JP5706925B2 - パンツ型着用物品およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はパンツ型着用物品およびその製造方法に関する。
パンツ型着用物品として、使い捨てのパンツ型おむつや使い捨て下着等が知られている。従来のパンツ型おむつとして、外装体と吸収性本体とを組み合わせたものが挙げられる。前記外装体は、一般的には内層材と外層材とを積層したものからなり、この外装体について部材の形態や構造の改良が試みられてきた。
例えば、特許文献1では、パンツタイプ使い捨ておむつの外装シートとして、帯状のフリル部材を伸縮弾性部材とともに複数積層して製品外面を形成したものが開示されている。このおむつにおいては、前記フリル部材のフリル波打ち部分が他のフリル部材の弾性伸縮部材を隠すように部分的に階段状に重ねて、フリルスカートのような外形としている。また特許文献2では、Figure7に示されるように、使い捨ておむつの胴回り外面に複数の細帯片を互いに部分的に重なるようにして配置したものが開示されている。これによりおむつの外面に突出する複数の襞ができるとされる。
これとは別に、特許文献3には、パンツ型着用物品の胴回り領域について、通気性、伸縮性及び柔軟性の向上の観点から、2層構造の外装体に1層領域を身丈方向に間隔をおいて複数備えたものが開示されている。前記1層領域は、複数本のテープ状シート材(第1シート材)を第2シート材に対して間隔をおいて積層することで形成されている。
特許第4659109号 米国特許出願公開第2008/0234648号明細書 特開2012−139247号公報
このようなパンツ型おむつに代表されるパンツ型着用物品に対し、使用者からは下着と変わらない使用感が求められている。前記特許文献1及び2のように、ウエストフリル部材となる帯状シート基材を部分的に重ねて配する構成では、2層構造もしくは3層構造が存在し通気性に劣る。一方、前記特許文献3では、1層領域を設けたことで伸縮性を維持しつつ通気性及び柔軟性の向上が可能となった。
本発明は、高い通気性、柔軟性及び伸縮性を維持しつつ、外装体の強度を高めたパンツ型着用物品に関する。さらに、パンツ型着用物品の製造にあたり、高い通気性及び柔軟性を有する外装体の2層構造を精度よく安定的に形成するパンツ型着用物品の製造方法に関する。
本発明は、着用者の腹側に配される腹側部と、股間部に配される股下部と、背側に配される背側部とを有し、腹側部の側縁部と背側部の側縁部とが接合されたサイドシール部を有するパンツ型着用物品であって、前記腹側部および前記背側部には、第1シート材と第2シート材とを積層した外装体が配され、該外装体は幅方向に伸縮性を有し、前記第1シート材には、スリット部を身丈方向に複数配したスリット領域があり、該スリット領域が間隔をおいて並ぶ配列を前記第1シート材の幅方向に有するパンツ型着用物品を提供する。
また、本発明は、着用者の腹側に配される腹側部と、股間部に配される股下部と、背側に配される背側部とを有するパンツ型着用物品の製造方法であって、該パンツ型着用物品の外装体をなす第1シート材の連続体と第2シート材の連続体とをそれぞれ搬送し、前記第1シート材の連続体に対し、搬送方向に沿って形成されるスリット部を複数、搬送方向に直交する方向に間隔をおいて配するスリット領域を形成し、該スリット領域を搬送方向に間隔をおいて複数形成する工程と、前記第1シート材の連続体と第2シート材の連続体とを積層し、両連続体の間に、前記スリット部を避けて弾性体を伸長状態で導入し、該弾性体を前記第1シート材の連続体と前記第2シートの連続体とで挟持して接合固定し、前記外装体の腹側部と背側部を形成する工程と、前記腹側部及び前記背側部を対向させて重ね合わせ、該腹側部及び背側部の両側縁をそれぞれ接合してサイドシール部を形成する工程と、前記サイドシール部で切断して個々のパンツ型着用物品に分離する工程と、を備えるパンツ型着用物品の製造方法を提供する。
本発明のパンツ型着用物品は、高い通気性、柔軟性及び伸縮性を維持しつつ、外装体の強度を高めることができる。また、本発明のパンツ型着用物品の製造方法により、高い通気性、柔軟性及び伸縮性を有する外装体の2構造を精度よく安定的に形成することができる。
本発明のパンツ型着用物品の好ましい一実施形態(第1実施形態)を示した斜視図である。 本発明のパンツ型着用物品の好ましい一実施形態を示した分解斜視図である。 第1実施形態のパンツ型着用物品における外装体の腹側部を示した一部切欠平面図である。 第1実施形態のパンツ型着用物品の第1実施例を示した(1)斜視図、(2)スリット領域を含む外装体の要部拡大断面図および(3)スリット領域を含む外装体の腹側部の要部拡大平面図である。 第1実施形態のパンツ型着用物品における外装体のスリット領域を拡大して示す代用写真である。 第1実施形態のパンツ型着用物品の第2実施例を示した(1)斜視図、(2)スリット領域を含む外装体の要部拡大断面図および(3)スリット領域を含む外装体の腹側部の要部拡大平面図である。 第1実施形態のパンツ型着用物品の第3実施例を示した(1)斜視図、(2)スリット領域を含む外装体の要部拡大断面図および(3)スリット領域を含む外装体の腹側部の要部拡大平面図である。 第1実施形態のパンツ型着用物品の第4実施例を示した(1)斜視図、(2)スリット領域を含む外装体の要部拡大断面図および(3)スリット領域を含む外装体の腹側部の要部拡大平面図である。 第1実施形態のパンツ型着用物品の第5実施例を示した(1)斜視図、(2)スリット領域を含む外装体の要部拡大断面図および(3)スリット領域を含む外装体の腹側部の要部拡大平面図である。 パンツ型着用物品の第2実施形態を示した斜視図である。 第2実施形態のパンツ型着用物品における外層材(第1シート材)を非肌当接面側から示した展開平面図である。 本発明のパンツ型着用物品の製造方法の好ましい一実施形態(第1実施形態)に係る第1の実施態様の製造工程の概略を示した斜視図である。 第1の実施態様の要部を模式的に示した(1)平面図および(2)正面図である。 本発明のパンツ型着用物品の製造方法に係る第2の実施態様の製造工程の要部を模式的に示した正面図である。 本発明のパンツ型着用物品の製造方法に係る第3の実施態様の製造工程の要部を模式的に示した正面図である。 本発明のパンツ型着用物品の製造方法に係る第4の実施態様の製造工程の要部を模式的に示した正面図である。 本発明に係るパンツ型着用物品の製造方法に係る第5の実施態様の製造工程の概略を示した平面図である。 第5の実施態様に係る製造工程の変形例の概略を示した平面図である。 本発明に係るパンツ型着用物品の製造方法の好ましい一実施形態(第2実施形態)に係る製造工程の概略を示した斜視図である。
本発明に係るパンツ型着用物品の好ましい一実施形態(第1実施形態)について、図1〜3を参照しながら、以下に説明する。
本明細書のパンツ型着用物品10、100では、パンツ型着用物品の身丈方向をY方向とし、パンツ型着用物品の幅方向をX方向とし「腰周り方向」ともいう。
図1及び2に示すように、本実施形態のパンツ型着用物品10は、例えばパンツ型おむつであり、着用者の腹側に配される腹側部21と、股間部に配される股下部13と、背側に配される背側部23とを有している。以下、このパンツ型おむつ10(以下、単におむつ10ともいう。)について詳細に説明する。
パンツ型おむつ10は、腹側部21と背側部23を形成する外装体11と、股下部13を形成する液保持性の吸収性本体40とで構成されている。
外装体11は、腹側部21の一方の側縁部21Aと背側部23の一方の側縁部23Aとが接合され、さらに腹側部21の他方の側縁部21Bと背側部23の一方の側縁部23Bとが接合されている。この接合部がおむつ10の幅方向外方に突出したサイドシール部25,25をなす。この接合により、外装体11は環状をなす。また外装体11は、パンツ型おむつ10の腰回り方向に伸縮性を有している。
吸収性本体40は、着用者の排泄ポイントを覆う股間部13を形成するとともに、腹側部21および背側部23を架け渡すようにして外装体11に接合されている。この吸収性本体40は外装体11のウエスト開口部12下方近傍にまで至る。
これにより、図3に示すように、サイドシール部25に挟まれた腰周り領域において、外装体11は吸収性本体40が配される中央域Mと、その両側の両側域S,Sとを有する。この中央域M及び両側域Sは、身丈幅Hを有する外装体11の腹側部21及び背側部23のそれぞれを幅方向に区分した領域である。中央域Mは、吸収性本体40の配置幅に対応する中央部M1とその両側の近傍部M2とからなる。近傍部M2は、後述の弾性体の接合固定及び部材の強度の観点から、幅方向に10mm以上の範囲であることが好ましく、30mm以上の範囲であることがより好ましい。その上限は、80mm以下の範囲であることが好ましく、50mm以下の範囲であることが好ましい。一方、側域Sは、後述のスリット部38が配されている側域内方部S1とサイドシール部25近傍の側域外方部S2とからなる。側域外方部S2は、中央域Mにおける近傍部M2と同じ観点から、幅方向に60mm以上の範囲であることが好ましく、100mm以上の範囲であることがより好ましい。その上限は、300mm以下の範囲であることが好ましく、200mm以下の範囲であることが好ましい。
また、前記「腰周り領域」とは、概ねウエスト開口部12の上端縁からその下部への方向である身丈方向(Y方向)に大腿部の外側付け根付近が配置される位置までの間の領域をいう。また、腰回り領域の身丈幅Hは、ウエスト開口部12付近のウエスト域H1とそれより下方の下腹部域H2に区分される。この区分は、吸収性本体40が配される領域が下腹部域H2、それより上方がウエスト域H1と定義することができる。また、ウエスト域H1は、おむつの用途によっても異なるが、概ね身丈幅Hの上方2分の1〜4分の1の領域と定義することもできる。
外装体11は、非肌当接面側の外層材33(第1シート材)と肌当接面側の内層材31(第2シート材)とが積層され接合されて構成されている。外層材33には、おむつ10の幅方向(X方向)に沿って横長のスリット部38が部分的に複数形成されている。すなわちスリット部38は、外層材33の幅全体ではなく、その一部に所定幅で配されており、これにより外層材は分離せず身丈幅Hのシート形状としての一体性を保持している。
このスリット部38が身丈方向(Y方向)に複数配されてスリット領域71を構成している。ここでスリット部38とは、外層材33をなす第1シート材を細く切り込んだ部分である。図3に示すように線状の切れ目であってもよく、幅をもって部材を切欠いた部分であってもよい。部材の強度を考慮すれば線状の切れ目であることが好ましい。なお、図1や図3では、腹側部21の外層材33の構成のみが示されているが、背側部23の外層材33においても同様にスリット部が形成されていることが好ましく、また腹側部21及び背側部23のいずれか一方の外層材33にのみスリット部33が形成されていてもよい(図4〜10においても同様である。)。また、外層材33(第1シート材)及び内層材31(第2シート材)にさらに他のシート材を積層させる形態であってもよい。
スリット領域71は、下腹部域H2において、幅方向(X方向)の両側域S,Sにそれぞれ形成されている。より具体的には、側域Sのうち、サイドシール部25の接合基底部近傍の側域外方部S2を除いた側域内方部S1に、スリット領域71が形成されている(以下、この部分をスリット領域71Aともいう。)。また、ウエスト域H1において、外層材33の左右の側域内方部S1、S1を繋ぐ領域(S1−M−S1)にもスリット領域71が形成されている(以下、この部分をスリット領域71Bともいう。)。これらのスリット領域71では、身丈方向に隣り合うスリット部38,38に挟まれた部分が横長の帯部39となっている。
一方、外層材33の中央域M(M2+M1+M2)は、下腹部域H2において、スリット部38が形成されていない非スリット領域72とされている(以下、この領域を他の非スリット領域との区別するため、非スリット領域72Mともいう。)。また、サイドシール部25近傍の側域外方部S2は、外層材33の身丈幅Hの全域に亘って非スリット領域72とされている(以下、この領域を他の非スリット領域と区別するため、非スリット領域72Sともいう。)。
