JP6026053B1 - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

直交する縦方向と横方向とを有する吸収性物品であって、腹側外装部材と、背側外装部材と、排泄物を吸収する吸収体を備え、一端側が前記腹側外装部材の一部に、他端側が前記背側外装部材の一部にそれぞれ重ねて接合された吸収性本体と、を有し、前記腹側外装部材及び前記背側外装部材は、前記縦方向にて前記吸収性本体と重複し、前記横方向にて前記吸収性本体と重複しない下方領域と、前記縦方向及び前記横方向にて前記吸収性本体と重複しない上方領域とをそれぞれ有し、前記腹側外装部材及び前記背側外装部材の少なくとも一方に、前記横方向に所定の長さを有し前記一方の外装部材を貫通する線状の切れ目が、前記縦方向及び前記横方向に所定の間隔で設けられ、前記上方領域の前記線状の切れ目の合計の長さを、前記上方領域の前記縦方向の長さで除した値は、前記下方領域の前記線状の切れ目の合計の長さを、前記下方領域の前記縦方向の長さで除した値より小さい。

Description

本発明は、吸収性物品に関する。
排泄物を吸収する吸収性物品として、使い捨ておむつ等が知られている。一般に、使い捨ておむつでは着用者の胴回りを覆う胴回り外装部材に伸縮性を有する部材が設けられ、着用時においては、該胴回り外装部材の伸縮性により着用者の胴回りにおけるフィット性を高めると共に、使い捨ておむつの位置がずれないようにしている。一方、そのような伸縮性を有する胴回り外装部材によって締め付けられることによって、着用者の肌がかぶれやすくなる場合がある。これに対して、胴回り外装部材の表面にスリット(切れ目)を設け、当該スリットにより通気性を確保することによって、おむつ着用時における肌のかぶれ等を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1)
特開2014‐221122号公報
しかし、胴回り外装部材にスリットを設けることにより、該スリットを起点として胴回り外装部材が破れやすくなる等、強度上の問題が生じる場合がある。特に、胴回り外装部材は、おむつの着脱を行う際に指でつまんで上下に引っ張る等の動作によって強い力が作用する部位であるため、スリットが設けられることにより十分な強度を確保できなくなるおそれがある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、良好な通気性を有しつつ、十分な強度を確保可能な使い捨ておむつを提供することにある。
上記目的を達成するための主たる発明は、互いに直交する縦方向と横方向とを有する吸収性物品であって、前方から着用者の腹側を覆う腹側外装部材と、後方から前記着用者の背側を覆う背側外装部材と、排泄物を吸収する吸収体を備え、一端側が前記腹側外装部材の一部に重ねて接合され、他端側が前記背側外装部材の一部に重ねて接合された吸収性本体と、を有し、前記腹側外装部材及び前記背側外装部材は、前記縦方向において前記吸収性本体と重複し、かつ、前記横方向において前記吸収性本体と重複しない下方領域と、前記縦方向において前記吸収性本体と重複せず、かつ、前記横方向において前記吸収性本体と重複しない上方領域とをそれぞれ有し、前記腹側外装部材及び前記背側外装部材のうちの、少なくとも一方の外装部材には、前記横方向に所定の長さを有しつつ前記一方の外装部材を貫通する線状の切れ目が、前記縦方向及び前記横方向に所定の間隔で複数設けられており、前記上方領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記上方領域の前記縦方向の長さで除した値は、前記下方領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記下方領域の前記縦方向の長さで除した値よりも小さく、前記下方領域は、前記縦方向において前記吸収体と重複する重複領域と、前記縦方向において前記吸収体と重複しない非重複領域とを有し、前記非重複領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記非重複領域の前記縦方向の長さで除した値は、前記重複領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記重複領域の前記縦方向の長さで除した値よりも小さい、ことを特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、良好な通気性を有しつつ、十分な強度を確保可能な使い捨ておむつを提供することができる。
本実施形態の吸収性物品の一例としての使い捨ておむつ1(おむつ1)の概略斜視図である。 展開状態のおむつ1を肌側から見た概略平面図である。 図2のA−A断面について表す図である。 図4A及び図4Bは、腹側外装部材30,背側外装部材40の変形例について説明する図である。 図2の領域Bについて拡大して表した図である。 図6Aは、おむつ1の着用時におけるスリット50の変形の様子について説明する図である。図6Bは、比較例においてスリット50の変形の様子について説明する図である。 おむつ1で上方領域30eо,40eоにスリット50が設けられていない場合について表した展開状態の概略平面図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに直交する縦方向と横方向とを有する吸収性物品であって、前方から着用者の腹側を覆う腹側外装部材と、後方から前記着用者の背側を覆う背側外装部材と、排泄物を吸収する吸収体を備え、一端側が前記腹側外装部材の一部に重ねて接合され、他端側が前記背側外装部材の一部に重ねて接合された吸収性本体と、を有し、前記腹側外装部材及び前記背側外装部材は、前記縦方向において前記吸収性本体と重複し、かつ、前記横方向において前記吸収性本体と重複しない下方領域と、前記縦方向において前記吸収性本体と重複せず、かつ、前記横方向において前記吸収性本体と重複しない上方領域とをそれぞれ有し、前記腹側外装部材及び前記背側外装部材のうちの、少なくとも一方の外装部材には、前記横方向に所定の長さを有しつつ前記一方の外装部材を貫通する線状の切れ目が、前記縦方向及び前記横方向に所定の間隔で複数設けられており、前記上方領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記上方領域の前記縦方向の長さで除した値は、前記下方領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記下方領域の前記縦方向の長さで除した値よりも小さい、ことを特徴とする吸収性物品。
