JP6348938B2 - 金属筒体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、流体管路などに用いられる金属筒体の製造方法に係り、特に素板をプレス加工して形成される金属筒体の製造方法に関するものである。
従来から、内燃機関の吸気流路や排気流路等を構成する流体管路等のように、内周面や外周面に対して高い精度が要求される金属筒体がある。このような金属筒体は、たとえば特開2003−112218号公報(特許文献1)や特開2006−299300号公報(特許文献2)等にも示されているように、一般的に冷間引抜加工で得られたパイプ材を、適切な長さで切断することによって製造されている。
ところで、冷間引抜加工で得られたパイプ材から目的とする金属筒体を製造する場合、要求される金属筒体の形状などによっては、面倒な加工が必要になって製造コストが高くなるおそれがある。たとえば、金属筒体の長さ方向の端部エッジに対して、C面やR面などの傾斜面を形成するエッジ加工が必要とされる場合には、目的とする長さの金属筒体を切り出した後に、旋削などによってエッジ加工を施す必要があり、歩留まりも悪かった。
そこで、このような問題に鑑みて、本発明者は、素板をプレス加工によって曲げて、曲げ方向の両端部を溶接することで、目的とする金属筒体を製造する検討をした。
しかしながら、曲げ加工した素板の曲げ方向の両端部を突き合わせて溶接すると、溶接ビードが金属筒体の内周面や外周面の寸法精度を低下させてしまい、寸法や形状などの要求精度を満たす金属筒体を実現することが困難であった。加えて、曲げ加工した素板は、金属のスプリングバックによって安定した溶接位置を確保し難い場合があり、その場合には、要求される径寸法を十分な精度で実現することが難しかった。
特開2003−112218号公報 特開2006−299300号公報
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、金属素板のプレス曲げ加工で金属筒体を製造する際に、曲げ加工した金属素板の曲げ方向両端部を適切な位置で溶接して金属筒体の内径および外径を高精度に設定することができると共に、溶接ビードによる金属筒体の内周面や外周面の寸法精度の低下も防止することができる、新規な金属筒体の製造方法を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
すなわち、本発明の第一の態様は、金属筒体の製造方法であって、(a)平板形状の金属素板を曲げ加工して曲げ方向の両端に連結用の重ね合わせ部を備えた帯状体を得る工程と、(b)前記帯状体における両端の前記重ね合わせ部を重ね合わせて目的の径寸法とした状態で保持せしめつつ、両端の該重ね合わせ面間で互いに係合する凹部と凸部を同時に形成する工程と、(c)被溶接材を挟んで突き合わされる一対の溶接用電極の少なくとも一方が、先端中央部に対して周囲よりも硬質の金属芯を備えた複合電極とされており、前記凹部と前記凸部とを互いに係合させて前記帯状体を目的の径寸法に保持せしめた状態で、該凹部と該凸部の係合部分に対して該一対の溶接用電極を突き合わせ、該複合電極とされた一方の溶接用電極の該金属芯を前記凸部に押し当てて溶接を施すことにより、該帯状体の両端の前記重ね合わせ部を固定的に接合する工程とを、含むことを特徴とする。
このような第一の態様に従う金属筒体の製造方法によれば、平板形状の金属素板を曲げ加工するとともに両端部を相互に溶接して連結することにより、金属筒体を安価に製造することができる。特に、金属筒体の軸方向両端の角部に対して面取りなどの加工が必要な場合には、平板形状の金属素板の角部に対して予め面取りなどの加工をしておくことができることから、加工が容易になる。
さらに、金属素板を加工して形成される帯状体の両端に連結用の重ね合わせ部を設けて、帯状体を目的の径寸法とした状態で両端の重ね合わせ部に対して凹部と凸部の各一方を同時に形成することにより、それら凹部と凸部の係合によって帯状体を目的の径寸法に保持することができる。これにより、帯状体の両端の重ね合わせ部を溶接によって連結することにより、金属筒体を容易にかつ安定して目的の径寸法で形成することができる。
しかも、両端の重ね合わせ部に凹部と凸部を各別に形成する場合に比して、凹部と凸部の係合による重ね合わせ部の位置決めをより精度よく実現できると共に、それら凹部と凸部が予め係合された状態で形成されることによって、凹部と凸部の寸法誤差による係合不良なども回避することができる。
また、帯状体の両端の重ね合わせ部を相互に重ね合わせた状態で、重ね合わせ部における凹部と凸部の係合部分に一対の溶接用電極を突き合わせて、重ね合わせ部を溶接によって厚さ方向で接合することにより、帯状体の両端を周方向で相互に突き合わせて溶接によって接合する場合に比して、溶接ビードによる内径および外径の精度の低下が防止されて、目的とする内外径寸法の金属筒体を高精度に得ることができる。
また、帯状体の両端の重ね合わせ部を溶接によって接合する際に用いられる一対の溶接用電極は、少なくとも凸部に押し当てられる一方が、先端中央部に対して周囲よりも硬質の金属芯を備えた複合電極とされている。これにより、凸部への押当てによる溶接用電極の先端中央部の摩耗が低減されて、溶接用電極の耐久性の向上が図られる。
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載された金属筒体の製造方法において、前記帯状体の一方の前記重ね合わせ部を内周側から薄肉とした薄肉形状とすると共に、他方の前記重ね合わせ部を外周側から薄肉とした薄肉形状とするものである。
