JP6384086B2 - 金属リングの製造方法 - Google Patents
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たとえば、一般的には、薄板状の金属製素材から金属リングを製造する方法がとられており、薄板状で幅広のフープ状の金属製素材をまず必要なリング長に切断し、リング状に曲げて両端部を突合せ接合して円筒状にする。その後、所定のリング幅になるよう輪切りに切断して、切断面のバリを削除するバリ取り工程を解して金属リングを製造している。
そのため、棒状や管状の金属製素材から金属リングを量産しようとしても、棒状や管状の金属製素材の長手方向のスペースを確保しながら、複数箇所で切断した後、切断された中間素材を一旦整列させる必要がある。また中間素材の両端を把持しながら一本一本環状に折り曲げ、両端部を溶接する必要があり、大量に製造しようとすると、設備が複雑になり広大な敷地を必要としていた。
特許文献1には、既に幅狭に切断された金属薄板を芯金にスパイラル状に密着捲きし、密着捲きされた金属薄板をスパイラル状の密着部分に沿って溶接して管状にし、その管状からリング状に輪切りに切断して製造する金属エンドレスベルトとその製造方法を開示している。
また特許文献2は、特許文献1に記載された各工程を効率的に行うための製造方法を具体的に開示している。
また特許文献3は、スチール製薄肉のエンドレスベルトを製造するために、円板状のブランクをプレス加工し、プレス成形体を輪切り切断する製造方法を開示している。
さらには位置合わせ工程後の接合工程をも連続に行って効率を高めることもできる。その場合は、接合の仕方により複数個の金属製リングが接合部位で連なることもあるが、分断工程を設けることで、金属製リングを一環毎にすることが容易である。
さらに溶接箇所はあくまでも中間素材の切断された両端部に留まっているため、接合箇所も少なく接合に掛かる電気やガス等も少なくて済み効率的にリング状へと接合することができる。
本発明の金属リングの製造方法は、前記金属製素材を螺旋状に捲いて円筒状に形成する捲き付け工程と、前記捲き付け工程にて螺旋状に捲かれた金属製素材を円筒状のまま、円筒面状の適当な1箇所の位置で円筒の中心軸に平行な方向に切断して、横並びに整列する細長状の中間素材を複数製造する切断工程と、複数の前記中間素材に対し、少なくとも一方の前記切断工程による切断面を前記円筒面状の長手方向に沿って横移送することにより、各々の前記中間素材がリング状となるようにする端面の位置合わせ工程と、それぞれの両端部を無端状に接合し金属リングとする接合工程を有するものである。
これにより分断工程を設けることで、接合工程で接合と中断を繰り返すことなく連続的に中間素材の両端部を接合することを特徴としている。
これは、本発明が金属製素材の断面形状に左右される製造方法ではないためであり、幅広から幅狭への切断および切断面のバリ取りが不要な棒状の金属製素材であるほうがバリ取り工程を省略できる。
本発明における捲き付け工程は、金属製素材を円筒状に捲くにあたり金属製素材の側面同士が接触するように捲き付けても良いし、金属製素材が重ならないように一定の隙間を設けて捲き付けてもよい。このように捲き付ける金属製素材同士の位置関係は、その捲き具合が一定していれば、特に問題にならない。
なお捲き具合を一定にするのは、切断後の中間素材の長さを一定にするためであり、後工程で長さを揃えるための調整をする必要が生じないようにするためである。
これにより、横並びに整列する複数の細長状の中間素材を効率良く得ることができる。また金属製素材を切断する角度は、一定角をなして捲き付けられているため、一直線に切断するだけで複数の中間素材の切断面の角度を一定のまま切断することができる。
また切断工程において、金属製素材の側面同士が接触するように密着して捲き付けられている方が、一定の隙間を設けて捲き付けられているよりも切断を連続して無駄なく行うことができる。それは、切断工程での切断する金属製素材の厚みが最小となり極力切断の負荷を減らすことができるからである。これにより、一度に複数本の金属素材を切断できるため短時間に切断することが可能である。
このように、金属製素材を効率的に切断して複数の中間素材を得ることができる。
一方、前工程の位置合わせ工程で中間素材を階段状合わせにした場合は、接合位置が一直線上ではないため、ジグザグに移動させながら接合を行う必要があり、接合位置を調整しつつ、接合機のON−OFFを繰り返すことで、接合することができる。
また溶着であれば、超音波溶着、振動溶着、誘導溶着、超音波溶着、半導体レーザ溶着、熱溶着、スピン溶着等を用いることができる。
