JP5704901B2 - 2次元フォトニック結晶面発光レーザ - Google Patents
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この2次元フォトニック結晶面発光レーザは、半導体と空気や誘電体などの媒質で2次元周期的に屈折率を変化させた構造が活性層近傍に配置された構造になっている。
キャリアの注入によって活性層で発生した光は2次元フォトニック結晶で規定する波長で帰還・増幅し発振する。
さらに、2次元フォトニック結晶で1次回折し面垂直方向に光が取り出される。
すなわち、必要に応じて、レーザビームの形状を制御し、あるいは表面に形成する電極や誘電体などに対し回折光の吸収を抑制して特定の場所から回折光を出射させるため、面内で回折光の強弱の分布を付けることが求められる。
例えば、特許文献1の2次元フォトニック結晶面発光レーザは、表面に形成した電極でキャリアを注入し、活性層で発生した光を電極端から取り出している。
このような場合、電極直下の回折光は電極で吸収されてしまうため、電極直下での回折光の強度を弱くし、この電極直下よりも開口部で回折光の強度が強くなるように制御することが求められる。
前記下部クラッド層上に設けられたキャリアを注入することで発光する活性層と、
前記活性層上に設けられた前記活性層で発生した光を面内で共振させる2次元フォトニック結晶層を有する2次元フォトニック結晶面発光レーザであって、
前記2次元フォトニック結晶層上に設けられ、該2次元フォトニック結晶層中の光強度分布を制御する光強度分布制御層を備え、
前記下部クラッド層と、前記活性層と、前記フォトニック結晶層と、前記光強度分布制御層と、該光強度分布制御層上に設けられた上部クラッド層と、の積層構造によるスラブ導波路が構成され、
前記光強度分布制御層の屈折率は、前記スラブ導波路の実効屈折率より大きく、面内での膜厚分布が異なっていることを特徴とする。
2次元フォトニック結晶は面内に高屈折率媒と低屈折率媒が2次元周期的に配置されおり、活性層で発生した光を2次元面内で共振させる。
さらに、2次元フォトニック結晶で光を1次回折させて光を垂直方向に出射させる。
垂直方向に回折する光の強度は2次元フォトニック結晶の膜厚の影響を受ける。図1は回折光の様子を示した模式図で、格子定数aの2次元フォトニック結晶中に活性層で発生した光によって定在波が形成され、垂直方向に回折する様子を表している。
光は2次元フォトニック結晶の厚さ方向に対して、どの位置においても回折するため、図1の回折光L1とL2のように光路差が生じる。
そして、このような回折される光が重ね合わさることで、回折光は干渉して強め合ったり、弱め合ったりする。
干渉が強め合うか弱め合うかは、2次元フォトニック結晶の膜厚dで決まる。
実線は2次元フォトニック結晶に分布する光が一定である場合で、点線は実際のレーザ構造上に分布する光の様に指数関数(Exp)で減衰した場合を計算したものである。
2次元フォトニック結晶の膜厚dが0〜0.5aまで増すと回折光の強度は強め合って増加する。さらに膜厚を増すと、回折した光が弱め合う。
そして、2次元フォトニック結晶の膜厚dがaの時、最も弱くなる。それ以降は0.5aの間隔で強め合い、弱め合いが繰り返される。
2次元フォトニック結晶の格子定数aに対してフォトニック結の層の膜厚dがd=(0.5+p)aの時に最も強め合う(但し、(p=0,1,2・・・)である)。これに対してd=qaの時に最も弱め合う(但し、(q=1,2,3・・・)である。)。
面内で2次元フォトニック結晶の膜厚を変えることで、例えば図2のA−B間の様に回折光強度を変えることが出来る。
さらに、2次元フォトニック結晶中の光分布が均一であればC−D間の様に大きく強度を変えられる。
しかし、2次元フォトニック結晶の膜厚を面内で変えるには、数十nmスケールの微細な構造を面内で精度良く作り分けなければならない。そのため、面内で2次元フォトニック結晶の深さを変える方法は作製が難しい。
すなわち、本発明では、基板上に設けられた下部クラッド層と、下部クラッド層上に設けられたキャリアを注入することで発光する活性層と、活性層上に設けられた2次元フォトニック結晶層を有する2次元フォトニック結晶面発光レーザをつぎのように構成する。
