ましい。なお、上部電極612としてAu等の金属薄膜を用いることもできるが、透過率を90%以上得ようとすると抵抗値が増大し易いため、TCOの方が好ましい。例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO、AZO、FTO、SnO、TiO、ZnO等を好ましく用いることができ、プロセス簡易性、低抵抗性、透明性の観点からはITOが最も好ましい。なお、上部電極612は、全画素部で共通の一枚構成としてもよく、画素部毎に分割してもよい。
光電変換膜616は、有機光導電体(OPC:Organic Photo Conductors)を含み、シンチレータ608から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。有機光導電体(有機光電変換材料)を含む光電変換膜616であれば、可視光域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ608による発光以外の電磁波が光電変換膜616によって吸収されることが殆どなく、放射線16が光電変換膜616で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。なお、光電変換膜616は、有機光導電体に代えてa−Siを含むように構成してもよい。この場合、幅広い吸収スペクトルを持ち、シンチレータ608による発光を効率的に吸収することができる。
光電変換膜616を構成する有機光導電体は、シンチレータ608で発光した光を最も効率よく吸収するために、そのピーク波長が、シンチレータ608の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光導電体の吸収ピーク波長とシンチレータ608の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータ608から発せられた光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光導電体の吸収ピーク波長と、シンチレータ608の放射線16に対する発光ピーク波長との差が、10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
このような条件を満たすことが可能な有機光導電体としては、例えば、キナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えば、キナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光導電体としてキナクリドンを用い、シンチレータ608の材料としてCsI(Tl)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜616で発生する電荷量を略最大にすることができる。
センサ部606は、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び、層間接触改良部位等の積み重ね若しくは混合により形成される有機層を含んで構成される。前記有機層は、有機p型化合物(有機p型半導体)又は有機n型化合物(有機n型半導体)を含有することが好ましい。
有機p型半導体は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは、2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。従って、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であれば、いずれの有機化合物も使用可能である。
有機n型半導体は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは、2つの有機化合物を接触させて用いたときに、電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。従って、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であれば、いずれの有機化合物も使用可能である。
この有機p型半導体及び有機n型半導体として適用可能な材料、及び、光電変換膜616の構成については、特開2009−32854号公報において詳細に記載されているため説明を省略する。なお、光電変換膜616は、さらに、フラーレン若しくはカーボンナノチューブを含有させて形成してもよい。
光電変換膜616の厚みは、シンチレータ608からの光を吸収する点では膜厚は大きいほど好ましいが、ある程度以上厚くなると、光電変換膜616の両端から印加されるバイアス電圧により光電変換膜616に発生する電界の強度が低下して電荷が収集できなくなるため、30nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは、50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下にするのがよい。
光電変換膜616は、全画素部で共通の一枚構成であるが、画素部毎に分割してもよい。下部電極614は、画素部毎に分割された薄膜とする。但し、下部電極614は、全画素部で共通の一枚構成であってもよい。下部電極614は、透明又は不透明の導電性材料で構成することができ、Al、銀等を好適に用いることができる。なお、下部電極614の厚みは、例えば、30nm以上300nm以下とすることができる。