第二の態様によれば、金属筒体の周方向で重ね合わせ部を相互に重ね合わせた部分において、金属筒体の厚さ寸法が部分的に著しく大きくなるのを防いで、金属筒体の内径寸法や外径寸法の精度が周方向で部分的に低下するのを抑えることができる。
本発明の第三の態様は、第一又は第二の態様に記載された金属筒体の製造方法において、前記帯状体の目的とする内径寸法に対応した外径寸法を有する棒状の芯金治具に該帯状体を外挿することによって、該帯状体を目的の径寸法とした状態で保持せしめるものである。
第三の態様によれば、帯状体を芯金治具に外挿することで、帯状体の径寸法を目的とする径寸法に容易に設定することができる。特に、金属素板を曲げ加工して得た帯状体がスプリングバックによって単体では目的の径寸法に保持され難い場合にも、芯金治具の外周面に沿うように保持することで、帯状体を目的の径寸法に容易に保持することができる。
本発明の第四の態様は、第一〜第三の何れか1つの態様に記載された金属筒体の製造方法において、前記複合電極における前記金属芯をステンレス系金属とすると共に、該複合電極における該金属芯の周囲を銅系金属とするものである。
第四の態様によれば、複合電極の金属芯がステンレス系金属とされていることにより、比較的に安価で入手が容易な材料によって金属芯の十分な耐久性(耐摩耗性)を得ることができて、金属芯が被溶接材である帯状体の凸部に繰り返し押し当てられても、溶接用電極の損耗を抑えることができる。一方、複合電極における金属芯の周囲が導電性に優れた銅系金属とされていることにより、一対の溶接用電極間に電流を効率的に流すことができて、抵抗発熱による溶接が有効に実現される。
本発明の第五の態様は、第一〜第四の何れか1つの態様に記載された金属筒体の製造方法において、前記帯状体の両端の前記重ね合わせ部において、内周側に重ね合わされる該重ね合わせ部の内周面において前記凸部を形成する一方、外周側に重ね合わされる該重ね合わせ部の外周面において前記凹部を形成するものである。
第五の態様によれば、製造される金属筒体の外周面に凸部による突出部分が形成されるのを回避し易くなって、特に、金属筒体に対して他部材が外挿される場合のように、外周面において真円度などが高精度に要求される場合にも、対応し易くなる。
本発明の第六の態様は、第一〜第五の何れか1つの態様に記載された金属筒体の製造方法において、前記帯状体の両端の前記重ね合わせ部における溶接部位に対して、溶接後に切削加工又は研磨加工を施すものである。
第六の態様によれば、溶接後に重ね合わせ部に残る凹凸を切削や研磨によって小さくすることにより、金属筒体の内外径寸法精度を一層向上させることができると共に、金属筒体の内周面および外周面をより滑らかにすることができる。しかも、溶接後に溶接部位の表面形状を切削加工や研磨加工によって整えることで、金属筒体において目的とする内外径の寸法精度や内外周面の滑らかさを繰り返し実現することができて、より安定した品質の金属筒体を提供することも可能となる。
本発明の第七の態様は、第一〜第六の何れか1つの態様に記載された金属筒体の製造方法において、前記帯状体の幅方向少なくとも一方の端縁部における内周側と外周側の少なくとも一方の角部にプレス加工によるテーパ面を形成するものである。
第七の態様によれば、金属素板を筒体にする前のプレス加工によって、角部(エッジ部)に容易にC面やR面などのテーパ面を付すことが可能となって、冷間引抜加工で得た管体を適切な長さで切断して筒体を製造する場合に比して、製品(金属筒体)の角部の面取り加工を容易に且つ高精度に行うことができる。
本発明の第八の態様は、第一〜第七の何れか1つの態様に記載された金属筒体の製造方法において、前記帯状体の両端の前記重ね合わせ部を、該帯状体の幅方向の全長に亘って連続して形成するものである。
第八の態様によれば、重ね合わせ部を帯状体の幅方向の広い範囲に設けることができて、それら重ね合わせ部を相互に重なり合った状態でより安定して保持することができることから、帯状体のねじれやずれなどを防止し易くなる。しかも、平板形状の金属素板に重ね合わせ部を形成するための加工も容易になって、金属筒体におけるより高精度な内外径寸法などを実現することができる。
本発明の第九の態様は、第一〜第八の何れか1つの態様に記載された金属筒体の製造方法において、前記帯状体の両端の前記重ね合わせ部における溶接に際して、前記一対の溶接用電極を前記凹部と前記凸部の各一方へ押し付けて該凹部の深さ寸法と該凸部の高さ寸法を溶接前よりも小さくするものである。
第九の態様によれば、溶接時に凹部と凸部を一対の溶接用電極間で圧縮して、凹部の深さ寸法と凸部の高さ寸法を溶接前よりも小さくすることにより、溶接後に得られる金属筒体において、内周面および外周面がより凹凸の小さい滑らかな面になると共に、内径寸法および外径寸法の精度の向上も図られる。
本発明の第十の態様は、第一〜第九の何れか1つの態様に記載された金属筒体の製造方法において、前記帯状体の厚さ寸法を0.5mm〜4.0mmとするものである。
帯状体の厚さ寸法が、第十の態様に示す厚さ寸法の下限(0.5mm)以上とされることにより、重ね合わせ部や凹部および凸部を帯状体に安定して形成することが容易になる。一方、帯状体の厚さ寸法が、第十の態様に示す厚さ寸法の上限(4.0mm)以下とされることにより、目的とする金属筒体の形状を曲げ加工や溶接によって実現し易くなると共に、スポット溶接などによる重ね合わせ部の接合も容易になる。