すなわち、上記2次元フォトニック結晶層上に設けられ、該2次元フォトニック結晶層中の光強度分布を制御する光強度分布制御層を備える。
そして、2次元フォトニック結晶に分布する光の強度制御する光強度分布制御層を設け、その光強度分布制御層の膜厚を面内で変化させることにより、回折光の干渉強度を変えて回折光の強弱の分布をつけるように構成される。具体的に図2で言うと、A−C間や、B−D間で強度を変化させるようにする。
また、本発明は、光強度分布制御層の膜厚を制御するのみであるため、作製が簡単である。
実施形態1として、2次元フォトニック結晶面発光レーザにおける光強度分布制御層による光分布の制御の構成例について、図3を用いて説明する。
本実施形態の2次元フォトニック結晶面発光レーザは、図3に示すように、n型基板101、下部クラッド層102、活性層103、2次元フォトニック結晶層104を備える。この2次元フォトニック結晶層上に光強度分布制御層105が形成され、この光強度分布制御層上に上部クラッド層106が積層された積層構造によるスラブ導波路を備える。
2次元フォトニック結晶面発光レーザのスラブ導波路に導波する光は以下の式で表される。
neffは実効屈折率で、スラブ導波路中を伝播する光に対する実効的な屈折率で導波モードの固有値である。
上記微分方程式に各層の屈折率を代入し、境界条件を満たすneffを求めることで、光分布が求められる。
また、2次元フォトニック結晶層104の屈折率は高屈折率媒質と低屈折率媒質との体積平均の値を用いる。
光強度分布制御層105の屈折率をneffより大きくすると、光強度分布制御層105の膜厚と光強度分布制御層105の屈折率とneffとの屈折率差に応じて、活性層103付近の光分布のピークが光強度分布制御層105に引き込まれるように広がる。
光強度分布制御層105に光が広がると、活性層103と光強度分布制御層105に挟まれている2次元フォトニック結晶層104にも光が広がり光分布の均一性が向上する。
光強度分布制御層105の膜厚で2次元フォトニック結晶層104内の光分布を制御する事が出来る。
さらに、2次元フォトニック結晶層104内の光分布を変化させることで、2次元フォトニック結晶層104で垂直方向に回折する光の干渉の強さを変化させることが出来る。
つまり、光強度分布制御層105の膜厚を面内で変える事で、回折光強度を面内で変える事ができる。
2次元フォトニック結晶層104の膜厚dが(0.5+p)a近傍であるとき、回折光は強め合って干渉する(但し、p=0,1,2・・・である。)。
したがって、光強度分布制御層105の膜厚は回折光の強度を強くしたい領域を厚くし、回折光を弱くしたい領域を薄くする。
2次元フォトニック結晶104の膜厚dがqa近傍であるとき、回折光は弱め合って干渉する(但し、(q=1,2,3・・・)である。)。
したがって、光強度分布制御層105の膜厚は回折光の強度を弱くしたい領域を厚くし、回折光を強くしたい領域を薄くする。
また、図2からも分かるように、2次元フォトニック結晶層104の膜厚dが(0.75+0.5r)a近傍であるとき、光強度分布制御層105の膜厚を変化させても回折光の強度は殆ど変化しない(但し、(r=0,1,2・・・)である。)。
回折光が弱め合う様に干渉させる場合は、2次元フォトニック結晶層104の膜厚dを(q−0.125)a<d<(q+0.125)aの条件式を満足する膜厚にする(但し、(q=1,2,3・・・)である。)。
より好ましくは、(q−0.100)a<d<(q+0.100)aの条件式を満足する膜厚にするのが良い。更に好ましくは(q−0.075)a<d<(q+0.075)aの条件式を満足する膜厚にするのが良い。
また、光強度分布制御層105の膜厚分布は階段状に変化させるより、滑らかに変化させることが望ましい。
光強度分布制御層105の膜厚が変化すると、実効屈折率neffが面内で変化する。
つまり、光強度分布制御層105の膜厚が変化する界面で光の反射が生じる。界面で反射された光は、2次元フォトニック結晶層104と上手く結合せず損失になってしまう。
また、階段状の形状を滑らかにする方法としてマストランスポートがある。光強度分布制御層105を加工後、熱処理でマストランスポートを起こすことで段差を滑らかにすることが出来る。