このように外層材33のスリット領域71Aは、下腹部域H2の幅方向において、非スリット領域72Mを介し、間隔をおいて左右の側域内方部S1,S1に並ぶ配列とされている。また、サイドシール部25を中心に外層材33の腹側部21及び背側部23を見ると、非スリット領域72Sを介し、スリット領域71Aが間隔をおいて幅方向に並ぶ配列とされている。これにより、スリット領域71の個々の帯部39は、互いに完全に分離することなく、隣接する非スリット領域72で連結している。
この外層材33における非スリット領域72M及び72Sの幅方向の長さは、スリット領域71の後述の作用と、外層材33及び内層材31の接合強度とを考慮して、適宜設定され得る。非スリット領域72Mの幅方向の長さ(m1=中央域(M2+M1+M2)の長さ)のスリット領域71Aの幅方向の長さ(m2=左右の側域内方部(S1+S1)の長さ)に対する比(m1/m2)は、スリット領域71における作用の効果的な発現のため、0.99以下が好ましく、0.94以下がより好ましい。その下限は、接合強度の確保のため、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。また、非スリット領域72Sの幅方向の長さ(m3=側域外方部(S2+S2)の長さ)のスリット領域71Aの幅方向長さ(m2)に対する比(m3/m2)は、0.7以下が好ましく、0.5以下がより好ましい。その下限は、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましい。また、非スリット領域72M及び72Sの身丈方向の長さは、図3に示された態様に限らず、任意の長さに設定可能である。例えば、非スリット領域72Mを身丈幅Hの全域に亘って形成してもよい。
このような外層材33と内層材31との積層領域は、両材が接合され一体となって、パンツ型おむつ10の腰回り方向、すなわち幅方向(X方向)に伸縮性を有している。
具体的には、外層材33のスリット領域71では、複数の帯部39それぞれと内層材31とが接合されて伸縮性を有している。非スリット領域72では、外層材33と内層材31とが身丈幅Hに亘って面状に接合されて伸縮性を有している。この伸縮性は、内層材31と外層材33との間に弾性体35を介在させて得ることも好ましい。この場合、弾性体35は伸長状態で内層材31と外層材33との間に挟持されており、これにより、伸縮性を有する。または、後に詳述するように、内層材31および外層材33の両方またはどちらか一方が伸縮性を有する材料で構成されていることも好ましい。
スリット領域71においては、伸縮性を有する外装体の幅方向の収縮によりスリット部38のすきまが広がり、腹側部21及び背側部23の通気口となる。また、おむつ10装着後の着用者の体の動きなどで外装体11が伸長―収縮すると、その動きに合わせて通気口が開閉しおむつ内の湿気排出を促し、通気性をさらに高める。
また複数のスリット部38があることで、外層材33のスリット領域71は非スリット領域72よりも変形し易く柔軟性に優れる。さらに前記伸縮性により個々の帯部39がよれて細かな襞ができ腰回り領域が柔らかくなる。
スリット領域11による高い通気性及び柔軟性は、前述の身丈方向に連なる非スリット領域72によって、持続可能である。これは、非スリット領域72によりスリット領域71の切り込みによる強度の低下が補強され、該スリット領域71の伸縮性が保持されることによる。すなわち、スリット領域71では、帯部39がそれぞれ独立した動きを示し、幅方向の伸縮力や着衣等との擦れなどのせん断力を特に強く受けやすい。しかし、個々の帯部39は、前述のとおり、その端部が非スリット領域71で連結されており、完全に分離した細帯片に比べて第1シート材としての一体性が確保され強度が高められている。また、外層材33の非スリット領域72が内層材31と身丈幅Hの全面で接合されることで、帯部39のみで構成された外層材33と内層材31との接合に比べて、2層全体の接合強度が高められている。
これにより、外装体11全体の伸縮性が付与されながら、その伸縮力に耐え得る強度が与えられている。加えて、この強度の確保とスリット領域11による高い通気性及び柔軟性とが同時に達成され、外装体11としての優れた機能の持続性が高められる。
以上のとおり、外層材33の非スリット領域72による強度の裏付けがあることで、スリット部38の数や配置、帯部39の帯幅を任意に設定でき、自由な設計が可能となる。例えば、スリット部の身丈方向の並びで、股下部に近づきに従いスリット部38同士の間隔を広げるようにしてもよい。また、スリット部38の長さを場所によって変化させてもよい。例えば、身丈方向の並びで股下部に向かうにつれその長さを長くするようにしてもよく、スリット部自体を幅方向に断続的な切り込み列として形成してもよい。また、水平に一直線だけでなく例えばS字カットすると、よりやわらかさを想起させるような外観を得られる。さらに、スリット領域71の大きさ、配置についても任意に設定できる。
内層材31および外層材33の素材としてのシートとしては、それぞれ、例えばエアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の各種製法による不織布、織布、編布、樹脂フィルム等が挙げられ、これらを積層一体化させてなるシート材等も用いることができる。
また、特に内層材31は、通気性、風合いを良好にする観点から、不織布から形成されているものが好ましく、また、排泄物の漏れ防止の観点から、撥水性の不織布から形成されているものが好ましい。
次に、上記吸収性本体40について説明する。図2に示すように、吸収性本体40は、一例として、表面シート41と、裏面シート42と、その間に介在される液保持性を有する吸収性コア43を備えている。この吸収性コア43は、被覆シート44を図面に示した点線の位置で矢印方向に折り曲げることで被覆シート44により周囲を被覆されている。さらに、肌当接面側には内側立体ギャザー45をなす一対のサイドシート46,46が配置されている。非肌当接面側には順に上記裏面シート42と股下シート47とが配置されている。
この吸収性本体40は通常この種のおむつに用いられる材料を用いることができ、特に限定されるものではない。
表面シート41は、親水性不織布で形成されることが好ましい。親水性不織布としては、エアースルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、立体賦形不織布と呼ばれている不織布で、その繊維がポリプロピレンの単繊維や、ポリプロピレンとポリエチレンの複合繊維、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンの複合繊維等で親水化処理が施された繊維が好ましく使用できる。レーヨン等の親水性繊維を含ませてもよい。また、表面シート41として、樹脂フィルムを開孔したシートも用いることができる。上記の各種不織布と開孔した樹脂フィルムを一体化した複合シートを用いてもよい。
裏面シート42は、防水性があれば特に限定されない。また、裏面シート42は、透湿性を有していることが好ましい。防水性および透湿性を有するシートとしては、例えば疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラーまたは相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、該フィルムを一軸または二軸延伸して得られる多孔性フィルムが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが挙げられる。該ポリオレフィンとしては、高〜低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、これらを単独でまたは混合して用いることができる。股下シート47は布状の外観を与えるために、各種不織布を用いることができる。
吸収性コア43には、例えば、繊維集合体またはこれと吸収性ポリマーとを併用させたもの等を用いることができる。繊維集合体を構成する繊維としては、パルプ繊維、コットン等の親水性天然繊維や、合成繊維(好ましくは親水性を有するか親水化処理を施したもの)等を用いることができる。坪量は特に限定されないが、150g/m〜500g/mが好ましい。また被覆シート44には、親水性のティッシュペーパー等の薄手の紙(薄葉紙)、コットンやレーヨンなどの親水性繊維を含む不織布、合成樹脂の繊維に親水化処理を施してなる不織布(スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド(SMMS)、スパンボンド−スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SSMS)等の複合不織布)等を用いることができる。
サイドシート46には、撥水性不織布を用いることが好ましく、具体的には、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン(SM)不織布、SMS不織布等が用いられる。
以上のとおり、第1実施形態のパンツ型おむつ10では、従来のパンツ型おむつと同様の伸縮性を維持して身体への装着性および身体の可動性を保ちつつ、スリット部38の切れ込みで通気性を高めることができる。加えて、スリット部38の作用で襞の量が増えて腰周り領域が柔らかく柔軟性に富むものとなる。そして、おむつ10は、外層材33のスリット領域71と非スリット領域72との協働作用により、種々の力にも耐え得る強度を備え、通気性、伸縮性、柔軟性が持続して装着感に優れたものとなる。よって、長時間のおむつの装着でも蒸れを低減できる。また、外装体11が内層材31と外層材33の2層構造になり、かつ帯部39同士が隣接しているので、肌が透けにくくなり、肌の隠蔽性を高めることができる。
次に、上記の好ましい実施形態について、外層材33、内層材31および弾性体35の配置構成の実施例を説明する。まず、第1実施形態のパンツ型おむつ10の第1実施例について説明するが、後述の他の実施例および第2実施形態については、異なる点について説明する。特に説明しない点は、第1実施形態や第1実施例と同様であり、記載した説明が適宜適用される。また、同様の材料や部分には同じ符号を付してある。
パンツ型おむつ10の第1実施例を図4を参照して説明する。図4に示すように、第1実施例のパンツ型おむつ10(10A)は、上述した第1実施形態のパンツ型おむつ10において、ホットメルト接着剤等の接着剤(図示せず)により、弾性体35を介して外層材33と内層材31とを接合固定した構成のものである。弾性体35は伸長状態で幅方向に複数本、スリット部38を避けて配され、外層材33および内層材31に固定されている。パンツ型おむつ10は、1つの帯部39に対して1本の弾性体35を配置させているが、1つの帯部39に対して複数本の弾性体35を配置させてもよい。なお、図4(2)では、スリット領域71を含む外装体11の断面が示され、矢印で示した部分がスリット部38であり、この部分で外層材33は分かれている。また、吸収性本体40(図示せず)を取り付けた部分を被覆するために、内層材31を肌当接面側に折り返した状態が示されている。
吸収性本体40が重なる外装体11の中央域Mにおいて、弾性体35は複数箇所にわたって切断されていて、内層材31と外層材33との積層領域は実質的な伸縮性を有していない。すなわち、弾性体35の内方端部は、中央域Mの近傍部M2の身丈方向に亘る非スリット領域72Mで面状に接合固定されている。
帯部39の大きさは、スリット部38の長さや配置間隔等により適宜設定される。少なくとも、帯部39の帯幅は弾性体35の幅とほぼ同等かそれ以上とすることが好ましい。例えば、ベビー用のパンツ型おむつとしては、帯部39の帯幅は、1mm以上、好ましくは3mm以上、さらに好ましくは5mm以上である。その上限は、60mm以下、好ましくは40mm以下、さらに好ましくは30mm以下である。より具体的には、1mm〜60mm、好ましくは3m〜40mm、さらに好ましくは5mm〜30mmである。また、帯部39の幅方向(X方向)の長さ(スリット部38の長さ)は、1cm以上、好ましくは4cm以上、さらに好ましくは6cm以上である。その上限は、80cm以下、好ましくは60cm以下、さらに好ましくは30cm以下である。より具体的には、1cm〜80cm、好ましくは4cm〜60cm、さらに好ましくは6cm〜30cmである。なお、スリット部38が、連続的な切り込みでなく、断続的な切り込みの集合列である場合は、その列の全長がスリット部の幅方向の長さである。また、その断続的な切り込みの間隔が一定間隔でない場合は、同じ幅方向の延長線上で、かつスリット領域内に収まっている列をスリット部の幅方向の長さという。