センサ部606では、上部電極612と下部電極614との間に所定のバイアス電圧を印加することで、光電変換膜616で発生した電荷(正孔、電子)のうちの一方を上部電極612に移動させ、他方を下部電極614に移動させることができる。本変形例に係る放射線検出器600では、上部電極612に配線が接続され、この配線を介してバイアス電圧が上部電極612に印加されるものとする。また、バイアス電圧は、光電変換膜616で発生した電子が上部電極612に移動し、正孔が下部電極614に移動するように極性が決められているものとするが、この極性は逆であっても良い。
各画素部を構成するセンサ部606は、少なくとも下部電極614、光電変換膜616、及び、上部電極612を含んでいればよいが、暗電流の増加を抑制するため、電子ブロッキング膜618及び正孔ブロッキング膜620の少なくともいずれかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
電子ブロッキング膜618は、下部電極614と光電変換膜616との間に設けることができ、下部電極614と上部電極612との間にバイアス電圧を印加したときに、下部電極614から光電変換膜616に電子が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
電子ブロッキング膜618には、電子供与性有機材料を用いることができる。実際に電子ブロッキング膜618に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜616の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上電子親和力(Ea)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜616の材料のイオン化ポテンシャル(Ip)と同等のIp若しくはそれより小さいIpを持つものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
電子ブロッキング膜618の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、センサ部606の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下にするのがよい。
正孔ブロッキング膜620は、光電変換膜616と上部電極612との間に設けることができ、下部電極614と上部電極612との間にバイアス電圧を印加したときに、上部電極612から光電変換膜616に正孔が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
正孔ブロッキング膜620には、電子受容性有機材料を用いることができる。正孔ブロッキング膜620の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、センサ部606の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下にするのがよい。
実際に正孔ブロッキング膜620に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜616の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上イオン化ポテンシャル(Ip)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜616の材料の電子親和力(Ea)と同等のEa若しくはそれより大きいEaを持つものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
なお、光電変換膜616で発生した電荷のうち、正孔が上部電極612に移動し、電子が下部電極614に移動するようにバイアス電圧を設定する場合には、電子ブロッキング膜618と正孔ブロッキング膜620との位置を逆にすれば良い。また、電子ブロッキング膜618と正孔ブロッキング膜620とは両方設けなくてもよく、いずれかを設けておけば、ある程度の暗電流抑制効果を得ることができる。
図23に示すように、信号出力部604は、各画素部の下部電極614に対応して基板602の表面に設けられており、下部電極614に移動した電荷を蓄積する蓄積容量622と、前記蓄積容量622に蓄積された電荷を電気信号に変換して出力するTFT624とを有している。蓄積容量622及びTFT624の形成された領域は、平面視において、下部電極614と重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素部における信号出力部604とセンサ部606とが厚さ方向で重なりを有することとなる。蓄積容量622及びTFT624を下部電極614によって完全に覆うように信号出力部604を形成すれば、放射線検出器600(画素部)の平面積を最小にすることができる。
蓄積容量622は、基板602と下部電極614との間に設けられた絶縁膜626を貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する下部電極614と電気的に接続されている。これにより、下部電極614で捕集された電荷を蓄積容量622に移動させることができる。
TFT624は、ゲート電極628、ゲート絶縁膜630、及び、活性層(チャネル層)632が積層され、さらに、活性層632上にソース電極634とドレイン電極636とが所定の間隔を開けて形成されている。活性層632は、例えば、a−Siや非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブ等により形成することができる。なお、活性層632を構成する材料は、これらに限定されるものではない。