上記したように、本実施形態の2次元フォトニック結晶面発光レーザは、基板101、下部クラッド層102、活性層103、2次元フォトニック結晶層104、光強度分布制御層105、上部クラッド層106の順に積層されたスラブ導波路の構造を備える。
また、積層順を上下逆にして、2次元フォトニック結晶層104を活性層103の下部に配置しても良い。下部電極107は基板101の裏面に設けられ、上部電極108は表面に設けられる。
ここで、ガイド層を設ける一例について説明する。
光が活性層103や2次元フォトニック結晶層104に適切に分布するように活性層103と下部クラッド層102の間にガイド層を設けることができる。
ガイド層の屈折率が光強度分布制御層105より高い場合、光の分布がガイド層に寄ってしまい、光強度分布制御層105の2次元フォトニック結晶層104へ光を広げる効果が弱くなってしまう。そのため、光強度分布制御層105の屈折率をガイド層の屈折率より高くすることが望ましい。
高屈折率媒質104aと、低屈折率媒質104bの例としては以下のものが挙げられる。
高屈折率媒体104aはAl,Ga,In,N,As,P,Sbを含むIII−V族半導体である。低屈折率媒質104bは空気、SiO2,SiN,Al2O3,AlN,TiO,TiNなどである。
2次元フォトニック結晶層104で回折する光の干渉の強さは、2次元フォトニック結晶層104の厚さ方向に対して光の分布が均一であるほど強くなる。
回折光の干渉をより強くするためには、2次元フォトニック結晶層104の高屈折率媒質104aと低屈折率媒質104bの屈折率を体積で平均した2次元フォトニック結晶の平均屈折率nPhCをクラッド層の屈折率より大きくすることが望ましい。
上記平均屈折率nPhCをクラッド層の屈折率より大きくすると、該平均屈折率nPhCと活性層103や光強度分布制御層105との屈折率差が小さくなるので、2次元フォトニック結晶層104中に光が広がりやすくなり、光分布の均一性がよくなる。
一方で、上記平均屈折率nPhCが光強度分布制御層105の屈折率より大ききいと、光分布のピークが2次元フォトニック結晶層104に移り、光強度分布制御層105の膜厚を変えても2次元フォトニック結晶層104中の光分布は変化しにくくなる。
従って、光強度分布制御層105の膜厚を変化させることで回折光の干渉強度を変調する効果が弱くなってしまう。以上のことから、上記平均屈折率nPhCは光強度分布制御層105の屈折率より小さいことが望ましい。
実施形態2として、2次元フォトニック結晶面発光レーザにおける光強度分布制御層による光分布の制御の構成例について、図4を用いて説明する。
本実施形態における2次元フォトニック結晶面発光レーザは、2次元フォトニック結晶層104と光強度分布制御層105を除く他の構成は実施形態1と同じであるので、2次元フォトニック結晶104と光強度分布制御層105について説明する。
回折光が強め合って干渉するように2次元フォトニック結晶層104の膜厚dを、((p+0.5)−0.125)a<d<((p+0.5)+0.125)aの条件式を満足する膜厚にする(但し、(p=0,1,2・・・)である)。
より好ましくは、((p+0.5)−0.100)<d<((p+0.5)+0.100)aの条件式を満足する膜厚にするのが良い。更に好ましくは((p+0.5)−0.075)a<d<((p+0.5)+0.075)aの条件式を満足する膜厚にするのが良い。
光強度分布制御層105の膜厚は、回折光を強く出射させたい領域で干渉を強くするため厚くする。弱く出射させたい領域では、干渉を弱くするために薄くする。
実施形態3として、2次元フォトニック結晶面発光レーザにおける光強度分布制御層による光分布の制御の構成例について、図5を用いて説明する。
本実施形態における2次元フォトニック結晶面発光レーザは実施形態1と層構成は同じである。
そして、表面にp電極108と、光取り出しのための開口部109を備える。図5では表面から光を取り出すためp電極に開口部を設けているが、裏面のn電極107に開口部109を設けても良い。
開口部109は、半透明電極や透明電極などの光を透過する構造を形成しても良い。
2次元フォトニック結晶層104の膜厚dは実施形態1と同様に、(q−0.125)a<d<(q+0.125)aの条件式を満足する膜厚にする(但し、(q=1,2,3・・・)である)。