前述の弾性体35の外層材33及び内層材31との接合は、この種の物品に用いられる方法によってなされ、例えば、ホットメルト接着剤を用いることができる。ホットメルト接着剤が塗布される部材としては、弾性体35自体であってもよく、弾性体35を挟持する外層材33や内層材31であってもよい。外層材33のスリット領域71(外装体11の側部内方部S1)においては、帯部39の塗布面積が小さいことから、弾性体35自体に塗布して外層材33及び内層材31と接合固定することが好ましい。一方、外層材33の非スリット領域72M及び72S(外装体11の中央域M及び側部外方S2)においては、外層材33及び内層材31が身丈幅Hで十分な面積を有するため、両層のシート面に塗布して外装体11としての強度を確保できる。このとき、非スリット領域72に配される弾性体35にもホットメルト接着剤が塗布されていてもよい。このように塗布方法を工夫することで、ホットメルト接着剤の染み出しを防止しつつ、適切に接合強度を高めることができる。
弾性体35は、スリット部38を避け、外層材33と内層材31との間に伸長状態で幅方向に複数配され、接合固定されている。すなわち弾性体35は、スリット部38から外部に露出することなく、外層材33及び内層材31にしっかりと挟持され接合固定されている。これにより弾性体35は、外装体11をなす外層材33及び内層材31を一体のものとして胴回り方向すなわち幅方向(X方向)に伸縮性を付与している。弾性体35は、前述のとおりホットメルト接着剤を用いて、側域内方部S1の帯部39の狭い帯幅での接合のみならず、中央域M及び側部外方S2で外層材33及び内層材31に面状に連続接合されていることが好ましい。これにより、弾性体35自体に塗布されたホットメルト接着だけでなく、外装体11のシート面でも止めることで(弾性体をHMで挟み込むことで)ゴム抜けを防止できる。
弾性体35は、外層材33のスリット領域71では、帯部39の側縁部39Sよりも内方に配されていることが好ましい。詳細には、図4(1)の外装体の部分拡大図及び図4(3)に示されるように、各帯体39の帯幅(Y方向の幅)の中央部において弾性体35が固定され、帯部39はその帯幅の中央部で内層材31に固定されている。一方、帯部39の側縁部39Sは、内層材31と接合されない非固定部39Fとされている。
この帯体39には、弾性体35の収縮でフリルが作り出される(図5参照)。特に、側縁部39Sの非固定部39Fには、内層材31と分離した襞(ひだ)7ができフリルを構成する。この非固定部37Fの襞(ひだ)7は、おむつ10に柔軟性や柔らかな肌触りを与える。また、これに対応する内層材31にも襞(ひだ)ができる。これにより、外装体11全体の柔軟性が高まる。さらに非固定部39Fの襞(ひだ)7は、非肌当接面側に突出して形成され、スリット部38の通気口8がより確実にでき、前述した第1実施形態の通気性がさらに高められる。また、フリルがおむつ10外面のかわいらしさを創出する。
また、帯部39と内層材31との接着位置は、帯部39の帯幅(Y方向の幅)における中央部に限定されず、いずれか一方の側縁部39Sに偏っていてもよい。すなわち、帯部39はその帯幅において内層材31との接着位置から一方の側縁までの距離が長く他方の側縁までの距離が短くてもよい。このように、接着位置から側縁までの距離を変えることで、距離の長い方にフリルがより形成されやすくなる。これにより、帯部39の上下の一方の側縁部39Sに大きなフリルができ柔軟性及び通気性を向上させる。
さらに、襞(ひだ)7が内層材31と非接合であることで、この部分の内層材31の柔軟性を高める。それゆえスリット領域71では、身体の凹凸への適合性すなわちフィット性が良く、身体の動きに合わせた柔軟な追従性を有し、身体の可動性を保つ。また、着用者の腹部の膨らみの食事前後の変化に対しても、柔軟に対応してからだへの圧迫が軽減される。これにより外装体11は、弾性体35による締め付けを緩和しながら着用者の身体に優しくフィットする。
このような柔軟性は、前述の第1実施形態と同様に、スリット領域71と非スリット領域72との協働作用により持続可能である。特に、弾性体35の内方端部は、吸収性本体40の収縮防止のため中央域Mの近傍部M2に留められており、この位置の非スリット領域72Mでの面接合により、弾性体35の抜けが防止される。
また、サイドシール部25は、外装体11の腹側部21の側縁部と外装体11の背側部23の側縁部とが、それぞれエンボス加工等のシール接合されている部分である。例えば、腹側部21の外層材33(33A)と背側部23の外層材33(33B)同士を身丈方向(Y方向)に配した状態で、腹側部21の内層材31(31A)と背側部23の内層材31(31B)同士が接合されている。したがって、サイドシール部25では、腹側部21に配した弾性体35(35A)と背側部23に配した弾性体35(35B)とが内層材31を介して身丈方向(Y方向)に配される。さらに、弾性体35の外方端部は、サイドシール部25近傍の側域外方部S2の非スリット領域72Sで面状に接合固定されている。このように、サイドシール部近傍の側域外方部S2での面接合により弾性体35の外方端部の抜けが防止される。
この構成は、後に説明する弾性体35を用いた実施例や第2実施形態においても適用できる。また、後に説明する弾性体35を用いない実施例においても、弾性体35を除き適用できる。
内層材31および外層材33の素材としては、前述の第1実施形態で説明したシートを用いることができる。また弾性体35の材料としては、おむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられる通常の弾性材料を用いることができ、例えば素材としては、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができ、形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状ないし紐状(平ゴム等)のもの、またはマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を用いることができる。
以上のとおり、第1実施例のパンツ型おむつ10Aでは、前述の第1実施形態のパンツ型おむつ10で述べた、外層材33のスリット領域71と非スリット領域72との協働作用による効果が得られる。それとともに、弾性体35による伸縮性によってパンツ型おむつの身体への適合性ないしフィット性がよくなる。そして、おむつ10Aは、非スリット領域72で弾性体35の使用時の抜けが防止されて、通気性、伸縮性、柔軟性が持続する装着感に優れたものとなる。さらに、外層材33で弾性体35が被覆されていることから、外層材33によって弾性体35が保護されている。これによって、外層材33に外力が直接当たることがなくなるので、弾性体35が切れにくくなっている。加えて、フリルの形成により、おむつ全体として、かわいらしさを創出できるという作用がある。また、外層材33は色付きや柄つきのシートを用いてもよい。このようなシートを用いることによって、デザイン性に優れるパンツ型おむつ10Aを提供することが可能となる。
なお、図4に示した第1実施例では、外層材33をスリット部38を有する第1シート材として、第2シート材である内層材31に弾性体35を介して外層材33(第1シート材)を隣接して接着した構成を示したが、例えば逆に、内層材31をスリット部38を有する第1シート材として、第2シート材である外層材33に弾性体35を介して内層材31をホットメルト接着剤により隣接して貼り合わせた構成であってもよい。この場合では、内層材31がスリット領域71で複数に分かれている作用で襞の量が増えて身体側を柔らかくする。また、従来のパンツ型おむつと同様の伸縮性を維持して身体への装着性および身体の可動性を保ちつつ、内層材31間の部分で通気性を得ることができる。よって、蒸れを低減できる。また、外装体11が内層材31と外層材33の2層構造になり、肌が透けにくくなり、肌の隠蔽性を高めることができる。
また、腹側は外層材33がスリット部38を有する第1シート材で、背側は内層材31がスリット部38を有する第1シート材であってもよく、逆に腹側は内層材31がスリット部38を有する第1シート材で、背側は外層材33がスリット部38を第1シート材であってもよい。
次に、パンツ型おむつ10の第2実施例について図6を参照して説明する。図6に示すように、第2実施例のパンツ型おむつ10(10B)は、第1実施例と同様に弾性体35を用いて外装体11全体に幅方向の伸縮性を付与している。すなわち、外層材33の構成や幅は、第1実施例に準じる。第2実施例のパンツ型おむつ10(10B)は、外層材33が、内層材31にシール部37によって固定された構成となっている。なお図6(2)が示すスリット領域71の断面において、外層材33の矢印で示した部分がスリット部38であり、白抜きの三角で示した位置でシール部37が形成される。また、図6(3)において、シール部37は白抜き四角の位置に形成される。
この構成では、各弾性体35の両端は、非スリット領域72M及び72Sにおいて、接着剤による外層材33と内層材31との面状接合で強固に固定されている。一方、各弾性体35はその両端以外では外層材33および内層材31に固定されず、伸縮自在にされている。したがって、外層材33と内層材31との積層領域において、弾性体35の伸縮性を阻害せず良好な伸縮性を得ることができる。また、スリット領域71では接着剤を実質的に用いないことで、接着剤の染み出しが抑えられる。
またこの構成ではスリット領域72において、弾性体35を間にして、外層材33の帯部39の側縁部39Sが内層材31と複数のシール部37で接合固定されている。これにより、スリット領域72で外層材33及び内層材31に接合されていない弾性体35は、身丈方向(Y方向)にずれにくくなる。加えて、幅方向のシール部37の間にある側縁部39Sの非固定部39Fに襞(ひだ)7が作り出されフリルをなす。また、襞(ひだ)を伴うフリルは、非固定部39Fに対応する内層材31にも形成される。この第2実施例において、帯部39及び内層材31それぞれのフリルの襞(ひだ)で帯部39と内層材31との間を身丈方向(Y方向)に通気する隙間が作られるので通気性が向上する。また襞(ひだ)は製品にデザイン的美観を与える。なお、シール部37の配置は、図6に示した構成のように規則正しくなくてもよい。また、図6に示した構成において、シール部37の位置を帯体39ごとにずらす構成としてもよく、その場合、襞の作られる位置がずれるので、内層材31と外層材33との間に空気が入り込みやすくなり、さらに通気性が良くなる。
第2実施例のパンツ型おむつ10(10B)では、前述の第1実施形態のパンツ型おむつ10と同様の効果が得られる。それとともに、スリット領域71において、非固定部39Fに襞(ひだ)7が形成され、その襞(ひだ)7の盛り上がった部分において、外層材33と内層材31との間の幅方向(図面矢印Y方向)にも通気性が得られる。したがって、外層材33を付けた内層材31部分でも通気性が確保できる。よって、積層領域を有した外装体11であるが柔らかさを失わず、伸縮性に優れていて、通気性がよく非常に蒸れにくいパンツ型おむつ10(10B)を提供することができる。
パンツ型おむつ10の第3実施例について図7を参照して説明する。図7に示すように、第3実施例のパンツ型おむつ10(10C)は、上述した第1実施形態のパンツ型おむつ10において、外層材33自体が幅方向(X方向)に伸縮性を有し、この外層材33を伸長状態で接着剤32によって内層材31に付けた構成のものである。接着剤には、例えばホットメルト接着剤や両面接着テープ等が用いられる。ここでいう、外層材33自体が有する伸縮性とは、例えば、前述の弾性体により付与される伸縮性に代わりうる伸縮性をいう。
