JP5709677B2 - 巻き線型ろ材、巻き線型ろ材の製造方法、巻き線型ろ過エレメントおよび巻き線型ろ過エレメントの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、波打ち異形パイプの端縁部を円筒状に拡径するのは、設備負担が大きいという問題点がある。この問題点は、波打ち異形パイプの肉厚が厚くなるほど顕著になる。
これに対して、波打ち異形パイプの端縁部をテーパ状に拡径するようにすれば、上記設備負担の問題点を解消できる。
ところが、波打ち異形パイプの端縁部をテーパ状に拡径すると、波打ち異形パイプの先端部分の谷部だけしか線材との接触に必要なさまで持ち上げられなくなり、谷部で浮いていた部分の線材と波打ち異形パイプとが必要な面積で接触できなくなり、線材から波打ち異形パイプへの熱伝達効率が低下し、巻き線型ろ過エレメント製造時に線材に加わる溶接熱により線材が溶断したり痩せたりして線材間に隙間が生じる欠陥が増え、巻き線型ろ過エレメント製造時の歩留まりが低くなる問題点が生じた。
そこで、本発明の目的は、波打ち異形パイプの端縁部をテーパ状に拡径する場合でも巻き線型ろ過エレメント製造時の歩留まりを向上することが出来る巻き線型ろ材、巻き線型ろ材の製造方法、巻き線型ろ過エレメントおよび巻き線型ろ過エレメントの製造方法を提供することにある。
上記第1の観点による巻き線型ろ材(10)では、波打ち異形パイプ(1)の端縁部(1f)において線材(2)が波打ち異形パイプ(1)の谷部(1b)に押し下げられているため、波打ち異形パイプ(1)の端縁部(1f)をテーパ状に拡径した場合に、持ち上がった波打ち異形パイプ(1)の外周面に線材(2)が広い面積で接触する。従って、線材(2)から波打ち異形パイプ(1)への熱伝達効率が向上する。また、波打ち異形パイプ(1)の端縁部(1f)において線材(2)が波打ち異形パイプ(1)の谷部(1b)に押し下げられている状態では線材(2)に引張応力が加わっているが、波打ち異形パイプ(1)の端縁部(1f)をテーパ状に拡径した状態では線材(2)が押し上げられて圧縮応力が加わる状態に変わる。これらの理由により、巻き線型ろ過エレメント製造時に線材(2)に加わる溶接熱により線材が溶断したり痩せたりして線材間に隙間が開く欠陥が生じることが抑制され、巻き線型ろ過エレメント製造時の歩留まりを向上することが出来る。
上記第2の観点による巻き線型ろ材(10)の製造方法では、前記第1の観点による巻き線型ろ材(10)を好適に製造できる。
上記第3の観点による巻き線型ろ過エレメント(100)では、波打ち異形パイプ(1)の端縁部(1f)において線材(2)が波打ち異形パイプ(1)の谷部(1b)に押し下げられているため、波打ち異形パイプ(1)の端縁部(1f)をテーパ状に拡径した場合に、持ち上がった波打ち異形パイプ(1)の外周面に線材(2)が広い面積で接触する。従って、線材(2)から波打ち異形パイプ(1)への熱伝達効率が向上する。また、波打ち異形パイプ(1)の端縁部(1f)において線材(2)が波打ち異形パイプ(1)の谷部(1b)に押し下げられている状態では線材(2)に引張応力が加わっているが、波打ち異形パイプ(1)の端縁部(1f)をテーパ状に拡径した状態では線材(2)が押し上げられて圧縮応力が加わる状態に変わる。これらの理由により、巻き線型ろ過エレメント製造時に線材(2)に加わる溶接熱により線材(2)が溶断したり痩せたりして線材(2)間に隙間が開く欠陥が生じることが抑制され、巻き線型ろ過エレメント製造時の歩留まりを向上することが出来る。
上記第4の観点による巻き線型ろ過エレメント(100)の製造方法では、前記第3の観点による巻き線型ろ過エレメント(100)を好適に製造できる。
図1は、実施例1に係る巻き線型ろ材の製造方法および巻き線型ろ過エレメントの製造方法を示すフロー図である。
波打ち異形パイプ1は、ステンレス・パイプであり、肉厚約0.8mm、山部1aの外径約30mm、谷部1bの外径約29mm、山部1aと谷部1bの角度差は15°、長さ約70cmである。
線材2は、ステンレス線であり、外径約0.6mm、密に巻いてある端部1dの長さは約1cm、中間部1eにおける線材2間の隙間は約50μmである。