本発明の第十一の態様は、第一〜第十の何れか1つの態様に記載された金属筒体の製造方法において、前記凹部の深さ寸法を該凹部を備える前記帯状体の一方の前記重ね合わせ部の板厚寸法以下とすると共に、前記凸部の高さ寸法を該凸部を備える該帯状体の他方の前記重ね合わせ部の板厚寸法以下とするものである。
第十一の態様によれば、凹部および凸部の形成部位において、機械的強度を十分に得易くなると共に、安定した加工性を確保することができる。さらに、溶接後の金属筒体において、溶接部位の凹凸を小さくし易くなる。
本発明によれば、平板形状の金属素板を曲げ加工するとともに両端部を相互に溶接して連結することにより、例えば金属筒体の軸方向両端の角部に面取りなどの加工が必要な場合にも、金属筒体を安価に製造することができる。更に、重ね合わせ部に形成された凹部と凸部の係合によって帯状体を目的の径寸法に保持することができて、金属筒体を容易にかつ安定して目的の径寸法で形成することができる。特に、帯状体を目的の径寸法に保持した状態で、凹部と凸部の各一方を同時に形成することにより、それら凹部と凸部を適切な位置に且つ相互に係合可能な態様で容易に形成することができる。また、一対の溶接用電極における少なくとも凸部に押し当てられる一方が、先端中央部に対して周囲よりも硬質の金属芯を備えた複合電極とされていることから、凸部への押当てによる溶接用電極の先端中央部の摩耗が低減されて、溶接用電極の耐久性の向上が図られる。
本発明の第一の実施形態としての金属筒体を示す斜視図。 図1に示す金属筒体の正面図。 図2のIII−III断面図。 図1の金属筒体の形成部品である金属素板に重ね合わせ部とテーパ面を形成した状態を示す正面図。 図4に示す重ね合わせ部およびテーパ面形成後の金属素板の底面図。 図5のVI−VI断面図。 図4に示す重ね合わせ部およびテーパ面形成後の金属素板に曲げ加工を施して帯状体に加工する工程を示す図。 図7の工程によって形成される帯状体の要部を拡大して示す図。 図8のIX−IX断面図。 図8の帯状体の両端を溶接する工程を示す図。 図10に示す溶接用電極の斜視図。 本発明の第二の実施形態としての金属筒体を示す斜視図。 図12に示す金属筒体を構成する帯状体の要部を拡大して示す図。 図13のXIV−XIV断面図。 図13に示す帯状体の両端の溶接に用いられる第一の溶接用電極の平面図。 図15のXVI−XVI断面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜3には、本発明の第一の実施形態としての金属筒体の製造方法によって製造された金属筒体10が示されている。金属筒体10は、鉄やステンレス鋼などの金属材料で形成されて、直線的に延びる略円筒形状を有している。さらに、金属筒体10は、平板形状の金属素板12(図4〜6参照)をプレスによって曲げ加工すると共に、両端部を相互に溶接によって接合することによって、略円筒形状とされている。
より詳細には、金属筒体10は、例えば以下の如き金属筒体の製造方法によって製造される。
先ず、剪断などのプレス加工によって予め準備された矩形平板形状の金属素板12の長さ方向(図4中の左右方向)両端部を、プレス加工によって厚さ方向に潰すなどして薄肉化し、金属素板12の両端部に対して連結用の重ね合わせ部14a,14bを形成する(図4,5参照)。
金属素板12の長さ寸法や幅寸法は、特に限定されるものではなく、目的とする金属筒体10の直径や軸方向長さに応じて適宜に設定される。また、金属素板12の厚さ寸法も適宜に設定可能であるが、好適には厚さ寸法が0.5mm〜4.0mmの範囲に設定される。金属素板12の厚さ寸法をこのような範囲で設定することにより、金属素板12から形成される後述の帯状体20に対して、重ね合わせ部14a,14bや後述する凹部24および凸部26を安定して形成することができると共に、曲げ加工や溶接によって金属素板12から目的とする形状の金属筒体10を容易に且つ高精度に形成することができると共に、溶接による重ね合わせ部14a,14bの接合の強度などを有効に得ることができる。
金属素板12の両端部に形成される重ね合わせ部14a,14bは、金属素板12の両端部をプレス加工によって厚さ方向に押し潰すことで形成されており、金属素板12の幅方向の全長に亘って連続的に設けられている。また、図4に示すように、一方の重ね合わせ部14aが金属筒体10の内周側となる厚さ方向一方側(図4中の上側)から薄肉とした薄肉形状とされていると共に、他方の重ね合わせ部14bが金属筒体10の外周側となる厚さ方向他方側(図4中の下側)から薄肉とした薄肉形状とされている。これにより、相互に逆側の面に段差16,16が形成されており、それら重ね合わせ部14a,14bが金属素板12の厚さ方向中央に対して厚さ方向の各一方側に偏倚している。重ね合わせ部14a,14bの厚さ寸法は、金属素板12の厚さ寸法、換言すれば後述する帯状体20における重ね合わせ部14a,14bを外れた中間部分の厚さ寸法に対して、半分以下であることが望ましく、より好適には略半分の厚さとされる。