より好ましくは、(q−0.100)a<d<(q+0.100)aの条件式を満足する膜厚にするのが良い。更に好ましくは(q−0.075)a<d<(q+0.075)aの条件式を満足する膜厚にするのが良い。
光強度分布制御層105の膜厚は、p電極108直下より、開口部109直下(開口部に対応する領域)の膜厚を薄くする。
p電極108直下の2次元フォトニック結晶層104中の光分布は光強度分布制御層105によって2次元フォトニック結晶層104全体に広げられ、2次元フォトニック結晶104の光分布の均一性が向上することで、干渉が強くなり回折光が弱くなる。
一方で、開口部109に対応する領域の2次元フォトニック結晶104は、光強度分布制御層105が薄いため、2次元フォトニック結晶104の光分布の均一性が低く、干渉が強く生じない。
従って、回折光は、電極直下(開口部に対応する領域以外の領域)より開口部109直下(開口部に対応する領域)が強くなる。
実施形態4として、2次元フォトニック結晶面発光レーザにおける光強度分布制御層による光分布の制御の構成例について、図6を用いて説明する。
本実施形態における2次元フォトニック結晶面発光レーザは実施形態2と層構成は同じである。
また、実施形態3のように表面にp電極108と、光取り出しのための開口部109を備える。
図6では表面から光を取り出すためp電極108に開口部109を表面に設けているが、裏面のn電極107に開口部を設けても良い。
開口部109は半透明電極や透明電極などの光を透過する構造を形成しても良い。
2次元フォトニック結晶層104の膜厚dは実施形態2と同様に((p+0.5)−0.125)a<d<((p+0.5)+0.125)aの条件式を満足する膜厚にする(但し、ここでの条件式において(p=0,1,2・・・)である)。
より好ましくは、((p+0.5)−0.100)a<d<((p+0.5)+0.100)aの条件式を満足する膜厚にするのが良い。更に好ましくは((p+0.5)−0.075)a<d<((p+0.5)+0.075)aの条件式を満足する膜厚にするのが良い。
光強度分布制御層105の膜厚は、開口部109直下(開口部に対応する領域)よりp電極108直下を薄くする。
開口部109直下の2次元フォトニック結晶層104は光強度分布制御層105によって光分布が2次元フォトニック結晶層104全体に広げられることで、光分布の均一性が向上し、回折光が強くなる。
一方で、電極直下の2次元フォトニック結晶層104は、光強度分布制御層105が薄いため、2次元フォトニック結晶層104の光分布の均一性がさほど高くなく、干渉が強く生じない。
従って、回折光はp電極108直下(開口部に対応する領域以外の領域)より開口部109直下(開口部に対応する領域)で強くなる。
[実施例1]
実施例1として、実施形態1の2次元フォトニック結晶面発光レーザにおける具体的な構成例を、図7を用いて説明する。
本実施例は、2次元フォトニック結晶の格子定数aと膜厚dがd=aの構成で、回折光が最も弱め合う形態として構成される。
本実施形態における2次元フォトニック結晶面発光レーザは、つぎのように構成される。
基板101としてn型GaN基板701を用いる。
次に、有機金属気相成長(MOCVD)装置で以下の層を順に成長させる。
始めに、結晶性向上のためのバッファ層としてn−GaN層710を5μm成長させる。
続いて、下部クラッド層102としてn−Al0.07Ga0.93N702を800nm、ガイド層としてGaN層711を100nm成長させる。
その上に、活性層103として多重量子井戸703を成長させる。井戸層として厚さ3nmのIn0.10Ga0.90N、障壁層として厚さ7nmのGaNのペアを3周期成長させる。多重量子井戸703の発光波長は400nmである。更に、キャリアオーバーフローを抑制するキャリアブロック層としてp−Al0.15Ga0.85N712を20nm、2次元フォトニック結晶層104の母材(高屈折率媒質104a)としてIn0.04Ga0.96N704a成長させる。
In0.04Ga0.96N704aの膜厚は、後の2次元フォトニック結晶作成の工程で用いるドライエッチングによる活性層のダメージを考慮して、2次元フォトニック結晶の格子定数より若干厚くする。