これにより、接合工程における接合条件の範囲を特定し、確実に中間素材の両端部を接合することができる。また所望する接合強度を確保し、金属リングにおける引張強度、疲労強度等の特性を得るようにすることができる。
また本発明で製造される金属リングは、薄板の幅広のフープ材から製造される金属リングと何ら機械特性が劣ることない。またむしろ棒材で製造すれば、棒材まで圧延にて製造していることから、コーナー面が圧延により緩やかにカーブして成形されており、薄板の幅広のフープ材ように切断する際に生じる切断バリが無いこと、フープ材の幅方向に生じる切断屑の発生が無い。
さらに、棒材や管状からの製造方法では生産性を確保するために複数箇所の切断や複数の溶接を行うためには、大掛かりは設備やスペースが必要になるが、本発明によれば、極力小型化でき、かつ複数の中間素材へ切断、かつ複数の中間素材を溶接することができるため、生産性を維持しながら製造することができる。
金属製リングを製造するための金属素材を準備するために、0.5%C−0.73%Si−0.60%Mnの機械構造用鋼を30kgVIMにて溶解し、鋳造して鋼塊を製造した。そして、得られた鋼塊を鍛伸にてφ50、長さ1200mmにし、鍛伸された鋼塊のトップとボトムを切断し、長さ1000mmにした。その後、860℃で焼鈍処理をおこない1100℃で熱間圧延にてφ9.0の熱延コイルを製造した。さらに、860℃にて焼鈍した後、酸洗処理にて酸化スケールを除去した。その後、冷間ダイス引抜と860℃の焼鈍を繰り返しておこないφ6.0の伸線コイルを製造した。
そして、焼鈍、酸洗、ダイス引抜を行ってφ4.75の伸線コイルにした。この伸線コイルを用いて薄板圧延をおこない厚さ0.4mm、板幅10mmの寸法に圧延してコイル状の金属素材とした。
図1に示すとおり、前記金属製素材を螺旋状に捲いて円筒状を形成する捲き付け工程と、前記捲き工程にて螺旋状に捲かれた金属製素材を円筒状のまま円筒面状の適当な1箇所の位置で円筒の中心軸に平行な方向に切断して、横並びに整列する複数の細長状の中間素材を複数製造する切断工程と、前記横並びに整列する複数の細長状の中間素材に対し、少なくとも一方の前記切断工程による切断面を中間素材がリング状となるようにする位置合わせ工程と、前記位置合わせ工程で突き合わさった中間素材の両端部を溶接してひとつひとつの中間素材を無端状に接合しリングとする接合工程と、さらに前記接合工程で接合された複数のリング状素材が接合部位で横並びに繋がった状態から分断してひとつひとつのリングとする分断工程を行った。
捲き付け工程は、図2、図3に示すような円形土台1を用いて金属製素材W1を捲き付けた。
前記円形土台1は、長さが30cmで断面が半円形状からなる2つの半円形土台1a及び1bからなっており、二つの半円形土台はそれぞれ外円周部10a及び10bと平面部11a及び11bを有している。そして、半円形土台1a及び1bの平面部11a及び11bとの間が平行で幅0.5cmの隙間Dをなすように設置されている。
これにより、半円周部10a及び10bからなる円形土台1の外周長が100cmの円形をなすように構成されている。
また半円形土台1a及び1bは、それぞれが独立して円形土台1の中心軸1Aの方向に移動できるとともに、平面部11a及び11bがなす隙間Dが等間隔のまま距離を拡縮できるように移動することもできるような機構を有している。さらに2つの半円形土台1a及び1bとが隙間Dと外円周部からなる外周を保持したまま円形土台1が回転しながら中心軸1Aの方向に伸縮可能になっている(図示しない)。
次に、金属製素材1が押付ロールR1に押圧されながら、半円形土台1a、1bを押付ロールR1、R2とともに中心軸1Aを中心に図2(a)に図示した時計周りに回転させ、金属製素材W1が半円形土台1a、1bと押圧ロールR1、R2の間の隙間を通りつつ、半円形土台1a、1bの円周に捲き付くように加工した。この際、先に円筒土台1に捲かれた金属製素材W1aと次に円形土台1に捲かれる金属製素材W1bとが重なり合わないようにした。また捲き付けられた金属製素材W1の間隙が0.1mm以内になるように捲き付けた。これを連続して行い、円形土台1の外周面上に金属製素材W1を円筒状に捲き付けた(図3)。
これにより、前記円形土台1に捲き付けられた金属製素材W1は、横並びに整列する複数の細長状の中間素材W2(幅10mm、長さ314mm)に分断されことになる。そして、複数の中間素材W2は押付ロールR1及びR2にて先端と後端を固定された状態となる。