なお、金属素板12を厚さ方向に押し潰して重ね合わせ部14a,14bを形成すると、金属素板12が重ね合わせ部14a,14bにおいて幅方向(図5中の上下方向)等の面方向に押し広げられることから、必要に応じて、重ね合わせ部14a,14bの形成後に剪断プレス加工によって幅方向や長さ方向の外側への延出部分を取り除く。さらに、例えばこのような剪断プレス加工時などに、金属素板12の幅方向の少なくとも一方の端縁部の角部に対して、プレス加工によるテーパ面18を付すこともできる。このテーパ面18は、金属筒体10の内周側と外周側の少なくとも一方の角部に付されていれば良く、本実施形態では、図6に示すように、テーパ面18が金属筒体10の内周側の角部に付されて、金属素板12の幅方向内側へ行くに従って厚さ方向外側(金属筒体10の外周側となる図6中の左側)へ傾斜している。
次に、金属素板12をプレス加工によって厚さ方向へ湾曲させて、両端部である重ね合わせ部14a,14bを相互に重ね合わせることにより、筒状の帯状体20を得る。このような曲げ加工による帯状体20の形成工程では、たとえば、金属素板12を順送プレス加工によってある程度まで曲げた後で、図7に示すように、金属素板12を略円筒形状の外周面を備える棒状の芯金治具22に外挿して、芯金治具22の外周面に沿う形状となるように更なる曲げ加工を施すことにより、目的とする形状の帯状体20を得ることができる。芯金治具22は、目的とする金属筒体10の内径寸法に対応する外径寸法で、且つ金属筒体10の内周面と対応する曲率半径で形成されている。
また次に、帯状体20において、相互に重ね合わされた重ね合わせ部14a,14bに凹部24と凸部26を同時に形成して、凹凸形成工程を完了する。すなわち、図7に示すように、帯状体20を芯金治具22の外周面に重ね合わせて、帯状体20を目的の径寸法とした状態で保持しながら、重ね合わせ部14a,14bを外周側からポンチなどの押圧治具28で内周側へ押し込んで、内周側へ突出するように変形させる。本実施形態の芯金治具22は、重ね合わせ部14a,14bの内周側を支持する部分に対して、外周面に開口して軸方向(図7中の紙面直交方向)へ直線的に延びる切欠き30を備えており、押圧治具28で内周側へ押された帯状体20が、切欠き30内へ入り込むことで内周側への突出変形を許容されるようになっている。このように、相互に重ね合わされた状態の重ね合わせ部14a,14bを同時に且つ一体的に変形させることにより、帯状体20の外周側に配置される一方の重ね合わせ部14aに凹部24を形成すると同時に、帯状体20の内周側に配置される他方の重ね合わせ部14bに凸部26を形成する。
凹部24は、図8,9に拡大して示すように、一方の重ね合わせ部14aにおいて帯状体20の径方向外側(図8中の上側)へ向けて開口しており、本実施形態では帯状体20の幅方向(図9中の左右方向)全長に亘って略一定の断面形状で連続して延びる溝形状とされている。一方、凸部26は、他方の重ね合わせ部14bにおいて帯状体20の径方向内側(図8中の下側)へ向けて突出しており、本実施形態では帯状体20の幅方向全長に亘って略一定の断面形状で連続して延びる凸条形状とされている。
さらに、凹部24と凸部26は、平板形状の重ね合わせ部14a,14bを部分的に厚さ方向内側へ凸となるように曲げることで形成されていることから、一方の重ね合わせ部14aにおける凹部24の形成部分の径方向内側が、帯状体20の径方向内側へ向けて突出する凸条形状とされていると共に、他方の重ね合わせ部14bにおける凸部26の形成部分の径方向外側が、帯状体20の径方向外側へ向けて開口する溝形状とされている。
更にまた、図8に示すように、凹部24は、開口側へ行くに従って次第に幅広となっており、凹部24の内面が左右方向両端から左右方向中間に向けて次第に下傾するテーパ形状とされている。同様に、凸部26は、突出先端側へ行くに従って次第に幅狭となっており、凸部26の外面が左右方向両端から左右方向中間に向けて次第に下傾するテーパ形状とされている。上述のように、重ね合わせ部14a,14bにおける凹部24又は凸部26の形成部分の両面は、相互に略対応する形状とされていることから、重ね合わせ部14a,14bにおける凹部24又は凸部26の形成部分は、略一定の厚さ寸法で傾斜するテーパ形状とされている。
なお、凹部24の深さ寸法dが、好適には、凹部24が形成される一方の重ね合わせ部14aの厚さ寸法t1以下とされる(d≦t1)と共に、凸部26の高さ寸法hが、好適には、凸部26が形成される他方の重ね合わせ部14bの厚さ寸法t2以下とされる(h≦t2)。これによれば、重ね合わせ部14a,14bにおける凹部24と凸部26の形成部位において、機械的強度を十分に得易くなるとともに安定した加工性を確保することができる。
ここにおいて、凹部24と凸部26は、上述のように重ね合わせ部14a,14bを相互に重ね合わせた状態で同時に形成されることから、重ね合わせ部14a,14bにおける凹部24の形成部分を凸部26の形成部分に差し入れて、凹部24と凸部26を帯状体20の周方向で相互に係合させることが可能となっている。そして、凹部24と凸部26を係合させることにより、重ね合わせ部14a,14bを相互に適切な周方向位置で位置決めして、帯状体20を目的の径寸法に保持することができる。
そして、凹部24と凸部26を係合させて帯状体20を目的の径寸法とした状態で保持しながら、凹部24および凸部26の形成部分において重ね合わせ部14a,14bをスポット溶接などの重ね抵抗溶接によって接合することで、帯状体20の両端部を連結して金属筒体10を形成する。