このような吸収性物品によれば、上方領域に設けられる開口部(切れ目)の割合が、下方領域30に設けられる開口部の割合よりも小さくなる。これにより、上方領域では、外装部材の強度が確保されやすくなり、当該外装部材を構成する不織布等が破れることを抑制することができる。また、下方領域では、外装部材の通気性が確保されやすくなり、吸収性物品着用時において蒸れや不快感を生じにくくすることができる。つまり、良好な通気性を有しつつ、十分な強度を確保可能な吸収性物品を提供することができる。
かかる吸収性物品であって、前記下方領域は、前記縦方向において前記吸収体と重複する重複領域と、前記縦方向において前記吸収体と重複しない非重複領域とを有し、前記非重複領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記非重複領域の前記縦方向の長さで除した値は、前記重複領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記重複領域の前記縦方向の長さで除した値よりも小さい、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、上方への引っ張り力に対して吸収体による抗力が作用しにくい非重複領域に設けられる開口部(切れ目)の割合が、重複領域に設けられる開口部(切れ目)の割合よりも小さくなる。これにより、非重複領域では、外装部材の強度が確保されやすくなり、当該外装部材を構成する不織布等が破れることをより抑制しやすくなる。また、重複領域では、外装部材の通気性が確保されやすくなり、吸収性物品着用時において蒸れや不快感をより生じにくくすることができる。
かかる吸収性物品であって、前記上方領域及び前記下方領域の少なくとも一方において、前記横方向の或る一列に配置されている複数の前記線状の切れ目の合計の長さは、前記線状の切れ目が配置されている領域の前記横方向の長さの1/2よりも小さい、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、或る列において横長の切れ目が極端に多く形成されることが抑制され、外装部材で当該列の部分の強度が確保されやすくなる。すなわち、同一直線上に長手方向を揃えて設けられる切れ目の割合を制限することにより、おむつ等の吸収性物品の着脱時において該吸収性物品が破れてしまうことをより抑制しやすくなる。
かかる吸収性物品であって、前記横方向に隣り合う2つの前記線状の切れ目の間隔は、前記線状の切れ目の横方向の長さよりも長い、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、吸収性物品を着脱する際に外装部材が引っ張られた場合であっても、横方向に隣り合う切れ目の間隔を広く設けておくことにより、切れ目同士が互いに繋がってしまう等の問題が生じにくくなる。これにより、外装部材が横方向に裂けてしまうことを抑制できる。
かかる吸収性物品であって、前記腹側外装部材及び前記背側外装部材には、前記横方向に伸縮性を付与する弾性部材が、前記縦方向に所定の間隔で複数設けられており、前記縦方向に隣り合う2つの前記弾性部材の間に前記線状の切れ目が配置されている、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、縦方向に隣り合う2つの弾性部材による横方向に沿った収縮力が、該弾性部材の間に配置されている切れ目に対して作用しやすくなる。これにより、当該切れ目には、吸収性物品を着用する際に発生する上下方向への引っ張り力と、弾性部材による横方向の伸縮力とが作用するようになり、横長の線状の切れ目がひし形状に変形しやすくなる。当該切れ目がひし形状に変形することにより、着用者の肌と外気との間で熱や水分がひし形の切れ目を通過して移動しやすくなり、通気性をより良好にすることができる。
かかる吸収性物品であって、前記弾性部材が伸縮する方向と、前記線状の切れ目の長手方向とが平行である、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、弾性部材による伸縮力が、切れ目の長手方向(すなわち横方向)に作用しやすくなる。また、吸収性物品の着脱時には、外装部材に対して縦方向の引っ張り力が作用するため、切れ目に対して縦方向及び横方向の力がバランス良く作用するようになり、切れ目を良好なひし形状に変形しやすくなり、良好な通気性を実現しやすくなる。
かかる吸収性物品であって、前記上方領域における前記線状の切れ目の合計の長さはゼロである、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、上方領域において腹側外装部材及び背側外装部材の強度が低下しないため、吸収性物品を着脱する際に、該吸収性物品が破れることを抑制しやすくなる。
かかる吸収性物品であって、前記縦方向において前記吸収性本体と重複せず、かつ、前記横方向において前記吸収性本体と重複する上方中央領域における前記線状の切れ目の合計の長さはゼロである、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、吸収性物品を着用する動作において着用者の身体に吸収性本体をフィットさせるために頻繁に上方側へ引っ張られる部分である上方中央領域において十分な強度を確保することができる。これにより、吸収性物品の良好なフィット性と耐久性とを実現することができる。
かかる吸収性物品であって、前記腹側外装部材及び前記背側外装部材には、肌側シートと非肌側シートとが積層されて設けられており、前記非肌側シートのうち、前記肌側シートの前記縦方向の上側端部からはみ出した部分が前記縦方向の下側に折り返され、前記吸収性本体に接合されている、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、外装部材の縦方向上側の端縁部において積層されるシート部材の数が、外装部材の縦方向下側の端縁部において積層されるシート部材の数よりも多くなり、外装部材の縦方向上側端縁部における強度を高くすることができる。当該端縁部は吸収性物品の着用時において大きな力が作用する部位であるため、このようにして強度を高くすることによって、外装部材が破れることを抑制しやすくなる。
かかる吸収性物品であって、前記腹側外装部材及び前記背側外装部材の前記縦方向の上側端部の肌側には、前記腹側外装部材及び背側外装部材とは異なるシート部材が接合されている、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、外装部材の縦方向上側端縁部における強度を高くすることができる。さらに、シート部材の材料や大きさを変更することにより、吸収性物品の使用条件等に応じて外装部材の縦方向上側端縁部の補強強度を自由に調節することが可能であるため、より効率的に当該領域の強度を高くすることができる。