活性層632を構成可能な非晶質酸化物としては、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)が好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga−O系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO(ZnO)(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnOがより好ましい。なお、活性層632を構成可能な非晶質酸化物は、これらに限定されるものではない。
活性層632を構成可能な有機半導体材料としては、フタロシアニン化合物や、ペンタセン、バナジルフタロシアニン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、フタロシアニン化合物の構成については、特開2009−212389号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
TFT624の活性層632を非晶質酸化物や有機半導体材料、カーボンナノチューブで形成したものとすれば、X線等の放射線16を吸収せず、あるいは、吸収したとしても極めて微量に留まるため、信号出力部604におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。
また、活性層632をカーボンナノチューブで形成した場合、TFT624のスイッチング速度を高速化することができ、また、可視光域での光の吸収度合の低いTFT624を形成できる。なお、カーボンナノチューブで活性層632を形成する場合、活性層632に極微量の金属性不純物の混入するだけで、TFT624の性能は著しく低下するため、遠心分離等により極めて高純度のカーボンナノチューブを分離・抽出して形成する必要がある。
ここで、上述した非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブや、有機光導電体は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、基板602としては、半導体基板、石英基板、及び、ガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等の可撓性基板を用いることができる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば持ち運び等に有利となる。
また、有機光導電体から光電変換膜616を形成し、有機半導体材料からTFT624を形成することにより、プラスチック製の可撓性基板(基板602)に対して光電変換膜616及びTFT624を低温成膜することが可能となると共に、放射線検出器600全体の薄型化及び軽量化を図ることができる。これにより、放射線検出器600を収容するパネル部30、30a〜30e(図1〜図3、図5、図6及び図8〜図21参照)の薄型化及び軽量化も可能となる。また、可撓性を有する基板602を用いることにより、放射線変換パネル92、及び、該放射線変換パネル92を収容するパネル部30、30a〜30eの筐体40、40aも可撓性を有することが可能となり、この結果、被写体14からパネル部30、30a〜30eに荷重が加わった際の放射線変換パネル92の破損等の発生を回避することができる。
特に、天板42、42a〜42dをピッチ系炭素繊維で形成した場合、該天板42、42a〜42dは、ピッチ系炭素繊維の繊維軸方向に対して垂直に歪みやすいが、可撓性を有しているため、上記の効果が容易に得られる。
なお、基板602には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
また、アラミドは、200℃以上の高温プロセスを適用できるために、透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ITOやガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して基板602を形成してもよい。
バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂との複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、且つ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60%〜70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3ppm〜7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、且つ、フレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて基板602を薄く形成できる。
本変形例では、基板602上に、信号出力部604、センサ部606及び透明絶縁膜610を順に形成し、当該基板602上に光吸収性の低い接着樹脂等を用いてシンチレータ608を貼り付けることにより放射線検出器600を形成している。
上述した変形例に係る放射線検出器600では、光電変換膜616を有機光導電体により構成すると共に、TFT624の活性層632を有機半導体材料で構成しているので、該光電変換膜616及び信号出力部604で放射線16が吸収されることは殆どない。これにより、放射線16(図1及び図3参照)に対する感度の低下を抑えることができる。
TFT624の活性層632を構成する有機半導体材料や光電変換膜616を構成する有機光導電体は、いずれも低温での成膜が可能である。このため、基板602を放射線16の吸収が少ないプラスチック樹脂、アラミド、バイオナノファイバで形成することができる。これにより、放射線16に対する感度の低下を一層抑えることができる。