すなわち、凹部24と凸部26の係合によって筒状に保持された帯状体20の重ね合わせ部14a,14bに対して、図10に示すように、第一の溶接用電極32を帯状体20の内周側から凸部26に押し当てると共に、第二の溶接用電極34を帯状体20の外周側から凹部24乃至は凹部24の周囲に突き当てて、第一の溶接用電極32と第二の溶接用電極34を被溶接材である重ね合わせ部14a,14bの凹部24および凸部26を介して突き合わせる。そして、第一の溶接用電極32と第二の溶接用電極34の間で重ね合わせ部14a,14bを圧接させながら、それら第一の溶接用電極32と第二の溶接用電極34の間に電流を流すことにより、電気抵抗による発熱と圧接によってそれら重ね合わせ部14a,14bを凹部24と凸部26の係合部分で固定的に接合する。
また、第一の溶接用電極32は、電極本体36の先端部分に金属芯38を組み込んだ複合材で形成された複合電極とされている。電極本体36は、導電性に優れた銅系金属で形成されており、図10,11に示すように、先端部分が先端側(図10中の上側)に向けて次第に狭幅となるテーパ形状を有している。金属芯38は、電極本体36よりも硬いステンレス系金属などの金属材料で形成されており、電極本体36の先端に開口する穴への圧入やろう付け、穴への挿入後に絞りやスエージングなどの加工を電極本体36に施して嵌着させるなどの各種方法によって、電極本体36の先端部に固定されている。換言すれば、第一の溶接用電極32は、先端中央部に配された硬質で耐摩耗性に優れる金属芯38の周囲に、導電性に優れる電極本体36を配した構造を有している。一方、第二の溶接用電極34は、全体が導電率の高い銅系金属などで形成されている。
第一の溶接用電極32と第二の溶接用電極34は、図示しない各別のアクチュエータに接続されており、それらアクチュエータによって相互に接近又は離隔する方向へ相対移動可能とされている。特に、アクチュエータは、溶接時に必要な大きさの力で、第一,第二の溶接用電極32,34を重ね合わせ部14a,14bに対して圧接させることが可能とされており、溶接時には、重ね合わせ部14a,14bにおける凹部24と凸部26の係合部分を接近方向へ加圧する。
第一の溶接用電極32と第二の溶接用電極34は、変圧器40や制御装置42を介して電源装置44に接続されており、制御装置42で制御された電源装置44によって第一の溶接用電極32と第二の溶接用電極34に所定の電流を流すことが可能となっている。そして、第一の溶接用電極32と第二の溶接用電極34に電流を流すことにより、第一の溶接用電極32に重ね合わされる凸部26と第二の溶接用電極34に重ね合わされる凹部24の係合部分にスポット溶接を施して、重ね合わせ部14a,14bを相互に接合する。
さらに、凹部24と凸部26に溶接を施して、凹部24と凸部26を加熱しながら帯状体20の径方向に押し潰すことにより、溶接完了後の凹部24の深さ寸法と凸部26の高さ寸法が、何れも溶接前よりも小さくなる。これにより、重ね合わせ部14a,14bにおいて目的とする内径寸法および外径寸法を精度良く設定することが可能であり、凹部24や凸部26の内外周面への突出量が低減される。特に本実施形態では、凹部24の深さ寸法dが一方の重ね合わせ部14aの厚さ寸法t1以下とされていると共に、凹部24の高さ寸法hが他方の重ね合わせ部14bの厚さ寸法t2以下とされていることから、溶接後の金属筒体10において、溶接部位の凹凸をより小さくすることができる。
なお、重ね合わせ部14a,14bの溶接部分である凹部24と凸部26の形成部分に対して、溶接の完了後に切削加工や研磨加工を施しても良い。このような後加工を施すことにより、溶接後の重ね合わせ部14a,14bに残る凹凸を切削や研磨によって小さくして、金属筒体10の内外径寸法精度を一層向上させることができると共に、金属筒体10の内周面および外周面をより滑らかにすることができる。尤も、帯状体20の内外周面における凹部24や凸部26の形成部分の凹凸は、溶接時の圧接によって十分に小さくなるようにしても良く、その場合には切削や研磨などの後処理を要することなく、金属筒体10の内外径寸法の精度や滑らかな内外周面を得ることができる。
以上のような帯状体20の両端部を溶接によって連結する溶接工程を完了した後、両端部を溶接された帯状体20を芯金治具22から取り外すことにより、目的とする金属筒体10を得ることができる。
このような本実施形態に従う金属筒体10の製造方法によれば、平板形状の金属素板12にプレス加工と溶接を施すことにより、金属筒体10を安価に製造することができる。しかも、プレス加工によって曲げる前の金属素板12における幅方向両端の角部に対して、プレス加工などでテーパ面18を形成しておくことにより、金属筒体10の軸方向両端の角部に対する面取りなどの処理を、冷間引抜加工で形成された管体を切断して金属筒体を製造する場合に比して、容易に且つ高精度に行うことができる。
また、平板形状の金属素板12を曲げ加工して形成される帯状体20の両端に、連結用の重ね合わせ部14a,14bを設けて、帯状体20を目的の径寸法に保持した状態で、両端の重ね合わせ部14a,14bに対して凹部24と凸部26の各一方を同時に形成することにより、それら凹部24と凸部26の係合によって、帯状体20を目的の径寸法に精度よく保持することができる。その結果、帯状体20の両端の重ね合わせ部14a,14bを溶接によって接合する際に、凹部24と凸部26の係合によってそれら重ね合わせ部14a,14bを相対的に位置決めすることができて、目的とする径寸法の金属筒体10を容易に且つ良好な寸法精度をもって製造することができる。