かかる吸収性物品であって、前記線状の切れ目の前記横方向の長さは2mm以上、10mm以下である、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、切れ目の横方向の長さを2mm以上とすることにより、吸収性物品の着用時に切れ目の開口面積が大きくなり、通気口としての機能を十分に発揮することができる。また、切れ目の横方向の長さを10mm以下とすることにより、切れ目部分に裂け目が生じることを抑制すると共に、着用者の指が切れ目に引っかかってしまうことを抑制できる。
===実施形態===
<使い捨ておむつの構成>
図1は、本実施形態の吸収性物品の一例としての使い捨ておむつ1(おむつ1)の概略斜視図である。図2は、展開状態のおむつ1を肌側から見た概略平面図である。図3は、図2のA−A断面について表す図である。
本実施形態のおむつ1は、所謂3ピースタイプであり、3つの部品10,30,40を有している。すなわち、このおむつ1は、第1部品として、着用者の股間部にあてがわれ尿等の排泄物を吸収する吸収性本体10を有し、第2部品として、同着用者の腹側部を覆う腹側外装部材30を有し、第3部品として、同着用者の背側部を覆う背側外装部材40を有している。また、図2及び図3に示されるように、展開状態のおむつ1は、互いに直交する三方向として縦方向と横方向と厚さ方向とを有している。なお、縦方向の「前側」はおむつ着用時において着用者の腹側を覆う部分であり、「後側」は着用者の背側を覆う部分である。また、厚さ方向で着用者の肌と接触する側のことを「肌側」と言い、その逆側のことを「非肌側」と言う。
図2の展開状態では、腹側外装部材30(図で縦方向上側)と背側外装部材40(図で縦方向下側)とが互いに縦方向に間隔をあけて平行に並んだ状態で、これらの間に吸収性本体10が掛け渡されつつ、同吸収性本体10の長手方向の各端部10ea,10ebがそれぞれ最寄りの外装部材30,40に接合固定されており、その外観形状は平面視略H形状をなしている。そして、この状態から、吸収性本体10がその長手方向の略中央部C10を折り位置として二つ折りされる。この二つ折りの状態において互いに対向する腹側外装部材30と背側外装部材40とが、着用者の脇腹に当接すべき部分である腹側外装部材側縁部30seと、背側外装部材側縁部40seと(つまり、横方向の各端部)にて接合・連結されると、これら外装部材30,40同士が環状に成形される。これにより、図1に示すような胴回り開口1HB及び一対の脚回り開口1HLが形成された着用状態のおむつ1となる。
図2及び図3に示されるように、吸収性本体10は、吸収性コア11と、吸収性コア11を同コア11の肌側から覆う表面シート部材13と、吸収性コア11を同コア11の非肌側から覆って吸収性本体10の外装をなす裏面シート部材15と、を備えている。
吸収性コア11は、液体吸収性素材を積層してなる部材であり、尿等の排泄物を吸収する吸収体である。液体吸収性素材としては、例えば、パルプ繊維等の液体吸収性繊維を使用することができる。なお、吸収性コア11は、液体吸収性粒状物として例えば高吸収性ポリマーを含有していても良いし、または、液体吸収性繊維及び液体吸収性粒状物以外の液体吸収性素材を含んでいても良い。また、吸収性コア11は、ティッシュペーパー等の液透過性シート(不図示)で被覆されていても良い。本実施形態の吸収性コア11は、図2における縦方向の前側端部と後側端部との間に、前側端部及び後側端部よりも横方向の幅が狭いくびれ部11cを有する。これにより、吸収性コア11は図2に示されるような平面視略砂時計形状となるように構成されている。
表面シート部材13は、吸収性コア11を肌側から覆うシート状の部材であり、例えば吸収性コア11よりも大きい平面サイズの液透過性の不織布である。裏面シート部材15は、吸収性コア11を非肌側から覆うシート状の部材であり、吸収性コア11より大きい平面サイズのシートであり、その一例としては、ポリエチレン又はポリプロピレン等の液不透過性の防漏シート15aと、不織布等の外装シート15bとが貼り合わされた二層構造のシートが挙げられる。そして、これら裏面シート部材15と表面シート部材13との間に吸収性コア11を挟んだ状態において、吸収性コア11の四辺から外側にはみ出す部分にて、裏面シート部材15と表面シート部材13とが額縁状に貼り合わされ、これにより、吸収性本体10が形成されている。なお、裏面シート部材15が外装シート15bを有さず、防漏シート15aのみによって構成されていても良い。
また、おむつ1において、外装シート15b等によって所謂立体ギャザーや脚回りギャザーが形成されていても良い(共に不図示)。立体ギャザーは、例えば、表面シート部材13の横方向の各端部にそれぞれ起立して設けられる防漏壁部であり、脚回りギャザーは、おむつ1の各脚回り開口1HL,1HLに形成される脚回り伸縮部のことである。また、表面シート部材13と吸収性コア11との間、又は、裏面シート部材15と吸収性コア11との間に、セカンドシートとしてティッシュペーパー等の液透過性シートが介装されていても良い。
腹側外装部材30及び背側外装部材40は、いずれも、例えば不織布等の柔軟なシートを素材とした平面視略矩形形状のシート部材である。図3に示されるように、腹側外装部材30は、厚さ方向の肌側から肌側シート31及び非肌側シート32を二枚重ねに接合することにより形成されている。同様に、背側外装部材40は、厚さ方向の肌側から肌側シート41、及び非肌側シート42を二枚重ねに接合することにより形成されている。そして、腹側外装部材30及び背側外装部材40は、それぞれ吸収性本体10における縦方向の各端部10ea,10ebを吸収性本体10の非肌側から覆いながら、当該各端部10ea,10ebに重ね合わせられて接合されている。
腹側外装部材30において、非肌側シート32の縦方向の長さは肌側シート31よりも長く、厚さ方向に重ねた状態で、非肌側シート32の縦方向上側端部が肌側シート31の縦方向上側端部からはみ出すように構成されている。そして、非肌側シート32のはみ出し部分は、図3に示されるように縦方向の下側に折り返され、折り返された部分32fが、肌側シート31に重ね合わせられて接合されている。これにより、腹側外装部材30の縦方向上側の端縁部において積層されるシート部材の数が、腹側外装部材30の縦方向下側の端縁部において積層されるシート部材の数よりも多くなり、縦方向上側端縁部における腹側外装部材30の強度を高くすることができる。当該端縁部はおむつ1の着用時において指でつままれる等により大きな力が作用する部位であるため、このようにして強度を高くすることによって、腹側外装部材30が破れたりすることを抑制しやすくなる。背側外装部材40の非肌側シート42及び肌側シート41についても同様である(図3参照)。