本実施例では2次元フォトニック結晶の格子定数を152nmとするため、In0.04Ga0.96N704aを162nm成長させる。
次に、2次元フォトニック結晶層104の形成をする。
まず、基板をMOCVD装置から取り出し、基板上にレジストを塗布する。
次に、電子線リソグラフィーを用いて、円形の正方格子のパターンを描画,現像する。格子定数a(周期)は152nm、円の直径は55nmである。
次に、ドライエッチングでIn0.04Ga0.96N704aが10nm残るように、層深さ152nmの2次元フォトニック結晶の孔を形成し、スパッタを用いて孔をAl2O3で埋める。
その後、リフトオフでレジストを除去して、高屈折率媒質104aとしてIn0.04Ga0.96N704aと、低屈折率媒質104bとしてAl2O3704bで構成される2次元フォトニック結晶層104が形成される。
リフトオフ後、2次元フォトニック結晶層104を形成した基板をMOCVD装置にセットし、光強度分布制御層105として、In0.04Ga0.96N705を45nm成長させる。
本実施例では、円形のビームスポットを得るために、円状に膜厚分布を設ける。具体的には、フォトリソグラフィーとドライエッチングを3回に分け膜厚分布を形成する。
初めに、円形で直径10μm、深さ15nmのパターンを形成する。次に直径5μmの円形パターンを10μmの円形パターンの中心に合わせて深さ15nmで形成する。最後に直径3μmのパターンを深さ10nmで形成することで、In0.04Ga0.96N705にパターンの中心に向かって膜厚が階段状に薄くなった分布が形成される。
残りの層を成長させるためMOCVD装置にIn0.04Ga0.96N705に膜厚分布を設けた基板をセットする。そして、上部クラッド層106としてp−Al0.07Ga0.93N706を500nm、電極形成の為のコンタクト層としてp−GaN713を50nm成長させる。
最後に、n型GaN基板701の裏面にn電極107としてTi/Alからなる下部電極707、コンタクト層の上に上部電極108としてNi/Aiからなる半透明電極708を形成する。
以上の工程を経て、電流注入で発振し円形スポットを持つ2次元フォトニック結晶面発光レーザが完成する。
それぞれ、光強度分布制御層105の膜厚が45nmの構造(パターン外部)と、5nmの構造(パターン中心部)である。
光強度分布制御層105の膜厚が45nmの構造は、5nmの構造と比べ2次元フォトニック結晶層に光が均一に広がっていることが分かる。
また、図9は、実施例1の2次元フォトニック結晶面発光レーザの構造について、回折光の電界強度比と光強度分布制御層105の関係を計算したグラフである。
光強度分布制御層105の膜厚が0nm時の回折光の電界強度を基準としている。光強度分布制御層105の膜厚が増すにつれ、回折光強度が減少している。これは、2次元フォトニック結晶層104への光の広がりが図8(a)の様に増加し光分布の均一性が向上し、回折光の干渉が強くなったからである。
光強度分布制御層105の膜厚が45nm辺りより厚くなると、回折光強度が増加している。
これは、活性層付近にあった光分布の最大値が光強度分布制御層105付近にシフトして、2次元フォトニック結晶層104の光分布の均一性が低下し、干渉が弱くなっているためである。
また、活性層と光の重なりが低下し利得が得られにくくなるので、光強度分布制御層105の膜厚は、これ以上厚くすることは望ましくない。
実施例2として、実施形態2の2次元フォトニック結晶面発光レーザにおける具体的な構成例を、図10を用いて説明する。
本実施例では2次元フォトニック結晶の格子定数aと膜厚dがd=0.5aの構成で、回折光が最も強め合う形態として構成される。
本実施例における2次元フォトニック結晶面発光レーザは、2次元フォトニック結晶層104の膜厚、光強度分布制御層105、及び、光強度分布制御層105の膜厚分布が異なる事以外は、実施例1と同じである。差異の点について以下に説明する。
2次元フォトニック結晶層104であるIn0.04Ga0.96N704の膜厚を86nmとする。
これは、2次元フォトニック結晶の格子定数152nmに対して0.5倍の76nmと、エッチングダメージを抑えるための10nmの和である。