しかも、帯状体20を目的の径寸法に保持せしめて重ね合わせ部14a,14bを重ね合わせた状態で、凹部24と凸部26を同時に形成することから、凹部24と凸部26は予め係合された状態で形成される。それゆえ、重ね合わせ部14a,14bに凹部24と凸部26の各一方を別々に形成する場合に比して、凹部24と凸部26が寸法誤差などによって係合不能になることはなく、且つ、凹部24と凸部26の間に寸法精度上で問題となるほどの大きな隙間が形成されることもない。したがって、凹部24と凸部26の係合によって重ね合わせ部14a,14bを安定して高精度に位置決めすることができて、寸法精度や表面形状の優れた高品質の金属筒体10を安定して製造することが可能となる。
さらに、一方の重ね合わせ部14aにおける凹部24の形成部分が、他方の重ね合わせ部14bの重ね合わせ面に向けて幅狭となるテーパ形状を有していると共に、他方の重ね合わせ部14bにおける凸部26の形成部分が、一方の重ね合わせ部14aの重ね合わせ面に向けて幅広となるテーパ形状を有している。これにより、凹部24と凸部26の係合とその解除とを、凹部24の形成部分と凸部26の形成部分の重ね合わせ面間で発揮される案内作用によって、引っ掛かりなく任意に実現し易くなっている。加えて、このような凹部24の形成部分と凸部26の形成部分のテーパ形状は、重ね合わせ部14a,14bを押圧治具28によって外周側から押し込んで変形させることで、容易に得ることができる。
また、重ね合わせ部14a,14bを帯状体20の幅方向の全長に亘って連続して形成することにより、重ね合わせ部14a,14bを帯状体20の幅方向で広い範囲に設けて、それら重ね合わせ部14a,14bを相互に重なり合った状態でより安定して保持することができることから、帯状体20のねじれやずれなどを防止し易くなる。しかも、金属素板12に対する重ね合わせ部14a,14bの形成も容易になって、金属筒体10におけるより高精度な内外径寸法などを実現することができる。
さらに、一方の重ね合わせ部14aを帯状体20の内周側から薄肉とすると共に、他方の重ね合わせ部14bを帯状体20の外周側から薄肉として、一方の重ね合わせ部14aの内周面と他方の重ね合わせ部14bの外周面を相互に重ね合わせている。それゆえ、重ね合わせ部14a,14bを相互に重ね合わせた部分において、金属筒体10の厚さ寸法が部分的に大きくなるのを防いで、金属筒体10の内径寸法や外径寸法の精度を全周に亘って高度に得ることができる。特に本実施形態では、帯状体20における重ね合わせ部14a,14bの厚さ寸法を、重ね合わせ部14a,14bを外れた中間部分の厚さ寸法の略1/2としていることから、金属筒体10の全周に亘って厚さ寸法の変化を抑えて、内外径寸法の高精度な設定や、内外周面の凹凸の低減などを実現できる。
また、本実施形態では、相互に重ね合わされた重ね合わせ部14a,14bに対して、外周側から押圧治具28を押し当てることにより、凹部24と凸部26を同時に形成することから、内周側に重ね合わされる一方の重ね合わせ部14aの内周面に凸部26が形成される一方、外周側に重ね合わされる他方の重ね合わせ部14bの外周面に凹部24が形成される。したがって、金属筒体10の外周面には溶接後の突出部分が形成され難く、たとえば金属筒体10に他部材を外挿装着する場合などにも、金属筒体10の外周面の部分的な突出を防ぐことで対応し易くなる。
また、重ね合わせ部14a,14bにおける凹部24と凸部26の係合部分において、第一の溶接用電極32と第二の溶接用電極34を帯状体20の径方向で突き合わせて、重ね合わせ部14a,14bを溶接によって厚さ方向で接合することにより、溶接ビードによる金属筒体10の内外周面の凹凸が低減されて、目的とする内外径寸法の金属筒体10を高精度に得ることができる。本実施形態では、凹部24と凸部26を重ね合わせ部14a,14bの幅方向全長に亘って連続する形状で設けて、それら凹部24と凸部26を形成された溶接部分において、重ね合わせ部14a,14bを幅方向全長に亘って連続的に接合することから、溶接部分において重ね合わせ部14a,14bの重ね合わせ面間を流体密に封止することができる。
さらに、凸部26に押し当てられることで摩耗し易い第一の溶接用電極32が、電極本体36の先端中央部に電極本体36よりも硬質の金属芯38を備えた複合電極とされている。これにより、凸部26への押当てによる第一の溶接用電極32の先端中央部の摩耗が低減されて、第一の溶接用電極32の耐久性の向上が図られる。
しかも、第一の溶接用電極32の金属芯38をステンレス系金属とすることにより、入手が容易で比較的に安価な材料によって十分な耐久性(耐摩耗性)を得ることができて、帯状体20の凸部26に繰り返し押し当てられても、第一の溶接用電極32の損耗を抑えることができる。また、凸部26に対して直接に押し当てられない第一の溶接用電極32の電極本体36を、導電性に優れた銅系金属とすることにより、第一の溶接用電極32と第二の溶接用電極34の間に電流を効率的に流して、抵抗発熱による溶接を効果的に実現することができる。
また、溶接時に凹部24と凸部26を第一の溶接用電極32と第二の溶接用電極34の間で圧縮して、凹部24の深さ寸法と凸部26の高さ寸法を溶接前よりも小さくすることにより、溶接後に得られる金属筒体10において内周面および外周面がより凹凸の小さい滑らかな面になると共に、金属筒体10の内径寸法と外径寸法の精度の向上も図られる。