図4A及び図4Bは、腹側外装部材30,背側外装部材40の変形例について説明する図である。同図4A及び図4Bは、パンツ型形状のおむつ1について縦方向の断面を表したものである。図4Aでは、非肌側シート32のうち、肌側シート31の縦方向上側端部からはみ出して折り返された部分32fが、吸収性本体10を肌側から覆うようにして接合されている。このようにしても、腹側外装部材30の縦方向上側端縁部の強度を高くすることができる。さらに、吸収性本体10の縦方向上側端縁部が着用者の肌と直接接触することが抑制され、着用時における胴回りの肌触りを良好なものにすることができる。
一方、図4Bでは、非肌側シート32(42)と肌側シート31(41)とが互いに同じ大きさとなっている。この場合、非肌側シート32(42)が肌側シート31(41)からはみ出さないため、非肌側シート32(42)の折り返し部が形成されず、腹側外装部材30及び背側外装部材40の縦方向上側端縁部における強度が不十分となるおそれがある。そこで、図4Bの例では腹側外装部材30及び背側外装部材40の縦方向上側端縁部の肌側に補強シート部材70を設け、当該部位の強度を高めている。補強シート部材70は、腹側外装部材30及び背側外装部材40とは異なる矩形状の部材であり、不織布等によって形成することができる。このような補強シート部材70であれば、材料や大きさを変更することが可能なため、腹側外装部材30及び背側外装部材40の縦方向外側端縁部における強度をおむつ1の使用条件等に応じて自由に調節することができるため、より効率的に補強を行うことができる。なお、非肌側シート32の折り返し部分32fが形成され、かつ、補強シート部材70が配置される構成であっても良い。
腹側外装部材30への吸収性本体10の重ね合わせは、腹側外装部材30の縦方向の外側端部30eには吸収性本体10を重ねずに、同端部30eよりも縦方向の中央側の部分30cに吸収性本体10を重ねるようにして行われる(図2参照)。同様に、背側外装部材40への吸収性本体10の重ね合わせは、背側外装部材40の縦方向の端部40eには吸収性本体10を重ねずに、同端部40eよりも縦方向の中央側の部分40cに吸収性本体10を重ねるようにして行われる。なお、この重複しない部分30e,40eは、おむつ1の胴回り開口1HB(図1)を構成する部分となる。そして、該部分30e,40eには、後述する弾性部材35,45が、それぞれ同部分30e,40eにおける横方向の略全長に亘って連続して設けられている。
本実施形態のおむつ1では、腹側外装部材30の端部30eの縦方向の長さL30eは、背側外装部材40の端部40eの縦方向の長さL40eよりも小さくなるように、吸収性本体10が配置されている(L30e<L40e)。すなわち、吸収性本体10は、全体として背側外装部材40よりも腹側外装部材30の方に偏って配置されている。このようにすれば、おむつ1の着用時に腹側(前側)において効率的に尿を吸収することができる。また、吸収性本体10が腹側外装部材30寄りに設けられるため、着用者の背側において臀部上部領域が吸収性本体10によって覆われる面積は小さくなる。当該領域は、汗が溜まりやすく蒸れやすい領域であるため、吸収性本体10によって覆われる面積を小さくすることで、熱を拡散させて蒸れの発生を抑制しやすくなる。但し、L30eとL40eとの大小関係は上述の限りではなく、L30e≧L40eの関係であっても良い。
また、以下では腹側外装部材30において、縦方向において吸収性本体10と重複しない領域である端部30eのうち、横方向において吸収性本体10と重複しない領域を上方領域30eоと呼ぶ。図2において、上方領域30eоは、腹側外装部材30の横方向の両脇上部に斜線で表示された領域である。また、腹側外装部材30において、横方向両側の上方領域30eоの間の領域、すなわち、縦方向において吸収性本体10と重複せず、横方向において吸収性本体10と重複する領域を上方中央領域30ecと呼ぶ。なお、ここで言う「上方」とは、図1や図4A,4Bのようにおむつ1をパンツ型にした状態における縦方向の上側のことであり、図2においては縦方向の前側に相当する。
同様に、背側外装部材40において、縦方向において吸収性本体10と重複しない領域である端部40eのうち、横方向において吸収性本体10と重複しない領域を上方領域40eоと呼ぶ。また、背側外装部材40において、縦方向において吸収性本体10と重複せず、横方向において吸収性本体10と重複する領域を上方中央領域40ecと呼ぶ。
一方、腹側外装部材30において、縦方向において吸収性本体10と重複する領域である端部30cのうち、横方向において吸収性本体10と重複しない領域を下方領域30cоと呼ぶ。図2において、下方領域30cоは、腹側外装部材30の横方向の両脇下部に網掛けで表示された領域である。さらに、下方領域30cоのうち、縦方向において吸収性本体10と重複する領域を重複領域30cо1、縦方向において吸収性本体10と重複しない領域を非重複領域30cо2と呼ぶ。なお、ここで言う「下方」とは、図1や図4A,4Bのようにおむつ1をパンツ型にした状態における縦方向の下側のことであり、図2においては縦方向の後側に相当する。
同様に、背側外装部材40において、縦方向において吸収性本体10と重複する領域である端部40cのうち、横方向において吸収性本体10と重複しない領域を下方領域40cоと呼ぶ。そして、下方領域40cоのうち、縦方向において吸収性本体10と重複する領域を重複領域40cо1、縦方向において吸収性本体10と重複しない領域を非重複領域40cо2と呼ぶ。
これらの上方領域30eо,40eо、及び下方領域30cо,40cоには、横方向に所定の長さを有しつつ各外装部材30,40を貫通する線状の切れ目であるスリット50が、縦方向及び横方向に所定の間隔で複数設けられている。スリット50の詳細については後で説明する。