伸縮性を有する外層材33として、弾性繊維を含む不織布、弾性フィルム等の伸縮シートを用いることができる。肌触りや布のような見た目を重視する場合には、これらの伸縮シートの表面は繊維層を有する形態が好ましい。この繊維層が非伸縮性である場合、非伸縮性の繊維層が伸縮シートの伸縮性を阻害しないように、延伸加工等により繊維層を伸長可能にする。延伸加工としては、例えば、繊維層に部分的に繊維同士の結合を切断したり繊維を伸長させたりする歯溝加工があり、それにより伸縮シートの伸縮性を阻害せずに伸縮性が発現される。歯溝加工によって、繊維層の表面には図7(3)に示すように、外層材33の表面に凹凸(凹は溝34)が形成される。
溝34の間隔は、例えば等間隔に形成される。なお、伸縮性を付与する度合いを位置ごとに変えるような場合には、溝34の間隔を変えることも可能である。例えば、外層材33の厚みが0.01mm以上0.2mm以下の場合、強い伸縮性を得たい領域では、溝34の間隔を2mm以上5mm以下程度にし、弱い伸縮性を得たい領域では溝34の間隔を0.5mm以上2mm以下程度にする。この溝34の間隔は、外層材33の厚さによっても変化する。なお、外層材33が溝34により所望の伸縮性を有するものであれば、その加工方法は限定されない。
また外層材33の帯部39は、第1実施例に準じる。図7(2)が示すスリット領域71の断面において、外層材33の矢印で示した部分がスリット部38である。
なお、吸収性本体40上の外層材33にも延伸加工としての歯溝加工は行われる。延伸加工後、外層材33を伸長させ、内層材31と接合する。接合後、外層材33と内層材31には、吸収性本体40上に該当する箇所をヒートシール(弾性体切断)することで外層材33は非弾性化されて伸縮性がなくなるので、吸収性本体40上の外層材33に付けた歯溝は目立たなくなる。
上記伸縮性を有する外層材としては、例えば(1)弾性繊維層の両面または片面に、伸長可能な繊維層が一体化されているシート、(2)ネット状の弾性シートの両面または片面に、伸長可能な繊維層が一体化されているシート、(3)弾性フィルムからなる弾性シートの両面または片面に、伸張可能な繊維層が一体化されているシート、(4)互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、非伸長状態で、それらの全長にわたり、伸長可能な不織布に接合されてなる伸縮シート等を好ましく用いることができる。
前記(1)のシートとしては、例えば(a)弾性繊維層の少なくとも一面に、非弾性の非弾性繊維層が配され、両繊維層は、弾性繊維層の構成繊維が繊維形態を保った状態で、繊維交点の熱融着によって全面接合されており、非弾性繊維層の構成繊維の一部が弾性繊維層に入り込んだ状態、および弾性繊維層の構成繊維の一部が非弾性繊維層に入り込んだ状態のいずれかの状態または両方の状態になっている伸縮性不織布が挙げられる。また、前記(1)〜(3)のシートとしては、(b)弾性伸縮性を有する弾性層と非弾性の非弾性繊維層とを有し、前記両層が厚み方向に積層されて部分的に接合されている積層シートを、延伸させてなる伸縮性シート等を好ましく用いることができる。これらの延伸や前記(1)〜(3)の伸長可能な繊維層や不織布を得るための一手段として、前述の歯溝加工を施すことが好ましい。
前記(a)の伸縮性不織布は、弾性繊維層と、非弾性繊維層との界面およびその近傍においては、弾性繊維層の構成繊維と、非弾性繊維層の構成繊維との交点が熱融着しており、全面で均一に接合されている。全面で接合されていることによって、両層が離間して空間が形成されることが防止され、あたかも一層の不織布のような一体感のある多層構造の伸縮性不織布となる。上記の弾性繊維層の構成繊維が繊維形態を保った状態とは、弾性繊維層の構成繊維のほとんどが、熱や圧力等を付与された場合であっても、フィルム状、または繊維を含むフィルム構造に変形していない状態をいう。また、弾性繊維層は、その層内において、構成繊維の交点が熱融着している。同様に、非弾性繊維層も、その層内において、構成繊維の交点が熱融着している。
弾性繊維層の両面に非弾性繊維層が配されている場合、少なくとも何れか一方の面においては、その構成繊維の一部が弾性繊維層に入り込んだ状態、および弾性繊維層の構成繊維の一部が少なくとも一方の非弾性繊維層に入り込んだ状態のいずれかの状態または両方の状態になっている。
弾性繊維層は、伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに収縮する性質を有するものである。また、弾性を有する繊維の集合体である。また、弾性繊維層は、弾性を有する繊維からなるウエブや不織布の形態であり得る。例えば、スピニングブローン法、スパンボンド法、メルトブローン法等によって形成された不織布であり得る。特に好ましくは、スピニングブローン法で得られたウエブである。弾性繊維層の構成繊維としては、例えば熱可塑性エラストマー、ゴムなどを原料とする繊維を用いることができる。特に熱可塑性エラストマーを原料とする繊維は、通常の熱可塑性樹脂と同様に押出機を用いた溶融紡糸が可能であり、またそのようにして得られた繊維は熱融着させやすいので、エアスルー不織布を基本構成とする本実施形態の伸縮性不織布に好適である。熱可塑性エラストマーとしては、SBS、SIS、SEBS、SEPS等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーを挙げることができる。これらは一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
非弾性繊維層は、伸長性を有するが、実質的に非弾性のものである。ここでいう、伸長性は、構成繊維自体が伸長する場合と、構成繊維自体は伸長しなくても、繊維同士の交点において熱融着していた両繊維が離れたり、繊維同士の熱融着等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、繊維層全体として伸長する場合の何れであっても良い。非弾性繊維層を構成する繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。非弾性繊維層を構成する繊維は、短繊維でも長繊維でも良く、親水性でも撥水性でも良い。また、芯鞘型またはサイド・バイ・サイドの複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。非弾性繊維層は、連続フィラメントまたは短繊維のウエブまたは不織布であり得る。
前記(b)の伸縮性シートは、弾性伸縮性を有する弾性層の両面または片面に非弾性の非弾性繊維層が積層され、これらが規則的なパターンで、部分的に接合されている積層シートに対して延伸加工を施すことにより得られる。
第3実施例のパンツ型おむつ10(10C)の効果は、前述の第1実施形態のパンツ型おむつ10で述べたとおりである。この実施例ではさらに、内層材31と外層材33との間に配される弾性体を必要としないで、外層材33が凹凸を有する延伸加工が施されているため柔らかい外観および感触となる。またスリット領域71において、接着剤の塗布幅を帯部39の帯幅より狭くすることで、外層材33にフリルを形成することもできる。また弾性体材料の削減も図れる。
また、帯部39の帯幅を変更することによって伸縮力も変化し、ウエスト部、腸骨上、腰等の各部位に応じた適切な締め付け圧に調整ができる。例えば、ウエスト部、腸骨上には他の部位に比べて幅を大きくすることで、伸縮力を高め締め付け圧を大きくすることができる。
第3実施例のパンツ型おむつ10において、積層領域の伸縮性が弱い場合には、必要に応じて第1実施例の弾性体35を外層材33と内層材31との間に挟持してもよい。
パンツ型おむつ10の第4実施例について図8を参照して説明する。第4実施例のパンツ型おむつ10(10D)は、上述した第1実施形態のパンツ型おむつ10において、前述の第1実施例のパンツ型おむつ10Aと同様の材料を用いた。第4実施例のパンツ型おむつ10(10D)は、外装体11に延伸加工が施されている。詳細には、前述の第1実施例のパンツ型おむつ10において、図8に示すように、ホットメルト接着剤等の接着剤(図示せず)により、弾性体35を介して固定された外層材33と内層材31に、腰周り方向(X方向)に延伸加工(例えば歯溝加工)が施されている。これにより、外層材33および内層材31は伸長性を有している。弾性体35は伸長状態で外層材33および内層材31に固定されている。上述したように、延伸加工は、外層材33および内層材31を伸長可能にする方法であれば、加工方法は限定されない。
また帯部39の帯幅は、前述の第1実施例に準じる。なお、図8(2)が示すスリット領域71の断面において、外層材33の矢印で示した部分が切れている。
第4実施例のパンツ型おむつ10(10D)では、前述の第1実施例のパンツ型おむつ10Aと同様の効果が得られる。それとともに、延伸加工としての歯溝加工を行うことで、外層材33および内層材31を伸長可能にできる。これによって、弾性体35の伸縮性を阻害せずに伸縮性が発現されるので、パンツ型おむつ10Dを装着性が高められる。
パンツ型おむつ10の第5実施例について図9を参照して説明する。図9に示すように、第4実施例のパンツ型おむつ10(10E)は、上述した第1実施形態のパンツ型おむつ10において、スリット領域71の弾性体35同士に挟まれた内層材31部分、すなわち襞(ひだ)7が形成される領域に孔15を形成した構成のものである。この構成は、本明細書で説明するすべての構成のパンツ型おむつ10に適用することができる。孔15は、所定間隔に形成される。例えば、弾性体35の配置間隔よりも小さい径を有し、孔間隔は例えば孔15の口径の101%以上、500%以下とすることが好ましい。より好ましくは、孔15の口径の200%以上、300%以下とする。孔15は、加熱された針やレーザー加工等により形成できる。
第5実施例のパンツ型おむつ10(10E)も、前述の第1実施形態のパンツ型おむつ10と同様の効果を奏する。この例では内層材31に孔15が形成されているので、通気性がさらに高められる。
次に、本発明のパンツ型おむつの第2実施形態を、図10を参照して説明する。
図10に示すように、パンツ型おむつの一例としてのパンツ型おむつ100は、外装体11が股下部13にも形成され、その内側(肌当接面側)に吸収性本体40を配した構成である。具体的には、内層材31(第2シート材)及び外層材33(第1シート材)が腹側部21、股下部13及び背側部23の全面に及び、股下部では幅方向(X方向)内方に括れた形状となっている。外層材33の腹側部21及び背側部23は、図11の展開平面図のように、スリット領域が幅方向に間隔をおいて並ぶ配列を有する。また、スリット領域71の間には、強度を補う非スリット領域72が配されている。
このように、本発明にかかる外層材33の構成は、スリット部38の部分的な形成により、腹側から股下を通って背側に連続的に形成された外装体を有するパンツ型おむつ100にも適用できる。そしてパンツ型おむつ100は、第1実施形態の第1〜5実施例の構成を適用して、これらと同様の作用効果を奏することができる。
この第2実施形態において、外層材33は、腹側部21、股下部13及び背側部23の全面に限らず、腹側部21及び背側部23にのみ配される構成であってもよい。また、スリット領域71を有する第1シート材を内層材31とし、第2シート材を外層材33ともよい。さらに背側の股下部13は外層材33のみとしてもよく、もしくは外層材33と内層材31とで構成されてもよい。
上記説明した各実施例においては、内層材31はウエストから内側に折り返されている(前記図2に示した内層材31の折り返し部分参照。)そのため、内層材31は、外層材33より身丈方向に長いシートが用いられている。また、内層材31を内側に折り返すことによって、吸収性本体40の端部からの尿や吸収性ポリマー等の漏れを一層防止することができる。また、折り返しは、内層材31ではなく外層材33を長くして内側に折り返してもよく、内層材31と外層材33の両方を折り返してもよく、折り返さずに別体のシートで吸収性本体40の端部を被覆してもよい。