また、帯状体20の加工時に帯状体20を芯金治具22に外挿することにより、帯状体20の径寸法を目的とする径寸法に容易に設定することができる。特に、金属素板12を曲げ加工して得た帯状体20が、スプリングバックによって単体では目的の径寸法に保持され難い場合にも、芯金治具22の外周面に沿うように帯状体20を保持することで、帯状体20を目的の径寸法で容易に保持することができる。
図12には、本発明の第二の実施形態としての金属筒体の製造方法によって製造された金属筒体50が示されている。本実施形態の金属筒体50は、図13,14にも示すように、帯状体52の両端に設けられた重ね合わせ部54a,54bが、幅方向の二か所に設けられた凹部56,56と凸部58,58の係合によって、周方向で適切な相対位置に位置決めされた状態で、それら凹部56,56と凸部58,58の係合部分が溶接により接合されることで形成される。なお、上記の説明からもわかるように、金属筒体50の製造工程は、第一の実施形態と実質的に同様であるが、本実施形態では、第一の実施形態の凹部24と凸部26とは異なる構造の凹部56,56と凸部58,58が形成されている。
すなわち、凹部56は、帯状体52の外周側に位置する一方の重ね合わせ部54aに対して、外周側へ向けて開口する略円形凹状で形成されており、二つの凹部56,56が幅方向で相互に離れて配置されている。一方、凸部58は、帯状体52の内周側に位置する他方の重ね合わせ部54bに対して、内周側へ向けて突出する略円錐凸状で形成されており、二つの凸部58,58が幅方向で相互に離れて配置されている。
さらに、帯状体52の重ね合わせ部54a,54bが適切な位置で相互に重ね合わされた状態で、帯状体52の外周側から重ね合わせ部54a,54bに押圧治具28を押し当てて、重ね合わせ部54a,54bを部分的に内周側へ変形させることにより、凹部56と凸部58が同時に形成されている。なお、相互に係合される凹部56と凸部58が同時に形成されていれば、二つの凹部56,56或いは二つの凸部58,58は必ずしも同時に形成されなくても良いが、全ての凹部56,56および凸部58,58を同時に形成すれば、製造工程数の削減が図られ得る。
そして、一方の重ね合わせ部54aにおける凹部56の形成部分が、他方の重ね合わせ部54bにおける凸部58の形成部分に差し入れられて、それら凹部56の形成部分と凸部58の形成部分が帯状体52の周方向および幅方向で相互に係合されることにより、帯状体52が所定の径寸法に保持されるようになっている。
このように帯状体52を所定の径寸法に保持した状態で、重ね合わせ部54a,54bにおける凹部56,56と凸部58,58の係合部分を溶接することにより、帯状体52の両端部を相互に固定的に接合して、金属筒体50を得ることができる。
本実施形態では、凹部56,56と凸部58,58がそれぞれ帯状体52の径方向視で円形とされていることから、前記第一の実施形態の第一の溶接用電極32に代えて、図15,16に示すような第一の溶接用電極60が採用される。すなわち、第一の溶接用電極60は、銅系金属などの導電性に優れる金属材料で形成されて、略円形断面で上下に延びる円形ブロック形状を有する電極本体62を備えている。さらに、電極本体62の先端(図16中の上端)面が帯状体52の内周面に略沿って湾曲する円弧状湾曲面とされていると共に、電極本体62の先端中央部には、電極本体62よりも硬度の高いステンレス系金属などで形成された略円柱形状の金属芯64が埋め込まれて配されている。
そして、第一の溶接用電極60を帯状体52の凸部58に対して内周側から押し当てると共に、図示しない第二の溶接用電極を帯状体52の凹部56に対して外周側から押し当てて、重ね合わせ部54a,54bにおける凹部56と凸部58の係合部分に対して圧縮しながら電流を流す。これにより、凹部56と凸部58の係合部分にスポット溶接などの抵抗溶接を施して、重ね合わせ部54a,54bを凹部56と凸部58の係合部分において相互に接合する。
このような本実施形態に示す帯状体52の幅方向で部分的に形成された凹部56,56および凸部58,58によっても、第一の実施形態に示す幅方向全長に亘って連続する凹部24および凸部26と同様の位置決め作用を得ることができて、目的とする内外径寸法の金属筒体50をプレス金具によって容易に製造することができる。要するに、帯状体の重ね合わせ部に形成される凹部と凸部は、係合によって重ね合わせ部を相対的に位置決めすることが可能とされていれば、形状や形成数、配置などを限定されるものではない。
なお、本実施形態では、凹部56,56および凸部58,58によって点状の溶接部分を備える重ね合わせ部54a,54bを例示したが、たとえば幅方向に全長には至らない長さで延びる線状の溶接部分を備える構造や、湾曲や屈曲しつつ幅方向に延びる蛇行状の溶接部分を備える構造の重ね合わせ部を採用することもできる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、金属筒体は円筒形状に限定されるものではなく、たとえば、矩形筒状のような多角筒形状の金属筒体や、星形筒状のような異形筒形状の金属筒体などの製造においても、本発明を適用することが可能である。また、例えば、目的とする金属筒体10の軸方向寸法の略整数倍に相当する幅寸法を有する金属素板を、プレス加工および溶接接合によって筒状に加工した後で複数に切断することにより、一つの金属素板から複数の金属筒体10を得ることもできる。