腹側外装部材30に係る2枚のシート31,32同士の間には、横方向に沿って糸ゴム等の複数の弾性部材35,35…が介挿されつつ、横方向に伸長された状態で同シート31,32に接合固定されている。また、かかる複数本の弾性部材35,35…は、縦方向に間隔をあけながら縦方向に並んで設けられている。同様に、背側外装部材40に係る2枚のシート41,42同士の間には、横方向に沿って糸ゴム等の複数の弾性部材45,45…が介挿されつつ、横方向に伸長された状態で同シート41,42に接合固定されている。また、かかる複数本の弾性部材45,45…は、縦方向に間隔をあけながら縦方向に並んで設けられている。これにより、腹側外装部材30及び背側外装部材40に対して横方向の伸縮性が付与され、当該伸縮性がおむつ1の胴回り開口1HBの伸縮性となる。弾性部材35及び45は、太さや本数、縦方向の配置位置等の詳細仕様を除けば、その基本構成は、概ね互いに同じである。
なお、弾性部材35,45は横方向の中央部付近で吸収性コア11と重複する領域において一部が非連続となっており、当該領域に伸縮性が作用しないようになっている。これにより、吸収性コア11の横方向(幅方向)の収縮が抑制されるため、吸収性コア11における皺の発生等が抑制され、吸収性コア11の肌側面が略平坦に維持されやすくなる。その結果、吸収性コア11の吸液阻害を有効に防ぐことができて、また皺の発生に起因する排泄物の漏れ等も抑制することができる。
<外装部材30,40に設けられる切れ目(スリット50)について>
図5は、図2の領域Bについて拡大して表した図である。同図5では、腹側外装部材30の上方領域30eо及び下方領域30cоに形成されている複数のスリット50の配置の一例について表している。なお、図2に示されるように、背側外装部材40にも複数のスリット50が設けられているが、その基本構成や機能は腹側外装部材30と略同様であるため、ここでは主に腹側外装部材30について説明を行い、背側外装部材40については説明を省略する。但し、腹側外装部材30と背側外装部材40とでスリット50の配置や数が異なっていても良い。また、腹側外装部材30と背側外装部材40とのどちらか一方にのみスリット50が設けられ、他方にはスリットが設けられていなくても良い。
スリット50は、腹側外装部材30を厚さ方向に貫通する切れ目であり、おむつ1の横方向に沿って、所定の間隔をあけて複数が列状に形成されている。なお、スリット50は縦方向に所定の幅を持つように切り欠かれた部分であっても良いが、腹側外装部材30の強度を考慮すれば線状の切れ目であることが好ましい。以下では、スリット50は横方向に所定の長さを有する「線状」の切れ目であるものとして説明を行う。
おむつ1において腹側外装部材30に形成されているスリット50は、縦方向の外側の領域(図5において腹側外装部材30の上方側の領域)と、縦方向の中央側の領域(図5において腹側外装部材30の下方側の領域)とで配置や形状が異なっている。図5に示される例では、下方領域30cоには第1スリット51及び第2スリット52が形成されており、上方領域30eоには第2スリット52が形成されている。第1スリット51は、例えば、横方向の長さ(以下、「スリット長」とも呼ぶ)が3mm、横方向に隣り合う第1スリット51同士の間隔(以下、「スリットピッチ」とも呼ぶ)が8mmで、横方向の一列に4つずつ形成されている。一方、第2スリット52は、例えば、横方向の長さ(スリット長)が2mm、横方向に隣り合う第2スリット52同士の間隔(スリットピッチ)が8mmで、横方向の一列に5つずつ形成されている。なお、各スリット50のスリット長や間隔はこの限りではなく、また、隣り合うスリット同士でスリット長や間隔が異なっていても良い。このように複数のスリット50を設けることにより、おむつ1着用時における腹側外装部材30の通気性が確保され、着用者に不快感を与えにくくなる。
おむつ1において、十分な通気性を確保するために、スリット50のスリット長は2mm以上であることが望ましい。スリット長が2mmよりも短い場合、おむつ1の着用時にスリット50の開口面積が小さくなり、通気口としての機能を十分に発揮することができなくなるおそれがある。また、腹側外装部材30の強度確保の観点から、スリット50のスリット長は10mm以下とすることが望ましい。スリット長が10mmよりも長い場合、おむつ1を着脱する際に腹側外装部材30が引っ張られる力によってスリット50の長手方向端部等に裂け目が生じやすくなり、腹側外装部材30の強度を十分に確保できなくなるおそれがある。また、スリット長が長いと、着用者の指が該スリット50に引っかかりやすくなり、当該指の力によってスリット50が裂けてしまうおそれがある。
また、図5の例に示されるように、スリット50のスリットピッチは、該スリット50のスリット長よりも長いことが望ましい。スリットピッチがスリット長以下である場合、おむつ1の着脱時に腹側外装部材30を引っ張る力によって隣り合うスリット50同士が互いに繋がりやすくなり、腹側外装部材30が横方向に裂けてしまうおそれがある。これに対してスリットピッチをスリット長よりも長く設けることにより、隣り合うスリット50同士が繋がることを抑制しやすくなる。
本実施形態のおむつ1では、腹側外装部材30の領域毎にスリット50の形状や配置を調整することで、腹側外装部材30の良好な通気性を確保しつつ、腹側外装部材30の十分な強度も維持することができる。図5において、腹側外装部材30の下方領域30cоには、第1スリット51が横方向に4つ、縦方向に6列分形成され、第2スリット52が横方向に5つ、縦方向に3列分形成されている。一方、上方領域30eоには、第2スリット52が横方向に5つ、縦方向に4列分形成されている。
そして、上方領域30eоにおけるスリット50(切れ目)の合計の長さを上方領域30eоの縦方向の長さL30eで除した値は、下方領域30cоにおけるスリット50(切れ目)の合計の長さを下方領域30cоの縦方向の長さL30cで除した値よりも小さくなっている。例えば、図5の例の場合、上方領域30eоにおけるスリット長の合計値は、2mm×5×4列=40mmである。一方、下方領域30cоにおけるスリット長の合計値は、2mm×5×3列+3mm×4×6列=102mmである。したがって、(40mm/L30e)<(102mm/L30c)の関係が成立する。
この関係は、上方領域30eоに設けられた開口部(すなわちスリット50が形成されている部分)の割合が、下方領域30cоに設けられた開口部の割合よりも小さいことを表している。つまり、腹側外装部材30では、上方領域30eоよりも下方領域30cоにより多くの割合で切れ目(スリット50)が形成されていることになる。上方領域30eоは、おむつ1を着用する際に、指で挟んで上方に引っ張られることにより大きな力が作用する領域であるため、当該領域中に形成されるスリット50の割合を少なくして強度を確保することにより、当該領域において不織布が破れることを抑制している。逆に、下方領域30cоは、指等で直接引っ張られる可能性が低いため、当該領域中に形成されるスリット50の割合を多くして、通気性をより高くしている。すなわち、おむつ1では、上方領域30eоでは切れ目を少なくして強度の確保を優先し、下方領域30cоでは切れ目を多くして良好な通気性を優先している。