次に、本発明のパンツ型おむつの製造方法の好ましい一実施形態(第1実施形態)の第1の実施態様について、図12および図13を参照して、以下に説明する。製造方法の第1の実施態様は、前述のパンツ型おむつ10(10A)を製造する好ましい一方法である。なお、後述の他の実施態様について、特に説明しない点については、第1の実施態様に関して詳述した説明が適宜適用される。
パンツ型おむつ10の製造方法は、パンツ型着用物品の外装体をなす第1シート材の連続体1Sと第2シート材の連続体2Sとをそれぞれ搬送し、
(a)第1シート材の連続体1Sに対し、搬送方向に沿って形成されるスリット部38を複数、搬送方向に直交する方向に間隔をおいて配するスリット領域71を形成し、スリット領域71を搬送方向に間隔をおいて複数形成する工程と、
(b)第1シート材の連続体1Sと第2シート材の連続体2Sとを積層し、両連続体の間に、スリット部38を避けて弾性体35を伸長状態で導入し、弾性体35を第1シート材の連続体1Sと第2シートの連続体2Sとで挟持して接合固定し、外装体11の腹側部21と背側部23を形成する工程と、
(c)腹側部21及び背側部23を対向させて重ね合わせ、腹側部21及び背側部23の両側縁をそれぞれ接合してサイドシール部25を形成する工程と、
(d)前記サイドシール部で切断して個々のパンツ型着用物品に分離する工程と
を備える。
詳細には、図12および図13に示すように、例えば、上側より第1シート材の連続体1Sを供給するとともに、下側より第2シート材の連続体2Sを供給し、さらに、第1シート材の連続体1Sと第2シート材の連続体2Sとの間に弾性体35となる弾性体連続部材3Sを供給する。第1シート材の連続体1Sは外層材33を形成するものであり、第2シート材の連続体2Sは内層材31を形成するものである。これらの第1シート材の連続体1S(外層材33の連続体)、第2シート材の連続体2S(内層材31の連続体)および弾性体連続部材3S(弾性体35)は、それぞれ上述したパンツ型おむつ10と同様な材料を用いる。
先ず、外層材スリットカッター211によって、第1シート材の連続体1Sに対し、搬送方向に沿って形成されるスリット部38を複数、搬送方向に直交する方向に間隔をおいて配するスリット領域71を形成する。これによりスリット領域71には、前述の帯部39が複数形成されている。そして、このスリット領域71を搬送方向に間隔をおいて複数形成する。スリットカッター211に対向する位置には、第1シート材の連続体1Sを挟んで受けロール212が配されている。外層材スリットカッター211はロール状であり、カッター211の周方向に沿う刃(図示省略)を、カッター211の軸方向に複数有している。スリット領域71を形成した第1シート材の連続体1Sは、ニップロール217に巻き付けた状態で、ニップロール217、218間に搬送される。または、スリットカッターで第1シート材の連続体1Sを切ってスリット領域71を形成した後、ニップロール217に巻き付けず、直接ニップロール217、218間に供給されてもよい。
また、図12および図13に示すように、並列に複数本の弾性体連続部材3Sを用意し、それぞれが伸長された状態で、かつ、接着剤塗工装置215により供給された接着剤(図示せず)が付された状態で、第2シート材の連続体2Sとともに上記ニップロール217、218間に供給する。それぞれの弾性体連続部材3Sは所定の間隔d1で供給される。このとき、第1シート材の連続体1Sのスリット領域71において、帯部39の帯幅の中心に弾性体連続部材3Sの幅方向の中心が位置するように供給されることが好ましい。接着剤塗工装置215には例えばホットメルトガンを用い、この場合の接着剤にはホットメルト接着剤を用いることができる。
このようにして、ニップロール217、218間に、第2シート材の連続体2S上に伸長した状態で所定の間隔d1にした弾性体連続部材3Sを供給する。それと同時に、それぞれの弾性体連続部材3S上にスリット領域71の帯部39の帯幅中央に弾性体連続部材3Sが位置するようにして、第1シート材の連続体1Sを供給する。なお、帯部39の帯幅中央より一方向に所定距離だけずれて弾性体連続部材3Sが位置するようにして、第1シート材の連続体1Sを供給してもよい。
そして、ニップロール217、218間に第2シート材の連続体2S、弾性体連続部材3S、第1シート材の連続体1Sを通し、ロール間の圧力によって弾性体連続部材3Sに付けられたホットメルト接着剤により第2シート材の連続体2Sと第1シート材の連続体1Sとを弾性体連続部材3Sを介して接着し、外装体11となる外装体連続部材11Sを得る。また、接着剤を、接着剤塗工装置215により、第1シート材の連続体1Sの非スリット領域72上およびこの領域に対応する第2シート材の連続体2S上のいずれか一方または両方に供給して、弾性体連続部材3Sと接着することが好ましい。これにより第1シート材の連続体1Sと第2シート材の連続体2Sとの面接合ができ外装体11の強度を高めることができるので好ましい。
次に、外装体連続部材11Sの吸収性本体40が付けられる部分の弾性体連続部材3Sの弾性機能を発現させなくする弾性体切断工程を行う。弾性体切断工程は、吸収性本体40を外装体連続部材11Sの腹側部21と背側部23との所定の位置に配置する前に行う。この弾性体切断工程は、例えば、弾性体連続部材3Sの収縮力を発現させなくする非機能化領域形成部(図示せず)を形成したカットロール219を用い、外装体連続部材11Sに非機能化領域11Nを形成することができる。非機能化領域形成部は、弾性体連続部材3Sを分断する多数の凸部もしくはカッター刃、または弾性体連続部材3Sを熱シールによって硬化させる多数のエンボスピン等から構成されている。
カットロール219に対向するロール220はその受けロールであり、その周面は平滑面となっている。
次に、外装体スリットカッター221を用いて、外装体の腹側部21と外装体の背側部23とを形成するよう、外装体連続部材11Sをその幅方向の中央部で切断する。上記スリットカッター221に対向する位置には、外装体連続部材11Sを挟んで受けロール222が配されている。そして、切断された外装体の腹側部21と背側部23との間隔を所定の間隔に拡幅する。この拡幅する手段しては、例えば、外装体の腹側部21と背側部23のそれぞれの上下に配された拡幅ロール223、224および拡幅ロール225、226を用いることが好ましい。この拡幅ロール223〜226によって、切断したそれぞれの外装体連続部材11Sが所定間隔に離間される。上記拡幅手段は上記拡幅ロール223〜226に限定されることはなく、外装体の腹側部21と背側部23との間隔を拡幅するものであれば如何なる手段であってもよい。
そして離間された外装体の腹側部21と背側部23とは、互いが平行になるように案内される。この平行に案内する手段として、平行化案内ロール(図示せず)を用いることが好ましい。この平行化案内ロールは、例えば、外装体の腹側部21と背側部23のそれぞれの上下に配されたロールから構成される。この平行に案内する手段は、上記案内ロールに限定されることはなく、外装体の腹側部21と背側部23との間隔を平行にするものであれば如何なる手段であってもよい。
この所定間隔を含むパンツ型おむつ10の寸法等は、サイズや用途に応じて適宜選択する。なお、前述した弾性体切断工程は、外装体連続部材11Sをその幅方向の中央部で切断した後、または切断と同時に行ってもよい。
次に、吸収性本体形成部4より供給される吸収性本体連続体40Sを切断して得た吸収性本体40を外装体連続部材11Sの腹側部21と背側部23との所定の位置に配置する。このとき、吸収性本体40は、その長手方向が腹側部21と背側部23とに対して、例えば直角方向になるようにして腹側部21及び背側部23を架け渡して配される。吸収性本体40の外装体連続部材11Sへの固定は、外装体連続部材11Sの伸長状態を維持したままで行う。例えば、外装体連続部材11Sが弾性体連続部材3Sの収縮力により縮まないように維持しながら、吸収性本体40を固定する。吸収性本体40にもその長手方向に収縮する弾性部材が配されていることが一般的であるが、そのような場合にも、吸収性本体40を、収縮しないように維持しながら外装体連続部材11Sに対して固定する。その際、吸収性本体40または外装体連続部材11Sには予め接着剤を塗工しておく。
続いて、外装体連続部材11Sの幅方向外側の端部を、吸収性本体40の長手方向両端部を覆うように折り返し、その折り返し部分で吸収性本体40を固定する。その際、折り返し部分の内面側、吸収性本体40等の所定位置には、予め接着剤を塗工しておく。外装体連続部材11Sの折り返し部分(前記図2に示した内層材31の折り返し部分)は、第2シート材の連続体2Sで形成するため、第2シート材の連続体2Sは、第1シート材の連続体1Sより広い幅のシートを用いる。
次に、吸収性本体40の長手方向を二つ折りにするとともに、外装体連続部材11Sの腹側部21と外装体連続部材11Sの背側部23とを第2シート材の連続体2Sを内側に対向させて重ね合わせる。続いて、腹側部21と背側部23とを所定間隔で接合してサイドシール部25を形成するサイドシール工程を行う。接合は外装体連続部材11Sの幅方向(搬送方向に直交する方向)に行う。このサイドシール工程における所定間隔はパンツ型おむつ10の幅方向の長さを決めるものである。このようにして、パンツ型おむつ連続体10Sを得る。
続いて、外装体の腹側部21と背側部23を合わせてなる上記パンツ型おむつ連続体10Sを幅方向に切断し、個々のパンツ型おむつ10(10A)に分離する。この結果、パンツ型おむつ10(10A)が完成し、前述のパンツ型おむつの第1実施例で説明した構成を得ることができる。パンツ型おむつ連続体10Sの切断は、サイドシールを行って得た接合部で行う。具体的には、1箇所の接合部は2本のサイドシール部が外装体連続部材11Sの幅方向に形成されており、切断は2本のサイドシール部間で行う。
上述の製造方法の第1の実施態様では、第1シート材の連続体1Sを完全に細帯片に分離することなく、部分的なスリット領域71を形成したことで、この第1シート材の連続体1Sの搬送時の位置合わせが容易となる。特に、弾性体連続部材3Sと帯部39との位置合わせが容易となる。また第1シート材の連続体1S自体が搬送時に破れにくくなる。加えて、弾性体連続部材3Sは、非スリット領域73の面接合で確実に接合固定され、シート材からの抜けが防止される。特に、前述した弾性体切断工程では、弾性体連続部材3Sが切断による反動で収縮しようとしても、非スリット領域73でそれを阻止して抜けが防止される。また非スリット領域73の面接合があることで、弾性体連続部材3Sへの接着剤の塗布量を抑制でき、スリット部38からの接着剤の染み出しを防止できる。これにより、品質の良いおむつを精度よく製造することができる。
なお、外装体スリットカッター221を用いずに、腹側部用の外装体連続部材11Sと背側部用の外装体連続部材11Sとを別に並列に製造してもよい。また、図12では、第1シート材の連続体1Sを外層材33とし、第2シート材の連続体2Sを内層材31として、おむつ10の製造工程を示したが、これに限らず、第1シート材の連続体1Sを内層材31とし、第2シート材の連続体2Sを外層材33としてもよい。この部材の入れ替えは以下の製造方法においても同様である。
本発明のパンツ型着用物品の製造方法により、従来のパンツ型おむつと同様の伸縮性を維持して身体への装着性および身体の可動性を保ちつつ、スリット部38の切れ込みで通気性を高めることができる。加えて、スリット部38の作用で襞の量が増えて腰周り領域が柔らかく柔軟性に富むものとすることができる。そして、外層材33のスリット領域71と非スリット領域72との協働作用により、種々の力にも耐え得る強度を備え、通気性、伸縮性、柔軟性が持続して装着感に優れ、肌の隠蔽性を高めたパンツ型着用物品を精度良く安定的に製造することができる。
これにより、蒸れを長期に低減する装着感に優れたパンツ型おむつ10(10A)を提供することができる。
次に、本発明の製造方法の第2の実施態様について、図14を参照して、以下に説明する。第2の実施態様は、前述のパンツ型おむつ10(10B)を製造する一方法である。