また、例えば、放射線検出器600を筐体40、40a内に配置し、基板602を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器600自体の剛性を高くすることができるため、筐体40、40aを薄く形成することができる。また、基板602を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、前述のように放射線検出器600自体が可撓性を有するため、筐体40、40aに衝撃が加わった場合でも放射線検出器600が破損しづらい。
なお、図22では、前述のように、一例として、シンチレータ608から発光された光を放射線源18(図1参照)が位置する側とは反対側に位置するセンサ部606(光電変換膜616)で電荷に変換して放射線画像を読み取る、PSS方式の放射線検出器600を図示している。
放射線検出器600は、この構成に限定されることはなく、ISS方式の放射線検出器として構成してもよい。この場合、放射線16の照射方向に沿って、基板602、信号出力部604、センサ部606及びシンチレータ608がこの順に積層され、シンチレータ608から発光された光を放射線源18が位置する側のセンサ部606で電荷に変換して放射線画像を読み取る。そして、通常、シンチレータ608は、放射線16の照射面側が背面側よりも強く発光するため、ISS方式で構成した放射線検出器600では、PSS方式で構成された放射線検出器600と比較して、シンチレータ608で発光された光が光電変換膜616に到達するまでの距離を短縮させることができる。これにより、該光の拡散・減衰を抑えることができるので、放射線画像の分解能を高めることができる。
しかも、上述したプラスチック及び有機系の材料を用いて放射線変換パネル92(放射線検出器600)を構成した場合、該放射線変換パネル92が、放射線16の照射方向に沿って、基板602、TFT624、光電変換膜616、及び、CsIのシンチレータ608の順に配置されたISS方式のパネルであれば、高画質の放射線画像が容易に得られる。
なお、本実施形態では、上述のように、シンチレータ608として、CsI又はGOSを使用可能である。
ここで、制御部32、32aのような電気回路部分が発熱する場合、GOSは、発熱に対する感度変化は生じないが、CsIでは、温度上昇に伴って感度が低下する(1℃の温度上昇に対して感度が約0.3%程度低下)。
しかしながら、本実施形態では、シンチレータ608を収容するパネル部30、30a〜30eの筐体40、40aと、制御部32、32aとが別体であると共に、該制御部32、32aは、シンチレータ608から離れた状態で筐体40と連結(接続)されるので、CsIからなるシンチレータ608を用いても、制御部32、32aの発熱に対する感度変化の発生を回避することが可能である。従って、長時間撮影でも、高感度の放射線画像を取得することができる。
また、本実施形態では、天板42、42a〜42dが熱伝導異方性を有しているので、制御部32、32aで発生した熱を、CsIのシンチレータ608の周縁部で素早く繊維軸方向に伝熱させることができる。これにより、放射線変換パネル92(放射線検出器600)における感度低下領域の拡大を抑えることができる。
さらに、本実施形態では、放射線変換パネル92における制御部32、32aから離れた領域の画素150の電気信号を読み出して放射線画像を取得してもよい。このように、制御部32、32a近傍の画素150から電気信号を読み出さないようなトリミング処理を行うことにより、制御部32、32aからの熱の影響が抑制された画像を容易に取得することができる。
さらにまた、本実施形態では、前述のように、パネル部30が制御部32よりも薄型化されているので、例えば、図24に示すように、撮影台12に横臥した被写体14の左側を持ち上げた状態で、該被写体14に沿って制御部32を湾曲させながら、被写体14と撮影台12との間にパネル部30を容易に挿入することができる。
ここで、図24のパネル部30に収容される放射線変換パネル92(放射線検出器600)の構成について、図25A〜図28Bを参照しながら説明する。
図25A及び図25Bの放射線変換パネル92は、ISS方式の放射線検出器であり、放射線16の照射方向に沿って、信号出力部604を含む信号出力層640と、センサ部606を含む光電変換層642と、シンチレータ608として機能するCsIのシンチレータ644との順に配置されている。シンチレータ644は、真空蒸着法を用いてCsIを所定条件で信号出力層640及び光電変換層642の積層体(センサ基板)に直接蒸着して形成されたものであり、所定条件で光電変換層642に蒸着形成された非柱状結晶構造の非柱状部646と、非柱状部646とは異なる条件で蒸着することにより短冊状に形成された柱状結晶構造の柱状部648とから構成される。
この場合、非柱状部646及び柱状部648は、一体的に形成されている。また、光電変換層642に非柱状部646を形成することにより、該非柱状部646を形成しない場合と比較して、光電変換層642に対するシンチレータ644の密着性を向上させることができ、該シンチレータ644が光電変換層642から剥離することを好適に抑えることができる。なお、非柱状部646は、光電変換層642の略全面に蒸着されており、その厚みは、光電変換層642の撓み(弾性変形)に応じて撓ませることが可能な程度に設定されている。つまり、非柱状部646は薄膜状になっている。
ここで、図24のようにパネル部30全体が湾曲すると、シンチレータ644を含む放射線変換パネル92は、図25Aのように全体的に撓む。この場合、シンチレータ644は、全体的に、柱状部648の各柱の間隔が互いに広がる方向に撓むため、各柱同士が接触して折れることを回避することができる。この結果、各柱の折れによる放射線画像の劣化を回避することができる。