さらに、本実施形態では、下方領域30cоのうち縦方向下方の重複領域30cо1と、縦方向上方の非重複領域30cо2でもスリット50の割合を調整している。すなわち、非重複領域30cо2におけるスリット50(切れ目)の合計の長さを非重複領域30cо2の縦方向の長さL30c2で除した値は、重複領域30cо1におけるスリット50(切れ目)の合計の長さを重複領域30cо1の縦方向の長さL30c1で除した値よりも小さくなっている。例えば、図5の例の場合、非重複領域30cо2におけるスリット長の合計値は、2mm×5×2列=20mmである。一方、重複領域30cо1におけるスリット長の合計値は、2mm×5×1列+3mm×4×6列=82mmである。したがって、(20mm/L30c2)<(82mm/L30c1)の関係が成立する。
この場合、非重複領域30cо2では重複領域30cо1よりも切れ目(スリット50)が形成されている割合が低くなる。下方領域30cоのうち非重複領域30cо2は、重複領域30cо1よりも上方領域30eоに近いため、おむつ1を着用する際に上方領域30eоが上方へ引っ張られることにより、非重複領域30cо2も上方側へ引っ張られやすい。また、重複領域30cо1は縦方向において吸収性コア11と重複しているのに対して、非重複領域30cо2は縦方向において吸収性コア11と重複していない。そのため、重複領域30cо1では上方への引っ張り力に対して吸収性コア11による抗力が作用するのに対して、非重複領域30cо2では引っ張り力に対して吸収性コア11による効力が作用しにくい。したがって、非重複領域30cо2では、領域中に形成されるスリット50の割合を低くして強度の確保を優先している。一方、重複領域30cо1では、領域中に形成されるスリット50の割合を高くして、通気性をより高くしている。
なお、腹側外装部材30の強度を確保するためには、横方向の列毎に設けられているスリット50の割合についても考慮する必要がある。すなわち、或る領域(例えば、下方領域30cо等の所定の面積を有する領域)中に設けられているスリット50の割合だけでなく、或る列において同一直線上に設けられている複数のスリット50の割合についても考慮するべきである。或る列において横長のスリット50が極端に多く形成されていると、その列では腹側外装部材30の強度が弱くなり、該腹側外装部材30が破れてしまうおそれがあるからである。
本実施形態では、腹側外装部材30の上方領域30eо若しくは下方領域30cоの横方向の或る一列に設けられているスリット50のスリット長の合計の長さが、該スリット50が設けられている領域の横方向の長さの1/2よりも小さくなるようにしている。例えば、図5で上方領域30eоの横方向の有効長さ(連結部となる側縁部30seを除いた横方向長さ)は59mmであるのに対して、上方領域30eо中の或る一列に設けられている第2スリット52のスリット長の合計の長さは2mm×5=10mmであり、59mmの半分の長さよりも小さい(10mm<59mm/2)。同様に、下方領域30cоの横方向の長さが59mmであるのに対して、下方領域30cо中の或る一列に設けられている第1スリット51のスリット長の合計の長さは3mm×4=12mmであり、59mmの半分の長さよりも小さい(12mm<59mm/2)。このように、同一線上に長手方向を揃えて並ぶスリット(切れ目)の長さの合計が、資材(ここでは腹側外装部材30)の長さの半分よりも小さくなるようにすることで、該資材の強度が確保され、着脱時においておむつ1が破れてしまうことをより抑制しやすくなる。
図6Aは、おむつ1の着用時におけるスリット50の変形の様子について説明する図である。図6Bは、比較例におけるスリット50の変形の様子について説明する図である。おむつ1の着用時には、腹側外装部材30(背側外装部材40)を上方に引っ張り上げる動作により、腹側外装部材30に設けられたスリット50に対して上下方向の力が作用する。そして、そのような力(引っ張り力)を受けることによって、スリット50の形状が変化する。
図6Aに示されるように、おむつ1を着用する際の上方への引っ張り力により、スリット50には縦方向の上下に向かう力Fvが作用する。また、おむつ1の着用時には、腹側外装部材30(背側外装部材40)に設けられている弾性部材35(弾性部材45)の横方向の収縮力により、スリット50には横方向の左右に向かう力Fhが作用する。その結果、スリット50は力Fvによって縦方向に広がりつつ、力Fhによって横方向にも広げられ、図6Aのような略ひし形の形状に変形する。このようにスリット50が線状からひし形状に変形することにより、着用者の肌と外気との間で熱や水分がスリット50を通過して移動しやすくなり、通気性をより良好にすることができる。
これに対して、図6Bでは、比較例として、腹側外装部材30に弾性部材35による横方向の収縮力が十分に作用しない場合について表している。比較例の場合、スリット50には縦方向の上下に向かう力Fvのみが作用するため、スリット50は図6Bに示されるような縦長の形状に変形しやすくなる。図6Bのような縦長の形状では、図6Aのひし形状と比較して良好な通気性を確保することが難しい。また、もともと横長の形状であったスリット50が縦長に大きく変形することにより、当該スリット50が形成されている領域に過度な応力が発生し、腹側外装部材30が破れやすくなるおそれがある。
おむつ1では、図6Aのように、弾性部材35,45による収縮力をスリット50に対して効果的に作用させることにより、通気性をより良好にすることが可能となる。特に、本実施形態では、横方向に伸縮可能に設けられた弾性部材35が縦方向に所定の間隔で複数設けられており、縦方向に隣り合う弾性部材35同士の間に横長のスリット50が配置されている。すなわち、スリット50が縦方向において弾性部材35に挟まれた構造となっている。これにより、縦方向に隣り合う2つの弾性部材35による収縮力が、その間に配置されているスリット50に対して作用しやすくなり、スリット50のひし形状の変形が助長される。また、本実施形態ではスリット50の長手方向と弾性部材35,45の伸縮方向とが平行になるように、各々が配置されている。このようにスリット50及び弾性部材35,45が配置されていれば、おむつ1着用時に作用する引っ張り方向と弾性部材35,45の伸縮方向とが交差するようになる。これにより、スリット50に対して縦方向及び横方向の力がバランス良く作用するようになり、該スリット50を図6Aに示されるような良好なひし形状に変形させることができる。