図14に示すように、第2の実施態様の製造方法は、前述の第1の実施態様の製造方法において、ニップロール217、218とカットロール219、受けロール220との間に、シールロール231が配されていて、第1シート材の連続体1S、弾性体連続部材3S、および第2シート材の連続体2Sを重ね合わせた状態で、シールロール231に通すシール工程を行う。シールロール231に対向する位置には、外装体連続部材11Sを挟んで受けロール232が配されている。シールロール231によって、第1シート材の連続体1Sの帯部39の両側縁部39S、39Sに間隔をおいてシール部37を形成して(図14では図示せず、前記図6(3)参照。)、帯部39を第2シート材の連続体2Sに固定する。このシール部37の形成には、エンボス接合を用いることが好ましい。エンボス接合とすることで、シート材料の風合いを接着剤の硬化などにより損ねることがなく、良好な肌触りを維持することできる。
弾性体連続部材3Sは、帯部39と第2シート材の連続体2Sとの間で、かつ、シール部37、37(図14では図示せず、前記図6(3)参照。)間にあって、しかも、前記エンボス接合する以前の工程で接着剤により間欠的に帯部39、第2シート材の連続体2Sに固定される。したがって、弾性体連続部材3Sは大部分で帯部39および第2シート材の連続体2Sに対して自由になっている。これにより、第1シート材の連続体1Sから形成される外層材33のおむつ身丈方向(Y方向)における通気性及び伸縮性を向上させることができる。
上記接着剤は、第2シート材の連続体2Sと第1シート材の連続体1Sに塗工されることが好ましい。図面では、第2シート材の連続体2Sと第1シート材の連続体1Sの両方に塗工する場合を示したが、弾性体連続部材3Sが細く接着剤が弾性体連続部材3Sの周囲を回り込める場合にはどちらか一方に塗工してもよい。なお、上記接着剤は弾性体連続部材3Sの方に塗ることもできる。その場合、弾性体連続部材3Sへの塗布位置は第2シート材の連続体2Sと第1シート材の連続体1Sとの合流の直前で行うことが好ましい。
さらに上記シール工程では、伸長した状態の弾性体連続部材3Sを間にして、第1シート材の連続体1Sの帯部39と第2シート材の連続体2Sとが2層となる不織布部分に規則正しくシール部37(前記図6(3)参照。)を形成することで、弾性体連続部材3S(弾性体35)が縮んだときに帯部39によって襞(図示せず)を形成することができる。すなわち、弾性体連続部材3Sからなる弾性体が収縮することにより間欠的に固定された間の帯部39が外側(非肌当接面側)に盛り上がる。これによって上記襞が形成される。
このようにして、外装体11となる外装体連続部材11Sを得る。
次に、前述の第1の実施態様で説明したカットロール219を用いた弾性体切断工程以降の工程を順次行い、パンツ型おむつ10(10B)(例えば、前記図6参照。)を完成させる。なお、この実施態様においては、弾性体切断工程は吸収体が配置される領域の中央の位置の1箇所で弾性体35を切断する。または弾性体切断工程は必須ではなく、これを省略することも可能である。
本発明の製造方法の第2の実施態様では、前述の第1の実施態様と同様の効果が得られるとともに、帯部39が形成された領域の通気性を向上させることができる。また、帯部39を固定するのと同時に外層材33の幅方向に襞を形成することができる。これによって、装飾的美観を与えることができる。
また、弾性体連続部材と第1シート材の連続体1Sまたは第2シート材の連続体2Sとの固定、および第1シート材の連続体1Sと第2シート材の連続体2Sとの固定において、第1の実施態様と比べて、多くの接着剤が不要となり環境負荷低減が可能となり、またコスト低減となる。
次に、本発明の製造方法の第3の実施態様について、図15を参照して、以下に説明する。第3の実施態様は、前述のパンツ型おむつ10(10C)を製造する一方法である。
図15に示すように、上側より第1シート材の連続体1Sが供給されるとともに、下側より第2シート材の連続体2Sが供給される。第1シート材の連続体1Sは外層材33を形成するものであり、それ自体が長手方向(腰周り方向)に伸縮性を有する。一例として伸縮性シートの表面に繊維層を有するものである。したがって、前述の第1の実施態様とは異なり、弾性体35は用いていない。第2シート材の連続体2Sは内層材31を形成するものである。
まず、凹凸ロール241によって、上記第1シート材の連続体1Sの表面全域に延伸加工としての歯溝加工を施す。この結果、第1シート材の連続体1Sの幅方向に溝34(図15では図示せず、前記図7(3)参照。)が付けられる。この歯溝加工によって、第1シート材の連続体1Sにおいてその長手方向に伸縮シートの伸縮性を阻害せずに繊維層に伸長性を与えて、第1シート材の連続体1Sに伸縮性を発現させる。この溝34の間隔は、第1シート材の連続体1Sの不織布の厚さにもよるが、例えば、前述のパンツ型おむつ10Cに準じた間隔とする。また、凹凸ロール241に対向する位置には該ロール241と噛み合う凹凸ロール242が配されている。
次に、前述の第1の実施態様で説明した外層材スリットカッター211により、上記歯溝加工が施された第1シート材の連続体1Sにスリット領域71を形成する。そして第1シート材の連続体1Sのスリットした状態を維持して、ニップロール217、218間に搬送される。なお、外層材スリットカッター211により第1シート材の連続体1Sを複数本に分割した後に、前述の歯溝加工を施してもよい。
一方、第2シート材の連続体2Sは、接着剤塗工装置215により供給された接着剤(図示せず)が付けられた状態で供給される。また、第1シート材の連続体1Sのスリット領域71に対応する部分では、接着剤は、次工程で帯部39のそれぞれが貼り合わされる位置のほぼ中央部に供給されることが好ましく、その供給方法は連続的であっても間欠的であってもよい。
このようにして、ニップロール217、218間に、第2シート材の連続体2S上に所定の間隔を置いて第1シート材の連続体1Sが供給される。そして、ニップロール217、218間に上記第2シート材の連続体2S、第1シート材の連続体1Sを通すことによって、ロール間の圧力によって第2シート材の連続体2Sに付けられた接着剤により第2シート材の連続体2Sと第1シート材の連続体1Sとが接着される。
この結果、外装体11となる外装体連続部材11Sを得る。
次に、前述の本発明の製造方法の第1の実施態様で説明した外装体スリットカッター221を用いた外装体切断工程以降の工程を順次行い、パンツ型おむつ10(10C)(例えば、前記図7参照。)を完成させる。
本発明の製造方法の第3の実施態様では、前述の第1の実施態様と同様の効果が得られる。それとともに、第1シート材の連続体1S自体に伸縮性が付与されているので、第1シート材の連続体1Sと第2シート材の連続体2Sとの間に弾性体を配する必要がないため、その分、材料の削減、材料費の低減が図れる。
次に、本発明の製造方法の第4の実施態様について、図16を参照して、以下に説明する。第4の実施態様は、前述のパンツ型おむつ10(10D)を製造する一方法である。
この第4の実施態様は、前述の第1の実施態様において、ニップロール217、218によって、内層材31となる第2シート材の連続体2Sと外層材33となる第1シート材の連続体1Sとを弾性体連続部材3Sを介して接着させる工程と、カットロール219による弾性体切断工程との間に、延伸工程としての歯溝工程を行う製造方法である。歯溝工程を行う以外は、前述の第1の実施態様と同様である。ここでの歯溝工程は、外層材33および内層材31に凹凸ロール241の歯を押し当てることで、例えば外層材33を構成する伸長シートの伸長性を阻害せずに繊維層に伸長性を与える工程である。その結果、例えば第1シート材の連続体1Sに間隔をおいて溝34(図16では図示せず、前記図8参照。)が付けられる。この溝34の間隔は、例えば、前述のパンツ型おむつ10Cの溝と同様な間隔とすることが好ましい。なお、凹凸ロール241に対向する位置には該ロール241と噛み合う凹凸ロール242が配されている。
まず、前述の第1の実施態様と同様にして、スリットカッター211によりスリット領域71を形成した第1シート材の連続体1Sと第2シート材の連続体2Sとを、弾性体連続部材3Sを介在させて貼り合わせる。この第1シート材の連続体1Sは、一例として伸縮性のない不織布である。続いて、凹凸ロール241によって、弾性体連続部材3Sを介在させて貼り合わせた第1シート材の連続体1Sと第2シート材の連続体2Sに延伸加工としての歯溝加工を施す。これによって、弾性体連続部材3S(弾性体35)の伸縮性を阻害しないよう、第1シート材の連続体1Sおよび第2シート材の連続体2Sにおいてその長手方向に伸長性を発現させる。なお、歯溝加工によって弾性体連続部材3Sの伸縮性には影響はない。この歯溝加工を行った結果、第1シート材の連続体1Sの表面には、その幅方向に凹凸(凹は溝34)が付与される。この溝34の間隔は、第1シート材の連続体1Sの不織布の厚さにもよるが、例えば、前述のパンツ型おむつ10Cに準じた間隔とする。なお、上記延伸加工は第1シート材の連続体1Sと第2シート材の連続体2Sを伸長可能にする方法であれば、加工方法は歯溝加工に限定されない。
上述の第4の実施態様では、前述の第1の実施態様と同様の効果が得られる。それとともに、外層材33および内層材31に伸長性が発現されるので、パンツ型おむつの外装体11(前記図8参照。)の腰周り方向に伸縮性を与えることができる。また、外層材33に溝34が形成されることによって襞が形成されやすくなる。
次に、製造方法の第5の実施態様について、図17を参照して、以下に説明する。第5の実施態様は、前述のパンツ型おむつ10(10A)を製造する別の製造方法である。
図17に示すように、第5の実施態様では、予め、第1シート材の連続体1Sを、外装体11の腹側部21を形成する第1シート材の連続体1SAと、背側部23を形成する第1シート材の連続体1SBとに分けた状態で供給する。同様に、第2シート材の連続体2Sを、腹側部21を形成する第2シート材の連続体2SAと、背側部23を形成する第2シート材の連続体2SBとに分けた状態で供給する。すなわち、腹側部、背側部の幅に応じた第1シート材の連続体1SA、1SB、第2シート材の連続体2SA、2SBを用いる。そして、外層材スリットカッター211A、211Bにより上記第1シート材の連続体1SA、1SBにそれぞれスリット領域71を形成する。そしてスリット領域71を備えた第1シート材の連続体1SA及び1SBをそれぞれニップロール217に巻き付け、その状態でニップロール217、218間に搬送する。
その後の工程は、外装体スリットカッターを用いた外装体連続部材11Sの切断工程を行わない以外、前述の第1の実施態様と同様である。
または図18に示すように、上記第1シート材の連続体1Sを第1シート材の連続体1SA、1SBに分けるのは、スリットカッター216Aにより、上記第2シート材の連続体2Sを第2シート材の連続体2SA、2SB分けるのは、スリットカッター216Bによってもよい。この場合、スリットした後、拡幅手段(図示せず)によって所定の間隔に第1シート材の連続体1SAと第1シート材の連続体1SBの間隔を広げるとともに、別の拡幅手段(図示せず)によって上記所定の間隔に第2シート材の連続体2SAと第2シート材の連続体2SBの間隔を広げる。上記各拡幅手段としては拡幅ロールを用いることができる。また、図示はしていないが、拡幅したシートの搬送方向を平行にする手段を配することが好ましい。シートの搬送方向を平行にする手段として平行案内ロールが挙げ有れる。
そして、前述したように、外層材スリットカッター211A、211Bによりスリット領域71を備える第1シート材の連続体1SA、1SBを得る。続いてニップロール217、218間に、第1シート材の連続体1Sと第2シート材の連続体2Sとの間に弾性連続部材3Sを挟むようにして、第1シート材の連続体1Sと第2シート材の連続体2Sとを送る。その後は、第1の実施態様と同様の工程が行われる。このように、弾性連続部材3Sを挟んだ第1シート材の連続体1Sと第2シート材の連続体2Sとからなる外装体11は腹側部21と背側部23とに分けられて製造される。したがって、前述の第1の実施形態のように、外装体11をスリットする工程は行わない。