また、前記実施形態では、帯状体20の外周側に位置する一方の重ね合わせ部14aに凹部24を形成すると共に、帯状体20の内周側に位置する他方の重ね合わせ部14bに凸部26を形成することにより、金属筒体10の外周面に突出部分が形成され難くなっているが、帯状体20の外周側に位置する一方の重ね合わせ部14aに凸部26を形成すると共に、帯状体20の内周側に位置する他方の重ね合わせ部14bに凹部24を形成することにより、金属筒体10の内周面に突出部分が形成され難くすることもできる。これによれば、金属筒体10に滑らかな内周面を設定することができると共に、内径の寸法精度の向上が図られて、たとえば金属筒体10を他部材に外挿する場合などに対応し易くなる。
また、第一の溶接用電極32の硬質の金属芯38の形成材料は、入手が容易で比較的に安価なステンレス系金属が好適であるが、電極本体36よりも硬質であって、ある程度の導電性を備える金属材料であれば良く、たとえばモリブデン系金属やタングステン系金属などを採用することもできる。また、第一の溶接用電極32の電極本体36や第二の溶接用電極34の形成材料も、必ずしも銅系金属に限定されるものではなく、アルミニウム系金属などを採用しても良い。なお、被溶接材である帯状体20と第一の溶接用電極32および第二の溶接用電極34は、相互に異なる材質であることが望ましく、特に、第一の溶接用電極32の金属芯38は、帯状体20と異なる材質であることが望ましい。
さらに、前記実施形態では、凹部24および凸部26が帯状体20の内周側に向けて凸形状となっていることから、金属芯38を備える複合電極である第一の溶接用電極32が帯状体20の内周側に配されているが、例えば、凹部24および凸部26が帯状体20の外周側に向けて凸形状となっている場合には、複合電極である第一の溶接用電極32が帯状体20の外周側に配される。要するに、被溶接部材との接触による摩耗が問題となる凹部24側の電極が金属芯38を備える複合電極とされることで、溶接用電極の耐久性の向上が図られる。
10,50:金属筒体、12:金属素板、14,54:重ね合わせ部、18:テーパ、20,52:帯状体、22:芯金治具、24,56:凹部、26,58:凸部、32,60:第一の溶接用電極(複合電極)、34:第二の溶接用電極、36,62:電極本体、38,64:金属芯

Claims (11)

  1. 金属筒体の製造方法であって、
    平板形状の金属素板を曲げ加工して曲げ方向の両端に連結用の重ね合わせ部を備えた帯状体を得る工程と、
    前記帯状体における両端の前記重ね合わせ部を重ね合わせて目的の径寸法とした状態で保持せしめつつ、両端の該重ね合わせ面間で互いに係合する凹部と凸部を同時に形成する工程と、
    被溶接材を挟んで突き合わされる一対の溶接用電極の少なくとも一方が、先端中央部に対して周囲よりも硬質の金属芯を備えた複合電極とされており、前記凹部と前記凸部とを互いに係合させて前記帯状体を目的の径寸法に保持せしめた状態で、該凹部と該凸部の係合部分に対して該一対の溶接用電極を突き合わせ、該複合電極とされた一方の溶接用電極の該金属芯を前記凸部に押し当てて溶接を施すことにより、該帯状体の両端の前記重ね合わせ部を固定的に接合する工程と
    を、含むことを特徴とする金属筒体の製造方法。
  2. 前記帯状体の一方の前記重ね合わせ部を内周側から薄肉とした薄肉形状とすると共に、他方の前記重ね合わせ部を外周側から薄肉とした薄肉形状とする請求項1に記載の金属筒体の製造方法。
  3. 前記帯状体の目的とする内径寸法に対応した外径寸法を有する棒状の芯金治具に該帯状体を外挿することによって、該帯状体を目的の径寸法とした状態で保持せしめる請求項1又は2に記載の金属筒体の製造方法。
  4. 前記複合電極における前記金属芯をステンレス系金属とすると共に、該複合電極における該金属芯の周囲を銅系金属とする請求項1〜3の何れか一項に記載の金属筒体の製造方法。
  5. 前記帯状体の両端の前記重ね合わせ部において、内周側に重ね合わされる該重ね合わせ部の内周面において前記凸部を形成する一方、外周側に重ね合わされる該重ね合わせ部の外周面において前記凹部を形成する請求項1〜4の何れか一項に記載の金属筒体の製造方法。
  6. 前記帯状体の両端の前記重ね合わせ部における溶接部位に対して、溶接後に切削加工又は研磨加工を施す請求項1〜5の何れか一項に記載の金属筒体の製造方法。
  7. 前記帯状体の幅方向少なくとも一方の端縁部における内周側と外周側の少なくとも一方の角部にプレス加工によるテーパ面を形成する請求項1〜6の何れか一項に記載の金属筒体の製造方法。
  8. 前記帯状体の両端の前記重ね合わせ部を、該帯状体の幅方向の全長に亘って連続して形成する請求項1〜7の何れか一項に記載の金属筒体の製造方法。
  9. 前記帯状体の両端の前記重ね合わせ部における溶接に際して、前記一対の溶接用電極を前記凹部と前記凸部の各一方へ押し付けて該凹部の深さ寸法と該凸部の高さ寸法を溶接前よりも小さくする請求項1〜8の何れか一項に記載の金属筒体の製造方法。
  10. 前記帯状体の厚さ寸法を0.5mm〜4.0mmとする請求項1〜9の何れか一項に記載の金属筒体の製造方法。
  11. 前記凹部の深さ寸法を該凹部を備える前記帯状体の一方の前記重ね合わせ部の板厚寸法以下とすると共に、前記凸部の高さ寸法を該凸部を備える該帯状体の他方の前記重ね合わせ部の板厚寸法以下とする請求項1〜10の何れか一項に記載の金属筒体の製造方法。
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