また、図2に示されるように、おむつ1では、腹側外装部材30(背側外装部材40)の上方中央領域30ec,40ecには切れ目(スリット50)が形成されていない。言い換えると、上方中央領域30ec,40ecにおける切れ目(スリット50)の合計の長さはゼロである。この上方中央領域30ec,40ecは、おむつ1の着用時において腹部や背部の熱が溜まりやすい領域であるため、切れ目を配置して通気性を高めておくことが望ましい。しかし、当該領域は、着用者の身体(例えば股下部)に吸収性本体10をフィットさせるために頻繁に上方側へ引っ張られる部分でもあるため、十分な強度を確保しておかなければおむつ1が破れてしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、上方中央領域30ec,40ecにはスリット50を設けないこととして、強度の確保を優先している。これにより、おむつ1を着用する際に良好なフィット性と耐久性が実現される。
但し、上方中央領域30ec,40ecに設けられるスリット50を必ずしもゼロにする必要はなく、短いスリットを少数配置する構成としても良い。その際、上述したような補強シート部材70を腹側外装部材30及び背側外装部材40の縦方向外側端縁部に設けることで強度を確保することも可能である。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのは言うまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
上述の実施形態では、腹側外装部材30の上方領域30eо及び背側外装部材40の上方領域40eоに、切れ目であるスリット50が複数設けられていたが、当該領域にスリット50が設けられていなくても良い。図7は、おむつ1で上方領域30eо,40eоにスリット50が設けられていない場合について表した展開状態の概略平面図である。同図7において、上方領域30eо,40eоにはスリット50が設けられておらず、下方領域30cо,40cоにのみスリット50が設けられている(図7の例では、重複領域30cо1,40cо1に第1スリット51が設けられている)。上方領域30eо,40eоにスリット50を設けないことで、当該領域において腹側外装部材30及び背側外装部材40の強度の低下が抑制され、引っ張り等の力により対抗しやすくなる。なお、上方領域30eо,40eоにスリット50が形成されていない場合、当該領域におけるスリット50(切れ目)の合計の長さはゼロになる。したがって、上方領域30eоにおけるスリット50(切れ目)の合計の長さを上方領域30eоの縦方向の長さL30eで除した値が、下方領域30cоにおけるスリット50(切れ目)の合計の長さを下方領域30cоの縦方向の長さL30cで除した値よりも小さくなるという関係は、満たされている。
上述の実施形態では、外装シート15b及び腹側外装部材30,背側外装部材40の素材をそれぞれ不織布としていたが、何等不織布に限らない。例えば、織布でも構わないし、織布以外のシート部材でも構わない。ちなみに、外装シート15bについては省略しても良く、その場合には、防漏シート15aが吸収性本体10の外装をなすことになる。
上述の実施形態では、弾性部材35,45として糸ゴムを例示したが、何等これに限らない。例えば、弾性部材35,45として帯状のゴムを用いても良いし、伸縮性を有した帯状の不織布や、伸縮性を有した帯状の樹脂フィルムを用いても良い。
上述の実施形態では、吸収性物品の一例として3つの部品によって構成される所謂3ピースタイプのおむつ1について説明されていたが、この限りではない。例えば、腹側外装部材30及び背側外装部材40が一体的に構成された一体型の外装部材と、吸収性本体10との2つの部品からなる使い捨ておむつ等にも適用可能である。この場合も、一体型外装部材の腹側及び背側のそれぞれについて、縦方向において吸収性本体10重複し、横方向において重複しない下方領域30cо,40cоと、縦方向において吸収性本体10重複せず、横方向においても重複しない上方領域30eо,40eоとが設けられ、各々の領域には横長の線状の切れ目であるスリット50が設けられる。そして、上方領域におけるスリット50の合計の長さを該上方領域の縦方向の長さで除した値は、下方領域におけるスリット50の合計の長さを該下方領域の縦方向の長さで除した値よりも小さくなる。
1 おむつ(吸収性物品)、1HB 胴回り開口、1HL 脚回り開口、
10 吸収性本体、10ea 端部、10eb 端部、
11 吸収性コア(吸収体)、11c くびれ部、
13 表面シート部材、
15 裏面シート部材、15a 防漏シート、15b 外装シート、
30 腹側外装部材、
30e 端部、30eо 上方領域、30ec 上方中央領域、
30c 部分、30cо 下方領域、30cо1 重複領域、30cо2 非重複領域、30se 腹側外装部材側縁部、
31 肌側シート、32 非肌側シート、35 弾性部材、
40 背側外装部材、
40e 端部、40eо 上方領域、40ec 上方中央領域、
40c 部分、40cо 下方領域、40cо1 重複領域、40cо2 非重複領域、40se 背側外装部材側縁部、
41 肌側シート、42 非肌側シート、45 弾性部材、
50 スリット(切れ目)、
51 第1スリット、52 第2スリット、
70 補強シート部材、
C10 中央部、
L30c 下方領域30cоの縦方向の長さ、
L30c1 重複領域30cо1の縦方向の長さ、
L30c2 非重複領域30cо2の縦方向の長さ、
L30e 上方領域30cоの縦方向の長さ、
L40c 下方領域40cоの縦方向の長さ、
L40c1 重複領域40cо1の縦方向の長さ、
L40c2 非重複領域40cо2の縦方向の長さ、
L40e 上方領域40cоの縦方向の長さ

Claims (10)

  1. 互いに直交する縦方向と横方向とを有する吸収性物品であって、
    前方から着用者の腹側を覆う腹側外装部材と、後方から前記着用者の背側を覆う背側外装部材と、
    排泄物を吸収する吸収体を備え、一端側が前記腹側外装部材の一部に重ねて接合され、他端側が前記背側外装部材の一部に重ねて接合された吸収性本体と、
    を有し、
    前記腹側外装部材及び前記背側外装部材は、前記縦方向において前記吸収性本体と重複し、かつ、前記横方向において前記吸収性本体と重複しない下方領域と、前記縦方向において前記吸収性本体と重複せず、かつ、前記横方向において前記吸収性本体と重複しない上方領域とをそれぞれ有し、