上記第5の実施態様では、前述の第1の実施態様と同様な効果が得られる。また、予め、第1シート材の連続体1Sをスリットすることなく、初めから所定幅の第1シート材の連続体1SA、1SBを供給し、同様に第2シート材の連続体2Sをスリットすることなく、初めから所定幅の第2シート材の連続体2SA、2SBを供給する場合には、外装体スリットカッターを設置する必要がない。よって、製造設備を削減することができ、製造コストを低減することができる。
上記製造方法の第5の実施態様のように、第1シート材の連続体1SAと第1シート材の連続体1SBとを分けた状態で供給する方法は、前述の第2の実施態様〜第4の実施態様に適用することができる。いずれの場合も、その後の工程は、外装体スリットカッターを用いた外装体連続部材11Sの切断工程を行わない以外、それぞれ前述の第2の実施態様〜第4の実施態様と同様である。
次に、本発明に係るパンツ型おむつの製造方法の好ましい一実施形態(第2実施形態)について、図19を参照して、以下に説明する。第2実施形態は、従来のレッグホールを有するパンツ型おむつの製造方法に本発明の製造方法を適用した一例であり、前述のパンツ型おむつ100を製造する方法である。
図19に示すように、上側より第1シート材の連続体1Sを供給するとともに、下側より第2シート材の連続体2Sを供給し、また第1シート材の連続体1Sと第2シート材の連続体2Sとの間に弾性体35となる弾性体連続部材3Sを同時に供給する。第1シート材の連続体1Sは、腹側部、股下部及び背側部に亘る外層材33を形成する。同様に、第2シート材の連続体2Sは腹側部、股下部及び背側部に亘る内層材31を形成する。これらの第1シート材の連続体1S(外層材33)、第2シート材の連続体2S(内層材31)および弾性体連続部材3S(弾性体35)は、それぞれ上述したパンツ型おむつの第1実施例で説明したのと同様な材料を用いる。
先ず、外層材スリットカッター211によって、第1シート材の連続体1Sの両側の腹側部及び背側部となる部分にスリット領域71を搬送方向に沿って間隔をおいて形成する。上記スリットカッター211に対向する位置には、第1シート材1Sを挟んで受けロール212が配されている。次に第1シート材の連続体1Sは、ニップロール217、218間に搬送される。
また、複数本の弾性体連続部材3Sを並列に用意し、それぞれを伸長させた状態で、かつ、第2シート材の連続体2Sと第1シート材の連続体1Sのとの間に供給する。このとき、スリット領域71の帯部39の帯幅の中心に弾性体連続部材3Sの幅方向の中心が一致するように、第1シート材の連続体1Sおよび弾性体連続部材3Sを供給することが好ましい。その際に、第2シート材の連続体2Sと第1シート材の連続体1Sとは、前述の第1の実施態様で説明したのと同様な方法により、接着剤塗工装置(図示せず)により接着剤(図示せず)が塗工される。上記接着剤塗工装置(図示せず)には例えばホットメルトガンを用い、この場合の接着剤にはホットメルト接着剤を用いる。
このようにして、ニップロール217、218間に上記第2シート材の連続体2S、弾性体連続部材3S、第1シート材の連続体1Sを通す。そして、ロール間の圧力によって、上記塗工されたホットメルト接着剤により第2シート材の連続体2Sと第1シート材の連続体1Sとを弾性体連続部材3Sを介して接着して、外装体11となる外装体連続部材11Sを得る。
その後、弾性体連続部材3Sはカットロール219と受けロール220との間に搬送される。そして、カットロール219により、後の工程で吸収性本体40が付けられる領域にある弾性体連続部材3Sの弾性機能を発現させなくする弾性体切断工程を行う。この切断方法は、前述の第1の実施態様で説明したのと同様である。
次に、前述の第1の実施態様と同様にして、吸収性本体形成部4より供給される吸収性本体連続体40Sを切断して得た吸収性本体40を外装体連続部材11Sの腹側部21と背側部23との所定の位置に配置する。続いて、外装体連続部材11Sの幅方向の両端を、吸収性本体40の長手方向両端部を覆うように折り返し、その折り返し部分で吸収性本体40を固定する。
次に、外装体連続部材11Sに固定された吸収性本体40の両側部分にレッグホール110を開口する。
次に、吸収性本体40の長手方向を二つ折りにするとともに、外装体連続部材11Sの腹側部21と外装体連続部材11Sの背側部23とを第2シート材の連続体2Sを内側に対向させて重ね合わせ、腹側部21と背側部23とをその幅方向に所定間隔で接合するサイドシール工程以降の工程を行い、パンツ型おむつ100を完成させる。
上述の第2実施形態の製造方法では、前述の第1の実施態様と同様に、外層材33のスリット領域71と非スリット領域72との協働作用により、種々の力にも耐え得る強度を備え、通気性、伸縮性、柔軟性が持続して装着感に優れ、肌の隠蔽性を高めたパンツ型着用物品を精度良く安定的に製造することができる。特に、第2実施形態の製造方法では、第1シート材の連続体1Sのスリット領域71の形成位置の調整は、例えば、従来の、レッグホール1の形成位置の設定やレッグギャザー用弾性体の腹側部及び背側部での固定位置の設定などから、精度良く調整が可能である。
これにより、通気性が高められるので、蒸れを低減し、肌の隠蔽性に優れたパンツ型おむつ10(10A)を提供することができる。
上記説明したように、本発明のパンツ型着用物品によれば、従来のパンツ型おむつと同様の伸縮性を維持して身体への装着性および身体の可動性を保ちつつ、スリット部38の切れ込みで通気性を高めることができる。加えて、スリット部38の作用で襞の量が増えて腰周り領域が柔らかく柔軟性に富むものとなる。そして、おむつ10は、外層材33のスリット領域71と非スリット領域72との協働作用により、種々の力にも耐え得る強度を備え、通気性、伸縮性、柔軟性が持続する装着感に優れたものとなる。よって、長時間のおむつの装着でも蒸れを低減できる。また、外装体11が内層材31と外層材33の2層構造になり、かつ帯部39同士が隣接しているので、肌が透けにくくなり、肌の隠蔽性を高めることができる。
また本発明のパンツ型着用物品の製造方法によれば、上記の、種々の力にも耐え得る強度を備え、通気性、伸縮性、柔軟性が持続する装着感に優れ、肌が透けにくく肌の隠蔽性を高めたパンツ型着用物品を精度良く安定的に製造することができる。
上記各実施形態においては本発明のパンツ型着用物品としてパンツ型おむつを例に示したが、吸収性本体を肌面側に配置して用いられるパンツ型おむつカバーであることも好ましい。ここで吸収性本体は、排泄される尿等を吸収するものであれば特に限定されないが、例えば尿とりパッド等の吸収パッドが挙げられる。吸収パッドは、例えば、液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート、および両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備し、平面視矩形状等の縦長形状に形成されたものが挙げられる。そして、吸収パッドの長手方向の両側には、左右一対の立体ガードが形成されていることが好ましく、各立体ガードは、吸収パッドの長手方向の両側に、立体ガード弾性部材を有する立体ガード形成用のシート材が配設されていることが好ましい。このような吸収パッドの長手方向を着用者の背側から腹側に股間を介してわたすようにして、該パッドの液透過シート側を着用者の肌に当接するよう配置する。おむつカバーは、この吸収パッドを覆うようにして着用することが好ましい。
また本発明のパンツ型着用物品は、上述のようなパンツ型のおむつのほか、生理用ショーツ、ショーツ型ナプキンなどの、パンツ型の構造を有する吸収性物品一般を含む概念である。このパンツ型着用物品は、乳幼児用のものであっても、成人用のものであってもよい。また、吸収性本体を具備しない使い捨て下着であってもよい。
上述した実施形態および実施態様に関し、さらに以下の付記(パンツ型着用物品、パンツ型着用物品の製造方法)を開示する。
<1>着用者の腹側に配される腹側部と、股間部に配される股下部と、背側に配される背側部とを有し、腹側部の側縁部と背側部の側縁部とが接合されたサイドシール部を有するパンツ型着用物品であって、
前記腹側部および前記背側部には、第1シート材と第2シート材とを積層した外装体が配され、該外装体は幅方向に伸縮性を有し、
前記第1シート材には、スリット部を身丈方向に複数配したスリット領域があり、該スリット領域が間隔をおいて並ぶ配列を前記第1シート材の幅方向に有するパンツ型着用物品。
<2>前記腹側部及び前記背側部において、前記第1シート材と前記第2シート材との間に弾性体が前記スリット部を避けて幅方向に配されている、または前記第1シート材および前記第2シート材の両方またはどちらか一方が伸縮性を有する材料で形成されている前記<1>に記載のパンツ型着用物品。
<3>前記腹側部及び前記背側部において、前記第1シート材と前記第2シート材との間に弾性体が前記スリット部を避けて幅方向に配されており、前記弾性体の端部が、前記スリット領域と幅方向に並ぶ非スリット領域で、前記第1シート材及び前記第2シート材によって挟持され接合固定されている前記<2>記載のパンツ型着用物品。
<4>前記第1シート材のスリット領域で身丈方向に隣り合うスリット部に挟まれた部分が横長の帯部とされ、該帯部と前記第2シート材とが重なる部分に複数のシール部が配置され、該パンツ型着用物品の幅方向に隣接する前記シール部間で、前記帯部と前記第2シート材のそれぞれに襞が形成されている前記<2>または<3>に記載のパンツ型着用物品。
<5>前記第1シート材および前記第2シート材の両方またはどちらか一方は、延伸加工が施されている前記<2>〜<4>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<6>前記第1シート材自体が腰周り方向に伸縮性を有し、前記第1シート材が伸長状態で前記第2シート材に付けられている前記<2>〜<5>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<7>前記弾性体が前記第1シート材と前記第2シート材との間に挟持されている前記<6>に記載のパンツ型着用物品。
<8>弾性体を介して固定された前記第1シート材と前記第2シート材は、腰周り方向に延伸加工が施され、前記弾性体は伸長状態で前記第1シート材および前記第2シート材に固定されている前記<2>〜<7>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<9>前記第1シート材の帯部は、その帯幅における一部で前記第2シート材と固定され、自由端となった前記帯部の側縁部にフリルが形成されている前記<1>〜<8>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<10>前記第1シート材の帯部は、その幅方向における中央部で前記第2シート材と固定されている前記<9>に記載のパンツ型着用物品。
<11>前記外装体は、延伸加工が施されている前記<1>〜<10>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<12>前記スリット領域が、前記腹側部及び前記背側部の幅方向の中央域と前記サイドシール部近傍とを避けて配されている前記<1>〜<11>のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品。
<13>前記パンツ型着用物品はパンツ型おむつであり、その肌当接面側に、液保持性の吸収性本体が前記股下部から前記腹側部及び前記背側部へと架け渡して配されており、前記第1シート材の前記スリット領域が、前記吸収性本体の配置領域近傍と前記サイドシール部近傍とを避けて配されている前記<1>〜<12>のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品。
<14>前記第1シート材において、身丈方向で隣り合う前記スリット部同士に挟まれた部分が横長の帯部とされ、該帯部の側縁部に前記第2シート材との非固定部を有し、該非固定部にフリルが形成されている前記<1>〜<13>のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品。