光強度分布制御層105として厚さ50nmのIn0.04Ga0.96N705まで形成する。次に、In0.04Ga0.96N705にフォトリソグラフィーとドライエッチングで、面内の回折光の強度分布をつけるための膜厚分布を設ける。
本実施例では、In0.04Ga0.96N705に円形で中心に向かって厚くなる膜厚分布を設ける。
具体的には、フォトリソグラフィーで円形の直径3μmのマスクを形成し、ドライエッチングでGa0.04In0.96N705を15nmエッチングする。
次に、直径5μmの円形マスクを前3μmのパターンの中心を合わせて形成し、ドライエッチングで15nmエッチングする。
最後に直径10μmのマスクを同様に形成し、15nmエッチングすることで、In0.04Ga0.96N705にパターンの中心に向かって膜厚が階段状に厚くなる分布が形成される。
その後は、残りの層と電極を形成することで、2次元フォトニック結晶面発光レーザが完成する。
それぞれ、光強度分布制御層105の膜厚が50nmの構造(パターン中心部)と、5nmの構造(パターン外部)である。
光強度分布制御層105の膜厚が50nmの構造は、5nmの構造と比べ2次元フォトニック結晶層に光が均一に広がっていることが分かる。
また、図12は、回折光の電界強度比と光強度分布制御層105の関係を計算したグラフである。
光強度分布制御層105の膜厚が0nm時の回折光の電界強度を基準としている。
光強度分布制御層105の膜厚が増すにつれ干渉が強くなった結果、回折光強度が増加している。
光強度分布制御層105を厚くしすぎると回折光強度が低下しているのは、実施例1と同じく、光分布の最大値が光強度分布制御層105にあり、2次元フォトニック結晶層104の光分布の均一性が低下しているためである。
実施例3として、実施形態3の2次元フォトニック結晶面発光レーザにおける具体的な構成例を、図13を用いて説明する。
本実施例の2次元フォトニック結晶面発光レーザの構成は、光強度分布制御層105の膜厚分布と表面に光取り出しのための開口部109を設けたこと以外は、実施例1と同じである。差異の点について以下に説明する。
まず、光強度分布制御層105であるIn0.04Ga0.96N705までの構造を実施例1と同様に形成する。
次に、ドライエッチングによってIn0.04Ga0.96N705層の一部を薄くする。形状は円形、直径5μm、深さ40nmである。その後、再成長で残りの層を形成する。
裏面にTi/Alからなるn電極707と、表面にNi/Auからなるp電極708を形成する。
p電極708に、光取り出しのための開口部109として、直径5μmの円形状の開口部を設ける。開口部109は、In0.04Ga0.96N705の円形パターンを形成した領域に重なるように形成する。
以上の工程を経て開口部109から光が強く出射される2次元フォトニック結晶面発光レーザが完成する。
実施例4として、実施形態4の2次元フォトニック結晶面発光レーザにおける具体的な構成例を、図14を用いて説明する。
本実施例の2次元フォトニック結晶面発光レーザの構成は、光強度分布制御層の膜厚分布と表面に開口部109を設けた事以外は、実施例2と同じである。差異の点について以下に説明する。
まず、光強度分布制御層であるIn0.04Ga0.96N705までの構造を実施例2と同様に形成する。
次に、ドライエッチングでIn0.04Ga0.96N705にパターンを形成する。形状は直径5μmの円形で、円形部分はエッチングしないようにマスクで保護し、それ以外の領域を札厚さ5nmまで薄くする。その後、再成長で残りの層を形成する。
裏面にTi/Alからなるn電極707、表面にNi/Auからなるp電極708を形成する。p電極708は、光取り出しのための開口部109として、直径5μmの円形状の開口部を有し、In0.04Ga0.96N705の円形パターンに重なるように形成する。
以上の工程を経て開口部109から光が強く出射される2次元フォトニック結晶面発光レーザが完成する。
つぎに、比較例について説明する。
本比較例は、実施例1における2次元フォトニック結晶面発光レーザの2次元フォトニック結晶層の平均屈折率nPhCが、
クラッド層の屈折率ncladより高い構造と、該クラッド層の屈折率ncladより低い構造の2次元フォトニック結晶層104中の光強度分布と回折光強度を比較する。