そして、被写体14と撮影台12との間にパネル部30が挿入された後に、放射線源18から被写体14を介してパネル部30に放射線16が照射されると、図25Bに示すISS方式の放射線変換パネル92において、シンチレータ644は、信号出力層640及び光電変換層642を透過した放射線16を可視光に変換し、光電変換層642は、前記可視光を電気信号に変換した後に電荷として蓄積し、信号出力層640は、前記電荷を画像信号として出力することができる。
なお、CsIのシンチレータ644は、図示しない防湿保護材により封止されており、湿気に弱いCsIを好適に保護することができる。
また、パネル部30の両側部に高剛性の吸熱部材81(図9参照)が配設されていれば、吸熱部材81は、被写体14と撮影台12との間へのパネル部30の挿入時に、必要以上にパネル部30(天板42)が歪むことを防止するためのストッパとして機能するので、CsIのシンチレータ644を用いた場合における柱状部648の各柱同士の接触や折れを確実に抑制することができる。
さらに、熱伝導異方性50、51を有する天板42と放射線変換パネル92との間に、薄い断熱材を配置すれば、被写体14の熱を放射線変換パネル92(信号出力層640、光電変換層642及びシンチレータ644)に伝えることなく、外部に円滑に放熱することができる。
図26A及び図26Bに示す放射線変換パネル92は、ISS方式の放射線検出器ではあるが、シンチレータ644が接着層650を介して光電変換層642に間接的に配置されている点で、図25A及び図25Bの場合とは異なる。この場合、シンチレータ644は、柱状部648のみから構成されている。また、接着層650は、前記可視光を透過可能な接着剤からなることが望ましい。
図26A及び図26Bに示す放射線変換パネル92においても、パネル部30全体が湾曲して、放射線変換パネル92が図26Aのように全体的に撓んでも、シンチレータ644を構成する柱状部648の各柱は、互いに間隔が広がる方向に撓むので、各柱同士が接触して折れることを回避することができ、この結果、各柱の折れによる放射線画像の劣化を回避することができる。
また、図26A及び図26Bに示す放射線変換パネル92においても、図25A及び図25Bの放射線変換パネル92の他の効果も容易に得られることは勿論である。
図27A及び図27Bに示す放射線変換パネル92は、PSS方式の放射線検出器であり、放射線16の照射方向に対して、シンチレータ644、光電変換層642及び信号出力層640の順に配置されている。すなわち、図27A及び図27BのPSS方式の放射線変換パネル92は、図25A及び図25BのISS方式の放射線変換パネル92を上下反転させたものである。
この場合、図24のようにパネル部30全体が湾曲すると、放射線変換パネル92は、図27Aのように全体的に撓み、この結果、シンチレータ644も全体的に撓む。この場合でも、柱状部648を構成する各柱が接触して折れることを回避することができると共に、各柱の折れによる放射線画像の劣化を回避することができる。
また、被写体14と撮影台12との間にパネル部30が挿入された後に、放射線源18から被写体14を介してパネル部30に放射線16が照射されると、図27Bに示すPSS方式の放射線変換パネル92において、シンチレータ644は、放射線16を可視光に変換し、光電変換層642は、前記可視光を電気信号に変換した後に電荷として蓄積し、信号出力層640は、前記電荷を画像信号として出力することができる。
図28A及び図28Bに示す放射線変換パネル92は、PSS方式の放射線検出器ではあるが、シンチレータ644が接着層650を介して光電変換層642に間接的に配置されている点で、図27A及び図27Bの場合とは異なる。すなわち、図28A及び図28BのPSS方式の放射線変換パネル92は、図27A及び図27BのISS方式の放射線変換パネル92を上下反転させたものである。
この場合、図24のようにパネル部30全体が湾曲して、放射線変換パネル92が図28Aのように全体的に撓んでも、シンチレータ644も全体的に撓むので、柱状部648を構成する各柱が接触して折れることを回避することができると共に、各柱の折れによる放射線画像の劣化を回避することができる。
なお、図27A〜図28Bに示す各放射線変換パネル92においても、図25A及び図25Bの放射線変換パネル92の他の効果も容易に得られることは勿論である。
ここで、図26A、図26B、図28A及び図28Bに示す放射線変換パネル92は、図29A〜図29Cに示す順に製造される。
先ず、図29Aに示すように、真空蒸着法により、蒸着基板652に剥離層654を介してシンチレータ644を蒸着形成する。この場合、非柱状部646が形成されないような所定の条件で柱状部648を形成することにより、シンチレータ644を蒸着形成する。
次に、図29Bに示すように、信号出力層640及び光電変換層642の積層体(センサ基板)を転写体として、柱状部648の先端部分を接着層650を介して接着(転写)させる。
最後に、図29Cに示すように、柱状部648の基端部分から剥離層654及び蒸着基板652を剥離させ、その後、シンチレータ644を図示しない防湿保護材で封止することにより放射線変換パネル92を完成させる。なお、剥離層654の剥離方法としては、例えば、蒸着基板652を透明基板とし、蒸着基板652を介して剥離層654に紫外線を照射することによって、柱状部648から剥離層654を剥離すればよい。
20A〜20L…電子カセッテ 30、30a〜30e…パネル部
32、32a…制御部 36…撮影可能領域
42、42a〜42d…天板 43、43a〜43c…裏板
46a〜46d…側面 50〜53…熱伝導異方性
81、82…吸熱部材 92…放射線変換パネル

Claims (18)