<15>前記第1シート材が前記外装体を構成する外層材とされ、前記第2シート材が前記外装体を構成する内層材とされ、前記第1シート材が前記第2シート材の非肌当接面側に配置されている前記<1>〜<14>のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品。
<16>前記第1シート材が外装体を構成する内層材とされ、前記第2シートが前記外装体を構成する外層材とされ、前記第1シート材が前記第2シート材の肌当接面側に配置されている前記<1>〜<14>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<17>前記第1シート材のスリット部間にある帯部の帯幅は、1mm以上であって、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましい前記<1>〜<16>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<18>前記第1シート材のスリット部間にある帯部の帯幅は、60mm以下であって、40mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましい前記<1>〜<17>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<19>前記第1シート材のスリット部間にある帯部の帯幅は、1mm〜60mmであって、3mm〜40mmが好ましく、5mm〜30mmがより好ましい前記<1>〜<18>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<20>前記第2シート材は前記外装体を構成する内層材であり、前記外層材の帯部はその帯幅の中央部で前記内層材に固定されている前記<1>〜<19>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<21>前記外装体が前記股下部にも配された前記<1>〜<20>のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品。
<22>前記外装体の肌当接面側に吸収性本体が配された前記<1>〜<21>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<23>着用者の腹側に配される腹側部と、股間部に配される股下部と、背側に配される背側部とを有するパンツ型着用物品の製造方法であって、
該パンツ型着用物品の外装体をなす第1シート材の連続体と第2シート材の連続体とをそれぞれ搬送し、
前記第1シート材の連続体に対し、搬送方向に沿って形成されるスリット部を複数、搬送方向に直交する方向に間隔をおいて配するスリット領域を形成し、該スリット領域を搬送方向に間隔をおいて複数形成する工程と、
前記第1シート材の連続体と第2シート材の連続体とを積層し、前記外装体の腹側部と背側部とを形成する工程と、
前記腹側部及び前記背側部を対向させて重ね合わせ、該腹側部及び背側部の両側縁をそれぞれ接合してサイドシール部を形成する工程と、
前記サイドシール部で切断して個々のパンツ型着用物品に分離する工程と、
を備えるパンツ型着用物品の製造方法。
<24>前記外装体の腹側部及び背側部の形成工程において、前記第1シート材の連続体と第2シート材の連続体との間に、前記スリット部を避けて弾性体を伸長状態で導入し、該弾性体を前記第1シート材の連続体と前記第2シートの連続体とで挟持して接合固定する工程を備える<23>記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<25>前記外装体の腹側部及び背側部の形成工程において、前記弾性体をホットメルト接着剤を塗布した状態で導入し、前記第1シート材の連続体と前記第2シート材の連続体とで挟持して接合固定する<24>記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<26>前記前記外装体の腹側部及び背側部の形成工程において、前記スリット領域と搬送方向に並ぶ非スリット領域で、前記第1シート材の連続体及び前記第2シート材の連続体の少なくとも一方にホットメルト接着剤を塗布して、前記弾性体を接合固定する<24>又は<25>記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<27>前記前記外装体の腹側部及び背側部の形成工程において、前記第1シート材の連続体と前記第2シート材の連続体との間に前記弾性体を介在させた状態で、前記第1シート材の連続体のスリット領域における帯部の側縁部を前記第2シート材とエンボス接合する<24>〜<26>のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<28>前記サイドシール部の形成工程において、前記第2シート材同士を内側に対向させて前記腹側部と前記背側部と重ね合わせる<23>〜<27>のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<29>前記弾性体は、複数本の弾性体連続部材を用意し、それぞれが伸長された状態で、かつ、接着剤塗工装置により供給された接着剤が付された状態で供給される前記<24>〜<28>に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<30>前記腹側部の第1シート材の連続体と前記背側部の第1シート材の連続体とを、幅方向に離間させた状態で、一枚の前記第2シート材の連続体に供給する前記<23>〜<29>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<31>前記第1シート材の連続体と前記第2シート材の連続体とを積層させる前に、前記第1シート材の連続体および前記第2シート材の連続体のいずれか一方もしくは両方に、または前記第1シート材の連続体および前記第2シート材の連続体を積層状態にした後に、延伸加工を施す前記<23>〜<30>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<32>前記パンツ型着用物品は吸収性本体を備え、吸収性本体を前記外装体の所定の位置に配置する前記<23>〜<31>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<33>前記吸収性本体を前記外装体の所定の位置に配置する前に、該吸収性本体が付けられる部分について、弾性体の弾性機能を発現させなくする弾性体切断工程を備える前記<32>に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
10 パンツ型おむつ
11 外装体
13 股下部
21 腹側部
21A,21B 側縁部
23 背側部
23A,23B 側縁部
25 サイドシール部
31 内層材(第2シート)
33 外層材(第1シート)
35 弾性体
38 スリット部
39 帯部
39S 帯部の側縁部
71 スリット領域
72 非スリット領域
1S 第1シート材の連続体
2S 第2シート材の連続体

Claims (12)

  1. 着用者の腹側に配される腹側部と、股間部に配される股下部と、背側に配される背側部とを有し、腹側部の側縁部と背側部の側縁部とが接合されたサイドシール部を有するパンツ型着用物品であって、
    前記腹側部および前記背側部には、第1シート材と第2シート材とを積層した外装体が配され、該外装体は幅方向に伸縮性を有し、
    前記第1シート材には、スリット部を身丈方向に複数配したスリット領域があり、該スリット領域が間隔をおいて並ぶ配列を前記第1シート材の幅方向に有するパンツ型着用物品。
  2. 前記腹側部及び前記背側部において、前記第1シート材と前記第2シート材との間に弾性体が前記スリット部を避けて幅方向に配されており、前記弾性体の端部が、前記スリット領域と幅方向に並ぶ非スリット領域で、前記第1シート材及び前記第2シート材によって挟持され接合固定されている請求項1記載のパンツ型着用物品。
  3. 前記スリット領域が、前記腹側部及び前記背側部の幅方向の中央域と前記サイドシール部近傍とを避けて配されている請求項1又は2記載のパンツ型着用物品。
  4. 前記パンツ型着用物品はパンツ型おむつであり、その肌当接面側に、液保持性の吸収性本体が前記股下部から前記腹側部及び前記背側部へと架け渡して配されており、前記第1シート材の前記スリット領域が、前記吸収性本体の配置領域近傍と前記サイドシール部近傍とを避けて配されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品。
  5. 前記第1シート材において、身丈方向で隣り合う前記スリット部同士に挟まれた部分が横長の帯部とされ、該帯部の側縁部に前記第2シート材との非固定部を有し、該非固定部にフリルが形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品。
  6. 前記第1シート材が前記外装体を構成する外層材とされ、前記第2シート材が前記外装体を構成する内層材とされ、前記第1シート材が前記第2シート材の非肌当接面側に配置されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品。
  7. 着用者の腹側に配される腹側部と、股間部に配される股下部と、背側に配される背側部とを有するパンツ型着用物品の製造方法であって、
    該パンツ型着用物品の外装体をなす第1シート材の連続体と第2シート材の連続体とをそれぞれ搬送し、
    前記第1シート材の連続体に対し、搬送方向に沿って形成されるスリット部を複数、搬送方向に直交する方向に間隔をおいて配するスリット領域を形成し、該スリット領域を搬送方向に間隔をおいて複数形成する工程と、
    前記第1シート材の連続体と第2シート材の連続体とを積層し、前記外装体の腹側部と背側部とを形成する工程と、
    前記腹側部及び前記背側部を対向させて重ね合わせ、該腹側部及び背側部の両側縁をそれぞれ接合してサイドシール部を形成する工程と、
    前記サイドシール部で切断して個々のパンツ型着用物品に分離する工程と、
    を備えるパンツ型着用物品の製造方法。
  8. 前記外装体の腹側部及び背側部の形成工程において、前記第1シート材の連続体と第2シート材の連続体との間に、前記スリット部を避けて弾性体を伸長状態で導入し、該弾性体を前記第1シート材の連続体と前記第2シートの連続体とで挟持して接合固定する工程を備える請求項7記載のパンツ型着用物品の製造方法。
  9. 前記外装体の腹側部及び背側部の形成工程において、前記弾性体をホットメルト接着剤を塗布した状態で導入し、前記第1シート材の連続体と前記第2シート材の連続体とで挟持して接合固定する請求項8記載のパンツ型着用物品の製造方法。
  10. 前記前記外装体の腹側部及び背側部の形成工程において、前記スリット領域と搬送方向に並ぶ非スリット領域で、前記第1シート材の連続体及び前記第2シート材の連続体の少なくとも一方にホットメルト接着剤を塗布して、前記弾性体を接合固定する請求項8又は9記載のパンツ型着用物品の製造方法。
  11. 前記前記外装体の腹側部及び背側部の形成工程において、前記第1シート材の連続体と前記第2シート材の連続体との間に前記弾性体を介在させた状態で、前記第1シート材の連続体のスリット領域における帯部の側縁部を前記第2シート材とエンボス接合する請求項8〜10のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
  12. 前記サイドシール部の形成工程において、前記第2シート材同士を内側に対向させて前記腹側部と前記背側部と重ね合わせる請求7〜11のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
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