この工具Tの刃先は、平坦部と傾斜部になっている。平坦部は、長さが例えば2mm〜6mmであり、この平坦部で線材2を波打ち異形パイプ1の谷部1bに押し付ける。傾斜部は、長さが例えば3mm〜6mmであり、この傾斜部で、谷部1bに浮いている状態の線材2の位置から波打ち異形パイプ1の谷部1bに押し付けられている線材2の位置まで線材2の位置をスロープ状に滑らかに押し下げる。
なお、空圧プレス等に装着した金型を用いて全周の谷部1bで同時に線材2の押し下げを行ってもよい。
端縁部1fをテーパ状に拡径するには、例えば先端角度20度のテーパポンチを油圧プレスにより圧入する。または、内張りコレット式エキスパンダを使用してもよい。
以上により、図8に示す如き、巻き線型ろ過エレメント100が得られる。
(1)波打ち異形パイプ1の端縁部1fを円筒状に拡径するのではなく、テーパ状に拡径するようにしたので、設備負担を軽減できる。
(2)波打ち異形パイプ1の端縁部1fにおいて線材2が波打ち異形パイプ1の谷部1bに押し下げられているため、波打ち異形パイプ1の端縁部1fをテーパ状に拡径したときに持ち上がった波打ち異形パイプ1の外周面に線材2が広い面積で接触する。従って、線材2から波打ち異形パイプ1への熱伝達効率が向上する。また、波打ち異形パイプ1の端縁部1fにおいて線材2が波打ち異形パイプ1の谷部1bに押し下げられている状態では線材2に引張応力が加わっているが、波打ち異形パイプ1の端縁部1fをテーパ状に拡径した状態では線材2が押し上げられて圧縮応力が加わる状態に変わる。これらの理由により、巻き線型ろ過エレメント製造時に線材2に加わる溶接熱により線材2が溶断したり痩せたりして線材2間に隙間が開く欠陥が生じることが抑制され、巻き線型ろ過エレメント製造時の歩留まりを向上することが出来る。
1a 山部
1b 谷部
1c 貫通孔
1d 端部
1e 中間部
1f 端縁部
2 線材
3 リング部材
4 コネクタ部材
100 巻線型ろ材
Claims (4)
- パイプの径方向の断面が波打ち異形であり且つ貫通孔(1c)を有する波打ち異形パイプ(1)と、前記波打ち異形パイプ(1)の端部(1d)では密に且つ中間部では所定の隙間を開けて前記波打ち異形パイプ(1)の外周に巻き付けた線材(2)とを備えた巻き線型ろ材(10)であって、前記線材(2)を巻き付けた波打ち異形パイプ(1)の端縁部(1f)において前記線材(2)が前記波打ち異形パイプ(1)の谷部(1b)に押し下げられていることを特徴とする巻き線型ろ材(10)。
- パイプの径方向の断面が波打ち異形であり且つ貫通孔(1c)を有する波打ち異形パイプ(1)の端部(1d)では密に且つ中間部では所定の隙間を開けて前記波打ち異形パイプ(1)の外周に線材(2)を巻き付ける工程と、前記線材(2)を巻き付けた波打ち異形パイプ(1)の端縁部(1f)において前記線材(2)を前記波打ち異形パイプ(1)の谷部(1b)に押し下げる工程とを有する巻き線型ろ材(10)の製造方法。
- パイプの径方向の断面が波打ち異形であり且つ貫通孔(1c)を有する波打ち異形パイプ(1)と、前記波打ち異形パイプ(1)の端部(1d)では密に且つ中間部では所定の隙間を開けて前記波打ち異形パイプ(1)の外周に巻き付けた線材(2)と、前記線材(2)を巻き付けた波打ち異形パイプ(1)のテーパ状に拡径された端縁部(1f)に被せて溶接されたリング部材(3)とを備えた巻き線型ろ過エレメント(100)であって、前記端縁部(1f)において前記線材(2)が前記波打ち異形パイプ(1)の谷部(1b)に押し下げられていることを特徴とする巻き線型ろ過エレメント(100)。
- パイプの径方向の断面が波打ち異形であり且つ貫通孔(1c)を有する波打ち異形パイプ(1)の端部(1d)では密に且つ中間部では所定の隙間を開けて前記波打ち異形パイプ(1)の外周に線材(2)を巻き付ける工程と、前記線材(2)を巻き付けた波打ち異形パイプ(1)の端縁部(1f)において前記線材(2)を前記波打ち異形パイプ(1)の谷部(1b)に押し下げる工程と、前記端縁部(1f)にリング部材(3)を被せる工程と、前記端縁部(1f)をテーパ状に拡径する工程と、前記端縁部(1f)において波打ち異形パイプ(1)と前記線材(2)と前記リング部材(3)とを溶接する工程とを有する巻き線型ろ過エレメント(100)の製造方法。
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