  1. 放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルを収容したパネル部と、
    前記パネル部の一端部に配置されると共に、前記放射線変換パネルを制御する制御部と、
    を備えた放射線画像撮影装置であって、
    前記放射線の照射面となる前記パネル部の天板には、所定の方向に向かって高い熱伝導度を有する熱伝導異方性が設けられていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
  2. 請求項1記載の放射線画像撮影装置において、
    前記天板の熱伝導異方性は、前記制御部が配置される前記パネル部の前記一端部と平行した方向に熱伝導度が高いことを特徴とする放射線画像撮影装置。
  3. 請求項1又は2記載の放射線画像撮影装置において、
    前記天板の熱伝導異方性は、該天板の短辺方向に熱伝導度が高いことを特徴とする放射線画像撮影装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
    前記制御部が配置されない前記パネル部の端部には、前記制御部から離間した状態で前記天板の熱伝導異方性に直交する方向に沿って第1吸熱部材が設けられることを特徴とする放射線画像撮影装置。
  5. 請求項4記載の放射線画像撮影装置において、
    前記第1吸熱部材は、少なくとも前記天板より高い剛性を有することを特徴とする放射線画像撮影装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
    前記制御部の端部には、前記天板の熱伝導異方性に直交する方向に沿って第2吸熱部材が設けられることを特徴とする放射線画像撮影装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
    前記制御部は、前記パネル部の前記天板とは反対側の裏板に接触して配置されることを特徴とする放射線画像撮影装置。
  8. 請求項7記載の放射線画像撮影装置において、
    前記裏板は、前記天板の熱伝導異方性と直交する方向に高い熱伝導度を有する熱伝導異方性を有することを特徴とする放射線画像撮影装置。
  9. 請求項8記載の放射線画像撮影装置において、
    前記裏板の熱伝導異方性は、前記制御部が配置される前記パネル部の前記一端部から、該一端部と対向する前記パネル部の他端部に向かう方向に高い熱伝導度を有することを特徴とする放射線画像撮影装置。
  10. 請求項8又は9記載の放射線画像撮影装置において、
    前記制御部は、前記パネル部の前記一端部に直交する端部にも配置可能であり、
    前記裏板を前記放射線の照射面として使用可能であることを特徴とする放射線画像撮影装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
    前記天板の熱伝導異方性は、異方性ピッチ系炭素繊維によって形成されることを特徴とする放射線画像撮影装置。
  12. 請求項8〜10のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
    前記天板及び前記裏板の熱伝導異方性は、異方性ピッチ系炭素繊維によって形成されることを特徴とする放射線画像撮影装置。
  13. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
    前記天板の熱伝導異方性は、異方性ピッチ系炭素繊維によって形成され、
    前記裏板は、熱伝導異方性を持たず、且つ前記異方性ピッチ系炭素繊維よりも高い強度を持つ材質で形成されることを特徴とする放射線画像撮影装置。
  14. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
    前記制御部は、前記天板上に配置されると共に、前記天板の熱伝導異方性は、該天板の前記制御部が配置される部分と配置されない部分との境界線を跨ぐ範囲に設けられることを特徴とする放射線画像撮影装置。
  15. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
    前記制御部は、前記パネル部の前記一端部を含む一側面に当接配置され、
    前記パネル部の前記一側面に、前記天板の熱伝導異方性と平行する方向に高い熱伝導度を有する熱伝導異方性が設けられていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
  16. 請求項15記載の放射線画像撮影装置において、
    前記制御部は、前記パネル部の前記天板とは反対側の裏板に接触して配置されることを特徴とする放射線画像撮影装置。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置において、
    前記放射線変換パネルは、前記放射線を可視光に変換するシンチレータと、前記可視光を前記放射線画像を示す電気信号に変換する固体検出素子と、前記固体検出素子から前記電気信号を読み出すスイッチング素子と、前記固体検出素子及び前記スイッチング素子が形成される基板とを有し、
    前記基板は、可撓性を有するプラスチック製の基板であり、前記固体検出素子は、有機光導電体からなり、前記スイッチング素子は、有機半導体材料からなることを特徴とする放射線画像撮影装置。
  18. 請求項17記載の装置において、
    前記放射線の照射方向に沿って、前記基板、前記スイッチング素子、前記固体検出素子、及び、CsIからなる前記シンチレータの順に配置されることを特徴とする放射線画像撮影装置。
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