したがって、中間素材W2を1本ずつ必要な長さ毎に切断する必要がなく、複数本を一度に切断できるため、切断回数が少なくて済む。また前記円形土台1に捲き付けられた金属製素材W1は、一定の角度で捲き付けられているため、得られる中間素材W2の切断角を全て一定で切断できる。
この切断工程により、中間素材W2のそれぞれの長手方向の中心線Eは、前記円筒土台1の外周面を1周する間に、少なくとも中間素材W2の幅の長さだけズレていることになる(図5)。
そのためには、切断後の円形土台1に複数の中間素材W2の先端部W2t及び後端部W2bを押圧ロールで保持したまま、半円形土台1a、1bのいずれか又は両方を中心軸1Aに沿って移動させ、中間素材W2の先端部と後端部をズラした。
これにより、先端W2tの中心線E2tと後端部W2bの中心線E2bが一直線となる(図6)。
この方法をとることにより、中間素材W2の両端部の一本毎に位置合わせして次工程の接合工程を行う必要がない。
特に金属製素材が広幅の薄板から切断されたものではなく、線材を圧延して薄板に成形したものであれば、金属製素材時の側面部(長手方向の端部)の面取りが不要である。
なお前工程の位置合わせ工程では、中間素材の両端部の隙間が0.1mm以下になるようにした。
なお溶接条件によっては、溶接部分だけを溶接する方法を用い、分断工程を省略することもできるが、高い接合強度を優先した結果として接合工程後に、金属リング同士が強固に繋がった状態となった場合には、必要に応じてせん断または溶断等にて切り離して個々の金属リングW3とすることもできる。
また接合に適した位置決め条件である式1内に抑えることで、必要な接合強度を得ることができる。
1a、1b 半円形土台
1A 円形土台の中心軸
R1、R2 押付ロール
10a、10b 半円形土台の外円周部
11a、11b 半円形土台の平面部
D 隙間
W1 金属製素材
W1a 金属製素材の先端
W1b 金属製素材の後端
W2 中間素材
W2t 中間素材の先端
W2b 中間素材の後端
E 中間素材の中心線
E2t 中間素材の先端の中心線
E2b 中間素材の後端の中心線
W3 金属リング
Claims (7)
- 金属製素材から金属リングを製造する方法において、前記金属製素材を円筒土台に螺旋状に捲いて円筒状に形成する捲き付け工程と、前記捲き付け工程にて螺旋状に捲かれた金属製素材を円筒状のまま、円筒面状の適当な1箇所の位置で円筒の中心軸に平行な方向に切断して、横並びに整列する細長状の中間素材を複数製造する切断工程と、複数の前記中間素材に対し、少なくとも一方の前記切断工程による切断面を前記円筒面状の長手方向に沿って横移送することにより、各々の前記中間素材がリング状となるようにする端面の位置合わせ工程と、前記リング状となった複数の中間素材それぞれの両端部を無端状に接合し金属リングとする接合工程と、前記接合工程にて接合部位で横並びに繋がった状態から分断して一環の金属リングに分断する分断工程を行うことを特徴とする金属リングの製造方法。
- 請求項1に記載の金属リングの製造方法において、前記位置合わせ工程は、前記複数の中間素材の先端部及び後端部を前記円筒土台に押付けて保持して行うことを特徴とする金属リングの製造方法。
- 請求項2に記載の金属リングの製造方法において、前記位置合わせ工程は、前記複数の中間素材の先端部及び後端部を前記押付けて保持しながら前記円筒土台がその中心軸方向に移動することにより行うことを特徴とする金属リングの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属リングの製造方法において、前記捲き付け工程は金属製素材を金属製素材の側面が接触させる又は金属製素材の間に一定の隙間を空けるように円筒状に捲くことを特徴とする金属リングの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属リングの製造方法において、前記位置合わせ工程は、中間素材の長手方向の中心線が両端部において一直線上になるように位置合わせすることを特徴とする金属リングの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属リングの製造方法において、前記位置合わせ工程は、中間素材の切断面が一直線上になるように位置決めすることを特徴とする金属リングの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属リングの製造方法において、前記位置合わせ工程は、中間素材の切断面が階段状になるように位置決めすることを特徴とする金属リングの製造方法。
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