    前記腹側外装部材及び前記背側外装部材のうちの、少なくとも一方の外装部材には、
    前記横方向に所定の長さを有しつつ前記一方の外装部材を貫通する線状の切れ目が、前記縦方向及び前記横方向に所定の間隔で複数設けられており、
    前記上方領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記上方領域の前記縦方向の長さで除した値は、前記下方領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記下方領域の前記縦方向の長さで除した値よりも小さく、
    前記下方領域は、前記縦方向において前記吸収体と重複する重複領域と、前記縦方向において前記吸収体と重複しない非重複領域とを有し、
    前記非重複領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記非重複領域の前記縦方向の長さで除した値は、前記重複領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記重複領域の前記縦方向の長さで除した値よりも小さい、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 請求項に記載の吸収性物品であって、
    前記上方領域及び前記下方領域の少なくとも一方において、前記横方向の或る一列に配置されている複数の前記線状の切れ目の合計の長さは、前記線状の切れ目が配置されている領域の前記横方向の長さの1/2よりも小さい、ことを特徴とする吸収性物品。
  3. 請求項1または2に記載の吸収性物品であって、
    前記横方向に隣り合う2つの前記線状の切れ目の間隔は、前記線状の切れ目の横方向の長さよりも長い、ことを特徴とする吸収性物品。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性物品であって、
    前記腹側外装部材及び前記背側外装部材には、前記横方向に伸縮性を付与する弾性部材が、前記縦方向に所定の間隔で複数設けられており、
    前記縦方向に隣り合う2つの前記弾性部材の間に前記線状の切れ目が配置されている、ことを特徴とする吸収性物品。
  5. 請求項に記載の吸収性物品であって、
    前記弾性部材が伸縮する方向と、前記線状の切れ目の長手方向とが平行である、ことを特徴とする吸収性物品。
  6. 互いに直交する縦方向と横方向とを有する吸収性物品であって、
    前方から着用者の腹側を覆う腹側外装部材と、後方から前記着用者の背側を覆う背側外装部材と、
    排泄物を吸収する吸収体を備え、一端側が前記腹側外装部材の一部に重ねて接合され、他端側が前記背側外装部材の一部に重ねて接合された吸収性本体と、
    を有し、
    前記腹側外装部材及び前記背側外装部材は、前記縦方向において前記吸収性本体と重複し、かつ、前記横方向において前記吸収性本体と重複しない下方領域と、前記縦方向において前記吸収性本体と重複せず、かつ、前記横方向において前記吸収性本体と重複しない上方領域とをそれぞれ有し、
    前記腹側外装部材及び前記背側外装部材のうちの、少なくとも一方の外装部材には、
    前記横方向に所定の長さを有しつつ前記一方の外装部材を貫通する線状の切れ目が、前記縦方向及び前記横方向に所定の間隔で複数設けられており、
    前記上方領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記上方領域の前記縦方向の長さで除した値は、前記下方領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記下方領域の前記縦方向の長さで除した値よりも小さく、
    前記上方領域における前記線状の切れ目の合計の長さはゼロである、ことを特徴とする吸収性物品。
  7. 互いに直交する縦方向と横方向とを有する吸収性物品であって、
    前方から着用者の腹側を覆う腹側外装部材と、後方から前記着用者の背側を覆う背側外装部材と、
    排泄物を吸収する吸収体を備え、一端側が前記腹側外装部材の一部に重ねて接合され、他端側が前記背側外装部材の一部に重ねて接合された吸収性本体と、
    を有し、
    前記腹側外装部材及び前記背側外装部材は、前記縦方向において前記吸収性本体と重複し、かつ、前記横方向において前記吸収性本体と重複しない下方領域と、前記縦方向において前記吸収性本体と重複せず、かつ、前記横方向において前記吸収性本体と重複しない上方領域とをそれぞれ有し、
    前記腹側外装部材及び前記背側外装部材のうちの、少なくとも一方の外装部材には、
    前記横方向に所定の長さを有しつつ前記一方の外装部材を貫通する線状の切れ目が、前記縦方向及び前記横方向に所定の間隔で複数設けられており、
    前記上方領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記上方領域の前記縦方向の長さで除した値は、前記下方領域における前記線状の切れ目の合計の長さを、前記下方領域の前記縦方向の長さで除した値よりも小さく、
    前記縦方向において前記吸収性本体と重複せず、かつ、前記横方向において前記吸収性本体と重複する上方中央領域における前記線状の切れ目の合計の長さはゼロである、ことを特徴とする吸収性物品。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の吸収性物品であって、
    前記腹側外装部材及び前記背側外装部材には、肌側シートと非肌側シートとが積層されて設けられており、
    前記非肌側シートのうち、前記肌側シートの前記縦方向の上側端部からはみ出した部分が前記縦方向の下側に折り返され、前記吸収性本体に接合されている、ことを特徴とする吸収性物品。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の吸収性物品であって、
    前記腹側外装部材及び前記背側外装部材の前記縦方向の上側端部の肌側には、前記腹側外装部材及び背側外装部材とは異なるシート部材が接合されている、ことを特徴とする吸収性物品。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の吸収性物品であって、
    前記線状の切れ目の前記横方向の長さは2mm以上、10mm以下である、ことを特徴とする吸収性物品。
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