nPhC>ncladの関係である構造については実施例1を用いる。nPhC<ncladの関係である構造は、実施例1の低屈折率媒質104bを空気で置き換えた構造を用いる。
また、光強度分布制御層105の膜厚については、実施例1で干渉効果が強かったIn0.04Ga0.96N705が45nmの厚さで比較する。
実施例1の図8(a)では2次元フォトニック結晶層中の電界が均一であるのに対し、比較例の図15では2次元フォトニック結晶層104内で光の分布が谷になり、均一性が低下している事が分かる。
このことから、nPhC<ncladの構造は、nPhC>ncladの構造と比べて回折光の干渉が弱くなる。
また、図16は回折光の電界虚度比と光強度分布制御層の膜厚との関係を計算し比較したグラフである。
実線はnPhC>ncladの構造で、点線はnPhC<ncladの構造である。
nPhC<ncladの構造は、nPhC>ncladの構造より回折光の強度比の変調は小さいが、本発明の効果があることが確認できる。
以上の比較結果から、nPhCがncladより低くても本発明の効果がある。ただし、より効果を発揮するためにはnPhCをncladより高くすることが望ましいといえる。
102:下部クラッド層
103:活性層
104:2次元フォトニック結晶層
104a:高屈折率媒質
104b:低屈折率媒質
105:光強度分布制御層
106:上部クラッド層
107:下部電極
108:上部電極
109:開口部
Claims (5)
- 基板上に設けられた下部クラッド層と、
前記下部クラッド層上に設けられたキャリアを注入することで発光する活性層と、
前記活性層上に設けられた前記活性層で発生した光を面内で共振させる2次元フォトニック結晶層を有する2次元フォトニック結晶面発光レーザであって、
前記2次元フォトニック結晶層上に設けられ、該2次元フォトニック結晶層中の光強度分布を制御する光強度分布制御層を備え、
前記下部クラッド層と、前記活性層と、前記フォトニック結晶層と、前記光強度分布制御層と、該光強度分布制御層上に設けられた上部クラッド層と、の積層構造によるスラブ導波路が構成され、
前記光強度分布制御層の屈折率は、前記スラブ導波路の実効屈折率より大きく、面内での膜厚分布が異なっていることを特徴とする2次元フォトニック結晶面発光レーザ。 - 前記面発光レーザの裏面、または表面に光取り出しのための開口部を備え、
前記フォトニック結晶は、その格子定数をa、その膜厚をdとするとき、
前記フォトニック結晶層は、以下の条件式を満足する膜厚を有し、
前記光強度分布制御層の前記開口部に対応する領域の膜厚は、前記光強度分布制御層の前記開口部に対応する領域以外の領域より薄い膜厚で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の2次元フォトニック結晶面発光レーザ。
(q−0.125)a<d<(q+0.125)a
但し、(q=1,2,3・・・) - 前記面発光レーザの裏面、または表面に光取り出しのための開口部を備え、
前記フォトニック結晶の格子定数をa、膜厚をdとするとき、
前記フォトニック結晶は以下の条件式を満足する膜厚を有し、
前記光強度分布制御層の前記開口部に対応する領域の膜厚は、前記光強度分布制御層の前記開口部に対応する領域以外の領域より厚い膜厚で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の2次元フォトニック結晶面発光レーザ。
((p+0.5)−0.125)a<d<((p+0.5)+0.125)a
但し、(p=0,1,2・・・) - 前記フォトニック結晶層の屈折率が、前記クラッド層の屈折率より大きく、前記光強度分布制御層の屈折率より低いことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の2次元フォトニック結晶面発光レーザ。
- 前記下部クラッド層と前記活性層との間にガイド層を備え、
前記光強度分布制御層の屈折率が前記ガイド層の屈折率より大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の2次元フォトニック結晶面発光レーザ。
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